ダイオキシン類汚染土壌から分離された微生物の特徴

5
1
静岡理工科大学紀要
ダイオキシン類汚染土壌から分離された微生物の特徴について
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惣田呈夫へ今井絵理奈州、古市徹*枇
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0ppm3CI-DDp
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emedium.
1
. はじめに
本研究では、厚木飛行場周辺の焼却施設から排出されたダ
ダイオキシン類は、ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン
イオキシン類により汚染された土壌のバイオレメディエ
(
P
C
D
D
) とポリ塩化ジベンゾフラン (
P
C
D
F
) に加え、コプ
ーションの実験を行い、ダイオキシン類が減少しているラ
ラナーポリ塩化ビフェニノレ (Co-PCBs) の三種類の化合物
イシメータ -2)から、ダイオキシン分解薗の分離を試みた。
の総称である。異性体が多く、そのうち毒性のあるものは
リグニン分解菌はダイオキシン類を分解 3,
4,
5,
ω
するという
PCDDでは 7
5種類中 7種類、 PCDFは 1
3
5種類中 1
0種類、
報告があることから、分離した薗がリグニンと三塩素化ダ
PCB209種類中 Co-PCBは 1
3種類とされている。最も毒性の
イ オ キ シ ン で あ る 3,7-threechlor
吋 i
benzo-p-Dioxin
強し、異性体は、 2,
3,
7,
8-TCDDである。ダイオキシン類は、
(
3
C
l
D
D
)の分解の特徴を調べた。また分離した分離菌の薗
量的に少ない量で急性毒性を示し、長期摂取により発ガン、
種の同定も行った。
成長抑制、生殖毒性などの慢性毒性も示す特異的な化学物
質 1)である。
2 実験方法
ダイオキシン類の主な発生源は、有機塩素系農薬等の製
2
.
1 ダイオキシン分解菌の分離と培養条件
造過程や、塩素漂白や塩素殺菌の過程、廃棄物の焼却燃焼
厚木飛行場周辺のダイオキシン汚染土壌を用いバイオ
過程、過去に生産された化学物質である。中でもゴミ焼却
レメディエーションの実験を行いダイオキシン類の減少
による発生が多いとされ、現在では排出抑制基準が設けら
が認められた土壌 19を生理食塩水 9mlに溶かし、その上
れ発生量は減少し大気中のダイオキシン濃度は低くなっ
清 1mlをリグニン培地 20mlの入った 50mlの遠沈管に入
ているが、解体された焼却場の適正な処理が行われなかっ
れ、室温で 1週間、 150rpmで援とう培養した。 1週間後、
たこと等により、これらのダイオキシン汚染土壌等の無害
ジグニン脱色が確認されたサンプルから 1ml をどフェニ
化処理は現在でも課題となっている。
ール 200ppmの入った
2010年
*
3月
5日受理
理工学部物質生命科学科
LB平板培地に入れ
30Cで培養し
0
た。ピフェニールが分解され黄色くなった培地に生育した
菌をリグニン培地 20mlに一白金耳植薗し、同じく室温で
制理工学部物質生命科学科卒業生
1週間, 150rpmで振とう培養した。リグニンの脱色を確認
州*北海道大学大学院工学研究科
された培地をダイオキシン分解薗とした。リグニン培地組
Vo
1
.
18.2010
5
2
成は、リグニン O
.1
9、グルコース1.0g、K2HP04 O
.
l
g、
で脱水後、濃縮し 1mlに定量した。
(NH4)804 0
.
2
g、Mg804'7H20O
.
l
g、NaCIO.2g、CaC03
0
.
2
g,微量塩類溶液 0.lml
(
Fe804・7H20O
.
O
l
g,
MnCb・
4H20
0
.
0
1
g,
Zn804・7H20 0.01g/100ml)である。
2.
4.
3 回収率の測定
権菌していない水 20mlおよびリグニン培地 20mlより
2
.
