2016 年 7月1日発行 (1、4、7、10 月の 1日発行・年 4 回)通巻1153 号 昭和 26 年11月 24 日 第三種郵便認可 ISSN1340-6442 2016.7 1153 vol. 2017 年 は 民 間 ユ ネ ス コ 運 動 発 祥 70 周 年 で す きむたか あ ま わ り うるま市の中高生が演じた「現代版組踊 肝高の阿麻和利」 (第 1 回プロジェクト未来遺産) © 日本ユネスコ協会連盟 CONTENTS 1 3 4 5 特集 戦後 70 年 次世代へ語り継ぐ ● 全国大会パネルディスカッション(抄録) 「語り継ぐ平和」 全国大会レポート ● ユネスコ活動の広場 ● ● 7 熊本地震 子ども支援募金 各地ユネスコ協会の活動 理事会・評議員会・総会報告 活動報告 ユネスコ協会 ESD パスポート ● 東日本大震災子ども支援募金 ● 未来遺産運動 ● 世界寺子屋運動 ● 一杯のスプーン ● ネパール地震支援 ● 世界遺産活動 ● 10 海外の動き バンコク国際会議 ● UNESCO バンコク会議 ● お知らせ・募集 ● 11 沖縄の人たちに心を寄せ 不戦の思いを新たにした全国大会。 6 月23日、沖縄慰霊の日。平和と鎮魂の思いを胸に、大勢の子どもたちを 含む約 700 人が、沖縄戦最後の激戦地となった摩文仁の丘を目指し、8.3 キロの道のりを行進しました。当日行われた全戦没者追悼式は今年で 71 年目を迎えましたが、度重なる米軍人・軍属による犯罪、出口の見え ない基地問題と、沖縄の「戦後」はいまも続いています。 そんな中、宜野湾市で開催された日本ユネスコ運動全国大会は、語り 部の方々による沖縄戦の実相に耳を傾け、沖縄のかなしみに心を寄せ るまたとない機会となりました。同時に、連綿と受け継がれてきた伝統 文化の数々や、若い人たちによる躍動感ある試みも披露され、未来への 希望あふれるエネルギーを受け取ることができました。 この沖縄の地で、どれだけ多くの人が、戦争の悲惨と平和の大切さを 強く心に刻んだことでしょう。 戦争は絶対に起こしてはならない。ユネスコ活動の根幹をなすこの 思いを新たにした大会となりました。 特集 戦後 70 年 次世代へ語り継ぐ パネルディスカッション(抄録) 「語り継ぐ平和」 よしかつ パ ネ リ ス ト :吉川 嘉勝 [元渡嘉敷村教育委員長] とうろく :大城 藤六 [元糸満市教育長] コ メ ン テ ー タ ー :高橋 哲哉 [東京大学大学院 総合文化研究科教授] コーディネーター :比嘉 俊次 [琉球放送報道政策局 報道制作部番組企画担当部長] 太平洋戦争末期、日本最大規模の地上戦が繰り広げられた 沖縄では、9 万 4000 人もの住民を含む 20 万人余が命を落と 中に突っ込んで爆破しろ」といったそのとき、当時 6 歳の私を ひざに抱いていた母が、ばっと立ち上がって「手榴弾を捨てな した。パネルディスカッションでは、 「ありったけの地獄をひ さい。死ぬのはいつでもできるから、逃げよう」と強く叫んだ 嘉勝さんと大城藤六さんが自らの体験を語り、平和への思い 私たちの前にも逃げる集団がいたので、それを追って、飲まず とつに集めた」といわれる沖縄戦を体験し、生き抜いた吉川 を新たにした。 (編集部:永山多恵子) 比嘉 大城さんはいま 85 歳、沖縄戦当時は 13 歳で、青少年 け ら ま 団の軍団長でした。吉川さんは慶 良間諸島ご出身で、集団自 決の現場に、まさにいらっしゃいましたが、運よく現場から 逃れることができました。今日はお二人の体験談を伺います。 まず、吉川さんからお願いします。 吉川 昭和 20 年 3 月 23ざ日、 慶良間諸島への爆撃が始まりま ま み げ る ま した。26 日には米軍が座間味村の二つの島に上陸し、慶留間 島と座間味島で集団自決が発生しました。私たち家族が住ん とかしき でいた渡嘉敷島には、日本軍の海上挺進第三戦隊(赤松隊)が いたのですが、27 日に米軍が島に上陸する直前、駐在巡査が 住民のところにやってきて、 「我々は北山(“にしやま”と読む) のです。その一言で、私たちは生き延びることができました。 食わずで 3 日 3 晩。父は途中で爆撃を受け死にましたが、涙を のんで逃げ続け、命をつなぐことができました。 この集団自決のたった 1 日で、渡嘉敷村民約 1000 人のう ち 330 人が亡くなりました。このうち 93 人は 9 歳以下の子ど もだったのです。 ところで、なぜ日本軍が渡嘉敷島にいたのでしょう。海の特 攻隊といわれる特攻艇を慶良間の島々に隠していたからです。 そして、なぜ渡嘉敷島や慶留間、座間味で集団自決があったの でしょう。それは、島に日本軍がいたからです。沖縄では、日 本軍の駐屯していない場所では集団自決が起こっていないの です。このような事実を通して、これからの日本で平和をどう 守っていくか、それぞれが考えていただきたいと思います。 比嘉 ありがとうございました。続いては大城さんにお話を に移動するが、住民も部隊の近くに集めてはどうか」との赤 伺います。 ありますが、あれは命令だったといわれています。それでも、 軍が守ってくれると思ったのでしょう。住民は、夜になって 大城 沖縄戦当時、私は 13 歳。本島南部の糸満市にある真壁 国民学校(現在の真壁小学校)の高等科 2 年生で、同校の青少 真っ暗な中を手探りで進んでいきました。 今日は、沖縄戦の終盤、南部戦線に入るころからお話をし 松大尉の言葉を伝えました。赤松氏の手記には「示唆した」と 土砂降りの雨の中を北山へと向かいました。私の家族 7 人も、 北山の雑木林に 600 人もの住民が集まった翌 28 日、村長の ところに伝令が来て、何か耳打ちしていたようです。その後、 村長が訓示をして「天皇陛下万歳」を三唱し、 「集団自決」が始 まったのです。多くは軍から渡された手榴弾を爆発させて、手 榴弾のない者は鉈や鎌、石までを使って…。そこら中が地獄絵 になりました。私の家族や親類 20 人も集まり、兄が手榴弾を 投げたけれど、いつまで待っても爆発しない。もうひとつ投げ たけれど、それも爆発しなかった。父が「手榴弾を持って火の 1 ユネスコ 2016.7 まえひら 年団真栄平分団の分団長を務めていました。 たいと思います。沖縄戦で最も多くの犠牲者が出たのは、日 本軍が首里から南部に撤退した 5 月下旬以降だと思います。 日本軍の指揮系統が乱れたころから、住民を巻き込んだ悲惨 な状況が始まり、南部では軍による壕の追い出しもひどくな りました。兵隊を収容するために、大きな壕に入っている住 民たちを次々に追い出したのです。警護団長さんがいうには、 「この戦争は日本が必ず勝ちます。そのためには皆さんの協力 が必要なのです」と。