Vol.6 No.1「AHCCとアンチセンスRNA」

AHCC6-1_表紙.pdf 09.3.23 11:23:13 AM
C
M
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CM
MY
CY
CMY
K
2009 Winter Vol.6 No.1
目
次
年頭のごあいさつ
AHCC研究会 幹事(大阪大学大学院医学系研究科 生体機能補完医学講座 教授)
伊藤
壽記
AHCC研究会 2009年の活動
3
3
寄稿 AHCCとアンチセンスRNA
立命館大学 生命科学部 生命医科学科 教授 西澤
幹雄
4
展示会参加報告
7
■ Natural Products EXPO EAST
■ 第 回 食と健康に関する新潟国際シンポジウム
( th International Niigata Symposium[INS])
■ ISNFF(International Society of Nutraceutical and Functional Foods)
■ 食品開発展2008
■ サッポロ・ヘルス&ビューティーフェア2008
■ 全国バイオビジネスマッチング in 札幌
最近の論文・学会発表から
8
■ 編集後記
8
表 紙 の 写 真 解 説
第
回AHCC研究会 研究報告会(95年
月)
AHCCに関する初の医学書
『AHCC
(
の )
基 礎 と 臨 床 』
担子菌培養
抽出物
B5版 本文271頁 上製本
定価:3,990円(税込)
発行元
■監修:細川眞澄男
北海道大学名誉教授
北海道医療大学教授
■編集:山﨑 正利
帝京大学薬学部教授
上山 泰男
関西医科大学外科教授
※ご所属・お役職は初版発行時のものです。
株式会社ライフ・サイエンス
(医学専門出版社)
〒150‒0001 東京都渋谷区神宮前5‒53‒67 コスモス青山
TEL 03(3407)8963(代)
FAX 03
(3407)8938
2009 Winter
Vol.6 No.1
AHCC研究会 幹事 伊藤 壽記
(大阪大学大学院医学系研究科 生体機能補完医学講座 教授)
年頭のごあいさつ
手の台頭、またサイエンスの分野
求める補完医療が加わり注目され
でもノーベル賞複数受賞の快挙と
る よ う に な り ま し た。 そ こ で、
いった日本人の活躍などなど、良
CAMが通常の医療の仲間入りを
きも悪しきも変化の多かった一年
するためには、EBMすなわちエ
でした。
ビデンスに基づいた医療の学問体
そうした躍動する時代の流れを
系が必要とされたわけです。こう
受けて、2009年を迎えました。今
した流れは、数年前から、さらに
年の干支は丑です。そうした変化
加速され、全人的な立場で患者さ
を
“牛歩”の意味とは異なりますが、
んを診ようとする統合医療へと発
“牛”
本来が持つところのゆったり
展しようとしております。統合医
としたスタンスで、ゆとりを持っ
療は、漢方の考え方に“心身一如
て受け止めて確実に前進して行き
(しんしんいちにょ)”という言葉
新しい年を迎え、皆様にはつつ
たいものです。
がありますように、身体症状だけ
がなくお過ごしのこととお慶び申
AHCC国際研究報告会も、はや
ではなく、こころのケアも含めた
し上げます。
16回を数え、内容も随分と充実し
トータルなアプローチであり、理
昨年、特に後半は何かと暗い
てまいりました。さらに、昨年は
想的な医療体系と言えるでしょう。
ニュースがあったように思います。
メタボ元年にふさわしく、メタボ
こうした医療の出現は、体を部分
そして、その年の世相を象徴する
に対して期待が寄せられるオリゴ
部分で診ようとする西洋医学の欠
ノールに関する第
点をまさに指摘するものです。
「今年の漢字」として、
「変」
に決ま
回の研究会が
り、京都清水寺の奥の院舞台で
発足致しました。今後の両研究会
古いことわざに「鶏口となるも
森 清範貫首により大きな和紙に
の益々の発展が期待されます。
牛後となるなかれ」というものが
「 変 」の 一 字 が 揮 毫 さ れ ま し た。
さて、われわれの教室は今年が
ありますが、鶏口で満足すること
“Change
( 変革)
”を訴えて、米国
開講後
年目となります。補完(代
なく、是非とも医療の王道として
次 期 大 統 領 に 選 ば れ たBarack
替)医療(CAM)をキーワードに臨
