CPSS シンシナティ病院前脳卒中スケール どれか1つでも異常を認めた場合には、脳卒中を強く疑う。 顔面の下垂 正常 異常 歯を見せるように、あるいは笑顔を指示 両側が等しく動く 片側がもう一側のように動かない 上肢の動揺 正常 異常 目を閉じさせ、10 秒間上肢をまっすぐに伸ばすよう指示 左右とも同じように挙がる、または左右ともまったく挙がらない 片方が挙がらないか、もう一方と比べてふらふらと下がる 言語 正常 異常 「瑠璃(るり)も玻璃(はり)も照らせば光る」(例)を繰り返すよう指示 正しい言葉を明瞭に話す 不明瞭な言葉、間違った言葉、またはまったく話せない 検査と評価の解説 検査方法 顔 面 の 下 垂 :いわゆる“イー”の口 をするよう指 示 する 上 肢 の 動 揺 :目 を閉 じさせて、両 側 同 時 に、患 者 自 身 で挙 上 させたのち保 持 させる(NIHSS の検 査 方 法 との違 いに 注 意 )。角 度 や掌 の向 きはとくに指 示 しない 評価 上 肢 の 動 揺 :左 右 差 を評 価 する(目 を閉 じさせ、両 側 同 時 に挙 上 させるのはこのため)。両 側 ともまったく上 がらない のも正 常 としていることに注 意 言 語 :復 唱 に何 らかの異 常 があるかどうかをみればよく、失 語 と構 音 障 害 の区 別 は不 要 。自 発 語 があっても、指 示 を 理 解 せず、復 唱 しないものも異 常 に含 まれる(言 語 理 解 の異 常 )。 3項 目 のうち1つでも異 常 の項 目 があれば、脳 卒 中 疑 いと判 断 する ファシリテーター向け注意点 両 上 肢 を挙 上 できないのを“正 常 ”と判 断 するのに違 和 感 を覚 えるかもしれない しかし、次 のような症 例 を考 えれば、脳 卒 中 かどうかのスクリーニングのために、理 にかなっていることがわかる 頚 髄 損 傷 による四 肢 麻 痺 → 両 上 肢 が動 かないので上 肢 の 動 揺 は正 常 。復 唱 は可 能 なので言 語 も正 常 で、3項 目 とも正 常 となる 重 い失 語 +片 側 上 下 肢 の麻 痺 → 指 示 に従 えず上 肢 の 動 揺 は正 常 となるが、言 語 が異 常 となり、脳 卒 中 疑 いと判 断 できる バレー徴候との違い バレー徴 候 をみるときは、手 のひらを上 に向 けて保 持 させる。この方 法 の方 がわずかな麻 痺 でも検 出 しやすい CPSS では、わずかな上 肢 の麻 痺 が検 出 できないこともあることに注 意 する ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) KPSS 倉敷病院前脳卒中スケール (Kurashiki Prehospital Stroke Scale:KPSS) 意識 水準 意識 障害 全障害は 13 点満点 0点 1点 2点 完全覚醒 刺激すると覚醒する 完全に無反応 患者の名前を聞く 0点 1点 正解 不正解 患者に目を閉じて、両手掌を下にして両腕を伸ばすように 口頭、身ぶり手ぶり、パントマイムで指示 左右の両腕は並行に伸ばし、動かずに保持できる 手を挙上するが、保持できず下垂する 運動 麻痺 手を挙上することができない 患者に目を閉じて、両下肢をベッドから挙上するように 口頭、身ぶり手ぶり、パントマイムで指示 左右の両下肢は動揺せず保持できる 下肢を挙上できるが、保持できず下垂する 下肢を挙上することができない 右手 0点 1点 2点 左手 0点 1点 2点 右足 0点 1点 2点 左足 0点 1点 2点 患者に「今日はいい天気です」を繰り返して言うように指示 言語 はっきりと正確に繰り返して言える 言語は不明瞭(呂律がまわっていない)、もしくは、異常である 無言。黙っている。言葉による理解がまったくできない 0点 1点 2点 検査と評価の解説 検査方法 意 識 水 準 :呼 びかけや痛 み刺 激 に対 する反 応 から評 価 する 運 動 麻 痺 :上 肢 は 90°(座 位 )・45°(臥 位 )、下 肢 は 30°挙 上 (PSLS コースガイドブックより。NIHSS と同 様 ) 目 を閉 じさせて、両 側 同 時 に、患 者 自 身 で挙 上 させたのち保 持 させる(NIHSS の検 査 方 法 との違 いに注 意 ) CPSS との相 違 点 は、掌 を下 に向 けること(NIHSS と同 様 )と、“身 ぶり手 ぶり、パントマイム”も用 いて指 示 すること 保 持 させる時 間 にはとくに指 示 がない 評価 判 断 に迷 う場 合 や、意 識 障 害 、認 知 症 、失 語 症 のため命 令 が実 行 できない場 合 はより高 い(悪 い)点 数 をつける (PSLS コースガイドブックより) 運 動 麻 痺 :「挙 上 」→「保 持 」をそれぞれ評 価 する。両 方 ○→0 点 、挙 上 ○だが保 持 ×→1 点 、挙 上 ×→2 点 言 語 :復 唱 の指 示 に従 い、はっきりと(呂 律 の異 常 なく)、かつ、正 しく話 せるのが 0 点 。 全 く無 言 、または、復 唱 の指 示 も含 め言 葉 をまったく理 解 しない場 合 に 2 点 となる。それ以 外 の異 常 はすべて 1 点 ファシリテーター向け注意点 CPSS と KPSS の位置づけ CPSS は、脳 卒 中 が疑 われるか否 かの判 断 のスケール KPSS は、脳 卒 中 の重 症 度 をみるスケールで、KPSS 3~9 点 と NIHSS 5~22 点 (t-PA 治 療 対 象 )が相 関 を示 す ほかに、NIHSS との相 関 を意 識 した病 院 前 スケールとして、CPSS と同 時 に評 価 が可 能 な MPSS(Maria)、心 房 細 動 の有 無 を項 目 に含 む TOPSPIN(TOYOTA)などがある 高齢者などでの両側下肢の同時挙上 高 齢 者 など、もともと筋 力 の弱 い患 者 では、片 方 ずつであれば下 肢 を挙 上 ・保 持 することがが可 能 でも、両 側 同 時 に 下 肢 を挙 上 ・保 持 することは困 難 なことがある。点 数 の解 釈 に注 意 が必 要 である ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS NIH 脳卒中スケール この解 説 書 の根 拠 は、NIH の下 部 機 関 にあたる NINDS が提 供 する下 記 2つの資 料 におく N I H St r o k e S c a l e ( O r i g i n a l F o r m a t ) R e v 1 0 / 1 / 2 0 0 3 ( 以 下 、 原 文 ) http://www.ninds.nih.gov/doctors/NIH_Stroke_Scale.pdf N I H St r o k e S c a l e Tr a i n i n g ( D V D ) Ve r s i o n 2 . 