そして、壕から出て「安全なところに行 きなさい」というけれど、安全なところなんてないんです。私 の家族も壕を追い出されました。その後、母方の家の壕に逃 げましたが、爆撃が激しくなり、親類 27 人で一族の古い墓に ると同時に、沖縄では戦跡を遺していこうという動きもあり ます。ただ、壕の風化などが進んでいると聞きます。 避難しました(編集部注:沖縄の亀甲墓は内部が広く人が何 大城 糸満市にも壕は相当あります。平和教育では、壕の中 私たちも大怪我をしました。 す。こういう現場での実感を伴った体験は必要だと、先生た 人も入れる)。しかし、1 発の砲弾が落ちて 13 人が即死。残る 日本軍による住民の虐殺もありました。食料を奪うため、あ るいは、沖縄の人同士が沖縄言葉「うちなーぐち」で話したと いうだけで、子どもでさえもスパイだといって殺されました。 米軍が上陸した本島中部から、多くの住民が列をなして南 部へと移動してきていました。当時、南部には日本兵が 3 万 〜 4 万、住民は 9 万〜 10 万いて、推定で 13 万人がひしめきあ い、海岸線まで追い詰められていったのです。 南部戦線が始まってほぼ 1 ヵ月、真栄平という私の集落で は、180 戸あったうち 60 戸が一家全滅していました。そして 6 月 19 日から「もう戦争は終わった。出てきたら助けます。 で話をすると 5 分か 10 分くらいで泣き始める子どももいま ちもいっています。ただ、落盤が心配なので役場で調査をし てほしいのですが、なかなか進まない。国が戦争を起こした のだから、壕などの保護・保存は国がやるべきだと思ってい ます。そして、そこで亡くなった方々の名前を刻んで遺して あげたいです。 比嘉 壕だけでなく、住民が戦後、やっとの思いで建てた粗末 な納骨堂や石碑も各地にあり、もはや朽ちかけています。この 戦争の記憶をどう遺していくかも、これからの課題ですね。 持つな。走ってくるな」と毎日、米軍の放送がありました。そ 高橋 日本本土では、戦争の遺跡をどんどん消していく傾向 が強いのですが、同じ加害者であるドイツには、戦争を記憶 もしれないよ」といわれ、24 日の朝、私たちは 30 名くらいで で殺害した司令部のあった場所には、道の上にそれを示すプ 男はふんどし 1 本で、女はそのままでよろしい。手には何も のときハワイ帰りの人に「アメリカ人は意外と信用できるか 出ていって捕虜になり、命をつなぐことができたのです。 比嘉 ありがとうございます。さて、今日のテーマは「語り 継ぐ平和」ですが、語り継ぐ前に、戦争では「語れないこと」 の重さが大きいと感じています。私の祖母は昨年 110 歳で亡 くなりましたが、戦争については、いくら尋ねても、いっさい 話すことはありませんでした。家族が家族を殺した集団自決 について口を開くのも、容易ではないと思います。 吉川 私の兄は防衛隊で、集団自決の前に、自分の新しい手 榴弾を隣の人の古い手榴弾と交換したそうです。その結果、 私たちは生き延び、隣の人は爆死してしまった。そのことを、 する場所がいたるところにあります。例えば、障害者をガス レートがある、といった具合です。ドイツ人は戦争の記憶に 絶えず直面しているのです。日本と大いに違うところですね。 このように、記憶の場所を目に見える形で遺していくことが 大事です。さらに、戦争で悔しい思いをした、二度と繰り返 したくない、そういう思いを持っている方は、 「思い出したく ない」というハードルを乗り越え、ぜひ伝えていってほしい。 我々は、そのような貴重な証言や現場から、想像力を持って 戦争を記憶していかなければならない。それを持続的に考え 続けるよう導くのが教育です。ユネスコ活動の使命は大きい と感じます。 比嘉 私は、UNESCO 憲章の前文「人の心の中に平和の 兄は死に際になって初めて明かしました。ずっといえなかっ とりでを築き…」を読んだとき、なんと控えめな表現かと思 比嘉 吉川さんや大城さんのように戦争について語る人は、 いくのだと確認して、この会を終わりたいと思います。あり たんですね。私はぽろぽろと涙が止まらなかったです。 本当に勇気があると思います。このような体験談に耳を傾け いました。でも、戦争や争いの多くは、相手を理解しないこ とから始まります。やはり、平和は人の心の中から広がって がとうございました。 PROFILE 吉川 嘉勝(よしかわ・よしかつ) 大城 藤六(おおしろ・とうろく) 高橋 哲哉(たかはし・てつや) 比嘉 俊次(ひが・としつぐ) 1938 年、沖 縄 県 島 尻 郡 渡 嘉 敷 村生まれ。'61 年琉球大学文理学 部卒業後、教職の道へ。石垣市 立白保小学校長、渡嘉敷村教育 委員長ほかを歴任し、現在は同 村教育委員会文化財保護審議委 員などを務め、平和教育の推進 に尽力。 1930 年、沖縄県糸満市生まれ。 '50 年沖縄文教学校 ( 琉球大学に 吸収 ) 卒業後、教職の道へ。沖縄 県教育庁社会教育課長、糸満市 教育長ほかを歴任し、現在は沖 縄戦遺骨収集ボランティア、平 和ガイドなど、平和教育の推進 に尽力。 1956 年、福島県生まれ。哲学者。 20 世紀西洋哲学を研究し、歴史 認識、憲法、教育、原発・基地問 題など現代社会の諸問題につい ても幅広く発言。 『犠牲のシステ ム 福島・沖縄』ほか著書多数。 現在は東京大学大学院総合文化 研究科教授。 1972 年、沖縄県中頭郡嘉手納 町生まれ。琉球大学卒業。( 株 ) 琉球放送でアナウンサーと報 道 記 者 を 兼 務 し、'12 年「 沖 縄 と自衛隊〜 40 年と今」で第 50 回ギャラクシー奨励賞を受賞。 現在は報道制作部番組企画担 当部長。 ユネスコ 2016.7 2 全国大会レポート 第 72 回日本ユネスコ運動全国大会 in 沖縄 主 催 : 日 本 ユ ネ ス コ 協 会 、沖 縄 県 ユ ネ ス コ 協 会 6 月 23 日(木)は、沖縄戦の終結を胸に刻む「慰霊の日」。 まずは、そのことから議論を始めたい」と提案した。 その 2 日後の 6 月 25 日(土)から 26 日(日)、真夏の太陽が 次いでパネルディスカッション「語り継ぐ平和」では、太 降り注ぐ沖縄で第 72 回日本ユネスコ運動全国大会が開催 平洋戦争末期、悲惨な沖縄戦を生き抜いた方々の体験談か された。テーマは「持続可能な平和のとりでを築こう ! 〜命 ら、戦争を「語り継いでいく」ことの大変さ、大切さをともに どぅ 宝 〜」。平和な時代をつないでいくため私たちに何が 考えた(P1 〜 2 参照)。 ぬち たから できるか、さまざまな角度から考える大会となった。また、 沖縄が誇る数々の芸能・文化が披露されたのも、今大会の特 色といえる。 (編集部:永山多恵子) 夜の懇親会では、地元の料理が振る舞われるなか、北谷町 じゃあがる こじゃ 謝 苅区青年会による勇壮なエイサー演舞と古 謝美佐子さん による沖縄の歌が会場を盛り上げた。 ● 地域から学びを広げる ESD の事例発表 き ん 2 日目は、沖縄県内のユネスコスクールである金 武町立中 ちゃたん 川小学校と北谷町立北谷中学校が、ESD(持続可能な開発の ための教育)の事例発表を行った。中川小は「つなげる地球 みんな仲間」と題して、マングローブ林の生態観察や、沖 縄戦の体験者から話を聞くなどの体験から、環境、国際理解、 平和、キャリアについての教育を推進していると発表。北谷 中学校は「地球に学び、グローバルな視点を育てる」と題し て、地域について学び、平和学習や他地域との交流などにつ なげ、地域の特色を発信するまで、3 年間を通して実践して いると発表した。 ● UNESCO 無形文化遺産「組踊」 優れた伝統文化、新しい芸能文化を堪能 続いて、第 1 回プロジェクト未来遺産に登録された「現代 きむたか あ ま わ り 沖縄県立南風原高等学校郷土芸能部による厳かで勇壮な演 版組踊 肝高の阿 麻和利」の活動について、あまわり浪漫の 奏と舞「ハーリー」で幕を開けた 1 日目。開会宣言に先立ち、 会会長の長谷川清博氏が解説。今年度は 195 名のうるま市の 昨年急逝された韓国ユネスコクラブ協会連盟前会長の李平宇 中高生が参加しており、演目の一部がステージで披露される 氏と日ユ協連前事務局長の寺尾明人氏、そして熊本地震で被 と、躍動感溢れる歌と踊りに会場から大きな拍手が湧いた。 りぴょんう 災された方々に対して黙祷が捧げられた。次いで、日ユ協連 「現代版組踊」は文字通り、沖縄の伝統芸能「組踊」を現代 の松田昌士会長が挨拶をし、 「どんなことがあっても戦争をし 風にアレンジしたものだが、大会では本家本元の「組踊」を てはいけない。全力を挙げて戦争を防ぐのが我々“ユネスコ はじめ、伝統的な演舞や武術もたっぷり披露された。初めに、 人”の基本だ」と述べ、開催地沖縄に対しては「いまだに戦火 国立劇場おきなわ芸術監督兼企画制作課長の嘉数道彦氏が、 の余波が沖縄の空気を包んでいることを遺憾に思う。沖縄の 沖縄の伝統文化について解説。そして、玉 城流翔節会玉城節 窮状に対して、できる限りの応援をしていきたい」と思いを 子家元道場による国指定重要無形文化財「琉球舞踏」、劉衛 寄せた。 流龍鳳会による沖縄県指定無形文化財「沖縄の空手・古武 ● 沖縄への差別的な構造を考える 特別講演は、東京大学大学院総合文化研究科教授の高橋哲 哉氏による「沖縄で平和を考える 〜一人の戦後日本人の自 かかず たまぐすくりゅうしょうせつかい まじきなゆうこう 術」、一般社団法人伝統組踊保存会・真 境名由康組踊会によ る UNESCO 無形文化遺産「組踊」が披露された。いずれも 緊張感漂う素晴らしい内容で、沖縄文化の奥深さに触れる貴 重な体験となった。 省から〜」。日本にある基地のうち 74% もの基地が沖縄に集 最後に、次回の開催地仙台の中村孝也仙台ユネスコ協会 中し、そのために悲惨な事件や事故が繰り返されている現状 会長が挨拶し、 「70 周年という記念すべき大会にむけて、教 に対して、 「基地集中という差別的な状況を支えているのは、 育・科学・文化を通じて平和を追求していきたい」と述べた。 本土の人間である。なぜなら、日米安保条約の維持に 9 割近 閉会にあたって、日ユ協連の野口昇理事長は、沖縄県ユネス くの国民が賛成しているにもかかわらず、本土に基地を『引 コ協会に敬意を表するとともに、 「民間ユネスコ運動 70 周 き取る』ことを拒み続けているのだから」と述べ、沖縄県の 年となる来年は、若い人たちを軸に日中韓のネットワーク 置かれている差別的な構造を少しでも解消すべきだと訴え を充実させ、広げていきたい」と締めくくった。 た。そして、 「私を含めて本土の人間は皆この問題の当事者。 3 ユネスコ 2016.7 熊本地震 子ども支援募金 熊本地震被災地への教育支援 始動 ! 世界中に津波の映像が流れた東日本大震災から 5 年。日本は再 子どもたちの心のケアも必要 中期的な子どもたちへのケア・サポートは、6 月 9 日(木)に び大規模な震災を経験することとなった。4 月 14 日(木)に震度 開始された。サポートを行うのは「くまがく応援隊スマイリア」 7 の「前震」が熊本県益城町を中心に発生した 2 日後、16 日(土) で、熊本学園大学のライフウェルネス学科の先生方と学生 78 人 には震度 7 の「本震」が益城町と西原村を襲い、熊本県各地に大 で構成される。運動や遊びを主体としたレクリエーション活動 きな被害をもたらした。 を行っているグループである。 日本ユネスコ協会連盟では、4 月 22 日(金)に「熊本地震 子 地震で被災した子どもたちは、いまだに避難所で暮らしてい ども支援募金」を立ち上げ、東日本大震災と同様、教育を中心と るケースもあり、ストレスがたまり、精神的に不安定な状況に した復興支援を行うこととなった。 陥っている場合もある。 「くまがく応援隊スマイリア」では、最 緊急支援時から時期をずらして、被災地の学校や教育委員会 も被害の大きかった益城町・西原村で、運動や遊びを主体とし が復興に手をつけ始めた 5 月 11 日(水)~ 13 日(金)、日ユ協連 たレクリエーションを通じて心のケアをはかっており、9 月まで では 2 名の調査チームを熊本に派遣した。 に 15 回各地の避難所を訪れる予定だ。日ユ協連では、皆さまか 調査に伺ったのは、宇城市、熊本市、益城町、御船町、甲佐町で、 らのご支援の中から 60 万円を、活動にかかる交通費や遊びに使 被災校や教育委員会、社会教育関係施設を回った。 (お忙しい中、 うとび縄、カラーボールなどの道具の購入費、そして飲料水代や お世話になった皆さま方に御礼申し上げます。)また現地調査後 風呂代などに使用させていただくことにした。 も電話を通じて被災地の状況把握に努めた。 被災した学校の先生方や教育委員会の皆さまの話では、短期 的には学校がフレキシブルに使うことのできる資金があれば、 熊本県内のほかの大学の活動もサポートできるように、熊本ユ ネスコ協会とともにコンタクトを取っている。 今後も、熊本の子どもたちが早く普段通りの学校生活を送れ 学校運営に役立つとのこと。また授業が 80 時間以上も遅れてお るように努めていきたい。最新情報はその都度、ホームページな り、子どもたちのストレスがたまっているので、きめ細かなフォ どで順次報告させていただく。引き続き皆さまのご支援のほど、 ローが必要であるとのことであった。 よろしくお願いいたします。 (海外事業部:関口 広隆) これを受けて、日ユ協連では寄せられた募金を、被災が大き かった地域の学校、児童育成クラブなどで使用する「短期的な 資金支援」と、 「中期的な子どもたちへの学習・ストレスケア支 援」の 2 段階で使わせていただくことを考え、現地と調整を続 けた。 前者については、被害のひどかった益城町・南阿蘇村・西原 村の 3 地域を含め、熊本県の 13 の小学校・中学校・児童クラ ブへの必要な学用品・備品の購入、遠足の旅行代など学校の裁 量により自由に使っていただく資金支援(1 校当たり 10 万円か ら 20 万 円 )を 6 月 9 日 ( 木 )に 開 始 し た。さ らには学校が直接業者 に発注し、業者から連 盟に請求書を回しても らうという方式をとっ 熊本地震 子ども支援募金 へは 以下からご寄附いただけます。 て、学校の事務負担を 【お振込先】郵便局 ※全国の郵便局からお振込みいただけます。 極力少なくした。既に、 【口座番号】00140-0-634842 西原村と御船町の 3 つ の小学校で、理科実験 被災してものが散乱した 御船町小坂小学校の理科室 レクリエーションで心のケアをはかる「くまがく応援隊スマイリア」 備品や書架の調達が始 まっている。 【口 座 名】日本ユネスコ協会連盟 熊本地震 ※日本ユネスコ協会連盟へのご寄附は「税額控除」の 対象となります。 ユネスコ 2016.7 4 Open space for UNESCO activities ユネスコ活動の広場 各地ユネスコ協会の活動 ●足利ユネスコ協会(栃木県) 併せて講演と芸能フェスタを開催したが、配布用に用意した 2015 年 11 月 14 日、アピタショッピングセンター・コム 家庭菜園用の大豆 150 袋に対し、当日会場は 210 名を超える ファーストで第 8 回「わたしの町のたからもの」絵画展の表 地域の人たちで満席。これまでユネスコ活動に関心のなかっ 彰式を開催した。市内の小中学校から昨年の 2 倍となる 1241 た人びとに知っていただくよい機会となった。 点もの応募があり、うち入賞した 58 点と入選作約 600 点を同 会場で 5 日間掲示し、残部も閲覧できるよう配慮した。足利 の名所旧跡やお祭りをはじめ、身近にある風景や動植物を生 き生きと描いた作品が多く、レベルの高い作品展となった。 ●南砺ユネスコ協会(富山県) 人口減少と高齢化が進む南砺市で、持続可能な地域社会 を実現し、福野地域の次世代を担う子どもたちを育成しよ う と、2015 年 11 月 5 日( 木 )に 福 野 小 学 校 で 公 開 授 業 と パネルディスカッションを行った。1 月 29 日(金)には同 小学校で ESD を授業に取り込むための公開研修会を行い、 217 名の教職員や保護者たちが参加した。今回の研修会を 通して教員の ESD に対する意欲が向上できたことを実感 しており、今後児童への指導に反映されるものと期待して いる。 ●大阪府ユネスコ連絡協議会(大阪府) 2 月 21 日(日)、作家の神津カンナさんを講師に招き、シン 入賞作品を描いた子どもたち ポジウム「21 世紀を生きる私たち- 3.11 いのちの尊厳 つな がり」を開催した。東日本大震災から 5 年経ったいま、被災地 ●伊豆ユネスコクラブ(静岡県) 支援のボランティア活動に参加している高校生たちとユネス 3 月 13 日(日) 、 「ポパイとオリーブプロジェクト」と題した コ活動の会員(坂口箕面ユ協会長)らが集い、これまでの体験 体験学習イベントを開催した。同クラブの会員のほか、地域 で学んだことを共有し合った。こうした現場での具体的な活 の親子など総勢 50 名が参加し、東急グループから提供された 動を発表し、ともに考えていくプログラムは、市民のユネス オリーブ 400 本の 3 年苗を、南伊豆ゲレンデの標高 220 メート コ活動への啓発にも有益であると痛感した。 ルの緩斜面に植樹した。協働体験を通して初対面の子どもた ちや親たちの親睦が深まり、リラックスした雰囲気の中、作業 が進められた。3 年後の収穫までの間は毎秋ホウレン草の種を ●エリーニ・ユネスコ協会ユース(大阪府) 3 月 16 日(水)、あべのハルカス近鉄百貨店特設会場で、ユ まき、栽培を通して太陽、土、微生物、人間、栄養の関係を考え、 ネスコの視点から歴史文化遺産への理解を深め、保存の意義 命の大切さに気づくことのできる食育を推進する予定。 について考えることを狙いとし、市民を対象に日本ユネスコ 協会連盟が製作したドキュメンタリー映画「雄勝神楽の復興」 の鑑賞会と「3.11 を忘れない」と題したワークショップを行っ た。映画鑑賞のみにとどめずワークショップを導入したこと によって、東北の歴史文化遺産について参加者の理解を深め ただけでなく、未来遺産プロジェクトや民間ユネスコ運動へ の関心を高めることにもつながった。 ゆるい傾斜地に親子でオリーブの苗を植樹した ●ユネスコクラブ日本ライン(岐阜県) 無農薬栽培の国産在来種の大豆を「大豆トラスト」から入 手し、これを自分たちの手で増やすことを目的に「大豆っこ 運動」をスタート。5 月 9 日(月)は多治見第一農園で、14 日(土) は犬山第一農園で植え付けを行った。15 日(日)には総会と 5 ユネスコ 2016.7 東北の歴史文化遺産と震災について理解を深める機会となった 皆さまからのお便りをお待ちしています。 ●和歌山ユネスコ協会(和歌山県) 2015 年 12 月 31 日(木)の深夜から翌朝 1 時にかけて、和 ●石見地区ユネスコ協会(島根県) ゆ の つ 2011 年から約 5 年間かけて、 「石見銀山街道大森温 泉津往 歌山市岡山の時鐘堂で、 「大晦日の鐘を鳴らそう」を開催し、 還」12 ㎞のうち港まで約 4km の街道分岐点周辺の山中を調 485 人が参加した。毎年恒例で、多くの人が集う行事となっ 査した。途絶えかけていた土地伝承の民話を、寺の僧侶から ているが、今年はこの鐘を建立した徳川吉宗が将軍に就任し 偶然聞き取ったことがきっかけとなった。初めて名前を聞く て 300 年になることから、観光キャラクターの「吉宗くん」 古道を、ほかの民話の記述を手がかりに探索した結果、藪に も応援に駆け付け大盛況となった。年の節目の行事として毎 閉ざされて人知れず残る複数の古道群と、点在する石の貯水 年多くの人びとが参加するこの活動は、ユネスコの平和文化 槽や石垣、石切場などに遭遇できた。石見銀山前史とも呼べ 発信の礎になっている。 る港周辺の室町時代以前のようすについては、文献や情報が 乏しいため、周辺の遺跡保全のための要望書を島根県に提出 した。 ■3 月12日(土)東京都で第 507回理事会を開催した。 