の統合医療─牛口を目指すべきだ
Obama氏、短期間で辞任した福
床試験を通じてエビデンスを追求
と思います。
田康夫前首相、株価暴落や円高ド
しております。いわゆるCAMは
最後に、今年一年が皆様にとり
ル安の経済の変化、世界的な気象
1990年のハーバード大学の調査に
まして、平穏でかつ充実した年と
異変による深刻な地球温暖化、食
端を発し、代替医療という概念が
なりますことをお祈りいたしまし
の安全性に対する意識の変化、ス
生まれ、2000年に入り、現行の医
て、新年のご挨拶とさせていただ
ポーツでは北京オリンピックで若
療にプラスしてより良いQOLを
きます。
AHCC研究会 2009年の活動
本年もAHCC研究会では、
月
深いデータ、症例をお持ちで発表
国際研究報告会の詳細につきま
25日(土)
、26日
(日)
の両日、第17
をご希望の方は事務局まで情報を
しては次号の本誌上で発表する予
回AHCC研究会国際研究報告会を
お寄せ下さい。
定です。また、会員の皆様には
例年通りホテルロイトン札幌にて
NEWS LETTERも年
号の発
月頃から事務局より参加申込のご
株式会社アミノアップ化学の後援
行を予定しています。また、幹事
案内を差し上げますので、今しば
により開催の予定です。
会は
らくお待ち下さい。
一般からの演題の公募は行わな
い予定ですが、会員の皆様で興味
月に予定されており、2008
年の活動状況報告と2009年の事業
計画が話し合われます。
̶3̶
AHCCとアンチセンスRNA
寄稿 AHCCとアンチセンスRNA
西澤 幹雄
立命館大学 生命科学部
生命医科学科 教授
機能性食品AHCCと炎症・感染との
間に密接な関係があることが、私たち
の研究から明らかになった。とりわけ、
肝臓の障害に関係する誘導型一酸化窒
素合成酵素の量の調節に、アンチセン
ス転写物とよばれるRNAが主役として
働いていることがわかり、この調節機
構にAHCCが深く関与することが予想
されている。
.はじめに
AHCC
(Active Hexose Correlated
Compound)は担子菌の菌糸体を長
期培養して得られる抽出物である。
多糖類が主成分であるが、アガリク
ス(ヒメマツタケ)
に多く含まれ、免
疫力を増強するのではないかといわ
れているβ-グルカンをほとんど含
まない。関西医科大学外科による10
年間におよぶコホート研究により、
肝細胞癌の手術後にAHCCを飲むと、
癌の再発が抑えられて生存率が上昇
することがわかった1)。健常人にお
いても、AHCC摂取は抗腫瘍免疫に
関 与 す る 樹 状 細 胞 を 増 や す 2)。
AHCCは、ヒトでの研究を行った科
学的エビデンスを持つ初めての機能
性食品である。
細菌やウイルスの感染が起こると、
化学反応性の高い一酸化窒素(nitric
oxide, NO)
が出て、殺菌作用や抗ウ
イルス作用を示す(図 )。ところが
肝臓の炎症、傷害、癌では、NOが
過剰に出て症状を悪化させる。刺激
された肝細胞やマクロファージ(肝
臓ではクッパー細胞に相当)で誘導
型 NO 合 成 酵 素 で あ る inducible
nitric oxide synthase(iNOS)が誘導
され、多量のNOを産生する。もし
NOの量を減らすことができれば、
NOが関わる多くの病気において炎
症、障害を抑えることができるはず
である。
.AHCCが一酸化窒素を減らすメ
カニズム なぜAHCCが肝臓の機能を改善さ
せ、抗癌作用を示すかは長い間、不
明であった。私たちはAHCCの作用
にiNOSが関わっているのではない
かと予想し、研究を続けてきた。
イ ン タ ー ロ イ キ ン1β(IL-1β;
サ イ ト カ イ ン の 一 種 )で 刺 激 さ れ
たラット肝細胞ではiNOSが誘導さ
れ、多量のNOを産生する。図 に
示 し た よ う に、AHCC を 加 え る
と、iNOS のメッセンジャーRNA
(mRNA)が分解してNO量が減少す
る こ と を 発 見 し た 3)。AHCC は
iNOS mRNAの発現をある程度は抑
えるが、iNOS mRNA(とくにその3’
非翻訳領域とよばれる部分)を介し
て作用していることを見出した。こ
れらの結果に関する発表はアメリカ
経 腸 栄 養 学 会 の2007年 総 会
(A.S.P.E.N. Clinical Nutrition Week
