No 74 海外漁業協力 № 74 2016.6 Overseas Fishery Cooperation Foundation of Japan X4_漁外漁業協力 No74_表紙.indd 4-1 公益財団法人 海外漁業協力財団 2016/07/21 13:33 世界の漁港 イムスワン(Imsouane)漁港 モロッコ王国は北部は地中海、西部は大西洋に面して約 3,500㌔㍍の海岸線を持ち、約 100 万平 方㌔㍍の排他的経済水域(EEZ)を有している(出典:http://comhafat.org/en/)。大西洋岸は海 流のぶつかる海域でもあることから、魚種の豊富な好漁場であり、イカ、タコは日本、EU( 南欧 ) に も輸出されている。 イムスワン漁港はその大西洋岸にあり、観光都市アガティールの北部約 100㌔㍍に位置する。同 国の水産業は北アフリカの中では最大の規模であるが、拠点の 1 つである同港のような沿岸小規模 漁業の生産量は多くはない。イムスワン漁港は、1995 年頃からの日本の水産無償資金協力で、消波堤、 倉庫、スリップウエイなどの漁港施設の整備を行い、多少の荒天時にも出漁できるようになった。ま た日本政府は漁業協同組合の設立を支援し、同港の運営管理能力を向上させ、生産力を上げることに も貢献した。 通常、漁船には 3 - 4 人の漁師が乗船し、底はえ縄漁を主体とした漁業を行っており、ヨーロッ パオオアナゴ、エイ、カレイなどを漁獲している。また、三枚網による底刺し網漁も行われており、 メルルーサ、イカ、シタビラメなどが漁獲され、夏季には、かご漁でオマールエビ漁を行っている。 漁獲物は仲買人によって競り落とされ、アガディールの魚市場で販売される。 貸付制度について 当財団は、我が国漁業者等が海外の地域で、沿岸漁業等 の開発振興、国際的な資源管理の推進、現地合弁法人の設 立等の海外漁業協力事業を行う場合、これらの漁業者等に 対してその事業に必要な資金について融資を行っています。 貸付対象、資金の種類等は次のとおりです。 1.貸付対象となる事業 実施する海外漁業協力事業が次に該当することが必要です。 (1)我が国海外漁場の確保との関係において行われるも のであること。 (2)我が国政府の支持のもとに行われるものであること。 (3)水産関係団体の支持態勢がととのっていること。 2.貸付対象者 本邦法人、本邦人、本邦法人等の出資に係る現地法人、国際機関 3.資金の種類等 (1)無利子融資[手数料 年 0.5 %以内、償還期限 30 年 以内(うち据置期間5年以内)] ① 海外の地域の沿岸漁業開発及び国際的な資源管理 の推進等に寄与するための協力事業で、 (ア)海外の地域の政府、現地法人等に施設等を譲渡 するために必要な資金 (イ)海外の地域で行う事業に必要な資金で相手国政 府、現地法人等に貸付けるために必要な資金 (ウ)海外の地域で行う開発可能性調査その他の技術 協力に必要な資金 (エ)入漁との関連で相手国に支払う漁業協力金等 ② 現地法人の設立等海外投資により行う事業で、そ の効果が主として周辺の住民生活向上に寄与すると 認められる事業に必要な資金等 (2)低利融資[利率は市場実勢に応じて、円貨の場合は 年1.0%以上、外貨(米ドル)の場合は 年3.0%以上、 償還期限20年以内(うち据置き期間5年以内)] 海外の地域において現地法人等の設立等海外投資に より行う協力事業で、 ① 現地法人等に出資し、又はその株式を取得するた めに必要な資金 ② 本邦法人等の出資に係る現地法人等に貸付けるた めに必要な資金で、設備資金その他長期資金に充て られるもの ③ 本邦法人等の出資に係る現地法人等に出資しよう とする海外の地域の政府、現地法人等に対して、こ れに要する資金を貸付け又は施設等を譲渡するため に必要な資金等 4.融資割合 原則として海外漁業協力事業の実施のために必要な資 金の70%相当額 5.担 保 銀行保証、その他物的担保等 公益財団法人 海外漁業協力財団 融資部 審査課 電話:03-6895-5382 Fax:03-6895-5388 海外漁業協力 第74号 空から見たイムスワン漁港 底はえ縄漁船 漁獲対象はヨーロッパオオアナゴ 発行人 粂 知文 編集人 内田 和久 発行所 公益財団法人 海外漁業協力財団 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目2番2号 虎ノ門30森ビル (TEL) 総務部 (03) 6895-5381 融資部(03) 6895-5382 事業部(03) 6895-5383 (FAX)(03) 6895-5388 (URL) http://www.ofcf.or.jp/ 印刷所 松本印刷株式会社 発刊日:2 0 1 6 年 6 月 漁船とスリップウエイ X4_漁外漁業協力 No74_表紙.indd 2-3 漁船の浜揚げ 裏表紙の写真:モロッコ 「マサガン(アル・ジャディーダ)のポルトガル様式市街」城壁と海 2016/07/21 13:33 No74 目 次 世界の漁港 モロッコ イムスワン漁港 水産ニュース 評議員会及び理事会報告……………………………………………………………… 1 海外漁業協力検討ワーキングチーム会合の結果について………………………… 2 COMHAFAT/ ATLAFCO特集 大西洋沿岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議…………………………………… 5 ベナブー事務局長へのインタビュー…………………………………………… 8 COMHAFATの活動事例紹介… …………………………………………………11 連載 キリバス共和国離島訪問記(第1回)……………………………………………………15 財団ニュース インドネシア・まぐろ類培養研究 プロジェクトの現在… …………………………17 第26回日中韓研究者協議会開催…………………………………………………………19 水研OBの新人が見た財団(OFCF) ……………………………………………………24 水産指導者養成持続的利用コースでの岩手・宮城現地視察…………………………28 海外漁業協力財団のインターンシップを終えて………………………………………33 マーシャル諸島から見た日本、そして海外漁業協力財団……………………………35 主な動き……………………………………………………………………………………37 外国要人等の招請…………………………………………………………………………39 国際会議等支援……………………………………………………………………………39 専門家派遣等………………………………………………………………………………39 海外派遣専門家リスト……………………………………………………………………40 政府ベースの漁業協力 水産無償����������41 調査団の派遣��������41 専門家の派遣��������41 漁業交渉・国際会議�����41 ご案内 求人のご案内 海外漁業協力事業のための賛助会員・寄附の募集 貸付制度について 財団案内 表紙の写真:モロッコ イムスワン漁港 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 1 2016/07/21 14:42 水産ニュース 評議員会及び理事会報告 総務課長 坂田 重登 6 月14日(火) 、平成28年度第 1 回評議員会が 漁業交渉に側面から貢献できているものと考えて 開催され、平成27年度の事業報告と決算が承認さ います。 れました。また、評議員及び理事並びに監事につ 平成28年度においては、水産庁の補助事業であ いては任期満了に伴う改選が行われ、同日に開催 る国際漁業振興協力事業を引き続き実施すること された第 2 回理事会で代表理事及び業務執行理事 となり、補助金予算は492百万円で前年度比 5 % を選定し、引き続き竹中理事長、粂専務理事、高 の増額となりました。今年は、 3 年ぶりにワシン 橋常務理事の体制となりました。 トン条約締約国会議が、また、 2 年ぶりに国際捕 竹中理事長は、今回の改選により 2 期目の就任 鯨委員会総会が開催されるなど水産資源の持続的 となります。財団がこれまで実施してきた事業の 利用に関して重要な会議が予定されており、財団 他、今年度から新たに実施する事業も含め多様な としては、関係国との仲間づくりを強化するため 協力を通じて、従来にも増して積極的に人づくり、 新規事業にも取り組んでいるところです。新規事 仲間づくりを進め、役職員一丸となって海外漁場 業の一つは、海外からの研修生受入事業で、従来 の確保と水産物の安定供給に貢献するため全力を の 4 コースに加え持続的利用コースを新設し、 尽くす所存であると決意を新たにされているとこ 5 月に関係国政府の管理職クラス11名を日本に招 ろです。 き水産資源の持続的利用に関する講義や漁協、魚 評議員会の冒頭、竹中理事長は、土井全二郎評 市場の現地視察等を行いました。また、水産資源 議員が 5 月23日に急逝されたことに触れ、長年、 の持続的利用に関する会議も開催する予定です。 財団の外部有識者評価委員も務められた土井評議 先般、自民党で開催された、海外漁業協力検討 員のこれまでのご功績とご厚情に敬意を表すると ワーキングチームでは、今後の海外漁業協力につ ともに、哀悼の意を表しました。 いて、水産資源の持続的利用の推進及び海外漁場 平成27年度決算は、長引く低金利の影響などに の確保に向け、関係省庁や団体が緊密に連携して、 より収入が伸び悩み、11百万円の赤字決算となり 水産無償や技術協力などODAを戦略的に活用し ました。平成27年度事業については、財団が南太 ていくべしとの提言がまとめられました。財団も、 平洋で長年実施してきている水産関連施設の修 協力事業の効果が発揮できるよう水産庁及び関係 理・修復事業、いわゆるFDAPIN事業や、2010年 業界、関係団体と連携し、これまで長年にわたり から実施しているキリバスへの「漁業アドバイザ 築いてきた関係沿岸国との信頼関係を更に強化す ー派遣」 、2010年からソロモンで実施している「ナ ることとしています。 マコ資源管理プロジェクト」 、2013年からパプア・ 引き続き皆様のご支援、ご協力をお願いいたし ニューギニアで実施している「定置網漁業に関す ます。 る基礎調査プロジェクト」 、また、2014年からパ ラオで実施している「シャコガイ種苗生産振興プ ロジェクト」などに代表される事業は、それぞれ の政府の評価も高く、我が国まき網漁業者のVD (隻日数)の確保やはえ縄漁業者の入漁に関する 1 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 1 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:42 水産ニュース 海外漁業協力検討ワーキングチーム(自民党水産部会)会合の結果について 総務部長 首藤 剛 自由民主党水産部会は、本年 2 月に「海外漁業 産部会はこれを承認しました。 