【第 507回理事会】 前回議事要録承認後、会員の入退会、組織運営部会長から、 (案)、組織・活動委員会からの報告、2016 年度事業計画及び 予算書、遺贈、熊本地震への対応について報告があった。ま た、評議員会終了後には、情報交換会を行った。 構成団体会員入会、3つの退会及び名称変更についての補足 説明、理事長より、維持会員1社の退会説明があり全会一致 で承認された。続いて、各部会(※)からの中間報告、定款・ 諸規程部会長からは、本理事会での承認部分を中心に改正点 の説明があった。続いて、2016 年度事業計画及び予算書(案) について説明があり、全会一致で承認された。 ■ 沖縄県宜野湾市で、6 月24日(金)に第 509回理事会、6 月 25日(土)に第 67回定時総会、 第 510回理事会を開催した。 【第 509 回理事会】 前回議事要録について一部修正の上、承認されることに なり、また、会員の入退会は全会一致で承認された。続いて、 各部会(※)の説明があった。また、2016 年 6 月の事業報告 ■ 5 月21日(土) 、東京都で第 508 回理事会ならびに第 39 回 評議員会を開催した。 【第 508回理事会】 前回議事要録承認後、事務局から、構成団体会員入退会、 及び今後の日程、仙台全国大会、後援共催事業について報告 があり全会一致で承認された。 【第 67回定時総会】 [第 1 号議案]2015 年度事業報告書(案)及び計算書類等 賛助団体会員申請についての説明があり全会一致で承認さ (案)の説明、 [第 2 号議案]理事の選出については、選考委員 れた。続いて、各部会(※)からの報告、定款・諸規程部会長 会委員長より三菱商事(株)藤村武宏氏、ANA ホールディン からは、理事会、評議員会で説明してきた内容について、と グス(株)大橋洋治氏の理事候補の提案、 [第 3 号議案]定款・ くに意見をいただいていない旨の報告があった。また、 「全 諸規定の変更について、 [第 4 号議案]役員の報酬について定 国青年的連絡組織」の希望を入れて、弾力的な運用をする 款・諸規定部会長から説明があり、それぞれ承認された。ま 旨の説明があった。続いて、2015 年度事業報告書(案)及び た、2016 年度事業計画書・予算書、70 周年ビジョン部会報 2015 年度計算書類等(案)について説明があり、全会一致で 告について承認された。 承認された。また、熊本地震の対応、遺贈などについて説明 があった。 【第 39回評議員会】 新しく加盟承認された、郡山次世代ユネスコ協会(福島 【第 510回理事会】 決議事項1:役員の互選について、第 67 回総会で、理事 に選任された ANA ホールディングス(株)大橋洋治氏が副会 長に、また、決議事項2:代表理事(副理事長)の選任につ 県)、北広島ユネスコ協会(北海道)、ICU ユネスコクラブ(東 いて、鈴木佑二氏が代表理事に選任された。 京都)に松田会長から加盟証書が贈呈された。前回議事要 ※各部会とは、① 70 周年ビジョン部会、②青年活動部会、 録承認後、2016 年 1 ~ 5 月までの事業報告及び今後の日程 ③定款・諸規程部会の 3 つの部会。 【個人会員・維持会員・賛助団体会員の皆さまへ】 これまで、構成団体会員(ユネスコ協会・クラブ)の研修の場として、全国 9 ブロックの 9 ヵ所で「ブロック別ユネスコ活動研 究会」を毎年、その年の主管ユネスコ協会と共催で実施してまいりました。本年度のテーマ「会員の拡充」にあわせて、一人でも 多くの会員の方に参加していただければとの思いから、個人・維持・賛助団体の各会員の皆さまにもご案内申し上げることに しました。別途郵送で資料をお送りしますので、ぜひお近くの活動研究会に足をお運びください。 なお、今後のご案内につきましては、メールを活用させていただきたく、現在お使いで、書類添付が可能なメールアドレスを、 member @ unesco.or.jp 宛にご連絡いただければ幸いです。なお、件名に必ずご自身の会員種別(個人会員/維持会員/賛助団 体会員)、お名前を明記の上、ご送信ください。また、今年度より個人会員の皆さまは、会費の自動引き落としも可能となりまし たので、合わせてご検討賜りますようお願い申し上げます。 ※ 詳細は郵便書類をご覧ください。 ユネスコ 2016.7 6 活動報告 ユネスコ協会 ESD パスポート 2016 年度スタート 児童・生徒のボランティア参加を奨励 トを「学校としてユネスコスクールの実 なった」 「 他者とのつながりや思いやりの し、学校と地域が協働して持続可能な社 践 と 関 連 さ せ て 捉 え て い る 」こ と が わ 態 度 が 深 ま っ た 」と 回 答。 「視野が広が 会づくりの人材育成を目指すのが「ユネ かった。ボランティア活動は、国際協力、 り何事も柔軟に対応できる力が身につい スコ協会 ESD パスポート」。今年度は昨年 国際交流、平和、文化、環境、防災、福祉 た」 ( 新居浜南高校)というコメントも。 度より増え、36 のユネスコ協会が参加す など多岐にわたる。児童・生徒が成長し 今年度も各地で充実した活動が展開され る。2015 年度参加校を対象に行ったアン た点として、半数以上の学校が「地域に ることを期待したい。 ケート結果をご紹介する。 対する関心が高まった」 「 積極的、自発的 回 答 し た 学 校 の 70 % が ESD パ ス ポ ー (国内事業部:古澤 真理子) にボランティア活動に取り組むように 東日本大震災子ども支援募金 ユネスコ協会就学支援奨学金 中学 3 年生から高校 2 年生までの 3 年 MUFG・ユネスコ協会 東日本大震災復興育英基金 [減災教育プログラム助成校リスト] 都道府県 学校名 間、返済不要の奨学金を支援する標記事 東日本大震災直後の 2011 年 4 月、三菱 業。高校入学前、家庭では受験費用や制 UFJ フィナンシャル・グループ(MUFG) 服、鞄、体操着など、入学準備のためさ と協働して標記基金を創設。震災によっ まざまな物品購入が必要となる。入学後 て親を亡くした小学校から高校までの 宮 城 県 気仙沼市立面瀬小学校 も、教科書や通学定期、部活のユニフォー 児 童・ 生 徒 を 対 象 と し た 奨 学 金 給 付 事 宮 城 県 仙台市立郡山中学校 ム、修学旅行費など何かと出費が続く。 業で、これまでの給付実績は 1483 人に 本奨学金では、とくに出費が重なる入学 のぼる。2016 年度奨学生は 806 名。 