0 ( 以 下 、 D V D ) http://www.ninds.nih.gov/doctors/stroke_scale_training.htm -ISLS コースガイドブックの記 載 ・アルゴリズムカードの記 載 は、これらにほぼ忠 実 である -原 文 上 で細 かく検 査 方 法 を説 明 していない項 目 は、DVD で解 説 されている方 法 を「検 査 方 法 」として挙 げた -原 文 ・DVD 以 外 の資 料 に根 拠 を得 た部 分 については、その都 度 明 示 してある -Web 上 には各 種 解 説 があるが、この解 説 書 と違 った解 釈 のものや独 自 の評 価 方 法 を加 えてあるものもある ファシリテーター向け注意点 原 文 や DVD では様 々なルールが規 定 されており、客 観 的 スケールの利 用 や標 準 化 コースにあまり馴 染 みのない受 講 者 にはとっつきにくいと感 じられる面 もあろう が、信 頼 性 ”reliability”や再 現 性 “reproducibility”のある 結 果 を得 るため に必 要 なルールであることを理 解 してもらう (神 経 学 的 診 察 にあたってあらゆる診 察 方 法 が臨 床 現 場 で利 用 されているにもかかわらず、神 経 学 的 診 察 に不 慣 れな 医 療 従 事 者 でも NIHSS を利 用 できるのは、様 々なルールによって検 査 ・評 価 すべき範 囲 が制 限 されているからであると もいえる) 限 られた時 間 内 で全 てのルールを受 講 者 に理 解 してもらわなくてよいし、コースに参 加 するファシリテーターも NIHSS に関 するルールを全 て覚 える必 要 はない。しかし、それはルールを無 視 してよいのとは違 う 受 講 者 には、NIHSS を利 用 する際 には ISLS コースガイドブックなど詳 しい解 説 をいつでも見 ることができるよう準 備 し ておき、検 査 ・評 価 に困 ったら参 照 するようすすめる。ほとんどの場 合 それで解 決 する NIHSS に関 する質 問 にファシリテーターが応 じるときも、答 えに確 信 がもてないのであれば、自 分 の知 識 や解 釈 で答 えようとせずに、この解 説 書 や ISLS コースガイドブックで確 認 しながら、根 拠 をもって応 じることが大 切 である 特殊な状態への対応 について説明するときの原則 麻 痺 や失 語 、意 識 障 害 などの原 因 で検 査 に支 障 がある場 合 の対 応 (以 下 、特 殊 な状 態 への対 応 )は、 まずは詳 しい解 説 を確 認 し、下 記 のように行 うのが原 則 である -別 の方 法 で検 査 を行 うよう規 定 されていれば、それに従 う -検 査 に支 障 がある理 由 によって規 定 された点 数 があれば、それに従 う -そうした、「代 替 手 段 」や「点 数 」の規 定 がなければ、患 者 の反 応 をそのままスケールにあてはめる ( 多 く は 最 も 悪 い 評 価 と な る が 、 7 . 失 調 や 11 . 消 去 ・ 不 注 意 は 、 異 常 所 見 が 明 ら か で な け れ ば 正 常 と 扱 う ) -上 記 のように検 査 に支 障 のある患 者 において、ほとんどの項 目 で高 い点 数 となるのが NIHSS の特 徴 でもある 点数を選択するときの原則 点 数 に迷 ったら、まず最 高 (または最 低 )に近 い点 の定 義 にあてはめまるかどうかをみる そして、中 間 に近 い点 の定 義 を確 認 し、どちらが適 切 かを比 較 する ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS (重要な注意事項) ○各項目をリストの順番通りに実施せよ ○各検査を行なった直後にその結果を記録せよ ○後戻りして評価を変更してはならない ○各検査の方法は規定された指示に従え ○その患者にはできるだろう という予想ではなく、その患者がどうしたか を評価に反映すべきである ○検査中に点を記録し、迅速にすすめるべきである ○指示されたところをのぞき、患者を指導してはならない 検査と評価の解説 信 頼 性 ”reliability” や 再 現 性 “reproducibility” のある結 果 が重 視 される 原 文 や DVD では、NIHSS の利 用 にあたって下 記 のような原 則 が挙 げられている 各検査の方法は規定された指示に従え “Follow directions provided for each exam technique.” 原 文 で規 定 された指 示 の範 囲 で検 査 を行 う。それ以 外 の検 査 を行 わない -1c.意 識 レ ベ ル ( 従 命 ) で目 や手 に身 体 的 障 害 がある場 合 の命 令 や、2.最 良 の 注 視 で視 力 や視 野 の異 常 があ る場 合 に反 射 的 眼 球 運 動 に加 えて行 う検 査 は例 外 的 に、検 者 が適 切 と考 える方 法 で行 うように指 示 がある その患者にはできるだろう という予想ではなく、その患者がどうしたか を評価に反映すべきである “Scores should reflect what the patient does, not what the clinician thinks the patient can do.” 検 査 に対 して、患 者 が行 ったありのままを、定 義 に従 って評 価 に反 映 する × 指 示 に対 する理 解 が乏 しいからうまくできないだけで、この項 目 で評 価 すべき能 力 に障 害 はないはずなので 0 点 だ × 症 状 (画 像 )より○○の障 害 だろう。□□という所 見 であればそれと矛 盾 しないので、この項 目 は△点 とすべきだ 途 中 経 過 をもとに患 者 の病 態 に何 らかの印 象 をもつことがあっても、印 象 に影 響 されて評 価 が変 更 されてはならない -項 目 によっては、その項 目 以 前 の患 者 の反 応 から評 価 することが許 されているところもある -以 前 からある症 状 も含 めて評 価 する。ただし 8.感 覚 では、脳 卒 中 による症 状 のみを評 価 する 各検査を行なった直後にその結果を記録せよ 後戻りして評価を変更してはならない “Record performance in each category after each subscale exam. Do not go back and change scores.” 患 者 の見 せた初 めの反 応 を評 価 する ”Accept patient’s first effort.”(DVD) これは、初 めにみせた反 応 が最 も再 現 性 が高 いと思 われるからである -評 価 ・記 録 をした後 に、よりよい反 応 が確 認 できても、後 戻 りしてはならない (たとえ、その反 応 が患 者 の能 力 を最 も反 映 していると思 われても) -とくに、1b.意 識 レ ベ ル ( 質 問 ) や 1c.意 識 レ ベ ル ( 従 命 ) は、最 初 の反 応 のみを評 価 するよう指 示 がある -2.最 良 の 注 視 や 9.最 良 の 言 語 はこの原 則 の例 外 項 目 であるとしている(DVD) 指示されたところをのぞき、患者を指導してはならない(すなわち、特別な努力をするよう患者に繰り返し求めること) “Except where indicated, the patient should not be coached. (i.e., repeated requests to patient to make a special effort)” (この原 則 は)なるべく最 良 の反 応 を得 ようとするような、普 段 行 っている診 察 とは異 なるものだろう(DVD) はじめは誤 った反 応 をしたが、指 示 をやり直 すとより正 しい反 応 が得 られた ということはよく経 験 する しかし、そういった“指 導 ”を、どのように・何 度 までやり直 してよいのか、の基 準 をつくることは困 難 である -たとえば、9.