協力検討ワーキングチーム」 (以下「漁業協力W 当財団も海外漁業協力の実施機関として同会合 T」という。 )を立ち上げ、 2 月17日、 3 月14日、 への参加を求められ、漁業協力WTでの議論に直 5 月12日の三回にわたり会合を開催しました。漁 に接する機会を得たので、その概要につき報告し 業協力WTは、これらの会合での議論をとりまと ます。 め、 5 月18日に開催された水産部会に報告し、水 海外漁業協力検討ワーキングチームのメンバーと開催日程 メンバー 座長:長峯誠(参、宮崎) 幹事:武部新(衆、北海道12区)、井林辰憲(衆、静岡 2 区)、小林鷹之(衆、千葉 2 区)、大野 敬太郎(衆、香川 3 区)、國場幸之助(衆、比例九州)、宮崎政久(衆、比例九州)、宮路拓 馬(衆、比例九州)、古賀友一郎(参、長崎)、高野光二郎(参、高知)、滝沢求(参、青 森)、島村大(参、神奈川)、吉川ゆうみ(参、三重) 顧問:小野寺五典(衆、宮城 6 区)、鈴木俊一(衆、岩手 2 区)、浜田靖一(衆、千葉12区)、山 本公一(衆、愛媛 4 区)、金子原二郎(参、長崎)、牧野たかお(参、静岡) 開催日程 第 1 回会合( 2 月17日13:00~14:00 於:自民党本部ブロック第 5 会議室) 第 2 回会合( 3 月14日15:00~16:00 於:自民党本部706会議室) 第 3 回会合( 5 月12日16:30~17:30 於:自民党本部706会議室) 第 1 回会合では、水産庁と外務省が海外漁業協 ハイレベル外交には議員外交も加えるべき等の提 力の現状、推移について説明し、これに基づいて 案があり、とりまとめの修正は座長に一任の上、 質疑応答と議論が行われました。第 2 回会合では 5 月18日の水産部会で報告されることとなりまし 業界団体(日本かつお・まぐろ漁業協同組合、 た。 (一社)日本トロール底魚協会)が海外漁業協力 に関する意見・要望を説明し、業界からの要望を 踏まえた議論が行われました。 第 3 回会合においては、長峯座長がこれまでの 議論をもとに論点を整理し、提言とりまとめ私案 を配布しました。これに対し皆内容に賛同しつつ、 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 2 海外漁業協力 第74号 2016.6 2 2016/07/21 14:42 水産ニュース 水産部会( 5 月18日08:30~09:00 於:自民党本部704会議室) 長峯座長から以下に掲げる「海外漁業協力検討 ンスをレビューしていきたい。 」と述べ、 4 か月 WTとりまとめ」が報告されました。外務省は 間にわたり開催された漁業協力WTは終了となり 「水産庁と連携しながらODAをより積極的に活 ました。 用したい」 、水産庁は「ODAを入漁交渉や国際 会議の仲間作りに積極的に活用したい。また、水 産部会において折々に無償資金協力のパフォーマ 平成28年 5 月12日 海外漁業協力検討ワーキングチーム 海外漁業協力検討WTとりまとめ 1 .はじめに 海外漁業協力検討WTでは、海外漁場の確保と海洋生物資源の持続可能な利用の促進を図るため、 28年 2 月から平成28年 5 月まで、 3 回にわたって会合をもち、外務省、水産庁、独立行政法人国際 協力機構(JICA)及び公益財団法人海外漁業協力財団から海外漁業協力の現状把握並びに漁業団体か らのヒアリングを実施し、議論を行った。 以下に、これまでの議論を踏まえて今後の政策展開について提言する。 2 .今後の海外漁業協力に関する政策展開 ( 1 )基本的考え方 遠洋漁業の維持・発展を図るためには、国際競争力のある経営体の育成に向けた漁業経営の体質 強化を進めるとともに、科学的根拠に基づく海洋生物資源の持続可能な利用に向けた国際的な協力 体制の構築、外国排他的経済水域及び公海域における漁場の確保をしていく必要がある。 このため、ハイレベル外交などの働きかけを積極的に行うとともに、水産無償以外の海外漁業協 力施策も含め、関連施策の充実・強化を図り、関係省庁・団体の連携の下、戦略的に各種施策を展 開すべきである。 ( 2 )充実・強化すべき事項 ア 強力な水産外交の推進 ① 国際会議や二国間の漁業交渉の日程を踏まえ、ハイレベル外交において、水産無償以外の ODAも活用した働きかけを積極的に行うべき。 ② 各在外公館において、漁業交渉等における働きかけ及びハイレベル外交のフォローアップ を一層積極的に行うべき。 ③ 議員外交の機会も活用し、働きかけを行うべき。 イ 海外漁業協力の戦略的実施 ① 国際的な協力体制の構築及び漁場の確保に対し、海外漁業協力がどのように効果があった か評価し、今後の海外漁業協力について検討すべき。 3 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 3 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:42 水産ニュース ② 国際会議や漁業交渉等を我が国に有利に進めるため、海外漁業協力の実施に当たっては、 関係省庁・団体間での連携を強化すべき。 ③ 相手国のニーズを踏まえ、漁港や市場などの従来の水産無償に加え、必要に応じ、取締船 の燃油供与などの機材供与等も活用し,迅速かつ柔軟に海外漁業協力を展開。なお、取締 船の燃油などについては、相手国の実情を把握の上、毎年実施ができるようにすべき。 ④ 必要な水産無償資金協力ができるよう、ODA全体として予算の増額を図るべき。 ウ 人的ネットワークの構築 ① 相互理解・信頼関係構築、援助ニーズの把握等のため、相手国政府や国際機関・地域漁業 管理機関への行政アドバイザー等(専門家)の派遣を一層促進すべき。特に、行政アドバイ ザーについては、主要な入漁国・協力国全てカバーできるよう、戦略的に配置すべき。 ② 相手国の資源管理能力向力を図るよう、必要な協力を実施すべき。 ③ 日本への深い理解を醸成し、親しみをもつ相手国政府職員を育てていくため、日本での研 修や留学などを積極的に実施すべき。 漁業協力WTとりまとめを受けて 今回の議論では、水産庁の予算・ツールだけで 構築のための重要なツールと認識されていますの は海外漁場確保も仲間作りも極めて困難という問 で、専門家派遣の強化が財団事業の当面の課題と 題意識から、外務省・JICAの無償資金協力や なると考えています。 ODA、バックアップ体制等が俎上に載りました。 改めて「海外漁業協力」を御議論いただいた漁 このため、当財団が実施している事業についての 業協力WTメンバー各位に感謝申し上げるととも 具体的な意見や提案はありませんでしたが、 「関 に、関係の皆様から「財団はよくやっている」と 係省庁・団体の連携の下、戦略的に各種施策を実 お褒めにあずかることができるよう、役職員一同 施する。 」上で、当財団の果たすべき役割はいろ 業務に邁進する所存です。 いろあるのではないかと考えています。 水産外交を当事者として進めていくのは水産庁 /外務省を中心とする日本政府ですが、水産OD Aは日本政府の描く長期・戦略的な外交方針の中 に不可欠な要素として組み込まれており、財団は その実施を担っています。 このため、財団が、オールジャパンの漁業協力 において「呼び水」や「ショートリリーフ」とい った役割を果たすこと、あるいは政府ベースでは カバーできない分野やスピードでの現地ニーズへ の対応等の財団の特性を活かすことが「漁業協力 の戦略的実施」に大いに貢献し、更に「行政アド バイザー(専門家)の派遣」が人的ネットワーク X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 4 海外漁業協力 第74号 2016.6 4 2016/07/21 14:42 水産ニュース 太西洋沿岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会議(COMHAFAT/ ATLAFCO) 融資部調査役(現フィジー事務所長) 細川 明快 2015年12月 7 日~ 8 日の 2 日 より、1989年に第 1 回閣僚会議(於:ラバト) 間、海外漁業協力財団(以下 が開催され、参加国は地域全体の能力強化の 「財団」という。 )は、大西洋沿 ための制度的枠組みを構築することとし、 岸アフリカ諸国漁業協力閣僚会 「ラバト宣言」を採択、COMHAFATが設立 議(英略称:ATLAFCO、仏 された。 略称:COMHAFAT以下「COMHAFAT」とい その後、1991年に第 2 回閣僚会議(於:ダ う。 )とのプロモーションファンドにかかる合同 カール)が開催され、組織の法的基礎となる 委員会を初めて日本で開催した。 条約を採択し、1995年に発効、FAO(Food 以下、COMHAFAT の概要と、今次合同委員 and Agriculture Organization - 国連食糧農 会の結果について紹介する。 業機関)の第13条機関(条約寄託先である事 務局長が協力を承認した機関)として正式に スタートした。 (イ)事務局 モロッコ王国ラバト (ウ)メンバー国及びその概要 アフリカ大西洋沿岸の以下22か国で構成さ れる。 アンゴラ、ベナン、カメルーン、カーボベ ルデ、コンゴ、コートジボアール、ガボン、 ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニア・ビサオ、 モロッコ、赤道ギニア、リベリア、モーリタ ニア、ナミビア、ナイジェリア、サントメ・ プリンシペ、セネガル、シエラレオーネ、ト ーゴ、コンゴ民主共和国 1 COMHAFAT について メンバー22か国の一般事情 (ア)設立 (http://comhafat.org/en/より) COMHAFAT の設立は1989年。 ・人口計:約 4 億 4 千万人 1980年代に入り漁業資源の乱獲が著しく進 ・海岸線:延べ約14,000㌔㍍ んだ大西洋沿岸のアフリカ諸国が、漁業資源 ・EEZ面積:約450万平方㌔㍍ の管理と漁業開発の両立を目指し、地域圏規 ・IWC加盟国 13か国、ICCAT加盟国 15か国、 模で協力するためにまず話し合うことが必要 CITES加盟国 21か国 だという認識を共有した。モロッコの主導に 5 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 5 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:42 水産ニュース COMHAFATメンバー国関係一覧(2015年10月) 加盟国 モロッコ王国 モーリタニア・イスラム共和国 セネガル共和国 ガンビア共和国 カーボベルデ共和国 ギニアビザウ共和国 ギニア共和国 シエラレオネ共和国 リベリア共和国 コートジボアール共和国 ガーナ共和国 トーゴ共和国 ベナン共和国 ナイジェリア連邦共和国 カメルーン共和国 赤道ギニア共和国 サントメプリンシペ民主共和国 ガボン共和国 コンゴ共和国 コンゴ民主共和国 アンゴラ共和国 ナミビア共和国 人口 (万人) 3 ,252 388 1 ,413 200 52. 