準備時にも奨学金を活用してもらえるよ 新規奨学生の募集は 2014 年度をもっ 岩 手 県 宮古市立川井小学校 岩 手 県 盛岡市立玉山中学校 宮 城 県 宮城県多賀城高等学校 新 潟 県 新潟県立新潟県中央工業高等学校 う、中学 3 年次からの給付を行っている。 て 終 了 し た が、奨 学 金 事 業 は 最 終 奨 学 群 馬 県 群馬県立渋川工業高等学校 親御さんからは、 「制服やジャージを揃 生が高校を卒業する 2025 年度まで継続 えてあげられました」など、多くのメッ する。 茨 城 県 日立市立豊浦小学校 セージが寄せられている。 育英基金ではこの他にも、TOMODACHI・ 茨 城 県 常総市立石下中学校 MUFG 国際交流プログラムへの招待など、 長 野 県 長野市立湯谷小学校 被災した家の 心のケアを念頭とした事業を実施して 長 野 県 白馬村立白馬中学校 住宅ローンの いる。 いままさに、 (国内事業部:仁藤 里香) 返済を抱えな がら、新しい土 地での生活再 建に奮闘して 静 岡 県 浜松市立西部中学校 和歌山県 和歌山市立高松小学校 2016 年度 第3回 アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラム助成校決定 大 阪 府 大阪市立晴明丘小学校 兵 庫 県 兵庫県立尼崎小田高等学校 いる親御さん 東日本大震災の経験や教訓を学校防 に と っ て、教 災の強化につなげる本事業。今年度の助 育費の不安が解消されることは家計にお 成 校 の 審 査 が 終 了 し、20 校 へ の 助 成 が 愛 媛 県 愛南町立城辺小学校 いても精神的にも大きい。皆さまからの 決 ま っ た。助 成 校 に は 10 万 円 を 支 援 す 福 岡 県 福岡県立武蔵台高等学校 貴重な募金が、子どもたちの未来への希 るとともに、9 月に行う教員研修会には 望につながるよう、支援を継続していく。 各地から先生方が参加する。 (国内事業部:上岡 あい) (国内事業部:上岡 あい) 兵 庫 県 兵庫県立赤穂高等学校 定時制課程 長 崎 県 長崎県立鹿町工業高等学校 佐 賀 県 玄海みらい学園 未来遺産運動 チームエナセーブ 未来プロジェクト 4 年目突入! 住友ゴム工業株式会社(ダンロップ) との協働事業として始まった標記プロ の方々との交流も生まれ、毎年の恒例事 業として定着してきた。 ジェクトが 4 年目を迎えた。プロジェク プロジェクト未来遺産は、これからも ト未来遺産に登録されている団体などの 地域のかけがえのない自然や文化を守っ 活動地域で、同社社員が草刈りや田植え ている活動の登録を進めるとともに、企 などのボランティア活動を行っている。 業をはじめさまざまな方に運動に参加し 今年度は 8 ヵ所で行われるが、それぞれ てもらえる取り組みを進めていく。 の活動地域では、社員と登録団体、地域 (国内事業部:尼子 美博) 住友ゴム工業社員と地元の子どもたちが 一緒になって田植えを行った 7 ユネスコ 2016.7 活動報告 世界寺子屋運動 from カンボジア 村人待望! 新規寺子屋オープン 日本ユネスコ協会連盟では、1994 年 電気が来ていないためソーラー発電装 た支援活動こそが真の国際協力である からカンボジアで地域住民のための 置、その電力で作動する電動井戸ポン という思いを新たにした。 教 育 支 援 を 行 っ て き た が、2006 年 に プ、飲料水浄化装置が設置された。こ ス タ ー ト し た 第 2 フ ェ ー ズ で 15 番 目 れら全ての設備費用、建設費、今後の となる寺子屋(現地では地域学習セン 運営費は、民間ユネスコ運動の寄附で ターと呼ばれる)の開所式が 3 月 22 日 賄われることになる。 にあり、日ユ協連からは間瀬理事と宍 この寺子屋には、成人に読み書きと算 戸職員が参加した。当日は 600 人の村 数を教える識字率向上クラス、さまざま 人が集まり、日本からは千葉県ユネス な理由で小学校を中途退学せざるを得 コ協会連絡協議会元会長の高田敏秋氏 なかった子どもたちのための復学支援 を団長として、成田ユ協、富里ユ協か クラス、成人に職業訓練を実施するクラ ら各 1 名、計 3 名が出席、現地行政機関 スの、計 3 つのクラスが設置される。 からはカンボジア政府の教育・青年・ カ ン ボ ジ ア で は、寺 子 屋 は ノ ン スポーツ省の No.3 であるノ・スレ審 フォーマル教育の一環を担うものと 議官はじめシェムリアップ州副知事、 位置づけられており、小学校を途中で アンコールチュム郡長が出席した。 やめざるを得なかった子どもたちが 1 今回開所式を迎えたスレ・クバーブ ~ 2 年の復学支援プログラムを受けれ 寺子屋のあるロンダス村は、カンボジ ば、小学校卒業資格が与えられる。今 ア北西部に位置する世界遺産アンコー 後、国が各地に設置する寺子屋のモデ ルワット遺跡で有名なシェムリアップ ルとなるものと期待されている。寺子 市から車で 2 時間ほど。ちなみに校舎自 屋設置を中心とした教育支援活動は地 体の建設費は約 500 万円。建物面積 128 元住民・自治体に大変喜ばれており、 ㎡、教室数 3 室を持つ。村にはいまだに 地域に根差した純民間ベースのこうし from アフガニスタン (理事:間瀬 雅晴) スレ・クバーブ寺子屋の開所式に 集まってきた子どもたち 寺子屋には図書室も設けられた バボ村寺子屋で識字クラスがスタート 2015 年 12 月に首都カブール西部の 125 人を対象に実施する。 パグマン郡バボ村に完成したバボ村寺 寺子屋では識字教員の選抜試験も実 子屋では、2016 年 6 月から新しい識字 施。寺子屋プロジェクトから教科書を クラスが始まった。新しい寺子屋の建 はじめ、ノートや鉛筆などの文房具が 物のほか、識字教員の自宅や民家など 提供された。 も利用してクラスを行っている。今年 (海外事業部:鴨志田 智也) 度、9 ヵ月間の識字クラスを 5 クラス、 真新しいノートや教科書が配られた 一杯のスプーン 天空の杜 プロジェクト 寺子屋運営委員に衛生教育トレーナー研修 事業協力:株式会社富山環境整備 輸送協力:日本郵船株式会社 今年 7 月から、カン ボジアの寺子屋 15 軒 など読み書きのできない人にも伝わる 指導法を学んだ。 を拠点に、貧困層を対 コックスロック寺子屋から参加した 象とした衛生教育が始まる。それに先 ファルさんは、 「村の皆が正しく水の安 立ち、各寺子屋の運営委員 36 名に 3 日 全性や衛生について知れば、自分たち 間のトレーナー研修を行った。参加者 で病気を防ぎ、健康な生活が送れると はプロジェクトのオリジナルテキスト 信じています」と語った。 