最 良 の 言 語 において、患 者 が間 違 った言 葉 を発 して、再 度 聞 き直 したところ正 しく言 いなおせたとして も、間 違 えたことをもとに評 価 すべきである -2.最 良 の 注 視 は例 外 であり、眼 球 運 動 をおこさせるために繰 り返 し検 査 を行 ってもよいとしている ただし、たとえば下 記 のような検 査 での、声 をかけて励 まし(”encourage”)ながらの検 査 は DVD でも実 演 されている -2.最 良 の 注 視 や 3.視 野 で、追 視 によって検 査 するとき -5.上 肢 の 運 動 ・ 6.下 肢 の 運 動 で、重 力 に抗 せず落 下 した場 合 に、わずかでも動 くかを検 査 するとき など ファシリテーター向け注意点 特 に複 雑 な所 見 のない患 者 ならば、1人 の患 者 につき 5 分 で NIHSS を評 価 できる(DVD) 検査方法の改変や省略 コースでは、原 文 および DVD に準 拠 した内 容 を扱 う 原 文 で指 示 されている検 査 方 法 を、各 医 療 機 関 で改 変 ないし省 略 して運 用 する(している)ことの是 非 についてコー ス内 で解 説 ・批 評 ・議 論 しない(各 機 関 で担 当 医 師 の方 針 のもと行 っていることを尊 重 する) ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 1a.意識レベル 刺激に対する反応から評価する 0 = 覚醒、速やかに反応 1 = 簡単な刺激で覚醒 2 = 反復刺激、強い刺激・痛み刺激で覚醒 3 = 反射のみ、または無反応 検査と評価の解説 検査方法 来 院 時 の状 況 (など)について、2,3の質 問 をする 覚 醒 させるための刺 激 として、軽 く叩 く(“patting or tapping”)か、必 要 ならばつねるなどの侵 害 刺 激 を与 える 評価 (無 刺 激 で覚 醒 しており)速 やかに反 応 できれば 0 点 あらゆる刺 激 を与 えても、動 かないか、できたとしても異 常 肢 位 をふくむ反 射 的 な反 応 だけの場 合 →3 点 何 らかの刺 激 で反 応 するのが 1 点 か 2 点 になる(軽 い刺 激 →1 点 繰 り返 し刺 激 、強 いまたは痛 み刺 激 →2 点 ) 1 点 か 2 点 か評 価 が困 難 な場 合 は、評 価 するのに十 分 と考 えるまで質 問 を続 ける -これに関 してのみ、後 戻 りして評 価 を変 更 してよい 特殊な状態への対応 挿 管 中 、その他 評 価 の障 害 があってもどれかを選 択 する ファシリテーター向け注意点 GCS でいえば、主 に V や M の要 素 によって覚 醒 を評 価 しているといえる(E:開 眼 には触 れていない) おおむね、0=ECS1 桁 、1=ECS10、2=ECS20、3=ECS3 桁 と対 応 する 比 較 的 すんなり理 解 されやすい項 目 昏睡(1a.=3 点)のときの評価 昏 睡 (1a.=3 点 )と評 価 した場 合 、他 項 目 のスコアがすべて決 まる 7.失 調 のみが 0 点 、この他 の項 目 はもっとも悪 い評 価 となり、合 計 は 40 点 (満 点 は 42 点 )となる ゆえに、昏 睡 (coma)に相 当 する 3 点 との評 価 は慎 重 に下 すべきである ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 1b.意識レベル(質問) 「月」(今は何月か)と「年齢」を質問する 答えは正確でなければならず、近くても部分点はない 0 = 両方とも正答 1 = どちらか一方だけ正答 2 = どちらも正答ではない 検査と評価の解説 検査方法 「今 は何 月 か」と「(患 者 自 身 の)年 齢 はいくつか」を尋 ねる -上 記 2つのみを尋 ねる。場 所 や時 間 など他 の質 問 をはさむことや、「日 付 」を聞 くことをすすめない -患 者 が質 問 を理 解 したか判 断 するのに適 切 な時 間 をとること(次 々と質 問 しない) 患 者 の答 えを助 けてはいけない × 選 択 肢 を与 える →「3月 ・4月 ・5月 のどれでしょうか?」 × 「はい/いいえ」で答 えられる質 問 に変 換 する →「75歳 でしたかね?」 (何 らかの理 由 で患 者 からの返 答 が得 られないのならば、下 記 の「特 殊 な状 態 への対 応 」の指 示 に従 う) 評価 最 初 の答 えのみを評 価 するので、言 い直 しで正 しく答 えても正 答 としない 正 確 な答 えのみを正 答 とし、少 しでも違 えば正 答 としないし、部 分 点 もない 特殊な状態への対応 質 問 を理 解 しない失 語 ・昏 迷 患 者 →2 点 気 管 挿 管 、口 腔 気 管 外 傷 、あらゆる理 由 による重 度 の構 音 障 害 、言 語 的 障 壁 、あるいは、失 語 によるものではないそ の他 の問 題 によって話 すことができない患 者 →1 点 (失 語 によって話 すことができないのは、スケールの通 り評 価 して 2 点 ) ファシリテーター向け注意点 何 らかの理 由 で返 答 ができない場 合 でも、その理 由 によって点 数 が違 うところに注 意 (たとえば、2つともに答 えられなくても、その原 因 が気 管 挿 管 で話 せないためであれば 2 点 ではなく 1 点 と評 価 する) 「昏迷」stuporous 強 い刺 激 でようやく覚 醒 する状 態 (1a.=2 点 相 当 )。 精 神 科 で用 いられる「昏 迷 」(=意 識 が保 たれているのに、自 発 運 動 が無 くなる状 態 )も、単 語 は同 じだが ニュアンスがやや異 なる -刺 激 しても覚 醒 しないのが「昏 睡 」coma(1a.=3 点 相 当 ) ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 1c.意識レベル(従命) 「目を開ける」と「目を閉じる」を指示したのち、「手を握る」と「手を開く」を指示する 応じない場合はやってみせる(パントマイム) 0 = 両方とも行える 1 = どちらか一方だけ行える 2 = どちらも行えない 検査と評価の解説 検査方法 「目 を開 ける」と「目 を閉 じる」を指 示 したのち、「手 を握 る」と「手 を開 く」を指 示 する -命 令 は1段 階 ずつ行 う -患 者 が命 令 を理 解 したか判 断 するのに適 切 な時 間 をとること(次 々と命 令 しない) -「手 を握 る」のときに検 者 の手 を握 らせない 口 頭 指 示 はもう1度 繰 り返 してよいが、指 導 したり励 ましたりしてはいけない(DVD) -できないのに何 度 も繰 り返 し指 示 したり、命 令 以 外 の声 をかけたり、肩 を叩 いて励 ましたりしない 口 頭 指 示 に従 えなければ、次 にパントマイムでやってみせる 評価 「目 」と「手 」2つの命 令 のうちいくつに従 えるかをみる 患 者 が初 めにみせた反 応 を評 価 する 誤 った反 応 をしたか、パントマイムでも反 応 がみられないときに、その指 示 動 作 はできないものと判 断 する たとえ運 動 の弱 さがあっても、患 者 が動 作 を起 こそうとしていることが検 者 にわかれば、指 示 動 作 は行 えたものとする 特殊な状態への対応 外 傷 、上 肢 切 断 、その他 身 体 的 障 害 →適 切 な1段 階 命 令 で検 査 ファシリテーター向け注意点 よくみられるのは、検 者 みずからの手 を握 らせる、患 者 の反 応 を待 たずに次 々と命 令 する など また、左 麻 痺 のある患 者 で「右 手 しか動 かないので1点 」という評 価 をすることもしばしばみられる 片 手 でなく両 手 を握 る・開 くように命 じると、この時 点 で上 肢 麻 痺 のスクリーニングが可 能 1段階命令 たとえば「手 をパーに開 いて、上 に挙 げてください」という命 令 は2段 階 命 令 となる この項 目 1c.