ベトナム・ミャンマーでの木材新加工事業および木材新加工研究開発のご

ベトナム・ミャンマーでの木材加工事業
および木材加工研究開発のご紹介
2016年11月18日
《内容》
1.
2.
3.
ベトナム合板工場
ミャンマー製材工場
木材加工研究開発のご紹介
王子Gの木材資源:国内社有林
106
北海道
合計
641
126.6 千ha
山林
188.3 千ha
9
東北
152
3.9 千ha
近畿
129
12.0 千ha
8
関東
中国
3.4 千ha
13.6 千ha
110
94
九州
7.6 千ha
33
四国
2.7 千ha
中部
18.5 千ha
2015年度末
王子Gの木材資源:海外植林
保有面積
28万ha
森林認証取得率
69%
東南アジアにおける資源ビジネス
王木ベトナム販売会社
(2014年設立)
王子アジア・
ミャンマー支店
VTE
YGN
CPF
L
KPF
L
ベトナム合板工場 Oji Vinafor
Plywood Co.(2015年稼動開始)
Hanoi
LPFL
ラオス製材工場(2015年稼動開始)
QPF
L
QN
SLPF
OCPL
BKK
王子製紙タイランド
PNH
TTO
HCM
ミャンマー製材工場 MOS Lumber
Products(2015年稼働開始)
KL
王子アジア(地域統括会社)
PKS集荷事業
PKS集荷事業
植林会社
KTH
木材加工事業
PKS集荷事業
王木販売会社
王子グループ事務所
JK
T
製材工場(2014年稼動開始)
PKS集荷事業
SUB
王木インドネシア販売会社(2013年設立)
東南アジアにおける木材加工事業
国
出資母体
製品
生産開始
当面目標
KTH植林木
(アカシア/
ユーカリ)
ラフ製材
2014年4月
12,000 m3/年
ラオス
LPFL植林木
(アカシア/
ユーカリ)
ラフ製材
2015年1月
6,000 m3/年
ベトナム
ユーカリ植林木
合板
2015年4月
20,000 m3/年
ゴム植林木
S4S製材
2016年初
(試運転中)
8,000 m3/年
インドネシア
王子HD
(植林事業内部門)
ミャンマー
王子木材緑化
(地元企業合弁)
主原料
【事業コンセプト】 持続的な植林資源と労働競争力を持つ地域にて、木材加工
事業を展開し、将来に渡る木材製品の安定供給を実現する。
ベトナム・ユーカリ合板工場 Oji Vinafor Plywood Corporation (OVPC)
会社名
Oji Vinafor Plywood Corporation (略称OVPC)
設立
2013年5月
所在地
ベトナム国バクザン省クアンチャウ工業団地
出資者
・ 60%出資: 王子木材緑化(株)
・ 40%出資: Vietnam Forest Corp.
(通称Vinafor社、ベトナム国営林業公社)
事業内容
ユーカリ植林木を主原料とする合板製造販売
略歴
・2015年04月 商業生産開始 →6月初出荷
従業員数
180名(2016年11月現在)
≪事業スキーム概略≫
王子木材緑化
出資60%
Vinafor社
・役割: 原料供給
Vinafor社
出資40%
合板会社
国内販売
王木ベトナム販売会社
王木国内各支店
・役割: 製品販売
ベトナム国内/
海外販売
OVPC ユーカリ植林木の資源背景
合板工場
ランソン省
ハノイ市
合板工場
王木販売会社
ハノイ市
ホーチミン市
ユーカリ植林
地域
バクザン省
ハイフォン港
(大型輸出港)
OVPC 製造工程 (①原木⇒自製単板)
原木調達
・4x8サイズ用:長さ 2.6m (8尺+)
・3x6サイズ用:長さ 2.0m (6尺+)
・径級: 10cm以上
OVPC 製造工程 (①原木⇒自製単板)
・ デバーカーでの荒剥き
・ レーサーでの単板生産
OVPC 製品スペック概要
樹種
ユーカリ植林木
サイズ
・厚み5.5~25mm
・900~1,230 x 1,800 x 2,440mm
(サイズ相談対応可)
許容値
厚み
±0.5mm
幅/長さ
-0、+2.0mm
対角線
±2.0mm
タイプ I・II、F☆ ☆ ☆、 F☆ ☆ ☆ ☆相当
環境への配慮
高品質
オール植林木使用に
より長期的な安定供
給を実現。
コアジョインター使用
によるオーバーラップ、
抜けの低減。
ホルムアルデヒド放散
量の低減 ※
日系メーカーの接着
