1章 業務概要 2章 スマートコミュニティに関する情勢の整理 3章 スマートコミュニティ構成要素の抽出と課題整理 4章 スマートコミュニティに関する各種調査 5章 北海道の地域特性や産業構造に応じたスマートコミュニティモデルの作成 6章 スマートコミュニティ推進方策と技術移転の検討 7章 スマートコミュニティ構築に向けた普及イベント等の開催 8章 業務処理体制 用語集 1章 業務概要 1−1 業務の目的と必要性 近年、化石燃料の高騰や地球温暖化問題の進展、環境エネルギー関連市場の拡大など、エ ネルギーを巡る国内外の環境が大きく変化している。そのため、既に日本においても化石燃 料に頼らず、温室効果ガス排出量を減らすために省エネルギーや新エネルギーに取り組んで いる。近年では、さらなる省エネルギーの推進や、新エネルギーの大量導入を進めるために、 情報通信技術(ICT)を活用して電力の需給をバランスさせ、安定的な電気供給を維持す る、 「スマートグリッド」の整備が進められている。そして、エネルギーの有効利用という観 点からは、電力だけでなく、熱や未利用エネルギーも含めたエネルギーを地域単位で統合的 に管理するとともに、交通システムなども組み合わせた、 「スマートコミュニティ」の構築が 期待されている。 このような中、平成 22 年 6 月に策定された国のエネルギー基本計画や新成長戦略では、エ ネルギーの自給率向上やCO2排出大幅削減、環境と経済の調和のため、スマートグリッド 技術を活用したスマートコミュニティへの移行が位置づけられており、現在、効率的な電力 供給の実現に向けた国内 4 地域における大規模実証等の展開により、再生可能エネルギーを 一連の社会システムとして効率的に活用する社会をめざす取組が進められている。 こうした中、本年 3 月に発生した東日本大震災の発生に伴い、地域における電力や燃料の 安定確保等が重大な問題として大きくクローズアップされている。本道においても、こうし た動きに呼応し、スマートコミュニティの構築に向けた取組が急務であり、 「再生可能エネル ギーの宝庫・北海道」としての優位性を発揮する好機となっているが、本取組を構成する上で 活用可能な技術や行動等といった構成要素が広範であるため、地域主体の取組を進めること は困難な状況にある。 このため、スマートコミュニティの構築に向けては、地域特性に応じた資源や技術の活用 により、地域における効率的なエネルギー活用社会を実現するためのモデルを提示する必要 がある。 また、再生可能エネルギーの高コスト・出力の不安定性というネックを解消するため、地域 電力会社及び地域産業が連携して検討を進める体制整備が必要である。 さらには、今後、道内の環境関連産業の振興などといったさまざまな効果を発揮させてい くため、今後産学官金で構成されるネットワークづくりといったことも求められている。 これらのことを踏まえ、本道の特性を活かしたスマートコミュニティの構築に向けた実証 可能性調査を実施し、地域特性を踏まえたモデルづくりを通じて、地域住民等へスマートコ ミュニティの構築に向けた取組の理解促進等を図るとともに、今後、スマートコミュニティ の構築に向けた取組の進展に伴い、道内の環境関連産業の拡大や新たな産業の創出、積雪寒 冷地特有の技術を国内外への移転等につなげていくためのネットワークづくりなどに関する 調査検討を本事業において実施する。 1 1−2 業務フロー 本業務は、下図のフローのとおり進めた。 2章 スマートコミュニティに関する情勢の整理 2−1 スマートコミュニティ構築が求められる社会的背景 2−2 スマートコミュニティに関する国内動向 2−3 スマートグリッドに関する海外動向 2−4 北海道におけるスマートコミュニティのフレーム 3章 スマートコミュニティ構成要素の抽出と課題整理 3−1 既往資料からのスマートコミュニティ構成要素の抽出 3−2 北海道の地域特性や産業構造を考慮したスマートコミュニティ構成要素の抽出 3−3 北海道におけるスマートコミュニティ関連企業等の把握 3−4 北海道におけるスマートコミュニティ構成要素と課題整理 4章 スマートコミュニティに関する各種調査 4−1 スマートコミュニティに関するアンケート調査 4−2 地域新エネルギービジョンなどのフォローアップ 4−3 各種調査結果の考察 5章 北海道の地域特性や産業構造に応じたスマートコミュニティモデルの作成 5−1 スマートコミュニティモデル検討に当たっての考え方 5−2 スマートコミュニティモデル検討に当たっての考慮事項 5−3 スマートコミュニティモデルの検討 5−4 スマートコミュニティ実現のためのアクションプラン 5−5 具体的な地域を想定したスマートコミュニティモデルの検討 (1)帯広市(都市部モデル)におけるスマートコミュニティ構築イメージの検討 (2)ニセコ町(農村部モデル)におけるスマートコミュニティ構築イメージの検討 (3)利尻島(離島モデル)におけるスマートコミュニティ構築イメージの検討 (4)恵庭市・千歳市・苫小牧市・厚真町(先導モデル地域)におけるスマートコミュ ニティ構築イメージの検討 6章 スマートコミュニティ推進方策と技術移転の検討 6−1 地域電力会社及び地域産業と連携した再生可能エネルギーの高コスト・出力不安定 課題への対応方策 6−2 「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」形成のための方策検討 6−3 地域や住民が主体となった長期的な視点でのスマートコミュニティ推進方策の検討 6−4 積雪寒冷地特有の技術に係る国内外への移転方策 7章 スマートコミュニティ構築に向けた普及イベント等の開催 7−1 スマートコミュニティ構築に向けた各種普及イベント等の概要 7−2 先導モデル地域における勉強会の開催 7−3 座談会の開催 7−4 フォーラムの開催 7−5 セミナー(住民ワークショップ形式)の開催 2 2章 スマートコミュニティに関する情勢の整理 2−1 スマートコミュニティ構築が求められる社会的背景 (1) 化石燃料依存型からの脱却 石油連盟の資料によれば、2000 年には 1 バレル 28.37 ドルだった原油価格は、2009 年には 69.4 ドルに値上がりしており、中国、インドなど、人口の多い国の経済発展により、今後も上昇して いくものと予想される。また、化石燃料中心のエネルギー供給体制の場合、産地となる地域で紛 争や大災害が発生することにより、製油所などの社会インフラなどがダメージを受け、燃料供給 がストップしてしまう危険性が高い。さらには、化石燃料は、消費することにより、CO2など の温室効果ガスが排出され、地球温暖化を引き起こすと考えられている。 このような問題を解決するため、私たちは、地球に負荷の少ないエネルギーを利用するための 技術を開発・導入し、持続可能な社会を作り上げる取組をしていく必要がある。その取組は、人々 の暮らしを化石燃料依存型のライフスタイルから転換し、持続可能なエネルギーを利用する新た な暮らし方をもたらすものである。 加えて、化石燃料からの脱却を図ることは、人々に新たな価値観を与え、産業と雇用の場を創 出し、豊かな経済循環をもたらすことが期待される。我が国政府は、新成長戦略の中で、平成 32 年までに 50 兆円超の環境関連産業の新規市場を開拓して、140 万人の新たな雇用を創出する目標 を掲げている。 ■世界のエネルギー自給率(2008 年) % (2) 我が国のエネルギー自給率の問題 143 150 我が国は、化石燃料の賦存量が乏しい国土であるた め、現在のエネルギー自給率は約 4%である。これは、 従来から我が国の資源外交上、大きな課題として認識 されている。また、我が国の一次エネルギーの約半分 を占めているのが石油であり、その 9 割を中東地域か らの輸入に依存している。2008 年に日本が輸入した化 石エネルギーの額は、約 23 兆円であり、毎年 20 兆円 125 100 71 75 62 50 25 14 4 29 8 0 日本 ※出典 フランス イタリア ドイツ アメリカ イギリス カナダ ENERGY BALANCES OF OECD COUNTRIES2008 ■日本の化石エネルギー輸入額の推移 以上の資金が流出している現状である。これは約 72 兆 円ある輸入総額の 3 割にも達する額である。 従来のストック切り崩し型の化石燃料エネルギーの 利用を、永続的に利用できるフォロー型の再生可能エ ネルギー利用に変革していくことが必要である。 ※出典 エネルギー供給(環境省) (3) 災害時におけるエネルギーの確保について 今年発生した東日本大震災では、交通網や電力網の ■東日本震災発生時のガソリンスタンドの行列 寸断により、停電やガソリン・灯油の供給がストップ するなど、日常生活への影響も甚大なものとなった。 スマートコミュニティの構築などにより、あらゆると ころでエネルギーがつくられるようになると、例えば、 災害時でも照明を利用したり、電気自動車を走らせる ことができるようになるため、こうしたことにつなが る取組を進めていく必要がある。 3 (4) 環境関連産業で新たな雇用の創出について 日本政府は、平成 32 年までに 50 兆円超の環境 関連産業の新規市場を開拓し、140 万人の新たな 雇用を創出する目標を打ち出している。これによ り市場規模は約 1.7 倍に、雇用規模は約 1.8 倍に ■政府の環境関連産業の成長目標 平成 32 年 平成 32 年 までに 1.7 までに 1.8 拡大する見込みであり、地域経済の活性化と、雇 用の創出につながる取組である。 市場規模 雇用規模 ※出典 新成長戦略(内閣府ホームページ) (5) 進む地球温暖化の問題について 現在、 地球温暖化が世界的な問題となっている。 ■世界のCO2排出量長期見通し 地球温暖化への対策として有効な方策のひとつが、 太陽光や風力、地熱、水力、バイオマスなどの再 生可能エネルギーの導入である。再生可能エネル ギーを普及していくためには、あらゆる人たちが 自らエネルギーを創ったり、蓄えたり、賢く使う ことが必要となる。 ※出典 日本のエネルギー2008(資源エネルギー庁) 4 2−2 スマートコミュニティに関する国内動向 (1) スマートコミュニティ関連の国の政策動向 ここでは、スマートコミュニティについての定義と、各省庁の主な政策を示す。 ① スマートコミュニティの定義 1)国(経済産業省)が示した定義 太陽光や風力など再生可能エネルギーを最大限活用し、一方でエネルギーの商品を最小限に 抑えていく社会を実現するために、家庭やビルなどをITネットワークでつないで、地域でエ ネルギーを有効活用する社会システムである。 2)(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。 )が示した定義 環境への配慮と快適な生活を両立するため、多岐にわたる技術を組み合わせたシステムとし ての社会インフラのことで、再生可能エネルギーを大量導入する際、電力系統との連系や需要 の抑制により、再生可能エネルギーを有効、効果的に導入することを可能にするスマートグリ ッドや蓄電池、省エネ家電、スマートメーターなどを組み込んだスマートハウス、次世代自動 車や都市型鉄道の交通システムなど、環境エネルギー分野のさまざまな技術やノウハウが投入 されるもの。 ② スマートコミュニティに関する主な施策 中央省庁では、さまざまな施策を展開中である。例えば道内の帯広市では、 「チャレンジ25 地域づくり事業」で二酸化炭素の効果的な削減に向けた取組を進めるなどしている。 このように、導入する再生可能エネルギーとその特性に合わせて、あらゆる施策を組み合わ せ、より導入しやすい環境づくりをすることは、有効な手段と考えられる。 以下に、各省庁の主な施策を示す。 1)環境未来都市(内閣府) <事業概要> 国の「新成長戦略」における21の国家戦略プロ ジェクトの一つであり、未来に向けた技術、社会経 ■環境未来都市の基本コンセプト 済システム、サービスビジネスモデル、まちづくり で世界に類のない成功事例を創出するために、環境 未来都市に選定された自治体は、資金支援・プロジ ェクトマネジメントを行うものであり、環境・超高 齢化対応に関する取組が必須である。 ・ 環境未来都市選定結果(平成 23 年) 被災地域以外では、北海道下川町ほか 4 件が選定 され、被災地域は、岩手県釜石市ほか 5 件が選定さ れた。 ※出典 内閣府のホームページ 5 2)次世代エネルギー・社会システム実証(経済産業省) <事業概要> ■次世代エネルギー・社会システム実証の概要 平成 22 年度に選定された国内 4 地域(横浜市、 愛知県豊田市、京都府けいはんな学研都市、北九州 市)において、スマートコミュニティ構築のための 大規模な実証を行う。 再生可能エネルギーや予測の難しいエネルギー 需要家の膨大なデータを基礎に、需給を制御するエ ネルギーマネジメントシステム(EMS)の技術を 確立する。 ※出典 経済産業省のホームページ ■緑の分権改革の概要 3)緑の分権改革(総務省) <事業概要> 緑豊かな自然と、それにより生み出されうる食料 やエネルギーなどを最大限活用する仕組みを創り 上げ、地域の活性化や人と人との「絆」の再生を図 り、「中央集権型」から「地域主権型」社会を実現 しようとする取組である。 ※出典 総務省のホームページ ■チャレンジ25地域づくりの概要 4)チャレンジ25地域づくり(環境省) <事業概要> 2020 年までに 1990 年比で地域の二酸化炭素排出 量を 25%削減するため、地域特性に応じた独自の 事業を支援する。 道内の帯広市は、「環境モデル都市」として、政 府から認定され、CO2削減の取組を行っている。 以下、2000 年を基準年としたCO2削減率を示 す。 2000 年のCO2排出量 145.9 万t-CO2 ▲18.6%(2000 年→2012 年) 2012 年のCO2排出量 118.7 万t-CO2 6 ※出典 環境省のホームページ 帯広市のホームページ 5)スマートビレッジ(農林水産省) ■スマートビレッジの概要 <事業概要> 地域に豊富に存在する再生可能エネルギーを高 度に生産・利用し、安定的な食料生産と快適で安心 な作業・生活環境を実現する農山漁村(スマートビ レッジ)の育成を支援する取組である。 官民の知恵と強みを新たに組み合わせ、農山漁村 から発展する環境に配慮した新たな産業を生み出 す。ことをめざす。 ※出典 農林水産省のホームページ 6)地方公共団体が策定する低炭素まちづくり計画(仮称)に基づく取組(国土交通省) <事業概要> 地球温暖化を背景とした我が国のCO2排出の 過半を占める都市活動に由来する温室効果ガスの ■低炭素都市づくりの概要 排出の抑制、東日本大震災を契機としたエネルギー 需給の逼迫への対応等が喫緊の課題となっている ことから、低炭素・循環型の都市の実現に向けた計 画的な取組の促進を図るための以下の取組を支援 する。 A) 集約促進都市開発支援事業 省エネルギー及び都市機能の集約という観点 で都市の低炭素化に資するものとして民間事業 者が行う医職住関連の建築物整備などを支援。 ※出典 国土交通省のホームページ B) エネルギー面的利用推進事業 地方公共団体、民間事業者等が取り組む自然エネルギー・未利用エネルギーを地区・街区 単位等で面的に活用する先導的なシステムを構築するための計画策定、コーディネート、社 会実験・実証実験、モデル事業(エネルギー供給ネットワーク及び関連施設の整備等)の実 施を支援。 7)大学発グリーンイノベーション創出事業のうち「緑の知の拠点」事業(文部科学省) <事業概要> 大学キャンパスを都市等に見立てて、再生可能エ ■緑の知の拠点の概要 ネルギーやスマートグリッド等の新エネルギーシ ステムの実証実験に対して支援を行う。 ※出典 文部科学省のホームページ 7 (2) 次世代エネルギー・社会システム実証の整理 ① 次世代エネルギー・社会システム実証の実施4地域について 平成 22 年から 5 年間、次世代エネルギー・社会システム実証地域(横浜市、愛知県豊田市、 京都府けいはんな学研都市、北九州市)において、2020 年や 2030 年を見据えたエネルギーシ ステム・社会システムの構築に向けた実証事業を実施する。 経済産業省の施策である、次世代エネルギー・社会システム実証の実施4地域を以下に示す。 ■次世代エネルギー・社会システム実証の実施4地域の概要 8 ② 横浜市における次世代エネルギー・社会システム実証について 1)実証概要 横浜市の事業概要は以下のとおりである。電力系統を基軸にしつつ、異なる特徴を持つ複 数の広域地区(住宅・商業・工業地区)を連系した、エネルギーマネジメントシステム(E MS)実証を行う。インフラの更新が容易でない、既存都市への展開が可能である。 ■実証概要 ≪特徴≫ 商業・業務エリア、工業エリア、 住宅エリアなど、都市部の広範 なエリアでの実証事業であり、 都市部におけるスマートコミ ュニティ構築に向けたモデル となる位置づけである。 ※出典 スマートグリッドからスマートコミュニティへ(2011,経済産業省) 2)実証スケジュール ■実証スケジュール ※出典 次世代エネルギー・社会システム協議会 第 14 回配付資料(2012,経済産業省) 9 ③ 愛知県豊田市における次世代エネルギー・社会システム実証について 1)実証概要 愛知県豊田市が行う実証事業の概要は以下のとおりである。家庭部門に注目し、プラグイ ン・ハイブリッド自動車(PHV)を活用し、コミュニティ内のエネルギー最適利用を実現 する社会システム構築のための実証である。 ■実証概要 2)平成 23 年の成果 ≪特徴≫ 中心的役割を担っているトヨ タ自動車が取組を牽引してい るため、住宅とPHVなどのモ ビリティとの連携を意識した 実証事業である。 ※出典 次世代エネルギー・社会システム協議会 第 14 回配付資料(2012,経済産業省) 10 3)実証スケジュール ■実証スケジュールと進捗状況 ※出典 次世代エネルギー・社会システム協議会 第 14 回配付資料(2012,経済産業省) ④ 京都府けいはんな学研都市における次世代エネルギー・社会システム実証について 1)実証概要 京都府けいはんな学研都市の事業概要は以下のとおりである。新規造成地で、電気・ガス だけではなく、交通系・生活系まで含め、街全体のエネルギー消費を対象として一体的にC O2排出のマネジメントを行うのが特徴である。また、蓄電池と再生可能エネルギーの最適 な活用方法を実証する。 ■実証概要 ≪特徴≫ 産学官連携による実証事業で あり、特に大学や研究機関が他 地域よりも強く関与している。 宅内のエネルギーマネジメン トシステムと連動した地域エ ネルギーマネジメントシステ ムの実証を行うことに注力し ている。 ※出典 スマートグリッドからスマートコミュニティへ(2011,経済産業省) 11 2)実証スケジュール ■実証スケジュールと進捗状況 3)平成 23 年の成果 ※出典 次世代エネルギー・社会システム協議会 第 14 回配付資料(2012,経済産業省) 12 ⑤ 北九州市における次世代エネルギー・社会システム実証について 1)実証概要 北九州市の事業概要は以下とおりである。市民や事業者が「考え」 「参加する」ことにより、 人々が自ら使うエネルギーを自ら管理する「デマンドサイド・セルフ・マネジメント」を実 現するのが特徴である。また、発電した電気を電力系統へ流す際の許容と低コストなシステ ム作成を検証する。 ■実証概要 ≪特徴≫ 他地域は電力系統との連携を 前提としている中、当地域は製 鉄会社のコジェネ発電所によ る「特定供給エリア」を中心と した実証事業であり、電力系統 から独立したエネルギーシス テムの中で、エネルギーマネジ メントの新たな取組を行う。 ※出典 スマートグリッドからスマートコミュニティへ(2011,経済産業省) 2)北九州市の事業スケジュール ■北九州市の事業スケジュールと進捗状況 ※出典 次世代エネルギー・社会システム協議会 第 14 回配付資料(2012,経済産業省) 13 ⑥ 次世代エネルギー・社会システム実証地域の提案者と役割分担の整理 4 つの地域のうち、北九州市を除く 3 つの地域で電力会社が実証に携わっている。また、横 浜市、愛知県豊田市、北九州市では、自治体が事業主体として関わっているが、京都府けいは んな学園都市は、産学官連携組織である(財)関西文化学術研究都市推進機構が事業主体とな っており、本都市建設等にかかる調査研究、提案、企画立案、利害関係者の合意形成などを行 い、都市建設を推進するために設立された公益法人である。また、産学官連携組織であるエネ ルギー情報化ワーキンググループが中心となり、事業実証を行っていることも特徴としてあげ られる。 ■次世代エネルギー・社会システム実証地域の提案者と役割分担一覧 14 (3) 各地域における取組について 次世代エネルギー・社会システム実証地域以外にも、スマートコミュニティの構築に向けて、 国のさまざまな補助金等を活用するなどして、各地域でも独自の取組が進んでいる。秋田県秋田 市、神奈川県藤沢市などでスマートコミュニティ関連の取組が進行中である。特に、青森県六ヶ 所村でのスマートグリッド実証実験は、世界初の大規模蓄電池併設型風力発電所(風力発電 51M W、蓄電池 34MW)を活用したクローズドグリッドであるため、今後の実証結果が注目される。 各地域におけるスマートコミュニティ関連の取組概要を以下に示す。 ■各地域におけるスマートコミュニティ関連の取組概要の整理 15 ■各地域におけるスマートコミュニティ関連の取組概要の整理(続き) 16 2−3 スマートグリッドに関する海外動向 アメリカは老朽化が激しい送配電網インフラの更新、ヨーロッパは再生可能エネルギーの大量 導入など、各国によって電力事情が異なる。それを解決するための有効な方法がスマートグリッ ド技術の導入である。以下に日本と諸外国のスマートグリッド導入目的を整理して、日本や北海 道でのスマートコミュニティ構築に向けて参考になる取組を整理する。 (1) スマートグリッドとスマートコミュニティ ① スマートグリッドについて 再生可能エネルギーが大量に導入されると、エネルギー供給者(電力会社等)側だけでは、 電力需給を十分に調整することが難しくなる。したがって、需要サイド(電力を使用する側) 側にも、電力需給の一部を調整してもらう必要がある。その方法として、ICT(情報通信技 術)を使って効率的にバランスをとる電力システムのことをスマートグリッドという。 この項では、日本や世界のスマートグリッドの導入目的や課題などについて取り扱うもので あり、スマートコミュニティとは別のものであることに留意する必要がある。 ② 日本と海外でのスマートグリッド導入目的について 1) ヨーロッパのスマートグリッド導入目的 かつて、北海の石油・天然ガスなどのエネルギー資源が豊富に産出されたが、徐々に算出 量が減少してきており、ヨーロッパのエネルギー自給率が低下している。近年、地球温暖化 対策を進める中、風力発電所といった再生可能エネルギーからの発電量が多くなったために、 不安定な電気の流れをいかに制御するかが、ヨーロッパのエネルギー課題となっている。 蓄電池などについても大型の設備をどこに設置するか、誰が整備するか、つまり誰が負担す るかなどが議論の焦点になっている。 このように地球温暖化対策を進める中で、不安定な再生可能エネルギーの電気を制御する ことがヨーロッパにおける主なスマートグリッド導入目的となる。 なお、スマートメーターの導入で家電機器の制御を行う考え方もあるが、スマートメータ ーは国毎に機能も標準化されておらず、現段階でEU全体での家電制御の考え方は広がって いない。 2) アメリカのスマートグリッド導入目的 アメリカでは、将来の電力需要の増加に備えて発電設備、送電設備の絶対的不足を補い、 安定供給を行うために、特にピーク需要を制御するスマートグリッドの導入が不可欠と考え られている。アメリカの電力網を強化するには莫大な投資が必要になるため、スマートメー ター導入によっていかに需要側でピークカット、ピークシフトなどを実現していくかに重点 が置かれている。 なお、アメリカのスマートグリッド市場にはIT企業などが参入しており、情報通信シス テムやスマートメーターによって配電ネットワークの強化を図るとともに、世界標準化を主 導し、新しい産業の育成もめざしている。景気対策法に基づく補助金が交付されている。 17 3) 日本のスマートグリッド導入目的 日本では既に発電設備、送電・配電ネットワークとも現段階では世界最高クラスの品質を 維持している。ヨーロッパやアメリカなど諸外国と比較すると、日本は既にスマートグリッ ドが形成されているという考え方もある。 しかし、地球温暖化対策として、2020 年までに 2,800 万kW、2030 年までに 5,300 万k Wの太陽光発電の導入を目標に掲げており、達成のためには新たに太陽光発電設備やその対 策用の蓄電池などに加え、それらを制御するシステムが必要になっている。 日本政府は、元来の電力系統の電力品質が高いだけに、スマートグリッドの世界標準化で 遅れを取ったり、孤立しないように戦略的に進めている。 北海道においては、特に冬季は電気だけでなく、熱のエネルギーを効率的にマネジメント することが求められる。そのため、グリッド(電力網)だけではなく、ガスや熱などのエネ ルギーを含めたネットワークを構築することが必要となる。 4) 中国 中国では、豊富な石炭資源を背景に、発電量の 70%以上を石炭火力が占めている。しか し、その設備は老朽化が進み、発電効率も悪い。また、石炭の埋蔵量が多いのが西北部であ るが、電力需要が多いのは南東の沿岸地域であり、西北部とは距離が離れている。更には、 今後風力・太陽光発電の大量導入も計画されている。 現在は、送電損失の少なく、長距離の送電に向いている直流超高圧送電線の整備を進め、 西北部から南東の沿岸地域へ電力を送っているが、それらの電力を円滑に行うため、スマー トグリッド技術を導入している。 5) 中東 中東では、急激な経済発展により電力需要が急増している状況である。それに伴い、エネ ルギーの国内消費が多くなってきており、石油の自国消費量を抑えなければならない課題が ある。そのため、資源を温存させるためや太陽エネルギーが豊富な砂漠地帯に大規模な太陽 光・太陽熱発電を導入する目的で、スマートグリッド技術を導入している。 6) 各国のスマートグリッドの導入目的の共通点 国際エネルギー機関(IEA)は「ワールドエナジーアウトルック 2008」で、世界の風 力発電は 2006 年の 1,300 億kWhから、2015 年には 6,600 億kWh、2030 年には 14,900 億kWhになり、その時点での総発電量に占める割合は 4.5%になるとしている。また太陽 光発電については、2006 年には数十億kWh規模だったものが、2015 年には 420 億kWh、 2030 年には 2,450 億kWhまで拡大するだろうと予測している。このように全世界的に、 風力発電や太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入が計画されている。 再生可能エネルギーが増えてくると問題が生じてくる。一般的には電力系統における最低 需要の約 10∼20%くらいが再生可能エネルギーの導入量の限界と言われていた。日本にお いて、この電力系統を各電力会社に読み替えた場合、再生可能エネルギーの導入量には限界 があることがわかる。 18 (2) スマートグリッドに関する各国の課題と対策 世界各地で、スマートグリッド関連プロジェクトが進行しているが、各国によって既存の電力 供給システムの完成度や電気事業体制は異なるため、その課題と対策は異なっている。それらを 整理し以下に示す。 ① アメリカ アメリカの場合は、これまで送配電設備に対する 投資が十分ではなかったため停電が多く、その対策 ■各国の停電時間の比較 分/年 120 として送配電網の改善に取り組んでおり、電力需要 100 の管理促進のため、スマートメーター設置を中心と 80 した事業が進められている。アメリカは、2009 年に、 60 スマートグリッドに関する標準化ロードマップの作 成と、官民連携によるロードマップの不整合と不足 している検討項目の確認を完了させた。さらに、75 のスマートグリッドに関連する既存の標準規格を選 40 20 0 2000 フランス 2001 2002 ドイツ 2003 英国 2004 米国 2005 2006 日本 2007 韓国 出所 海外電力調査会「海外電気事業統計2009」、電気事業連合会 定して、最優先で解決し、調和させるべき 15 の問題 を指定している。 ② ヨーロッパ EU27 ヶ国の再生可能エネルギー比率は、2008 年には 9%に達し、10 年前に比べてほぼ倍増 した。しかし、再生可能エネルギーは季節・天候・時間帯で出力量が大きく変動するため、そ れが大量に電力網に流入(逆潮流)すると電力網が不安定になる。ヨーロッパ各国では、その 対策が進められているが、整理すると以下 3 つの取組に分けられる。 1)エコシティ型 イギリスのロンドン、東イングランドなどに 800 万戸の顧客を持つ配電会社では、将来のス マートグリッドのための、国家レベルの青写真を作成するために、以下の5点に焦点を絞って 実験を行う。 ・ 風力発電 ・ 分散型発電 ・ 電気自動車(EV)&ヒートポンプ ・ スマートメーター ・ ディマンド・サイド・マネジメント(電力供給に合わせた需要調整) 2)余剰電力を利用したEVの利用 スペインでは、風力発電が盛んであり、夜間になると供給過多となる。その余剰電力は 650 万台分に相当する。それを電気自動車(EV)に活用する動きが盛んである。2014 年までに 25 万台の電気自動車を普及させる計画である。EVが普及すれば、運輸部門での脱石油が見 込まれる。 19 3)スマートメーターの高機能化 ドイツでは、再生可能エネルギーの利用率向上のため、情報通信技術を利用したエネルギー システムの構築をめざしている。家電の自動制御や、実験参加者による電力の直接取引が行わ れる予定である。 ③ 中国 中国では、急速な経済発展により、電力不足が深刻である。また、石炭資源は主に中国北部、 水力発電は西南部に集中するが、電力消費量が格段に大きいのは東部である。そこで、大容量 の電力を送電するため、直流特別高圧送電網を整備している。合わせて、従来の送電技術に比 べ、送電距離を延ばしてもロスが少ないスマートグリッド技術で対応する計画である。 (3) スマートグリッドに関する世界の取組 世界各国のスマートグリッドの取組を整理すると、欧米では、スマートメーターの整備が先行 して行われている。また、中国をはじめとした新興国では、経済成長を背景に電力、水道、鉄道、 道路といった社会インフラとセットで取り組んでいるところも多い。そして、GE、IBM、ア クセンチュアをはじめとしたアメリカ企業は、世界の多くのスマートグリッドプロジェクトに参 加している。 ■スマートグリッドに関する世界の取組 ※出典 戦略的な国際標準化への取組の重要性とスマートグリッドにおける状況(2011,経済産業省) スマートメーター制度検討会 報告書(2011,経済産業省) 欧州のスマートグリッド戦略、2010 年省エネ・環境産業・市場の現状と課題(JETRO) 20 (4) 各国の先進的な取組概要の整理 中東・インド・中国は、急速な経済発展にともない、電力不足が深刻化しており、大規模か つ早急な整備が必要となっている。 また、各国がスマートグリッド技術を都市型パッケージにして、技術移転を競い合っている。 日本と海外では、制度的な違いで取組可能な範囲に差がある。例えば、欧米を中心にエネル ギーを個人で取引するための市場構築の取組が進められている。イギリスでは、ネガワット取 引が可能となっている。これは、アグリゲータと呼ばれる中間事業者が、供給側から要求され ている省エネ分を供給側に約束して、あらかじめ契約している顧客に省エネを呼びかけ、そこ から生み出された電力量のインセンティブを得る契約である。 米国 欧州 中東 ・老朽化が著しい送配電網インフラ の更新 ・エネルギー安全保障としての再生 可能エネルギーの大量導入 ・オバマ政権による重点政策化(国 の財政支援) ・IT企業の積極的な投資 ・建築物の環境性能基準(LEED) の普及推進 ・PJ動向としては、 「スマートグ リッド構築型」 「スマートメーター 導入型」「蓄電池重視型」などのP Jが多い ・EUの温暖化対策目標の達成 ・再生可能エネルギー大量導入 ・各国・各都市の環境目標の設定 ・水平型と垂直型が混在する電力業 界 ・大手電力、IT、メーカーなどが 主要プレイヤー ・PJ動向としては、「再生可能エ ネルギー大量導入型」「マイクログ リッド構築型」などのPJが多い ・人口増加と経済成長に伴う電力不 足が深刻化 ・太陽光発電と太陽熱発電が中心 ・スマートシティ構想は再生可能エ ネルギーを中核とした産業育成の 一手段 ・注目PJはマスダールシティ。G E、Siemensなどの欧米主要国が中 心となり、日本の商社なども参画。 インド 中国 韓国 ・急激な経済成長と人口増加による エネルギーや都市インフラ不足の 深刻化 ・IT偏重から製造業立国への転換 ・外国企業の進出とインフラつき工 業団地の増加 ・日本が提案した「デリー・ムンバ イ間産業大動脈構想(DMIC」の 実行 ・日本の官民連携による積極的なP J参入・仕掛け ・主要プレイヤーは日本のスマート コミュニティ関連企業と英国、シン ガポール企業等 ・PJ動向としては、 「全体都市開 発型」が多い ・急増するエネルギー消費の抑制が 急務 ・13のエコシティ(生態城)のモ デル都市の選定 ・海外企業の積極的な受け入れ ・主要プレイヤーは、日本企業をは じめ、シンガポール、マレーシア、 韓国、米国企業が積極的に参加 ・PJ動向としては、 「全体都市 開発型」とともに、急速な都市化へ の対応として「環境調和型」が多い。 ・国を挙げてインフラ輸出に注力 ・電力事情は日本と酷似。安定して いる。 ・済州島をショーケースとして、海 外進出を目論む。 ・主要プレイヤーは、韓国電力、S Kテレコムなど国内大手と、米 Ciscoなど。 ・PJ動向としては、海外展開を目 的とする「海外進出念頭型」となっ ているのが特徴的。 シンガポール ・国全体がインフラ輸出の実験場 ・水関連のインフラビジネスの国際 展開で先行している ・政府と企業が綿密に連携し、新興 国市場を開拓する面で強み ・主要プレイヤーはインフラ系企 業、ディベロッパー等 ・PJ動向としては、 「海外輸出念 頭型」が多い 日本 ・新成長戦略の柱として、環境関連産業を位置づけ ・再生可能エネルギーの大量導入と、信頼性の高い既存系統電力網との 連携が課題 ・海外へのインフラ産業輸出のために、官民連携によるパッケージ化に よる市場参入が急務 ・次世代エネルギー・社会システム実証(4地域)を踏まえ、海外展開 を想定 ・中国、インド、マレーシア等のアジア諸国へ官民連携&インフラ・都 市パッケージでアプローチ ・主要プレイヤーは、重電・電機、商社、自動車、住宅、情報通信企業 等 ・PJ動向としては、 「マイクログリッド構築型」 「海外輸出念頭型」な どが主目的の傾向。 21 (5) 各国のスマートグリッド主要プロジェクト概要(一部例示) ① 米国:コロラド州ボルダー「スマートグリッドシティ」の概要について 世界的に見て、2007 年という早い時期からスマートメーターを大量導入しており、今後の 動向が注目される。 ・スマートメーターの大量導入により、電力消費の見え る化と停電センサーによる安定供給を実現。 ・2010年から、電力料金のパイロットプログラムを開始。 場所 主体 方式 目的 コロラド州ボルダー市 Xcel Energy 社 再開発 電力網の信頼性向上。再生可能エネルギーの導入。 電力消費に関する情報の活用と実証 時期 2007.12∼2009.12(現在も継続中) 予算 13.5 億円 規模 スマートメーター23,000 戸 中心企業 Accenture、Current Group 社、GridPoint 社、 SmartSynch 社 概要 ・双方向の高速デジタル通信網を設置し、送配電 網の自動化 ・スマートメーターを設置し、15 分間隔で電力消 費データを収集。メーターは停電時のセンサーに も。 ・顧客が消費電力の閲覧可能 ・スマートメーターと双方向通信が可能なスマー トサーモスタットなどの家庭内スマート機器を導 入し、確認・調整が可能 資料:http://smartgridcity.xcelenergy.com/ ② 欧州:ドイツ「E-energy」の概要について リアルタイムで電力料金が変わる仕組みをとっており、需要家の設定に応じて、自動的に 家電製品等のオンオフを制御する仕組みの実証を行う。 ・IT基盤を活用したエネルギーマネジメントシステム の構築。 ・特に、マンハイムでは、双方向コミュニケーションの 実現を目指した実証事業。 場所 ドイツ6地域(ハルツ、クックスハーフェン、マ ンハイム、ミュールハイム、バーデン、アーヘン) 主体 連邦経済技術省、連邦環境省 方式 再開発 目的 最新の情報通信技術の導入により、電力システム を最適化する。 時期 2008∼2012 予算 約 69 億円助成 規模 未公表 中心企業 ドイツ国内電力関連事業者(多数)、RWE、 Siemens、SAP、IBM、ABB等 特徴 ・電力システムを自動的に監視、管理、規制する 「エネルギー版インターネット」を開発する。 ・「オンラインでの電子市場」「電力システムのコ ンピュータ化による制御管理」「ネットワーク化」 「再生可能エネルギーの統合」に重点をおいたプ ロジェクトを公募し、6つのPJを採択 ※出典 ドイツ・フランスのスマートグリッド関連動向 (2010,経済産業省) E-ENERGY のホームページ 22 ③ 中東:UAEアブダビ「マスダール・シティ」の概要について 約 6.5 平方キロメートルの広さの新都市をつくり、太陽熱発電の大量導入や無人交通シス テムなどの導入を行う、中東最大のプロジェクトである。 ・GE、Siemensなどの欧州企業や日本の商社が先導して 取り組む中東最大のプロジェクト。 ・太陽熱発電の大量導入や無人交通システムなどの導入が 検討されている。 場所 主体 方式 目的 アブダビ首長国 マスダール市 Abu Dhabi Future Energy Company 新規 最先端のエネルギー技術の研究開発を生かした未 来都市づくり 時期 2006∼2015 予算 約 1 兆 9400 億円 規模 約 6.5k㎡に人口約 5 万人の新都市 中心企業 GE、Siemens、BP、Shell、三菱商事、三井物 産 特徴 ・世界各国の先進環境技術に投資し、マスダール シティを実験場として実用化検討 ・環境技術関連の研究機関を設立し、世界の環境 関連情報を取得 ・最先端エネルギー技術、海水淡水化などの環境 技術を研究開発&導入し、CO2排出量及び廃棄 物ゼロの環境未来都市を実現 資料:マスダールシティ公式サイト(http://www.masdarcity.ae/en/index.aspx) ④ インド:「DMICスマートシティ」の概要について 日本が提案を行い、事業化に向けて官民が連携してインド市場開拓をめざすプロジェクト である。デリー・ムンバイ間産業大動脈上で、5MWの太陽光発電設備を工業団地に導入し、 既存ディーゼル発電機と組み合わせたマイクログリッドを構成することで高品質の電力供給 を行う実証事業を実施する。再生可能エネルギーと蓄電池をパッケージ化し、普及を図る事 を目的としている。 ・日本が提案したデリー・ムンバイ間産業大動脈構想に よる沿線都市開発事業化に向け、先立ってFSを実施。 ・今後、事業化に向け、官民連携によりインド市場開拓 をめざす。 場所 インド4地域(ハリアナ州、グジャラート州チャ ンゴダール、ダヘジ、マハラシュトラ州) 主体 東芝、三菱重工業、日立製作所、日揮 方式 再開発3、新規1(マハラシュトラ州) 目的 最先端のIT、発電、環境技術を生かして、大規 模都市開発事業化につなげる。 時期 2010.3∼2011.3(FS調査期間) 予算 1.6 億円(FS調査予算) 規模 未公表 中心企業 NEC、東京ガス、三菱商事、三菱電機、Jパワ ー、三菱総研、伊藤忠商事、京セラ、東京電力、 Hyflux、北九州市、荏原エンジニアリング、日本 IBM、日建設計、横浜市 特徴 ・ 「デリー・ムンバイ間産業大動脈構想」の一環と して開発プランを策定し、事業化につなげる。 ・事業化計画を策定することにより、事業化に有 利に動けるよう狙う。 ※出典 平成 22 年度実績概要(NEDO) 23 ⑤ 韓国:松島「U-City プロジェクト」の概要について 海外企業の誘致と雇用の増大を目的として、住民にとって魅力的なまちづくりをめざした スマートシティプロジェクトである。 ・海外企業誘致を目的としたサスティナブルシティをめざ す。 ・スマートビルにより構成され、米国LEED認証を受けて いる先進事例地区。 場所 主体 仁川市 松島国際商業地区 韓 国 政 府 、 韓 国 Posco 、 E & C 社 、 Gale International 社 方式 新規 目的 アジア北東のハブとなる商業都市づくり 時期 2009∼2020 予算 約 2 兆 6,000 億円の投資額を予定 規模 2014 年までに松島国際商業地区で人口 6.5 万人を 計画 中心企業 Cisco Systems 社、3M社、United Technologies 社 特徴 ・省エネを徹底したスマートビル、雨水利用や水 の再利用、天然ガスコジェネを柱としたスマート シティ ・海外企業の誘致と雇用の増大が目的であるため、 住民にとって便利で魅力あるまちづくりが進めら れている。 ・全てのマンションにエネルギー使用量と電力価 格の見える化とエアコン温度設定が出来るパネル 設置。 ・米国LEED認証を取得 資料:松島国際商業地区公式サイト(http://www.songdo.com/) ⑥ シンガポール: 「Intelligent Energy Systems」の概要について 大学を拠点として、官民学が連携してスマートグリッドの実証を行い、海外市場への展開 をめざす。 ・産官学連携による実証プロジェクト。 ・世界へのショーケース化と、本PJを契機にスマー トシティの海外市場への展開を目論む。 場所 主体 方式 目的 時期 予算 規模 シンガポール The Energy Market Authority、南洋工科大学 新規 スマートグリッド技術の実証 2009.11∼2013.6 未公表 大学を拠点にし、周辺の工業団地まで実証範囲を 広げる計画 中心企業 Singapore Power 社、Accenture、IBM Singapore 社、Logica Singapore 社、Siemens 特徴 ・系統側と需要側の各要素を制御することにより、 安定的な電力供給体制を構築 ・住宅にはスマートメーター等を設置し、デマン ド゙レスポンスの実験 ・太陽光や風力発電などの分散電源を管理するシ ステムや、EV・充電スタンドを設置して全体を コントロール 資料:The Energy Market Authorityプレスリリース (http://www.ema.gov.sg/news/view/212) 24 2−4 北海道におけるスマートコミュニティのフレーム 現在、世界的な地球温暖化対策の問題、4%という日本のエネルギー自給率の問題などから再生 可能エネルギーの導入が要請されている。そのためには、地域でエネルギーを効率的に「『創り(創 エネ)、蓄えて(蓄エネ)、賢く使う(賢エネ)』ための社会システム」であるスマートコミュニティ の構築が必要となる。その構築により、さまざまな場所でエネルギーが創られるようになると、 震災時においても地域でエネルギーを確保することができるようになるとともに、世界的に市場 規模が拡大している環境関連産業による経済活性化も期待できる。 このような背景のもと、日本、さらには世界中ではスマートコミュニティ関連の取組が進めて おり、前節までに国内と海外におけるスマートコミュニティに関する先進的な取組を整理した。 国内においてスマートコミュニティの構築に向けた取組という観点では、経済産業省の次世代 エネルギー・社会システム実証を実施している 4 地域(横浜市、豊田市、けいはんな学研都市、 北九州市)が最も先進的な取組を進めている。民間プロジェクトでも住宅分譲が中心となるが、 採算性を考慮されたプロジェクトも進められていることから、北海道においてスマートコミュニ ティ構築に向けた取組を進める際には、これら国内での先進技術を活用することが望ましい。な お、次世代エネルギー・社会システム実証、民間プロジェクトともに主に都市部における取組で ある。 一方で、北海道におけるスマートコミュニティの構築に向けた取組という視点では、積雪寒冷 地の特徴を踏まえた取組や、地方部における取組はほとんど進められていない現状がある。 海外ではスマートグリッドに関する事例を整理したが、そもそも日本とは現状と目的が異なる ため、一概に全ての事例を参考にすることはできない。再生可能エネルギー大量導入が主目的で ある欧州は、日本のスマートコミュニティと主目的が合致する部分が多い。特に制度面で再生可 能エネルギー導入と市場構築との関係性を強めることに注力しているので、国内事例に加えて参 考にすべき点であろう。 このような中で、北海道におけるスマートコミュニティの構築に向けては、風力・太陽光・バ イオマスエネルギーなどの国内トップレベルの賦存量を誇る再生可能エネルギー、自動車利用が 必須となる地方部における電気自動車(動く蓄電池としての役割)との連携、農業などの一次産 業での再生可能エネルギー導入、雪氷冷熱利用など、北海道特有の要素があり、既にさまざまな 研究開発も進められている。 これらを踏まえて、北海道における今後の展開については、再生可能エネルギーの系統連系シ ステム、生活行動に即したエネルギー制御、面的なエネルギーマネジメントシステムなどといっ た国内における次世代エネルギー・社会システム実証の内容や電力の見える化、家電などの自動 制御、住宅と電気自動車との電力融通などといった民間プロジェクトにおいて商品化されている 技術に加えて、再生可能エネルギー導入と市場構築との関係性を強める制度等などといった海外 において参考になる特徴的な要素をベースにして、スマートコミュニティの基本要素である誰も がエネルギーを「創り(創エネ)」、「蓄えて(蓄エネ)」、そして「賢く使う(賢エネ)」ためのま ちづくりを展開することが求められる。さらに、スマートコミュニティには北海道特有の要素を 付加することにより、世界的にも例の少ない積雪寒冷地特有のスマートコミュニティや、地方部 におけるスマートコミュニティなどを構築することが望ましい。そうすることにより将来的には、 北海道において積雪寒冷地型のスマートコミュニティを都市パッケージにして、国内・海外への 技術移転を行うことにより産業振興の面でも寄与できると考える。 以下に、当事業で考える北海道におけるスマートコミュニティのフレームイメージを示す。 25 ■北海道におけるスマートコミュニティのフレームイメージ 背景 地 球温暖化 の進展 日本のエネルギー自給率(4%) 災 害 時 の エ ネ ル ギー 確 保 環 境 関 連 産 業 で 経済 活 性 化 国 内に おける先 進的な 取組 海 外に お い て 参 考 に な る 特 徴 的 な 取 組 ○ 系統連系によるエネルギーマネジメントシステム ○ 生活行動に即したエネルギー制御 ○ 交通系・生活系まで含めた街全体の一体的なエネルギ ーマネジメント ○ 市民や事業者が参加してエネルギーを管理するデマン ドサイド・セルフ・マネジメント など 再生可能エネルギー導入に向けた制度面を中心に参考 ○ ○ ○ ○ 建築物の環境性能基準(LEED)(米) スマートメーターの標準化動向(欧米) ネガワット取引(英)などの特徴的な制度 エネルギーのインターネット化(独) など 積 雪寒冷地で の取組 が少な い 都 市部以外( 地方部)で の 取組が 少な い 目 指す姿 スマートグリッド技術を活用して再生可能エネルギーを地域で効率的に「 「 創り (創 エネ )、 蓄え て ( 蓄エネ )、賢 く 使う( 賢 エネ)」ためのまちづくり ○ 「創エネ」 → 太陽光や風力、水力、バイオマス、地熱等の自然エネルギー発電や燃料電池等によるCO2削減型のエネルギー生産 ○ 「蓄エネ」 → 蓄電池や電気自動車、プラグイン・ハイブリッドカー(以下PHV)を動く蓄電池として活用するなどしたエネルギー貯蔵 ○ 「賢エネ」 → スマート家電等を用いたデマンドレスポンスやEMS(エネルギーマネジメントシステム)によるエネルギー利用の最適化 ≪北海道特有の構成要素≫ ● 風力・太陽光・バイオマス・雪氷冷熱エネルギー等、豊富に賦存する再生可能エネルギーの活用 ● 豊富に賦存する再生可能エネルギー大量導入に伴う系統安定化方策 ● 広域分散型、低密な市街地等におけるエネルギーマネジメントシステム ● 熱供給ネットワーク構築等による効率的な熱利用のためのマネジメントシステム ● 人口減少に対応するとともにエネルギー効率化のためのコンパクトシティ ● 広大な用地を要するメガソーラーや風力発電等の大規模再生可能エネルギー導入に向けた土地利用計画 ● 熱融通のために施設間距離を短くした施設配置等、施設間の熱融通に向けた高密度な土地利用 ● 積雪対応の太陽光パネル、耐低温仕様の蓄電池等、積雪寒冷地に適応した機器開発 ● 高気密・高断熱の寒冷地仕様の住宅 ● 優良田園住宅等、山林・農地との近接地における自然共生型住宅 ● 住宅やビル等における高効率熱利用機器の導入 ● 電気自動車の長距離航続化等の長い都市間距離を考慮した交通インフラ ● デマンド交通等の公共交通利便性向上、高齢化社会に対応した公共交通 ● セカンドカーのシェアリング等による自動車の利便性維持を考慮したライフスタイル ● 木質ペレットの活用等による二酸化炭素の排出が少ない暖房 ● 再生可能エネルギー導入に合わせた排出権取引等のビジネス展開 ● 域内資金循環のための市民ファンド など 創 エネ の例 蓄 エネ の例 賢 エネ の例 メ ガ ソ ー ラ ー の立地によるゼロ エミッション型エネルギー生産 蓄 電 池 の導入によるエネルギ ー貯蔵 スマートメーターの設置による 消費電力の「見える化」 燃 料 電 池 の普及によるCO2削 減型エネルギー生産 電気自動車やPHVの導入によ るエネルギー貯蔵 スマートハウスの普及による エネルギー利用の最適化 将来的には、北方圏などを対象に 都市全体をパッケージ化して、技術移転をめざす 26 3章 スマートコミュニティ構成要素の抽出と課題整理 3−1 既往資料からのスマートコミュニティ構成要素の抽出 (1) 国や北海道などが実施したスマートコミュニティに関する調査等の概略整理 ① スマートコミュニティフォーラム(平成 22 年 6 月) スマートコミュニティフォーラムは、スマートグリッドやスマートコミュニティに関連する企 業が集まり、民間主導で議論する場として設置された。その中で、スマートコミュニティの実 現に向けては、これまでの供給側の技術開発に加えて、いかに需要サイドにスマートコミュニ ティ関連設備を普及させていくか、そのために必要な技術開発な何かといった視点で議論がな されている。また、国際市場に対しては、技術・製品単体ではなくパッケージ化を行って展開 することが必要としている。 【スマートコミュニティフォーラム:スマートコミュニティ構成要素の抽出】 ・ 「情報システム・エネルギーシステム・交通システム」の供給側の技術開発を進め、 新しい「社会システム」、 「まちづくり」として需要サイドに導入していくことが重要 ・ 需要家の行動喚起や料金等のソフト面との融合 ・ 国際展開に向けては標準化と各技術のパッケージ化することが重要 【フォーラムのねらい】 ○ 低炭素社会の実現に向けた「需要サイド」からの対策による可能性の追求 ○ スマートコミュニティのあるべきビジョンの共有 ・ 低炭素社会の基盤となる新しい社会システムである「スマートコミュニティ」のある べきビジョンの共有 ○ システムのアーキテクチャーと各要素のあり方の明確化 ・ スマートコミュニティを構成するシステムのアーキテクチャーの明確化 ・ システムを構成する家電、自動車、住宅、蓄電池などの各要素のあり方 ○ システムとして海外展開するためのアライアンス形成と戦略づくり ・ スマートグリッドやスマートコミュニティに関連するシステムで海外展開できる力を 結集するためのアライアンス形成 ・ 日本の強みを活かしたシステムで外貨を稼ぐためのビジネス戦略、国際標準化戦略の あり方 【フォーラムの論点】 スマートコミュニティ=新しい社会インフラであり、新しいまちづくりのコンセプト ○ 情報システムの論点 ・ 論点① スマートメーター(機能、標準化など)・ホームサーバー及びホームネットワ ーク(情報システムアーキテクチャー) ・ 論点② ホームネットワークへの接続(情報システムアーキテクチャー) ・ 論点③ 家庭内情報を活用した新サービス創出 ・ 論点④ 家庭内情報の収集・管理・利活用のルール ○ エネルギーシステムの論点 ・ 論点⑤ 需要側対策の可能性 ・ 論点⑥ デマンドレスポンスの可能性(料金メニュー等ソフト面の需要家理解) ・ 論点⑦ 太陽光発電の出力抑制・蓄電 27 ○ 交通システムとの融合に関する論点 ・ 論点⑧ インフラバッテリーの可能性 ○ 国際展開戦略に関する論点 ・ 論点⑨ 社会システムの国際展開戦略 ○ ビジネスモデル戦略に関する論点 ・ 論点⑩ 国際標準戦略(オープン/ブラックボックス) ■ホームネットワークの全体像イメージ ■現在の供給側のネットワーク概念図:ネットワーク構築の通信方法やコスト負担などが課題 ■供給側と需要側の対策(例) 再生可能エネルギー普及にとって は供給側と需要側の両方で対策が 必要 28 ■需要側での負荷平準化の対策例 ② 再生可能エネルギー技術白書(平成 22 年 7 月、NEDO) 再生可能エネルギー技術白書では、再生可能エネルギーを大量導入していくための種類毎の 課題とロードマップを示している。加えて、再生可能エネルギーを大量導入するための統合シ ステムとして情報通信技術を駆使したスマートグリッドや、市民のライフスタイルの変換も含 めた社会インフラ全体としてのスマートコミュニティの実現が不可欠としている。 【NEDO再生可能エネルギー技術白書:スマートコミュニティ構成要素の抽出】 ・ 「再生可能エネルギー」の大量導入・普及に向けた低コスト化・高効率化や信頼性向 上などの技術開発 ・ バイオマス利用は技術開発のほか、収集運搬を含めた社会システム整備が必要 ・ スマートグリッド技術を確立するには、「情報通信技術」を用いてのシステム統合、 「送配電ネットワーク」連携に向けた実証 ・ 「需要サイド」の通信技術等などが必要や、需要家情報を活用したビジネスモデルの 構築 ・ スマートコミュニティを実現するためには、 「エネルギー」、 「交通システム」 、市民の 「ライフスタイル」の転換などを複合的に組み合わせることが求められる 【再生可能エネルギー技術白書の目的】 今後の再生可能エネルギーの導入拡大、国際競争力の強化に向けた政府や産業界の検討等 に資することを目的として、各種再生可能エネルギーやスマートグリッドについて、分野毎 の現状と課題を調査し、めざす姿の実現に向けた技術ロードマップを策定。 【再生可能エネルギー技術白書の概要】 ○ 再生可能エネルギー別のロードマップ ・ 太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギー(収集運搬システム含む)、太陽熱発電、 波力発電、海洋温度差発電、その他(太陽熱冷暖房、中小水力発電、地熱発電等)の 課題を整理 ・ 再生可能エネルギー普及に向けた共通課題は、高効率化、コスト低減、耐久性向上、 設置可能地域の拡大、系統連系対策、未発達な技術については信頼性向上など、開発 課題は多岐に渡る。 29 ○ スマートグリッドに関する技術ロードマップ ・ 再生可能エネルギー普及に向けた技術では、機器毎の要素技術では高いレベルにある ものの、統合システムでは実証研究などの実績が必要。 ・ 再生可能エネルギー導入拡大、それを支える情報通信技術を駆使したシステムの確立、 新たなサービスなどの同時達成。 ・ システム全体、送配電ネットワーク、需要サイドにおける双方向通信その他の技術開 発・実証を推進。 ・ 需要サイドにおける双方向通信その他の技術開発・実証。 ○ スマートコミュニティに関する技術ロードマップ ・ サステナブルな社会を実現するためにはエネルギー、交通システム、市民のライフス タイルの転換などを複合的に組み合わせたスマートコミュニティの実現が不可欠。 ■スマートコミュニティに関する技術ロードマップ 30 ③ 低炭素都市づくりガイドライン(平成 22 年 8 月、国土交通省) 当ガイドラインには、自治体が低炭素都市づくりを進めるために、シミュレーションや数値 分析手法なども整理されているが、ここでは低炭素都市づくりを進めるうえでの考え方や方針 などについて整理する。 低炭素都市づくりの主な考え方は、土地利用の誘導や交通対策によりコンパクトシティを構 築して、その際の施設更新を契機に再生可能エネルギーを導入、さらには都市開発に合わせた 面的エネルギーネットワークシステムを導入するという流れである。また、緑地保全や都市緑 化による吸収源の確保と合わせて木質バイオマスを利用することも重要としている。 【低炭素都市づくりガイドライン:スマートコミュニティ構成要素の抽出】 ・ 土地利用の誘導や交通対策(低炭素化、機能向上)によるコンパクトシティの構築 ・ 施設更新等を契機にした施設の省エネ化、再生可能エネルギー導入 ・ 都市開発等を契機にした面的エネルギーネットワークの構築(電気、地域冷暖房) ・ 森林保全や都市緑化による吸収源の確保と木質バイオマス利用 【低炭素都市づくりガイドラインの目的】 これから低炭素都市づくりを検討する自治体において活用してもらうため、低炭素都市づく りに関する考え方と対策の効果分析方法を示している。 <ガイドラインの活用場面> ・ 都市計画マスタープランの改定等に際して低炭素都市づくりを都市全体で検討する ・ 都市・地域総合交通戦略等の計画の策定や都市交通施設整備、再開発事業、都市計画施 設の整備等を促進していく際に低炭素化への配慮を行う ・ 新実行計画策定時に都市づくり施策を検討する ・ 低炭素都市づくりのための対策の効果分析を行う 【低炭素都市づくりガイドラインの概要】 <考え方と方針> ○ コンパクトな都市構造の実現と交通対策(拡散型都市構造から集約型都市構造への転換) ・ 集約型都市構造の実現(土地利用の誘導・複合化など) ・ 交通流対策の推進(パーク&ライド・カーシェアリング等の交通需要マネジメントな ど) ・ 公共交通機関の利用促進(コミュニティバス、駅前広場等の交通結節点整備など) ○ エネルギーの効率的な利用と未利用・再生可能エネルギーの活用(エネルギー多消費型都 市活動の改善) ・ 低炭素化に寄与する省エネルギー建物への更新 ・ エネルギーの面的活用(地域暖房、雪氷冷熱の地域冷房など) ・ 未利用・再生可能エネルギーの活用(都市開発を契機とした未利用・再生可能エネル ギーの面的導入促進) ○ 緑地の保全と都市緑化の推進(自然との共生) ・ 吸収源の確保(緑地の保全・創出、市民との連携等による都市緑化の推進) ・ 木質バイオマス利用の推進 ・ ヒートアイランド対策による熱環境改善 31 ■低炭素都市づくりガイドライン−考え方と方針 ■低炭素都市づくりガイドライン−対策メニュー 32 ④ 次世代自動車戦略 2010(平成 22 年 4 月、経済産業省) 次世代自動車戦略では、自動車本体の技術開発に関して蓄電池と資源(レアメタル)がキー となるとしている。加えて、普及に向けては充電器などのインフラ整備や、スマートグリッド と蓄電池との連携が重要としている。また、大量普及をめざす 2030 年頃までには、充電サー ビスを自立的ビジネスとして確立することで生活と電気自動車等を密接に結びつける考えと している。 【次世代自動車戦略 2010:スマートコミュニティ構成要素の抽出】 ・ 「蓄電池」と資源確保が次世代自動車本体の戦略としてはキーとなる ・ 普及に向けては、充電器などの「インフラ整備」が重要となる ・ より次世代自動車を生活と密接に結びつけるためには、スマートグリッドなどの 「エネルギーシステム」と「交通システム」との融合が重要 【次世代自動車戦略のねらい】 2020 年と 2030 年の車種別の国内普及見通し及び目標と、国内外の市場構造見通しを示した 上で、全ての内燃機関自動車と次世代自動車に共通するアクションプランを示す。 その上で、緊急性の観点から、より詳細な戦略策定を要する電気自動車(EV)、プラグイン・ ハイブリッド自動車(PHV)に関して、電池、資源、インフラ整備、システム、国際標準化、 それぞれの観点から戦略及びアクションプランを示す。 【次世代自動車戦略の概要】 33 ■国際標準化ロードマップ(次世代自動車戦略 2010) ■インフラ整備ロードマップ(次世代自動車戦略 2010) 34 ⑤ 北海道エネルギー問題懇談会提言(平成 22 年 3 月) 北海道エネルギー問題懇談会では、需要サイドへのアクションや、産学官金連携による技術 開発、まちづくりへの展開など、エネルギー問題から多岐に渡る取組内容が提言されている。 【北海道エネルギー問題懇談会提言:スマートコミュニティ構成要素の抽出】 ・ 「需要側での行動喚起」のために効果や価値の見える化が必要 ・ 「エネルギー事業」の面では低炭素化と安定供給の両立が不可欠 ・ 災害に強い供給体制の整備が必要 ・ 地域資源を生かしてエネルギー・ミックスと地域活性化を推進する「エネルギー 活用の地域システム構築」が必要 ・ 新市場開拓に向けた「産学官金連携による関連技術開発」 ・ 道内のエネルギー特性や都市構造を考慮した「循環型・コンパクトなまちづくり」 【調査報告書の目的】 北海道のエネルギー需給のあり方や戦略的な取組に関し、本道の特性を踏まえた地域での主 体的な検討を行うため、道内のエネルギー事業者や経済団体、消費者団体、有識者などからな る「北海道エネルギー問題懇談会」を平成 21 年 8 月に設置。 懇談会の開催と並行して、実務者クラスの勉強会の開催や各種の委託調査、企業訪問の実施 を通じて、本道のエネルギー需給構造やエネルギー資源の賦存状況、部門毎のエネルギー消費 の全国との相違点・特性などについて、調査・検討を行った。 ※北海道エネルギー問題懇談会:地球温暖化対策や、エネルギーを軸とした景気対策の活発化などのため、道 内行政機関やエネルギー事業者、経済団体・消費者団体、有識者からなる北海道のエネルギー問題を考える 懇談会 【調査報告書の概要】 ○ 需要側(生活者・企業)における省エネ・新エネの推進 ・ 普及施策の総合的な推進/表彰・認証制度の充実 ・ エネルギー改善メリット、環境価値、投資効果等の見える化 ○ 資源・環境制約に対応した安定供給体制の確立・持続(エネルギー事業者) ・ 環境変化への迅速な対応と効率的・安定的で災害にも強い供給体制の維持確保 ・ 適正競争を通じた安価で選択可能なエネルギー供給 ・ 地球温暖化防止への一層の貢献 ○ 地域資源を生かしたエネルギー・ミックスの多様化と地域活力の創造(地域とともに) ・ エネルギー対策による地域経済活性化の支援(環境エネルギー産業育成等) ・ 国のスマートグリッド、スマートコミュニティ関連事業への参画 ・ バイオ燃料の利用環境の整備(地方SSの活性化も重視した展開) ・ 農山漁村再生など地域活力の創造と社会・環境コスト低減 ○ 環境エネルギー関連市場の顕在化と産業力向上の好循環(挑戦者とともに) ・ 産業間、研究機関、行政、金融機関、NPO等との連携による低炭素化の先進的な取 組、人材育成の推進 ・ エネルギー関連産業誘致の重点展開と立地助成の充実 35 ○ 地球エネルギーの潜在力と産炭地の歴史を生かす次期低炭素社会基盤技術の確立(歴史と ともに) ・ 国等への地下資源開発・効率利用技術高度化戦略プロジェクトの提案・誘致 ・ 炭層メタンガスと新エネルギーを組み合わせた域内循環型でコンパクトなまちづくり ・ 炭鉱文化の保存・継承による地域コミュニティの再生 ⑥ 積雪寒冷地における電気自動車(EV)普及啓発事業(平成 23 年 1 月∼3 月、北海道) 積雪寒冷地における電気自動車普及啓発事業では、EV普及のためには自動車の技術開発 のみではなく、購入者(生活者)への需要喚起や、エネルギーシステムやまちづくりと連携 した活用方法を提案するなど、社会全体との関わり合いを総合的に検討して推進する必要が あるとしている。 【積雪寒冷地における電気自動車普及啓発事業:スマートコミュニティ構成要素の抽出】 ・ 普及に向けては初期需要の創出策などの「購入者の需要喚起」が効果的 ・ 製品のみを普及するのではなく、製品を使うための「インフラ整備」が不可欠 ・ 普及のためには、公共サービスや観光といった多面的な「まちづくり活動」の展開が 重要 ・ 電気自動車とエネルギーシステムやまちづくりとの連携のために地域と連携した実 証が必要 【事業の目的】 積雪寒冷地における電気自動車の導入促進を図るため、地域特性を活かした普及啓発事業 を実施するとともに、充電器等のインフラ整備に向けた検討分析を行うためにアンケート調 査等を実施する。その結果をもとに、EVの需要拡大とインフラ普及、関連産業の創出の好 循環が生まれている状態をめざして検討を行う。 【事業での提案概要】 ○ 提案1:購入者の需要喚起 EVの普及を促進していくためには、EVに関する情報提供や金銭的なインセンティヴ の付与を中心とした初期需要の創出策を推進していくことが効果的である。 ・ ターゲット層を見据えたベネフィットの見える化 ・ 企業のPRの支援 ・ EV利用を通じた地域活性化の支援 ・ 公共サービスの充実と環境・観光・まちづくり活動など多面的に共同利用するモデルを 実証 ○ 提案2:普及支援人材の育成とサポート体制への整備 EVに対する不安要素があるため、EVを取扱う人材育成と、安心して利用できるサポ ート体制の構築が求められる。 36 ○ 提案3:充電インフラの整備 希望する充電設備の設置箇所は、高速道路SA・PA、ガソリンスタンド、道の駅・駐 車公園の順に高い。今後、EVの普及を促進するためには、車両のイノベーションと同時 に、ドライバーのニーズに即して、既存施設の活用を主体とした充電インフラ整備の推進 が不可欠である。 ○ 提案4:社会実験の推進 EVの普及啓発事業を具体化する上では、事業として成り立つかどうかを判断する情報 を収集・分析し、実行可能性を評価する必要がある。したがって、北海道の地域特性に応 じて、地方都市、観光地、地域資源型地域、環境保全地域での社会実験を提案する。 ・ スマートグリッド技術とICTの活用による利用高度化社会システムの実証 ・ EVエコ観光の推進(レンタカー、旅行代理店などとの連携) ・ 都市近郊型のEVモーダルミックスと賑わいのまちづくりの実証(公共交通機関との連 携) ○ 提案5:非積雪期における実証実験(今後の分析課題) 本事業では冬期間におけるEVの走行実験及び利用者アンケート調査からEVの性能検 証や利用者ニーズ等のデータ収集・分析を行った。観光や行楽等によって移動が活発化す る夏期においても同様の調査分析を行い、通年におけるEVの課題を把握する必要がある。 ⑦ 電気自動車(EV)導入普及啓発事業(平成 23 年 6 月∼10 月、北海道) 学官民が一体となって、普及推進に向けたネットワークの整備や初期需要の創出、人材の 育成、充電インフラの整備、社会実験の推進などの取組を進め、EVの需要拡大とインフラ 普及、関連産業の創出の好循環が生まれている状態、すなわち「民需主導の自立的な普及軌 道」への移行をめざすとしている。 【電気自動車(EV)普及啓発事業:スマートコミュニティ構成要素の抽出】 ・ 初期需要喚起のため率先導入に向けた官民連携が重要(企業PR、実証の支援等) ・ 購入者の不安に対する人材育成と利用環境面でのサポートが必要 ・ 住宅や再生可能エネルギーと連携した充電環境の拡大 ・ ドライバーニーズを考慮した充電インフラ整備の優先順位付け ・ 特性の異なる地域での社会実験を行いEVとまちづくりの連携が必要 【事業の目的】 実道における実証実験を行い、充電インフラの整理と初期需要創出のための情報提供を行 う。また、普及支援人材の育成とサポート体制の構築を行うことによって、EV利用者の抱 える課題を取り除き、初期需要を創出する。その結果、EVを取り巻く産業が創出され、道 内経済が活性化されることを目指して検討を行う。 37 【事業での提案概要】 ○ 提案1:EVの初期需要の創出 EVの普及を促進していくためには、EVに関する情報提供や金銭的なインセンティヴ の付与を中心とした初期需要の創出策を推進していくことが効果的である。 ・ ターゲット層を見据えたベネフィット(利得)の見える化 ・ 企業のPRの支援 ・ EV利用を通じた地域活性化の支援 ・ EVの率先導入の促進 ・ 市町村と地域の民間団体等との協働によるEV活用モデル実証への支援 ・ 道内外への戦略的な広報活動の展開 ○ 提案2:普及支援人材の育成とサポート体制への整備 EVに対する不安要素があるため、EVを取扱う人材育成と、安心して利用できるサポ ート体制の構築が求められる。 ○ 提案3:充電インフラの整備 希望する充電設備の設置箇所は、高速道路SA・PA、ガソリンスタンド、道の駅・駐 車公園の順に高い。今後、EVの普及を促進するためには、車両のイノベーションと同時 に、ドライバーのニーズに即して、既存施設の活用を主体とした充電インフラ整備の推進 が不可欠である。 ・ 充電インフラ普及方策 ・ 急速・中速充電器の情報の一元化と整備支援制度の活用促進 ・ EVインフラ導入施設のショーケース化 ・ 普通充電器の開放協力体制の仕組みづくり ・ 住宅のEV充電インフラ施設導入への支援(V2Hの取組紹介、再生可能エネルギーの 有効利用など) ○ 提案4:社会実験の推進 EVの普及啓発事業を具体化する上では、事業として成り立つかどうかを判断する情報 を収集・分析し、実行可能性を評価する必要があるため、北海道の地域特性に応じて、地 方都市、観光地、地域資源型地域、環境保全地域での社会実験を提案する。 ・ スマートグリッド技術とICTの活用による利用高度化社会システムの実証 ・ EVエコ観光の推進(レンタカー、旅行代理店などとの連携) ・ 再生可能エネルギーと観光資源を利用した充電設備の整備とEV活用の実証 ○ 提案5:実道における実証実験 実道における走行調査とアンケート調査を実施し、課題の洗い出しと分析を行うことも 必要である。 ・ 非積雪期・積雪期における電費特性と、冷暖房の使用による伝樋への影響調査 ・ EV利用者の利用実態と利用者が抱える課題を調査 ○ 提案6:新規ビジネス需要の創出 各地域において、地域や施設の特性に応じたビジネスの創出を検討することが望まれる。 38 ⑧北海道EV・PHV普及促進検討研究会(平成 22 年 12 月から継続中) 北海道EV・PHV普及促進検討研究会では、全国企業が先進的な技術開発を進めている EV・PHVについて、北海道において普及を進めるための調査や実験を行っている。その 中では、 北海道の地域特性を踏まえた 視点が重要と考えられている。 【北海道EV・PHV普及促進検討研究会:スマートコミュニティ構成要素の抽出】 ・ ニーズを踏まえた「購入者の需要喚起」 ・ 効果的な選択による「インフラ整備」 ・ 道外先進技術の応用による、積雪寒冷地の特性を踏まえた北海道への製品適用対策 ・ 電気自動車とエネルギーシステムや災害時などとの連携 【研究会のねらい】 北海道では、旅客輸送・貨物輸送において自動車依存性が高いため、環境対応車の導入拡大 が重要な課題となっている。一方でCO2 排出量がガソリン車に比べ格段に少ないEV(電 気自動車)及びPHV(プラグイン・ハイブリッド車)は、一部の地域や企業における実験的・ 広報的な導入にとどまっている。また、積雪寒冷地におけるEV及びPHVの電費性能とそれ に伴う充電施設の設置数・設置施設や走行性能・快適性、酷寒地域での利用可能性等について は十分な知見が得られていない現状にある。 このような背景を踏まえ、学官民が連携した「北海道EV・PHV普及促進検討研究会」を 設立し、北海道におけるEV及びPHVの普及に向けた課題解決、並びに地球環境に配慮した 持続可能なモビリティ確保について検討するものである。 【研究会の構成】 北海道EV・PHV普及促進検討研究会 全体会議 構成メンバー:全研究会会員 開催回数 :年1回程度 北海道EV・PHV普及促進検討研究会 調整会議 《構成メンバー》 ・会長、事務局 ・行政、道路管理者、ディーラー、メーカー、電力会社 及び各会議の議題ごとに会長が指名する会員 EV・PHV普及推進WG 充電インフラ検討WG EV・PHV利用実態WG ・普及啓発イベントの企画 ・普及啓発ツールの検討 ・ニーズ等に関わる調査 ・普及アクションプラン検討 ・整備状況の集約・整理 ・整備状況の提供(HP) ・整備予定状況調査 ・整備プラン検討 ・充電器に関わる技術紹介 ・周辺技術開発情報の収集 など ・EV・PHVの利用実態調査 ・航続距離等、走行性能実態調査 ・充電性能実態調査 ・寒冷地走行の課題分析 ・EV利用者による評価、課題抽出 ・関連イベントへの参加 など など 39 【研究会の活動概要】 ○基礎調査 EV・PHVの現状把握 ・現状の普及状況把握 ・今後展開されるEV・PHV動向の把握 現状の充電インフラ整備状況整理 ・北海道における整備状況把握 ・道の駅等の公共施設における設置可能性 ・整備にかかるコスト把握 ユーザー側のニーズ把握 ・EV・PHVに関する意見・要望 ・充電インフラに関する意見・要望 EV・PHVの蓄電池として活用動向の把握 ・V2H、V2Gの動向 ・災害時の活用事例(バックアップ電源、移動手段等)の把握 ○実証試験 夏・冬期間の航続距離実験 ・車内ヒーター又はエアコン、ワイパー、ライト等、周辺設備使用条件における航続距離の 計測 ・酷寒又は猛暑下における始動性能、航続距離の計測 ・峠部における航続距離の計測(峠部が多い北海道への適用性把握) 夏・冬期間の充電性能実験 ・夏/冬期間における気温別の充電に要する時間データの取得 夏・冬期間の車内利用環境計測 ・夏/冬期間走行時の室温データ及び電気使用量データの取得 →上記調査により充電インフラ整備計画の検討を行う予定 ○情報収集・共有 学官民の構成メンバー及び他地域の先進 学 事例等からの情報提供、情報共有の場 ・EV、PHVの現状及び 将来性についての研究等 ・EV、PHVの開発 ・充電インフラ整備検討 ・各種データ収集等 産 官 ・普及、拡大に向けた 施策・事業等 研究会において意見交換 40 ○普及啓発活動 ・研究会ホームページによる情報発信 ・イベントを活用した広報活動(EV展示・試乗・キャンペーン) ・EV車両(カーシェアリング、レンタカー)を活用した普及促進 ・充電インフラマップ作成、公開 ■EV・PHV普及促進検討研究会ホームページ・普及啓発活動 41 (2) スマートコミュニティ構成要素の抽出 国及び北海道のスマートコミュニティ関連資料より、スマートコミュニティ構築に向けてベ ースとなる基本的な構成要素を抽出した。スマートコミュニティ構築に向けては、エネルギー や情報といった技術分野や、技術を普及させるための社会インフラ・まちづくりの面に加えて、 生活者のライフスタイルの変換や金融面でのサポートといった社会に関する幅広いアプロー チからの関与が必要となる。 これらの基本的なスマートコミュニティ構成要素に加えて、次節にて整理する北海道特有の 地域特性に即したスマートコミュニティ構成要素を加えることにより、北海道におけるスマー トコミュニティ構成要素を整理する。 なお、本項では国及び北海道の関連資料から、国内における基本的なスマートコミュニティ 構成要素を抽出しており、自然・地域構造・交通・ライフスタイルなど、北海道の地域特性に 即したスマートコミュニティ構成要素については次節で詳細に整理を行う。 ■国の関係資料からのスマートコミュニティ構成要素の抽出 【スマートコミュニティフォーラム】 ・ 「情報システム・エネルギーシステム・交通システム」の供給側の技術開発を進め、 新しい「社会システム」、 「街づくり」として需要サイドに導入していくことが重要 ・ 需要家の行動喚起や料金等のソフト面との融合 ・ 国際展開に向けては標準化と各技術のパッケージ化することが重要 【NEDO再生可能エネルギー技術白書】 ・ 「再生可能エネルギー」の大量導入・普及に向けた低コスト化・高効率化や信頼性向 上などの技術開発 ・ バイオマス利用は技術開発のほか、収集運搬を含めた社会システム整備が必要 ・ スマートグリッド技術を確立するには、 「情報通信技術」を用いてのシステム統合、 「送 配電ネットワーク」連携に向けた実証 ・ 「需要サイド」の通信技術等などが必要や、需要家情報を活用したビジネスモデルの 構築 ・ スマートコミュニティを実現するためには、「エネルギー」、「交通システム」、市民の 「ライフスタイル」の転換などを複合的に組み合わせることが求められる 【次世代自動車戦略 2010】 ・ 「蓄電池」と資源確保が次世代自動車本体の戦略としてはキーとなる ・ 普及に向けては、充電器などの「インフラ整備」が重要となる ・ より次世代自動車を生活と密接に結びつけるためには、スマートグリッドなどの「エ ネルギーシステム」と「交通システム」との融合が重要 【低炭素都市づくりガイドライン】 ・ 土地利用の誘導や交通対策(低炭素化、機能向上)によるコンパクトシティの構築 ・ 施設更新等を契機にした施設の省エネ化、再生可能エネルギー導入 ・ 都市開発等を契機にした面的エネルギーネットワークの構築(電気、地域冷暖房) ・ 森林保全や都市緑化による吸収源の確保と木質バイオマス利用 42 ■北海道における各機関の関係資料からのスマートコミュニティ構成要素の抽出 【北海道エネルギー問題懇談会提言】 ・ 「需要側での行動喚起」のために効果や価値の見える化が必要 ・ 「エネルギー事業」の面では低炭素化と安定供給の両立が不可欠 ・ 災害に強い供給体制の整備が必要 ・ 地域資源を活かして地域活性化を推進する「エネルギー活用の地域システム構築」が 必要(排出権取引含む) ・ 新市場開拓に向けた「産学官金連携による関連技術開発」 ・ 道内のエネルギー特性や都市構造を考慮した「循環型・コンパクトなまちづくり」 【積雪寒冷地における電気自動車普及啓発事業】 ・ 普及に向けては初期需要の創出策などの「購入者の需要喚起」が効果的 ・ 製品のみを普及するのではなく、製品を使うための「インフラ整備」が不可欠 ・ 普及には公共サービスや観光といった多面的な「まちづくり活動」の展開が重要 ・ 電気自動車とエネルギーシステムやまちづくりとの連携のために地域と連携した実証 が必要 【電気自動車(EV)普及啓発事業】 ・ 初期需要喚起のため率先導入に向けた官民連携が重要(企業 PR、実証の支援等) ・ 購入者の不安に対する人材育成と利用環境面でのサポートが必要 ・ 住宅や再生可能エネルギーと連携した充電環境の拡大 ・ ドライバーニーズを考慮した充電インフラ整備の優先順位付け ・ 特性の異なる地域での社会実験を行い EV とまちづくりの連携が必要 【北海道EV・PHV普及促進検討研究会】 ・ ニーズを踏まえた「購入者の需要喚起」 ・ 効果的な選択による「インフラ整備」 ・ 道外先進技術の応用による、積雪寒冷地の特性を踏まえた北海道への製品適用対策 ・ 電気自動車とエネルギーシステムや災害時などとの連携 基本的なスマートコミュニティ構成要素 ① 情報システム スマートメーターの標準化、システム構築負担者の明確化、ICT技術によるエネルギー機器の 最適化、エネルギー使用量の見える化 など ② エネルギーシステム 再生可能エネルギーと蓄電池の技術開発(低コスト化、高効率化等)、再生可能エネルギー大量導 入に対応した系統安定化対策、電気自動車等の動く蓄電池としての活用、省エネ機器の導入、既 存発電設備等の低炭素化 など ③ 社会インフラ 充電インフラの拡大、電気自動車等の充電器整備、需給に応じたエネルギー料金設定、熱供給基 盤の整備、公共交通の低炭素化、機能向上、再生可能エネルギー資源の収集運搬システム など ④ まちづくり(都市計画) エネルギー効率化に向けた都市計画(コンパクトシティ、循環型社会形成等)、都市開発や施設更 新を契機にした面的な低炭素化、快適性と省エネが両立した生活空間(商業や観光との連携等) 、 災害時エネルギーの確保 など ⑤ ライフスタイル 省エネ・節電の徹底、負荷平準化や再生可能エネルギー特性に合わせたライフスタイル、自然エ ネルギーの受容(不便さなど) 、シェアリングスタイルの浸透 など ⑥ 金融システム 地域・住民主体の市民ファンド、企業の新規投資を誘導する金融システム、環境価値の取引シス テム など 43 ■既往資料とスマートコミュニティ構成要素との関係整理表 社会 インフラ まちづくり 都市計画 ● ● ○ 再生可能エネルギー技術白書 ○ ● ○ ○ ● ○ ○ ● ● ● ○ ( ) 低炭素都市づくりガイドライン 次世代自動車戦略 2010 ○ 北海道エネルギー問題懇談会提言 ○ ○ ● ○ 積雪寒冷地における電気自動車(EV)普及啓発事業 ○ ○ ● ○ ● 電気自動車(EV)普及啓発事業 ○ ○ ● ● ○ 北海道EV・PHV普及促進検討研究会 ○ ○ ● ○ ● ○:関連のある項目 金融 システム エネルギー システム ● ライフ スタイル 情報 システム スマートコミュニティフォーラム 既往資料 ●:特に重要視している項目 44 ○ 3−2 北 海 道 の 地 域 特 性 や 産 業 構 造 を 考 慮 し た ス マー ト コ ミ ュ ニ テ ィ 構 成 要 素 の 抽 出 (1) 北海道の地域特性に即したスマートコミュニティの構成要素の抽出 前節にて整理した基本的なスマートコミュニティ構成要素について、北海道の地域及び産業 構造を勘案すると、北海道におけるスマートコミュニティ構築において配慮すべき特有の事項 があげられる。 ① 北海道の地域特性 スマートコミュニティに関連する北海道の地域及び産業構造の特性としては、以下のこと があげられる。 【自然・気候】 ・ 北海道には、豊かな自然環境に恵まれており、6 つの国立公園、5 つの国定公園、12 の道 立自然公園がある(総面積は約 86 万ha、北海道全体の 10.4%)。雄大な山岳やそこに 広がる原生林・高山植物、広大な湿原や湖沼などが北国らしい景観を形づくっている。 ・ 北海道は、温帯気候の北限であると同時に、亜寒帯気候の南限に位置している。平均気温 は 6∼10℃程度、年平均降水量は 800 から 1,500mm程度となっている。年間を通じて気 温と湿度が低く、四季の変化がはっきりしているのが特徴となっている。 ・広大な面積を有し、自然にも恵まれている。広大な用地を必要とするメガソーラーや風 力エネルギー、バイオマスなどの再生可能エネルギーの活用に適している。 ・積雪寒冷の気候であるため、除雪融雪への対応、再生可能エネルギー関連などの設備機 器の寒冷地仕様といった技術研究や開発なども必要となる。 【地域構造】 ・ 北海道は、その開拓の歴史などから、広域分散型の地域構造となっている。 ・ 都市間の距離があり、農村部は農家と農家の間が離れている散居集落となっている。 ・ 市街地は、広い面積を活かし都市機能が郊外に拡大した低密度な都市構造となっている。 ・ 人口密度は 70.2 人/km2と全国の約 5 分の 1 で、都道府県別で最も低い数値となってい る。 ・ こうした北海道の地域構造は、公共交通の維持、物やサービスの流通、災害対応などのさ まざまな面で住民生活や産業活動に制約を及ぼしており、寒冷で積雪期間が長いという北 国の厳しい気象条件は、こうした制約をさらに強める要因となっている。 ・人口密度が低く広域分散型の地域構造となっており、特に農村部では散居集落となって いる、都市部だけではなく地方部におけるスマートコミュニティ(交通、土地利用、生 活サービス、災害時対応など)の検討を行うことが求められる。 45 【社会】 ・ 北海道の人口は、2010 年度の国勢調査によれば約 550 万人で、日本の総人口の約 4.3%を 占めるものの減少傾向にある。 ・ 都道府県別に見ると、東京都(1,315 万人)、神奈川県(904 万人)、大阪府(886 万人)、愛 知県(741 万人)、埼玉県(719 万人)、千葉県(621 万人) 、兵庫県(558 万人)に続き、第 8 位となっている。 ・ 高齢化率も 24.3%と全国平均の 22.7%を上回っており、都道府県別で 25 番目に高い比率 となっている。 (平成 22 年 3 月 31 日住民基本台帳ベース) ・高齢化が全国平均より進んでおり、人口減少の傾向にある、スマートコミュニティ構築 に合わせて高齢者支援サービスなどの生活サービスの向上も含めてスマートコミュニ ティに関する検討を行う必要がある。 【交通】 ・ 広域分散型の地域構造を持つ北海道では、自動車への依存度が高く、機関別輸送人員と機 関別輸送貨物を見てもその依存度が全国に比べて高いことがわかる。 ・ また、自動車の保有台数も全国平均より多くなっている。 ・移動手段として自動車利用への依存度が高いため、自動車利用の利便性を大きく低下し ないスマートコミュニティの考え方が必要となる。 ・自動車の保有台数が多いため、セカンドカー利用などはカーシェアリングに転換するな ど、スマートコミュニティの中でのマイカー利用の考え方を整理する必要がある。 ■機関別輸送人員 ■機関別輸送貨物 ※出典 貨物地域流動調査(平成 14 年 3 月,運輸省運輸政策局) 46 ■自動車保有台数 (台) 1.0 自動車保有台数 (人口当たり) 0.8 0.6 保有率 自動車保有台数 0.4 人口数 世帯数 人口あたり 北海道 0.2 全国 北海道 世帯あたり 3,669,026 5,498,916 2,670,572 0.67 1.37 79,144,087 126,230,625 53,549,522 0.63 1.48 全国 ※出典 「都道府県別・車種別自動車保有台数」 (財団法人自動車検査登録情報協会) 「平成 23 年住民基本台帳人口・世帯数」 「平成 22 年度人口動態(都道府県別) 」 (総務省) 【住宅】 ・ 冬期間の寒さを防ぐため、北海道の住宅は高断熱・高気密となっている。また、効率の高 い暖房方式や換気技術により、快適な温熱環境だけでなく省エネ性能も高めた住宅となっ ている。 ・ 北海道では、気候・風土に根ざした、豊かな暮らしを実現するため、「北方型住宅」を推 奨している。 ・ ※北方型住宅は、「長寿命」「安心・健康」「環境との共生」「地域らしさ」というこれからの住まいに求 められる4つの基本的な性能を完備した安心の住まいと定義されている。この基本的な性能をクリアし た家づくりができるよう具体的な基準(ルール)が定められている。 (参考「北方型住宅ECO推進協議 会ホームページ」) ・ 国が平成 20 年度から実施している長期優良住宅の先導的モデル事業に対応するため、北 海道では「北方型住宅」を基本に、断熱・機密性能を国内最高水準にまで引き上げた「北 方型住宅ECOモデル」を提案し、採択された。道内の工務店 80 社によって「北方型住 宅ECOモデル」に適合する補助対象住宅が 123 棟建設されている。 ・ 国土交通省では、住宅政策の一つとして「優良田園住宅」を推進しており、自然的環境の 豊かな地域でゆとりある生活を営むことを求める田園居住に支援措置を設けている。 ・ 高齢化や過疎化などの影響の大きな農山村地域、都市の近郊等において、地域活性化の観 点からも、優良田園住宅を建設して、定住や都市と地域の交流を促進する効果が期待され ている。 ・ 道内では、恵庭市や厚真町をはじめとして 12 の自治体で優良田園住宅が整備されている。 ・北海道のスマートコミュニティでは、北方型住宅や北方型住宅ECOを導入しながら、 進めることが求められる。 ・地方部においては、定住・交流促進といった地域活性化の観点からも優良田園住宅のよ うな自然共生型の居住形態を考慮したスマートコミュニティの考え方を検討する必要 がある。 47 【ライフスタイル】 ・ 北海道では、冬期間、家全体が暖まるよう暖房を効かせ生活するライフスタイルとなって いる。 ・ 一世帯当たりの年間灯油使用量は、1,733.9L となっており、熱需要の高いライフスタイ ルとなっている。 ・北海道では、熱需要の高いライフスタイルとなっていることから、スマートコミュニテ ィの構築では、熱利用の効率化や熱融通を進めることが必要である。 ・同時に、豊富な森林資源を活かし木質燃料など使い、灯油など化石燃料の使用を減らす ライフスタイルが求められる。 ■年間灯油使用量(上位 5 県) 平成18年度 1世帯当たり年間灯油使用量 2000 1500 1000 500 0 北海道 1位 灯油消費量(L) 1733.9 青森県 2位 1662.6 秋田県 3位 1370.5 山形県 4位 1130.8 岩手県 5位 1090.2 全国 581.6 ※出典 平成 18 年度 灯油消費実態調査(2006,経済産業省) ■住宅のエネルギー消費比較 ※出典 自立循環型住宅への設計ガイドライン(国土技術政策総合研究所・ (独)建築研究所、発行: (財)建築 環境・省エネルギー機構) 48 【産業】 ●農業 ・ 北海道は、寒冷で積雪期間が長いなど厳しい自然条件下にあるものの、近代的な農業技術 の導入や生産基盤の整備などにより、稲作、畑作、酪農・肉用牛を中心とした農業を確立 している。 ・ 2009 年の北海道の耕地面積は約 116 万haと全国の 25%を占めており、農業産出額は 1 兆円と全国の約 12%を占めている。耕種部門では畑作物、米、野菜の順に、畜産部門で は生乳が半数以上を占め、生産量は、小麦や馬鈴薯など多くの畑作物で全国一を誇ってい (参考 国土交通省北海道開発局ホームページ) る。 ・ 食料自給率も北海道は全国一位で 200%を超えており、全国平均の 41%を大きく上回る。 日本の食料基地となっている。 ・日本最大である農業規模という地域特性をいかして、農業分野から発生する大量の農業 残渣や家畜ふん尿などのバイオマス資源の利活用が重要となる。 ・農業で使用される化石燃料も多いことが想定されるため、農業機械や農業ハウスなどに おけるスマートコミュニティの構築も求められる。 ■農業生産額の比較 ■都道府県別食料自給率 250 200 150 100 50 0 自給率(%) 北海道 秋田県 山形県 青森県 岩手県 全国 1位 2位 3位 4位 5位 210 176 133 121 ※出典 平成 20 年度(確定値)の都道府県別食料自給率(2008,農林水産省) 49 106 41 ●林業 ・ 北海道の森林面積は、全道総面積の 71%に当たる 54 万haで、全国の森林面積の 22%を 占め、道民一人当たりでは約 1haと、全国平均の約5倍になっている。 ・ 森林のうち天然林は 67%、人工林は 27%となっている。 ・ また森林蓄積は 72,200 万m3に達しており、全国の 16.3%となっている。 ・広大な森林面積を有しているため、熱需要の高い北海道においては、木質バイオマス の利活用が重要な要素となる。 ■北海道と全国の森林面積 区分 森林面積 うち国有林 うち道(都府県)有林 うち市町村有林 うち私有林等 単位 北海道(A) 全国(B) A/B 千 ha 千 ha 千 ha 千 ha 千 ha 5,539 3,056 609 324 1,550 25,097 7,686 1,188 1,642 14,581 22.1% 39.8% 51.3% 19.7% 10.6% 千 ha 千 ha 千 m3 1,502 3,760 722,860 10,347 13,383 4,431,737 14.5% 28.1% 16.3% 林種別面積 人工林面積 天然林面積 森林蓄積 ※出典 北海道林業統計、森林・林業統計要覧 ●水産業 ・ 北海道は、太平洋、オホーツク海、日本海の 3 つに囲まれ、全国の 12.5%にあたる 4,402km の海岸線を有し、北方に広く展開する大陸棚など好漁場を擁している。 ・ 2006 年の海面漁業・養殖業生産量は 139 万トンで全国(565 万トン)の 24.6%、生産額は 2,939 億円で全国(15,279 億円)の 19.2%を占めており、いずれも全国第 1 位である。 ・ 主な水揚げは、ホタテガイ、サケ、スケトウダラ、ホッケ、サンマなどである。 ・農業と同様、北海道の漁業は日本にとっても重要な産業であることから、漁業から発生 するバイオマス資源の利活用や、船舶・加工などにおけるスマートコミュニティの構築 も求められる。 50 ●観光産業 ・ 北海道は、世界自然遺産の知床をはじめとする豊かな自然環境、彩り豊かな四季折々の景 観、心を癒す温泉、豊富で新鮮な食など、国内外に誇れる、優れた資源を有している。 ・ こうした資源を背景に、北海道の観光産業は、第4回北海道観光産業経済効果調査(調査 期間:平成 16 年 7 月∼平成 17 年 6 月)によると、総観光消費額は 12,946 億円と前回(平 成 11 年)調査より 783 億円増加しており、これは本道の基幹産業である農業の産出額(平 成 17 年)10,663 億円に匹敵するものとなっている。 ・既に北海道の基幹産業として成長している観光産業においては、雄大な自然や安心安全 な食などが大きな魅力となっていることが想定される。 ・北海道でのスマートコミュニティ構築においては、宿泊業や交通といった観光に直接関 係する産業に加えて、農林水産業をエコやクリーンなイメージにする取組が重要とな る。 ■北海道の観光消費額の推移 ※出典 北海道観光のくにづくり行動計画(平成 20 年 3 月,北海道) 51 52 ■洋上風力の賦存量分布状況 ■洋上風力の導入ポテンシャル分布状況 ※出典 「平成 22 年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」 (2011 年 3 月,環境省) ■日本の年間最適傾斜角の斜面日射量(kWh/m2・d) ※出典 「太陽光発電フィールドテスト事業に関するガイドライン(設計施工・システム編) 」 (2010 年,NEDO) 53 (2) 北海道の地域特性に即したスマートコミュニティの構成要素と方向性の整理 前項にて抽出した北海道の地域特性に即したスマートコミュニティ構成要素をもとに、北海 道特有のスマートコミュニティ構築に向けた方向性を整理する。 ■北海道の地域特性に即したスマートコミュニティの構成要素と方向性の整理 情報システム ・広域分散型、低密な市街地などにおけるエネルギ ーマネジメントシステム ・熱供給ネットワーク構築などによる効率的な熱利 用のためのマネジメントシステム など 北海道の地域特性 【自然・気候】 ・積雪寒冷の気候 ・森林などの豊富な自然 エネルギーシステム 【社会状況】 ・豊富に賦存する再生可能エネルギー(風力・太陽 光・バイオマス・雪氷冷熱エネルギー等)の大量 導入に伴う系統安定化方策 ・住宅やビル等における高効率熱利用機器の導入 ・雪氷冷熱の有効活用 ・豊富なバイオマスエネルギー活用に向けた社会シ ステム構築(収集・運搬・燃焼といった全体の利 活用システムの構築) ・積雪寒冷地に適応した機器開発(積雪対応の太陽 光パネル、耐低温仕様の蓄電池等) など ・人口減少 ・少子高齢化 【地域構造】 ・広域分散型(市街地と市街地の間に距離) ・農村部は散居集落 ・低密な市街地形成 【交通】 ・自動車依存度が高い 社会インフラ ・自動車保有台数が多い ・長い都市間距離を考慮した交通インフラ 電気自動車の長距離航続化 電気自動車の積雪寒冷仕様 ・高齢化社会に対応した公共交通 デマンド交通等公共交通の機能・利便性向上 ・高気密・高断熱の寒冷地仕様の住宅 ・山林・農地と近接地における自然と共生する住ま い方の住宅地(優良田園住宅等) など 【住宅】 ・北方型住宅(高断熱・高気密) ・自然共生型住宅(地方部) 【ライフスタイル】 ・多い冬期間の暖房需要 【産業】 まちづくり(都市計画) ・一次産業が基幹産業 ・人口減少に対応するとともにエネルギー効率化の ためのコンパクトシティ構築 熱融通に向けた高密度な土地利用 公共施設等の集積によるエネルギー効率向上 ・広大な用地を要するメガソーラーや風力発電など の大規模再生可能エネルギー導入に向けた土地利 用計画 ・メガソーラーや風力発電などの立地規制緩和 観光地における景観性の配慮 など ・豊かな自然を背景にした観光産業 北海道の再生可能エネルギー特性 日本トップクラスの再生可能エネル ギー賦存量 ライフスタイル 風力(42%) ・自動車の利便性維持を考慮したライフスタイル セカンドカーのカーシェアリング セカンドカーの電気自動車購入など ・木質ペレットの活用などにおける二酸化炭素の排 出が少ない暖房 など 太陽光(26%) 中小水力(10%) バイオマス(14%) 雪氷冷熱の活用(67%) 金融 ※カッコ内は全国に占める割合 ・再生可能エネルギー導入に合わせた排出権取引な どのビジネス展開 ・域内資金循環のための市民ファンド など 54 (3) 北海道におけるスマートコミュニティ構成要素の具体例 ① 構成要素別の関連業種及び活用イメージの整理 以下に、これまでに整理したスマートコミュニティ構成要素について、関連することが想定 される企業や団体を整理するとともに、各構成要素が社会の中でのどのように活用されるのか イメージ例を示す。 ■北海道におけるスマートコミュニティ構成要素に係る関連企業や団体・活用イメージ例 ○情報システム 要素 既存系統との連系 全国的な最先端技術 システム構築負担者の明確化 ICT技術によるエネルギー 機器の最適化 エネルギー使用量の見える化 北海道内の産業 低密地域や熱使用などのエネ ルギーマネジメントシステム 関連する企業・団体(例) スマートコミュニティ活用イメージ(例) 電力会社、通信会社、家電メー カー、住宅メーカー、IT サービ ス会社、エネルギー関連事業者 ・発電量が不安定な再生可能エネルギー導 入量を増やすことができる 電力会社、通信会社、家電メー カー、住宅メーカー、IT サービ ス会社、エネルギー関連事業者 ・家電の電力使用量の自動制御(電力使用 ソフト開発会社、インターネッ のピーク時を外すなど) ト企業、家電メーカー、コンサ 外から自宅の家電を操作できる ルタント企業、行政など ・電力会社が遠隔操作で契約アンペアを変 更できる ・自宅のエネルギー使用量が見える インターネット企業、電力会社、 電力使用量の多い家電などを節約する 通信会社 ようになる ・都市部においても地方部にいる高齢者の 見守りができる 札幌市、千歳市内などの情報関 ・熱利用も含めて住宅のエネルギー使用量 連企業集積(サッポロバレーな を減少させるアドバイスを受けられる ど) ※全国的な先端技術を応用することで道 内IT企業にノウハウが蓄積する ○エネルギーシステム 要素 関連する企業・団体(例) スマートコミュニティ活用イメージ(例) 全国的な最先端技術 ・太陽光・風力発電などが火力発電と同等 以下の発電コストとなり、再生可能エネ ルギーが普及する ・住宅やビルに気軽に蓄電池を設置するよ うになり、昼に発電した電力で夜の照明 などを点灯するようになる ・不安定な再生可能エネルギーを蓄電池や 電力の熱変換などにより平準化して、安 定的に電気を使用できる ・電気自動車のバッテリーを活用して住宅 へ電力を供給したり、電力不足の時は既 存系統に電力を流すことで地域の電力 の安定化を行う ・これまでの省エネだけではなく、状況に 応じて電力使用量を自動制御したり、停 止したりするようになる 北海道内の産業 再生可能エネルギーと蓄電池 の技術開発(低コスト化、高効 率化等) 発電機メーカー、電力会社、電 池メーカー エネルギーの安定供給 電力会社、通信会社、電池メー カー、エネルギー関連事業者、 自動車メーカー 電気自動車等の動く蓄電池と しての活用 自動車メーカー、電池メーカー 省エネ機器の導入 家電メーカー、住宅メーカー、 ITサービス会社 既存発電設備等の低炭素化 発電機メーカー、電力会社、エ ・火力発電所の効率が向上するなどして電 ネルギー関連事業者 力全体の低炭素化が進む 豊富な再生可能エネルギー(風 力・太陽光・バイオマス・雪氷 冷熱エネルギー等)の活用 一次産業の事業者、建設会社、 ・未利用であった膨大な再生可能エネルギ 建物管理者 ー資源が活用される 工場・大型事務所 豊富な雪氷冷熱やバイオマス エネルギー活用に向けた社会 システム構築 農業・漁業関係者、運搬会社な ど 55 ・今まで捨てられていた雪やごみなどの資 源がエネルギー資源となって活用され るようになる ○社会インフラ(交通、住宅含む) 要素 全国的な最先端 技術 交通システムとの連携 電気自動車等の充電器整備 長い都市間距離を考慮した交 通インフラ 北海道内の産業 高齢化社会に対応した公共交 通 充電ステーションの整備 自然共生型住宅地の整備 低炭素モビリティ(カーシェア リング、P&R、LRTなど) の導入 高気密・高断熱の寒冷地仕様の 住宅 関連する企業・団体(例) スマートコミュニティ活用イメージ(例) ・電気自動車のバッテリーが増えてピーク 自動車メーカー、公共交通運営 シフトが行われることで火力による発 会社 電所を減らすことができる ・充電きる場所が増えて電気自動車の普及 につながる 不特定多数が訪れる施設管理者 ・不動産価値が向上しマンションなどや周 辺地域が活性化する ・本州に近い品質でEVなどを使用できる 自動車メーカー、研究機関 ・暖房をつけることで航続距離が減少する ことを防げる ・デマンド交通など利用したい場所・時間 公共交通運営会社など などに合わせた交通サービスが展開さ れる ・長い都市間距離を考慮した充電ステーシ 不特定多数が訪れる施設管理者 ョンの整備 ・空気がきれいで市民農園なども楽しめる 建設会社、住宅メーカーなど 快適な住宅地が整備される 自治体、公共交通運営会社など ・マンションや地域単位でカーシェアリン グすることで自動車の台数が減少する 住宅メーカー、研究機関 ・少ない暖房でも暖かい住宅が整備される ○都市計画(まちづくり) 全国的な最先端 技術 要素 関連する企業・団体(例) スマートコミュニティ活用イメージ(例) 北海道内の取組 エネルギー効率化に向けた先 進的な都市の取組 ・ニュースや新聞などで最先端技術を結集 モデル的な自治体など した実証実験などの情報が発信され、環 (北九州市、けいはんな学研都 境意識が高まる 市、豊田市、横浜市など) 快適性と省エネが両立した生 活空間(商業や観光との連携 等) 自治体 ・環境に優しい観光地はブランド化され、 多くの観光客が訪れるようになる 情報提供、補助制度の充実など 自治体 ・太陽光発電などの再生可能エネルギーへ の補助が充実する コンパクトシティの推進 都市部の自治体 ・移動距離が短く、ビル間のエネルギー融 通を行いやすい土地利用が広がる 商業施設、公共施設への利用と 最適化 大規模商業事業者、コンビニ、 学校、自治体など ・商業施設や公共施設に最先端の再生可能 エネルギー機器が導入され、再生可能エ ネルギーが身近なものになる 56 ○ライフスタイル 全国的な 最先端技術 要素 関連する企業・団体(例) スマートコミュニティ活用イメージ(例) 北海道内の取組 省エネ・節電の徹底 国民 ・今以上に日常的な節電などが徹底される 負荷平準化や再生可能エネル ギー特性に合わせたライフス タイル 国民、工場、企業 ・工場の夜間営業など、自然エネルギーに 合わせた生活になる 省エネ・節電の徹底 道民 シェアリングスタイルの浸透 道民 木質ペレットなどを活用した 暖房 道民 ・今以上に日常的な節電などが徹底される ・カーシェアリング、サイクルシェアリン グなどを活用して低炭素型の交通シス テムを実現する ・月に一度、自分でペレットを購入しに行 くようになる ・石油価格が高騰しても影響が少なくなる ○金融システム 要素 全国の先進的取組 北海道内 の産業 関連する企業・団体(例) スマートコミュニティ活用イメージ(例) 地域・住民主体の市民ファン ドやソーシャルビジネスの創 出 自治体、各地域の住民・企業、 金融機関 など ・ニュース・新聞などで市民出資の風力発 電ができたことなどを耳にするので、市 民ファンドなどに係る住民が増える 活性化させる支援システムな ど 自治体、各地域の住民・企業、 ・金融支援で新エネ、省エネの普及を進め 金融機関 など る 地域や住民が主体となった市 民ファンドなどの設立 自治体、各地域の住民・企業、 ・自分の出資した太陽光発電が電気を売っ 金融機関 など て、出資に対する配当を受け取れる 57 ② 北海道におけるスマートコミュニティ構成要素の技術動向 既に北海道ではスマートコミュニティに関連する技術開発などの取組が進められている。以 下にそれらの取組の一部を紹介する。 ■道内民間企業 4 社と北海道立総合研究機構による寒冷地向け道産EVの 1 号車製作 寒冷地向け道産EVの 1 号車を製作し、札幌モーターショー ※ 2012 の会場に展示した。道内をはじめ寒冷地で安心して乗れるE Vの開発を 2011 年 6 月から取り組んでいた。 リチウムイオン電池が 切れたときに備え、LPG(液化石油ガス)を燃料とする充電用の 小型発電機を搭載。また、電力消費を抑えるため、暖まった空気を 車外に逃がさないように天井や床に断熱シートを貼り付け、ヘッド ライトは発光ダイオード(LED)に交換している。 さらに、災害対策として、非常用電源(家庭用交流電源)を備え ている。 ※札幌モーターショー2012:2/17∼19 開催。東京、名古屋、大阪、福岡に次いで国内 5 番 目の開催。北海道初の総合モーターショーとなり、国内自動車メーカーのコンセプトカ ーや最新車、海外メーカーやオートバイなど多彩な展示が行われた。 ※出典 「寒冷地向け電気自動車技術研究会」資料 ■稚内サイト(NEDO)による太陽光パネルの積雪対策実験 稚内サイトでは、2011 年 3 月まで、北海道、東北などの積雪寒 冷地に、太陽光発電所を建設する場合に参考となる、実証実験を 行った。 北海道、東北の一部地域では、風が強く吹いたり、降雪量が多 い地域があり、 そのほかの地域のように、 必ずしも最適傾斜角で、 太陽電池の架台を取り付けることが、対費用効果の面で有利では ないことが分かった。 例えば、積雪が多い地区では、最適傾斜角に比べ若干発電量は減るものの、架台の傾斜角を大 きくし太陽光モジュールの嵩上げやスペースを設けた方が、雪が溜まりにくくなるため、耐積雪 荷重が軽減され、架台コストが下がる。また、風圧荷重が多い地域の場合では、同じく傾斜角を 小さくしたほうが、風の抵抗が減るため、耐風圧荷重が軽減され、架台コストが下がる。 太陽光パネルの設置面積の観点で見た場合、太陽光パネルを支える母屋材は本数が多いため、 軒を付けて力を分散させることにより、同じ強度でより多くの太陽光パネルを据え付けることが できる。 ※出典 大規模太陽光発電システム導入の手引書(2011,稚内サイト・北杜サイト) 稚内サイトにおける実証研究(2009, NEDO) 58 ■SBエナジー(株)による太陽光発電試験場の建設 北海道帯広市(帯広競馬場敷地内)と苫小牧東部地域内(陸側・海 側)の計 3 箇所に太陽光発電試験場を建設した。拠点毎の発電特性 を調査するために国内外 10 社のパネルを設置している。 パネルの性 能評価や日射量と気温によるパネル毎の発電特性調査、積雪対策の 評価・検証、着雪による発電への影響調査など検証を行う。道内の 太陽光発電製造メーカーも試験に参画している。 <2012 年 1 月 月報全システム発電量> 帯広 苫小牧陸側 苫小牧海側 ※出典 「SBエナジー(株)ホームページ」 ■出光興産(株)と国際石油開発帝石(株)による地熱発電の共同調査 北海道阿女鱒岳(アメマスダケ)地域(赤井川村、札幌市)、及び 秋田県小安(オヤス)地域(湯沢市)において、地熱発電の共同調 査を行っている。NEDOにより地熱開発促進調査が実施されてお り、地熱発電が可能な 200℃以上の地下温度が確認されている。両 社は今回の調査で、これらの地域の事業の可能性を探る。 ※出典 「2011.9.14 産経ニュース」 ■丸紅(株)による北海道での地熱発電事業 丸紅(株)が道内での地熱発電事業に乗り出す予定。現在は発電所の候補地を選定中で、掘削 調査などを経て、早ければ 2016 年にも建設する。電力会社に再生可能エネルギーの全量買い取り を義務付ける制度が導入されるのを追い風に、事業参入予定。 ※出典 「2011.10.7 北海道新聞」 59 ■伊藤組モテック(株) (石狩市)による高出力多結晶シリコン太陽電池モジュールの発売 自社ブランドの太陽電池モジュールは多結晶シリコンセルを採用 しており、日本国内において高い製造技術と厳しい品質管理によっ て生産され、国際規格に適合している。積雪地域での使用可能な耐 荷重強度の仕様で、住宅用・産業用にも最適なデザインは日本の屋 根に美しくフィットする。 平成 24 年春頃にはさらに発電効率の高い 単結晶モジュールを商品化する予定がある。 ※出典 「伊藤組モテック(株)パンフレット」 ■京セミ(株) (工場:恵庭市)による球状太陽電池の開発 スフェラーは、京セミ(株)で開発した球状太陽電池で、従来の 太陽電池が平面を使って発電するのに対し、球の形をとることで、 より効率的な発電と柔軟なアプリケーションを可能にしたものであ る。一粒が 1∼2mm程の大きさで京セミ(株)が世界に先駆けて独 自に開発した。 ※出典 「京セミ(株)パンフレット」 ■(株)エコERC(帯広市)により製造された「B5」の一般向け販売 (株)エコERCが製造したバイオディーゼル燃料(BDF)と 軽油の混合燃料「B5」の一般向け販売が、帯広市内のガソリンス タンドで始まっている。ガソリンスタンドで一般販売するのは道内 初。一般の車両も環境に優しい燃料を気軽に使えるようになった。 B5(BDFを 5%混合)は法的にも軽油と同等に扱われ、自動車 メーカーの保証も受けることができる。 ※出典 「(株)エコERC ホームページ」 「2011.6.1 十勝毎日新聞社ニュース」 ■オエノンホールディングス(株) (苫小牧工場)によるバイオガソリン用バイオエタノール製造 オエノンホールディングス(株)苫小牧工場は 2012 年度、トウモ ロコシなど米以外の農作物を使ったバイオエタノールの製造を始め る。 原料を多様化し、生産を安定化させる狙いである。 今年度は、バイオエタノールを 1.5 万kL製造する予定である。 ※出典 「2012.1.11 苫小牧民報社」 「オエノンホールディングス(株)ホームページ」 ■JX日鉱日石エネルギー(株)による道内でのバイオガソリン販売 2012 年 3 月 1 日から、植物由来のバイオエタノールを配合した バイオガソリンの販売を始める。札幌市や胆振、後志地方のガソ リンスタンド約 100 店で販売する。 バイオエタノールは、オエノンホールディングス(株)苫小牧 工場などから調達する。 ※出典 「2012.2.15 朝日新聞」 「JX日鉱日石エネルギー(株)ホームページ」 60 ■鹿追町での国内最大の家畜ふん尿集中型バイオガスプラント建設 鹿追町は、町内 2 カ所目となる集中型バイオガスプラントを瓜幕地区に建設する。一日当たり の最大ふん尿処理量は現プラントの 2.3 倍(223 トン) 、年間発電量は 3 倍で、家畜ふん尿プラン トとしては国内最大となる。2012 年度の着工、2014 年度の供用開始を目指す。 ※出典 「2011.6.1 十勝毎日新聞」 ■(株)土屋ホールディングス(札幌市)によるネットゼロ住宅の研究 国内において寒冷地での技術開発が進んでいないネットゼロ住宅 (住宅の消費エネルギーをつくる側と使う側でゼロにする住宅) を、 カナダから技術提供を受け札幌市で 3 年間に渡り実験し、モデルハ ウスを展示している。太陽光や地中熱ヒートポンプなど寒冷地にお けるベストなエネルギー・ミックスを検討している。 ※出典 「 (株)土屋ホールディングスホームページ」を参考に作成 ■(株)ディンプレックス・ジャパン(札幌市)のショールームがオープン ヒートポンプや太陽光発電などによる冷暖房の効果を実際に体 感することができるショールーム「グリーンラボ」を、札幌市内 にある北海道本社にオープンした。地中熱及び空気熱ヒートポン プをはじめとする省エネ設備や、太陽光発電、太陽集熱パネルな どの「創エネ設備」を設置。ヒートポンプの低温水・冷水システ ムに合わせた放熱機器システムと、季節の環境を再現する涼暖房 体感ルームを備えており、床・壁・天井による輻射式冷暖房と、 一般のエアコンによる冷暖房の違いを体感することができる。 ※出典 「 (株)ディンプレックス・ジャパンホームページ」を参考に作成 ■ 北海道内のパッシブハウス 冬もほとんど暖房の必要がないパッシブハウスは道内でまだ数軒 しかない。札幌市内にある 1 級建築士今川祐二さんの事務所は、木 造 2 階建てで壁の厚さは道が推奨する北方型住宅の 3 倍の 60cm、 屋根には 54cmの断熱材、窓は 3 重ガラスを使い魔法瓶のように熱 を外に逃がさない。ただ、普及には建築費の高さが壁となるため、 札幌市は平成 24 年度からパッシブ住宅の工事費の一部補助を始め る予定となっている。 ※出典 「2011.11.26 北海道新聞」 ■ 伊藤組土建(株) (札幌市)による換気廃熱利用 建物の換気扇の廃熱を熱交換器によって回収し、ロードヒーティ ングなどに利用するものである。ボイラーなどの熱源が一切不要の ため、 灯油式ロードヒーティングと比較するとランニングコストは、 約 89%削減される。ロードヒーティング以外にも、住宅のスノーダ クトの凍結防止、ビルの屋上笠木や窓回りの雪庇(はみ出ている雪 の塊)予防などにも利用可能である。 ※出典 「伊藤組土建(株)ホームページ」を参考に作成 61 ■(株)日伸テクノ(札幌市)による農業用ヒートポンプ・エアハウス・システム 農業用ヒートポンプ・エアハウス・システムは、光を取り入れつ つ外断熱をして、暖房費などを節約するシステムである。遮熱性の 高いフッ素フィルムをハウスの外側に貼り、二重の袋になったとこ とに小さなブロアーで空気を送って層を作り、ハウス全体を包み断 熱性を高める。そして、ヒートポンプで作り出した熱をハウス内に 送り込む仕組みになっている。 ※出典 「日本気象協会シンポジウム資料」を参考に作成 ■ 北海道大学などによる高効率冷暖房・給湯ヒートポンプシステムの研究開発 北海道大学大学院工学研究院の長野教授が中心となって、稚内層珪質頁岩デジカント換気空調 を用いた高効率冷暖房・給湯ヒートポンプシステムを研究開発している。このヒートポンプシス テムは、稚内層珪質頁岩の調湿作用と臭気吸着作用を利用したデシカントユニットと呼ばれるロ ーターをヒートポンプシステムに組み込んだものである。このシステムを使って、冷暖房・給湯・ 換気・除湿を同時、あるいは単独で行い、廃熱を融通し合うと、従来の個別方式に比べてエネル ギー消費量を 45%削減することができる。この特徴を活かせるのは、日本のほか、東南アジア地 域のタイなど高温多湿な地域である。 ※出典 稚内層珪質頁岩デジカント換気空調を用いた高効率冷暖房・給湯ヒートポンプシステムの研究開発 仕様書(2009, NEDO) 省エネルギー技術フォーラム資料(2011, NEDO) ■豊富町による温泉随伴ガスの熱供給 温泉随伴ガスの活用を目的とした、コージェネレーションシス テムの導入による温泉の活性化が、平成 22 年度に北海道の「エネ ルギー『一村一炭素おとし』事業」に採択され、平成 23 年 3 月か ら稼働開始した。 町が事業主体となり、天然ガスコージェネレーションシステム で作った電気を鉱山施設へ供給するとともに、発電機の廃熱で温 泉水を加温して各温泉施設へ供給を行う。 ※出典 「豊富町ホームページ」を参考に作成 62 ■さくらインターネット(株)による石狩データセンター(石狩市)の外気冷房 北海道では、北海道の冷涼な雪氷を冷房に活かした環境負荷の 小さい、環境配慮型のデータセンターの誘致を進めている。さく らインターネット(株)はその立地第1号として、石狩市にデー タセンターを建設し、2011 年 11 月 15 日にオープンした。同日同 敷地内における、コンテナ内に設置されたHVDC(高電圧直流 配電)システムの実証環境も完成した。HVDCシステムと外気 冷房とを活用することにより、東京 23 区内に、従来型のデータセ ンターを建設した時に比べ、電力消費を 50%削減できる。 ※出典 「さくらインターネット(株)ホームページ」を参考に作成 ■セントラルリーシングシステム(株) (札幌市)による新千歳空港の雪氷熱冷房 新千歳空港では、国土交通省が推進する環境に優しい空港「エコ・エアポート」の実現に向け、 雪山を使った水の汚れを表す指標であるBOD低減とCO2削減を同時に達成することを目的と した環境施策を行っている。セントラルリーシングシステム(株)は、千歳空港内で 120,000m3 もの巨大な雪山融解冷水を使って、ヒートポンプによる熱交換を行っている。これにより、エネ ルギー消費を抑えCO2の削減を実現することができる。また、空港内から集められた雪には、 融雪材が混ざりあっているため、その雪を時間をかけて溶かすことにより、BODの汚染度合い が軽減され、環境負荷が低くなるメリットがある。 ※出典 「セントラルリーシングシステム(株)ホームページ」を参考に作成 63 3−3 北海道におけるスマートコミュニティ関連企業等の把握 以下の参考資料からスマートコミュニティに関連する可能性のある事業者数を整理した。全抽 出結果は 2,063 社であり、そのうち、まちづくり(都市計画)が 929、社会インフラが 618、エネ ルギーシステムが 301 となった。 なお、抽出した企業等のうち、517 事業者を対象に事業者アンケートを実施した(4 章参照) 。 ■事業者分類と事業者数 事業者分類 事業者数 主な業種 情報システム 147 ソフトウェア開発、WEB ページ作成 など エネルギーシステム 301 電力・ガス、再生可能エネルギー関連、電気設備 など 社会インフラ 618 建設、交通、自動車 など まちづくり(都市計画) 929 行政、コンサルタント など ライフスタイル 45 NPO、サービス、小売 など 金融システム 23 金融機関、ファンド など 全事業者 2,063 ■参考資料から抽出した分類と業種 参考資料 抽出事業者分類 北海道 環境企業データブック 2010 北海道バス協会 協会員一覧 内閣府 NPO法人検索 一般社団法人 北海道IT推進協会 会員一覧 日本の工業団地一覧 ※スマートコミュニティモデル地域の工業団地については別 途詳細調査 (社)北海道住宅都市開発協会 北海道 EV・PHV 普及促進検討研究会 会員名簿 北海道入札有資格者名簿 建築設計資格者名簿 NEDO北海道支部 「北の大地 自然エネルギーとの共存」 その他(キーワード検索) 「ファンド」、「銀行」など 64 業種 情報システム エネルギーシステム 社会インフラ まちづくり 社会インフラ まちづくり ライフスタイル エネルギーインフラ 情報システム 社会インフラ 情報システム エネルギーシステム 社会インフラ まちづくり 社会インフラ まちづくり 社会インフラ 社会インフラ エネルギーインフラ 自動車、道路 建設 省エネ、新エネ関係 金融システム ファンド、金融機関 全業態 バス、交通 都市計画系NPO法人 省エネ、新エネ系NPO法人 IT関連 全業態 住宅、建設 3−4 北海道におけるスマートコミュニティ構成要素と課題整理 以下、先に整理した北海道の地域特性や産業構造を考慮したスマートコミュニティ構成要素 (3−2)と、北海道におけるスマートコミュニティ関連企業等(3−3)の結果に対して、 北海道における実用化に向けた課題を例示した。 なお、ここでは、全国レベルで進める先進技術の開発ではなく、北海道の地域特性に適用さ せてスマートコミュニティ構成要素を実用化するための課題を整理する。北海道の地域特性を 考慮した先進技術の応用や、道民のライフスタイルへの適用・普及に関する課題などもある。 ■北海道におけるスマートコミュニティ構成要素の実用化に向けた課題 スマートコミュニティ 北海道での実用化課題(例) 産業集積 解決例(一部) 地方部における エネルギーマネ ジメントシステム ・ 住宅単体での低炭素化(ペレットストーブ導入 など) ・ 住宅と農業などの一次産業との連携方策 ・ 農業など一次産業での再生可能エネルギー 利用システムの開発 熱利用効率化シ ステム ・ 熱と電気の相互制御システム ・ 熱伝導管や熱輸送などの効率化、低コスト化 ・ ソフトウェア 開発企業は あ る も の の、エネル ギー関係の システム開 発企業は少 ない ・EVバッテリーに よる農業ハウス の電力源確保 (5-3) ・施設間距離を考 慮した熱供給手 法の選択(5-3) 再生可能エネル ギー大量導入と 系統安定化対 策 住宅やビル等に おける高効率熱 利用機器の導 入 ・ 大規模再生可能エネルギーの需給調整(都 市部と地方部の需給調整など) ・ 積雪寒冷地に適用可能な再生可能エネルギ ー技術の開発 ・ 個々の技術 はあるが、 システム全 体をコーデ ィネートする 企業が少な い ・ 技術開発、 研究する企 業が少ない ・再生可能エネル ギー発電量に合 わせた需要家側 の行動(6-1) ・ EVの寒冷地仕様 の研究(6-1) ・ 自動車関連 企業がある が部品製造 が中心で技 術開発、研 究機能を有 していない ・ 北方型住宅 の研究は進 んでいるが 商品化、普 及には時間 がかかる ・一回の走行距離 の少ない農業な どへ電気自動車 導入(5-3) ・ EVシェアリングの バッテリーを地域 共同蓄電池として 関連付け(5-3) 構成要素 情報 システム エネルギー インフラ 社会 ・ 廃熱や地中熱などの未利用熱の活用 ・ ヒートポンプなどの高効率機器の導入 雪氷冷熱の活 用 ・ 融雪への再生可能エネルギーの適用(廃熱 利用等) ・ 除雪の堆積場での雪氷利用 豊富なバイオマ ス資源の活用 ・ バイオマス収集の地域の協力 ・ バイオマス燃料の需要と供給の同時普及 積雪寒冷地に適 応した機器開発 ・ 寒冷地対応の電気自動車の開発 ・ 積雪対応の太陽光発電の開発 長い都市間距離 を考慮した交通 インフラ ・ 電気自動車の長距離航続化 ・ 電気自動車の積雪寒冷仕様 高齢化社会に対 応した公共交通 インフラ 北方型住宅(高 気密・高断熱) 自然共生型の 住宅地整備 ・ 電気自動車シェアリング導入によるバッテリー 共同利用 ・ セカンドカーの電気自動車導入促進 ・ 充電インフラの拡充(ガソリンスタンド、集客施 設等) ・ 北方型住宅と再生可能エネルギーの組み合 わせ ・ ライフサイクルコストの見える化 ・ 参入住宅メーカーの拡大 ・ 定住、移住対策と合わせた施策展開 ※解決例のカッコ内は、本報告書での整理検討箇所を表している 65 スマートコミュニティ 構成要素 熱融通に向けた 土地利用の誘 導 低密住宅地など のまちづくり方 針の整理 地方部における 公共施設の集 積化 まちづくり (都市計画) メガソーラーや 風力発電などの 大規模再生可 能エネルギーの 立地規制緩和 観光地でのモデ ル的な取組 高齢化対策 ライフ スタイル 金融 システム 北海道での実用化課題(例) 産業集積 解決例(一部) ・エネルギー 施策が位置 づけられて いない自治 体も多い ・廃熱の出る工場 と熱需要の大き い施設を隣接さ せる土地利用 (5-3) ・避難所である役 場の災害時電源 をEV公用車から 確保(5-3) ・ 熱の需給特性を踏まえた土地利用の誘導(熱 の融通) ・ 広い敷地を活用した太陽光発電導入などによ る個別建物の低炭素化 ・ 電力ネットワーク構築が難しい場合は、個別 施設への蓄電池の導入 ・ 公共施設の集積・集約化による熱の効率利用 (熱供給ネットワーク等) ・ 共同蓄電池や電気自動車(公用車)導入によ る災害時電源の確保 ・ 大規模太陽光発電の土地利用規制緩和(工 場立地法の導入率、都市計画法の市街化調 整区域等) ・ 農業振興地域、自然公園などへの再生可能 エネルギー導入規制緩和(農地法、森林法、 自然公園法等) ・ 大規模再生可能エネルギー(風力発電等)の 環境アセスメントの実施 ・ 景観を考慮した再生可能エネルギー導入 ・ 温泉熱等の熱供給ネットワーク構築 ・ 観光客の電気自動車利用促進とバッテリーの 効率的な充放電システムの構築 ・ 限界集落などでの高齢者の見守りサービス ・ 高齢者の移動手段の確保 自動車利便性を 考慮したライフ スタイル ・ セカンドカーのカーシェアリング利用の転換 ・ カーシェアリングのコスト認知度向上 木質ペレット等 を利用した暖房 ・ 地方部などでのまき、ペレットストーブの普及 支援 ・ 住民による木質燃料の収集協力 豊富な賦存量を 背景にした大規 模再生可能エネ ルギーの地域ビ ジネス化(市民 ファンド) ・ 道民への市民ファンドの PR ・ 市民ファンド関連の事業者創出支援 ・ 農業や観光事業者などへの再生可能エネル ギー導入資金のサポート ※解決例のカッコ内は、本報告書での整理検討箇所を表している 66 ・ カーシェアリ ングの道内 企業が少な い ・省エネサー ビスなどを 行うサービ ス企業が少 ない ・ 金融機関で は環境配慮 型融資など が用意され ているが認 知 度 が 低 く、審査をク リアできる 道内企業は 少ない ・ 資金調達や 基金などを 募ってビジ ネス化する 企業が少な い ・エネルギーの見 える化による高齢 者の安否確認 (5-2) ・団地組合による ペレット共同購入 (5-3) ・家庭用太陽光発 電の初期費用を 負担する市民ファ ンドの設立(6-3) 4章 スマートコミュニティに関する各種調査 本章では、北海道の地域特性や産業構造に応じたスマートコミュニティモデルの作成やスマ ートコミュニティ推進方策の検討を行うための事前調査として、アンケート調査や新エネルギ ービジョンなどの既存調査の結果から、本道において導入可能な再生可能エネルギーの種類や 地域特性の整理、再生可能エネルギー導入に関する取組の進捗状況について検証を行い、スマ ートコミュニティ構築に係る課題や問題点などについて整理する。 4−1 スマートコミュニティに関するアンケート調査 本節では、住民、事業者、市町村を対象にしたアンケート調査結果から、スマートコミュ ニティ構築に対する意向や省エネルギー対策や新エネルギーの導入に係る現在の取組状況 などを把握し、スマートコミュニティ推進に向けての課題や問題点などについて検証する。 (1) 住民アンケート ① 調査目的 スマートコミュニティ構築可能性調査事業を実施するに当たり、住民の環境問題に対する 認識や、スマートコミュニティ構築による「ライフスタイル」への影響についての意見を把 握するため、先導モデル地域(恵庭市・千歳市・苫小牧市・厚真町)の住民を対象にアンケ ート調査を行った。 住民アンケートの結果は、本道のライフスタイルに対応したスマートコミュニティの推進 方策を検討する上で活用する。 ② 調査概要 アンケート調査の期間や回収結果などは以下のとおり。 住民アンケート調査概要 調査期間 平成 23 年 9 月 29 日∼平成 23 年 10 月 19 日 調査方法 調査票の郵送 回収 郵送により回収 対象 恵庭市・千歳市・苫小牧市・厚真町の住民 発送部数 200 回収数 50 回収率 25.0% ・回答者属性 ・環境に対する認識 主な設問内容 ・家庭で実施している省エネ対策 ・スマートコミュニティに対する認識 ・家庭でのスマートコミュニティ導入について ・自由意見 67 ③ 住民アンケートの結果 Ⅰ.回答者属性 問 1.性別 男性 82%、女性 18%となっている。 女性 18% 男性 82% 問 2.年代 「70 代以上」 (42%)、 「60 代」 (22%)が多く、合わせると 6 割以上となる。10 代から の回答は得られなかった。 20代 2% 30代 6% 70代以上 42% 40代 8% 50代 20% 60代 22% 問 3.職業 回答者は高齢者が多く、職業としては、その他(無職)が大半となっている。 ① 2% - ② 2% ③2% ④ 4% ⑤ 4% ⑥ 2% ①通信・ネットワーク関連業界 ②電気・電子関連業界 ③半導体関連業界 ④バイオ・食品関連業界 ⑤建築・土木・都市開発関連業界 ⑥アパレル関連業界 ⑦広告・放送関連業界 ⑧サービス関連業界 ⑨調査・コンサルティング関連業界 ⑩その他 ⑧ 10% ⑩ 70% 68 ⑦ 2% ⑨ 2% 問 4.同居している家族の人数について 「2 人」が 36%で最も多い。続いて「1 人」が 20%、 「4 人」18%、 「3 人」12%となって いる。 6人以上 5人 4% 4% 単身 6% 1人 20% 4人 18% 3人 12% 2人 36% 【回答者属性のまとめ】 ●回答者は 48 名のうち、男性が 8 割、女性 2 割。 ●60∼70 代の高齢者からの回答が 6 割。 ●職業については、大半が無職。 ●同居している家族の人数は、2人が4割、1人及び4人が2割、3人が1割。 Ⅱ.環境問題に対する認識 問 5.地球温暖化・エネルギー問題への関心について 「非常に関心がある」が 38%、 「ある程度関心がある」が 62%となっており、回答者全 てが地球温暖化やエネルギー問題への関心を持っている。 あまり関心がない 0% まったく関心がない 0% わからない 0% 非常に関心がある 38% ある程度関心がある 62% 地球温暖化やエネルギー問題関心が非常に高い。 69 問 6.今現在、あなたが省エネに関して行っていることはありますか。(複数回答) 最も多い取組は「①ごみの分別」で 13%、続いて「⑦買い物袋の持参」11%強、 「④ア イドリングストップ」の 11%弱となっている。全体的に省エネ関連の行動を行っている 割合は低いと言える。 0 2 4 6 8 10 12 ①ごみの分別 ②冷房の節電 ③残り湯の活用 ④アイドリングストップ ⑤待機電力のカット ⑥入浴の間隔 ⑦買い物袋持参 ⑧省エネタイプ製品の購入 ⑨冷蔵庫の節電 ⑩省エネタイプの照明の使用 ⑪低燃費車への買換え ⑫車の使用を減らす ⑬新エネルギー機器の導入 ⑭窓の遮熱・断熱 ⑮その他 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ごみを丁寧に分別している 冷房はこまめに切り換え、不要なつけっぱなしはしない 風呂の残り湯を洗濯に使う 車の空ぶかしやエンジンのかけっぱなしをしない テレビなど使用しない家電は、主電源を切ったり、コンセントを抜いている 入浴は間隔をおかずに入るようにし、シャワーはお湯を流しっぱなしにしない 買い物袋が無料支給されるような場所であっても買い物かご(袋)を持参している 電気・ガス・石油機器などを買うときは、省エネルギータイプのものを買う 冷蔵庫は季節毎に温度調節をし、ものの詰め込み過ぎに注意している 照明は省電力タイプのものを使用する より低燃費の車に買い替える できるだけ車を使わない 太陽光発電など、新エネルギー機器を導入する 窓に遮断フィルムや遮光フィルムを貼る その他 現状の生活において省エネに関する行動は、あまり行われてはいない。 70 14 (%) 問 7.今後、個人あるいは地域の取組としてやってみたい(期待したい)省エネルギー・ 新エネルギーはありますか。(複数回答) 「③太陽光発電」18%と最も多く、 「⑧省エネ家電」17%が続いている。 「①木質チップ・ ペレット」や「④地中熱利用」といった熱利用に関する項目は、関心が低い。今後、北海道 における熱利用の取組の重要性を知ってもらう必要がある。 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 (%) ①木質チップ・ペレット ②雪氷熱 ③太陽光発電 ④地中熱利用 ⑤風力発電 ⑥マイクロ水力発電 ⑦電気自動車 ⑧省エネ家電 ⑨電力消費モニター ⑩わからない ⑪その他 ① 木質チップ(廃材や間伐材など細かく刻んだもの) ・ペレット(おが屑のようなものを圧縮して固 めた固形燃料)の利用 ② 雪氷熱利用(冬期に貯蔵しておいた雪や氷を、夏場に冷房などとして利用) ③ 太陽光発電 ④ 地中熱の利用 ⑤ 風力発電 ⑥ マイクロ水力発電(主に小さな河川での小規模な水力発電) ⑦ 電気自動車の導入 ⑧ 省エネ(省電力)家電の購入 ⑨ 電力消費モニターの導入(家の中の家電製品の電力消費量を見えるようにする) ⑩ わからない 個人、地域における取組については、太陽光発電、省エネ家電などに関心が高い。 71 問 8.二酸化炭素の排出量を削減する(地球温暖化対策を進める)ために、どのようなエネル ギー対策が必要だと考えますか。(複数回答) 「②企業や団体による推進」が最も多く、23%。続いて、 「④技術開発の推進」21%、 「⑤ 普及のための補助制度」が 21%弱となっている。住民の意識としては、個人による取組よ りも、企業による取組や行政による補助制度を望む声が多い。 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 (%) ①個人による推進 ②企業や団体による推進 ③法や規制による誘導 ④技術開発の推進 ⑤普及のための補助制度 ⑥わからない ⑦その他 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 個人による徹底した省エネルギーや再生可能エネルギー行動の推進 企業や団体による徹底した省エネルギーや再生可能エネルギー行動の推進 法律や規制による全国民の省エネルギーや再生可能エネルギー行動の誘導 省エネルギー推進や再生可能エネルギー導入のための技術開発の推進 省エネルギーや再生可能エネルギーに関する製品を普及させるための補助制度 わからない その他 エネルギー対策推進には、企業・団体による取組、技術開発が必要 問 9.地球温暖化や再生可能エネルギーの導入に取り組むべきか。 「積極的に取り組むべき」が 74%で最も多く、次に多かった「どちらかというと取り 組んだほうがよい」22%とあわせると、9 割以上の人が地球温暖化や再生可能エネルギー 問題に関心を寄せているということが明らかになった。 取組まなくてよい 2% わからない 2% どちらかというと 取組んだ方が良い 22% 積極的に取組むべき 74% 大半の人が、地球温暖化問題や再生可能エネ ルギーに高い関心を持っている。 72 Ⅲ.スマートコミュニティに関する意見 問 10.スマートコミュニティという言葉の理解について 「概念も含め理解している」は 10%とごく少数であるが、 「名称は聞いたことがあるが 概念は理解していない」22%と合わせると 32%になることから、3 人に 1 人は言葉を聞い たことがあるようである。 「今回はじめて聞いた」38%・ 「概念は理解しているが、名称は聞いたことがない」30% を合わせると 70%近くになっていることから、スマートコミュニティという言葉は認知 度が低いと言える。 概念も含めて 理解している 10% 名称は聞いたことがあるが、 概念は理解していない 22% 今回初めて聞いた 38% スマートコミュニティという言葉の 認知度は低いが、4 割は概念を理解。 概念は理解しているが、 名称は聞いたことがない 30% 問 11.スマートコミュニティに期待すること 32%が「③災害時でも一定の電力や燃料を使用できるエネルギー体制」に期待。続いて、 「②日本のエネルギー自給率の向上」が 29%となった。 東日本大震災に伴い、温室効果ガス削減よりもエネルギー体制やエネルギー自給率への 関心が高まっていることがわかる。 0 5 10 15 20 25 30 35 (%) ①温室効果ガスの削減 ②エネルギー自給率 ③エネルギー体制 ④経済活性化 ⑤わからない ⑥その他 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 温室効果ガスの削減 日本のエネルギー自給率の向上 災害時でも一定の電力や燃料を使用できるエネルギー体制 環境産業の育成や、海外などへの技術の輸出による経済活性化 わからない その他 安定したエネルギー供給体制の確立、エネルギー自給率の向上に大きな期待。 73 問 12.スマートコミュニティの実現によって、日常生活では下記のように便利になる可能 性があります。それぞれどの程度期待しますか。 (単数回答) 全項目において 7 割以上期待するという回答が得られたが、最も期待の多かった項目は、 「①使用電力量の詳細がわかる」約 83%、続いて「⑥災害時に蓄電池の電力を使用でき る」が約 82%という結果となった。スマートコミュニティ構築により、便利になること については全般的に期待が高いという結果となった。 また、 「わからない」との回答が少ないことから、スマートコミュニティ構築後につい て、一定程度イメージができるものと考えられる。 0% 10% 20% 70% 32.6 80% 90% 40.8 50.0 10.2 10.6 38.3 34.0 大いに期待する あまり期待しない やや期待する まったく期待しない 4.1 4.1 4.3 4.3 4.3 10.0 2.0 6.0 12.8 8.7 8.2 2.0 4.1 14.3 32.0 100% 6.3 4.2 6.5 8.2 29.8 30.6 6.3 13.0 32.7 46.8 ⑥ 災害時に蓄電池の電力使用 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 60% 40.8 ④ 余剰熱の購入 ⑦ 災害時に電気自動車バッテリーの活 用 50% 29.2 39.1 ③ 余剰電力の売電 ⑤ 電化製品の遠隔操作 40% 54.2 ① 使用電力量の詳細 ② 自動的な電力料金の値下げ 30% 8.5 2.14.3 どちらともいえない わからない どの電気機器が多くの電力を使っているかなど、使用電力量が詳しくわかり、省エネをしやすくなる 電力使用料金の高い昼間に電力を極力使用しないなど、自動的に電力料金を下げるサービスを受けられる 自宅の太陽光発電機などで発電して、余った電力を売ることができる 近接する工場や大規模施設などで余った熱を購入することができ、 クリーンなエネルギーで暖房することができる 電化製品を外からでも、携帯電話やパソコンなどを使って操作したり、電源を切り忘れていないか確認できる 自宅に蓄電池を設置することで、災害時でも電力を使えるようになる 電気自動車のバッテリーに電気を溜めておけるので、災害時でも電気自動車のバッテリーを活用して自宅で電気を 使えるようになる 使用電力量の可視化、災害時に蓄電池使用をはじめ、全般的にスマートコミュニティ に対する期待度は高い。 74 問 13.スマートコミュニティを実現するために、生活の仕方を少し変えることが必要に なるかもしれませんが、どの程度許容できますか。 (単数回答) スマートコミュニティ構築のために生活の仕方を変えることについては、項目毎に回答 傾向が異なる結果となった。 「③再生可能エネルギーに合わせた生活」、 「④暖房器具の消化・点火に時間がかかる」 、 「⑦公共交通機関の利用」など、普段の行動を少し変えることについては 6 割以上が許容 できると回答している。 一方で、「①電力の制限」、「②従来より高い電気料金」といった費用に関する内容や、 「⑥自動車の共同利用」といった移動に関する内容については、許容できるとの回答が 3 ∼4 割程度と低く、受け入れに抵抗を感じていることがわかる。 0% ① 電力の使用制限 10% 20% 8.5 2.2 ② 従来より高い電気料金 50% 34.0 32.6 十分許容できる あまり許容できない 12.8 やや許容できる まったく許容できない 10.4 14.9 17.4 12.8 8.7 4.3 4.3 4.3 10.9 12.5 100% 6.4 15.2 15.2 22.9 29.2 28.3 90% 14.9 14.9 37.0 25.5 80% 23.9 36.2 18.8 8.5 70% 19.1 21.7 30.4 ⑤ 電気自動車の走行距離の制限 60% 21.3 27.7 ④ 暖房器具の点火・消火時間がかかる ⑦ 公共交通機関の利用 40% 32.6 ③ 再生可能エネルギーに合わせた生活 ⑥ 自動車の共同使用 30% 29.8 6.5 2.2 4.3 6.3 4.3 6.5 どちらともいえない わからない 【自宅にいる時】 ① 再生可能エネルギーの発電量に合わせて、電力の使用制限を求められたり、まれに停電するなどのリスクを伴う ことがある ② 今までよりお金のかかる再生可能エネルギーを使用することで、場合によっては従来より高い電気料金となるこ ともある ③ 天気が良く、太陽光発電の効率の高い時間帯に洗濯を行うなど、再生可能エネルギーに合わせて生活する ④ 樹木からつくられた燃料で暖房を行うため、点火や消火に時間がかかる 【外出している時】 ⑤ ガソリン自動車はたくさんのガソリンを入れることができるので 500km以上続けて走ることができるが、電気自動 車のバッテリーは小さいため200km程度しか続けて走行できなくなる ⑥ 周りの住民と自動車を共同で使うことで、エネルギーを多く使う自家用車の利用を少なくする ⑦ 目的地まで自家用車で行っていたが、近くの駅やバス停まで自家用車で行き、公共交通機関を利用する 少し生活を変えることは許容できる。費用や自動車利用の変化には抵抗感あり。 75 問 14.スマートコミュニティを進める場合、初期投資が増えても、電気使用料金が下がる などで、支払った費用を取り戻していける可能性がありますが、ご意見をお聞かせ ください。 (単数回答) 「②最初の費用負担を 5 年以内に取り戻せるのであれば、最初に費用を負担してもよ い」という回答が 33%と最も多く、続いて、 「③1∼2 年以内」の回答が 27%となった。 全体の 7 割以上が、初期投資を回収できるのであればスマートコミュニティを進めたいと の回答が得られた。再生可能エネルギー全量買取制度の導入後などを契機として、今後は、 ライフサイクルコストでスマートコミュニティ関連費 ⑥ 0% 用を説明していく必要がある。 ⑤ 14% ①最初の費用負担は大きくても、設備が壊れるまでに最初の費 用を取り戻せればよい ②最初の費用負担を 5 年以内に取り戻せるのであれば、最初に 費用を負担してもよい ③最初の費用負担を1∼2年以内に取り戻せるのであれば、最 初に費用を負担しても良い ④取り戻せない可能性があるので、最初に多くの費用は支払わ ない ⑤わからない ① 10% ④ 16% ② 33% ③ 27% 初期投資が回収可能であれば容認。ライフサイクルコストでの費用説明が必要。 問 15.住民などで出資する市民ファンドなどの取組がさまざまな市町村で実施されていま す。数万円単位から出資が可能なものもあります。今後、あなたの地域で実施する としたら、あなたは参加したいと思いますか。(単数回答) 「①利益に関わらず環境負荷低減のために参加したい」は 9%と少数であるが、 「②利 益がなくとも出資額が回収できるなら参加したい」が 53%と最も多く、 「③資産運用とし て利益が出れば参加したい」も 19%であった。 「⑤興味がないので参加しない」は 2%とごく少数であることから、市民ファンドの取 組は、一定の採算性を確保して、住民に対して十分な PR ができれば広がる可能性がある ものと推察できる。 ① ② ③ ④ ⑤ 利益に関わらず環境負荷低減のために参加したい 利益がなくとも出資額が回収できるなら参加したい 資産運用として利益が出れば参加したい 事業に不安があるので参加は見合わせたい 興味がないので参加しない ④ 17% ③ 19% ⑤ 2% ① 9% ② 53% 一定の採算性確保と十分なPRにより、市民ファンドの可能性は広がる。 76 ④ 住民アンケートの考察 ■環境問題に対する認識 地球温暖化・エネルギー問題への関心度 地球温暖化やエネルギー問題への関心は非常に高いが、省エネ行動などの実践は消極的。 現状の日常生活における省エネに関する取組はやや低い状況にあるが、意識として は、地球温暖化やエネルギー問題への関心度は非常に高い。 個人で取り組みたいエネルギー対策 個人・地域では太陽光発電・省エネ家電などの導入に取り組みたい。 個人または地域で取り入れたい省エネ・新エネルギーとしては、太陽光発電、省エ ネ家電が多い。熱利用に関しては関心度が低く、周知を図る必要がある。 エネルギー対策推進に関して 企業・団体による取組、技術開発などを期待。 二酸化炭素排出量を削減するために必要なエネルギー施策は、 「企業・団体等による 取組」、 「技術開発」などに大きな期待が寄せられている。 地球温暖化対策、再生可能エネルギーへの取組 再生可能エネルギーへの関心度も極めて高い。 地球温暖化や再生可能エネルギーの導入に関して、9割以上が取り組む方が良いと いう考えを示しており、積極的に取り組んでいくことが求められる。 住民アンケート結果のまとめ ○環境問題や再生可能エネルギーの導入への関心が高いことから、具体的な省エネの方法 やコスト削減効果を示すことによって、生活スタイルを変えることへの理解をより高め ることが期待できる。 ○利用できる補助制度や導入できる省エネ・新エネの種類、導入メリットの認知が広がれ ば、家庭における省エネ・新エネ機器導入の推進につながる可能性がある。 ○企業や団体でのエネルギー削減に関する取組は、イメージアップや知名度の向上に役立 てることができる。 スマートコミュニティ構築に向けた検討 省エネ・新エネ機器の導入や環境負荷の少ない商品の普及、個人による省エネ行動の実践 を促すために、省エネや新エネに関する情報提供の機会を増やす必要がある。 77 ■スマートコミュニティに関する意見 スマートコミュニティの認知度 スマートコミュニティの認知度は低い。情報提供・共有の推進が必要。 7 割以上の人が名称を聞いたことがないと回答したが、4 割は概念を理解。 スマートコミュニティへの期待 災害時のエネルギー体制の確立、エネルギー自給率の向上に期待。 震災の影響もあり、災害時でも一定の電力や燃料を使用できるエネルギー体制、日 本のエネルギー自給率の向上に特に大きな期待が寄せられている。 便利になることに対して、7割以上が期待。 電力の見える化、災害時の蓄電池使用に関して8割以上が期待。 スマートコミュニティにより便利になることには全般的に期待が高い。特に、使用 電力の詳細を知ことで節電や省エネしやすくなる「電力の見える化」や、災害時に おける蓄電池の使用に関して、8 割以上の高い期待が寄せられている。 スマートコミュニティにおける我慢 ライフスタイルを少し変えることには一定の許容。 コストや自動車の共同利用に関しては抵抗感あり。 再生可能エネルギーの時間に合わせた電力利用、公共交通利用に関して、6 割以上 が生活の仕方を変えることで許容できるとしている。 再生可能エネルギー利用による値上げ、自動車の共有に関しては、6∼7 割が受け入 れに抵抗を感じている。 コストに関しては、ライフサイクルコストで関連費用の説明が必要。 初期投資が増えても、その後回収可能であれば容認する意見が 7 割を占める。ライ フサイクルコストで関連費用を説明することが求められる。 一定の採算性確保とPRで、市民ファンドの可能性もあり。 運用が成立すれば参加したいという意見が 8 割以上を占め、 一定の採算性を確保し、 住民に対して十分なPRができれば、市民ファンドの可能性は広がる。 住民アンケート結果のまとめ ○エネルギー自給率の向上やスマートコミュニティに対する期待は大きいため、再生可能 エネルギー利用に伴う金銭的負担が増えることへの対応策を示すことでスマートコミ ュニティ構築に対する理解や賛同を得ることが期待できる。 ○費用回収や市民ファンドに関する情報提供を行うことにより、金銭的負担への抵抗感を 軽減していく必要がある。 ○自動車の共同利用に対して金銭的メリットを提示できれば、カーシェア利用者の増加が 期待できる。 スマートコミュニティ構築に向けた検討 スマートコミュニティ構築に対する賛同や生活スタイルを変えることへの理解を促すため には、情報提供・共有の推進によって費用面やメリットなどに関しての理解を深めてもらう と同時に、環境負荷の少ない行動をとることへの優遇措置を検討する必要がある。 78 (2)事業者アンケート ① 調査目的 スマートコミュニティ構築可能性調査事業を実施するに当たり、北海道内のスマートコミ ュニティ関連企業の取組状況や、道内の産学官金で今後設立が予定されているネットワーク 組織への事業者の参加意欲を把握するため、全道の道内事業所を対象にアンケート調査を行 った。 ② 調査概要 アンケート調査の期間や回収結果などは以下のとおり。 事業者アンケート調査概要 調査期間 平成 23 年 9 月 28 日∼平成 23 年 10 月 15 日 調査方法 調査票の郵送 回収 WEBサイトから回答 対象 スマートコミュニティに関連することが想定される道内事業者 発送部数 517(うち先導モデル地域 200) 回収数 106 回収率 20.5% ・事業所概要 ・スマートコミュニティに対する認識 ・スマートコミュニティへの関心 主な設問内容 ・スマートコミュニティの取組 ・スマートコミュニティ参入への課題 ・スマートコミュニティへの参入意欲 ・自由意見 79 ③ 事業者アンケートの結果 Ⅰ.事業所の概要について 問 1.2. 事業所名・部署名 問 3.事業所の業種について 建設業 8% コンサル 6% ・ 農林水産業、鉱業、パルプ・紙、鐵鋼、非 金属、輸送用機械、精密機械、銀行業から の回答はなかった。 食料品 8% IT 13% 化学 2% 石油石炭製品 2% 金属製品 1% ・ 農林水産関連は、法人・NPOで企業抽出 したものについて回答があった。 機械 5% リサイクル 8% ・ 法人・NPO関連が 19%と最も多く、次に IT関連の 13%、建設業の 8%と続く 電気・ガス業 5% 大学 7% 電気機器 1% 陸・海・空運送業 2% ・ 要素技術関連企業、銀行等からの回答はな かった。 情報・通信業 3% サービス業 13% 法人・NPO 19% 問 4.事業所の従業員数 ・ 約 40%が 50 人以下の小規模事業体であり、中小規模(300 人以下)合わせると、全体の約 8 割を占める。 ・ 大企業の多くは、道外に本社のある工場や支社か、電力・ガスなどの道内インフラ企業、 大学、新聞社などとなっている。 ■業種別回答結果 3 0 0 人 4 0 0 人 5 0 0 人 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 1 0 4 2 1 0 2 2 15 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 3 0 2 0 7 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 1 1 1 0 0 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 人 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 1 1 4 全 体 積 み 上 げ ) 2 0 0 人 1 0 0 1 人 以 上 ( 1 5 0 人 5 0 1 ∼ 4 0 1 ∼ 0 0 2 3 0 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 3 0 3 2 1 19 3 0 1 ∼ 51∼100人 17.9% 0 0 3 3 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0 7 12 1 4 6 2 41 2 0 1 ∼ 101∼150人 14.2% 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 1 5 1 ∼ 151∼200人 1.9% 50人以下 38.7% 1 0 0 人 1 0 1 ∼ 201∼300人 6.6% 5 0 人 以 下 ∼ 1001人以上 11.3% 501∼1000人 3.8% 301∼400人 5.7% 5 1 0 0 1 1 0 0 1 0 0 0 3 1 0 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 0 12 0 0 8 8 0 2 2 0 0 1 5 1 0 0 5 2 3 0 14 20 7 8 14 6 106 【事業所概要のまとめ】 ●回答企業106企業。 ●農林水産業、鉱業、パルプ・紙、非金属、鉄鋼、輸送機械、精密機械、銀行業からの回答無し。 ●大半が、小規模(50人以下) 、中小規模(300人以下)の事業体。 80 Ⅱ.スマートコミュニティについて 問 5.スマートコミュニティに対する認識 ・ スマートコミュニティを熟知している事業者が全体の約 43%と約半数を占めた。 ・ 今回初めて知ったという事業者も全体の約 25%程度あった。 ・ 業種別に見た場合、建設、機械、大学、コンサルなどの認知度が高く、サービス業やリサ イクル業は低い結果となった。IT関連は、認知している企業と認知していない企業で二 極化した。 ■業種別回答結果 概 念 0 0 4 2 0 0 2 0 0 1 4 1 0 0 4 1 2 0 3 7 5 0 5 5 46 全 体 た 、 スマートコミュニティを熟知しているのは、 46事業所で、全体の半数程度。 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 概 念 、 の 概 念 も 今 回 初 め て 知 0 0 3 2 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2 6 0 2 3 1 20 積 み 上 げ ) ィ 名称は聞いた 事がないが、 概念は理解し ている 名称は聞いた 13.2% 事があるが、 概念は理解し ていない 18.9% スマートコミュ ニティの概念も 含めて理解し ている 43.4% は名 理称 解は し聞 てい いた る事 が な い が っ ュ 今回初めて 知った 24.5% は名 理称 解は し聞 てい いた な事 いが あ る が ( ー 含ス めマ て 理ト 解コ しミ て いニ るテ 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 3 2 0 1 2 0 14 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 6 5 2 5 4 0 26 0 0 8 8 0 2 2 0 0 1 5 1 0 0 5 2 3 0 14 20 7 8 14 6 106 問 6.スマートコミュニティの技術関心について ・ 全体としてエネルギーインフラへの関心が最も高く、ついで情報システム、社会インフラ、 都市計画・まちづくり、省エネや節電の促進に関する取組と続き、金融システムが最も低 かった。 ・ 業種別では、建設、サービス業、大学などで省エネや節電の促進に関する取組への関心が 高い。 ・ 電力・ガス事業者は情報システムとエネルギーインフラに関心が集中している。 ・ 建設、食料品、サービス業、法人・NPO、大学、IT、コンサルに関しては、金融を除 いてまんべんなく関心を示した。 ■業種別回答結果 都市計画・まちづくり 16% 情報システム 18% エネルギーインフラ 28% 社会インフラ 17% エネルギーインフラをはじめ、情報システム、 社会インフラ、都市計画・まちづくり、ライフ スタイルなど関心が高い。 81 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 0 0 3 5 0 0 2 0 0 0 4 1 0 0 3 0 1 0 4 9 2 2 11 3 50 0 0 5 6 0 1 2 0 0 1 5 1 0 0 5 1 1 0 8 13 5 6 10 4 74 0 0 3 4 0 1 1 0 0 0 4 1 0 0 0 1 1 0 4 11 3 2 9 2 47 都 市 計 画 ・ ま ち づ く り 0 0 4 3 0 0 1 0 0 0 3 0 0 0 1 1 1 0 5 10 3 1 8 4 45 省 エ ネ ・ 節 電 の 促 進 0 0 5 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 2 0 7 5 3 1 7 4 38 金 融 シ ス テ ム 該 当 な し 全 体 積 み 上 げ ) 省エネ・節電の促進 14% イ ン フ ラ 社 会 イ ン フ ラ ( 金融システム 4% エ ネ ル ギ ー 情 報 シ ス テ ム 該当なし 3% 0 0 1 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 3 2 0 1 1 0 11 0 0 0 0 1 22 0 24 0 0 0 2 0 6 0 0 0 0 0 1 0 16 0 3 0 0 0 0 0 10 0 3 0 6 0 0 2 33 2 52 1 17 2 15 0 46 0 17 8 273 問 7.スマートコミュニティに対する取組 ・ 既に携わっている事業者が全体の約 1/4。計画のあるなしに関わらず取り組む可能性のあ る事業者を合わせると全体の約 6 割となった。 ・ 既に携わっている事業体で最も多いのは法人・NPO関連。次いでIT、食料品となる。 ・ 将来的な取組の可能性があると回答したのは、建設業、機械、サービス業、法人・NPO、 IT、コンサルなどとなっている。 ■業種別回答結果 て い る ①既に携わっている 27.4% ②今はないが、 取り組む予定がある 4.7% ③計画はないが、 将来的に取り組んで いきたい 30.2% 既に携わっている事業者が29社(全体の1/4) 。 6割の事業者が取り組む可能性あり。 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 取 り 組 む 0 0 2 3 0 0 2 0 0 0 1 1 0 0 2 0 0 0 3 6 2 1 4 2 29 に③ 取計 り画 組は んな でい いが き た将 い来 的 ④ 取 り 組 む 予 定 は な い 、 ④取り組む予定はな い 14.2% 、 ⑤わからない 23.6% 予② 定今 がは あな るい が 0 0 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 0 0 5 0 0 3 2 0 0 0 0 0 1 2 0 0 0 1 0 0 0 4 6 4 2 3 4 32 ⑤ わ か ら な い 全 体 積 み 上 げ ) っ ① 既 に 携 わ ( ・ 情報・通信業は今後取り組む予定はない。 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 1 0 1 4 0 1 1 0 15 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 1 2 0 6 3 1 4 6 0 25 0 0 8 8 0 2 2 0 0 1 5 1 0 0 5 2 3 0 14 20 7 8 14 6 106 問 8.スマートコミュニティに対する取組内容 ※問 7 で①・②・③を回答した事業者対象 ・ 実際の取組内容で最も多いのはエネルギーインフラで約 44%、次いで省エネや節電などの 促進に関する取組の約 15%。 ・ 社会インフラと都市計画・まちづくりはそれぞれ約 1 割程度となった。 ・ 本カテゴリーに該当しないという回答が約 17%となった。 ・ 建設、機械、電気・ガス業、コンサルタントはエネルギーインフラに取組が集中している。 ■業種別回答結果 エネルギーインフラ 43.9% 都市計画・まちづくり 9.1% 社会インフラ 9.1% 取組内容は、エネルギーインフラが最も多い。 次いでライフスタイルとなっている。 82 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 2 1 3 0 7 7 1 5 7 0 40 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 2 1 3 0 7 7 1 5 7 0 40 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 2 1 3 0 7 7 1 5 7 0 40 都 市 計 画 ・ ま ち づ く り 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 2 1 3 0 7 7 1 5 7 0 40 省 エ ネ ・ 節 電 の 促 進 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 2 1 3 0 7 7 1 5 7 0 40 金 融 シ ス テ ム 該 当 な し 全 体 積 み 上 げ ) 省エネ・節電の促進 15.2% イ ン フ ラ 社 会 イ ン フ ラ ( 情報システム 6.1% エ ネ ル ギ ー 該当なし 16.7% 情 報 シ ス テ ム 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 2 0 0 0 2 1 3 0 7 7 1 5 7 0 40 0 0 0 0 1 7 2 14 0 0 2 14 0 0 0 0 0 0 0 0 2 14 0 0 0 0 0 0 2 14 1 7 3 21 0 0 7 49 7 49 1 7 5 35 7 49 0 0 40 280 問 9.取組の具体的内容について(記述回答)※問 8 で「取り組んでいる」と答えた事業者対象 取組内容で最も多いのは、エネルギーインフラに関するもので、次いで、ライフスタイル に関するものという結果になった。ただ、北海道ではなく東京本社で行っているという意見 も多く、北海道での推進を進めるに当たっての検討材料の 1 つとなるだろう。 所在地 旭川市 建設 食品 実際の取組内容 ・電気自動車i−MiEV1台を導入(2011年1月)。 ・太陽光発電システムやエコキュート、ヒートポンプ暖房の設置施工に取り組む。 札幌市 ・太陽光発電実証設備 社屋壁面(垂直:90 度)への太陽光パネル(56 枚 10kW)設置。 札幌市 ・冷暖房の設定温度(冷房27℃以上、暖房20℃以下)。 ・昼休み時間の消灯。 ・未使用PC等の電源OFF。 ・デマンド管理システムの導入による管理。 札幌市 ・省エネルギー技術。 ・電池搭載EV充電器。 札幌市 ・太陽光発電や蓄電池などを備えた住宅の供給。 恵庭市 ・コージェネレーションシステム。 苫小牧市 ・米を主原料としたバイオエタノールの製造・販売(平成 23 年 9 月末現在、技術実証期間中)。 釧路市 ・エネルギー効率化。 札幌市 ・新規事業所へのソーラーパネル稼働。 ・飲料の自動販売機へのソーラーパネル搭載。 小樽市 ・排水を再利用したヒートポンプ導入。 東京都渋谷区 ・工場にて、①ボイラー・冷凍機の高効率設備への更新、コジェネ導入。②仕込工程で排熱回収、新煮沸システム導入。③メタン発酵排水 処理設備への更新とメタンガス回収利用。④ヒートポンプの積極活用。⑤ESCO 事業を利用した省エネ設備導入。 石油・ 石炭 札幌市 ・充電インフラを中期計画で導入(23 年度実績・札幌市内 3 箇所(急速充電器 3 基 普通充電器 1 基))。 札幌市 ・地域EMSと急速充電EMSを連動させ、エネルギーを蓄電池に充電することによって、EVに提供。 ・蓄電池付EV急速充電サービスを実証(2011FY∼2014FY)。(北九州スマートコミュニティ創造事業) 帯広市 ・再生可能エネルギーを利用した発電網の構築。 金属 室蘭市 ・熱の再利用・回収。 札幌市 ・再生可能エネルギーを水電解装置を経て水素生成し、有機ハイドライドとしてエネルギーを貯蔵。有機ハイドライドとして水素貯蔵すること で、長期間貯蔵(需要の平滑化)したり、遠距離の需要地にタンクローリー等で輸送供給。 電力・ ガス サービス 札幌市 ・計画策定支援、設計・構築、将来的な運用・保守を考えている。 札幌市 ・札幌都心部におけるスマートエネルギーネットワークの構築。 札幌市 ・分散型新エネルギー実証事業:太陽光発電のデータ収集、評価等 ・スマートグリッド実証事業。 ・全体制御・協調による高信頼度・高品位 の低炭素電力供給システムの実証等。 札幌市 ・家庭用の廃食用油を回収し、BDF燃料にリサイクルしている。 札幌市 ・レンタカー事業自体が車をシェアリング。 ・ハイブリッド車の積極的導入。 ・自社店舗における照明や看板をLEDに変更。 足寄町 ・熱エネルギーを作る、ためる、送る。 苫小牧市 ・事業活動にて消費する電力に太陽光発電などを検討中。 札幌市 ・地域分散型エネルギーシステムの構築に向けた調査・研究(石炭資源を利用)。 札幌市 ・BDF燃料の回収し、BDFバスの運行やBDFイルミネーション点灯行事の実施。 札幌市 ・地熱・地中熱の開発・利用に関する研究。 札幌市 ・太陽熱や地熱及び排熱のエネルギー利用研究と技術開発中。 ・取り出したエネルギーを直接電力に変換する製品と、不活性ガス及び吸蔵合金等を使用した往復運動や回転運動の動力で発電を行う装 置の製品と送水ポンプの製品を作成。 ・地熱や排熱等の熱源を装置の中でカスケード利用し、エネルギーを有効利用。 札幌市 ・EV(電気自動車)の普及促進(充電インフラ、利用実態把握の検討)。 札幌市 ・冷暖房の運転の規制。 ・クールビズ、ウオームビズの徹底。 中標津町 ・家畜糞尿を利用したバイオガス生産と熱源としての利用。 帯広市 ・再生エネルギーの普及啓発活動及び地域振興。 札幌市 ・施設内蓄電設備の整備。 法人・ NPO 大学 リサイ クル業 IT コンサル 札幌市 ・省エネ・節電。 札幌市 ・次世代自動車の検討。 札幌市 ・太陽光発電や風力発電に関する研究。 帯広市 ・廃棄物焼却廃熱の有効利用を検討中。 北広島市 ・廃油を再生重油として利用。 札幌市 ・バイオマス燃料等。 札幌市 ・再生可能エネルギー・省エネルギー・水素エネルギーの導入・計画・検討・提案を実施。 札幌市 ・EA21の認証取得により、省エネ・節電等の活動を実施。 釧路市 ・エネルギーの見える化システム。 札幌市 ・オフィスビルのスマート化(東京本社にて)。 札幌市 ・気候変動対応道路(未利用熱の空気を利用した融雪システムにおいてCO2削減)。 ・ネイチャーグリッド(自然、再生可能エネルギーを最大限利用し、新エネルギー機器との協調性制御によりCO2削減)。 札幌市 ・エネルギーインフラ、交通、情報、上下水、医療など多様な都市インフラの最適管理、効率化によるスマートコミュニティ構築を、調査・計 画・設計面から参与していきたい。 旭川市 ・地中熱利用の促進(地中熱採熱のためのボアホール掘削)。 83 問 10.スマートコミュニティ参入への課題 ・ 参入課題として事業者が考えているものとして、情報不足、人的・金銭的制約、ノウハウ・ 技術的な事情など、多岐に渡っている。 ・ 中でも、情報の不足と考えている事業者が約 19%と最も多かった。以下、中長期的な投資を する余裕がないが約 17%、補助金・支援金が不十分であるが 16%、人的余裕がないが約 14% となっている。 ・ その他の理由・意見として、「自治体主導などきっかけが必要」、「対費用効果の見極めが必 要」、「参加できるプロジェクトがない」などがあった。 0 0 2 2 0 1 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 4 8 2 4 7 2 34 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 1 0 5 0 0 3 6 0 1 0 0 0 1 1 0 0 0 3 0 2 0 5 6 3 5 5 0 41 0 0 4 5 0 1 1 0 0 0 3 1 0 0 1 0 0 0 3 4 3 4 5 4 39 ビ 将 0 0 0 2 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 5 3 2 3 6 1 25 0 0 2 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 0 0 0 2 8 0 0 2 3 0 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 3 4 1 2 5 3 26 参入課題は、コスト面での制約(支援制度不十分、投資余力が無い) 、情報不足、人的制約。 84 そ の 他 わ か ら な い 全 体 積 み 上 げ ) 0 0 4 4 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 1 1 2 0 5 7 4 5 9 3 47 自 社 技 術 や サ 他 の 事 業 者 と の 連 携 が 必 要 、 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 来市 性場 がに な魅 い力 が な い 市 場 が 成 熟 し て い な い ー 現状では補助金・支援制度 が不十分である 中長期的な投資をする 16.0% 余裕がない 16.8% PR活動する機会がない 2.0% 支 援 制 度 が 不 十 分 で あ る ス技 の術 分開 野発 にの 合ノ 致ウ しハ なウ いが な い ︵ 技術開発やサービスを 提供する人的余裕がない 13.9% 現 状 で は 補 助 金 ︵ 技術開発のノウハウがない (自社技術やサービスの分野 に合致しない) 10.2% ビ ス を 提 供 す る 人 的 余 裕 が な い 中 長 期 的 な 投 資 を す る 余 裕 が な い ︶ 市場に魅力がない(市場が成 熟していない、将来性がない) 3.3% P R 活 動 す る 機 会 が な い ︶ 情報が不足している 19.3% 技 術 開 発 や サ 、 情 報 が 不 足 し て い る ー 他の事業者との連携が必要 10.7% ■業種別回答結果 わからない 4.1% ( その他 3.7% 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0 1 0 1 0 1 1 0 0 0 1 9 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 2 3 1 0 2 0 10 0 0 18 23 0 6 4 0 0 3 11 1 0 0 6 4 6 0 30 37 16 23 40 16 244 問 11. スマートコミュニティに対する研究開発や投資への意欲 ・ 自発的に取り組みたいと考えている事業者は約 6%、支援があれば取り組みたいという事業 者と合わせると約 27%がスマートコミュニティへの投資を前向きにとらえている。 ・ また、関心はあるが取り組むかどうかわからないと回答した事業者が全体の約 43%と半数近 くを占めた。 ■業種別回答結果 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 事業化に取り組むか どうかはわからないが 関心はある 43.4% 約 30%の事業者が投資に前向き。 85 わ事 か業 ら化 なに い取 が組 関む 心か はど あう るか は 0 0 6 5 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 3 0 2 0 5 6 5 4 5 3 46 特 に 関 心 は な い わ か ら な い 全 体 積 み 上 げ ) 特に関心はない 9.4% 行政や企業から支援 金をもらえるのであれ ば事業化に取り組み たいと思う 21.7% 取ら行 組え政 みるや たの企 いで業 と あか 思れ ら う ば支 事援 業金 化を にも 0 0 1 2 0 0 0 0 0 1 2 1 0 0 0 1 0 0 1 6 1 1 4 2 23 ( わからない 19.8% 自前の資金を投じても 事業化に取り組みた いと思う 5.7% 化自 に前 取の 組資 み金 たを い投 とじ 思て うも 事 業 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 1 6 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 3 1 1 1 0 10 0 0 0 0 0 8 1 8 0 0 1 2 0 2 0 0 0 0 0 1 0 5 0 1 0 0 0 0 0 5 1 2 1 3 0 0 6 14 5 20 0 7 2 8 4 14 0 6 21 106 問 12.スマートコミュニティに関する情報交換や普及を促進するための協議会が発足された場 合、参加するか否か ・ 34%が協議会への積極的参加の意思があると回答。 ・ 情報のみ提供してほしいと回答したのが約 20%で、全体の約 54%が協議会との接点は持ち たいと考えている結果となった。 ■業種別回答結果 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 参加はしないが、 情報のみ提供し てほしい 19.8% 0 0 2 2 0 0 2 0 0 1 2 0 0 0 2 1 1 0 4 5 4 1 5 4 36 0 0 1 3 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2 0 1 0 0 4 0 3 3 2 21 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 1 1 2 0 9 0 0 4 3 0 2 0 0 0 0 1 1 0 0 1 1 1 0 10 7 2 3 4 0 40 3割強が参加意欲あり。情報提供のみを合わせると、全体の 54%(57 の事業所)が協 議会との接点を持ちたいと考えている。 86 全 体 積 み 上 げ ) 参加するつもりは ない 8.5% 是非参加したい 34.0% わ か ら な い 参 加 す る つ も り は な い ( わからない 37.7% み参 提加 供は しし てな ほい しが い 情 報 の 、 是 非 参 加 し た い 0 0 8 8 0 2 2 0 0 1 5 1 0 0 5 2 3 0 14 20 7 8 14 6 106 問 13.スマートコミュニティについての意見 スマートコミュニティの導入や投資に関して、前向きな意見が多くあがっていた。しかし、 現状では経済的負担が大きく、またスマートコミュニティに対する情報・知識が不足している ことから、情報共有の必要性や、国や自治体に支援を求める声が多くあげられた。また、北海 道という地域ぐるみで推進を進めていくことを望む意見も多かった。 所在地 建設 石油・ 石炭 旭川市 ・スマートコミュニティという言葉が抽象的で、一般になかなか浸透しない。 ・北海道は、住設関係(エコキュート・エネファーム等)のハードルは低いが、インフラ関係のほうがハードルが高いように思う。 ・電気自動車の普及に関しても、冬期間(暖房使用時)の航続距離の問題があり、なかなか普及が進まない。 苫小牧市 ・弊社は既にスマートコミュニティの一部に携わっているが、技術確立・事業化、市場形成・有機的な循環には腰を据えた行政の支援が必要。 千歳市 ・グループ会社では、副産物を燃料としたボイラー施設を有しており、その燃料となる副産物を本社へ有価物として送っているので、間接的には参 加していると言える。 エネルギーを作る場合、専用施設が必要。 各法案、法令(公害関係や設置届け等)の緩和も必要と思う。 小樽市 ・行政の積極的な後押しが必要。 ・中小企業は資金的な制約が多いため、資金面の環境整備も不可欠。 東京都渋谷区 ・スマートコミュニティの考えを世の中に浸透させていく必要がある。 ・各種支援(補助金、買取制度、税優遇等)が必要。 札幌市 ・寒冷地型スマートコミュニティの確立(実証実験)の為、 関係機関への働きかけを官民一体で推進。 ・北海道での取組スピードアップが必要。 札幌市 ・機会(市場)があれば参加したい。 札幌市 ・北海道らしさのあるコンセプトだとよいのではないか。 ・地方の再生可能エネルギーをもっと大量に有効活用できるもの、札幌など都市圏と地方を結ぶ内容でも結構ですが、地方が対象となり、雇用、 エネルギー安全保障、環境保全等が実現できる内容が、再生可能エネルギー資源が豊富にある北海道らしさにも繋がるように思う。 札幌市 ・知名度が低い。 旭川市 ・PR も含めて情報不足感が否めない。 札幌市 ・電力会社自体が特例規定を基に新エネルギーの買い取り拡大を拒否している現状では、技術が進んでも何にもならない。 ・買い取り枠の拡大が示されなければ、設備投資するにしても手を付けるわけにはいかない。 札幌市 ・この課題に取り組むことはこれからの北海道の存在意義として大きな意味がある。 札幌市 ・方向性としては魅力があるが、弊社の問題として新社屋建設の是非が決まっていない中での大規模な設備投資については慎重にならざるを得 ない。 機械 運輸 情報・ 通信 大学 IT 意見 苫小牧市 ・全体のシステムや現実的なイメージがつかめない。 札幌市 ・北海道独自のマイクログリッド&スマートモビリティ都市を創りたい。 足寄町 ・省エネ推進(技術革新・ライフスタイル)が前提。 苫小牧市 ・さまざまな形での情報発信により広めて下さい。 苫小牧市 ・時代の要求・ニーズである事を先ず広く判らせる事が肝要である。 ・電気・ガス・熱供給・電話・携帯電話・水道・下水道等のインフラをスマートコミュニティで最も省エネになるシステムを構築する方策を希求すべき。 ・スマートグリッドと相乗する形態で最良のものを創造しなければ未来はない。 札幌市 ・北海道の特色(豊富な自然エネルギーや石炭資源の存在、農畜産業が盛んなど)を生かしたスマートコミュニティや、ローカルな地域の抱える問 題(人口の減少、広域面積、財政難など)にも対応可能なスマートコミュニティを開発していく必要性がある。 札幌市 ・会員となっている研究機関、産業振興財団、大学、一般企業の技術者で、環境やエネルギーに関するスマートコミュニティと同様の技術の情報 交換を年 2 回程度行っている。 札幌市 ・再生可能エネルギーに対する認知度の向上が必要。 ・スマートコミュニティ構築に向けては、産官学金そして地域住民と一体となった協働・連携が重要と考える。 中標津町 ・地域単位(市町村)の大きさの情報システムの開発と同時に法律の整備が優先される。 室蘭市 ・なんでもカタカナで書いて、なんでもネットワークでつなぐようなコンピューター的発想にならないよう、現場の状況を把握してほしい。 江別市 ・スマートグリッドと同じ発想の新世代電力エネルギー供給システム(FRIENDS)の研究を推進しており、次世代エネルギーシステム、スマートコミュ ニティには非常に高い関心を持っている。 札幌市 ・スマートコミュニティの導入が進むかどうかは、地域の特性、ニーズと合致しているか、地域の理解を得られるかが鍵となる。 ・災害対策としてスマートグリッドなどとの技術と合わせて導入を推進していくことが重要。 釧路市 ・自社だけで取り組むことは到底難しい。 ・北海道の地場企業や研究機関がクラスターとなり、取り組んでいく体制ができれば是非参加協力したい。 札幌市 ・札幌市版の事業化フィージビリティスタディに参画しており、その取組結果等も今後生かしていきたい。 札幌市 ・スマートコミュニティの社会的意義は、既存エネルギーに対して代替エネルギーが何割ぐらいで発揮されるのか。 ・量的な話題や社会的なコスト/ベネフィットの話を聞きません。 石狩市 ・自治体と事業会社とのコラボや、強力な推進者が必要。まだまだ、企業では必要性を感じられていない。 ・当地域において、LNGタンク建設やLNG発電計画があり、風力や太陽光等新エネルギーの融合による地産地商エネルギーを考え、将来的に地 域内のCO2削減や温暖化対策に結びつけたい。 札幌市 ・環境未来都市を構築するためにも新たなインフラ整備が必要。 ・特に建設業界においては地元の建設業者が取り組んでいけるような事業として進める事が経済の活性化につながる。 札幌市 ・北海道の地域特性(エネルギー需給構造、産業構造、都市構造・まちづくり、交通、建築、市民性など)を多面的に捉えるとともに、スマートコミュ ニティ導入に向けた技術・ノウハウの不足、高コスト化などの課題にどう応えていくかが重要と考える。 コンサル タント 87 ④ 事業者アンケートの考察 ■スマートコミュニティについて スマートコミュニティに対する認識 認知度は半数程度であり、継続的な情報提供が必要。 スマートコミュニティを熟知している事業者は全体の半数程度であり、今後、継続 的な情報提供が必要である。 スマートコミュニティへの取組 6 割以上の事業者が取り組む可能性あり。 既に取り組んでいる事業者が 3 割、前向きに検討している事業者が 3.5 割を占めて おり、そのうち、約 4 割がエネルギーインフラに関する取組に関心を持っている。 スマートコミュニティへの参入課題 「情報不足」と「コスト面での制約」が課題。 取組参入への主な課題は、「情報不足」、「投資困難」、「補助金・支援制度が不十分」 「人的余裕なし」であり、コスト的な支援と情報共有の強化が望まれる。 スマートコミュニティへの参入意欲 コスト面で支援があっても参入に前向きな企業は全体の3割。 「事業化はわからない」 「関心ない」企業は全体の7割以上を占めている。 スマートコミュニティ協議会への参加意欲 3割強の企業が積極的な参加意欲を示す。「情報提供のみ」を加えると 5 割強。 協議会に、 「是非参加したい」が 3 割強を占め、 「情報のみの提供」が 2 割となって いる。全体としては、5 割強の企業が、協議会との接点は持ちたいと考えている。 事業者アンケート結果のまとめ ○事業者間の協力体制を築くことで、情報の共有や連携、複数事業者での投資分担、共同 での補助金の申請などが可能になり、コスト面の負担を軽減することが期待できる。 ○道内企業においてもスマートコミュニティに関する取組が行われており、そうした企業 の技術やノウハウを蓄積し、連携体制を構築するための仕組みが必要である。 ○スマートコミュニティの参入に前向きな企業は少ないが、情報提供を求めている企業は 多いため、継続的な情報提供の場を設けることで、事業者ネットワークに参加していな い事業者に対してもスマートコミュニティに関する理解を深めてもらうことができ、ま た、新たに参入する場合のサポート体制も築きやすくなると考えられる。 スマートコミュニティ構築に向けた検討 ○継続的な情報交換の場の創出や事業者ネットワークを形成し、スマートコミュニティに 参入しやすい体制を築くことが必要。 ○道内の企業が連携し、積雪寒冷地に適したスマートコミュニティ技術やノウハウを蓄積 していくことが求められる。 88 (3) 市町村アンケート調査 ① 調査目的 エネルギーや地球温暖化問題の解決に向けて、北海道内市町村にアンケート調査を行った。 北海道としても積雪寒冷地や豊富な自然エネルギーといった地域特徴を生かした再生可 能エネルギーの活用や、道内の環境関連産業の拡大や新たな産業の創出などが求められてお り、環境と経済の調和のとれた地域主導の社会システムづくりを図っていくために、道内の 市町村の取組状況や、取組を進めるに当たっての課題や実情について把握することを目的と して調査を行った。 ② 調査概要 アンケート調査の期間や回収結果などは以下のとおり。 市町村アンケート調査概要 調査期間 平成 23 年 11 月 2 日∼平成 23 年 11 月 18 日 調査方法 メール送信 回収 メール又はFAXで返信 対象 北海道内 179 市町村 発送部数 179 回収数 113 回収率 63.1% ・回答者属性 ・環境対策に関する計画、事業等の取組状況 ・重点的に進めている対策と内容 主な設問内容 ・積極的に進めたい、進めている再生可能エネルギーの種類 と理由 ・具体的な環境対策の事業化について ・再生可能エネルギーの導入に当たっての課題と実情 ・自由意見 89 ③ 市町村アンケートの結果 Ⅰ.