テクニカルニュース vol.10 - JFA Community

Technical
news
Vol.10
特集
日本サッカー
ユース年代改革の現状
第23回ユニバーシアード競技大会
2005 GK+ストライカーキャンプ
テクニカル・ニュース Vol.10
○発行人:田嶋幸三
○編集人:財団法人日本サッカー協会テクニカルハウス
○監 修:財団法人日本サッカー協会技術委員会
○発行所:財団法人日本サッカー協会 〒113-8311 東京都文京区サッカー通り(本郷3-10-15)JFAハウス 電話 03-3830-2004(代表)
○発行日:2005年11月21日
JFAアカデミー福島2次選考会開催
2005 ナショナルトレセンU-12
財団法人 日本サッカー協会
Technical news
Vol.10
特集
© AGC/Schuichiro Hara
日本サッカー
ユース年代改革の現状
2
特集
第23回ユニバーシアード競技大会
(2005/イズミル)
男子、 3連覇達成 までの軌跡
女子代表の戦い
○表紙:GKプロジェクト・リーダー・加藤好男氏
(2005 GK+ストライカーキャンプより©AGC/Schuichiro Hara)
8
12
2005ナショナルトレセンU-12
東海、北信越、東北、北海道でスタート
52
2005公認S級コーチ養成講習会
55
2005 ストライカーキャンプ
22
2005 第2回JFAエリートプログラムキャンプ
37
JFAアカデミー福島
経過報告〜Part3〜
50
連載 What's「種別」と「年齢区切り」
16
一語一会
17
活動報告・ユース年代の日本代表チーム
18
GKプロジェクト活動報告
25
JFAフィジカルフィットネスプロジェクト
28
年代別指導指針⑩
30
女子サッカー
各種大会報告(第10回全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会、
第14回全日本高等学校女子サッカー選手権大会)
34
スポーツの社会科学 サッカー文化論
アソシエーションの誕生−FAとJFA②
40
連載 クラブづくりを考えよう! 〜サッカーをもっと楽しむために〜⑨
44
JFA公認指導者登録制度・規約
46
連載:審判員と指導者、ともに手を取り合って・・・
48
連載:キッズドリル紹介・第5回
49
指導者・指導チーム検索システム「コーチ・スクエア」
58
技術委員会刊行物・販売案内
60
A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA
62
○発行人:田嶋幸三
○監 修:財団法人日本サッカー協会技術委員会
○発行所:財団法人日本サッカー協会
○制 作:財団法人日本サッカー協会テクニカルハウス
○制作協力:エルグランツ(株)
○印刷・製本:サンメッセ(株)
※本誌掲載の記事・図版・写真の無断転用を禁止します。
本誌はJFA指導者登録制度において、
所定の手続きを行ったJFA公認指導者の方に無償で配布されています。
1
日本サッカー
ユース年代改革の現状
避けなければならない。この改善策とし
いない。それによりJFAプリンスリーグ
て、各地域でJFAプリンスリーグU-18に
U-18の出場チームの過密日程を避けるこ
出場するチームは、インターハイの予選
とと、プリンスリーグ以外のチームに県
などでシードされることが浸透してきた。
外の公式戦を経験する場を作ることがで
関東では、関東高校大会(関東はイン
きている。伝統を大切にすることも重要
ターハイ予選とは別大会)に、JFAプリ
であるが、時には伝統に縛られずにプレ
ンスリーグU-18に出場するチームは、群
ーヤーズファーストで、既存の大会の整
馬・山梨の両県を除く1都5県は出場して
理縮小を行うことが必要であり各地域で
レポート
高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会
2002年以降、
JFAが行ってきたユース年代改革。
今回はU-18(高円宮杯全日本ユース
(U-18)
サッカー選手権大会)
、U-16(国民体育大会、
3種年代の活性化)
における改革の成果、
現状、課題について報告します。
イタルエリアを自由に使われピンチを招いている。連
で突破しようとする意欲に欠け、決定力にも課題を残
動した守備を基本に、前で守る意識やクリア直後にラ
したが、ボールポゼッション能力は高く、相手のパワ
大会全般のゲームから育成とチームづくりに関する傾
インを上げてペナルティーエリアから相手を追い出す
ーが落ちた時間帯からゲームを支配できた。フィジカ
向と課題を探り出し、いくつかの観点から分析をして
プレーがほしい。
ル的には両者とも90分安定して戦える体力がほしい。
1.はじめに
今回の大会はヴェルディユースの優勝で終わった。
みた。
高円宮杯第16回全日本ユース(U-18)
サッカー選手権大会決勝より
© Jリーグフォト㈱
高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会
高円宮杯第16回
イベートなリーグから公式的なリーグへ
全日本ユース
(U-18)サッカ
ー選手権大会
決勝より© Jリ
ーグフォト㈱
3年を経過した
プリンスリーグの歩み
(各地域の試み)
高校とクラブという2つのくくりのあ
の転換期を迎えていたこと。もう1つは
る2種において、お互いが同じ土俵で闘
JFA内に設置されたユース強化育成部会
う「高円宮杯全日本ユース(U-18)サッ
におけるリーグ戦導入の決定である。同
JFAプリンスリーグU-18の目的はレベ
カー選手権大会」は、2002年度までは高
部会には種別を超えた育成に携わるコー
ルの拮抗したリーグ戦の具現化である。
校チームとクラブチームが別々の予選を
チが集結。育成年代でのリーグ戦の導入
行なっていた。高校チームは各地域大会
の優勝校、クラブチームは日本クラブユ
①レベルの拮抗したリーグ戦の導入
7.まとめ〜育成の全体像からみ見たユース年代の育成
れるが、1対1の相手に対する強さを発揮できる選手が
攻撃では、積極的にゴールに向かう力とメンタリテ
少なく、スピードに乗ったドリブルに対しては個人が
ィを持った選手を育成したい。攻撃の目的の一つは、
簡単に突破されチャンスをつくられてしまう。
ボールを保持しながら1対1の局面をつくることにある。
突出した選手がいなかった。ドリブルから決定機をつ
また、クロスの守備でポジショニングが悪い。特に
故に、1対1の局面では積極的にしかける選手であって
くり出したり、中盤でためをつくりながら決定的なパ
サイドで時間をかけられた後のクロスに対してはボー
ほしい。そして、ボールのない選手は、常にボールに
スを流したり、相手の攻撃の芽を摘みとってしまうと
ルウォッチャーになってしまうことで裏をとられてい
責任を持って有機的にボールに絡んでいくプレーを身
いった、一人で局面を打開できるタレントの存在がど
た。また、チャレンジ&カバーの甘さ、GKとDFライ
につけてほしい。
のチームにも少なかった。平均点の高いチームが上位
ンの間のスペースケア、攻めているときのコーチング
攻撃のクライマックスは、個人の突破やクロスから
に進出したと言える。
やマークの仕方などのリスクマネジメントなどにも課
のフィニッシュである。故に、ボールを失わない技術
題を残した。
と的確なポジショニングからのサポート、サイドチェ
3.攻撃〜ボールポゼッションと突破のプレーは融合
していたか
ユース改革Ⅰ U-18年代の改革
ーリーグの発足から5年を経過し、プラ
さらに、特徴的な課題として、DFの人数を揃えて組
織で守る意識はあるのでパスによる突破はある程度守
2.タレントはいたか
うまさ、速さ、高さ、強さのいずれの観点においても
を行うことで選手育成を目指したスーパ
presented by TOSHIBA
池谷 孝(ナショナルトレセンコーチ/清水エスパルス)
何人かの選手を除き、全体的に平均的な選手が多く、
JFAプリンスリーグ
U-18の発足
JFAプリンスリーグU-18 2004より© Jリーグフォ
ンジ、1対1の突破の技術、クロスの技術と精度、フィ
5.システムは生かされていたか
ニッシュの技術と精度が求められる。
ボールを失わない意識は高くなっており、プレッシ
いくつかのチームは、攻め急ぎ、サイドのスペース
守備では、1対1での相手に対するスキルに優れた選
ャーのない中では正確にプレーできる。中盤まではボ
が十分に使われていないため、直線的で単発的な攻撃
手を育成したい。特にスピードに乗った相手を止めら
ールを動かしながらポゼッションすることができるが、
になっている。サイドの選手が生きていないし、全体
れるスキルを身につけたい。個人を基本に連動して組
アタッキングサードでの①相手に対するスキルの低さ
的にボールに絡む動きが少なく、ボールを簡単に奪わ
織で守れるチームを目指したい。
とメンタリティの弱さ、②ボールに対するサポートの
れてしまっている。また、本来ポゼッション能力の高
さらにユース年代では、
「ゲームを読む力」を持った
動きの単調さとタイミングの悪さ、③クロスの精度の
いチームも、プレッシャーの中で正確にプレーする技
選手を育成したい。攻め込まれている時間帯に相手に
低さ、④ボールを持ったときゴールに向かう意識の希
術が十分でないため、相手のパワーが落ちるまで同じ
簡単にFK、CKを与えたり、攻撃時に相手守備のライ
薄さから、決定機をつくれない。
ようなサッカーになってしまい、自分たちのシステム
ンやスペースを読めないため不必要にパスを回し過ぎ
を生かしきれていない。
たり、下がって守る相手をミドルシュートで引き出し
一人ひとりの守備力が決して高くない相手の守備を
打ち破れないのは、個人で突破する力の不足と攻めの
また、4バックなのにサイドバックの攻撃参加が少な
攻撃しやすくするといった工夫ができないでいる。ゲ
アイディア、動きの変化やダイナミズムに乏しい単調
い。システムとしての守備のリスクマネジメントに固
ームの流れを読んで常にイニシアチブをとって、コー
な展開であるからである。ボールに絡む意図的でダイ
執するあまり、攻撃のバリエーションを単調にしてい
チングや判断の良いプレーでゲームをコントロールで
ナミックなサポートから数的優位をつくり、個人もし
るし、相手のFWが1人でも4人で守備の準備をしてい
きる選手の育成が望まれる。選手には常に考え続ける
くはグループでしかけていくプレーがほしい。
るような極端なことも起こっている。ゲームを考えた
ことを求めなければならないだろう。
育成の全体像を見たとき、ジュニアユース年代は、
とき、失点のリスクを減らしカウンター攻撃を狙うの
しかしU-18は育成期での最終年代でもあ
また、横パスは多いが、くさびのパスが入らないた
め突破のプレーにつながらない。くさびが入ったとし
には有利だが、守備を固めるチームには不都合が生じ
技術のなさを戦術でカバーできない年代である。ユー
が不可欠との声が上がり、早急に着手す
り、各都道府県への普及を行うことも必
てもサポートのポジションが悪く、継続して常にボー
るし、バランス良くサッカーを展開し、合理的にチャ
ス年代は、グループやチームで攻め守ることを要求さ
ることとなった(※下図参照)。こうして
要である。各都道府県への普及枠を残し
ルを受けることのできるポジションをキープ・修正で
ンピオンを目指すチームになるのは難しい。
れる年代であり、洗練された攻守の戦術によって相手
ースサッカー選手権(U-18)大会の上位
現在の「高円宮杯全日本ユース(U-18)
ながら、リーグ戦のレベルを拮抗させる
チームが出場権を得ていた。しかし、そ
サッカー選手権大会」への流れが確立さ
ために、各地域で工夫がなされてきた。
ポートプレーからサイドで1対1の局面をつくって果敢
九州では既に1・2部制が導入され、1部
にアタックする展開がほしい。
の予選はほとんどがトーナメント方式で
れた。
あり、負けることで次のゲームがなくな
ってしまう、M-T-Mが確保されていない
形式で行われており、本大会も同じよう
にトーナメントのみの大会であった。
こうしたトーナメント戦が主流の日本
の育成年代を改革するため、レベルの拮
抗したリーグ戦を導入することが必要と
リーグには普及枠は設けていない。また
■JFAプリンスリーグU-18発足の流れ
中国では前期リーグの上位チームが、後
①平成14年度第5回理事会(2002年9月12
日)にて「U-18年代における地域での公式
リーグ戦の発足」が承認
↓
JFA、各地域FAにて、大会参加チーム、日程、会場
を調整
なり、2003年度より「JFAプリンスリー
↓
グU-18」が発足した。そのきっかけとな
②2003年3月6日、このリーグ戦の名称が
「JFAプリンスリーグU-18」に決定
「高円宮杯回全日本ユース(U-18)
サッカー選手権大会」の予選大会に位置づけ
ったのは、2つの流れのタイミングの一
致であった。
1つは、高校チームが長期間リーグ戦
2
を打ち破ったり、相手の攻撃を止めたりすることを求
きないため、連続したチャンスをつくれない。意図的
に中央にボールを運び相手守備を集中させて、良いサ
ボールを失わないようにピッチを広く使いながら組
み立て、アタッキングサードでは個人の力とボールに
6.クラブチームと高校のチームは
ベスト8には高校5チーム、クラブ3チーム、ベスト4
められる年代であるが、基本となるのは一人ひとりの
選手の技術の確かさや判断力の正確さである。技術が
にはそれぞれ1チーム、3チームであったが、全体的に
不十分な選手が、戦術だけで相手を打ち破ることは、
は高校とクラブチームのサッカーの質の差は縮まって
絵に描いた餅である。こうしたことからも分かるよう
いるように感じる。
に、指導者は育成の全体像を理解して、一貫的指導の
ビジョンを持ちながら、目の前の課題を克服し選手を
絡むダイナミックで積極的なサポートからのコンビネ
高校のいくつかのチームは、直線的で崩しの意図に
期は1部リーグを展開している。関西、
ーションで決定機をつくり出すような、ボールポゼッ
欠ける単調な攻撃であった。特にボールを奪った後の
東海でも来年度から1・2部制が導入さ
ションから一気にパワーアップして突破していく攻撃
メイクスペースがなく、ボールを奪われやすい状況を
が見たい。
つくっている。リアクションでチャンスはつくれるが、
ーで観客を魅了し、チームに勝利をもたらす選手が必
れ、よりレベルアップしたリーグ戦が行
指導することが求められるのである。
最後に、サッカーのゲームには技術やセンスやパワ
リトリートして守備を固めたチームを崩すのは容易で
要である。今大会が全体的に平均的な選手が多かった
4.守備〜1対1の相手に対する強さと連動があったか
ない。しかし、アタッキングサードでのゴールに向か
ことを考えたとき、個のタレントの育成は急務である。
守備を組織的に行おうとする意図は見えた。しかし
うプレーとメンタリティには迫力があった。FWは粘り
指導者が勝つためのリスクマネジメントをし過ぎたり、
守備は全体的に弱い。中でもボールチェイス、追い込
強く、シュートまで持っていく力があった。展開力を
選手の自由な発想や判断、プレーを制限したりするこ
み、アプローチ、ラインコントロール、GKのスペース
向上させれば攻撃力はアップするであろう。また、集
とは選手の成長を妨げることになる。私たちコーチは、
ケアといったチーム全員の連動した守備の意識がない
中力があり最後まであきらめないプレーが多く見られ
選手を育成することの喜びを味わいつつ、チームの勝
しかし3年を経過し、JFAプリンスリーグ
ため、全体的にプレスが甘く相手に自由にプレーされ、
た。
利とのバランスをとりながら育成年代における「プレ
U-18の認知度や必要性が各地域で浸透し
多くの守備者がペナルティーエリア内までずるずる下
クラブチームは、全員の平均点は高いが「個性」が
がらざるをえない状況になっている。それによってバ
感じられる選手が少なかった。バイタルエリアで個人
われることが可能となってきている。
②既存の大会とのすみ分け
JFAプリンスリーグU-18の発足時は、
既存の大会との日程調整が難しかった。
てきた。リーグ戦は必要だが過密日程は
ーヤーズファースト」の持つ意味の重さを認識し続け
ることが必要であると思う。
3
工夫されてきている。
ターハイと日本クラブユースサッカー選
手権(U-18)大会の上位2チームが出場
本大会の改革
することで、カップ戦からの出場枠も確
①出場チーム数と枠の変更
今後の課題
都道府県リーグの整備
3種年代でのレベルの
拮抗したリーグ戦の導入
JFAプリンスリーグU-18は、発足から3
チームが本大会に出場できるようになり、
年が経過し地域での認知度が増してきた。
選手が能力に応じたゲームを経験するた
ス(U-18)サッカー選手権大会」は、高
レベルの高い地域はそれに応じて出場チ
しかし全チームに対してのリーグ戦化は
めには、各都道府県内で強豪単独チーム
校は各地域から1チーム、日本クラブユ
ーム数を増やすことができるようになり、
まだ完成されていない。JFAプリンスリ
と、毎週1回はトレーニングに集まるこ
ースサッカー選手権(U-18)大会の上位
大会のレベルアップにつながっている。
ーグU-18には各都道府県のリーグ戦から
とが可能な生活圏内トレセン(地区トレ
5チームに、前年度優勝地域と高校選手
②予選リーグから決勝トーナメントへ
つながる仕組みをつくることが必要であ
セン)で闘うことが必要であると考えた。
る。そして都道府県リーグが整備されて、
そして年間を通したリーグ戦にすること
リンスリーグU-18だけではなく「高円宮
はじめて2種の全体にリーグ戦ができた
でM-T-Mを確保し、各チームに散在して
ことになる。
いる有望な選手に良い環境を与えていき
権優勝地域に各1チームの割り当てがあ
リーグ戦化を進めるにあたり、JFAプ
った(16チームが参加)。
Jクラブ
街の強豪クラブ
強豪中学
この3種年代の現状を考え、すべての
保できた。その結果2005年度は関東で7
2003年度までの「高円宮杯全日本ユー
■3種の現状
しかし2004年度より、出場チームが24
杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権
チームに増加。過去3年間の地域代表の
大会」でも予選リーグが導入された。こ
東海は既に各県リーグが整備されてい
成績をポイント化し、上位3地域にプラ
れにより、決勝トーナメントに進む上で
る。関東では2006年度から高校枠とクラ
ス1枠を与えた。前年度ベスト8に入った
の予選リーグの闘い方がチームにより違
ブ枠が撤廃されて、各都県リーグからの
チームの数だけ各地域の出場枠が多くな
いがあり、日本のチームには苦手な、ゲ
JFAプリンスリーグU-18への昇降格にな
トレセンチームが定期的なリーグ戦を
った。そしてJFAプリンスリーグU-18に
ームの闘い方や駆け引きが実践できる場
る。各地域でレベルに応じたリーグ戦が
組めない理由は、各所属チームの公式戦
出場していないチームに対しては、イン
を増やすことができた。
展開されていくことが望まれる。
が、中学校とクラブチームでばらばらな
県を超えて集まる
隣接する市町
村から集まる
公立A中学
強化できる
(私立、他)
公立B中学
C街クラブ
D街クラブ
たい。
リーグ戦の具現化
■将来性のある選手は散在している
Jクラブ
街の強豪クラブ
強豪中学
ことが挙げられる。これを解消するため
に、毎月1回は公式戦を入れない日を設
定して、トレセンマッチデーを確立する
県を超えて集まる
隣接する市町
村から集まる
ことが必要と考える。そこで単独の強豪
チームと地区トレセンが混在したリーグ
ユース改革Ⅱ
U-16年代の改革
C街クラブ
D街クラブ
との日程調整ができなければならない。
必要に応じて既存の大会を整理していく
ことも考えなければならないであろう。
いた3種のスプリングカップを終了して、
在各都道府県でも毎月1回のトレセンマ
心のチームにおいての1年生は、
ッチデーの確保に尽力をいただいている。
「お客さん」的な存在であり、
トレセンデーの確立
(M-T-Mの確保)
「失敗しても次がんばれよ」と
世界では2歳刻みで各大会が組まれて
いうような雰囲気になってしま
いるが、日本では学校体育の枠組みで大
う。その高校1年生にゲームに
しかしこの中にも将来プロに成長する選手がいる
千葉県では2005年から毎年6月に行って
改革に必要な日程の確保を行なった。現
①U-18年代の過密日程の解消
公立B中学
戦を展開していく。それには既存の大会
国民体育大会(サッカー競技少年男子)
国体・少年男子のU-16化
公立A中学
強化できる
(私立、他)
来年の兵庫国体より少年男子はU-16となる
(写真は今年度「晴れの国おかやま国体」少年男子決勝© Jリーグフォト㈱
この選手に良い環境→毎週活動できる→地区トレセンの充実
■拮抗したリーグ戦の導入
都道府県でエリートリーグ(仮称)の実施
(力の拮抗したリーグ戦の導入)
Jクラブ
強豪クラブ
強豪中学
地区トレセン
トレセンチームがリーグ戦を行うこと
だけでは十分ではない。リーグ戦のマッ
会になるために、どうしても各学校の最
おける責任感を養うためには、
上級生(小6、中3、高3)の年代に大会
U-16年代が中心となる公式戦が
ている。しかし、Jクラブ以外はグラウン
チによって抽出した課題をトレーニング
が集中してしまう。特にU-18年代におい
必要であり、国体少年の部をU-16とした。
ドなどのハード面や、運営資金の不足か
で改善して、次のリーグ戦のマッチに臨
ては、FIFAワールドユース選手権大会の
③早生まれの選手に対してのアプローチ
ら、コーチの数と質のソフト面において
むことが必要になる。マッチ→トレーニ
地区リーグ
都道府県によって、実施方法を検討
代表チーム強化、国体選抜による都道府
これまでは学年単位の活動が多いため
必ずしも円滑に運営されているクラブば
ング→マッチ(M-T-M)を確保し選手を
県の活動、特別指定選手制度や所属クラ
に、早生まれの選手の掌握が難しかった。
かりではない。またどうしても活動時間
育成するためである。しかしトレーニン
ブでのプロチームでの活動、そして各所
しかし、今回の改革ではU-16の区切りを
が遅くなり、選手がクラブのトレーニン
グを土日に行うことは所属チームの活動
属のユースチームでの大会など、良い選
FIFA(国際サッカー連盟)と同じ1月1日
グを終えて帰宅するとかなり夜遅くなる
等で難しいので、ウイークデーのナイタ
手ほど過密スケジュールになってしまい、
で区切り、早生まれ(高校2年生の1月〜
ことも事実である。
ー(体育館などインドアでも可能)で週
期決戦の国体だけでなく、マッチデーが
また中学校では、私立学校で中高の6
1回程度のトレセンのトレーニングデー
設定されることで、1年間を通してこの
また国体・少年男子のカテゴリーがU-
年代にリーグ戦を行うことが、選手育成
16になったことで、3・4種年代の都道府
において必要であると考える。
県の選手育成が問われるようになる。山
選手が磨耗してしまうような状況であっ
3月生まれ)の選手までが少年での出場
た。この過密スケジュールによる弊害を
になる。これにより各都道府県における
年間を一貫指導として考え、選手育成を
を設けることを目指したい。そのために
取り除くために、2006年度の兵庫国体よ
早生まれの選手への関心は高まり、早生
行う中学校も少しずつ増えてきている。
もナイターで集ることのできる地区トレ
り、少年男子カテゴリーがU-16(16歳以
まれの選手の掌握がスムーズに行われる
しかし多くは学区が決まっている公立中
センでの活動が必要になる。
下)となる。
と思われる。
学校であることに違いはない。
②U-16年代の過疎スケジュールの解消
またU-16(高校1年生)年代は、強豪
この年代はまだ選手としての完成形は
3種年代の活性化
見えていない部分が多く、将来可能性の
マッチデーにおける他の
カテゴリーへのアプローチ
①U-16地域リーグ
A地区リーグ
B地区リーグ
C地区リーグ
タレント
動を展開していくことも可能となる。
梨県では韮崎高校がキッズプログラムに
②種別を超えた活動
参加して、高校生がキッズを指導するプ
また、マッチデーはトレセンにかかわ
ログラムを始めている。2・3・4種の枠
る選手だけのものとは考えていない。ト
を超えてマッチデーを設定することがで
チームにいるほど相当レベルが高くなけ
ある選手は公立の中学校や、規模の大き
レセンには選ばれていない選手や、中学
きれば、選手の普及、育成、強化のすべ
ればレギュラーとして公式戦に出場でき
くない街のクラブにも多くいる。その散
関東では2006年より、年間を通したU-
校1・2年生のゲームを行うこともできる
てにおいて活動範囲を広げることができ
在している将来性のある選手に対してア
16都県トレセンリーグを展開することを
であろう。中学校1年生は通学学区の小学
る。そして各都道府県で長期一貫指導を
プローチすることが、日本全体の選手層
目指している。国体がU-16になったこと
校6年生とのゲームを行うなどのアイディ
確立していき、選手の将来を見据えた活
を厚くするために必要であると考える。
はこの年代にとっては大きい。しかし短
アを出して、2・3・4種の垣根を超えた活
動が行われることを期待したい。
ない。そのため1年間公式戦から遠ざか
るようになってしまっている。そしてU18年代の公式戦に出場しても、3年生中
4
3種年代の現状
3種年代はクラブ化の傾向が強まり、
ジュニアユースのクラブは毎年増えてき
5
財団法人日本サッカー協会機関誌
レポート
晴れの国おかやま国体(第60回国民体育大会)サッカー競技
少年男子(2005年9月9日〜13日)
眞藤邦彦(ナショナルトレセンコーチ/サンフレッチェ広島)
1.はじめに
世界のサッカーはスピード化と大型化していること
起きている。マンマークとゾーンを併用しているチー
少年男子の部は、千葉が1回戦からスリリングな闘い
は事実である。大きな選手は完成するのに時間はかか
ムがほとんどであったが、皆がゾーンで守っているよ
を勝ち上がって優勝した。滋賀の躍進も今大会では目
るが、指導者が粘り強く育てることは将来の日本サッ
うな錯覚にとらわれてしまった。
を引いた。国体は選抜チームであるがゆえに、まずは
カーの発展に必要である。
スタッフワークをどう組んでいくかが重要なポイント
全部がそういったチームばかりであったわけではな
また、ゴールキーパーに関しては、年々大型化し、
い。しっかりとした原理原則の下で守備ができている
になる。その上で、個を生かしたチームとしての闘い
ゴールを守る、ゲームにかかわる基本的な部分ができ
チームもあったし、ある時間帯ではできていたチーム
方をいかにつくり出していくかにかかっている。
ており、守備の組織をオーガナイズできていた。GKプ
もあったことは述べておく。
今回の国体は、U-18年代での最後の大会ということ
ロジェクトの成果が出てきていると考える。
のある記念大会になったように思う。
セットプレーの攻撃についても、相手を休ませない
攻撃や、一瞬の隙を突く攻撃が意識的にできていない。
もあって、どの県も国体に対するさまざまな思い入れ
4.ボールポゼッション
また、直接FKで狙える距離であれば、キッカーと守備
全体的に、判断のないロングキック多用のチームは少
との闘いで、キッカーのチームメイトはただゴール前
なくなった。滋賀は、ボールをうまくつなぎながらゴー
に立ち尽くすだけでボールにかかわっていないし、相
ピッチの芝生は、4面ともよく手入れされており、す
ルを目指した。特に、⑦乾や⑧金本の、緩急のあるドリ
手をかく乱しゴールへ絡む手助けができていない。競
ばらしい状態であった。大会日程は、決勝まで休みな
ブルやフェイントでバイタルエリアを切り崩して得点チ
った闘いになったとき、セットプレーで勝敗が決定す
しの5連戦で、大変暑い中での過酷な闘いになったが、
ャンスをつくり出していく攻撃は圧巻だった。
ることを考えれば、これは重要な課題である。
2.オーガナイズ
飲水タイムが設定されていたのがせめてもの救いであ
った。
準々決勝の2試合を観戦したが、そこで驚いたのは、
群馬も、ポゼッションからロングボールで効果的な
サイドチェンジを行い、数的優位をつくり出し、サイ
ドを崩していく方法をとっていた。チャンスがあれば、
組織的に守るためにも、組織を打開して突破口をつ
カウンター攻撃で一瞬の隙を突き攻めていくという展
くり出していくためにも、バイタルエリアでの攻防は
わらず、足が動かず、ボールにアタックできない状況
開も魅力的だった。
重要であるとされるが、その点では、攻めにおいては
他にも、チームのバランスが非常に良く、ボールを
工夫が見られるものの、守備においては注意深くケア
また接触プレーに対して簡単に倒れ、レフェリーの笛
動かしながらうまくサポートし攻めていく東京は、3位
しているチームが少なかったような気がする。だから
を期待している状況もあった。そんな時、周囲にいる
に値する活躍を見せた。
最終ラインでしっかり守備をしていても、バイタルエ
あってもプレーし続けようとする、精神的にたくまし
5.課題
ジ&カバーのバランスが崩れ破綻しているチームもあ
守備においてブロックを形成し、ボールを奪うとい
善も求められる。3日目の準々決勝に勝ち上がれば、最
ったチームが多かった。だが、ブロックの形を優先し、
終日まで闘える大事な大会である。せめて2回戦後に1
その形にとらわれてしまって、目的を見失う部分もあ
日休養日を設けられれば、選手のパフォーマンスも回
った。つまり、自分のエリアに入ってきた相手に対し
毎回挙げられる点である、パスの精度や意図のある
復されて、全力で悔いを残さないすばらしい闘いが展
ては守備をするが、そうでないと守備をしないといっ
ファーストタッチ、ヘディングなどは年々向上してい
開されたことであろう。
た現状である。
る。特にヘディングに関してはかなり良くなったと思
また、同じゾーンに2〜3人侵入してきても、自分の
(4)個の部分
で、結局そこを突
があるので、今後どの項目についても、時間とスペー
しても、ゲーム環境を整える意味で、大会日程につい
かれて失点している。隣のゾーンでチームメイトが闘
スのないハイプレッシャーの中での精度を求めていく
て配慮が必要であろう。
っているのに、それを助けに行かない。隣というのは、
必要がある。特に、連戦の疲れからミスでボールを失
例えばボランチとセンターバック、あるいはセンター
う状況の中でも、パスにメッセージがあればうまくつ
バック同士やセンターバックとサイドバックといった
ながっていくし、体力の消耗も減ると考える。
る「どのようにしてゴールを奪い、ゴールを守るのか」
FW⑩長谷川は空中戦に強いだけでなく、足元も巧みに
が明確に整理されていない。個人でどう守るのか、グ
特に問題はなかったが、選手がプレーし続けること
使いこなせるプレーヤーであった。千葉は長身の長谷
ループでどう連携をとって防ぐのか、チームで組織的
を基本に、レフェリーが接触プレーについて判断でき
川を基点に、もう一人のFWやMFが絡んで切り崩して
にボールを奪って効果的な攻めに転ずるか、が大切な
るようになればファウルの適応もぶれにくいと思われ
いた。
のである。困ったときは、個人プレーの基本に立ち返
るが、残念ながらプレーし続けようとする選手は少な
今大会では、センターバックでも長身の選手が活躍
ることである。1対1での強さを身につけながらチャレ
かった。ただし、選手がせっかくプレーを続けようと
していた。特に空中戦に強く、1対1においても激しい
ンジ&カバーの連続をグループで実践していくことが
しているときにアドバンテージルールがうまく適用で
対応ができていた。しかしながら、連続して攻め込ま
原点である。
きず、プレーの流れが途切れていたことは残念である。
TEL:03-3830-2004
(代表)FAX:03-3830-2005
財団法人日本サッカー協会 広報部・機関誌「JFA news」係
FAX:03-3830-2005
(2)リスタートについて
年間定期購読FAX申込書
(5)審判について
この点については、これからも継続して、審判と技術
れるとポジション取りの修正がうまくいかず、ボール
の対応も後手を踏んでいる点は今後の課題である。
広報部
隣り合わせのポジションである。サッカーの本質であ
化したという印象が強い。その中でも優勝した千葉の
ウォッチャーになり、スピードでしかけてくる選手へ
財団法人日本サッカー協会
①下記にある「JFA news申込用紙」に必要事項を記入
し、JFA広報部までFAX(03-3830-2005)。
②数日後にJFA広報部より
「払込取扱票」が郵送されます
ので、必要事項(住所・氏名、購読開始希望月など)
を記
入。最寄りの郵便局に持参して、代金(5,000円)を払い
込んでください。
う。しかし今のレベルでは世界のトップ10とはまだ差
ゾーンを通り過ぎれば
トップの選手やセンターバックの選手が、随分大型
【問い合わせ先】
〒113-8311 東京都文京区サッカー通り
(本郷3-10-15)
JFAハウス
年代の大会になる。秋季国体になり多少涼しくなるに
3.大型化した選手
我関せず
った。
【購入申込方法】
1年間(12冊)
:5,000円(送料/税込)
プレスが足りなかったり、アプローチが遅れチャレン
(1)守備におけるブロック
い選手が出てきてほしい。しかし同時に大会日程の改
来年の兵庫県での国体からは、年齢が下がってU-16
【年間購読料】
リアを攻め立てられ、バイタルエリアにおけるボール
双方の選手が一瞬フリーズしているのである。この状
況には唖然(あぜん)としたが、どんなコンタクトが
「JFA news」は財団法人日本サッカー協会(JFA)が毎月(15日)発行するオフィシャルマガジンです。
日本代表戦・各種競技会といったJFA各種行事・事業の報告や記録など、チーム運営に携われる方、
指導者・審判員など皆さまにとって、日々の活動を行うために貴重な情報が満載されています。
また、皆さまの仲間である各地域で活動するチームなども随時、紹介されています。
JFA newsの詳細については、JFA公式ホームページ(http://www.jfa.or.jp)をご参照ください。
(3)バイタルエリアの攻防
目の前にあるボールに対して数的優位であるにもかか
である。疲れからか、体力も判断力も奪われていた。
年間定期購読
募集中!