7 166 1 ,170 610 430 2 ,060 2 ,590 630 1 ,060 17,850 2 ,225 76 17 170 420 6 ,780 2 ,147 230. 3 ※国際会議加盟国 日本との漁業 海岸線 EEZ面積 協定締結国 IWC ICCAT CITES (km) (平方km) (民間含む)(13カ国) (15カ国) (21カ国) 3 ,500 1 ,000,000 ○ ○ ○ ○ 720 234,000 ○ ○ ○ ○ 531 158,861 ○ ○ ○ ○ 80 23,112 ○ ○ ○ 965 800,561 ○ ○ ○ 350 123,725 ○ ○ ○ 320 59,426 ○ ○ ○ ○ 402 215,611 ○ ○ ○ 579 186,322 ○ ○ 515 176,254 ○ ○ ○ ○ 539 235,349 ○ ○ ○ 56 12,045 ○ ○ 125 27,000 ○ ○ 853 217,313 ○ ○ 402 16,547 ○ ○ 410 314,000 ○ ○ ○ 209 160,000 ○ ○ ○ 885 265,000 ○ ○ ○ ○ 170 60,000 ○ ○ 37 1 ,606 ○ 1600 518,433 ○ 1 ,572 564,748 ○ ○ ※IWC:国際捕鯨委員会 ICCAT:大西洋まぐろ類保存国際委員会 CITES:ワシントン条約会議 EEZ:排他的経済水域 出典元:人口 外務省資料(2012-2014世銀等) 海岸線・EEZ http://comhafat.org/en/ (エ)COMHAFAT メンバー国と日本の入漁関係 ① 目的 COMHAFAT メンバー国の存するアフリ プロモーションファンドは、COMHAFAT カ大西洋岸は、かつお・まぐろ資源の好漁場 がメンバー国夫々の経済水域における漁業管 であり、日本といくつかのCOMHAFAT メ 理、開発を通じて、経済発展と安定的な食料 ンバー国との間には安定的な入漁関係がある。 供給を可能とすること、また水産資源の持続 (オ)その他 的利用、管理推進を図るために必要とされる 日本とCOMHAFAT メンバー国は、科学 能力向上等のための各種プログラムを10年間 的根拠に基づく水産資源の持続的利用・管理 にわたり実施するため、財団との合意に基づ の推進という基本原則を共有し、多くの国際 き設立した協力の枠組みである。 会議等で共闘している。このような観点から、 日本にとってCOMHAFATメンバー国は重 要なパートナーであり、両者間の協力関係の 維持・強化が重要となっている。 ② 合意覚書締結 財団とCOMHAFAT 間の合意覚書 (MOU)は、2009年10月29日にモロッコ王国 ラバトにて締結された。 ③ プログラム概要 2 COMHAFAT との合同委員会について プロモーションファンドの目的は次の 3 (ア)プロモーションファンドについて つの柱に集約される。 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 6 海外漁業協力 第74号 2016.6 6 2016/07/21 14:42 水産ニュース ・自国水産業発展のための能力強化 2016年はモロッコ王国にて行うことが合意さ ・漁業を管理するための能力強化 れた。 ・地域漁業機関の管理措置を含む国際的な義 3 その他 務の実施 2015年度に、プロモーションファンドにより ラバトのCOMHAFAT 事務局は、お国柄か、 実施されたプログラムは、大枠として次のジャ 窓の大きい自然採光を取り入れた明るい事務所 ンルに分類される。 となっている。事務所前面には青々とした芝生、 ・漁業資源の保護と持続的利用 周辺にはレモン、グレープフルーツなどの果樹 ・漁業セクターのパフォーマンス向上 が植えられている。街並みもアフリカというよ ・水産物の域内貿易促進 りはヨーロッパに近い雰囲気を感じさせる。こ ・国際漁業機関に於けるCOMHAFATグル うした開放感のある事務所で、期限付き雇用を ープの能力向上 含め11名(日本人専門家 1 名を含む)の職員 2015年にはエボラ出血熱がアフリカで蔓延し が働いている。 たことにより、大手航空会社が運航をストップ アフリカ大西洋沿岸における日本漁船の優良 した関係で、事業実施に大きな影響を受けた。 な漁場としての重要性、加えて、水産資源の持 2016年 1 月現在、多くの国でエボラ出血熱の鎮 続的利用の観点、そのためにも国際場裡に強固 静化を宣言しており、このまま落ち着くことも な関係を維持するという観点から、日本とこれ 予想されるが、こうした衛生上の問題は、国境 まで密接な結びつきを持つCOMHAFATメンバ をまたぐプログラムを実施する国際機関にとっ ー国とは、今後とも良い関係を維持することが て大きな脅威となっている。 重要な課題となっている。地理的には遠くとも (イ)合同委員会結果概略 緊密な連携を持って水産関係の問題に当たるこ 合同委員会では、COMHAFAT より2015 とが必要であり、合同委員会での議論を今後の 年のプログラム実施状況に加え、決算見込み 活動に活かしていきたいと感じた。関係者のこ が報告された。また、2016年のプログラム実 れまでの努力に敬意を表すると共に、今後の発 施計画が発表され、双方とも承認された。 展と活躍を祈りたい。 2015年は東京で合同委員会が行われたが、 COMHAFAT事務局(ラバト) 7 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 7 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:42 水産ニュース ベナブー事務局長へのインタビュー 合同委員会出席のため来日した事務局長のベナ 国々はICCATの議題に興味を持っています。 ブー氏及び企画担当ラムリッシュ氏にインタビュ ICCATは毎年開催されるので、かける時間は ーを行った。ベナブー氏はモロッコ王国農業・海 多いですが、IWCやCITESやCOFI(Committee 洋漁業省の法務・協力局長として過去幾度となく on Fisheries-FAO水産委員会)などの会議も 来日している。COMHAFAT事務局長としては、 大事にしています。その会議に出席することに 2012年10月のアユビ氏に次いで二人目の来日とな より自分たちをアピールし、権利を主張するの る。 です。国際会議に出席して各国とパートナーシ ップを組み、win-winの関係を築くように努力 していますが、そのなかでも日本は特別なパー トナーであり、良好な関係の継続を常に心がけ ています。 財団:今までの国際会議での成功事例を教えて下 さい。 局長:ICCATでは、ここ 2 ~ 3 年毎回出席し、 毎回成功していると思っています。現在はガー ナが議長国を務めており、会議では 左:ベナブー事務局長 右:ラムリッシュ事業部長 COMHAFATの権利など、伝えたいことはちゃ んと主張できたと思います。2010年の第15回 CITES(於ドーハ)では日本と共同で大西洋ク 財団:本日は合同委員会開催中のお忙しいところ、 ロマグロの付属書提案に対して影響を与えるこ インタビューに応じて頂きありがとうございま とができました。でも、第16回のバンコックの す。協議は成功裏に終えたと聞いております。 ことは触れないでください(笑) 。残念ながら まずは、COMHAFATが特に熱心に取り組んで 毎回成功するとは限りませんね。ICCATの決 いる事柄について教えて下さい。 定はコンセンサスを目指しますが、至らない場 局長:私たちは国際会議に積極的に参加していま 合は投票となります。ICCAT加盟国50カ国の すが、その理由はアフリカ諸国の存在と影響力 うち、15カ国がCOMHAFAT加盟国であり、 を高めるためです。アフリカの国々が自分たち 我々は影響力を持っています。 の権利を主張し、自分たちの利益を確保して貧 困を減らすことが一番の目的です。 財団:次に問題解決における成功事例を教えて下 さい。 財団:特に重要視している会議は何ですか? 局長:先ずは、ガーナの例を挙げたいと思います。 局長:まずはICCATですね。COMHAFAT加盟 ガーナがIUU(Illegal Unreported Unregulated 国22カ国のうち、15カ国がICCAT加盟国にな -違法・無報告・無規制)漁業問題に対して十 っているので特に力を入れています。これらの 分な対応をしていないとして、EUが、イエロ X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 8 海外漁業協力 第74号 2016.6 8 2016/07/21 14:42 水産ニュース ーカードを出したため、同国は漁獲物をEUに す。もう一つ、アフリカの漁業資源を利用する 輸出できなくなり、またEUと共同の事業がで だけではなく、持続的な資源管理の良い例をぜ きなくなりました。これに関し、前回ICCAT ひ示して頂きたいと思います。さらにお願いし 総会(於ケープタウン)でCOMHAFATは二者 たいこととしては、沿岸国への漁業支援を実施 の協議をサポートし、ガーナとEUの関係が少 して頂けないかと思います。一例としては、日 し改善されました。ガーナは現在IUUに関し対 本漁船が沿岸国内EEZで操業する場合、沿岸国 策を講じているところです。COMHAFATはサ の漁民も船に乗せたり、現地の漁民に、どのよ ポートはしましたが、もちろんこの成果はガー うな漁具を使い、どのように魚を獲るのか教え ナ自身が努力して勝ち取ったものです。 るといった技術的な支援です。 次に資源の保護を挙げたいと思います。 また、直に日本側と接する私たちのような者に COMHAFAT加盟国が共同で管理している資源 は問題ありませんが、一般的に日本側にはコミ については、小規模な地域内で統一した資源保 ュニケーションに問題があると言わざるを得ま 護改善法を作るようにしています。これらに対 せん。日本はこれだけ水産資源の持続的利用に 応する小地域機関としてCPCO(Le Comité des 気を配っているのにアピール下手というか、ア Pêches pour le Centre-Ouest du Golfe de フリカではそれが知られていないのです。アフ Guinée- 中西部ギニア湾漁業委員会)やCSRP リカ諸国としっかりコミュニケーションが取れ (La Commission Sous-Régionale des Pêches ていないのが大きな問題ですね。一般的な日本 -西アフリカ地域漁業委員会)等があります。 