剤使用、接着性安定。
カビ、パンク発生率の
低減
日本人による徹底し
た品質・納期管理
ドライヤー機械乾燥に
よる含水率管理。
日本人技術者、経営
者が現地常駐。
※当社試験
ミャンマー・ゴム製材工場 MOS Lumber Products Co., Ltd(MOS)
会社名
MOS Lumber Products Co., Ltd(略称MOS)
設立
2014年12月
所在地
ミャンマー南部 モン州 モーラミャイン地域
出資者
・ 54%出資: 王子木材緑化(株)
・ 26%出資: 住友林業シンガポール社
・ 20%出資: MMC社(現地企業)
事業内容
ゴム木材製品の製造販売
略歴
・2014年12月 製材工場建設開始
・2015年10月 製材工場完成
~試運転期間~
・2016年年初 商業生産開始(予定)
従業員数
80名(2015年末)
ヤンゴン市
モーラミャイン
MOS 現地出資パートナー MMC社
会社名
Moe Mya Chai Co., Ltd (略称MMC社)
工場所在
1. モン州モーラミャイン ゴム製材工場
2. ヤンゴン近郊 木材加工工場
同工場敷地の一部をMOS製材工場
として使用
↑ 当社向けゴム材ラミナ
(2013年~継続)
≪事業スキーム概略≫
当社・住林・MMC社合弁
MOS製材事業
調達
ゴム原木
MMC社:
・原料調達ルート
・操業ノウハウあり
ラフ製材
ラミナ
(集成材原料)
製材廃材
販売責任
輸出
王子木材緑化
住友林業
日本国内
/輸出(中国他)
MOS ゴム植林木の資源背景
カレン州
1.
当社工場の原料集荷範囲であるモン州、カレン州には20万haの
ゴム植林が広がる。
2.
ゴム植林は通常25~30年生で植え替えとなるが、上記の内、
30年生以上の老齢林は6万haあり(原木量:推測4百万m3)。
3.
ゴム植林は地元農民に根付いた産業であり、将来に渡り安定し
た原料調達が可能。
モン州
ゴム植林
地域
・ ゴム老齢林の視察
MOS ラミナ製造工程
・ オートキャリッジの使用
・ マルチリップソーの使用
MOS ラミナ製造工程
・ 加圧防虫処理
・ 人工乾燥(KD)釜
・ 防虫指示薬によるサンプルチェック
MOS 製品スペック概要
樹種
ゴム
ラミナ
サイズ
・厚み33mm
・幅55~95mm × 長さ250mm以上
(サイズ適宜対応可)
許容値
厚み
-0/+0.5mm
幅
-0/+1.0mm
長さ
-0/+10mm
欠点
節、ピンホール、樹脂、ブルーステイン、
変色など無し(=Aグレード)
含水率
6-10%
木材加工研究開発のご紹介
木材から出発する事業展開
木材資源のカスケード利用
これまで植林木の育種開発を進め、製紙用途に優れた植林木の開発は
国内、海外でも進めてきた。
(例: 成長性、容積重、繊維長や細胞壁厚などパルプに適した樹木の育種開発)
チップを原料とする既存事業に加え木材加工事業の展開
樹木
育種開発
チップ
パルプ、紙
エネルギー
溶解パルプ、CNFなど工業原料
木材加工製品
チップを原料とした開発
木材加工研究を進めるにあたって
木材加工事業を進めるうえで、独自の開発に着手
例)製材プロセス
原木
選
別
機
バ
ー
カ
ー
製材
乾
燥
加
工
仕
上
げ
グ
レ
ー製
デ
ィ品
ン
グ
木材加工過程のうち木材乾燥がコスト・品質面で鍵
海外植林木の早生樹ユーカリ、アカシアは、人工乾燥を含め
木材加工が難しい
木材乾燥技術
木材乾燥システム、乾燥機の種類について
・ 木材乾燥技術は、50年以上前に欧米で確立
・ 日本国内でも各地試験場で木材に合わせた乾燥スケジュールの提案
・ 国内の木材利用は、乾燥材が主流
天然乾燥
桟積みして長期間放置(~5年)
古来から
中高温乾燥
1850年~
人工乾燥
40~90℃ 長期乾燥期間 燃料あるいは廃材を利用
燃料コスト大
高温過熱蒸気乾燥
1995年~
90~130℃ 短期乾燥(2~7日間)
設備費
その他、高周波乾燥方法など 設備費など課題多数
木材乾燥技術
王子グループとして木材加工の可能性を追求
・ 製紙工場やバイオマスボイラの廃熱の利用検討
廃ガスの利用
出口ガス(バグフィルター後)は170℃
乾燥機
製紙工場
ボイラ
乾燥機
乾燥機の乾球温度は45~70℃前後に調整可能
工場廃ガス等の熱源を利用した人工乾燥機の可能性