2007)に お い て 高 い 評 価 を 受 け、
Promising Investigator Awardと
Abstract of Distinction Awardを受
賞した4)。
一方、培養肝細胞での
遺伝
子の発現を詳しく調べてみると、遺
伝子のセンス鎖が転写された
mRNAだけでなく、アンチセンス
鎖が転写されて「アンチセンス転写
物」(3’非翻訳領域に対応するアン
チセンスRNA)が合成されているこ
とを発見した(図 )5)。そこで急性
肝不全を起こしたラット(劇症肝炎
と似た肝障害の症状を示す)の肝臓
を 調 べ て み る と、
遺伝子の
図 肝臓での一酸化窒素(NO)の合成
ウイルスの感染により、体内でインターフェロンγ(IFNγ)などのサイトカインが産生さ
れ、クッパー細胞(肝臓内のマクロファージ)を刺激すると、細胞内でiNOSが誘導されて
NOが産生される。細菌が感染した場合には、細菌エンドトキシン(内毒素、LPS)により
肝細胞(肝実質細胞)が刺激されてNOが産生される。クッパー細胞の産生するIL-1β、
IFNγや腫瘍壊死因子α(TNFα)によっても肝細胞は刺激されて、NOを産生する。NOは
抗ウイルス作用と殺菌作用を示すが(点線)、過剰に生成された場合には有害で、組織障害
や炎症の原因となる。
■西澤幹雄(にしざわ・みきお)
:立命館大学生命科学部生命医科学科教授。1983年富山医科薬科大学(現 富山大学)医学部卒業。1987年東北大学大学院医
学系研究科博士課程修了、医学博士取得。同年同大学医学部医化学第一助手。同年大阪バイオサイエンス研究所特別研究員。1989年同研究所研究員。
1992年アレクサンダー・フォン・フンボルト財団客員研究員(ハンブルク大学)。1993年ジュネーブ大学理学部分子生物学・生物化学博士研究員。1995年
関西医科大学医化学教室助手。1997年同大学講師。2007年立命館大学理工学部化学生物工学科教授。2008年より現職。
̶4̶
AHCCとアンチセンスRNA
相 互 作 用 を 阻 害 す る こ と に よ り、
iNOS mRNAを分解していることが
考えられた(図 )。AHCCはアンチ
センス転写物と深い関係を持ってお
り、iNOS mRNAを調節して抗炎症
作用をもたらし、肝臓を保護してい
ると予想された。
3.AHCCを薬に応用する
AHCCには多糖類が多いといって
も混合物である。そこでAHCCから
多 糖 類 を 精 製 し て、 肝 細 胞 で の
遺伝子の発現を調べたところ、
AHCCと同様に、
遺伝子の発
現を抑制してiNOSのmRNAとアン
チセンス転写物の量を減少させた
図 AHCCによるNO合成の抑制
(論文作成中)。もしAHCCの活性分
初代培養ラット肝細胞の培地中のNO量
(NO₂-)
をGriess法で測定した。IL-1β(1 nM)を
培地に添加した場合( )
と、IL-1βとAHCC(8 mg/ml)
をともに添加した場合( )のNO
子の構造を特定することができれば、
量を示す。IL-1βによりNO産生が増加するが、AHCCにより顕著に減少していることが
機能性食品ではなく、薬として用い
わかる。
ることも可能となる。NOが関係す
mRNAとともにアンチセンス転写
とを示す。以上の結果から私たちは、 る病気は非常に多く、癌や急性感染
症・敗血症のほか、慢性関節リウマ
物を検出した6-8)。刺激したマクロ
iNOSア ン チ セ ン ス 転 写 物 がiNOS
チなどの慢性炎症性疾患、気管支喘
ファージでもiNOSのアンチセンス
mRNAと相互作用することにより、
息やアトピー性皮膚炎などのアレル
転写物が検出され9)、さまざまな薬
iNOS mRNAを安定化していると結
ギー疾患がある。これらの疾患のほ
剤を投与した場合にもiNOSのアン
論づけた(図 )。この「アンチセン
10-12)
とんどで「サイトカイン」(インター
チセンス転写物の量が変化した
。
ス 転 写 物 を 介 す る 転 写 後 調 節 」は
ロイキンやケモカインなど、細胞間
アンチセンス転写物とは、タンパ
まったく新しいメカニズムである。
でシグナルの伝達を行うタンパク質
ク質をコードするセンス鎖(mRNA
iNOS mRNA に対するセンスオ
の総称)の生成量の異常が見られる。
側)の相補鎖、すなわちアンチセン