が話し合っていくことが大事である。
フリガナ
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セットプレーでの守備においても、前述したことが
指導者登録番号:C
フリガナ
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晴れの国おかやま国体・少年男子決勝© Jリーグフォト㈱
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晴れの国おかやま国体・少年男子決勝© Jリーグフォト㈱
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※上記、
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7
ユニバーシアード報告
第23回ユニバーシアード競技大会(2005/イズミル)男子
■グループリーグ
グループB
日本
日本
ロシア
タイ
勝
分
敗
差
順位
1 ○ 0
2 ○ 1
1 ○ 0
9
3
0
0
4
1
3
1
2 ○ 1
6 ○ 1
6
2
0
1
8
3
5
2
3 △ 3
1
0
1
2
5
7
-2
3
1
0
1
2
4
10
-6
4
ロシア
0 ● 1
タイ
1 ● 2
1 ● 2
アイルランド
0 ● 1
1 ● 6
アイルランド 勝点
3 △ 3
■決勝トーナメント
優勝 日本
ブラジル
3
メキシコ
1
PK2-3
日本
1
0
0
ウルグアイ
2
3 3
2
イタリア
得点 失点
0
1
0
1
2
チェコ
PK4-2
ロシア
準優勝 イタリア
第3位 モロッコ
■3位決定戦
モロッコ
ブラジル 1 − 1 モロッコ
(PK3-4)
第23回ユニバーシアード競技大会より
第23回ユニバーシアード競技大会で優勝、大会3連覇を成し遂げた日本男子代表© 早草紀子
第23回ユニバーシアード競技大会
(2005/イズミル)
男子、 3連覇達成 までの軌跡
〜大学サッカー活性化プロジェクト総括(1999-2005)〜
[報告者]乾 真寛(第23回ユニバーシアード競技大会日本男子代表監督/大学サッカー活性化プロジェクト委員長/
福岡大学)
8月11日〜8月21日、イズミル(トルコ)で「第23回ユニバーシアード競技大会」が開催され、
日本男子代表は優勝、ユニバー3連覇(通算4回目の優勝)を成し遂げました。
3連覇に至るまでの、大学サッカーの長期的な強化計画、改革などについて、乾監督の報告などをお送りします。
第23回ユニバーシアード競技大会より© 早草紀子
はじめに
95年ユニバーシアード福岡大会で、日本
サッカー界初の国際大会優勝を成し遂げた
あり、高校の優秀選手が大学進学した最後
する。
の学年とも言える。このユニバー初優勝世
1
継承されなかった
福岡大会初優勝の遺産
代からは斉藤俊秀(現清水)
、望月重良(現
ッカーの目指すべき方向性を再構築するた
2
「大学サッカー活性化
プロジェクト」の発足
99年マジョルカ大会(13位)惨敗後、
芝化、フルタイム指導者の確保)
めのアクションプランを作成しながら、並
②9地域大学連盟レベルで取り組む大会方式
行して大学選抜チームの強化現場を担当し
(特に、9地域大学リーグ戦)の改革、年間
ていた。
公式試合数の倍増
JFA技術委員会から「大学選抜チームの強
入りし、上野優作(現新潟)
、内館秀樹(現
化体制の見直しや国内大会方式の改革、代
浦和)
、石丸清隆(現京都)
、掛川誠・栗原
表チームスタッフの人選などについて早急
の自国開催となった95年福岡大会は、93年
圭介(現神戸)
、斉藤大輔(現千葉)らは、
に改善策を提出せよ」との厳しい指摘を受
93年のJリーグ創設以後の約6年間、旧来
この危機的
のJリーグ開幕後のサッカー人気の中で開催
今も現役で活躍している。
けた。そこで、大学連盟技術委員会にプロ
の体制のまま、ほとんど改革が進められて
④大学連盟とJFAおよびJリーグとの連携に
状況を打開す
された。初のメダル獲得を目指し、過去最
しかし、その後の97年、99年大会は、優
ジェクトを結成し、従来の大学サッカーの
いなかった大学サッカー界には、多くの問
おいて解決すべき、特別指定選手制度、ト
るため、全日
大級の強化費がJFAから援助され、93年12
秀な高校生年代のタレントが一斉にJリーグ
あり方を抜本的に改革する長期計画(99年
題点が山積してい
本大学サッカ
月から始まったユニバー代表強化は、延べ
を目指し、大学サッカー界全体のレベルが
〜03年の5カ年計画)の策定に着手した。
た。
ー連盟では
150日の合宿・海外遠征を実施し、東南ア
急激に低下したことや、大学選抜の強化体
01年北京大会のユニバー代表監督に就任
「大学サッカー
ジア6カ国訪問に始まり、南米(ブラジル、
制や予算の面でJFA技術委員会との連携が
した瀧井敏郎氏(現大学連盟技術委員長、
解決をできるだけ
活性化プロジ
タッササンパウロU- 20大会参加)をはじめ、
年々希薄となり、十分な強化が図れないま
JFA技術委員、特任理事)が中心的役割を
迅速に、かつ確実
ェクト」を発
フランス、ロシアと豊富な国際経験を積み
ま危機的状況に落ち込んでしまった。Jリー
担い、プロジェクトを強力に推進していっ
に成果を挙げてい
シリー大会で9位、そして99年マジョルカ
大会では過去最低の13位となり、深刻な低
迷期を迎えた。
84年の神戸大会(成績4位)に続く2回目
3
そこで、問題の
グの創設前後の急激な変革の波に乗り遅れ
た。瀧井監督の下で01年北京大会のコーチ
くために、
さらに、大学連盟も独自の ロジスティ
た大学サッカー界は、練習環境(土のグラ
となった私は、当時JFA指導者養成インス
①各個別大学チー
学サッカー新
ックグループ と呼ばれる後方支援体制を
ウンド)や指導者問題等を抱え、周囲から
トラクター(99年〜03年)を務めていた。
ムレベルで改善・
大会へ臨んだ。
③全日本大学連盟としての組織・人事の刷
山積した課題、
問題点の分析と整理
グ創設後の大
足させ、Jリー
8
Jリーグの開幕前年となる92年度大学入学で
横浜FC)
、山田卓也(現東京V)らがA代表
全日本大学選抜チームは、その後の97年シ
乾真寛監督© フォート・キシモト
今回は、大学サッカー界が99年から取り
組んだ種々の改革とその成果について報告
第23回ユニバーシアード競技大会より
時代の改革に
組織し、万全な準備の下で史上初の金メダ
痛烈な批判を受け、改革の必要性が声高に
世界基準を目指す選手育成プランの中で大
努力していく課題
着手した。
ルを獲得した。この福岡大会当時の4年生は、
叫ばれるようになった。
学サッカーの使命、役割を見直し、大学サ
(グラウンドの人工
新や財政面の見直しと公式スポンサーの獲
得、全国大会の大会方式変更、選抜チーム
強化体制の充実に関する課題
■93〜99年までの大学サッカーの位置づけ
海
外
ク
ラ
ブ
プロ
アマ
A代表
U-23日本代表
U-20日本代表
J
リ
ー
グ
大学サッカー
ユニバー代表
全日本大学選抜
J強化指定選手
J強化指定選手
Jユース
高校サッカー
9
辻尾真二(中央大学)U-21
ユニバーシアード報告
ツーロンU-21国際大会への
参加・ 同世代の世界基準を
体感
レーニング費用の問題、国際大会への定期
01年までの3年以内に実行)
、長期(5カ年で
士舘大学学長)の絶大なるリーダーシップ
的参加、JFAキャプテンズミッション実現へ
完了)の達成目標を詳細に明示し、改革実
と行動力があったことを決して忘れてはな
の具体策等に関する課題
行に着手した。そしてこの改革の推進力と
らない。99年の改革プロジェクトの発足が
なり、種々の改革を次々と断行できたのは、
その後に続くユニバーシアード大会 3連覇
JFA技術委員会との連携強化の具体策と
大澤英雄氏(前全日本大学連盟理事長、国
達成 への契機となったことは間違いない。
して、その第一歩となったのが、2000年の
以上のような大きく4つの階層別に問題を
整理し、短期(99年以内に解決)
、中期(〜
4
■現在の代表チーム相関図
ツーロン国際大会への大学選抜チーム派遣
だった。各年代でのユース代表歴がほとん
■大学サッカー活動表
どない当時の大学選抜選手には、同世代の
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
10月
11月
12月
世界基準 を体感できるチャンスは皆無に
等しく、2001年北京大会を目指すユニバー
代表候補にとっては、チームの立ち上げの
総理
大臣杯
8/1〜7
チャレンジ スペインキャンプ 日韓戦
3/6〜10
3/22〜4/8
4/11
全日本
活性化
インカレ
プロジェクト
11/13〜23
発足
関東選手権
4/30〜5/28
関東
U19戦
5/10
大学選抜
2000
9月
ユニバースペイン
7/2〜12
大学選抜
"1999
※ユニバー
マヨルカ大会
13位
8月
全日本
プ)を体感できたことが、後の成長に与え
た影響は計り知れない。
この大会で対戦したU-21イタリア代表に
リーグ戦【後期】
9/15〜10/31
は、現A代表で活躍するFWカッサーノやジ
トゥーロン国際大会
5/26〜6/3
inフランス
オーストラリア
チャレンジ
日韓戦
キャンプ
3/8〜12
4/9
3/28〜4/7
段階で世界のトップレベルとの差(ギャッ
ラルディーノも参加しており、ジェンティ
ーレ監督率いるアテネ五輪世代の選手たち
総理大臣杯
7/2〜8
インカレ
11/11〜19
国際大会
参加
定期化
と同じ公式戦の舞台に立ったこと、そして
伝統あるヨーロッパの大会で実戦経験の機
会を日本のアマチュア大学生が得たことの
関東選手権
4/30〜5/28
関東
大学選抜
"2001
※ユニバー
北京大会
優勝
サハラカップ
1/10〜25
inインド
第3回 東アジア
5/19〜27 in大阪
チャレンジ
3/7〜11
全日本
ユニバー北京
8/22〜9/1
総理大臣杯
7/1〜8
インカレ
11/10〜18
GK強化
合宿
2/25〜27
関東選手権
6/23〜7/21
ロンドン
キャンプ
3/21〜4/1
オランダ遠征
7/24〜8/3
ユニバーテグ
8/20〜9/1
リーグ戦【前期】
4/10〜5/23
国内合宿・
MSW戦
5/16〜18
大学選抜
チャレンジ
3/4〜6
トルコ
キャンプ
3/12〜23
リーグ戦【前期】
4/3〜6/5
"Iリーグ新設
4/29〜2/1
リーグ戦【後期】
9/12〜10/26
"Iリーグ
4/29〜
12/26
インカレ インカレ
12/1〜 28チーム
グループ
リーグ採
用
総理大臣杯
7/6〜11
関東選手権
5/29〜6/13
リーグ戦【後期】
9/11〜11/7
国内強化合宿
6/24〜28
ドイツ遠征
7/17〜7/26
総理大臣杯
7/5〜10
ユニバー
トルコ
8/10〜21
全日本大学
フットサル
8/9・10
総理大臣杯
関東予選
6/12〜19
※大学選抜:全日本大学選抜チームの活動 ※全日本:日本国内の大学サッカーの活動 ※関東:関東大学サッカーの活動
第4回 東アジア
10/28〜11/6
inマカオ
"Iリーグ
4/16〜
12/17"
日韓戦 インカレ インカレ
12/4
12/21〜 24チーム
リーグ戦【後期】
9/3〜11/27
関東リーグ
12チーム
化
6
能性と潜在能力を秘めた遅咲きの逸材が大
学サッカー界には、まだまだ人知れず活動
しているはずである。
した当時のJFA技術委員長・大仁氏と技術
代表強化とユース育成、指導者養成の三
委員・今西氏の評価は「この選抜からJリー
位一体強化策とベクトル合わせは、日本サ
グへ行けるのは2〜3人だろう」といった極
ッカーが短期間に長足の進歩と成長を遂げ
めて厳しいものだった。しかしこの01北京
た源であると言われるが、近年大学生の中
誌面の都合上、すべての改革事例を紹介
大会組からは、現A代表選出の坪井慶介
にもオリンピック日本代表、U-20日本代表
することは難しいが、99年以降の大学サッ
(浦和)
、巻誠一郎(千葉)をはじめ、深井
が混在し、一時は代表強化のラインから外
カー改革の骨子となった事例を紹介する。
正樹(鹿島)
、平川忠亮・堀之内聖(浦和)
、
れたかに見えた大学サッカーは、近年各年
吉村圭司(名古屋)
、羽生直剛(千葉)など、
代の代表チームともコンタクトしながら選
現在J1中心選手として活躍している選手が
手の発掘、強化の面で協力関係を築く必要
数多く巣立っており、大学生でも国際的経
性が生じてきている。
験と適切な指導の下で着実に強化すれば、
欧州や南米とは異なり18歳までの年齢で
まだまだ大きく成長できるという可能性を
能力の見極めや淘汰が難しい日本では、18
再確認できた大会でもあった。01北京世代
歳以降に能力が開花するいわゆる 晩熟型
の活躍が、現在の大学生に夢と希望を与え
の選手が数多くいることも事実である。Jリ
「大学経由世界行き」が今では現実の目標と
ーグ発足後12年経過した現在でも、現役J1
なった。
インカレ
11/8〜23
関東選手権
5/31〜6/15
日韓戦
4/4
インカレ
32チーム
出場
リーグ戦【後期】
9/14〜10/27
Guernsey・Jersey国際大会
7/24〜8/10
in イングランド
チャレンジ
3/5〜7
インカレ
〜1/16
インカレ
11/9〜24
総理大臣杯
7/7〜13
カタール
国際大会
1/7〜29
関東
関東
総理大臣杯
8/5〜11
国内強化合宿
6/18〜22
リーグ戦【前期】
4/12〜5/25
全日本
全日本
韓国遠征
8/20〜24
チャレンジ 指宿キャンプ 日韓戦
3/7〜9
4/1〜4/4
4/6
関東
10
リーグ戦方式
改革
リーグ戦【後期】
9/15〜10/28
ブルースターズ
5/6〜14
inチューリッヒ
リーグ戦【前期】
4/13〜5/26
全日本
大学選抜
関東選手権
6/2〜17
チャレンジ 韓国キャンプ 日韓戦
3/6〜9
3/29〜4/4
4/7
全日本
大学選抜
"2005
※ユニバー
イズミル大会
優勝
日韓戦
4/8
中近東遠征
中近東遠征
選考合宿
3/14〜31
1/12〜14 in波崎 inカイロ・チュニス・ドーハ
関東
2004
北京遠征
7/29〜8/3
効果は絶大なものだった。この大会を視察
初の2期制
大学選抜
"2003
※ユニバー
テグ大会
優勝
イタリア
キャンプ
3/26〜4/5
リーグ戦【前期】
4/14〜6/24
関東
2002
リーグ戦【後期】
9/15〜10/29
オリンピック日本代表、
U-20日本代表との融合
GKプロジェクトからの
コーチ派遣
5
リーガー約500名中の4分の1(120名)は大
学卒の選手であり、依然として日本では、
プロ選手の供給源としての役割を大学が担
7
具体的な改革とその成果
(1)国際大会への定期的参加、経験知の蓄積
■参加した主な国際大会
(2000年のツーロン国際大会参加以降)
・2001年インド・ミレニアムスーパーカッ
プ(コルカタ)
・東アジア競技大会(大阪)
・2002年ブルースターFIFAユースカップ
・2003年ユニバー強化オランダキャンプ
・2004年U-23カタール国際大会
・ガンジー・ジャージーU-21国際大会(イ
ングランド)
・2005年ユニバー強化ドイツキャンプ等
っていることを認識しなければならない。
前述のツーロン国際大会からJFAのGKプ
今年のイズミル大会の代表20名中、各年代
ロジェクトおよび横浜F・マリノスの協力を
の代表または候補選手となった者が7名含ま
JFAとの連携による国際大会への出場機会
得て、大学選抜のコーチとして柳楽雅幸氏
れており、過去のユニバー史上で最も国際
が定期的に確保されたことが最も重要な改
の派遣、代表チーム帯同が実現した。
経験豊富な最強チームが編成できたことは、
革の成果だったと言える。
GKの専門化に伴い、大学選抜チームの弱
特筆すべき事実である。
01年〜05年のユニバー3連覇達成には、
大学連盟独自の強化策として、92年から
点でもあったGKの強化が柳楽氏の協力の下
今後、ますます大学選抜と五輪代表やユ
継続されてきた株式会社デンソーの支援に
で実現したことは、現場にとって最も成果
ース代表との融合は進む可能性を含んでお
よる全国9地域対抗戦、海外キャンプ、大学
を上げた強化策だったとも言える。
り、各代表スタッフ間の情報交換やスケジ
日韓定期戦(デンソーカップ)との相乗効
ユニバー3連覇となった、3大会(北京・
ュール調整など、協力関係の確立が求めら
果により、05年イズミル大会への準備では、
テグ・イズミル)でのGKの著しい成長は優
れることになるだろう。実際に本年3月の大
海外遠征5回、海外滞在日数90日、国際試
勝の原動力であり、柳楽氏の適確なコーチ
学選抜トルコキャンプに初選出されたばか
合23試合、国内合宿23日、J強化試合3試合
ングにより、セットプレーの守備戦術およ
りの選手が、3カ月後にはFIFAワールドユー
と恵まれた国際経験を積めるようになった
びPK戦(3大会連続)必勝法の伝授が連覇
ス選手権大会(オランダ)に臨むU-20日本
ことが本当に大きい意味を持つ。Jのサテラ
の勝因となったことは明白である。改めて
代表に彗星の如く大抜擢された。今回の伊
イトで活動するプロの若手選手をはるかに
柳楽氏のご指導、ご協力に感謝を申し上げ
野波雅彦(阪南大学2年)のようなケースは
上回る豊富な国際経験の蓄積が近年の大卒J
たい。
今後ますます増えていくと考えられる。可
リーガーの活躍を支えていると言えよう。
11
ユニバーシアード報告
(2)特別指定選手制度の実用化
大学に在籍していながら優秀な選手にJク
ラブの練習参加だけではなく公式戦出場の
会の開催など、大学サッカーマンが地域レ
崇人、柳沢将之、戸川健太(東京V)のよ
ベルのサッカーの普及・振興の現場で精力
うなケースは、これからますます増えてく
的に活躍する事例が年々拡大してきている。
るだろう。
機会を与えるというこの制度の試みは、今
や練習生としての参加という立場から、大
(6)大学サッカー環境の改善(人工芝グラ
ウンドとプロ指導者)
学生が戦力として十分期待され、J公式試合
出場へとその可能性が変化してきている。
(3)国内公式戦・大会方式の大幅変更
8
まとめ
近年の少子化傾向の中で、生き残りをか
以上に列記した事象は、活性化プロジェ
けた大学独自の経営努力と魅力づくりの方
クトのほんの一部にすぎないが、Jリーグ創
策として、既に体育系大学の約9割が人工芝
設後12年が経過した現在、大学サッカーは
関東、関西、東海、九州地区では、春・
グラウンドの導入を実施しており、ここ数
確実に新時代を迎えている。世界に類を見
秋 二季の年間リーグが既に実施され、試
年内にさらに拡大の傾向がある。また、元J
ない日本独自の育成カテゴリーである日本
合数はシーズンを通じて倍増した(関東は3
リーガー、プロ指導者の監督、コーチが大
の大学サッカーは、大きな浮沈を経験し、
倍増の年間22試合)
。さらに、全日本大学選
学サッカー界にも数多く進出し、大学サッ
進化しながら新たな姿に生まれ変わろうと
手権は昨年度から4校ずつの1次グループ戦
カーの環境は、近年急速に改善され、変化
している。
と決勝トーナメント方式を採用し、地域別
し続けている。
ってみると、ブラジルも日本の攻撃を警戒
3
決勝トーナメント1回戦
して前に出てこなかった。両チーム、ボラ
5
3位決定戦
ンチがほとんど攻撃参加せず、中盤のセン
金メダルを目指していた中、3位決定戦に
ターがぽっかり空いている状態が前半の20
回ることになったが、選手もスタッフも気
分過ぎまで続いた。今振り返るとそのこと
持ちを切り替え、再度モチベーションを高
大学卒業後にプロ契約した場合に支払わ
係者をはじめ、JFA、Jリーグ、株式会社デ
ドとサイドからのクロスが特徴で、それに
に早く気づいて日本の方から攻撃をしかけ
め、改めて最終戦に挑むことができた。
れるトレーニング費用(1年30万×4年)が
ンソー・ジェルテック他支援企業の皆様の
加えて、縦へのドリブル突破もしかけてく
ていたら、ブラジルがよりディフェンシブ
る。
になり、違った展開になったのではないか
制度化され、優秀な人材を育成する大学に
協力なくしては、決して実現できなかった
金銭的補助が可能になった。
と確信している。
(8)Jユース選手の大学進学急増
守備時には、人数をかけて組織的に守り、
と悔やまれる。
再びフランスと対戦し、2-0で勝利、銅メ
ダルを獲得した。
チャレンジ&カバーで攻撃を遅らせ、相手選
前半、いくつか決定的なチャンスを外し
これからも日本サッカー界発展に寄与する選
手をサイドに追い込むことを意識させた。攻
たのに対し、ブラジルに個人技から2失点を
6
3連覇達成という結果に満足することなく、
なった。多くの部員たちに明確な活動目標
養成され、各種大会へ派遣されている。
力を警戒して試合に臨んだが、試合が始ま
グループリーグで対戦し勝利したカナダ
国規模で展開するIリーグも今年で3年目と
いる。さらに、毎年多数の大学生審判員が
とができた。
と再び対戦した。カナダは、ロングフィー
象にした自主運営による公式リーグ戦を全
ができ、2軍以下の活動は劇的に活性化して
第23回ユニバーシアード競技大会より© 早草紀子
改革プロジェクトの成果であり各チーム関
(7)トレーニング費用(育成料)の制度化
多人数が在籍する大学サッカー部員を対
●現地合宿
2005年8月5日〜23日(18泊19日)
トルコ・イズミル 選手:19名(8月8日北本合流後 20名)
の 3連覇達成 は、まさに、この6年間の
出場枠や大会規模の拡大を図っている。
(4)I(Independence)リーグの新設
2005年ユニバーシアードイズミル大会で
■スケジュール
●国内合宿
2005年8月1日〜5日(4泊5日)Jステップ(静岡)
8月1日 正午:静岡駅集合 午後:フィジカルテスト
8月2日 午前:トレーニング 午後:トレーニング
8月3日 午前:トレーニング 午後:練習試合(vs清水FC中学2年生)30分×3本 1-2/1-0/1-2
8月4日 午前:ルール講習会(講師:上川審判員)
午後:練習試合(vs清水FC中学2年生)45分×2本 3-0/1-0
8月5日 移動日
大会を通じて
手、指導者、審判員、ドクター、トレーナー、
撃時には、トップの北本綾子(浦和レッズ・
喫してしまった。ハーフタイム、選手に2点
非常に攻撃時のセットプレーが多く、レフ
Jクラブ下部組織育ちの選手で18歳時にト
研究者などの優れた人材を育成・輩出するこ
レディース)や近賀ゆかり(日テレ・ベレー
差を取り返せるか確認したら、
「2点なら十
ェリーの笛がなるたびに流れが止まってイ
Jと大学の連携・育成体制づくり
ップ契約できなかった者が、数多く大学サ
とが大学サッカーの使命や役割としてより明
ザ)に一度くさびのボールを入れ、そこから
分取り返せます」との返事があり後半戦に
ライラしてしまうことが多かった。しかし
(5)大学における公認指導者養成と地域連携
ッカーへ流入し、活性化している。大学で
確になったものと思われる。
サイドに展開していくことを狙った。
臨んだ。しかし、後半微妙な判定でPKを取
セットプレーのトレーニングに時間を費や
大学生を対象とした公認C級、D級コーチ
もう一度チャンスをつかみ、実力をつけて4
今後も改革・改善の歩みを止めることな
1失点したが、相手の攻撃に冷静に対応で
られ、点差を3点に広げられてしまい、これ
すことができたので、セットプレーをスト
養成講習会の開催や、キッズリーダー講習
年後に改めてトップチームと契約した相馬
くさらなる発展を目指さなければならない。
きたと思う。グループリーグで対戦し、相
で選手の集中力が切れてしまい、追加点を
ロングポイントととらえ焦らず「またチャ
手の特徴が分かった状態で試合に臨めたの
許し0-4で敗れてしまった。
ンスが来た」とポジティブにとらえること
で、慌てることなくゲームを運ぶことがで
きた。
日本女子サッカーをさらに進化させるた
がかかっていると思われるような間合いで
めには、前回大会以上の成績が必要だった
も、ブラジルの選手は、それをプレッシャ
が、残念ながらそれを達成できなかった。
ーと感じずにプレーしていた。日本も技術
ブラジル戦の前半の状況をいち早く気がつ
0-4という結果だけ見ると、実力の差を感
はあるので、判断力をアップさせればこう
いていたら、結果は違うものになったかも
じるが、1-2もしくは2-2に持ち込めた試合
いったプレーができるのではないかと感じ
しれない。
だった。ブラジルは選手全員が高い個人技
た。敗れはしたが、ブラジルとの対戦は貴
を持ち合わせていたので、ブラジルの攻撃
重な経験になった。
準決勝・ブラジル戦
【報告者】本田美登里
(第23回ユニバーシアード競技大会
日本女子代表監督)
第23回ユニバーシアード競技大会で銅メダルを獲得した日本女子代表© 早草紀子
■グループリーグ
日本
日本
大会に臨むにあたり
ユニバーシアード日本女子代表は、なで
しこジャパン(日本女子代表)につながる
手を選び、また準備期間が短かったので
幕を迎え、初戦のチェコ戦は、いつもより
チームの輪 を大切にし、協調性も重視し
若干緊張した様子だった。しかし、開始1分
た。
当初、前回大会以上の成績(銀メダル)
ンディションが悪いにもかかわらず、普段
組み立てる
メダル獲得=世界制覇」をチームの目標に
通り自分たちの目指すサッカーをすること
掲げた。
ができた。良い形でスタートを切れたと思
12
相手チームの情報がほとんどない中で開
7
2
1
0
5
1 △ 1 2 ○ 1
5
1
2
0
4 ○ 1
4
1
1
0
0
0
0 ● 3 1 ● 2 1 ● 4
シャーから解放された。その後はピッチコ
くても大会までに習得する可能性がある選
0 △ 0 2 ○ 1 3 ○ 0
チェコ
示があり、その気概を受けて、改めて「金
2
敗
ペランツァFC高槻)がロングシュートを決
自ら「金メダルを取りたい」という意思表
できる選手、たとえ選考時にはできていな
分
1 ● 2 1 △ 1
活かして、ショートパスをつないで攻撃を
グループリーグの戦いを
振り返って〜チェコ、カナダ、
フランスとの対戦
勝
カナダ
ン表監督が標榜している、 日本人の特徴を
選手選考では、そのコンセプトを具現化
勝点
経たないうちにキャプテン庭田亜樹子(ス
めて先制点を挙げたことで、選手がプレッ
とをチームのコンセプトとした。
カナダ
0 △ 0
を目指し、決勝進出を目標にしたが、選手
そしてもう一つ ボールを丁寧に扱う こ
フランス
フランス
チームととらえ、大橋浩司なでしこジャパ
というサッカーを目指した。
大会での5試合や他国の試合を観て、大学
女子サッカーでは、日本は十分世界チャン
第23回ユニバーシアード競技大会(2005/イズミル) 女子
グループB
1
ができた。
と感じた。国内レベルでは、プレッシャー
4
ユニバーシアード
日本女子代表の戦い
ブラジルは 強い というより うまい
う。その後、カナダにも勝ち、最終戦を待
たずにグループリーグ突破が決定し、最終
戦のフランス戦は、連戦の疲労を考慮して
主力選手を一部温存したが、1位通過するこ
チェコ
得点 失点
差
順位
1
4
1
3
2
1
2
1
6
4
2
3
3
2
9
-7
4
■決勝トーナメント
アイルランド
0
中国
1
フィンランド
フランス
準優勝 中国
優勝 ブラジル
3
1
1 2
3
4
0
0
0
3
1
1
第3位 日本
■3位決定戦
ブラジル
チャイニーズ・
タイペイ
日本
カナダ
フランス 0 − 2 日本
本田美登里監督© Jリーグフォト㈱
13
ピオンを狙える位置につけていると感じた。
ックは日本の攻撃のパターンとなりえた。
③2対2(チャレンジ&カバー):特にセカ
残念なことに、今後このチームを継続して
②中盤の高い位置でボールを奪い時間を掛
強化できる環境はないが、選手たちにはこ
けずにシュートまで持ち込むダイレクト
④GKとDFとの連携
の大会を通じて得た経験を無駄にしないよ
プレーで得点のチャンスをつくることが
⑤オフ・ザ・ボール:ボールウォッチャー
う、将来のなでしこジャパン入りを目指し
できた。
て日々のトレーニングに取り組んでいくこ
とを期待したい。
7
成果と課題
【成果】
●守備
①ラインコントロール(コンパクトフィー
ンドディフェンダーのポジショニング
にならず、全体を見渡せる
自分の背後の守備・・・常に状況を把握、認
【課題】
常に試合を意識し、ポジティブに練習に
取り組み、自分の特徴(長所、短所)を認
識することを前提に、そして常にハイプレッ
シャーの中で、
(1)ファーストタッチ(ワンタッチ)コン
トロールの技術
識し、ピンチになっても慌てない
8
まとめ〜慌てず、