2 リグニン脱色と菌数の測定
ダイオキシン類の抽出を行った。
リグニン培地 20mlを 50ml遠沈管に入れ培養し、その
3CI-DD分解試験においても培養後の培地に内部標準物質
1
.0mlをマイクロチューブに取り、 12000rpmで 1
5分間
3
Cでラベルした 2,
3,
7・3CI-DDを添加し、回収率
として 1
遠心分離した。上清 0
.5mlは
、 4倍稀釈した後 480nmで
を求めた。
透過率を測定し、リグ、ニンの脱色の変化を測定した。また、
m
lとツ
混釈法により菌数を測定した。シャーレに稀釈水 l
0
アベックドックス寒天培地を加え、 3
0Cで 1週間培養した。
培養後コロニー数をカウントし、菌数を求めた。
2
.
5 分析条件
GC-M8分析言十
島津製 QP-5050A型を用いて分析した。
分析条件は以下の通りである。
2
.
3 ダイオキシン類分解試験
(0.22mmx30m)
本分解試験では 3CI-DDを使用した。リグ、ニンの脱色試験
カラム
で脱色が確認できたサンフ。ルから 1ml をリグニン培地に
キャリアガス
入れ再度 4-6日間前培養した。リグ、ニンを除いたリグ、ニン
インターフェイス:250C
培地 25mlの入った遠沈管に各々 5mlずつ分注した。この
3CI-DD代謝物分析の GC条件:
遠沈管の最終濃度が各々 1ppm、 10ppm、 100ppm となる
DB-5
He 1
.3m
l
/
min
0
o
00C,1minh
o
l
d、
昇温条件: 1
o
よう 3CI-DD を添加し、 3種類の試料を作成し、 3 日間
1
0
0
'
"
"
'
'
2
5
0C/10C/min、
25C,
150rpmで援とう培養した。
250C 5minh
o
l
d
0
0
0
測定モード:Scan
2.4抽出方法
3CI-DD定量分析の GC条件
2.
4.
1 分解代謝物の抽出 7、
8
)
昇温条件: 1
0
0C、 1minh
o
l
d、
0
培養後、培地液を 50ml共栓試験管に移し、塩酸を加え
pH2 とした。この試料を酸性抽出画分とした。抽出は、
1
0
0
'
"
"
'
'250ClOoC/min
0
250C 5minh
o
l
d
0
酢酸エチノレ 10mlを入れ約 5分間接とう後、軽く遠心し、
測定モード:SIM
酢酸エチル層を分取した。これを 2回繰り返した。次に分
SIM測定イオン:2
8
6
.
9
5 2
9
8
.
0
0
取した酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで脱水し、
1
ml以下に濃縮した。
2
.
6 8DS-PAGE法
1
1、1
2
)
2
.
6
.
1 酵素の抽出
2.
4.
2 ダイオキシン類抽出 9、
1
0
)
酢酸エチルで抽出した後の培地を水酸化ナトリウムで
中性に戻し、中性抽出面分とした。抽出は、トルエン 10ml
を 2000rpmで 1
0分間違心分
培養 8日目の培地液 20ml;
離し、上清と沈殿物に分けた。上清は、使搾型ウルトラホ
ルダーで、 5ml以下になるまで濃縮した。
を入れ約 5分間振とうし、トルエン層を分取した。これを
沈殿した菌体は、ピーだピーターで 1
0分間破砕した後
2回繰り返した。次に有機物の分配のため、硫酸を用いて
メンブレンフィルター (
0.
45μm) 付きマイクロチューブ
トルエン層を洗浄した。この洗浄は、硫酸層の黄色の着色
を用いて 10000rpm、1
0分間遠心を行い、溶液を濃縮した。
が呂で確認できなくなるまで、行った。硫酸処理したトルヱ
2
.
6
.
