2009年7月1日 報道各位 三菱地所株式会社 「三菱一号館美術館」運営計画について ~2010年4月6日(火)開館~ 本年4月竣工の「三菱一号館」は、来年4月より三菱地所株式会社直営の「三菱一号館美術館」とし て開館いたしますが、今般、開館日、開館時間、展示会ラインナップなど運営計画の概要がまとまりま したので下記の通りお知らせ申し上げます。 当美術館は、近代東京の基点である丸の内の歴史と至便性に富んだ立地を踏まえ、19世紀の近代美 術を中心とする多彩な企画展を年3~4回開催いたします。 また、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作品を所蔵する当美術館は、画家の生地、フラン ス・アルビ市にある「トゥールーズ=ロートレック美術館」と本年4月に姉妹館提携を結びましたので、 併せてお知らせ申し上げます。 記 1.運営概要 住 所 交通機関 東京都千代田区丸の内2-6-2(〒100-0005) 東京メトロ千代田線「二重橋前」駅(1番出口)から徒歩3分 JR「東京」駅(丸の内南口) ・JR「有楽町」駅(国際フォーラム口)から徒歩5分 開 館 日 2010年4月6日(火) 開館時間 [火・土・日・祝]10時~18時、[水~金]10時~20時 ※いずれも最終入館は閉館30分前まで 休 館 日 毎週月曜(但し、祝日の場合は開館し翌日休館)、1月1日、展示替え期間 入 館 料 展覧会により異なる 2.当美術館の主な活動 「三菱一号館」は明治期の原設計に基づき東京・丸の内に復元・再生されました。美術館として新た に出発する「三菱一号館美術館」は、建物と収蔵作品に呼応した19世紀近代美術を中心とする展覧 会を通じて、街に多彩な美をもたらします。 (1)ミッション ■街に開かれた美術館として、そこで働く人々、訪れる人々の利便性を重視し、 「都市生活の中心と しての美術館」という視点で運営を行います。 ■国内外の美術館や周辺の文化施設との連携・ネットワークを築きながら、長期的・国際的な視野 での美術館活動を目指します。 ■明治期に原設計された建物と収蔵作品の特性に配慮し、近代市民社会・産業社会原点ともいうべ き19世紀の近代美術を中心とした展覧会を開催します。 ■変貌する現代の美と歴史的美の系譜との結節点を求めて、学術的意義の深い展覧会を、新たな切 り口で展開していきます。 (2)活動方針 ■企画展の開催(年3~4回) ■美術作品の収集、保存、公開、調査・研究 ■展覧会に関連したイベントの実施 ■近隣の美術館、社会教育機関との連携 ■美術鑑賞教育への協力、教育普及事業との連携 (3)施設について 三菱一号館美術館は、展示室(20室、約800㎡)、カフェ(約150㎡)、ストア(約50㎡)、 「三菱一号館 歴史資料室」によって構成されます。展示室には、「作品の保護」と「快適な鑑賞」 という2つの条件を満たすために、2種類の光源(ハロゲン及びCDM)を持つ最新の光ファイバ ー照明システムを採用しました。 3.2011年までの展覧会(予定) ◆開館記念展〈Ⅰ〉『マネとモダン・パリ』 会期:2010年4月6日(火)~7月25日(日) ◆開館記念展〈Ⅱ〉 『 「Art Galleries. Maru no Uchi. Tokio」 三菱が夢見た美術館』(仮称) 会期:2010年8月~11月 ◆『カンディンスキーと「青騎士」―ミュンヘン、レンバッハハウス美術館コレクション』(仮称) 会期:2010年11月~2011年2月 ◆『王妃の画家ヴィジェ=ルブラン マリー・アントワネットと18世紀の女性画家たち』 (仮称) 会期:2011年3月~5月 ◆『ジャポニスムの立役者たち―欧米で愛された陶磁器・銀器・装飾品』(仮称) 会期:2011年6月~8月 ◆『トゥールーズ=ロートレック モーリス・ジョワイヤン・コレクション』 (仮称) 会期:2011年9月~11月 4.「トゥールーズ=ロートレック美術館」との姉妹館提携について アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作品を所蔵する当美術館は、2009年4月8日、画家 の生地、フランス南西部、ミディ・ピレネー地域圏タルン県アルビ市にある「トゥールーズ=ロート レック美術館」との姉妹館提携に調印しました。 「トゥールーズ=ロートレック美術館」(以後「ロートレック美術館」)は、アルビ市の中心地に位置 し、世界各国から年間16万人超の入場者を数え、アルビ市の外交の重要な役割を担っています。建 物であるベルビー宮は、13世紀~14世紀に城塞として建造され、その後しばらく歴代アルビ司教 の居城として使われていました。