のイメージは単に資源を利用するだけ、魚を獲 COMHAFATは全体的なイニシアチブをとり、 ってそれ以後は無関心、特に環境問題、資源の 支援はしますが、その後は各関係国が自分たち 管理にも無関心とのイメージがとても強いので で対応することとなります。COMHAFATは各 す。私は、決してそれが事実ではないことを良 国政府への支援や提案はしますが、強制的に何 く分かっていますが、日本側のコミュニケーシ かをさせることはできないのです。 ョンが足りていないことが誤ったイメージが拡 がっている原因ではないでしょうか? 財団:日本を特権的パートナーと呼んでくださっ 財団:今のお話は日本政府ではなく、漁業者のこ ていますが。 局長:日本を特権的パートナーと呼んでいるのは、 とでしょうか? 私が言い始めたのではなく、COMHAFAT事務 局長:日本の漁業者も資源や環境に関心を持ち、 局長になる前からですから、日本とモロッコの しっかり対応されていると思いますが、それが 関係から構築されてきているとも言えますね。 表に出てこないのは非常に残念で仕方がないで 私がモロッコ漁業省にいる時から、日本は特別 すね。 な立場でした。 日本がこれからもアフリカ諸国に入漁したり、 投資したりすることを私たちは待っていますの 財団:日本の漁業者へのメッセージをお願いしま す。 で、ぜひコミュニケーション問題をクリアーし て、たくさんの日本の方々に来て頂きたいと願 局長:私がモロッコ漁業省にいる頃から日本かつ っております。 おまぐろ漁業協同組合とは付き合いがあり、日 本は大切なパートナーです。アフリカ諸国は日 (インタビュー:2015年12月 8 日) 本の漁業者に大いに来て頂きたいと思っていま 9 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 9 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:42 水産ニュース 前列左から エラルーシ(Mr.Mohammed Yassine EL AROUSSI)COMHAFAT事務局(二国間協力課長:モロッ コ) 、 ベ ナ ブ ー(Mr.Abdelouahed BENABBOU) 事 務 局 長(COMHAFAT) 、 竹 中 理 事 長、 メ イ テ(Dr.Meite Zoumana ANLYOU)COMHAFAT議長国(動物・水産資源省官房長:コートジボワール) 、マタール(Mr.Matarr BAH)COMHAFAT書記国(漁業局長:ガンビア) 、後列左から 水産庁国際課諸貫漁業交渉官、手代木融資部長、ラ ムリッシュ(Mr.Abdennaji LAAMRICH)企画担当(COMHAFAT) 、ハダッド(Mr. Mohammed HADDAD)会計 担当(COMHAFAT) 、粂専務理事、高橋常務理事、Ms.Hayat ASSARA事務局長秘書(COMHAFAT) 、水産庁海外 漁業協力室槇課長補佐、細川融資部調査役(当時) X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 10 海外漁業協力 第74号 2016.6 10 2016/07/21 14:43 水産ニュース COMHAFAT の活動事例紹介 漁業協力アドバイザー 石川 淳司 COMHAFATは、モロッコからナミビアまでの た。特に、関心がもたれたテーマは、西アフリカ 大西洋沿岸諸国22カ国で構成されており、その活 動目的は、大きく分けて二つある。一つは、メン バー国の能力強化を支援する活動であり、もう一 つは、国際的義務を実施するための国際会議等へ の参加支援である。 著者は、2015年 3 月にCOMHAFAT事務局に漁 業協力アドバイザーとして着任した。今回は、着 任以降に行われた主な活動について紹介する。 まず、メンバー国の能力強化の活動として2015 年 6 月に「アフリカの水産製品貿易の戦略開発に 関する地域研修」に関するWS(ワークショップ) 会議風景 を開催した。 WSの目的は、メンバー国の水産製品をアフリ ガボンの魚の燻製作成 各国代表者 カ域内及び国際マーケットへ容易に参入できるよ うにするための情報交換と問題点等について協議 することである。メンバー国からは、11カ国の代 表、パネラーを含め51名が参加した。 テーマは、 3 つあり、 1 .水産製品のグローバ ルな貿易、 2 .潜在能力と制約、 3 .水産製品貿 易における女性の役割と能力強化である。テーマ ごとに、プレゼンテーションと質疑応答が行われ 11 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 11 同燻製 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:43 水産ニュース 諸国における女性グループ(個人)による水産加 ICCAT、INFOPECH(アフリカ水産物情報通商 工品の流通についてであった。彼女達の加工製品 協力サービス政府間団体) 、LDAC(The Long は、ほとんどが熱燻製品である。 Distance Fleet Advisory Council 遠洋船団諮問委 これらの製品は、自国内消費及び隣国への輸出 員会)など関連機関、在モ日本国大使館、在モス が主体であるが、将来的には、EUを含めた国際 ペイン大使館等から代表が参加し、水産庁からは、 マーケットへの参入を望んでいる。しかし、その 田中健吾首席漁業調整官が参加した。 製造過程は、必ずしも衛生的とはいえず、 WSは、IUU漁業の定義から始まり、具体的な HACCP(Hazard Analysis and Critical Control 対策例、大西洋におけるIUU漁業の現状等が紹介 Point危害要因分析重要管理点-製品の安全を確 された。メンバー国代表からは、IUU漁業規制の 保する衛生管理の手法)等の衛生基準を満たすの 重要性は理解しているものの、対策には、関連施 は難しいのが現状である。したがって、衛生的な 設・機材の整備、人材育成、組織運営費等に多額 生産ができる施設の建設支援及び新たな水産加工 の費用を必要とするため、メンバー国独自の予算 製品の開発等の技術指導が求められている。 だけでは、効果的な活動を行うことができないと また、燻製用の窯は、FAOやJICA(国際協力 の発言があった。これに対して、EUの代表からは、 機構)により改良され、生産効率が向上し燻製用 2014年から2020年にかけて、共同漁業政策費とし の木材の使用量が減少した地域があるものの、国 て約 6 . 9 億ユーロの予算を確保しており、その一 によっては依然として森林破壊の一因となってお 部は、IUU規制対策費として活用できるため、大 り、新たな燻製用熱源の確保も課題となっている。 西洋地域のIUU対策に力を入れていく方針である 次に、2015年10月には、 「IUU漁業対策のため との説明があった。COMHAFAT事務局としても、 のWS (ワークショップ) 」を開催した。IUU漁業は、 重要課題と考えており、引き続き支援活動を継続 COMHAFATメンバー国のみでなくEUにとって する予定である。 も懸案事項である。特に、大西洋では、IUU漁業 「コートジボワール、ア また、2015年12月には、 がかつおまぐろ資源に重大な影響を与えているこ ンゴラ、ベナン、ガボン、ガーナ、ギニア、ナミ とから、EUは、IUU漁業規制に非協力的な国に ビアにおける漁業・養殖産業調査の検討」のWS 対して警告を行っている。改善が見られない国に を開催し、ナミビアを除く各国の代表が参加した。 対しては、EU市場への輸出禁止措置が取られる。 現在、メンバー国では、ギニアが非協力国として 制裁を受けている。過去には、ガーナ、トーゴも 指定されていたが、IUU漁業対策に改善がみられ たため、現在は、解除されている。WSには、メ ンバー国からは、19カ国の代表、地域漁業委員会、 会議風景 WSの目的は、調査によって判明した現況とそ の分析に関する協議であり、同時に、国内、域内 及び国際的なレベルにおける開発ポテンシャルの 機会について協議することである。また、漁業・ IUU対策会議風景 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 12 養殖産業が直面している現在及び将来の問題点、 海外漁業協力 第74号 2016.6 12 2016/07/21 14:43 水産ニュース 制約、解決するための活動についても議論された。 催された。 漁業産業に関しては、共同資源(小型浮魚、エ ICCAT条約改正WG会議のための準備会合が、 ビ)の管理システムの構築、漁獲物の付加価値化、 2015年 4 月にモロッコ・カサブランカで開催され IUU対策などについて議論が行われた。それから、 た。 零細漁業者の情報(漁船・漁民登録、漁獲物統 ICCATは、50の加盟国(国際機関を含む)と 計)を把握することによって、水産統計が正確な 協力的非加盟国( 3 カ国)で構成されており、 ものになり、資源管理の改善につながる点も指摘 COMHAFATメンバー国が15カ国あることから、 された。また、養殖産業については、加盟国の中 投票で議決する場合には、非常に大きな影響をも では、ナイジェリアとガーナは養殖産業が比較的 たらす。このことから、事前会合によってメンバ 発展しているが、その他の国は、まだまだ発展途 ー国のコンセンサスを得ることは、重要な意味を 上である。問題点としては、養殖技術者の不足、 持っている。会議には、ガボン、ガーナ、赤道ギ 養殖産業への関心のなさ、安価な中国産冷凍ティ ニア及びナミビアを除く11カ国の代表、ICCAT、 ラピアの存在が挙げられた。今後は、メンバー国 LDAC、OPAGAC(Organizaciòn de Productores 間で養殖技術に関する情報交流を通じて技術者の Asociados de Grandes Atuneros Congeladores 育成を図り、養殖資機材の輸入関税の免除等の措 —大型冷凍マグロ漁船生産者協会(連盟) )の代 置をすることによって、養殖事業への参入を促進 表が参加した。会議では、冒頭、法律専門家の する。加えて、食の安全の観点から、養殖方法が Dr. Anaid PANOSSIAN女史によるICCAT条約の 不透明な輸入冷凍魚よりも、国内養殖魚が安全で 説明と改正プロセスについてのプレゼンテーショ ある点を啓蒙し、消費拡大を促す必要がある。こ ンがあり、過去 2 回の条約改正会議で提案された のような議論の中で、COMHAFAT事務局は、各 改正案の概要説明が行われた。 国の情報収集を行い、それをメンバー国にフィー その後、2015年 5 月に米国・マイアミで開催され ドバックする機能を強化する必要があるという意 たICCAT条約改正WG会議で提案したCOMHAFAT 見が出され、事務局も同意した。 