落ち着いてプレーするために
準決勝・ブラジル戦での2失点目、日本の
選手は飛び込むとかわされることを意識し、
ボールを保持している相手の選手に対して、
ルド)
(2)スペースを見る、見つける眼を持つ
あえて間合いを取りつつプレッシャーをか
国内合宿時から比べると、かなり意識で
(3)上記を生かす状況判断
けたポジションをとった。しかしその間合
きるようになり、GKを含むディフェンス
いミドルシュートをうたれ失点。プレッシ
ラインがコミュニケーションを取りなが
●攻撃
ャーとはボールを保持している選手が危機
ら、意思統一のもとラインをコントロー
①パスの質・正確なパス(ミドル、ロング)
感を感じる距離であり、その間合いは選手
ルしていた。決勝トーナメントに入って
②オフ・ザ・ボール:ボールの受け方/スペ
によってさまざまである。ブラジルの選手
からは微調整を繰り返しながら、少ない
ースのつくり方、使い方・・・サイドスペー
は、1mのスペースがあればボールを止め、
上下動でオフサイドラップを掛けるまで
スの使い方
パスが出せ、シュートがうてる。寄せられ
に至った。
②ボールの奪い所
③決定力(フィニッシュの精度)・・・シュー
トの正確性
FWからサイドハーフ、サイドバックが連
ればかわすこともできる。
身体の強さ、スピード、パワーも必要な
要素ではあるが、そのこと以上に、日本人
動し、相手の攻撃を一方のサイドへ追い
●守備
の長所である器用さと賢さを駆使し、個人
込み、チーム全体で相手のボールを奪う
①高さに対する対応
的には1mのスペースでボールとスペースを
ことが、システマチックにできるように
ヘディング(ジャンプヘッド)
扱える技術と、状況判断の速さを身につけ
なった。
ロングボール、クロスボールに対する対
ること。それでも個人技で劣る部分をチー
応身体的な強さ(身体の使い方・体幹)
ム戦術で補うことにより、体格、体力に優
②1対1:責任を持った守備(ゴールを守
る外国人を相手にしても、恐れることなく
●攻撃
①バイタルエリアに侵入し、積極的にしか
ける意識を持たせ、両サイドからのアタ
る)・・・味方に頼らない強い意志
落ち着いて闘えると感じた。
第23回ユニバーシアード競技大会(イズミル)
ユニバーシアード日本女子代表GK報告
【報告者】西入俊浩(ユニバーシアード日本女子代表GKコーチ)
1.概要
イズミル(トルコ)で開催される大会に向けて、Jス
テップにて8月1日〜5日に国内キャンプ。8月6日にイズ
ミルの選手村に入り、現地でのトレーニングをし大会
に向けての準備を行った。
本大会の参加選手は、松林美久(日テレ・ベレーザ
(日本大学・3年)168cm/57kg)
、岸星美(早稲田大学1
年 167cm/60kg)の2名を選出し招集した。
2.GKテーマ
①積極的かつ安全確実なゴールキーピング
基本技術トレーニングの中でより安全確実に行うこ
とを徹底的に取り組み、またミスを恐れずに積極的
にプレーすること
②良い準備
基本姿勢とそのタイミング、ポジショニングなどの
確認と実戦の中での「観る→状況把握→予測」を意
識してプレーすること
③DFとのコミュニケーション・コンビネーション
コーチングをするタイミング、声の大きさ、何を伝
えたいのか、またGKが出たときのDF選手のカバー、
プロテクトなどのコンビネーションの徹底
3.成果と課題
【成果】
今回、静岡での直前キャンプから大会の行われるト
ルコへの移動と、1カ月近い長期間にもかかわらず、選
14
手は常に集中し高い意識でトレーニングに取り組んで
いた。また、5月下旬に行った選考合宿での課題・修正
点に対して2カ月の間にそれぞれのチームでしっかりト
レーニングに取り組み、改善されている点が見られた。
このために、静岡でのキャンプやトルコに入ってか
らのトレーニングなど、本大会に向けてスムーズに良
い準備ができたと思う。
トレーニングの中では、常に良い準備という点を頭
に入れながら安全確実なプレーを意識させ積極的にプ
レーにかかわるように行ってきた。そして、ロングキ
ックやクロスボールを多く入れてくる海外のチームの
対策としてのトレーニングも行い、その中でクロスに
対しての積極的なチャレンジ、またはDFとのコンビネ
ーションといった点を意識して行ってきた。その成果
としてゲームの中でもクロスに対する積極的なプレー
が随所に見られ、キャッチとパンチングの判断などを
含め、すばらしいパフォーマンスを発揮していた。
【課題】
GKとしてのリーダーシップという点を考えると、ト
レーニング中やゲーム中にもっと発揮していかなけれ
ばならないと感じられる場面が見られた。それととも
にDFとのコミュニケーション、また良い準備というこ
とと重なる部分でもあるが、より速く「観て→状況を
把握し→予測をし→判断するor 味方(DF)に的確に伝
える」という一連の流れが、実戦的なトレーニングや
ゲームの中でなされていない場面が見られた。状況を
観ていなかったために判断が遅れ、DFに情報を伝える
際に声が小さい、タイミングが遅いなどの点に影響を
及ぼした。そして自分自身の準備という部分でも構え
が遅くなってしまい、相手のシュートに対して適切な
ポジションや構えるタイミングがとれていないなど、
より良い準備といった点においても今後課題として取
り組んでいかないといけない部分である。
4.まとめ
連日40度近い気温の中、中1日のゲームを11日間の間
で6ゲームを行うという厳しい日程であったり、またオ
フ・ザ・ピッチの部分でも選手村での生活・食事とい
った普段とは大きく違う環境で暮らす中、トレーニン
グやゲームに対して非常に良い準備ができていたと思
う。キャンプ中に怪我などもあったが、メディカルス
タッフの身体と心のケア・サポートもあり、オフの部
分での意識も高く、大会に向けてまたは次のゲームに
向けて選手自身が良い準備をして、良い流れでゲーム
に臨めたと思う。
チームとしては3位(銅メダル)という残念な結果で
あったが、GKとしては、岸星美が最優秀GK賞に選ば
れるというすばらしい結果になった。この結果は1カ月
近い中、岸・松林の2人が常に切磋琢磨し、高い意識の
中でトレーニングに取り組んだ成果だと思う。岸・松
林 両選手2人のGKに感謝し、今後の活躍に期待したい。
What's?「種別」と「年齢区切り」
ホワッツ
■各年代代表チームが目標とする大会
目標とする主要な大会
日本代表
FIFAワールドカップ
FIFAコンフェデレーションズカップ
AFCアジアカップ
U-23
日本代表
オリンピック
U-20
日本代表
U-17
日本代表
2005
FIFAコンフェデレーション
ズカップ/FIFAワールド
カップ最終予選
2006
FIFAワールドカップ
2007
2008
2009
2010
AFCアジアカップ/
FIFAワールドカップ一
次予選
FIFAコンフェデレーション
ズカップ/FIFAワールド
カップ最終予選
FIFAワールドカップ
AFC U-20選手権
AFCアジアサッカー予選
オリンピック
FIFAワールドユース選手権
FIFAワールドユース選手
権 / AFC U-20ユース選 AFC U-20ユース選手権
手権一次予選
FIFAワールドユース選
手権/AFC U-20ユース AFC U-20選手権
選手権一次予選
FIFAワールドユース選
手権/AFC U-20ユース
選手権一次予選
FIFA U-17世界選手権
AFC U-17選手権一次予
AFC U-17選手権
選
FIFA U-17世界選手権/
AFC U-17選手権一次予 AFC U-17選手権
選
FIFA U-17世界選手権/
AFC U-17選手権一次予 AFC U-17選手権
選
〜世界大会を目指して
日本代表チームは、AFC(アジアサッカー連盟)そしてFIFA
一語一会
「学ばない子どもは
知らない大人になる」
クロード・デュソー
年アトランタ大会に出場しました。以来、アジア予選を突破し
て、2000年シドニー大会、2004年アテネ大会に出場しています。
(国際サッカー連盟)に加盟し、サッカー界世界最高峰の競技会
であるFIFAワールドカップを目標にさまざまな活動を行ってい
〜将来のA代表を占うFIFAワールドユース選手権大会
ます。またFIFAは年齢別の世界大会も開催しており、各国(地
20歳以下の選手によって構成される代表(U-20日本代表)で
域)はその大会を目標とする、各カテゴリーの代表チームを編成
競われるのがFIFAワールドユース選手権大会です。これは、奇
しています。日本サッカー協会も、日本代表を頂点に各カテゴリ
数年の2年おきに開催されています。前年に開催されるAFCユー
ーの代表チームを編成し、アジア予選を勝ち抜き、世界大会への
ス選手権を予選とし、この大会で4位以上になったチームが本大
出場、世界大会での活躍を目指し、さまざまな活動を行っていま
会に出場します。本大会は1997年大会から24チームで競われる
す。
ようになっています。日本は1995年以来6大会連続で出場してい
ます。この大会では、既に世界のトップリーグに出場している選
〜年齢制限のない、各国トップチームが参加する大会
A代表とも呼ばれる日本代表は、年齢制限のない日本サッカー
手の活躍もあり、近い将来のA代表を占う、各国の育成の進み具
合が垣間見える大会となっています。
界を代表するチームです。年齢制限のない各国代表で競われる世
界最大の競技会は4年に一度開催されるFIFAワールドカップです。
〜FIFA U-17世界選手権−強豪揃いのアジア予選
日本代表は、1998年大会での初出場に続き、2002年日韓共催の
FIFA主催の世界大会で最年少なのがFIFA U-17世界選手権で
大会でのベスト16という成績の後、次の2006年ドイツ大会への
す。これもFIFAワールドユースと同年、奇数年に開催されます。
出場権を、長いアジア予選の末に勝ち取ることができました。来
前年に開催されるAFCユース選手権を予選とし、この大会で3位
年本大会に向けての強化が続きます。
以上になったチームが本大会に出場します。本大会は現在16チ
この代表の世界大会には、もう一つFIFAコンフェデレーショ
ームであり、枠が少ないこと、またこの年代の継続的強化の難し
ンズカップという各大陸連盟チャンピオンが競い合う大会があり
さもあり、出場権を得ることが困難な状況が続いています。アジ
ます。2年に1回開催されていましたがその位置づけに対する議
アでは広大な大陸を4ゾーンに分け、さまざまな活動をゾーンベ
論もあり、今後、4年に一度、FIFAワールドカップの前年に開催
ースで行うようになっています。各大陸予選の1次予選もこのゾ
されることとなりました。日本は、2004年AFCアジアカップ優
ーンごとにさらにグループ分けを行って行われています。東アジ
勝によってこの大会の出場権を得、2005年ドイツ大会に出場し
アゾーンには韓国、中国、DPR KOREAといった強豪がそろっ
メキシコ、ギリシャ、ブラジルを相手に戦いました。AFCアジア
ており、ここを突破することがまず第一に大きなテーマとなって
カップはAFC最大の大会で、4年に一度、FIFAワールドカップと
います。この年代で世界大会に出場し世界を経験することを育成
2年ずれたサイクルで開催されています。
の大きな目標におき、15〜16歳という中学から高校へ移る難し
それに加え、代表チームのさまざまな活動(試合での勝敗、重
い時期に対し、ナショナルトレセンの年代別、年代の1月1日区
要性など)からポイント計算されてFIFAランキングが1カ月ごと
切りと早生まれへの注目、国体のU-16化、その他さまざまな改
に出されています。
「JFA2005年宣言」にて、日本代表は2015年
革を行いながらユース育成を進めています。
までにこのランキングでトップ10入りを目指しています。
〜世界を直接経験する重要性
〜23歳以下の代表チームで競われるオリンピック
2005 第2回JFAエリートプログラムキャンプより(写真右がデュソー氏)© AGC/JFAnews
日本サッカーが最終的に目指すのはA代表がFIFAワールドカッ
オリンピックはFIFAワールドカップと2年間サイクルのずれた
プで活躍することですが、そのためには、各カテゴリーで、若い
子どものうちに学んでおかないと、大人になっても一生何も知
この年代だからこそ伸ばすことができても、他の年になったら
4年ごとの世界大会です。サッカー競技では1992年以来、オリン
うちに世界を経験しておくことに計り知れない重要性がありま
らずに終わってしまいます。そしてまた適切な練習を、その必
そう簡単には発展させることができないような資質があるので
ピックはU-23代表によって競われています。1996年アトランタ
す。実際にその場に出て経験する選手たちはもちろんですが、世
要なときにしておかないと、もう二度と取り返しがつかないと
す(以上、第4回フットボールカンファレンス講演より)
。
大会からは、各チーム3人までの24歳以上の選手出場を認める
界をスタンダードとした強化を進めていく上で、実際に世界を直
いうことを分かった上で取り組まなくてはなりません。つまり
「オーバーエイジ枠」が採用されるようになりました。この枠に
接経験することには非常に大きな価値があります。そのためにも
ついては引き続き議論が続けられています。日本は1968年メキ
アジアを勝ち抜き、世界大会に出場し、一つでも多くの相手との
シコ大会以来28年ぶり、U-23の大会になってからは初めて、1996
試合を経験できるよう、カテゴリーごとに努力を続けています。
【クロード・デュソー】元フランスサッカー連盟国立スポーツ学院(INF/クレールフォ
ンテーヌ)校長。1972年同学院設立以来、INFの中心人物として将来のフランス代表と
なる選手たちの指導に携わった。2004年夏に退官。2006年度よりスタートするJFAア
カデミー福島の特別スタッフとして指導にあたる。
★このページでは、JFAが推進している事業や活動、サッカーに関する用語・事項を毎号1つ紹介・解説していきます。
16
17
活動報告
Reports from
Japan National Teams
Reports from Japan National Teams
●これまでの【ベース】
①代表としての誇りと喜びを持つ(ひたむきさ、和、自立、自
ら感動)
②出会いを大切にする(仲間、新しい自分、世界、体験)
③個々のレベルを上げる(関与する、1人→2、3、4人でやり
きる、判断を変えられる)
目指せ!世界のトップ10
④トライして何かを得る(何かを始める、イメージを持つ)
※中でも『自立』を前面に出してスタッフ一同接した。
●今回のコンセプト
オン/オフ・ザ・ピッチともに『意図をやりきる』
〜判断し、必要に応じて判断を変えられる選手をめざして〜
○Good Position から Good Action
○いつでもどこでも誰もが関与し続ける
○本物の「チャレンジ」
&カバー・本物の「しかけ」
&サポート
※前回のモンタギュー大会決勝では、1-6でフランスに敗れた。
そこで、サブテーマとして『フランスの借りはドイツで返
取れた。
○リアクションははまった。
○ビルドアップは良い
○サイドバックのオーバーラップや壁パスで相手DFを崩す。
【課題】
●トップがボールキープできない。
●クロスの精度がよくない。
●良い形はつくるが決定力がない。
●今一歩の工夫がない。
≪3試合を通じてのまとめ≫
(1)攻撃から守備への切り替えは良かった。ボールを奪いに『次
から次DF』がやれた。
(2)プレスがかからないとき
原因⇒ ①コース限定が甘い
②チャレンジ&カバーの予測が遅れる
す!』を合言葉に戦った。
れたのにはサッカー文化の高さを感じた。
U-16日本代表チーム
②日程
【報告者】吉武博文(U-16日本代表監督)
1日目、3日目、5日目に試合というゆったりしたものであった。
③オフィシャルディナー
ドイツ遠征(2005年9月11日〜9月20日)
4.成果と課題
相手が主導権を握っているのに、遅れて飛び込み、やられる
上記のコンセプトを基に「意図的にボールを奪い、意図的にゴー
ルを奪う!」ことを試合の狙いとした。それぞれの試合の中での成
徐々に不利なら飛び込まないで我慢するようになる→
果と課題は以下の通りである。
しかしいつでも我慢(ステイ)するだけ
<1試合目 vsブルガリア>
我慢しながら「隙あらば寄せる」ような場面も出てきた
各チームのスタッフ、大会関係者、そして協会の役員や市長など
の出席で行われた。小さな街が国際大会を開催し、成功させたいと
いう意気込みを感じられた。
1.はじめに
④大会
【成果】
○取られたらすぐに奪い返す−連動は良かった。
この遠征で選手について一番強く感じたことは、3月のフランス
年齢も15歳以下のカタール、16、17歳のブルガリア、17歳以下の
○前線からのコースを切ってのプレス
遠征からこの5カ月の間、各チームで本当によく鍛えられていると
ドイツ、そして日本はU-16とばらばらであった。順位も決めない4
○速いリスタート(相手の隙を突く)
いうことである。後ろに下がりながらのステップワーク、気分のむ
チームでの親善試合で、表彰などは一切なしというシンプルなもの
ら、ショートパスの精度、ボディーコンタクトなど、良く改善され
であった。試合は40分ハーフ、交代6名。イエローカードはその試
ていると感じた。さらに、スパイクの手入れをきちんとして練習や
合のみ、レッドカードは2試合出場停止。
試合に臨む姿、JFAから貸与されたウェア片付けのスムーズさなど
⑤宿舎&食事等
…。着実に大人への階段を登っている様子に若い選手の可能性も感
70〜80人ほど入れるレストランでビュッフェスタイルの食事は、
じた。反面、ヨーロッパ特有の柔らかなピッチでも固定式のスパイ
開放感があり良かった。ミーティングと常用メディカルルームを兼
クで試合に臨んだり、成田集合時に昼食抜きで来たり、試合前の移
ねた中規模の部屋を確保でき便利であった。
動バスの中で寝たり、明るいのは良いが自分の感情コントロール範
⑥気候
囲を超えて「はしゃぎすぎる」といった場面も見られた。これから
の課題であろう。
現地では初秋から秋、北海道の気候とほぼ同じであった。ヨーロ
(3)ボールを奪ってから
・相手DFラインが下がっても裏へのロングキックを多用する
・徐々にくさびのパスが増え、バイタルエリアを攻略しだす
【課題】
●取りどころや誰が取るのかがはっきりしてなく、ボールを奪えな
い。
●奪っても、ボールの移動中にアクションを起こせない。
●奪っても相手DFの裏へロングキックが多く、くさびのボールやバ
イタルエリアを突く攻撃ができない。
●クロスの精度
・バイタルエリア攻略からサイド攻撃へ展開するもクロスの精
度が悪い
・バイタルエリア攻略から前線の選手が裏へ飛び出すもシュー
トが決まらない
・バイタルエリアを攻略するもビックチャンスをつくる工夫や
オプションがない
●くさびが入ってもボールがしっかりとおさまらない。
ッパ特有の雨のち曇り、時々晴れ間も…といった天気が多かった。
⑦練習会場
2.概要
ホテルよりバスで10分程度。街外れのクラブのピッチ。ゴールは
①大会全体
開催場所はケルンから300km北東にあるアウリッヒ・エムデン近
○攻撃⇒守備への切り替えは速かった。
が、トレーニングにはそれほど困らなかった(ゲーム会場もピッチ
○シュート場面でも落ち着いて相手GKやDFの位置などをよく見る
の柔らかさは同じであった)
。
あいまいな所があったが、国際大会の雰囲気は十分感じられた。試
⑧通訳
合会場は人口3〜10万人前後の街クラブのピッチを使用した。クラ
アウリッヒ市に4人しかいない日本人の1人が通訳兼リエゾン(滞
ブハウスやサブピッチの完備状況、警備や試合前のロッカールーム
在期間中のチームのお世話)として付いてくれた。通訳を含めたス
には水や軽食の準備があるなど、ハード面やソフト面すべてに申し
タッフの会話は、選手・スタッフの緊張感や疲れを和らげてくれた。
分がなかった。また、試合後に記者会見がクラブハウスで毎回行わ
3.コンセプト
このチームはFIFA主催のユース年代世界大会に直結するチームで
■大会結果
日本
日本
ドイツ
ブルガリア
カタール
●1−2
○2−0
○4−2
○4−1
○7−0
ドイツ
○2−1
ブルガリア
●0−2
●1−4
カタール
●2−4
●0−7
○1−0
●0−1
<2試合目 vsカタール>
【成果】
固定式と移動式があり便利であった。芝はややでこぼこで柔らかい
郊。初めて開催する大会のようで、関係者のリレーションシップも
18
③DFラインのボールを奪うための意図がない
ことができた。
5.おわりに(雑感)
この遠征全体を通して「自立に向かいながら、本物の楽しさを追
求すること」を念頭に置きながら、スタッフ全員が選手に接した。
○バイタルエリアへ「くさび」のパスが入るようになった。
そんな中で、心からの笑顔や眉間にしわを寄せた真剣な表情、泣き
○CKでキッカーとのタイミングを合わせられた。
出しそうな高揚や悔しさをぐっと噛みしめる姿を見ることができ、
これからの精神的な成長に大いに期待できると確信した。
【課題】
また、1歳上のドイツ代表を相手に、敗れはしたが互角以上の闘
●相手がワイドにポジションをとるとプレッシャーをかけられない
いができたのは彼らの財産となるであろう。そして、ドイツ戦では
●ボールを奪うというより相手の前に立つだけの甘いDFの時間帯が
完全アウェーの雰囲気を味合うことも貴重な体験となった。そのス
あった。
タジアムの片隅に5〜6人の日本人留学生がサポーターとして応援に
はない。しかし、国内外の活動は、02ダノンカップ⇒03エリートプ
●ゴール前の工夫がない。
はるばる駆けつけてくれたのは、選手にとっても心強かったであろ
ログラム⇒04春イタリア遠征⇒04夏ブラジル遠征⇒05春フランス遠
●相手のCK時に集中を欠いた。
う。試合後に誰からともなく足がそちらに向き挨拶し、国際試合の
征、そしてこの夏の豊田国際ユース大会、北海道国際ユース大会と
続き、継続的な強化が行われている。メンバーの入れ替わりはある
ものの、今回の活動も過去の活動をベースにさらなるレベルアップ
を図ることをコンセプトの根底に置いて遠征全体をスタートした。
アウェー戦ならではの心境も体験した。試合前に、ホテルのスタッ
<3試合目 vsドイツ>
【成果】
○立ち上がりからプレスが効いていた。サイドバックも高い位置を
フからかけられた「明日はドイツ戦ね。健闘を祈っています。でも
私はドイツが勝つと思う」という言葉に、サッカー文化の根づきと
ゲルマン魂を感じた。
19
この予選リーグを突破できなかったのは、初戦のセットプレー
からの失点がすべてであった。大会への入り方や、セットプレー
のトレーニングについては、時間を割いてやっておく必要があっ
た。これは監督の責任である。だが、3試合を戦う中で、選手たち
はたくましくなった。次の日にジーコサッカークラブの一つ上の
カテゴリーであるCFZと対戦したが、この試合では、先制される
もオフサイドトラップをかいくぐって同点。後半サイド攻撃から、
バイタルエリアをうまく使って追加点を奪った。このときは、最
後まで粘りを見せ、GKのファインセーブもあり、勝利をもぎ取っ
た。この試合では、プレッシャーを感じながらも落ち着いて、人
もボールも動くサッカーをすれば、日本の持ち味が発揮され、十
分以上に戦えることを選手自身がつかんだことであろう。また、
© Schuichiro Hara
選手自身がピッチの中で出てきた課題を、選手同士で解決してい
くことを身につけたことも成果である。
U-15Jリーグ選抜
ジーコカップに参加して
【報告者】眞藤 邦彦(ナショナルトレセンコーチ/U-15 Jリーグ選抜監督/サンフレッチェ広島)
この大会を通して
©Schuichiro Hara
(1)ゲームを読む部分で、ブラジルチームのチャンスとピンチを
嗅ぎ分ける嗅覚と比較して、決定的な違いがあるような気がした。
解決方法は、U-12の年代からストリートサッカーの要素をいかに
トレーニングに生かしていけるかではないだろうか。
(2)個人レベルで前を向く技術や、ボールを前に進める方法など
は、これまでの日本の課題としてとり上げられている。パススピ
ードもファーストタッチ、視野の確保等々も含まれる。しかしす
べてが、目的である「ゴールを奪うため」に直結しているもので、
それぞれがぶつ切りではないのである。
U-15日本代表とのかかわり
った直後にゴール前でのパスをカットされ、追加点を許してしま
った。選手一人ひとりは精一杯努力したが、急きょ集まった選手
(3)育成年代を考えたフォーメーションを考える必要があるかも
昨年、U-15日本代表が参加したジーコカップに、今年はU-15J
たちで意志の疎通を欠く面と、長旅の疲れや大会直前まで日本ク
しれない。あるいはプレーの原則を理解させたゲームをしていく
リーグ選抜が参加した。U-15日本代表への招待ももちろんあった
ラブユースサッカー選手権(U-15)大会を闘っていた選手もいた
必要がある。サイドの攻撃や中央の攻撃をグループでしかけられ
が、城福浩U-15日本代表監督の意向で、今回は遠征を見送ること
ことから、集中力を欠く面が現れたことは残念である。ただ、あ
る年代であると考えるからである。ブラジルのU-14・U-15のイン
になった。11月から世界大会へ向けてのアジア予選(AFCユース
る時間帯は集中してチームの闘い方を全うし、サイド攻撃から得
ファンチル年代では、どんどん流動的にワイドに攻め上がり、サ
最終日にCFZのコーチであるジュリオセザール(元ブラジル代
選手権)が始まるので、その準備に時間が必要だったからである。
点できたことが救いであった。
イドポジションでの効果的なプレーを理解している。そこからサ
表)に日本の試合を見た課題からの克服トレーニングを指導して
©Schuichiro Hara
そこで代わりにJリーグ選抜を編成し、参加することになった。ジ
2戦目はボタフォゴに3-3のスコアで勝ちきれなかった。この試
イドを切り崩す攻撃や、バイタルエリアを攻略してくる闘いがあ
いただいた。テーマはやはり「ゴール前でのフィニッシュ」であ
ーコカップへの派遣に際して日本クラブユースサッカー選手権
合は初戦に比べ、選手のモチベーションも高く、比較的長い時間
る。日本の現状を見ると、大人と同じサッカーが導入され、リス
った。しかしこのトレーニングは試合を想定した、しかもフィジ
(U-15)大会や全国中学校サッカー大会の中から新たな発掘を行い、
集中力を持続させ、自分たちの闘い方ができた。選手が気持ちを
クマネジメントしつつリアクションで戦っているチームがほとん
カル的にとてもハードなものであった。GKのトレーニングもCFZ
切り替え、確認したことをやり通したためである。確認事項はテ
どではないだろうか。
GKコーチに見てもらったが、これも非常にハードであった。しか
より可能性を秘めた選手でチームを編成するという目的もある。
しこのトレーニングで、見る見るうちに改善されていくさまを見
ジーコカップ参加の決定は、ビザの取得期間を考えると、時間
ンポ良く、人もボールも動くサッカー。強くボールを引き出すた
的な余裕がほとんどなかった。そこで、情報を多く持っている城
めに前後左右交差し、長い距離を走り抜くことである。結果的に
(4)グループ戦術については、ブラジルの選手を見ていると、ト
たとき、驚きを隠せなかった。ジュリオセザールコーチに「かな
福監督と連絡調整を行い、代表候補のラージグループの中から実
この流動的な崩しにボタフォゴ相手に3点を取ることができた。勝
ップにボールを入れたとき、サイドにボールを出したとき、その
りハードなトレーニングであるが」と後から聞いたところ、ブラ
戦経験を通じて伸びてほしい選手を中心に、チームを編成した。
ちゲームにできなかったのはボタフォゴの巧みなセットプレーの
周辺の選手がうまく絡み合ってグループをなし、数的優位をつく
ジルではこの年代では当たり前であると返事が返ってきた。トレ
ブラジルで試合経験を積む中で、飛躍的に力を伸ばした選手が代
ためである。得点チャンスをかぎ分ける能力はかなり高いものを
り出しながらその局面を切り崩していく戦いをしていた。ベース
ーニングにも工夫があり、全員が集中していないとゴールを決め
表へ入っていくチャンスをつかむことになる。その点では、短期
感じる。結果、壮絶な打ち合いになってしまった。
「ブラジルは僕
はボールを奪われない、しっかりしたボールコントロールと、パ
ることができないし、トレーニングが成立しないようであった。
間で、しかも知らない者同士でチームを編成したとはいえ、重要
に粘り強さを見せてくれた。最後まであきらめないプレー。身体
スorドリブルの選択ができるかである。彼らは、この年代の重要
日本も、この年代でもっと持久力を高めながら、技術を獲得でき
な遠征である。参加したすべての選手に、代表の扉は今しばらく
を張ったプレー。負ける試合を引き分けに持っていく力を教えて