2 SDS-PAGEの作成
ン層は蒸留水で 2回洗浄した。さらに無水硫酸ナトリウム
BIO-RAD製を使用し、以下の組成でγ ノレを作製し、 50
静岡理工科大学紀要
5
3
m Aで電気泳動し、染色、脱色を行なった c 11%アクリル
された c この試料を 3回ほど集積培養し、その中から 1種
アミドゲ、ルの組成は以下の通りである。
類の、リグニンを分解する菌が分離され、 8
I'2000とした。
アクリルアミド
3.7ml
L5M トリス
2.5ml
10%8D8
O.lml
より菌数は、培養開始から 3 日間で 1
08を越え、定常期と
イオン交換水
4.
4ml
なった。
3
.
2 リグニン脱色と菌増殖の測定
リグニン脱色と菌増殖の測定結果を図 lに示した。 図 1
日目に活性が高くなった。リクマニン脱色率は、 8Rで 90%
テトラメチルメチレンジアミン
0.012ml
となった。培養 8 日後の脱色の写真を図 2に示した。
問「
O.lml
AP8
リグニンの脱色は菌の増殖からやや遅れて 3~6
1
きl.E+08
2
.
7 分解菌の同定
80
3
色
ふ
1
3、
1
4
)
i
l
j
百
主l.E+07
E
2
.
7
.
1 光学顕微鏡による形態観察
i
e
ダイオキシン分解酵素を出すカビをツアベックドック
ス液体培地にて、 150rpmで 3日間振とう培養し、ベレツ
~
S
O
S
$
t,E+06
D
.
l
E+05
0
2 3 4 5 6 7 8
ト状の菌体をプレパラートに乗せ、光学顕微鏡により観察
した。
2
.
7
.
2 SEMによる形態観察
図 l リグニンの脱色率と菌増殖の関係
ダイオキシン分解酵素を出すカビをツアベックドック
.Lignindegradatedrate.Bacterianumbel's
0C、1週間ほど培養し、 8EM(J8M'5400、
ス平板培地で 3
0
8日間培養後
日本電子)により観察した。
観察試料は、真銭試料台に培養したカビを両面テープで
JFC'1l00E、 日本電子) で 5分間金
目
占
り
、 FINECOAT (
蒸着した。
2
.
7
.
3 DNA解 析
1
5
)
ポテトデキストロース寒天培地「ダイゴ J (日本製薬、
5C、3日間培養した菌株を用いて DNeasyp
l
a
n
t
東京)で 2
0
MiniKit(Q1AGEN,
Hilden,
Germany)により DNAを調整
NL2,
NL3
し,これをテンプテートとしてプライマ-NLl,
及び N
L4(Donnell,1
9
9
3
)で PCR を 行 っ た 。
AB1
PRI8M3100 G
e
n
e
t
i
cAnalyzer8ystem でシークエンス
図 2 8 日 後 の 81.2000株 に よ る リ グ ニ ン の 脱 色
を行い、国際塩基性配列データベースで相向性検索を行っ
3
.
3 ダイオキシン類分解試験
た
。
3
.
3
.
1 好気的分解試験
3
. 実験結果
3
.
1 リグ、ニン分解菌の分離
リク ニ ン 分 解 用 培 地 に ダ イ オ キ シ ン 類 含 有 土 壌 サ ン プ
8
1
'
2
0
0
0を用いて、 1
,
1
0,
100ppmの 3種類入った 3Cl.DD
分解試験を行った。分解能力の検定を行うため 3日間測定
した結果を図 3に示した。
3Cl.DD濃度が 1ppm(5μg含
c
ルを入れ培養したところ、リグ、ニンが分解され脱色が確認
有)の場合, 3日目で GCM8の T1Cの 3Cl.DDのピークが検
同 50μg)で、は約 70%(35μg)、
出されなくなった。 10ppm(
Vo1
.