を使いながら、ワークショップを開く (海外事業部:宍戸 亮子) 「正しい知識を得て病気を防ぎたい」と語る ファルさん ユネスコ 2016.7 8 活動報告 ネ パ ー ル 地 震 支 援 ●緊急支援から中期的支援まで 4 軒の寺子屋のうち被害の大きかった チタポール寺子屋は、公立小学校の 2 階 部分に新しく建物を建設。ほかの 2 軒の 2015 年 4 月 25 日 に ネ パ ー ル 中 部 を 震 寺子屋についても補修を行った。また、災 源 と し た M7.8 の 地 震 が 発 生 し、9000 人 害時も利用できる貯水タンクを各寺子屋 近 い 方 が 亡 く な り、50 万 以 上 の 家 屋 が に設置した。 全壊するなど甚大な被害をもたらした。 2015 年 12 月には、仮設住宅に住む人び 日本ユネスコ協会連盟では、現地パート とや高齢者を対象に、毛布やダウンジャ ナーを通じてカトマンズ近郊の寺子屋が ケットなどの衣料品を提供した。 ある 4 地域を中心に緊急支援および復興 中期的な支援としては、奨学金の支給、 職業訓練、防災教育の教材作成、カウン 支援を実施した。 震災直後の 5 月からは、食料や毛布な セリングなどを行っている。現在、仮設 どの緊急支援物資をはじめ、地域から要 住宅に住む子どもなど 39 人に奨学金を支 望が高かった瓦礫除去のための道具(手 給。ほかに、就業支援も実施している。さ 押し車、シャベル、ヘルメット、はしごな らにネパールの現地団体とも協力し、防 ど)を提供。仮設住宅用のテントやトタ 災のための教材を作成、寺子屋や学校で ンも提供した。 防災ワークショップを開催した。 日ユ協連では、4 軒の寺子 屋を通じ、奨学金の支給や被 災者への職業支援、防災教育 を 2017 年 1 月まで継続的に 実施する。 (海外事業部:鴨志田 智也) 毛布や防寒具を提供した 世 界 寺 子 屋 運 動 ネパールでは識字クラスのフォロー アップを実施。 ネパール政府は、これまで実施して きた「ネパール識字ミッション(3 ヵ月 の基礎識字クラス) 」で、多くの地域が 識字地域(95%以上の識字率)になっ たと宣言。しかし、プロジェクト地の ルンビニやカトマンズ近郊でも、政府 の識字クラスに参加したものの十分な 識字能力を習得していないケースが少 なくない。 そのため、寺子屋プロジェクトで は、ネパール政府による識字クラスの フォローアップとして、3 ヵ月間の識 字後クラスを実施し、1718 人が卒業 した(1984 人が受講)。読み書きや計 算の能力が身についただけでなく、公 衆衛生や女性の権利などについても 学んだ。 (海外事業部:鴨志田 智也) 手押し車などの道具は瓦礫 撤去に役立てられている 識字後クラスで学ぶ女性たち 世界遺産活動 寺子屋の子どもたちへの 世界遺産教育スタート! カンボジアの子どもたちの多くは、ア ンコール遺跡について学んだり訪れたり する機会がないため、当連盟では以前、塗 り絵教材を制作し、シェムリアップ州の 小学校に配布した。 今年度は、2010 年に制作した同教材を 活用し、現在、7 地域の寺子屋で実施して いる 10 の復学支援クラスに通う子どもた ちを対象に、世界遺産を学ぶ授業を行う。 第 1 段階として、6 月 3・4 日に、寺子屋 の運営委員と復学支援クラスの先生に対 するトレーニングを行った。先生たちは、 アンコール・ワット、バイヨン寺院、タ プローム、プレアカーンの 4 遺跡の 16 モ チーフに関する意味や歴史を学び、遺跡 を訪問して課外授業の練習を行った。今 後は、寺子屋の復学支援クラスで授業を 行い、課外授業を実施する予定。 (海外事業部:青山 由仁子) 9 ユネスコ 2016.7 海外の動き バンコク国際会議 通信技術)を使ったクラスや教員の質 (CommunityLearningCenter:公民館 の改善など、多様なテーマで講演や意 や当連盟の「寺子屋」が該当)の事例と 見交換が行われた。 将来の可能性について議論が行われた。 世界寺子屋運動では、カンボジアと アジア太平洋地域には約 38 億人が暮 ネパールで、学校に行っていない、ま らし、うち約 1 / 3 がインターネット利 バ ン コ ク 事 務 所 が 主 催 す る Asian たは中途退学した子どもへの復学支援 用者。しかし初等教育では 3000 万人以 EducationSummitonFlexibleLearning (初等教育)を行っている。事業の質の 上の子どもが学校に通っておらず、世 StrategiesforOutofSchoolChildren が 改善や評価方法についても示唆に富ん 界の非識字者の 6 割以上がいる。一方、 タイのバンコクで開催された。アジア だ会議だった。 ICT の急速な発達で教育システムは大き 2 月 24 日(水)~ 26 日(金)、UNESCO の政府関係者、国連職員などおよそ 400 (海外事業部:鴨志田 智也) く変わりつつある。 事例発表では、高齢化や地域再生の 人が参加した。 課題を抱える先進国、非識字者や中途 学校に通えていない。その要因は、地 UNESCO バンコク会議 「生涯教育におけるICT 活用事例研究」 理的な要因、紛争の影響、世帯収入な 5 月 9 日( 月 )~ 11 日( 水 )、タ イ・ CLC への ICT の導入で教育へのアクセ どの経済状況、ジェンダー、少数民族 プーケットで UNESCO バンコク事務所、 スが大幅に改善し、生活の向上に寄与 や宗教マイノリティなど多様である。 韓国ユネスコ国内委員会、韓国・チャ した例が示された。ネット環境のない 教育機会の喪失は GDP 減少などにつな ンウォン市の主催、韓国生涯教育振興 インドの農村では、ICT 研修を受けた がるが、逆に教育を受ける人が増える 院などの協力による会議「Changwon 女性が、携帯メッセージ機能で農作物 ことで、政治参加の増加、紛争後の平 / U N E S C O A s i a P a c i f i c R e g i o n a l の市場価格を発信する事業を起こし、 和構築へのプラス効果、気候変動に柔 EducationConference2016」が開催さ 安定収入を得られるようになったと 軟に対応できるなどの効果があること れた。アジア太平洋地域 30 ヵ国から国 いう。今後の世界寺子屋運動にも参考 が説明された。会議ではほかに、学校 連機関、各国教育省など約 170 名が集 にしていきたい。 