環境対策について 問 1.環境対策に関する計画・事業等の取組状況について。 (複数回答) 最も多く取り組まれているのは「地球温暖化対策実行計画(事務事業編)の策定」で、 66 の市町村で取り組んでいる。どの計画・事業も取り組んでいない市町村は 23 市町村 であった。 0 10 20 30 50 60 70 15 ①省エネビジョンの策定 ②新エネビジョンの策定 56 8 ③省エネビジョン(重点テーマ・フィージビリティスタディ)の策定 18 ④新エネビジョン(重点テーマ・フィージビリティスタディ)の策定 ⑤地球温暖化対策実行計画(事務事業編)の策定 66 10 ⑥地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の策定 11 ⑦バイオマスタウン構想の策定 ⑧次世代エネルギー・社会システム実証事業への申請 40 1 ⑨次世代エネルギー技術実証事業への申請 0 ⑩「緑の分権改革」に関する事業への申請 6 6 ⑪「緑の分権改革」に関する事業に採択 2 ⑫スマートコミュニティー構想普及支援事業への申請 ⑬環境未来都市へ申請中 0 6 ⑭その他 23 ⑮どの計画・事業にも関わっていない ⑯わからない ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮ ⑯ 1 地域省エネルギービジョンの策定 地域新エネルギービジョンの策定 地域省エネルギービジョン(重点テーマ・フィージビリティスタディ)の策定 地域省エネルギービジョン(重点テーマ・フィージビリティスタディ)の策定 地球温暖化対策実行計画(事務事業編)の策定 地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の策定 バイオマスタウン構想の策定 次世代エネルギー・社会システム実証事業(経済産業省資源エネルギー庁所管)への申請 次世代エネルギー技術実証事業(経済産業省資源エネルギー庁所管)への申請 「緑の分権改革」に関する事業(総務省所管)への申請 「緑の分権改革」に関する事業(総務省所管)に採択 平成23年度スマートコミュニティ構想普及事業(一般社団法人新エネルギー導入推進協議会所管)への申請 環境未来都市(内閣府所管)への申請中 その他 どの計画・事業にも関わっていない わからない 道内市町村で最も多く取り組まれているのは「地球温暖化対策実行計画(事務事業編) の策定」。23 市町村では環境対策に関する取組は行っていない。 90 問 2.環境対策のソフト的な取組について、重点的に進めている内容について。(複数回答) 「住民参加型の環境美化活動」が 50 の市町村で行われており、次に「参加型の植林活動」 が 35 市町村となっている。 21 ①子供たちへの環境教育 ②人材・技術育成ネットワーク化 2 20 ③協議会など定期的に開催 34 ④独自の補助金の拠出 ⑤環境美化活動 50 35 ⑥植林活動 6 ⑦その他 27 無回答 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 担当職員自らが行う子供たちへの環境教育 環境対策についての人材・技術育成やネットワーク化 環境対策を推進する協議会などを現在も定期的に開催している 個人や民間団体への独自の補助金の捻出 住民参加型の環境美化活動 参加型の植林活動 その他 環境対策のソフト的な取組として、住民参加型の環境美化活動や植林活動、 独自の補助金の拠出が行われている。 問 3.積極的に進めたい、あるいは進めている再生可能エネルギーの種類について。(単数回答) 「太陽光発電」を積極的に進めたいと考えている市町村が多く 164 ポイントになってい る。続いて、「木質バイオマスエネルギー」が 67 ポイントになっている。 ポイント制順位 13 太陽熱利用 164 太陽光発電 ー エ ネ ル ギ の 種 類 44 雪氷熱利用 46 風力発電 廃棄物発電・熱利用 17 廃棄物燃料製造 14 67 木質バイオマスエネルギー 45 農業系バイオマスエネルギー クリーンエネルギー自動車 20 マイクロ水力発電 21 燃料電池 0 21 温度差エネルギー 天然ガスコージェネレーション 8 49 特になし その他 22 【期待度の高い順】 1位:3ポイント、2位:2ポイント、3位:1ポイント 多くの市町村で太陽光発電を優先的に導入したいと考えている。 91 問 4.前問で回答した再生可能エネルギーを選択した理由について。(単数回答) 雪氷熱利用や風力発電、天然ガスコージェネレーションは、「地域内の賦存量や利用可 能量の高さ」という理由で最も多く選ばれており、バイオマスエネルギーは「産業振興効 果」を選択理由にあげた市町村が多い。太陽エネルギーや廃棄物発電・熱利用、クリーン 自動車の導入では、「一定の技術が確立されていること」を理由にあげている市町村が多 い。 0% 太陽熱利用 太陽光発電 20% 40% 16.7% 33.3% 26.2% 4.6% 風力発電 25.0% クリーンエネルギー自動車 マイクロ水力発電 燃料電池 3.1%6.2% 14.3% 16.7% 27.8% 37.5% 25.0% 14.3% 28.6% 53.3% 14.3% 40.0% 3.3% 3.3% 54.2% 37.5% 27.3% 45.5% 8.3% 46.2% 温度差エネルギー 16.7% 44.6% 12.5% 33.3% 特になし 33.3% その他 33.3% 4.2%4.2% 9.1% 18.2% 33.3% 25.0% 15.4% 23.1% 66.7% 天然ガスコージェネレーション 100% 28.6% 42.9% 木質バイオマスエネルギー 農業系バイオマスエネルギー 80% 33.3% 15.4% 57.1% 55.6% 雪氷熱利用 廃棄物発電・熱利用 廃棄物燃料製造 60% 7.7% 33.3% 66.7% 33.3% 1.地域内の賦存量や利用可能量が高いから 3.PR効果が高いから 5.費用対効果が高いから 7.わからない 11.1% 22.2% 2.産業振興への効果が期待できるから 4.一定の技術が確立されているから 6.その他 導入したいと考える理由としては、 「採算性」よりも、 「技術の確実性」や 「エネルギーの賦存量や利用可能量の多さ」が重視されている。 92 7.7% 環境対策の事業化の詳細検討を行ったことが あるのは全体の約 1/4。 事業化検討後、環境対策を導入したのは 44%。 93 問 7.再生可能エネルギーの導入に当たって技術面やコスト面の課題について。(複数回答) 課題として多くあげられていたのがコスト負担に関することで、ほとんどの市町村が「初 期投資が大きく導入できない」と回答しており、次に「維持管理費が大きく導入できない」 という回答が多かった。 課題(技術面・コスト面) 12 ①原料の調達が技術的に難しい ②原料の調達がコスト的に難しい ③技術的に非効率である ④技術的に大規模化が難しい ⑤初期投資が大きい ⑥維持管理費が大きい ⑦その他 7 ⑧わからない 3 無回答 1 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 49 24 24 105 79 木や廃棄物などの原料を調達することが技術的に難しい 木や廃棄物などの原料を調達することがコスト的に難しい 技術的に非効率的な技術であるために導入できない 技術的に大規模化が難しいため導入できない 初期投資が大きく導入できない 維持管理費が大きく導入できない その他 わからない 導入課題はコスト面の制約(初期投資、維持管理費)。 問 8.環境対策の導入に当たって担当者や担当部署の実情課題について 担当者や担当部署の課題としてもコストに関する回答が多く、 「初期投資の補助事業はあ るが、維持管理などの支援がない」と回答する市町村は 72 市町村になった。 26 ①計画がよく理解できない 32 ②庁内調整がスムーズでない 72 ③維持管理などの支援がない 35 ④地域企業の連携体制を組めない 20 ⑤導入施設の規模が小さい など ⑥その他 ⑦わからない ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 14 12 担当者が変わり、計画をよく理解できない 庁内調整がスムーズでなく、実際の取組を進められない 初期投資の補助事業はあるが、維持管理などの支援がない 地域企業の連携体制が組めない 導入施設の規模が小さくて、補助事業とマッチングしない など その他 わからない 担当者は維持管理費への補助制度が必要と考えている。 94 ④ 市町村アンケートの考察 環境対策への取組 環境対策計画や事業の実施は積極的 23 自治体では関連事業を実施していないが、 「地球温暖化対策実行計画(事務事業 編)」や「新エネルギービジョンの策定」は半数近くの市町村で行われている。 住民に向けた環境政策は、参加型の環境美化活動や植林活動の実施、自治体独自の個人 や団体に向けた補助金制度の設置が中心。 人材や技術の育成とそのネットワーク化といった中長期的な視点での住民向けの 環境政策は少ない。 再生可能エネルギーの導入状況 太陽光発電の導入や導入検討は進んでいる。 導入する再生可能エネルギーの選択の際には、 「採算性」よりも「技術の確実性」や 「エネルギーの賦存量や利用可能量の多さ」といった点が重視されている。 事業化に向けた詳細検討 環境対策事業の具体的検討は進んでいない。 「詳細な検討を行ったことがない」市町村は約 7 割。約 2 割の市町村では詳細検討 を行っているが、事業化に至ったのは半分以下(全体の 1 割程度)。 再生可能エネルギーの導入課題 導入課題は「コストの負担」。 技術的な問題よりも初期投資や維持管理費といったコスト面の制約が最も大きい。 各市町村の担当者や担当部署では、庁内調整や地域企業との連携体制の欠如が問題 となっている。 市町村アンケート結果のまとめ ○環境対策の取組には積極的で、新エネルギービジョンなどによる事前調査などは多くの 自治体で行われているものの、事業化のための詳細検討に至るケースは少ない。コスト 面の課題が解決されれば、導入に向けた取組を行う自治体が増える可能性は高い。 ○一定の技術が確立されている太陽光発電を導入する自治体が多いことから、他の再生可 能エネルギーについても地域企業と連携して技術開発やノウハウを蓄積し、実績を作る ことが求められる。 スマートコミュニティ構築に向けた検討 ○再生可能エネルギーの導入を円滑に進めるためのサポート体制の整備が必要。 ・ コスト低減のための取組や施策の提示 ・ 実情を踏まえた助成・補助制度の見直し ・ 庁内の連携・推進体制の見直し ・ 事業者ネットワークとの連携 など 95 4−2 地域新エネルギービジョンなどのフォローアップ 本項では、北海道において導入可能な再生可能エネルギーの種類や地域特性、再生可能エネ ルギー導入に係る課題などを把握するため、既存調査結果やアンケート調査結果をもとに検証 を行った。 (1) 北海道における新エネルギービジョンの策定状況 地域新エネルギービジョンは、地域の特性を考慮した新エネルギーの導入に向けた基本 方針を定めるものであり、新エネルギーの賦存量や利用可能量などの基礎的なデータをも とに作成される。北海道では、179 市町村のうち、平成 22 年度までに 91 市町村(合併前 に策定していた旧 8 自治体を除く)で新エネルギービジョンが策定されている。 ■道内市町村における新エネルギービジョンの策定状況*1 策定自治体:91 市町村 策定・未策定合併自治体:7 市町村*2 (平成 22 年 3 月末現在) *1 「北海道新エネルギーマップ 2009」 (2010,NEDO)を参考に、最新の新エネルギービジョン策定市 町村を加えて作成。 *2 旧大滝村(現伊達市)では合併前の平成 16 年度に新エネルギービジョンを策定していたが、合併後 の平成 18 年度に伊達市で新たに新エネルギービジョンの策定を行ったため、旧大滝村分は合計から除 いた。 ※ 出典 地域新エネルギー・省エネルギービジョン策定ガイドライン(2008,NEDO) 96 (2) 新エネルギービジョンにおける再生可能エネルギーの利用可能量の整理 ① 目的と方法 利用可能量とは、各種再生可能エネルギーを利用する際に考慮が必要な地域特性や技術 的制約などを踏まえたうえで算出される利用可能または利用が期待されるエネルギー量 で、各自治体において再生可能エネルギーの導入方針を決定する際の基礎的な判断材料と なる。そこで、北海道内の各地域における再生可能エネルギーの利用可能量を把握するた め、平成 22 年度までに策定された道内 98 市町村の新エネルギービジョンにおいて算出さ れた再生可能エネルギーの利用可能量を地域別に整理した。新エネルギービジョン策定自 治体のうち、市町村合併後に新たに新エネルギービジョンを策定していない自治体につい ては、合併前の自治体が策定した新エネルギービジョンのデータを使用した。なお、エネ ルギー量を固有単位(kWh、cal)から熱量単位(J)に換算する際には、下表に示 した一定の係数を使用し、エネルギーの単位はすべてGJ(ギガジュール)に統一した。 ■エネルギー単位換算表 キロカロリー Kcal キロワット時 kWh メガジュール MJ = 106J 239 0.278 1 860 1 3.6 1 0.00116 0.00419 ※出典 2005 年度以降適用する標準発熱量の検討結果と改訂値について(2007,資源エネルギー庁) ■桁数の接頭記号 接頭記号(読み方) K(キロ) 接頭語が示す乗数 103 = 1,000 M(メガ) 10 6 = 1,000,000 G(ギガ) 109 = 1,000,000,000 T(テラ) 10 12 = 1,000,000,000,000 ※出典 国際文書第 8 版 (2006) 国際単位系(SI)日本語版(2006,独立行政法人産業技術総合研究 所計量標準総合センター) 97 ② 利用可能量調査の結果 本道の各地域における再生可能エネルギーの利用可能量は次のとおりである。 ■地域別利用可能量 ・ 各市町村で平成 22 年度までに作成された新エネルギービジョンから利用可能量を抜粋し、各 エネルギーの合計値を地域毎に算出した。 ・ 熱量(ジュール)に換算できない単位や、単位面積当たりの熱量などで算出されているエネ ルギー量については合計せず、各グラフの下に市町村名と該当エネルギー名を記載した。 ・ 市町村の区分は、北海道の総合振興局・振興局の区分に従った。 ○石狩 (GJ) 8,905,520 43,949,698 2,000,000 3,157,480 3,314,779 6,934,344 利用可能量 1,500,000 500,000 114,600 581,690 66,925 40,717 21,657 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 1,102,233 969,755 1,000,227 1,000,000 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 札幌市 H11 江別市 H9 恵庭市 H22 石狩市 H18 当別町 H15 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱、風力、雪氷熱 廃食油 【合計 5 自治体】 98 ○空知 利用可能量 (GJ) 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 466,848 218,562 26,443 16,295 200,214 364,643 181,810 217,397 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 1,230,239 912,345 921,577 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 夕張市 策定年度 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) H9 岩見沢市 H14 美唄市 H14 芦別市 H21 三笠市 H19 滝川市 H9 深川市 H16 南幌町 H18 奈井江町 H12 長沼町 H16 月形町 H20 浦臼町 H19 秩父別町 H19 沼田町 H15 太陽光、太陽熱、燃料製造、雪氷熱 太陽光、太陽熱、風力、廃棄物、温度差 生ごみ、廃食油 太陽光、太陽熱、風力、農業系、雪氷熱 【合計 14 自治体】 ○後志 利用可能量 (GJ) 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 284,165 125,962 169,271 102,807 1,505 4,649 8,463 5,394 7,895 2,952 20 13,794 19,193 210,444 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 35,142 85,657 44,920 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 寿都町 策定年度 H13 蘭越町 H17 ニセコ町 H15 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱、水産系 倶知安町 H15 太陽光、太陽熱、地熱 岩内町 H10 太陽光、太陽熱 積丹町 H18 【合計 6 自治体】 99 ○胆振 利用可能量 (GJ) 2,000,000 1,500,000 1,000,000 867,778 598,158 487,217 500,000 431,826 94,854 38,661 98,173 410 220,152 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 118,036 99,317 14,621 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 2,109,008 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 室蘭市 H8 風力、廃棄物、廃熱 苫小牧市 H14 太陽光、太陽熱 登別市 H15 伊達市 H18 豊浦町 H19 洞爺湖町 H21 白老町 H11 むかわ町(穂別町) H16 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱、廃熱、海洋 【合計 8 自治体】 ○日高 (GJ) 2,000,000 利用可能量 1,867,079 2,253,162 1,721,900 1,500,000 1,000,000 500,000 8,262 1,214 91,649 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 15,524 31 4,565 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 344,973 60,080 87,856 7,462 386 6,443 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 220,912 171,784 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 日高町 平取町 策定年度 H22 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱、雪氷熱、中小水力 H19 新冠町 H14 新ひだか町 H20 【合計 4 自治体】 100 ○渡島 (GJ) 2,000,000 利用可能量 7,705,000 1,500,000 1,267,000 1,000,000 500,000 69,200 5,950 36,690 16,100 540 地熱 海洋 中小水力 温度差 55,756 2,540 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 2,714 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 函館市 H11 北斗市 H21 長万部町 H13 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱、林産系、雪氷熱 【合計 3 自治体】 ○檜山 利用可能量 (GJ) 2,000,000 1,500,000 838,812 1,000,000 389,776 26,034 71,328 3,438 45,825 38,558 地熱 海洋 中小水力 温度差 27,394 11,928 雪氷熱 廃熱 廃棄物 86 水産系 170 廃食油 下水汚泥 701 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 584,883 168,800 500,000 95,792 0 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 江差町 H14 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 厚沢部町 H15 奥尻町 H21 せたな町(旧北檜山町) H10 太陽光、太陽熱 せたな町(旧瀬棚町) H11 太陽光、太陽熱、温度差、海洋 【合計 4 自治体(合併後)】 101 ○上川 利用可能量 7,361,328 (GJ) 2,000,000 1,574,131 1,500,000 1,000,000 500,000 506,015 385,160 126,779 104,024 579,677 162,163 30,005 38,606 167,038 3,916 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 1,122,106 938,909 733,941 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 旭川市 H9 士別市 H19 名寄市(旧風連町) H13 富良野市 H21 鷹栖町 H22 東神楽町 H21 愛別町 H18 上川町 H20 東川町 H16 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 風力、地熱 中小水力 美瑛町 H15 上富良野町 H22 風力、下水汚泥 南富良野町 H19 太陽光、林産系、廃食油、雪氷熱 占冠村 H17 和寒町 H21 下川町 H13 美深町 H22 中川町 H15 風力、燃料製造 雪氷熱 【合計 17 自治体】 102 ○留萌 利用可能量 (GJ) 10,000.0 7,657 8,000.0 6,000.0 4,000.0 2,000.0 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0.0 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 苫前町 H7 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光 【合計 1 自治体】 ○宗谷 利用可能量 (GJ) 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 48,038 9,497 地熱 海洋 523 882 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 310,883 370,583 19,070 2,473 120,569 1,317 23,725 1,345 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 192,694 59,098 76,376 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 稚内市 H9 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱、畜産系・林産系・廃棄物バイオマス、廃熱、雪氷熱、温 度差 猿払村 H18 雪氷熱、中小水力 中頓別町 H20 太陽光、太陽熱、畜産、林産、生ごみ、廃食油、雪氷熱、温度差 枝幸町 H21 風力 豊富町 H18 太陽光、太陽熱、風力 幌延町 H18 太陽光、太陽熱、風力 利尻町 H16 【合計 7 自治体】 103 ○オホーツク 利用可能量 (GJ) 2,000,000 1,340,889 1,500,000 1,000,000 500,000 166,357 419,601 36,541 7,528 27,503 4,612 50,942 43,781 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 170,383 146,153 8,242 508,723 443,181 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 北見市 H13 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱、風力、廃熱、雪氷熱 網走市 H15 太陽光、太陽熱、風力 美幌町 H18 斜里町 H15 策定年度 訓子府町 H20 遠軽町 H20 興部町 H11 太陽光、太陽熱、海洋 【合計 7 自治体】 104 ○十勝 (GJ) 2,000,000 利用可能量 2,479,943 1,591,150 1,500,000 1,114,274 915,683 1,000,000 520,974 500,000 310,666 598,233 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 54,290 252,957 59,689 1,856 7,817 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 104,398 66,895 1,731 471,558 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 帯広市 H13 太陽光、太陽熱、風力、生活系、廃棄物、雪氷熱、温度差、地熱 音更町 H17 中小水力 士幌町 H18 太陽光、太陽熱、風力、農業系、林産系、生ごみ、廃食油、生活系、廃棄物、 雪氷熱 上士幌町 H11 太陽光、太陽熱、風力、雪氷熱 鹿追町 H20 太陽光、太陽熱、風力、雪氷熱、温度差 清水町 H13 温度差 芽室町 H20 太陽光、太陽熱、風力、農業系、廃食油、雪氷熱 更別村 H21 幕別町 H17 池田町 H17 太陽光、太陽熱、風力、畜産系、林産系、生ごみ、下水汚泥、廃食油、廃棄 物、雪氷熱 太陽光、太陽熱、風力、農業系、中小水力 本別町 H14 太陽光、太陽熱、風力 足寄町 H13 陸別町 H15 浦幌町 【合計 14 自治体】 H15 105 ○釧路 利用可能量 (GJ) 2,000,000 1,500,000 965,524 878,109 1,000,000 83,510 500,000 地熱 海洋 中小水力 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 0 463,548 36,774 464,589 105,344 117,193 156,276 210,364 3,361 20,781 9,886 684 3,290 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 釧路市 H21 浜中町 H12 標茶町 H10 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱 弟子屈町 H11 太陽光、太陽熱、地熱 白糠町 H12 海洋 【合計 5 自治体】 ○根室 利用可能量 (GJ) 2,000,000 1,500,000 1,000,000 44,726 928,414 53,495 31,709 地熱 海洋 中小水力 62,519 76 温度差 雪氷熱 廃熱 廃棄物 2,570 水産系 廃食油 下水汚泥 生 ごみ 林産系 畜産系 837,400 253,474 2,316 6,849 燃料製造 農業系 水力 風力 太陽熱 太陽光 77,616 500,000 50,996 3,942 0 バイオマスエネルギー 新エネビジョン策定 自治体 策定年度 別海町 H14 標津町 H19 合計から除外したエネルギー (利用可能量が熱量換算できないまたは総量で算出されていないため) 太陽光、太陽熱、海洋 【合計 2 自治体】 106 ③ 利用可能量調査結果のまとめ 道内市町村においてこれまで策定された新エネルギービジョンより整理した再生可能エネル ギー利用可能量の地域別傾向は下記のとおりである。 ■再生可能エネルギー利用可能量の地域別傾向 太陽光・太陽熱:石狩・上川・渡島(函館) ⇒太陽光・熱の利用可能量は、建物屋根面積から算出される場合が多く、賦存量の多い 地域(十勝・釧路など)の特性は反映されにくい面がある。 風力:日高・留萌・十勝 ⇒沿岸地域や山間部 農業系バイオマス:空知・上川・十勝 ⇒大規模農業が盛んな内陸部 林産系バイオマス:上川・十勝 ⇒林業の盛んな地域 畜産系バイオマス:十勝・釧路・根室 ⇒酪農業の盛んな道東 廃棄物:石狩・上川 ⇒人口の多い都市部 雪氷熱:石狩・檜山・上川・オホーツク・根室 ⇒降雪量の多い日本海側、道央、道東のオホーツク海側 温度差:石狩・胆振・日高・上川 ⇒特に河川や温泉排水などの利用が可能な地域 ●都市部や農村部など地域特性によって利用可能な再生可能エネルギーの種類が異な る。 スマートコミュニティのモデルを検討する際の地域分類やエリアの類型化に反映。 ●太陽光・太陽熱利用や温度差エネルギー利用は広い地域で有効と考えられている。 地域特性を反映した利用可能エネルギーと組み合わせた導入方法の検討。 107 (3) 新エネルギービジョンにおける再生可能エネルギーの導入可能性評価の整理 ① 目的と方法 導入可能性評価は、地域特性や各種再生可能エネルギーの利用可能量、技術面や社会的需 要などを考慮して、自治体毎に再生可能エネルギーの導入方針の判断を行うものである。そ こで、新エネルギービジョン策定時の各地域における再生可能エネルギー導入に向けた検討 状況を把握するため、新エネルギービジョンで行われた導入可能性評価を地域別に整理した。 導入可能性の評価方法は、各新エネルギービジョンによって異なるため、ここでは導入可能 性について段階的な評価(○、△、×などによる順位付け)を行っている市町村数のみを対 象とした。 ② 導入可能性評価調査の結果 本道の各地域における再生可能エネルギーの導入可能性評価は次のとおりである。 ■再生可能エネルギー毎の導入可能性評価 ・ 各新エネルギービジョンから導入可能性評価を抜粋し、各エネルギーに対する評価数を地域 毎に合計した。 ・ 評価段階は、評価段階数の少ない市町村に合わせるため 3 段階評価とした。4 段階評価(「積 極的に導入(◎)」、 「十分導入可能(○)」 、 「条件付であれば導入可能(△)」 、 「導入は困難(×)」 ) のものについては、 「積極的に導入(◎) 」と「十分導入可能(○) 」をまとめて「導入可能」 とした。 ・ 市町村の区分は、北海道の総合振興局・振興局の区分に従った。 太陽光発電 太陽熱利用 風力発電 石狩(5) 石狩(5) 石狩(5) 空知(14) 空知(14) 空知(14) 後志(7) 後志(7) 後志(7) 胆振(7) 胆振(7) 胆振(7) 日高(3) 日高(3) 日高(3) 渡島(3) 渡島(3) 渡島(3) 檜山(5) 檜山(5) 檜山(5) 上川(17) 上川(17) 上川(17) 留萌(1) 留萌(1) 留萌(1) 宗谷(7) 宗谷(7) 宗谷(7) オホーツク(7) オホーツク(7) オホーツク(7) 十勝(15) 十勝(15) 十勝(15) 釧路(5) 釧路(5) 釧路(5) 根室(2) 根室(2) 0 2 4 6 8 10 12 市町村数 14 根室(2) 0 2 4 6 8 10 12 14 0 2 市町村数 4 6 8 10 12 14 市町村数 ※ カッコ内の数字は新エネルギービジョンで該当エネルギーについて調査を行っている市町村数(導入可能 性評価を行っていない市町村も含む) 。 ・ 導入可能性の評価方法 導入可能・・・導入効果が期待されるエネルギーまたは導入の可能性が高いエネルギー 条件付導入可能・・・一定の条件をクリアする必要があるエネルギー 条件は困難・・・利用可能量がなく、エネルギー化の技術に制約があるもの 108 バイ オマス (農業系) バイ オマス (燃料製造) バイ オマス (畜産系) 石狩(5) 石狩(5) 石狩(5) 空知(14) 空知(14) 空知(14) 後志(7) 後志(7) 後志(7) 胆振(7) 胆振(7) 胆振(7) 日高(3) 日高(3) 日高(3) 渡島(3) 渡島(3) 渡島(3) 檜山(5) 檜山(5) 檜山(5) 上川(17) 上川(17) 上川(17) 留萌(1) 留萌(1) 留萌(1) 宗谷(7) 宗谷(7) 宗谷(7) オホーツク(7) オホーツク(7) オホーツク(7) 十勝(15) 十勝(15) 十勝(15) 釧路(5) 釧路(5) 釧路(5) 根室(2) 根室(2) 0 2 4 6 8 10 12 14 根室(2) 0 2 4 市町村数 6 8 10 12 14 0 石狩(5) 石狩(5) 石狩(5) 空知(14) 空知(14) 後志(7) 後志(7) 後志(7) 胆振(7) 胆振(7) 胆振(7) 日高(3) 日高(3) 日高(3) 渡島(3) 渡島(3) 渡島(3) 檜山(5) 檜山(5) 檜山(5) 上川(17) 上川(17) 上川(17) 留萌(1) 留萌(1) 留萌(1) 宗谷(7) 宗谷(7) 宗谷(7) オホーツク(7) オホーツク(7) オホーツク(7) 十勝(15) 十勝(15) 十勝(15) 釧路(5) 釧路(5) 釧路(5) 根室(2) 根室(2) 4 6 8 10 12 2 4 6 8 10 12 14 0 バイ オマ ス (廃食油) バイ オマ ス (水産系) 石狩(5) 空知(14) 空知(14) 空知(14) 後志(7) 後志(7) 後志(7) 胆振(7) 胆振(7) 胆振(7) 日高(3) 日高(3) 日高(3) 渡島(3) 渡島(3) 渡島(3) 檜山(5) 檜山(5) 檜山(5) 上川(17) 上川(17) 上川(17) 留萌(1) 留萌(1) 留萌(1) 宗谷(7) 宗谷(7) 宗谷(7) オホーツク(7) オホーツク(7) オホーツク(7) 十勝(15) 十勝(15) 十勝(15) 釧路(5) 釧路(5) 釧路(5) 根室(2) 根室(2) 6 8 10 12 市町村数 14 12 14 4 6 8 10 12 14 12 14 バイ オマ ス (廃棄物) 石狩(5) 4 10 市町村数 石狩(5) 2 2 市町村数 市町村数 0 8 根室(2) 0 14 6 バイ オマス (下水汚泥) 空知(14) 2 4 市町村数 バイ オマス (生ご み) バイ オマス (林産系) 0 2 市町村数 根室(2) 0 2 4 6 8 10 12 14 0 市町村数 2 4 6 8 10 市町村数 ※ カッコ内の数字は新エネルギービジョンで該当エネルギーについて調査を行っている市町村数(導入可能 性評価を行っていない市町村も含む) 。 ・ 導入可能性の評価方法 導入可能・・・導入効果が期待されるエネルギーまたは導入の可能性が高いエネルギー 条件付導入可能・・・一定の条件をクリアする必要があるエネルギー 条件は困難・・・利用可能量がなく、エネルギー化の技術に制約があるもの 109 雪氷熱 廃熱 温度差 石狩(5) 石狩(5) 石狩(5) 空知(14) 空知(14) 空知(14) 後志(7) 後志(7) 後志(7) 胆振(7) 胆振(7) 胆振(7) 日高(3) 日高(3) 日高(3) 渡島(3) 渡島(3) 渡島(3) 檜山(5) 檜山(5) 檜山(5) 上川(17) 上川(17) 上川(17) 留萌(1) 留萌(1) 留萌(1) 宗谷(7) 宗谷(7) 宗谷(7) オホーツク(7) オホーツク(7) オホーツク(7) 十勝(15) 十勝(15) 十勝(15) 釧路(5) 釧路(5) 釧路(5) 根室(2) 根室(2) 0 2 4 6 8 10 12 根室(2) 0 14 2 4 市町村数 6 8 10 12 14 0 石狩(5) 石狩(5) 空知(14) 空知(14) 後志(7) 後志(7) 後志(7) 胆振(7) 胆振(7) 胆振(7) 日高(3) 日高(3) 日高(3) 渡島(3) 渡島(3) 渡島(3) 檜山(5) 檜山(5) 檜山(5) 上川(17) 上川(17) 上川(17) 留萌(1) 留萌(1) 留萌(1) 宗谷(7) 宗谷(7) 宗谷(7) オホーツク(7) オホーツク(7) オホーツク(7) 十勝(15) 十勝(15) 十勝(15) 釧路(5) 釧路(5) 釧路(5) 根室(2) 根室(2) 6 8 10 12 市町村数 14 8 地熱 石狩(5) 4 6 海洋 空知(14) 2 4 市町村数 中小水力 0 2 市町村数 10 12 14 10 12 14 根室(2) 0 2 4 6 8 10 12 14 0 2 市町村数 4 6 8 市町村数 ※ カッコ内の数字は新エネルギービジョンで該当エネルギーについて調査を行っている市町村数(導入可能 性評価を行っていない市町村も含む) 。 ・ 導入可能性の評価方法 導入可能・・・導入効果が期待されるエネルギーまたは導入の可能性が高いエネルギー 条件付導入可能・・・一定の条件をクリアする必要があるエネルギー 条件は困難・・・利用可能量がなく、エネルギー化の技術に制約があるもの 110 ③ 導入可能性評価のまとめ 道内市町村においてこれまで策定された新エネルギービジョンより整理した各種再生可能 エネルギーの導入可能性評価の傾向は下記のとおりである。 ■導入可能性評価のまとめ ・ 利用可能量が多く、導入可能性評価も高いエネルギー:太陽光・太陽熱 ・ 利用可能量は少ないが、導入可能性評価が高いエネルギー:林産系バイオマス・畜産系 バイオマス・廃食油利用・雪氷熱 ・ 利用可能量は多いが、導入には一定の条件が必要または導入困難との評価が多いエネル ギー:風力・中小水力 基本的には利用可能量の多いエネルギーの評価が高い傾向にあるが、導入方針は各エネ ルギーの利用条件や地域事情によっても異なる。 実行可能な計画を立てるためには、再生可能エネルギーの利用可能量だけでなく、 技術面や社会的需要を踏まえた上で検討することが必要。 111 (4) 新エネルギー策定自治体における再生可能エネルギーの導入状況の追跡調査 ① 目的と方法 各市町村において再生可能エネルギーを導入する際には、新エネルギービジョンでの調査 結果をもとに検討が進めることが基本と考えられる。そこで、新エネルギービジョン策定後 の各自治体における再生可能エネルギーの導入状況を把握するため、市町村アンケートに回 答した市町村のうち、新エネルギービジョンを策定している 64 市町村について、新エネル ギービジョン策定時の各種エネルギーに対する導入可能性評価とこれまでに導入または導 入検討を行った再生可能エネルギーについて比較・検証を行い、再生可能エネルギーの導入 進捗状況と実際に導入する再生可能エネルギーを選択する際に考慮されている要素につい て整理した。 ② 結果 新エネルギービジョン策定自治体における各種再生可能エネルギー導入に係る取組の進 捗状況と導入する再生可能エネルギーの選択理由は次のとおりである。 ○新エネルギービジョン策定地域における再生可能エネルギーの導入状況 ■再生可能エネルギー導入可能性評価(新エネルギービジョンより)と再生可能エネルギー 導入の具体的検討状況(市町村アンケートより) 太陽光発電 太陽熱利用 ・新エネルギービジョン策定市町村数:62 ・導入検討を行っている市町村数:44 ・新エネルギービジョン策定市町村数:56 ・導入検討を行っている市町村数:7 ︵新エネルギービジョン︶ ︵新エネルギービジョン︶ 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 0 風力発電 10 20 市町村数 市町村数 30 40 0 10 20 30 40 市町村数 ・新エネルギービジョン策定市町村数:54 ・導入検討を行っている市町村数:8 ︵新エネルギービジョン︶ 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 0 10 20 30 40 市町村数 a) 新エネルギービジョンで該当エネルギーの導入可能性評価を行っている市町村の数 (新エネルギービジョンより) b) 現時点において該当エネルギーの導入または導入の検討を行っている市町村の数 (市町村アンケートより) c) 現時点において該当エネルギー導入に向けた具体的な取組(FSや実証実験など)を行っている 市町村の数(市町村アンケートより) ※導入可能性の評価方法は、 「導入可能」 「条件付導入可能」 「導入は困難」の 3 段階評価(4-3章(3)参照) 。 ※「段階的評価なし」・・・参考データ。アンケート回答市町村のうち、新エネルギービジョンは策定しているが、 段階的評価を行っていない市町村における取組状況。 112 林産系バイオマス エネルギー 農畜産系バイオマス エネルギー ・新エネルギービジョン策定市町村数:50 ・導入検討を行っている市町村数:23 ・新エネルギービジョン策定市町村数:72 ・導入検討を行っている市町村数:16 ︵新 エネルギー ビジョン︶ ︵新 エネルギー ビジョン︶ 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 0 10 20 30 40 0 10 市町村数 廃棄物エネルギー 20 雪氷熱利用 ・新エネルギービジョン策定市町村数:38 ・導入検討を行っている市町村数:8 40 ・新エネルギービジョン策定市町村数:55 ・導入検討を行っている市町村数:16 ︵新 エネルギー ビジョン︶ ︵新 エネルギー ビジョン︶ 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 0 10 20 30 40 0 10 市町村数 中小水力発電 20 30 40 市町村数 地熱・ 地中熱利用 ・新エネルギービジョン策定市町村数:29 ・導入検討を行っている市町村数:6 ・新エネルギービジョン策定市町村数:18 ・導入検討を行っている市町村数:4 ︵新 エネルギー ビジョン︶ ︵新 エネルギー ビジョン︶ 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 導入可能 導 入 条件付導入可能 可 能 性 導入は困難 評 価 段階的評価なし 0 10 20 30 40 0 市町村数 10 20 30 40 市町村数 a) 新エネルギービジョンで該当エネルギーの導入可能性評価を行っている市町村の数 (新エネルギービジョンより) b) 現時点において該当エネルギーの導入または導入の検討を行っている市町村の数 (市町村アンケートより) c) 30 市町村数 現時点において該当エネルギー導入に向けた具体的な取組(FSや実証実験など)を行っている 市町村の数(市町村アンケートより) ※導入可能性の評価方法は、 「導入可能」 「条件付導入可能」 「導入は困難」の 3 段階評価(4-3章(3)参照) 。 ※「段階的評価なし」・・・参考データ。アンケート回答市町村のうち、新エネルギービジョンは策定しているが、 段階的評価を行っていない市町村における取組状況。 ・ 導入可能性評価が高い太陽光・林産系バイオマス・農畜産系バイオマス・雪氷熱で 導入の検討が多く行われており、事業化に向けた具体的な取組も積極的に実施。 ・ 太陽熱や風力エネルギーの利用は、技術面や設置場所などに制約があるため導入は 困難と判断した市町村の割合も多く、現時点においても導入に向けた取組はあまり 進んでいない。 113 ○導入する再生可能エネルギーの選択理由 ■導入可能性評価(新エネルギービジョンより)と再生可能エネルギーの導入検討理由(市町村 アンケートより)との比較(図 3) ・ 対象市町村は、市町村アンケートに回答した自治体のうち、新エネルギービジョンを策定し ている自治体。 ・ 比較項目は、各市町村が再生可能エネルギー導入の検討を進める際の選択理由(市町村アン ケート問 8)と、各市町村が該当するエネルギーについて新エネルギービジョンで行った導入 可能性評価。 太陽光発電 12 風力発電 回答市町村数:7市町村 12 10 10 8 8 8 6 4 市町村数 10 市町村数 市町村数 12 太陽熱利用 回答市町村数:44市町村 6 4 回答市町村数:8市町村 6 4 そ の他 費用対効果 技 術 が確 立 し て いる P R効 果 産業振興効果 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 そ の他 費用対効果 技 術 が確 立 し て いる P R効 果 産業振興効果 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 そ の他 費用対効果 0 技 術 が確 立 し て いる 0 P R効 果 2 0 産業振興効果 2 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 2 ・ 導入可能性の評価方法 導入可能・・・導入効果が期待されるエネルギーまたは導入の可能性が高いエネルギー。 条件付導入可能・・・一定の条件をクリアする必要があるエネルギー。 条件は困難・・・利用可能量がなく、エネルギー化の技術に制約があるもの。 段階的評価なし・・・参考データ。アンケート回答市町村のうち、新エネルギービジョンは策定してい るが段階的評価を行っていない市町村の回答結果。 114 林産系バイオマスエネルギー 12 回答市町村数:16市町村 10 8 8 8 6 4 市町村数 10 6 4 回答市町村数:8市町村 6 4 10 8 8 市町村数 10 市町村数 そ の他 12 8 4 費用対効果 地熱・地中熱利用 回答市町村数:9市町村 10 6 技 術 が確 立 し て いる 12 P R効 果 中小水力発電 雪氷熱利用 回答市町村数:16市町村 産業振興効果 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 そ の他 費用対効果 技 術 が確 立 し て いる P R効 果 産業振興効果 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 そ の他 費用対効果 0 技 術 が確 立 し て いる 0 P R効 果 2 0 産業振興効果 2 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 2 12 市町村数 12 10 市町村数 市町村数 12 廃棄物エネルギー 農畜産系バイオマスエネルギー 回答市町村数:23市町村 6 4 回答市町村数:4市町村 6 4 そ の他 費用対効果 技 術 が確 立 し て いる P R効 果 産業振興効果 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 そ の他 費用対効果 技 術 が確 立 し て いる P R効 果 産業振興効果 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 そ の他 費用対効果 0 技 術 が確 立 し て いる 0 P R効 果 2 0 産業振興効果 2 賦 存 量 ・利 用 可 能 量 2 ・ 導入可能性の評価方法 導入可能・・・導入効果が期待されるエネルギーまたは導入の可能性が高いエネルギー。 条件付導入可能・・・一定の条件をクリアする必要があるエネルギー。 条件は困難・・・利用可能量がなく、エネルギー化の技術に制約があるもの。 段階的評価なし・・・参考データ。アンケートに回答した市町村のうち、新エネルギービジョンは策定 しているが段階的評価を行っていない市町村の回答結果。 導入する再生可能エネルギーの選択理由 ・賦存量・利用可能量が多い:太陽光・林産系バイオマス・雪氷熱 ・技術が確立されていること:太陽光 ・産業振興効果への期待:林産系バイオマス・農産系バイオマス・雪氷熱 115 ③ 新エネルギー策定自治体における再生可能エネルギーの導入状況のまとめ ■再生可能エネルギーの導入検討状況及び導入検討理由 導入検討状況 太陽光 ・ 新エネルギービジョンでの導入可能性評価が最も高い。 ・ 導入可能と評価した市町村のうち、約 70%で導入及び導入の検討を実施。 ・ 最も多くの市町村で事業化に向けた具体的な取組が行われている。 ⇒新エネルギービジョン策定後、導入に向けた取組が順調に進んでいると言える。 バイオマス(林産系・農畜産系)・雪氷熱 ・ 太陽光に続いて導入可能性評価が高い。 ・ 比較的多くの市町村で導入または導入の検討が進んでいる。 ⇒北海道の地域特性を生かしたエネルギーの利用が期待できる。 太陽熱・風力 ・ 技術面や設置場所などに制約があり、導入は困難との評価が多い。 ⇒現時点での導入はあまり進んでいない。 導入検討理由 ・ 賦存量・利用可能量が多い:太陽光・林産系バイオマス・雪氷熱 ・ 技術が確立されていること:太陽光 ・ 産業振興効果への期待:林産系バイオマス・農産系バイオマス・雪氷熱 ⇒新エネルギービジョンでの導入可能性評価に基づいて導入検討が行われている。 ⇒導入に一定の条件が必要であっても、技術の確立や産業振興効果があれば導入で きる可能性がある。 再生可能エネルギーの導入を検討する際には、技術開発の最新動向や社会情勢の変化な どを踏まえた上で、どの再生可能エネルギーが適しているか見直す必要がある。 116 (5) フィージビリティ・スタディの追跡調査による事業化状況の整理 ① 目的と方法 フィージビリティ・スタディ(実現可能性調査:以下、 「FS」とする)は新エネルギーの 導入に向けて事業化可能性の検証を行うもので、道内では平成 23 年 3 月末までに 20 事業者に よって実施されている。 本項では、道内で行われたFSの実施状況、その後の事業化状況及び事業化に係る課題につ いて把握するため、FS実施事業者を対象にアンケート調査を行った。また、必要に応じて電 話による補足的なヒアリング調査を行った。なお、アンケートに未回答の場合は、FS報告書 及び事業者のホームページや新聞報道などから進捗状況などを判断した。 アンケート調査の概要は下記のとおりである。 FSアンケート調査概要 調査期間 平成 23 年 12 月 12 日∼平成 23 年 12 月 22 日 調査方法 FAXによる質問表の送付 回収 FAXまたは電子メールにより回収 対象 FS実施事業者 (自治体及び企業) 発送部数 19 回答数 13 回収率 68.4% ・ FSの実施内容 主な設問内容 ・ FS策定後の事業化状況 ・ 利用した補助金の種類 ・ 事業化に係る課題 117 など ② FS事業化状況追跡調査の結果 道内で行われた新エネルギー技術に関するFSの実施状況及び事業化状況は次のとおり である。 ○FS実施内容と事業化状況 平成 23 年 3 月までに 20 事業が実施され、そのうち新エネルギー技術に関するFSが 13 事例、省エネルギー技術に関するFSが 7 事例である。 ■新エネルギー技術のFS実施内容及び事業化状況 技術要素 太陽光発電 地中熱 太陽光発電 地熱発電 排熱利用 風力発電 雪氷冷熱 雪氷冷熱 雪氷冷熱 地中熱 雪氷冷熱 畜産バイオマス 畜産バイオマス コージェネ 木質バイオマス 木質バイオマス 木質バイオマス 廃食油(BDF) 事業名・事業内容 新エネルギー住宅モデル事業(各戸に太陽光発電地中熱ヒートポンプ設備 を備えた住宅団地の検討) 【札幌市】 町保有施設への太陽光エネルギー及び温泉熱エネルギー導入の実現可能 性の検討 【標津町】 洋上風車建設事業化調査(港内への洋上風車設置の検討) 【旧瀬棚町(現せたな町)】 雪氷冷熱利用事業安定化をめざし冬の冷気を利用した低コスト人工雪製雪 とその利用事業調査 【千歳市】 雪氷冷熱施設事業化基本調査 【旧風連町(現名寄市)】 工業団地オフィスへの雪冷房と地中熱ヒートポンプの導入検討 【札幌市】 牧場豚舎雪冷房事業化調査 【上富良野町】 バイオガス利用事業化可能性調査 【興部町】 バイオガス施設事業化調査 【浜中町】 温泉ホテルにおける木質バイオマスボイラー転換によるエネルギー有効活 用事業 【東川町】 木質バイオマス利用のハウス栽培事業化調査 【南富良野町】 木質バイオマスの燃料化森林由来の未利用残材(林地残材土場残材等)と 製材残材等の加工残材やチップ用の原木及び建設発生木材を原料とした BTL 燃料の製造 【釧路市】 公共車両へのBDF導入 【弟子屈町】 合計 事業者 分類 民間 FS策定 年度 2004 (H16) 自治体 2009 (H21) 自治体 2000 (H12) 2010 (H22) 民間 自治体 自治体 民間 自治体 自治体 民間 民間 民間 自治体 13 事業 FS実施事業者 ・ 13 事例のうち、約半数の 6 事例は民間企業 ・ 民間企業が行ったFSのうち4事例が平成22年度に策定 実施項目 ・ バイオマスと雪氷冷熱の事例が過半数を占めている ・ バイオマスの種類としては木質バイオマスと畜産バイオマスが大多数である 118 2002 (H14) 2010 (H22) 2010 (H22) 2010 (H22) 2001 (H13) 2006 (H18) 2008 (H20) 2010 (H22) 2009 (H21) ■省エネルギー技術の事業化状況及び課題 技術要素 ESCO 事業名・事業内容 道有施設における ESCO 事業導入可能性調査 ESCO 公共施設への ESCO 事業の導入検討 事業者分 類 自治体 【北海道】 自治体 【札幌市】 ESCO 市有施設に対する ESCO 事業の導入検討 自治体 【帯広市】 実施年 2005 (H17) 2003 (H15) 2006 (H18) 熱電供給 スマートエネルギーネットワークにおける分散型エネルギー最 適化統合制御システムの構築 【札幌市】 民間 2010 (H22) 熱電供給 熱・電供給ネットワークによる分散型発電事業化に向けた実施 形態等の調査・検討 【江別市】 コージェネレーションシステムによる公共施設の省エネ及び廃 棄物を利用した熱分解ガス化炉の検討 【稚内市】 小学校や病院、氷冷凍工場など各施設への省エネ設備の導 入検討 【厚岸町】 民間 2005 (H17) 自治体 2001 (H13) 自治体 2003 (H15) 熱電供給 省エネ設備(ヒートポンプ、コージ ェネレーションシステムなどの導 入) 合計 7 事業 FS実施事業者 ・ 7 事例のうち、民間企業は 2 事例のみ 実施項目 ・ ESCO事業は、都市部に集中 ・ 熱供給が過半数を占める 119 ○事業化状況 すでに事業化済であることが確認されているのは 30%、進行中と思われるもの は 20%であった。 ■事業化進歩状況 不明 5% 事業化 済 30% 停止 45% 進行中 20% 事業化は 3 割程度しか進んでいない。 ○補助金の利用 20 事例のうち、17 のFSにおいてNEDOなどによる補助金を利用することを想定してい る。 ■FSで想定されている最大の補助率 補助なし 5% 不明 10% 3/4補助 5% 1/3補助 20% 1/2補助 60% 補助率 1/2 が 60%、補助率 1/3 が 全体の 20%。 ○事業化に係る課題 事業化に当たっての課題としては、採算性が合わないことと技術的制約があげられた。また、 その他の問題としては、会社の経営状況の変化などがあげられた。 ■事業化に係る課題 その他 17% 技術 41% コスト 42% コストと技術的制約が大きい。 120 ③ FS事業化状況のまとめ ○事業化進歩状況 ■FS事業化進捗状況 事業化進捗状況 ・ 事業化済であるのは7事例のみで、事業化はあまり進んでいない。 ・ 事業の主な停止理由は、コストと技術的問題。 ・ 補助金の利用を前提としていても、採算が合わない場合が多い。 ・ 新エネルギー技術の導入については事業化が難しい。 ・ 都市部で自治体が進めるESCO事業は、リスクが少なく事業化に結びついている。 ○各要素技術についての課題及び問題点 FSの調査報告書や事業者へのアンケート調査及びヒアリング調査より得られた各要 素技術についての個別の課題や問題点について以下に整理した。 ■各要素技術の事業化に係る問題点 新エネルギーの技術の事業化に係る問題点 太陽光発電、地熱バイナリー発電 ・ 住宅への太陽光発電導入を事業化するのは、ライフサイクルでのコスト回収を考え てもユーザーへの負担が大きい。 ・ 地熱バイナリー発電は、地下探査調査に多額の費用負担や専門的な探査ノウハウ・ 技術が必要。また、初期費用の回収に時間がかかり、リスクが大きい。 洋上風力発電 ・ 国内の台数の少ない自己昇降式作業台(SEP)船に係るコストや手配の面で課題 がある。 ・ 風強調査時との風速の違いや売電価格の変動といった状況変化により、採算性の確 保ができなくなる可能性がある。 雪氷冷熱 ・ オフィスへの設備の導入費用は高く、導入費用に比べ、新エネルギー活用から得ら れる省エネルギー効果は小さい。 農作物貯蔵施設の冷房用途としては、すでに多数の導入実績があり実用化された技 術であるため、取組のハードルが低いものと思われる。 木質バイオマス ・ 低コストで効率の良い資源の回収・運搬方法の開発。 ・ 含水率など品質のばらつきの調整といった、燃料の品質規格の平準化が必要。 ・ BTL燃料製造の場合、軽油規格を満たすための精製工程にコストがかかる。 畜産系バイオマス ・ すでに草地還元などに利用されており、原料の安定的な確保が困難。 ・ 季節や飼養方式の違いなどによるふん尿成分や水分率の変化への対応が必要。 ・ 処理や運搬・収集方法、敷料を使用しないことなどについて農家の同意が必要。 廃食油(BDF) ・ 冬期に固まってしまう、保管方法や使用方法に課題。 ・ EVなどの普及により、燃料を工夫することの価値の低下。 121 省エネルギーの技術の事業化に係る問題点 ESCO事業 ・ 中小規模の施設への導入は採算性を確保するのが難しく、効果の出る施設をしっか り見極めることが必要。 複数の施設を適切にグルーピングして一括のESCO事業とするなど工夫が必要。 熱電供給(複数施設のネットワーク化) ・ 導管による熱輸送のエネルギーロスが大きく、熱を遠距離に送ることが困難なため、 都市部以外では、コストメリットを見出すことが難しい。 ・ 需要側の設備更新に係るコストや更新時期との兼ね合い。 ・ 電力会社へ支払う託送料金が高く採算が取れない。 都市部以外ではトランスヒートコンテナによる熱輸送を行うなど工夫が必要。 省エネ設備(個別施設へのヒートポンプやコージェネレーションシステムの導入による 省エネ化) ・ 改築や設備の導入などの投資額に対して省エネ効果が小さく、費用の回収は難しい。 ・ 施設のエネルギー消費規模が小さいと、導入する熱源機器も小型のものになり経済 性のあるシステムが組めない。 ・ 施設の年間延べ利用時間によっては稼動効率が上がらず、エネルギーの利用効率が 低くなる場合がある。 事業化の検討 ・ 事業の採算性を確保するために、将来的な状況変化などについても考慮に入れながら綿 密に検討することが必要である。 ・ 技術開発の進捗状況などを把握し、地域条件に見合った利用技術を十分検討することが 必要である。 ・ ESCO事業や熱電供給事業では、コスト面の負担軽減や採算性の確保、技術的問題の 解消のために、複数の事業者で連携して取り組むことも視野に入れて検討する必要があ る。 ・ システム導入に伴う法規制や権利関係の確認・調整。 ・ 電力送受電に係る電力会社との系統接続(系統連系)の形態等についての事前協議・調整。 制度の見直し ・ これまでのFSなどの検討結果から、実情に合わせて補助制度を見直す必要がある。 ・ 公益性のある事業に対して、許認可体制の見直しや届出規制を緩和する必要がある。 122 4−3 各種調査結果の考察 本章で行った各種調査結果を以下に整理する。 スマートコミュニティ推進に向けて検討が必要な項目は、情報共有の推進、コスト面の課題 解消、実現可能性を踏まえた推進計画、北海道の地域特性や産業構造に応じたモデル作成の4 点に大別された。これらの結果を踏まえて、5 章ではスマートコミュニティモデルの検討を行 い、6 章ではスマートコミュニティ推進方策と技術移転についての検討を行う。 ■各種調査結果のまとめ 住民アンケート ・ スマートコミュニティの情報共有の推進が必要。 ・ 電力の見える化、災害時対応の蓄電池など、スマートコミュニティへの期待は大きい。 ・ ライフスタイルの変化には対応可能。PR活動を推進することで理解が得られる可能 性あり。 ・ ライフサイクルでの説明や市民ファンドの可能性によりコスト面への抵抗感を軽減 可能。 事業者アンケート ・ 課題は、「情報不足」と「コスト」。 ・ 事業者ネットワークの構築が必要。継続的な情報交換の場の創出。 各企業のPR・事業内容を共有し、企業間の連携・協力体制を構築。 ・ 事業者ネットワーク構築により、コスト面での課題も解消が可能。 金融面での利子優遇措置の適用、複数事業者で投資分担、補助金等の活用など。 市町村アンケート ・ 環境対策計画や事業の実施は積極的。 ・ 環境対策の事業の具体的検討は進んでいない。 ・ 導入課題は、技術的な問題よりも初期投資や維持管理費といった「コストの負担」。 ・ 各市町村の担当者や担当部署では、庁内調整や地域企業との連携体制の欠如が問題。 再生可能エネルギーの導入を円滑に進めるためのサポート体制の整備が必要。 再生可能エネルギーの利用可能量(新エネルギービジョンより) 都市部や農村部など地域特性によって利用可能な再生可能エネルギーの種類が異なる。 地域特性や産業構造に応じてエリアを類型化し、導入モデルを構築することが可 能。 太陽光・太陽熱利用や温度差エネルギー利用は多くの地域で有効と考えられている。 多くの地域で利用可能な再生可能エネルギーと、地域特性を反映したエネルギー (各種バイオマス・雪氷熱エネルギーなど)と組み合わせた導入方法の検討。 123 再生可能エネルギーの導入可能性評価(新エネルギービジョンより) 基本的には利用可能量の多いエネルギーの評価が高い傾向にあるが、導入方針(導入可 能性評価)は各エネルギーの利用条件や地域事情によっても異なる。 実行可能な計画を立てるためには、再生可能エネルギーの利用可能量だけでなく、 技術面や社会的需要を踏まえた上で検討することが必要。 再生可能エネルギーの導入に係る検討の進捗状況の把握 (市町村アンケートと新エネルギービジョンのクロス分析結果より) ・ 利用可能量が多く、導入可能性評価の高いエネルギーでは導入が比較的スムーズ。 ・ 導入を推進する上で考慮しているのは、「賦存量・利用可能量の多さ」、「技術が確立 していること」、「産業振興効果」。 再生可能エネルギーの導入を検討する際には、技術開発の最新動向や社会情勢の変 化などを踏まえた上で利用可能量を算出し、導入するエネルギーを選定することが 必要。 新エネルギービジョンFS調査のフォローアップ ・ 事業化済であるのは7事例のみで、事業化はあまり進んでいない。 ・ 事業の主な停止理由は、コストと技術的問題。 ・ 国の補助金を前提にしても採算が合わない事例が多い。 ・ 気象条件や売電価格の変更などの状況の変化により採算性が調査結果と合わない場合 がある。 事業の採算性を確保するために、将来的な状況変化などについても考慮に入れな がら綿密に検討することが必要。 技術開発の進捗状況などを把握し、地域条件に見合った利用技術を選択・検証す ることが必要。 コスト面の負担軽減や採算性の確保、技術的問題の解消のために、複数の事業者 で連携して取り組むことも視野に入れて検討することが必要。 スマートコミュニティ構築に向けた検討項目(※カッコ内は本報告書で該当項目の検討を行った章) 情報共有の推進:継続的な情報交換の場の創出 ・ 事業者の連携ネットワーク組織の設立に向けた検討(6−2) ・ 事業者や自治体を集めた勉強会の実施(7−2) ・ 全道的なスマートコミュニティの理解促進をはかるフォーラムの開催(7−4) ・ 住民の理解促進と住民ニーズを把握するためのセミナーの開催(7−5) 124 コスト面の課題の解消:助成・補助制度の見直しやコスト低減方策の提示 ・ 再生可能エネルギー導入費用の整理(5−2) ・ 再生可能エネルギー導入メリットの定量化(CO2削減効果など)(5−2) ・ コスト低減のための取組や支援制度の整理(6−1) 実現可能な導入計画の作成 :技術開発の最新動向や社会情勢の変化などを踏まえた上での導入計画の作成や見直し ・ スマートコミュニティ関連要素のロードマップ整理(5−3) ・ 電力融通などに関する関連規制の整理(5−2) 事業の具体化をサポートするためのスマートコミュニティモデルの構築 :地域特性や産業構造に応じたモデルの検討 ・ 地域特性を考慮したモデルの検討(5−3、5−5) ・ 主体別アクションプランの検討(5−4) スマートコミュニティ構築事業への適用事項 モデル検討への反映事項 地域特性や産業構造に応じた地域分類やエリアの類型化(5−3) 地域特性を考慮した特定の地域において検討を行うモデルは、新エネルギービジョ ンの結果や土地利用計画などをもとに検討 ネットワーク組織設立に向けた考慮事項 情報交換の場の創出 勉強会:個別検討モデル地区の企業を対象にスマートコミュニティについての情 報提供や意見の交換を行う(7−2) 座談会:道内でスマートコミュニティ推進に先進的に取り組む企業を対象に関連 技術などについての情報交換を行う(7−3) ネットワーク組織設立に向けた体制づくり(6−2) 道内のスマートコミュニティ技術を持つ企業を集め、連携体制の構築に向けた方 策などを協議する 125 5章 北海道の地域特性や産業構造に応じたスマートコミュニティモデルの作成 5−1 スマートコミュニティモデル検討に当たっての考え方 (1)スマートコミュニティモデルの目的 スマートコミュニティの構築に向けては、エネルギー、建築物、交通、ライフスタイルとい った複雑かつ広範な分野にまたがる取組が必要であり、各地域が主体的に取組を進めるのは現 時点においては困難な状況である。 このため、地域によって異なる再生可能エネルギーの賦存量や施設等のエネルギー使用量、 産学官金の集積、地域の要望等を踏まえ、地域特性に応じた資源や技術の活用により、地域に おける効率的なエネルギー活用社会を実現するための主体別のアクションプランを含めたモデ ルを提示することによって、各地域がスマートコミュニティに向けた具体的な取組を始めるた めの契機としたい。 本業務では、具体的な 4 地域を想定したモデル検討までを行ったが、4 地域のみに限定した 考え方ではなく、北海道の各地域への適用可能性を考慮して汎用的なモデルとして整理してい る。 (2)スマートコミュニティモデルの概要 本業務では以下の手順でスマートコミュニティモデルの検討を行った。 スマートコミュニティの視点での地域分類 本道の地域特性を踏まえ 「都市部」、「農村部」、「離島部」、「先導モデル地域」 4つの地域分類を定義 地域を構成するエリアの定義 各地域分類の内部構造を 「市街地エリア」、「公共施設集積エリア」、「密集住宅エリア」、 6つのエリアにパターン化 「低密住宅エリア」、「農業エリア」、「工業エリア」 エリア別のスマートコミュニティのイメージ エリア別に エネルギー需要(省エネルギーなど)、エネルギー供給(再生可能エネルギ スマートコミュニティ ーの導入など)、エネルギーマネジメント(エネルギー需給の最適制御な 施策のポイントを整理 ど)、防災(非常時電源の確保など)、地域経済、ライフスタイル など 126 アクションプランの作成 エリア毎に、新規開発する場合と既存地区に導入を進めていく場合とに分け 取組の進め方を提示 て、導入フェーズ別(「初動期」、「準備期」、「実践期」、「管理運営期」)、 実施主体別(「行政」、「大学・研究機関」、「民間企業」、「金融」、「需要家」) に整理 具体的な地域を想定したモデル検討 地域特性を踏まえた スマートコミュニティの イメージを作成 都市部:帯広市 農村部:ニセコ町 離島部:利尻島 先導モデル地域:恵庭市、千歳市、苫小牧市、厚真町 具体的なスマートコミュニティモデルについて触れる前に、次節では技術的やコスト的、ある いは制度的といった観点で事前におさえておくべき考慮事項について整理し、次々節ではスマー トコミュニティモデルの具体的な内容について展開していくこととする。 127 5−2 スマートコミュニティモデル検討に当たっての考慮事項 エリア別のスマートコミュニティのイメージを検討するに当たっては、次の視点を考慮した。 例えば、再生可能エネルギーはその種類や規模によっては導入可能なエリアが制限される。ま た、電力に関しては既存の配電網との関係でも導入に制約がある。熱供給に関しては、主に需要 の集積度や供給地点との距離、法律による規制など考慮すべき点がある。エネルギーマネジメン トシステムに関しては本格的な導入はこれからであることや、電気事業法の規制との関係に注意 が必要である。また、住民のライフスタイルへの影響や国レベルでのロードマップに関しても考 慮が必要である。 ■スマートコミュニティモデル検討に当たっての考慮事項 視点 再生可能エネルギー 該当頁 p.129 の導入可能エリア 発電設備から配電網 要旨 再生可能エネルギーは種類や規模によってエリアが限られるので、適切な 再生可能エネルギーを選択する必要がある。 p.133 への系統連系ルール 既存の配電網に接続するためには基本的なルールに従う必要がある。地 域内で発電設備を導入しようとしたときには、近くに適切な配電線があるか どうかは重要な条件である。電力会社との間での詳細な打ち合わせも必 要である。 熱供給ネットワークの p.134 技術的制約 熱供給の技術としては、導管を用いた蒸気や温冷水の供給が一般的であ るが、熱はその特性上、電気のように遠くまで輸送することはできない。し たがって、需要の集積度や供給地点と需要地点との距離が重要な要因と なる。また、導管を用いずに熱を自動車で輸送する技術も実用化されてき ており、暖房などの熱需要が大きい北海道では注目すべき技術である。 エネルギーマネジメン p.145 ICTを活用したエネルギーマネジメントシステムはこれからの技術であり、 トシステムの基本的な 今後の動向を注視する必要があるほか、電力の融通に関しては現行の電 考え方 気事業法の規制があることから、今後の法制度改革の動きにも注意が必 要である。 スマートコミュニティと p.148 住民のライフスタイル スマートコミュニティは単にエネルギーの利用が変化するだけではなく、ラ イフスタイルの変化も伴うものである。これからの高齢化社会や過疎、過 密といった地域課題とも絡めて、生活の質をいかに高めて住みやすい地 域を作っていくかといった視点が必要である。 スマートコミュニティに p.152 スマートコミュニティに関連する技術は最新の開発途上の技術が多く、今 関連する国レベルのロ 後の技術開発の動向を見据える必要がある。また、エネルギーに関連す ードマップ る法制度の見直しも予想されることから、そうしたロードマップとタイミング を合わせて施策を実施すべきである。 上記の各テーマの詳細については次項以下に述べる。 128 (1)再生可能エネルギーの導入可能エリア 再生可能エネルギーは種類や規模毎の特性に付随する制約により、導入可能なエリアが限定 される傾向がある。例えば、1,000kW級の太陽光発電では少なくとも 10,000m2 以上の用地を 必要とするため、市街地や住宅地への導入は事実上困難となる。また、1,000kW以上の大型の 風力発電では、低周波騒音が問題となり、民家から数百m以上離す必要があるため市街地や住 宅地での設置は現実的ではない。 こうした制約を考慮して、再生可能エネルギーの種類と規模、それに応じた導入可能エリア を下表に整理した。また、蓄電池についても別表にて同様に整理した。 なお、下表は傾向を示したものであり、設備導入可否の絶対的な基準ではない。実際に導入 を検討する場合には、土地の条件を総合的に判断する必要がある。また、規模はさまざまであ るため、表内の数字はすべて概数で示してある。 ■各種再生可能エネルギーの導入可能エリア 導入可能エリア 風力発電 戸建 住宅用 大型*6 *25 中型*6 小型*6 マイクロ*6 10∼ 100*4 工業 ビル・集合 10∼100*3 100∼ 住宅用 1,000*3 農業 1,000∼ 28,000 1,000∼*4 ∼*2 低密住宅 (㎡) 密集住宅 太陽光発電 メガ ソーラー*25 (kW) CO2 削減 設備 年間 効果*1 コスト 発電量 (MWh) (t-CO2) (百万円) 公共施設集積 規模 必要 面積 市街地 種類 出力 備考 × × △ ○ 広大な用地が必要 430∼ 350 程度 × ∼ × 4∼40 5∼50*5 ○ ○ ○ × × ○ 農地法や工場立地法な どにより開発規制あり 4*4 1.6 2.2 × × ○ ○ ○ × 1,000∼ 2,800 1,750∼*8 ∼*7 760∼ 300*9 × × × × △ △ 低周波騒音の問題があ 4 27 50∼1,000 200∼ 2,800*7 るため、ガイドラインを定 めている各自治体あり*13 88∼ 40∼760 1,750*8 190*10 × × × × △ △ ∼ 200*7 2∼88*8 1∼40 1.6*11 × × × △ ○ ○ ∼1 (各種) ∼2 ∼1 0.48*12 ○ ○ ○ ○ ○ ○ - - 90 × ○ × × ○ × 400 173 130 × × × × ○ × 1∼50 *14 バイオマス 400 農産系*15 (大型ボイ (200+200) ラー) 40 畜産系*16 65 林産系*17 (大型ボイ ラー) 180 24 - - 72 × ○ × × ○ ○ 林産系 (住宅用ペ レットスト ーブ) 5 4 - - 0.5∼ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 129 水産系*18 廃棄物*19 発電: 9.8kW/h 発熱: 81.7MJ /h - - - - × × × × × ○ 7,000 47,006 - - 17,000 × × × × × ○ 市街地、住宅地などでは 廃棄物処理は困難 10 - - - 2.8 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 0.25∼0.75 - - - 3 ○ ○ ○ ○ ○ ○ - 396 - 44 170 × ○ × × ○ ○ 中小水力発電*23 540 - 1,750 758 460 × ○ × ○ ○ ○ 地熱発電*24 990 - 8,520 3,700 地中熱ヒートポ ンプ*20 燃料電池*21 雪氷熱利用*22 1,200 地下の熱水の分布状況によって立地点が限られるので、 地上の土地利用状況には対応しない。 また、導入に適した地域が国立公園内であることが多く、 自然公園法による規制を受ける。温泉事業者の反対を受 けるケースも多い。 [凡例] ○:適する、△:条件付で適する、×:適さない ※一部の欄を「−」 (ハイフン)で示しているのは、一概に数値で示すことができないためである。 [脚注] *1 北海道電力の実排出係数 0.000433t-CO2/kWh( 「平成21年度の電気事業者毎の実排出係数・調整後排出係数 等」環境省)を原単位として使用。 *2 稚内メガソーラーの例(140,000 ㎡、5,000kW) 。 *3 実際にビルの屋上に設置されている太陽光発電の導入規模から大まかに想定。 *4 1,000kWh/kW/年( 「太陽光発電フィールドテスト事業に関するガイドライン 基礎編」NEDO)として計算。 *5 50 万円/kW( 「再生可能エネルギー技術白書」NEDO)として計算。 *6 「風力発電導入ガイドブック」NEDO。 *7 標準的なロータ直径から円面積を算出。 標準的なロータ直径:大型:60m 以上、中型:16∼60m、小型:16m 以下( 「風力発電導入ガイドブック」NEDO) 。 *8 年間設備利用率 20%( 「風力発電導入ガイドブック」NEDO)として計算。 *9 横浜市神奈川区瑞穂ふ頭(1980kW)の例。 *10 青森県深浦(750kW)の例。 *11 マブチ・エスアンドティー社屋の例(2.3kW) 。 *12 ゼファー社製風車(1kW)の例。 *13 愛知県新城市のガイドラインの例: 「新城市風力発電施設等の建設等に関するガイドライン」 (以下、抜粋) 風力発電施設(1基当たりの定格出力が 100 キロワット以上の施設)については、住宅、事務所、店舗等(以下「住 宅等」という。)との距離(風車におけるタワー基礎部分からの水平距離)は、風車の最高点(タワー基礎部分か らブレード先端最高部までの垂直距離)の2倍以上とすること。ただし、その距離が 500 メートルに満たない時 は、500 メートル以上とすること。 *14 低周波騒音の問題がないのでビルの屋上などに設置されるケースが多い。一般的なプロペラ型以外に垂直軸 のダリウス型、サボニウス型などさまざまな種類があり、モニュメント的な目的で設置されることもある。 ダリウス型風車の例 サボニウス型風車の例 (生田産機工業(株)ホームページより転載) ( (株)北陽 ホームページより転載) *15 南幌温泉での稲わらペレット利用の例(ボイラー:二光エンジニアリング社製 RE-35N) 。 130 *16 町村牧場バイオガス発電プラントの例。 *17 下川町五味温泉での木質チップ利用の例(ボイラー:シュミット社製 UTSR180) 。 *18 東京ガスによる実証プラントの例(バイオマスエネルギー導入ガイドブック(第 3 版),NEDO) 。 *19 くりりん発電所の例(面積、コストはごみ処理施設全体) 。 *20 サンポット社製品の例。 *21 北海道ガスによるエネファームの例。 *22 「風連町雪氷冷熱施設事業化基本調査」による米貯蔵施設の例。面積は貯雪庫部分のみ(貯雪量は 313.4t)。 *23 群馬県 天狗岩発電所の例。 *24 九重地熱発電所の例。 *25 メガソーラーや大型風力など、定格出力が大きく、かつ予測不可能な出力変動幅が大きい発電設備に関して は、系統連系に際して蓄電池など系統安定化対策のための装置の設置を求められる可能性あり。 再生可能エネルギーを安定して活用するには、蓄電池が重要となるが、蓄電池もその規模や用 途などによって導入可能エリアが限定される傾向がある。その整理したものを下表に示す。 ■各種蓄電池の導入可能エリア 導入可能エリア 3.2 1.68 ○ 電気自動 車*6 24*3 - ○ [凡例] 工業 住宅用*5 農業 7.5 ○ 低密住宅 150 ビル用 密集住宅 *4 公共施設集積 市街地 設備 蓄電量 コスト kWh 百万円 用途 (概算) (概算) 9,800 250 × 大規模発 電平準化 用*1 工場用*3 1,000 25∼ × 備考 × × × △*2 ○*2 大容量・長寿命に対応するためレド ックス・フロー電池、NAS 電池、鉛蓄 電池が主流。 × × × × ○ ○ × × × × 蓄電容量や設置場所の観点から、 鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチ ○ ○ ○ ○ ○ ウムイオン電池などが主流。 ○ ○ ○ ○ ○ エネルギー密度を高めて小型する必 要があるため、リチウムイオン電池 が主流。 ○:適する、△:条件付で適する、×:適さない [脚注] *1 稚内メガソーラーの例(NAS 電池) 設備コストは想定(2.5 万円/kWh として計算) *2 蓄電池設置の対象となるメガソーラー、大型風力発電の導入可能エリアに準じる。 *3 大洋薬品工業(株)高山工場の例(NAS 電池) 設備コストは想定(2.5 万円/kWh として計算) *4 清水建設(株)本社ビルの例(鉛蓄電池) 設備コストは想定(5.0 万円/kWh として計算) *5 パナソニック電工の製品例(リチウムイオン電池) *6 日産リーフの例(リチウムイオン電池) 131 蓄電池は原理的にさまざまな種類があり、実用化されているものでもいくつかの種類があり、 それぞれ特性が異なっている。その概略は下表のとおりである。 蓄電池の選択に当たっては、コストはもとより、耐用年数やリサイクル、必要な付帯設備など も含めた判断が必要である。 なお、下表におけるkW単価は蓄電池の出力アップの容易さを表し、kWh単価は容量(放電 時間)アップの容易さを表す。いずれも目安であり、前述の「各種蓄電池の導入可能エリア」の 設備コストとは一致しない。 ■蓄電池の種類と特性 種類 NAS 電池 レドックス ・フロー電池 鉛蓄電池 ニッケル水素 電池 リチウムイオン 電池 容量(MW)*1 0.1∼10 0.1∼10 MW 以下 0.01∼5 MW 以下 kW 単価*3(万円) 20 39 3∼5 10 20∼30 *4 kWh 単価 (万円) 2.5 5 5 10 20 耐用年数*1 15 年 10 年 8∼15 年 10 年程度 10 年程度 160 8.5 40 84 ∼200 2500 以上 2500 以上 2500 以上 1000 以上 2500 以上 自己放電*2 ほとんどなし 比較的多い 1.5%/月 30%/月 10%/月 電池効率(直流端)*2 87% 80% 87% 80% 95% システム効率*2 (交流端) 77% 70% 77% 70% 85% なし 中(V) 中(鉛) 中(希土) 中 エネルギー密度*1 (kWh/m3) サイクル寿命推定*2 (回) 資源の制約 リサイクル *1 *2 メリット*2 今後の課題 比較的容易 既にシステム確立 ・耐久性に優れる ・低コスト化に期待 ・メンテナンス容易 ・高エネルギー密度 ・大容量設備向き ・使用実績豊富 ・低コスト化を実現 課題*2 導入事例*1 ・高温の温調要 ・タンク設置場所 ・寸法大きく重い ・廃棄時が課題 ・メンテナンスが複雑 ・危険物扱い ・据付工事期間長 い 配電用変電所(東 京 電 力 ) 、八 丈 島 (地熱、風力)、六 ヶ所村二又風力発 電所、ドイツでは 太陽光発電でも事 例あり(ベルリン市 ソロン社) ほりかっぷ発電所 (泊村)、苫前ウィン ビラ発電所(苫前 町)、産業技術総合 研究所(太陽光発 電) リサイクル可 ・高エネルギー密度 ・急速充電大電流 放電が可能 ・大電流放電可 ・コスト低減が課題 ・過電圧低電圧に弱い ・大容量化が課題 ・大容量化が課題 ・過充電過放電に強い ・コスト低減が課題 市 浦 風力 発 電 所 (青森県五所川原 市) 電動アシスト自転 車、ハイブリッド自 動車など 風力発電 適 用 範 囲 今後の課題 ・充放電サイクルが 短い 太陽光発電 電気自動車 ビル 家庭用 ※出典 下記資料をもとに作成 *1 大規模電力貯蔵用蓄電池(2011、電気化学会エネルギー会議電力貯蔵技術研究会 *2 NAS 電池について(2010、新技術調査検討会) *3 各種蓄電池の性能比較( (株)エジソンパワー ホームページ) *4 蓄電池技術の現状と取組について(2009,資源エネルギー庁) 132 プラグイン・ハイブリッド 自動車、電気自動車な ど (2)発電設備から配電網への系統連系ルール 再生可能エネルギーによる発電設備を既存の配電網に接続(系統連系)する場合には、その 規模と配電網の関係から接続の可能性が異なる。その接続可能性について、概略イメージと各 モデル地域との関係性を整理すると下図のとおりになる。 なお、実際の接続に当たっては、配電網を管理する電力会社との協議が必要である。 特に、太陽光発電や風力発電による電力は、天候等の自然条件によって発電量が左右され、 配電網の電圧や周波数に影響を与える恐れがあるため、蓄電池の設置などといった技術的な対 応を考えることが大切である。 また、メガソーラーやウインドファームなどの大規模設備は、広大な土地を必要とするため 都市部などの大需要地から遠く離れた地域に計画されることが多い。その場合には既存送電網 の容量の制約を受ける可能性がある。 一方、住宅の屋根に設置する太陽光パネルなどの小規模な発電施設の場合には、制約が少な くなる。しかし、こうした発電施設が既存の配電網に多数される場合には、配電網の電圧や周 波数などに悪影響を及ぼす可能性があり、一定程度に制限される可能性もある。 ■再生可能エネルギー発電の系統接続条件及び各モデル地域と配電網との関係イメージ ※出典 電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン(平成 16 年、資源エネルギー庁)をもとに作成 133 (3)熱供給ネットワークの技術的制約 熱エネルギーのネットワーク化は電力ネットワークに比べてその実現が遅れているが、熱輸 送のエネルギーロスが大きく、熱を遠距離に送ることが困難なことが原因である。 現在のところ、熱供給ネットワークは大都市の一部で実現されているだけであるが、全国的 に見ても特に熱需要が大きい北海道では、熱供給ネットワークによる未利用エネルギーの有効 活用や省エネ効果が期待される。 熱供給は一般に導管を敷設することによって実現されるが、近年ではトラック輸送によって 導管を用いずに熱供給を行う技術が開発されている。当項では導管による熱供給について論じ るとともに、トラック輸送による方法についても紹介する。 ①熱供給事業とは 「熱供給事業」とは、一般的には「地域冷暖房」と呼ばれ、一定地域内の建物群に対して蒸 気・温水・冷水等の熱媒を熱源プラント(ただし熱源設備の加熱能力 21 ギガジュール/時以上) から導管を通じて供給する事業のことを言う。 ※出典 資源エネルギー庁 「エネルギー有効活用のための熱供給事業関連サイト」 134 ②熱供給事業法による規制 熱供給事業は公益事業と位置づけられるため、熱供給事業法によって主に以下のような内容に ついて規定されている。 ・事業許可(法第 3 条、第 5 条) ・供給区域内の需要に対する供給義務(法第 13 条) ・料金その他の供給条件に係る認可等(法第 14∼16 条) ・熱供給施設に係る保安規制(法第 20∼24 条) 以下の全ての条件に当てはまる場合に「熱供給事業」とみなされ、熱供給事業法の規制対象と なる。 ・水を人為的に加熱又は冷却し、この供給をもって営利を目的とする。 ・一般の需要に応ずる。 ・二つ以上の建物に供給する。 ・熱供給施設の加熱能力が 21GJ/h以上である。 また、熱供給事業法の規制対象とならない場合でも、熱導管の埋設時に道路管理者の許可を得 る必要がある。従来、熱供給事業法の対象とならない熱供給に関しては公共性が認められにくく、 道路占有が許可されないなどということがあったが、 「規制・制度改革に係る対処方針」 (平成 22 年 6 月 18 日閣議決定)では、「熱供給事業法に定める熱供給導管以外の熱供給導管についても、 温暖化ガスの排出削減を促進する観点から、道路法第 32 条第 1 項第 2 号に規定する占用許可対 象物件に該当する旨を文書により周知する」とされている。 135 ③北海道における地域熱供給の現状 北海道では以下の 9 地区において熱供給事業が行われている。 札幌都心地区において、オリンピック開催にあわせて熱供給が開始されたのが最初であり、現 在この地区は延床面積でも日本最大級の事業となっている。 ■北海道における地域熱供給の現状 地区 札幌市都心地区 供給 区画 延床 開始年 面積 面積 S46 供給建物 備考 106.0ha 1,894,040m2 デパート、ホテル、オフ 天然ガス、木質バイオマス(約 20% ィスビル、商業施設、道 混焼) 路融雪等 札幌市厚別地区 S46 142.0ha コージェネレーション 2 495,603m 集 合住 宅 、 デ パー ト 、 全供給熱量の約 80%を RDF(ごみ 病院、学校等 固形化燃料)、建築廃材木チップ 等の廃棄物エネルギーをベース 札幌市真駒内地区 S46 50.3ha 123,836m2 集合住宅、学校、オフィ スビル、商業施設等 苫小牧市日新団地 S47 36.6ha 105,000m2 S49 74.7ha 112,446m2 市役所、市民会館、学 地区 苫小牧中心街南地 区 校 、 NTT 、 保 健 セ ン タ ー 、 公 営 住 宅 等 ( 849 戸) 札幌市光星地区 S50 11.5ha 127,635m2 集合住宅、商業施設等 苫小牧市西部地区 S51 28.6ha 145,944m2 公営住宅、病院、高等 学校、保育園、商業施 設 札幌駅北口再開発 H1 22.0ha 地区 小樽ベイシティ地区 196,365m2 オフ ィ ス ビ ル 、 商 業施 設、融雪槽、学校 H11 12.8ha 226,549m2 商業施設、 分譲マンション 天然ガスを燃料とする、ガスタービ ン及び蒸気タービンによる最大出 力 16,700KW のコンバインド発電 ※出典 (社)日本熱供給事業協会のホームページをもとに作成 ※区域面積、延床面積はいずれも平成 20 年 3 月 31 日現在 136 ④熱需要集積度と熱供給ネットワークの実現可能性 熱供給ネットワーク実現のためには大口需要家が集中していることが重要である。ホテルや商 業施設、公共施設、集合住宅などが集中する市街地では熱供給ネットワークの実現可能性が高い が、戸別住宅のみの地域や住宅が散在するような地域では実現が難しい状況にある。 以下に熱需要集積度と熱供給効率のイメージを示す。 ■熱需要集積度と熱供給ネットワーク構築の可能性(導管を敷設する場合) 137 ⑤熱供給事業の事例 札幌市では、北海道ガス(株)を中心に、 「札幌市版スマートエネルギーネットワーク」計画を 策定し、2010 年の経済産業省「次世代エネルギー・社会システム実証地域」募集に応募した。残 念ながら選定はされなかったが、北海道での意欲的な計画として、その実現が期待されている。 具体的な取組方針は以下のとおりであり、再生可能エネルギーを含めた電気と熱のエネルギー 供給をネットワークで結び、ICTにより最適化を図るものである。 ・スマートエネルギーネットワーク統合制御システムの確立 ・ガスコージェネレーションの導入 ・再生可能エネルギーの導入 ・エネルギー供給拠点間の熱融通 ・次世代自動車の導入 ・高温水導管を活用した排熱ネットワークの導入 ■札幌市版 スマートエネルギーネットワーク ※出典 「札幌市版 スマートエネルギーネットワーク」計画 138 ■スマートエネルギーネットワーク概念図 ※出典 東京ガス(株) ホームページ 139 以下に最新事例として「埼玉県立がんセンター新病院エネルギーネットワーク」計画について 紹介する(東京ガス(株)のプレスリリースより) 。 ■概要 新築のがんセンター新病院、職員公舎、既築の職員公舎、東館・研究所、精神医療センターを 含む複数建物間で熱(冷水・温水)と電力を融通する予定。 日照条件の良い職員公舎等に太陽熱集熱装置、太陽光パネルを集中して設置し、再生可能エネ ルギーを導入するとともに、最新のガスコージェネレーションシステム等の高効率設備を導入し、 従来と比較して、該当地域内のCO2排出量を約 35%削減できる見込み。 ■主要な導入予定設備 名称 能力等:導入施設 ガスコージェネレーションシステム 315kW×2 台:がんセンター新病院 35kW×3 台(停電対応機種):公舎 25kW×1 台:精神医療センター 廃熱投入型蒸気吸収冷凍機 1,400kW×1 台:がんセンター新病院 太陽熱集熱装置 100kW:公舎 蒸気ボイラ 1,253kW×3 台:がんセンター新病院 太陽光発電装置 70kW:公舎 30kW:がんセンター新病院 ■イメージ図 ※出典 東京ガス(株) ホームページ 140 ⑥熱供給ネットワークの手法 以下に示すとおり、熱供給を行う手法については供給する距離によって手法が異なる。一般に 供給コストや配管工事コストによって、数 10m以内の近距離であれば温水、数km以内の中距離 であれば蒸気、それ以上であれば高温水を送る手法がとられている。熱源が既にある場合とボイ ラーで新たに熱を作る場合との違いや、供給する距離と熱損失の割合などを考慮して、適切に選 択することが重要である。 ■熱供給ネットワークの手法の整理(概略イメージ) ■熱供給ネットワークの手法比較(概略イメージ) 供給 方法 温水 標準温度 (圧力) 供給距離 の適正 熱損失 配管工事コスト 概ね 近距離: ポン 管径が大きいため 管 径 が 大 き い た 主に給湯で使用する 60∼80℃ プ供給となる ため熱交換器が不要 熱損失も大きい めコストも大きい ため 蒸気 需要家側の設備 でコストが安い 概ね 中距離:蒸気 管径が細いため熱 管径が細いた め 熱交換器の導入コスト 0.5∼0.9Mpa の圧力で供 損失も小さい コストが小さい が必要 給可能 高温水 概ね 長距離:蒸気 蒸気よりも管径を 蒸気よりも管径を 高温の熱交換に伴い 170∼200℃ より高圧力で 細くできるため熱 細くできるためコ 高価な熱交換器の導 供給可能 損失が最も小さい ストが最も小さい ※出典 熱供給事業便覧(平成 23 年版)をもとに作成 141 入が必要 ⑦熱導管を用いない熱供給技術 従来の熱供給ネットワークは導管を施設するのが一般的であるが、近年の技術開発により導管 を用いない熱供給技術が実用化された。 トランスヒートコンテナは、移動式のタンクに熱を貯蔵しトラックで輸送できる装置である。 トランスヒートコンテナを使えば、導管を用いずに熱を輸送することができる。 インフラ整備コストが大幅に削減できるので、市街地などの熱需要地から物理的に離れている ごみ処理場や工場など、大量の排熱がある施設を有効利用することが可能となる。 北海道では一部の都市を除き都市密度が低く、導管を用いる場合では熱効率の観点から供給可 能距離が数kmまでと限られることから、発電所や工場、ごみ焼却場などの排熱を有効利用する ことは困難であった。トランスヒートコンテナでは 20km程度まで供給が可能となるため、熱供 給ネットワークの範囲が格段に拡がる可能性がある。 ■トランスヒートコンテナ外観 ※出典 三機工業(株)ホームページより転載 ■トランスヒートコンテナと熱導管の比較 比較項目 熱供給距離 供給エリア可用性 導入コスト ランニングコスト 利用可能温度範囲 輸送効率 トランスヒートコンテナ ○ 20km 程度 熱導管 △ 数 km △ × 熱交換設備の設置 導管埋設工事が必要 △ 距離が長いと有利 △ 距離が短いと有利 △ △ 輸送コスト 維持管理コスト ○ 中・低温排熱も利用可能 △ 高温排熱のみ △ ○ 1.0∼1.5MWh/台 (温水輸送の 3∼4 倍) 熱効率 △ △ 距離が長いと有利 距離が短いと有利 142 参考として、トランスヒートコンテナの導入コストの一例を以下に示す。ただし、実際の導入 検討に際しては詳細の条件に基づいた試算が必要である。 ■トランスヒートコンテナの導入コスト(概算) 機器 仕様 コスト 備考 トランスヒート コンテナ ・ISO20 フィート枠付きコンテナ ・コンテナ容量:11.0∼26.0m3 ・蓄熱容量(国内標準): 1.0∼1.5MWh ・酢酸ナトリウムタイプ: ・蓄熱材の充填量 25,000∼35,000 千円 による ・エリスリトールタイプ: 35,000∼45,000 千円 熱媒油ポンプ ・流量:40m3/h 程度 ・2,000 千円程度 ・機器仕様による (供給側、需要側) ・耐熱温度: ・数百∼数千万円程度 ・機器仕様による 180℃程度(PCM:Type4) 120℃程度(PCM:Type1) 熱交換器 ・型式:プレート式・スパイラル式 他 ・交換熱量:0.5MW 程度 ※出典 「熱輸送ネットワークによる低温排熱の地域内利用研究」結果報告書 (環境パートナーシップCLUB・EPOC 温暖化・省エネ分科会)をもとに作成 トランスヒートコンテナの蓄熱材としては酢酸ナトリウム三水和物とエリスリトールの 2 種類 がある。以下に両者の違いを示す。 ■蓄熱材としての酢酸ナトリウムとエリスリトールの違い 蓄熱材 融解潜熱 融点温度 推奨熱源温度 備考 酢酸ナトリウム 250kJ/kg 58℃ 70-90℃ エリスリトール 340kJ/kg 118℃ 130-150℃ より多くの熱を蓄積することができる ※出典 各種資料より作成 これまでのトランスヒートコンテナの導入事例は以下のとおりである。 ■トランスヒートコンテナの導入事例(実証試験等の事例は除く) 熱供給側 熱需要側 施設名 熱源 サントリー天然水(株) 工場排熱 置く大山ブナの森工場 施設名 サントリー天然水 (株) 奥大山ブナの 森工場 奥羽クリーンテクノロジ 排熱ボイラからの 青森県栽培漁業振興 ー(株) 排蒸気[約 150℃] 協会 青森県栽培漁 (廃棄物処理施設) 業センター 奥羽クリーンテクノロジ 排熱ボイラからの メディカルコート 八 ー(株) 排蒸気[約 150℃] 戸西病院 (廃棄物処理施設) (株)環境ソリューション 排熱ボイラからの かんなタラソ沖縄 (廃棄物処理施設) 排蒸気[約 150℃] (リゾート施設) ※出典 三機工業(株)のホームページをもとに作成 143 熱用途 暖房熱源など 概算コスト 約 80,000 千円 海水の加温(海水 約 190,000 千円 20℃程度) アワビ稚貝育成用 院内の給湯・暖房 (不明) 用温水の加温 施設内の海水の加 約 230,000 千円 温(海洋療法) 現在のトランスヒートコンテナの仕様は 20tと大型であるが、環境省の地球温暖化対策技術開 発等事業により平成 23 年度から 25 年度までの予定で、三機工業(株)と三重中央開発(株) 、極 東開発工業(株)によって中小施設向けの開発が進められている。 ○関連技術 トランスヒートコンテナに類似した技術として、(株)神鋼環境ソリューションによる「サー モウェイ」がある。以下に外観のみを示す。 ■「サーモウェイ」外観 ※出典 (株)神鋼環境ソリューションのホームページより転載 トランスヒートコンテナと比較したサーモウェイの特徴は以下のとおりであるが、まだ導入事 例が公開されていないため細かな比較は困難である。今後の事例公開が待たれるところである。 ■トランスヒートコンテナとサーモウェイの比較 蓄熱材 コンテナ重量 推奨熱源温度 トランスヒートコンテナ 酢酸ナトリウム/ エリスリトール 20t(ISO20 フィートコンテナ) 酢酸ナトリウム:70-90℃ エリスリトール:130-150℃ サーモウェイ エリスリトール 20t, 10t, 4t 130-150℃ 144 (4)エネルギーマネジメントシステムの基本的な考え方 ① エネルギーマネジメントの定義 ここでのエネルギーマネジメントの定義は、 「需要側(家や施設、地域)で創られる再生可能 エネルギー又は分散型エネルギーをその場所(家や施設、地域)で最大限使い切ること」とす る。そのためには、①個別最適(施設単体での自給自足) 、②(地域単位での)全体最適を実現 することが必要となる。 概要 課題 ①個別最適 家、施設単位で設置される創エ PV等のエネルギーを自家消 家、施設単位での自給自足型の ネ機器(PV、太陽熱、FC等) 費するためには、各家庭に蓄電 エネルギーマネジメント で創られるエネルギーを、家や 池が必要であるが、蓄電池は未 施設で出来るだけ消費する。 だ高コストで普及しにくい。 ②(地域単位での)全体最適 家間、施設間で需要の平準化を ICT技術を活用して地域で 地域での地産地消型のエネル 図ることで、地域全体で作られ エネルギーの需給バランスを ギーマネジメント るエネルギーを出来るだけ地 とることは可能。 域内で消費する。 ※施設間で託送(直接的に電気 のやり取り)を行う場合には、 電気事業法上の制約がある。 ② エネルギーマネジメントシステムの必要機能 上記のエネルギーマネジメントを実現するためのシステム(EMS)には、 「個別最適=単独 施設のエネルギーの最適化を図るもの」と、 「全体最適=複数施設のエネルギーの最適化を図る もの」がある。現時点で商用化されている技術と、実証段階もしくは制度的制約がある技術が 存在する。ここでは、代表例としてHEMS(住宅)とBEMS(ビル)の必要機能を整理す る。なお、FEMS(工場)についても、既に多くの工場への導入実績があり一定の技術レベ ルがある。 【単独施設におけるエネルギーマネジメントシステムの必要機能】 ○:既に商品化されている技術 ▲:未商品化・実証中 エネルギー 使 用量の把握・ HEMS BEMS ○住宅全体、諸室単位、コンセント単位での ○ビル全体、諸室単位、設備単位でのエネ エネルギーの見える化 ルギーの見える化 見える化 ○家電単位での見える化 省エネアドバイ ○利用状況に応じた省エネアドバイスサー ス ビス ○利用状況に応じた省エネアドバイスサー ビス ○発電量予測 ○発電量予測 家電等の自動 ○家電のオン・オフ制御 ○設備・機器のオン・オフ制御 制御 ○照明の自動制御 ○照明・空調の自動制御 ▲エネルギー需給状況にあわせた家電の ▲エネルギー需給状況にあわせた設備・機 145 自動運転 器の自動運転 換気・採光等 ○室温や外気を把握した自動換気システム ○室温や外気を把握した自動換気システム の自動制御 ○自然採光を自動調整するシステム ○自然採光を自動調整するシステム エネルギー 需 ○蓄電・蓄熱のマネジメント(ピークシフト) ○蓄電・蓄熱のマネジメント(ピークシフト) 給の調整 ▲エネルギー需給状況にあわせた家電の ○自家発電利用の自動切り替え 自動運転 ▲エネルギー需給状況にあわせた設備・機 ▲余剰電力の逆潮流(地域内への融通等) 器の自動運転 ▲余剰電力の逆潮流(地域内への融通等) 【複数住宅・施設におけるエネルギーマネジメントシステムの必要機能】 CEMS エネルギー使用量の ○複数住宅・施設のエネルギーの見える化 把握・見える化 エネルギー需給の調 ▲住宅・施設間でのエネルギー需給調整(融通) 整 マネジメントによるサ ○省エネ、ピークカット、ピークシフト等に寄与する行動へのインセンティブ付与 ービス ▲需給状況に応じた地域独自の電気(熱)料金体系の設定(ダイナミックプライシン グ) ③ 地域エネルギーマネジメントの実現に向けた課題 戸建住宅(低圧需要)を含む「複数住宅・施設(面的な地域)でのエネルギーマネジメント」 を実現させるためには、①配電線を利用すること(託送または自営線)、②低圧向けの電力供給 事業形態をとることが必要となるが、現在の電気事業法上では、以下の課題がある。 配電線との関わり マネジメント主体が取組む領域 BACK 配電 マネジメント UP電源・ (系統 (融通・ 同時同量 から借りる) 売電等) (系統) 分散 電源 高圧一括受電 BACK 配電 マネジメント UP電源・ (自前で (融通・ 同時同量 整備) 売電等) (系統) 分散 電源 特定電気事業 BACK 配電 マネジメント UP電源・ 同時同量 (自前で (融通・ (自前で 整備) 売電等) 整備) 分散 電源 特定供給 BACK 配電 マネジメント UP電源・ 同時同量 (自前で (融通・ 整備) 売電等) (自前で 整備) 分散 電源 託送 制度的課題 ・現行の電気事業法では、戸建への託送は認めら れていない(自由化の進展が前提)。 ・託送料の規定を精査し、一般電気事業者と調整 する必要がある 自営線を所有 ・高圧一括受電については、「一の構内」の考え方 に基づき、一般電気事業者の約款上、戸建への 配電が認められていない。ただし、PPS活用なら、 現在でも可能と考えられる。 ・特定範囲内の供給エリアに対して、自営線と供 給力を担保できる発電設備を準備すれば、ミニ電 力会社として事業が可能である。六本木エネルギ ーサービスの形態。 ・電気の使用者と供給者の間で密接な関係が存 在することから自家発自家消費に類似した性格を 有すると認められる場合。北九州市八幡東田地 区の形態。 146 ※参考:電力供給方式の違いによる電気事業法の区分 電 電力 系統 気 特定 事 地点 概要 代表的な事業者 一般電気事 業法 特定規模電 気事業 一般(不特定多数)の需要に応じて電気を供 給する業務 限定された区域で、高圧または特別高圧で受 電し契約電力会社が 50kW 以上の需要家に 対して、自営線により、電力供給を行う事業 電力 10 社(東京電力・関西電 力・中部電力・九州電力など) エネット・サミットエナジーなど (特定地点での事業に関わら ず例示) 特定電気事 業 限定された区域に対し、自らの発電設備や電 線路を用いて、電力供給を行う事業(今後、電 気事業分野会で制度の見直しが議論される 予定)。原則として 100%自前で電力供給。 電気の使用者と供給者の間で密接な関係が 存在することから自家発自家消費に類似した 性格を有すると認められる場合 マンションを始め、一構内における電気に関 わるサービス事業。電力は系統から調達可 能。 地域に限定した特別な規制緩和が実施でき る可能性がある。 六本木エネルギーサービス 諏訪エネルギーサービス(日 本発の自営線での熱電供給 事業)など 新日本製鐵など 業 法 特定供給 一需 要場 所 電気事業 法外 高圧一括受 電 環境未来都 市構想・総 合特区 NTT ファシリティーズ・オリック ス・中央電力・IPPS・エフビット など ■電気事業法による事業区分のイメージ図 <特定規模電気事業> <特定電気事業・特定供給> 自営線 同一の敷地内の場合など:特定供給 特定の地点に電力供給:特定電気事業 <高圧一括受電> 民間 ※出典 北海道経済産業局ホームページ 民間分譲集合住宅におけるESCO・リース事業研究会報告書(経済産業省) 147 (5)スマートコミュニティと住民のライフスタイル スマートコミュニティとは、単にメガソーラーや風力発電などの再生可能エネルギーの導入が 進んだり各家庭に太陽光パネルや省エネ機器が設置されたりするだけではなく、熱や未利用エネ ルギーも含めたエネルギーが地域単位で統合的に管理され、交通システムや住民のライフスタイ ルの転換などが複合的に組み合わせられて構築される。 ここでは、スマートコミュニティの構築によって住民のライフスタイルにどのような影響があ るのかを整理する。 ■スマートコミュニティによる住民のライフスタイルへの影響 生活のシーン ライフスタイルへの影響 メリット ・エネルギーの消費量がリアルタイムで目に見えるようになり、無駄 ・電気やガスなどのエネ なエネルギー使用に気づきやすくなって、省エネが進む。省エネ機 器への買い替えの動機づけにもなる。 ・エネルギー消費量などのデータが蓄積されるので、省エネアドバイ スなどのサービスが受けやすくなる。 ・意識が高い家庭では、就寝時刻を早めるなど、生活習慣を見直す ・CO2排出量の低減によ る地球温暖化防止への 貢献 ・防犯、防災 ・住民の意識改革 行動につながる。 ・ピーク時には節電するが、あらかじめピーク時間帯がわかるので、 やみくもな節電をする必要がなく、ストレスや不便を感じないで済 む。また、ピーク時に節電してオフピーク時に電気を使うほうが電 気料金が安くなるので、節電に積極的に協力するようになる。 家庭 ルギーコストの削減 ・HEMSが普及すると、意識しないでも自動的に省エネが行われて ストレスにならない。 ・外出先から携帯電話でHEMSにアクセスし、家電の操作などをお こなうことが可能となる。 ・住宅や家電、設備が情報通信機能をもつことにより、防犯や火災、 機器故障の検知など、さまざまな付加価値サービスを享受すること ができるようになる。 ・単なるエネルギーの消費者から、エネルギー供給に参加している という当事者意識に変わる。 ・断熱や採光、換気などを含めたトータルな住環境が向上するため に、室温や湿度、明るさなどが最適にコントロールされ、より快適な 生活ができるようになる。 148 ・住宅の快適性の向上 ・オフィス内の照明や空調などが自動化され、作業状況に合わせ ・ビルの快適性の向上 た、エネルギーの無駄が少ないワークスタイルが可能となる。 街や オフィス ・コスト削減 ・ビルや施設間での自家発電や蓄電池の共有、面的な熱供給によ ・街全体の快適性向上 り、効率的なエネルギー利用が可能になるとともに、設備投資コス トの削減につながる。 ・各ビルで消費するエネルギーが削減され、自動車から出る熱も減 るため、ヒートアイランド現象が軽減される。 ・クルマを所有することから、必要なときに必要なだけ使うという意識 に変化することで、公共交通や徒歩、自転車などのさまざまな移動 手段を適切に使い分けるライフスタイルが身につく。 交通 ・自家用車所有コストの 削減 ・利便性の向上 ・公共交通が充実し、お年寄りなどクルマを運転できない人でも不自 ・都市部での渋滞の軽減 由を感じることなく外出できる。 ・CO2排出量の低減 ・セカンドカーを中心にEVが普及し、排ガスが減って空気がきれい で快適になる。 ・エネルギーの地産地消やエネルギーの最適な利用についての意 ・地域の一体感 識が高くなるため、地域の一体感を感じやすくなる。これによって住 ・都市コミュニティの再生 民の間での協力関係の強化など、より自立した地域づくりが促され 地域 コミュニティ る。 ・隣近所でエネルギーの融通を行うことができるようになり、みんな で支えあいながら暮らしていくことが可能になる。 ・災害時には、地域で緊急性の高い場所(病院や避難所、福祉施設 など)に優先的にエネルギーを集めることで、災害対応力の高い地 域になる。 ※出典 再生可能エネルギー技術白書(2010,NEDO) 、スマートコミュニティフォーラムにおける論点と提案 (2010,スマートコミュニティフォーラム事務局)などを参考に作成 149 ■家庭内のイメージ 留守中でも在宅 しているかのように 見せることができる ピーク時に合わせた 無理のない発電 外出先からスィッチを入れて おけば涼しい部屋がお出迎え エネルギーの消費者から 供給者の一員に 省エネアドバイス 150 ■街やオフィスのイメージ カーシェアリングの普及 で脱マイカー依存 公共交通の充実 EVの普及で 排ガス低減 高齢者でも不自由を 感じずに外出できる 効率的な エネルギー利用 エネルギーの融通で コミュニティの一体感 ヒートアイランド現象 の低減 エネルギーの無駄がない 快適なオフィス環境 ■カーシェアリングのイメージ 151 災害に強いコミュニティ (6)スマートコミュニティに関連する国レベルのロードマップ スマートコミュニティの構築を検討する場合には、国などの計画やさまざまな動向を考慮する 必要ある。現段階におけるこうした動きを整理すると下図のとおりである。 ■国などの計画に基づくスマートコミュニティ関連の中期スケジュール H22 H23 H24 H27 H32 再生エネ導入拡大(発電電力量ベース) 9.2%(H20)→15.8%(※20%超(G8・ドーヴィルサミット関連菅総理発言))(H32) 日本再生のための戦略に向けて(H23. 8. 5 閣議決定) エネルギー 再生エネ法成立に伴う民間等でのメガソーラーなどに よる再生エネ導入拡大 ZEH/ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス/ビル) が標準的な新築建築物(H32までに) 北電が道内約600戸へのスマート メーター設置による実証試験を実施 建築物・ 付帯設備 エネルギー基本計画(国) 総需要の8割をスマートメーター化 全需要家にスマートメーターの導入 エネルギー基本計画(国) 日本再生のための戦略に向けて(H23.8 閣議決定) EV(H22販売開始、道内約300台(推定値)・PHV(H24販売開始予定)の普及拡大 EV・PHVを動く蓄電池として活用するために必要なV2H・V2Gなどへの対応車の普及 EV・PHV用普通充電器200万基、 急速充電器5,000基の設置(H32までに) 自動車用蓄電池の性能向上 (容量1.5倍、コスト1/7)(H27までに) 自動車等の 交通手段 エネルギー基本計画(国) 次世代自動車戦略2010(委員会) 次世代自動車の新車販売割合 50%(H32までに) エネルギー基本計画(国) 燃料電池自動車の普及 エネルギー基本計画(国) ピークカットやピークシフトの意識、省エネ型ライフスタイルへの転換 ライフ スタイル 共同住宅や街区におけるEVカーシェアリングや自然エネルギーの共同利用 蓄電池等を活用した系統安定化対策 スマートグリッド技術ロードマップ(NEDO) スマート グリッド デマンドレスポンスサービスの実証 デマンドレスポンスサービスの本格稼働、拡充 スマートグリッド技術ロードマップ(NEDO) スマートグリッド技術ロードマップ(NEDO) スマートメーター 大規模導入実証 NEDO再生可能エネルギー技術白書 スマートコミュニティ実証(含海外実証) 双方向通信システムのインフラ整備 NEDO再生可能エネルギー技術白書 NEDO再生可能エネルギー技術白書 スマートインターフェースの開発 NEDO再生可能エネルギー技術白書 次世代自動車の燃料供給インフラの整備 NEDO再生可能エネルギー技術白書 スマート コュニティ 構築可能性 調査事業 (道事業) 再生可能 エネルギ ー特別措 置法成立 スマートコミュニティの構築に向けた取組の支援 発送電分離を本格 検討 H25電気事業法改正を めざす 新エネ技術 30 年計画 分散型電源社会の推進(大容量の蓄電池、家庭や産業用に高効率モーター) 経済産業省産業構造審議会 研究開発小委員会 政府 全国 電源別コスト試算 発表(H42 までの コスト予測) コスト等検証委員会 大規模太陽光 30.1∼45.8 円(H22)→12.1∼26.4 円(H42) / 風力 9.9∼17.3 円(H22)→8.8∼17.3 円(H42) / 地 熱 8.3∼10.4 円(H22)→8.3∼10.4 円(H42) / LNG 火力 10.7∼11.1 円(H22)→10.9∼11.4 円(H42) / 石油火 力 36∼37.6 円(H22)→38.9∼41.9 円(H42) / 原子力 8.9 円(H22)→8.9 円(H42) H32 内需試算発表 エネルギー産業の拡大により潜在 4 兆円 (需要家の省エネ、ピーク対策を促す制度改革、再生可能エネルギー全量買取制度導入、技術開発支援) 経済産業省 東京電力が 1700 万世帯にスマートメーターの導入計画(H30 まで) コスモ石油が東北沖など日本近海で H32 に洋上風力発電の稼動をめざす 日立製作所、NTTグループ 4 社が仙台市 でスマートシティ整備 三井物産ら 6 社が愛知県にメガソー ラーを建設 エネルギー管理システムの市場規模 H24・6 月の着工を目指す 145 億円に (民間調査会社) 企業 北海道 ソフトバンクが苫小牧で太 陽光発電プラントを建設 1 年以上の実験を開始 ▲メガソーラー ▲洋上風力発電 ▲メガソーラー ▲洋上風力発電 国際航業が道東にメガソーラーを建設 丸紅が東北や北海道で (釧路市、幕別町、本別町、中札内村 合計 7 メガ) 地熱発電所を建設 H24夏の運転を目指す H25 を目途に建設 三井物産 網走にメガソーラー建設 三菱自動車が軽トラ 1.5 メガ H24 内の運転を目指す EVの開発に着手 H24 投入へ ▲地熱発電 ▲軽トラEV ▲地熱発電 ※国のエネルギー基本計画等の見直しに伴い、取組やスケジュール等が変更となる可能性がある。 152 ▲EV小型トラック 予測 5−3 スマートコミュニティモデルの検討 (1)スマートコミュニティの視点での地域分類 スマートコミュニティのフレームは、対象とする地域の人口密度や、関連産業の集積具合、再 生可能エネルギーの賦存状況など、基本的な地域特性によって変わるものである。例えば、人口 が密集する地域ではエネルギー需要が大きいが再生可能エネルギーの賦存量は一般的に少なく、 効率よくエネルギーを活用できる仕組みを実現することが課題となる。また、工場が集中する地 域では廃熱などの形で使われないエネルギー量が大きく、これをいかに需要地へ供給できるかが カギとなる。同様に、過疎地では豊富な再生可能エネルギーをどう活用するか、地域内での需要 創造やほか地域への供給方法などが重要である。 以上の点を考慮し、本業務では北海道の地域特性を踏まえて「都市部」、「農村部」、「離島部」 に地域を分類した。さらに、北海道内での産業集積度、国内の他地域や海外への発信力を考慮し、 「先導モデル地域」を設定して地域における勉強会などを通じて情報共有を行った。なお、実際 の地域においては、一般に「山村」や「漁村」と呼ばれる地域が存在するが、本業務では、それ らも包括したものとして「農村部」と定義した。 また、各地域分類の中の地区を「市街地エリア」、「密集住宅地エリア」、「低密住宅地エリア」、 「農業エリア」、 「工業エリア」の 6 つのエリアにパターン化した。実際のスマートコミュニティ の形成は主にエリア単位でなされるものと想定する。 ■地域分類の定義 地域分類 自治体 特徴 備考 都市部 主に市 比較的人口密度が高い。 人口集中地区*1 や商業地域*2 を有 し、エネルギー需要が大きい。 農村部 主に町村 比較的人口密度が低い。 山村、漁村も含む。 一般に再生可能エネルギーの賦 存量が多い。 離島部 町村 比較的人口密度が低い。 奥尻島、焼尻島、天売島、利尻 本土から物理的に離れている。 島、礼文島 電力系統が本土から独立してい る。 先導モデル地域 恵庭市、千歳 既に関連産業等の集積が認めら 市、苫小牧 れ、国内外への発信力が高い。 市、厚真町 *1 人口集中地区:国勢調査において設定される統計上の地区であり、人口密度が 4,000 人/km 以上の地区が互い に隣接して人口が 5,000 人以上となる地区。 *2 商業地域:都市計画法上で用途によって分けられている地域の一つで、主に商業等などの業務の利便増進を図 る地域。土地利用の規制が少なく高層ビルも建てられる。 153 ■エリアの定義と地域分類との対応 地域分類との対応 エリア 市街地 エリア 公共施設 集積エリア 密集住宅 エリア 低密住宅 エリア 農業エリア 工業エリア エリアの定義 都市部 市部における中心市街地などを指し、商業ビルやホ テル、オフィスビルなどの中・高層建築物や、公共施 設などの大型建築物が立ち並ぶエリア。 主に都市計画法上の近隣商業・商業地域等を想定。 北海道の多くの町村には存在しないエリアである。 主に町村の役場や関連施設、体育館などの公共施 設が近隣に立ち並ぶエリア。市街地ほどの集積度は ないこと、民間施設ではなく自治体の施設が中心で あることが特徴。 主に市部の市街地に隣接する住宅地域で、40∼60 坪程度の区画が整理されているエリア。 主に都市計画法上の住居系エリア全般を想定。 マンションなどの集合住宅が多く集積度が高いが、住 宅地域であるため、朝夕にピークがあるなど、エネル ギー需要が市街地エリアとは異なる。 人口密度の低い地域で、住宅間の距離に余裕があ り、山林が近傍にあり、一部農地などが混在するエリ ア。 主に都市計画法上の白地地域等、市街化調整区域 を想定。 農地が大部分を占めるエリア。 さまざまな工場が集積するエリア(工業団地等)。 主に都市計画法上の工業・工業専用地域等を想定。 農村部 離島部 ○ 先導モデ ル地域 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ※都市計画法における用途地域の概要(出典 国土交通省ホームページ) 用途地域 第一種低層住居 専用地域 第二種低層住居 専用地域 第一種中高層住 居専用地域 第二種中高層住 居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域 概 要 低層住宅のための地域。小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てら れる。 主に低層住宅のための地域。小中学校などのほか、150m までの一定のお店などが建てら れる。 中高層住宅のための地域。病院、大学、500m までの一定のお店などが建てられる。 主に中高層住宅のための地域。病院、大学などのほか、1,500m までの一定のお店や事務 所など必要な利便施設が建てられる。 住居の環境を守るための地域。3,000m までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられる。 主に住居の環境を守るための地域。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建 てられる。 道路の沿道において、自動車関連施設などの立地と、これと調和した住居の環境を保護 するための地域。 まわりの住民が日用品の買い物などをする地域。住宅や店舗のほかに小規模の工場も建 てられる。 銀行、映画館、飲食店、百貨店などが集まる地域。住宅や小規模の工場も建てられる。 主に軽工業の工場やサービス施設等が立地する地域。環境悪化が大きい工場のほかは、 ほとんど建てられる。 どんな工場でも建てられる地域。住宅やお店は建てられるが、学校、病院、ホテルなど は建てられない。 工場のための地域。どんな工場でも建てられるが、住宅、お店、学校、病院、ホテルな どは建てられない。 154 区分け 住居系 商業系 工業系 ■地域分類の構造 各地域分類は下図のようにエリア分類される。 <都市部> 都市部は市街地エリアを中心として密集住宅エリア、低密住宅エリアがそれを取り囲んでいる。 そのまわりには農業エリアが広がるが、隣接する市町村の農村部と一体化しているのが一般的で ある。 また、周辺には工業エリアも立地するが、その規模や企業の業種は地域特性や自治体の政策な どによってさまざまである。 <農村部> 農村部には市街地エリアはないが、役場や体育館などの公共施設集積エリアが形成されており、 そのまわりに低密住宅エリアと農業エリアが広がっている。また、後背地として広大な山林を持 つ場合が多い。 155 <離島部> 離島部は、港の近くに公共施設集積エリアがあり、島の中心地区となっている。また、一般に 海に沿って低密住宅エリアが広がっている。電力系統は本土から独立しており、火力発電所が主 な電力源となっている。 なお、天売島は焼尻島から海底ケーブルによって電力が供給されている。 <先導モデル地域> 都市機能の集積度としては都市部と同様であるが、先導モデル地域には空港や大型の港湾が立 地し、北海道の交通や物流の主要な拠点となっている。そういった地域特性から多くの企業が進 出し、工業エリアも発達している。各企業の環境やエネルギーに関連した取組も進んでおり、国 内外への技術移転の可能性が期待されるエリアである。 156 (2)エリア別のスマートコミュニティのイメージ 前項で定義した各エリア(市街地、公共施設集積、密集住宅、低密住宅、農業、工業)のスマ ートコミュニティの特徴的なイメージを例示する。 ①市街地エリア 市街地エリアにおいては、エネルギー需要が集中していることが特徴であることから、エネル ギー供給の効率を高めることと、需要ピークを抑えて平準化することによって需給を安定させる ことがポイントである。EVによるカーシェアリングの推進などを契機として、地域コミュニテ ィの再生といったまちづくりの視点を盛り込むことも考えられる。 157 ■市街地エリアにおけるスマートコミュニティのイメージ BEMSと連携、エリア全体 のエネルギー需給を管理 需要のピークが異なる 施設間の特性 地中熱や河川水利用の ヒートポンプ エネルギー効率 最適化 熱(熱導管を介したもの)と 電気を融通 (右下グラフ参照) 効率的な冷暖房 電力需給調整 非常時電源機能 ビル内のエネルギー需給 を最適に管理 夜間は車庫で蓄 電池として機能 電力余剰時⇒EVに充電 需要ピーク時⇒EVから放電 需要平準化 非常時電源機能 コージェネレーションで 熱(熱導管を介したもの)と電気を供給 天然ガス (CO2 少ない) + 木質チップ (建築廃材、 公園剪定枝) 熱電供給センターの最適制御で、 ビル毎の個別設備よりも効率的 ビルの屋上に太陽光発電 やマイクロ風力など 分散型電源として機能 オフィスビルとホテルで エネルギーを融通 熱電供給センターによる年間 CO2 削減イメージ(例) 実施前 CO2 排出量 商業施設:12,000t 病院: オフィス: 合計: 10,000t 8,000t 20,000t 30%削減 実施後 CO2 排出量 熱電供給センター 合計:14,000t 158 平準化によって エネルギー効率向上 ■市街地エリアのスマートコミュニティの概要 分野 エネルギー 供給 テーマ 概要 エネルギー供給の共同 ・エネルギー需要が集中しているので、熱供給をネットワーク化し、効率を 化、相互融通 図る。ビルとビルをつないで相互に融通し合うといった形態も考えられる。 ・エネルギー源にはCO2排出量の少ない天然ガスを中心とし、地域内のバ イオマス資源も活用する。コージェネレーションによって電気と熱を同時に 創るとエネルギー効率が高く効果的である。 分散型電源 ・ビルの屋上などの未利用スペースを利用して太陽光発電などの分散型の 電源を多数設置し、地域全体でのエネルギー供給量を増やす。 ・風力発電に関しては、マイクロ風力と呼ばれるような小規模のものであれ ばビルの屋上等にも設置可能である。 未利用エネルギーの ・地中熱や河川水熱など、未利用の熱を冷暖房や融雪などに活用する。 活用 蓄電池 ・各ビルに蓄電池を設置し、太陽光発電の余剰電力の有効活用などによっ て電力の需給バランスを維持し、電力系統の安定化を図る。また、非常時 の電源としても活用する。 エネルギー BEMS マネジメント CEMS ・ビル内のエネルギー需給を一元管理して最適化を図る。 ・各ビルのBEMSと連携し、エリア全体のエネルギー需給を最適にコントロ ールする。 交通・運輸 EVカーシェアリング ・短距離、短時間の利用を前提とし、自動車台数の削減、駐車スペースの 削減、道路の混雑緩和、燃料消費量削減など、共同利用によるメリットを 生み出す。駐車中は蓄電池としても機能する。 公共交通 ・電気バスや天然ガストラックなどの導入によって、CO2排出量が削減さ れ、クリーンで快適な環境となる。 防災 災害時拠点 ・ビルや公共施設の蓄電池や分散電源が非常時電源として役に立つので、 災害時拠点として活用できる。EVも電源として利用できる。 地域コミュニティ ・地域における再生可能エネルギーの積極的な利用やカーシェアリングを 通じて地域のコミュニティ意識が高まり、災害に強いまちづくりが推進され る。 地域経済 環 境 価 値 の ク レ ジ ッ ト ・CO2削減やグリーン電力による価値をクレジット化*1 して販売することによ 化 り収益が生まれ、地域づくりに還元される。 *1 グリーン電力証書、国内クレジット、J−VERなどの制度がある。 ライフスタイル 自発的な省エネ行動 ・地域内での分散型発電などでエネルギーが見えやすくなるため、無理を 強いられなくても自発的な省エネ行動が生まれる。 159 ■市街地エリアでのスマートコミュニティ構築に向けたロードマップ市街地エリア 短期 (5年以内) 中期 (10年以内) 長期 (10年以降) 分散型電源の普及 未利用エネルギーの活用 エネルギー供給 蓄電池の普及 エネルギー供給の共同化、相互融通 BEMSの普及 エネルギー マネジメント CEMSの普及 EVカーシェアリングの普及 交通・運輸 電気バスや天然ガストラックの普及 電力系統安定化技術の確立 ▲ H24年7月 再生エネ法施行 ▲ H32年までに ZEH/ZEBが新築建 築物標準仕様に 社会動向 ▲ H23.8から5年以内に スマートメーター 普及率80% ▲ H32年 スマートメーター 普及率 100% ※ 本ロードマップは、 「エネルギー基本計画」 (経済産業省)等をもとに作成しており、計画等が見直された 場合には、本ロードマップの見直しが必要となる。 ■該当する地域分類 【都市部】 【先導モデル地域】 160 ②公共施設集積エリア 公共施設はエネルギー需要量が比較的多いため、複数の公共施設へのエネルギー供給を効率化 することによって省エネなどの効果が高まることが期待される。 また、自治体が所有する施設や公用車などからスマートコミュニティの構築に向けた取組を始 めることによって、民間企業や住民へのPR効果や波及効果が生まれる。 161 ■公共施設集積エリアにおけるスマートコミュニティのイメージ 公共施設を中心に 熱(熱導管を介したもの) と電気を供給 ごみ焼却場の廃熱を トランスヒートコンテナで 低密住宅エリアから移送 地域内の バイオマス資源 の有効活用 役所や公共施設で 太陽光や風力発電 庁舎内の照明などに利用 非常時電源としても機能 公用車をEVやPHVに 役所などの公共施設に ペレットストーブ設置 休日はカーシェアリング として一般開放 住民へのPR効果で 一般住宅にも普及 駐車中のEVは蓄電池 として機能 自動的に充電や放電を 行ってピークカット コージェネレーションで 熱(熱導管を介したもの)と電気を 供給 木質チップ (間伐材、製材残材など) 熱電供給センターの最適制御で、 施設毎の個別設備よりも効率的 熱電供給センターによる年間 CO2 削減イメージ(例) 実施前 CO2 排出量 役場: 1,000t 体育館: 500t 消防署: 合計: 100t 1,600t 30%削減 実施後 CO2 排出量 熱電供給センター 合計: 1,120t 162 ■公共施設集積エリアのスマートコミュニティの概要 分野 エネルギー テーマ 概要 分散型電源 ・公共施設の屋上など、未利用スペースを利用して太陽光発電などの分散 供給 型の電源を多数設置し、地域全体でのエネルギー供給量を増やす。住民 への啓発や非常時の電源としての役割も担う。 ・風力発電に関しては、マイクロ風力と呼ばれるような小規模のものであれ ば公共施設の屋上や敷地内にも設置可能である。 熱電供給 ・役場等の公共施設を拠点とし、公営住宅なども含めた熱電供給を行う。 木質バイオマスなどの地域内エネルギー資源が活用できる。電気と熱を 同時に作ることによってエネルギー効率が向上する。 ・重油や灯油の使用量削減によるCO2排出量削減、燃料費の削減が図れ る。また、地元山林の林地残材や製材くず、建設廃材などを有効に活用 することができるため、林業や地場産業への経済効果も期待できる。 ・公共施設が集積しているエリアでは施設管理者が行政であるため、熱供 給ネットワークの合意が得られやすい。 未利用エネルギーの 活用 ・低密住宅エリアのごみ焼却場の廃熱を利用する。一般的にごみ焼却場 は居住地域から離れた場所に立地していることが多いので、熱輸送の手 段が課題となる。トランスヒートコンテナを使って自動車輸送することが考 えられる。 蓄電池 ・公共施設には蓄電池を設置し、電力系統の安定化を図る非常時の電源 としても活用する。 ペレットストーブ ・役場や公共施設の暖房用にペレットストーブを設置することにより、住民 へのPR効果が期待できる。 エネルギー BEMS マネジメント ・公共施設のエネルギー需給を一元管理し、最適化を図り省エネを促進す る。 HEMS ・スマートメーターの導入にあわせて一般住宅へのHEMS導入を促進す る。家庭内での省エネや需要の平準化が進む。 CEMS ・BEMS、HEMSと連携し、エリア全体のエネルギー需給を最適にコントロ ールする。 交通・運輸 EV・PHV ・公用車へEVやPHVを導入することによって住民へのPR効果や職員へ の意識づけの効果が期待される。公共施設の駐車場にはEV充電設備を 設置する。 EV・PHVカーシェアリン ・公共施設を拠点としてEVによるカーシェアリングを実施する。住民がEV グ に触れる機会が増える。エネルギーに関心を持つきっかけになる。駐車 中は蓄電池としても機能する。 163 分野 防災 テーマ 概要 災害時拠点 ・公共施設の蓄電池や分散電源が非常時電源として役に立つので、災害 時拠点として活用できる。EVも電源として利用できる。 地域コミュニティ ・地域における再生可能エネルギーの積極的な利用やカーシェアリングを 通じて地域のコミュニティ意識が高まり、災害に強いまちづくりが推進され る。 地域経済 環境価値のクレジット化 ・CO2削減やグリーン電力による価値をクレジット化*1 して販売することに より収益が生まれ、地域づくりに還元される。 *1 グリーン電力証書、国内クレジット、J-VER などの制度がある。 地域内での資源循環 ・地域内のエネルギーが有効利用されることにより化石燃料依存度が減 り、地域内での資源循環が促進され、地域経済の活性化につながる。 ライフスタイル 自発的な省エネ行動 ・地域内での分散型発電などでエネルギーが見えやすくなるため、無理を 強いられなくても自発的な省エネ行動が生まれる。 164 ■公共施設集積エリアでのスマートコミュニティ構築に向けたロードマップ 短期 (5年以内) 中期 (10年以内) 長期 (10年以降) 分散型電源の普及 未利用エネルギーの活用 ペレットストーブの普及 エネルギー供給 蓄電池の普及 木質バイオマスを利用した熱供給の普及 BEMSの普及 エネルギー マネジメント HEMSの普及 CEMSの普及 EV、PHVの普及 交通・運輸 EV、PHVカーシェアリングの普及 電力系統安定化技術の確立 ▲ H24年7月 再生エネ法施行 ▲ H32年までに ZEH/ZEBが新築建 築物標準仕様に 社会動向 ▲ H23.8から5年以内に スマートメーター 普及率80% ▲ H32年 スマートメーター 普及率 100% ※ 本ロードマップは、「エネルギー基本計画」(経済産業省)等をもとに作成しており、計画等が見直された場 合には、本ロードマップの見直しが必要となる。 ■該当する地域分類 【農村部】 【離島部】 165 【先導モデル地域】 ③密集住宅エリア 密集住宅エリアのエネルギー需要量は比較的多いが、市街地エリアや公共施設エリアとは違っ て一般住宅が中心であるため、エネルギーの融通だけではそれほどの平準化は期待できない。蓄 電池やEVに夜間の余剰電力を蓄積し、ピーク時に放電することや、太陽光発電などエリア内の 小規模発電で買電量を減らしていくことが重要となる。 166 ■密集住宅エリアにおけるスマートコミュニティのイメージ 最寄りの駅の駐車場に EVを停めて車で移動 電力余剰時⇒EV・PHVに充電 需要ピーク時⇒EV・PHVから放電 駐車中に充電や放電 電力平準化 電力平準化 非常時電源機能 屋根への太陽光発電の設置 非常時電源確保 防災拠点として機能 各戸のエネルギー需要を HEMSが管理 MEMSがHEMSと連携 してマンション全体の エネルギー需給管理 エリア全体の エネルギー需給を CEMSで管理 HEMSやMEMS と連携 エネルギー需給 バランスを最適に コントロール エネルギー需給 バランスを管理 深夜⇒EVに充電 朝夕⇒EVから放電 EVや蓄電池と連携して 電力平準化 世帯構成や働き方など 家庭環境の違い 住宅によって需要ピークが 異なる 電力融通による平準化 電力平準化 非常時の電源 (一般家庭の約2日分) エリア全体で夜間の安い 電気がEVや蓄電池に充電 日中はEVや蓄電池 から放電 太陽光発電による年間 CO2 削減イメージ(例) 実施前 CO2 排出量 電力平準化 団地全体で:6,000t 太陽光発電によってピークが下がる (戸数 1,000 戸の場合) 需給バランスが 安定 化石燃料の 消費量削減 12%削減 実施後 CO2 排出量 団地全体で:5,280t 半数の住宅に 4kW 太陽光発電設置で▲720t 167 ■密集住宅エリアのスマートコミュニティの概要 分野 エネルギー テーマ 概要 分散型電源 ・各住宅の屋根を利用した太陽光発電を促進する。マンションなどの集合 供給 住宅に設置する場合には、戸別にするのか共有にするのか、収益をどう 配分するのかといった課題が発生するので、管理組合を中心とした調整 が必要である。 蓄電池 ・家庭用蓄電池の設置によって非常時の電源を確保できる。地域のコミュ ニティセンターなどに大型の蓄電池を設置し、CEMSと連携して地域全 体の電力需給のバランスを制御することも考えられる。 地中熱ヒートポンプ ・各住宅の冷暖房や融雪に地中熱ヒートポンプを利用することによりエネ ルギー効率を高めることができる。 ペレットストーブ ・密集住宅エリアで薪ストーブを使用するのは排煙などの問題から困難で あるが、ペレットストーブであればFF式もあり比較的導入が容易である。 ただし、普及のためにはペレットストーブ自体と燃料である木質ペレット 両方の低価格化が必要であり、そのためにも普及促進が求められる。 エネルギー HEMS マネジメント ・住宅内のエネルギー需給を一元管理し、最適化を図ることによって省エ ネを促進する。住民に情報や助言を与えることによって省エネ行動を促 す方法と、スマート家電と連携して自動的に需要を抑制する方法があ る。 MEMS ・マンション内の各戸はHEMSで管理され、MEMSは各HEMSと連携して マンション全体のエネルギー需給を一元管理し、最適化を図る。 CEMS ・地域内の各住宅のHEMSと連携して地域全体のエネルギー需給を管理 し、需要のコントロールや需要抑制のためのインセンティブ付与などを行 う。 交通・運輸 EV、PHV ・各家庭のセカンドカーを中心としてEVやPHVを導入促進する。蓄電池と しても活用できる。最寄り駅に充電設備を備えた駐車場を整備すること でパークアンドライドが促進され、EVの移動可能距離の制約が緩和され る。 EV・PHVカーシェアリ ・短距離、短時間の利用を前提とし、自動車数の削減、駐車スペースの削 ング 減、道路の混雑緩和、燃料消費量削減など、共同利用によるメリットが 生まれる。駐車中は蓄電池としても機能する。 防災 防災拠点 ・地域のスーパーマーケットの太陽光発電設備や蓄電池が非常時電源とし て役に立つので、災害時拠点として活用できる。 地域経済 地域内での資源循環 ・地域内のエネルギーが有効利用されることにより化石燃料依存度が減 り、地域内での資源循環が促進され、地域経済の活性化につながる。 ライフスタイル 自発的な省エネ行動 ・地域内での分散型発電などでエネルギーが見えやすくなるため、無理を 強いられなくても自発的な省エネ行動が生まれる。 168 ■密集住宅エリアでのスマートコミュニティ構築に向けたロードマップ 短期 (5年以内) 中期 (10年以内) 長期 (10年以降) 分散型電源の普及 蓄電池の普及 エネルギー供給 地中熱ヒートポンプの普及 ペレットストーブの普及 HEMSの普及 エネルギー マネジメント MEMSの普及 CEMSの普及 EV、PHVの普及 交通・運輸 EV、PHVカーシェアリングの普及 電力系統安定化技術の確立 社会動向 ▲ H24年7月 再生エネ法施行 ▲ H32年までに ZEH/ZEBが新築建 築物標準仕様に ▲ H23.8から5年以内に スマートメーター 普及率80% ▲ H32年 スマートメーター 普及率 100% ※ 本ロードマップは、「エネルギー基本計画」(経済産業省)等をもとに作成しており、計画等が見直された場 合には、本ロードマップの見直しが必要となる。 ■該当する地域分類 【都市部】 【先導モデル地域】 169 ④低密住宅エリア 北海道の農村部においては、開拓の歴史から散居集落が多いほか、都市部でも市街地の外延部 に田園住宅といった低密な住宅地が数多くある。 低密住宅エリアでは、熱需要の集積度が低いため、密集住宅エリアに比べて熱供給システムの 導入は困難であるため、エネルギーを融通し合うことよりも各住宅での取組がポイントとなる。 170 ■低密住宅エリアにおけるスマートコミュニティのイメージ 太陽光発電・蓄電池設置 非常時電源として機能 家庭で出る生ごみ は集合コンポストへ 地中熱ヒートポンプ、 太陽光発電を導入 肥料化して 共同農園で利用 HEMSで住宅内の エネルギー需給を管理 地元の間伐材、建築廃材 を有効活用 エネルギーの地産地消 地域内で資源循環 住宅間の距離が離れており、 エリア内でエネルギーを 融通し合うのは難しい 各戸でEVや蓄電池によって日中と 夜間のエネルギー需要を平準化 太陽光発電、ペレットストーブなどで 化石燃料の消費量削減 エリア全体のエネルギー 需給バランスが安定 太陽光発電と木質ペレット(ストーブ)による年間 CO2 削減イメージ(例) 実施前 CO2 排出量 73%削減 一戸当たり:6t 実施後 CO2 排出量 一戸当たり:1.6t 4kW 太陽光発電:▲1.4t 木質ペレット:▲3t 171 ■低密住宅エリアのスマートコミュニティの概要 分野 エネルギー 供給 テーマ 概要 分散型電源 ・各住宅の屋根を利用した太陽光発電を促進する。 蓄電池 ・家庭用蓄電池の設置によって非常時の電源を確保できる。地域のコミュ ニティセンターなどに大型の蓄電池を設置し、CEMSと連携して地域全体 の電力需給のバランスを制御することも考えられる。 地中熱ヒートポンプ ・各住宅の冷暖房や融雪に地中熱ヒートポンプを利用することによりエネル ギー効率を高めることができる。 ペレットストーブ ・低密住宅エリアではペレットストーブの導入が容易である。ただし、普及の ためにはペレットストーブ自体と燃料である木質ペレット両方の低価格化 が必要であり、そのためにも普及促進が求められる。 エネルギー HEMS マネジメント ・住宅内のエネルギー需給を一元管理し、最適化を図ることによって省エネ を促進する。住民に情報や助言を与えることによって省エネ行動を促す方 法と、スマート家電と連携して自動的に需要を抑制する方法がある。 交通・運輸 EV、PHV ・各家庭のセカンドカーを中心としてEVやPHVを導入促進する。蓄電池と しても活用できる。 防災 防災拠点 ・地域のコミュニティセンターや学校などの太陽光発電設備や蓄電池が非 常時電源として役に立つので、災害時拠点として活用できる。EVも電源と して活用できる。 地域経済 地域内での資源循環 ・地域内のエネルギーが有効利用されることにより化石燃料依存度が減 り、地域内での資源循環が促進され、地域経済の活性化につながる。 ライフスタイル 自発的な省エネ行動 ・地域内での分散型発電などでエネルギーが見えやすくなるため、無理を 強いられなくても自発的な省エネ行動が生まれる。 172 ■低密住宅エリアでのスマートコミュニティ構築に向けたロードマップ 短期 (5年以内) 中期 (10年以内) 長期 (10年以降) 分散型電源の普及 蓄電池の普及 エネルギー供給 地中熱ヒートポンプの普及 ペレットストーブの普及 エネルギー マネジメント HEMSの普及 交通・運輸 EV、PHVの普及 電力系統安定化技術の確立 社会動向 ▲ H24年7月 再生エネ法施行 ▲ H32年までに ZEH/ZEBが新築建 築物標準仕様に ▲ H23.8から5年以内に スマートメーター 普及率80% ▲ H32年 スマートメーター 普及率 100% ※ 本ロードマップは、 「エネルギー基本計画」 (経済産業省)等をもとに作成しており、計画等が見直された 場合には、本ロードマップの見直しが必要となる。 ■該当する地域分類 【都市部】 【農村部】 173 【離島部】 【先導モデル地域】 ⑤農業エリア 農業エリアはバイオマス資源が豊富であることから、それをいかに活用するかがポイントであ る。水力や風力の小型発電などといった、さまざまな再生可能エネルギー導入も考えられる。ま た、北海道の農業は全国的に見ても重油や軽油など化石燃料への依存度が高いため、化石燃料の 消費量を減らして地域のエネルギーを活用する方向に移行していくことが重要である。これによ って地域のイメージアップや農産物の付加価値向上を図ることも考えられる。 174 ■農業エリアにおけるスマートコミュニティのイメージ 農業ハウスの加温や 倉庫の冷房に活用 地中熱ヒートポンプで 農業ハウスを加温 雪氷熱で農産物を 低温貯蔵 木質ペレット、農作物残渣を 加工したペレットボイラーの 燃料として使用 品質向上、ブランド化 や高付加価値化 冬期間の栽培も可能 農業ハウスへ熱供給 電気が通っていない 作業小屋の 電源として PHVを利用 家畜糞尿など豊富な バイオマス資源を利用 発電や熱供給 余剰電力=売電 余剰ガス=エリア外の工場で活用 マイクロ水力発電 電力供給量が少ないため LED街灯や電動バイクの 充電に利用 需要のピークが異なる 住宅と農業ハウスとで平準化 余剰電力をEVや蓄電池に 蓄えてピーク時に利用 全体で電力平準化 農業ハウスへの地中熱ヒートポンプ導入による年間 CO2 削減イメージ(例) (赤平オーキッド(株)の例) 実施前 CO2 排出量 農業ハウス:946t (面積:5,728 ㎡) 70%削減 実施後 CO2 排出量 農業ハウス:283t ※出典 赤平オーキッド(株)ホームページ 175 ■農業エリアのスマートコミュニティの概要 分野 エネルギー テーマ 概要 分散型電源 ・畜舎や倉庫の屋根などを利用して太陽光発電が可能。10kW程度の設 供給 備であれば、畜舎脇のスペースなどを利用した設置も可能。(浜中町農協 での事例)小型の風力発電や用水路を利用した小水力も導入できる可能 がある。 バイオマス利用 ・地域内に広く豊富に存在している、農産系、畜産系、林産系などのバイオ マス資源を活用し、熱や電気に変えて利用する。また、共同利用施設によ る建設コスト削減や運搬コスト削減の工夫が必要。 ・住宅の燃料としてペレットストーブでも活用する。 農業ハウスの加温 ・農業ハウスの加温熱源にバイオマスを利用することができる。太陽光発 電などの自家電力を使って地中熱ヒートポンプを稼動する方法も可能で ある。これによって重油や灯油の使用量を削減でき、CO2排出量の削 減、資金の地域外流出の抑制を図ることができる。 雪氷冷熱利用 ・雪氷冷熱を利用して、農産物の低温貯蔵が可能である。農産物の付加価 値向上にもつなげることができる。養豚畜舎等の冷房にも利用可能であ り、家畜の健康維持に効果が見込める。 エネルギー HEMS マネジメント ・住宅内のエネルギー需給を一元管理し、最適化を図ることによって省エ ネを促進する。住民に情報や助言を与えることによって省エネ行動を促す 方法と、スマート家電と連携して自動的に需要を抑制する方法がある。 交通・運輸 EV、PHV ・EV小型トラックを農作業用に導入。農作業用途であれば移動範囲が限ら れるので導入しやすい。自家発電設備と併用すればエネルギーの自給自 足が進み、ガソリン消費量の削減、CO2排出量の削減などを図ることが できる。 電動農業機械 ・トラクタなどの農業機械の本格的な電動化はこれからであるが、北海道 の農業は石油依存度が高いことから、早期の実現が期待される。ソーラ ー式長いもプランターなど、既に実用化されているものもある。 ・電動化によって騒音や振動、排ガスがなくなり、作業環境が改善されるメ リットも大きい。 防災 防災拠点 ・従来からの地域の災害時拠点である集会所の小水力や太陽光発電設備 と蓄電池が非常時電源として役に立つ。EVも電源として活用できる。 地域経済 生産物の付加価値向上 ・石油に頼らないクリーンエネルギーを使って生産した農産物として高付加 価値化が期待できる。 地域内での資源循環 ・地域内のエネルギーが有効利用されることにより化石燃料依存度が減 り、地域内での資源循環が促進され、地域経済の活性化につながる。 ライフスタイル エネルギーの見える化 ・環境やエネルギーに対する関心が高まる。 による意識の高まり 自発的な省エネ行動 ・地域内での分散型発電などでエネルギーが見えやすくなるため、無理を 強いられなくても自発的な省エネ行動が生まれる。 176 ■農業エリアでのスマートコミュニティ構築に向けたロードマップ 短期 (5年以内) 中期 (10年以内) 長期 (10年以降) 分散型電源の普及 バイオマス利用の普及 エネルギー供給 農業ハウスでの再生可能エネルギー利用など 雪氷熱利用の普及 蓄電池の普及 エネルギー マネジメント HEMSの普及 EV、PHVの普及 交通・運輸 電動農業機械の普及 電力系統安定化技術の確立 ▲ H24年7月 再生エネ法施行 ▲ H32年までに ZEH/ZEBが新築建 築物標準仕様に 社会動向 ▲ H23.8から5年以内に スマートメーター 普及率80% ▲ H32年 スマートメーター 普及率 100% ※ 本ロードマップは、 「エネルギー基本計画」 (経済産業省)等をもとに作成しており、計画等が見直された 場合には、本ロードマップの見直しが必要となる。 ■該当する地域分類 【都市部】 【農村部】 177 【先導モデル地域】 ⑥工業エリア 工場は大口のエネルギー需要家であるが、太陽光発電やコージェネレーション、廃熱利用など によって、いかにエネルギーを創り出せるかがポイントになる。 工場は業種によってエネルギー消費量が大きく異なるため、業種特性に応じた対応が必要であ る。 178 ■工業エリアにおけるスマートコミュニティのイメージ 廃熱や雪氷冷熱を 冷暖房に有効活用 屋根や駐車場には広範囲に 太陽光パネルが設置 駐車場の太陽光発電から 従業員のEVに充電 工場の電力に利用 工場のピーク時には EVから放電 広大な未利用地に メガソーラーや 風力発電所設置 電力供給基地として 機能 蓄電池で出力を平準化 ピークカットに貢献 (1 台当たり 16∼24kWh の 蓄電池) 副生水素を燃料電池 や水素自動車に活用 蓄電池が太陽光や 風力の出力変動を 平準化 電力の安定供給 蓄電池は非常用電源 としても機能 共同のコージェネ レーションで エネルギー効率向上 トランスヒートコンテナ で熱をエリア外に移送 不足する電力は 地域内で発電された 電力を優先的に購入 ホテルや病院等の大 口熱需要施設で利用 工場のFEMSが太陽光発電やコージェネ レーションなどの自家発電設備と、 工場の稼動状況による需要変動を管理 農業エリアで製造した バイオガスを利用 CEMS が各工場の FEMS と連携して、 地域全体のエネルギーバランスを管理 天然ガス利用 CO2 削減 工場で出る余剰な熱を ほかの工場に融通 CO2 削減 エリア全体での エネルギー使用量を削減 複数工場間での低温廃熱利用による年間 CO2 削減イメージ(例) (富士石油袖ケ浦製油所の例) 製油所⇒化学工場 低温廃熱供給 28,000t の CO2 削減 (原油換算で 10,700KL) ※出典 AOCホールディングス(株)ホームページ 179 ■工業エリアのスマートコミュニティの概要 分野 エネルギー テーマ 概要 太陽光発電 ・工場の屋上や駐車場などを利用して太陽光発電が可能。未利用地を利 供給 用してメガソーラーを設置し、大規模発電を行うことも考えられる。(メガソ ーラーは工場立地法の適用対象となり、従来は敷地面積の 50%までしか 太陽光パネルを設置できなかったが、2012 年 1 月 31 日に準則改正が行 われ、75%までの設置が可能となった。) 風力発電 ・近隣に民家のない工業エリアで風況が適していれば、比較的規模の大き な風力発電を導入できる可能性がある。 コージェネレーション ・工場は一般的に電気や熱といったエネルギー需要量が大きいので、工場 内や近接地にコージェネレーションを導入して電気と熱を同時に供給する ことによってエネルギー利用効率を高めることができる。燃料としてはCO 2排出量の少ない天然ガスが適している。 バイオガスの活用 ・近くの農業エリアで家畜ふん尿などを利用してバイオガスを生産し、これ を工業エリアで燃料として利用することが可能である。家畜ふん尿は産業 廃棄物とみなされるため、適切な処理が求められるが、工業エリアで利用 することによって安定的な需要が確保されるため、双方にとってメリットが ある。 蓄電池 ・工場内への蓄電池設置により、電力需給逼迫時に生産力を低下させず にピークカットを行うことができる。また、非常時の電源として期待すること も可能である。 熱の有効利用 ・高温熱として使用したあとの蒸気を低温熱用途で使用するなど、段階的 な熱利用により全体としての熱利用効率を高めることができる。たとえば 生産ラインで使用したあとの温水を事務所の暖房に使うなどの工夫が考 えられる。 ・工場の廃熱を導管によって長距離輸送することは効率の観点から考えて 現実的ではないが、トランスヒートコンテナによって自動車輸送し、ホテル や病院などエリア外の大規模施設で利用することが考えられる。これによ って、エリア内に豊富にある未利用エネルギーである工場廃熱を有効活 用することができる。 工場間での熱融通 ・近接する工場間で熱需要特性が異なる場合、導管によって余剰熱を別の 工場に送り有効利用することが考えられる。 副生水素利用 ・製鉄所や製油所、ソーダ工場などから副産物として発生する副生水素を エネルギー源として産業用燃料電池や水素自動車で利用する。 雪氷冷熱利用 ・製品の冷却や工場内の冷房に雪氷冷熱を利用することにより、電気使用 量を抑え、地域内エネルギーの有効利用を図ることができる。 180 分野 テーマ エネルギーマ FEMS ネジメント 概要 ・各工場のエネルギー需給管理を一元的におこない、蓄電池やコージェネ レーションの最適利用を制御することにより、需要の平準化を図る。また、 CEMSとの連携により地域全体としての需給平準化やピークカットを行 う。 CEMS ・各工場のFEMSと連携し、地域全体のエネルギー需給状況の管理や需 給バランス維持のためのエネルギー融通の指示を行う。地域全体として のエネルギー需要量が多いエリアなので、電力会社のシステムとの連携 し、その指示によって需要量を抑える(ピークカット)などのFEMS間調整 機能が重要となる。 交通・運輸 業務用車両のEV化 ・フォークリフトなどの構内運搬機器はもとより、移動ルートが固定的な配 送車などにEVを導入することが可能である。EVの導入によりガソリンや 軽油の消費量を減らせるのみならず、工場の太陽光発電による電力の活 用により、企業イメージの向上も期待できる。 従業員のEVとの連携 ・従業員用の駐車場に太陽光発電設備やEV充電設備を導入することによ り、従業員の通勤用マイカーのEV化を促すことにもなり、また、駐車場の EV全体を蓄電池として活用することにより、災害に強い工場をアピール することも考えられる。 水素自動車、水素バス ・副生水素を水素ステーションに供給し、水素自動車や水素バスの燃料と して利用する。 地域経済 エネルギーインフラ充実 ・メガソーラーなどの地域内エネルギー供給やCEMSなどエネルギー管理 による企業参入促進 インフラ、立地企業の先進的な取組などによって、安定したエネルギー供 給が可能であることが認知され、一層の企業参入を促進することになる。 企業イメージの向上 ・環境やエネルギーに関する先進的な取組が企業イメージを向上させ、地 域全体のイメージ向上につながる。 ライフスタイル エネルギーの見える化 ・工場や地域ぐるみでの取組により、エネルギーに対する従業員の意識が による意識の高まり 高まり、家庭での再生可能エネルギー導入や省エネ行動などを誘導する ことになる。 ピークシフトのための出 ・平日のピークを週末にシフトするために、土日を出勤日にして平日を休み 勤日変更 にするなどの対応が行われる可能性がある。ただし、従業員の生活への 影響が大きいので、実施に当たっては労使や業界、地域での十分な事前 調整が必要である。 181 ■工業エリアでのスマートコミュニティ構築に向けたロードマップ 短期 (5年以内) 中期 (10年以内) 長期 (10年以降) 各工場への分散型電源の普及 メガソーラー、大型風力発電の普及 雪氷熱利用の普及 バイオガス利用の普及 エネルギー供給 コージェネレーションの普及 蓄電池の普及 工場間での熱融通 トランスヒートコンテナによる熱輸送の普及 FEMSの普及 エネルギー マネジメント CEMSの普及 業務用車両のEV化 交通・運輸 水素自動車、水素バスの普及 電力系統安定化技術の確立 ▲ H24年7月 再生エネ法施行 ▲ H32年までに ZEH/ZEBが新築建 築物標準仕様に 社会動向 ▲ H23.8から5年以内に スマートメーター 普及率80% ▲ H32年 スマートメーター 普及率 100% ※ 本ロードマップは、 「エネルギー基本計画」 (経済産業省)等をもとに作成しており、計画等が見直された 場合には、本ロードマップの見直しが必要となる。 ■該当する地域分類 【都市部】 【先導モデル地域】 182 5−4 スマートコミュニティ実現のためのアクションプラン 本節では、北海道においてスマートコミュニティを構築する場合、どのような流れで進めて、 どのようにスマートコミュニティを構築するのかについて、その基本的な考え方を主体別のロ ードマップにて整理する。 (1)スマートコミュニティに関連する主体の整理 ここでは、主体別のアクションプランを示す前に、スマートコミュニティ構築に関わる主体 とそれぞれの基本的な役割について整理する。 2 章でまとめた次世代エネルギー・社会システム実証の実施状況から、スマートコミュニテ ィ構築に関係する主体を抽出し、各主体の役割について下表にまとめた。 各関連主体は自らの役割を果たすと同時に、連携・協働してスマートコミュニティ構築に向 けた取組を進めることが求められる。スマートコミュニティの構築に向けては、インフラやシ ステムの整備だけでなく、設備の導入またはサービスを利用する住民との調整も必要なため、 地方自治体はこうした連携体制の中で主導的な役割を果たすことが期待されている。 次ページ以降では、こうした関連主体の基本的な役割を考慮に入れて、5−3 で検討したモデ ル毎に想定されるアクションプランを例示する。 ■スマートコミュニティに関連する主体とその役割 主体 国 役割 ・ 地域の独自性を生かしたスマートコミュニティ形成の支援 ・ 地方自治体に対するスマートコミュニティ構築のための指針の提供 (モデル事業の実施、ガイドラインの作成、技術の標準化など) 地方自治体 ・ 地域の企業・住民などのニーズの把握 ・ 地域に最適化すべき目標の設定 ・ 実際にスマート化を進める企業や住民などの利用者を含んだ実行組 織の形成 大学・研究機関 ・ より良いインフラシステムの構築 ・ 地域特性や需要に応じたシステムの調整・構築 ・ システム連携方策や地域全体でのエネルギー利用を最適化するため の研究開発 ・ 技術・ノウハウの蓄積 民間事業者 住民 ・ 提供されるサービスの利用と適切な評価 ・ スマートコミュニティに合わせた生活スタイルへの適応 183 (2) 新たなまちを整備する際にスマートコミュニティを構築する場合のアクションプラン 新たなまちを整備する際にスマートコミュニティを構築する場合、基本的に以下の流れに沿 って検討体制が組まれるものと想定してアクションプランの整理を行う。 なお、以下に例示するアクションプランは、電気事業法など建物間の電力融通に関わる規制 が緩和され、現在は実証段階である地域エネルギーマネジメントシステム(CEMS)が商品 展開された場合を前提とする。 ■アクションプランの基本的な流れ 構想の策定 ・ 検討委員会の設置 ・ 構想の策定 準備期 実践期 ・ ・ ・ ・ ・ 実現可能性の検証 管理運営期 区画整理・土地の造成 システム管理方法の確立 インフラの整備 システム・設備の導入 ・ 地域エネルギーマネジメ ントの展開 各段階における主体や実施項目は、対象となるエリアによって異なるため、ここでは、各段 階に関係する主体と実施項目を「市街地エリア」、 「公共施設集積エリア」、 「住宅地エリア」、 「工 業エリア」、 「農業エリア」の各タイプ別に例示する。 ① 市街地エリアで新たにスマートコミュニティを構築する場合 市街地エリアにおいては、市街地再開発事業などにあわせて再生可能エネルギーの一斉導 入や地域熱供給の導入などを行うことが考えられる。この場合には再開発事業の計画段階か ら関係者が参加し、十分な協議のうえで事業化を進めることがポイントである。 市街地エリアでスマートコミュニティを構築する場合、各段階における主体と実施項目、 主体別の具体的な役割は次のとおり想定される。 ■想定される主体と各段階における主な実施項目 初動期 準備期 実践期 管理運営期 主体 実施項目 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 大学・研究機関 ・ 民間企業 ・ 民間企業 ・ 民間企業(電気・ガス会 社、メンテナンス会社など) ・ プロジェクト統括会社 ・ プロジェクト統括会社 ・ ディベロッパー ・ エリアマネジメント実施会社 ⇒都市計画決定のための 検討委員会の設置 ⇒再開発組合の設立 ・ エリアマネジメント実施会社 ・ 地域課題など考慮した 構想策定 ・ 再開発事業計画案の作 成 ・ 開発実施(インフラ整備な ど) ・ 地域エネルギーマネジメントの 展開 ・ 再開発事業の調整 ・ 産学官による実現可能 性の検証 ・ エネルギーマネジメントシステム の構築 ・ 効率的な運用と維持管 理の実施 ・ エネルギーマネジメントシステム の検討 など など ・ 住民ニーズの把握 など ⇒民間企業が中心となった プロジェクトチーム(コンソーシアム) の設立 など 184 ■主体別の具体的な役割(市街地エリアの例) 5−2 で示した「市街地エリアのイメージ」を再開発事業で実現する場合について、想定される 主体別のアクションプランを例示する。 ・ 主な導入機能は、複数ビルでの電力融通。 初動期 行政 国 ・ 蓄積データの開示 ・ 情報提供 ・ 地域課題、ニーズ、特性を考 慮した構想策定 自治体 大学・研究機関 電力会社 道内 民間企業 ガス会社 ・ 構想の共同検討 プロジェクト統括 会社 ・ 都市計画への助言 ・ 企画・システムの提案 ディベロッパー ・ 計画への助言 再開発組合 (ビ ル事業者、 ビルオーナー) ・ 構想の共同検討 建設会社 ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地仕様 BEMS の開発 設備メーカー(蓄 電池、燃料電 池、創蓄エネ機 器など) エリ アマネジ メント 会社 ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地技術・システムの開 バス会社 道 外 ・ 研究・開発実績の提供 ・ 民間企業との寒冷地技術・シ ステムなどの共同開発または 助言 ・ 構想の共同検討 ・ 既存系統へ影響検証 ・ 電力供給に関する調整 発 ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 ・ エリアマネジメント事業者公募へ の参加 ・ 構想の共同検討 準備期 利用者 ・ 事業費の補助 ・ 効果の検証 ・ 事業化する内容を詳細検討 (事業可能性調査の委託) ・ 開発事業者・エリアマネジメント 事業者の公募 ・ システム技術の選定 ・ 民間企業と連携し国への補 助申請(FS など) ・ 民間企業との共同研究・開 発 ・ 事業可能性調査の実施また はサポート ・ 事業可能性調査のサポート ・ 料金体系の構築 ・ 開発事業者の選定(公募な ど) ・ まちづくりの計画・設計・開 発ルールの策定 ・ 交通システムの構築 ・ 公共施設への設備導入 ・ 開発事業者の選定 ・ 開発事業者選定への助言 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ 高圧一括受電契約 ・ 電気供給事業の展開 ・ 事業可能性調査のサポート ・ インフラ、コスト検討 ・ 料金体系の構築 ・ プロジェクトマネジメント ・ 事業可能性調査の実施 ・ システム提案 ・ エネルギーマネジメントシステムの検 討 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ コージェネ設備の導入 ・ 開発事業者・エリアマネジメント 会社選定への助言 ・ エリアマネジメント会社のサポート ・ 熱供給事業の展開 ・ 区画整理事業 ・ 土地の造成・販売 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 事業可能性調査のサポート ・ ビル事業者、利用者ニーズの 把握 ・ エネルギーマネジメントシステムの検 討 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 道内・道外企業との共同研 究・調査 ・ 構想の共同検討 ・ 地域特性を考慮したシステム の設計 ・ マネジメント業務の委託 ・ エリアマネジメント会社への助言 ・ 資金計画・調達 ・ ビル建設発注、設備の導入 ・ 充電設備の整備 ・ 施工・建設 ・ コンソーシアムでパッケージ提供 ・ ビル管理会社の管理 ・ ビル事業の展開 ・ サービスの利用 ・ エリアマネジメント事業者公募へ の参加 ・ マネジメント業務の受託 ・ 地域ニーズに合ったエリアマネジ メントシステムの検討 ・ 料金体系の整備 ・ エリアマネジメントの実施 (コミュニティ・エネルギー・モビリティ・リー ス・セキュリティなど) ・ 利用者ニーズの把握 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 電気バス・充電設備の導入 ・ 料金体系の構築 ・ バス事業の展開 ・ EVなどの車両・充電設備の 導入 ・ 料金体系の構築 ・ EV、蓄電池、燃料電池、スマ ート機器などの技術・製品の 提供 ・ 道内企業を補完する形でコン ソーシアムへ参加 ・ 通信インフラ整備 ・ エリアマネジメント会社のサポート ・ 道内企業を補完する形でコン ソーシアムへ参加 ・ ビル事業者等との資金調達 計画(融資、社債) ・ 利子優遇措置 ・ 資金調達 ・ シェアリングサービスの展開 ・ 構想の共同検討 ・ 利用者ニーズの把握 ・ 事業可能性調査のサポート 技術提供会社 (ゼネコン,電気, 重工,プラント,イン フラ、自動車、 電器など) IT・通信会社 ・ 事業計画への助言 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 構想の共同検討 ・ 事業可能性調査のサポート ・ エリアマネジメントシステム・サービス の開発 ・ エリアマネジメントシステム・サービス の開発 ・ 事業計画の検証 ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 ・ 事業可能性調査のサポート 入居者・テナント業者等 管理運営期 ・ 調査事業の補助 カーシェアリング 会社 金融機関 実践期 ・ 行政等へのニーズ発信 :各段階において中心となる事業者 185 ・ 蓄電池や創蓄エネ機器など の設備の設置 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ メンテナンス実施 ・ メンテナンス実施 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 製品メンテナンスのサポート ・ 新開発商品情報の提供 ・ 通信サービス事業の展開 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ メンテナンス実施 ・ 資金計画実施 ・ ビル、テナント利用 ・ カーシェアリング等の利用 ② 公共施設集積エリアでスマートコミュニティを構築する場合のアクションプラン 5−2 で示した公共施設集積エリアのモデルイメージでは、公共施設を中心とした熱供給ネッ トワークの構築や各施設への太陽光発電や小型風力発電などの導入が想定されている。公共施 設集積エリアにおけるエネルギーマネジメント事業に関しては、自治体からの委託を受けた第 3 セクターやPFI事業(民間企業の資金、運営ノウハウ、技術的能力等を活用して公共施設 の管理・運営を効率的・効果的に行う手法)によって運営されることが考えられる。 以上の点を踏まえて、公共施設集積エリアでスマートコミュニティを構築する場合、各段階 における主体と実施項目、主体別の具体的な役割は次のとおり想定される。 ■想定される主体と各段階における主な実施項目 初動期 準備期 実践期 管理運営期 主体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 大学・研究機関 ・ 民間企業 ・ 民間企業 ・ 第 3 セクターまたは民間企 業(PFI) ・ プロジェクト統括会社 ・ プロジェクト統括会社 ・ ディベロッパー ・ 市民ファンド ・ 市民ファンド ⇒地域エネルギーマネジメント事業 の実施 ⇒検討委員会の設置 ・ 第 3 セクターまたは民間企 業(PFI) ⇒民間企業が中心となった プロジェクトチーム(コンソーシアム) の設立 実施項目 ・ 新エネ・省エネビジョンなどの 策定 ・ エネルギーネットワーク実現可能 性の検証 など など ・ 熱供給事業の開始 ・ 地域エネルギーマネジメントの 展開 ・ 事業者選定 ・ 設備導入 など ・ 効率的な運用と維持管理 の実施 など 186 ■主体別の具体的な役割(公共施設集積エリアの例) 5−2 で示した「公共施設集積エリアのイメージ」を実現する場合について、主体別のアクショ ンプランを例示する。 ・ 主な導入機能は、木質バイオマスを活用した熱供給及び個別の建物への太陽光発電や小型 風力発電などの導入。 ・ PFIなどによるエネルギーマネジメント事業の運営や、市民ファンドによる再生可能エ ネルギーの導入といったスキームも考えられる。 初動期 国 行政 自治体 大学・研究機関 電力会社 ・ 蓄積データの開示 ・ 情報提供 ・ 地域課題、ニーズ、特性を考 慮した構想策定 ・ 市民ファンド事業を行う団体 の選考・認定 ・ 研究・開発実績の提供 ・ 民間企業との寒冷地技術・シ ステムなどの共同開発または 助言 ・ 構想の共同検討 ・ 電力供給に関する調整 実践期 管理運営期 ・ 事業費の補助 ・ 効果の検証 ・ 事業化する内容を詳細検討 (事業可能性調査の委託) ・ 開発事業者・エリアマネジメント 事業者の公募 ・ システム技術の選定 ・ 市民ファンドのサポート ・ 実証実験など民間企業と連 携した国への補助申請 ・ 民間企業との共同研究・開 発 ・ 事業可能性調査の実施また はサポート ・ 既存系統へ影響検証 ・ 料金体系の構築 ・ まちづくりの計画・設計・開 発ルールの策定 ・ 公共施設への設備導入 ・ 公用車へのEV導入 ・ エリアマネジメント事業の委託 ・ 市民ファンドのサポート ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 環境教育や普及啓発の推 進 ・ 市民ファンドのサポート ・ 開発事業者選定への助言 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ 高圧一括受電契約 ・ 電力供給事業の展開 ガス会社 ・ 構想の共同検討 ・ インフラ、コスト検討 ・ 料金体系の構築 ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ コージェネ設備の導入 ・ 熱供給事業の展開 木質燃料製造 会社(森林組 合など) 運搬会社(木 質燃料の運 搬) プロジェクト統括 会社 ・ 構想の共同検討 ・ 運搬会社との連携 ・ 木質燃料の製造 ・ 供給体制の強化 ディベロッパー ・ 計画への助言 ・ 木質バイオマスの安定供給体 制の構築 ・ 料金体系の構築 ・ 木質バイオマス運搬体制の確 立 ・ 料金体系の構築 ・ プロジェクトマネジメント ・ 事業可能性調査の実施 ・ システム提案 ・ 開発事業者・エリアマネジメント 会社選定への助言 ・ エネルギーマネジメントシステムの検 討 ・ 事業可能性調査のサポート 建設会社 ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地仕様 BEMS の開発 設備メーカー ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地技術・システムの開 エリ アマネジ メント 会社(第 3 セクタ ーなど) ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 ・ 構想の共同検討 ・ 木質燃料製造会社との連 携 ・ 計画への助言 ・ 企画・システムの提案 道内 民間企業 発 カーシェアリング 会社 道 外 準備期 ・ 調査事業の補助 技術提供会社 (ゼネコン,電気, 重工,プラント,イン フラ、自動車、 電器など) IT・通信会社 金融機関 市民ファンド (例:太陽光発電) 住民 ・ エリアマネジメント事業者公募へ の参加 ・ 構想の共同検討 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 道内・道外企業との共同研 究・調査 ・ 構想の共同検討 ・ 地域特性を考慮したシステム の設計 ・ 林業の活性化の推進 ・ 木質燃料の運搬・供給 ・ 木質燃料の運搬・供給 ・ エリアマネジメント会社のサポート ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 区画整理事業 ・ 土地の造成・販売 ・ 施工・建設 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 木質ボイラー蓄電池や創蓄エ ネ機器などの設備の設置 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ メンテナンス実施 ・ メンテナンス実施 ・ エリアマネジメント事業者公募へ の参加 ・ マネジメント業務の受託 ・ 地域ニーズ合ったエリアマネジメ ントシステムの検討 ・ 料金体系の構築 ・ エリアマネジメントの実施 (コミュニティ・エネルギー・モビリティ・リー ス・セキュリティなど) ・ 利用者ニーズの把握 ・ 事業可能性調査のサポート ・ EVなどの車両・充電設備の 導入 ・ 料金体系の構築 ・ EV、蓄電池、燃料電池、スマ ート機器などの技術・製品の 提供 ・ 道内企業を補完する形でコン ソーシアムへ参加 ・ 通信インフラ整備 ・ エリアマネジメント会社のサポート ・ 道内企業を補完する形でコン ソーシアムへ参加 ・ ビル事業者等との資金調達 計画(融資、社債) ・ 利子優遇措置 ・ 公共施設への太陽光発電 の導入 ・ シェアリングサービスの展開 ・ 市民ファンドのサポート ・ カーシェアリング等の利用 ・ 市民ファンドのサポート ・ 事業計画への助言 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 構想の共同検討 ・ 事業可能性調査のサポート ・ エリアマネジメントシステム・サービス の開発 ・ 事業計画への助言 ・ 市民ファンドへの助言 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 市民ファンドのサポート ・ 構想の共同検討 ・ ファンドの設立または公募委 員への参加 ・ 地域ニーズの把握 ・ 事業計画案の作成 ・ 資金調達方法の検討 ・ システムの選定 ・ 資金の調達(地元企業・行 政・金融機関・市民からの 出資または融資) ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 ・ 市民ファンドへの出資 ・ 行政等へのニーズ発信 :各段階において中心となる事業者 187 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 製品メンテナンスのサポート ・ 新開発商品情報の提供 ・ 通信事業の展開 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ メンテナンス実施 ・ 資金計画実施 ・ ファンドの管理運営 ・ PR活動 ③ 住宅地を新規造成してスマートコミュニティを構築する場合のアクションプラン ここでは、5−2 で示した密集住宅地エリアのモデルイメージをもとに想定されるアクション プランを示す。密集住宅地エリアのモデルイメージでは、各住宅への太陽光と蓄電池(動く蓄 電池としてのEV・PHVを含む)などを最適制御するHEMSとそれらをエリア内で電気融 通する地域エネルギーマネジメントシステムの導入が想定されている。地域エネルギーマネジ メントを行う事業者は、道内の住宅メーカーや建設会社などが運用し、地域ビジネスとして発 展させることも地域活性化のために考えられる。 以上の点を踏まえて、新規造成住宅地エリアでスマートコミュニティを構築する場合、各段 階における主体と実施項目、主体別の具体的な役割は次のとおり想定される。 ■想定される主体と各段階における主な実施項目 初動期 準備期 実践期 管理運営期 主体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ エネルギーマネジメント会社 ・ 大学・研究機関 ・ 民間企業 ・ 民間企業 ・ プロジェクト統括会社 ・ プロジェクト統括会社 ・ ディベロッパー ⇒地域エネルギーマネジメント事 業の実施 ⇒検討委員会の設置 ・ エネルギーマネジメント会社 ⇒民間企業が中心となった プロジェクトチーム(コンソーシアム) の設立 実施項目 ・ 新エネ・省エネビジョンなどの 策定 ・ 住民ニーズの把握 など ・ エネルギーネットワーク実現可 能性の検証(FS 調査な ど) など ・ エネルギーマネジメントシステムの 構築 ・ 地域エネルギーマネジメントの 展開 ・ 区画整理 ・ 地域ビジネスの展開 ・ 住宅の分譲 など ・ 効率的な運用と維持管理 の実施 など 188 ■主体別の具体的な役割(密集住宅エリアの例) 5−2 で示した 「密集住宅エリアのイメージ」を新規造成住宅地において実現する場合について、 主体別のアクションプランを例示する。 ・ 主な導入機能は、太陽光と蓄電池(動く蓄電池としてのEV・PHVを含む)などを最適 制御するHEMSと、それらをエリア内で電気融通するCEMS。 ・ 地域エネルギーマネジメント事業は、道内企業(住宅メーカーや建設会社など)が運用す ることにより地域活性化につながると考えられる。 初動期 国 行政 ・ 蓄積データの開示 ・ 情報提供 ・ 地域課題、ニーズ、特性を考 慮した構想策定 ・ 自治体の助成事業の検討 自治体 大学・研究機関 電力会社 ・ 研究・開発実績の提供 ・ 民間企業との寒冷地技術・シ ステムなどの共同開発または 助言 ・ 構想の共同検討 ・ 電力供給に関する調整 実践期 管理運営期 ・ 事業費の補助 ・ 効果の検証 ・ 事業化する内容を詳細検討 (事業可能性調査の委託) ・ 開発事業者・エリアマネジメント 事業者の公募 ・ システム技術の選定 ・ FS など民間企業と連携した 国への補助申請 ・ 民間企業との共同研究・開 発 ・ 事業可能性調査の実施また はサポート ・ 既存系統へ影響検証 ・ 料金体系の構築 ・ まちづくりの計画・設計・開 発ルールの策定 ・ 公共施設への設備導入 ・ 開発事業者の選定 ・ エリアマネジメント事業の委託 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 環境教育や普及啓発の推 進 ・ 開発事業者選定への助言 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ 高圧一括受電契約 ・ 電力供給事業の展開 道内 民間企業 ガス会社 ・ 構想の共同検討 ・ インフラ、コスト検討 ・ 料金体系の構築 ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ コージェネ設備の導入 ・ 熱供給事業の展開 プロジェクト統括 会社 ・ 計画への助言 ・ 企画・システムの提案 ・ エリアマネジメント事業のサポート ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ディベロッパー ・ 計画への助言 ・ プロジェクトマネジメント ・ 事業可能性調査の実施 ・ システム提案 ・ 開発事業者・エリアマネジメント 会社選定への助言 ・ エネルギーマネジメントシステムの検 討 ・ 事業可能性調査のサポート ・ データ・ノウハウ蓄積 住宅メーカー ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地仕様 HEMS の開発 ・ 道内・道外企業との共同研 究・調査 ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地仕様 BEMS の開発 ・ 区画整理事業 ・ 土地の造成・販売 ・ 住宅団地の PR ・ 住宅の整備、分譲・販売 ・ 住宅の PR ・ 事業可能性調査のサポート ・ 道内・道外企業との共同研 究・調査 ・ 構想の共同検討 ・ 地域特性を考慮したシステム の設計 ・ 住宅の施工・建設 ・ メンテナンス実施 ・ 創蓄エネ機器などの設備の 設置 ・ メンテナンス実施 ・ エリアマネジメント事業者公募へ の参加 ・ マネジメント業務の受託 ・ 地域ニーズ合ったエリアマネジメ ントシステムの検討 ・ 料金体系の構築 ・ エリアマネジメントの実施 (コミュニティ・エネルギー・モビリティ・リー ス・セキュリティ・ヘルスケアなど) ・ 利用者ニーズの把握 ・ 事業可能性調査のサポート ・ EVなどの車両・充電設備の 導入 ・ 料金体系の構築 ・ EV、蓄電池、燃料電池、スマ ート機器などの技術・製品の 提供 ・ 道内企業を補完する形でコン ソーシアムへ参加 ・ 通信インフラ整備 ・ エリアマネジメント会社のサポート ・ 道内企業を補完する形でコン ソーシアムへ参加 ・ 事業者や住宅購入者への 融資 ・ 利子優遇措置 ・ 資金調達検討 ・ シェアリングサービスの展開 建設会社 設備メーカー ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地技術・システムの開 エリ アマネジ メント 会社(住宅メーカ ーなど) ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 発 カーシェアリング 会社 道 外 準備期 ・ 調査事業の補助 技術提供会社 (ゼネコン,電気, 重工,プラント,イン フラ、自動車、 電器など) IT・通信会社 ・ エリアマネジメント事業者公募へ の参加 ・ 構想の共同検討 ・ 事業計画への助言 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 構想の共同検討 ・ 事業可能性調査のサポート ・ エリアマネジメントシステム・サービス の開発 ・ 事業計画への助言 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 環境配慮型住宅ローン商品 の企画 ・ 事業可能性調査のサポート 金融機関 住民 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 ・ 行政等へのニーズ発信 189 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ メンテナンス実施 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 製品メンテナンスのサポート ・ 新開発商品情報の提供 ・ 通信事業の展開 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ メンテナンス実施 ・ 資金計画実施 ・ 住宅の購入 ・ 住宅ローン借入 ・ カーシェアリング等の利用 ④ 農業エリアでスマートコミュニティを構築する場合のアクションプラン 5−2 で示した農業エリアのモデルイメージをもとに想定されるアクションプランを示す。