では1段 階 命 令 に対 して従 えるか否 かを評 価 する。「目 を開 いたり、閉 じたりしてください」「まばたきをして ください」「手 をグーパーしてください」というような、2段 階 命 令 とまぎらわしい指 示 は推 奨 できない 目 を「開 く」と「閉 じる」といったように対 になった1段 階 命 令 を行 うのは、“命 令 した瞬 間 にたまたま目 を開 いた”とか“命 令 の声 で覚 醒 したから目 を開 いた”というような反 応 ではないことを確 認 するため 離握手 麻 痺 の診 察 では、握 力 をみるために検 者 の手 を握 るよう指 示 することがある しかし、把 握 反 射 による運 動 を否 定 できないので、手 を握 らせる方 法 は適 当 ではない 「離 握 手 」という表 現 は誤 解 をうけやすく、この検 査 を説 明 する際 には避 けたほうがよい ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 2.最良の注視 随意的な運動(追視など)や眼球頭反射によって、水平眼球運動のみを検査する 眼球頭反射でも克服できない偏視・注視麻痺は 2 点 0 = 正常 1 = 注視に異常がある 2 = 固定した偏視 or 完全注視麻痺 検査と評価の解説 この項 目 は、「患 者 の見 せた初 めの反 応 を評 価 する」と「患 者 を指 導 してはならない」原 則 の例 外 である 検査方法 まずは、注 視 させない状 態 での目 の向 き(偏 視 の有 無 )を確 認 し、 つぎに、検 者 の指 先 を、顔 を動 かさず目 だけで追 いかけるように指 示 する -目 だけでなく顔 も動 かしてしまう場 合 は、顔 が動 かないように軽 く押 さえる または、眼 球 頭 反 射 (人 形 の眼 現 象 )を利 用 して眼 球 運 動 をおこさせる (指 示 に従 えなくても検 者 と視 線 が合 うようならば、視 線 を合 わせたまま検 者 が左 右 に移 動 してみる) 評価 正 常 に動 く→0 点 、まったく動 かない→2 点 、それ以 外 の何 らかの異 常 →1 点 とする 偏 視 がある場 合 も 1 点 だが、眼 球 頭 反 射 を行 ってもまったく動 かない固 定 した偏 視 ならば 2 点 特殊な状態への対応 動 眼 神 経 (Ⅲ)・滑 車 神 経 (Ⅳ)・外 転 神 経 (Ⅵ)いずれか単 一 の末 梢 神 経 麻 痺 →1 点 眼 外 傷 、包 帯 、もとからあった盲 、その他 視 力 や視 野 に異 常 →反 射 的 眼 球 運 動 +検 者 が検 査 方 法 を選 択 してよい ファシリテーター向け注意点 追 視 をうながすとき、指 を患 者 に近 づけすぎると見 えない 垂 直 方 向 の眼 球 運 動 や輻 輳 開 散 運 動 は、評 価 の対 象 としない 人形の目現象 (眼球頭反射) 患 者 の顔 の向 きをすばやく変 えると、顔 の動 いた向 きとは反 対 方 向 に目 が動 き、その結 果 患 者 の目 は同 じ方 を見 つ めつづけるという反 射 (眼 球 頭 反 射 )による現 象 患 者 の目 が閉 じていれば、検 者 の手 で患 者 のまぶたを開 けた状 態 で顔 の向 きを変 えることで検 査 を行 う -反 射 の消 失 した状 態 (つまり、顔 の動 きに眼 球 がついていく)が”人 形 の眼 現 象 ”としばしば誤 解 されている -“人 形 の目 現 象 ”が明 確 に観 察 できるのは、意 識 障 害 があるが反 射 が保 たれている患 者 である。意 識 のある患 者 で 人 形 の目 現 象 を観 察 するのは難 しく、”人 形 の目 現 象 があるのが正 常 ”という表 現 は誤 解 を生 じるかもしれない カロリックテスト 温 度 眼 振 検 査 。耳 の中 に温 水 や冷 水 を入 れると、前 庭 反 射 で水 平 方 向 の眼 振 がおきる (眼 球 頭 反 射 でも眼 球 運 動 がないとき、通 常 の診 察 ではカロリックテストを行 うこともあるが、NIHSS では行 わない) ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 3.視野 対座法で四分視野を検査する 指数を数えさせるか、“視覚的おどかし”を用いる 視覚両側同時刺激をこの時点で行い、消去現象があれば 1 点(項目 11 でも結果を利用) 0= 1= 2= 3= (一例) 検査と評価の解説 検査方法 下 記 の一 連 の検 査 を片 目 ずつ行 う -可 能 ならば、患 者 自 身 に手 で片 目 を隠 してもらってもよいし、検 者 やその補 助 者 が隠 してもよい 視野 指 数 を数 えさせる方 法 、または、“視 覚 的 おどかし”のいずれか適 切 な方 を用 いて、対 座 法 により四 分 視 野 を検 査 する 指 数 を数 えさせる方 法 :四 分 視 野 に検 者 が指 を出 し、その指 の本 数 を数 えさせる -検 者 が指 を動 かしたとき、動 いている指 の方 向 に患 者 の視 線 が向 くならば、その視 野 を正 常 としてよい (患 者 に声 かけを行 うなど励 ましながら検 査 してよい。意 識 障 害 や言 語 の異 常 があっても、2.最 良 の 注 視 で追 視 がみ られた患 者 では、この方 法 で評 価 可 能 と思 われる) “視 覚 的 おどかし”:4方 向 それぞれから、検 者 の指 を患 者 の目 に向 かって急 に近 づけ、瞬 目 の有 無 をみる -目 に風 が入 らないように、まつげに触 れないようにしなければならない(角 膜 反 射 ・睫 毛 反 射 で瞬 目 がおきてしまう) 視覚両側同時刺激 患 者 視 野 の左 と右 に検 者 の指 を出 し、どちらが動 いたかを尋 ねる 片 方 ずつ動 かして正 しく答 えられる場 合 、左 右 を同 時 に動 かして、両 方 とも動 いていると答 えられるかどうかをみる 評価 4分 盲 を含 む明 らかな左 右 非 対 称 があれば 1 点 完 全 半 盲 (同 名 半 盲 など)が 2 点 、皮 質 盲 を含 む両 側 性 半 盲 が 3 点 同 名 半 盲 -どちらの眼 でみても、左 側 (または右 側 )半 分 の視 野 が見 えないこと。片 眼 が全 く見 えないのとは違 う 両 側 性 半 盲 -左 側 半 分 の視 野 が見 えなくなる(左 同 名 半 盲 )は、右 側 大 脳 (主 に後 頭 葉 )の障 害 でおこる。大 脳 が 左 右 とも障 害 されると、左 同 名 半 盲 と右 同 名 半 盲 が同 時 におこることがある(つまり、何 も見 えない)。