な課題をうまく習得しているような気がする。
るトレーニングを尊重する必要があるのではないだろうか。
開かれていることになる。Jリーグには経済的な面を含めて多大な
くれた。このことを頭に入れて日本でやっていきたい(辻克麻/C
支援をいただいたのだから、チャンスをものにできないのでは残
大阪)
」
。選手もブラジルの巧みさ、したたかさを学んだような気
(5)持久的トレーニングについて触れておきたい。ジーコカップ
選手たちは大会を振り返って、それぞれが世界一のサッカーを
念である。選手にはこの機会に大きな飛躍のためのきっかけをつ
がする。しかし、日本選手の敏捷性を生かした、人もボールも動
は5日間の連戦である。決勝に勝ち進んだフラメンゴとフルミネン
直接肌で感じ、個人が飛躍できるきっかけをつかんでくれたと確
かんでほしいと願った。
くサッカーがブラジルに通用したことも事実である。
予選リーグ3試合の分析
ジーコカップ予選リーグの結果は2分け1敗で、予選突破を果た
すことができなかった。
初戦はアトレチコ・ミネイロに1-4の大差で敗れた。この敗戦は
前半FKからの失点が尾を引いた形となり、後半もPKと1点差に迫
20
セは5試合続けて闘ったことになる。しかもフルミネンセは一つ下
信した。ぜひ今後も、この経験を経験で終わらせず、次の高いピ
3戦目はアメリカ(ブラジル)戦である。この試合も完全な勝ち
のカテゴリーであるにもかかわらず、準優勝したチームである。
ッチでまた闘えることができればと考える。大会表彰式には、ジ
試合でありながら、ちょっとしたミスで同点にされてしまった。
決勝は多少パフォーマンスが落ちてはいるものの、すばらしい闘
ーコをはじめ、ブラジル代表監督のパレイラや、元ブラジル代表
スコアは2-2である。試合は先制を許すもサイド攻撃からすぐに逆
いが展開され、フラメンゴが前半もぎ取った得点を守り、1-0で優
のアンドラーデ、ジョルジーニョなどが立ち会った。この大会の
転したが、終了近くにイレギュラーしたボールをGKがハンブルし
勝した。しかし双方とも最後まで勝負をあきらめず、走り抜いた
すばらしさもさることながら、こうした人たちがブラジルの育成
たところを詰められた。こうした場面を見逃さなかったところが、
体力を考えたとき、日本はまだまだその辺が不十分であるような
年代にかかわっていることにも感激したし、ブラジルの強さにつ
ブラジルらしいところでもあった。
気がする。
ながっていると感じた。
21
2005
ストライカー
キャンプ
2005 ストライカーキャンプ(東日本)
●1日目
テーマ【1対1で突破するためのスキルとトレーニングの仕方】
1.ウォーミングアップ
①ボールタッチ
②パス&コントロール
2人組で向かい合ってパス
【報告者】
吉田 弘(ナショナルトレセンコーチ/学校法人常葉学園)
2005 ストライカーキャンプの報告と、
東日本で実施されたトレーニング
メニューを紹介します。
■開催日程
東日本:10月21日〜23日/Jヴィレッジ・17名参加
西日本:10月28日〜30日/福岡県グローバルアリーナ・16名参加
2.1対GK
2005ストライカーキャンプより © AGC/Schuichiro Hara
い)で簡単に上回ってしまう選手も、大
トレーニングもドリル形式とゲームの中
きなフェイントがスムーズに行えなけれ
で行った。ここでの課題は、ボール保持
ば、将来的に通用しなくなってしまう。
者の状態をしっかり観察できず、微妙な
年度は東西2回に分けたことで多くの選
また、ボールを受ける前に相手やスペー
タイミングのずれから動き出しが早くな
手を見ることができた。今回のストライ
スの意識が少なくファーストタッチから
り、相手に動きを読まれたり、スペース
カーキャンプでは、3つのテーマについ
しかけていける選手が少なかった。
を自ら消してしまい、ゴールを奪えない
はじめに
昨年は一度のキャンプであったが、今
てトレーニングを行い、選手たちに学ん
でもらった。
テーマ 1
「1対1で積極的に相手を抜き去り
ゴールを奪える」プレーヤーになる
テーマ 2
チームへ戻ってから
「ストロングポイ
ントを伸ばし、ウイークポイントを克
服するための段階別トレーニング方法
を理解すること」
状況が多かった。ゴール前のスペースが
[キーファクター]
3.1対1+GK
[キーファクター]
・観る ・シュートの精度 ・ファーストタッチ ・ボールの置き所
・GKとの駆け引き ・こぼれ球 ・落ち着き
・観る ・シュートの精度 ・ファーストタッチ ・しかけ
(DFとの駆け引き)
・こぼれ球 ・落ち着き
少ない中でゴールを奪うためには、ジャ
ストタイミングで動き出さなければなか
4.2対1+GK
5.4対4+GK
なかフリーにさせてもらえない。
終わりに
今回のストライカーキャンプでは東と
テーマ1に必要な要素として、体重移
まず自分を知るために、夢・目標とす
西に分け、33人の選手を指導することが
動をしてボールを扱っても崩れないボデ
る選手・ストロングポイント・ウイーク
できた。ストライカーとして、点を取る
ィバランスと、ボールタッチの質を向上
ポイントをミーティング時に書かせた。
ことを常に考え、相手に向かって積極的
させるトレーニングを、コーンを使いド
そこで課題ごとの選手が集まってグルー
なプレーができるようになるために3つ
リル形式で行った。
プで話し合い、30分の時間の中で3段階
のテーマで行ったが、この合宿ですべて
のトレーニングに分けて実際にトレーニ
が身につくわけではない。大切なことは、
ングを行った。
チームに戻ってからのトレーニングであ
次に相手に対する動作の中で実際に使
えるようにするため、いくつかの状況か
らの1対1のトレーニング行い、ファース
トタッチからしかけていくことを常にト
ライさせた。
トレーニングの最後には、ゲームの中
テーマ 3
「動きのタイミングを意識し、優位
な状況でボールを受けること」
で状況判断を考えながらしかけゴールを
る。自分の夢や目標を忘れずに、今キャ
ンプで見つけた自分のテーマをトレーニ
[キーファクター]
[キーファクター]
・観る ・シュートの精度 ・ファーストタッチ ・ONのしかけ
・OFFのしかけ ・こぼれ球 ・落ち着き
ングで日々努力し続けた選手が、将来す
ばらしいストライカーになってくれるこ
とを期待している。
●2日目
午前トレーニング
テーマ【個人トレーニング】
奪うチャンスを逃さないこと、ストライ
2人組でのパス交換の中で、ボール保持
カーとしてゴールを決めることへのこだ
者が蹴れる状態であるかを確認してからの
ボールを持ったときに相手を抜き、ゴー
わりを強調した。ここで出てきた課題と
動き出しを意識させ、次に4人組で相手を
ルに向かうチャレンジを数多くさせてほ
1.ウォーミングアップ
して、身体の大きな選手やスピードのあ
つけた中で、ボール保持者の状態、相手デ
しい。1人、2人抜く力がなければ一流選
る選手は体重移動が小さかったり、バラ
ィフェンダーやスペースを良く観ての動き
手にはなれない。相手にしかけて抜いて
ンスを崩したりしてしまっていた。国内
出しのトレーニングを行った。
いける力を身につけ、魅力あるプレーヤ
2.課題別グループトレーニング
①1対1
②ファーストタッチ
③ヘディング
の同年代では、身体的特長(大きい・速
22
また、クロスボールに対する入り方の
・観る ・シュートの精度 ・ファーストタッチ ・ONのしかけ
・OFFのしかけ ・こぼれ球 ・落ち着き
最後に各チームの指導者の皆さんへ。
ーを育成していきましょう。
2005ストライカーキャンプより © AGC/Schuichiro Hara
23
3.4対4+GK
活動報告
JFA GK
4.シュートトレーニング(ドリル)
①ポストシュート
②振り向いてシュート
③ワンタッチシュート
プロジェクト
2005 GK+ストライカーキャンプより
© AGC/Schuichiro Hara
[キーファクター]
の活動、ストライカーキャンプと合同で行わ
れたGKキャンプの報告をお送りします。
[キーファクター]
・観る ・シュートの精度 ・ファーストタッチ ・ONのしかけ
・OFFのしかけ ・こぼれ球 ・落ち着き
●2日目
JFA Goalkeeper Project
since 1998
9月〜10月に行われた各年代日本代表チーム
・観る ・シュートの精度 ・ファーストタッチ ・こぼれ球 ・落ち着き
午後トレーニング
テーマ【動き出しのタイミングとシュート技術】
1.ウォーミングアップ
2.キック・ヘディング
①ターン&コントロール
①ヘディング
U-18日本代表チーム
2人組
○スタンディング
○ジャンプヘッド
振り子ジャンプヘッド
仙台カップ国際ユースサッカー大会
2005(宮城)
【報告者】加藤好男(GKプロジェクト・リーダー)
1.大会概要
2002FIFAワールドカップ記念事業とし
[キーファクター]
・観る ・タイミング ・駆け引き(チェック) ・ファーストタッチ
て開催された仙台国際ユースサッカー大
4.クロスからシュート
5.4対4+2クロッサー+GK
○大会中、試合、練習問わず集中して前向
きに取り組んだこと。
3.課題
らなる指示・声かけと統率が必要とな
る。
○ピッチの内外を問わずリーダーシップの
発揮が期待される。
○SBS国際ユースサッカー大会から引き続
き、クロスに対する対応とパンチングス
【今後の展開】
キルおよびコンタクトプレーが強化課題
11月のAFCユース選手権大会1次予選に
であったが、今大会も同様の課題が残っ
向けて、10月の韓国遠征を挟み最終段階
たこと。
となってきているので、ここまで出てきた
会。今回で3回目となる同大会が、9月15
○DFとの連携において、球際のプレーに
課題の改善はもちろんのこと、長所である
日〜19日まで仙台スタジアムにて開催さ
対して、個人名を含めてタイミング良く
シュートストップやブレイクアウェイ、攻
れた。出場国は、U-18クロアチア代表、
厳しく声をかけボールアタックへ行かせ
撃への参加に関しても再度自信を持たして
U-18ブラジル代表、U-18日本代表、東北
ること。
取り組んでいきたいと考えている。
高校選抜の4チームで、総当たり戦で行わ
○相手直接FKに対する壁の組織化と自身
その他、中・長期的な展望としては、ア
れた。優勝はブラジル、準優勝は日本とな
のプレーにおいて、直接のシュートに対
ジア最終予選までを第2次強化期間、2007
った。日本は、ブラジルに対して善戦した
する狙いとフェイクするFKとの狙いの
年のFIFAワールドユース選手権大会(カ
ものの終了間際に失点して惜敗した。
配分が悪く、失点するシーンがあった。
ナダ)までを第3次強化期間としてプラン
○DFのラインコントロールにおいて、さ
ニングし推進していきたいと考えている。
◆大会結果
優勝
U-18ブラジル代表(3勝0敗8得点2失点
準優勝 U-18日本代表(1勝2敗7得点8失点)
第3位
東北高校選抜(1勝2敗6得点8失点
第4位
U-18クロアチア代表
(1勝2敗2得点5失点)
[キーファクター]
[キーファクター]
・観る ・シュートの精度 ・ファーストタッチ ・クロスに入るタイミング
・駆け引き
(チェック) ・こぼれ球 ・落ち着き
・観る ・シュートの精度 ・ファーストタッチ ・クロスに入るタイミング
・OFFのしかけ(チェック)・こぼれ球 ・落ち着き
◆大会出場GK
秋元陽太(横浜Fマリノス)
:2試合出場
武田洋平(熊本大津高)
:1.5試合出場
●3日目
午後トレーニング
テーマ【ゲームで点を取る、取られない】
1.ウォーミングアップ
①センターサークル内でパス&コントロール
(全員でボール5個)
②コーンスラロームボールタッチ
2.ターン&コントロール
2人組、4人組(2日目の午後と同じ)
4.6対6+GK(ハーフコート、ゴールはタッチライン)
・4分間で勝ち残りを行う
5.PK1本勝負
3.ターンからシュート(DFリミテッドプレッシャー)
・ターンしてGKと1対1
[キーファクター]
・観る ・シュートの精度
・タイミング
・駆け引き(チェック)
・ファーストタッチ
・落ち着き
2.成果
○チームとしての闘い方を再確認できたこと。
○GKのテーマに関しても再確認および再
認識できたこと。
○シュートストップ、ブレイクアウェイの
各状況下において、安定した力を発揮で
きたこと。
○攻撃への参加において、キックおよびス
ローインの配分と配球に際して、試合の
状況、スコアなどを考慮してプレーでき
たこと。
24
2005 GK+ストライカーキャンプより© AGC/Schuichiro Hara
25
JFA Goalkeeper Project
U-16日本代表チーム
ドイツ遠征
(2005年9月11日〜9月20日)
【報告者】赤池保幸
(ナショナルトレセンコーチ/コンサドーレ札幌)
1.GKテーマ
①ゲームに関わりつづける
②良い準備=Good Position、姿勢、予測
③Aggressive Goalkeeping
④DFとの連携
⑤攻撃への参加
⑥リスクマネジメント
⑦リーダーシップ
活動報告 JFA GKプロジェクト
ていた。特に日本のFKを2本防いだプレー
ゲーム自体を安定させることができた。ま
プレックスは感じなかった。また高いプレ
には驚かされた。ドイツのGKも大柄では
た、DFを含めてクロスの状況では安定し
ッシャー、スピードの中でも基本技術、個
なかったが、ゲームに関わりをもったポジ
たディフェンスを見せた。
人戦術が充分発揮できた。それは、日頃の
ションを常にとって良い準備をしているよ
うに見えた。
3.成果
招集した2名のGKとも、
「日本代表のGK」
として「ゴールを守る」強い気持ち、意志
を感じることができた。「ゴールを守る」
トレーニングでの良い習慣づけから、自動
クロス、攻撃への参加など各状況下におけ
い癖がついている選手が多く、意識して
的に技術・戦術が発揮できていたというこ
るGKの判断およびスキルの発揮とその獲
プレーしている時は良いが、しばらくす
でプレーできたことは非常に良い経験にな
とである。
得。
ると(無意識)また戻ってしまうこと。
ったと言える。
4.課題
ブレイクアウェイの状況の中で、高いポ
しかし、公式戦での経験不足によるプレ
また、トレーニング前には、ロッカーミ
ーの決断の曖昧さ、またゲームの流れ、状
ーティングにてFIFAワールドユース選手
○GK姿勢(構え)のタイミングでは、プ
況に応じたディストリビューションなど課
権大会 オランダ 2005、FIFAコンフェデレ
レジャンプ(予備動作)が大きく、タイ
題も見られた。
ーションズカップ ドイツ 2005、2006FIFA
ミングがとれない選手が目立ったこと。
手の位置、重心など。
ために、日ごろ所属チームでのトレーニン
ジションをとり、良い準備をしていたが自
今回の遠征に帯同させていただき、日本
ワールドカップ ドイツアジア地区予選な
○シュートストップの状況下におけるGK
グで習慣化された基本スキルを各状況にお
分がプレーするのか、味方(DF)がプレ
のGK、また各国のGKを観る中で、質の高
どのプレーシーンをVTR鑑賞してからトレ
のポジションでは、角度の少ない相手攻
いて発揮できていた。特にシュートストッ
ーするのかが明確ではなかった。「出る」
い基本スキルをベースに持ち、身体能力が
ーニングを実施。
撃に際して、適切なポジションがとれな
プ、クロスの状況において安定感のあるプ
「出ない」の決断において、ボールと自分
あり、リーダーシップを発揮できる存在感
のあるGKを育成していきたいと改めて感
た。連携という部分においては即席のチー
じた。
ら安全確実なプレー、またつかむか弾くか
ムだけに難しいことではあるが、しっかり
特筆すべきものはあまりなかったが、配球
の判断とその弾く方向に関しても状況に応
と状況を観て判断を下す必要があったと言
において蹴ることが1試合で2回ぐらいし
じて実践できていた。
える。
レーが見られた。
2005 GK+
ストライカーキャンプ
4.ミーティング
か、弾くかの判断と、弾く際のプレーで
課題が残った。そのために予定を変更し
ディスカッションとその発表、質疑応答な
どを行った。
クロスの状況に関しても常に高いポジシ
ョンをとり、観る→状況把握→予測→判断、
ては、チームとしてGKからビルドアップ
味方につなげていた。また決断の声が大き
決断→プレーができ、広い範囲を守ること
していくトレーニングを行っていたが、蹴
く、明確だったことが印象に残った。カタ
ができていた。ほとんどのゲームで序盤ゴ
ることが多くなってしまった。その原因に
ールのGKは身長183㎝前後であったが、
ール前に単純にクロスを上げてくることが
は味方の動き出し、相手FWのプレッシャ
第7回JFA U-18/U-15 GK合同キャンプが
○同世代の選手とともにトレーニングする
身体能力を生かしたゴールキーピングをし
多かったが、適切な判断とプレーによって
ーをかけてくる位置も関係はあると思われ
東西にて、それぞれストライカーキャンプ
ことで、自身のプレーと他のプレーを比
たが、GKとしてもっとイニシアチブをと
と並行して開催された。東地区は、Jヴィ
較できたことと、強い競争心が芽生えた
ってアクションを起こしてほしかった。バ
レッジにて10月21日〜23日、西地区は、
こと。
ックパスの処理においても、ボールを受け
福岡グローバルアリーナにて10月28日〜
る前の準備(観ること、プレーのプランを
30日まで行われた。参加GKは、U-18が19
立てること)を怠ることがあり、効果的に
名、U-15が20名で、例年通りU-18GKがス
攻撃に関わることができないことがあっ
トライカーと合流してトレーニングを行っ
た。また、利き足とは逆の足でのプレーに
た。全体としては、大変高いモチベーショ
課題が見られた。
リスクマネジメントに関しては、ピンチ
を未然に防ぐことができない状況が見受け
られた。GKとしての準備は高い意識のも
とできていたが、シュートをうたせないた
めのコーチング、カウンターを受けないた
めのコーチングがやや弱いと感じた。特に
状況に応じて適切なコーチングをしている
にもかかわらず、しっかりと伝わっていな
いことが多かったように感じた。
5.まとめ
この年代の選手たちは、国際ゲームの経
験が豊富で、ゲームにおいてまったくコン
【報告者】加藤好男(GKプロジェクト・リーダー)
1.開催概要
○キャッチングにおいては、一度でつかむ
おける内容の確認、VTRを使ったグループ
く、多少リスクがあっても大きく蹴らずに
ディストリビューション(配球)におい
い選手が目立ったこと。
夜のミーティングでは、トレーニングに
かなかった。ゴールキックにおいても素早
仙台カップ国際ユースサッカー大会より© Jリーグフォト㈱
○GKの基本姿勢においては、まだまだ悪
さらに、U-17ドイツ代表戦では、2500
との関係だけで決断してしまうことがあっ
ブルガリアのGKは身長も大柄ではなく、
シュートストップ、ブレイクアウェイ、
6.課題
人の観衆の中 完全アウェイ の状況の中
シュートストップにおいては良い準備か
2.大会のGK
3.トレーニングテーマおよび内容
5.成果
○大変高いモチベーションにて積極的にキ
ャンプへ参加したこと。
○多くの選手と共同生活することで、コミ
ュニケーションがとれたこと。
○現在の自分の長所や欠点が認識できたこ
と。
て連日追加練習した。
○クロスへの対応では、状況確認のタイミン
グおよびそのプレーにおいて、タイミング
がとれずクロスへのスタートが切れない選
手が目立った。またパンチングにおいて
は、その技術の発揮に課題が残った。
7.総括
第7回GKキャンプを終えて、回を重ねる
ごとに新たな発見があり、また各地域での
GK育成が少しずつそして確実に実を結ん
できていることが実感できた。U-18/U-15
とも、初参加となった選手も多数いたが、
皆前向きに取り組んでいたと同時に、タレ
○各状況下におけるプレーのセオリーや優
ントとしての高い可能性を持っていた。今
ンを維持した中で取り組んでいた。
先順位を指導することで、共通の理解が
後の各チームにおける日々のトレーニング
2.GKテーマ&コンセプト
生まれたこと。
に際して、高い意識を持って取り組んでも
■テーマ
U-18GK
→
GK応用スキルの獲得及び体幹の強化
U-15GK
→
GK基本スキルの徹底及びコーディネーション(調整力)向上
らいたいと考えている。
U-15東地区のキャンプには、3人の三重
県のGKが選出され参加したが、地元のGK
①積極的なゴールキーピング
トライ&エラー・・・・先ずはチャレンジ!そして、成功及び失敗から学ぶこと
プロジェクト指導者の方々も3日間とも視
②良い準備
GKの位置と姿勢→観る→予測→判断(決断)→実行(プレー)
察に訪れ、地域の意識の高さが強く感じら
③DFとの連携
コミュニケーション&コンビネーション
指示・声「短く、ハッキリ、タイミング良く!」
れた。こうした地域での取り組みが選手育
■コンセプト
成、強化へとつながり、優秀選手輩出の実
績となっているのであろう。また、Jクラ
①選ばれし者の誇りと責任
推薦、応援してくれる人がいる。模範選手たれ
②個人のレベルアップ
精神面、技術面、戦術面、体力面及び探究心などすべての面
ブをはじめとする多くのGKコーチにも視
③自己管理
アフターケア、食事面、生活面、用具ほか
察に来ていただいたことに、誌面を借りて
④時間厳守
団体生活、グループに対する尊重、協調、協力
感謝します。今後とも日本のGKの育成、
⑤コミュニケーション
挨拶、会話、友達、仲間、スタッフ、プレス、施設内
強化に向けてともに頑張りましょう。
※トレーニング内容、詳細は次号掲載予定
26
27
J F A
P H Y S I C A L
F I T N E S S
P R O J E C T
目標を設定する
J F A
P H Y S I C A L
F I T N E S S
P R O J E C T
©Jリーグフォト㈱
のチームにいるかもしれません。そのよ
速くなるためのトレーニングは重要です
うなストロングポイントにさらに磨きを
もちろん、選手個々によって個性があ
が、ただ単に20m走の測定記録を向上さ
かけてトレーニングに励むのも、その選
るので、
「あいつよりお前は走るのが遅い」
せることが目的ではありません。サッカ
手にとってはすばらしい動機づけになる
などと比較するのは決して得策ではあり
ーのあらゆる場面でスピードは大切です
ことは間違いありません。
ません。足が遅い選手は、遅いなりにい
から、そのスプリントドリルによって明
ろいろ努力や工夫をしていることも事実
らかにスピードが向上して「裏に抜ける
ですから、一概に他人と比較するのはあ
スピード」や「1対1の対応時に抜かれな
1回だけ測定を行って満足していては
まり良いこととは言えません。
いスピード」などが高まることが重要で
いけません。選手たちは日々トレーニン
継続して測定する
ただし、測定した結果のチーム平均な
す。つまり、大切なのはサッカーの場面
グを重ねて、日一日と著しい成長を遂げ
どから自分のストロングポイントやウィ
で生きるスピードなのであって、20m走
ています。その成長の度合いをチェック
ークポイントをつかむことができます。
のデータはそのトレーニングによってた
する意味でも、少なくとも3カ月あるい
サッカーはチームスポーツですから、チ
またま向上して、トレーニングの効果の
は半年に一度くらいのペースでフィジカ
ームの中の自分の位置づけを把握するこ
裏づけとされているという本質を忘れな
ル測定を行うことが大切です。選手によ
とは、むしろ目標が明確化されてトレー
いでほしいと思います。
っては、すばらしい伸びを示している場
ニング効率が高まることが期待できます。
JFAフィジカルフィットネスプロジェクト
ルを導入したとします。このように足が
選手たちは、同じポジション争いをして
合もありますし、伸び悩んでいる場合も
モチベーションを高める
あります。
いる選手のデータは気になるでしょうか
JFAフィジカルフィットネスプロジェ
その間のトレーニングが、その選手に
ら、指導者がとやかく言わなくとも選手
クトでは、フィジカル測定ガイドライン
とってどうだったのかを確認することに
JFAフィジカルフィットネスプロジェクト
より効果的なフィジカル測定活用の
アイディア①
自身が「自分に何が必要か」が分かって
に沿って、エリートプログラム(U-13、
も役立ちますし、われわれ指導者にとっ
いるはずです。そのときにいろいろなア
U-14)、U-15、U-18、U-20の各年代の代
ても反省材料の一つになります。少し大
ドバイスをしてあげられるのが、われわ
表チームとA代表で、可能な限り集まる
げさな言い方かもしれませんが、潜在的
れ指導者です。選手自身が「どうなりた
ごとにフィジカル測定を実施しています。
なすばらしい可能性を秘めている選手た
いのか」を自分で言い出すまで辛抱する
そして、行った測定結果(平均値および
ちの成長を阻害しているのかもしれませ
ことも大切です。ウィークポイントが把
最高値)を「テクニカル・ニュース」な
ん。われわれ指導者がプログラムするト
握できたら、そのウィークポイントを改
どで定期的に結果を発表するようにして
レーニングによって選手たちの成長の度
善できるようにいろいろなアイディアを
います。
合いが変わってしまいます。われわれ自
菅野淳(JFAフィジカルフィットネスプロジェクト)
もってトレーニングを提供することが大
切です。
フィジカル測定ガイドラインの
活用
「日本人選手はフィジカルが弱い」、
測定項目を同じくすることによって、
身が指導力を向上させるためにも、毎日
平均値や最高値などを参考にすることが
のトレーニングを吟味していかなければ
ここで一つ、つけ加えておきたいこと
できます。同年代の日本を代表する選手
なりません。その判断材料の一つとして
があります。20m走を例にとってみると、
たちのレベルを知ることによって、高い
フィジカル測定を継続して行い、その測
一の方法で実施することを推奨してきま
うに活用したらよいのかについてご説明
した。フィジカル測定ガイドライン創刊
します。以前にも触れていますが、フィ
(ある選手の)測定結果がチーム平均より
モチベーションを保つことができるでし
定結果を日々のトレーニングに活用して
直後から、多くの選手にフィジカル測定
ジカル測定をより効果的にするためにも
も若干遅いとします。そのウィークポイ
ょう。もしかしたら、種目によっては代
みてはいかがでしょうか。
を実施してもらうために、これまで指導
おさらいをしたいと思います。
ントを改善するために、スプリントドリ
表レベルをはるかに超える選手が皆さん
<次号に続く>
「フィジカルの差が勝敗を分けた」と言わ
者の皆さんにフィジカル測定の意義、目
れて久しくなります。少しずつではあり
的および方法をいろいろな場面で説明し、
ますが、世界と差は縮まりつつもその差
普及に努めてきました。
選手の現状を知る
皆さんが指導されている選手たちのフ
はいまだ明らかです。このフィジカルの
その結果、多くの指導者の方々のご協
ィジカル面における長所と短所をご存知
差を少しでも最小化して、世界の強豪と
力により、各チームに所属する選手に測
ですか。当然、毎日接しているのですか
いわれる国々と対等に闘えるようにする
定を実施していただき、その普及率は高
ら知らないわけはありません。「あいつは
ためにJFAフィジカルフィットネスプロ
まりつつあります。しかしながら、活用
足が遅い」、
「あいつはジャンプ力がない」
。
ジェクトが発足しました。
の仕方が今一つ分かりにくいことから、
それくらい大まかなことはお分かりでし
JFAフィジカルフィットネスプロジェ
「いまだにフィジカル測定を導入できな
ょう。しかし、足が遅いといっても「ど
クトでは、10年後日本のサッカーが世界
い」、あるいは「とりあえず測定をしたけ
れくらい遅いのか」、ジャンプ力がないと
のトップ10入りするために必要なフィジ
れども1回測定しただけでその後停滞し
いっても「どれくらいジャンプ力がない
カルの要素の明確化、また日本のサッカ
ている」というチームも少なくないよう
のか」。具体的には分からないといってよ
ー選手の基礎的なフィジカル向上を目的
です。
いのではないでしょうか。しっかりと選
としてトレーニングをより効果的に進め
そこで今回は、もっと身近にフィジカ
手個人のフィジカル的な特性を知るため
るために、フィジカル測定ガイドライン
ル測定を導入してもらえるように、フィ
には、フィジカル測定を実施することが
を創刊し、日本国内で共通した種目を同
ジカル測定によって得たデータをどのよ
大切です。
©Jリーグフォト㈱
©Jリーグフォト㈱
※測定ガイドライン改訂版は2005年12月下旬発行予定
28
29
年代別指導指針⑩
10を
世界のトップ
目指して!