・ 製紙技術から得られた材料の性質を見極めた乾燥方法の提案
木材乾燥研究開発取り組み
ユーカリ、アカシアなど海外植林木に加え、トドマツなど北海道
産樹木を目標材料とし乾燥中の温度、湿度と木材の割れの関
係を調査
工場インフラ(熱)を活用したスケールアップ試験を繰り返して、
新規低温乾燥技術を構築
 ラボ試験で低温乾燥基礎技術を確立




恒温恒湿器で乾燥過程で生じる、割れ、収縮について環境条件との関係を調査
木材の種類により乾燥速度、収縮など物理的性質が異なる
割れと含水率との関係から安全な乾燥スケジュールを確立
乾燥後の寸法安定性を保つための条件検討
 工場廃熱を利用したスケールアップ試験
 ラボ試験で導いた条件をスケールアップして検証。簡易乾燥装置を工場に設置
 スケールアップ試験で出た課題をラボで解決し、それを反映させる工程を繰り返し改良を重ねた
 実機サイズの試験機案のため課題を抽出し装置デザイン、システムを改良検討し、ノウハウを蓄積
工場トドマツ板乾燥試験
工場廃熱を利用したスケールアップテスト
・ 40 x 165 x1,800 mm 厚板
・ 工場の蒸気を利用した簡易実験乾燥機を設置
・ 実験室で成功した条件をスケールアップ
湿度管理を厳密にし、50℃以下の低温で乾燥
【結果】
・ 時間はかかるものの(28日間)、低温でも高い乾燥歩留りを達成(90%)
・ 樹種に合わせた乾燥時の温度、湿度管理に加え十分な空気循環が必要
トドマツ試験乾燥板のフローリング加工と実証試験
■フローリング加工
実施工場:株式会社コンプウッド(旭川市)
材料:名寄工場低温乾燥材
加工:27 x 150 x 1,750mm サネ加工
※加工後の質感や歩留まりは良好との評価
■下川町実験棟建屋への実証試験
加工したフローリング材を下川町建屋床材として提供
※施工は問題なしとのこと(ツイストも許容範囲)
※床暖房付近の材にカップが発生
※比較に使用した他社乾燥材は、収縮が多く発生
他社乾燥材は著しく収縮して
4mmの隙間が発生
今後、使用感、経年変化での問題点を抽出
高温過熱蒸気式乾燥
難乾燥材、角材などの構造材の乾燥方法に有利
1)試験乾燥場所
高知県・佐川プレカット
2)乾燥樹種、寸法、本数
北海道産トドマツ (3産地)
・トドマツ正角
135×135×3650mm 273本
(仕上がり寸法目標:120×120)
(18.1㎥)
3)乾燥条件
炉内温度 120℃(最高温度)
S-DRYを用いたトドマツ角材乾燥試験
加熱乾燥工程 4日間、 冷却工程 1日間
4)乾燥結果
表面割れは極僅かに散見、内部割れや曲り、捻じれは殆ど無かった。
平均含水率は15%。
乾燥後の強度(曲げヤング率)は、E70~110で殆どの材がE90と高い強度を示した。
※スギのヤング率より高め
・ 内部からしっかり乾燥できており、建築材として利用可能
高温過熱蒸気式乾燥試験
乾燥後の材の様子
高温のため着色は見られる。ツイストは殆どない
プレナー仕上げ後のKD材
人工乾燥後の割れ、ツイストが殆ど見られず乾燥歩留りが高い
乾燥木材の使用検討(実証試験)
建築用構造材、内装材として実証試験を継続的に実施
集合住宅
(木造4階)
@赤羽
木造オフィス
(木造1階)
@下川
トドマツ公共建築
トドマツ無垢材を使った研究棟の狙い
非住宅物件(学校、オフィス、公共施設など)の木造化提案
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8メートルスパンの3部屋構成→小中学校と同じ間取り
無垢材による木構造システム→地場の工務店での施行可能、施工コストも低減
集成材を使わない建築→シックハウスの危険度ゼロ、安心・安全の施設
自然滞留式床下暖房システムの導入→エネルギーコストの削減
トドマツの意匠性をフル活用→都市にも馴染む洗練されたオフィス空間の実現
トドマツの内装材提案→柔らかなフローリング(幼稚園や老人ホーム向け)という新提案
⇒木造建築家集団(team Timberize)と連携
下川町との共同研究 木材乾燥試験機の導入
・ コンテナを改良した木材乾燥機を設置(2015年11月完成)
・ 下川町との共同研究により、針葉樹、広葉樹の人工乾燥試験と
実証試験(建築、内装材、家具等)を含む木材利用調査
人工乾燥技術は、海外木材加工事業へも活用し効率改善
ご清聴ありがとうございました