これが両 側 性 半 盲 視 覚 両 側 同 時 刺 激 で、消 去 現 象 があれば、たとえ対 座 法 によって検 査 した「視 野 」が正 常 であってもこの項 目 (3.視 野 ) を 1 点 と し 、 11 . 無 視 ・ 不 注 意 で も 検 査 結 果 を 利 用 す る 特殊な状態への対応 片 眼 の盲 ・摘 出 →健 側 のみで評 価 全 盲 (原 因 を問 わず)→3 点 その他 、視 覚 両 側 同 時 刺 激 を検 査 できないような視 覚 障 害 や失 語 →この項 目 は、視 野 の検 査 結 果 のみで評 価 する ファシリテーター向け注意点 対座法による視野検査のポイント 指 を出 す位 置 について適 切 にフィードバックすること。患 者 に近 すぎる、中 心 から遠 すぎる 場 合 が多 い 患 者 と検 者 から等 距 離 で、かつ、容 易 に見 える場 所 に指 を出 すこと 指 を患 者 に近 づけすぎると、視 野 が正 常 でも見 えない。患 者 と検 者 から等 距 離 の場 所 に出 した指 を(視 野 が正 常 な) 検 者 自 身 が見 えるならば、(視 野 が正 常 な)患 者 にも見 えるはず というのが対 座 法 の考 え方 4分 視 野 内 で中 心 に近 いところに指 を出 せばよい (周 辺 視 野 で検 査 すると、視 野 が正 常 でも“検 者 の手 は見 えるが、指 の数 は数 えられない”といったことがある) なるべく患 者 の真 正 面 に検 者 の顔 をもってくること 患 者 が坐 位 の場 合 は正 対 し座 って検 査 する。患 者 が臥 位 の場 合 、検 者 の立 ち位 置 はいくつか考 えられるが、患 者 の頭 側 に立 って見 下 ろすと患 者 の真 正 面 で検 査 しやすく、患 者 の左 右 と検 者 の左 右 が一 致 する。検 者 の眉 間 をみつ めさせるなど、患 者 の視 線 を固 定 して検 査 する 視覚消去現象 詳 細 は 、 11 . 無 視 ・ 不 注 意 を 参 照 右 大 脳 の障 害 で左 の刺 激 が消 去 されるのが通 常 (検 者 が両 方 の指 を動 かしても、動 いたのは「右 」と答 える) ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 4.顔面麻痺 歯を見せたり、眉を挙げ、目を閉じたりするよう求める (またはパントマイムで促す) 応じない場合は、刺激に対する渋面の左右差を評価 0 = 正常 1 = 軽度の麻痺(鼻唇溝の平坦化、笑顔の非対称) 2 = 下部顔面の完全麻痺 3 = 上部+下部顔面の麻痺(一側 or 両側) 検査と評価の解説 検査方法 まずは、何 もさせない状 態 での顔 面 を観 察 し、鼻 唇 溝 の平 坦 化 の有 無 を確 認 する 口 頭 指 示 またはパントマイムを用 いて下 記 を指 示 する -歯 を見 せる(≒いわゆる“イー”の口 ) →鼻 唇 溝 や口 角 のゆがみなどを評 価 -目 を開 け眉 を挙 げさせる(≒大 きく目 を開 かせる) →ひたいのしわ寄 せの状 態 を評 価 -目 を閉 じさせる →閉 眼 の可 否 ・左 右 差 を評 価 それでも動 作 が得 られない患 者 では侵 害 刺 激 を加 え、しかめた顔 を評 価 する 評価 ひたいを含 め顔 面 上 部 ・下 部 とも動 かない場 合 に 3 点 をつける (脳 卒 中 による顔 面 麻 痺 で、3 点 がつくことはめったにない) ひたいが左 右 差 なく動 くなら、顔 面 の下 部 の動 きを評 価 する 顔 面 下 部 がまったく(or ほとんど)動 かない→2 点 、それ以 外 の何 らかの左 右 差 →1点 特殊な状態への対応 包 帯 、テープなどは可 能 な限 り取 り除 いて評 価 する ファシリテーター向け注意点 顔 面 麻 痺 の診 察 法 はさまざまにあるが、現 法 にある3つの方 法 の意 義 を解 説 する 前頭筋(ひたいのしわ寄せ)の所見の有無で点数が変わる理由 前 頭 筋 に左 右 差 がみられるかどうかで、顔 面 麻 痺 の原 因 が中 枢 性 か末 梢 性 かを判 断 できる 中 枢 性 顔 面 麻 痺 では、上 部 顔 面 の左 右 差 はみられない -前 頭 筋 は左 右 両 方 の脳 から同 時 に支 配 されており、右 脳 が障 害 されても左 脳 からの指 令 で左 右 とも運 動 が行 える 一 方 、末 梢 性 顔 面 麻 痺 (ベル麻 痺 など)では、前 頭 筋 も含 めた上 部 下 部 ともの左 右 差 がみられる 眼輪筋(閉眼)と口輪筋(“イー”の口)の所見 中 枢 性 顔 面 麻 痺 のときは、口 輪 筋 にはっきりとした麻 痺 がでやすい 眼 輪 筋 の麻 痺 は、中 枢 性 顔 面 麻 痺 でもみられるが、末 梢 性 顔 面 麻 痺 にくらべれば麻 痺 の程 度 は軽 い これは、眼 輪 筋 も部 分 的 に両 方 の脳 から支 配 されているためである まつげ徴候 閉 眼 でごくわずかな麻 痺 を検 出 するためには、両 目 をぎゅっと強 く閉 じさせる 上 まぶたと下 まぶたの間 にまつげが十 分 に隠 れず、もう一 方 よりも長 く見 えれば、麻 痺 があると判 断 する 昏睡のとき、この項目で 3 点をつける理由 昏 睡 で、侵 害 刺 激 に対 する渋 面 もないということは、顔 面 が全 く動 かないということ ゆえに、上 下 とも動 かない=3 点 を選 択 する(原 文 では、片 側 または両 側 の完 全 麻 痺 が 3 点 と定 義 されている) ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 5.上肢の運動 (5a.左上肢 5b.右上肢) てのひらを下に向けた上肢を、90°(座位)または、45°(臥位)で伸ばした位置に合わせたのち、 そのまま保持するよう指示する 非麻痺側より、一側ずつ行う (10 秒間) 0 = その位置で 10 秒間保持できる 1 = ふらふら下がるが、ベッドにはつかない 2 = ふらふら下がり、ベッドにつく 3 = すぐにベッドに落下するが、ベッド上ではわずかでも動く 4 = すぐにベッドに落下し、全く動きがない NIHSS 6.下肢の運動 (6a.左下肢 6b.右下肢) 下肢を 30°の位置に合わせたのち、そのまま保持するよう指示する 非麻痺側より、一側ずつ行う (5 秒間) 0 = その位置で 5 秒間保持できる 1 = ふらふら下がるが、ベッドにはつかない 2 = ふらふら下がり、ベッドにつく 3 = すぐにベッドに落下するが、ベッド上ではわずかでも動く 4 = すぐにベッドに落下し、全く動きがない 検査と評価の解説 5.上 肢 の 運 動 ・ 6.下 肢 の 運 動 共 通 検査方法 非 麻 痺 側 から一 方 ずつ順 に検 査 する(同 時 に検 査 してはならない) 目 を閉 じさせなくてよい 検 者 が手 を添 えて上 肢 (又 は下 肢 )を規 定 の角 度 に合 わせ、そのまま保 持 するよう指 示 する -保 持 できるかどうかをみるのであり、挙 上 できるかどうかは評 価 の対 象 ではない (検 者 が持 ち上 げればよい。患 者 自 身 に挙 上 させてもよいが、検 者 が規 定 の角 度 に合 わせる) -上 肢 の検 査 では、てのひらを下 に向 ける (てのひらを上 に向 けるバレー徴 候 とは異 なる) -上 肢 は、座 位 のとき 90°・臥 位 のとき 45°に挙 上 。