ロートレックの没後、画家の親友でありロートレック作品を数多く 所蔵していたモーリス・ジョワイヤンの尽力により、1922年7月30日に美術館として開館、1, 000点以上の作品を所蔵しています。三菱一号館美術館が所蔵するロートレックの作品もモーリ ス・ジョワイヤンのコレクションに由来し、 「ロートレック美術館」とは強い親和性で結ばれています。 「ロートレック美術館」との提携内容は下記の通りです。 ■展覧会の企画、研究、文化的交流 ■展覧会及び文化イベントの開催 ■美術館およびその周辺地域のプロモーション ■関連商品の企画・制作・販売 【トゥールーズ=ロートレック美術館との調印式の様子(2009年4月8日、アルビ市にて)】 (中央)ダニエル・ドゥヴァンク ロートレック美術館館長 ( 右 )高橋明也 三菱一号館美術館館長 以 上 【展覧会概要】 開館記念展〈Ⅰ〉 『マネとモダン・パリ』 会期:2010年4月6日(火)~7月25日(日) 主催:三菱一号館美術館、読売新聞社、 NHK、 NHKプロモーション 企画協力:オルセー美術館(フランス、パリ) エドゥアール・マネ(1832-1883)は、「モデルニテ(現代性)」溢れるさまざまな作品を通して、後世の芸術 家たちに大きな影響を及ぼした、近代絵画史上最も重要な画家のひとりです。パリに生まれ、パリに生きたこの 画家は、19世紀後半、都市構造的、文化・社会的にも劇的に変化し近代化を遂げたパリと向き合い、都市のダ イナミズムがもたらす光と影を描き出しました。開館記念展となる本展覧会では、この「現代生活の画家」マネの 全貌を捉えると同時に、近代都市の芸術家、そして都市と芸術の関係を再考します。マネの初期から晩年に至 るまでの傑作の数々を、同時代の画家たちが描いた「19世紀の首都」パリの変貌とともに展覧し、新たな視点 からエドゥアール・マネという画家を紹介します。 本展はオルセー美術館所蔵の代表的な油彩及び国内外の美術館に所蔵されるマネの油彩・素描・版画を中 心に、同時代作家の油彩、建築素描、彫刻、写真など計100点を越える作品で構成されます。 《すみれの花束をつけたベルト・モリゾ》 1872年 油彩・カンヴァス 55 x 38 cm オルセー美術館蔵 《すみれの花束》 1872年 油彩・カンヴァス 22 x 27 cm 個人蔵 《エミール・ゾラ》 1868年 油彩・カンヴァス 147 x 114 cm オルセー美術館蔵 《ラトゥイユ親父の店》 1879年 油彩・カンヴァス 95x115cm トゥルネ美術館蔵 開館記念展〈Ⅱ〉 『「Art Galleries. Maru no Uchi. Tokio」 三菱が夢見た美術館』(仮称) 会期:2010年8月~11月 主催:三菱一号館美術館ほか 三菱は明治23(1890)年に政府より丸の内の土地の払い下げを受けましたが、三菱会社の第二代社長の岩崎 彌之助は丸の内に美術館を作りたいという意志を持っていました。「丸の内美術館」と呼ばれたその計画は、実現 こそしなかったものの、明治27(1894)年に竣工した旧「三菱一号館」を設計した英国人建築家ジョサイア・コンド ルは、「Proposed Art Galleries. Maru no Uchi. Tokio」と銘打った、美術館の設計図面を残しています。 開館記念展第二弾となるこの展覧会では、三菱創立者一族である岩崎家にゆかりの深い、静嘉堂文庫美術館 所蔵の日本及び東洋美術の名品や、東洋文庫所蔵の美術的価値の高い書籍や版画類、また当館所蔵作品など を中核とし、三菱にゆかりのある美術作品が集結します。本展は、三菱が丸の内に描いてきた夢を、時代を超えて 実現する試みです。 東洋文庫 創立当時正門玄関 本館新築外観イメージ(2011年秋完成予定) 三菱一号館美術館 外観 静嘉堂文庫美術館 外観 『カンディンスキーと「青騎士」―ミュンヘン、レンバッハハウス美術館コレクション』(仮称) 会期:2010年11月下旬~2011年2月上旬 主催:三菱一号館美術館ほか ワシリー・カンディンスキー(1866-1944)とフランツ・マルク(1880-1916)が中心となって結成されたグ ループ「青騎士」(デア・ブラウエ・ライター)は、その後の20世紀美術に多大な影響を与えました。本展は「青騎士」 揺籃の地ミュンヘンのレンバッハ・ハウス美術館の所蔵品よりカンディンスキーを中心に「青騎士」の運動を紹介す る、わが国で初めての展覧会となります。 