メンバー国の意見を取りまとめた。 次に、メンバー国の国際会議への参加支援にか かる活動である。事務局は、加盟国に対し、可能 な限り各会議への参加支援を行っている。 2015年は、大きな会合としては、ICCATの条 約改正WG(ワーキンググループ)会議及び第24 回ICCAT年次総会、そしてIWC科学委員会が開 ICCATマイアミ会議 2015年 5 月にICCAT条約改正WG会議が米国・ マイアミで開催された。会議には、ギニア、赤道 ギニア及びナイジェリアを除く12カ国の代表が参 加した。 本会議の目的は、2015年11月のICCAT年次総 ICCAT準備会合 13 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 13 会における条約改正案を取りまとめるためのWG 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:43 水産ニュース による会合であり、いくつかの懸案事項があり、 (13カ国:ベナン、カメルーン、ガボン、コンゴ、 会合前には日本代表団、EU代表団、米国代表団 コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、 と個別に協議が持たれた。COMHAFATメンバー ギニア・ビサウ、モーリタニア、モロッコ、セネ 国は、先に開催した準備会合で取りまとめた改正 ガル、トーゴ)の内、ガボンとセネガルを除く11 案に対する提案を行った。 カ国の代表が参加した。 2015年11月に第24回ICCAT年次総会がマルタ IWC関連では、国際司法裁判所の日本の調査捕 共和国、セントジュリアンズで開催された。事務 鯨に関する判決に対する理解が間違っており、調 局は、ICCAT加盟15カ国の内、11カ国(モロッコ、 査捕鯨自体は正当な活動であることを、海外の一 モーリタニア、セネガル、ギニア、リベリア、コ 般大衆に広報する必要性が説明され、参加者の理 ートジボアール、ガーナ、ナイジェリア、サント 解が得られた。ガーナやモーリタニア等、メンバ メ・ プ リ ン シ ペ、 ガ ボ ン、 ア ン ゴ ラ ) とCSRP (西アフリカ地域漁業委員会-モーリタニア、カー 持続的利用会合 ー国の代表も活発に発言を行い、COMHAFATの 存在感を高めたように思われる。また、ガーナが ICCAT年次会合 IWC65で提案した「食糧安全保障に関する提案」 ボベルデ、シェラレオネはICCATメンバー、他 については、ガーナと事務局が共同で修正案を作 ガンビア、ギニアビサウ、ギニア)の代表の計12 成することが提案され了承された。 名の参加支援を行った。 CITES関連では、ニホンウナギや宝石サンゴ等、 カーボベルデ、赤道ギニア、ナミビアの代表は、 2016年の会議に向けて懸案事項もあり、 自国の費用で参加し、シエラレオネは、不参加で COMHAFAT事務局としては、事前会合を開催し あったため、計14カ国が参加した。会合では、 て、メンバー国の意見の統一を図る予定であるが、 2016年のクロマグロの漁獲割り当て、資源が悪化 参加者が水産担当省関連機関の所属のため、環境 しているメバチマグロの漁獲割り当て、サメ類の 省関係者か代表と参加するCITES本会議で水産専 ヒレ切り禁止、条約改正等について議論が行われ 門家による意見が反映されない場合がある。その た。COMHAFATメンバー国によって資源管理に ため、第17回締約国会議に向け、環境担当省等の 関する意見の対立はあるものの、提案事項に関し 機関の担当者に対しても、水産資源の持続的利用 ては、おおむねコンセンサスを得て了承された。 に対する理解を促す計画である旨を説明した。 しかし、条約改正に関しては、結論が出ず、引き 上記の活動以外に、IWC科学委員会への研究者の 続きWGによる議論を継続することとなった。 参加支援、FAO主催の各種フォーラムへの参加支 また、2015年12月には水産庁・外務省共催によ 援なども実施しており、今後もメンバー国の発展と る「水棲生物資源の持続的利用会合」が東京で開 日本との協力関係を強固にしていくための計画立 催された。COMHAFATメンバー国のIWC加盟国 案・実施の支援を行っていきたいと考えている。 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 14 海外漁業協力 第74号 2016.6 14 2016/07/21 14:43 連載「キリバス共和国離島訪問記」 シリーズ「キリバス共和国離島訪問記 第1回バナバ島 キリバス漁業開発アドバイザー 高橋 啓三 キリバス共和国地図(左端がバナバ島) 出典:国際機関 太平洋諸島センター(PIC) 太平洋島嶼国であるキリバス共和国は、環礁に に残された鉱山のスクラップ群、更に表土やその 浮かぶ小さな島々が広範に集まって形成されてい 下のリン鉱石を失って石灰岩の骨格だけになって る。日本人がなかなか訪れる機会のない、その しまった島の残骸ともいうべき現在の姿である。 島々の訪問記を 4 回に分けてシリーズで紹介する。 バナバ島 キリバス共和国の首都タラワ島から南西に約 380㌔㍍離れたバナバ島を訪ねた。大勢の乗客と 米や小麦粉、生活資材で満載の運搬船で 2 昼夜揺 られて南海の小さな島にたどり着く。島への連絡 は年 3 回のキリバス国会開催時に一人の国会議員 のための政府送迎船がある程度で、最寄りの島は 西方300㌔㍍に位置する外国、ナウル共和国であ る。バナバ島はまさに絶海の孤島と表現するにふ 島には巨大な鉱山遺構が無数にある さわしく、島の近況はタラワの一般人にはほとん 島のリン鉱石は1900年から80年間採掘され枯渇 ど伝わってこない。この島を特徴づけるのはリン した。その間住民はフィジーのランビ島に移住さ 鉱石の採掘で大いに賑わった歴史と、資源枯渇後 せられ、キリバス共和国が誕生した1979年以降住 15 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 15 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:43 連載「キリバス共和国離島訪問記」 民の帰島が始まった。島の現人口は約300人であ 受講した。魚類の島外出荷を実現するために次は る。 魚の加工方法を教えて欲しいという声も多くあっ た。 島の漁業 かつてはタロイモやサトウキビ、パパイアなど 農作物が豊かに実っていたというが、耕地を失っ た現在、農業に見るべきものはなく、コプラ生産 もない。島民が自給できる食糧は漁獲物だけであ る。島の周囲ではハタ類などの底魚やキハダマグ ロ、カツオなどの浮魚がよく漁獲される。無動力 (前中央 筆者) のカヌーを使ってキハダマグロの手釣りをするの がバナバ漁師の伝統の技である。財団の支援で設 孤島に住むということ 置された漁業センターの製氷機は稼働中で、セン 周囲300㌔㍍以内に島も大陸もない隔離された ターに集まる約20名の漁業協同組合員が週日は毎 環境の中で人は果たして心安らかに暮らして行け 日操業している。ただし市場は島内に限られてい るものだろうか。ましてバナバ島は面積 5 平方㌔ るため販売魚価は安く、キハダ一尾が10豪㌦(約 ㍍で全島掘り尽くされ表土を無くした岩だらけの 1 ,000円)程度である。 島である。なにもない島に先祖代々の地というだ けで帰島して住み始めた人々の壮絶な覚悟を思う と、人の故郷への執着がいかに捨てがたいもので あるか改めて知らされる。領土侵略や難民問題で 揺れる昨今の国際情勢を見るにつけても、このこ とは今日的な問題でもある。人にとってただ生ま れた土地で生き、死ぬことがいかに大切で、かつ 多くの場合困難なことであるか。 キリバスの行政府は国の独立に資金面から大い 財団の支援で完成した漁業センター に貢献したこの地と住人に対して何も報いていな いし、今後もたいしたことはできそうにない。柔 らかいつる草が全島のごつごつした岩を覆い、遠 目にはバナバ島は緑に輝いている。去りゆく船の なかから見て少し安堵を覚えた。 熱心に漁具作成を学ぶ地元漁業者達 2015年 9 月の訪問時、組合員20人に対してトロ ーリング漁具の作成指導を行った。漁業関係の講 習会は島初めてとあって講習参加者全員が熱心に X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 16 海外漁業協力 第74号 2016.6 バナバ港沖から 16 2016/07/21 14:43 財団ニュース インドネシア・まぐろ類培養研究プロジェクトの現在 フィジー事務所員 前田盛 暢彦 財団は、インドネシア共和国バリ島において、 2001年 8 月21日から2006年 3 月31日までの間、キ ハダマグロ等まぐろ類の培養研究プロジェクトを 実施した。実施場所のゴンドール海面養殖研究所 は、空港のあるクタから車で約 4 時間の距離にあ り、バリ島北西部の海岸に位置している。プロジ ェクト終了後の活動状況等の把握を目的として、 2015年12月 6 日に訪問した。 ゴンドール海面養殖研究所では、現在、キハダ マグロに加え、ハタ類、ミルクフィッシュ等の養 殖技術開発等を行っている。 今回は滞在時間が限られていたため、マグロ類の 培養研究プロジェクト関連施設に絞って見学した。 沖合から見た生簀数種と培養施設遠景 飼育員によると、生簀の大きさは直径50㍍、深 さ12㍍。 1 ㌔㌘のキハダを 3 年で30㌔㌘まで蓄 養しており、数年後には出荷できるレベルの状態 になり、餌料は冷凍イカを使用しているとのこと。 研究所のメインエントランス 当施設では、現在、培養研究プロジェクトを基礎と して、商業ベースの蓄養を目指すべく調査研究が行 生簀の中のキハダ われている。プロジェクト終了後から、 6 基のキハ ダ用生簀が沖合に設置され、活発に泳ぐキハダを確 次に財団がプロジェクトで設置した陸上のマグ 認することができた。 1 つの生簀には120尾のキハ ロ類培養施設を見学した。当施設は非常に巨大で ダが蓄養されており、 1 年目生簀、 2 年目生簀とい あり、筆者がこれまで訪れた財団プロジェクト・ うように年齢に応じて区分けされている。これまで、 サイトのなかでは最大規模の施設、設備であった。 生簀の数を増やしてきており、さらに今後大規模化 建屋では、水槽内で採卵した卵をふ化させ、稚魚 することが見込まれている。 の段階では、ミルクフィッシュの稚魚を餌料に用 17 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 17 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:43 財団ニュース 財団プロジェクトで使用したマグロ類培養施設 生後1ヶ月半の稚魚 建屋内 稚魚の大きさ別に数種の水槽がある 屋内18㍍水槽 親魚から採卵を試みている 所感: 案内の元研究員や飼育員からはプロジェクトに 従事していた北川専門家や中澤専門家の名前が何 度も挙げられ、専門家の技術協力が現地に移管、 今でもその成果が継続していることを実感できた。 