リゴは
遺伝子の発現を抑制す
AHCCの活性分子が特定できれば、
ス鎖と同じ配列を持っているRNA
るものであり、AHCCの効果とよく
アンチセンス転写物を介する転写後
のことで、
「アンチセンスRNA」と
似 て い る。 し た が っ てAHCCは、
調節機構を標的とする、新たなメカ
呼ばれることも多い。最近の研究に
mRNAとアンチセンス転写物間の
よ り ゲ ノ ムDNAの い た る 場 所 で、
かなり多くのアンチセンス転写物が
生成されていることがわかった13-14).
iNOSのアンチセンス転写物は、話
題になっている「ノンコーディング
RNA」
(タンパク質をコードしない
RNA)
の一種でもある。
アンチセンス転写物の機能を調べ
るために、アンチセンス転写物を過
剰 に 発 現 さ せ て み る と、iNOS
mRNA が 安 定 化 さ れ た5)。 逆 に、
iNOS mRNA に対する
「センスオリ
ゴヌクレオチド」
(mRNAと同じ配
列を持つ短いDNA、以下センスオ
リゴと略す)を肝細胞に導入してみ
ると、アンチセンス転写物の量は変
図 遺伝子から合成されるmRNAとアンチセンス転写物
わらずに、iNOS mRNAのみが有意
ラット
遺伝子は27個のエキソンから構成されており、これらのエキソンからスプラ
5)
に減少した 。これはセンスオリゴ
イシングを受けてmRNAが転写される。エキソン27にはストップコドンの後に3’非翻訳領
域
(3’
UTR)が含まれる。mRNAは遺伝子のセンス鎖と同じ配列を持ち、iNOSタンパク質
が、iNOS mRNAとアンチセンス転
に翻訳される。裏側からはアンチセンス転写物が転写される。アンチセンス転写物はエキ
写物との相互作用
(結合)
を阻害する
ソン27のアンチセンス鎖(AS鎖)と同一の配列を持っているが、タンパク質をコードして
ことにより、mRNAが分解したこ
おらず、翻訳されない。
̶5̶
AHCCとアンチセンスRNA
図 iNOS mRNAに対するAHCCの作用(モデル)
(左)iNOSのmRNA
( )とアンチセンス転写物( )がともに存在するとき、mRNAとアンチセンス転写物の間に
RNA間相互作用が働き、HuRなどのタンパク質(図中では略)もRNAに結合して、mRNAは安定である。
(右)AHCC 存在下では、AHCC はRNA間に割ってはいる形となり、iNOS mRNAは不安定となり、分解する。
ニズムに基づく薬となる可能性が高
い。
4.AHCCはサイトカインの量も調
節する 私たちは、AHCCから精製した多
糖類を添加してmRNAのマイクロ
アレイ解析を行ったところ、AHCC
がiNOSのみでなく、多くのサイト
カインのmRNA量も変化させてい
ることを発見した
(論文作成中)
。ま
た、iNOS以外のサイトカイン遺伝
子においてもアンチセンス転写物を
検出した
(未発表データ)
。したがっ
てAHCCは、アンチセンス転写物を
介する転写後調節機構を使ってサイ
ト カ イ ン のmRNA量 を 調 節 し て、
免疫系のバランスをとっているのか
もしれない。
第18回アンチセンスシンポジウム
(岐阜市、2008年11月)
では、急性肝
不全ラットでも、iNOSアンチセン
ス転写物が発現しており、iNOSや
サイトカイン遺伝子のアンチセンス
転写物が創薬のターゲットになりう
ること7),8)を発表した。この発表は
日本最大のバイオ系ポータルサイト
であるバイオテクノロジージャパン
の記事にも取り上げられ、大きな反
響があった15)。
5.これからの展望
私たちはアンチセンス転写物を介
する転写後調節という、まったく新
しい機構を世界で初めて発見した。
そして機能性食品AHCCが単に効く
というレベルにとどまらせず、その
抗癌作用や抗炎症作用を分子生物学
的 に 明 ら か に し て き た。 や っ と
遺伝子に与える影響が明らか
になってきたが、現在、AHCCの活
性分子の特定を行っているところで
あ る。AHCCに よ る サ イ ト カ イ ン
mRNAの調節機構も解明できれば、
AHCCの活性分子を薬として用いる
ことも可能になるであろう。NOや
サイトカインがかかわる多くの病気
に苦しむ人々を救うことができる日
は遠くないと信じる。
■謝辞
本研究は私の前任の関西医科大学
で外科の上山泰男教授(現 名誉教