ワシリー・カンディンスキー 《即興19A》 1911年 97.2×106.4cm レンバッハハウス美術館蔵(出品予定作品) フランツ・マルク 《青い馬I》 1911年 112×84.5cm レンバッハハウス美術館蔵 (出品予定作品) 『王妃の画家ヴィジェ=ルブラン マリー・アントワネットと18世紀の女性画家たち』(仮称) 会期:2011年3月~5月 主催:三菱一号館美術館ほか エリザベト・ヴィジェ=ルブラン(1755-1842)は、フランス王妃マリー・アントワネットの「王妃付きの画家」として 著名な女性画家でした。本展は、ヴィジェを中心に、彼女のライヴァルの女性画家たち、そして18世紀フランスで 活動した女性画家たちの作品60-70点を、ヴェルサイユ美術館、ルーヴル美術館など国内外の美術館および 個人コレクターから借用して構成します。 『ジャポニスムの立役者たち―欧米で愛された陶磁器・銀器・装飾品』(仮称) 会期:2011年6月~8月 主催:三菱一号館美術館ほか 「ジャポニスム」は19世紀後半から20世紀初頭にかけて欧米で流行した芸術様式として知られます。人々は 1851年にロンドンで開かれた「第1回万国博覧会」で初めて日本の文物を目にし、未知の国に対する好奇心を募 らせました。本展は、この流れの中で制作された美しい「日常的な品々」を通じて、ジャポニスムの本質に迫る試み です。当館の寄託コレクションを中心に、明治期の日本が海外に輸出した品々、それに呼応して欧米で制作され た美術工芸品や服飾品、関連資料などから構成します。 『トゥールーズ=ロートレック モーリス・ジョワイヤン・コレクション』(仮称) 会期: 2011年9月~11月 主催: 三菱一号館美術館ほか 19世紀末フランスの画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)は、大胆な色彩と斬新な構図に よるポスターやリトグラフにより、近代版画芸術に多大な影響を与えました。当館では、ロートレック自身が生前手元 におき、その友人で画廊主でもあったモーリス・ジョワイヤンに引き継がれた、ポスター及びリトグラフ200数十点の まとまったコレクションを所蔵しています。本展では、この貴重なジョワイヤンコレクションの全貌を紹介・展示する 予定です。 《メイ・ミルトン》 1895年 リトグラフ、ポスター 80×61.5㎝ 三菱一号館美術館蔵 《金色仮面の桟敷席》 1893年 リトグラフ 37×33㎝ 三菱一号館美術館蔵 《マルセル・ランデール嬢、胸像》 1895年 リトグラフ 33×24.5㎝ 三菱一号館美術館蔵 《ディヴァン・ジャポネ》 1893年 リトグラフ、ポスター 81×62㎝ 三菱一号館美術館蔵 【薔薇色の街アルビ】 トゥールーズの北西150キロ、南西フランスに位置するタルン県の県庁 所在地であるアルビは、その特異な歴史と美しいたたずまいによって世 界的に知られる古都です。街の成り立ちは青銅器時代に遡り、やがてケ ルト人、ガリア人、ローマ人たちによって繁栄するようになりました。 11世紀にはアルビの街はとりわけ発展し、この当時建設された見事な 歴史的土木遺産「古橋」(ポン・ヴュー)は、現在もタルン川の川面にそ の雄大な姿を反映させています。 13世紀には、南フランスを席巻した異端信仰カタリ派に対する宗教戦 争「アルビジョワ十字軍」の戦いに巻き込まれ、戦乱の地となります。巨 大な航空母艦のような姿で街を睥睨するサント・セシル大聖堂は、異端 信仰に対するカトリック教会側からの政治的メッセージとも言えるかもし れません。 他方、小高い丘に広がる家並みは、タルン川流域で採掘される粘土で 焼いた赤レンガを使って建てられており、ことに夕暮れ時には街全体が 美しい薔薇色の色調に覆われ、世界遺産登録に向けて準備中のこの街 ならではの華やかな景観を見せます。 フランスでも最も古い貴族の家系であるトゥールーズ伯爵家に生まれ た画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの生家はこの街中にありま す。大聖堂に隣接する旧司教館・ベルビー宮の大部分を占めるロート レック美術館は、多数の日本人を含む世界中の美術愛好家が訪れる場 所となっており、また少し離れた郊外には現在もロートレックの家系に繋 がる伯爵夫人が住むボスク城があります。いずれも、画家ロートレックとこ の地の深い結びつきを示す場所と言えるでしょう。 ●パリ ●アルビ <ミディ・ピレネー地域圏> タルン県 トゥールーズ=ロートレック美術館 Musée Toulouse-Lautrec, Albi サント・セシル大聖堂と アルビの街並み タルン川にかかる「古橋」(ボン・ヴュー)
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