状況に応じた1対1
JFA技術委員会
第7回 1対1の攻撃〜U-16②
状況に応じた1対1
現代サッカーにおいて、DFライン(①・
ルを持ち出し、相手DFを引き寄せてパスを
にもワンタッチでスペースにコントロールす
②・③)から個人の突破でシュートまで行く
すれば、相手DF1人の守備能力を失わせるこ
るスキルの精度が重要になります。
ことは難しくなっています。しかしDFライ
とができる場合があります(ケースⅡ)
。こ
ンでボールを横に動かしているだけでは、相
れはDFゾーンだけのことではありませんが、
を図ることではなく、相手の守備の状態に応
手の守備ブロックはなかなか崩せません(ケ
中盤や前線はプレッシャーが厳しく、ゆった
じてプレーを選択していくことが、状況に応
ースⅠ)
。前方にスペースがある時にはボー
りとした時間はないので、ボールを持ち出す
じた1対1のスキルと言えます。
ケースⅠ
前号に引き続き、
「1対1の攻撃〜U-16」のトレーニングメニューを紹介します。
このようにDFラインからやみくもに突破
ケースⅡ
2
2
1
1
3
3
コーチ
コーチ
5
4
5
4
GK
GK
コーチの配球によって1対1の状況をつくる。
©AGC/JFAnews
A
2
【ルール&オーガナイズ】
○Aゾーン内は3対2、Bゾーン内は2対2の形
でスタートする。
○ボールがAからBゾーンに入った時点で、
ゾーンの区切りはなくなるが、それまで
はゾーンの移動はできない。
スにボールを持ち出すことで相手を引き寄
体を入れてしっかりボールを保持すること
せていきます。FW①が前向きでボールを保
(スクリーンプレー)が必要です。そのプレ
る選手)はその状況にあった1対1のスキル
持しているので、FW②はFW①の背後をオ
ーに対してFW②はケースⅢとは逆にFW③
を、また Offの選手(ボールを持っている
ーバーラップして前方にサポートをしてい
の後方にサポートをし、受けたボールを前
選手)はサポートの状態をつくり出すこと
くことで数的優位をつくり出すことができ
方に配球できるサポートポジションを考え
が重要になります。
ます。
ます。この時にボールだけに気を取られて、
ケースⅢはコーチからゴールに向いた状
ケースⅣは自分の背後への浮き球の配球
態でボールを受けたFW①が、前方のスペー
に対して、FW③は相手DFとの間に自分の身
ケースⅢ
1
3対2+2対2
コーチの配球によって状況の違う場面を
つくり出し、Onの選手(ボールを持ってい
ボールを受けてから次のプレーを考えるこ
とがないようにしていくことが大切です。
ケースⅣ
3
2
2
1
3
1
3
コーチ
B
5
4
GK
コーチ
コーチ
5
4
GK
5
4
GK
©AGC/JFAnews
30
31
コンビネーションプレー(意図的にスペースをつくり使う動き)
ゲーム 8対8(ゲームの中でのスキルの実践)
ケースⅤは、FW②からFW③に対してのパ
ったスペースを狙い、FW⑤の背後に走り込
ケースⅤ、Ⅵは例であり、この攻撃をパタ
スの移動中にFW①がダイアゴナルにランニ
み、タイミング良く精度の高いパスができれ
ーン化することを狙うものではありません。
ングを行いました。DFがついてこなければ、
ば、FW②からFW④にフィードすることが良
コンビネーションプレーは、Onの選手とOff
そのままFW①を使い突破をすることが可能
いと思われます。また、FW②がFW⑤に対し
になります。またDFが ①のランニングに対
ないアバウトなゲーム展開になってしまう
に、選手自身に判断させる習慣が必要です。
すべてのトレーニングはゲームで実践で
でしょう。U-12からのスキルの積み上げな
低い年代でコーチがプレーを制限して選手
きるようになることを目的として行なわれ
くして、状況に応じた1対1の攻撃はあり得
の判断を奪っていたら、チームとしては勝
の選手の複数が同時に同イメージでプレーを
ています。M-T-Mの目的はゲームでの課題
ません。
利しても、個人としては完成期に大きな選
てのくさびのパスを選択した場合に、相手
行うことが重要であり、そのイメージを具現
から、トレーニングを構築・実践し、再びゲ
またサッカーの本質を選手が理解しなけ
手には育ちません。年代に応じた長期一貫
してついて来たら、FW①がつくったスペー
DFが中央エリアに集中すれば、FW④のつく
化するためには正確なスキルの発揮が必要に
ームに戻しトレーニングの効果を見ていか
れば、やはり状況に応じた攻撃はできない
指導体制を、多くの地域で確立していくこ
スをFW②が使い突破を図ることができます。
ったスペースにFW③が走り込むことも可能
なります。そしてサッカーにおいて状況は常
なければなりません。1日のトレーニング全
でしょう。サッカーの本質を理解するため
とが重要だと考えます。
ケースⅥはFW⑤がくさびを受けるために、
になり、1回のパスに対して3人の攻撃者が同
に動いているので、変化に対して対応するた
体をこのように構成しているチームは多く
センターDFとボランチの間のエリアに引い
時にかかわれば、攻撃のバリエーションは多
めの情報を常に感じてプレーすることが重要
あると思いますが、最後のゲーム時にただ
てきます。それと同時にFW④はFW⑤がつく
くなってきます。
になります。
やらせているだけで、指導者自身がコーチ
・M-T-Mの重要性
GK
ではなくタイムキーパーになってしまって
ケースⅤ
ケースⅥ
いることはないでしょうか。最後のゲーム
での成果を評価できることを、重視しても
らいたいと考えます。
2
2
1
またゲームとは11対11だけではありませ
1
3
ん。コーチはトレーニングの狙いが出せる
オーガナイズをつくることが重要です。コ
3
ーチの仕事は、トレーニングをクリエイト
することです。コーチが自チームに最も効
果的なトレーニングをつくり出してくださ
コーチ
コーチ
・個の能力の高い選手育成
5
5
4
い。
大人のサッカーの入り口であるU-16年代
4
では、
「状況に応じた1対1の攻撃を行う」と
GK
いう、大変広いテーマになってきます。し
かしその基本は正確なスキルの発揮であり、
そのスキルの精度が低ければ、落ち着きの
GK
GK
©AGC/JFAnews
32
©AGC/JFAnews
©AGC/JFAnews
©AGC/JFAnews
33
女子サッカー
第10回全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会©AGC/JFAnews
各種大会報告
第10回全日本女子ユース(U-15)サッカー選手権大会©AGC/JFAnews
FC VITORIAはこれらの個人戦術が習慣
できなかったりするためにピンチを招くケ
相手からボールを奪って手数をかけず
化されており、一人ひとりがピッチの幅を
ースがしばしば見られた。これらの基本技
準優勝に終わったFC VITORIAは、選手
にゴールを奪ったり、ボールを失った瞬
有効に使い、隙があったら前を向く、ゴー
術は、なでしこジャパンにおいてもトレー
一人ひとりがプレーの原則をよく理解し、
間に連動して積極的にボールを奪い返し
ルを目指すという意識が高かった。
ニングで行われており、この年代で徹底す
ピッチの広さを有効に活用したサッカー
にいくために、フィールドをコンパクト
を展開した好チームであった。
にしようとする意図が最も感じられたの
(3)コンパクトフィールドの形成
第10回全日本女子ユース(U-15)
サッカー選手権大会
【報告者】八木邦靖(ナショナルトレセンコ−チ)
を与えたといえる。
(1)大会の形式
全国から選出された16チームを4グル
は優勝した神村学園であった。
ープに分け、各グループ1位による決勝
1.大会の総評
本大会は、8月20日〜25日までJヴィレ
ッジにて開催された。予選リーグから天
然芝4面を使用し、ピッチコンディショ
2.戦術的分析
トーナメントによって優勝が争われた。
(2)予選リーグ
予選リーグではチーム力に差が見られ
る試合があったが、敗退してしまった中
(1)サッカーの本質
ど、奪うチャンスを逃さないことが重要で
集時からこういった課題に取り組んでAFC
ある。また、ボールを持っていない選手に
U-17女子サッカー選手権(韓国)を戦い
状況に応じたパススピードや、意図を持
対しては、ポジショニングの3原則やチャ
優勝した。また本年度から2005ナショナ
ったファーストタッチを行うことが習慣化
レンジの優先順位に従って粘り強く対応
ルトレセン女子U-15がスタートし、今ま
攻守において質の高い意図的なプレー
されている選手は少なかった。判断を伴わ
し、奪うチャンスを逃してはならない。
さにこれらの情報を全国の選手、指導者、
を行うためには、周囲の状況を常に把握
ない「ノージャッジキック」も多く見られ
コンパクトフィールドを形成しボールを
しなければならない。「ゴール」を意識し
た。また、身体をうまく使ってプレーエリ
中心として厳しい守備を展開するために
て、ボールとゴールを同時に観ることが
アを確保することができず、簡単にボール
は、ファーストディフェンダーの徹底が不
本大会を見ても、現在日本の女子サッカ
できる身体の向きを確保することによっ
を失う選手が多く見られた。
可欠である。神村学園の選手はファースト
ーは、現場の指導者による日々の指導によ
これらの課題を克服するためには、「観
ディフェンダーの意識が高く、連動した守
って確実にレベルアップをしていることは
間違いない。これらの課題に日々取り組み、
徹底、習慣化していくことがアジア、世界
を意識していないために、顔を上げて周
囲を「観る」ことが不十分であった。
れた。また常葉学園橘中学校、浦和レッ
ても優勝しており、2年連続優勝となっ
った。
た。
前年までは参加資格が各県の選抜チー
ムであったが、今回から単独チームの大
会となり、参加選手が昨年度の2,415名か
(3)決勝トーナメント
うないFC(九州)、FC VITORIA(関西)、
大和シルフィード'98(関東)、神村学園
(2)観る
て、ボール・ゴール・相手・味方・スペ
コンパクトフィールドを形成する意識が
不足する傾向が見られた。
(4)個人戦術
①攻撃
ら3,378名と飛躍的に増加した。この大会
中等部(九州)の4チームが進出した。
ースを「有効に観て」、良い判断ができる
る」ことの習慣づけとともに、キックやコ
備によって相手ボールを奪い攻撃につなげ
の参加条件が単独チームになったことは、
チーム全体で豊富な運動量を誇る神村学
ようになる。いつ、どこで、どのタイミ
ントロールの精度を高めるために、パス&
ていた。
女子U-15のカテゴリーにおける登録選
園が⑧高良、⑩吉良など核になるポジシ
ングで、何を観るのか攻守において習慣
コントロール、スクリーン&ターンの技術
づける必要性を感じた。
を徹底することが必要である。
手、チーム数の増加に非常に大きな影響
34
ョンに能力の高い選手を擁し優勝した。
日本が今後世界で闘っていくためには、
人とボールが動きながらボールを保持して
優勝したU-17日本女子代表も、最初の招
手が全国に育ってきていることが感じら
今後の可能性を感じさせる好チームであ
た。
であると考える。今年4月にアジア大会で
える広島のGK①山根など、能力の高い選
じた。神村学園は昨年鹿児島県選抜とし
背後を取られたりしてしまう選手が多かっ
ーに関与する人数が少なくなるために、
況が悪くなったときにチャレンジをするな
を失わずに、ゴールを奪う」という視点に
行われた。
ズ、名古屋FCなどは技術レベルが高く、
その他のチームにおいては、ボールか
らの距離が離れるにつれて攻守ともプレ
試合の主導権を握るサッカーを目指すべき
立ってみると、攻撃、守備ともにゴール
VITORIA(関西)を下して大会の幕を閉
3.今後の課題
ボール保持者に対して簡単に足を出して
抜かれたり、ボールを持っていない選手に
1対1の局面では、相手の状況が良いと
にも、鳴門のFW⑩曽川、身長180cmを超
決勝戦で神村学園中等部(九州)がFC
るべきである。
②守備
きには無理にチャレンジしないで相手の状
「ゴールを守り、ボールを奪う。ボール
ン、日程を含めて非常に良い環境の中で
初の単独チーム開催となった本大会は、
第14回全日本高等学校女子サッカー選手権大会©AGC/JFAnews
また、ゲーム中不用意にヘディングボー
ルをバウンドさせたり、スライディングが
チームに向けて発信し始めたばかりであ
る。
に通じる選手の育成につながっていくと考
えられる。
35
第14回全日本高等学校
女子サッカー選手権大会
【報告者】田口禎則(ナショナルトレセンコ−チ)
1.技術・戦術に関して
(1)基本技術
ールの移動中にアプローチしきれずにプ
じさせるGKであった。
レッシャーをかけることができない場面
鳳凰高校の④磯金もDFとしてラインコ
が多く見られた。逆に1本のパスで簡単
ントロールやコンタクトスキルにおいて
に背後をとられる場面も多かった。オ
非凡なものを持ち、これからが楽しみな
フ・ザ・ボールにおけるポジショニング
選手の一人である。⑥三輪においては力
の3原則やチャレンジのプライオリティ
はあるものの、プレーの準備や予測とい
など、基本を見直さなければならないと
った部分での課題が残り、その克服が必
感じた。
要不可欠であるように見えた。
キック・ヘディング・コントロール・
特にこうした場面において重要な要素
また決勝に進出した常盤木学園高校で
ドリブル・コンタクトスキルといった技
となるコミュニケーション能力が低いた
は、⑧與山がスピードやセンスに高い能
術は、上位チームほど習得されているが、
めに、2、3人での連動した守備や攻撃を
力を発揮していた。⑩鮫島は今回の大会
大会参加チームが増えたこともあり、地
見る機会が少なかった。
において技術・戦術共に非常に高いレベ
域、チームによってかなり差が見られた。
ただし、ボールがないとき(オフ・
ルの選手であるのは間違いない。ボール
②クロスに対する守備
扱いや基本能力はもちろん、スピード・
ザ・ボール)の動き、良い準備といった
ボールの落下地点が判断できなかった
力強さにおいても高校トップレベルのプ
観点から見ると、多くのチームで意識づ
り、ボールとマーカーを同一視できなか
レーを十分発揮していた。⑦田中は中盤
けができていない場面が多かった。
ったりする選手が多く見られた。ヘディ
での展開力やためといった部分での貢献
ングを含めたクリアの技術も不足してお
度は高かった。
(2) 攻撃
①パスの質
1次リーグで敗退したチームの多くは、
り、安易に中央に戻してしまう場面やク
© AGC/JFAnews
1次リーグでは30℃を超える猛暑の中、
2.トピック
めに、パスの精度が上がらず、パススピ
ード自体の意識も低い選手が多かった。
きない選手も多く見られた。
70分というゲームを通してパフォーマン
スを維持できるチームは数えるほどであ
1次リーグで敗退したチームの中では、
った。コンパクトフィールドを保つ意識
福井工大附属福井高校は、ディフェンス
とフィジカルコンディションが不足して
また決勝ラウンドでは、暑さのせいか
に不安を抱えるが、⑩有町紗央里、⑨有
いるために、攻撃面ではボールを受ける
らの疲労があったのか、パスの強さ自体
町紗也香や⑪橋浦を中心としてスピーデ
前の良い準備やパスの精度、意図のある
にも問題があり、攻撃のチャンスをその
ィーなサッカーを展開していた。また、
ファーストタッチ、守備面ではポジショ
原因で失う場面を多く見かけた。
聖和学園高校は①曽山、⑦村上、⑩小野
ニングやチャレンジの優先順位などの課
ら各年代の代表選手を擁していたが、チ
題が意識されにくい状況であったと思う。
②ファーストタッチ
1次リーグではノープレッシャーの試
合が多く、ボールを受ける前の良い準備
2005 第2回
まう場面が多かった。
キックそのものの技術が不足しているた
また、利き足と反対の足ではキックがで
3.総括
リアが小さいために再度攻撃を受けてし
ームとしてうまく機能せず、思ったよう
JFAエリートプログラムキャンプ
【報告者】池内 豊(U-14)/須藤茂光(U-13)
8月22日〜26日、Jヴィレッジにて「第2回JFAエリートプログラムキャンプ」が行われました。
今回は特別コーチとしてクロード・デュソー氏(元フランスサッカー学院校長)を迎え、
「エリートキャンプ活動目標」
(下図参照)のもと、さまざまなカリキュラムが行われました。
また決勝ラウンドに進んでも、この時
なゲームができていない印象を受けた。
期の暑さと連戦の疲れからパフォーマン
室蘭大谷高校は、核になるポジションに
スを落とす選手が多かったが、さすがに
たが、昨年度からエリートキャンプに参
ても、普段FWポジションでのプレーが多
加している選手も多くいて、全体的にキ
い選手がDFのポジションを行ったり、
がなくても不自由を感じさせない場面が
⑨ライス、⑪ミシェリや⑧マルセラのブ
1次リーグとは違い、基本的な技術がし
■エリートキャンプ活動目標
〜個のレベルアップ〜
多かったために、意図のあるファースト
ラジル人をそろえたが、彼女らとプレー
っかりしている分、攻守にメリハリのあ
①関わる
ャンプの活動に慣れ、積極性も出てきて
DFの選手がFWのポジションを経験した
る試合展開となっていた。
②Enjoy Football
いる印象を受けました。キャンプ直前に
り、サイドのプレーヤーが中央でのポジ
③ポジティブシンキング
メンバー入りした選手も含め、キャンプ
ションを行ったりと、さまざまなポジシ
④フェアプレーの精神を身につける
初参加の選手も5名いました。個人差も
ョンを経験させました。
タッチを常に意識している選手は多くな
かった。
この問題は決勝ラウンドに入っても同
様であり、ファーストタッチの方向、強
することにより周囲のレベルが上がれば
今後伸びる可能性があると感じた。
また決勝ラウンドに進んだチームでは、
神村学園高等部の⑩有吉はチーム内の事
しかしこれから先、クラブチームとの
交流やU-17世代の世界大会が開かれてい
⑤感謝の気持ち
く中、技術の裏づけとなるポジショニン
ありましたが、比較的スムーズにチーム
ゲームの中では、ミスを恐れて状況に
に溶け込むことができたように思われま
応じてプレーしようとしない部分は修正
した。
していきました(GKからのフィードや
さの改善は、今後の大きな課題と言える
情でDFとしてのプレーであったが、非常
グの3原則やコーチングの重要性などを
であろう。
に運動量の多い動きで攻撃の起点として
説きながらプレーをしていく、日ごろか
1
概要
今回のキャンプでは、特別コーチとし
初日の練習ゲームは、地元のクラブチ
DFからのフィード、また、セットプレー
また⑭井出上もFWとして相手を背負いな
て、クロード・デュソー氏(元フランスサ
ームにお願いして25分×3本のゲームを
も状況を観て早く行うなど)。その上で出
がらのプレーに非
ッカー学院校長)に参加していただきまし
行うことができました。ゲームは、すべ
てきた課題を整理していきました。
クトプレー、ビルドアップを意図してゲ
常にうまさを感じ
た。各カテゴリー3回ずつのトレーニン
て4-3-3のシステムで行いました。これは
ームを進めているチームは少なかった。
させた。
グと選手に対してのレクチャー、そして、
ポジションの役割を明確にしながら、将
■課題
試合を観戦してのアドバイスなど精力的
来のポジションのスペシャリストの発
①パスの質(パスのスピード、スペースへのパスの
にかかわっていただきました。
掘・育成を意識したものです。
攻撃参加にも高い能力を発揮していた。
③優先順位
プレーの原則の理解不足から、ダイレ
らの環境が不可欠ではないだろうか。
こうした問題より、ゴールへ向かう姿
桐陽高校の⑩高
勢が欠如しており、ボールは支配してい
塚は大型FWとして
るもののチャンスを逃しているチームが
ポストなどをしっ
ピッチ外カリキュラムでは、「フィジカ
かりとこなしてい
ル測定」、「コミュニケーションスキル」、
ョンの固定や専門的なトレーニングの導
たが、動きのシャ
社会体験「陶器づくり」などを行いまし
入を意識するものではありません。選手
ープさが出ると楽
た。
がどのポジションに適しているのか、ま
多かった。
(3)守備
①1対1の対応
フィールドがコンパクトな状態で展開
しみな選手である。
されないために、ファーストディフェン
ワークやキック力
ダーが徹底できていない。このため、ボ
に非凡なものを感
36
2
①川口はステップ
ピッチ内カリキュラム
<U-14>
第14回全日本高等学校女子サッカー選手権大会©AGC/JFAnews
今年度2回目のキャンプではありまし
ただし、この年代からの早期のポジシ
質など)
②ファースタッチ(前を向く意識、ボールを失わな
いコントロールなど)
③サポートの質(最終ライン、中盤、突破時など)
④突破の意識は高いがドリブルとパスの判断に課題
⑤スペースをつくり、使う動き
⑥フィニッシュなど
た、トレーニングにおいては、将来にそ
のスペシャリティーをよりレベルの高い
今回のクロード・デュソー氏のトレー
ゲームで生かせるための基本の部分に働
ニングでもこの部分に働きかけてもらい
きかけていきます。今回のゲームにおい
ました。
37
最終日のゲームは高校生と台風の中で
行いました。ピッチコンディションが悪
い中、また強風の中ではありましたが、
ミスを恐れずにプレーできていました。
細かい課題はありましたが、チーム全体
として高いレベルを追求していたと言え
ました。個人の課題に関しては、チーム
に帰って克服してくれることを望みます。
<U-13>
くても、そのスペシャリティーだけで活
ームに帰ってからの課題克服への取り組
躍できてしまう傾向にあります。したが
みもまた、他の選手との差としてはっきり
この年代のエリート選手を選考するに
って、このエリートプログラムの取り組
と現れてくる年代であると感じています。
当たっては、スペシャリティーを意識し
みでは、そのスペシャリティーをより高
生活面では、選手同士の「関わり」を
て選考をしています。大きな選手、大き
いレベルで発揮できるためのスキルの獲
大切にしながら、なるべく選手たちに判
くなりそうな選手、スピードのある選手、
得などに働きかけ、課題を見つけること
断させるようにしました。そんな中で、
左利きの選手(U-13は3人、U-14では7人
も目的としています。
ミスをすることもありましたが、少しず
4
■デュソー氏のトレーニング
・全員がローテーションにより、攻撃のトレーニングを行う。
シュートのトレーニングも全員で行う(GKもフィールドのトレーニングもあり)。
・常に動きながらの技術の反復、また、持久力も上がってくるトレーニング。
◇ボールあり、なしのコーディネーショントレーニング(ウォーミングアップ)
◇ドリブル、リフティングでのウォーミングアップ
◇パス&コントロールの反復(ランダム・ローテーション)
◇ポゼッション(スペースに動く、スペースを使う)
◇さまざまなシュートの反復と1対1、2対1、2対2など
◇ゲーム(狭いエリアで4対4+GK、6コーンゴールゲームなど)
まとめ
が左利き)などです。
U-13・14のこの時期は選手の特徴がは
つ自分たちで判断し行動していこうとす
スペシャリティーのある選手は、普段
っきり現れてくる年代であることを今回
る姿が見受けられるようになり、成長の
のトレーニングや試合の中でスキルがな
のキャンプで見ることができました。チ
跡がうかがえました。
今回のキャンプでは、「世界を知る・感
じる」という目的から、元フランスサッ
■デュソー氏のレクチャー
カー学院校長のクロード・デュソー氏の
トレーニングを受けました。多くの選手
が外国人指導者の指導を受けることが初
めてで、通訳を介した中で選手たちは、
このエリート(代表)に入り続けること
トレーニングは、非常にシンプルなも
が大切である。いつも前向き(ダイナミ
ので、止める、蹴る、運ぶ。基本技術の
ック)に元気を出して、笑顔を忘れない
反復を動きながら行うものでした。それ
ことが大切である。
を休みを入れず、低〜中程度の負荷でプ
・人生では、幸せなときもあるが、辛い
レーを継続させるというものがメインで
かりではない。フィジカル的な練習
© AGC/JFAnews
特別コーチを務めたクロード・デュソー氏
© AGC/JFAnews
レーの精度が落ち、ミスが目立ました。
普段なんとなくプレーをし、ミスをミス
クロード・デュソー氏が選手に行ったレ
と感じることなくプレーをしている悪い
クチャーを抜粋します。
習慣が身についているように感じました。
<はじめに>
簡単なドリルトレーニングやシュート練
・サッカーにはいろいろな考え方がある
習においても、常に目的を持ち、ミスを
が、今日は、私の考え方を話す。
したらなぜミスになったか原因を自己分
・外国語が分からなくても、外国語を聞
析し、次回は同じミスをしない工夫をす
いて想像力を働かせることも大切であ
るといった取り組みが大切であると思い
より、すべての要素の向上が必要であ
る。
<サッカーに必要な要素>
・人生は、サッカーだけではない。した
持ち、飽きずに最後まで集中してトレー
がって学校の勉強や社会生活(活動)、
ニング行う習慣を身につけることが大切
さまざまな文化・芸術に触れることも
© AGC/JFAnews
3
ピッチ外カリキュラム
ロジカルコミュニケーションスキルで
の測定となり、種目も限定して行うこと
になりましたが、自分たちのフィジカル
面を理解することの大切さを知ることが
選手たちは不慣れなポジションにも積極
は、初参加の選手には、事前に1時間の
的にトライをし、さまざまな可能性を感
補習を行い、その後全員での講義を約3
社会体験「陶器づくり」では、U-14、
じさせてくれました。その中で感じたこ
時間行いました。デュソー氏も講義に参
13の選手、スタッフ全員で行いました。
とは、あまりにも前に前にという意識が
加していただき、内容の理解を深めてい
できあがった作品は、それぞれの選手の
強く、強引過ぎることです。状況に関係
ただきました。
性格が現れているように感じられました。
できました。
なく前に進むためにボールを失う場面が
フィジカル測定では、U-13は今年度2
根気よく取り組んでいる選手や、すぐに
多く見受けられました。ただこの気持ち
回目で、U-14では今年度初めての測定と
飽きてきてしまう選手もいて、選手のあ
自体は大切にしたいと思っています。
なりました。雨天により、屋内練習場で
る一面を見ることができました。
大切である。
・自分の意見をしっかりと人に伝えるこ
とができることも大切である。
・そして、いつも笑顔でいることが大切。
る。
・素質のある選手の責任は個人にある。
したがって、自チームに対しても良い
ものは伝える必要がある。
テクニック
持久力
・次のエリートのキャンプには、ここに
いる全員に来てほしい。しかし鼻高々
になる必要はない。シンプル(自然体)
に行動することが大切である。
・テクニックは15歳までに獲得したい。
その後の獲得には期待できない。そし
て、動きながらのテクニックの獲得が
<10年後に世界のトップ10>
・10年後は、君たちは22歳〜23歳になっ
ている。
必要である。
・持久力は12歳〜15歳までに獲得した
い。その後の獲得には期待できない。
・10年後のサッカーを想像すると、技術
・スピードと持久力の関係では、スピー
はもっと進化している。スピードもも
ドのある選手は持久力がない。持久力
っと上がってくる。したがって、すべ
がある選手はスピードがないのが一般
ての技術を身につけておくことは、最
的だが、良い選手はすべての要素を持
低条件である。10年後は、戦術も変わ
<君たちに望むもの>
るし、試合の中のシステムも変わる。
・プレーすることの喜びを常に持ち続け
いつも良いイメージ(写真家がいつも自
る。君たちの喜びが私たちの喜びであ
分のプレーを写している)を持ってプレ
る。そして、プレーを楽しむために
スピード
り、それを受け止めることが大切であ
る。
ます。簡単なトレーニングでも、目的を
38
ことが大切になる。
・したがって10年後は、現在のサッカー
もあれば負けることがある。しっか
る選手たちですが、少し動きを伴うとプ
ました。特に指示を与えませんでしたが、
心で、自分の精神コントロールできる
で、辛いこともある。試合も勝つこと
ある程度のテクニックを身につけてい
トレーニングゲームでは、全員が普段
てくる。
・精神的な向上も望まれる。いつも平常
こともある。サッカーも楽しい練習ば
あるからです。
経験のないポジションにもトライをさせ
ど、すべての要素の向上が必要になっ
い選手を探している。君たち自身が、
参加していたのが印象的でした。
であると思います。
ドやコンタクト、コーディネーションな
選手の中でも、もっとうまくなってい
る選手はいる。またコーチも全国の良
非常に緊張した雰囲気でトレーニングに
した。13〜15歳は持久性が高まる年代で