下 肢 は、臥 位 で検 査 し 30°に挙 上 検 者 が手 を離 した瞬 間 から、患 者 の目 の前 で指 を折 りながら大 声 でカウントする(DVD) -保 持 させているあいだずっと、視 覚 と聴 覚 の両 方 に刺 激 をしつづける ベッドを打 つように落 下 する場 合 、ベッド上 で上 肢 (下 肢 )を動 かすよう指 示 し、わずかでも動 きがあるかをみる -ベッド上 で動 かすよう促 すときには、患 者 に声 をかけて励 ましてよい 評価 検 者 が手 を離 したとき一 瞬 下 がること(”dip”)はよく見 られる。その後 もふらふら下 がるようなら異 常 と判 断 する(DVD) 全 く下 がらないのが 0 点 ふらふらと下 がる:10(または 5)秒 間 はベッドまで達 しない→1 点 、ベッドまで達 する→2 点 ベッドを打 つようにストンと落 下 する:ベッド上 でわずかでも動 く→3 点 、全 く動 かない→4 点 特殊な状態への対応 切 断 ・関 節 癒 合 →評 価 不 能 (UN) ファシリテーター向け注意点 スコアが細 かく分 かれ、言 葉 だけの説 明 では理 解 が得 られにくい場 合 があり、模 擬 患 者 を上 手 く利 用 する 保持時間のカウント 原 文 には、「失 語 患 者 には声 とパントマイムでしっかりと促 す」とある しかし、DVD では失 語 患 者 に限 らず理 解 力 のある患 者 も含 め指 折 りカウントをしており、本 解 説 は DVD に従 った 失語患者に侵害刺激を行うか 失 語 のある患 者 で肢 位 を保 持 できない場 合 であっても、侵 害 刺 激 をせずに検 査 する -侵 害 刺 激 を行 なったときの渋 面 から評 価 する 4.顔 面 麻 痺 の検 査 とのちがい (脳 卒 中 ガイドライン 2004 の modified NIHSS の解 説 には、「痛 み刺 激 に対 する反 応 から推 定 する」と記 載 されている) ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 7.四肢の運動失調 開眼させ、指-鼻-指試験 と 踵-脛試験 を両側で行う 運動の弱さをふまえても失調があるときのみ加点 (指示を理解できない・麻痺→“失調なし”とする) 0 = なし 1 = 1肢にあり 2 = 2肢にあり 検査と評価の解説 検査方法 どちらの検 査 も開 眼 で、正 常 と考 えられる方 から順 に行 う 失 調 を評 価 するのに十 分 なだけ検 査 を繰 り返 す 下 記 は検 査 方 法 の一 例 (DVD および日 本 神 経 学 会 “神 経 学 的 検 査 チャート作 成 の手 引 き”より) 指 -鼻 -指 試 験 患 者 の人 さし指 で、検 者 の人 さし指 の先 と患 者 自 身 の鼻 のあたまとの間 を往 復 する動 作 を指 示 する(なるべく速 く) 検 者 の指 は、位 置 を随 時 移 動 させる 運 動 の円 滑 さや測 定 の状 況 (正 しく検 者 の指 先 をさわれるか)を観 察 する かかと すね 踵 -脛 試 験 仰 臥 位 、足 関 節 を少 し背 屈 した状 態 で(=つま先 を天 井 方 向 に向 けて)、 踵 (かかと)を反 対 側 の脛 (すね)に沿 ってまっすぐすべらせ、膝 ~足 首 を往 復 する 運 動 の円 滑 さ、足 のゆれや測 定 の状 況 (すねから落 下 しないか)を観 察 する -膝 を数 回 トントンと tap してから脛 をすべらせる方 法 もあるが、DVD では tap は行 っていない 評価 運 動 の弱 さを差 し引 いても失 調 が存 在 すると判 断 できるときのみ、“失 調 あり”とする × 上 下 肢 とも左 側 だけに失 調 があるので 1 点 / 片 側 1 点 ・左 右 両 側 2 点 ではないので注 意 特殊な状態への対応 視 野 の障 害 →見 える範 囲 で検 者 の指 を出 す 盲 目 →上 肢 を伸 展 させてから患 者 自 身 の鼻 をさわらせる方 法 で評 価 指 示 を理 解 できない・麻 痺 ・昏 睡 (1a.=3 点 )→ “0 点 :失 調 なし”とする ファシリテーター向け注意点 失 語 や理 解 力 に乏 しい患 者 でも、初 めに検 者 が患 者 の手 や足 を持 って動 かしてやれば指 示 通 り行 えることはある 指-鼻-指(鼻-指-鼻)試験 と 指-鼻試験 検 者 の指 と患 者 自 身 の鼻 を往 復 するのが“指 -鼻 -指 ”試 験 で、伸 展 位 から鼻 をさわるのを“指 -鼻 試 験 ”と区 別 して いる説 明 もあるが、前 者 のことを指 -鼻 試 験 と呼 ぶことも少 なくない 検 者 の指 を患 者 からなるべく遠 くに出 す方 が感 度 が高 い(わずかな異 常 を、よりみつけやすい) 踵-膝(しょうしつ・かかとひざ)試験 ・ 踵-脛(しょうけい・かかとすね)試験 ひ ざ かかと 日 本 では、膝 踵 試 験 と呼 ばれることが多 いが、原 文 に準 拠 すれば踵 -脛 (かかとすね)試 験 である これらの用 語 で示 される検 査 にはさまざまな方 法 があり、統 一 された明 確 な定 義 はない。踵 -膝 試 験 は”踵 (かかと)を 反 対 側 の膝 に正 確 にのせたのち、脛 (すね)の上 をすべらせる”という説 明 が多 く、踵 -脛 試 験 は膝 の上 に乗 せることには ふれず”脛 (すね)の上 を、膝 から足 首 まですべらせる”という説 明 が多 い。膝 から足 首 に向 けた1方 向 という説 明 もある が、特 に踵 -脛 試 験 と呼 ばれている方 法 では往 復 すると説 明 しているものが多 い 足 底 ではなくかかとですべらせる。足 首 をのばさず背 屈 させて(つま先 を真 上 に向 けるようにさせて)検 査 するのがコツ ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 8.感覚 検査時の針刺激に対する知覚または渋面、あるいは、 侵害刺激に対する逃避反応(昏迷・失語)で評価 必要なだけ多くの部位を検査する (手ではなく前腕、下肢、体幹、顔面) 0 = 正常(痛みを左右差なく感じる) 1 = 一側で針刺激をにぶく感じる or 痛くないが、触られているのはわかる 2 = 触られていることにも気づかない 検査と評価の解説 検査方法 半 側 感 覚 障 害 を正 確 に調 べるのに必 要 なだけ多 くの部 位 (腕 [手 ではなく]、下 肢 、体 幹 、顔 面 )を刺 激 する -ここに挙 げた4つの部 位 で、それぞれ左 右 を刺 激 するのが原 則 -末 梢 神 経 障 害 からおこる感 覚 異 常 は、四 肢 末 梢 (手 首 ・足 首 より先 )に出 やすいので、この部 分 での検 査 はしない 針 刺 激 に対 して、患 者 自 身 がどう感 じたか、または、渋 面 をみる -患 者 の表 情 を見 ながら針 刺 激 を行 い、痛 むかどうか、左 右 差 がないか(、触 っているのはわかるか)を尋 ねる もしくは、意 識 障 害 や失 語 患 者 では侵 害 刺 激 からの逃 避 反 応 をみる(DVD では患 者 の上 肢 をつねっている) 評価 脳 卒 中 による感 覚 障 害 のみを評 価 の対 象 にする 痛 みを左 右 差 なく感 じるのが 0 点 顔 面 ・腕 ・下 肢 で、触 られていることすらわからないのが明 確 に示 せる場 合 にのみ 2 点 -昏 迷 および失 語 の患 者 では、明 らかに完 全 に感 覚 が失 われているとの返 答 が得 にくいので、通 常 1 点 か 0 点 0 点 と 2 点 の中 間 の感 覚 障 害 は1点 (痛 みに左 右 差 、又 は、痛 みはないがさわられているのだけわかる) 特殊な状態への対応 脳 幹 障 害 による両 側 性 (交 代 性 )の感 覚 障 害 ・刺 激 に何 も反 応 がない・四 肢 麻 痺 ・昏 睡 (1a.