18,20 10
5
4
100ppmでは約 20%の減少率 (100μg)で、あった。
いるリグニンベルオキ乙ダ
100
ゼは 22kDa、PheBは 35kDa、
ラッカーゼは 53kDa と判明している c これらの位置にバ
ま
80
ンドが認められた
)
活
ω
ー
、
Q
60
o
c
540
0
‘
2
・
? 20
山幸
3
.
5 分解菌の同定
3
.
5
.
1 顕微鏡観察 1
5
)
。
光学顕微鏡で観察した菌の写真を図 5に示したコまた、
d
a
y
s
8EMで撮影した菌全体の写真を図 6に示した。
図 3 3CI-DDの濃度の違いによる分解の経時変化
3
.
3
.
2 回収率測定
ダイオキシン類抽出におけるロスを換算するため、回収
率の測定を行った。植菌していない水 20mlおよびリグニ
ン培地 20mlよりダイオキシン類の抽出を行った結果、水
からはほぼ 100%、リグニン培地からは 90%回収できた。
また、 3CI-DD分解試験においても培養後の培地に内部
図 5顕微鏡による 8
1
2
0
0
0 図 6電子顕微鏡による菌糸と
3
Cでラベルした 2,
3.7-3CI-DDを添加し
標準物質として 1
胞子
たところ、約 80%の回収率であった。
顕微鏡による観察で菌糸が、 8EMでは菌体の長さ約 250
4 リグ、ニン分解酵素の 8D8-PAGEI6.17)
3.
リグニンの脱色を行う菌の酵素を確認するため
8D8-PAGEを図 4示した。細胞内と細胞外濃縮液を泳動
した。細胞内濃縮液に 20近くのバンドが確認された。こ
μm 、胞子は 3~4μm と確認された。また、胞子は突起状
の球形をしていた。
3
-5
.
2 DNA解析及び系統樹 1
5、
1
6
)
288R-DNAの解析を行った。解析した結果、 Asperigilus
のうち 22kDa, 35kDa、 53kDa、 57kDa, 90kDaの位置
]apOnlCa 近縁種の糸状菌であった。その系統樹を図
にバンドが確認された。リグ、ニン分解酵素として知られて
示した。
7に
4
. 考察
分離菌のリグニン分解試験の結果では、 1
0日間でリグ、ニ
ンの茶褐色を分解・脱色することがわかった。
リグ、ニンの濃度が 100ppm程度に下がると、肉眼ではほ
ぼリグニンの茶褐色の色は確認できなくなるが、実験開始
0 日後には
時 リ グ ニ ン の 濃 度 が 1000ppm の培地が、 1
123.8ppmまで低下し、脱色がはっきりと目視された c こ
の結果から菌数の増加は早く、リグ、ニン脱色は遅れている
ことから、脱色するのは菌の生成した酵素、リグニンペル
オキシダ←ゼ等
1
2
0
0
0の酵素の 8DS-PAGE
図4 8
による分解であると推測されたc
1
2
)
8DS-PAGEでも 22kDaの位置に酵素の存在が認められて
静悶理工科大学紀要
5
5
いと考えている。
いる。
リグ ニンは製紙・パルプ工業における廃液に多く含まれ、
P
また、一般にダイオキシン類の分解では中間代謝物
が生成する。 GC-M8で 3CI-DD分解と分解代謝物
河川の泥濁を引き起こし問題となっている。今回分離した
10,
17,
1
8
)
菌種はリク、、ニンを効率よく分解することから、本菌を利用
を調べたが、予想される開環前の中間代謝物は確認されな
するならリグニン廃液を効率よく分解処理
かった。そのため本分解菌による分解代謝経路を確定でき
出来るので
1
2
)
はないかと思っている。
なかった。しかし、リグニンベルオキシダーゼやラッカー
3CI-DDの各濃度の分解試験では、濃度によって分解率
ゼ等の酵素を含む培養液によるダイオキシン類を分解し
6,
1
2
)によると関環前の分解物がわずかながら検出さ
が異なっている。一般に化学物質の分解は存在する酵素量
た報告
に比例することから 3CI-DDの分解量は菌が生産した酵素
れることや本試験でも開環後の代謝物と思われるベンゼ
量 に よ っ て 決 定 さ れ る 。 培 地 中 の 含 有 濃 度 が 500μg
ン化合物が確認されたことから、本菌株による 3CI-DDの
(100ppm) と多いほど分解率は 20%と低いが分解量は
100μg と多い。高濃度の方が菌の活性を高め分解酵素生
産量を多くしているようである。
分解が行われたものと推測している。
菌種の同定では、光学顕微鏡による形態観察で糸状菌と
確認された。糸状菌は、カピと呼ばれ糸状の菌糸を伸ばし
て生育し、胞子を形成する。
A
s
p
e
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g
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sa
c
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J
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2
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吋 H町 中o
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sU2回 2
5
62JAsP