えると、今、エリートに入っていない
ーすることが大切。
は、テクニックが必要になってくる。
・フィジカル要素から考えても、長い距離
・君たちが19歳になったときのことを考
を走り続けることが必要となり、スピー
っている。
・なぜ試合の終了間際に得点がうまれる
のか?考えてみよう。
〜最後にもう一度「いつも笑顔を忘れな
い」〜
39
スポーツの社会科学
サッカー文化論
2.日本へのサッカーの伝来と普
及−学校の役割
このころの日本は、長い鎖国の時代を
終えて開国し、海外からさまざまな人や
文化がやってきた明治維新の時代です。
サッカーの日本伝来は1873(明治6)年、
築地の海軍兵学校でダグラス少佐とその
アソシエーションの誕生−
FAとJFA②
部下33名がフットボールを行ったときと
中塚義美(筑波大学附属高校教諭)
や1870(明治3)年創設の神戸外人クラ
されていますが、同時期に横浜や神戸な
どの港町に外国人居留地ができ、本国と
同じようにクラブをつくり、スポーツと
社交を楽しんでいました。1868(明治元
年)年創設の横浜外人クラブ(YC&AC)
ブ(KR&AC)の人々は、このころからフ
©Jリーグフォト(株)
ットボールを日常的に楽しんでいたよう
です。
サッカーの国内への普及は、こうした外
国人居留者との交流とともに、高等教育機
1.FAの誕生−サッカーとラグビー
の分岐点
す。
ン
このように、プレイしたい人が
を組織していったのです。自分にで
関の学生たちが、外国から招かれた教師や
チー
きることはすべてやった上で、できない
をつくり、それを永続的なものにす
ことを補完するためにより上位の組織を
1878(明治11)年に文部省が設立した
クラ
つくっていくという考え方( 補完性原
「体操伝習所」は、学校体育の指導者養成
の代表者が自分たちのスポーツを育
理 )は、底辺からの組織化の基本的な原
機関です。体育主任となった坪井玄道は、
から帰国した1902(明治35)年ごろから
国に赴任していった東京高等師範学校の
理です。
海外のさまざまなスポーツを積極的に紹
でした。坪井を通して欧米におけるサッ
卒業生たちの合言葉は、「全国各地にゴー
やクラブの代表者が集まり、フットボー
介し、導入しようと試みます。フットボ
カーの盛んな様子を知り、坪井が持ち帰
ルポストをたてよう!」でした。こうし
ルのルールを統一する会議が開かれまし
ールも紹介されましたが、当時行われて
った書物を通して徐々にこのスポーツを
て学校教育を通して、サッカーが全国に
た。数回開かれた会議では「ハッキング
いたのは、向かい合ってボールを蹴り合
理解し始めた学生たちのレベルは、その
広まっていったのです。
(相手のすねを蹴り飛ばす行為)」と「ラ
う「隊列フットボール」や、全員が手を
年の秋季大運動会で模範演技としてクラ
学校を通して普及していったのはサッ
ンニングイン(ボールを持って走る行為)
」
つないで輪になってボールを蹴る「円陣
ス対抗のゲームができるまでに達してい
カーだけではありません。他の多くのス
が争点となりました。ハッキングを奨励
フットボール」程度でした。
ました。
ポーツも同様でした。例えばアメリカの
ム
るために
1863年、ロンドンのパブ(Freemasons
Tavern)にパブリックスクールの卒業生
ブ
クラブ
化し、さらに
てるための基盤として
アソシエーショ
留学生から学ぶことから始まりました。
©Jリーグフォト(株)
する者はこれを「男らしさ」だと解釈し、
体操伝習所は、後に東京高等師範学校
このころ、国内で正式なサッカーの試
ホーレス・ウィルソンによって1872(明
それを禁止しようとする者は「野蛮だ」
(現在の筑波大学)に吸収されます。嘉納
合ができたのは、YC&ACとKR&ACだけ
治5)年に紹介された野球は、ハイカラ
と判断します。数回の会議の後、ハッキ
治五郎(講道館柔道の創始者で、大日本
でした。両者の交流試合であるインター
な遊戯として、初期の学生たちは気軽に
ングを禁止し、主に足でボールを運ぶル
体育協会の初代会長)が校長に就任した
ポートマッチは1888(明治21)年に始ま
取り組んでいました。それが第一高等学
ールが採用され、統括組織としてThe
1893(明治26)年ごろから、柔道をはじ
り、今日も続いていますが、日本人によ
校(現在の東京大学)において、もとも
Football Association(The FA)が誕生し
めとするさまざまな運動に興味を持つ学
る対外試合はまだ行われていません。
と彼らが持っていたエリート意識や上昇
ました。FAルールよりもラグビー校のル
生が増えてきて、1896(明治29)年には、
1904(明治37)年に行われた東京高等
ールに愛着を持つ者はこの組織を離れ、
部活動の連合組織ともいえる「運動会」
師範学校とYC&ACの試合が、日本人初の
さを求める「野球信条」が生まれます。
1871年にRugby Football Union(RFU)
ができ、その中に「フートボール部(当
対外試合です。この試合の様子が新聞紙
それは、武士的勝負観(負けるは恥)と
を設立します。サッカーとラグビーの分
時はこのように呼ばれていました)」が誕
上で取り上げられると、各地の中学校や
武士道的鍛錬主義を基盤としながら教育
岐点です。1871年にはFAカップが始まり、
生します。本格的にサッカーが行われる
師範学校から指導の依頼が続々と寄せら
的配慮を加味したものであり、ベースボ
ようになったのは、坪井玄道が欧米視察
れるようになりました。指導者として全
ールは「野球道」と化していきます。
このスポーツの大いなる飛躍が始まりま
40
©Jリーグフォト(株)
志向の影響もあり、よりまじめで、厳し
41
©AGC/JFAnews
かかりましたが、1921(大正10)年9月
「(前略)自分でできることは必ず自分
んどチームであり、だから、チームを離
らの」組織化ではなかった。21世紀のス
10日、大日本蹴球協会(現在の日本サッ
でやらなければいけない。できないこと
れた時にスポーツをする場がなくなって
ポーツ組織は、補完性の原理に基づいた、
カー協会/JFA)が誕生しました。
だけを家族の援助でやってもらおうでは
いたのである。
自立したクラブのニーズから生まれる、
学校を基盤としたすそ野の広がりがあ
ないか。家族でできることは全てやらな
継続的にスポーツに取り組みたい、ス
ったとはいえ、日本サッカーの統括組織
ければいけない。家族でどうしてもでき
ポーツで仲間を増やしたい、いろんなス
はこのように、外部からの働きかけ(FA
ないことは市町村の行政の援助を得よう
ポーツに取り組みたいと考えた時、チー
からの銀盃贈与)がきっかけとなってい
ではないか。市町村でできることは全て
ムだけではその欲求は充足されない。レ
<引用・参考文献>
ます。このような組織化は、日本の競技
そこでやらなければいけない。できない
ベルやニーズ、年令や性別の異なる集団
団体(だけでなく多くの組織)において
ことだけを県の、あるいはヨーロッパで
であるクラブが求められる。そして、ク
広く一般的に見られます(例えば日本体
は州の行政の援助を頼ろうではないか。
ラブこそ欧米のスポーツ先進国がスポー
育協会も、1912年のヘルシンキオリンピ
そこでできることは全部やらなければい
ツを育ててきた仕組みであり、日本にお
ックに日本代表選手を派遣するための母
けない。できないことだけを国に頼ろう
いて欠けていた部分である)。文化として
体となる組織として設立されました)
。
ではないか。国でできることは全部やら
のスポーツを育てる集団は、チームでは
※1)竹内至、
『日本蹴球外史』
、1991、p217
※2)
『日本サッカー協会75年誌』
、1996、p352
※3)田村正勝(早稲田大学)
、
「補完性原理と地域のア
イデンティティー」、日本スポーツ産業学会平成
8年度プロジェクト研究報告書
※4)サロン2002、
『フットサル連盟は必要か』
、1999
山本浩、
『フットボールの社会史』
、
ちくま書房、1998
『サッカー百科大事典』、大修館書店
1923(大正12)年9月、関東大震災が
なければいけない。できないことだけを
なく、クラブという単位でとらえる必要
勃発します。横浜にあった英国総領事館
EUにやってもらおうではないかと。こ
がある。
は震災のため倒壊し、4名の外交官が亡
ういう仕組みで今までの上からの統合で
さて、多様なレベルやニーズの受け皿
くなられました。副領事となっていたヘ
はなくて、下からの積み重ね、積み上げ
としてのクラブが存在し、それらが十分
こうした独特のスポーツ観は、当時も
グビー選手権大会として花園ラグビー場
ーグ氏もこの災禍にあわれ、異国にて命
方式でもって統合をしていくというのが
機能している中で、より広範囲にわたる
っとも盛んだった野球から、サッカーを
で行われています。ア式の部は首都圏へ
を落とされます。日本サッカーの恩人は
補完性原理という考え方(後略)。まず自
組織化が必要となった時にはじめて、協
はじめとするさまざまなスポーツに広が
移って全国高校サッカー選手権大会につ
数多くおられますが、JFA設立に奔走さ
立自助、そういう意味で人格形成です。
会や連盟が生まれる。個々のクラブでは
っていきました。学校間対抗戦の新聞報
ながっています)。東京で行われた「関東
れたヘーグ氏と、太平洋戦争の最中、貴
そしてそういうものが集まった地域が独
解決できない課題に直面したり、新しい
道などを通してこうしたスポーツ観は流
蹴球大会」には、英国大使館の方も来場
金属回収令のために供出され、今は存在
自の生き方をしていく、独自の文化を作
可能性を開こうと考えたとき、組織され
布され、時には増幅されながら、日本的
されました。「第1回関東大会のとき、英
しない、純銀製のFA杯のことを、私たち
っていく、そういう社会を作るべきだと
るのである。
なスポーツのあり方として定着していっ
国大使のグリーン氏が書記官のヘーグ氏
は忘れてはなりません。
いうことです」※3)。
たのです。
を伴って来場されていましたが、私たち
3.FAからの銀盃贈与と大日本蹴球
協会(日本サッカー協会:JFA)
の設立
はそれがのちに大日本蹴球協会組織の動
機になろうとは神ならぬ身の知る由もな
かったのです」(内野台嶺談※1)。「大日
本蹴球協会組織の動機」とは、翌年、英
国蹴球協会(FA)から「To
サッカーは旧制の中等学校や高等学校
で徐々に行われるようになりましたが、
4.アソシエーションとは−「補完
性原理」に基づく底辺からの組
織化を
Japan」と
い。」※4)。
しかしながら20世紀のわが国におい
て、協会や連盟は主として競技会開催を
この考えをスポーツに当てはめると、
以下のようになります。
目的とした「上からの」組織化であり、自
立したクラブが融合するといった「底辺か
©Jリーグフォト(株)
「スポーツに参加し、楽しむ単位は、
突き詰めると個人である。プレーしたい
FAとJFAの設立過程を通して、「アソ
から「する」し、みたいから「みる」。サッ
サインされた立派な銀盃が贈られてきた
シエーションとは何か」を知ることが、
カーをみたいという欲求は、チケットを
ことを指します。
この物語の狙いです。私たちは、サッカ
購入してスタジアムへ足を運んだり、テ
国際的にはまだまだ未熟なものでした。
1919(大正8)年3月20日、東京高等師
ー協会や体育協会などのさまざまなアソ
レビのスイッチをひねることで満たされ
1917(大正6)年の第3回極東選手権(東
範学校の内野教授は嘉納校長に呼ばれ、
シエーションの中で活動していますが、
る(テレビ視聴が有料化されると、契約す
京・芝浦で開催)で初めてアジアのチー
「此の度英国大使を通して、英国の蹴球協
FAとJFAの誕生物語からは多くの示唆が
ることも必要であるが、これも自分の責
ムと対戦した日本代表(東京高等師範学
会から我が蹴球協会へシルバーカップを
得られます。ここでは最後に、自立した
任で行う)。
校が参加)は、中国に0-5、フィリピンに
寄贈して来たが、日本には未だそのよう
スポーツ市民を育て、クラブを育て、そ
個人で欲求が満たされればそれでいい
2-15と大敗を喫します。この結果を受け
な組織がないから、是非此の際それを設
れらの連合体としてのアソシエーション
が、サッカーやフットサルをしたいと考
て関係者は自己研鑽に励み、翌1918(大
立せよ」との指示を受けます(※2)。FA
を育てるために、カソリックの社会理論
えたとき、個人では解決できない。なぜ
正7)年、東京・大阪・名古屋で、学校
からの銀盃贈与は、ウィリアム・ヘーグ
から生まれた考え方である「補完性原理」
ならそれは集団で行うものであり、味方
対抗の大会開催にこぎつけました。関西
氏の尽力がありましたが、かねてから内
に基づく必要があるということを改めて
と相手が必要だからである。その時点で、
で開かれた「日本フートボール大会」は
野氏と親交があったヘーグ氏は、協会設
指摘しておきたいと思います。
同じ目的を持った集団−チーム−が生ま
大阪毎日新聞社が主催し、ア式の部(サ
立の際にも、FAの規約を取り寄せて教え
ッカー)とラ式の部(ラグビー)が行わ
れました(ラ式の部は今日も全国高校ラ
42
底辺からの組織化であることが望まし
EU欧州統合の基礎理論でもあった「補
れる。誰とでもいいから「ゲームをする」
るなど、大変好意的に尽力されました。
完性原理」とは、おおむね以下のような考
だけであれば、チームだけでいい。20世
会長の依頼に難航し、設立までに時間は
え方です。
紀の日本のスポーツは、活動単位がほと
©AGC/JFAnews
43
第9回
クラブづくりを考えよう!
〜サッカーをもっと楽しむために〜
芝生が傷んだらわれわれが直せばいいの
きのクラブハウスで、プレー後に仲間と集
それが窓口の行政担当者のわれわれに対す
ですから、せっかく抽選で当たったチーム
える「場」がつくられるかもしれません。
る感想なのです、きっと。
の方々も雨で中止では残念です。4月から
行政はこれまで特定の団体への施設貸し
こちらの組織の見せ方、事業としてどう
9月までの半年で土日、祭日の貸し出しで
出しに対して「公平性」の観点から認める
かかわるのかもきちんと説明できなくては
利用を雨でお断りした日はないそうです。
ことはまれでした。しかしサッカーをはじ
いけません。プレゼン能力と言い換えても
9月の台風のとき利用者からのキャンセル
め、地域のスポーツクラブが管理主体にな
いいかもしれません。また費用のこと、事
が2日あったそうですが、それ以外に利用
ることが進み、なおかつ(サッカーに例え
業として「積算」することができるのか?
中止日はないそうです。年間を通せば間違
れば)誰でもが加入できるリーグ戦運営を
「積算」これは大きいと思います。大抵
行うことで、これまで障壁になっていた
「積算」することができればその事業のコ
「公平性」を担保にできる時代がそこまで
ア部分はつかんでいると考えてよいと思い
いなく昨年度と比べて利用日実績は向上す
るはずです。
委託料として得た資金の一部を、この夏
杉沢 幹生(NPO法人杉並アヤックスサッカークラブ理事長)
©NPO法人杉並アヤックスサッカークラブ
特定非営利活動法人杉並アヤックスサッカークラブ
ホームページ:http://members3.jcom.home.ne.jp/mikiooffice/index.html eメールアドレス:[email protected]
やって来ているはずです。
ます。
クラブの中学生チームのスロベニア・トル
NPO法人を非営利団体というだけでは
ネットワーク、これも忘れてはなりませ
コへの遠征費用にも使うことができまし
なく、新しい公共を創造するという意味で
ん。企業との提携がこれからは大事になっ
た。この遠征がスロベニアサッカー協会で
「New Public Organization」になることが
てくるはずです。自治体が求めてくるのは
の指導者研修ツアー実施(2006年1月実施
社会使命として存在します。サッカーマン
「実績」です。NPO法人にないのも「実績」
予定)にもリンクすることができました。
のわれわれがこの国のスポーツ環境を変え
です。そこを乗り越えるには「実績」があ
また、芝生管理業務がスタッフ雇用の場へ
るポジションに一番近くにいる、そんな実
る事業体と組むこと、それも解決方法の一
も視野に入ってきました。
感を持っておられる方は少なくないはずで
つかもしれません。
す。
また、最近設立されたスポーツターフ専
NPO
(Non-Profit Organization)
から
NPO
(New Public Organization)
へ
サッカー環境向上を具現化する
ためには
「想いだけではうまくいかない」のがこ
派遣で提携しているNPO法人「アリアン
門のNPO法人「日本スポーツターフ」
(ス
ポーツで使う芝生を適正な価格で施工、企
画監理、管理するNPO法人)や、指導者
なくても消耗が早く、利用可能な日数が少
ムとして地域のスポーツクラブが、スポー
郵政民営化ではないのですが、公共の施
れまでの経験で得たことです。企業の原資
テ」らとのNPO法人同士のリンクもこれ
ないため利用者や地域住民のための芝生運
ツ施設の管理に携わることができないよう
設管理を行政などしか担うことができなか
が資本だとするとNPOの原資は何でしょ
からますます重要な位置づけになるはずで
杉並アヤックスサッカークラブは東京
動場としてその機能を果たしていない現状
になっているのがこれまでだったと思いま
った時代は終わりを迎えています。しかし
うか? 共感かもしれません。
す。
23区の西に位置する杉並区で活動してい
が目の前にありました。芝生メンテナンス
す。もちろん自治体が管理させるためにつ
今までの管理主体の始末を考えて、しばら
「その環境を良くしたい!」そんな気持
ます。
の勉強を一から始めて、利用団体でもある
くったクラブや外郭団体は例外ですが…。
くは行政の外郭団体がその地域のスポーツ
ちがNPOにとっては大きな力です。あえ
地域のまちクラブとして
さてNPOとしての強み、一番の強みは
何なのでしょうか?
総合型地域スポーツクラブとしてキンボ
われわれのクラブがその芝生運動場を管理
「指定管理者制度」という言葉をまだ聞く
施設管理を続けることが予想できます。指
ていうと、クラブ内の理解者や協力者は想
これが意外にも「その地域に住んでいる
ール、ダンス教室を行いながら、メインは
することで、芝生の持っている力を発揮さ
ことがない時期でしたので、やはりサッカ
定管理者制度の導入をきっかけに動き出し
いで集まるかもしれません。しかし想いを
こと」なんだそうです。行政マンはそう見
小学生から高校生までのサッカークラブで
せたい、そう考えました。NPO法人格取
ークラブには目の前にある施設でも管理主
たこれらの再編の動きはとどまることはあ
受け入れて決断してほしい相手は、多くの
ています。これも意外に気がつかないこと
す。
得の大きな理由はそこにありました。
体になるのは不可能なのか、と一度はあき
り得ません。
スポーツ施設を抱えている自治体です。
かもしれません。
サッカークラブとして200人弱の規模は
Jヴィレッジの協力もあり、芝生メンテ
都市部では特別大きなクラブでもなく、ま
ナンスを行うノウハウを蓄積して杉並区と
しかし杉並区は行政とNPO法人などと
るこの井草森公園運動場で指定管理者にな
そんな気持ちが邪魔をすることがあるので
以上に挙げてきたことは、週末の公式試
たセレクションで子どもたちを集めている
折衝し、2002(平成14)年に早朝散水の
の協働事業推進のため、2004(平成16)
ることができれば、もっと多くのサッカー
す。空回りしているのです。自分たちでは
合の足しにはまったくなりません。いや逆
わけでもなく、ただ「サッカーがうまくな
委託事業を獲得しました。しかし管理のほ
年の夏に「協働事業提案」の募集を行い、
教室の開催や夏休み・春休みにフェスティ
気づきませんけどね。きっと行政マンから
に足を引っ張るかも…。でも明日のサッカ
りたい」「サッカーを楽しんで勝ちたい」
んの一部分であり、芝生にほんの少し近づ
われわれはこれに募集してついには選ばれ
バルの開催、ナイター照明の下で年間リー
見たら気持ち悪いのだと思います。いや怖
ー環境が良くなればそのときは…。
「仲間と一緒にサッカーがしたい」
、そのよ
いただけです。逆に「こうすれば、ああす
ることになりました。選考理由には、これ
グ運営も可能になるかもしれません。公園
いのかもしれません。「何でそんなに頑張
クラブ運営者としてはその気持ちがある
うな子どもたちと、それをサポートする指
ればもっと…」と業者の管理姿勢に疑問を
までの実績だけではなく「クラブがJヴィ
の中にクラブハウス!そうカフェテラス付
れるんだよ、お金にもならないのに…」、
と受け入れられるのです、
「今日の負け」も。
導者、保護者などが囲むクラブです。中途
強く持つようになりました。今考えてみれ
レッジをはじめ芝生メンテナンスの専門的
半端?なクラブかもしれませんね。でもこ
ば業者さんにとっては営利が本来の目的で
ネットワークを構築しており、トータルで
の日本で一番多く存在するクラブの一つな
あり、利用者が芝生の上でもっと多くの有
事業の実現性が高い」とありました。サッ
のかもしれません。
意義な時間を持つ…などと深く考えること
カー関係者のおかげでこれまでの努力が報
を求めるのは酷なのかもしれません。
われ、委託管理として芝生運動場管理を受
芝生運動場の管理に就く
管理者と利用者がはっきり切り離されて
いるのが、わが国のスポーツ施設管理の現
らめました。
歩でした。
状です。テクニカル・ニュース読者の皆さ
この春から始まった芝生メンテナンスは
ィア団体からNPO(特定非営利活動法人)
んも、サッカー環境改善を求めて施設管理
コーチスタッフをメインに中学・高校生の
法人格を取得した理由は、自治体と契約す
へ、とお考えになった方も少なくはないの
プレーヤーや保護者ファミリーで行ってい
ることで地域のスポーツ環境向上が見込め
でしょうか? 多くはその先にある自治体
ます。今までは土日の貸し出しの際、雨天
ると考え始めたからです。われわれの地域
との交渉で身動きが取れなくなる…そんな
時のピッチ利用を公園事務所は断っていた
にある井草森公園の中に天然芝の運動場が
気がします。
のですが、われわれの強い要望で大雨以外
44
われわれもまったく同じでした。システ
「俺たちはすごく良いことをしている」
託することになりました。大きな大きな一
4年前(2001年11月)に任意のボランテ
あり、そこの芝生がそれほど使い込んでい
現在われわれが委託管理業務を受けてい
では貸し出すことが原則となりました。
今春から始めた芝生メンテナンス。これにより雨天時(大雨以外)のピッチ利用も可能に。©NPO法人杉並アヤックスサッカークラブ
45
ファレンス、指導者海外研修、ナショナルトレセン指導者研修
・20ポイント:1日コース指導実践有リフレッシュ研修会、2日コ
財団法人日本サッカー協会
公認指導者登録制度
「JFA公認指導者登録制度」は、創設から1年半が経過、機関誌「テクニカル・ニュース」の創刊・発行、
公式ホームページ「JFAコミュニティ http://www.member.jfa.or」の開設など、
指導者の皆さまの活動に資する情報提供サービスを積極的に行っています。
今回はJFA基本規程(JFA newsなど参照)
・第172条に基づいた同制度の規約についてお知らせします。
ース指導実践無リフレッシュ研修会、S級リフレッシュ研修会
12 登録抹消手続き
・10ポイント:1日コース指導実践無リフレッシュ研修会
登録を抹消する場合には、本人または代理人から書面によって
・ 5ポイント:半日コース指導実践無リフレッシュ研修会
申し出るものとする。その際、登録料の返金は一切行わないこと
(3)その他のポイント
とする。
以下に該当する登録指導者は、自動的に20ポイント加算する。
ただし、以下の複数に該当していても上限自動的に加算されるポ
イントの上限は20ポイントとする。
・日本サッカー協会が認める47FAインストラクター
・日本サッカー協会および都道府県サッカー協会が認めるトレセ
ンスタッフ
・日本サッカー協会加盟チームの監督かコーチ
13 資格の失効
以下の場合、登録が抹消され資格が取り消される。
(1)公認指導者としてふさわしくない行為があったと認められた
とき
(2)登録料を納付しないとき
(3)期間内に所定のリフレッシュポイントを獲得できなかったと
10 海外居住者
き
(4)本人から書面による申し出があったとき
(1)海外に居住する場合でも登録を義務付けられるものとする。
(2)リフレッシュポイントの獲得義務はこれを免除する。
手数料として150円を納付する。
1
登録義務
(3)A/B/C級コーチは、登録料5,000円の中から500円を本協会よ
り
(財)日本体育協会に納付するものとする。
全ての有資格者指導者は、指導者登録を行わなければならない。
2
登録区分
本協会における指導者ライセンス登録区分は以下の通りとする。
(1)S級コーチ
(2)A級コーチ[
(財)日本体育協会 公認上級コーチ]
6
登録区分の変更
(上位ライセンス取得時)
登録指導者が、上位ライセンスを取得した場合の手続きについ
て以下の通り定める。
(1)本協会は、すみやかに上位ライセンスのライセンス認定証を
発行する。
(3)B級コーチ[
(財)日本体育協会 公認コーチ]
(2)前ライセンスの登録有効期間中は、上位ライセンスの指導者
(4)C級コーチ[
(財)日本体育協会 公認指導員]
登録料を追加納付せず、翌年の指導者登録料から上位ライセンス
(5)D級コーチ
の登録料を納付する。
3
登録有効期間
(1)登録有効期間は、登録手続き終了後から1年間とする。
(2)登録有効期間中に上位ライセンスを取得した場合も、有効期
間は前ライセンスの登録有効期間までとする。
(3)登録有効期間の終了する2ヶ月前(例:登録期間が、〜4月30
7
登録指導者の権利
登録指導者は以下の権利を有する。
(1)機関誌「テクニカル・ニュース」購読(2カ月ごと、原則奇数
月の20日予定)
(2)指導者専用サイト「JFAコミュニティ」の利用
日までの場合、2月末日まで)に本人から書面による申し出がない
(3)コーチ・スクエアの利用
限り、自動的に更新することとする。
(4)リフレッシュ研修会の受講(ただし、D級コーチを除く)
4
登録料
登録料は以下の通りとする。
8
リフレッシュ研修会
登録指導者(D級コーチを除く)は、リフレッシュ研修会を受
(1)S級コーチ:10,000円/年間
講することによって、指導者としてのレベルアップに務めなけれ
(2)A級コーチ: 5,000円/年間
ばならない。また、一定期間内に所定のリフレッシュポイントを
(3)B級コーチ: 5,000円/年間
獲得しなければならない。
(4)C級コーチ: 5,000円/年間
(5)D級コーチ: 3,000円/年間
5
登録料納付方法
9
リフレッシュポイント
(1)必要ポイント
・S級コーチ:40ポイント/2年間
(1)登録指導者本人が指定した金融機関から、本協会の定めた時
・A級コーチ:40ポイント/4年間
期に所定の登録料を自動引落しすることによって指導者登録料を
・B級コーチ:40ポイント/4年間
納付する。ただし、新規に指導者ライセンスを取得した場合、初
・C級コーチ:40ポイント/4年間
年度の登録料に限り主管者を通じて本協会に納付することとする。
(2)自動引落しにより登録料を納付する際には、別に自動引落し
46
(2)研修会ポイント
(3)テクニカル・ニュースの海外送付は行わず、国内の指定場所
に送付する。
14 その他
(1)既存の有資格者の登録手続き期限
2004年3月31日までに本協会公認指導者ライセンスを取得した
11 海外ライセンス取得者
(1)日本以外の国で指導者ライセンスを取得した者が、指導者登
録を希望する場合、これを認めるものとする。
(2)登録費は5,000円/年間とする。
(3)リフレッシュ研修会を受講することにより、4年間で40ポイ
ント獲得しなければならない。
指導者の登録手続きの締め切りは、2005年9月30日までとする。
それ以降は、やむを得ない事情がある場合を除き、登録するため
には再度指導者ライセンスを取得しなければ登録できないものと
する。
(2)旧公認準指導員から公認C級コーチへの移行手続き
2004年3月31日時点の本協会公認準指導員は、公認C級コーチに
移行するために2005年3月31日までに指定のレポートを提出し、
受理されなければならない。
期日までに指定のレポートが受理されない場合、ペナルティと
して登録してから最初の4年間に限り取得すべきリフレッシュポイ
ントを40ポイントに20ポイント追加し、60ポイントとする。
公認指導者登録制度について、良くあるご質問
[Q]住所変更はどうやってするの?