=3 点 )→2 点 ファシリテーター向け注意点 皮 膚 損 傷 を避 け・感 染 を予 防 するため、針 刺 激 をつまようじや竹 串 で行 うことを推 奨 (日 本 神 経 学 会 “神 経 学 的 検 査 チャート作 成 の手 引 き”より) 模 擬 患 者 ではやむを得 ないが、本 来 は服 の上 からは刺 激 しない 刺激する順番 腕 を左 右 刺 激 して、つぎに下 肢 を左 右 刺 激 して… といった順 番 で刺 激 すると、左 右 差 を確 認 しやすい 一 側 の腕 ・下 肢 ・体 幹 ・顔 面 を刺 激 したのち、もう一 側 の腕 ・下 肢 ・体 幹 ・顔 面 を検 査 する、というような方 法 は、左 右 差 を検 出 するというこの検 査 の目 的 とややずれる 検査中に閉眼すべきか 通 常 、閉 眼 する必 要 はない ただし、コミュニケーションが困 難 な患 者 で、患 者 の反 応 (表 情 や逃 避 )のみで評 価 せざるを得 ない場 合 には、閉 眼 で 行 うことを考 慮 してよいと思 われる 交代性の感覚障害 脳 幹 部 の障 害 では、右 の顔 面 +左 の腕 ・体 幹 ・下 肢 といったように、顔 面 と首 から下 で左 右 にまたがる感 覚 障 害 が生 じる場 合 があり、これを交 代 性 の感 覚 障 害 と呼 ぶ 2 点の定義中の刺激部位 感 覚 を検 査 すべき部 位 として、腕 、下 肢 、体 幹 、顔 面 の4つが挙 げられているが、 8.=2 点 の定 義 は“顔 面 、腕 および下 肢 において、触 られているのもわからない”とあり、体 幹 が入 っていない ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 9.最良の言語 「絵」の中で起こっていることを説明させる 「呼称シート」の物の名前を言わせる 「文章リスト」を読ませる これまでに得た言語理解の情報とあわせて評価 0 = 失語なし 1 = 失語があるのが明らか 2 = 失語があり、コミュニケーション困難 3 = 無言 or 全失語(発語なし・従命不可) 検査と評価の解説 この項 目 は、「患 者 の見 せた初 めの反 応 を評 価 する」原 則 の例 外 である 患 者 に声 をかけて励 ますことはあっても、患 者 に指 導 したり刺 激 を与 えたりしない この項 目 より以 前 の検 査 で言 語 に関 する情 報 は得 られているだろうから、そういった印 象 の確 認 のための検 査 という 意 味 合 いも強 いが、検 査 を行 うことで異 常 がみつかることもよくあるので検 査 を省 略 しないこと 検査方法 必 要 に応 じてめがねをかけさせ、適 切 な時 間 をとること(DVD) 「絵 」(クッキー盗 み食 いの絵 )の中 で起 こっていることを説 明 させる 「呼 称 シート」にある物 の名 前 を挙 げさせる 「文 章 リスト」の文 章 を読 ませる 評価 この項 目 での検 査 の結 果 だけでなく、言 語 理 解 もあわせて評 価 する -言 語 理 解 は、ここでの反 応 だけでなく、ここまでの検 査 でおこなった命 令 すべてに対 する反 応 から判 断 する -構 音 障 害 による言 葉 の不 明 瞭 さは、この項 目 では評 価 の対 象 としない 言 語 理 解 も含 め、言 語 に異 常 が認 められない→0 点 無 言 →3 点 (全 く意 味 のある言 葉 を発 さず、かつ、)1 段 階 命 令 にも従 わない場 合 =全 失 語 →3 点 言 語 に異 常 のある場 合 、コミュニケーションの困 難 さの度 合 いで 1 点 と 2 点 を分 ける -1 点 ・2 点 に含 まれる異 常 は多 種 多 様 であり、どちらと評 価 するかの基 準 は必 ずしもはっきりしていない -「呼 称 シート」手 袋 のイラストを、「手 」と間 違 えるような返 答 は、正 答 とみなしてよい 特殊な状態への対応 視 覚 障 害 (上 記 検 査 ができない)→(1)手 の中 に置 いたものの名 前 を言 わせる (2)文 章 を復 唱 させる (3)話 をさせる 挿 管 された患 者 →書 かせることで代 用 する 昏 睡 (1a.=3 点 )→3 点 ファシリテーター向け注意点 カードを提示する位置 最 良 の反 応 がえられるように環 境 を整 えるべきである 仰 臥 位 での検 査 時 に、視 野 のかなり下 の方 (足 側 )や目 の近 くにカードを提 示 することが多 い 適 度 な距 離 で患 者 の真 正 面 に提 示 する。いかに見 えにくい(見 えやすい)かを試 してもらうのもよい 失語と構音障害 この 9.最 良 の 言 語 では失 語 の有 無 を見 ており、10.構 音 障 害 で見 る不 明 瞭 さとは区 別 して評 価 すべきである しかし、高 度 の失 語 または構 音 障 害 では、両 者 をはっきり区 別 できないこともある (CPSS・KPSS では、両 者 を区 別 せず”言 語 の異 常 “とまとめている) 失 語 がなく構 音 障 害 のみであれば、たとえ何 を言 っているか理 解 できない返 答 であっても、音 節 は保 たれるため予 想 される返 答 と同 じリズムで声 が出 る(例 :みずがこぼれています→いうあー、おうぉえれいわふー) 半側空間無視の検出 下 記 の よ う な 反 応 に 気 付 い た 場 合 、 左 の 半 側 空 間 無 視 を 考 え る 。 こ の 結 果 は 、 11 . 消 去 ・ 不 注 意 で 利 用 す る -「絵 」で、母 親 の説 明 ばかりで子 どもの様 子 に触 れない(子 どものいたずらに気 付 かない) -「呼 称 シート」で、左 半 分 にある物 を見 落 とす (検 者 が指 さした物 の名 前 を聞 く方 法 では、この異 常 を検 出 できないことがある) -「文 章 リスト」を、途 中 から読 み始 めるなど左 半 分 を読 み落 とす ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 10.