授)の協力のもと、医化学の奥村忠
芳准教授(現 立命館大学客員教授)
と一緒に始め、今まで続けてきたも
のである。上山教授、奥村教授をは
じめとする共同研究者や多くの大学
院生の協力があったからこそ進んで
きた研究成果であることを記し、深
謝いたします。
■参考文献
1) Matsui Y,
37:78-86.
2) Terakawa N,
̶6̶
(2002)
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5) Matsui K,
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10) Yoshida H,
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18:105-112.
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12) Habara K,
(2008)
18:19-27.
13) Cheng J,
(2005)
308, 1149-1154.
14) Katayama S,
(2005)
309, 1564-1566.
15) Biotechnology Japan. (2008)
「立命館大学、急性肝不全モデルラッ
ト の 体 内 でiNOSの ア ン チ セ ン ス
mRNA発現を確認、新たな創薬標
的 に 」日 経BP社.
http://biotech.
nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?
newsid=SPC2008111860113.
展示会参加報告
展示会参加報告
■Natural Products EXPO EAST
去る2008年10月15日∼18日、Natural Products EXPO
EASTがボストン・コンベンション&エキシビション・
センター(USA)にて行われた。本会は自然・健康食品
を中心とした展示会で、 日に 万5,000人もの来場者
があり、1,000以上の出展社がある中、米国での販売代
理店であるメイプロ・インダストリー社によるAHCC、
Oligonolの展示も行われ、
「エビデンス」
「安全性」「信
頼性」がアピールされていた。その他にも機能性食品素
材に関するセミナーなども多数開催され、多くの来場者
を集めていた。
■第 回 食と健康に関する新潟国際シンポジウム
( th International Niigata Symposium [INS])
今回で 回目となる“食と花の世界フォーラムにいが
た”の中の一つのフォーラムとして開催。これまでは米
に関するシンポジウムなど、一般向けの催しのみだった
が、今回初めて学術会議を開催。帝京大学薬学部教授で
本研究会の副会長でもある山 正利先生によるランチョ
ン セ ミ ナ ー が 行 わ れ た。 約140名 の 来 場 者 が あ り、
AHCC、Oligonol、シソの葉エキスに関する機能性を紹
介する内容で、ランチョンセミナーながら、多数の質問
が寄せられ、素材に対する関心の高さが伺われた。また、
昨年のKosuna Distinguished Lectureで講師を務められ
たBharat Aggarwal先生
(テキサス大学 MDアンダーソ
ンがんセンター)もクルクミンの機能性に関して発表さ
れた他、昨年の本会報告会、
「機能性ポリフェノール研
究会」で座長を務められたYoung-Joon Surh先生
(ソウル
国立大学)もPhytochemicalに関する講演を行った。
Oligonolについては、株式会社アミノアップ化学の研
究員 張暁紅氏による
「Oligonol normalizes insulin signaling inhibited by high level Glucose in human endothelial cells evidence for a role of oligonol in oxidative
stress-mediated insulin resistance」
という演題でのポス
ター発表が行われた。全体的に発表のレベルが高く、食
品成分が遺伝子発現などに作用しうることが一般的に認
知され、その遺伝子レベルでの作用機序を解明する研究
が中心の話題となっていた。