当施設は現在、インドネシア人研究者、技術者に よって日々、研究が進められており、いずれは完 全養殖を達成し、同国の培養研究の発展に大きく 貢献すると考えられる。 ふ化用水槽 いていた。魚体の大きさに応じて飼育水槽を分け ており、よく管理されている印象を持った。 案内してくれた元研究員からは、 「近畿大学、 JICAを含む、他研究機関・ドナーとの共同研究 を模索中である」とのコメントがあった。 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 18 海外漁業協力 第74号 2016.6 18 2016/07/21 14:44 財団ニュース 第26回日中韓水産研究者協議会開催 海外漁業協力財団(以下 「財団」 という。 )主 催の第26回「日中韓水産研究者協議会」 (以下 「協議会」という。 )が、2015年11月 3 日~ 4 日の 両日、中国北京市において開催された。 開会式には、財団の竹中美晴理事長、中国水産 科学研究院 張顕良院長、中国農業部漁業漁政管 開会式会場風景 者 7 名、及び、オブザーバーとして多数の関係者 が出席した。 協議会では、中国水産科学研究院 鄭志霊副院 長が座長を、財団の時村宗春技術顧問が副座長を 務め、第 1 議題「資源特性を考慮した漁業資源の 【主催者挨拶】 竹中美晴理事長 理局 崔利鋒副局長、大日本水産会 小林憲理事、 管理と利用に関する研究の現状」 、第 2 議題「次 期協議会開催の時期、場所及び議題」 、第 3 議題 「その他」について協議した。 在北京日本国大使館経済部 伊藤優志参事官ほか 第 1 議題では、 「資源評価及び資源変動予測の が出席した。冒頭、主催者を代表して 竹中理事 現状と課題」 、 「資源の持続的利用法及び回復方策 長が挨拶を行い、引き続き開催国代表の中国水産 の現状と課題」 、及び「海洋生態系の変動に関す 科学研究院 張院長、来賓代表の中国農業部漁業 る現状と課題」の 3 つのサブテーマの下、まず、 漁政管理局 崔副局長が挨拶し、最後に、日本国 中韓日の順番で 3 か国の団長が、それぞれ「渤海 大使館の伊藤優志参事官が中国語で挨拶し協議会 の漁業資源増殖に関する研究」 、 「韓国における水 の開催を祝した。 産業と水産資源管理の現状」 、 「正確な漁獲統計、 協議会には、日本の国立研究開発法人水産総合 環境による資源 研究センター日本海区水産研究所の檜山義明業務 変動への対応、 総合的な資源・ 漁業管理の必要 性」について基 調講演を行っ 【開催国代表・来賓から挨拶】 張顕良院長、崔利鋒副局長、伊藤優志参事官 た。 鄭志鄭志霊座長と時村宗春副座長 このなかで、韓国の李用華団長が、韓国の水産 推進部長を団長とする日本側研究者 7 名、中国 業及び資源管理の問題点を率直に紹介されている 水産科学研究院黄海水産研究所の王俊漁業資源与 姿が協議会ならではという印象であった。 生態系統研究室主任を団長とする中国側の研究者 続いて、 3 か国15名の研究者が、以下の 5 セッシ 7 名、そして、韓国国立水産科学院東海水産研究 ョンにおいて、計15の調査研究の成果(別紙「発表 所の李用華資源環境科長を団長とする韓国側研究 論文リスト」参照)を報告し、セッションごとに関 19 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 19 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:44 財団ニュース 漁獲統計などの情報を共有するとともに、研究者 間でE-mailなどによる情報共有を推進することを 確認した。また、 「連携」については、中国より サワラの共同研究を 3 か国で進めるために、ワー 【基調講演】 王俊団長、李用華団長、檜山義明団長 キンググループを立ち上げたいという提案がなさ れた。この提案に対して副座長から、各国におい て関係する研究者にワークンキンクグループへの 連する質疑と討論を行った。( 1 )生物特性の解明、 ( 2 )資源評価と管理、( 3 )資源変動、( 4 )総合 参画を打診することが提案され、中韓両国から同 意するとの回答がなされた。この動きは、協議会 的な資源管理、( 5 )藻場と流れ藻。 として新しいものであり、日本の水産総合研究セ このうち、第 5 セッションは韓国で大きな問題 ンターに長年在籍していた、現中国海洋大学の田 となっているアカモク(ホンダワラ類)等の大量 永軍教授が中国代表団として参加したことによる 漂着というトピックに対応して設定したセッショ ものである。 ンであり、韓国の伊錫官(ユンソッキョン)博士 第 2 議題である「次期協議会開催の時期、場所 の研究発表に対応して、事務局が日本側の状況に 及び議題」について、事務局が、2016年11月初旬 関する情報提供( (国研)水産総合研究センターと 頃、日本において開催することを提案し、 3 か国 連携して対応)を行った。 の団長より同意を得た。また、議題については、 全体に優れた発表が多く、熱心な質疑が交わさ 今回と同じ「資源特性を考慮した漁業資源の管理 れたが、とくに漁業現場に密着した発表が関心を 集め、知見の少ない瀬戸内海のハモについて、県 の研究者と連携して、工夫しながら資源評価・資 源管理方策の提言を行った、日本の中央水産研究 所の亘真吾主任研究員の発表、漁業者と膝詰で意 見交換しながら、漁業者が自主的な資源管理方策 を定める取り組みをした、中央水研の牧野光琢グ ループ長の発表に対しては、質問が殺到してなか 【研究発表】 なか終わらなかった。 と利用に関する研究の現状と今後の方向」をテー マとして、さらに交流を深めようとする事務局提 案を各国が持ち帰って検討し、同2016年12月末ま でに検討結果を事務局に連絡し、それを受けて事 務局が調整することとした。 第 3 議題の「その他」では、韓国側より、例年 11月頃に 3 か国の研究機関長会議が開催されてお り、そちらにも研究者を派遣する必要があること 【研究発表】 から、協議会のテーマを決める際、研究機関長会 「総合討論」では、総括として、 「情報共有」に 議の結果との摺合わせをして欲しいとの提案がな 関して、 3 か国が同じ海の資源を共有しているこ されたことに対し、事務局から、次年度の協議会 とを再認識し、今後、各国がHPで公表している のテーマ設定にあたって2015年11月下旬の研究機 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 20 海外漁業協力 第74号 2016.6 20 2016/07/21 14:44 財団ニュース お湯を注ぐ前とその直後の絵柄の変化 遼寧省海洋水産科学研究院視察(大連) が行われ、参加した遼寧省海洋水産科学研究院の職 員を交えて、活発な質疑応答と意見交換が行われた。 なお、研究院では、お湯を入れると、日中韓研究者 交流会ポスターの絵柄が浮き出す記念マグカップを 製作するほどの熱の入れようであった。 現地研究交流会(ミニシンポ)共催 大連海洋漁業集団公司漁港視察 現地研究交流会参加者一同 関長会議の結果を参考にする旨回答した。 最後に 3 か国の研究者から、これまで25年間に 大連天正実業公司の陸上養殖施設視察 亘り継続して協議会を主催してきた財団に対して 11月 6 日、遼寧省大連海洋漁業集団公司(漁港、 感謝の意が表された。 魚市場、加工品展示直販店など) 、大連天正実業 協議会終了後の11月 5 日、日韓両国の研究者は、 有限公司(トラフグなど魚類の陸上養殖施設)を 中国・大連市に移動し、遼寧省海洋水産科学研究 視察し、漁業生産現場の経営者及び技術者との交 院を訪問した。同科学研究院内の大会議室におい 流が行われた。 て「沿・近海域における漁業資源の持続的利用と 11月 7 日、濃霧のため日韓とも帰国便が飛ばず、 回復方策」をテーマとした現地研究交流会を開催 大連で延泊し、11月 8 日、日韓両国の研究者が、 した。 全ての日程を終え、それぞれ無事帰国した。 日中韓 3 か国の計 4 名の研究者から研究成果発表 21 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 21 (2015年11月 協議会事務局) 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:44 財団ニュース 第26日中韓水産研究者協議会 発表論文リスト 基調講演 1 . 渤海の漁業資源増殖に関する研究 Study on the enhancement of fisheries resources in the Bohai Sea. ―― 王 俊(Mr.WANG Jun)中国水科院黄海水産研究所漁業資源与生態系統研究室 主任/研究員 (団長) 2 . 韓国における漁業資源管理に関する研究の現状 Status of research project on the fisheries resources management of Korea ―― 李 用華(Mr.LEE Younghaw)国立水産科学院東海水産研究所 漁業資源環境科長 (団長) 3 . 正確な漁獲統計、環境による資源変動への対応、総合的な資源・漁業管理の必要性について On three important issues, accurate catch statistics, dealing with resource fluctuations by the environment, and comprehensive management of fisheries and resources ―― 檜山 義明(Mr.HIYAMA Yoshiaki)水産総合研究センター日本海区水産研究所 業務推進部長 (団長) 研究発表 中国 1 . ブートストラップ法による体長・体重アロメトリー式における指数bのキグチ産卵期の指標としての利用の試み Testing of power b in exponent relationship between body length and weight of small yellow croaker as spawning indicator by Bootstrap method ―― 劉 勇(Mr.LIU Yong)中国水産科学研究院東海水産研究所漁業資源実験室 副研究員 2 . 