構音障害 「単語リスト」を読ませるか、復唱させる (重度の失語では、自発語の明瞭さを評価する) 検査の目的を告げてはならない 0 = 正常 1 = 構音障害がある 2 = 理解できないほど不明瞭 or 発語なし 検査と評価の解説 検査方法 「リスト」の単 語 を読 ませ(または復 唱 させ)て、十 分 な発 語 サンプルを得 て評 価 する このとき、検 査 の目 的 を伝 えてはいけない 評価 検 査 を行 なったうえで、構 音 障 害 がないと確 認 できるときに 0 点 をつける 構 音 障 害 がある場 合 、検 者 が理 解 しうるかどうかで 1 点 と 2 点 を分 ける あらゆる反 応 がない患 者 も含 め、発 語 が全 くない場 合 も 2 点 とする 特殊な状態への対応 重 度 の失 語 (「リスト」を読 ませることも復 唱 させることも困 難 )→患 者 の自 発 語 を評 価 挿 管 やその他 の身 体 的 障 壁 があり評 価 できない→検 査 不 能 (UN) ファシリテーター向け注意点 構 音 障 害 は、口 や舌 の運 動 に問 題 があって音 をうまく作 れない状 態 をいい、失 語 とは区 別 する 検 査 の目 的 を伝 えると、患 者 は構 音 障 害 を避 けるためにゆっくり話 すようになり、異 常 がわかりにくくなることがある 失調性の構音障害 特 に小 脳 失 調 に伴 う構 音 障 害 は、発 語 の不 明 瞭 さ以 外 にも特 徴 がある 発 語 が不 規 則 にとぎれる(断 綴 性 言 語 )、抑 揚 がおかしいなどのほか、より重 症 だと声 量 調 節 がうまくいかないので話 し始 めの声 量 が大 きくなる(爆 発 性 言 語 ) 高度の構音障害の患者を軽く評価してしまう傾向 検 者 自 身 は「リスト」の単 語 を見 ながら患 者 の音 読 を聞 くため、リズムさえ合 っていればリストのどの単 語 を読 んでいるか 分 かるので、構 音 障 害 を軽 い方 に評 価 してしまうことが多 い ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf) NIHSS 11.消去・不注意 無視を同定するのに十分な情報はすでにあるだろう(空間無視や病態失認も異常ととらえてよい) 明らかでなければ、皮膚両側同時刺激を行い、視覚・皮膚それぞれの消去現象の有無により評価 0 = 異常なし 1 = 不注意 or 消去(1つの感覚様式) 2 = 著しい半側不注意 or 消去(2つ以上) (自分の手を認識しない or 空間の一側のみに注意を向ける) 検査と評価の解説 (原 文 では具 体 的 な手 順 について指 示 がなく、以 下 は DVD で解 説 されている手 順 にもとづいて説 明 する) 検査方法 無 視 があるのがすでに明 らかならば異 常 として点 をつけてよい(視 空 間 無 視 や病 態 失 認 の存 在 も異 常 ととらえてよい) -9.最 良 の 言 語 の「絵 」で子 どものいたずらに気 付 かない、左 から呼 びかけられたのに右 側 を探 す、など ここまでの検 査 で無 視 が明 らかな場 合 以 外 は、皮 膚 同 時 刺 激 による消 去 現 象 の検 査 を行 なう 皮膚両側同時刺激 閉 眼 して実 施 する。患 者 の顔 面 や上 肢 の左 右 に触 れて、どちらに触 れたかを尋 ねる 片 方 ずつ触 って正 しく答 えられる場 合 に、左 右 を同 時 に触 れて両 方 に触 れたと答 えられるかどうかをみる 評価 下 記 のような所 見 が明 らかなときにのみ異 常 と評 価 する(患 者 が昏 睡 (1a.=3 点 )の場 合 は例 外 ) 無視 患 者 が自 分 の手 を認 識 できない、または、一 側 にのみしか注 意 が向 かないといった著 しい症 状 は 2 点 半 側 空 間 無 視 がみられるが注 意 を促 すと無 視 側 に気 付 くことができる などその他 の無 視 が明 らかな場 合 は 1 点 消去現象 消 去 現 象 は、視 覚 両 側 同 時 刺 激 (3.視 野 で実 施 済 )と、触 覚 両 側 同 時 刺 激 の2つの検 査 結 果 を用 いる 視 覚 ・触 角 の2つの同 時 刺 激 で、消 去 現 象 が、無 かったか、1つあったか、両 方 にあったかで評 価 する 特殊な状態への対応 両 側 同 時 刺 激 を検 査 できないような失 語 →両 側 に注 意 が向 いていれば(=無 視 が明 らかでなければ)0 点 視 覚 両 側 同 時 刺 激 を検 査 できないような視 覚 異 常 →皮 膚 刺 激 が正 常 なら、0 点 昏 睡 (1a.=3 点 )→2 点 その他 の理 由 で異 常 の存 在 をみいだせない場 合 →0 点 ファシリテーター向け注意点 半側空間無視に対する検査 (参考) 下 記 のような簡 易 な検 査 の例 があるが、半 側 空 間 無 視 をみることを目 的 とした検 査 を行 なうことは求 められていない (原 文 で“無 視 についてここまでの検 査 で十 分 な情 報 が得 られている”と説 明 されている) -線 分 二 等 分 試 験 横 線 の真 ん中 に印 をつけさせると右 寄 りになる(簡 易 には、聴 診 器 の管 の真 ん中 をつまませる) -抹 消 試 験 様 々な向 きの線 が複 数 書 かれた紙 で、全 ての線 の中 央 に印 をつけさせると左 が残 る 半側空間無視と半盲の違い 半 側 空 間 無 視 は本 人 に“見 えない”という認 識 がない(気 付 かない) 一 方 、半 盲 は見 えないという認 識 が患 者 本 人 にあるために、見 えないところを健 常 な視 野 で見 ようとすることもある ただし、コミュニケーションが困 難 で本 人 がどう認 識 しているのか確 認 できない患 者 では、判 別 が困 難 なこともある 病態失認 典 型 的 には、右 大 脳 の障 害 で左 片 麻 痺 があることに患 者 自 身 が気 付 かない(麻 痺 しているのに「歩 ける」という) 項目 11 で扱う所見を理解するための補足 (注意障害・無視・消去現象) 半 側 空 間 無 視 や消 去 現 象 、半 側 身 体 失 認 に共 通 する背 景 として、(選 択 的 )注 意 障 害 を挙 げる研 究 者 は多 い。 注 意 障 害 とは、周 囲 や自 己 身 体 に注 意 を向 けることの障 害 で、全 般 性 注 意 障 害 と選 択 的 注 意 障 害 に分 類 できる。 (全 般 性 注 意 障 害 とは、集 中 することが困 難 でほかの刺 激 に注 意 を奪 われる、また注 意 が長 続 きしない状 態 をいう) 半 側 空 間 無 視 は空 間 の(左 )半 分 に注 意 が向 かない状 態 =選 択 的 注 意 障 害 の一 つであると考 えることができる。ま た、視 覚 消 去 現 象 は半 側 空 間 無 視 の軽 症 例 と理 解 することができ、さらに病 態 失 認 をふくむ半 側 身 体 失 認 も同 様 に 半 側 空 間 無 視 と密 接 に関 係 した症 状 であると考 えることができる。 ただし、半 側 空 間 無 視 があるのに消 去 現 象 を認 めない症 例 があることなど、異 論 もあり、これらの症 状 の関 係 性 に明 確 なコンセンサスが得 られているわけではない(武 田 克 彦 :ベッドサイドの神 経 心 理 学 などより) 各感覚様式における不注意の数による評価 (発展的内容) DVD では上 記 の手 順 で検 査 を行 なっているが、原 文 のルールを逸 脱 しない範 囲 でその他 検 者 が選 択 したあらゆる検 査 の結 果 で評 価 する余 地 は残 されている。DVD で解 説 されている手 順 は、客 観 性 や再 現 性 を重 視 したものであろう 視 覚 、触 覚 、聴 覚 、空 間 、自 己 身 体 のうち、1つの感 覚 様 式 で不 注 意 があるもの→1 点 、2 つ以 上 →2 点 ISLS/PSLS コース [脳卒中スケール]ファシリテーター向け解説 100130 (isls_b_1_reference_100130.pdf)
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