加工性に優れた高強度TiAl基合金 2016年10月21日 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 構造材料研究拠点 エネルギー構造材料分野 鉄井利光 TiAl基合金とは(金属間化合物) Ti原子 Ti原子、Al原子の存在位置が一定 →セラミックと類似(金属間化合物) Al原子 Ti合金(通常の金属) γ相の結晶構造 Al合金(通常の金属) Ti Ti-Al2元系状態図での実用TiAl基合金の領域 (これに種々の元素を添加) Ti合金でもAl合金でもない別の 合金 γ相、α2相等の複数の金属間 化合物が複合 特性向上のため種々の元素を 添加する。 組成、プロセスによって微細組 織が変化し、特性も変化する。 TiAl基合金の代表的な微細組織 (組成と熱処理条件によって変化する) 完全ラメラ デュプレックス ニアーγ β相含有 10μm TiAl基合金の特徴,利用分野 特徴 主要構成元素はTiとAl→ 軽い(比重3.8~4.0 であり鉄、Ni合金の半分程度) 金属間化合物(セラミック的)のため、通常の金属(固溶体)に較べ変形しにくい。 軽量材としては高温強度が高い(Ti合金やAl合金を遙かに陵駕) 産業上の利用分野 Ti合金の適用が困難な高温部品(600℃~800℃) 遠心力が負荷され、比強度(強度/比重)が必要となる回転部品 現在Ni基超合金を使用中の部品で、軽量化によってメリットが生じる用途 実用済みのTiAl基合金製部品 乗用車ターボチャージャタービンローター 目的:ターボラグ低減(レスポンス向上) ジェットエンジン低圧タービン動翼 目的:燃費向上 本研究の狙い、研究の要点 TiAl基合金の現状の課題 ①低い加工性のため小型鋳物のみが利用可(大型部品に必要な鍛造が不可) ②クリープ強度が競合材(普通鋳造Ni基超合金)より低い。 用途が限定 本研究の狙い TiAl基合金の航空機や発電機器への利用拡大による燃費向上、CO2排出削減 上記目的のため、加工性と高温クリープ強度の大幅改善 研究の要点 新合金設計によって、従来のTiAl基合金にはない相、組織変化を実現 鍛造温度において柔らかい相が生成 その後の熱処理でクリープ強度に優れた微細組織に変化 鍛造温度での組織の比較 β 相(柔らかい相) 新TiAl基合金 従来のTiAl基合金 鍛造性(可塑性)の比較 新TiAl基合金の熱処理による微細組織の変化 β 相(柔らかい相) 鍛造時 α2相/γ相のラメラ組織(高クリープ強度) 熱処理後 α2 γ クリープ強度の比較 (試験条件;815℃×225MPa) 25 従来のTiAl基合金 新TiAl基合金 20 変位(%) 15 10 5 0 0 100 200 300 時間 (h) 400 500 鍛造Ni基超合金とのクリープ強度の比較 新TiAl基合金での部材試作例 Y2O3 使用したルツボ 内層Y2O3/外層Al2O3 の二層ルツボ サイズ:φ300×530mm(内側) Al2O3 高周波溶解試験状況 原料 鋳造用鋳型 新TiAl基合金の大型インゴット Φ300×500mm、重量145kg 新TiAl基合金の大型部材の鍛造状況 型鍛造動翼の試作例 角材に鍛造 型鍛造 円柱に機械加工 大型成形部品の試作例 超塑性加工による部品成形 円盤のTiAl素材 成形品(頂部は切断) 成形に用いたカーボン型 応用分野と今後の課題 応用分野 各種大型動翼(800℃程度) 各種軽量耐熱構造部品(800℃程度) 実用化への課題 用途に応じた成分改良 各種材料データの取得
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