気候変動を背景とした広域回遊魚類資源に対する国際協力と管理 ―― サワラを例として International collaborations for transboundary assessment and management of highly migratory fish species under changing climate: A case study for Japanese-Spanish mackerel ―― 田 永軍(Mr.TIAN Yongjun)中国海洋大学水産与生命学院 教授 3 . 東シナ海・黄海におけるマサバの生物経済学的モデル及び管理戦略 Bio-economic Model and management strategy evaluation of chub mackerel(Scomber japonicus )in the East China sea and Yellow sea ―― 李 綱(Mr.LI Gang)上海海洋大学海洋科学学院 講師 4 . 種の機能の空間構造と漁業資源の保全 Spatial Pattern of Species Function and Fisheries Conservation ―― 康 斌(Mr.KANG Bin)集美大学水産学院 教授 5 . 南シナ海大亜湾岩礁域におけるガラモ場(ホンダワラ類藻場)の再生技術 Restoration techniques for Sargassum beds restoration in rocky intertidal coasts of Daya Bay, Southern China Sea ―― 韓 婷婷(Ms.HAN Tingting)中国水産科学研究院南海水産研究所漁業生態環境研究室 副研究員 韓国 1 . 韓国南東海域におけるマダラの移動と生活史の特徴に関する研究 Studies on the movement and life history traits of Pacific cod Gadus macrocephalus in the Korean Southeast Sea ―― 李 政勳(Mr.LEE Jeonghoon)国立水産科学院南東海水産研究所 研究士 2 . 韓国東方海域におけるヒレグロGlyptocephalus stelleri の分布と生態に関する研究 Distribution and fisheries ecology studies of Blackfin Flounder Glyptocephalus stelleri in the Eastern Sea of Korea ―― 梁 裁炯(Mr.Y ANG Jaehoung) 国立水産科学院東海水産研究所 研究士 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 22 海外漁業協力 第74号 2016.6 22 2016/07/21 14:44 財団ニュース 3 . 東シナ海におけるウチムラサキガイ Saxidomus purpuratus の資源評価と資源回復方策 Fisheries resources assessment and rebuilding research of Saxidomus purpuratus in the East China Sea ―― 金 盈蕙(Ms.KIM Yeonghye)国立水産科学院南西海水産研究所漁業資源環境科 研究官 4 . 韓国西方海域におけるマダラの漁獲量変動と分布特性 Catch variation and distribution of Pacific cod,Gadus macrocephalus in the West sea (Eastern Yellow Sea), Korea ―― 車 炳烈(Mr.CHA Byungyul)国立水産科学院西海水産研究所漁業資源環境科 研究士 5 . 東シナ海・黄海における浮遊海藻の流入状況と生物学的特徴 The occurrence status and biological characteristics of planktonic macro algae in the Yellow Sea and East China Sea ―― 尹 錫賢(Mr.YOUN Seokhyun)国立水産科学院研究企画本部漁業海洋情報科 研究士 日本 1 . 日本海西部におけるカレイ科 2 種(ムシガレイ、ソウハチ)の資源状況 Current status of two righteye flounder(Eopsetta grigorjewi, Hippoglossoides pinetorum)stocks in the western Japan Sea ―― 八木 佑太(Mr.YAGI Yuta) 水産総合研究センター日本海区水産研究所資源管理部資源生態グループ研究員 2 . 瀬戸内海のハモを例とした資源評価と資源管理の検討 Stock assessment and fisheries resource management of the daggertooth pike conger in the western Seto Inland Sea ―― 亘 真吾(Mr.WATARI Shingo)水産総合研究センター中央水産研究所資源管理研究センター 主任研究員 3 . ヒラメの成育場環境と資源の変動 The influence of nursery ground processes on population dynamics of Japanese flounder ―― 上原 伸二(Mr.UEHARA Shinji)水産総合研究センター日本海区水産研究所資源管理部 沿岸資源グループ長 4 . 瀬戸内海の小型底曳き網漁業による小魚資源の活用 Use of small fish resources caught by bottom trawl fisheries in Seto Inland Sea,Japan ―― 南 卓志(Mr.MINAMI Takashi) 福山大学生命工学部附属内海生物資源研究所 教授 5 . 漁業管理シナリオの総合的評価 The integrated assessment of fisheries management scenarios ―― 牧野 光琢(Mr.MAKINO Mitsutaku)水産総合研究センター中央水産研究所経営経済研究センター漁業管理グループ長 現地研究交流会 1 . 遼寧省近岸水域の漁業資源調査と評価 ―― 劉 修澤(Mr.LIU Xiuze) 〔中〕遼寧省海洋水産科学研究院漁業資源研究室 副研究員 2 . マダラの資源管理の現況 ―― 李 政勳(Mr.LEE Jeonghoon) 〔韓〕国立水産科学院南東海水産研究所 研究士 3 . 漁業管理と種苗放流による沿岸資源の管理 ――ヒラメを例として ―― 上原 伸二(Mr.UEHARA Shinji)〔日〕水産総合研究センター日本海区水産研究所資源管理部 沿岸資源グループ長 4 . 中国対蝦(大正エビ)の増殖及びその効果の評定 ―― 王 彬(Mr.WANG Bin) 〔中〕遼寧省海洋水産科学研究院漁業資源研究室 副研究員 (計22篇) 23 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 23 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:44 財団ニュース 水研 OB の新人が見た財団(OFCF) 技術顧問 時村 宗春 筆者は水研(退職時は独立行政法人水産総合研 聘する大臣が急遽当日の深夜便で到着することに 究センター(以下「水研」という。 ) )に29年間勤 なったり、研修生が予定便で帰国していない等の め、2015年 4 月から財団に、新人として目を白黒 緊急事態が生じた場合には、担当者は、昼休みも させながら勤務している。本稿では、水研OBの 返上して対応に追われることとなる。 新人の目に映った財団の姿を紹介する。 財団の事務所は、25年ほど前に訪ねた赤坂の事 務所(ツインタワー)よりずいぶん控えめなビル にある。活動資金が潤沢な組織と思っていたが、 今はそうでもない。低金利のため運用益が小さく、 また「鬼に金棒、○×にマイク」と言われた某先 生による事業仕分けの荒波にも揉まれたらしい。 今は、事務所全体に、経費節減、事業絞り込み、 及び、知恵と手足で何とかしようという雰囲気が 漂っている。華やかな時代をご存知の方々には申 し訳ないが、適度な緊張感が新人には心地よい。 水研調査船のクルーが、水産庁船よりかなり低予 研修生の帰国トラブル対応に追われる 交流促進課長と担当調査役 算のもと、知恵と自助努力で船の機能を維持し使 役員と幹部職員で毎週月曜日に行われる定例会 命を果たしている状況と似ている。 は、予定の確認、外国出張報告、問題点の提示な どが、短時間でテキパキと行われ、効率的である。 筆者が水研時代の類似の会議に 2 時間近くかけて いたのとは相当違う。職員のまとまりも良く、職 員親睦行事(バーベキューパーティーやボーリン グ大会)への参加率も高い。 出張報告や会議参加の報告が、文書、メール、 口頭(報告会)とも水研よりはるかに充実してい るうえ、外国の方々も含め財団を訪れる方々も多 い。また事務所が都心に位置しているため、アン テナを張っていれば、情報が容易に取れるし、関 財団が入っている虎ノ門30森ビル 係する方々とのつながり作りもむずかしくない。 この点は、水研よりはるかに有利である。 財団は民間の組織だが、旅費等の事務手続きは、 さて、財団の業務には、関係沿岸国の漁業振興 水研より煩雑かもしれない。勤務時間中は、職員 への技術協力、海外漁業交流の促進、及び海外漁 は、わき目もふらず働いており、マイペースで仕 業協力事業を行う本邦法人等への資金の貸付け等 事する水研の研究職とはかなり違う。海外から招 があるが、筆者がこれまで主に携わったのは、日 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 24 海外漁業協力 第74号 2016.6 24 2016/07/21 14:44 財団ニュース 中韓水産研究者協議会(二番目の業務の一つ)と、 地域水産業人材育成事業(一番目の業務の一つ) の水産指導者養成コース(研修)の業務であるた め、これらの事業についての印象を簡単に紹介す る。 日中韓水産研究者協議会 日本、 中国、 韓国の水産研究者による「日中韓 水産研究者協議会」を、 3 国持ち回りで開催し、 主に 3 国が共通して利用する海域の資源管理をテ ーマとして研究者協議会を行うとともに、開催国 の現地視察等を行う事業である。 筆者は水研時代にも、この事業の一環として財 団が制作した「東シナ海・黄海魚名図鑑」及びそ の新版の 2 冊に関わり、第19回の韓国開催の際 には、日本代表団の一員として参加した。また、 その前年の第18回の日本開催の際には、現地視察 地であった長崎で、地元の水研職員として代表団 を迎えた。 新版「東シナ海・黄海魚名図鑑」 業務である日中、及び日韓の漁業共同委員会下の 専門家会議等にも大いに役立った。 さて、2016年度からは事務局側の財団職員とし て協議会に参加することになった。