[A]指導者ご自身に行っていただきます。手順は以下の通りです。
①日本サッカー協会オフィシャルホームページ http://www.jfa.or.jpに
アクセスします。
▼
②トップページ左側の『WEB登録』→『指導者登録』をクリックすると、
『Kick Off』画面が出てきます。
▼
③『Kick Off』画面の『指導者』をクリックし、ご自身の『指導者登録番
号』と『パスワード』を入力するとログインできます。
▼
④ログインすると、指導者ご自身の「指導者トップページ」画面が出て
きますので、画面左側の『基本情報』をクリックしていただくと、ご
自身の情報が出てきます。
▼
⑤ご自身の新しい住所を入力します。
[Q]パスワードを忘れてしまったのですが・・・(もしくは初回パス
ワードをなくしてしまった)
[A]Web画面でご自身に確認していただきます。手順は以下の通りで
す。
①日本サッカー協会オフィシャルホームページ http://www.jfa.or.jpに
アクセスします。
▼
②トップページ左側の『WEB登録』→『指導者登録』をクリックすると、
『Kick Off』画面が出てきます。
▼
③『Kick Off』画面の『指導者』をクリックすると、画面下に『パスワー
ドを忘れた方はこちら』が出てきます。
▼
④画面下に『パスワードを忘れた方はこちら』をクリックし、必要事項
を入力し、パスワードを再発行してください。
▼
⑤そこでも再発行できない場合は、初回パスワードを再発行いたします
ので、
「パスワード再発行」画面の下にある <「秘密の質問」や「秘
密の答え」を忘れた、メールアドレスを変更した等で、パスワードの
再発行ができない方はこちら> をクリックしてください。
▼
⑥「登録指導者用サイト パスワード再送付申請」に必要事項をご記入
の上、FAXにて申請してください。
[Q]リフレッシュポイントは付いているのか・・・
[A]2004年度に受講したリフレッシュ研修会のポイントが、2005
年7月よりWeb画面上で確認できるようになりました。
①『Kick Off』
『指導者』にログインすると、指導者ご自身の「指導者ト
ップページ」で必要総数ポイント、累積ポイント、必要残りポイント、
ポイント獲得期限が確認できます。
②JFA加盟登録チーム指導によるポイント化は、
「基本情報」→「リフレ
ッシュポイントの確認・申請」→「JFA加盟登録チーム指導によるポ
イント化はこちら」から、チームの登録番号を入力し、ポイントをつ
けることができます。
・40ポイント:2日コース指導実践有リフレッシュ研修会、カン
47
審判員と指導者、
ともに手を取り合って・・・
C O O R D I N A T I O N
B E T W E E N
T H E
F I E L D S
O F
R E F E R E E I N G
A N D
技術委員会の講義を受けた受講生の反応(最終回) カレッジマスター 小幡 真一郎
© Jリーグフォト㈱
テクニカルニュースvol.8からお伝えして
プレーの精神やサッカーの楽しさを理解さ
じている。
せるように努める義務があると思う。その
ためにはグリーンカードを積極的に使用し、
・本当のサッカーの楽しさを引き出してい
きた「技術委員会の講義を受けた受講生の
1人制審判によってサッカーの精神を伝える
けば、自然と日本代表のレベルアップにつ
反応」
。今号はその最終回です。
ことをしなければいけない。これらは、指
ながるはずだ。レフェリーを行うというこ
導者の理解と協力があればさらにうまくい
とは、任された試合をコントロールすると
くと思う。
ともに、サッカー全体のレベルアップをレ
・レフェリーは予測ができなければ今のサ
ッカーに対応できないので、ゲームを読む
力、戦術を即座に読み取る力を身につけて
磨いていきたい。
フェリーの立場からサポートすることだと
〜技術と審判の協調において心掛
けていること
キッズドリル紹介
©横浜F・マリノス
T E C H N I C A L
JFAレフェリーカレッジ「トップレフェリー
[主審]養成コース」
〜学んだこと、考えたこと
連 載 第 5 回
思う。
・技術と審判の考えや見方が違うというこ
・サッカーは基本的に手や腕を使ってはい
・オープンマインドを心掛けたい。レフェ
とが明確になった(そんなに簡単に一致し
けないスポーツです。ただ、自分のプレー
リー観だけでなく、サッカー観を持ったレ
ないということも含めて)
。ただし、JFA技
エリアを確保するために手や腕でブロック
フェリーであり続けられるように、試合後
術委員会がレフェリーと協力してやってい
しているのか、相手にプレーさせないため
に両監督に謙虚な姿勢で話を聞くようにし
く必要性を感じていることは自分としても
に手や腕を使っているのかを見極めたい。
ています。悪いものに対しては悪いと伝え
うれしいことだと感じた。
■動きづくり系
ラダーでじゃんけん
ルール
◆ラダーをステップで進む
◆じゃんけんをして「勝ち」で進む
終了地点到着で1点
◆時間で競争
◆ステップの種類は、1歩、2歩、片足、
グーパーなど
じゃんけんをする/©横浜F・マリノス
勝ったらラダーを進む/©横浜F・マリノス
2人で手をつなぐ/©横浜F・マリノス
コーチが合図したら一人になる/©横浜F・マリノス
■オニごっこ系
お助けオニごっこ
ルール
◆2人で手をつないでいるとつかまらない
◆追われている人を助ける
◆時間で競争。最後のオニにならないよ
うに
※コーチが合図したときには1人になる
ることも大切であり、率直に意見を言い、
・ヘディングの競り合いについても、重心
自分の今後のレフェリングに生かしていき
・レフェリーはレフェリーだけをやってい
が移動して相手競技者と接触しているのか、
たい。そして、地元でも技術と審判の協調
ても、うまくならないと考えるようになっ
重心の移動なしで(ただ立っているだけ)
、
を働きかけ、試合以外の場所でパネルディ
た。自分のトレーニングと兼ねて、コーチ
手や腕で押しているのかを見極めたい。
スカッションのような意見交換ができるよ
として母校にサッカーを教えに行っている。
うにしたい。
そうすると、戦術やポジショニングについ
・笛の使い方、特に余計な笛を吹かないこ
て考えるようになり、何をされたら選手は
とを心掛けています。不要な笛は選手がフ
・トップだけを強化しても日本全体はレベ
不快に感じるのか(ファウルなのか)
、どこ
ラストレーションを高めることにつながり
ルアップしない。自分たちも地元に帰った
まではファウルと思っていないのかという
やすいので、言葉掛けや表情を大切にした
ときに地域の指導者、審判員と意見交換し、
ことが少しずつ分かるようになってきた。
い。
地域がレベルアップするためにどのような
何をしたらファウルなのかなど、練習を通
ことが必要なのかを考えていかなければい
じて教えていくとファウルを多くする選手
けない。自分たちにはその責任があると感
はいなくなった。
・育成年代において、レフェリーはフェア
48
■ボールフィーリング系
ボールでコーン倒しゲーム
ルール
◆コーン倒しチームと、起こしチームに分かれる
◆時間で競争。コーンの数で勝ち負けを決める
コーン倒し、起こしチームで競争/©横浜F・マリノス
田中 豊(Jリーグアカデミーキッズ部会/横浜F・マリノス)
49
2.2次試験
2次選考試験は男女ともに、9月23日か
ら25日までの2泊3日で、Jヴィレッジで
ンスを見て、総合的に判断され結果が出
決能力を評価するのですが、リーダーシ
されました。高いレベルの選手が多く、
ップや発想力やコミュニケーション能力
1次選考試験にも増して難しい選考でし
などを見ることができました。
た。
男子は、Jヴィレッジの近くにある木戸
2次選考試験は、1次試験よりも長い2
泊3日ということもあり、子どもたちは
ょう)や網漁(あみりょう)や孵化場
女子は202人の中から80人(小6:23人、
最初は戸惑いが見られましたが、すぐに
(ふかじょう)なども訪問し、鮭のつかみ
中1:20人、中2:17人、中3:20人)が難関
友達ができ、楽しい雰囲気でJヴィレッジ
どりも体験しました。保護者も参加し、
を突破し、2次選考試験に参加しました。
での生活を過ごしていました。2次試験
ともに楽しいひとときを過ごしました。
試験当日は、台風の影響で徐々に風雨
に不合格となったご父兄からご連絡をい
ピッチ上では主にゲームを中心とした
がひどくなり、スケジュールや試験会場
ただき、「結果は残念でしたけど、子ども
テストを行いました。1次2次ではさほど
の調整を余儀なくされました。選手たち
にとっては非常に良い経験になりました。
目立たなかった選手が3次試験では頭角
には厳しいコンディションとなりました
これからもサッカーを頑張ると言ってい
を現すなど、この時期の子どもたちは何
が、その中でどのように技術を発揮して
ます。ありがとうございました」という
かの要因で大きく変化することが実感で
いるかを見ることもでき、参考となりま
ようなお電話を何度かいただきました。
きました。
した。
本当に、救われる思いでした。
2次試験では、男子は論理的コミュニ
ケーションスキルのテストを行いました。
経過報告〜Part3〜
3.最終試験
方が変わったというお話が結構ありまし
ついに来春スタートするJFAアカデミー福島の合格者が決定しました。
全国から将来性の高い選手が多く集まり、非常に困難を極めた選考でしたが、
3次試験までさまざまな角度から子どもたちを見ることができ、良い選考ができたのではないかと思います。
前号では1次試験だけの報告でしたので、本号は、その後に行われたフランスサッカー協会との調印式や
2次および3次(最終)試験の様子について報告いたします。
1.フランスサッカー連盟との
パートナーシップ協定締結
いよいよ最終試験となりました。男子
た。年齢に関係なく、しっかりとした思
は34人、女子は40人(小6:15人、中1:9
努力の結果、変化が表れたのだと思いま
考力や文章力を持っている子は、全体を
人、中2:9人、中3:7人)が参加し、11月3
す。また高いレベルの子とサッカーをす
通してグループの中でもリーダーシップ
日から6日まで、2次試験よりも長い3泊4
ることでサッカーもより楽しくなり、集
をとっていたように思います。
日、場所は同じJヴィレッジで行いました。
団生活の中で友達もでき、アカデミー入
最終試験は2次試験とうってかわり、
学の思いがますます強くなっているとい
首のレントゲン撮影による骨年齢検査を
秋晴れの爽やかな天候に恵まれ、スケジ
行い、現在のパフォーマンスを見る上で
ュールも順調に消化することができまし
の参考にしました。
た。
い刺激を受け、この1カ月間だけでも、
う感じを受けました。
以上のように、3泊4日で、今までと違
ったパフォーマンスやパーソナリティー
フィジカルテストでは、持久走とシャ
3次試験の特徴は面接です。保護者と
が発見でき、また子どもたちにとっても
トルランを行いました。持久走はVMAテ
本人への面接を行いました。保護者の方
さまざまな経験ができた、良い試験だっ
スト(有酸素性最大スピードテスト)を
は、JFAアカデミーの方針や内容に共鳴
たと思います。
行いました。突出した持久力を持ってい
していただいており、子どもの夢の実現
最終試験に参加したすべての子にアカ
る選手も数人いました。この年代の持久
をサポートしてあげたいという思いが強
デミーに入学してほしいのですが、当初
力が、成長やトレーニングによって今後
く感じられました。ただやはり思春期に
の計画通り最終合格者を決めなければな
どのように変化していくのかは非常に興
親元を離れる不安を持っておられる方は
りません。2次試験以上に難しい選考と
味深いところです。
多く、その不安を解消できるように、メ
なりましたが、試験官の意見を集約し、
サッカー面では、スキルテストとゲー
ンタル面や生活面のサポートを町や学校
最終的な結果を出しました。
この協定は、JFAアカデミー福島にと
ム(8対8、11対11)を行いました。選手
と連携し、しっかりと行っていかなけれ
最終試験の最後に、デュソー氏や試験
って、非常に意義深いものです。INF元
たちは悪天候にもかかわらず、元気に走
ばならないということを再度認識しまし
官らが子どもたちに話しをしてくれまし
た。
た。
「これで不合格になったからといって、
校長のクロード・デュソー氏のJFAテク
り回り、高いパフォーマンスを見せてい
2005年9月15日、フランス・パリにお
ニカルアドバイザー就任だけでなく、選
ました。
いて、フランスサッカー連盟(FFF)と
手のフランス遠征や指導者の海外研修な
日本サッカー協会(JFA)との間で、2つ
どが今まで以上に活発に行われ、選手や
のパートナーシップ協定が締結されまし
指導者のレベルアップにつながるものと
た。それは、フランスと日本の両国にお
期待しています。
けるサッカー発展のための総合的なパー
またこの調印式に合わせて、福島県は
トナーシップと、JFAアカデミー福島と
佐藤知事やアカデミーに関係する町の自
FFFの育成機関であるINF(男子部門)と
治体・学校関係者らによるフランス視察
CNFE(女子部門)とのパートナーシッ
団を結成し、INFやCNFEがあるナショナ
プを目的とする協定です。
ル・トレーニング・センター(クレール
その調印式には、JFAから川淵三郎キ
フォンテーヌ)と彼らが通う中学、高校
ャプテン、平田竹男GS(ジェネラルセク
などを非常に熱心に視察されました。福
レタリー、)田嶋幸三技術委員長、福島県
島県や町からの支援・協力はJFAアカデ
から佐藤栄佐久知事、またFFFからはエ
ミー福島にとって欠かせないものです。
スカレット会長やミッシェル・プラティニ
この視察では「アカデミーをより良いも
氏(FIFA理事)らが出席し、両会長と佐
のにしていこう」という思いが感じられ、
藤知事によって協定書に署名されました。
心強く思いました。
50
た。高いレベルの子に接することで、強
は、作文による文章力の試験を行いまし
またメディカルチェックとして、左手
JFAアカデミー福島
保護者の話の中では、2次試験に行っ
て、子どものサッカーに対する打ち込み
小6から中3までと年齢の幅がある女子
JFAアカデミー福島3次試験より©AGC/JFAnews
川の鮭のヤナ場を訪れ、鮭の溯上(そじ
行いました。男子は456人の中から64人、
JFAとFFFのパートナーシップ調印式より。
左より平田竹男GS、川淵三郎キャプテン、エスカレットFFF会長、
佐藤栄佐久・福島県知事。
調印式にて握手を交わす川淵キャプテンとエスカレット会長
また女子ははじめに、茨城県にある筑
サッカーをやめないでほしい。代表への
以上のように、2次選考試験では、ピ
波大学の野性の森でASEを行いました。
道はいろいろなところで開かれている。
ッチ内外でさまざまな試験を行いました。
これは平坦な森の中のフィールドアスレ
あきらめないで頑張って、そしてサッカ
この中から約半分の選手が最終選考試験
チックのような設備を使い、小グループ
ーをたくさん楽しんでほしい。
」
に進みました。1次選考試験の結果と合
で課題を解決するゲームのようなもので
心からそう思い、願います。
わせ、多方面からのデータやパフォーマ
す。これにより、小集団における課題解
JFAアカデミー福島3次試験より©AGC/JFAnews
JFAアカデミー福島3次試験にて、子どもたちに語りかけるクロード・デュソー氏 ©AGC/JFAnews
51
1.ウォーミングアップ
【ルール&オーガナイズ】
(1)
(1)ドリブル・フェイントドリル
2005ナショナル
トレセンU-12
東海、北信越、
東北、北海道でスタート
●1人ボール1個、コーチの合図で決められた
フェイントを反復する
① インサイドシザース
② インサイドタッチ
③ アウトサイド → ソール
④ アウトサイドタッチ
⑤ インサイド → アウトサイド
(2)
(2)ジグザグドリブル
●コーンの間をドリブル
① インサイドタッチ
② アウトサイド → ソール
③ アウトサイドタッチ
④ インサイドタッチ → アウトサイドタッチ
KEY FACTOR
●大きな動作(バランス・スムーズな足の運び)
●両足をスムーズに使う
●次のプレーに移れるところにボールを置く
ウォーミングアップの目的である身体の準備をするとともに、ト
2005 NTC U-12東海より © AGC/JFAnews
日本サッカーが世界のベスト10入りを目指すために取り組んでいるユース年代の強化・育成。
その中心的施策であるナショナルトレセンU-12が(NTC U-12)が全国に先駆けて、東海、北信越、東北の3地域で
10月7日〜10日、北海道で10月14日〜17日に実施されました。
今年度のナショナルトレセンU-12のテーマは、
「やりたいことが自由自在!〜失敗を恐れずに積極的にチャレンジしよう〜」
。
参加した選手たちは クリエイティブでたくましい選手 を目指すためトレーニングに励みました。
その中からテーマ1をとり出して解説します。
レーニングの狙いであるボールコントロールを、ドリル中心のメニ
ューで身につけていきます。また、大きな見せかけの動作の獲得に
もチャレンジしていきます。新しい動作の獲得をしていくときには、
はじめから顔を上げることは難しくなります。それを踏まえてトレ
ーニングしましょう。
ドリルトレーニングにおいては、特定の技術のみを取り出して集
中的にトレーニングできる、また多くの人数のプレーヤーを把握し
ながら個別の働きかけもできるというメリットがあります。その反
面、試合をイメージしにくく、惰性になりやすいというデメリット
2005ナショナルトレセンU-12テーマ(抜粋)
2005ナショナルトレセンU-12関東
やりたいことが自由自在!
〜失敗を恐れずに積極的にチャレンジしよう〜
F
P
ドリブル・フェイント
パス&コントロール
〜ゴールへのしかけ・・・〜 〜浮いたボールのコントロール・・・〜
スクリーン・ターン
〜コンタクトスキル・・・〜
フィニッシュ
〜ボレー・ヘディング・・・〜
2005ナショナルトレセンU-12地域開催〜今後の予定
期間:2005年12月23日(金・祝)〜26日(月)
場所:時の栖(静岡県裾野市)
選手数:120名
G
K
基本技術・
戦術の導入
スキルスマート/コーディネーショントレーニング/GKトレーニング
2005ナショナルトレセンU-12関西
期間:2005年12月23日(金・祝)〜26日(月)
場所:ビックレイク 野洲川歴史公園サッカー場(滋賀県守山市)
選手数:80名
もあります。指導者は、プレーヤーに対して質を追求することや、
褒めたり励ましたりとポジティブな働きかけをするなどで、デメリッ
トの部分を軽減させていきましょう。また、何よりも、良いデモンス
トレーションを見せることがトレーニング効果を上げていきます。
大きな動作を要求することで、どうしてもバランスを崩してしま
う子どもや、成長期の子どもに対して、負荷が強すぎる場合は課題
2005 NTC U-12東海より ©AGC/JFAnews
を軽減して行いましょう。
2005ナショナルトレセンU-12中国
■クリエイティブでたくましい選手育成のために
クリエイティブなプレーをするためには、自分で周囲の状況(味方・相手・ボ
ール・スペースなど)を「観て判断する」ことが大切です。ボールを扱うのにス
トレスを感じていては、ボールから顔が上がらず、周囲の状況に気を配る余裕が
できません。また、体力差が顕著なこの年代では、スピードと力で相手を凌駕
(りょうが)できる選手がいて、ゲームでもそのような戦略で勝つことができる年
代です。ゴールデンエイジと言われるこの時期にこそ、サッカーのゲームを楽し
むために必要なあらゆる技術を身につけ、ボールを自由自在に扱うことができ、
それを状況に応じて思い通りに発揮できるようになることを目指します。そのた
めにも、失敗を恐れずにチャレンジする姿勢を大切にしていきます。
期間:2005年12月25日(日)〜28日(水)
場所:広島広域公園ビックアーチ(広島県広島市安佐南区)/25日〜27日
広島広域公園補助競技場(広島県広島市安佐南区)/28日
選手数:40名
2005ナショナルトレセンU-12四国
(3)対面ドリブル
① お互いにドリブルで近づき、同じタイミングで
フェイントをかけて抜けていく
期間:2005年12月22日(木)〜25日(日)
場所:春野総合運動公園球技場(高知県吾川郡春野町)
選手数:48名
1)マシューズ
2)アウトサイドシザース
2005ナショナルトレセンU-12九州
3)インサイドタッチ → サイドステップ
期間:2005年12月26日(月)〜29日(木)
場所:大津町運動公園(熊本県菊池郡大津町)
選手数:80名
4)インサイドタッチ → アウトサイドシザース
② ボールを手で持って歩いてくるDF(
テーマ1「ドリブル・フェイント」
今回はテーマ1「ドリブル・フェイント」にフォーカスして、トレーニングの内容に沿って、トレーニン
グの具体的な狙いや留意点、コーチング法などを見ていきましょう。
①
②
)に
フェイントをかけて抜けていく
O
P
T
I
O N
KEY FACTOR
攻撃側はフェイントの指定なし、
守備役は走ったり、止まったりなど変化を入れる
●観る(相手の動き・間合い) ●スピードのコントロール
●大きな動作 ●次のプレーに移れるところにボールを置く
●両足をスムーズに使う
トロールしながら、フェイントやステップワーク、スピードやア
身につけてきた技術や動作を試合の中で使えるようにしていくた
相手、いろいろな動きをしてくる相手へと変化させることによって
相手の対応をしっかり観ながら、スピードやアングルの変化を
ングルの変化で相手を抜いていくことの必要性に働きかけていき
めに、ここでは、顔を上げて相手の動きや間合いを観ながらドリブ
使い、左右どちらでも抜いていけるフェイントやステップワーク
ます。また、今回のトレセンのテーマには、守備が入っていませ
ルすることにも働きかけていきます。
■テーマ1「ドリブル・フェイント」
〜ゴールへのしかけ・・・〜
現段階で、フェイントやステップがなくても相手をかわしていけ
る早熟の選手やスピードのある選手に対しても、スピードをコン
を獲得することを目指します。そして、相手の対応に対して大き
んが、このテーマにおいても攻撃の質をより良くするために守備
な見せかけの動作で積極的にしかけていくことも促していきます。
への働きかけはしていきます。
52
相手(守備者)の動きに変化をもたせて、その変化を観て技術を
上がってきます(漸進性)
。
スピードを上げすぎてボールコントロールを失敗するプレーヤー
や相手の変化を観ていないプレーヤーをよく観察しましょう。
発揮していくようにします。課題は、止まった相手から歩いている
53
2.トレーニング 1対1の攻防
【ルール&オーガナイズ】
●攻撃側は2つのゴールを目指す
●攻撃側が守備側にボールを触られるか、ボールが外に出てし
まったらすぐに守備に入る。同時に逆のチームが攻撃を始める
●シュートはシュートエリアに入ってからうってよい
●攻撃のスタート位置を途中で交代する
●観る(相手の動き・間合い) ●スピードのコントロール
●大きな動作 ●アングルの変化 ●ゴールへの意識
●最後まであきらめない守備(スライディングなど)
このトレーニングのルールから分るように、サッカーに必要な
「ボールを取られたら取り返す」という要素がここでは抜けています。
しかし、守備がいろいろなところからスタートして来る状態をつく
課題とする現象が出にくいときは、オーガナイズの変更も必要に
なってきます。コートの大きさやゴール間の距離の調整、守備に対
しての働きかけなど、必要に応じて変化をさせていきましょう。
りました。攻撃はそれぞれ違うスタート位置からの守備を観てドリ
1対1の攻防ということで、守備に対しての働きかけも行っていき
ブルにプランを持ってゴールに向かうことになります。また、プレ
ます。最後まであきらめないということ、スライディングタックル
ーヤーの反復回数も確保されます。指導者は目的に応じてトレーニ
ができなくて簡単にゴールを許している場合は、それを取り出した
ングのプランニングを考えることが必要です。
トレーニングも行いましょう。
3.トレーニング 2対2+GK
【ルール&オーガナイズ】
●ボールがゴールラインを超えたら守備側は交代し、新たな攻
撃側の選手がゴールの横とオフサイドラインから出てきてス
タート(ボールはゴール横からドリブルかパスでスタート)
、
攻撃していた側の選手はそのまま守備に入る
●タッチラインを超えたら味方のゴールラインからのパスでプ
レーを続行する
※タッチラインを出たら、ルールが把握できるまでコーチから
配球する
●攻撃の優先順位
●積極的なしかけ
(観る・スピードコントロール・大きな動作)
●ゴールへの意識 ●最後まであきらめない
オフサイドライン
オフサイドライン
実際のトレーニングでは、コートを広めに設定して、ドリブルでし
かけていく場面を多くつくり出すようにしました。
(横25m・縦35m)
スペースがあってもしかけないでパスばかり選択してしまうプレ
ーヤーや自分たちのプレーするスペースを狭くして効果的な攻撃が
できていなければ、そこに対しての働きかけが必要になってきます。
失敗を恐れないでドリブルで抜いていくことへのチャレンジを促し
ていくことが大切です。
4.ゲーム 4対4+GK
2005 NTC U-12東海より © AGC/JFAnews
まとめ
●ポジショニング
●積極的なしかけ
(観る・スピードコントロール・大きな動作)
●ゴールへの意識
トレーニングは、指導する側にとっても指導される側にとって
も分かりやすくすることが大切です。トレーニングの課題を少し
ずつ上げていくことや、はじめにゲームを行いそこで課題を確認
トレーニングで行ってきたことをゲームで試してみましょう。こ
し最後にまたゲームを持っていく(M-T-Mメソッド)などの方法
こでも自分たちのプレーするスペースを狭くして効果的な攻撃がで
を使い分けていきましょう。特にこの年代では、場の設定(オー
きていなければ、ポジショニングにも働きかけていきましょう。
ガナイズ)でテーマを自然に獲得できる環境をつくり、子どもた
1対1の場面を多くつくり出すために、指導者は守備の選手を呼
び込んで攻撃選手に配球するなどの工夫が必要です。
54
ちの自主性・発想を大切にしながら、判断に働きかける指導を心
がけていきましょう。
2005公認S級コーチ養成講習会
山口隆文(JFA技術委員/JFAナショナルトレセンコーチ 指導者養成チーフインストラクター)
今回は、JFAが認定する、指導者資格の最上位ライセンス
「公認S級コーチ養成講習会」の内容を紹介します。
ョナルトレセンチーフコーチ)が中心で進めているが、この公認S
JFA技術委員会の総力を結集した講習会
「公認S級コーチ養成講習会」
級コーチはJFA技術委員会が総力を上げた講習会と位置付けており、
今年度の講習会でもジーコ日本代表監督はじめ、大熊清前U-20日本
「公認S級コーチ」はJリーグ発足に伴い1992年に創設。当時指導委
代表監督、吉田靖U-18日本代表監督、城福浩U-15日本代表監督、大
員会委員の田嶋幸三氏(現JFA技術委員長)が中心になり、2年目か
橋浩司なでしこジャパン監督や各JFAナショナルトレセンコーチが
らは小野剛氏(現サンフレッチェ広島監督)が加わり、筑波大学大
講義を担当している。
学院(茨城県つくば市)と共同で内容が整備された。そのときのプ
ご存知のようにこの「公認S級コーチ」は、Jリーグの監督に義務
ログラムが現在のプログラムの原型になっている。
付けられたライセンスであるが、プロのチーム、選手を指導するだ
現在では、東京都豊島区にある三菱養和会の協力でグラウンドが
けの資格ではなく、日本のサッカー指導者のリーダー的人材の育成
提供され、実技は三菱養和巣鴨グラウンドで、講義は筑波大学大塚
を目的としている。
校舎(東京都文京区)やJISS(国立スポーツ科学センター/東京都
2004年度末までに183人が養成され、Jクラブでの指導、JFAにお
北区)で実施している。
ける選手強化育成、指導者養成のリーダー、各地域における選手育
2005年度のインストラクターは、山口隆文、須藤茂光(JFAナシ
成強化のリーダーとして活躍している。
■基本情報
■カリキュラム構成
主催・主管 (財)日本サッカー協会、(社)日本プロサッカーリーグ
受講資格
下記事項のいずれかを満たす受講希望者の中から、JFA技術委員会
において選考、同理事会において決定。
(1)公認A級コーチで、公認A級コーチ養成講習会(旧公認B級コーチ
養成講習会)時に成績優秀であり、かつ指導実績をJFA技術委員
会が認めた者
(2)日本代表国際Aマッチに20試合以上出場、もしくはJリーグ公式戦
200試合以上(海外プロリーグ公式戦含む)出場している公認B級
コーチで、公認B級コーチ養成講習会(旧公認C級コーチ養成講
習会)受講後1年以上の指導実績を有する者
(3)技術委員会が特に認めた者(海外におけるライセンス取得者等)
定 員
20名(2005年度予定)
認 定
すべてのコースを修了した者の筆記試験・指導実践・口頭試験・レ
ポートなどを総合的に判断し、JFA技術委員会において審査、同理
事会において認定。
受講料
250,000円(国内短期講習会宿泊費・検定費用含む/2005年
度) ※会場までの交通費、集中講習会の宿泊費、インター
ンシップに係る費用はコース受講料には含みません。
コーチング
能力講習
【カリキュラム】指導実践、
プロフェッ
ショナル・スポーツ戦略論、
プロフェッ
ショナル・コーチング論、アセスメント、
Jクラブ・
トレーニング視察、
日本代表・
Jリーグ試合視察・
トレーニング科学
国内短期講習会
6日間
コミュニケーション
能力講習
国内集中講習会
11週間
マネジメント
能力講習
月〜木 11週間
約3ヵ月
指導実践試験
4日間×2回
(18日間)
4日間
インターンシップ
3週間
【カリキュラム】ディベート講習、
コミュ
ニケーションスキル講習、
トレーディン
グゲーム、
プレゼンテーションスキル実
習
【カリキュラム】スポーツ社会学(メデ
ィア論)、モチベーションマネジメント
論、
プロフェッショナルスポーツ規約・
契約論
「国内短期講習会」
「国内集中講習会」で培
ってきた指導実践に関する能力の評価を行う
原則、定められた期間内に海外プロクラブ(2
週間以上)、Jクラブ(1週間以上)の実地研
修を行う。修了後、
レポートを提出。
■2005年度公認S級コーチ養成講習会カリキュラム 第7週例
10月16日(日)
10月17日(月)
午前
9:30〜12:00
10月18日(火)
10月19日(水)
10月20日(木)
実技⑮
三菱養和グラウンド
実技⑯
三菱養和グラウンド
実技⑰
三菱養和グラウンド
昼休み
コンディショニング実習
プロフェッショナルスポーツ
講義・実技 「筋力」
戦略論③ゲーム分析
松田直樹(JFAフィジカルフィット
受講生Cグループ(ジェフ担当)
ネスプロジェクトメンバー)
5
14:00〜15:15
6
15:30〜16:45
7
18:20〜19:35
8
19:45〜21:00
Jリーグ
「千葉vs横浜FM」
視察・分析
(集合14:30、kick off 15:00、
フクダ電子アリーナ)
コンディショニング実習
講義・実技 「筋力」
松田直樹(JFAフィジカルフィット
ネスプロジェクトメンバー)
プロフェッショナルスポーツ
コーチング論
吉田靖(U-18日本代表監督)
プロフェッショナルスポーツ
審判との連携
規約・契約論
小幡真一郎
山口隆文
(JFAレフェリーカレッジマスター)
(S級チーフインストラクター)
トレーニング視察
川崎フロンターレ
(麻生グラウンド14:15集合)
※17:00〜17:30に解散予定
高度競技マネジメント論
JFAテクニカルスタッフ
和田一郎