農 業エリアのモデルイメージでは、各住宅へ太陽光と蓄電池(動く蓄電池としてのEV・PHV を含む)などを導入するのと同時に、農業用ハウスや畜舎へ地中熱ヒートポンプなどを導入し、 エネルギー管理を一元化することが想定されている。また、共同利用施設として、地域資源を 活用する木質ボイラーやバイオガスプラント、雪氷利用貯蔵庫などを導入し、発電や熱供給を 行うことなども想定されている。地域に賦存するエネルギー活用した農業を展開することによ り、地域のイメージアップや農産物の付加価値向上への効果が期待できる。ただし、バイオマ ス資源を利用するためには、安定した供給体制を構築することが必要であり、そのための技術 やシステムについて十分な検討が必要である。 以上の点を踏まえて、農業エリアでスマートコミュニティを構築する場合、各段階における 主体と実施項目、主体別の具体的な役割は次のとおり想定される。なお、ここでは地域のエネ ルギーマネジメント事業の実施者として農業団体を想定し、木質バイオマスの収集に関しては 森林組合、バイオマス資源の運搬やトランスヒートコンテナなどによる熱の輸送に関しては運 搬業者、雪資源の確保については地元建設会社が担うものと想定している。 ■想定される主体と各段階における主な実施項目 初動期 準備期 実践期 管理運営期 主体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 大学・研究機関 ・ 大学・研究機関 ・ JA などの農業団体 ・ JA などの農業団体 ・ 農業団体 (エリアマネジメント実施) ・ 農業団体 (エリアマネジメント実施) ・ プロジェクト統括会社 ・ 地元建設会社 ・ 農家 ・ 農家 ⇒産学官共同の検討委員 会 ・ 森林管理事業者 (バイオマス資源の供給) ・ 地元建設会社 ・ 地元建設会社 ・ 森林管理事業者 ・ 森林管理事業者 ・ 運搬会社 (バイオマス資源の運搬) ・ 運搬会社 ・ 運搬会社 など ⇒農業団体と農家が主体と なったエリアマネジメント ・ プロジェクト統括会社 実施項目 ・ 地球温暖化対策実行計 画の策定 ・ FS 調査・実証実験などの 実施 ・ バイオマスタウン構想の策定 ・ バイオマス供給協定 など ・ バイオマス供給体制の確立 など ・ 施設・設備の導入・建設 ・ システム管理方法サポート体 制の確立 ・ 資金調達 など ・ 効 率 的 な運 用 と 維 持 管 理の実施 ・ 供給体制の強化 ・ 農業の活性化・地域ブラン ドの強化 など 190 ■主体別の具体的な役割(農業エリアの例) 5−2 で示した「農業エリアのイメージ」を実現する場合について、主体別のアクションプラン を例示する。 ・ 主な導入機能は、住宅や農業用ハウス、畜舎などへの太陽エネルギー利用、地中熱ヒート ポンプ、木質ボイラーなどと、共同利用のバイオガスプラントや雪冷房倉庫など。 ・ 安定的なバイオマス資源の供給のために十分な検討が必要。 初動期 国 行政 自治体 大学・研究機関 電力会社 森林管理事業 者 ・ 蓄積データの開示 ・ 情報提供 ・ 地域課題、ニーズ、特性を考 慮した構想策定 ・ 自治体の助成事業の検討 準備期 実践期 ・ 事業費の補助 ・ 効果の検証 ・ まちづくりの計画・設計・開 発ルールの策定 ・ 公共施設への設備導入 ・ 開発事業者の選定 ・ エリアマネジメント事業の委託 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 研究・開発実績の提供 ・ 民間企業との寒冷地技術・シ ステムなどの共同開発または 助言 ・ 構想の共同検討 ・ 電力供給に関する調整 ・ 事業化する内容を詳細検討 (事業可能性調査の委託) ・ 開発事業者の公募 ・ システム技術の選定 ・ FS など民間企業と連携した 国への補助申請 ・ 民間企業との共同研究・開 発 ・ 事業可能性調査の実施 ・ システム技術選定への助言 ・ 既存系統へ影響検証 ・ 料金体系の構築 ・ 開発事業者選定への助言 ・ エネルギー供給事業のサポート ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ 高圧一括受電契約 ・ 電力供給事業の展開 ・ 構想の共同検討 ・ 木材収集方法の体制構築 ・ 関連施設の導入 ・ 供給体制の強化 ・ 利用木材量の把握 ・ 運搬会社との連携 ・ 利用者との契約 ・ 個別利用者との契約 ・ 契約条件の設定 運搬会社 管理運営期 ・ 調査事業の補助 ・ 構想の共同検討 ・ 事業の PR ・ 資源収集・運搬体制の構築 ・ 資源の収集体制の確立 ・ 運搬体制の確立 ・ 資源提供農家・事業者及び 利用者との契約 ・ トランスヒートコンテナ、EV トラックな どの導入 ・ 森林管理事業者との連携 ・ 農業団体との連携 ・ 資源の収集体制の検討 ・ 農業の活性化・地域ブランド の強化 ・ 木質バイオマス・畜産バイオマス 資源の収集・運搬 ・ 熱輸送の実施 ・ 供給体制の強化 ・ 個別利用者との契約 ・ 契約条件の設定 農業団体 道内 ・ 構想の共同検討 ・ 実証実験への協力 ・ エリアマネジメント体制の確立 ・ エリアマネジメントの実施 ・ 行政への要望の提出 ・ 新設備に応じた生産方法検 討 ・ エネルギー供給体制の確立 (コミュニティ・エネルギー・モビリティ・リー ス・セキュリティ・ヘルスケアなど) ・ エリアマネジメント体制の検討 ・ 共同利用施設の導入 ・ 料金体系の構築 ・ 共同利用施設の管理・運営 民間企業 ・ 安定的なエネルギー供給体制 の検討 道 外 プロジェクト統括 会社 ・ 計画への助言 ・ 企画・システムの提案 ディベロッパー ・ 計画への助言 ・ プロジェクトマネジメント ・ 事業可能性調査の実施 ・ システム提案 ・ エネルギーマネジメントシステムの検 討 ・ 事業可能性調査のサポート 建設会社 ・ 構想の共同検討 ・ 実証実験の共同実施 設備メーカー ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地技術・システムの開発 ・ 構想の共同検討 ・ 地域特性を考慮したシステム の設計 技術提供会社 (ゼネコン,電気, 重工,プラント,イン フラ、自動車、 電器など) IT・通信会社 ・ 事業計画への助言 ・ 構想の共同検討 ・ 事業計画への助言 金融機関 ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 農家 ・ 農業団体によるエリアマネジメン ト事業のサポート ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 区画整理事業 ・ 土地の造成・販売 ・ 共同利用施設(雪氷利用倉 庫など)の建設 ・ 住宅の施工・建設 ・ 農業用ハウスなどの建設 ・ 創蓄エネ機器などの設備の 設置 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 事業可能性調査のサポート ・ EV、EV 農機具、蓄電池、 燃料電池、スマート機器など の技術・製品の提供 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 製品メンテナンスのサポート ・ 新開発商品情報の提供 ・ 事業可能性調査のサポート ・ エリアマネジメントシステム・サービス の開発 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 環境配慮型住宅ローン商品 の企画 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 通信インフラ整備 ・ エリアマネジメント会社のサポート ・ 通信事業の展開 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ メンテナンス実施 ・ 資金計画実施 ・ 行政等へのニーズ発信 :各段階において中心となる事業者 191 ・ 事業者や住宅購入者への 融資 ・ 利子優遇措置 ・ 土地の購入 ・ 住宅の建設 ・ 住宅ローン借入 ・ EVなどの車両・農業用機器 などの導入 ・ メンテナンス実施 ・ 除雪作業などによる雪資源 の確保 ・ メンテナンス実施 ・ 新商品ブランドの開発 ・ 農業団体のサポート ⑤ 工業エリアでスマートコミュニティを構築する場合のアクションプラン 5−2 で示した工業エリアのモデルイメージでは、天然ガスコージェネレーションシステムの 導入や、工場廃熱の利用、さらに大型の太陽光発電や風力発電の設備導入を行い、各工場にお けるFEMSと地域エネルギーマネジメントシステムとを連携することによって、供給される エネルギーを効率的に利用することが想定されている。また、エリア内で供給されるエネルギ ーについては、エネルギー管理センターなどで一括管理され、エネルギー需給の最適化を図る ことが想定される。 以上の点を踏まえて、工業エリアでスマートコミュニティを構築する場合、各段階における 主体と実施項目、主体別の具体的な役割は次のとおり想定される。 ■主体と実施項目 初動期 準備期 実践期 管理運営期 主体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 自治体 ・ 工業団地共同組合 ・ 工業団地共同組合 ・ 工業団地共同組合 ・ 工業団地共同組合 ・ プロジェクト統括会社 ・ プロジェクト統括会社 ・ プロジェクト統括会社 ・ エリアマネジメント会社 ・ ディベロッパー ⇒推進協議会の設立 ・ エリアマネジメント会社 ⇒行政と民間企業が主体と なった共同事業体の設立 実施項目 ・ 地域課題・上位計画との 整合 ・ FS 調査・実証実験などの 実施 ・ エリアマネジメントシステムの構 築 など ・ エネルギーマネジメント事業計 画案の作成 ・ 区画整理 など ・ 施設・設備の導入・建設 ・ システム管理方法サポート体 制の確立 ・ 資金調達 など 192 ・ エリアマネジメント実施の実施 ・ 効 率 的 な運 用 と 維 持 管 理の実施 など ■想定される主体と各段階における主な実施項目(工業エリアの例) 5−2 で示した「工業エリアのイメージ」を実現する場合について、主体別のアクションプラン を例示する。 ・ 主な導入機能は、天然ガスコージェネレーション、工場廃熱、小∼大規模の再生可能エネ ルギーを利用した熱電併給システム。 ・ エリア内のエネルギーをエネルギー管理センターなどで一括管理。 初動期 国 行政 ・ 蓄積データの開示 ・ 情報提供 ・ 地域課題・上位計画との整 合 ・ 自治体の助成事業の検討 自治体 大学・研究機関 電力会社 ・ 研究・開発実績の提供 ・ 民間企業との寒冷地技術・シ ステムなどの共同開発または 助言 ・ 構想の共同検討 ・ 電力供給に関する調整 準備期 管理運営期 ・ 調査事業の補助 ・ 事業費の補助 ・ 効果の検証 ・ 事業化する内容を詳細検討 (事業可能性調査の委託) ・ 開発事業者の公募 ・ システム技術の選定 ・ 工業団地開発ルールの策定 ・ FS など民間企業と連携した 国への補助申請 ・ 民間企業との共同研究・開 発 ・ 事業可能性調査の実施 ・ システム技術選定への助言 ・ 既存系統へ影響検証 ・ 既存系統との連携方策 の 検討 ・ 料金体系の構築 ・ インフラ、コスト検討 ・ 既存系統との連携方策 の 検討 ・ 料金体系の構築 ・ 公共施設への設備導入 ・ 開発事業者の選定 ・ エリアマネジメント事業の委託 ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 開発事業者選定への助言 ・ エネルギー供給事業のサポート ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ 高圧一括受電契約 ・ 電力供給事業の展開 ・ 既存系統との連携方策 ・ インフラ整備 ・ コージェネ設備の導入 ・ 熱供給事業の展開 ・ 農業の活性化・地域ブランド の強化 ガス会社 ・ 構想の共同検討 運搬会社 ・ 行政からの情報発信を受け 取る ・ 推進協議会への参加 ・ トランスヒートコンテナシステムの導入 ・ 事業の展開 ・ 事業計画案の作成 ・ 資金調達 ・ 管理・運営 ・ 企画の立案 ・ 事業可能性調査 ・ 企業間や自治体との調整 ・ 企業の誘致活動 ・ 立地予定企業への情報発 信とニーズの把握 ・ エリアマネジメント体制の検討 ・ 大型発電施設の設置 ・ システムの更新 プロジェクト統括 会社 ・ 計画への助言 ・ 企画・システムの提案 ・ プロジェクトマネジメント ・ 事業可能性調査の実施 ・ システム提案 ・ エネルギーマネジメントシステムの検 討 ・ エリアマネジメント事業のサポート ・ 効果の検証 ・ データ・ノウハウ蓄積 ディベロッパー ・ 計画への助言 ・ 事業可能性調査のサポート ・ データ・ノウハウ蓄積 建設会社 ・ 構想の共同検討 ・ 実証実験の共同実施 ・ 区画整理事業 ・ 土地の造成・販売 ・ 共同利用施設の建設 ・ 工場・事業所の施工・建設 設備メーカー ・ 構想の共同検討 ・ 寒冷地技術・システムの開発 ・ 構想の共同検討 ・ 地域特性を考慮したシステム の設計 ・ 創蓄エネ機器などの設備・シ ステムの設置 ・ メンテナンス実施 エリ アマネジ メント 会社 ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 ・ エリアマネジメント事業者公募へ の参加 ・ マネジメント業務の受託 ・ 地域ニーズ合ったエリアマネジメ ントシステムの検討 ・ エネルギー管理センターの設置 ・ 料金体系の構築 ・ エリアマネジメントの実施 (コミュニティ・エネルギー・モビリティ・リー ス・セキュリティ・ヘルスケアなど) 工業団地協同 組合 ・ 企業間の調整 道内 民間企業 ・ エリアマネジメント事業者公募へ の参加 道 外 実践期 ・ メンテナンス実施 バス会社 ・ 構想の共同検討 ・ 利用者ニーズの把握 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 水素バス・充電設備の導入 ・ 料金体系の構築 ・ バス事業の展開 技術提供会社 (ゼネコン,電気, 重工,プラント,イン フラ、自動車、 電器など) IT・通信会社 ・ 事業計画への助言 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 発電施設、建築物、EV、熱 電供給、ネットワーク化、蓄電池 などの製品提供 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ 製品メンテナンスのサポート ・ 新開発商品情報の提供 ・ 構想の共同検討 ・ 通信インフラ整備 ・ エリアマネジメント会社のサポート ・ 事業計画への助言 ・ 事業可能性調査のサポート ・ エリアマネジメントシステム・サービス の開発 ・ 事業可能性調査のサポート ・ 通信事業の展開 ・ データ・ノウハウ蓄積 ・ メンテナンス実施 ・ 資金計画実施 ・ 行政からの情報発信に基づ く検討 ・ 熱・電力の融通に関する工 場間協定 ・ 資金調達 ・ 事業の展開 ・ 土地の購入・工場建設 ・ エネルギーの融通 ・ 行政等へのニーズ発信 ・ 資金調達 ・ システム・設備の導入 ・ EV、水素自動車などの導入 (商用車、トラックなど) 金融機関 立地企業 ・ 企画の社内調整 ・ エネルギー使用データの提供 :各段階において中心となる事業者 193 ・ 事業者や住宅購入者への 融資 ・ 利子優遇措置 (3) 既存のまちにおいてスマートコミュニティを構築する場合のアクションプラン 新規造成エリアにおいて、創蓄エネルギー設備やエネルギー制御システムが整った建築物を計 画的に整備してスマートコミュニティを構築する場合と異なり、既存のまちにおいてスマートコ ミュニティを構築する場合には、個人・企業などによる建物単体での省エネルギー・創蓄エネル ギー設備やエネルギー制御システムなどの導入が第一段階として進められていくことが想定され る。建築物間の電力融通に関わる規制(電気事業法など)が緩和されると、こうした建築物単体 でのエネルギー制御システムや近隣施設との共同利用設備などをネットワーク化し、エネルギー マネジメントを面的に展開することで、地域内でのエネルギー利用の最適化を図ることが可能に なると推測される。また、地域エネルギーマネジメントシステム展開の前提条件となるであろう 個人や企業などによる関連技術やシステムの導入の進展は、社会情勢の変化(例えば、法整備や 規制緩和、技術の進展、技術開発によるコストの低下)などに大きく影響されると予想される。 以上のことから、既存のまちでスマートコミュニティを構築する場合の基本的なプロセスは、 どのエリアにおいても傾向に大きな違いはないと考えられる。そのため、ここでは既存のまちに おいてスマートコミュニティを構築する場合に想定される主体別の役割を「住宅エリア」の場合 を例にロードマップの形で次ページに示す。また、 「市街地エリア」 、 「住宅地エリア」、 「農業エリ ア」、「工業エリア」の各エリアについては、フロー図という形で地域エネルギーマネジメント構 築に至る流れを例示する。 194 ■スマートコミュニティ構築に向けた主体別の役割(既存住宅地エリアの場合を想定) 短期(∼2015年頃) 中期 (∼2030年頃) 建物単体での創蓄エネ設備・エネルギー制御システムの導入 共同利用設備の導入 長期(2030年頃∼) 地域エネルギーマネジメント の導入 スマートメーター標準化 国 国 行 政 再生可能エネルギー導入 に関する規制緩和 電力供給に関する規制緩和 自治体 自治体 研究機関 助成金などによる 再生可能エネルギー導入支援 積雪寒冷地に対応した設備開発 CEMSの研究開発 再生可能エネルギー導入時の 系統安定化対策 電力 電力 地域内での電力平準化手法 の検討 電力インフラの整備 電力事業の展開(電力融通) コージェネ設備の開発・導入 ガス ガス 道 内 企 業 ハウスメーカー ハウスメーカー 地域内でのガス供給システム の検討 熱供給事業の展開(熱融通) 寒冷地技術の導入 スマートハウスの開発・販売 創エネ設備の導入 電気設備 電気設備 企 業 エネルギー制御機器の導入 EVなど充電インフラの整備 蓄エネインフラの整備 カーシェアリング カーシェアリング シェアリングのニーズ調査 シェアリングサービス開始 エネルギーマネジ エネルギーマネジ メント会社 メント(地元企業) 自動車メーカー 自動車 道 外 企 業 IT・通信 IT・通信 管理運営システムの構築 エリアマネジメントの実施 V2Hシステムの普及 V2Gシステムの普及 EV等次世代自動車の普及 省エネ診断サービス実施 エネルギー制御システム ・商品の開発 通信インフラの整備 エネルギー制御サービス開始 電器メーカー 電器メーカー 金融機関 省エネ家電の開発・販売 スマート家電の開発・販売 事業者や個人への融資 利子優遇措置 ※既存のまちでスマートコミュニティを構築する場合のプロセス及び導入機能は、どのエリアにおいても基本的 に同様であると想定されるため、ここでは「住宅エリア」場合のみ例示する。 195 ① 既存の市街地エリアにおいてスマートコミュニティを構築する場合 2010 年 4 月の省エネ法の改正に伴い、市街地エリアにおいて省エネ診断などのサービスを利用 して電気使用量の「見える化」や省エネ連携制御システムを導入する事業者が徐々に増加すると 予想される。 ■既存市街地エリアにおいてスマートコミュニティを構築する場合のフロー(例) テナント単位 スマートメーターの設置 省エネ診断の実施 テナント・ビル単位 省エネ設備などの 段階的導入 双方向通信インフラの整備 ビル単位 テナント・ビル単位 エネルギー制御機器の導入 ・ パワーコンディショナー ・ 分電盤の更新 ・ WiFi ルーター など 創蓄エネ設備の導入 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 太陽光発電 自家発電設備 ヒートポンプ 蓄熱設備 蓄電池 EV,PHV(商用車) EVなど充電設備 など ビル単位 スマートビル化 再生可能エネルギー導入に関する規制緩和 (道路、公園、商業地域など) 商業エリア・商店街単位 地区内の共同利用設備の導入 ・ 中規模発電プラント ・ 大型蓄電池 ・ 熱供給センター(天然ガス利用など) ・ 雪氷熱利用冷房システム など カーシェアリングの導入 ・ EV、PHV ・ EV など充電設備 電力供給や熱供給に関する規制緩和 (事業者範囲の拡大) 商業エリア・商店街単位 地域エネルギーマネジメントシステムの構築 地域内でのエネルギー利用の最適化 196 商店街などによる ・ エネルギー供給・融通システムの導入 ・ 地域独自の料金システムの構築 ② 既存の住宅地エリアにおいてスマートコミュニティを構築する場合 住宅地エリアでは、家庭単位で省エネ家電やスマート家電などが徐々に導入され、段階的にス マートハウスの機能が備えられていくと考えられる。 ■既存住宅地エリアにおいてスマートコミュニティを構築する場合のフロー(例) 家庭単位 省エネ家電・スマート家電の 段階的導入 双方向通信インフラの整備 家庭単位 エネルギー制御機器の導入 家庭単位 創蓄エネ設備の導入 ・ スマートメーター ・ 太陽光発電 ・ パワーコンディショナー ・ 小規模風力発電 ・ ヒートポンプ給湯機 ・ 分電盤の更新 ・ WiFi ルーター など ・ 蓄電池 ・ EV、PHV など 家庭単位 スマートハウス化 再生可能エネルギー導入に関する規制緩和 (道路、公園、住居地域など) 町内会、住宅団地単位 地区内の共同利用設備の導入 ・ 大型蓄電池 ・ 太陽光発電 など カーシェアリングの導入 ・ EV、PHV ・ EV など充電設備 電力供給に関する規制緩和 (事業者範囲の拡大) 町内会、住宅団地単位 地域エネルギーマネジメントシステムの構築 地域内でのエネルギー利用の最適化 197 地元企業などによる ・ エネルギー供給・融通システムの導入 ・ 地域独自の料金システムの構築 ③ 既存の農業エリアにおいてスマートコミュニティを構築する場合 農業エリアでは、農業用ハウスや畜舎などへの地中熱ヒートポンプなどの創蓄エネ設備の導入 と同時に、住宅への創蓄エネ設備やエネルギー制御システムの導入によって、農家単位でのエネ ルギー管理を一元化し、エネルギーの効率的な利用が可能になると考えられる。 ■既存農業エリアにおいてスマートコミュニティを構築する場合のフロー(例) 農家単位 省エネ家電 スマート家電の段階的導入 双方向通信インフラの整備 農家単位 農家単位 エネルギー制御機器の導入 ・ ・ ・ ・ スマートメーター パワーコンディショナー 分電盤の更新 WiFi ルーター など 創蓄エネ設備の導入 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 太陽光発電 小規模風力発電 木質ボイラー 蓄熱設備 ヒートポンプ給湯機 蓄電池 EV、PHV(自家用車、農用ト ラック、農機具 など 農家単位 農業用ハウスや畜舎のエネルギー管理と 住宅のエネルギー管理の一元化 再生可能エネルギー導入に関する規制緩和 (道路、公園、住居地域など) 農業エリア単位 地区内の共同利用設備の導入 ・ ・ ・ ・ ・ バイオガスプラント マイクロ水力発電 大型蓄電池 雪冷房倉庫 トランスヒートコンテナ など バイオマス資源供給体制の確立 エネルギー供給体制の確立 (トランスヒートコンテナによる熱供給) 電力供給に関する規制緩和 (事業者範囲の拡大) 農業エリア単位 地域エネルギーマネジメントシステムの構築 地域内でのエネルギー利用の最適化 198 農業生産法人やJAなどによる ・ エネルギー供給・融通システムの導入 ・ 地域独自の料金システムの構築 ④ 既存の工業エリアにおいてスマートコミュニティを構築する場合 工業エリアにおいても、市街地エリアと同様に省エネ法の改正を突破口に工場単位でのエネル ギー管理システムが普及すると考えられる。また、工業団地内の未分譲地などの空き地を活用し た共同利用設備(大型風力発電など)を導入も、今後進むものと予想される。 ■既存工業エリアにおいてスマートコミュニティを構築する場合のフロー(例) 工場単位 スマートメーターの設置 省エネ診断の実施 工場単位 省エネ設備の導入 双方向通信インフラの整備 工場単位 工場単位 エネルギー制御機器の導入 ・ パワーコンディショナー ・ 分電盤の更新 ・ WiFi ルーター など 創蓄エネ設備の導入 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 太陽光発電 自家発電設備 ヒートポンプ 蓄熱設備 蓄電池 燃料電池式フォークリフト トランスヒートコンテナ EV,PHV(商用車) EVなど充電設備 など 工場単位 スマートファクトリー化 再生可能エネルギー導入に関する規制緩和 (道路、公園、商業地域など) 工業団地単位 地区内の共同利用設備の導入 ・ 大規模風力発電 ・ 風力発電 ・ 熱供給センター(天然ガス利用など) など カーシェアリング・共同バスの導入 ・ EV、PHV 車両 ・ EV など充電設備 電力供給に関する規制緩和 (事業者範囲の拡大) 工業団地単位 地域エネルギーマネジメントシステムの構築 地域内でのエネルギー利用の最適化 199 工業団地組合などによる ・ エネルギー供給・融通システムの導入 ・ 地域独自の料金システムの構築 5−5 具体的な地域を想定したスマートコミュニティモデルの検討 北海道内の 4 地域を想定して、それぞれの地域特性等を踏まえ、スマートコミュニティモデル を仮想的に適用することを試みた。 本節で検討するスマートコミュニティモデルは、自治体などが地域においてスマートコミュニ ティの将来像を検討する際、具体的な地域を想定することで、そのヒントや参考になる検討手順 や視点などを例示するものである。そのため、本事業において検討を行うスマートコミュニティ モデルは、あくまで仮想的なイメージを例示したものであり、スマートコミュニティモデルの内 容は、各自治体が検討している計画などと整合が図られたものではない。 スマートコミュニティモデルの検討に当たって想定した地域は以下のとおりである。 ■スマートコミュニティモデル検討での想定地域 地域分類 本業務での想定地域 地域の特徴 都市部 帯広市 道内拠点都市の一つであり、環境モデル都市と して先進的な取組が進んでいる。 農村部 ニセコ町 北海道の町村部において利用可能な再生可能エ ネルギーに偏りの少ない地域であり、地球温暖 化対策実行計画の策定など環境・エネルギー対 策に積極的である。 離島部 利尻島 独立系統である離島単独の取組のみならず、環 境都市宣言を行っており、定住自立圏構想の中 心市である稚内市と連携した取組が期待でき る。 先導モデル地域 恵庭市、千歳市、苫小 大規模な企業集積が認められ、既に各企業によ 牧市、厚真町 って環境関連の意欲的な取組が進んでおり、国 内外への発信力が高いと考えられる。 200 (1) 帯広市(都市部モデル)におけるスマートコミュニティ構築イメージの検討 本項では、都市部モデルにおけるスマートコミュニティのイメージについて例示を行う。 本項でのスマートコミュニティのイメージは、本事業において調査検討を行ったスマートコ ミュニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)に対して、具体的な地域特性を考 慮した場合について検討を行うものである。 なお、本項でのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示するもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 帯広市が検討している計画や事業などと整合が図られたものではなく、あくまで本事業にお ける調査検討をもとに地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するものである。 以下①から③で整理する地域特性を考慮して、④以降でスマートコミュニティのイメージ について例示する。 ① 帯広市の地域概要 帯広市における地域概要は以下のとおりである。なお、下表はスマートコミュニティの観点 からの特徴を抜粋したものであり、地域概要全てを整理したものではない。 (帯広市ホームページの「おびひろのプロフィール」などから作成) ■帯広市の地域概要(一部) 項目 現状 スマートコミュニティの観点 ・面積:618.94km2(東京 23 区と同程度) ・南西部は日高山脈が占める ・市街地は市域の北東端に位置し、十 勝川や札内川が流れる ・帯広駅北口から北へ伸びる西 2 条通を 中心に商業施設やビジネス街がある ・郊外型の商業施設は西帯広地区、稲 田地区(市街地南部)など ・国道 38 号・帯広広尾自動車道沿いの 市街地北西部に帯広工業団地・新帯 広工業団地・西 20 条北工業団地など がある。 ・1 人当たりの公園面積は約 40 ㎡(全国 平均 9.3 ㎡・北海道平均 33 ㎡) ・冷涼少雨の気候(年平均気温 6.5 度、 年間降水量約 900 ミリメートル、年間の 1 ミリメートル以上の降雨日約 85 日) ・1 日の気温差が比較的大きく、1 日の最 高気温と最低気温の差は平均 10.5 度 (※同東京 7.2 度、札幌 7.7 度) ・年間通じて晴天の日が多く、特に秋か ら冬にかけては晴天が続く 168,775 人(82,307 世帯) ※平成 24 年 1 月末現在 ・高低差が少なく、中小水力発電に適し た地点は日高山脈に近い地区に限ら れる。 ・農産系、畜産系、木質系バイオマスの 活用が考えられる。 ・市中心部での熱供給によるエネルギー 利用効率向上が考えられる。郊外でも 大型商業施設を核とした熱供給の可 能性がある。 から見た特徴 地理 気候 人口(世帯数) 201 ・日照時間の長さ(国内トップクラス)、積 雪量の少なさ、冬の気温の低さともに 太陽光発電に適しており、市街地では ビルの屋上などへの設置、住宅地では 一般住宅への設置、郊外ではメガソー ラーの設置が期待できる。 ・人口が多くごみなどの生活系バイオマ スの賦存量が高いと考えられる。 項目 現状 スマートコミュニティの観点 から見た特徴 産業 交通・運輸 研究機関 スマートコミュニティに 関連する取組 ・中央部・北東部の平地は、約半分が農 地であり、全国でも有数の大規模経営 の畑作地帯 ・全国有数の農業地域(小麦・てんさい・ じゃがいも・豆類・とうもろこし・野菜・乳 牛・肉牛等) ・約 800 戸の農業者で約 260 億円の農 業産出額、平均経営耕地面積約 25ha ・農協施設や卸売市場、食品加工施設、 選果場なども集積 ・卸売業・小売業の年間商品販売額は 約 9,000 億円(十勝地方の約 74%)、 道内では札幌市、旭川市についで 3 番目 ・空港(羽田線 7 便) ・JR 帯広−札幌 約 2 時間 10∼50 分 ・バス 帯広−札幌 約 3 時間 30 分 ・道東自動車道が開通(2011 年 10 月) ・バイオエタノールの製造及び車両の運 行 ・帯広畜産大学(農畜産物生産、食品衛 生、環境保全など) ・H14 地域新エネルギービジョン策定 ・H16 地域省エネルギービジョン策定 ・H19 省エネビジョン FS(市有施設への ESCO 導入)調査実施 ・H19 バイオマスタウン構想策定 ・H20∼環境モデル都市に選定 ・H22 チャレンジ25地域づくり事業採択 ・H22 「緑の分権改革推進事業」採択 (廃棄系、木質系バイオマスの賦存量 調査及び事業化可能性調査) ・H23 スマートコミュニティ構想普及支援 事業採択(北電総合設計(株)) ・食用油回収の定着(家庭 38%、産廃 18%) ・BEMS、ESCO 導入例:帯広市役所本 庁舎、とかちプラザなど ・木質チップボイラー導入 ・太陽光発電の実験場として取組が進 んでいる ・脱マイカーの推進 など 202 ・農業経営規模が大きいので、農産系、 畜産系バイオマスのプラント化が比較 的容易と考えられる。 ・農産・食品加工業から出る廃棄物をバ イオマスエネルギーとして利用すること が考えられる。 ・農産系、畜産系バイオマス資源の高度 利用技術の確立、地場産業との提携、 技術移転が期待される。 ・既にさまざまな取組が行われており、 市民の認知度も高いことから、個別の 取組を面的につなげていくことによっ てスマートコミュニティに発展させてい く下地ができている。 ② 帯広市におけるエネルギー利用の現状 「帯広市地域省エネルギービジョン」(平成 16 年度)によると、部門別に見た場合の帯広市 におけるエネルギー消費状況は、全国平均よりも産業部門の比率が小さく、その一方では民生 部門(特に家庭)や運輸部門の占める割合が非常に大きくなっている。したがって、市街地や 住宅地でのエネルギー利用効率の向上が求められていると言える。また、BDFやバイオエタ ノールなどのクリーン燃料やEVなどの普及、カーシェアリング等による、交通や運輸におけ る化石燃料依存度の低減も重要である。 ■帯広市の部門別エネルギー消費率 ※出典 帯広市地域省エネルギービジョン(H16) 203 ③ 帯広市における新エネルギーの概要 1) 帯広市における新エネルギーの賦存量・利用可能量 平成 13 年度策定の「帯広市地域新エネルギービジョン」に基づいて整理すると、帯広市にお ける新エネルギーの賦存状況は以下のとおりである。 なお、 「帯広市地域新エネルギービジョン」では新エネルギーの種類毎に異なる単位で示され ているが、ここではギガジュール(GJ)に変換した値を追記した。 ただし、太陽光発電と太陽熱利用については単位面積当たりの熱量となっており、どれだけ の設置面積を想定するかによって計算結果は大きく違ってくる。 総合評価としては、風力発電はあまり期待できないが、それ以外のエネルギーについては幅 広く賦存していると考えられる。 ■帯広市における新エネルギーの賦存量・利用可能量 種類 年間賦存量 利用可能量 年間賦存量 利用可能量 (GJ) (GJ) 利用条件 賦存量 評価 太陽光発電 1,551 kWh/㎡ 186 kWh/㎡ 5.6 GJ/㎡ 0.7 GJ/㎡ 変換効率 12% ○ 太陽熱利用 1,551 kWh/㎡ 400,149 kcal/㎡ 5.6 GJ/㎡ 1.7 GJ/㎡ ○ 202 kWh/㎡ 114,857 kWh 0.7 GJ/㎡ 風力発電 雪冷熱 氷冷熱 下水処理廃熱ヒートポンプ (利用温度差5℃) 48,000 kWh/㎡ 181,912 Gcal 温度差発電 集熱効率 30% 413.5 GJ 1,000kW 級発電機 ▲ 172.8 GJ - ○ - - ○ 761.1 GJ - ○ - - ○ 家畜ふん尿バイオガス 30,544 Gcal 18,326 Gcal 127.8 GJ 76.7 GJ プラント効率 60% ○ 下水汚泥バイオガス 15,391 Gcal 9,235 Gcal 64.4 GJ 38.6 GJ プラント効率 60% ○ 生ごみバイオガス 34,765 Gcal 20,859 Gcal 145.5 GJ 87.3 GJ プラント効率 60% ○ 廃棄物発電・熱利用 アルコール発酵 (甜菜) ガス化製造メタノール (甜菜) 地熱(深層熱水) 231,449 Gcal 96,721 Gcal 968.4 GJ 12,174 Gcal - 404.7 GJ 50.9 GJ 67,637 Gcal 283.0 GJ - 52,560 Gcal 219.9 GJ - 中小水力 平地で落差が小さいため、検討対象外。 - - 海洋(波力、潮汐) 海洋に接しておらず、検討対象外。 - - 工場・発電所廃熱 事業所構成が中小工場のため、対象外。 - - 変電所・地下鉄等廃熱 検討対象外とした。 - - 地熱(発電) 検討対象外とした。 - - ○ 生産熱量 390Mcal/t 乾燥重量 生成率 50% 深度 2,000mの 生産井 1 本当り 80℃ ○=有効に活用することが可能 ▲=利用効果が期待できない ※出典 帯広市地域新エネルギービジョン(H13 年度)をもとに作成。ただし、GJ 単位の数字は 1Wh=3.6J 1cal=4.184J を基準に計算。 「廃棄物発電・熱利用」の内訳は下水汚泥・一般可燃ごみ・木屑・廃プラスチック・ 廃タイヤ。 204 ○ ○ ○ 2) 帯広市におけるスマートコミュニティ関連の取組状況 以下の図に示すとおり、帯広市では既に太陽光発電、雪氷冷熱、木質バイオマス、畜産バイ オマスなど、さまざまな再生可能エネルギーの活用が行われている。また、BEMSの導入や ESCO事業など、先進的な省エネルギー取組も行われている。今後は、これらの取組を核と して、いっそうの拡がりや相互の連携の中でスマートコミュニティが形成されていくことが期 待される。 ■再生可能エネルギーの主な導入状況 205 ④ 帯広市全体のスマートコミュニティのイメージ 以上に整理した帯広市の地域特性等を踏まえて、スマートコミュニティのイメージを例示す る。帯広市については、市街地エリア、密集住宅エリア、農業エリア、工業エリアにおけるス マートコミュニティモデルを想定し、イメージ検討を行った。 なお、ここで検討するスマートコミュニティのイメージは、先に整理した地域特性から仮想 的にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可 能性を考慮したものではない。また、先導地域の自治体が検討している計画や事業などと整合 が図られたものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティ の考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュニテ ィのイメージを例示するものである。 【帯広市全体のスマートコミュニティのイメージ】 ・ 太陽光発電に適した地域特性を生かし、全域に渡ってビルや住宅の太陽光発電で分散型での 電力供給を行っている。 ・ 郊外のメガソーラーやバイオガスプラントなどにより市街地へ電力供給を行っている。 ※メガソーラーやバイオガスプラントなどは用地や原料確保の観点などから帯広市内で導入を大きく拡 大することは難しいため、周辺町村との連携が必要になると考えられる。 ・ 市街地では天然ガスによるコージェネレーションによって地域熱供給を行い、効率的にエネ ルギーを利用している。 ・ 郊外部の住宅ではペレットストーブなどを活用し、暖房用の灯油使用量が削減されている。 ・ 公共交通機関の充実やEV、PHVの普及により近中距離交通・運輸での化石燃料使用量が 削減されている。 ■帯広市におけるスマートコミュニティモデルの検討エリアと検討内容 エリア区分 市街地エリア 地区名 JR帯広駅周辺 検討内容 ・農業エリアや周辺町村の大規模再生可能エネルギー施設との連携 ・公共施設やホテル・商業施設とのエネルギー融通 密集住宅エリア 大空団地 ・団地の建替を契機とした太陽光発電や地中熱ヒートポンプなどの導 入 農業エリア 大正地区 ・周辺町村との連携を含めたバイオガスプラントやメガソーラーといっ た大規模再生可能エネルギー施設の整備 ・市街地エリアへ電力供給 工業エリア 西20条北工業団 ・工場間のエネルギー融通と周辺町村と連携したバイオガスプラント 地 の導入 ※帯広市においては農業エリアに低密住宅エリアを含めて検討を行った 206 ■帯広市全体のスマートコミュニティのイメージ 地域におけるスマートコミュニティモデルについての留意事項 ・ 帯広市におけるスマートコミュニティのイメージは、先に整理した地域特性から仮想的 にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実 現可能性を考慮したものではない。 ・ 帯広市が検討している計画や事業などと整合が図られたものではなく、あくまで本事業 において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、 5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもので ある。 ・ 帯広市内では、用地や原料確保の理由からメガソーラーやバイオガスプラントの設置が 難しい場合もある。そういった場合は、周辺町村と連携した再生可能エネルギー導入も 考えられる。 207 ⑤ 帯広市におけるスマートコミュニティモデルの検討 1) 市街地エリア(帯広駅周辺) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した帯広市の地域特性を考慮して、市街地エリアでス マートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例示する。 ここでは、帯広市の市街地エリアとして帯広駅周辺を想定してスマートコミュニティのイ メージを例示する。具体的には、先に整理した帯広市の地域特性に加えて、スマートコミュ ニティの観点から帯広駅周辺の現状を整理し、その上でスマートコミュニティのイメージを 例示する。スマートコミュニティのイメージについては、始めにその概要を示した上で、詳 細を図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●JR帯広駅周辺の現状 ・ JR帯広駅と帯広市役所を含む約 1km四方のエリア内には多くの都市型ホテルのほか、図 書館などの公共施設、大型商業施設、病院など大型の施設が集中している。 ・ 特にJR帯広駅周辺は再開発後にホテルの建設が相次ぎ、10 棟を超えるホテルが密集して いる。また、高層マンションの建設も進んでいる。 ・ 大型商業施設の郊外立地が増加する中、大型スーパーが平成 10 年に郊外へ移転したことを 契機として、市街地の空洞化が進んでいる。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 帯広市郊外や農業エリアに設置されたメガソーラーやバイオガスプラントなどの大規模再 生可能エネルギー施設と連携し、市街地への電力供給を行っている。 ・ 行政施設、病院、ホテル、商業施設など、エネルギー需要のピークが異なる施設をネットワ ーク化して電力融通を行うことで、エネルギーの平準化を図っている。 ・ エネルギー需要の大きい施設に大規模なコージェネレーションシステムを導入し、施設内の 電力需要を賄うとともに、周辺の行政関連施設への熱供給も行う。 ・ 市街地エリアで使用する燃料は、CO2発生量の少ない天然ガスと農業エリアのバイオガス プラントで生産されたバイオガスを混合して活用する。 ※メガソーラーやバイオガスプラントなどは用地や原料確保の観点などから帯広市内で導入を大きく拡 大することは難しいため、周辺町村との連携が必要になると考えられる。 208 ■帯広市の市街地エリア(帯広駅周辺)におけるスマートコミュニティのイメージ メガソーラーやバイオガス プラントは用地や原料の 確保が重要 需要のピークが異なる施設間での 電力を融通 帯広市だけではなく周辺町村 との連携がポイント 電力需給調整 非常時電源機能 郊外や農村部に設置された バイオガスプラントなど から電力を供給 市街地の電源確保 市街地と再生可能エネルギー の需給調整 市役所や病院での コージェネレーション 熱導管を介して 行政関連施設等へ熱供給 アーケードの屋根へ シースルー型太陽光発電を設置 観光客や出張者などが利用 LED 街灯などに利用 電力余剰時⇒EVに充電 需要ピーク時⇒EVから放電 需要平準化 非常時電源機能 コージェネレーションで 熱と電気を供給 熱電供給センターの最適制御で、 施設毎の個別設備よりも効率的 ホテルと商業施設の消費エネルギーを農業エリアのバイオガスプラントなどの 再生可能エネルギーで賄った場合の年間CO2削減イメージ(例) 実施前エネルギー需要量 ホテル: 商業施設: 合計: 23.4 TJ 273.6 TJ 297.0 TJ 実施前CO2排出量 ホテル: 商業施設: 合計: 1,332 t 15,595 t 16,927 t 全体の 80%を 再生可能エネルギー で賄う 実施後CO2排出量 ホテル: 266 t 3,119 t 商業施設: 3,385 t 合計: 13,541 t削減 ※ホテルのエネルギー消費量は帯広駅前の平均的な延べ床面積より推定。商業施設も同様に帯広駅前の商業施設 の延べ床面積より推定。エネルギー消費原単位は、省エネルギーガイドブックより用いた。 ※市街地エリアには、天然ガスコージェネレーションも複数設置する想定のため、再生可能エネルギーの利用率を 80%と仮定した。 209 ●スマートコミュニティのイメージ 【郊外部の大規模再生可能エネルギー施設からの電力供給】 ・ 帯広市の郊外部は、周辺の町村などを含めて複数のメガソーラーやバイオガスプラントが設 置されており、それらの大規模発電施設から市街地へ電力供給が行われている。 ※メガソーラーやバイオガスプラントなどは用地や原料確保の観点などから帯広市内で導入を大きく拡 大することは難しいため、周辺町村との連携が必要になると考えられる。 【建築物への再生可能エネルギー導入】 ・ 市街地エリアの各ビルには太陽光発電が設置されており、不足する電力は郊外部の再生可能 エネルギー発電設備から供給を受けている。 ・ 各ビルの屋上や壁面に加え、駐車場へも太陽光パネルが設置されている。 ・ 市街地は日中の人口が多いため、太陽光発電の電力は地区内で有効利用されている。 ・ 一部のビルには災害時用電源として蓄電池が設置されており、電力需給平準化の機能も合わ せ持つ。 ・ 商店街のアーケードの屋根には透明タイプの太陽光発電が設置されており、街路灯などの電 源として使われている。 【熱供給ネットワーク(行政関連施設・病院集積地区) 】 ・ エネルギー需要の大きい病院と市役所に大規模なコージェネレーションシステムを導入し て、施設内の電力需要を賄うとともに、周辺の行政関連施設へ熱供給が行われている。 ・ 夜間のエネルギー需要も大きい病院と昼間の需要の大きい行政施設間で熱融通が行われて おり、熱需要の平準化(設備の稼働率向上)と設備の高効率化が図られている。 ・ 行政関連施設への熱供給は、施設集積度が高いため高効率で行うことができるとともに、熱 供給事業への参加への合意が得られやすい。 【交通】 ・ 帯広市で既に定着している廃油回収システムを生かして、市街地と住宅エリアを結ぶバスは 燃料にBDFを使っている。 ・ 駅前にはEVのカーシェリング駐車場があり、出張や観光者などが利用している。EVに搭 載されている蓄電池は、エリア内の太陽光発電の平準化の役割も持っている。 【学校】 ・ 学校は災害時避難所に指定されている。 ・ 河川に接しているため高効率な河川水ヒートポンプや太陽光発電、蓄電池を導入しており、 災害時での電気や暖房を行えるようになっている。 210 密集住宅エリア(大空団地) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した帯広市の地域特性を考慮して、帯広市の密集住宅 エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例示する。 ここでは、密集住宅エリアとして帯広市の大空団地を想定してスマートコミュニティのイ メージを例示する。具体的には先に整理した帯広市の地域特性に加えて、スマートコミュニ ティの観点から大空団地の現状を整理し、その上でスマートコミュニティのイメージを例示 する。スマートコミュニティのイメージについては、始めにその概要を示した上で、詳細を 図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●大空団地の現状 ・ 大空団地は昭和 42 年∼昭和 49 年に整備された郊外型団地である。計画戸数は約 2,700 戸、 計画人口は約 10,000 人であったが、現在は戸建住宅約 1,100 戸、公営住宅(市営、道営) は約 1,000 戸、居住人口約 5,000 人弱、世帯数約 2,100 世帯、65 歳以上の高齢者の割合(高 齢化率)は約 33%(市全体は 22%)となっている。 ・ 公営住宅は概ね 2∼4 階建て程度の集合住宅である。 ・ 建物の老朽化が進行していることから、帯広市によって大空団地再生計画が策定された。平 成 12 年から道営住宅の建替が始まり、続いて市営住宅の建替も順次進んでいる。 ・ 住民の高齢化が進んでいることから、建替によって子育て世帯の入居を促進し、世帯構成や 年齢層等について多様化が図られている。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 密集住宅エリアではあるが、集合住宅は比較的低層であり、周辺に大型施設もなく集積度は それほど高くないことから、熱需要への対応は、さまざまな再生可能エネルギーをミックス させることを基本とする。 ・ 複数世代(共働き、子育て、高齢者等)の住宅や商業施設など、エネルギー需要のピークが 異なる施設をネットワーク化して電力融通を行うことで、エネルギーの平準化を図っている。 ・ 隣接する農業エリアで設置されたバイオガス発電の廃熱利用、農業エリアから距離のある各 集合住宅においては共同ペレットボイラーやバイオガス発電を動力源とした地中熱ヒート ポンプなどが導入されている。 ※バイオガス発電やペレット活用のためには、用地や原料確保などの理由で周辺町村との連携が必要にな る。 ・ 建替や改修のタイミングに合わせてスマートコミュニティを構築することで、住宅エリア全 体のイメージを向上させることも可能である。これにより、若い世代の入居を促進し、エネ ルギー融通を契機とした世代間のコミュニティの形成を期待することができる。 211 ■帯広市の密集住宅エリア(大空団地)におけるスマートコミュニティのイメージ 世帯構成や働き方など 家庭環境の違い 農業エリアと連携し バイオガスプラント等で 発電した電力を利用 住宅によって需要ピークが 異なる メガソーラーやバイオガス プラントは用地や原料の 確保が重要 帯広市だけではなく周辺町村 との連携がポイント 電力融通による平準化 災害時の電源を確保 防災拠点として機能 PHV 電力余剰時⇒EVに充電 需要ピーク時⇒EVから放電 住宅や集合住宅に設置された 太陽光発電の電力を 道路の融雪に利用 木質ペレットを ボイラーの燃料として 共同購入 電力平準化 非常時電源機能 需要ピークが異なる住宅や スーパーでエネルギーを融通 電力融通による平準化 非在宅住宅(例:共働き)のPV余剰電力を在宅住宅(例:子育て世代)へ供給した場合の 在宅住宅一戸での年間CO2削減イメージ(例) 余剰 在宅住宅 非在宅住宅 電力 CO2削減量 CO2削減率 供給 1288 kg 余剰電力: 1,675 kWh → 在宅住宅: 591 kg 697 kg 591 kg削減 46% 削減 ※帯広市新エネルギービジョンで算出されている家庭用太陽光発電の発電量を元に推計 在宅住宅の年間電力使用量を3,650kWh(10kWh×365日)とするとCO2削減量は1,288kgとなる 212 ●スマートコミュニティのイメージ 【各住宅での再生可能エネルギー太陽光発電】 ・ 半数以上の住宅に太陽光発電が設置されており、数百から千世帯以上の電力が賄われている。 ・ 戸建住宅を中心にペレットストーブを導入し、一部の集合住宅にも共同設備としてペレットボ イラーが導入されている。 ・ 建替えを行った集合住宅の多くは、地中熱ヒートポンプが設置されており、高効率にエネルギ ー利用がされているほか、電力源は農村部や周辺町村のバイオガス発電など再生可能エネルギ ーが利用されている。 【地中熱ヒートポンプによる融雪】 ・ 地中熱ヒートポンプによって効率の高い融雪が行われている。 ・ 地中熱ヒートポンプ電力源として、地区内の太陽光パネルで発電した電力が利用されている。 【交通】 ・ 市街地との距離が比較的遠く移動手段が重要であるため、デマンドバスなどによる公共交通機 関の利便性向上や、EVやPHVカーシェアリング、セカンドカーのEV化が普及している。 ・ 移動距離が短いセカンドカー利用に対しては、カーシェアリングが利用されている。 ・ カーシェアリングはEVやPHVが使われており、エリア内の共同蓄電池としても位置づけら れている。 ・ EVやPHVの蓄電池は、太陽光発電の余剰電力や災害時にも利用されている。 ・ EVカーシェアリングは駐車スペースの節約にもなり、新たな土地の有効利用の可能性も考え られている。町内会単位でカーシェアリングに取り組むことにより、エネルギーやEVの共同 所有を契機として地域コミュニティの活性化や防災意識の向上なども期待されている。 【エネルギーネットワーク】 ・ 戸建住宅や集合住宅の屋上に太陽光発電設備を設置するなどして、高齢者が住む住宅、日中留 守にする住宅、子育て世代の住宅など電力需要の違う住宅間で電力融通が行われている。 ・ 木質ペレットの共同購入やバイオガスプラントの廃熱利用などによって熱の需給調整が行わ れている。 ・ 電気需要に対しては、バイオガス発電からの電力供給や、エリア内の太陽光発電などの発電設 備に対して電力融通により需給バランスの調整が行われている。 ※バイオガスプラントや木質ペレットの利用は、原料確保の観点などから帯広市内で導入を大きく拡大する ことは難しいため、周辺町村との連携が必要になると考えられる。 ・ エリア内の電気と熱のエネルギーは、ネットワーク化され団地組合などによって需給調整が行 われている。 ・ 団地組合によるエネルギー事業の収益は、再生可能エネルギーの更なる導入や、交通利便性向 上などの公共サービスの原資に充てられている。 ・ カーシェアリングなどのサービスも総合的に提供するため、一元管理による相乗効果とコミュ ニティ活性化などの効果が期待できる。 213 2) 農業エリア(大正地区) 以下に、帯広市の農業エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメ ージを例示する。帯広市を代表する農業エリアとしては、川西地区など複数あるが、ここで は大正地区を想定して検討を行う。 なお、ここで検討する農業エリア(大正地区)のスマートコミュニティイメージは、仮想 的にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現 可能性を考慮したものではない。また、帯広市において検討されている計画や事業などと整 合が図られたものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコミュニ ティの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュ ニティのイメージを例示したものである。 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した帯広市の地域特性を考慮して、帯広市の農業エリ アでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例示する。 ●大正地区の現状 ・ 帯広市街地エリアより約 17kmの位置にあり、区域内を南北に国道 236 号線が縦貫し、札 内川に接している。 ・ 地形は平坦で恵まれた農村環境であり、畑作農業に適し、小麦、豆類、馬鈴しょ、てん菜を 主要作物とし、耕地の整備大型化によって大規模機械化農業が可能な条件を有している。 ・ 農業世帯数は約 320 戸、全世帯数は約 1,000 戸である。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 畑作と酪農が中心の日本最大規模の大規模農業地帯であり、畜産ふん尿や農業残渣などのバ イオマス資源が活用されている。 ・ 豊富な再生可能エネルギー利用可能量を生かして、バイオマス資源が活用されている。 ・ 市街地エリアの需給状況に応じて、市街地エリアへのエネルギー供給が行われている。 ※バイオマス資源の利用については関連施設建設用地や原料確保の観点などを考慮する必要がある。 214 215 ●スマートコミュニティのイメージ 【農業系バイオマス利用】 ・ バイオマス資源のうち、家畜ふん尿はバイオガスプラントによりエネルギー源として利用さ れている。 ・ バイオガス発電から発生する廃熱は、農業用ハウスの加温に活用されている。また、トラン スヒートコンテナで市街地へも運ばれている。 ・ 一部のバイオガスを直接地区外に移送して、市街地エリアなどで天然ガスと混合され利用さ れている。 ・ バイオガス発電の副産物である消化液は、牧草地や畑に肥料として散布することで地域内で 資源の循環が行われている。 ・ エネルギー転換用の作物のほか、規格外の農産物や農業残渣などを活用して、バイオエタノ ール製造が行われており、帯広市内のガソリンスタンドなどでガソリン燃料に混合され、市 内の自動車やトラックなどに利用されている。 ※バイオガスプラントは原料確保の観点などから帯広市内で導入を大きく拡大することは難しいため、周 辺町村との連携が必要になると考えられる。 【太陽光発電】 ・ 農業者は、農地以外の場所を活用して 10kW規模(一般家庭の 3 倍程度)の太陽光発電を 行っている。 【メガソーラー】 ・ 農地以外の市街化調整区域、高圧送電網に近い未利用地などにおいて、メガソーラーが設置 されており、市街地エリアなどに供給されている。 ※メガソーラーは用地確保の観点などから帯広市内で導入を大きく拡大することは難しいため、周辺町村と の連携が必要になると考えられる。 【木質バイオマス利用】 ・ 日高山脈に接している農業エリアでは、木質バイオマスの賦存量が大きい。 ・ 山林から得られる間伐材や製材工場から出る端材などはペレットに加工され、住宅や農業ハ ウスなどで利用されたり、地域外へ販売されている。 ・ 一部の農業者では昔ながらの薪ストーブを使っている。 【エネルギーマネジメントシステム】 ・ 農業エリアでつくられるエネルギー(電気、バイオガス等)は、エリア毎に一括管理がされ ている。市街地はCEMSで高度な需給調整されており、市街地の需要量に合わせて農地エ リアから電力などが供給されている。 216 ・ 農業エリアと市街地エリアのエネルギーのやり取りは、双方で一括管理されているので、効 率的に帯広全体のエネルギー需給が管理されている。 ・ 農業エリアでつくられるエネルギーは、市街地エリアのエネルギーマネジメントシステム会 社と直接契約を結びエネルギー供給を行っている。 3) 工業エリア(西 20 条北工業団地) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した帯広市の地域特性を考慮して、帯広市の工業エリ アでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例示する。 ここでは、工業エリアとして帯広市の西 20 条北工業団地を想定してスマートコミュニティ のイメージを例示する。具体的には先に整理した帯広市の地域特性に加えて、スマートコミ ュニティの観点から西 20 条北工業団地の現状を整理し、その上でスマートコミュニティのイ メージを例示する。スマートコミュニティのイメージについては、始めにその概要を示した 上で、詳細を図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●西 20 条北工業団地の現状 ■立地事業所の主な業種 ・ 西 20 条北工業団地は帯広市の中心市街地から西へ 約 5kmに位置する工業団地であり、平成 8 年から 分譲が開始された。 ・ 立地事業所数は約 80 社であり総面積は約 36.8ha と広大な用地を有している。 ・ 業種は建設・設備、自動車整備・部品、建設資材・ 機械、電気関係などの事業所が多く、製造業は食品 製造や鉄鋼・金属加工なども立地している。 業種 企業数 建設・設備 22 自動車整備・部品 18 建設資材・機械 9 電気関係 8 運輸 4 食品製造 3 鉄鋼・金属加工 3 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 各工場の分散型電源の電力融通と、バイオガスプラントの電気・熱供給によって統括制御が 行われている。 ・ 周辺町村と連携するなどして、工業エリア外の用地にメガソーラーを設置して工業団地へ電 力供給を行っている。 ※用地や原料確保の理由からメガソーラーやバイオガスプラントの設置が難しい場合もある。そういった場 合は、周辺町村と連携した再生可能エネルギー導入も考えられる。 217 ■帯広市の工業エリア(西 20 条北工業団地)のスマートコミュニティのイメージ メガソーラーやバイオガス プラントは用地や原料の 確保が重要 河川水を利用した ヒートポンプによる 高効率冷房 農業エリアから供給される バイオマス資源を利用 帯広市だけではなく周辺町村 との連携がポイント 近隣工場等への バイオガスや廃熱の供給 工場従業員が利用 するPHVにより 発電変動を平準化 工場のFEMSが太陽光発電や コージェネレーションなどの自家発電設備と、 工場の稼動状況による需要変動を管理 コージェネレーションや 太陽光発電等を設置 分散型電源機能 CEMS が各工場の FEMS と連携して、 地域全体のエネルギーバランスを管理 非常電源機能 工場別の休日をシフト 工業団地全体の電力使用量減少 工業団地の電力ピークカット 工場間で廃熱利用を行った場合の年間CO2削減イメージ(例) 実施前CO2排出量 工業団地全体: 28,742 t CO2 5% 削減 実施後CO2排出量 工業団地全体: 27,305 t 1,437 t削減 ※他の工業団地におけるエネルギー消費量を立地企業数で按分して推計 エネルギー消費原単位は省エネルギーガイドブックを使用 廃熱利用によるエネルギー消費量の減少率は他の工業団地での実施事例を用いて5%と設定 218 ●スマートコミュニティのイメージ 【太陽光発電と蓄電池】 ・ 工業団地内の各工場には 10kW程度の中規模の太陽光発電が設置されている。 ・ 太陽光発電は天候によって出力量が大きく変動するため、太陽光発電の大量導入に伴って周 波数が変動し、工場の設備機器に影響を与えないように、変動吸収のための蓄電池が設置さ れている。 ・ 広大な用地を活用して、メガソーラーが設置されている。従業員が使用するPHVはメガソ ーラーの発電変動を平準化する役割を持つ。 ※用地確保の観点から帯広市内にメガソーラーを拡大することは難しい面がある。 【EV、PHV】 ・ 従業員が通勤で利用しているEVやPHVのバッテリーは、各工場に設置された太陽光発電 の変動吸収の役割を担っている。 ・ 帯広では長距離通勤の従業員も多いが、可能な範囲でPHVなどのバッテリーから工場へ電 力供給を行っている。 【コージェネレーションシステム】 ・ 一部の工場には、災害時用の電源を兼ねてコージェネレーションシステムが導入されている。 ・ 市街地エリアと同様にコージェネレーションシステムの燃料は、天然ガスとバイオガスを混 合している。 【バイオガスプラント】 ・ 十勝川の北側に広がる音更町などの牧場からふん尿などを収集して、工業団地の周縁部でバ イオガス発電を行っている。 ・ バイオガス発電で発生する廃熱は、隣接する工場などの暖房などに利用されている。 ※バイオガスプラントは原料確保の観点などから帯広市内で導入を大きく拡大することは難しいため、周 辺町村との連携が必要になると考えられる。 【ヒートポンプによる冷暖房】 ・ 大きな熱需要はないので、ヒートポンプによる省エネルギー型の冷暖房が導入されている。 【エネルギーマネジメント】 ・ 各工場の分散型電源(太陽光発電、コージェネレーションシステム)とバイオガス発電の最 適制御を行うエネルギーマネジメントシステムが導入されている。 ・ エネルギーマネジメントシステムは、工業団地組合が運営しており、電力供給や省エネルギ ーによって得られた収益は再生可能エネルギー導入などの原資に充てられている。 ・ 継続してスマートコミュニティの取組を進めることで、工業団地内のエネルギー自給率が高 まりエネルギー安定確保の利点などで立地企業が増加していく。 219 (2)ニセコ町(農村部モデル)におけるスマートコミュニティ構築イメージの検討 本項では、ニセコ町におけるスマートコミュニティのイメージについて例示を行う。本項 でのスマートコミュニティのイメージは、本事業において調査検討を行ったスマートコミュ ニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)に対して、具体的な地域特性を考慮し た場合について検討を行うものである。 なお、本項でのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示するもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 ニセコ町が検討している計画や事業などと整合が図られたものではなく、あくまで本事業に おける調査検討をもとに地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するものであ る。 以下①及び②で整理する地域特性を考慮して、③以降でスマートコミュニティのイメージ について例示する。 ① ニセコ町の概要 ニセコ町における地域概要は以下のとおりである。なお、下表はスマートコミュニティの 観点からの特徴を抜粋したものであり、地域概要全てを整理したものではない。 ■ニセコ町の地域概要 項目 現状 スマートコミュニティの観点から見 た特徴 人口(世帯数) 面積 地形 気候 土地利用 産業 交通 観光 4,708 人(2,191 世帯) ※平成 23 年 11 月末現在 197.13km2 ・山岳に囲まれた波状傾斜の多い丘陵 盆地を形成 ・風は年間を通して穏やか。 ・道内屈指の豪雪地帯(最深積雪は 200cm) ・冬期は日照時間が道内平均より少な いが、夏期は平均よりやや多い。 ・総面積の約半分は道有林 ・原野が 2 割。 ・ニセコ町全域が景観地区に指定され ており一部の開発事業などに規制が ある ・農業とサービス業を中心としたサービ ス産業が基幹をなっている。 ・林業は少ない ・ふれあいシャトル(循環バス)の導入 ・観光客のレンタカー・バス利用が 90%以上 ・スキーで有名。そのため大規模な宿 泊施設やスキー場が存在している。 (客室数と収容人数:29 室 150 名∼ 506 室 1418 名のものまで、幅広い) 220 ・昆布岳周辺を除き風力発電には向かな い ・雪氷冷熱エネルギー利用の可能性あり ・夏は太陽光発電、冬は雪氷冷熱エネル ギー利用などの季節に合わせた対応 ・木質賦存量は多いものの、バイオマス 利用は難しいと考えられる ・ホテル等での産業廃棄物バイオマス ・農業での畜産系・生活系バイオマス活 用 ・電気バス・BDF 燃料の検討 ・電気自動車の利用 ・ホテル間でのエネルギーマネジメントが 有効 項目 現状 スマートコミュニティの観点から見 スマートコミュニティに ・緑の分権改革推進事業(H22 年度、 23 年度) ・地球温暖化対策実行計画の策定 (H22 年度) ・ニセコ自然エネルギー研究会の設立 (H23 年) ・平成 23 年度スマートコミュニティ構想 事業「ニセコ町リゾート地区グリーン イノベーション」の採択 ・スマートコミュニティに関連する複数の調 査検討が行われている ・地球温暖化対策実行計画では、比較的 地中熱温度が高い特徴を生かして地中 熱ヒートポンプを積極的に導入する検討 がされている ・緑の分権改革推進事業(H22 年度、23 年度)では、マイクロ水力発電や雪氷利 用倉庫などの実証実験が行われている た特徴 関連する取組 ② ニセコ町における新エネルギーの概要 ニセコ町における新エネルギーの賦存量・利用可能量及び現在の導入状況は以下のとおりで ある。なお、下表はニセコ町における新エネルギー全体について評価が行われている「ニセコ 町地域新エネルギービジョン(平成 15 年度)」の賦存量と利用可能量を引用している。ただし、 「平成 23 年度ニセコ町緑の分権改革推進事業」では改めて新エネルギーに関する調査が行われ ており、昆布岳周辺における風力発電や、マイクロ水力発電より大きな中小水力発電について も導入ポテンシャルを有するものと評価されている。加えて、「平成 23 年度スマートコミュニ ティ構想普及支援事業(ニセコ町リゾート地区グリーンイノベーション推進事業)」では、一定 深度まで掘削することで中高温熱水(100∼200℃程度)を利用した地熱発電(バイナリー発電) についても導入可能性があるものと推論されている。 ■新エネルギーの賦存量 (単位:GJ) 種類 太陽光発電 太陽熱利用 風力発電(小型) 風力発電(300kW(1 基)) 畜産バイオマス熱利用 畜産バイオマス発電 雪氷熱 温度差 マイクロ水力発電*2 年間賦存量 利用可能量 *1 5 5*1 7,430 7,430 1,191,000 260 - 8,570 8,550 461 5,080 669 187 4,580 207 50 導入可能性評価 ◎ ◎ △ △ △ △ ◎ △ ○ ◎=早期の導入可能性が高く、利用可能量も多い ○=利用可能量は多くないが、早期の導入を検討する新エネルギー △=将来的に導入の可能性がある新エネルギー *1 ㎡当たりのエネルギー量 *2 マイクロ水力発電の数値は、有島記念館とニセコ森林公園の 2 か所に設置した場合のもの ※出典 ニセコ町地域新エネルギービジョン(平成 15 年度)をもとに作成。単位はGJに換算。 221 ■現状の新エネルギー導入状況 222 ③ ニセコ町全体のスマートコミュニティイメージ 以上に整理したニセコ町の地域特性等を踏まえて、以下の 4 つのエリアを想定してスマート コミュニティのイメージを例示する。 なお、ここで検討するスマートコミュニティのイメージは、先に整理した地域特性から仮想 的にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可 能性を考慮したものではない。また、先導地域の自治体が検討している計画や事業などと整合 が図られたものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティ の考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュニテ ィのイメージを例示するものである。 ■ニセコ町におけるスマートコミュニティモデルの検討エリアと検討内容 エリア区分 公共施設 集積エリア 地区名 役場・駅前周辺 検討内容 ・役場・駅前の電力需給を平準化 ・災害時電源の確保 アンヌプリ地区の別荘 ・別荘立地エリアにおけるリゾートエリアとのエネルギー連携 立地エリア ・農業への再生可能エネルギー導入 農業エリア 農業地区全般 ・農業施設と住宅とのエネルギー連携 ・農業機械の電動化と蓄電池の活用 ・エネルギーセンターの導入 エネルギー使用量 ・温泉熱やコージェネレーションによる熱電供給と余剰電力の の多いリゾートエリ アンヌプリ、東山地区 活用 ア ・EVのデマンド交通やカーシェアリング 低密住宅エリア 223 ■ニセコ町全体のスマートコミュニティのイメージ 地域におけるスマートコミュニティモデルについての留意事項 ・ ニセコ町におけるスマートコミュニティのイメージは、先に整理した地域特性から仮想 的にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における 実現可能性を考慮したものではない。 ・ ニセコ町が検討している計画や事業などと整合が図られたものではなく、あくまで本事 業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、 5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもので ある。 224 ④ ニセコ町におけるエリア別のスマートコミュニティのイメージ 1) 公共施設集積エリア(ニセコ町役場周辺) 以下に、ニセコ町の公共施設集積エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、 そのイメージを例示する。 なお、ここで検討するニセコ町の公共施設集積エリアのスマートコミュニティイメージは 仮想的にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における 実現可能性を考慮したものではない。また、ニセコ町において検討されている計画や事業な どと整合が図られたものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコ ミュニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマート コミュニティのイメージを例示したものである。 ●ニセコ町役場周辺の現状 ・ ニセコ町役場周辺には役場、小学校といった公共施設など、比較的大きな施設が集積してい る。 ・ 役場の向かいには図書館、商業施設も入居しているJAのビル、役場から数十メートルの距 離には郵便局や消防署などが立地している。 ・ ニセコ町役場から 400m程度の距離にはJRニセコ駅があり、駅前に町民温泉綺羅乃湯、バ スターミナルなどが立地しているほか、旧レンガ倉庫群の再活用計画も進行中である。 ・ JRニセコ駅の側には一級河川の尻別川が流れている。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 公共施設のほか、温泉施設やレンガ倉庫を活用したレストランなど、電力需要のピークの異 なる施設間で電力融通が行われており、電力使用量の平準化が行われている。 ・ リゾートエリアでの地熱発電(詳細はリゾートエリア参照)で発生する廃熱をトランスヒー トコンテナで輸送し、温泉施設への熱供給が行われている。 225 ■ニセコ町役場周辺のスマートコミュニティイメージ 雪氷利用倉庫で 農産物を貯蔵 尻別川で小水力発電 一日を通じて安定供給 リゾートエリアや 周辺の観光地への移動用 レンガ倉庫レストランで提供 夜間は各施設の 蓄電池・EV に充電 ショーケース化して子どもたちへ 環境・エネルギー教育の契機に 年間を通して熱の需要あり 熱をトランスヒートコンテナで リゾートエリアから移送 電動アシスト自転車を レンタル 観光客への環境 PR 需要のピークが異なる 施設間でエネルギーを融通 平準化によって エネルギー効率向上 役場庁舎、総合体育館、町民センター、公民館、ニセコ小学校へ熱供給を行った場合の 年間CO2削減イメージ(例) 実施前エネルギー消費量 実施前CO2排出量 CO2 実施後 30% エネルギー消費量 合計値 : 148 kL 合計値 : 401 t 実施後CO2排出量 削減 ※重油換算量 合計値: 104 kL 44 kL削減 ※ニセコ町省エネルギービジョンを元に推計 226 合計値: 120 281 t t削減 ●スマートコミュニティイメージの説明 【公共施設での分散電源】 ・ 町役場、町民センター、公民館、体育館、綺羅乃湯、学校などの公共施設に太陽光発電設備 を設置しているほか、JAや民間企業にも普及している。 ・ 積雪による影響を避けるため、設置角度が通常よりも大きくとられ、架台自体が高めの設定 となっているが、雪の反射光により発電効率が向上している。さらに発電効率を高めるため に太陽追尾型の太陽光発電も設置されている。 ・ 太陽光で発電した電力は各施設での電源の一部として利用できるほか、蓄電池を併設するこ とによって災害時の非常時電源としても位置づけられている。蓄電池は夜間に蓄電し、日中 の需要ピーク時に放電することで電力需要の平準化や電気量の削減にも役立つ。 ・ 学校に太陽光発電設備や蓄電池が設置され、発電の様子がリアルタイムでモニター表示され るなどショーケース化することにより、子どもたちに対する意識づけがなされ、環境・エネ ルギー教育の契機となっている。 【熱供給】 ・ リゾートエリアの地熱発電(100∼200℃程度の中高温熱水を活用したバイナリ―発電、詳細 はリゾートエリアにおけるスマートコミュニティイメージを参照)の廃熱をトランスヒート コンテナによって輸送し、駅前の温泉施設(綺羅乃湯)で温泉水の加温や暖房に利用してい る。 ・ リゾートエリアからの距離は、アンヌプリ地区から駅前までが約 8km、東山地区から駅前 までが約 5kmであり、トランスヒートコンテナでの輸送に適している。また、綺羅乃湯は 源泉温度が約 26℃であり、加温のために年間を通して熱需要がある。 【地中熱ヒートポンプ】 ・ 地中熱ヒートポンプを各施設に導入し冷暖房や融雪に利用している。ヒートポンプの電源と して、太陽光で発電した電力が有効活用されている。 【エネルギーマネジメントシステム】 ・ 公共施設などにはBEMSが導入され、ICTを活用して施設内の配電設備、空調設備、照 明設備、OA 機器等の電力使用量のモニターや制御を行い、施設全体で省エネ効果を引き出 している。 ・ BEMSの導入が進んだ時点で、各施設のBEMSが連携してエリア全体のエネルギー利用 の最適化を図るためのCEMSが導入されている。 ・ CEMSは、エリア内の電力の需給状況に応じて、各施設の電力使用量を増加させたり、減 少させる指示を行っている。EVのバッテリーは、電力平準化のためにも活用している。 227 【EV】 ・ 公用車としてEVが利用されている。役場の駐車場にEV充電設備が設置され、町民へのE V普及に貢献している。 ・ 駅前からリゾートエリアや周辺の観光地への移動用に、電気バスやEVタクシー、EVレン タカーが導入されている。また、観光客向けのレンタサイクルに電動アシスト自転車が導入 され、観光客への環境PRになっている。 【小水力発電】 ・ 尻別川では小水力発電が行われ、安定した電力としてエリア内に供給されている。 ・ 夜間は電力需要が低下するので、各施設に設置された蓄電池やEVに充電することによって 電力が有効利用されている。 2) ニセコ町の低密住宅エリア(アンヌプリ地区の別荘立地エリア) 以下に、ニセコ町の低密住宅エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そ のイメージを例示する。 なお、ここで検討するニセコ町の低密住宅エリアのスマートコミュニティイメージは仮想的 にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可 能性を考慮したものではない。また、ニセコ町において検討されている計画や事業などと整 合が図られたものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコミュニ ティの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュ ニティのイメージを例示したものである。 ●アンヌプリ地区の別荘立地エリアの現状 ・ ホテルやスキー場などリゾート施設が集積するアンヌプリ地区の麓に別荘やペンションな どの建物が低密に立ち並ぶ。 ・ ニセコ町の北部に位置し、一部はニセコ積丹小樽海岸国定公園内にある。 ・ 穏やかな丘陵地帯の低部にあり、さらに下方には農業エリアが広がっている。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 別荘などの住宅には太陽光発電が設置されており、留守宅と在宅住宅などの間で電力融通が 行われている。 ・ リゾートエリアでの地熱発電(詳細はリゾートエリアのスマートコミュニティイメージ参 照)で発生する廃熱の有効利用として、熱導管を介した熱供給が行われている。 228 229 ●スマートコミュニティイメージの説明 【リゾートエリアのエネルギーセンターからの熱(廃湯)供給】 ・ リゾートエリアでは地熱発電(100∼200℃程度の中高温熱水を活用したバイナリ―発電、詳 細はリゾートエリアのスマートコミュニティイメージ参照)を行っている。地熱発電で発電 された電気はリゾートエリア内のホテルに供給されるが、発電で使い終えた 60℃程度の温 泉が大量に余る。 ・ その廃湯をエネルギーセンターより低い位置にある別荘へ供給する。高低差を利用すること で、ポンプを使うことなく供給することができる。 ・ エネルギーセンター(詳細はリゾートエリアのスマートコミュニティイメージを参照)では 別荘の熱需要などを把握しており、発電量と熱供給の量を最適化するようにエネルギーマネ ジメントシステムが行われている。 【別荘での再生可能エネルギー導入】 ・ 熱供給を受ける別荘は、ヒートポンプを導入することで、熱供給で受けた熱を給湯や暖房な どに効率的に利用している。 ・ 一方、北海道らしい雰囲気を演出するために薪ストーブを導入している別荘やペンションも あり、木質バイオマス資源が活用されている。 ・ 各別荘には太陽光発電を設置する紳士協定が結ばれている。各別荘で発電された電力は、E Vカーシェアリングのバッテリーを活用して電力融通や平準化が行われる。 ・ 留守中の別荘の太陽光発電で発電された電力は、ペンションなどに供給され、収益は別荘の 維持管理費などに充てられている。 【EVカーシェアリング】 ・ 別荘群のあるエリアにはEVカーシェアリングのポートが整備されている。 ・ 別荘からは、EVカーシェアリングを利用して移動できる。スキー場やラフティングなどの 数十km程度の移動なので、EVの航続可能距離で十分対応可能である。 【中規模太陽光発電所】 ・ 別荘群のやや下の方には、農地ではない原野が広がっており、中規模の太陽光発電所が整備 されている。 ・ 発電された電力はEVカーシェアリングのバッテリーに充電されるとともに、バッテリーを 通じて別荘群のエネルギーマネジメントシステムで管理されている。 230 3) ニセコ町の農業エリア 以下に、ニセコ町の農業エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイ メージを例示する。 なお、ここで検討するニセコ町の農業エリアのスマートコミュニティイメージは仮想的に イメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能 性を考慮したものではない。また、ニセコ町において検討されている計画や事業などと整合 が図られたものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコミュニテ ィの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュニ ティのイメージを例示したものである。 ●ニセコ町の農業エリアの現状 ・ 農業はニセコ町の基幹産業であり、総耕地面積は 2,840haで広大である。 ・ 一方、総耕地面積は、近年(10 年間)で 9.5%減少しており農業の活性化が町の重要課題とな っている。 ・ 1 戸当たり経営耕地規模は平成 17 年で 12.8haになっているが、最近の傾向としては大規 模化が進み、20ha以上、特に 50ha以上を耕作する農業者もある。 ・ 主な作物は馬鈴薯 358ha、水稲 379ha、大豆 208ha、小麦 104ha、小豆 82ha、野 菜類 220haなどである。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 住宅で充電したEVのバッテリーを農業ハウスの暖房などの電源として活用している。 ・ 住宅、倉庫、農業ハウスと、それらに設置する太陽光発電などの再生可能エネルギーを合 わせて電力需給の最適制御が行われている。 ・ 農産物は雪氷利用倉庫で熟成させるなどして、農産物の高付加価値化を行っている。 231 ■ニセコ町の農業エリアのスマートコミュニティイメージ エネルギーの自給 化石燃料に依存しない 冬期の農業ハウスでの 除雪が不要に 騒音や振動が軽減 排ガスが出ない クリーンな農産物として イメージ向上 雪氷貯蔵の農産物を リゾートエリアで提供 観光振興に寄与 EV 夜間充電 EV は動く蓄電池 昼間農業ハウスの電源 農業ハウスの電力確保 農業ハウスへの地中熱ヒートポンプ導入による年間 CO2 削減イメージ(例・再掲) (赤平オーキッド(株)の例) 実施前 CO2 排出量 農業ハウス:946t (面積:5,728 ㎡) CO2 70% 削減 実施後 CO2 排出量 農業ハウス:283t ※赤平オーキッド(株)のホームページより 232 ●スマートコミュニティイメージの説明 【農業ハウス】 ・ 農業ハウス暖房のエネルギー源として、太陽光発電や地中熱ヒートポンプが導入されるなど、 エネルギーの自給が進んでいる。 ・ 化石燃料に依存せずに野菜類の通年栽培が可能となり、農業の生産性が向上し、地域経済に も良い影響を与えている。 ・ 農業ハウスに積もった雪を、地中熱ヒートポンプを利用した暖房によって溶かすことができ るため、冬期の農業ハウスの倒壊事故を防ぐことができる。 【EV】 ・ EV小型トラックが農業用に利用されており、クリーンな農産物のイメージが定着している。 ・ 電動農業機械が普及しており、騒音や振動から開放され、作業者の労働環境が改善されてい る。 ・ EVは非常用の電源としても利用され、災害に強い地域として認知されている。 【住宅・倉庫】 ・ 住宅では地中熱ヒートポンプを利用して暖房が行われている。地中熱ヒートポンプの電源は 住宅屋根に設置した太陽光発電で賄われている。 ・ 倉庫の屋根を活用して太陽光発電設備が設置されており、倉庫の冷房の電源に使われている。 ・ 住宅と倉庫の太陽光発電は相互に有効利用できるように制御されているほか、電力料金が最 も安くなるような設定も可能となっている。 ・ 農業ハウス内の温度やエネルギー使用状況は住宅内で確認でき、設定変更も即座に行うこと ができる。 【雪氷冷熱利用】 ・ じゃがいも、にんじんなどの野菜を出荷前に保管するために、雪氷冷熱を利用した低温貯蔵 倉庫が建設され、自然エネルギーを利用した環境にやさしくおいしい野菜として人気を誇っ ている。 ・ 雪氷利用倉庫で貯蔵した農産物は、リゾートエリアのホテルなどでも活用され、ニセコの観 光活性化にも寄与している。 ・ 雪氷冷熱倉庫の屋根を活用した太陽光発電の電力は、農業者の住宅に供給されるほか、電動 農業機械の電源として活用される。 233 4) ニセコ町のリゾートエリア 以下に、ニセコ町のリゾートエリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そ のイメージを例示する。 ニセコ町は、人口約 4,800 人であるのに対して、観光客の入れ込み数が年間約 150 万人で あり、観光業について特筆すべき地域特性を有している。このため、他のモデル地域では検 討を行わないリゾートエリアのスマートコミュニティイメージについて特別に検討を行う。 なお、ここで検討するニセコ町のリゾートエリアのスマートコミュニティイメージは仮想 的にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現 可能性を考慮したものではない。また、ニセコ町において検討されている計画や事業などと 整合が図られたものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコミュ ニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミ ュニティのイメージを例示したものである。 ●ニセコ町のリゾートエリアの現状 ・ 観光施設が集積するアンヌプリ地区、東山地区は、ニセコ町の北部に位置し、一部はニセコ 積丹小樽海岸国定公園内にある。 ・ 街区の北側はスキーリゾートとして有名なモイワ山、ニセコアンヌプリ山などの山岳地帯、 南側は緩やかな丘陵地帯となっており農業や別荘地などの土地利用となっている。 ・ アンヌプリ地区は正確にはモイワ地区とアンヌプリ地区に大別されるが、半径 250m以内に 客室 10∼80 室の中規模施設が 5 つ近接し、東山地区は半径 250m以内に客室 150∼500 室の 大型施設が 3 つ立地している。 ・ アンヌプリ地区と東山地区のそれぞれの施設集積地域は直線で約 2.5km∼5kmの位置関 係にある。 ・ 観光業におけるCO2排出量はニセコ町全体の排出量の約 37%を占めており、観光業にお けるCO2対策が、ニセコ町においては極めて重要である。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ ホテルやペンションなどの施設のエネルギー需給、地熱発電(100∼200℃程度の中高温熱水 を活用したバイナリ―発電)やエリア外のメガソーラーや風力発電などのエネルギー供給を 最適に制御するためにエネルギーセンターが建設されている。 ・ エネルギーセンターでは、ホテルやペンションなどの施設のエネルギー需要に合わせて熱と 電気を供給している。 ・ 地熱発電で発生する廃熱の一部は、トランスヒートコンテナで町内の公共施設集積エリアな どに輸送されている。 234 ■ニセコ町のリゾートエリアのスマートコミュニティイメージ 町内の適地で大規模発電 エネルギーセンターから 電熱供給 リゾートエリアへ供給 災害時のエネルギー確保 温泉利用の地熱発電 + エリア内の需給管理 地熱発電の余剰熱 トランスヒートコンテナで 公共施設などへ移送 ホテルで余った温泉熱 高低差を利用して供給 ホテルやペンションで共同利用 温泉熱でハウス暖房 雪氷利用で長期保存 電力余剰時⇒EVに充電 需要ピーク時⇒EVから放電 電力平準化 通年営農 農産物を観光客に提供 非常時電源機能 観光客がシェアリング 235 ●スマートコミュニティイメージの説明 【エネルギーセンター】 ・ リゾートエリアは、大型ホテルが複数立地しているためエネルギー使用量が多い。熱需要が 多いことも特徴である。このため、リゾートエリア内の熱と電気の需要に対応するため地熱 発電を行っている。リゾートエリア内の温泉水の温度は低温であるものの、通常よりも深く 掘削することで 100∼200℃程度の中高温熱水を得ることが可能である。この中高温熱水で も発電可能なバイナリー発電という技術を用いて発電が行われている。 ・ リゾートエリアでは、地熱発電(バイナリ―発電)や、地熱発電の廃熱利用(熱導管を介し ての熱供給、トランスヒートコンテナによるエリア外への熱輸送)、リゾートエリア外に設 置するメガソーラーや風力発電との連系、ホテルやペンションなどのエネルギー需要の管理 など、さまざまな種類のエネルギー管理を行うためエネルギーセンターが建設されている。 ・ リゾートエリア内の地熱発電や、エリア外に設置するメガソーラーや風力発電といった発電 事業のほか、リゾートエリア内におけるホテルなどの観光施設の需要把握を行っている。 ・ 発電事業者となるため、初期投資は市民ファンドを設立し、メガソーラーや風力発電を導入 することで収益を確保している。 ・ 地熱発電の廃熱(温水)を活用し、エリア内のホテルへの配管による熱供給や、トランスヒ ートコンテナを活用した、町内の温泉施設や公共施設等への遠距離熱輸送を行っている。 ・ 地熱発電の廃熱は温泉活用や農業ハウスの暖房用に活用されている。 ・ 災害時には、エネルギーセンターや大型ホテルなどが避難所となり、地熱発電などから電力 と熱を確保している。 ・ 雪氷熱による共同倉庫利用を推進している。 ・ リゾートエリア内の運行や移動は電気バス、燃料電池バス、電動バイク、電動アシスト自転 車など目的に合わせた低環境負荷移動手段が確保されている。 ・ リゾートエリア内の移動手段はEVとして、エリア内の共同蓄電池としての役割を担ってい る。EVバッテリーの共同管理もエネルギーセンターが行っている。 【周辺ペンションなど】 ・ 住宅においては、電気に加えて、熱の需要量も把握する。その把握した需要量をもとに、エ ネルギーセンターと連携してエネルギー供給を受けている。 ・ 地熱発電で使い終わった温水を、ペンションに供給することで、ペンション内での給湯や暖 房の熱利用に使用している。 ・ ペンションなどには太陽光発電を設置する紳士協定が結ばれている。 