■ISNFF(International Society of Nutraceutical and
Functional Foods)
ISNFFとしての第 回の国際会議が2008年11月14日
から17日の 日間にわたって台湾で行われた。
本会は、2006年まで開催され
ながら一時休止になり、昨年よ
り再開したWorld Nutraで中心
だ っ た Dr. Shahidi
(Canada)が
オーガナイザーとなって開催さ
れた。また、本会では学術論文
雑誌
「Journal of Functional
Foods」も刊行しており、機能
性食品に関する研究成果を紹介
している。
今回、北海道情報大学の西平
順先生がOligonolによる内臓脂
ISNFFで発表される西平
肪低減に関する臨床試験につい
順教授(北海道情報大学)
て、アディポネクチン、SNPs解析、インスリン抵抗性
改善のデータを交えて発表を行った。
今後も、機能性食品素材を科学的に議論する場として
活発な活動が期待される会で、科学的な議論のみならず、
国際的な機能性食品のレギュレーションについても話題
を取り上げるなど、情報収集の場としても有意義なもの
になっていた。
■食品開発展2008
2008年10月15日∼17日(東京ビックサイト)
食品開発展のアミノアップ化学のブース。前回に引き続きオリゴ
ノールを大きく取り上げていた。今回は特に血流改善効果に関す
る関心が高かったようだ。
■サッポロ・ヘルス&ビューティーフェア2008
2008年10月25日、26日 の 両 日、 サ ッ ポ ロ・ ヘ ル ス&
ビューティーフェア2008がアクセス札幌(札幌市)にて催
された。今回で 回目となる本展示会は、札幌で開催さ
れる機能性食品関連の展示会としては最大規模、両日で
約18,000人の来場者があった。経済産業省北海道経済産
業局による北海道産ヘルス&ビューティーゾーンに株式
会社アミノアップ化学も出展しており、北海道内の健康・
美容関連企業と並んで、Oligonolを紹介した。「セルフ
メディケーション」をテーマに、サプリメントや化粧品
のサンプル配付、製品関連情報の展示、著名人によるセ
ミナーや体験教室の開催、体力測定、健康相談など、多
彩な催しが繰り広げられた。
■全国バイオビジネスマッチング in 札幌
機能性食品・化粧品関連素材・商品の「宝庫」である北
海道に、全国から‘売りたい’‘買いたい’企業が集結す
る「B to B マッチング商談会」が、2008年 月 日、
日の 日間で札幌コンベンションセンター(札幌市)
にて
行われた。
ますます拡大する機能性食品・化粧品ビジネスにおい
て、地域特有の資源の活用や独創的な技術により差別化
されたバイオ関連製品の開発、ビジネス展開、販路拡大
を促進するために開催されたもので、参加企業による
ブース展示の他、ビジネスフォーラムやマーケティング
セミナーなども行われた。株式会社アミノアップ化学の
ブースではOligonolが紹介された。
̶7̶
最近の論文・学会発表から
最近の論文・学会発表から
■最近の論文・学会で発表された本会に関連のある研究テーマをお知らせいたします。
論文発表
■Nutrition Reviews, 66(9):526-531(2008)
「Supplementation with active hexose correlated compound
increases survival following infectious challenge in mice」
「Acute, subchronic and genotoxicity studies conducted
with Oligonol, an oligomerized polyphenol formulated from
lychee and green tea extracts」
Bernadene A. Magnuson, Ashley Roberts
Barry W. Ritz
(Drexel University)
■日本補完代替医療学会誌,
5(3):163-171(2008)
「新世代ポリフェノール“Oligonol(オリゴノール)”の機能」
三浦健人、北舘健太郎
(株式会社アミノアップ化学)
■Food and Chemical
3553-3562(2008)
Toxicology,
46:
.