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I
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o
n
i
clt.sU28828
Asperg
8EM写真では萄糸と胞子嚢、胞子が確認され、顕微鏡
では菌糸などが見られた。これらの結果から糸状菌と確認
された。また、本菌株の 288
r
-DNAの解析と系統樹作成に
より Aξp
e
l
i
g
i
r
u
s japonIkaの近縁穏と判明してし、る。本
菌株は有害性の少ない菌種であると考えている。
65LA
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o
l
l
i
c
u
sU28827
5
_ まとめ
ダイオキシン汚染土壌からダイオキシン分解菌として
分離した分解菌 8
1
2
0
0
0の特徴を調べた。
以下のことが
明らかとなった。
1)分離菌 8
1
2
0
0
0によりリグニン分解が確認された。
2
)8
1
2
0
0
0株による 3塩素化ダイオキシンの分解が確認
A
s
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r
g
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sc
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b
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sAF459732
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l
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sc
o
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b
o
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a
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i
u
sAF459734
された。
3
) 培養液中からリグニン及びダイオキシン分解酵素とし
1
a
v
i
p
e
sAY216668
A
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'U$AF454160
A
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ト
ー
ー
ー
→
0
.
0
0
5
て知られているリグニンベルオキシゲ、ナーゼとラッカ
ーゼのバンドが認められた。
4
)8
1
2
0
0
0株は、 288r-DNAの解析から A申 e
l
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図7 A
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i
g
i
l
u
sj
a
p
o
n
i
c
aS
I
2
0
0
0の系統樹
菌の活性は、添加された化学物質の量や毒性によっても
japonIkaの近縁種の糸状菌と同定された。
6_ 謝辞
異なる。本菌株を有効利用する場合、酵素の活性化条件は
本研究は平成 1
7年度環境省廃棄物処理等科学研究費の
重要となる。コンカイ}8D8-PAGEは 8日目の分解終了時の培
援助で実施した。また遺伝子の解析で(株)テクノスルガ
養液の泳動であることから確認されたバンドが薄いもの
(静岡市清水区)の援助をいただいた。併せて感謝します。
となっている。今後さらに検討し、酵素類の解析を進めた
Vo
1
.
18,2010
5
6
7. 参考文献
アルカリ性リグ、ニンベルオキシダーゼの精製と詩性質、環
1
) 惣回呈夫:医療廃棄物とダイオキシン、機能水医療研
1,
644-651
(
2
0
0
2
)
境技術、 3
1,9・1
4
(
1
9
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) 山崎省二 編:カラーアトラス環境微生物、オーム社
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)久米田裕子カビ同定法の簡易、迅速化一分子生物学
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的手法を中心に一,防菌防微誌, 33
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) 鈴木健一郎 編微生物の分類・同定実験法、シュ
燦郎:ダイオキシン汚染土壌の木材腐朽菌による
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ステムの開発,大成建設技術センタ一報, 3
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