【共同雪氷利用倉庫】 ・ ホテルやペンションなどの共同利用倉庫を整備して、農産物の長期保存などを行っている。 ・ ホテルなどでは、越冬野菜など高付加価値商品を宿泊客などに提供している。 236 【農業ハウス】 ・ エネルギーセンターの熱を、隣接する観光農園で活用し、住民や観光客の憩いの場として提 供するほか、農園では通年栽培が可能になるため、高付加価値商品を近隣施設へ提供してい くことが可能となっている。 ・ 地域住民や観光客を対象とした環境教育や食育に関する体験学習やセミナーなどを定期的 に実施し、ニセコ町の取組を広く知ってもらう場として活用していく。 237 (3)利尻島(離島モデル)におけるスマートコミュニティ構築イメージの検討 本項では、離島におけるモデル検討として利尻島におけるスマートコミュニティのイメー ジについて例示を行う。利尻島をはじめとする離島は、本土と系統が結ばれておらず単独系 統となっており、ディーゼル発電への依存度が高い脆弱で環境負荷の高い電力供給体制とな っている。このため、再生可能エネルギーの導入可能量について概略シミュレーションを行 うことで、エネルギーの多様性、安定性、環境性を確保する検討を行った。 なお、本項でのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示するもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 利尻町及び利尻富士町が検討している計画や事業などと整合が図られたものではなく、あく まで本事業における調査検討をもとに地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示 するものである。 以下①∼③で整理する地域特性を考慮して、④以降でスマートコミュニティのイメージに ついて例示する。 ① 利尻島の地域概要 利尻島における地域概要は以下のとおりである。なお、下表はスマートコミュニティの観 点からの特徴を抜粋したものであり、地域概要全てを整理したものではない。 ■地域概要 項目 地理 概要 ・稚内市の南西約 50 km、礼文島と並ぶ日本 海中の火山島である。 ・総面積:約 182km2、周囲:約 63km ・島の中央に利尻山(1,721m)がそびえ、島の 一帯はその裾野となっている。 ・主な市街地:鴛泊、沓形、仙法志、鬼脇 ・地目別面積 地目 面積(km2) 地目 面積(km2) 畑 10.45 原野 17.87 宅地 1.31 雑種地 2.03 山林 35.87 その他 113.65 牧場 0.85 ※平成 20 年 1 月 1 日現在「固定資産の価格等の概 要調書」(総合政策部地域行政局市町村課) ・島の多くの土地が利尻礼文サロベツ国立公 園の指定区域となっている。 238 スマートコミュニティの観点での特徴 ・居住地区がコンパクトにまとまっており、地 区ぐるみでのスマートコミュニティ化が期待 できる。 ・風力発電設備の設置などの土地利用につ いては、景観の考慮も含め、国立公園の 指定区域を意識した計画を行うことが必 要。 ・移動範囲が限られるため、充電設備が比 較的少なくて済み、EVが普及しやすいと 思われる。 項目 気候 人口(世帯数) 産業 交通 スマートコミュニ ティに関連する 取組 現状 ・夏は 30 度を超えることは稀、冬は氷点下 10 度より冷え込む日が数える程度で、北海道の 内陸部に比べれば比較的寒暖の差は少な い。 ・年平均風速が 5m/s を超え、ほとんど毎日風 が吹いている。ただし、季節によっては、風の 吹いている地区とほとんど吹かない地区があ る。 ・積雪量は 1.5m 程度である。 利尻町:2,438 人(1,192 世帯) 利尻富士町:2,915 人(1,369 世帯) 合計:5,353 人(2,561 世帯) ※平成 23 年 3 月末(住民基本台帳) ・漁業 昆布、ウニなど ・観光 最北の離島、日本百名山利尻山、釣り ・海路 稚内⇔鴛泊(1日2∼4便) 鴛泊⇔礼文島(1日1∼2便) 沓形⇔礼文島(夏季のみ1日2便) ・空路 札幌(丘珠)⇔利尻(1日1便) ・島内一周約53km 観光客の移動手段は、路線バス、定期観光 バス、レンタカー、ハイヤー (利尻町) ・H16 年度 利尻町新エネルギービジョン策定 ・バイオマスエネルギーとしてのササ利用の検 討(「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社 会」H21 年度採択採択) 239 スマートコミュニティの観点での特徴 ・風が強いので風力発電の導入が期待でき る。ただし、場所によって風況が異なるの で立地場所の選定が重要。 ・山岳地域の占める範囲が広く、十分な降 雪量があるため、雪氷冷熱の活用が期待 できる。 ・漁業系バイオマス活用の可能性がある。 ・冷凍工場、水産加工場などでの雪氷冷熱 の活用の可能性がある。 ・再生可能エネルギーの導入によって排ガ スや CO2が削減され、観光資源である自 然環境の保全に役立ち、島のイメージアッ プにもつながる。 ・レンタカーやハイヤーにEVの普及が期待 できる。 (参考)国立公園区域に係る規制 利尻島における国立公園区域は以下のとおりである。風力発電設備等の設置に関しては規制 を受けるので注意が必要である。 環境省の「国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する基本的考え方の概 要」によれば、一定の審査基準を満たせば風力発電施設設置が可能とされている。基準のポイ ントは以下のとおりである。 ・保護上重要な地域でないこと - 特別保護地区,第 1 種特別地域など - 野生生物の重要な生息地・生育地など(例:鳥類の重要な繁殖地・渡来地など) ・展望・眺望の著しい妨げにならないこと ・鳥類等野生生物への影響を回避・軽減すること ・自然の改変を最小化すること ・色彩等が周囲の風景と調和していること ・供用後、施設の撤去、跡地の整理がされること など また、国立公園の地域区分毎の規制の考え方は以下のとおりである。 地域区分 特別地域 (許可制) 普通地域 (届出制) 高さ 30m を 超えるもの 考え方 ・公園の核心部(特別保護地区等)については立地から除外 ・それ以外の地域では、基準を満たした場合に設置を許容 ・小型の風力発電施設については自ら積極的に推進等 ・基本的考え方は特別地域と同様 (自然の状況・保全目標などによって特別地域と異なる評価) ・風景の保護上著しい支障がある場合について、保全措置の必要性を検討 高さ 30m 以下 (届出不要) ※出典 国立・国定公園内における風力発電施設設置のあり方に関する基本的考え方の概要(環境省、H16) 利尻島における国立公園区域を以下に示す。 ■利尻島の国立公園区域 [凡例] ■:特別保護地区 ■:特別地域 ■:普通地域 ※出典 利尻礼文サロベツ国立公園サイト 240 ② 利尻島におけるエネルギー利用の現状 利尻島は本土の電力系統とは独立した島内単独系統である。利尻島の発電所は以下のとおり であり、島の電力のほとんどは沓形発電所のディーゼル発電に依存している。そのため、燃料 である重油の確保を含め、災害時の電力の安定供給が課題となっている。重油価格の高さや不 安定さ、CO2排出量の多さも課題である。 再生可能エネルギーとしては、古くから利用されている 2 箇所の水力発電所と、実証試験用 に導入された風力発電所がある。 ■発電所一覧 発電方式 発電所 出力 稼動開始 備考 時期 火力 沓形発電所 7,650kW S42.11 北電、ディーゼル 発電機数:7基 水力 風力 鴛泊発電所 170kW S33.05 北電 清川発電所 75kW S34.12 北電 利尻カムイ風力発電所 250kW H13.11 北電、実証試験用、三菱重工 ■発電設備配置図 ※フランシス水車:鴛泊発電所と清川発電所で採用されているフランシス水車は、大型から小型まで水力発電所 で最も広く用いられている方式である。 241 利尻町地域新エネルギービジョンによると、利尻町におけるエネルギー使用状況は以下のとお りである。灯油やガソリン・軽油などの燃料の比率が高く、暖房や交通・運輸におけるエネルギ ー使用量が大きいことが伺える。また、産業分野のエネルギー使用量が多いことがわかる。 利尻富士町についても町の規模が利尻町と大差がないため、同様の傾向にあると推測される。 ■利尻町におけるエネルギー使用状況 ※出典 利尻町地域新エネルギービジョン(平成 16 年度) 242 ③ 利尻島における新エネルギーの概要 利尻町地域新エネルギービジョンによれば、利尻町の新エネルギーの賦存量及び利用可能量 は以下のとおりである。風力発電の利用可能量が多いことがわかる。 利尻富士町についても町の規模が利尻町と大差がないため、同様の傾向にあると推測される。 ■新エネルギーの賦存量(単位:GJ) 種類 年間賦存量(GJ) 利用可能量(GJ) 導入可能性評価 太陽光発電 16,574 1,655 ○ 太陽熱利用 18,421 1,894 △ 6,738 6,738 ◎ 森林系バイオマス 20,169 10,086 △ 水産系バイオマス 719 719 ○ 生活系バイオマス 3,281 2,959 △ 100,195 2,002 △ 305 305 ○ 4 4 △ 63 63 △ 8,837 882 △ 風力発電 廃棄物熱利用 雪氷熱 浴場排熱 小水力 波力 ◎=導入効果が期待され導入をめざすべきもの、あるいは導入の可能性が高いもの ○=導入が期待されるもの △=導入が期待されるが、制約などがあり、一定の条件をクリアする必要があるもの ※出典 利尻町地域新エネルギービジョン(平成16年度)をもとに作成。単位はkcalからGJに変換した。 243 ④ 利尻島におけるスマートコミュニティの検討 利尻島におけるスマートコミュニティのイメージの検討を行った。ポイントは以下のとおり である。 ・離島は一般的に移動範囲が限られるため、航続距離(1回の充電で走行できる距離)が短い EVでも不安が少なくEVの普及が進みやすいと考え、その効果を検討した。 ・利尻島は風況に恵まれているため、風力発電の導入可能量について、蓄電池と併せて検討し た。 ・太陽光発電の導入、沓形発電所の廃熱やごみ焼却場の廃熱の活用、島内の豊富な森林バイオ マス資源の利用を含めたスマートコミュニティのイメージを作成した。 なお、ここで検討する利尻島のスマートコミュニティイメージは仮想的にイメージを例示し たものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したもので はない。また、利尻町や利尻富士町において検討されている計画や事業などと整合が図られた ものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項 やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュニティのイメージ を例示したものである。 244 ■利尻島のスマートコミュニティのイメージ ごみ焼却場の廃熱を 有効利用 稚内からEVで 観光客が来島 トランスヒートコンテナ で需要地へ 漁業者の業務 用にEV小型 トラック利用 風力発電に蓄電池を併設 出力変動を緩和 地域内のバイオマス資源 を有効活用 エネルギーの地産地消 地域内で資源循環 火力発電所の廃熱を トランスヒートコンテナ で需要地へ EV公用車 公共施設を中心に熱供給 住民へPR 太陽光発電・蓄電池設置 風力発電導入による年間 CO2 削減イメージ(例) 実施前 CO2 排出量 沓形発電所:25,000t (発電量:30,000MWh) (重油:9,200kL) 12%削減 非常時電源として機能 実施後 CO2 排出量 沓形発電所:21,900t (発電量:26,250MWh) (重油:8,050kL)t 風力発電:1,000kW*1 (年間 3,750MWh) *1 風力発電の導入規模の考え方については後述 地域におけるスマートコミュニティモデルについての留意事項 ・ スマートコミュニティのイメージは、先に整理した地域特性から仮想的にイメージを例示した ものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものでは ない。 ・ 自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではなく、あくまで本事業におい て調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)を もとに、地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するものである。 245 ●スマートコミュニティイメージの説明 【EV】 ・島内全域にEVが普及している。島を周回する主要道路は延長距離が約 53kmであり、EV の航続距離で十分まかなえる距離である。 ・従来、島には軽乗用車や軽トラックが多く、それが順次EVへとシフトしている。 ・利尻島を訪れる観光客の主な交通手段であるレンタカーのEV化が高いPR効果を生んでい る。これは利尻町および利尻富士町が稚内市と連携した定住自立圏構想の中で取り組んだ、 EVエコ観光事業の成果である。観光客が稚内市で充電されたEVレンタカーをフェリーに 積んで利尻島を訪れるケースも増えている。 ・EV小型トラックは漁業者の業務用として多く利用されている。 ・離島は本土と比べてガソリン価格が格段に高ので、それがEVの普及を後押ししている。 ・EVの充電は各家庭や事業所で行うほか、町役場やガソリンスタンドなどに急速充電器が設 置されている。 【風力発電】 ・平成 13 年に北電の利尻カムイ風力発電所(250kW)が稼動を開始して以来、風力発電の普 及促進が期待されてきたが、固定価格買取制度の施行を契機に風車が増設されている。国立 公園指定区域を避けるのと騒音の影響を排除するため、住宅地から数キロ離れた位置に設置 されている。また、利尻富士の景観にも配慮し、メガワット級の大型風車ではなく、中型風 力発電を複数基設置している。 ・島の中央部に利尻山がそびえており、風況は地区によって大きく異なるため、電圧や周波数 への影響を緩和するために、複数の地点に分散設置されている。 【蓄電池】 ・風力発電所に大型蓄電池が併設され、風況の変化による出力変動の抑制や夜間の余剰電力を 日中にシフトする役割を担っている。また、地震や津波等の災害時に沓形港の重油タンクが 被災した場合、ディーゼル発電である沓形発電所が全停止するリスクを避けるため、災害時 の非常用電源の役割も担っている。 ・町役場や各地区の小中学校は災害時の指定避難所となっており、非常用電源の確保のため、 太陽光発電設備と共に蓄電池が設置されている。 【太陽光発電】 ・町役場をはじめとする公共施設、観光ホテル、一般家庭など、多くの建物に太陽光発電設備 が設置されている。利尻島は北海道の中では平均よりも日射量が少ないが、太陽光発電は小 規模なものから設置できるため、分散型電源として導入が進みやすい。 ・島の電力需要は日中よりも夕方以降の家庭での消費が多いため、日中に発電された電力は蓄 電池に蓄えられてから使用される傾向にある。 246 【廃熱利用】 ・沓形発電所と大磯のごみ焼却場でそれぞれ排出される廃熱の活用策としてトランスヒートコ ンテナによる熱輸送が行われている。輸送された熱は供給拠点となる利尻町庁舎、利尻富士 町庁舎から公共施設、病院などの大型施設と近隣の住宅に供給される。 【ペレットストーブ】 ・暖房用途としてペレットストーブが普及している。島内に豊富にある森林バイオマス資源が ペレットの原料として利用されている。 247 ⑤ EVの普及効果の検討 利尻島の軽自動車全体の 30%がEVに転換したと仮定して以下のとおり試算を行った。災害 時などに確保できるEVバッテリー容量は利尻島全体における 1 日の電力使用量の 34%に相当 する。EVの普及は、利尻島の災害時電力などの観点から効果的であることがわかる。 また、軽自動車のうち 30%をEVに転換した場合のCO2削減量についても試算を行った。 その結果、CO2を 428t削減する効果がある結果となり、地球温暖化対策としても期待でき る。 加えて、EVは電力需要の少ない夜間に充電されることが多いので、EVの普及によって需 要変動の平準化が期待でき、ピーク時の使用電力量を減少できるので、発電コストが高く環境 負荷の高い重油ディーゼル発電への依存度を減少できる可能性がある。 ■EV普及により確保できるバッテリー容量(概算イメージ) 項目 試算値(概数) EVバッテリーの電力量 A EV普及台数(仮定) B EVバッテリーの合計容量 C 利尻島全体の電量使用量 D 利尻島全体の電力量に対するEVバッテ リー容量 E 備考 17 kWh リーフ:17kWh、i-MiEV:16kWh、10.5kWhの平均値 510 台 北海道運輸局の統計を基にした概数 1,700 台 利尻島の自動車の 30%に普及 8,760 kWh A*B 25,610 kWh 利尻島の世帯数 2,561 世帯 * 10kWh/世帯 34 % C÷D ■軽自動車をEVへ転換した場合の電力消費量とCO2削減効果(概算イメージ) 項目 試算値(概数) A 軽自動車燃費 B ガソリン単価 ガソリン 1L の CO2 排出量 C D 1台当り EV普及台数(仮定) 510 台 備考 北海道運輸局の統計をもとにした概数 1,700 台 利尻島の自動車の 30%に普及 20 km/L 一般的な値として想定 170 円/L 2.3 kg/L 全体 年間平均走行距離 E 7,300 年間ガソリン消費量 F 365 km L 年間燃料費 年間 CO2 排出量 G H 62 0.84 千円 t 利尻島における、ある平均的な単価と推定 規定値 走行距離 20km/台(仮定)*365 日 E÷B C*F÷1,000 D*F÷1,000 1台 当 り 全体 年間ガソリン消費量 I 186,150 年間燃料費 年間 CO2 排出量 J K 31,620 428 L A*F ※510 台分 千円 t A*G ※510 台分 A*H ※510 台分 充電時電力 N 2.5 kW 年間消費電力 O 1,460 kWh 走行距離 20km/台(仮定)÷EV電費 5 km/kWh *365 日 年間電気代 P 33.6 千円 O*電力量単価 23 円/kWh÷1,000 円 年間消費電力 Q 744,600 kWh A*O ※510 台分 CO2 排出削減量 R 428 t 小型EVの一般的な値として想定 再生可能エネルギーの電力のみ利用した場合 ※利尻島の軽自動車保有台数の比率は乗用車に対して約 45%と高い 248 ⑥ 風力発電の導入可能量の検討 利尻島の主要な電力源はディーゼル発電であるが、燃料である重油はCO2排出量が多く環 境への負荷が懸念されること、国際情勢の変化による輸入ストップや災害による港湾などの罹 災によって安定供給に支障が生じる恐れがあること、価格変動が大きく高止まりの傾向にある ことなどの課題があり、過剰に依存することは好ましくないと言える。 今後ディーゼル発電への依存度を下げていくことを目標として、利尻島で最も導入可能性が 高いと考えられる風力発電がどの程度導入可能であるかを以下のとおり検討した。 はじめに、ディーゼル発電と風力発電による発電コストを比較した。以下のとおり、風力発 電の発電コストはディーゼル発電の発電コストを下回ることがわかる。 ■発電コスト比較 発電方式 発電コスト 備考 ディーゼル発電 38 円/kWh 燃料コスト: (重油単価:60 円/L の場合) ディーゼル発電 (重油のエネルギー量:39.1MJ/L、 発電効率:30%を前提) 41 円/kWh 設備コスト:20 円/kWh (重油単価:70 円/L の場合) 風力発電(蓄電池なし) 22 円/kWh*1 風力発電(蓄電池あり) 28 円/kWh*1 蓄電池コストを 6 円/kWh*2 として計算 *1 250kW 級の風車を前提 *2 「蓄電池併設型風力発電(短周期・長周期対応)の可能性」 (日本風力開発(株) )の試算例を流用 次に、利尻島における風力発電の導入可能量の試算を行った。 前提として、利尻島のピーク電力を 6,000kW、オフピーク電力を 2,500kWと推計した。*3 *3 「第4回地熱発電に関する研究会」配付資料によれば奥尻島のピーク電力は約 3,700kW、オフピーク電力 は約 1,600kW である。利尻島の人口は奥尻島の約 1.6 倍である。 風力発電は風の変化による出力変動が大きいが、それに対してディーゼル発電が自動的な出 力調整によって対応できる範囲は系統全体の電力の 5%程度以内とされている。また、ピーク 時よりも系統全体の電力が小さいオフピーク時(深夜)のほうが変動による影響が大きい。し たがって、利尻島のオフピーク電力を 2,500kWとすると、ディーゼル発電が出力調整できる 範囲は 125kW以内ということになる。すなわち、風力発電に蓄電池を併設することによって 出力変動を 125kW以内に抑えることができれば、系統に悪影響を与えないで風力発電の導入 が可能であると考えることができる。 日立エンジニアリング・アンド・サービスの事例( 「出力変動緩和制御型風力発電システムのご紹介」) によれば、風力発電機の定格出力の約 20%容量の蓄電池で、20 分間の出力変動を 10%以内に 抑えることができたとされている。これに準ずれば、利尻島では 1,250kWの風力発電機を導 入できることとなる。既に 250kWの利尻カムイ発電所が設置されているので、それに加えて 1,000kWの風力発電を導入できると考えることができる。 249 ■再生可能エネルギー発電設備の導入可能量(試算) 項目 試算値(概数) 備考 ピーク電力 A 6,000 kW 推計値 オフピーク電力 B 2,500 kW 推計値 オフピーク電力の 5%値*4 C 風力+蓄電池による出力変動率 D 125 kW B * 0.05 ※ディーゼル発電機が追随できる範囲 10% 規定値 % 風力発電定格出力) E 1,250 kW C÷D 蓄電池容量 F 風力発電稼働率 G 風力平均出力 H 風力年間発電量 I 風力年間発電量 J 重油換算量 K 1,150,588 L J ÷39.1 ÷0.3 ※重油 1Lのエネルギー量を 39.1MJ、ディーゼル の発電効率を 30%として計算 CO2 削減量 L 3,107 t K * 2.7 ÷ 1000 ※重油 1Lの CO2 排出量を 2.7kg として計算 250 kW 42.8% % 428 kW E * 0.2 規定値(風力発電機の定格出力の 20%) 推計値(利尻町地域新エネルギービジョンによ る) (E - 250) * G ※既存分 250kW を除外 3,749 MWh H * 24(時間) * 365(日)÷1,000 13,496,400 MJ I * 3,600 *4 ディーゼル発電機はオフピーク電力の 5%(125kW)までの出力変動に追随できると想定。 参考として、北海道における重油価格の推移を以下に示す。不規則に大きく変動していること がわかる。なお、離島価格には輸送コストが上乗せになるため、本土と比較して 1L当たり約 20 円程度高いのが一般的である。 風力など地域内に賦存する再生可能エネルギーを有効活用して重油使用量を削減することは電 力の安定確保、発電コストの安定化のためにも有用であると言える。 価格︵ 円/L︶ ■重油価格の推移 年/月 ※出典 石油情報センター 価格情報(A重油産業用価格)をもとに作成。 (可積載量 8KL以上の大型ローリーでの納入価格) 250 (4)恵庭市・千歳市・苫小牧市・厚真町(先導モデル地域)におけるスマートコミュニティ 構築イメージの検討 本項では、先導モデル地域におけるスマートコミュニティのイメージについて例示を行う。 本項でのスマートコミュニティのイメージは、本事業において調査検討を行ったスマートコ ミュニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)に対して、具体的な地域特性を考 慮した場合について検討を行うものである。 なお、本項でのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示するもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 先導地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではなく、あくまで 本事業における調査検討をもとに地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示する ものである。 以下①から③で整理する地域特性を考慮して、④以降でスマートコミュニティのイメージ について例示する。 ① 先導モデル地域の地域概要 先導モデル地域における地域概要は以下のとおりである。なお、下表はスマートコミュニ ティの観点から各都市の特徴を抜粋したものであり、地域概要全てを整理したものではない。 ■先導モデル地域の地域概要(一部) 項目 地理 現状 スマートコミュニティの観点 から見た特徴 面積:1,855.99km2 ・石狩平野の南端に位置する恵庭市と千歳市は、東側は馬追丘陵地 に、西側は支笏湖とこれを囲む山地と森林に囲まれる。 ・太平洋沿岸部の苫小牧市と厚真町は、石狩平野へと広がる勇払平 野を挟んで、東側は日高山脈へ続く丘陵地、西側は支笏洞爺国立公 園に続く台地に囲まれる。 ・地目別面積(km2) ・農地、原野、宅地などさま ざまな用途が広域に広がっ ているので、農業系、林産 系バイオマス、太陽光エネ ルギーなどの活用に適して いる。 田 畑 宅地 池沼 山林 牧場 原野 雑種地 その他 恵庭市 H22.1.1 現在 27.77 15.94 15.90 0.03 134.49 0.45 11.78 88.51 千歳市 H22.1.1 現在 1.83 69.02 17.18 98.93 314.87 6.70 38.54 31.45 16.43 苫小牧市 H22.1.1 現在 12.49 53.77 1.32 106.87 58.28 328.76 厚真町 H18.1.1 現在 35.68 26.59 5.53 0.36 131.1 2.98 9.53 6.72 186.07 総面積 294.87 594.95 561.49 404.56 地目 ※出典 平成 22 年版恵庭市統計書、要覧ちとせ平成 23 年版、 平成 22 年版苫小牧市統計書、厚真町の統計平成 19 年度版 251 項目 気候 現状 スマートコミュニティの観点 から見た特徴 ・内陸部では冬の平均気温は全道平均よりやや低く、降雪量は少なめ である。 ・太平洋側西部気候区の影響を受ける沿岸地方は、夏は涼しく、冬は 比較的温暖で積雪量も少ない。 ・気象データ(平成 19 年∼平成 23 年の平均) ・気温が低く、日射量も一定 程度あるため太陽光発電 に適している。 ・大規模な風力発電や雪氷 利用には向かない。 恵庭市 (観測地点) (下島松) 平均気温(℃) 千歳市 苫小牧市 (新千歳空港) (しらかば町) 7.4 7.4 8.1 厚真町 (朝日) 7.2 最高気温(℃) 31.5 31.6 30.6 31.1 最低気温(℃) -21.4 -21.8 -13.8 -22.1 降水量(mm) 1016.4 961.3 1137.8 969.9 最深積雪(cm) 86.0 50.2 25.8 - 平均風速(m/s) 2.1 4.2 3.1 2.3 日照時間(h) 1630.9 1640.6 1662.8 ※出典 気象庁の気象統計情報をもとに平均値を算出(四捨五入) (千歳市の日照時間と厚真町の最深積雪については観測値なし) 人口 (世帯数) ・341,069 人(159,507 世帯) ※平成 23 年 3 月末(住民基本台帳) ・市町村別人口・世帯数 恵庭市 人口 世帯数 産業 68,853 30,404 千歳市 93,546 44,210 苫小牧市 厚真町 173,800 82,847 ・合計すると人口は 34 万人 を超えるが、面積も広いた め集積度は高くはない。 4,870 2,046 ・商業・工業ともに苫小牧市の規模が大きい。 ○農業 ・恵庭市(かぼちゃ、だいこん、じゃがいも、キャベツ、コメ、小麦、花き、 酪農、養鶏、養豚など) ・千歳市(小麦、小豆、てん菜、大豆、コメ、はくさい、キャベツ、ブロッコ リー、ハスカップ、酪農、養豚、養鶏など) ・苫小牧市(酪農、肉牛、養豚など) ・厚真町(コメ、じゃがいも、小麦、大豆、ブロッコリー、ハスカップ、ほう れんそう、かぼちゃ、ジャンボピーマン、しいたけ、酪農、肉牛、養豚 など) ○林業 ・厚真町(木炭) ○漁業 ・苫小牧市(ホッキ貝) ・厚真町(ホッキ貝、イワシ、ホッケ、シャケ、カレイ、シシャモとマツカワ は種苗放流) ○工業 ・恵庭市 食品製造業など幅広い業種の企業が立地 ・千歳市 食品・飲料、電子部品等の企業が立地 ・苫小牧市 苫小牧東部工業地域(石油備蓄基地、天然ガス田、自動車関連産 業、環境リサイクル関連産業) ・厚真町 北電苫東厚真発電所(石炭火力、1,650MW) 252 ・一次産業は地域全体で営 まれているが基幹産業とな っているのは厚真町であ る。 ・工業は苫小牧が最も大規 模で日本有数の工業地帯 がある。千歳市も空港近接 の立地等を 生かした 工業 地帯がある。 項目 現状 スマートコミュニティの観点 から見た特徴 交通・運 ・高速道路:道央自動車道、道東自動車道、日高自動車道 ・主要国道:国道 36 号 ・鉄道:JR千歳線、JR室蘭本線、JR日高本線 ・空路:新千歳空港(国内線、国際線) ・航路:苫小牧港、苫小牧東港(厚真町) ・北海道文教大学(恵庭市、外国語学部、人間科学部) ・近畿大学バイオコークス量産実証実験センター(恵庭市) ・千歳科学技術大学(千歳市、バイオマテリアル学科、光システム学 科、グローバルシステムデザイン学科) ・苫小牧工業高等専門学校(苫小牧市、機械工学科、電気電子工学 科、情報工学科、物質工学科、環境都市工学科、文系・理系総合学 科) ・苫小牧駒澤大学(苫小牧市、国際文化学部) ・支笏洞爺国立公園(支笏湖周辺) ・ウトナイ湖(苫小牧市) ・グリーンツーリズム(恵庭市) ・H14 年度 苫小牧市地域新エネルギービジョン ・H21 年度 恵庭市地域新エネルギー・省エネルギービジョン ・H22 年度 恵庭市新エネルギー重点ビジョン「バイオマスエネルギー の地域循環システムの検討調査」 ・H22 新千歳空港雪冷熱供給システム開始 ・H22 年度 千歳市地域新エネルギービジョンFS「人工製雪による冷熱 事業の可能性調査」 ・H23 (仮称)恵庭市新エネ・省エネ協議会設立準備会実施 ・花のまちづくり(恵庭市) ※都市景観大賞「美しいまちなみ大賞」 受賞 ・全地域で高速道路が整備 されており、大規模な空港 港湾も立地するため、交通 アクセスは道内一を誇る。 輸 学術 研究 機関 観光 スマート コミュニ ティに関 連 す る 取組 253 ・工業が盛んであるため、工 学系の研究機関が複数立 地しており、スマートコミュ ニティに直接関係する要素 技術の研究が進められて いる。 ・国立公園をはじめとした自 然体験型の観光が主体と なる。 ・自治体ではさまざまな計 画、調査が行われており、 民間企業の取組は多岐に 渡り事業化されている。 ② 先導モデル地域における新エネルギーの概要 恵庭市地域新エネルギービジョンによれば、恵庭市における新エネルギーの賦存状況等は以 下のとおりである。 ■恵庭市の新エネルギーの賦存状況(単位:GJ) 種類 太陽光発電 太陽熱利用 風力発電 森林・林産系資 農業系資源 畜産系資源 下水汚泥・し尿 生ごみ バイオディーゼル 雪氷熱エネルギー 温度差エネルギー 潜在賦存量 最大可採量 2,549,481,400 15,028,800 646,000 115,500 39,500 30,900 77,400 6,700 5,515,200 400 期待可採量 95,600 96.800 88,100 14,900 61,600 27,700 21,600 54,200 4,700 7,300 100 総合評価 ◎ △ ● ● ● ● ○ △ ◎ 有利である ○ 比較的導入が有利である △ あまり導入が有利とはいえない ● 重点事業として調査を進める ※出典 恵庭市地域新エネルギービジョン(平成 22 年度)から抜粋。ただし単位はGJ(ギガジュール)に変換。 254 苫小牧市地域新エネルギービジョンによれば、苫小牧市における新エネルギーの賦存状況等 は以下のとおりである。 ■苫小牧市の新エネルギーの賦存状況 種類 推計結果 利用可能性 太陽光 ・傾斜角 30° ・年間発電量 1,035kWh (1kW 定格出力における発電量) ・3kW タイプ太陽電池で約 3,100kWh/年 (一般世帯の年間使用量をほぼ賄える) 日射量が他地域に比べて高く、利用可能性は高い。コ スト的にはまだ普及が難しいものの、国の支援等を利 用しながら導入を図ることが望まれる。 ・傾斜角 30° ・集熱面積 6m2 で 年間集熱量 3,384Mcal/m2・年 (灯油換算 380L) 風力 ・年間平均風速 5.3m/s(30m 高) ・500kW 級の風車 1 基で 年間発電量約 1,072MWh (市内 357 世帯分に相当) 廃棄物 ・平成 13 年度実績 年間 15,572MWh(市内 5,190 世帯相当) 木質バイオマス ・間伐材発生量 10,191m3/年 ・エネルギー賦存量 17,121Gcal/年 (灯油換算 1,924kL) 現状では灯油やガス等の既存化石燃料の価格が安 価なため、将来的な導入が展望される。 太陽熱 市内は平均風速が比較的小さく、商業用発電は難し いが、シンボル的な導入は可能。 苫東地域では、詳細な風況調査結果によっては商業 発電の可能性が有る。 既に施設内で使用されており、余剰電力は売電されて いる。設備更新時にはさらに高効率化が望まれる。 現状では間伐材の発生も少なく、導入は難しい。 バイオガス ・家畜ふん尿、生ごみ、下水汚泥から得ら コスト面や利用方法、利用地域など、総合的に検討し たうえで、将来的な導入が望まれる。 れるメタンガス量 527 万 m3/年 ・エネルギー賦存量 26,871Gcal/年 (灯油換算 3,019kL) 雪氷熱 ・冬期間 2 ヶ月以上氷点下となるので雪氷 北海道らしい未利用資源の有効活用につながること 冷熱利用に対し十分な量が賦存 から積極的な導入が望まれる。 温度差 ・ヒートポンプにより 5℃の熱を利用とした 利用可能な地域が限定されること、設置コストが高い ことなどを総合的に検討したうえで、将来的な導入が 場合の利用可能エネルギー量 展望される。 <下水>103,016Gcal/年 (灯油換算 11,575kL) <N製紙工場>290,779Gcal/年 (灯油換算 32,672kL) 水力 ・数 kW 級の小水力発電が利用可能な河 利用可能な地域が限定されること、設置コストが高い 川が市内に存在 ことなどから、将来的な導入が展望される。 海洋 ・潜在エネルギー賦存量 711GWh/年 天然ガス ・勇払ガス田の天然ガスの埋蔵量は北海 天然ガスコージェネレーションについては、域内調達 道ガスの都市ガス需要(約 3 億 m3)を数十 が可能であり、技術的にも確立していることから、積極 的な利用が望まれる。 年以上賄うのに十分 賦存量、コストからいっても現状では導入は難しい。 ※出典 苫小牧市地域新エネルギービジョン(平成 14 年度)から抜粋。 255 ③ 先導モデル地域における新エネルギー利用状況 全域で工場などを中心に太陽光発電や太陽熱利用などが多数導入されており、商業施設も含 め一部ではコージェネレーションシステムも導入されている。苫小牧市では、廃棄物利用も進 められている。厚真町では雪氷冷熱利用や農業ハウスへの太陽光発電・ヒートポンプ導入など も実験的に進められている。 ■先導モデル地域における新エネルギー利用状況 市町 恵庭市 事業主体 (株)アレフ 業種 食品 サッポロビール(株) 食品 (株)エヌ・ティ・ティ・ド 通信 コモ (医)盟侑会 医療 三 和 シ ャ ッ タ ー 工 業 製造業 (株) 国土交通省北海道開 行政 発局 恵庭市 行政 千歳市 種類 備考 太陽光発電 太陽熱利用 バイオマス燃料製造 バイオマス熱利用 天然ガスコージェネレーション バイオエタノール製造 バイオマス熱利用 太陽光発電 無線基地局 太陽熱利用 太陽熱利用 島松病院 自社工場 太陽光発電 道と川の駅「花ロードえにわ」 太陽光発電 恵庭市図書館 生ごみ発電・暖房 中島松地区 H24 稼動予定 (株)デンソーエレクト 自動車関連 太陽光発電、雪冷熱利用 自社工場 ロニクス (株)ダイナックス 自動車関連 天然ガスコージェネレーション 中島牧場 牧場 バイオマス発電 細澤牧場 牧場 バイオガス製造 千歳市 行政 太陽光発電 千歳市環境センター(破砕処 理施設) 千歳市防災学習センター「そな えーる」 セ ン ト ラル リ ー シ ン グ 不動産・ 雪冷熱利用 新千歳空港 (株) 施設管理 256 ■先導モデル地域における新エネルギー利用状況(続き) 市町 事業主体 業種 苫小牧市 コーンズ・エコファーム 牧場 (株)イワクラ (株)木の繊維 厚真町 木材 建材 種類 バイオマス発電 木質ペレット製造 バイオマス熱利用 備考 苫小牧工場木質バイオマスボ イラー(バーク専焼) トヨタ自動車北海道 自動車部品 天然ガスコージェネレーション エネルギーセンター (株) 製造 雪氷冷熱利用(冷房) 苫小牧栗林運輸(株) 運輸 氷冷熱利用 自然冷熱貯蔵実験施設「氷蔵 屋」(ひむろや) (株)エヌ・ティ・ティ・ド 通信 太陽光発電 無線基地局 コモ北海道 イオン北海道(株) 小売 太陽光発電 イオン苫小牧ショッピングセン ター 天然ガスコージェネレーション イオン苫小牧ショッピングセン ター (社福)緑星の里 福祉 バイオディーゼル 通所授産施設ワークランドの ぞみ 苫小牧市 行政 太陽光発電 のぞみコミュニティセンター 苫小牧市立若草小学校 苫小牧市立拓勇小学校 苫小牧市立ウトナイ小学校 苫小牧市第1学校給食共同調 理場 天然ガスコージェネレーション 苫小牧市立病院 バイオマス発電 西町下水処理場 沼ノ端クリーンセンター 糸井清掃センター 風力発電 苫小牧市立拓勇小学校 (株)サニックスエナジ リサイクル ごみ発電 ー (株)苫小牧清掃社 RPF製造 とまこまい広域農業協 農業団体 氷冷熱利用 農産物貯蔵施設 同組合厚真支所 共和山菜組合 農業団体 氷冷熱利用 農産物貯蔵施設 厚真町アスパラガス生 農業団体 氷冷熱利用 農産物貯蔵施設 産振興会 太陽光発電、風力発電、地中 農業用ハウスの冷暖房 クリーンエネルギーで 熱ヒートポンプ 北海道を元気にする協 議会 ※出典 北海道新エネルギーマップ 2009 NEDO などをもとに作成 257 ④ 先導モデル地域におけるスマートコミュニティモデルの検討地区 以上に整理した先導モデル地域の地域特性等を踏まえて、スマートコミュニティのイメージ を例示する。4 市町からなる先導モデル地域では、各市町のいくつかの地区を想定してスマー トコミュニティモデルについて仮想的にイメージ検討を行った。例えば、恵庭市においては、 地域や産業の構造、地域特性を考慮して市街地エリアと低密住宅エリアについて検討を行った。 なお、ここで検討するスマートコミュニティのイメージは、先に整理した地域特性から仮想 的にイメージを例示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可 能性を考慮したものではない。また、先導地域の自治体が検討している計画や事業などと整合 が図られたものではなく、あくまで本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティ の考慮事項やモデルパターン(5-2、5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュニテ ィのイメージを例示するものである。 ■先導モデル地域におけるスマートコミュニティモデルの検討エリアと検討内容 エリア区分 市街地 エリア 密集住宅 地区名 恵庭市 検討内容 ・再開発事業と区画整理事業にあわせたスマート コミュニティ構築 恵庭駅前地区 苫小牧市 大成団地地区 ・団地におけるスマートコミュニティ構築 恵庭市 厚真町 ブレスドガーデン フォーラムビレッジ ・自然共生型の住宅地におけるスマートコミュニテ ィ構築 厚真町 町役場周辺 ・役場建替えを契機にしたスマートコミュニティ構築 農業エリア 厚真町 農地全域 工業エリア 千歳市 千歳臨空工業団地 エリア 低密住宅 エリア 公共施設集積 エリア ・農業への再生可能エネルギー導入、住宅と農地 の連携によるスマートコミュニティ構築 ・大規模再生可能エネルギー導入と工場間のエネ ルギー融通によるスマートコミュニティ構築 258 ■先導モデル地域全体のスマートコミュニティイメージ 地域におけるスマートコミュニティモデルについての留意事項 ・ スマートコミュニティのイメージは、先に整理した地域特性から仮想的にイメージを例 示したものであり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮 したものではない。 ・ 自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではなく、あくまで本事業 において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン(5-2、 5-3 参照)をもとに、地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもので ある。 259 ⑤ 先導モデル地域におけるスマートコミュニティモデルの検討 1) 市街地エリア(恵庭駅前地区) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した先導モデル地域の地域特性を考慮して、先導モデ ル地域の市街地エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例 示する。 ここでは、先導モデル地域における市街地エリアとして恵庭駅前地区を想定してスマート コミュニティのイメージを例示する。具体的には先に整理した先導モデル地域の地域特性に 加えて、スマートコミュニティの観点から恵庭駅前地区の現状を整理し、その上でスマート コミュニティのイメージを例示する。スマートコミュニティのイメージについては、始めに その概要を示した上で、詳細を図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●恵庭駅前地区の現状 ・ 恵庭市には、4 つのJRの駅があり、駅を中心にしながらコンパクトシティの形成を進め ようとしている。 ・ 恵庭駅西口では、再開発事業と区画整理事業が計画されている。 ・ 2 つの事業は、市施行の土地区画整理(7.6ha)と、個人施行により区画整理区域内の 0.5 haで実施する市街地再開発で構成されている。 ・ 市街地再開発で建設する再開発ビルは 8 階建て、延べ約 14,000m の規模で、1 階にスーパ ー、2 階にテナントや医療モール、行政窓口、3 階に駐車場、4∼8 階に高齢者向け住宅を 配置する計画である。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 再開発ビル、マンション、戸建住宅、大型ショッピングセンターなど、エネルギー需要の ピークが異なる施設をネットワーク化して電力融通を行うことで、エネルギーの平準化を 図っている。 ・ 木質ボイラーから再開発ビル、マンション、住宅へ熱供給を行い、効率的な熱利用を行っ ている。 260 ■恵庭駅前地区のスマートコミュニティイメージ エネルギー会社による再開発 エリアのエネルギー需給管理 CEMSにより エネルギー効率を最適化 電力の売電や融通により 収益確保 大きなビル間はコージェネレーション で電気を供給 エネルギー会社の最適制御で、 施設毎の個別設備よりも効率的 電力余剰時⇒EVに充電 需要ピーク時⇒EVから放電 需要平準化 非常時電源機能 豊富な森林資源を 利用した 木質ボイラーを設置 再開発エリアや 住宅エリア等へ 熱導管を介して 熱供給 需要ピークが異なる住宅や 施設間でエネルギーを融通 需要平準化 駅前駐車場にEVを止めて 電車で移動 HEMSによるエネルギー 需給バランスの管理 周辺住民による カーシェアリングの利用 電力融通による平準化 エリア内の共同蓄電池として 機能 電力余剰時⇒EVに充電 需要ピーク時⇒EVから放電 需要ピークが異なる建物間で エネルギーを融通 電力融通による平準化 コージェネレーションシステムの単独導入と共同導入のコスト比較イメージと年間CO2削減イメージ(例) 単独導入の場合の 単独導入の費用 CO2排出量 共同導入の場合の 共同導入の場合の コージェネ CO2排出量 設置費用 レーション システム 998 t 商業ビル: 116,000 千円 商業ビル: 共同導入 共同設置: 144,000 千円 共同設置: 1,633 t 1,044 t マンション: 90,000 千円 マンション: 62,000 千円削減 2,042 t 410t削減 合計: 206,000 千円 合計: コスト全体で30%削減 CO2全体で20%削減 ※メーカーヒアリングによりガスコージェネレーション導入費用を想定 前提:マンション6棟、商業ビル1棟へのコージェネレーションシステム導入を想定 261 ●スマートコミュニティイメージの説明 【再開発ビル】 ・再開発ビルの屋上及び壁面には、太陽光発電が設置されている。 ・太陽光発電で発電した電力はビル内で使用されるが、余剰電力分はビル内の蓄電池に蓄えら れ、隣接する集合住宅や戸建住宅などと電力融通が行われている。 ・再開発ビルでは地中熱ヒートポンプなど省エネルギー化が進んでおり、医療施設や公共施設 が入居していることから、災害時などの電力確保を考慮してガスコージェネレーションシス テムが導入されている。 ・ガスコージェネレーションでビル内の電力と暖房が賄われているほか、再開発事業エリアや 区画整理事業エリアの住宅や施設に電力の一部を供給している。 ・再開発ビルにはEVやPHVのための急速充電器が設置されている。 ・駅を拠点にしたEVやPHVのカーシェアリングが利用されている。 【住宅】 ・区画整理事業エリア内の住宅では地中熱ヒートポンプや太陽光発電が導入されるとともに、 スマートメーターを設置したスマートハウスとなっている。 ・各住宅はHEMSによって電気の需要コントロールができるようになっている。 ・駅に近いこともあり、地区内の住民は自動車に依存することなく歩いて暮らすライフスタイ ルとなっている。 ・セカンドカーの代わりにEVやPHVのカーシェアリングを利用する人が多い。 【エネルギー会社(エネルギーマネジメント)】 ・再開発に合わせて設立された組合がエネルギー会社を設立し、再開発ビルで生み出される電 力を売電したり融通していることで、収益を上げ事業コスト削減につなげている。 ・エネルギー会社がエリア全体の電力需給の管理や熱供給を行うシステム(CEMS)を導入 し、運営している。 ・エネルギー会社はEVやPHVのカーシェアリング事業を行い、収益をあげている。 【熱供給システム】 ・恵庭市では木質バイオマスが豊富であり、周辺の市町村からも収集することで、エネルギー センターに木質ボイラーを設置している。 ・エネルギーセンターに設置した木質ボイラーを活用して、高密度の区画整理事業エリアの住 宅などにも熱供給を行っている。 262 2) 密集住宅エリア(苫小牧市・大成団地) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した先導モデル地域の地域特性を考慮して、先導モデ ル地域の市街地エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例 示する。 ここでは、先導モデル地域における密集住宅エリアとして苫小牧市の大成団地を想定して スマートコミュニティのイメージを例示する。具体的には先に整理した先導モデル地域の地 域特性に加えて、スマートコミュニティの観点から大成団地の現状を整理し、その上でスマ ートコミュニティのイメージを例示する。スマートコミュニティのイメージについては、始 めにその概要を示した上で、詳細を図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●大成団地の現状 ・ 大成団地は中層住宅が 9 棟 198 戸、高層住宅 10 棟 1,566 戸の合計 19 棟 1,764 戸の団地で ある。 ・ 昭和 50 年から 52 年に建設された団地で、35 年から 37 年が経過している。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 学校などの公共施設や、集合住宅間で電力融通を行い、電力使用量の平準化を行っている。 263 ■苫小牧市の大成団地のスマートコミュニティイメージ 買い物等短距離の移動時 にはEVカーシェアリングを利用 太陽光発電や蓄電池の設置 電力余剰時⇒EVに充電 需要ピーク時⇒EVから放電 電力平準化 災害時はエネルギーセンター として機能 電力平準化 非常時電源機能 長距離の移動時には PHVカーシェアリングを利用 需要ピークが異なる建物間で エネルギーを融通 電力余剰時⇒PHVに充電 需要ピーク時⇒PHVから放電 電力平準化 ICT技術によるバスロケーション システムの導入 電力平準化 非常時電源機能 バスの位置や遅れの情報等が リアルタイムでわかる 需要ピークが異なる学校と 住宅で電力を融通 電力平準化 小学校におけるBEMSでのエネルギー最適制御による年間CO2削減イメージ(例) 実施前電力使用量 実施前CO2排出量 89,778 kWh CO2 5%(1.6t) 削減 31.7 t 実施後電力使用量 実施後CO2排出量 85,289 kWh ※電力使用量及びCO2排出量は、ほぼ同一規模の小学校の参考値を基にした仮想的なものである。 264 30.1 t ●スマートコミュニティイメージの説明 【公営住宅】 ・ 集合住宅の屋上には、管理組合によって大規模な太陽光発電設備が設置されている。 ・ 共同設備や街灯などの電力は太陽光発電によって自給されている。余剰電力は需要量の大 きな学校への供給や、EVのカーシェアリングの充電などに使われる。 ・ 学校のほか、団地内にも大型の蓄電池が設置されており、災害時などでも電力の安定供給 が可能となっている。 【エネルギーマネジメントシステム】 ・ スマートメーターによって各戸単位、建物単位でのエネルギーの見える化が実現され、H EMS(住宅単位)、MEMS(マンション単位)によって電気の需要コントロールが可能 となっている。 ・ さらに、CEMSによって団地全体の需給バランスが管理され、地域熱供給会社のシステ ムと連携して全体最適化の制御を行っている。 【交通】 ・ 環境にやさしい電気バスや地域内で産出される天然ガスを使ったバスが走行しているとと もに、EVカーシェアリングを活用した相乗りが行われており、生活環境の向上に役立っ ている。相乗りは独居老人のコミュニケーション促進にも役立っている。 ・ 路線バスは郊外路線が天然ガス車、近郊路線はEVとなっており、CO2削減に役立って いる。 ・ 路線バスにはバスロケーションシステムが導入されており、ICT技術の活用によってど こを走っているのか、いつ着くのかがバス停のモニターや自宅のパソコンなどでリアルタ イムで確認できる。バス停の屋根に設置された太陽光発電によってモニター電源が確保さ れている。バス停のモニターでは地域内で使われるエネルギー量も見えるようになってお り、地域の省エネ行動を促進するツールとなっている。 ・ 他地区や郊外への移動には、便利な走行距離の長いPHVのカーシェアリングがよく利用 されている。団地内には充電設備が設置されている。 ・ EVのカーシェアリングのバッテリーは共同蓄電池としても位置づけられており、電力が 不足したときは放電するなどして地区内の電源としても活用されている。また、災害時の 非常電源としても使用可能となっている。 【学校】 ・ 災害時の避難所に指定されている小学校と中学校には太陽光発電設備に併設して蓄電池が 設置されており、災害時のエネルギーセンターとして電力を確保することになっている。 ・ 学校のロビーには、電力の見える化モニターが設置されているとともに、学校教育でも太 陽光発電システムが紹介されるなどショーケース化を図り、子どもたちにとって再生可能 エネルギーが身近なものとなっている。 265 3) 低密住宅エリア(恵庭市・ブレスドガーデン恵庭、厚真町・フォーラムビレッジ) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した先導モデル地域の地域特性を考慮して、先導モデ ル地域の市街地エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例 示する。 ここでは、先導モデル地域における低密住宅エリアとして、恵庭市のブレストガーデンや 厚真町のフォーラムビレッジといった優良田園住宅を想定してスマートコミュニティのイメ ージを例示する。具体的には先に整理した先導モデル地域の地域特性に加えて、スマートコ ミュニティの観点からブレストガーデンとフォーラムビレッジの現状を整理し、その上でス マートコミュニティのイメージを例示する。スマートコミュニティのイメージについては、 始めにその概要を示した上で、詳細を図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●ブレスドガーデン恵庭、厚真町・フォーラムビレッジの現状 ・ 「ブレスドガーデン恵庭」は恵庭市が進める「花の田園住宅」にもとづいた住宅地である。 ・ 「厚真フォーラムビレッジ」は厚真町郊外に位置する住宅地である。 ・ いずれの地区も優良田園住宅として、自然環境に恵まれたゆとりある住宅地であることが 特徴となっている。 「優良田園住宅」とは 住民の居住に対する価値観が多様化する ■優良田園住宅の認定基準 中で、自然的環境の豊かな地域でゆとりある 生活を営むことを求める田園居住に対する ニーズが高まってきたことに対応する国土 交通省の施策の一つ。農山村地域、都市の近 郊等においては、高齢化や過疎化の進展によ り、地域社会の維持に深刻な影響が生じてき ており、地域活性化の観点からも、定住の促 進、都市と地域の交流の促進に資する「優良 田園住宅」の建設が求められている。 ※国土交通省住宅局ホームページ ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 太陽光発電で発電された電気などを住宅間で電力融通を行い、電力使用量の平準化を行っ ている。 ・ ペレット利用や、生ごみや廃食油などは堆肥やBDFとして活用するなど、バイオマスの 利活用を通して循環型社会を形成している。 266 ■低密住宅エリア(ブレスドガーデン恵庭、厚真フォーラムビレッジ)のスマートコミュニティイメージ 世帯構成や働き方など 家庭環境の違い 各家庭から回収した廃食油 からBDFを製造 住宅によって需要ピークが 異なる コミュニティバスの 燃料として活用 豊富な森林資源を活用した 木質ペレットを地域で共同購入 焼却後の灰は肥料として 農業エリアや家庭菜園で利用 電力融通による平準化 買い物等短距離の移動時 にはEVカーシェアリングを利用 電力余剰時⇒EVに充電 需要ピーク時⇒EVから放電 電力平準化 太陽光発電や蓄電池の設置 非常時電源機能 電力平準化 災害時はエネルギーセンター として機能 長距離の移動時には PHVカーシェアリングを利用 電力余剰時⇒PHVに充電 需要ピーク時⇒PHVから放電 電力平準化 :蓄電池 非常時電源機能 :太陽光発電 需要ピークが異なる住宅間 で電力を融通 :EV・PHV :ペレットストーブ エリア内のエネルギー需給 バランスの最適化 :ヒートポンプ 非在宅住宅(例:共働き)のPV余剰電力を在宅住宅(例:子育て世代)へ供給した場合の 在宅住宅一戸での年間CO2削減イメージ(例) 非在宅住宅 在宅住宅 余剰 CO2削減量 CO2削減率 電力 1288 kg 余剰電力: 3,211 kWh 供給 → 在宅住宅: 1,133 kg 155 kg 1,133 kg削減 88% 削減 ※恵庭市地域新エネルギー・省エネルギービジョンで算出されている家庭用太陽光発電の発電量を元に推計 在宅住宅の年間電力使用量を3,650kWh(10kWh×365日)とするとCO2削減量は1,288kgとなる 267 ●スマートコミュニティイメージの説明 【太陽光発電】 ・ エリア内の住宅では住宅や車庫の屋根を利用して一般的な住宅よりも大出力の太陽光発電 が行われており、共働きなどで日中不在がちな家庭では地区内の住宅と電力融通を行って いる。 ・ EVや蓄電池を併設している住宅もあり、昼間の太陽光発電の発電量を蓄えて夕方からの 電力需要を賄っている。 【地中熱ヒートポンプ】 ・ 新築時の杭打ちを利用して、地中熱ヒートポンプを導入した家庭も多く、冷暖房や給湯に 効率利用されている。 ・ 太陽光発電、EV、蓄電池などと合わせてHEMSで自動制御されており、余剰電力を有 効活用するのにも役立っている。 【ペレットストーブ】 ・ 近隣の山林の間伐材を加工したペレットの供給が安定的に行われており、ペレットストー ブや薪ストーブを活用している家庭が多い。地区全体で共同購入することで運搬費用を安 くしている。 ・ 燃焼後の灰は農業エリアで肥料として使われるため廃棄物が発生しない。灰の一部は家庭 菜園でも利用されている。 【交通】 ・ EVやPHVを所有している家庭も多く、各住宅の電源から充電を行うことができる。 ・ EVやPHVでのカーシェアリングが行われており、セカンドカー代わりとして平日日中 の買い物など市街地エリアへの移動で活用されている。 ・ EVやPHVのカーシェアリングのバッテリーは、地区内の共同蓄電池としても利用され ており、住宅や駐車場に設置された太陽光発電の余剰電力を蓄え、昼間に電力が不足した 際や、夜間の電源を確保している。 ・ EVは災害時の非常電源としても期待されている。 ・ 近くのショッピングセンターやコンビニエンスストアにはEVの急速充電設備があり、買 い物の間に充電を行うこともできる。 ・ 通勤や遠距離の交通には駅前の駐車場を利用したパークアンドライドも利用されている。 駐車場ではEVへの充電も可能である。 【コミュニティセンター】 ・ 災害時の避難場所に指定されている、地区のコミュニティセンターには太陽光発電設備と 蓄電池が設置されており、災害時のエネルギーセンターとして電力を確保することになっ ている。 268 【エネルギーマネジメントシステム】 ・ 各住宅のエネルギーの需給状況はHEMSによってコントロールされている。HEMSは 地区のCEMSと接続されており、連携している。 ・ HEMSでは最適なエネルギー供給を自動的に制御しているほか、CEMSからの指示に 応じてピーク時に電力需要を抑制したり自家用コージェネレーションの出力を調整するな ど、需要側の制御も行っている。 ・ 地区全体のエネルギー需給状況はCEMSによってコントロールされている。 【環境意識】 ・ 住民の環境意識が高いため、ごみの発生量は道内平均よりも少なく、かつ分別が徹底して いる。廃食油も収集されており、BDFとして活用されている。 ・ 家庭菜園が盛んに行われており、生ごみは肥料として活用されている。周辺の農業者との 交流も活発である。 269 4) 公共施設集積エリア(厚真町役場周辺地区) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した先導モデル地域の地域特性を考慮して、先導モデ ル地域の市街地エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例 示する。 ここでは、先導モデル地域における公共施設集積エリアとして厚真町役場周辺地区を想定 してスマートコミュニティのイメージを例示する。具体的には先に整理した先導モデル地域 の地域特性に加えて、スマートコミュニティの観点から厚真町役場周辺地区の現状を整理し、 その上でスマートコミュニティのイメージを例示する。スマートコミュニティのイメージに ついては、始めにその概要を示した上で、詳細を図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●厚真町役場周辺地区の現状 ・ 厚真町役場は、耐震上の課題があり耐震補強や省エネルギー化の改修・改築(建て替え) が想定される。 ・ 厚真町役場のある街区には、青少年センターや厚真町総合福祉センター、厚真町総合ケア センターなどが立地しており、エネルギー使用量の大きな施設が集積している。 ・ 総合ケアセンターは、空調にはヒートポンプ空調、厨房設備にはIHクッキングヒーター などが導入され、施設全体が電化されている。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 役場、総合ケアセンター、総合福祉センター、青少年センターにおける電力需要と、太陽 光発電や蓄電池などを合わせて電力融通を行い、電力需給の平準化を図っている。 ・ 厚真町役場の建替えに合わせて導入した木質ボイラーにより、近接するの総合ケアセンタ ー、総合福祉センター、青少年センターへ熱供給を行い、効率的な熱利用を行っている。 270 ■厚真町の公共施設集積エリアにおけるスマートコミュニティイメージ 地域内に資源を活用し バイオエタノールを精製 ガソリンと混合しPHVに使用 ごみ焼却場で発生する廃熱を トランスヒートコンテナで輸送 BEMSと連携しエリア全体の エネルギー需給を管理 地域の森林資源を利用 する木質ボイラーの導入 エネルギー効率 最適化 エリア内の施設へ熱供給 CO2排出量を削減 熱導管に接続し、 エリア内の施設等で利用 需要ピークが異なる建物間で エネルギーを融通 電力平準化 PHVを公用車として使用 電力余剰時⇒PHVに充電 需要ピーク時⇒PHVから放電 休日はカーシェアリング として一般開放 電力平準化 非常時電源機能 コージェネレーションで 熱と電気を供給 熱電供給センターの最適制御で、 エネルギー効率を最適化 厚真町役場における熱供給による年間CO2削減イメージ(例) 実施前CO2排出量 実施前重油費用 役場: 2,243 千円 役場: CO2 30% 削減 72 t 実施後重油費用 役場: 1,570 千円 673 千円削減 実施後CO2排出量 役場: 51 t 21 t削減 ※厚真町役場の現状CO2排出量は、厚真町と人口が同規模である福島町地域省エネルギー重点ビジョンを参考にして 算出(厚真町では省エネルギービジョンが策定されていないため) 271 ●スマートコミュニティイメージの説明 【厚真町庁舎】 ・ 厚真町の庁舎の改修・改築に合わせて庁舎にエネルギーセンター機能を持たせ、4 つの公 共施設の熱と電力を供給している。 ・ 役場庁舎には地中熱ヒートポンプが導入されており、省エネ化が進められている。 ・ 木材の生産量が多く、地域の雇用につながることから木質チップボイラーが導入されてい る。 ・ 役場庁舎の屋上及び壁面には太陽光発電が設置され、庁舎及び周辺の施設の電力を補てん している。 ・ 災害時の電力の確保と太陽光発電の安定した活用のため、太陽光発電とあわせて蓄電池を 設置している。 ・ 庁舎のロビーには、電力の使用量などがわかるモニターが設置されており、電力の見える 化やスマートコミュニティの理解促進に役立っている。 ・ ごみ焼却場で発生する廃熱はトランスヒートコンテナで運び、熱導管に接続することで有 効利用している。 【公共施設】 ・ 青少年センターや厚真町総合福祉センター、厚真町総合ケアセンターの屋上に太陽光発電 が設置され、施設の電力を補てんしている。 ・ 災害時の電力の確保と太陽光発電の安定した活用のため、太陽光発電とあわせて蓄電池を 設置している。 【EV自動車の導入】 ・ 厚真町では、公用車にPHVが導入されている。 ・ 庁舎には、太陽光発電を使用したPHVの充電器が設置されている。 ・ 災害時などは、PHVが動く蓄電池として病院や介護施設などの電源として活用されるこ とになっている。 ・ 休日は業務や緊急利用に支障のない範囲で、PHVを町民がレンタカーとして活用できる システムが導入されている。 【エネルギーマネジメント】 ・ 庁舎と厚真町総合ケアセンター、厚真町総合ケアセンターは、昼間に電力の使用量が多く、 青少年センターは夕方から夜間に使用量のピークがある。 ・ 昼間に太陽光発電で発電した電力は蓄電池に蓄えられ、夜間にピークとなる青少年センタ ーなどで使用するようにマネジメントされている。 272 5) 農業エリア(厚真町) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した先導モデル地域の地域特性を考慮して、先導モデ ル地域の市街地エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例 示する。 ここでは、先導モデル地域における農業エリアとして厚真町の農業エリアを想定してスマ ートコミュニティのイメージを例示する。具体的には先に整理した先導モデル地域の地域特 性に加えて、スマートコミュニティの観点から厚真町の農業エリアの現状を整理し、その上 でスマートコミュニティのイメージを例示する。スマートコミュニティのイメージについて は、始めにその概要を示した上で、詳細を図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●厚真町農業エリアの現状 ・ 厚真町では、米の生産が中心である。 ・ 花き栽培やしいたけの栽培も盛んである。花き栽培もしいたけ栽培も農業ハウスでの栽培 となっている。 ・ 農業用水路の整備が計画されている。 ・ 農業者の高齢化や後継者不足が課題となっている。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 住宅で充電したEVのバッテリーを農業ハウスの暖房などの電源として活用している。 ・ 間伐材や農業残渣などのバイオマス資源を住宅や農業ハウスの暖房で活用しており、循環 型社会を形成している。 273 ■厚真町農業エリアのスマートコミュニティイメージ 地域内に資源を活用し バイオエタノールを精製 地中熱ヒートポンプで 農業ハウスを加温 地域の森林資源や農業残渣を 活用して木質ペレットや 木質チップ等を製造 農業ハウスや住宅の暖房に利用 ガソリンと混合し PHV に使用 冬期間の栽培も可能 CO2排出量を削減 太陽光発電や小水力発電、 河川水ヒートポンプを導入 小水力発電 非常時電源として機能 雪氷熱で農産物を 低温貯蔵 品質向上、ブランド化 や高付加価値化 需要のピークが異なる 住宅と農業ハウスとで平準化 余剰電力をEVや蓄電池に 蓄えてピーク時に利用 全体で電力平準化 農業ハウスへの地中熱ヒートポンプ導入による年間 CO2 削減イメージ (例・再掲) (赤平オーキッド(株)の例) 実施前 CO2 排出量 農業ハウス:946t (面積:5,728 ㎡) CO2 70% 削減 実施後 CO2 排出量 農業ハウス:283t ※赤平オーキッド(株)のホームページより 274 ●スマートコミュニティイメージの説明 【農業ハウス】 ・ 地中熱ヒートポンプを使った農業ハウスに転換されている。 ・ 地中熱ヒートポンプにより、エネルギー効率が大きく向上して、CO2の排出量の少ない 農産物として付加価値を高めることにつながっている。 ・ 地中熱ヒートポンプの農業ハウスでは、冬期間の栽培も可能になり、花き栽培やしいたけ 栽培、野菜の栽培が行われ、雇用の促進や収入の増加につながっている。 ・ 一部の農業ハウスには、球状太陽電池を活用したシースルータイプの太陽光発電が組み込 まれており、ビニールハウスの地中熱ヒートポンプの電源として活用されている。 【バイオマス利用】 ・ 林業が盛んなため農業ハウスへのチップボイラー、住宅へのペレットストーブなどが設置 されている。 ・ 農業は、稲作が中心であり稲わらペレットも活用されている。 【太陽光発電】 ・ 農地以外での原野などには、高効率発電が期待される両面受光型の太陽光発電パネルが設 置され、発電を行っている。 ・ 蓄電池が併設されており、近接するビニールハウスの地中熱ヒートポンプなどに使用され ているほか、町内の住宅などへの電力供給を行っている。 【農業用水路の小水力発電】 ・ 農業用水路が整備されており、小水力発電が設置され、ビニールハウスの地中熱ヒートポ ンプの動電力として活用されているほか、農作業用のEV小型トラックの充電に使用され ている。 ・ 小水力発電は 24 時間安定した発電が可能であるので、暖房、照明、蓄電などさまざまな用 途に活用されている。 【雪氷熱貯蔵庫】 ・ JAや農業法人が雪氷熱の農産物貯蔵庫を設置し、米などの農産物の温度管理をして出荷 することで、ブランド化や付加価値化につなげている。 ・ 雪氷利用倉庫で出荷時期を遅らせることで、売価の高い時期に出荷することも可能になっ ている。 【災害時避難所】 ・ 集会所は避難所に指定されており、太陽光発電や小水力発電が導入されているほか、河川 水ヒートポンプの電源を得られるため災害時でも暖房が可能となっている。 275 【農業者】 ・ 各農業者の住宅は、地中熱ヒートポンプ、太陽光発電を導入するとともにスマートメータ ーを設置したスマートハウスとなっている。 ・ 各住宅はHEMSによって電気の需要コントロールができるようになっている。 ・ 農作業用の車としてEV小型トラックが導入されており、昼間に太陽光発電で発電した電 力により夜間に充電しているほか、農作業中は、農業用水路の小水力発電によって発電さ れた電力によって充電をしている。 ・ EV小型トラックのバッテリーは、災害時の電源としても活用できる。これにより、災害 時においても農作物の管理が行うことができる。 【エネルギーマネジメント】 ・ 地区内の農業法人などが中心となりエネルギーマネジメント会社を設立している。 ・ 地区内の未利用地を生かして設置した太陽光発電や各農業者で設置している太陽光発電、 用水路の小水力発電などのエネルギーマネジメントを行っている。 276 6) 工業エリア(千歳臨空工業団地) 本事業において調査検討を行った、スマートコミュニティの考慮事項やモデルパターン (5-2、5-3 参照)をもとに、先に整理した先導モデル地域の地域特性を考慮して、先導モデ ル地域の市街地エリアでスマートコミュニティを構築する場合について、そのイメージを例 示する。 ここでは、先導モデル地域における工業エリアとして千歳臨空工業団地を想定してスマー トコミュニティのイメージを例示する。具体的には先に整理した先導モデル地域の地域特性 に加えて、スマートコミュニティの観点から千歳臨空工業団地の現状を整理し、その上でス マートコミュニティのイメージを例示する。スマートコミュニティのイメージについては、 始めにその概要を示した上で、詳細を図示するとともに説明を記載する。 なお、ここでのスマートコミュニティのイメージは、仮想的にイメージを例示したもので あり、必ずしも十分に地域実情を踏まえ、地域における実現可能性を考慮したものではない。 また、先導モデル地域の自治体が検討している計画や事業などと整合が図られたものではな く、あくまで本事業において地域におけるスマートコミュニティのイメージを例示するもの である。 ●千歳臨空工業団地の現状 ・ 千歳臨空工業団地は、国際線も就航する新千歳空港まで 8.5kmと近接する臨空型工業団 地である。 ・ 数kmの距離にある高速道路(道央自動車道)には、新たにインターチェンジが平成 25 年 度より供用開始される予定である。 ・ 航空輸送の優位性や道内最大の消費地である札幌市が近いことから、精密機器工場や食品 工場が多く、立地企業数は 90 社を超える。 ・ 工業団地の面積は 214haと広大であり、工業専用地域となっている。 ・ 工業団地内には大小 10 以上の調整池があり、天然ガスのパイプラインや変電所なども整備 されている。 ・ 工業団地に隣接して、泉沢地区・向陽台団地の住宅地がある。 ●スマートコミュニティイメージの概要 ・ 大型ガスタービンやメガソーラーを設置して、工業団地内の工場へ電力供給を行っている。 ・ ガスタービンなどの大規模電源や各工場の分散型と合わせて、工場間での電力融通を行う ことで、電力需給の平準化を図っている。 ・ 大型ガスタービンから発生する廃熱は、隣接する工場に送ることで効率的に熱利用を行っ ている。 277 ■千歳臨空工業団地におけるスマートコミュニティイメージ 天然ガス利用 蓄電池とガスタービンが メガソーラーの 出力変動を平準化 ガス田から パイプラインで 天然ガスを供給 コージェネレーションにより 熱と電気を効率的に供給 電力供給基地として メガソーラーを設置 エネルギーの安定供給 雪氷冷熱を冷房 に有効活用 河川水を利用した ヒートポンプによる 高効率冷房 駐車場の太陽光発電から 従業員のEVに充電 ガスタービンの廃熱を 熱融通(熱導管を介したもの) により有効活用 工場のピーク時には EVから放電 ピークカットに貢献 ガスタービンで 複数の工場へ熱と電気を供給 熱電供給センターの最適制御で、 エネルギー効率を最適化 工場間の熱電供給による年間CO2削減イメージ(例) 実施前エネルギー需要量 実施前CO2排出量 団地: 1,712 TJ 団地: 32,016 t CO2 30% 削減 実施後CO2排出量 工場: 22,411 t 9,605 t削減 ※工業団地全体のエネルギー消費量は、同規模の他の工業団地統計から推計 工場間の廃熱利用によるエネルギー減少割合5%は他事例を参考に設定 278 ●スマートコミュニティイメージの説明 【太陽光発電】 ・ 工業団地の周縁部にはメガソーラーが設置され、変動調整のための蓄電池がセットで導入 されている。 ・ 各工場の屋上には産業用の中規模の太陽光発電設備が設置されており、工場で必要とする 電力の一部を賄っている。 【コージェネレーション、河川水ヒートポンプ】 ・ 工業団地内の主要な電気と熱は、天然ガスを利用したコージェネレーションで賄われてい る。苫小牧の勇払ガス田で生産された天然ガスがパイプラインで供給されており、安定供 給が可能となっている。 ・ コージェネレーションでは電気と熱を工場内で同時に供給するため、電力会社から電気を 買い、ボイラーで熱を創るよりもエネルギー効率が高い。 ・ 不足する電力は地域内で発電される電力を優先的に購入する仕組みになっている。 ・ 大型のガスタービンが整備されており、各工場の太陽光発電やコージェネレーションなど、 工業団地全体のエネルギー需給に合わせてベースとなる電力を供給している。ガスタービ ンは比較的出力変動に対応しやすい特性があるため、メガソーラーの変動吸収の役割も担 っている。 ・ 大型ガスタービンからは大量の廃熱があるため、金属加工や食品工場などの熱需要の大き な施設で効率的に利用されている。 ・ 各工場には天然ガスコージェネレーションが普及しており、工場内で必要とする熱と電気 の一部を賄っている。 ・ 調整池に接している工場では、効率的な河川水ヒートポンプを設置している。 【蓄電池】 ・ 太陽光発電の規模の大きな工場では、変動吸収のために蓄電池を設置している。 ・ 自家発電設備を導入していない工場では、停電時の操業停止を避けるため蓄電池が導入さ れている。 【EV、天然ガストラック】 ・ 近距離通勤者を中心に、駐車場にはEVが停められており、工業団地全体の太陽光による 発電を蓄電しており、シフト制勤務のため、夕方以降の電気需要に対応している。 ・ 倉庫などで使用されるトラックは、CO2排出量の少ない天然ガストラックが走行してい る。天然ガスは、工業団地内のパイプラインから補充できる。 【エネルギーマネジメントシステム】 ・ 各工場の太陽光発電やコージェネレーションなどの設備と、メガソーラーと大型ガスター ビンといった共同設備の電力需給をコントロールするCEMSが導入されており、工業団 地内の電気と熱を最適に制御している。 279 6章 スマートコミュニティ推進方策と技術移転の検討 6−1 地域電力会社及び地域産業と連携した再生可能エネルギーの高コスト・出力不安定課 題への対応方策 (1) 再生可能エネルギーの高コストの課題解消に対する考え方 ① 太陽光発電に関する高コスト課題の整理 太陽光発電は、現時点では太陽電池モジュールの価格が高く、一般的に希少金属(シリコ ン)の使用割合が高まると、変換効率は良いが価格が高くなる。シリコン(単・多結晶とも に)を使用した太陽光発電は低温下では発電効率が向上するので北海道は太陽光発電の適地 である一方で、積雪地においては、耐荷重強化、架台を高くすることなどが必要となる。ま た、道内企業が高効率タイプの単結晶タイプを商品化する予定もある。 現状、太陽光発電は高価格 ・ 石油火力発電の 4.6 倍程度 (※1) (※1)石油火力と太陽光の発電コスト比較 太陽光発電が高い理由 ・ ・ ・ シリコンの原料 加工費(スライス加工・切りしろ) モジュール組立 (※2) 40.0 30.0 コスト削減方法 4.6 倍 20.0 ・ ・ シリコンの使用量を減らす 高生産性製造プロセスの開発 ・ ・ ・ 薄膜タイプ :シリコン使用量が結晶系の 1/100 化合物タイプ:わずか 1∼2 の厚さで発電 有機タイプ :製造が簡単で材料が安価 (※3) 次世代技術の特徴 10.0 0.0 普及に向けての課題 ・ ・ ・ 円/kWh 50.0 薄膜タイプ :高効率化(変換効率 14%以上) 化合物タイプ:希少金属使用量の削減 有機タイプ :電解液固体化による耐久性向上 石油火力 太陽光 ※出典 エネルギーに関する年次報告書 (経済産業省)をもとに作成 (※2)太陽光発電システムの標準的なコストイメージ 北海道の利点 ・ ・ ・ 廉価な土地価格、平坦で広大な用地を確保しやすい 全国有数の日射量(道東など) シリコン型は低温下で効率が向上するとともに、雪 の照り返しにより日射量が増加する。 ・ 比較的北海道の自治体の導入補助が手厚い ※出典 第 14 回買取制度小委員会説明資料 (経済産業省) 北海道での導入対応策 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 低価格タイプの品質が向上するまでの間、高変換効率 (18%)単結晶タイプが道内企業で商品化予定(伊藤組 モテック(株) ) 。 緯度が高いほど架台の傾斜角が高くなるので積雪対 応になる(札幌の場合 35°) (※4) 積雪対応として耐荷重強化や高い架台を設置(※5) 架台の柱をパネルの中間に設けることで、積雪の荷重 を分散 (※6) 積雪に強い壁設置タイプや、垂直タイプなどが有望。 (※7) (※8) 積雪寒冷地において高効率で発電する太陽光パネル のメーカー比較(SB エナジー(株)による帯広、苫東 など実験データ比較) きめ細やかな発電、雪などに左右されない発電を実現 するための球状太陽電池(京セミ(株) ) 280 (※3)LCA による太陽電池モジュール 製造におけるコスト内訳 生産規模 1GW 製造工程 コスト(円/W) 多結晶シリコン型 168.8 100% シリコン製造 64.1 38% セル製造 33.4 20% システム組立 71.3 42% ※出典 総合的な経済・エネルギー・環境分析に資する技術 情報の整備のための研究(内閣府)をもとに作成 (※4)各都市のモジュール最適角度 (※6)曲げモーメント図 ※出典 太陽光発電フィールドテスト事業に関 するガイドライン(NEDO) (※7)太陽光パネルの温度依存特性例 ※出典 太陽光発電フィールドテスト事業 に関するガイドライン(NEDO) ※出典 大規模太陽光発電システム導入の手引書 (稚内サイト・北杜サイト) (※5)積雪荷重に対する設置基準(勾配屋根用) ※出典 伊藤組モテック(株)資料 (※8)積雪地帯における太陽光パネル垂直設置有効性の例 ※出典 矢木コーポレーションホームページ「両面受光型太陽電池セル」の資料 281 ② 電気自動車に関する高コスト課題の整理 次世代自動車用蓄電池技術開発ロードマップ 2008(NEDO)によると、EVは総コス トのうち蓄電池が 60%を占める。 積雪寒冷地においては、冬期は、1 日中氷点下のまま気温が上がらないことが多く、蓄電 池は低温化において効率が低下するため、航続距離が短くなる。また、車内を加温する必要 があり、電気ヒーターによる電力消費も大きい。そのため、LPG発電と蓄電池のヒーター 設置によって、蓄電池の効率の低下を防ぐことや、天井や床に断熱シートを貼り付けるなど、 自動車自体の断熱性能の向上に向けた研究が進められている。さらには、EVの蓄電池は高 品質で高い安全性が求められるため、劣化した蓄電池を住宅用に再利用する検討を行うこと で、低コスト化に寄与することができる。 EVはガソリン自動車に比べて 2 倍以上高価格 (※1) 万円 400 高価格な理由 350 蓄電池(リチウムイオン電池)が高価格 ・ EVのコスト全体の 6 割強 (※1)電気自動車と普通自動車の価格差 300 を占める 2.5 倍 250 200 コスト削減方法 2.1 倍 150 エネルギー密度の高い電池の開発 ・ 現在のリチウムイオン電池には、限界がある ・ エネルギー密度の限界値は 250Wh/kg 付近 100 50 0 iMiEV 解決策 蓄電池の技術革新が必要(目標 500Wh/kg 以上) ・ 金属−空気電池:正極が空気で、軽量化・コンパクト ・ 全固体電池:電解質が固体のため、高い安全性・安定 性を有し、製作が容易 ・ 多価カチオン電池:カチオンイオンの移動で数倍のエ ネルギーを起こす(高密度化) (※3) 北海道での展開方策 低温下では効率の低下する蓄電池の断熱化の研究 リチウムイオン電池が切れたときに備え、LPG 発電 機を搭載する。 ・ 断熱シートを取り付け車体の断熱効果を高める。 ・ 電池の出力低下を抑えるために、ヒーターを取り付け る。 ・ 電気自動車の蓄電池は 7 割程度に出力低下すると、取 替時期と考えられるため、住宅に転用する技術の研究 100% 80% 60% 40% 20% 0% LEAF ティーダ ※出典 各社公表価格をもとに作成 (※2)EVのコスト内訳 100% 80% 自動車 車体 60% ・ ・ (※4)EV電池の容量推移の例 i(アイ) 電池の容量 40% 20% 2年目 4年目 6年目 8年目 10年目 ※ひとつの例を示したものであり、実際は使用状況等による 282 1kWh 当り 10∼20 万円 0% ※出典 次世代自動車用蓄電池技術開発ロード マップ 2008(NEDO)をもとに作成 (※3)革新的蓄電池の概要と技術課題 種別 8 年使用で容量 7 割程度に劣化 蓄電池 概要 高い理論エネルギー密度 リチウム 12,000Wh/kg 空気電池 サイクル特性・低温特性が課題 無機全固体 最高の理論エネルギー密度 15,000Wh/kg リチウム 低温特性が課題 電池 ※出典 次世代自動車用蓄電池技術開発ロード マップ 2008 詳細版(案) ③ 電力系統用電池(NAS電池)に関する高コスト課題の整理 一般に系統用電池として採用されているタイプは、鉛蓄電池、NAS電池、リチウムイオ ン電池などがあるが、現時点では鉛蓄電池は十分に高効率化されている。リチウムイオン電 池については前項で整理したので、本項では系統用電池としてNAS電池の高コスト課題を 整理する。 NAS電池は大規模化コストの優位性がある一方で、300℃前後まで保温が必要なため安 全面での課題がある。このため、今後はリチウムイオン電池が主流になるものと予想されて いる。 ただし、原料のリチウムは輸入国が限られており安定供給に不安があるため、将来的には アルミニウムやカチオンといった安定供給を見込める金属を使用した大規模電池の開発が 望まれる。 (※1)電力系統用として使われている 蓄電池 現状 ・ コスト的優位性があるが、揚水発電機並みには限界 ・ 大規模化が可能だが、安全面に課題あり (※1) 万円/kWh 6 5 技術的課題 ・ ・ 4 電極にナトリウムと硫黄(消防法上の危険物) 電池が稼動していないときは、保温(300℃前後)が必 要であり、多くの電力を消費 3 2 1 0 2030 年頃までは、リチウムイオン電池が主流 鉛蓄電池 揚水発電機 ※出典 蓄電池システム産業のあり方 について(資源エネルギー庁) リチウム以外の理由 急速な需要増による供給不足傾向が懸念 ・ 偏在性によるリスク :4 ヶ国で日本の輸入量の 99.6% ・ 独占的供給による、受給のアンバランス :リチウム供 給会社3社で世界のリチウム粗原量シェアの 70% (※2) (※2)炭酸リチウム及び水酸化リチウム の輸入相手国(2010 年) 今後期待される技術 その他 0.4% アルゼ ンチン 8.7% ・ ・ リチウム以外の金属を用いた二次電池が注目 (※3) 金属‐空気電池 :負極にアルミニウムなど、正極を空 気にして軽量化・コンパクト化が可能とされている ・ 多価カチオン電池 :カチオンイオンの移動で数倍のエ ネルギーを起こすことができ、高エネルギー密度が期待 中国 8.9% アメリカ 16.7% 北海道での利点 ・ NaS電池 チリ 65.3% 高温な NAS 電池は消防法の関係上建物を隔離する必要 があるので、用地を確保しやすい北海道では導入しやすい 面がある ※出典 財務省貿易統計をもとに作成 (※3)次々世代二次電池としてのポテンシャルがある金属 負極 電気化学当量 (Ah/kg) 標準電極電位 (Vvs.SHE) 重量エネルギー密度 (Wh/kg) 密度 (kg/L) 体積エネルギー密度 (Wh/L) Li Al Mg 3861 2980 2205 -3.05 -1.68 -2.36 11757 5006 5204 0.534 2.699 1.738 6278 13512 9044 ※出典 再生可能エネルギーの大量導入に伴う系統安定化対策コストについて(次世代送配電ネットワーク研究会) 次々世代二次電池・蓄電デバイス基盤技術(科学技術振興機構) リチウム資源の供給と自動車用需要の動向(科学技術研究センター) 283 ④ ペレット活用に関する高コスト課題の整理 暖房利用により北海道の世帯当り灯油使用量は日本一多い。このため、暖房の燃料を灯油 から木質バイオマスに変えることは地球温暖化対策、循環型社会形成、産業活性化の面から も重要となる。木質バイオマスの活用を普及させるには、一般家庭でも活用可能なペレット として成形する方法が一般的である。本項では、主に家庭においてペレット活用に関する課 題を整理する。 ペレット活用においては、ペレットストーブと、ペレット原料の両面の高コスト課題があ る。ペレットストーブが高価な理由は、輸入商品が多く国内にノウハウが蓄積されていない ことが一因と考えられる。北海道での展開方策としては、ペレットは原料の種類によって発 生する配分などに違いがあるため、地元企業が地域特性に応じて設計を行うことにより機能 性を高められる可能性がある。 ペレット原料については、林地残材が広く分布しているものの、収集・運搬コストが高く なるため現状ではコストが高い。対策としては、樹木の育成から間伐までを一体運営により 大規模化することでスケールメリットを生かして低コスト化をはかることが考えられる。ま た、ペレット化の工程でも低コスト化の方策がある。同じペレット製造工場でも稼働率を向 上することにより大幅にコストを低減することができる。 さらに、ペレット活用を普及させるためには、ペレットストーブ普及(需要)とペレット 原料供給の両面で推進することが求められるため、林業事業者との連携や、ペレットストー ブ普及補助などを組み合わせて、まち全体の取組として進めることが求められる。 木質バイオマス活用全般に関する課題である原料運搬コストの低減については、ゴミ収集 や他の運輸事業者と連携を行うことも考えられる。 ペレットストーブは、石油スト ーブに比べて 2∼3 倍高価格(暖 房能力の条件:コンクリート 30 畳) (※1) (※1)ペレットストーブと石油 ストーブのコスト比較 木質ペレットは、灯油に比べて 5 割程高価格 (※2) 万円 50 40 理由 理由 30 2.6 倍 20 ・ 輸入商品が多く流通してい る ・ 国内にノウハウが蓄積され ていない(制御、灰処理等) 北海道での 展開方策 北海道での 展開方策 ・ 高い収集コスト(林地残材広く 浅く分布 ・ 人件費 ・ 運搬コスト(かさ密度) 熱需要の多い北海道での技 術確立、商品化 ・ 道産木材に適したストーブ 開発(熱量、灰分等) ・ 木の育成から間伐材利用ま での一体運営による大規模 化、効率化 ・ ペレット工場のフル稼働化 によるコスト低下(※3) (※ 4) ・ ゴミ収集や運輸事業者と連 10 0 ペレットストーブ 石油ストーブ ※出典 木質ペレット利用推進対策事業報告書 ((財)日本住宅・木材技術センター)等をも ともとに作成 (※2)発熱量1MJ 当たりの コスト比較 円 4 3 1.45 倍 2 1 0 木質ペレット 需要(ペレットストーブ普及)と 供給(ペレット供給)の 両面に対して同時にアプローチが必要 284 ※出典 灯油 総合エネルギー統計 標準発熱量(資源エネ ルギー庁)、木質ペレット品質規格((社)日本 木質ペレット協会)をもとに作成 ※前提条件:灯油 92 円/ 、木質ペレット 60 円/ kg(送 料込)で計算 (※3)ペレットストーブの輸入・事業所数・販売台数(2004 年度暫定) ※出典 自主統計 2004 年版(暫定報告)ペレットクラブ (※4)木質ペレット生産能力別製造原価 ※出典 平成 22 年度黒松内町木質系バイオマス利活用可能性調査報告書(黒松内町) 285 (2) 高コストである再生可能エネルギーの導入支援策 現状において、再生可能エネルギーは全般的に従来のエネルギーに比べて高コストであり、 導入・普及するうえでの大きな課題となっている。短中期的に高コスト課題をクリアして普及 を進めるためには、公的な助成の枠組みを最大限に活用する必要がある。 また、平成 24 年 7 月 1 日から施行される再生可能エネルギー固定価格買取制度による採算性 の向上効果が期待される。そのほかにも、低炭素投資促進法による低利融資支援制度の活用も 考えられる。 【再生可能エネルギーの導入支援策】 ○ 「全量買取制度」を活用することで長期間、適正な価格で売電できるので初期投資を回収 できる可能性が高くなる ○ 事業者等は道内金融機関の「低利融資制度」を活用することで、初期投資の負担を軽減で きる ○ さまざまな支援制度により再生可能エネルギーが普及して、関連機器が大量生産されるこ とで大幅にコストが下がることが想定される。 ① 再生可能エネルギー固定価格買取制度の概要 現在日本において最も再生可能エネルギー普及に向けて最も期待されている制度として再生 可能エネルギー固定価格買取制度(以下、全量買取制度)がある。この制度は、電気事業者に 対して再生可能エネルギーにより生み出された電気を一定の期間・価格で買い取ることを義務 付ける制度である。これにより再生可能エネルギー導入の投資回収がこれまで以上に見込める 可能性がある。 また、現行の余剰電力買取制度と平成 24 年 7 月より開始となる全量買取制度の違いは、現行 制度では太陽光発電のみが買取対象となっているが、新制度においては住宅用太陽光発電(10 kW未満)が買取対象として公表されているほか、その他の太陽光、風力、中小水力、バイオ マス、地熱エネルギーについては買取対象の拡大がされる予定である(P288 参照)。太陽光発 電については、これまで対象外であった 500kWを超える発電事業用の施設も買取対象となる が、家庭用の太陽光発電については、現行制度によって順調に普及拡大していることや制度変 更に係るコストなどを考慮し、現行の余剰電力買取方式が継続される。