に行けない子どもへの対策、ICT(情報 まり、オンライン生涯教育を通じた CLC 現 在、1 億 2400 万 人(5 ~ 15 歳 )が 退学児童の多い国、いずれにおいても (海外事業部:宍戸 亮子) ユネスコ 2016.7 10 日本ユネスコ協会連盟からのお知らせ ●構成団体会員 お知らせ 【浅草ユネスコ協会(関東ブロック)】 事 務 局 人 事 (7 月 1 日現在) 2015 年度寺子屋リーフレット受賞作品 代 表 者:杉本美由紀 世界寺子屋運動を通して小・中・高校 加 盟 日:3 月 12 日 生が識字問題について考え、自分にでき 所 在 地:東京都台東区西浅草 ることを実践に結びつける学習プログラ ム「寺子屋リーフレット制作プロジェク 主 な 活 動:浅草の伝統文化の紹介と体 ト」。2015 年度は全国から 23 校・約 1700 験教室の開催、着物の着つけ体験、食事作 名の児童生徒が参加し、書きそんじハガ 法など、正しい日本文化を学んでいただ キ回収活動のリーフレットをデザインし く事業、駄菓子協会とのタイアップによ 国内事業部長(兼):長倉義信 ました。最優秀賞「日本ユネスコ協会連 る体験イベントなどを実施する予定。 国内事業部補佐(兼):織田勝美 盟賞」には愛知県立津島北高等学校3年 【ICU ユネスコクラブ(関東ブロック)】 (当時)の飯田麻衣さんの作品が選ばれま 事務局長:川上千春 事務局次長:長倉義信 2 丁目 -1-9 もと木宛 代 表 者:景山温(国際基督教大学 3 年) 【海外事業部】 副部長・海外事業部長代理:関口広隆 主任:青山由仁子、鴨志田智也 職員:宍戸亮子 【国内事業部】 副部長:古澤真理子 主任:尼子美博、木村まり子、本間雅子、 上岡あい 加 盟 日:3 月 12 日 した。 所 在 地:東京都三鷹市大沢 3-10-2 職員:渡辺大修、仁藤里香、伊藤寿々子、 井上葵 主 な 活 動:学生が主導してカンボジア や国内へのスタディツアーを実施。毎週 金曜日には社会的課題をテーマにした アシスタント:新地留美、戎井七重 【総務部】 勉強会を開催している。 総務部長(兼):織田勝美 ●ユネスコ・がんばろい大牟田の会(九 副部長:根本清美 州ブロック)の名称が変更となり、新名称 職員:小澤万里 は「大牟田ユネスコ協会」となりました。 ●維持会員 募集 マイスター会計事務所 「民間ユネスコ運動 ~夏のキャンペーン~」開催中 「みどりの絵コンクール」作品募集 ●賛助団体会員 公益社団法人日本バリュー・エンジニア 「守ろう地球のたからもの」プロジェク 7 月 1 日( 金 )~ 8 月 31 日( 水 )の 2 ヵ リング協会(通称:VE 協会) トの一環として、三菱 UFJ 環境財団との共 月間、全国各地で平和を祈り、平和につ 団体概要:会 員 を 対 象 に 仕 事 の 進 め 方 催で実施しています。絵を描くことを通 いて考える機会を社会に投げかけ、来年 や改善手法、見直し方 ( 価値観の変容と じて子どもたちが自然に親しみ、自然の 70 周年を迎える民間ユネスコ運動を一 行動による解決策を導く方法 ) をワー 美しさ・大切さを知ることを趣旨として 緒に盛り上げていきましょう。次号で「民 クショップなどの研修を通して行って います。第 41 回となるコンクールの作品 間ユネスコ運動の日」である 7 月 19 日前 いる。 を募集中です。応募先は三菱 UFJ 環境財 後に各地で行われた活動を中心にキャン 代 表 者:近藤史朗 団。詳細は 6 月号ユネスコ協会便に封入の (株)リコー代表取締役会長 ペーンのようすを紹介します。 募集要項で。 7 月 19 日は 1947 年に仙台ユネスコ協 ●個人会員 ○締 切:9 月 13 日(火)消印有効 力会が世界初の民間ユネスコ団体として 赤城弘一、鎌田右子 、鈴木正元、 ○問合せ:国内事業部「みどりの絵コン 誕生した 記念すべき日です。全国各地の 長谷川祐弘 ユネスコ協会会員がいっせいに活動する クール」係 今後の主要事業日程 ことで、より多くの人びとに民間ユネス コ運動を伝えていきましょう。 8 月 8 ~ 11 日 「第 48 回ユネスコ子どもキャンプ in 千葉」 (千葉県) ○問合せ先:国内事業部 8 月 2 ~ 12 日 第 3 回高校生カンボジアスタディツアー 9 月 3・4 日 関東ブロック・ユネスコ活動研究会(東京都渋谷区) 2015 年度「活動レポート」ができました 9 月 3・4 日 中部東ブロック・ユネスコ活動研究会(山梨県忍野村) 9月5~8日 AFUCA 執行委員会(カザフスタン) 9 月 10 日 第 511 回理事会 2015 年度の日本ユネスコ協会連盟の 活動をまとめた「活動レポート」ができ ました。下記のホームページでご覧くだ 2016 9 月 19 ~ 21 日 アクサ ユネスコ協会減災教育プログラム教育研修会(宮城県気仙沼市) さい。http://www.unesco.or.jp 10 月 1・2 日 東北ブロック・ユネスコ活動研究会(山形県酒田市) 10 月 8・9 日 北海道ブロック・ユネスコ活動研究会(北海道恵庭市) 新入会員のお知らせ(敬称略) 10 月 15 日 近畿ブロック・ユネスコ活動研究会(奈良県吉野郡) 第 507 回理事会(2016 年 3 月 12 日)、第 508 回理事会(2016 年 5 月 21 日)、第 509 回理事会(2016 年 6 月 24 日)で新しい仲 間が増えました。 11 月 12 日 第 512 回理事会、第 40 回評議員会 11 月 19・20 日 中部西ブロック・ユネスコ活動研究会(愛知県名古屋市) 11 月 26・27 日 四国ブロック・ユネスコ活動研究会(愛媛県今治市) 12 月 10・11 日 中国ブロック・ユネスコ活動研究会(島根県太田市) 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟は、UNESCO憲章の精神に共鳴した人びとによって1947年、世界にさきがけ仙台で始まった、民間ユネスコ運動の日本に おける連合体です。現在全国に287のユネスコ協会があります。会長:松田昌士 副会長:加藤玲子・太田原弘・林美紀子・大橋洋治 理事長:野口昇 2016 年 7 月1日発行 通巻第 1153 号 第 3 種郵便物認可(1、4、7、10 月の 1日発行・年 4 回) ●発行/公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟 東京 00150-9-56030 ●購読料 1000 円(1年・送料込) 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿 1-3-1 朝日生命恵比寿ビル 12 階 TEL 03(5424)1121 FAX 03(5424)1126 発行人:野口 昇 再生紙を利用しています
© Copyright 2026 Paperzz