(Cantox Health Sciences International)
■Journal of Functional Foods, 1:98-108
(2009)
「Oligonol, a lychee fruit-derived low molecular weight
polyphenol formulation, inhibits UVB-induced cyclooxygenase-2 expression, and induces NAD(P)H:quinone
oxidoreductase-1 expression in hairless mouse skin」
Joydeb Kumar Kundu, Young-Joon Surh
.
(Seoul National University)
学会発表
■5th International Conference Biology,
Chemistry and Therapeutic Applications of
Nitric Oxide
(ブレゲンツ、オーストリア)
2008年8月24日(日)∼28日(木)
「AHCC inhibits the induction of iNOS gene expression in
proinflammatory cytokine-stimulated hepatocytes.」
Mikio Nishizawa
.
(Ritsumeikan University)
「Insulin-like growth factor-I prevents liver injury through the
inhibition of inflammatory cytokine and iNOS induction in a
rat model of acute liver failure.」
Tadayoshi Okumura
.
(Ritsumeikan University)
■第20回 腎とフリーラジカル研究会(豊中、日本)
2008年9月20日
(土)
「Diverse effect of Oligonol a oligomeric polyphenol on
oxidative stress in Human」
青柳一正 ら
(つくば技術大学東西医学統合医療センター)
■第67回 日本癌学会学術総会
(名古屋、日本)
2008年10月28日(火)∼30日(木)
「Alleviating effect of AHCC for multiple anticancer druginduced side effects」
西岡 浩、若命浩二
(株式会社アミノアップ化学)
■第15回 日本未病システム学会学術総会
(東京、日本)
2008年11月1日
(土)∼2日
(日)
「ライチ果実由来ポリフェノールによるLDLの酸化抑制に関
する検討」
近藤和雄 ら
(お茶の水大学環境教育研究センター)
■第11回 日本補完代替医療学会学術集会
(横浜、日本)
2008年11月8日
(土)∼9日
(日)
「低分子化ライチポリフェノールの末梢循環に与える影響」
北舘健太郎、青柳一正
(株式会社アミノアップ化学、
筑波技術大学東西医学統合医療センター)
■第31回 日本血栓止血学会学術集会(大阪、日本)
2008年11月20日
(木)∼22日
(土)
「生活習慣病における血栓準備状態の病態解析:PAI-1と酸
化ストレスの関係」
■ 編
集
後
記 ■
新年あけましておめでとうございます。
2009年を迎え、本誌もVol.6を数えました。これまで数多くの先生
方にご寄稿をいただきながら、なんとか年4回の発行を続けることが
できました。ひとえに、ご寄稿くださいました先生方並びに編集・発
行にご協力いただいたライフ・サイエンスの皆様のお力添えがあって
こそと思います。
本年も誌面の充実を図っていく所存ですので、会員の皆様におかれ
ましては、奮ってご寄稿くださいますようお願い申し上げます。
(事務局運営委員 三浦 健人)
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藤井 聡 ら
(名古屋大学大学院)
AHCC研究会NEWS LETTER
2009 Winter Vol.6 No.1
2009年1月26日発行
発行:AHCC研究会事務局
〒004‒0839札幌市清田区真栄
363番地32ハイテクヒル真栄
株式会社アミノアップ化学 内
TEL :011‒889‒2233
FAX:011‒889‒2375
E‒mail:[email protected]
制作: 株式会社ライフ・サイエンス
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