買取費用の負担につい ては、これまで各地域の電力会社が決定していたが、新制度下では費用負担調整機関によって 全国一律になるように決定され、賦課金(サーチャージ)という形で、使用量に応じた金額が 電気料金に付加される。 286 ■再生可能エネルギー固定価格買取制度の概要 正式名称 成立時期 施行時期 概要 買取対象 買取価格 買取期間 費用転嫁 期待される効果 その他 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法 平成23年8月 平成24年7月1日 電気事業者に対して、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、一定の期間・価 格で買い取ることを義務付ける。 太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスを用いて発電された電気 再生可能エネルギーの種類、設置形態、規模に応じて経済産業大臣が定める。 再生可能エネルギーの種類、設置形態、規模に応じて経済産業大臣が定める。 買取費用は電気料金の一部として、国民負担となる。 ・導入時の買取価格が長期間固定されることで、初期コストの回収が設置者に保証され、導 入者が投資回収を予測しやすくなる。 ・再生可能エネルギーへの投資の安全性が向上し、積極的な長期投資の加速が期待でき る。 ・電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)は廃止。 ・少なくとも3年毎に、再生可能エネルギーの導入量、サーチャージの負担の与える影響(特 に電力多消費産業への影響)等を勘案し、制度の見直しを行うとともに、2020 年度を目途 に廃止を含めた見直しを行う。 ※出典 再生可能エネルギーの固定価格買取制度について(資源エネルギー庁) 287 ■余剰電力買取制度(現行制度)と固定価格買取制度(新制度)の違い(表 1) 余剰電力買取制度 固定価格買取制度 太陽光 太陽光、風力、中小水力(3 万 kW 未満)、バ イオマス、地熱 対象エネルギー ※発電事業用(500kW 以上)は対象外 買取対象 ・ 住宅用太陽光発電(10kW 未満) 余剰電力(現行制度に基づく) 余剰電力 ・ その他の再生可能エネルギー 発電量全量 関係大臣に協議の上、第三者委員会の意見 買取価格・買取期間の決 国の審議会を踏まえ一般からの意見公募 に基づき、エネルギー源別、設置形態、規模 毎に買取価格・期間を定め、一般からの意見 定方法 を経て決定 公募を経て決定 ・住宅用(10kW 未満) 買取価格と買取期間 42 円/kWh、10 年 ※下表参照 ・非住宅用(10∼500kW)40 円/kWh、10 年 ※平成 23 年度の価格 買取費用の負担 電力会社が決定(地域間で異なる) 費用負担調整機関が決定*1(全国一律) 平成21年11月1日 平成24年7月1日 (賦課金) 制度開始日 *1 再生可能エネルギーの導入速度は地域間でばらつきがでる可能性があるため、その負担を調整するための機関 (費用負担調整機関)が新たに設置される。電力会社が集めた賦課金は、この費用調整負担機関が一旦回収し、 実際の買取費用に応じて課金が全国均一になるよう調整を行い、同機関から交付金という形で各電力会社に分 配する。 ■新制度において想定されている買取価格と買取期間(表 2) 太陽光発電 住宅用(10kW 未満) 買取価格*1 非住宅用・発電事業用 当初は高い買取価格を設定。太陽光発電システムの価 格低下に応じて、徐々に低減。 買取期間*2 10 年 買取対象 余剰電力*3 その他の再生可能エネルギー 15∼20 円/kWh の範囲内 15∼20 年の範囲内 15∼20 年の範囲内 発電全量 ※1 再生可能エネルギーの発電設備を設置し電気を供給する場合に通常必要となる発電コストをもとに算出さ れる。太陽光発電の買取価格については、設置する年度毎に低減させていくものとし、3∼5 年以内にシステ ム価格を半額程度にすることを目指し、太陽光発電を設置する者や製造・販売事業者、エネルギー関連産業 などの予見可能性を勘案しながら、設定していくことを基本とする。 ※2 再生可能エネルギーの発電設備が設置されてから設備の更新が必要になるまでの標準的な期間。 ※3 住宅用の太陽光発電は、省エネインセンティブや制度変更に係るコストの発生などから現行の余剰買取方式 が適当とされる。また、現行制度によって順調に普及拡大していることから、買取価格の設定についても現 行制度の継承が適当と考えられている。 ※出典 買取制度の概要(資源エネルギー庁、2011.5) 再生可能エネルギーの固定価格買取制度について(資源エネルギー庁、2011.10) 太陽光発電の余剰電力買取制度に関するQ&A(資源エネルギー庁再生可能エネルギー推進室HP) 288 ② 低利融資支援制度(低炭素投資促進法)の概要 低炭素投資促進法による低利融資支援制度は、日本政策投資銀行が指定金融機関を通じて企 業等に低利・長期で融資する仕組みである。低利融資のほかにもリース保険制度も設けられて いる。対象となる設備は、太陽光発電や風力発電、EVなど、スマートコミュニティにとって 重要な要素が含まれている。北海道では北洋銀行などで本制度を活用できるものの、審査基準 が厳しい面もあり、道内中小企業にはクリアが難しい場合もある。 ■低利融資支援制度(低炭素投資促進法)の概要 正式名称 成立時期 施行時期 概要 対象製品 融資規模 期待される効果 その他 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律 平成 22 年 5 月 28 日 平成 22 年 8 月 16 日 ・「低利融資支援」 太陽電池など「エネルギー環境適合製品」として国が指定する製品・設備を開発、製造する 企業に対して、事業に必要な資金を「低利」かつ「長期」で供給する。 ・「リース保険制度」 資金力や信用力に乏しい中堅・中小企業を対象に「エネルギー環境適合製品」の導入を支 援する。(リース料が回収不能になった場合に、リース会社の損失の一部を補てん) 太陽光発電設備、風力発電設備、原子力発電設備、低燃費乗用車、低燃費航空機、高効率 の家庭用エアコン、高効率の液晶・プラズマテレビなど約 80 品目 1,000 億円 ・企業の資金調達を支援し、環境・エネルギー分野で大規模な投資を促進する。 ・中堅・中小企業の省エネ設備導入を促進する。 ・電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(RPS法)は廃止。 ・少なくとも3年毎に、再生可能エネルギーの導入量、サーチャージの負担の与える影響(特 に電力多消費産業への影響)等を勘案し、制度の見直しを行うとともに、2020 年度を目途 に廃止を含めた見直しを行う。 ■「低利融資支援」制度の全体フロー 認定 企業 資金供給 (低利・長期) 指 定金 融 機 関 財投貸し付け 日本政策 金融公庫 国 融資 (低利・長期) ※参考 資源エネルギー庁ホームページ 289 低炭素商品を開発・ 製造 事業計画 ③ 普及による再生可能エネルギー導入コストの低下イメージ 一般に再生可能エネルギーが高コストである技術的な理由は、導入されていない、大量生産 されていないことが大きいとされている。前述した全量買取制度などの施行により、再生可能 エネルギーの大量導入が進むと一気に導入コストが低下する可能性がある。 想定されていたスピードで再生可能エネルギーが導入された場合、どの程度設置コストが低 下するかについて、下図に例示する。試算結果では、2020 年では発電価格の逆転が実現し、発 電コストは、太陽光≦燃料電池<系統電力と想定される。ただし、この試算は、東日本大震災 以前のものであるため、現在ではより導入速度が速い可能性もある。 ■2020 年の機器コスト低下のイメージ 290 (3) 再生可能エネルギーの出力不安定解消に向けた方策 ① 蓄電池による系統安定化方策 現在指摘されている再生可能エネルギーの出力が不安定であるのは、そのまま系統に逆潮 流させるためであり、前述の全量買取制度を前提とした場合などにおいて発生する。蓄電池 に一度貯めて整形してから戻すことや、地域内で融通して、できるだけ地域内で消費し、そ れでも余剰した場合に逆潮流させるような仕組みが必要である。 本項では、蓄電池による系統安定化方策について概要を整理する。 【再生可能エネルギーの出力不安定解消に向けた方策】 ○ 「蓄電池」を活用することで変動を吸収することが可能。太陽光・風力発電は、発電規模 の 20%程度の蓄電池を設置することにより 10%程度まで変動を吸収できる。 ○ コミュニティ全体で平準化を行うことが効果的。コミュニティ全体の需要量を考慮した太 陽光発電などの導入量を考えることにより、既存系統への影響を最小限にとどめられる。 1) 蓄電池の機能 ○蓄電池(二次電池)の活用 蓄電池技術は、太陽光や風力など天候に左右されやすい自然エネルギーの導入に際して、 電力系統の安定維持をサポートするために不可欠な技術の一つである。電力の貯蔵や放電を 繰り返し行うことが可能な蓄電池と、電力の流れを双方向で調節する次世代送電網技術(ス マートグリッド)を組み合わせることで、配送電系統に悪影響を及ぼすことなく、電気のや り取りができるようになる。例えば、太陽光発電の場合、発電量の多い日中に余剰電力を蓄 電池に貯蔵し、電力が不足している時には送電網を介して周辺地域に流すことも可能である。 また、蓄電した電気を停電や災害などの非常時にも電力を供給できることから、一般家庭や 小規模事業者においても蓄電池導入のニーズが高まってきている。再生可能エネルギーを利 用した分散型電源の普及促進に向けて、性能とコストの双方に優れた蓄電池の開発や、充放 電を制御するための標準方式の開発が求められる。 ○蓄電池の種類と特徴 蓄電池はその種類によって性能やコストなどが異なり、それぞれの特色を生かした開発が 行われている。例えば、ノート型パソコンや携帯電話などのポータブル機器やEVなどに利 用されているリチウムイオン電池は、放充電速度が速く、体積当たりの密度が大きいためコ ンパクト化に適しており、さらなる高性能化が期待されている。一方、NAS電池やレドッ クス・フロー電池は、他の電池に比べてエネルギー密度、自己放電効率において優れており、 大型蓄電池として開発や利用が進められている。蓄電池の種類と特性の詳細については、5 −2.スマートコミュニティモデル検討に当たっての考慮事項にて整理している。 ※出典 分散型電源の普及促進に向けた緊急提言(2011、一般社団法人 日本電機工業会) 291 2)再生可能エネルギーと蓄電池の導入規模の関係 太陽光発電や風力発電は天候によって大きく発電量が変動するため、そのまま既存系統へ流 すと系統の電圧や周波数が不安定になる恐れがある。このため、発電量の変動を吸収するため に蓄電池を導入することが考えられる。日立エンジニアリング・アンド・サービスの事例( 「出 力変動緩和制御型風力発電システムのご紹介」)によれば、風力発電機の定格出力の約 20%容量 の蓄電池で、20 分間の出力変動を 10%以内に抑えることができたとされている。なお、苫前町 での事例では風力発電の変動を抑えるために、約 30MWの風力発電に対して 4MWの蓄電池を 設置しており、風力発電に対して蓄電池の規模が 13%となっている。 一方で離島では、一般に一箇所の火力発電に頼っているため、火力発電が停止するなどの有 事に電源を確保するために太陽光・風力発電に対して大きな蓄電池を設置しているケースもあ る(次ページ「離島マイクログリッドシステムの実証実験」参照)。これは、前述した変動量を 抑える目的とは異なる。 このように、蓄電池に求める機能(変動部分の吸収、災害時電源等)によって再生可能エネ ルギーと蓄電池の導入規模のバランスは設定される。 ■苫前ウィンビラ発電所(レドックス・フロー電池)の事例 <仕様> ・ 発電所出力:30,600kW ・ 風力発電機:19 台(1,650kW×14 台、1,500kW×5 台) ・ 年間平均風速:約 6.6m/S(60m高) ・ 年間発生電力量:約 5,900 万kWh (一般家庭 17,000 世帯分) ・ 設備利用率:22% ・ 総工事費:約 65 億円 <蓄電池システム仕様> ・ レドックス・フロー電池を使用 ・ 変換器:6,000kVA(1,500kVA×4 台) ・ 蓄電池定格:4,000kW(1,000kW×4 バンク) ・ 蓄電池容量:6,000kWh(電池出力 4,000kW×1.5 時間分) レドックス・フロー電池選定理由 ① 充電状態の把握が容易 電解液の起電力を測定することで運転中の蓄電池充電状態を常 時把握できるので、平滑化制御に反映可能 ② 設置場所に適した設計が容易 セルスタック(蓄電池出力)と電解液タンク(蓄電池容量)が分離 できる設計なので設置場所に適したシステムの設計ができる。 ※出典 風力発電電力安定化等技術開発(NEDO) 292 平滑化シュミレーション ■九州電力による「離島マイクログリッドシステムの実証試験」での設備容量 離島 太陽光発電 鉛蓄電池 リチウムイ オン電池 (全量に対する比率) 風力発電 ※既設内燃 力発電等 人口 黒島 60kW(31%) 256kWh 66kWh 10kW 209 240kW 竹島 7.5kW(9%) - 33kWh - 75 190kW 中之島 15kW(8%) 80kWh - - 155 253kW 諏訪之瀬島 10kW(13%) 80kWh - - 63 160kW 子宝島 7.5kW(11%) 80kWh - - 49 110kW 10kW(8%) 80kWh - - 128 200kW 宝島 ※出典 九州電力資料、富士電機資料などより作成 ■沖縄電力による「離島独立型系統新エネルギー導入実証事業」での設備容量 離島 太陽光発電 蓄電池 既設風力発電 ※既設内燃 力発電等 人口 4,000kW 4,000kW (NAS) 200kW (リチウムイオン) 600kW 900kW×2 (狩俣地区) 900kW×2 (福里地区) 55,000 15,000kW (ガスタービン) 21,500 kW (ディーゼル) 40,000 kW (ディーゼル) 与那国島 150kW 150kW 600kW×2 1,600 3,060kW 北大東島 100kW 100kW - 600 1,540kW 多良間島 250kW 250kW 280kW 1,280 1,590kW 宮古島 ※出典 沖縄電力プレスリリースなどより作成 293 ② 地域電力会社と連携した再生可能エネルギーの安定化方策 施設単体や 2、3 戸の住宅などでは、留守にする際など、再生可能エネルギーの発電量を使い 切ることができず不安定な電気を系統に流すことになってしまうため、複数の施設やコミュニ ティ全体で再生可能エネルギーの発電量を使用することにより、再生可能エネルギーの電気を 吸収しやすくなる。 下図に示すように、複数戸の中で融通して需給バランスをとることにより、地域内での需給 の平準化を行うことが考えられる。この場合、コミュニティ全体で再生可能エネルギーの余剰 電力が発生する場合は、蓄電池やEVに蓄えたり、ヒートポンプやロードヒーティングの熱エ ネルギーに変換するなど、需要側で調整することも必要となる。これにより、再生可能エネル ギーなどの余剰電力に対応する蓄電池容量を減らすことなどができる。 このように、コミュニティ内で再生可能エネルギーの発電量を使い切るなど、コミュニティ 全体で需給調整を行い既存系統へ影響させないようにすることで、より多くの再生可能エネル ギーを導入することができる。例えば、現在、既存系統への影響を考慮して設定されている、 風力発電の導入量の上限値(北海道では 56 万kW)を超えて、より多くの風力発電を設置でき る可能性がある。 なお、これらのコミュニティ内で電力需給を平準化する考え方は、直接電気のやり取りをす るのではなく、コミュニティ内の発電量と需要量をICT技術で把握して平準化するため、電 気事業法の規制に関係なく、基本的にはどのエリアでも適用できる考え方となる。 ■コミュニティ内で電力需給を平準化するイメージ コミュニティ内で融通すること で電力需要全体を平準化する 294 ③ 需要家側における再生可能エネルギーの安定化方策 天候によって大きく変動する再生可能エネルギーであるが、需要家側の行動で変動分の一部 を安定化させることができる。 例えば、大規模風力発電所が予想よりはるかに少ない量しか発電しなかったときには、その 情報が風力発電所から通信回線を通じて火力発電所に伝わり、待機している火力発電所が発電 量を上げると、一般家庭などの需要家に提示されるリアルタイム電気料金が高くなり、需要家 が高くなった電気料金を見てテレビを消したりエアコンを止めたりして、発電量の減少と同じ だけ電力消費量を減少させる。 また、全国的に晴れ渡った休日に太陽光発電がフル稼働して北海道全体の電力量が余ると、 それが太陽光発電設備の通信回線を通じて配電用発電所に伝わり、余剰電力分が計算され、火 力発電所が出力を下げると、電力消費を促すためにリアルタイム電力料金が安くなる。もしく は電力料金が限りなく無料になり、一般家庭ではそれによって電気自動車などの蓄電池が自動 的に充電を開始し、エコキュート(ヒートポンプ)がお湯を沸かし始めて余剰分を消費する。 このように発電から需要まで一貫したエネルギー体制の構築が求められる。ただし、こうし た上流から下流までの機器の一体運用によるスマートコミュニティの実現には時間を要するも のと考えられる。 ■再生可能エネルギーの発電量に合せた需要側の行動イメージ(風力発電に合わせるイメージ) ■ 風が弱い日 風力発電量 例えば…CO2排出量の多い化石燃料による 発電の料金を高く設定した場合 風力発電の発電量が低下 北海道全体の電力量が 不足してしまう 火力発電量 風車が回らない 風力発電の 不足分を補う 火力発電所の発電量を上げる 電気料金 リアルタイムで 電気料金の変動が見える 電気料金が高くなる OFF 家庭での電力消費量を減らす OFF OFF 295 電気料金の上昇分 家電製品の使用を抑える ■再生可能エネルギーの発電量に合せた需要側の行動イメージ(太陽光発電に合わせるイメージ) ■ よく晴れた日 例えば…CO2を排出しない太陽光発電の 電気料金を安く設定した場合 太陽光発電量 太陽光発電量が多くなる 使用量 太陽光発電量が使用量を 上回って電力が余る 電気料金が下がる 電気料金 リアルタイムで 電気料金の変動が見える 余剰電力を有効利用 自動的に電力消費を行う 給湯 暖房 EV充電 296 6−2 「 (仮 称 )北 海 道 ス マ ー ト コ ミ ュ ニ テ ィ 推 進 ネ ッ ト ワ ー ク 」 形 成 の た め の 方 策 検 討 (1) 「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」の必要性 スマートコミュニティを新産業創出やビジネスチャンスとして捉えた場合、例えば、住宅と交 通、建設とICTなど、従来は想定しづらい分野のコラボレーションによる事業展開が必要とな る。逆の見方をすると、一企業、あるいは1つの分野だけでは、スマートコミュニティの分野で は限界があるとも言える。 総じて言えば、スマートコミュニティはこれまでの枠組みには収まりきらない広い概念を持つ ものであり、ここに、関係する機関、団体を横断的につなぐネットワークの必要性があるとも言 える。 スマートコミュニティの構築に向けて、業界の垣根を越えて産業全体としての活動を企画・推 進することが重要で、行政ニーズの集約、障害や課題の克服、公的資金の活用に係る情報共有な どを通じて、官民一体となってスマートコミュニティの構築に向けた取組を推進することが必要 と言える。 また、地域を考えた場合、積雪、寒冷、広大な土地を活用するなどといった他地域にはない特 性を有する北海道では、スマートコミュニティを展開する上で共通の課題、共通の寒冷地技術が あり、これは、北海道の企業、団体が共有財産として利用すべきものであるため、そのプラット フォームとしてもネットワークが必要とされる。 北海道内の企業や関係機関がネットワークを組織することにより、北海道発のスマートコミュ ニティを、国内外に強い発信力を持ってアピール可能となる。 「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」の活動目的 ○スマートコミュニティ分野での、北海道特有の寒冷技術などによる新たな市場開拓・産業創 出 ○スマートコミュニティアライアンス等の全国組織、先導地域等との連携・情報収集・情報共 有 ○スマートコミュニティの構築に向けた道内市町村などとの連携・情報提供・情報共有 など 297 (2) 「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」設立の方策 「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」の設立に当たっては、まず第一に、 スマートコミュニティ関連技術を有する北海道内企業、関連機関・団体等に対して、座談会など を通じて、スマートコミュニティそのものを理解してもらうことが重要である。また、各企業、 各機関が有するスマートコミュニティ関連技術を共有し、各組織のジョイント、コラボレーショ ンが、スマートコミュニティ関連ビジネス市場に参入する上で重要であることを認識してもらう 必要がある。座談会での意見交換の中で、スマートコミュニティに対する理解を深めるとともに、 ネットワークの必要性を醸成させることが、スムーズなネットワーク組織の設立に有効と言える。 座談会等により、ネットワークの必要性に対する共通認識が図られた後、座談会の一部のメン バーからなる設立準備会を立ち上げるなどして、ネットワーク設立に向けた具体的な検討を進め る必要がある。 ■(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク設立に向けたフロー ① 座談会(3回実施済み) 北海道内のスマートコミュニティ関連技術を有する企業が集 まり、スマートコミュニティに関する各社保有技術の共有を図る と共に、ネットワークの必要性等を議論。 ② 設立準備会(予定) 座談会の一部メンバーから成る設立準備会を立ち上げ、運営体 制や規約作り等、ネットワークの設立に向けた具体的な検討を行 う。 (仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク 298 ③北海道 EV・PHV 普及促進検討研究会 ① 座談会 スマートコミュニティ関連技術を有する道内主要企業(建築・土木、太陽電池、住宅、エ ネルギー、ICT、商業・食品、自動車、金融、商工団体等)に対して、スマートコミュニ ティについて理解を深めるとともに、各企業等のスマートコミュニティに対する考えを紹介 してもらい、意見交換を行った。 また、各企業が有しているスマートコミュニティ関連技術について情報交換を行い、北海 道の特性を生かしたスマートコミュニティ構築をテーマに議論を行った。議論の中から、ネ ットワークによる情報交換やスマートコミュニティの構築に向けた連携の必要性が各企業等 から指摘された。 ② 設立準備会 設立準備会の活動概要については、次頁のスケジュール案で記載している。 ③ 北海道EV・PHV普及促進検討研究会との連携 ネットワーク設立においては、関連する既存組織との連携も重要であり、その1つにEV (電気自動車)関連組織との連係があげられる。スマートコミュニティを構成する1つの重 要な要素がEVである。EVに搭載された大容量バッテリーを利用して、V2H(Vehi cle to Home:車と家庭との電力連系)など、動く分散型蓄電池としての活用が期 待されている。EVに関しては、現在、 「北海道EV・PHV普及促進検討研究会(会長:北 海道大学大学院工学研究院小川英之教授、事務局:(社)北海道開発技術センター、(株)構研 エンジニアリング)」が北海道でのEVやPHVの普及に向けた情報発信等の活動を行ってお り、EVに関係する約 40 の企業や団体、行政機関が参画している。 今後、EVの普及はスマートコミュニティとより一層密接に関係してくるものと考えられ ることから、「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」との統合も視野に入 れた下地づくりも重要である。 ■「北海道EV・PHV普及促進検討研究会」の「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネッ トワーク」への統合イメージ 299 (3) 「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」設立に向けたスケジュール(案) 「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」の設立を 2012 年 8 月とした場合 の、設立に向けたスケジュール案を以下に示す。 座談会を通じて、ネットワーク組織設立に向けた下地づくりはある程度実現できたと考える が、ネットワーク立ち上げに向けて、設立準備会を立ち上げ、具体的な検討を始める必要があ る。 設立準備会は座談会参加企業等の中から数社を選定して構成し、主に以下の事項について検 討を進める。なお、平成 24 年 2 月 27 日に行ったスマートコミュニティに関する座談会(道内 関連企業が参加)では、今後の「 (仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」設立 に向けて準備会を設けて進めることについて確認した。 1)会長の選出 2)幹事会(幹事企業)構成企業の選出 3)幹事企業の役割分担 4)事務局構成組織の明確化と運営体制 5)スマートコミュニティ推進ネットワークの活動内容企画・運営に関する検討 ・スマートコミュニティに関するイベント、見本市等への参加 ・各種スマートコミュニティ先進地域、先進企業等の視察計画 ・スマートコミュニティにする他機関との連携方策 ・当面の事業計画案 座談会 など 12月 1月 2月 第1回 第1回 12/5 12/5 第2回 第2回 1/23 1/23 第3回 第3回 2/27 2/27 3月 4月 5月 6月 7月 8月 第4回 第4回 4/? 4月予定 4月未定 4/? メンバー選出 5社程度 第1回 第1回 4/? 4月予定 4月未定 4/? 設立準備会 NWの運営体制検討・準備 会長、幹事会の構成・役割分担、事務局体制等 ワーキンググループの検討 など NWの活動内容企画・検討 スマートコミュニティに関するイベント参加検討 先進地域視察計画、他機関との連携方策等 当面の事業計画案検討 など 設立 設立 総会 総会 スマコミNW 300 (4) 「(仮称)北海道スマートコミュニティ推進ネットワーク」の体制(素案) 今後、設立準備会等において検討する北海道スマートコミュニティ推進ネットワークの体制の 素案を下に示す。 ○会 長 :寒冷地技術を有する企業のうち、当面、スマートコミュニティ関連事業の具 体的な実施の可能性が高い企業等を、会員の互選によりネットワークの会長 として選出する。 ○副会長 :会長を代行する位置づけであり、必要に応じて副会長職を設ける。北海道が 得意とする寒冷地技術を有する企業等からの選出を基本とし、会長企業等と 別分野から会員の互選により選出する。 ○幹事会 :ネットワーク会員の中から、活動の企画や運営を行う企業等を数社選定し幹 事会を構成する。 ○アドバイザー:行政機関、学識者や有識者。ネットワーク活動の企画・運営等に関するサポ ートを行う。 301 ○事務局 :北海道の経済団体から成る事務局を設置する。事務局は、渉外窓口及び事務 連絡機能を担う。 ○会 員 :北海道に中心拠点を置く各分野(産・学・官・金)の企業、団体から構成し、 スマートコミュニティの推進を主体的に携わることを会員の条件とする。 ○オブザーバー:関連する行政機関(経済産業省、環境省、北海道開発局等) 、関連市町村、関 連企業等で構成し、スマートコミュニティネットワーク会議に必要に応じて 出席可能とし、また関連するネットワークの活動をサポートする。 302 (5) 国内のスマートコミュニティに関する組織事例 現在、スマートコミュニティに関しては、全国でさまざまな目的、位置づけの組織が活動し ている。組織によって国、地域、民間が主導しており、その活動内容も多種多様である。全国 的なスマートコミュニティの推進活動の中で頂点に立つのが、経済産業省が主導し、NEDO が事務局を担うスマートコミュニティ・アライアンスである。「(仮称)北海道スマートコミュ ニティ推進ネットワーク」とは、規模、位置づけとも違いはあるが、先行する重要な取組の 1 つとして参考にすべきものと言える。 スマートコミュニティ・アライアンス JSCA(Japan Smart Community Alliance) JSCA は、再生可能エネルギーの大量導入や、需要制御の観点で次世代のエネルギーインフラとして関心が 高まっているスマートグリッド及びサービスまでを含めた社会システム(スマートコミュニティ)の国際展開、 国内普及に貢献するため、経済界全体としての活動を企画・推進するとともに、国際展開に当たっての行政ニ ーズの集約、障害や問題の克服、公的資金の活用に係る情報の共有などを通じて、官民一体となってスマート コミュニティを推進するために設立された団体である。 現在、電気・ガス業、自動車、情報・通信業、電気機器業、建設業、商社、自治体、大学等、趣旨に賛同す る企業・団体(727 社(H24.1.18 現在) )が会員として参加。業界の垣根を越えて経済界全体としての活動を 企画・推進するとともに、国際展開に当たっての行政ニーズの集約、障害や問題の克服、公的資金の活用に係 わる情報の共有などを通じて、官民一体となってスマートコミュニティを推進するために活動している。 会員の業種別構成 ※JSCA(Japan Smart Community Alliance)ホームページ 303 スマートコミュニティ・アライアンス JSCA(Japan Smart Community Alliance) 運営体制 総務会の開催実績 総会、連絡会議の開催実績 ※JSCA(Japan Smart Community Alliance)ホームページ 304 (参考)国主導による日本国内のスマートグリッドに関するコンソーシアム ※出典 「東北地域スマートグリッド研究会、第 1 回研究会」資料 305 (参考)民間主導による日本国内のスマートグリッドに関するコンソーシアム ※出典 「東北地域スマートグリッド研究会、第 1 回研究会」資料 306 6−3 地 域 や 住 民 が 主 体 と な っ た 長 期 的 な 視 点 で の ス マ ー ト コ ミ ュ ニ テ ィ 推 進 方 策 の 検 討 (1) 地域や住民が主体となったスマートコミュニティの可能性 アンケート調査では、スマートコミュニティに対する認知度は、 「初めて聞いた」と「概念は 理解しているが名称は聞いたことがない」を合わせて 68%と低かったものの、地球温暖化やエ ネルギー問題への関心は、「非常に関心がある」=38%、「ある程度関心がある」=62%と全員 の方が関心を持っている回答になっており、市民の関心が非常に高い結果となっている。 また、地球温暖化対策や再生可能エネルギーの導入に対しても 9 割以上の住民が取り組むべ きであるという回答となっている。 さらに、スマートコミュニティのフォーラム(平成 24 年 2 月 9 日開催)に参加した札幌市内 の町内会の役員からもスマートコミュニティの出前講座の開催の要請があり、関心の高さを伺 える。 恵庭市で市民を対象に行ったセミナー(平成 24 年 2 月 21 日開催)でも、スマートコミュニ ティに向けて積極的に取り組むべきであるという意見が出されている。 こうした結果を勘案すると、現在は、認知度は低いものの、地球温暖化やエネルギー問題の 関心の高さを背景に、地域や住民が主体となりスマートコミュニティの構築に向けた取組を進 めていくことができる可能性は高いと考えられる。 地球温暖化対策や再生可能エネルギーの導入は理解 地球温暖化やエネルギー問題への関心が非常に高い 地球温暖化対策や再生可能エネルギーの導入に取り組むべき スマートコミュニティに対する認知度は低い(アンケート調査) スマートコミュニティの理解を深めてもらうことが必要 307 (2) スマートコミュニティに対する意識向上のための方策 ① わかりやすい情報提供 前述のとおり、アンケート調査では、スマートコミュニティに関する認知度が低い状況にあ った。このため、地域や住民主体のスマートコミュニティを推進するためには、スマートコミ ュニティに対する理解を深めてもらうことが必要である。 恵庭市で開催したセミナーでは、スマートコミュニティの概念の説明とワークショップ形式 でディスカッションにより、理解が深まったといった感想も聞かれた。 そこで、スマートコミュニティの理解促進のためには地域や住民にスマートコミュニティ に関する情報提供を行いながら、理解を深めてもらうことが必要である。 具体的には、スマートコミュニティが実現されると実際にどのように生活に影響するのかイ メージが難しいとの意見があった。こうした意見を考慮すると、住民のスマートコミュニティ に対する意識向上に向けては、スマートコミュニティをイメージしやすい具体的な姿で情報提 供を行い、スマートコミュニティの見える化や、生活との関わりなどについて理解を深めても らうことが効果的であると考えられる。 ●スマートコミュニティの概念の情報提供 スマートコミュニティのイメージや背景、必要性などを最初に理解してもらうことが必 要である。 ●生活に関わるところからの情報提供 地域や住民にスマートコミュニティを理解してもらうためには、住民の生活に関わりの あるところから情報提供を行うことも必要である。 生活に関わるところでは、国の施策から今後 5 年間で急速に普及が進むスマートメータ ーに関連付けて、スマートメーターを生かした生活、スマートメーターとスマートハウス、 スマートメーターとスマートコミュニティなどをテーマに情報発信することが望まれる。 ・スマートメーターに関連する情報 スマートメーターを設置した家の生活(5%の電力削減) スマートハウス スマートコミュニティ ・スマートコミュニティによる各家庭の燃料費削減 ・スマートコミュニティによる災害時対応 ●スマートコミュニティとコミュニティづくりの情報提供 スマートコミュニティは、町内会や自治会などの理解と協力がないと進まない。町内会 でスマートコミュニティを進め、街灯の電力など公共空間の電力の捻出といったスマート コミュニティを生かした町内会のあり方などについても情報提供を行うことが大切である。 308 ② スマートコミュニティを普及する人材育成 スマートコミュニティの普及促進のためには、地域や住民に理解してもらうことが必要であ る。このためには、恵庭市で開催したセミナーでも意見が出されたように、地域や住民にスマ ートコミュニティをわかりやすく解説する人材が必要である。 しかし、スマートコミュニティは、エネルギー技術や情報システム、社会インフラ、まちづ くり、ライフスタイル、金融システムなど関係する分野が広いことから、単なる専門家ではな く幅広い知識を持ちながら、わかりやすく解説する人材が求められる。 北海道におけるスマートコミュニティの構築に向けて、こうした知識を身に着けた人材を早 急に育成していく必要がある。 ③ スマートコミュニティの見える化 地域や住民にスマートコミュニティを理解してもらうためには、下記のようにスマートハウ スなど住民にわかりやすいものをつくる=スマートコミュニティの見える化を先行的に取り 組んでいく必要がある。 現在スマートハウスは、実証地域にあるものの、北海道にはない状況である。スマートコミ ュニティに関心のある住民が、北海道内でも北海道型のスマートハウスなどを体感できるよう にすることが必要である。 309 (3) 地域や住民が主体となったスマートコミュニティのあり方 地域や住民は、短期的にはスマートメーターの導入や太陽光発電の設置、地中熱ヒートポン プの設置など個々での取組が行われ、スマートハウス化が進むことが想定される。 スマートコミュニティの構築に向けて、スマートハウスなどの個々の取組から、地域での取 組へ展開することが必要である。 ① プロセスを大切にしたスマートコミュニティの推進 恵庭市で開催したセミナーにおいても、グループディスカッションの中で、町内会や自治体 レベルでスマートコミュニティを理解して進めることの必要性と重要性が議論された。 町内会・自治会レベルでスマートコミュニティの構築に向けた取組を進めることにより、地 域の連帯感が強まり、住みやい、暮らしやすいまちづくりにつながるといった利点もあげられ た。 すなわち、スマートコミュニティの構築に向けては、そのプロセスがまちづくり・地域づく り、コミュニティの活性化の上から重要とも言える。 ■地域におけるスマートコミュニティ構築プロセスとまちづくり スマートハウスなど個々の取組 スマートコミュニティの情報提供 地域でのスマートコミュニティ推進の議論 スマートコミュニティによって どのような地域にするのか エネルギーマネジメントを地域に 導入する合意形成 つながっている連帯感などの醸成 住みよい・暮らしやすいまちづくりへ 310 ② 地域や住民が主体となったエネルギーマネジメント 地域や住民が主体となってスマートコミュニティを推進する場合、その地域のエネルギーマ ネジメントをどのようにするかが大切である。 エネルギーマネジメントの主体を町内会にするのか、地域で組合やNPO法人などを組織す ることなどが想定される。 さらに、地域によって組織されたエネルギーマネジメント組織が、どこのエネルギーマネジ メントシステムを導入するのか検討することが必要になる。 こうした検討を地域のみで進めることは難しく、先に整理したスマートコミュニティの人材 が専門相談員として地域と一緒に検討することや、専門相談員を派遣する支援などが求められ る。 地域でスマートコミュニティを推 進するためには、マネジメントの 組織をつくることも必要 エネルギーマネジメント 地域でEVのカーシェアリングをするな ど、どのようなスマートコミュニティに するか議論が必要 地域のエネルギーマネジメント組織(町内会、NPO、 組合など)が、地域にあったエネルギーマネジメン トシステムを検討導入することも考えられる 地域にあったスマートコミュニティの エネルギーマネジメントをアドバイス する専門員が必要 311 (4) 市民ファンドによるスマートコミュニティ推進可能性について 前述したとおり、全量買取制度は、再生可能エネルギーの大量導入の契機となりうるが、一 方で資金力のある大規模事業者が再生可能エネルギー事業を席捲し、地域は宝物である資源を 提供するだけになってしまう恐れがある。 地域がエネルギーを創り、蓄えて、賢く使うスマートコミュニティを構築して、資源と資金 の域内循環と地域活性化に結びつけるためには、市民が資金を出し合って再生可能エネルギー を導入する市民ファンドという手法がある。 以下に日本で最初に設立された長野県飯田市の市民ファンド「おひさま進歩エネルギー㈱」 と、北海道で設立され再生可能エネルギー導入を拡大している「NPO北海道グリーンファン ド」について事例を整理した。 長期に渡る経済不況の中、多くの市民が出資というリスクの伴なう参加を決めてもらうため には、拠出した資金が誰によって何に使われるのかという透明性があることと、市民がエネル ギーをつくるという夢への投資に参加したいという思いが地域による再生可能エネルギー導入 の推進力となる。 ∼地域におけるエネルギー施策の基本的な考え方∼ ・ 地域の資源である再生可能エネルギーの利活用は、それをよく知っている地域が優 先権を持つ分権型であることが望ましい。 ・ 再生可能エネルギーの利活用は、地産地消を基本とし、資金や利益が地域内で還流 し、地域活性化の効果を生み出す必要がある。 ・ 再生可能エネルギーの利活用は、市民・民間・行政が協働して行う公共的な性格を 持つ必要がある。 ・ ハード(発電機)よりもプランニング・評価・ファイナンスなどのソフトが重要に なる。そのようなソフトを狙い、地域エネルギー事業を進める体制や組織が地域内 に必要である。 ・ 行政は、分権型エネルギー利活用を促進するための法制度の整備や施策のパッケー ジ化などの条件整備を行う必要がある。特に、地域エネルギー政策が重要になる。 ※出典 飯田市地球温暖化対策課による勉強会より 312 ① 長野県飯田市の日本初太陽光発電市民ファンド「おひさま進歩エネルギー(株) 」 日本で始めて市民出資による太陽光発電を設置し、現在も出資を募り配当を続けている。お ひさまファンドへの出資金は、太陽光発電を中心として自然エネルギー事業に直接投資され、 温暖化防止に確実に貢献する。事業から生まれた収益によって、出資者の方々に現金により元 本返還及び利益の分配を行う。 1) ファンドのしくみ 約 450 名の全国の市民から約 2 億円の出資を受け、38 の太陽光発電所と省エネ事業を展開し ている。 環境省(飯田市経由)補助金 システム設置費の 2/3 おひさま進歩 エネルギーが 設置 パートナーシップ ・公共施設の屋根を提 供(H20 契約) ・発電した電気の相当 額を授受する等の契約 締結(固定買取) 電力の供給 保育園・公民館・ 児童センターなど (飯田市) 出資金は環境公益事業の運営や 太陽光発電システム設置・ESCO 事業に充てられる。 太陽光発電によっ て発生した電力の 料金をおひさま進 歩エネルギーに支 払い グリーン電力販売収入 グリーン電力販売 313 余剰電力は売電 大手電力会社 売電の支払を受け取る 2) おひさま 0 円のしくみ 一般の家庭に 0 円で太陽光パネルを設置し 9 年間は月々定額の料金設定を行っている。省エ ネを努力して売電すれば月々の負担を減らすことができ、10 年目以降は譲渡となり、発電分全 て収入になる。 ■おひさまファンドの主体別の役割と資金の流れ 太陽光パネル設置 中部電力由来 の電気使用分 を支払い 電気料 定額支払い おひさま進歩 グリッド 一般の住宅 ・パネルの設置 ・メンテナンス料金 請求 中部電力 売電収入 ・0 円で太陽光パネ ルを設置 ・9 年間定額でのお 支払い ・売電収入 ・10 年目に譲渡 3) おひさまファンドの歴史と実績 利回りは目標の平均 2%台を保ち、計画どおり分配されている。高い利率ではないが今後も 安定した配当が期待できる。 ■おひさまファンドの実績概要 南信州おひさ まファンド 温暖化防止お ひさまファン ド おひさまファ ンド 2009 信州・結いの国 おひさまファ ンド 募集期間 一口 出資額 分配 開始年 2005 年 2 月 ∼ 2005 年 5 月 10 万円と 50 万円 2 億 50 万円 (476 名) 2007 年 6 月 2007 年 11 月∼ 2008 年 12 月 10 万円と 50 万円 4 億 3430 万円 (653 名) 2009 年 6 月 10 万円と 50 万円 7520 万円万円 (145 名) 2010 年 6 月 10 万円と 25 万円 4790 円 (103 名) 2012 年 6 月 2009 年 6 月 ∼ 2009 年 9 月 2010 年 10 月 ∼ 2011 年 1 月 314 目標年間 分配利回り 2∼3.3% (計画どお り分配中) 2.1∼2.6% (計画どお り分配中) 1.4∼2.5% (計画どお り分配中) 2∼2.5% 4) 市民出資から導入された施設の設備と効果 市民出資から設備を導入した施設について、二酸化炭素、電力、ガスなど一定の削減効果 があげられた。 ■おひさまファンドの導入設備と効果 施設 導入設備 飯田市美術博物館 空調設備を大幅に更新、ポンプ・空 調機のインバータ化による省エネ。 照明設備の省エネ化。電力管理シス テム導入。 赤石荘 灯油ボイラーから廃材や間伐材等の チップを利用したチップボイラーを 導入。 湯ったり∼な昼神 温泉施設に太陽光温水システムを設 置。温水プールへ空冷ヒートポンプ 導入。循環ポンプ等にインバーター 制御装置を導入。 たまゆら 市民出資により 9kW の太陽光発電を 設置 くれよんキャンパス 市民出資によりペレットストーブ 5 台を設置。 精琴堂楽器 ゆいの里 明星保育園 ガス吸収式空調から高効率省エネエ アコンに改修。 10kW 太陽光発電を設置。高圧受電設 備に電圧調節装置を導入。空調機 5 点をデマンドコントロール、空調機 を時間制御 太陽光発電 3kW を設置。園児などへ 環境意識向上のための環境パネルシ アターを実施。 ※二酸化炭素排出原単位 電気 0.555kg・co /kWh 灯油 2.49kg・co / 効果 30%以上電力削減を達成 二酸化炭素年 68 トン/年削 減。灯油 28 キロリットル/年 削減。 二酸化炭素年 134 トン/年削 減。灯油 78 キロリットル/年 削減。 ― 二酸化炭素年 6 トン/年削減 効果。電力 11,310kWh/年削 減。 二酸化炭素年 21 トン/年削 減、ガス 6,157 /年削減。 ― ― ガス 3.18 kg・co /m 5) 市民共同太陽光発電事業のポイント ・ 電気事業者によるサービスは、単なる設備業者やリース事業ではないことを認識する ・ 独自の全量固定価格買取の仕組みをつくり、事業安定性の確保へ取り組む ・ 意志あるお金である市民出資を活用し、低炭素社会づくりへ参加する ・ 創エネや省エネへとチェンジし、環境と経済のデカップリングを実現する ・ 行政とのパートナーシップを結び、目的の共有と役割分担を行う ・ 公共施設の目的外使用許可の特例 ・ 事業補助金 ・ パートナーシップ協定の締結 ※出展 おひさま進歩エネルギー株式会社ホームページ 再生可能エネルギーの地産地消とまちづくり 環境モデル都市飯田の試み(飯田市) 315 ② NPO法人北海道グリーンファンド 1) グリーン電気料金制度 月々の電気料金に 5%のグリーンファンド分を加えた額を支払い、グリーンファンド分を自 然エネルギーによる「市民共同発電所」を建設するための基金として積み立て、運用するとい うもの。北海道電力をはじめ、東北電力など電力会社十社が同じような制度を始めている。 (グリーン電気料金制度の 3 つの利点) ・環境にやさしいエネルギー未来への意思表示ができ、誰もが気軽に環境のためになることを継 続的に続けられる仕組みをつくること(電気代 5%の寄付) 。 ・ 電気料金 5%の寄付は節電することで生み出し、電気の使用量を減らすこと(電気使用量の 5% 削減) 。 ・自然エネルギー普及のため市民共同発電所を市民の手でつくること。しっかり省エネして、必 要なエネルギーについてはできるだけ自然エネルギーにシフトしていく未来をめざしていく。 2) 日本で最初の市民風車「はまかぜちゃん」が 2001 年浜頓別町に誕生 市民からの出資金に自己資金を合わせた約 166,000 千円と銀行からの融資で風力発電所を建 設し、市民による風力発電事業を立ち上げた。引き続き 2003 年 3 月に秋田県天王町(現在:潟 上市)で 2 基目の天風丸を建設し、青森県で初めての市民風車わんずの建設に協力。その後、 2005 年石狩市に市民風車誕生。現在日本には市民風車が 5 基稼動している。 ※出展 NPO北海道グリーンファンドホームページ 316 ③ グリーンNPOバンク 金融庁によりNPOは「特定非営利金融法人」として認定された。通常の貸金業者と区別で きることや環境活動などへの投融資支援も対象になることから「グリーンNPOバンク」につ ながるとの期待がかかる。 また、市民出資のバンクやファンドを環境活動支援に活用する政策は環境省も推進しようと している。同省の構想は「環境CB(コミュニティビジネス)支援ファンド」の設立を税制優 遇や投融資保証などの政策で後押しするものである。 一方で、日本のNPOバンクには情報開示が不十分な団体もあり、信頼性の確立が求められ ている課題もある。 ■グリーンNPOバンクに関する政策動向 金融庁 ・ NPOを「特定非営利金融法人」に認定 ・ 通常の貸金業と区別 環境省 ・ 市民出資のバンクやファンドを環境活動支援に活用するために政策を推進 ・ 「環境CB(コミュニティビジネス)支援ファンド」の設立構想を税制優遇や投融資 保証などの政策で後押し ※金融庁ホームページを参考に作成 317 318 ・ 新たにプログラムを企画する際、社会教育の担当者は、企画立案に困っていることもあ る。例えば環境担当部署からのアプローチがあれば、スムーズに事業化できる場合もあ る。自治体の担当課と教育委員会との連携が重要となる。 ・ 社会教育の内容に関しては、当該自治体で起こっている出来事をリアルタイムに伝えた いと考えている。 【環境教育の推進課題】 ・ 今後の環境教育の推進課題としては、実は企画やプログラム編成といった事業化よりも、 環境教育の必要性、重要性を明確にすることが大きな課題となっている。 ・ 環境教育を進める上での課題は、環境問題に対しての意識が低く、いかに必要性のある 課題へと意識を高めていくかが課題である。実際に環境教育に対して市民ニーズがある かどうかが重要である。 ・ 自治体において環境教育のキーを握っているのは、環境担当部署の担当課である。環境 担当部署から教育委員会に対して積極的なアプローチがあれば推進できる。 ・ 一方で、環境担当部署などの担当者は、実務としての事業を進めなければならず、環境 教育に関してまで手が回らないのが実情である。 ・ 自治体全体で、環境関連への取組の重要性を明確にして、さらには環境教育の推進を位 置づけることにより全体が動き出すものである。 ③ 自治体における環境教育の推進方策と課題 自治体において環境教育を推進するためには、自治体全体における環境施策を明確に位置づ けるとともに、市民に対する環境施策の重要性の理解を促進する必要がある。その結果、環境 担当部署の担当課において積極的に環境関連事業が積み重ねられ、重要視されていなかった環 境教育も積極的に進めることとなる。 こういった背景をもとに、教育委員会と連携して学校カリキュラムで実施される学校教育と さまざまな場で実施され全ての世代を対象とした社会教育で環境教育が推進される。環境教育 は、自治体が重要と考え一方的に提供するのではなく、一定の時間を要するが市民ニーズを醸 成させて環境教育を求められるようにすることが重要となる。また、地域に根ざした環境教育 や、教える側の人材育成の面からも進めるためには地域のNPO法人などとの連携も重要と考 えられる。 前述の「スマートコミュニティに関するアンケート調査」(4−1)で実施した住民アンケー ト結果からは、環境問題に対する関心が非常に高く、大半が地球温暖化対策が必要と考えてい ることがわかった。このことからも既に環境教育のニーズは高まっているものと推察される。 今後は、自治体においてもこのような住民ニーズを把握することで、環境教育の重要性を認識 することも求められている。 319 ■自治体における環境教育の推進方策 自治体全体における環境施策の位置づけ ・ ・ ・ 環境施策の重点的な位置づけ(総合計画、環境基本計画など) 再生可能エネルギー導入などの取組の積み重ね 全庁的な環境教育の重点化 市民 環境教育 の実施 の積極的推進 重要視されている 公聴会を通して教 育委員会へ提言 重要視されていない場合がある 担当課から直接 アプローチ 教育委員会 学校教育 社会教育 学校でのカリキュラムの中で推進 学校以外の場で推進 子どもを対象にした 「総合学習」としての 環境教育の推進 子ども、大人、高齢者も 環境への理解促進 環境関連事業 両方の取組 が必要 環境教育に対する市民ニーズの醸成 環境担当部署の取組 含めた環境教育の推進 ■環境問題に関する住民以降(4−1.スマートコミュニティに関するアンケート調査より) 地球温暖化・エネルギー問 題への関心 あまり関心がない 0% まったく関心がない 0% わからない 0% 地球温暖化や再生可能エネ ルギーの導入にについて 取り組まなくてよい 2% どちらかというと 取り組む必要はない 0% わからない 2% 環境教育へのニーズは既に高 まっているものと考えられる。 自治体において住民ニーズを把 非常に関心がある 38% ある程度関心がある 62% 握して環境教育を重点施策とし どちらかというと 取り組んだ方が良い 22% て推進することも考えられる。 積極的に取り組むべき 74% 320 6−4 積雪寒冷地特有の技術に係る国内外への移転方策 北海道の産業振興の視点では、北海道のスマートコミュニティ技術を国内外へ移転することが 重要と考える。特に海外への技術移転に当たっては、対象とする国や技術分野により、規制・条 件などが異なり、国内市場とは異なるアプローチが必要である。しかし、道内企業は比較的規模 が小さく、単独で海外進出のプロセスや課題について適切に把握することは難しい状況にある。 本節では、はじめに積雪寒冷地の状況、条件を整理した。その上で、中小企業等の国際ビジネ ス展開の支援や海外情報の収集・研究を行う独立行政法人 日本貿易振興機構(以下、「JETR O」)へのヒアリングを行い、道内企業の国外への技術移転などの現状や、道内自治体や企業のビ ジネス交流の状況を把握した。JETROは、国際的なビジネスの展開に向けたさまざまな支援 コンテンツを有することから、将来的な国外移転の事前準備として、各コンテンツの内容も整理 した。また、積雪寒冷地特有の技術を生かし、海外へ進出している企業へのヒアリング調査を行 い、移転を取り巻く環境やそれを行うまでの課題、障壁、心構えなどを抽出した。 最後には、積雪寒冷地特有のスマートコミュニティ技術を海外へ移転するための手順とそれぞ れの段階で必要な検討内容を整理した。 321 (1)積雪寒冷地とスマートコミュニティ要素技術 積雪寒冷地(積雪寒冷特別地域)とは、 「積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特 別措置法 」 (『雪寒法』)において以下の条件で指定された地域である。 ○積雪地域:2 月の積雪の最大値の累年平均(最近 5 年以上の間における平均)が 50cm以 上の地域 ○寒冷地域:1 月の平均気温の累年平均が 0℃以下の地域 具体的には下図のような分布となり、北海道は全域が積雪寒冷地(積雪寒冷特別地域)に含ま れるほか、本州でも東北地方、北陸地方がこの条件に合致する。さらに積雪地帯の場合には中国 地方や近畿地方の一部、寒冷地域であれば北関東や中部地方なども含まれる。 ■積雪寒冷特別地域の指定条件 322 また、豪雪地帯についても定義がある。積雪が特に甚だしいため、産業の発展が停滞的で、か つ、住民の生活水準の向上が阻害されている地域を「豪雪地帯」と呼んでおり、その中でも、積 雪の度が特に高く、かつ、積雪により長期間自動車の交通が途絶する等により住民の生活に著し い支障を生ずる地域については、「特別豪雪地帯」と指定されている。 豪雪地帯、特別豪雪地帯の位置を下図に示した。2007 年 3 月 31 日時点では、日本の国土の約 半分である約 19 万平方キロメートル、自治体数にして全国の約 31%、日本の全人口の約 16%が 豪雪地帯の指定を受けており、その範囲は北海道・北東北・日本海沿岸部および本州を縦断する 山地部に亘る。中国地方西部の島根県においては、山地部のみが豪雪地帯指定を受け日本海沿岸 部はその指定地域外となっている。さらに、これら豪雪地帯のうち、国土の約 20%である約 7.5 万平方キロメートル、自治体数にして全国の約 11%、日本の全人口の約 2.6%の地域が、特別豪 雪地帯の指定を受けている。 ■豪雪地帯及び特別豪雪地帯指定図 ※出典 全国積雪寒冷地帯振興協議会ホームページ より 323 以上のように、日本の国土の半分を占める豪雪地帯や積雪寒冷地であるが、スマートコミュニ ティの実証実験地域は、下図のように、次世代エネルギー・社会システム実証の実施 4 地域は太 平洋ベルト地帯に集中している。その他自治体に示した取組のうち、 「青い森セントラルパーク低 炭素型モデルタウン事業」、「あきたスマートシティプロジェクト」、「六ヶ所村スマートグリッド 実証実験」は、積雪寒冷地、豪雪地帯での実証であるが、積雪、寒冷、豪雪といった地域の条件 に焦点を絞った実証を行っているわけではなく、積雪寒冷地におけるスマートコミュニティに関 する技術の研究、開発、実証が十分に行われているとは言いがたい。さらに、北海道は積雪、寒 冷の両面において特に環境が厳しく、北海道での実証試験をクリアした要素技術は国内の積雪寒 冷地への展開でも有利であるとも考えられる。 ■次世代エネルギー・社会システム実証の実施 4 地域の概要 さらに世界的な視野で積雪寒冷地について確認する。次ページ上図にはケッペンの気候区分を 示した。寒冷地(寒帯・亜寒帯)には北米・ヨーロッパ・日本(北海道)が含まれる。寒冷地(日 本を除く北米や欧州)の国々のGDP合計は世界のGDP合計の 40%以上を占めている(Lis t by the International Monetary Fund(2009)より算出)。次 ページ下図には積雪寒冷地に位置する大都市および日本の都市の降雪量と 1 月平均気温を示した が、図からも北海道が北米やヨーロッパに近い温度帯にあり、北海道では 寒冷地の北米・ヨー ロッパに合せた研究 と 多雪地域の日本に合せた研究 の両方を実施可能であることがわかる。 したがって、北海道での実証試験をクリアした要素技術は、国外の積雪寒冷地への展開の可能 性も有していると考えられる。 324 ■次世代エネルギー・社会システム実証の実施 4 地域の概要 ■積雪寒冷地に位置する大都市の降雪量と 1 月平均気温 325 (2)道内団体による国外とのビジネス交流 本項では、中小企業等の国際ビジネス展開の支援や海外情報の収集・研究を行う独立行政法 人 日本貿易振興機構(以下、 「JETRO」)や積雪寒冷地特有の技術を実際に国外へ移転して いる企業へのヒアリングを行い、道内企業の国外への技術移転の現状を把握するとともに、ビ ジネス交流の課題などを把握した。 ① 独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)へのヒアリング 道内企業の国外(積雪寒冷地)との交流状況を把握するため、JETROへのヒアリングを 行った。ヒアリングは北海道貿易情報センター(JETRO北海道)に対して実施し、本事業 の概要、スマートコミュニティの概要を説明した上で、道内企業の海外進出状況、海外進出の 事前準備、諸外国とのビジネス交流の状況などの情報をご説明いただいた。ヒアリングは平成 24 年 2 月 10 日(金)に実施した。ヒアリング結果を以下に示す。 北海道貿易情報センター(JETRO北海道)では、道内企業の海外事業活動実態調査とし て道内 2,000 社を対象としたアンケート調査を実施している。平成 23 年度は東日本大震災の 影響を受け、アンケートが中止となったため、平成 22 年 1∼3 月に実施したアンケート調査の 結果が最新の情報となっている。調査結果は「道内企業の海外事業活動実態調査(発行年月: 2010 年 6 月、発行元:日本貿易振興機構 北海道貿易情報センター)」として発行されている。 調査結果より、海外での事業活動を確認できた企業は 114 社で、前回調査(2009 年 1∼3 月) と比較すると 29 社の事業展開を新たに確保できたが、撤退や事業清算などが 41 社に上り、総 数では 13 社減少していた。一方で、海外進出企業 114 社の海外拠点総数は 193 ヶ所で、昨年 度調査と比較すると海外拠点数は 8 箇所増加していた。 国別進出先の拠点数は中国 (97 ヶ所) 、 台湾(15 ヶ所)、米国(14 ヶ所)、ロシアCIS(12 ヶ所) 、タイ(8 ヶ所) 、韓国(6 ヶ所) と続いており、調査を開始した 1996 年頃(北米が中心)とは大きく傾向が異なっているとの ことであった。業種別海外進出企業数及び海外拠点数の変化については、「建設・土木・不動 産」の減少が目立っており、8 社、11 拠点(前年は 13 社、15 拠点) 、「一般機械」も 2 社、2 拠点(前年は 3 社、3 拠点)減少する傾向がみられた。 ロシアへの進出については、サハリン州に集中しており、現在進行中のサハリンプロジェク トに関連した物流関係、ホテル経営、インフラ整備の工事受注などのビジネスに関心が集まっ ているが、ロシアへの進出企業は減少傾向であると記載されていた。また、北海道銀行は 2009 年にユジノサハリンスク市に駐在員事務所を新設し、ハバロフスク市政府やサハリン州と経済 協力協定を締結、道内企業との国際マッチング機能の強化を図っていることが記されていた。 ヒアリングでも輸出するだけならまだ比較的容易であるが、独資で進出するのは難しく、信頼 のおけるパートナーを見つけることが重要との指摘があった。最近はサハリンにモデルハウス を建設した会社もあると聞いており、サハリンについてはパイプのある道内企業もあるとのこ とであった。またその他の課題として、法制度の変更や中央省庁での法改正や規制が、地方都 市に浸透するのに時間がかかることがある点(中国も同様)や、材料の仕入れ方法などの点に ついて指摘があった。 326 中国への進出については、 「海外に直接投資するにはリスクが大きすぎる」、 「資金や人材の 面で踏み切れない」と考えている中小企業の多くは、委託生産という手法を取っていること、 北洋銀行は 2005 年に駐在員事務所を大連・上海に開設し、道内企業向けに対中ビジネスセミ ナーを開催するほか、中国企業とのビジネスマッチングを定期的に開催するなど、道内企業 の中国進出を協力にバックアップしていること、北海道銀行では 2006 年に藩陽に初の駐在員 事務所を開設し、東北 3 省の拠点として関係団体と経済協力協定を積極的に締結、地方銀行 では初めて上海市人民政府対外経済貿易委員会との間で経済交流覚書を締結したことなどが 記載されていた。ヒアリングでも、中国との関係については、今のところは技術移転という よりは、安く製品を作るために進出している感じがあるとのことであった。モンゴルについ ては、モンゴルで戸建て住宅を建築した道内企業があるものの、現地とのパイプが重要との 指摘があった。北米や北欧については、制度が比較的スタンダードであることが長所との話 があった。 海外での成功事例についてもヒアリングを行う予定であったが、民間会社の成功事例を、 別の民間会社に話すのは難しい(守秘義務もある)とのことで、 「海外ビジネスにジェトロを こう使え(発行年:2011 年度、発行元:日本貿易振興機構)」を読むようにとのことであっ た。 「海外ビジネスにジェトロをこう使え」には、さまざまな業態の企業がジェトロの各事業 を活用しつつ、海外ビジネスに成功した 37 事例を紹介。実際の企業名や商品が示されている ほか、各社が主として活用したジェトロ事業・サービスが明記されていた。一方、エネルギ ー関係や積雪寒冷地の技術事例、ロシアへの進出事例は未掲載であった。 海外への技術移転の準備としては、法整備確認の指摘があった。なお、JETROには各 国の制度がデータベース化して整理されており、それを活用することが可能とのことであっ た。また、知的財産権についても、検討を行う必要があるとのことであった。海外への技術 移転の準備に向けては、JETROのさまざまな支援コンテンツが掲載された「ジェトロの サービス(発行年月:2011 年 11 月、発行元:日本貿易振興機構)の紹介があった。主な支 援コンテンツの内容を次ページに整理した。表のようにさまざまなコンテンツがあり、世界 各国 80 箇所(ロシア極東にはなく、モスクワとサンクトペテルブルグにある)にあるJET ROの現地事務所を活用した調査サービスもあった。 327 ■「ジェトロのサービス」の概要 項目 名称 内容 海外経済・ ジェトロ海外情報ファイル 世界 60 カ国・地域のビジネス情報を集めたデータベースから 貿易情報を (J-FILE) 必要な情報(概況、政治、経済、ビジネス動向、貿易為替制 入手したい 度、投資制度など)を入手できる Web サービス。 ビジネスライブラリー 世界各国の統計、企業・団体名簿、貿易・投資制度、関税率 表、貿易・投資実務書など各種資料を確認できる。 貿易・投資 貿易投資相談 Web サイトで、貿易投資に関する各種質問(輸出入の際の手 についての 続きの流れや現地の法規制、会社を設立する際の手続きや 相談したい・ 法規制)をアドバイザーとの個別面談で解決する。 知識 を得た 海外ブリーフィング 世界約 70 ヶ所の海外事務所にて、現地一般経済情報やビジ い サービス ネス環境(現地商慣習、現地法人設立の手続きなど)につい て、海外駐在員が情報提供する。 輸出支援相談サービス 農林水産物・食品、ファッション・繊維、デザイン製品、伝統産 品、コンテンツ、機械・機器、環境・エネルギーについて、主要 国・事務所にコーディネーターを配置して相談に応じる。 知財財産保護関連 海外ビジネスでの知的財産侵害リスクの回避方法や、海外市 サービス 場での模倣品問題の解決に役立つサービスを提供。 海外の取引 引き合い案件 Web サイト上で海外や日本のユーザーが登録した約 20000 件 先を開拓し データベース の商品・部品の輸出入、業務提携、技術交流などの幅広い分 たい 野のビジネス案件を閲覧できる。 海外ミニ調査サービス 国際ビジネスへの足がかりとしての取引先候補の外国企業 検索、統計資料など、ワンポイントのビジネス情報収集を行う (世界約 70 カ国の海外事務所で実施)。 ビジネスアポイントメント 日本国内企業の指定した外国企業とのアポイントメントを取る 取得サービス サービス。 海外進出を 海外進出企業の 海外事務所において現地の経済・産業・制度情報、ビジネス 実現したい 支援サービス 環境等各種情報を提供する。個別相談により問題解決の支 援を行う。 328 ① 積雪寒冷地特有技術の国外移転企業へのヒアリング(防雪柵の事例) 積雪寒冷地特有の技術を実際に国外へ移転している企業への調査として、吹雪対策用の防雪柵 をロシアへ移転することを試みている企業へのヒアリングを行った。ヒアリングは平成 24 年 2 月 6 日(月)に実施した。ヒアリング結果を以下に示した。 技術移転の内容は、サハリン州での防雪柵試験設置プロジェクトを実施ということであった。 経緯としては、2008 年 8 月にロシアビジネスに興味をもち各種セミナーに参加したのが始まりで、 2010 年には 2 月と 12 月の 2 回にわたりサハリン州ユジノサハリンスク市で開催された「北海道 とロシア連邦極東地域との経済協力に関する常設合同委員会」に出席され、2011 年防雪柵試験設 置箇所を決定するためサハリン州トマリを視察されたとのことであった。 ロシアで北海道の技術は通用するかという質問に対しては、北海道で培われたあらゆる分野の 技術が通用する、特に寒冷地技術に関して需要性が高いとの話があった。ただし、参入する上で の課題として、GOST−R規格の認証を取得する必要があること、パートナーの確保が必要で あること、国民性を理解する必要があることを指摘された。ロシアについては、今後、更なる経 済成長が見込まれることから将来性は期待できるとのことであった。 なお、ヒアリング時の参考資料となった以下の資料の概要を次ページ以降に示した。 ○ロシア極東と北海道との貿易研究(平成 22 年 3 月) ○ロシア極東地域における住宅建材市場の調査(平成 22 年 1 月) ○北海道-ロシア極東地域間交流支援事業 研究会・事前調査報告書(平成 22 年 1 月) ○サハリン州 ビジネス案内書(平成 20 年度) 329 ■「ロシア極東と北海道との貿易研究」の概要とポイント 資料名 ロシア極東と北海道との貿易研究 発行年 平成 22 年 3 月 発行元 社団法人 北方圏センター URL http://fec-jpn.com/hoppokencenterarticle.pdf 概 要 第 1 章:世界金融恐慌後日ロ経済はどう変化するのか NPO 法人ロシア極東研代表理事の望月喜市氏が、世界金融恐慌後の日本・北海道と ロシア・極東との経済関係の変化について統計データに依拠して詳細整理。 第 2 章:ロシアとの貿易における契約、流通について NPO 法人ロシア極東研理事の丹治宏剛氏がロシアとの貿易を行う際に基礎知識とし て知っておくべき事項のうち、契約、流通関係に絞って解説。 第 3 章:サハリン住宅建設事情 平成 21 年 9 月に、北方圏センターが他団体と共催して行ったサハリン州ビジネス セミナーの概要を紹介。 ポイント 第 1 章:世界金融恐慌後日ロ経済はどう変化するのか ・極東での日ロの有望な協力分野の第一としてエネルギー部門が記載されている →ただし、再生可能エネルギーについての記載はなく、サハリン産 LNG 及び石油 の対日供給、投資拡大、探鉱協力が主となっている。 330 ポイント 第 2 章:ロシアとの貿易における契約、流通について ・ロシアも加盟している 1980 年に採択されたウィーン売買条約により、国際貿易 における契約は口頭であっても有効とされているが、ロシアでは書面における締 結を必要とする。 ・ロシアとの貿易において、ロシアへの輸出に必要な認証制度である「GOST-R」は 避けて通れない。 ・HS コードは国際的に用いられる関税分類システムをもとにロシア政府により定 められている。ただしロシアではこれを「HS コード」とは呼ばないので取引先 と意味が通じないことがあるので注意が必要。ロシア語では「ТН ВЭД」と 呼んでいるが、実質的には同じものを指す。 ・ロシアへの商品輸入の場合のプロセスは以下のとおりである。 ①ロシア連邦への貨物到着手続きが行われる ②税関申告書、貨物に関する必要書類が提出される ③ロシア連邦内への輸入の際、税関は輸入者より通関手数料を徴収する ・通関手数料としては主に以下の費用が課される。 ①関税、②通関手数料、③VAT(付加価値税) 、④保税手数料、⑤物品税 ・通関手続には、国の機関による次のようなさまざまな認証、証明書の提出が必要。 ①原産地証明書、②安全性証明書、③検疫証明書、④獣医証明書、⑤衛生証明書、 ⑥自動車排気ガス規制証明書税制度 ・契約書は英語もしくは英語とロシア語で作成されることが多い。 ・基準となる契約書ひな形は特に設定されていないが、国際貿易に用いられる一般 的な契約書が用いられることが多い。 ・代金回収の問題などが指摘されているように、ロシア側の取引先選びと同時に支 払い方法の厳格化は大変重要。 第 3 章:サハリン住宅建設事情 ・2009 年の統計によると 1 年間に建設されている住宅の総面積は 6 万平方メート ル。 ・不景気にもかかわらず住宅建設は予定どおり継続。 ・インフラは 7 割くらい老朽化。 ・古い住宅を取り壊しながら新しい住宅を購入させるこのプログラムは 2015 年ま で予定されており、3∼4 億ドルの経費が必要。 ・ロシアで建てられる一軒家の面積は 200 平方メートル(65 坪)程度。 331 ■「ロシア極東地域における住宅建材市場の調査」の概要とポイント 資料名 ロシア極東地域における住宅建材市場の調査 発行年 平成 22 年 1 月 発行元 日本貿易振興機構(JETRO) URL http://www.jetro.go.jp/world/russia_cis/reports/07000226 概 要 極東ロシアの住宅市場動向、資材・製品別住宅建材などの市場状況、一般的なマー ケティングと流通システム、住宅建材に関わる輸入流通制度、ロシア極東の寒冷地 住宅事情などについてまとめるとともに、住宅市場が抱える問題やロシア極東での ビジネスについて宅建材の輸入販売会社、住宅建設会社へのインタビューを掲載し ている。また、住宅建材の対ロシア極東への市場開拓の参考資料として業界紙(専 門誌) ・見本市情報、関連企業・団体リストを収録している。 ポイント 住宅に関する情報が多いが、エネルギー関係の記載は少ない。 冷暖房システムとそのエネルギー源 ロシアの集合住宅は基本的に、各地区にある熱併給火力発電所に接続され、供給さ れる温水により暖房が提供される地域暖房システムが確立されている。従って、集 合住宅においては、暖房器具等の需要はさほどないといえる。一方、戸建住宅の場 合、ディベロッパーが開発した集合住宅地においては、住宅すべてが地域暖房シス テムに接続されるよう整備されることが一般的である。しかしながら、郊外の市街 地や幹線道路から離れたところにある戸建住宅では、地域暖房システムに接続でき ないことがある。この場合、暖房、給湯、電気、水道などのライフラインを、施主 自らが整備せねばならない。従って、接続工事から周辺道路の整備に至るまで、多 額の費用がかかる。このように、公共のライフラインに接続されない住宅では、生 活用温水と暖房を賄うために、ボイラーが備えられている。熱源については、ガス (プロパンガスもしくは都市ガス)、軽油、電気、固形燃料(石炭、薪、コークス 等)等で、熱源に応じたボイラーが選択されることになる。ちなみに、水道管が届 かない場所では、井戸を掘って、生活用水を賄うこともある。集合住宅と同様に、 各部屋に張り巡らされた配管に温水を供給する温水暖房方式が採用されることが 一般的である。最近では、床暖房などを取り入れるケースも目立ち始めている。 ・価格傾向 導入コスト=ガス>軽油>電気>固形燃料 ランニングコスト=固形燃料>電気>軽油>ガス 導入比率=軽油>固形燃料>ガス>電気 ・売れ筋のデザイン・材料 都市部のガス供給網に接続できる地域であれば、ランニングコストの安いガス が選択されることが多い。それ以外の場合は、導入コストとランニングコストの 兼ね合いから、軽油が選択されるケースが多い。 332 床暖房などについて ロシア極東における床暖房及びそれに関連する商品は、ソビエト連邦が崩壊して市 場に色々な商品が入り始めたのと合わせて、市場で取り扱われるようになった。ロ シアの経済が上昇傾向に入った 2000 年代から普及が急速に広がり、現在は少なく なく見積もっても、ロシア極東の約 50%もの世帯で、住居のどこかに床暖房が設置 されていると見られている。住居内の部屋別でみると、床暖房の需要が一番高いの は浴室、その次に台所となる。居間や子供部屋など、部屋面積が比較的大きくなる 箇所へは、費用の面から後回しにされる。最も普及している床暖房は、電熱線方式 であるが、最近 2、3 年で、主に韓国メーカー製の遠赤外線フィルムによる床暖房 が出回り始めてきている。融雪マットなど、屋外での融雪目的で設置される商品は、 ロシア極東の市場では現時点で確認されない。ロシア極東で日本製建材を輸入する 業者が、日本から試験的にサンプルとして取り寄せた融雪マットが確認される程度 である。同業者への聞き取り調査では、「ロシア極東では、融雪目的で、雨どいな どに沿うように、樹脂コーティングされた電熱線ケーブルを設置するのが一般的。 戸建住宅の屋外を部分的に融雪する目的では、費用の面から見ても、マットよりも ケーブルの形態が好まれる。」とのコメントが聞かれた。 外壁の断熱・防寒対策 ロシア極東で外壁の断熱・防寒対策に用いられる資材は主に下記のとおり。 ①気泡コンクリート ②ロックウール ③グラスウール ④発泡スチロール ⑤膨張粘土 このうち、ロシア極東の戸建住宅で、もっとも多く使われているのが、ロックウー ル(岩綿)と発泡スチロール製の断熱材である。ロックウールは大半が輸入品で、 ロシア極東では、ROCKWOOL 社、ISOVER 社などの製品が見られる。発泡スチロール については、国産品もあるが、ロシア極東では、地理的に近いせいか、韓国からの 輸入品が多い。ロックウールの安全性に関する規定については、ロシア国家規格 (GOST)4640-93「ロックウール、技術条件」において定められている。ロシア国 内で流通しているロックウール製品は、原則として GOST 認証を受けており、他の 断熱材などと同様に建築資材として多く用いられている。したがって、GOST 認証 を受けている限り、安全性に起因する使用禁止の規定や厳格な表示義務は、現時点 ではないようである。また、高層の集合住宅や商業施設の場合は気泡コンクリート とスラグレンガが使用されるケースが多い。 333 ■「北海道-ロシア極東地域間交流支援(RIT)事業 研究会・事前調査報告書」の概要とポイント 資料名 北海道-ロシア極東地域間交流支援(RIT)事業 研究会・事前調査報告書 発行年 平成 22 年 1 月 発行元 第 2 回 道銀ロシア極東寒冷地住宅関連研究会 概 北海道銀行法人営業部参与の西山氏がロシア極東(ウラジオストック、ハバロフス 要 ク)を事前調査した際の報告書の調査概要のまとめ。戸建て住宅視察時に 20∼30 戸の戸建て省エネ住宅団地の建築現場を視察している。派遣期間は平成 21 年 10 月 18 日∼10 月 23 日。 ポイント ・高級住宅団地のすぐ近くに、現行の給与ベースで購入可能なリーズナブルな戸建 て住宅を建設中であるが、外装材は使用されるレンガ造りの住宅である。 ・富裕者層の団地とは違い保養、遊戯施設などは整備されていなく、太陽エネルギ ーを活用した熱交換システムを設置した省エネ住宅の団地となっている。 太陽光熱交換パネル 334 ■「サハリン州 ビジネス案内書」の概要とポイント 資料名 サハリン州 ビジネス案内書 発表年 平成 20 年度 資料元 サハリン州の国際・対外経済・地区間・委員会 概 1.サハリン州の一般的な情報 要 2.サハリン州の経済ポテンシャル 3.サハリン州の経済の主要産業 4.海外経済活動 5.観光 6.銀行システム 7.サハリン州における州政府の経済・投資政策 8.外国人がロシア連邦に滞在する規則・書類の作成について 9.土地及び不動産に関わる取引 10.コンタクト情報 ポイント エネルギーに関する記載と規則・書類の作成部分に有益な情報あり。 3.3.電気・エネルギー ・サハリン州の電気・エネルギーシステムの特徴はロシアの電気・エネルギーシス テムからの独立であり、サハリン州の中でも独立している電気・エネルギーシス テムが多く存在している。 ・中央電気・エネルギー地方はサハリンの国営区発電所、ユジノサハリンスクの熱 併給電発電所 1 箇所、ノグリキ水力発電所というノグリキガスタービン発電所を 含んでいる。 ・オハ地域ではオハ熱併給電発電所が主要な発電所である。 ・クリル島の 4 つの独立している電気・エネルギーシステムは 9 つのディーゼル発 電所、2 つの地熱発電所を含んでいる。 ・その他、11 の遠隔市町村では 27 のディーゼル発電機がある。 ・サハリン州では石油、ガス、石炭、褐炭、地熱、火力エネルギーなど代替エネル ギーを含め、さまざまなエネルギーの発展が可能。 8.外国人がロシア連邦に滞在する規則・書類の作成について(概要のみ抜粋) ・外国人及び無国籍者のロシア連邦への入国ビザには関係機関が交付する招待状が 必要。ビザがいらない場合でもロシア連邦に入国する為に招待状が必要。 ・ロシア連邦の法律に基づきビザが有効な時間に入国、滞在、通過を許可。 ・外国人がロシア連邦に入国する際に滞在登録されていることが必要。72 時間以上 同じ町に滞在する場合は、入国から 72 時間以内に滞在登録が必要。滞在登録の 手続きは滞在したことをサハリン州における移民局に通知する。 335 ② 既存資料からのニーズ整理(オホーツク海を利活用した交流に関する検討調査報告書) 北海道開発局が平成 20 年 3 月に作成した「オホーツク海を利活用した交流に関する検討調査報 告書」では、積雪寒冷地特有の技術を国外(ロシア)へ移転するに当たっての現地アンケート調 査によるニーズの抽出を行っていた。現地アンケート調査は、積雪寒冷地建設技術及び建設資材 5 品目が出展したウラジオストクでの見本市(第 15 回特別見本市「建設 2007」)で行われており、 会場来場者 99 名から回答を得ていた。 建設技術へのニーズについては、次ページ上段のように「省エネ技術」を必要とする企業が最 も多く、6 割以上が「省エネ技術」と回答していた。また、建設資材へのニーズについても、次 ページ中段のように「省エネのための設備」が、 「環境や健康に配慮した資材」について高かった。 一方、海外企業・研究機関との技術交流を行わない理由としては、次ページ下段のように「交流 の機会や情報の不足」が全体の半数以上と最も多かった。自由回答にも、 「情報が十分であれば協 力したい」、「販売状況、価格などを知りたい」、「日本の建設分野に関する情報が足りない」、「日 本の技術についてもっと知りたい」など情報不足についての指摘が多かった。一方で、 「一般的に 日本の製品は品質が最高だが、値段が高く、中国との競争が厳しい」というコスト面での短所を 挙げる回答者もいた。 アンケート調査の結果は以下のようにまとめられていた。 ①北海道の技術・資材に高い関心 ・見本市ブースは盛況であり、北海道の技術・資材への高い関心が確認できた。 ②省エネ、環境、安全へのニーズの高さ ・「省エネ技術」や「環境や健康に配慮した資材」へのニーズが非常に高い。 ・その他のニーズとしては「防災技術」、「省エネ資材」が多い。 ③日本との技術交流ニーズの高さ、省エネ・安全対策に関心。 ・日本の企業及び研究機関との技術交流に関心があるとの回答は 8 割を超え、多くの企業 が関心を示している。 ・省エネや安全対策技術に関心があるというコメントが多数確認された。 ④日本に関する情報不足の指摘 ・回答者の半数以上が情報不足を挙げている。 ・自由解答欄においても日本の情報を求める声が多数聞かれた。 336 ■建設技術へのニーズ ■建設資材へのニーズ ■海外企業・研究機関との技術交流を行わない理由 337 (3)技術移転に向けた検討 スマートコミュニティは再生可能エネルギーを最大限に活用し、エネルギーの消費(原油、 石炭等)を最小限に抑える仕組みや社会インフラのことである。したがって移転に当たっては、 インフラ関連産業としての視点が重要である。 ① 技術移転計画の検討 技術移転に当たっては、実現までの全体計画をイメージする必要がある。それぞれの手順に おける概要を以下に示した。なお、実施に当たっては、準備から完了までの一連の作業工程を ロードマップにし、常に現在のステップを確認しながら進めることが重要である。国内外への 技術移転までの手順を整理するとともに、それに対応する北海道貿易情報センター(ジェトロ 北海道)のサービスを示した。 1)進出(投資)目的の明確化 まずは、進出の目的と時期の明確化を行う。 「コスト対策」、 「市場対策」 、 「納入先企業との関 係強化」など、企業によりその目的は異なる。 スケジュールの遅延が起こった場合は、その原因を抑えておくことが必要である。 2)進出地域の基礎調査 地域概要、経済の現況、社会基盤整備に係る現地調査などを実施する。特に、発展途上国の 場合は、国際情勢・政治情勢・社会動向などを把握しておくとともに、貿易保険の検討も行う。 3)雇用、原料、資金調達方法についての検討 社会・生活状況(人口推移・失業率・平均所得の推移) 、原材料等をどの程度現地調達可能か を調べる。資金調達方法、商習慣などを調べる。 4)商品展開方法についての検討 進出地の製品調査(品質・価格)、調達手段、輸送ルートなどの調査を行う。 5)実務貿易についての検討 輸出については、日本の輸出規制と相手国の輸入及びその他の取引規制を確認する必要があ る。また、通関手続き、費用などの調査を行う。特に、輸出手続き、通関手続き等は、現地の 状況をよく知る者がいるか、現地パートナーがいなければ、誰がどのように行うのか検討をし なければならない。 6)立地場所の選定 施設設置許可、周辺住民への事前説明、生活環境影響評価の必要性を確認する。また、各種 環境規制の有無についても調査を行う。 7)事業体制の構築 合弁、パートナー、社員教育、労務管理、プロジェクトチーム等体制について検討を行う。 8)法規制等への対応 法規制等の調査を行い、対応を検討する。 338 9)経済性の検討 投資回収計画、事業の実現可能性の検討を行う。可能な限り、日系・地場の企業より以下の 事情の説明を受ける。その際、将来の見通しも必ず聴取する。 ・ 「現地採用者の技術力等、現地製品の品質等、資金融資等」について ・ 労働の需給 ・ 賃金の上昇 ・ インフレ率 ・ 原材料現地調達比率 ・ 為替(外貨の調達も含め) ・ 金利 ・ 税率変更 等 10)課題整理 1 から 9 までの調査結果をもとに、課題の整理を行う。 12)展開可能性のある積雪寒冷地技術の抽出 展開可能性のある製品の抽出と選定理由をまとめる。 13)ヒアリングとアンケート 現地企業、行政機関にヒアリングを行い、展開可能性を確認する。 14)積雪寒冷地技術の展開シミュレーション 展開シミュレーションを行い、展開課題と対応策を練る。 339 ■「サハリン州 ビジネス案内書」の概要とポイント 国 国 関連する 内 外 ジェトロのサービス例 ○ ○ △ ○ ○ ○ ○ ○ △ ○ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ ①∼⑨の課題を整理する ○ ○ 展開可能性のある製品の抽出 ○ ○ ⑫ヒアリングとアンケート 現地で展開可能性を確認 ○ ○ ⑬展開シミュレーション 展開課題と対応策を検討 ○ ○ 概要 ①進出(投資)意義の明確 化 ②進出地域の基礎調査 ③雇用、原料、資金調達 方法の検討 ④商品展開方法について の検討 ⑤実務貿易についての検 討 ⑥立地場所の選定 ⑦事業体制の構築 ⑧法規制等への対応 ⑨経済性の検討 ⑩課題整理 ⑪展開可能性のある 積雪寒冷地技術の抽出 進出の目的と時期の明確化 地域概要、経済の現況、社会基 盤整備に係る現地調査 社会、生活状況、原材料などの 調査 製品調査、調達手段、輸送ルー トなどの調査 輸入及びその他の取引規制を 確認 施設設置許可、周辺住民への 事前説明などの必要性を確認 合弁、パートナー等体制につい て検討 法規制の確認 投資回収計画、事業の実現可 能性の検討 ■海外情報ファイル ■ブリーフィングサービス ■ビジネスライブラリー ■ブリーフィングサービス ■ビジネスライブラリー ■ブリーフィングサービス ■貿易投資相談 ■ビジネスライブラリー ■ブリーフィングサービス ■海外ミニ調査サービス ■引き合い案件 DB ■ビジネスライブラリー ■ブリーフィングサービス ■輸出支援相談サービス ■海外ミニ調査サービス ■海外ミニ調査サービス ■引き合い案件 DB ○:必要、△:状況に応じて必要 340 ② 課題の整理 北海道開発局が平成 20 年 3 月に作成した「オホーツク海を利活用した交流に関する検討調査報 告書」では、積雪寒冷地特有の技術を国外へ移転するに当たっての課題が以下のように整理され ている。 ≪北海道企業が実際に経験した課題≫ ①GOST−R、建設基準等のロシア企画への対応:許認可や資格への対応 ②資材機材の持ち込み:建設機械や化学製品などの持込が許可されない事例 ③公共事業への参画:行政サイドにおける凍結や担当者の移動など ④合弁事業の失敗:合弁による所有権や財産の損失など ⑤その他:管理体制が不十分、情報漏洩、採算性の悪化 ≪企業ヒアリングや検討委員会を踏まえた課題整理≫ ①貿易実務面 ・貿易実務に関する人材の不足 ・北海道企業の語学力(ロシア語、英語)不足 ・国際規格認証や各種許認可手続き、取得の煩雑さ ・法令や基準等の頻繁な変更への対応 ・信頼できるカウンターパートの発掘 ・事業経費積算制度の向上(翻訳・通訳、企画認証審査等経費含む) ②物流・流通面 ・大陸へのフェリー直行ルートの確保 ・大陸ロシアへの航空機直行ルートの確保 ・ロシア側通関における滞貨への対応 ・新規商材への許認可への対応 ・トータル輸送コストの削減 ③需給面 ・高品質、高性能商品の販売 ・環境技術や冬季施工対応などの技術力 PR ・戸建て住宅など新たなニーズへの対応 ・ロシア、中国、韓国等の安価な外国産商品に対する価格競争力の弱さ ・国内他地域との差別化 ④その他 ・知的財産管理、守秘義務情報の管理 ・現地完成品査定 ・商品の盗難防止 341 ③ 課題解決のポイント 中小企業海外展開支援北海道会議(事務局:北海道経済産業局、日本貿易振興機構北海道貿易 情報センター、中小企業基盤整備機構北海道支部)の発行した平成 23 年度版「中小企業のための 海外展開支援ガイドブック」では、平成 22 年度に北海道経済産業局が実施した、海外展開を進め ている道内中小企業等に対するヒアリング結果を踏まえて、海外展開の取組ポイントを以下のよ うに整理している。 ○明確な企業戦略 どこの国の、どのような層をターゲットに、何が売れるか(自社製品にどのような強みがあ るか) 、どのように売るかを明確に。 ○自らの目でマーケット、パートナー企業を確認 現地の消費動向の確認、信頼できるパートナー企業の選定は、最終的には自らの目で見て判 断することが重要。 ○リスクの回避、最小化 海外ビジネスでは、最終的にはリスクを自ら取る覚悟が必要。その上で、契約条件、代金回 収、クレーム処理等のトラブルにかかるリスクを事前に十分にシミュレーションして、リスク 回避、軽減対策をとることが重要。 ○一過性の取組に留まらない長期的な視点での取組 1 回の商談会参加では継続的な取引にはつながらない。相手側取引先との信頼関係を構築す るためには繰り返し商談会等に参加するなど長期的な取組が重要。 ○国内販売とは視点を変えた商品の提案 相手国や売り先を考えて、異なる食べ方や日本とは別の使い方を提案する、相手国の嗜好に 応じた商品を提案することは効果的。 ○公的支援の積極的活用 公的機関が主催する商談会への参加は、海外企業とのビジネスマッチングの場として効果 的。語学、輸出実務などについては、最初はアドバイザー支援を受け、経験を積むことによっ て、自社で対応可能となる。 342 ヒアリングや既存文献の整理結果、課題の整理結果、北海道経済産業局が実施したヒアリング 結果を踏まえると、課題の解決にむけては、以下の 2 点は特に重要であると考えられる。 ○ビジネスパートナーの確保 国外への技術移転をスムーズに行うためには、相手国の国民性を理解するとともに、適 切なビジネスパートナーを得ることが重要なポイントである。 ○情報の収集 相手国の課題、法規制、商習慣などを十分に認識した上での対応が求められるため、相 手国の情報を収集することが必要である。 北海道には、前述の独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)以外にも、道産品の輸出促 進など海外とのビジネス展開サポート、さらには海外企業の道内への誘致と東アジア諸国を対象 としてさまざまな情報を収集提供し、本道経済の国際化の推進をめざす北海道国際ビジネスセン ター(HIBC)もある。このような協力機関の情報や支援サービスの活用は課題解決の第一歩 と考えられる。また、国や地域によっては、すでにパイプを持つ企業や自治体もある。このよう な企業や自治体を含めた複数主体(企業、団体、自治体)が連携し、パッケージとして活動する ことも、ひとつの方法である。 343 ④ まとめ 第 4 章で整理したスマートコミュニティに関するアンケート調査において、 「スマートコミュニ ティ参入への課題」としては、下図のように、 「情報が不足している」が 19.3%、 「市場に魅力が ない(市場が成熟していない、将来性がない)」という回答が 3.3%を占めた。 ■スマートコミュニティ参入への課題 わからない 4.1% その他 3.7% 他の事業者との連携が必要 10.7% 情報が不足している 19.3% 市場に魅力がない(市場が成 熟していない、将来性がない) 3.3% 技術開発やサービスを 提供する人的余裕がない 13.9% 技術開発のノウハウがない (自社技術やサービスの分野 に合致しない) 10.2% 現状では補助金・支援制度 が不十分である 中長期的な投資をする 16.0% 余裕がない 16.8% PR活動する機会がない 2.0% さらに、アンケート結果を業種別で整理した結果を次ページに示した。