(日本代表テクニカルスタッフ)
高度競技マネジメント論
JFAテクニカルスタッフ
和田一郎
(日本代表テクニカルスタッフ)
55
チ)
、早川直樹氏(日本代表アスレティックトレーナー)はじめジュ
1.コーチングスキル向上を目指す講習
ビロ磐田フィジカルコーチの菅野淳氏など、現場で活躍している
(1)プロフェッショナルスポーツ戦略論
お互い妥協のない意見交換の中から、自分のコーチングを高める
ためのヒントを探る作業をしていく。
方々に講義、実技ともお願いしている。
試合におけるさまざまな条件、状況を考慮しながら、どのように
プロチームの監督として、選手のコンディショニングをどうコン
戦うのか、また戦ったのかを、事例をもとに討議していく講座。
トロールするかが大きな課題である。Jクラブの現場では専門のフィ
2005年度はJリーグ3試合、日本代表戦1試合を観戦・分析し、担当
ジカルコーチがいるものの、監督は彼らの仕事を正しく評価し、コ
グループが分析結果を編集ビデオ・パワーポイントなどにまとめて
ントロールしていかなければならない立場である。だからこそ正確
20分間の発表。その後にディスカッションを行う。
な知識が必要不可欠である。
2005年9月11日の鹿島アントラーズvs川崎フロンターレ戦の分析
講義・実技内容は以下の通りである。
では「監督の選手交代の采配」がディスカッションの中心的テーマ
になった。2004年ポルトガルで行われた欧州選手権準々決勝・ポル
トガルvsイングランドでのポルトガル・フェリペ監督の選手交代時
に見せた攻撃的采配の例、リバプールが優勝したUEFAチャンピオ
ンズリーグ決勝時のベニテス監督のシステム変更・選手交代の意図
コンディショニング実習の内容
1.コンディショニングの考え方
2.体力測定の実際と活用
3.持久力トレーニング
4.スピードトレーニング
5.筋力強化トレーニング
6.コーディネーショントレーニング
7.環境ストレスマネジメント
8.総括・期分けとコンディショニングの実際
なども引き合いに出され、ビデオを見ながら活発なディスカッショ
ンが行われた。
2005年10月16日のジェフユナイテッド千葉vs横浜F・マリノス戦
では、中心的ディスカッションテーマが、
「ストライカー」になった。
②北京オリンピック時において反日騒動はおきるか否か
①アタッキングサードでの1対1突破の改善
②ディフェンディングサードでの1対1(ボールを持っている相手に対しての)
守備の改善
③オフ・ザ・ボールのしかけの改善
④ボールを持っていない選手に対する守備の改善
⑤クロスからフィニッシュの改善
⑥クロスに対する守備の改善
⑦パス&コントロールの改善
⑧プレッシャーの中でのフィニッシュの改善
⑨中盤で積極的にボールを奪う守備の改善(ボールを中心にした守備)
⑩ビルドアップの改善(GKを含む)
⑪CFを使った攻撃(崩し)の改善
⑫ボランチを含んだ最終ラインの守備の改善
⑬サイドを使っての有効な突破の改善
⑭カウンター攻撃の改善
⑮積極的に攻撃に行きながらも、カウンターを受けない守備の改善(0-1で負
けているときに点を取りに行っている状況)
⑯リトリートした守備に対する攻撃
(5)Jリーグトレーニング視察
自分のコーチングを振り返るために、実際のJクラブのトレーニン
ガンバ大阪の大黒将志、ジェフユナイテッド千葉の巻誠一郎の分析
グを視察。
ビデオを観ながら、彼らのストライカーとしての特徴を分析、若い
今年度はジェフユナイテッド千葉、イビチャ・オシム監督と川崎
選手にどのようなトレーニングをさせるべきかなど有意義なディス
フロンターレ、関塚隆監督のトレーニングを視察。両監督からのト
カッションが行われた。
コンディショニング実習の模様
2005 J-League Division1 Data
G大阪
アラウージョ
川崎
ジュニーニョ
新潟
レーニングやコーチングに対する考え方を聞くことができた。
(4)指導実践
第26節終了時点
チーム別上位得点者
エジミウソン
鹿島
アレックスミネイロ
広島
佐藤寿
大分
マグノアウベス
C大阪
西澤
名古屋
中村
清水
チョ ジェジン
磐田
前田
横浜
大島
大宮
クリスティアン
千葉
巻
F東京
ルーカス
東京
ワシントン
浦和
田中達
柏
クレーベル
神戸
三浦淳
①Jヴィレッジでの短期講習
実際にJリーグを観戦・分析し、ゲームの中から問題点を抽出する。
2.コミュニケーションスキルアップを目指す講習
コミュニケーション・スキルは、必要なとき、必要な場で、自分
チームを改善するためのトレーニングを構築し、コーチングによっ
自身の感情や考えを、適切な言葉で表現する技術であり、基本的な
て改善を促す。
生活技術である。指導者にとってはより重要なスキルであることは
言うまでもない。いくら高度な戦術や見識を持っていても、それを
伝達し納得させる能力がなければ、選手の潜在能力を引き出すこと
もできない。相手が一流のプロ選手ならばなおさらである。
相手に自分の感情や考えを理解してもらうためには、筋道を立て
て、必要な情報を欠かすことなく伝える必要がある。つまり「論理
18チーム中10チームにおいてチーム内上位得点者が外国人選手
①日本企業にとって中国市場はバラ色か否か
指導実践テーマ
Jリーグにおいて優勝するには、外国人ストライカーの獲得と日本人
ストライカーをいかに育てるかが鍵。現在、Jリーグで活躍している
<2回目の論題>
(3)プレゼンテーション実習
下記のテーマの中から1人1つプレゼンテーションの実習を行う。
持ち時間は20分間。受講生はこのプレゼンテーションのためにア
ンケート調査をしたり、ビデオ編集、資料づくりなど、かなりの時
間を準備に費やしている。
内容が論理的であるか、十分な知識があるか、資料やビデオが効
果的に使われているか、言語の明瞭性があるか、外見や態度はどう
であったかなど、受講生同士が評価し合いながら進めていく。
マ
プレゼンテーションテーマ
①守備の原則について ②攻撃の原則について
③守備のチームコンセプト ④攻撃のチームコンセプト
⑤現代サッカーにおけるボランチの重要性
⑥現代サッカーにおけるサイド攻撃の重要性
⑦現代サッカーにおけるGKの役割
⑧現代サッカーに求められる選手の資質
⑨ストライカーの条件と育成方法
⑩サッカーにおけるシステムの変遷 ⑪バイタルエリアの攻防
⑫現代サッカーにおけるセンターバックの重要性
⑬4種年代の指導における日本の課題
⑭3種年代の指導における日本の課題
⑮オランダの育成コンセプト
⑯2種年代の指導における日本の課題
⑰Jリーグの育成における現状と課題
⑱ 世界を目指して 育成の新たな取り組み
⑲現代サッカーにおけるセットプレーの重要性
⑳ジュニア年代の指導について
U女子サッカーの指導における日本の課題
Vブラジルのサッカーについて W私の考える監督像
X日本がトップ10になるための取り組むべき課題
3.マネージメントスキル向上を目指す講習
(1)高度競技マネージメント論
監督の仕事は何なのか、さまざまな事例を元にディスカッション
を中心にして考えていく。この講義は田嶋幸三技術委員長が実施。
的」でないとコミュニケーション・スキルは機能しない。従って公
●いかにいい外国人選手を獲得するか
●日本人FWをどう育てるか
認S級コーチ養成講習会では、論理的に考え、論理的に話すための
講座を多数用意し徹底的にトレーニングしている。
(2)プロフェッショナル規約契約論
プロフェッショナルなコーチや選手としての契約に関わるさまざ
まな問題を、事例を元にディスカッションする。また、スポーツに
(2)プロフェッショナルスポーツコーチング論
ジーコ日本代表監督はじめ、各カテゴリーの代表監督の講義。攻
(1)JFAロジカルコミュニケーションインストラクターの三森ゆり
Jヴィレッジでのディスカッション(指導実践)
守におけるチームコンセプト、
②三菱養和グラウンドでの指導実践
そのコンセプトを選手に注入
・次ページに示す16テーマに関して、チームを改善するためのトレ
するためのコーチング内容と
・10週間で24回実施。3人1組のコーチングスタッフ(監督・コー
受け、自らのコーチングの参
チ・GKコーチ)を形成し、受講生を選手に見立ててトレーニング
考にしていく。実際にグロー
下記の通り。
・この期間に、監督1
のか、何を大切にしているの
かなど哲学的な話まで発展し
ジーコ日本代表監督による講義
「プロフェッショナルスポーツコーチング論」の模様
JFAフィジカルフィットネスプロジェクトメンバーによる講義と
実技。プロジェクトリーダーの里内猛氏(日本代表フィジカルコー
か、また、選手のモチベーションをどうコントロールするのかを
「エデュテインメントプログラム=楽しみながら学ぶこと」で体感し
ながら考えていく講座。
(4)スポーツ社会学(メディア・クラブマネージメント)
回、コーチ1回、
<1回目の論題>
GKコーチ1回を経
①日本は10年以内に
ッチェ広島のジェネラルマネージャーの今西和男氏には「Jクラブマ
験することになる。
世界のトップ10にな
ネージメント」というテーマでの講義。
4.インターンシップ
②日本はドイツワールド
に、30分〜40分間
カップでグループリーグ
のディスカッション
を行う。
ジャーナリストの大住良之氏には「監督とメディア」
、元サンフレ
れるか否か
・トレーニング終了後
(3)トレーニング科学(コンディショニング実習)
監督としてのストレスをどうコントロールしていくことができる
日本ディベート研究協会会長である北岡俊明先生の講義。
でいく。今回の論題は
は約60分。
中で、監督として何が大切な
外部講師として来ていただいている。
(3)ストレスマネージメント論
(2)ディベート
に話すための実践的な方法論を実際に2回のディベートの中で学ん
・トレーニング時間
ている指揮官との質疑応答の
56
問答ゲーム・絵の分析・文章の分析などを通してロジカルコミュ
ニケーションスキルのトレーニングを行う。
20年間2,000回以上のディベートの訓練から導き出された、論理的
を行う。
バルスタンダードの中で戦っ
おけるレギュレーションを、試合中の采配やトレーニングと関連づ
けて検討する。Jリーグ理事であり博報堂法務室室長の小竹伸幸氏に
ーニングを構築し、コーチングによって改善を促す。
その方法などのレクチャーを
ていく。
か先生の講義
指導実践の模様
を突破できるか否か
定められた期間中に海外プロクラブ2週間以上、Jクラブ1週間以
ディベートの模様
上の実地研修を行い、終了後レポートを提出する。
57
指導現場を探す登録指導者、
指導者を探すチームをサポート
指導者・指導チーム検索システム
コーチ・スクエア
JFAコミュニティ
http://member.jfa.jpからアクセス!
JFA登録メンバー専用サイト「JFA
Community(JFAコミュニティ)
」内にある
「コーチ・スクエア」では、
「指導するチーム
を探している登録指導者」と「指導者を探し
ているチーム」がウェッブ上でお互いを検索
することが可能です。
本システムは(1)指導するチームを探し
ている登録指導者、
(2)指導者を探している
加盟登録チーム、
(3)指導者を探している未
加盟チーム・スクールで指導者を探している
方ならどなたでも利用できます。2005年10月
現在、このサイトを利用して指導者やチーム
が決まった事例は64件報告されています。是
非、積極的にご活用ください。
58
59
JFA技術委員会監修および
関連発行物のご案内
JFA公認指導者資格保有者・JFA加盟登録チーム限定
NEW
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■UEFA EURO 2004
JFAテクニカル
レポート/DVD
¥4,750
1 記入
2
専用申込書(下記)
に記入
記入した専用申込書は商品が到
着するまで保管願います。
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クニカルスタディグループが分析したレポートと
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登録チーム用)で購入される場合は定価(¥5,250)
の500円引きです。
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代金を払込み
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U-12指導指針
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■JFAキッズ(U-8)
指導ガイドライン
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■AFCアジアカップ
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JFAテクニカルレポート
■JFAキッズ(U-6)
指導ガイドライン
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できません。
※振込手数料はご本人様の負担
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※希望される商品へのマーク
(4)
を入れてください。
■第4回フットボール
カンファレンス報告書
■2004ナショナルトレセン
U-16プログラム/ビデオ
1〜3の手続き終了後、10日前後
でお申込ご本人様に、宅配便に
てお届けします。
JFA技術委員会監修および関連発行物専用申込書
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■2005ナショナルトレセンU-12
プログラム/ビデオ
発送
10日前後で
お届け
郵便局にある【払込取扱票】に口座
番号・金額・申し込み内容を記入
[口座番号]欄:00100-4-25480
[加入者名]欄:財団法人 日本サッ
カー協会技術口
[金額]欄:合計金額を記入[ご依
頼人]欄:必ず申込用紙の「申込者」
と同じ住所・名前を記入
[通信]欄:商品名・数量・金額を
明記
※記入漏れがありますと商品を発送できない場合がありますので必ずすべてご記入ください
■アテネオリンピック
サッカー競技 総集編
JFAテクニカルレポート
/DVD
4
払込み
表示価格は税・送料込み
購入希望者は、申込書の①か②をご記入ください。
■FIFAコンフェデレー
ションズカップ
ドイツ2005
JFAテクニカルレポート
/DVD
申込方法
年
日
JFAフィジカル測定ガイドライン
□サッカー指導教本・ビデオ2002年度版(FP/GK)
□2002FIFA World Cup JFAテクニカルレポート/ビデオ
□FIFAコンフェデレーションズカップ2003 JFAテクニカルレポート/ビデオ
□FIFAワールドユース選手権2003 JFAテクニカルレポート/ビデオ
□FIFAU-17世界選手権2003 JFAテクニカルレポート/ビデオ
□UEFA EURO 2004 JFAテクニカルレポート/DVD
□FIFAコンフェデレーションズカップドイツ2005 JFAテクニカルレポート/DVD
□FIFAワールドユース選手権オランダ2005 JFAテクニカルレポート/DVD
□第3回フットボールカンファレンス報告書/CD-ROM+DVD
★□第4回フットボールカンファレンス報告書
★□AFCアジアカップ-中国2004 JFAテクニカルレポート
★□アテネオリンピックサッカ−競技総集編JFAテクニカルレポート/DVD
★□2004ナショナルトレセンU-16
★□2004ナショナルトレセンU-14
★□2005ナショナルトレセンU-12
★□JFAキッズ(U-10)指導ガイドライン
★□JFAキッズ(U-8)指導ガイドライン
★□JFAキッズ(U-6)指導ガイドライン
★□JFA 2004 U-16指導指針
★□JFA 2004 U-14指導指針
★□JFA 2004 U-12指導指針
7,950円
2004ナショナルトレセンU-12
5,850円
は販売を終了しました。
3,960円
3,960円
3,960円
4,750円
4,750円
4,750円
8,400円
2,520円×(
冊)=
円
630円×(
冊)=
円
4,410円×(
セット)=
円
2,520円×(
セット)=
円
2,520円×(
セット)=
円
2,520円×(
セット)=
円
1,050円×(
冊)=
円
1,050円×(
冊)=
円
1,050円×(
冊)=
円
1,050円×(
冊)=
円
1,050円×(
冊)=
円
1,050円×(
冊)=
円
★のついている商品は送料実費着払いとなりますので、
各自商品到着時に送料の支払いをお願いします。
合計金額
円
フリガナ
申込者氏名
¥630
月
印
●申込者以外の方への発送はできません
住所 〒
申込者住所
JFA公認指導者資格
保有者限定
表示価格は税、送料込み
■サッカー指導教本・ビデオ
2002年度版
(FP編+GK編)
¥7,950
電話番号
(
)
★日中の連絡先または携帯電話番号
(
)
※領収証の発行はいたしません。払込取扱票の払込受領証が領収証となりますので、大切に保管してください。
※払込取扱票の「通信欄」には、商品名・数量・金額を明記してください。
購入希望者は、申込書の①をご記入ください。
①
保有資格
②
チーム名および
チーム登録番号
※1:FIFA(フィファ/国際サッカー連盟)の映像使用規定(ビデオ化権)により、JFA加盟登録チームおよびJFA公認指導者資格保有者のみ販売が許可されており、一般の方へ
の販売は許可されていません。
制作物の内容、購入方法などでの問い合わせ先は右記まで!(財)日本サッカー協会技術部 TEL:03-3830-1810
60
□公認S級コーチ
チーム名:
□公認A級コーチ
□公認B級コーチ
□公認C級コーチ
□公認D級コーチ
チーム登録番号:
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A MEETING PLACE FOR READERS AND JFA
基本情報の確認
2005(平成17)年度公認ゴールキーパーA級コーチ養成講習会
[1.目的]
大学・プロ(18歳以上)などのゴールキーパーの指導ができる人材を養成する
と同時に、日本のGK指導者のリーダーとなる人材を育成することを目的に公認
ゴールキーパーA級コーチ養成講習会を開設する。
[2.主催]
(財)日本サッカー協会
[3.受講資格]
公認A級コーチ資格を有しており、ゴールキーパーの指導をしている者
[4.定員]
30名
[5.開催期間]
前期:2006(平成18)年1月10日(火)〜1月15日(日)
後期:2006(平成18)年4月以降
[6.開催場所]
前期:熊本・大津、後期:未定
ご自身の基本情報を確認しましょう!
http://www.jfa.jp にアクセスいただき、公認指導者ライセンス
認定証(カード)の裏に記載されている指導者ご自身の指導者登
録番号(C+9桁の数字)と、公認指導者ライセンス認定証(カー
ド)が貼り付いていた台紙に記載されている初回パスワード(ロ
グインした方は変更済の自分のパスワード)でログインし、ご自
身の基本情報(名前・住所・電話番号など)をご確認ください。
□利用方法:
「基本情報」の修正・追加
【http://www.jfa.jp】にアクセス
開催要項
[7.受講料]
60,000円(※会場までの交通費・宿泊費(1泊1万円前後)は別途参加者負担)
[8.受講申込]
(1)受講を希望する指導者は、受講申込書に必要事項をご記入の上、 (財)日本
サッカー協会へお申し込み下さい。
(2)申込み受付期間は2005(平成17)年10月25日(火)〜11月30日(水)必
着です。締切後は一切申し込みを受け付けません。
<申込書送付先>
〒113-8311 東京都文京区サッカー通り(本郷3-10-15)JFAハウス10階
(財)日本サッカー協会技術部公認GK-A級コーチ養成講習会係
tel 03-3830-1810 fax 03-3830-1814
<本件に関するお問合わせ先>
(財)日本サッカー協会技術部 荒谷・堤
tel 03-3830-1810 fax 03-3830-1814
左下『WEB登録』→『指導者登録』をクリック
2005 ナショナルトレセン女子U-15
登録番号+パスワードを入力
「指導者トップページ」
、左上部『基本情報』をクリック
必要事項などを修正・追加入力!
画面(右)の*印のついているものは入力必須項目です。変更や漏れがある場
合は、必ず修正、追加入力をしてください。特に「所属」欄は主に活動してい
る都道府県サッカー協会を選択していただきます。この所属都道府県サッカー
協会からリフレッシュ研修会の案内が発送されます。
この基本情報は日本サッカー協会や都道府県サッカー協会では変更できませ
ん。必ず指導者ご自身で入力してください。
ただし、指導者ご自身がWebにアクセスできる環境にない場合は、ご本人が
了解のもと、身内の方やお知り合いを通じて入力していただいても結構です。
指導者登録更新について
公認指導者ライセンス認定証に登録期間が記載されていますが、
登録費口座引落し予定は下表になっています。
初年度(2004年度)
の登録期間
2年目登録費引落し日(予備日)
2004年5月1日〜2005年4月30日
2004年7月1日〜2005年6月30日
2004年9月1日〜2005年8月31日
2004年11月1日〜2005年10月30日
2005年1月1日〜2005年12月31日
2005年3月1日〜2006年2月28日
2005年3月28日(4月27日)
2005年5月27日(6月27日)
2005年7月27日(8月29日)
2005年9月27日(10月27日)
2005年11月28日(12月27日)
2006年1月27日(2月27日)
公認指導者ライセンス認定証の送付予定
【テクニカル・ニュースに同封】
2005年5月20日
2005年7月20日
2005年9月20日
2005年11月20日
2006年1月20日
2006年3月20日
※「公認指導者ライセンス認定証」
「テクニカル・ニュース」の発送は、郵便事情などにより、若干遅れることがあります。あらかじめ、ご了承ください。
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今年から女子の「ナショナルトレセン」がスタートします。指導者講習会をあ
わせて開催いたしますので、女子を指導されている方、女性の指導者の方、ぜ
ひご参加下さい。
[目的]
ナショナルトレセンU-15開催時に指導者講習会を並行開催し、ナショナルトレ
センで行っているトレーニングメニューの実技講習や講義を通じて、トレセン
制度の趣旨を広く伝えるとともに、指導者のレベルアップを図る。
[期間]
2005年12月26日(月)14:00 〜 28日(水)13:00
[場所]
Jヴィレッジ
〒979-0513 福島県双葉郡楢葉町山田岡美シ森8番(最寄駅:JR常磐線広野駅)
TEL 0240-26-0111 FAX 0240-26-0112
[指導]
JFAナショナルコーチングスタッフ・ナショナルトレセンコーチ
今泉 守正(U-19日本女子代表 監督)他
[受講資格]
指導者資格は問わないが、全プログラムに参加できる方のみとする。
[申込]
「参加申込書」を問い合わせ先より入手、またはJFAホームページ
(http://www.jfa.or.jp/)よりダウンロードし、必要事項を記入の上、11月25日
(金)までにお送りください。
なお、参加申込書に記載された個人情報は、当講習会開催についてのみ使用し、
厳正なる管理のもとに保管いたします。
[募集定員]
60名
定員を超えた場合は、地域性、トレセンでの指導状況、参加目的などを考慮し、
受講者を決定させていただきますので、あらかじめご了承ください。
受講決定者には決定通知を送付いたします(受講決定者名は11月29日までに
JFAホームページでもお知らせいたします)
。受講をお断りする場合はご連絡を
いたしませんので、ご注意ください。
[受講料]
¥10,000(税込)
受講料(教材費を含む)のお支払い方法は、受講決定通知にてお知らせいたし
ます。交通費、宿泊費、食事代は受講料には含まれません。
指導者講習会
開催要項
[集合・解散]
原則として、現地集合・解散でお願いします。
本協会がナショナルトレセン女子U-15参加者(地域トレセン指導スタッフおよ
び選手)用に手配したバスは空席がある場合のみ乗車可能です。
[宿泊]
Jヴィレッジには宿泊できません。
Jヴィレッジ周辺の宿泊手配を希望される方は申込書に必要事項をご記入のう
え、下記問い合わせ先より入手、またはホームページ(http://www.jfa.or.jp/)よ
りダウンロードし、必要事項を記入の上、12月2日(金)までにお送りくださ
い(ご希望の旅館がある場合は、予約を直接入れられても構いません)
。
[その他]
①当講習会は、公認A・B・C級コーチの「リフレッシュ研修会」
(40ポイント)
と認定しています。
②原則として、実技講習にはご参加いただきます。やむを得ず、見学される方
はその理由を簡単に参加申込書の通信欄にご記入ください。
③ピッチでは、スパイクかトレーニングシューズ(人工芝用シューズ)を必ず
着用ください。芝生養生のため、それ以外のシューズではピッチへの入場を
お断りします。
④実技講習には上記シューズに加え、実技ができる服装を着用してください。
⑤期間中の負傷については応急処置のみ行います。病院での治療費、病院への
交通費などは各自の負担となります。念のため、保険証をご持参ください。
⑥講習会プログラムについての、カメラ・ビデオカメラの撮影は不可とします。
[お申込み先・お問合せ先]
(財)日本サッカー協会 技術部 今関
〒113-8311 東京都文京区サッカー通り(本郷3-10-15)JFAハウス
TEL 03-3830-1810 FAX 03-3830-1814
2005地域女子トレセンコーチ研修会より© Jリーグフォト㈱
63
ナショナルトレセンU-12開催予定
[関 東]
期間:12月23日(祝・金)〜12月26日(月)
場所:時の栖
〒412-0033 静岡県御殿場市神山719
TEL 0550-87-3700 FAX 0550-87-0301
指導者講習会:12月24日(土)〜12月25日(日)
[関 西]
期間:12月23日(祝・金)〜12月26日(月)
場所:[実技]ビックレイク 野洲川歴史公園サッカー場
〒524-0212 滋賀県守山市服部町2439番地
TEL 077-585-0982 FAX 077-585-0983
[講義・宿泊]琵琶湖リゾートクラブ
〒524-0101 滋賀県守山市今浜町字7番2620番地-41
TEL 077-585-1000 FAX 077-585-4737
指導者講習会:12月24日(土)〜12月25日(日)
※指導者講習会は講義もビックレイク 野洲川歴史公園サッカー場
[中 国]
期間:12月25日(日)〜12月28日(水)
場所:[実技]12月25日〜12月27日:広島広域公園ビックアーチ/28日:広島
広域公園補助競技場
〒731-3167 広島県広島市安佐南区大塚西5-1-1
TEL 082-848-8484 FAX 082-848-8460
[講義・宿泊]ホテルセンチュリー21 広島
〒732-0824 広島県広島市南区的場町1-1-25
TEL 082-263-3111 FAX 082-263-7601
指導者講習会:12月26日(月)〜12月27日(火)
[四 国]
期間:12月22日(木)〜12月25日(日)
場所:[実技]春野総合運動公園球技場
〒781-0311 高知県吾川郡春野町芳原2485
TEL 088-841-3105 FAX 088-841-3107
[講義・宿泊]はるのの湯
〒781-0304 高知県吾川郡春野町西分3546
TEL 088-894-5400 FAX 088-894-5722
指導者講習会:12月23日(祝・金)〜12月24日(土)
[九 州]
期間:12月26日(月)〜12月29日(木)
場所:[実技]大津町運動公園
〒869-1217 熊本県菊池郡大津町大字森1000番地
TEL 096-293-6564 FAX 096-293-7033
[講義・宿泊]大津亀の井ホテル
〒869-1234 熊本県菊池郡大津町大字引水
TEL 096-294-3301 FAX 094-294-5005
指導者講習会:12月27日(火)〜12月28日(水)
※各地域指導者講習会のお申し込先・お問い合せ先はJFAホームページをご参
照下さい。
Best Regards, from JFA
◆海外遠征後に思うこと
昨年8月にブラジルのリオデジャネイロ、今年の3月にフランス
のモンタギュー、そして、この9月中旬、U-16日本代表遠征で北
ドイツへと遠征をした。海外に出かけて試合をするたびに訪問先の
国とのサッカー文化の違いを痛感させられる。
ブラジルでは、生活のすべてがサッカーそのもので、サッカーに
関する常識の範囲がとてつもなく広い。いろんな場面でのプレーヤ
ーの動き方から、大切な試合観戦のためなら仕事は休むのは当たり
前など・・・。すべてが「そんなの常識!」で終わる。
フランスでは、サッカーをする子どもたちを大人が支える温かさ
に、並々ならぬものを感じた。16歳以下のサッカー大会をボラン
ティアの役員ですべてをまかない、良いプレーは絶賛し、次の時代
を担う選手たちをそっと見守る。
ドイツのサッカー環境は、
「あと100年たったら日本は追いつく
のだろうか?」と思わせるほど充実していた。ドイツには、日本の
どんな小さな町にも公民館があるように、いたるところに芝のピッ
チがあり、夕方から近所の子どもたちそして大人たちがいい汗を流
している。
今回のドイツ遠征のトレーニングは、滞在したアウリッヒ市とい
う人口約3万人の町の外れにある小さなクラブを借りた。そこには
芝のピッチが2面、シャワー付きのロッカールームが2つ、そして
パブのあるクラブハウスがあった。アウリッヒ市の中心にあるクラ
ブには、観客席のある芝のピッチ1面、サブピッチ2面、人工芝1
面、フットサルのコートが1面、そしてクラブハウスに体育館とい
64
う環境。試合をした人口5万人規模の町にあるクラブは、観客席の
あるトラックつきのピッチ、サブピッチ3面。フットサル用コート、
テニスコート、更衣室やシャワールーム、会議室などが完備してい
た。人口10万人規模のクラブでは、VIPルーム(ガラス張りの観
客席)と全席屋根つきスタンドのあるサッカー専用ピッチ、サブピ
ッチ2面、テニスコート、遊園地のあるものだった。そして、試合
前にはロッカールームにケーキやクッキー、果物や飲み物を主催者
が準備している。試合後はクラブハウスにて、両監督の記者会見が
あたりまえのように行なわれる。
遠征終了後、心の中ではいつも、「日本とはサッカー文化が違う
のだから…」と敗戦の理由を正当化する自分がいる。それは日本人
として、とても恥ずかしいことであると感じるようになった。サッ
カー先進国と比べ発展途上にある日本のハード(環境)の中、ここ
10年、国際舞台で結果を残せるようになったのは、サッカーを愛
する人々の熱意と努力というソフト面の充実に他ならない。これ
は、サッカー先進国に対して誇れるものであると強く感じるのも事
実である。ただこれから、日本が国際舞台で強豪国と肩を並べるた
めには、ソフト面の更なる進化とハード面の整備が求められる。
来年、FIFAワールドカップ ドイツへ出場する日本代表のフィ
ルターを通して、日本全国にハード・ソフト両面の充実がこれから
の日本に必要不可欠であることを発信していきたい。『サッカー文
化確立への夢』に向かって…
吉武博文(ナショナルトレセンコーチ)