図のように、 「市場に魅 力がない(市場が成熟していない、将来性がない) 」という回答は、建設業、コンサルで各 2 票、 石油石炭製品、情報・通信業、サービス業、法人・NPOで 1 票得られている。建設業やコンサ ルからの回答が多かったように、北海道ではインフラ整備関係の事業を中心に景気のよくない状 況が続いている。 一方でこのようなインフラ整備に関する積雪寒冷地の技術としては、前述の防雪柵の技術もそ うであるように、北海道の技術は日本でも高いレベルにあり、世界的にも高い水準にあると考え られる。スマートコミュニティは再生可能エネルギーを最大限に活用し、エネルギーの消費(原 油、石炭等)を最小限に抑える仕組みや社会インフラのことである。したがってその技術移転に 当たっては、他のインフラ整備に関する積雪寒冷地の技術と同様に、北海道で培われた技術を国 内外の積雪寒冷地にも適用できる可能性がある。また、国外の都市を意識したスマートコミュニ ティ要素技術の今後の研究、実証面においても、北海道の積雪、寒冷、豪雪という環境条件はか なり厳しい条件にあり、国内外に適用可能な技術の開発に適していると考えることができる。 前述のように、国内市場で行き詰まり感のある分野については、今後の新規市場の開拓の意味 でも、上図のように、 「情報が不足している」などの大きな課題を解決しながら国外への展開が望 まれるところである。独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)や北海道国際ビジネスセン ター(HIBC)の国際的なビジネス展開のコンテンツを利用し、相手国の課題を十分に分析、 認識することで、次ページのように世界の積雪寒冷地に向けてスマートコミュニティ技術を移転 344 していくことが可能であると考えられる。 以降に、北海道で研究開発が進められており、将来的な国外への展開も考えられる要素技術の 例を示した。 ■スマートコミュニティ参入への課題(業種別回答結果) 将 0 0 0 2 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 5 3 2 3 6 1 25 0 0 2 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 1 0 0 0 2 8 わ か ら な い 全 体 積 み 上 げ ) ビ そ の 他 、 自 社 技 術 や サ 市 場 が 成 熟 し て い な い 他 の 事 業 者 と の 連 携 が 必 要 ( ︵ 345 0 0 4 5 0 1 1 0 0 0 3 1 0 0 1 0 0 0 3 4 3 4 5 4 39 来市 性場 がに な魅 い力 が な い ︶ 0 0 3 6 0 1 0 0 0 1 1 0 0 0 3 0 2 0 5 6 3 5 5 0 41 支 援 制 度 が 不 十 分 で あ る ス技 の術 分開 野発 にの 合ノ 致ウ しハ なウ いが な い ー 0 0 1 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 1 0 5 現 状 で は 補 助 金 ︵ 0 0 2 2 0 1 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 4 8 2 4 7 2 34 中 長 期 的 な 投 資 を す る 余 裕 が な い ︶ 0 0 4 4 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 1 1 2 0 5 7 4 5 9 3 47 ビ ス を 提 供 す る 人 的 余 裕 が な い P R 活 動 す る 機 会 が な い 、 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 パルプ・紙 化学 石油石炭製品 鐵鋼 非金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機械 電気・ガス業 陸・海・空運業 情報・通信業 銀行業 サービス業 法人・NPO 大学 リサイクル IT コンサル 合計 技 術 開 発 や サ ー 情 報 が 不 足 し て い る 0 0 2 3 0 1 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 3 4 1 2 5 3 26 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 2 0 0 0 1 0 1 0 1 1 0 0 0 1 9 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 2 3 1 0 2 0 10 0 0 18 23 0 6 4 0 0 3 11 1 0 0 6 4 6 0 30 37 16 23 40 16 244 ■積雪寒冷地特有の技術の国内外への移転方策イメージ 短期的なスマートコミュニティの技術移転イメージ ・ 省エネルギー技術や現段階の技術を現在ビジネス交流のある積雪寒冷地(サハリン、モン ゴルなど)に移転する。 北方型住宅(高気密の省エネルギー型住宅) 雪冷熱の活用 バイオエタノールやBDF 積雪寒冷地における太陽光発電パネルの設置のノウハウ など 中長期なスマートコミュニティの技術移転イメージ ・ 実証実験などを行いながら確立したスマートコミュニティに関連する技術を北欧も含めた 積雪寒冷地に移転する。 炭素回収・貯留(CCS)や石炭層の鉱床メタンガスの活用技術 寒冷地における再生可能エネルギーの組み合わせ技術 ごみ処理を考えたハイブリッド型エネルギーシステム 寒冷地におけるバイオマス発電と制御システム 北方型スマートハウス(HEMS) 電気自動車寒冷地適用 農場エネルギー管理システム など ■短期的イメージ モンゴル (旭川市などが交流) 既存技術をビジネス交流のある 積雪寒冷地へ移転 ■中長期的イメージ 北欧などにも移転 積雪寒冷地へ移転 実証実験などを行い確立した、積 雪寒冷地のスマートコミュニティ の技術を移転 南半球の寒冷地にも移転 346 ■積雪寒冷地域で適用可能と考えられる道産EV 道内民間企業 9 社と北海道立総合研究機構による寒冷地向け道産EVの 1 号車製作 寒冷地向け道産EVの 1 号車を製作し、札幌モーターショー2012 の会場に展示した。道内 をはじめ寒冷地で安心して乗れるEVの開発を 2011 年 6 月から取り組んでいた。リチウムイ オン電池が切れたときに備え、LPG(液化石油ガス)を燃料とする充電用の小型発電機を搭 載。また、電力消費を抑えるため、暖まった空気を車外に逃がさないように天井や床に断熱シ ートを貼り付け、ヘッドライトは発光ダイオード(LED)に交換している。 ■積雪寒冷地域で適用可能と考えられる球状太陽電池 京セミ(株)(工場:恵庭市)による球状太陽電池の開発 スフェラーは、京セミで開発した球状太陽電池で、従来の太陽電池が平面を使って発電す るのに対し、球の形をとることで、より効率的な発電と柔軟なアプリケーションを可能にし たものである。一粒が 1∼2mm程の大きさで京セミが世界に先駆けて独自に開発した。 ※出典 「京セミ(株)パンフレット」 。 347 ■積雪寒冷地域で適用可能と考えられる太陽光発電の要素技術 稚内サイト(NEDO)による太陽光パネルの積雪対策実験 稚内サイトでは、北海道、東北などの積雪寒冷地に、太陽光発電所を建設する場合に参考 となる、実証実験を行った。 北海道、東北の一部地域では、風が強く吹いたり、降雪量が多い地域があり、そのほかの 地域のように、必ずしも最適傾斜角で、太陽電池の架台を取り付けることが、対費用効果の 面で有利ではないことが分かった。 例えば、積雪が多い地区では、最適傾斜角に比べ若干発電量は減るものの、架台の傾斜角 を大きくし太陽光モジュールの嵩上げやスペースを設けた方が、雪が溜まりにくくなるため、 耐積雪荷重が軽減され、架台コストが下がる。また、風圧荷重が多い地域の場合では、同じ く傾斜角を小さくしたほうが、風の抵抗が減るため、耐風圧荷重が軽減され、架台コストが 下がる。 太陽光パネルの設置面積の観点で見た場合、太陽光パネルを支える母屋材は本数が多いた め、軒を付けて力を分散させることにより、同じ強度でより多くの太陽光パネルを据え付け ることができる。 ※出典 大規模太陽光発電システム導入の手引書(2011 年、稚内サイト・北杜サイト) 稚内サイトにおける実証研究(2009 年、NEDO) 伊藤組モテック(株)(石狩市)による高出力多結晶シリコン太陽電池モジュールの発売 自社ブランドの太陽電池モジュールは多結晶シリコンセルを採用しており、日本国内にお いて高い製造技術と厳しい品質管理によって生産され、国際規格に適合している。積雪地域 での使用可能な耐荷重強度の仕様で、住宅用・産業用にも最適なデザインは日本の屋根に美 しくフィットする。平成 24 年春頃にはさらに発電効率の高い単結晶モジュールを商品化する 予定がある。 ※出典 「伊藤組モテック(株)パンフレット」 348 7章 スマートコミュニティ構築に向けた普及イベント等の開催 本章では、スマートコミュニティに関する情報の共有と受発信、地域との連携のために行っ た勉強会、座談会、フォーラム、住民ワークショップの結果概要を示す。 7−1 スマートコミュニティ構築に向けた各種普及イベント等の概要 以下に、各種普及イベントでの意見概要を整理した。各種普及イベントの開催結果概要は次 節以降で示す。 ■各種普及イベントでの意見概要 項目 勉強会 開催地域 先導モデル地域 意見概要 ・ (第 1 回∼4 回) ( 恵 庭 市 、 千 歳 ・ 市、苫小牧市) ・ 今後の推進母体や進め方、自社のポジションがよくわからない。 既に取り組んでいることの情報発信が難しい。 高齢化や観光振興といった、地域の課題と結びつけ、まちづくりとし て進めるべきである。 ・ 官民一体で進めていく勉強会という位置づけは意義がある。各省庁 間で壁がないように取り組んでほしい。 ・ 企業としては採算性が重要である。補助金などを含め、資金の枠組 みが見えてくることを期待したい。 ・ スマートコミュニティの技術は必ずしも新技術といったわけではない。 既存のものから生まれる場合もある。 ・ エネルギーの地産地消が課題である。 ・ ネットワークづくり、ネットワークとプロジェクト化で情報発信を行うこと や、民間でも発案していくことが大切。産官学金でスクラムを組むこと も大事。 ・ 既存技術の「マッチング」を担う人・場所がないことや、送電線などの 設備がない(環境が整っていない)ということは課題である。 ・ 今後スマートコミュニティを推進するに当たってどのように進めていく のかについては、経済産業省の補助事業を有効利用しながら、道内 企業でネットワークを作り進めていけたらと考えている。 ・ スマートコミュニティ構築を進めるに当たり、取り組まなかったらどうな るかといった発想で進めてはどうか。 座談会 (第 1 回∼3 回) 札幌市内 ・ 道内の他の企業は、どんな商品を取り扱っているのかわからない。 ・ すでに道内企業は高い技術を持っているが、異業種と連携して商品 化につなげることは少ない。 ・ 技術開発も重要だが、まず、スマートコミュニティが道民にとってど んなメリットがあるのか知ってもらうことが必要。 ・ 設備効率の面では研究開発が進んでいるが、商品化の段階に至っ ている技術は少ない。 ・ スマートコミュニティという観点から、これまでの基本性能に付加価値 をつけてわくわくする技術を提供できると良いのではないか。多少高 価でも買ってもらえる商品開発が必要である。 ・ 積雪寒冷地仕様の各種技術は北方圏からニーズが高いと思われる 349 が、海外進出に当たっては文化などの違いによるリスクが大きいこと も忘れてはならない。 ・ 北海道での実証実験を行い、その結果から北海道での技術開発の 方向性を見出すべきである。 ・ スマートコミュニティ構築に向けての仕組みや体制が不可欠である。 事業は民主導で官がコーディネートを担う体制も考えられる。 フォーラム 札幌市 ・ (エルプラザ) スマートコミュニティとは地域システムを構築することである。面的に 取組むためには行政だけではできないし、複数の民間企業がタッグ を組んでもらう必要がある。 ・ スマートコミュニティでは、行政や企業、大学、金融、市民、全ての主 体が関係している。地域全体のまちづくりと連動させることでスマート コミュニティの価値は高まる。 ・ スマートコミュニティは道内企業にとってもビジネスチャンスである。 ・ 住民に対してスマートコミュニティをイメージしてもらうためには、住宅 やEVなどを組み合わせたモデル住宅をつくるのが効果的である。 ・ 北海道の特性である、積雪寒冷地仕様のパッケージを展開すること が重要となる。それが、本州での先行事例との差別化になるし、海外 への展開の可能性も高まる。 ・ スマートコミュニティの推進体制としては、協議会を組織しながら情報 交換を行い、そこからプロジェクトメーキングが必要である。北海道に でもスマートコミュニティの推進体制(協議会)が必要ではないか。 ・ スマートコミュニティは、社会的な大きな流れであり、そこにビジネス チャンスもある。こうしたことを機会ととらえ、北海道内でもスマートコ ミュニティの促進とビジネスの拡大に向けて協議会などを組織し、連 携しながら進めることが必要。北海道におけるスマートコミュニティの ネットワーク組織を設立して、北海道型スマートコミュニティを目に見 えるようにして、道外への技術移転も進めていくことが必要。 セミナー 恵庭商工会議所 ・ 地域の資産価値含め、道の価値高めていくという道民全体の方向性 ができるようなビジョンができれば面白くなるだろう。 ・ ユニークな意見が多く、新しい視点が増えてワクワクした。災害の面 にプラスして、毎日ワクワクできる要素を含めたスマートコミュニティ ができるとよい。 ・ 自己負担は大きいが、長期で投資回収は可能であることを考慮して スマートコミュニティを構築できればよい。 ・ 現在は 1 つのシステムとして便利な社会ではあるが、停電などの災 害が起こった際に私たちは何もできない。コミュニティで取り戻す、考 えるということが大事で、今回の議論で、スマートコミュニティとは、 「便利な社会」から「深み、厚みがある社会」にしていくということがわ かった。 350 7−2 先導モデル地域における勉強会の開催 (1) 開催の経過 勉強会開催の経過は以下のとおりである。 勉強会は合計 4 回開催し、 「事業概要」 「スマートコミュニティの構成要素」 「スマートコミュニ ティモデルについて」「スマートコミュニティ構築」などについて議論した。 ■勉強会の開催概況 勉強会 第 1 回勉強会 開催日 主な内容 平成 23 年 11 月 15 日(火) ・スマートコミュニティ構築可能性調査の事業概 要 ・スマートコミュニティに関するご説明 ・スマートコミュニティを取り巻く情勢 ・質疑応答、意見交換 第 2 回勉強会 平成 23 年 12 月 8 日(木) ・住民・事業者アンケート調査結果について ・スマートコミュニティの構成要素について ・スマートコミュニティの主体別の役割について ・質疑応答、意見交換 第 3 回勉強会 平成 23 年 12 月 21 日(水) ・中小企業の参入事例について ・スマートコミュニティモデルについて ・全道の取組紹介 ・質疑応答、意見交換 第 4 回勉強会 平成 24 年 1 月 24 日(火) ・スマートコミュニティ構築に向けた進め方 ・経済産業省・環境省の関連事業について ・質疑応答、意見交換 (2) 開催結果 ① 第 1 回勉強会 開催概要 開催日時:平成 23 年 11 月 15 日(火)14:00∼16:15 会 場:恵庭市民会館 2 階大会議室 参加者数:44 名(先導モデル地区企業:13 名、先導モデル地区自治体:16 名 その他企業:1 名、その他自治体 関係機関:14 名) 報道関係者:2 社(3 名) 事務局(道庁:3 名、(株)KITABA:7 名、 (社)北海道開発技術セ ンター:2 名) 351 プログラム 1) 主催者挨拶 2) スマートコミュニティに関する説明 ・ スマートコミュニティ構築可能性調査の事業概要 ・ スマートコミュニティに関する説明 ・ スマートコミュニティを取り巻く情勢 3) 質疑応答、意見交換 4) 閉会 開催の様子 ▲主催者挨拶 ▲会場の様子 ▲事業概要 ▲スマートコミュニティに関 する説明 ▲質疑応答 ▲意見交換 議事まとめ ○ スマートコミュニティ構築可能性調査の事業概要 吉田 盛訓(株式会社KITABA) ・ スマートコミュニティ構築可能性調査事業の目的と必要性 ・ スマートコミュニティとは? ・ 本事業の流れ 352 ■本事業の流れ ■スマートコミュニティとは ※勉強会説明資料より抜粋 ○ スマートコミュニティに関する説明 高殿 真也(北海道経済部産業振興局環境・エネルギー室環境産業振興グループ 主任) ・ 地域における取組の必要性(地球温暖化対策、エネルギー自給率の向上、災害時にお けるエネルギーの確保、環境関連産業の市場拡大) ・ 中央省庁でのさまざまな施策 ・ 「スマートコミュニティ」とは何か ・ 北海道におけるスマートコミュニティのフレームイメージ、ロードマップ ・ 次世代エネルギー・社会システム実証(横浜市、愛知県豊田市、京都府けいはんな学 研都市、北九州市) ■スマートコミュニティに関する施策 ■次世代エネルギー・社会システム実証 ※勉強会説明資料より抜粋 353 ○ スマートコミュニティを取り巻く情勢 高殿 真也(北海道経済部産業振興局環境・エネルギー室環境産業振興グループ 主任) ・ スマートコミュニティ関連の主な事業(経済産業省) ・ スマートコミュニティ・アライアンス ・ 東北地域産業のスマートグリッド市場への参入促進に向けた新たな取組 ・ 九州スマートコミュニティ連絡会 ・ 福岡スマートハウスコンソーシアム ・ 道内での取組 ・ 道のスマートコミュニティの構築に向けた取組 ・ 北海道におけるスマートコミュニティの構築に向けた当面の展開 ■スマートコミュニティアライアンス ■道内での取組 ■北海道での展開について ※勉強会説明資料より抜粋 354 ○ 意見交換 ・ 「ニセコ町リゾート地区グリーンイノベーション推進事業」については、ニセコ町の 人口 4,700 人に対して観光客が年間 150 万人ほど訪れており、大規模観光事業者から のCO2排出量が全体の 37%を占めるという状況があるため、そういった大規模観光 エリアへのスマートコミュニティ導入がどういった効果をもたらすかを検証する。 ・ 当社が取り組んでいる、ゼロエミッションもスマートコミュニティに関する取組であ るということがよくわかった。しかし、今後の推進母体がよくわからない。今後の姿 がつかみ切れていないのが現状である。今後の説明会に参加していく中で理解を進め ていきたい。 ・ 今日の説明で少し理解が進んだ。弊社はさまざまな取組をしているが、それを伝えて いくことが難しい。このような説明会をきっかけに、いろいろな人とつながりながら 進めていきたい。 ・ 自分たちが今後どのように関わって行けるのかがよく見えていない。省エネ、省資源 についてはもちろん取り組んでいるが、企業としては利益として返ってくるものがな いと、なかなか取り組むことは難しい。北九州市などの計画を見ても、全体の事業規 模がかなり大きい割には北九州市の実際の予算額はそれほどでもないように見受けら れる。残りの資金はどこから調達されるのか、国から出るのか、民間として負担を強 いられるのかと考えてしまう。そういったお金の流れについてはこれからの勉強会の 中で説明されるかと思うが、その中で理解を深めていきたい。 ・ 官民一体で進めていく勉強会ということで意義があると考えている。省庁によってさ まざまな施策が行われているようであるが、省庁間で壁がないような形を期待したい。 ・ 現在、異業種間で風力発電やヒートポンプに取り組んでおり、NEDOの事業で実証 実験を行っている。どうしても採算性を考えなければならない。イニシャルコスト、 ランニングコストそれぞれに対するいろいろな補助を考えていただきたい。 355 ② 第 2 回勉強会 開催概要 開催日時:平成 23 年 12 月 8 日(木)14:00∼16:00 会 場:千歳市民文化ホール 3 階視聴覚室 参加者数:30 名(詳細モデル地区企業:9 名、詳細モデル地区自治体:10 名 その他企業:1 名、その他自治体 関係機関:10 名) 事務局(北海道経済部 産業振興局:3 名、 (株)KITABA:6 名、 (社)北海道開発技術センター:2 名、 (株)日本総合研究所:1 名) プログラム 1) 第 1 回勉強会結果概要 2) スマートコミュニティに関する説明 住民・事業者アンケート調査結果について スマートコミュニティの構成要素について スマートコミュニティの主体別の役割について 3) 質疑応答、意見交換 4) 閉会 開催の様子 ▲主催者挨拶 ▲会場の様子 ▲住民・事業者アンケート調査 結果の説明 ▲スマートコミュニティの 主体別の役割について ▲質疑応答 ▲意見交換 356 議事まとめ ○ 住民・事業者アンケート調査結果について 吉田 盛訓(株式会社KITABA) ・ 住民・事業者アンケートの目的と趣旨 ・ 住民・事業者アンケートの方法と概要 ・ 住民アンケート結果 ・ 事業者アンケート結果 ・ アンケート結果のまとめ ・ アンケート結果の考察 ■アンケート結果の考察 ※勉強会説明資料より抜粋 ○ スマートコミュニティの構成要素について 吉田 盛訓(株式会社KITABA) ・ スマートコミュニティ実現の視点としては、道内企業のノウハウやネットワークを育 成し、道内企業が中心となって全体構想の立案を行い、大手企業に先端技術の協力を 得ながら進めることが大事。 ・ スマートコミュニティに関する主体別の役割。スマートコミュニティ構築のためには 多様な主体の関わりが必須である。 ・ 既に道内企業には、スマートコミュニティの技術がある。道内企業がネットワークを 組み、大手企業先進技術と協力すれば、道内企業だけでスマートコミュニティ構築を 進めることができるのではないか。 ・ スマートコミュニティ要素技術の関係性の図を念頭に置き、技術提供は道外企業が多 いので、最終的に道内企業で技術提供できる企業を増やしていくというのも 1 つの目 標である。 ・ スマートコミュニティに関する主体別整理より、多様な主体が再生可能エネルギーを 導入していることがわかる。 ・ 全国のスマートコミュニティ関連の面的な取組からは、各社の技術向上という目的も あるので、同業他社の複数参入もあり得ることがわかる。 357 ・ 北海道においてスマートコミュニティを構築する場合、道内企業の要素技術をつなぎ、 既に先行開発されている技術と協力して進めることで、先ほど例に出した実証実験や プロジェクトを行うことも可能である。 ■スマートコミュニティ構築に向けての視点 ■既にスマートコミュニティの技術がある ■スマートコミュニティ構築に向けて ※勉強会説明資料より抜粋 358 ○ スマートコミュニティの主体別の役割について 前田 直之(株式会社日本総合研究所社会・産業デザイン事業部 都市・地域経営戦略グループ マネージャー) ・ 「北九州スマートコミュニティ創造事業」について。北九州はもともと鉄鋼業などの 重工業が発展していたため、公害などの問題が発生し、環境に配慮したまちづくりを 進めた結果がスマートコミュニティの構築につながったといえる。 ・ 北九州に関しては、4 つの大手企業と地元企業・NPO法人など 40 社が参加している。 地元企業が入っていけるスペースが多い。 ・ 北九州の場合は、特殊な事例である。新日本製鉄が自前のコージェネ発電所を持って おり、住宅などへ電気を供給している。また、特別な電気料金を設けるなどの他地域 ではできないことを実施している(ピーク時は電気料金を上げるなど)。 ・ 「城野ゼロカーボン先進地区」では、ゼロカーボンを実施するだけではなく、 「人が住 む」ことを重視したまちづくりを志向。 ・ 新技術の導入のみならず「実際に人に住んでもらう」ことを念頭におき、環境だけで はなく少子高齢化や防災などの付加価値の提供をし、利便性・快適性を追求していく ことが重要である。 酒本 宏(株式会社KITABA) ・ 中小企業のスマートコミュニティ参入事例 ・ スマートコミュニティ構築をサポートする財源 ・ 車保有型社会や、農業・熱需要など北海道の特性を組み合わせることで独自の技術を つくり、北海道型スマートコミュニティを構築し、道外へと差別化を図ることを最終 的な目標としていきたい。 ○ 意見交換 ・ 私たちはもともとお酒を作っている会社だった。スマートコミュニティの実証実験に 参加することで、バイオエタノール作成に至った。バイオエタノールはお米を発酵さ せてできるものであり、発酵に関しては日本酒などと同じである。バイオエタノール を作成するに当たっては、新技術を使用したというよりも、既存の技術を使ったもの といえる。バイオエタノールの技術は、研究が進んでいるアメリカ・ブラジルで研修 をし、その技術を持ち帰って運用している。現在 15,000kLを作る能力があるが、現 状横浜に出荷しており、地産地消ができていないのが課題である。今後北海道で利用 できる方法を検討したい。また、こうした勉強会に参加し、社として何ができるかを 考えていき、協力できるところはしていきたいと考えている。 ・ 球状太陽電池を世に出そうとしている。出力は平板に比べて劣るが、窓に埋め込むこ とで太陽光電池の平板と併用しながらの電力供給が可能である。開発のきっかけとし ては、ヨーロッパでは建物の外観が重要視されており、窓に埋めることで見た目に影 響なく供給が可能である。 ・ 中小企業同友会の一員として、ヒートポンプ、風力発電の施工や維持管理を行ってい る。技術提供に積極的に取り組んでいる。今後生かしていくにはまだ検討が必要。情 報収集をしたり、勉強会をとおして施工業者として関わっていきたい。 359 ③ 第 3 回勉強会 開催概要 開催日時:平成 23 年 12 月 21 日(木)14:00∼16:00 会 場:苫小牧市職員会館 3 階 304 号室 参加者数:24 名(先導モデル地区企業:8 名、先導モデル地区自治体:9 名 その他企業:2 名、その他自治体・関係機関:5 名) 事務局(北海道経済部 産業振興局:2 名、 (株)KITABA:6 名) プログラム 1) 第 2 回勉強会結果概要 2) スマートコミュニティに関する説明 中小企業の参入事例について スマートコミュニティモデルについて 3) 各企業の取組紹介 4) 質疑応答、意見交換 5) 閉会 開催の様子 ▲会場の様子 ▲質疑応答 ▲中小企業の参入事例について ▲各企業の取組紹介 360 ▲スマートコミュニティの モデルについて 議事まとめ ○ 中小企業参入事例について 吉田 盛訓(株式会社KITABA) ・ 中小企業の参入事例∼建設業やレンズ製造会社等の事例 14 例。 ・ 参入事例より、「部品を提供する」「既存システムをパッケージ化して販売する」とい ったパターンを読み取ることができる。 ・ スマートコミュニティには、すでに新たなチャンスがあり、スマートコミュニティに 関してパッケージ化や製品提供を行う企業のニーズに合わせることができれば新規参 入は可能である。 ・ 事業者アンケートの結果では「情報不足」といった意見が多数寄せられたので、情報 を集めることが重要である。 ・ 情報交換の場としては、道内企業同士の民間企業主導のネットワーク組織や、道外企 業とのコーディネートがあげられる。 ・ 全国版スマートコミュニティアライアンスなどとの連携や、金融機関や行政のサポー トを受けながら、情報集めを前向きに行えば、新規参入の可能性はあると言えるだろ う。 ■中小企業の参入事例 ■スマートコミュニティには新たなチャンスがある ※勉強会説明資料より抜粋 361 ○ スマートコミュニティモデルについて 吉田 盛訓(株式会社KITABA) ・ モデルを検討するに当たり、「どのような形をめざすのか」「どのような考慮事項があ るのか」 「誰がどのようにはじめればよいのか」の 3 点をポイントとして検討を進めた。 ・ モデル区域の区分けとしては「都市部エリア」 「農村部エリア」 「離島エリア」 「先導地 域エリア」の 4 つに分けて検討をした。 ・ モデル地域の区分けの基準としては主に人口密度を基準に、さらに産業の特性や、再 生可能エネルギーの特性、住民の生活の仕方などを考慮し区分している。 ・ 再生可能エネルギーは種類によって導入しやすい所とそうでない所がある。 ・ エリア別スマートコミュニティのイメージとしては、市街地エリアが「施設間エネル ギーネットワーク」、公共施設集積エリアが「熱電供給ネットワーク」 、密集住宅エリ アが「シェアリング型ライフスタイル」、低密住宅エリアが「『つくる』・『つなぐ』ネ ットワーク」 、農業エリアが「農業への再生可能エネルギーの適用」 、工業エリアが「自 家発電・発熱ネットワーク」とした。 ・ エネルギーマネジメントシステムについては単独施設だけではなく、複数施設で行う と、さらに効率的な利用や、再生可能エネルギーの活用を進められる。 ・ 複数施設をネットワーク化するエネルギーマネジメントシステムは、2 種類あり、1 つ は地域全体のエネルギーマネジメントシステム、もう 1 つはエネルギーを使う人(需 要家)に省エネやピークカットやピークシフトに協力してもらう方法がある。 ・ 新規住宅造成地においてスマートコミュニティを構築するためのプランである。 ・ スマートコミュニティ構築実現に向けて。民間企業単独での取組では施設の省エネ化 や再生可能エネルギー導入に留まってしまうが、スマートコミュニティには地域ぐる みでの取組が必要となってくる。進め方によってコーディネーター役はさまざまであ り、ハウスメーカーが主導したり、システム会社によるコーディネート、自治体主導 での公共施設での実証実験などが考えられる。いろいろな方を含めた地域ぐるみでの 取組が必要となっている。 ■スマートコミュニティモデルの検討 ■モデル地域のエリア区分・市街地エリア 362 ■モデル地域のエリア区分・密集住宅エリア ■スマートコミュニティ構築に向けて ※勉強会説明資料より抜粋 ○ 意見交換 ・ 今後スマートコミュニティを推進するに当たってどのように進めていくか、方法につ いては、これまでの 3 回の勉強会で、スマートコミュニティについてご理解をいただ いた。経済産業省の事業でスマートコミュニティ構想普及支援事業がある。その中に フィジビリティスタディの予算がある。勉強会を生かして、道内企業が主体となり、 道内でネットワークを作りながら進めていけたら、それが一番わかりやすい事例とな るだろう。また、市町村単独で進めるパターンと民間事業が主体となり市町村と連携 をとりながらで進めていくパターンの 2 パターンを検討していけたらと思う。 ・ もう 1 つは、座談会の中で、1 社でスマートコミュニティを進めるには限界があるので、 産官学金でネットワークを作り取り組めないのか、という課題があった。来月 2 回目 の座談会があるので、座談会を進めていくことでネットワーク構築につながるのでは ないか。フレームができつつある段階で提案していきたい。また、2 月 9 日にエルプラ ザでフォーラムがあるので、ぜひ参加していただきたい。詳細はまた後ほど案内させ ていただく。 363 ④ 第 4 回勉強会 開催概要 開催日時:平成 24 年 1 月 24 日(火)14:00∼16:00 会 場:恵庭市民会館 2 階大会議室 参加者数:28 名(先導モデル地区企業:7 名、先導モデル地区自治体:12 名 その他企業:2 名、その他自治体・関係機関:7 名、報道機関:2 名) 事務局(北海道経済部 産業振興局:3 名、 (社)北海道開発技術センター: 3 名、 (株)KITABA:4 名) プログラム 1) 第 3 回勉強会結果概要 2) スマートコミュニティに関する説明 これまでの勉強会について スマートコミュニティ構築に向けた進め方 経済産業省・環境省の関連事業について 3) 質疑応答、意見交換 4) 主催者挨拶 5) 閉会 開催の様子 ▲会場の様子 ▲質疑応答、意見交換 ▲スマートコミュニティ構築 に向けた進め方 ▲主催者挨拶 364 ▲経済産業省・環境省の関連 事業について 議事まとめ ○ スマートコミュニティ構築に向けた進め方 吉田 盛訓(株式会社KITABA) ・ 第 1 回∼3 回勉強会について ・ スマートコミュニティ構築に向けた支援策について。 ・ スマートコミュニティに取り組むきっかけとして、地域課題の解決策とスマートコミ ュニティ構築を組み合わせることがある。積極的にチャレンジすればさまざまな支援 も受けることができる。 ・ 取り組むためには、内部の体制を整える、外部と連携した情報収集を始めることが考 えられる。 ・ スマートコミュニティは、住民にとっては今は「買うだけ」のエネルギーを自分たち で創れるようになり、生活の質の向上につながり、企業にとっては成長市場にチャレ ンジすることで地域産業の活性化というビジネスチャンスが生まれる。 ■スマートコミュニティ構築に向けた支援策 ■スマートコミュニティに取り組むきっかけ ■スマートコミュニティで新たなビジネスチャンスを ※勉強会説明資料より抜粋 365 ○ 平成 24 年度予算案におけるスマートコミュニティ推進施策の概要 後藤 博樹(経済産業省北海道経済産業局資源エネルギー環境部エネルギー環境課 課長補佐) 4 月から始まる予定のスマートコミュニティ構想普及支援事業や、次世代エネルギー・社 会システム実証事業・次世代エネルギー技術実証事業について説明があった。 宇野 博徳(経済産業省北海道経済産業局資源エネルギー環境部エネルギー対策課 調査官) 独立型再生可能エネルギー発電システム等導入支援対策費補助金や、エネルギー使用合理 化事業者支援補助金、住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化推進事業についての説明 があった。 細貝 拓也(環境省北海道地方環境事務所環境対策課 係員) チャレンジ 25 地域づくり事業、再生可能エネルギー出力安定化のための蓄電池導入促進 事業、次世代スマートメーターによる需要側対策促進事業についての説明があった。 ○ 意見交換 ・ スマートコミュニティについて、勉強会に参加することで理解できるようになった。 自ら取り組むことは難しいが、役場と協力して、地域の事業者を支援するような、橋 渡しという役割をしていきたい。民間だけでは難しい面もあるので、国の支援と、民 間の投資のきっかけをつくれば、意外と早く進むかもしれない。 ・ 他の社員より企業としての関連性が理解できないという意見があった。地域と含めて 協力体制はお願いしていかなければならない。災害時のエネルギーも大きなテーマで ある。工場が住宅地に隣接しているので、地域の住宅を視野に入れて捉えている。 ・ まだ関心は高くはない。スマートコミュニティは大きな流れということはわかるが、 取り組まなかったらどうなるか、そういった発想で進めてはどうか。 ・ 自社の立場で考えると、補助金を活用しながら技術開発を進めている。本格的に事業 を進めるためには、量産化という大きな課題がある。スマートコミュニティは、今の 生活を維持しながら、今よりもエネルギーを使わないようにするということが必要で はないかと考えている。エネルギーを安定させる、少なく使っていくということを考 えると、蓄電池が重要な機能となると考える。蓄えられない電力をどう考えるかが重 要な視点となるのではないか。 ・ さまざまな取組を試行しているが、コスト面は依然として課題となっている。事業者 連携によってさまざまなチャレンジはできると思う。ハウスメーカー、製造メーカー などとの連携、行政からの支援を受けながら進めていきたい。 ・ 工場としてはコージェネレーションを導入している。天然ガスを使用したり、一部に 雪氷熱の冷房を使用している。供給が許せば天然ガスを増やしたいと考えている。廃 油を社内の熱源として利用できないか考えている。今後は地域とどのように関わって いくかが課題である。 366 ・ 今後は、地域住民を交えてどういうことができるかを考える時期にきている。震災対 応などは、まだ何も解決されていないのが現状である。スマートコミュニティがそれ に対して解決策を出せるのではないか。まち全体のまちづくり、交通システムとも連 動して考える必要がある。今の生活の質を低下させないように進める方策を考えてい きたい。 ・ 自治体としてエネルギーを考えるきっかけとなった。自立分散型はめざすことが必要 と考えている。経済産業省の支援を受けるに当たっては、町のエネルギー利用状況の 現状と課題を把握する良いきっかけになるのではないかと考えている。地域住民の理 解を深める方法はあるか。やらなかったらどうなる、という視点は重要。 ・ 庁内の情報集約と、支援策などの情報共有も含めて進めることが重要。スマートコミ ュニティを進めるためには、実際、担当部署が必要と考えている。事業者との研修会 も必要と考えている。 ・ 実際に技術開発を行うことはできないが、製品メーカーと連携して、普及するという 面でご協力したい。 ・ データを見ていると、まだまだエネルギーの無駄が多い。エネルギーの使用量の将来 像を描くことが必要と感じている。災害に強いまちづくり、エネルギーの安定確保な どにもつながる。バイオマスの多様な活用をすることで、地域の農業とエネルギーを 結び付ける方針がある。コスト削減、技術実証などは重要課題である。 ・ 大規模な再生可能エネルギーの導入は盛んだが、分散的、地産地消のエネルギーを考 えている。やはり産学官金のネットワークが必須となる。 ・ 今後は、どのように自治体の取組に協力できるか考えていく必要がある。住民の理解 醸成に手間と時間がかかると思っている。スマートコミュニティの目標は、エネルギ ーの安定供給にあると思うが、スマートコミュニティ以外に選択肢はないのか。 367 7−3 座談会の開催 (1) 開催の経過 座談会の開催概要は以下のとおりである。 ■座談会の開催概要 座談会 第 1 回座談会 開催日 主な検討内容 平成 23 年 12 月 5 日(月) ・出席者の自己紹介、環境関連の取組の紹 介 ・スマートコミュニティに関する説明 第 2 回座談会 平成 24 年 1 月 23 日(月) ・各社からの技術説明 ・意見交換 ・活動目標(案)について ・スマートコミュニティネットワーク推進 組織の設立について 第 3 回座談会 平成 24 年 2 月 27 日(月) ・フォーラム、セミナーの報告 ・(仮称)北海道スマートコミュニティネッ トワーク設立に向けて ・スマートコミュニティに関連した国の施 策・事業について ・北海道工業大学の環境、エネルギー関連 技術と取組について (2) 開催結果 ① 第 1 回座談会 開催概要 開催日時:平成 23 年 12 月 5 日(月) 16:00∼17:30 会 場:かでる 2・7 1010 会議室 参加者数:29 名(企業等:20 名) 事務局(道庁:2 名、(株)KITABA:5 名、 (社)北海道開発技術センター:2 名) プログラム 1) 開会の挨拶 2) 出席者の自己紹介、環境関連の取組の紹介 3) スマートコミュニティに関する説明 スマートコミュニティを取り巻く情勢について スマートコミュニティ推進に当たってのネットワーク構築の重要性について 4) 質疑応答、意見交換 368 開催の様子 ▲主催者挨拶 ▲質疑応答、意見交換 ▲自己紹介の様子 ▲質疑応答、意見交換 議事まとめ ○ スマートコミュニティに関する説明 ・スマートコミュニティを取り巻く情勢について 高殿 真也 (北海道経済部産業振興局環境・エネルギー室環境産業振興グループ 主任) ・スマートコミュニティ推進に当たってのネットワーク構築の重要性について 吉田 盛訓(株式会社KITABA) ※説明資料は、第1回勉強会及び第3回勉強会資料を使用した ○意見交換 住宅メーカー ・ 住宅の消費エネルギーをつくる側と使う側でゼロにする住宅(ネットゼロ住宅)は、 寒冷地での技術開発が国内では進んでいなく、カナダから技術共用をうけ手稲で 3 年 間にわたり実験している。蓄電だけは導入していないが太陽光や地中熱ヒートポンプ など寒冷地のエネルギーのベストミックスを検討している。無暖房住宅の普及につい ては供給レベルでは難しいと考えている。新築だけでは無理なのでリフォームでNE DOの補助金を活用しながらスマートコミュニティを実現していくのがいい。冬場の ピークカットの貢献については住宅の外壁に太陽光パネルを設置し、1年経過を見た が、屋根と変わらない発電力だった。1、2 月では雪の反射での発電がかなりあった。 また、コストをかけて蓄電池を活用するのは道内の所得水準を考えると難しいと感じ ている。スマートコミュニティについては地域計画として実践し、住宅分野も参画し ていくことが重要である。 369 建設メーカー ・ 太陽光電池についてシリコン系の太陽電池モジュールは気温が下がると発電効率が高 くなり寒冷地に向いている。太陽光は適正な角度はあるが、夏と冬で太陽の角度が異 なるため、先ほどのお話にもあったように壁面に設置すると冬は雪の反射で思ったよ りも発電する。 半導体メーカー ・ 住宅企業としては住宅やビルディングの窓を効果的にどのように活用していくか。住 宅、建築メーカーのお話を聞くと競合せずに共同してやっていけないかと思った。 エネルギー系 ・ 最近の動向については風力発電について潜在需要はかなりあるのではないかと考えて いる。費用対効果で発電力という点では風力発電のほうが発電効率はいいがソーラー のほうが使いやすいのではないか。お客さんの中ではソーラーと蓄電池で 2 極化して おり、震災以降は、万が一の非常用のために蓄電池を使いたいという人が増えている。 自動車メーカー ・ 現在、東京モーターショーが開催されているが、蓄電で走る自動車があり従来の電気 自動車の位置づけも変わってきたのでは。 エネルギー系 ・ 電気自動車は震災時非常に役にたった。震災からお客さんのとらえかたが変わった。 病院などでもっと使えないかと考えており、蓄電という意味でも 1500Wクラスを目指 している。ただ、北海道においてはお客様のニーズや認識はまだ薄い。 エネルギー系 ・ 災害時や化石燃料の将来を見据え、新エネの使い方として今からはじめられることと して、ガソリンスタンドは電気、水素など車両に入れられるエネルギーは対応をして いけるように長期的に考えている。実際に実現できているのは急速充電設備で今年三 箇所設置している。 エネルギー系 ・ 多様なエネルギーをバランスよくコントロールしてつかうのがスマートコミュニティ だと考える。実際に携わっていて、水分と泥の問題で木質バイオマスの導入はなかな か難しい課題もある。当社では乾燥している建設廃材を主に活用している。北海道特 有のエネルギーを見つけるのは難しい。当社以外でも熱供給を行っており、札幌駅近 くでは春先の雪を夏場の冷房に、真駒内ではゴミ処理場の廃熱を暖房利用するなど各 地域のエネルギーを有効に活用している。当社の新しい取組としては札幌市の下水汚 泥を炭素化してエネルギーにできないか実験中。 370 エネルギー系 ・ 東日本大震災以降、原発だけではなくガスの位置づけの変化については、エネルギー 基本計画上、原発の割合はかなり高めでゼロにすることはないと思っているが割合を 高めるのも難しくなっている。さまざまな電源の組み合わせを考え分散していくのが 良いと考える。将来的には再生可能エネルギーも出てくるだろうが、近年のスパンで いうと廃熱や天然ガスを使用するのが現実的と考えている。 エネルギー系 ・ 設備設計の観点からいうと、技術的なことはもちろん全般的にスマートコミュニティ をすすめることによって、地域にどのようなメリットがあるか明確にする必要がある。 ビジネスベースでは考えが出ているが、市民にとってどうなのかの議論を重ねるべき である。 金融機関 ・ 金融を支える立場では、北海道での姿を見せないと大きな事業にはならないと思うが、 取引先とスマートコミュニティを活性化するために協力はしていける。勉強会は非常 に重要で有効である。 関係機関 ・ 顧客の把握はなかなか難しいが、企業の役割を明確にし、意見のやりとりが必要であ る。それをまとめ伝えるのが弊社の役割と考えている。 関係機関 ・ 今回の座談会は顔合わせなので、今後も第 2 回の座談会開催を希望する。 ② 第 2 回座談会 開催概要 開催日時:平成 24 年 1 月 23 日(月) 16:00∼18:00 会 場:北海道開発技術センター 9 階会議室 参加者数:30 名(企業等:19 名、自治体 11 名) 事務局(道庁:5 名、 (株)KITABA:5 名、 (社)北海道開発技術センター: 3 名、 (株)日本総研:1 名、北大大学院:1 名) プログラム 1) 開会の挨拶 2) 勉強会について簡易説明 3) 各社からの技術説明 4) 意見交換 5) 活動目標(案)について 6) スマートコミュニティネットワーク推進組織の設立について 7) 閉会 371 開催の様子 ▲開会の挨拶 ▲会場の様子 ▲各社からの技術説明 ▲質疑応答、意見交換 議事まとめ ○ スマートコミュニティに関わる全国的な動きについて 前田 直之 (株式会社日本総合研究所社会・産業デザイン事業部都市・地域戦略グループマネージャー) ・ スマートコミュニティアライアンスについて:都市輸出には官と民がタッグを組む必 要がある。 ・ SCOPE研究会:住宅でのスマートコミュニティビジネスモデル構築のための政策 提言 ○ 意見交換 住宅メーカー ・ 9 割の住宅は太陽光パネルの設置が不利。壁付けソーラーパネルの研究を行っている。 (夏は 70%と効率はダウンするものの、冬は 120%にあがる。平均 90%) ・ 壁付けソーラーパネルの課題は、メーカーの保証の面と、日陰に強いものの提供であ る。 ・ 既存住宅の耐震をあげることと省エネはセットで行うべきと考えている。現状特性に 合わせた 3 つのバリエーションがあり、 性能に合わせた改築メニューを用意している。 ・ 今後の課題としては、HEMSを含めた次世代エネルギーの実証実験を行うことと、 社員教育の徹底がある。高品質は社員の能力が影響する。 372 建築メーカー ・ 現在モジュールは多結晶のものを採用している。 ・ 結晶系→温度下がれば効率上がる ・ 耐荷重強度が 5,400Paの強度+補強のアルミフレームによって、7,200Paまで上げら れる。 ・ 4 月には単結晶を用いたパネルが商品化の予定。 半導体メーカー ・ スフェラーのほうが平板のものより発電効率が良い(当社比)。 ・ 球状なのでいろいろなものに埋め込むことができる。 (波型、ブレスレット、ドーム型 など) エネルギー系 ・ 地域熱供給事業は、熱供給事業法の条件を満たし、許認可が必要である。 ・ 容積率の緩和などのインセンティブもある。 ・ 専門スタッフがエネルギー供給を行っており、安心である。 ・ 単位面積当たり年間に使われる熱量が高いエリアが望ましい。 ・ 365 日熱消費する施設(ホテル(都市型シティホテル) 、病院、放送局)が根地供給事 業には適する。省エネ効果が高くなる。付加の平準化により、効率運転も可能である。 ・ 建物の用途でエネルギー変動特性が異なるので、平準化できる。設備のコンパクト化 も可能である。 ・ 都市廃熱の利用でより効率化も可能である。 金融機関 ・ 環境配慮型融資を行っていて、勝手格付けで 0.1∼0.2%優遇される制度である。 ・ 融資の条件は必須項目と、点数評価項目に分かれる。 ・ 現在のところ、この制度を利用しているのは石屋製菓のみである。(Eランク、1%優 遇) ・ 利用できる企業が少ないので、内容を改善していきたい。 ・ 定期預金の取り扱い。定期満額の案内を停止。その分を基金にし、円山動物園などへ の助成を行っている。 小売・サービス ・ コープさっぽろが実験中のスマートメーターとは、グーグルのITクラウド技術を活 用して店舗使用の電力量がリアルタイムで把握出来る仕組み。 ・ 店の照明や空調設備、冷蔵ケースにそれぞれセンサーをつけ 10 分毎の電力使用状況を 計測。データーをインターネット送信してグーグルのサーバーに保存する。それを本 部にてパソコンでデーター監視出来る仕組み。 373 ・ 現在導入している「見えタロー」は 30 分毎に測定し、多いときはメールで連絡がくる、 というシステムだが、店舗のトータルの数値しかわからず、情報トラブルもあり、何 を下げていいのかわかりにくいという課題がある。 ・ 「見えタロー」導入後、2 年で 10%のダウンが実現できたが、3 年目以降は効果が低い。 ・ スマートメーターを岩見沢の店舗に導入しているが、パナソニックとオムロンのシス テムを採用している。 ・ スマートメーターを全店に投入するために、自動制御のためのデーターを収集してい るところである。全店展開へするには 200 万のコストがかかるが、1 年で回収できる見 込みである。 ③ 第 3 回座談会 開催概要 開催日時:平成 24 年 2 月 27 日(月) 14:00∼16:00 会 場:北海道開発技術センター 9 階会議室 参加者数:9 名(企業等:7 名、自治体 2 名) 事務局(道庁:3 名、(株)KITABA:1 名、 (社)北海道開発技術セ ンター:3 名、北海道工業大学:1 名) プログラム 1) 開会 2) 報告 スマートコミュニティに関するフォーラム 恵庭市におけるスマートコミュニティセミナー 3) (仮称)北海道スマートコミュニティネットワーク設立に向けて 4) スマートコミュニティに関連した国の施策・事業について 5) 話題提供 北海道工業大学の環境、エネルギー関連技術と取組について 6) その他 7) 閉会 開催の様子 ▲会場の様子 ▲(仮称)北海道スマートコミュ ▲北海道工業大学の取組について ニティネットワーク設立について 374 議事まとめ ○ スマートコミュニティに関するフォーラムと恵庭市におけるスマートコミュニティ セミナーについての報告 阿部 正明(社団法人 北海道開発技術センター) 【恵庭市におけるスマートコミュニティセミナーについての感想】 建築メーカー ・ 問題意識の高い人が集まっていた。市民参加で意見が集まるベースがあれば事業性が 高まるのではないか。 ・ 素人発想の重要性を感じた。技術を抜きにした突拍子もない発想の中にヒントが隠さ れていると感じた。 ・ 市民を巻き込んでいかないと、スマートコミュニティの成立はしない可能性がある。 ○ 北海道工業大学の環境、エネルギー関連技術と取組について 半澤 久(北海道工業大学) ○ (仮称)北海道スマートコミュニティネットワーク設立について 金田 安弘(社団法人 北海道開発技術センター) 【体制についての意見・留意点】 半導体メーカー ・ 素案で問題はないと思う。 ・ 会員については、門戸を開いて、興味があればどんどん加わっていくといった形でや っていくのはどうか。 ・ 会の成り立ちとしては門戸を広げるか否かは重要なポイントである。 シンクタンク ・ 門戸を広げるのは大切なことだが、企業に「入れば何かメリットがあるのでは」とい った軽い気持ちではなく、主体的に動いてもらいたい。 エネルギー系 ・ 個人的な意見だが、このような会を設立するときは、最初は数社からスタートしてい って、ある程度事業のメドが立ってから、一般の方が加わるのが一般的である。 ・ 一般の方の目的は具体的に入り込んでやるよりも、ほとんど情報がほしいということ であったり、スタイルの予算があって、うまくいけばそれに乗るか乗らないか様子見 のような形態が今までもあった。 ・ これからのステップで上に上がっていくには、ひとつでも形にして、それから+αを 検討していくような形がいいのではないかと思う。 375 半導体メーカー ・ どの分野の企業を入れるかというのも非常に重要である。 ・ また、何社集まるかによっても会のあり方が変わってくるので、構成に関しては重要 である。 シンクタンク ・ 数百社だと顔が見えないというデメリットがある。 ・ 個人的には門戸は広げても、ある程度スマコミに対して方向性や方針を持っている方 に入ってもらう、といった方向がいいと考えている。 建築メーカー ・ 企業経営の経験からいくと、目的なく組織を作るのはうまくいかない。モデル事業の ようなものをやらないと進んでいかないのではないか。例えば、寒冷地モデルとして 予算を組んで、3 年くらいかけて実証をやってみて、その上で方向性を示し、その段階 で門戸を開くかどうかを考えていけばいいのではないか。 行政 ・ 道内におけるスマートコミュニティをどう進めていくか、で集まってもらった。 ・ 今まで集まってもらって、意見を聞いた部分を、この案がいいかどうかは別として、 形作るという意味でこの案をだした。 ・ 先程おっしゃったとおりだと思う。図の点線から上を事業体にするか否かが問題で、 そこを議論すべきである。 ・ この体制については、フィージビリティスタディやモデル事業を 3 年やります、とい ったような、産と学の連携で行うことは、このネットワークに加入している企業の中 にはあるかもしれないが、それとは別のものである。情報共有や、民間から行政への 提言や、環境格付け融資を進めていくための土台といったような形で認識している。 ・ 福岡のスマートハウスコンソーシアムのように、それ自体が事業体という形もあるが、 先ほどおっしゃったように、リスクもあると思うので、そのリスクを皆が覚悟できる か、否かを議論していきたい。 エネルギー系 ・ ネットワーク化や情報共有、企業間の連携といった形なら参加しやすいが、モデル化 となるとコスト面などのハードル上がってくる。 ・ 他地区のスマートコミュニティネットワークがあるなら、情報を知りたい。 376 自動車メーカー ・ EV普及検討研究会について。去年の震災で世の中の状況が変わった。三菱自動車工 業ではいろいろなデータを持っているが、それがそのまま私に来るわけではない。探 し出したり、聞き出したりして、やっと耳に入ってくるものが多い。そういったこと で、他がどこで何をやっているかということは知りたいことだろう。 ・ 北海道スマートコミュニティに関して、当社は北海道の寒冷地のEVにこんなものが あるといったことならお披露目できるだろう。 ・ どこまで門戸を広げるかに関しては、我々は民間の営利企業なので、お金をかけるの は難しいだろう。 ・ どこまでの企業に参加してもらうかに関して、こだわってしまうといいものはできな いと思う。 ・ ハードルはある程度は必要だが、どこにラインをもって来るかは、現段階では答えが 出ないのではないか。 ・ 何をやるのかに関しては、各地でどんな取組をしているかなどの情報共有をすること で意識も変わってくるのではないだろうか。 行政 ・ 他県の事例は 3 つしかないので、口頭で申し上げる。 ・ スマートコミュニティアライアンス:NEDOから補助が出ているものである。東芝、 日立さんが幹事会社を勤めている。この中には、ワーキンググループがあり、例えば、 スマートコミュニティの技術をどう海外に移転していくかといったようなことや、ロ ードマップということでどう進めていくかなどのワーキンググループなど 4 つある。 大前提として情報共有、企業間の連携である。その下のワーキンググループであると、 一部、経済産業省からの補助が出ているチームもあり、ワーキンググループとしては 事業性をなしているものもあると思う。 ・ スマートグリット研究会(東北 6 県):デバイス産業がスマートコミュニティに入って くるときにどの領域に入ってくるのが大事なのか、全世界規模の話しをやるのがいい のか、それとも、足元の話をするのがいいのかといったことを議論している。事業体 として考えるといったことはしておらず、そういったところを皆で議論して、事業を やる人は外側でやるといった格好にしている。 ・ スマートコミュニティ連絡会(九州地方):情報共有の場であり、スマートハウスコン ソーシアムと連絡会は別の組織で設置されている。 ・ 事例がないので、今回はこのような組織図を示したが、これはあくまでもたたき台な ので、これから話し合っていければいいと思う。 377 大学 ・ 組織体自体に違和感は覚えなかったが、どんなことをやるのかが見えてこない。 ・ 色々な要素技術の開発や研究を行ってはいるが、どういう要素技術を開発すれば本当 に効果があるのかといったことはあまりわからない。(例えば、蓄電池を住宅において、 本当に省エネになるのか。といったこと)本来は単体の技術であるが、ネットワークで つながっているがゆえに、どうすれば本当に省エネになるのかといったことが見えて こないと思う。 ・ 確かに電気自動車は省エネになるかもしれないが、そもそも会社の近くに住んでしま えば通勤にかかるエネルギーは必要ないわけで、そういう都市構造の転換をしていく 場合と、どちらがいいのかということを考える機会があまりないように思える。 建築メーカー ・ 検証を踏まないとわからない部分もある。 ・ リスクの高い事業なので、全ての民間企業が予算を投じることは不可能であるだろう。 そこに国の予算、道の予算、あるいは産学金の連携が必要になってくる。 ・ 道内の省CO2技術の実証実験の話をすると、3 社連携によるプロジェクト。国交省の 事業。道がイメージする住宅を建て、北総建が研究をし、またアドバイザーなどの人 材育成も道が行うといったように、役割分担が明確になっている。 ・ 今回のスマートコミュニティに関しては、道庁が中心となって、北総研さんがベース となるデータたくさん持っている。これをいかにして組み合わせるかといったことを 行うのが大事である。 ・ 幹事会は予算獲得にエネルギーを費やし、獲得した予算を管理し配分する責任をもつ といった形で、組織を動かしていくといったことを行うべきなのではないか。 エネルギー系 ・ 各企業独自の事業展開がエネルギーネットワークの構築にどう絡み合っていくかとい ったことについては、熱供給を構築する段階では大規模な再開発や地域開発などが非 常に密接してくる。 ・ 守秘義務を負いながら水面下で進めていく。体制含めて、事業展開を進めていく中で、 推進ネットワークとどういったかかわりを構築できるのかといったことが、具体的な イメージが出てこない。 ・ 市との関わりが大きく、大きい地域、エリア、街区などのまちづくりをどう密接に行 っていくかが重要であり、課題であると感じている。 行政 ・ 取り掛かるものを何にするのかを決めることが必要だと思う。 大学 ・ スマートコミュニティを前に進めようとする場合、それには仕組みがないと進まない。 ・ 行政機関のサポートも大事である。 378 シンクタンク ・ 今回出た意見は次の準備会議に引き継ぎ、メンバー内で議論を進めていきたい。 行政 ・ ひとまず、今回のネットワークをつくることに関して、異議がある方はいないか。そ こを明確にしないと次に進められないと思う。 ○ スマートコミュニティに関連した国の施策・事業について 永田 泰浩(社団法人 北海道開発技術センター) 【意見】 半導体メーカー ・ ランタンなどのコンシューマー向け製品を開発している。開発に当たって、デザイン は重要なので、そういったところを補助してもらえるような施策があれば、補助をい ただいてはいる。 建築メーカー ・ 関わる要素はかなりあるし、この予算を使わないと、普及・促進は図れない。 ・ 市場とお客様のニーズにギャップがでた場合、それを埋める施策として補助制度は大 事である。 ・ 今回この予算をネットワークで活用する際は、普及促進の側面と研究開発の側面では ポイントが変わってくる。普及促進は実現性がなければならず、確立された要素技術 を使わなければならない。課題にあがっているスマートコミュニティに関しては、失 敗することもあるだろう。失敗しても結果を受け止めなければならない。 ・ ライフスタイルの組み合わせでは、ライフスタイルとエネルギーの組み合わせの実証 実験を行う必要がある。その上で補助は大事である。 ・ 予算の中で補助事業と委託事業がセットになっているのは魅力的である。最初から役 割分担が明確にできる。その辺で少し詰めた研究を行い、ターゲットをいくつか絞っ て、可能性のある事業を皆で意見を出し合って進めていければいいと思う。 住宅メーカー ・ 研究開発というより物の設置であり、その際に補助があることをお客様に勧めること ができる。 379 行政 ・ なんとなくまとめ上げるのではなく、この予算のどれを使うかを今議論すべきではな いのか。 ・ 4 月から募集が始まるので、間に合わないと思う。 ・ 各企業が参加するか否かは企業の判断にはなるが、検討の場がないと議論もできない。 ・ 主体はこれからの議論になるが、マッチングは我々が担おうと考えている。 ・ 杓子定規な議論をしても仕方ないし、予算の締切が終ってしまっているのもあるので、 当面は過渡的に進めていってもいいのではないかと考えている。 建築メーカー ・ エリアエネルギーマネジメントシステムを考えるに当たっては、建築や土木などの異 業種が集まらないと事業ができない。せっかく企業が集まっているのだから、具体的 な議論をする場がほしい。 ・ 座談会がどこを目指しているのかはわからないが、成果を出す座談会でもいいのでは ないかと思う。 ・ 事業構想さえ練れば、役割分担も明確になるし、民間だけではそのようなことはでき ないので、そこを取りまとめていただければ非常に価値のある会になると感じている。 380 7−4 フォーラムの開催 (1) 開催概要 開催日時:平成 24 年 2 月 9 日(木)14:00∼16:00 会 場:エルプラザ 3 階ホール 参加者数:131 名(民間企業:80 名、その他自治体・関係機関:51 名、報道機関:1 名) 事務局(北海道経済部 産業振興局:4 名、(社)北海道開発技術センター:3 名、(株)KITABA:6 名) (2) プログラム ① 主催者挨拶 ② スマートコミュニティに関する説明 スマートコミュニティを取り巻く状況について スマートコミュニティ構築可能性調査事業での結果概要 ③ パネルディスカッション ④ 質疑応答 ⑤ 閉会 (3) 開催の様子 ▲主催者挨拶 ▲スマートコミュニティを 取り巻く状況について ▲パネルディスカッション 381 ▲会場の様子 (4) 議事まとめ パネルディスカッション 【自己紹介、スマートコミュニティに関する取組など】 船橋 学(国際航業株式会社東日本事業本部第一技術部 RE 担当部長) ・ 当社グループでは、再生可能エネルギーに関するコンサルティ ングや、太陽光発電設置に取り組んでいる。 ・ グリーンコミュニティというコンセプトを掲げて取組を進め ている。空間情報技術やファイナンシャルのノウハウなどを底 辺とし、その上に再生可能エネルギーなどの新しい事業変化を させて、新しいまちづくりに取り組んでいくというのが、グリ ーンコミュニティの考え方である。 ・ 宮崎県都農(つの)町ではリニアモーターカー実験場で約 4km にわたって太陽光パネルの実証実験を行っている。 ・ 3.11 により、避難経路などが使えなくなり、安全・安心につい て議論を進めるようになった。その上で、いかにCO2を削減 できるか、再生可能エネルギーをどのようにして導入できるか を考えていく。 田中 輝幸(伊藤組土建株式会社参事・企画開発事業部長) ・ 太陽光発電、雪冷房システム、換気・廃熱を利用したロードヒ ーティングの技術の提供を行っている。 ・ 太陽光発電は、 平成 22 年に台湾のモテック社と石狩の会社で、 伊藤組モテックという合弁会社を設立した。積雪寒冷地にも適 するように商品開発を行っている。 ・ 利雪技術としては、雪を使った夏の冷房システムがあり、空気 清浄やマイナスイオン発生などの機能を有しており、農作物の 備蓄に役立つ。 「化石燃料に頼らない」ロードヒーティングは、 換気の熱を利用し、CO2を 1 月当たり 250kg抑制している。 「もったいない」という思想から始まっている。 ・ 北海道型のスマートコミュニティのモデルとして、高気密・高 断熱の住宅などの省エネ技術と、積雪寒冷地型の太陽光パネル などをセットにして商品化することが考えられる。積雪寒冷地 である北海道の特性を生かした商品開発ができれば、本州とは 異なる北海道発の技術を道外、国外へ輸出できるのではないか。 382 小松 肇(帯広市市民環境部環境モデル都市推進室次長) ・ 帯広市は、平成 20 年に環境モデル都市に選定され、その目標 の達成に向け、5 つの視点と 55 の取組項目を設定している。 ・ これまで、ESCO事業、国内クレジット認証などの取組を複 数行っている。 ・ 地域特性のある太陽光の有効活用をめざし、一般家庭の太陽光 発電の導入促進を行っている。(融資制度)国の補助、余剰電力 の買取制度との相乗効果により大幅な伸びがあった。 ・ 環境モデル都市の取組は、地球温暖化対策のみならず、地域産 業の活性化も大きなテーマとなっている。 ・ 平成 20 年 7 月、 環境モデル都市として国から指定されて以降、 国や道の補助事業を積極的に活用(38 事業、事業費約 22 億円) している。 前田 直之(株式会社日本総合研究所社会・産業デザイン事業部 都市・地域経営戦略グループマネージャー) ・ 当社はかねてから環境、エネルギーに関するコンサルティング を進めてきた。スマートコミュニティに関わっている分野もあ る。 ・ 経済産業省所管の「スマートコミュニティシステム関連フォー ラム」に関するコンサルティングを請け負った。 ・ 国内の大手住宅、エネルギー、電気、自動車、情報通信など 24 社を集めて、わが国がスマートコミュニティで成長戦略を描く ためにどのような戦略をたてるかということを検討する場で ある。 ・ このフォーラムが母体となって、現在のスマートコミュニティ アライアンスとなっている。 ・ 北九州市における住宅街のスマート化事業も関わっている。 【スマートコミュニティのビジネスチャンスについて】 小松:先に述べたとおり、帯広市ではさまざまな取組を進めてきたが、街区単位(面的)で の取組は実際には行われておらず、複数の事業者の連携による取組事例はごく一部に 限られているのが実情である。これまでの「個別分野別アプローチ」から、 「統合アプ ローチ」の展開が求められている。 高野:市民の方の評判を聞くことはあるか。 小松:関わる人にメリットがあることが大事。例えば、BDFについて、ごみ削減は行政に、 市民には有料ゴミの削減というメリットがある。 高野:無駄を防ぐ、出てきているものや捨てるものを使うのも「スマート」の一部である。 383 船橋:発電事業に関して、電気をどう地域に取り込んでいけるか、地産地消について一緒に 考えている。宮崎では視察ビジネス、環境教育などと組み合わせている。地元からは 農業ハウスや非常電源への要望もある。 グリーン電力証書を統合して地元産業に還元したり、ワインのブランド化、道の駅で のイベント実施など地域のまちづくりと連携することでスマートコミュニティの価値 は高まる。 前田:そもそも日本では技術輸出という観点からスマートコミュニティの議論が始まった。 それが、3.11 を経て環境やエネルギーに関するニーズが高まり、市場が整ってきてい る段階である。 スマートコミュニティで生み出される価値は、付加価値として消費者の方に受け入れ られるかどうかがキーポイントであり、かしこい暮らし方が利益をもたらすのかとい うことを考える必要がある。ビジネスというお金の回し方、どこに価値を見出してど こにお金を使うのかという考え方が非常に重要になる。また、産学官金の連携も今問 われていることである。 田中:北海道の特性を考えたときに、エネルギーマネジメントシステム自体が商品なのでは ないかと考えられる。例えば、高断熱・高気密の住宅と太陽光発電、電気自動車など の組み合わせなどがある。電気自動車のバッテリーは一般家庭の夜間電力に対応でき る。 また、太陽光発電は東京より北海道のほうが発電量が多い(気温 1 度低下で発電効率 0.4%向上)。積雪対応としては、雪を滑らせる工夫、耐荷重などの対応もできる。メ ガソーラーは、8 月に再生可能エネルギーの買取法案が決まるので、発電効率(帯広 や釧路は日射量が多い) 、土地価格を考慮すると北海道は事業性に優れている。 電力消費が多いデータセンターの電力を太陽光発電でまかない、発生する熱を雪冷房 で冷やし、さらに余剰の熱は植物工場の生産ラインに供給するというビジネスモデル もある。 このように北海道の特性を考慮して、複合的なエネルギーを管理することによって、 東北や海外の積雪寒冷地などのほかの地域へ展開できる技術として、十分商品価値が あると考えられる。 【産官学金のネットワークの重要性について】 前田:特にスマートコミュニティという分野では、ネットワークが重要になる。ネットワー ク構築にはいくつかの段階があり、情報共有、事業推進、スタンダード構築などであ る。北海道ならではの仕組みを作り、国際競争の中での標準化にも対応していく必要 がある。 船橋:仙台市でも新しいエコタウンに取り組んでいる。従来のまちづくりにプラスする議論 が必要となり、民間企業(地元住宅メーカー、金融機関等)とのアライアンスを組ん でいる。 異業種の受け皿があり、プロジェクトを実施できる受け皿があると良い。 384 小松:市民に太陽光発電の環境価値を寄付してもらう「帯広市環境基金」の制度も始めてい る。これまでの「点」の取組を「面的」に広げるうえでは、行政だけでできることで はなく、今後においても幅広い主体の方々とネットワークを構築して取り組んでいく 必要があると考える。 田中:ビジネスチャンスとは事業性の有無に関わっている。ESCOやPFIなどの民間の 活力を使用して事業を進めていかなければならない。そうすると、事業企画立案、運 営、法制度、補助金活用、資金調達(ファイナンス)、不足技術の補完など、まさに産 官学金のネットワークが必要となってくる。情報収集することも大切で、さらに関心 ある人、物、金の連携が必要であり、共有できる場が必要と考えている。 【スマートコミュニティの社会的意義やスマートコミュニティに対する熱い想いなど】 小松:帯広・十勝は、札幌・函館地区とともに、昨年 12 月、国際戦略総合特区に認定された。 総合特区の環境分野の取組では、バイオ燃料(バイオガス、バイオエタノール、BD F)の生産・活用である。今後においては「統合アプローチ」の集大成となる「スマ ートコミュニティ」の取組を進め、環境に配慮した、安全で安心できるまちづくりを めざすとともに、この取組の成果を、広く発信していきたいと考えている。 船橋:今まで抱えていた問題を解決できるような新しいコミュニティづくりをしていく必要 がある。そこに暮らす人がどんなまちづくりをしていきたいか、そこにずっと暮らし 続けたいなと思えるまちである必要がないと、結局は長続きしない。そういった視点 で私たちは新しいライフスタイルを含めた提案が必要になる。 田中:北海道は広大な土地、冷涼な気候、食料自給率 200%という、非常に誇っていいもの がある。この北海道の特性を生かして、北海道を発信する「北海道スタンダード」、北 海道型スマートコミュニティの構築ができれば、地域活性化につながると考えている。 そのためには、産官学金の連携が必要であると思う。 前田:おそらく数年したら、時代の要請で、スマートコミュニティは当たり前になっていく。 全てが一律ではなく、地域の要請を取り込んでいることが大事。 385 【まとめ】 高野:スマートコミュニティの北海道としての可能性は高い。 「広い」「寒い」などの地域特性や北海道そのものが「北海道ブ ランド」としてかっこいい。 金融機関が少ない、高齢化が進んでいくなどの課題はあるが、厳 しい状況だからこその知恵の働きどころであると考えると北海 道の可能性はかなり高いのではないか。 ネットワークやアライア ンスを確立し、 要素技術とニーズ(満足度)のマッチングというと ころで、アライアンスが必要である。ニーズを探し出すことだけ ではなくて、わくわく感の創造、ひとつのものをどう組み込むか といったことも重要。ニーズやわくわく感の創造や仕掛け、事業 推進の主役、特許の取得や技術公開など複層的に物事が進んでい く。場作りは、1 層目の基本的な部分は皆でビジネスマッチング を行い、それぞれのビジネスパートナーを見つける。次の段階で は個別のアライアンスを作ってもう 1 段上の場作りを行い、 そこ でそれぞれが技術競争をするといった 2 層の場作りが必要と考 える。 (5) アンケート結果 ① 回収数 一般市民 2% 無記名 13% 55(配布数 131) ② 回答者属性 ・職業 関係機関 24% 民間企業 61% ③ 質問内容と回答 質問 1:フォーラムは参考になったか 「大変参考になった」と「参考になった」を合わせると、全体の約 7 割が参考になっ たと回答。 全く参考になら なかった, 0% 参考にならな かった 7% 無回答2% 普通, 11% 大変参考になっ た, 18% 参考になった, 62% 386 質問 2:フォーラムを受けて、今後取り組みたいこと 以下の意見をはじめ多くの意見が寄せられた。 ・ 住宅及びまちづくりをとおして、スマートコミュニティの形成に取り組む事業を検 討中。 ・ 今後、前向きに検討したいと思うが、多業種が協力し、JV(ジョイントベンチャー) により、実現できるといい。 ・ スマートコミュニティ、エネルギーマネジメントを上手に進めるための前提となる 設備の能力維持がほとんど出来ていないのが一般的なので、協力会社で組織を作り、 小さな単位からでも実証例を作りたい。 ・ 地域活性化に合わせて進めて行けたらいいと思う。もっと大学生や若い人で地域に 今の社会を考えていく会があったらおもしろいと思う。 ・ 地産地消のエネルギー構築。 ・ 北海道らしさを生かして、連携して取り組めることを検討し、行政として関われる 部分を見出していきたい。 質問 3:プログラムについて 全体的に「大変よい・よい」の回答割合が 6 割以上となっている。 ・全体的な印象 ・情報提供 あまりよくない 0% あまりよくない 4% 悪い 0% 悪い 0% 大変良い 16% 大変良い 16% 普通 25% 普通 29% 良い 51% 良い 59% 無回答 0% ・パネルディスカッション 悪い 0% あまりよくない 2% 大変良い 24% 普通 25% 良い 49% 387 質問 4:フォーラムやスマートコミュニティ等についての感想・ご意見 以下の意見をはじめ多くの意見が寄せられた。 【フォーラム自体について】 ・ 情報提供が時間不足。説明が早足で、手元に資料が欲しかった。スマートコミュニ ティという言葉が一般の人々にわかりづらいと思う。暮らし全般が変化していくこ との説明が難しい。最終的にどうなるのかメリットの説明は常にあるが、デメリッ トの説明は少ない。新たな技術についていけない高齢者と過疎化が進む地方と、新 しい街区とのギャップをどう埋めるかが課題であると思う。 ・ 参加者、企業として具体的にできることは少ないのではないか。即行動に繋げられ るような、 事業につなげるための情報提供を行ってほしい。企業間のかけ橋になる 様な場を提供してほしい。 ・ 自治体の取組や他社の取組が拝聴でき参考になった。 【スマートコミュニティについて】 ・ 北海道型スマートコミュニティの構築を考えた場合、エネルギーの供給や地球温暖 化対策だけでなく、日本全体の抱える介護の問題や、都市のコミュニティの問題な どを組み合わせ、パッケージ化していく必要があると感じた。 ・ 行政や協議会等の取組が市町村民に対しての満足度、期待感、評価を数値と実際に 施設利用してのメリット、デメリットをきちんと公表して情報伝達することが重要 となってくるのではないか。震災体験から安全、安心、将来安定したエネルギーを 求めている。 ・ スマートコミュニティづくりをめざすにはまちづくり、都市計画との連携が必須と 考える。民の動きだけにまかせるのであればスマートコミュニティ構築には非常に 長い時間がかかると思う。官のリーダーシップによるコミュニティ理想像めざす姿 勢に向けた力強い行動が必要と感じた。 ・ スマートコミュニティは一般の方々へはまだ認知度は低いと思う。今後はこのよう なフォーラムを開催して広めていくべきかと思う。 質問 5:北海道からの出前講座やフィジビリティスタディの支援について 5%が「希望する」という回答であった。 希望する 5% 希望しない 95% 388 7−5 セミナー(住民ワークショップ形式)の開催 (1) 開催概要 開催日時:平成 24 年 2 月 21 日(火) 14:00∼16:30 会 場:恵庭商工会議所 3 階大会議室 参加者数:24 名(市民:8 名、学生 2 名、企業 2 名) 傍聴 7 名、報道機関 1 名 事務局(道庁:2 名、KITABA:5 名、(社)北海道開発技術センター:2 名、北大大学院:1 名) (2) プログラム ① 開会のご挨拶 ② セミナーのプログラム説明 ③ スマートコミュニティに関する説明 ④ テーブルディスカッション ⑤ まとめ ⑥ 閉会 (3) 開催の様子 ▲開会の挨拶 ▲セミナーのプログラム説明 ▲会場の様子 ▲太陽光パネルのデモンスト レーション ▲テーブルディスカッション ▲テーブルディスカッション 389 (4) 議事まとめ セミナーのプログラム説明 高野 伸栄 (北海道大学大学院工学研究院 准教授) スマートコミュニティに関する説明 酒本 宏 (株式会社KITABA) テーブルディスカッション ○ディスカッションの視点 高野 伸栄 (北海道大学大学院工学研究院 准教授) ・ スマートコミュニティとは再生可能エネルギーや電気自動車などをうまく使うこと である。 ・ 今回集まってもらった目的としては、自分たちの街に、今までにないエネルギーの 技術(スマートメーターや電気自動車、スマートハウスなど)そのエネルギー技術を 使って、どんな街が作れるかのアイディアを出してもらうということがある。 ・ また、北海道ではスマートコミュニティの発想でできることもある。生活の中でエ ネルギーやエネルギー技術を使って、どんなことができるかを考えてもらう。 ○グループ発表 1 グループ (ファシリテーター 株式会社KITABA 佐藤 潤子) ・ 不安なこととしては、コストや自己負担が大きいという意見や、対費用効果はどれ くらいあるのか、また、エネルギーを作る設備にするための施設の改修など、余計 な出費がかかってしまうのではないかといった意見があった。 ・ スマートコミュニティを作る中で、地域にあわせるのが苦痛であったり、貧富の差 が出てしまうのは解消しなければならない。 ・ エネルギーの大元がなくなってしまったらどうするのだろうか?また、そうならな いように、自給基点の範囲を狭くすればよい。そうすることで地域のつながりも生 まれてくる。 ・ 子供たちの環境学習に活用したい。太陽光パネルやエネルギーを作るものがあるだ けで、大人になったときにエネルギーの使い方を考えるだろう。 ・ 環境学習や、このような会をとおして、環境を広めるための人材を増やす。 ・ また、ハード面として、エネルギーを引き受ける会社があればよいと思う。 ▲ディスカッションで用いた模造紙 ▲ディスカッションで用いた模造紙 390 2 グループ (ファシリテーター 株式会社KITABA 酒本 宏) ・ 町内会の活性化 ・ インセンティブがあると推進につながる。企業に対しては企業誘致にもつながる。 ・ 行政のモダン的発想が大事。いいなと思える街にすること。 ▲ディスカッションで用いた模造紙 ▲ディスカッションで用いた模造紙 3 グループ (ファシリテーター 株式会社KITABA 松本 卓也) ・ EVの充電はマンションでは難しいが、その分、エネルギースタンドやコンビニが 連携するなどして、公共の場での充電ができるとよいという意見があがった。 ・ 市場ができることで、企業が取組、利益が生まれる。その際、法整備などの行政の バックアップがあったり、北海道に根ざした技術の革新が生まれる。 ・ スマートグリッドの構成により、 「ためる」が「つくる」を減らすだろう。電力をつ くるところと発送電網が分離できればよいと思う。蓄電が大事である。そうするこ とで、利用最大値(頂点)で考えるのではなく、面積でエネルギーを考えられるよう になるだろう。 ・ エネルギー製造と利用のバランスとしては、ペレットストーブの利用に関して、製 造のみならず利用もする、使い道を作ってあげるということが大切といった意見が 上がった。 ・ また、1 人 1 人の意識改革をすることも大切である。 「見える化」することによって、 ヘルスメーター効果で何もしなくても 5%位は削減できるので、意識改革された行動 によってさらに 5%下げることができる。 ▲ディスカッションで用いた模造紙 ▲ディスカッションで用いた模造紙 391 ○まとめ 傍聴者(住宅メーカー) ・ 今回の会は勉強になった。みんなで考えあうことによって実現が近くなる。 ・ 地域の資産価値含め、道の価値高めていくという道民全体の方向性ができるような ビジョンができれば面白くなるだろう。 行政 ・ ユニークな意見が多く、新しい視点が増えてワクワクした。災害の面にプラスして、 毎日ワクワクできる要素を含めたスマートコミュニティができるとよい。 行政 ・ 自己負担は大きいが、長期で投資回収は可能であることを考慮してスマートコミュ ニティを構築できればよい。また、その際に「コミュニティ論」が大切である。 北海道大学大学院工学研究院 准教授 高野 伸栄 ・ 今回の会は、 「ワクワク」にプラスして、深みのあった議論になったと思う。現在は 1 つのシステムとして便利な社会ではあるが、停電などの災害が起こった際に私たち は何もできない。コミュニティで取り戻す、考えるということが大事で、今回の議 論で、スマートコミュニティとは、 「便利な社会」から「深み、厚みがある社会」に していくということがわかった。 392 8章 業務処理体制 本事業は、下記に示す3社で構成される「スマートコミュニティ構築可能性調査事業委託業 務受託コンソーシアム」にて受託し、遂行した。 ■業務処理体制図 【コンソーシアム代表者】株式会社 KITABA 総括責任者:酒本 宏(代表取締役) 業務担当者:吉田 盛訓(企画計画室) 新規雇用(計 7 名:コンソーシアム代表者が雇用) 【コンソーシアム構成員】社団法人 北海道開発技術センター 業務副責任者:金田 業務担当者 :阿部 越後 永田 安弘(調査研究部長) 正明(調査研究部 次長) 謙二(調査研究部 主席研究員) 泰浩(調査研究部 主任研究員) 【コンソーシアム構成員】株式会社 日本総合研究所 業務副責任者:前田 直之(社会・産業デザイン事業部都市・地域経営戦略グループ マネージャー) 業務担当者 :浅井 康太(創発戦略センターグリーン・グロース・オフィス 研究員) 393 用語集 か行 カーシェアリング グリーン電力証書 コージェネレーション 国内クレジット コミュニティバス コンソーシアム コンパクトシティ 1 台の自動車を、複数の人が共同で使うこと。 再生可能エネルギーによって得られた電力の環境付加価値を、取引可能な 証書にしたもの、またはそれを用いる制度を指す。再生可能エネルギーに 対する助成手法の一つ。グリーン電力制度、グリーン証書取引制度などと も呼ばれる。 熱電併給。内燃機関、外燃機関等の排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取 り出し、エネルギー効率を高める、新しいエネルギー供給システムの一つ。 略してコージェネ、コジェネとも呼ばれる。 大企業の技術・資金等を提供して中小企業等が行った温室効果ガス排出抑 制のための取組みによる排出削減量を認証し、大企業等が自主行動計画や 試行排出量取引スキームの目標達成等のために活用する制度。平成 20 年 10 月に開始された政府全体の取組み。中小企業のみならず、農林(森林バ イオマス)、民生部門(業務その他、家庭)等における排出削減も広く対 象とされている。 地域共同体、もしくは自治体(市区町村など)が住民の移動手段を確保す るために運行するバス。市街地などの交通空白地帯において公共交通サー ビスを提供するもののほか、市街地内の主要施設や観光拠点等を循環する 路線などのさまざまなタイプがある。 2 つ以上の個人、企業、団体、政府(あるいはこれらの任意の組合せ)か ら成る団体であり、共同で何らかの目的に沿った活動を行うなどの目的で 結成される。 都市的土地利用の郊外への拡大を抑制すると同時に中心市街地の活性化が 図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な都市、また はそれを目指した都市政策。 さ行 次世代自動車 市民ファンド スマート家電 スマートハウス スマートビル スマートファクトリー 平成 20 年 7 月に閣議決定された「低炭素社会づくり行動計画」の定義で、 ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車 (EV)、プラグイン・ハイブリッ ド自動車(PHV)、燃料電池自動車、クリーンディーゼル自動車、天然ガ ス自動車など。 市民からの寄付を中心に、市民活動に助成を行うことを目的に市民が運営 する基金。行政よりも助成や融資の柔軟性が高く、市民からの政策提言や 政策推進の機能も合わせ持つ。 スマートグリッドやスマートメーターと連携し、自動的にエネルギー消費 を最適化する仕組みを持った家電製品。夜間電力を利用して動作したり、 電力網全体の電力消費が一定以上の水準を超えた場合に出力を抑えるなど の機能を持つ。 HEMSによって、家庭におけるエネルギーの需要と供給に関する情報を 効率的に管理して、最適制御する機能を備えた住宅。 BEMSによって、ビル全体のエネルギー消費の最適化や省エネ、空調や セキュリティシステムの制御、防災・防犯などを行うビル。 FEMSによって、エネルギー使用や生産管理の最適化を行う機能を持つ 工場。 た行 低炭素社会 低炭素モビリティ デマンドバス デマンドレスポンス トランスヒートコンテナ CO2排出量が少ない社会。低炭素型社会、脱炭素社会ともいう。 CO2 排出量の少ない交通手段のこと。電気自動車をはじめとした次世代 自動車、自転車、LRT(次世代型路面電車)、カーシェアリングなどを 含む。クリーンかつエネルギー効率の高い都市内交通システムを示す場合 もある。 利用者の要望に応じて運行するバス。迂回型バスとエリア型バスの 2 種類 がある。 需要応答。電力網における需要(特にピーク需要時)に応答して電力消費 を低減したり、他の需要家に余剰電力を供給したりすること、またはその 仕組み。 工場などから出る廃熱を回収して蓄熱し、遠く離れた場所にトラックなど で搬送して熱エネルギーを利用する技術。 394 は行 パーク&ライド バスロケーションシステム ピークカット ピークシフト ヒートアイランド ヒートポンプ 自宅から最寄りの駅まで車で行き駐車して、電車やバスに乗り換えて、目 的地まで行く方法。 道路交通渋滞の緩和や公共交通機関の利用促進、環境 負荷の軽減を目的とする。略してP&Rと表記されることもある。 無線通信や GPS などを利用してバスの走行位置情報を把握し、バスの運行 管理を行ったり、停留所の案内表示板やインターネット、携帯電話などを 通じて、利用者にバスの到着予測時刻や走行位置などの情報を提供するシ ステム。 電力需給ひっ迫時に電気利用の抑制を図る対策。 電力需要が最大になる時間を他の時間帯にずらす対策のこと。例えば、工 場などの操業日・時間を計画的にずらしたり、蓄熱槽を利用し、昼間に使う 冷暖房の熱を蓄え夜間にまわして利用したりする。 都心域の地上気温が周辺部に比べて高くなる現象。 熱を低温側から高温側に移動させる装置。大気や水などの熱を集め、少な い電力で大きな熱エネルギーを得る仕組み。冷暖房用のエアコンや給湯器 などに用いられ、電熱器よりも効率面で優れている。 ら行 ライフサイクルコスト ランニングコスト 製品やサービス、施設、建造物などを製造あるいは利用するに当たって、 そのライフサイクル(構想・企画・研究開発、設計、生産・構築、調達、 運用・保全、廃却)の全てにわたって発生する総コスト。 機器やシステムの保守・管理に必要な費用。 アルファベット BEMS CCS CEMS EMS(エネルギーマネジメン トシステム) EV(電気自動車) FC(燃料電池) FEMS HEMS ICT J−VER(オフセット・ク レジット) Building and Energy Management System の略。ビル内のエネルギー 監理システム。ICTを活用してビル内の配電設備、空調設備、照明設備、 OA 機器等の電力使用量のモニターや制御を行い、ビル全体で省エネ効果 を引き出す。 Carbon dioxide Capture and Storage の略。CO2回収・貯蔵。化石 燃料の燃焼で発生するCO2 を分離・回収し、地質が持つ炭素貯留能力や 海洋が持つ炭素吸収能力を活用し、大気からCO2を隔離する技術のこと。 Community Energy Management System の略(Community は Cluster や City と表記されることもある)。HEMS、BEMS、FEMS など を含めた地域全体のエネルギーを管理するシステム。風力発電や大規模太 陽光発電などを含む系統電力の供給側と、戸建住宅、マンションやオフィ スビル、電気自動車充電システムなどの需要側のシステムを連携させ、地 域全体のエネルギー管理を行う。 Energy Management System の略。エネルギー監理システム。ICTを 活用してエネルギー消費機器などをネットワークで接続し、消費電力や CO2 排出量を「見える化」することで、エネルギー使用の最適化を図るシ ステム。 Electric Vehicle の略。次世代自動車の一つで、充電したバッテリーで動 くタイプの自動車。 Fuel Cell の略。水素と空気中の酸素を反応させて電気をつくる装置。 Factory Energy Manegement System の略。工場内のエネルギー管理シ ステム。ICTを活用して生産設備のエネルギー使用状況・稼働状況を把 握し、エネルギー使用や生産管理の最適化を図る。 Home Energy Management System の略。家庭内のエネルギー監理シ ステム。ICTを活用して家電製品や給湯機器をネットワークでつなぎ、 家庭内のエネルギー管理を行いエネルギー消費量の抑制を図る。 Information and Communication Technology の略。情報通信技術。 国内における自主的な温室効果ガス排出削減・吸収プロジェクトから生じ た排出削減・吸収量を指す。2008 年 11 月開始の「J-VER 制度」(環 境省所管)に基づいて発行される。カーボン・オフセット等に活用でき、 市場における流通が可能で、金銭的な価値を持つ。 395 V2H Mansion Energy Management System の略。マンション全体のエネル ギー管理を行うシステム。ICTを活用してマンション内のエネルギー表 示や制御を行う。電力需要ピーク時に、共用部の照明や空調の一部の電力 を能動的に制御したり、非常時に給水ポンプの動力、情報インフラの系統 を確保することも可能。 Plug-in Hybrid Vehicle の略。次世代自動車の一つ。家庭用電源から差込 プラグを用いて直接バッテリーに充電ができるタイプのハイブリット自動 車。 Vehicle to Grid の略。電気自動車やハイブリッド車を移動手段として使わ ない時に、搭載された蓄電池を電力系統に連系し、車と系統との間で電力 融通を行い、電力の安定化を図る技術。 Vehicle to Home の略。電気自動車やハイブリッド車を移動手段として使 わない時に、搭載された蓄電池のエネルギーを家庭内で利用する技術。 ZEB(ネット・ゼロエネル ギー・ビル) ZEH(ネット・ゼロエネル ギー・ハウス) Zero Energy Building の略。年間での化石エネルギー消費量(またはCO 2 消費量)がゼロ、または概ねゼロの建物。 Zero Energy House の略。年間での化石エネルギー消費量(またはCO2 消費量)がゼロ、または概ねゼロの住宅。 MEMS PHV(プラグイン・ハイブ リッド自動車) V2G 396
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