第26回の協議 会の詳細については、現在同僚となっている周衛 東特別専門家が紹介するので、本稿では重複しな い部分を述べる。 第18回日中韓研究者協議会の現地交流会 3 国持ち回り開催とはいえ、実質的には、財団 が主要な部分を担当するため、財団の事務局は大 そのときには、同僚の浅野健治氏ともども懇親 変である。中国、韓国の地理、事務手続きのルー 会で中韓代表団と意気投合して、宿泊地の伊王島 ル、商習慣、及び担当者の個性まで把握し、限ら まで同行し、温泉と懇親で深夜まで盛上がった。 れた予算の中で、会場、宿泊、移動手段、スケジ その際は、急遽宿泊の手配をしなければならなく ュール、レセプション、食事、通訳、横断幕や立 なった財団のご担当(倉持さん、周さん)のお手 看板、事務用品、懇親会の席順までを事前に準 を煩わせた。 備・設定しなければならない。そのため、第26回 この事業との一連の関わりのおかげで、漁業者 の協議会でも、事務局は、事前打ち合わせのため、 や九州漁業調整事務所の方々に使っていただいて 5 月に中韓両国を訪問するとともに、本会議 いる魚名図鑑のような形に残る財産に加え、中韓 の研究者と信頼関係を作れたことは、水研の本来 25 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 25 (11月)にも、2 名が先乗りして最終調整を行った。 会議は成功裏に終了したが、その陰には、大変な 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:44 財団ニュース 顧問・中国水産科学研究黄海水産研究所研究員 ( 「研究員」は部長級)という方であることを知っ た。 この方は、1990年から1993年に財団が手掛けた マダイの種苗生産技術供与のプロジェクトで青島 の小麦島において松本淳専門家から熱血指導を受 けた方であった。この企業が大きく育ったのは、 財団のプロジェクトで供与された技術が、中国で 遼寧省海洋水産科学研究院での事前打合せ 確実に受け継がれ、花開いたものとも言える。ち なみに、筆者が財団の存在を知ったのも1991年11 準備と蓄積されたノウハウがあることを知った。 月に政府ベースの日中研究者交流で、小麦島を訪 さて、2016年第26回の会議自体は、日本代表団 問したときであり、これは政府間ベースでの交流 (檜山義明団長)をはじめとする優れた講演が多 での初訪中団であった。これに対し、財団では、 かったこともあって、本会議を行った北京でも、 技術協力プロジェクトは1985年から、日中韓水産 また現地視察を行った大連でも活発な質疑が交わ 研究者協議会(開始時は「黄海の有用水産資源培 され、中韓の研究者からは、 「とても勉強になる 養に関する研究者協議会」 )も1990年から開始さ 会議なのでまた参加したい。 」という趣旨の意見 れており、政府ベースの研究者交流よりはるかに が多く聞かれた。また、日中、日韓の二国間協議 先行していた。 に関わってきた個人的経験からも、この協議会は、 さて、このように歴史と実績のある日中韓水産 政府間の二国間交渉ではなかなか出てこないよう 研究者協議であるが、日中韓の研究交流に関する な率直な発言や情報も出てくる場であり、我が国 枠組みとしては、この協議会以外にも日中韓 3 国 にとっても政府間以外の安定したチャンネルとし の水産研究機関間の機関長会議(ワークショップ ての意義が大きいと感じた。 を併設) 、PICES(北太平洋における海洋科学に 余談になるが、大連の現地視察で、トラフグ等 関する会議で、水産や海洋全般にわたる広範な研 の大規模な養殖を手掛けている大連天正実業有限 究発表あり)等の類似した枠組みも開始されてい 公司を訪問した際に、この企業を支えている技術 るため、日中韓研究者交流の先導役としての役目 的なバックボーンとなっているのが、柳学周同社 は十分果たしたとも言える。もとより、予算面で はOFCFの独自予算で実施する事業であることか ら、協議会の持ち方についての見直しが必要な時 期に当たっている。 第26回の協議会終了後、このような状況を総合 的に検討した結果、次回(第27回東京)を最終回 とすることとなった。筆者としても、水研時代か らお世話になったこの協議会を、円満な形で終了 できるよう力を尽くしたい。 小麦島でのマダイ種苗生産に携わった、 柳学周現大連天正実業有限公司顧問・ 中国水産科学研究黄海水産研究所研究員(左の人物) X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 26 地域水産業人材育成事業 この事業は、我が国の民間ベースによる海外漁 業協力事業の効果的な推進を図るため、関係沿岸 海外漁業協力 第74号 2016.6 26 2016/07/21 14:44 財団ニュース 国政府又は関係団体や企業等からの推薦を得て、 ラッシュアップ、研修生の声を反映した構成への ①漁船員養成(乗船)コース、②水産技術者養成(実 改編(現場への応用の強化等) 、研修終了後のフ 習)コース、③水産指導者養成(資源管理)コー ォローアップ(メールでのQ&A対応、研修者名 ス、④水産指導者養成(漁業管理)コース等を実 簿のアップデート) 、技術研修や現場研修受け入 施しているものである。筆者は、このうち、 4 か れ先との情報交換(当方の研修の目的の周知と研 月間の漁業管理コース(スリランカ、インドネシ 修先のご要望や問題点の指摘の把握)等に力を入 ア、モーリシャス、ドミニカ国、ガーナから各 1 れたい。 名) 、及び 1 か月間の資源管理コース(マダガス 以上、紹介したように、財団は、資金に加え、 カル、ソマリア、マレーシア、タイ、セーシェル、 長年にわたる継続的活動による交流や支援に関す ナミビアから各 1 名)の研修に携わった。具体的 る豊富な情報やノウハウ、関係国との深い信頼関 には、日本の水産概論、日本の水産増養殖、及び 係、蓄積された人脈等を武器として、きめ細かく、 日本の水産資源の講義、鹿児島大学、国際水産資 効果が長続きする支援を提供できる組織である。 源研究所及び中央水産研究所(技術研修を引き受 繰り返しになるが、筆者としては、水研での経 けてくださっている)への挨拶、現地研修をお願 験も活かし、まずは、自分の担当する日中韓研究 いする漁協や近隣県の研究機関等への引率等を担 者協議会の円満な終了に取り組みたい。同時に、 当した。 研修のブラッシュアップとフォローアップ、及び 一連の活動を通じて収集した関係国の知見・情報 の整理及び発信に取り組み、 「○×のことなら OFCF」と言っていただけることを目指したい。 漁業管理コースの研修風景(日本の水産増養殖) この研修は、日本の漁船が操業する可能性があ る海域をもつ国々、あるいはCITES、IWC等の国 際会議において、日本の主張に理解を示す国々を 増やすことを長期的ゴールとして、対象となる 国々の漁業管理、資源管理の推進に、研修を通じ て貢献することを目指すものである。 筆者にとっては、初年度であったため、自分の 講義を無事こなすことで、“一杯一杯”であったが、 研修生の自国の漁業を振興したいという熱意に接 し、参加者に日本の漁業や研究についての正確な 情報を伝え、参加者のニーズに合い、将来にわた る信頼関係を構築するような研修にしなければな らないと強く思った。今後は、担当する講義のブ 27 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 27 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:44 財団ニュース 水産指導者養成 持続的利用コースでの岩手・宮城現地視察 交流促進課 天野 麻衣 財団が水産庁の補助を受けて実施している地域 にCITES及びIWCに関する講義を受講した。また、 水産業人材育成事業(我が国の民間ベースによる 研修期間中に都内見学、大船渡・気仙沼視察、及 海外漁業協力事業の効果的な推進を図るため、関 び築地市場・横浜市漁協柴支所視察も織り込まれ、 係沿岸国政府又は関係団体や企業等からの推薦を 31日に修了式が執り行われた。このうち、筆者が 得て研修を行う事業)において、2016年度新規の 引率した岩手・宮城県現地視察の概要を以下に紹 研修が 5 月後半に行われた。CITES締約国会議や 介する。 IWCの年次会合などに対応するため、関係国の中 堅幹部クラスの行政官等を受け入れ、CITESや 5 月25日(水) IWCに関する講義や、サメ類が有効利用されてい 朝 7 時20分に、宿泊所兼研修所である北千住の海 る現場の視察などを行うコースである。財団とし 外産業人材育成協会東京研修センターをバスで出発 ても初めての研修であったが、水産庁、水産研 して、上野駅からはやぶさに乗り、一ノ関駅に午前 究・教育機構 国際水産資源研究所、自然資源保 10時過ぎに到着した。水産庁海外漁業協力室の武下 全協会、東京海洋大学、 東京大学、岩手県や宮城 係長と合流し、一ノ関駅からバスで大船渡に移動し 県、横浜市漁協柴支所等の皆様のお知恵・お力を た。初日の目的は、魚市場と栽培漁業協会を視察す お借りして、無事に研修を終了することができた。 ることであったが、昼食が早めに終わって時間に余 研修には、アジア、オセアニア、アフリカ、中南 裕ができたため、陸前高田の「奇跡の一本松」を見 米から11か国11名が参加し、2016年 5 月16日に財 学した。2011年 3 月11日に発生した東北地方太平洋 団で開始式が開催された。 沖地震により、この一帯の松林は津波の直撃を受け たが、この松だけが立ったままの状態で残ったこと から、復興の希望の象徴となっている。枯死したも のの、科学的な処置が施され現在の場所に立てられ ている。研修生は、一様に津波の被害の大きさを実 感したようであり、なかには津波の犠牲となった人 研修開始式 竹中理事長と その後研修生は17、18日に三田の外務省の共用 会議所で開催された水産庁・外務省共催の持続的 利用会合に参加し、19日からは、水産庁の担当官、 大学及び水研機構の研究者、及び財団技術顧問に よって行われた日本の水産業及び資源管理、並び X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 28 海外漁業協力 第74号 2016.6 奇跡の一本松 28 2016/07/21 14:44 財団ニュース に祈りを捧げる方もいた。 1 大船渡魚市場 岩手県農林水産部漁港漁村課の阿部漁港課長、 大船渡市農林水産部水産課の鈴木課長と金野係 長及び大船渡魚市場佐藤専務等の案内で市場を 見学した。同市場では、震災による地盤沈下の ため、 1 m近くの嵩上げが行われていた。ま アワビ種苗着底板の見学 た、衛生管理対策として、屋根付岸壁、閉鎖型 荷さばき場、清浄海水導入施設等が整備されて いた。 5 月26日(木) 鮮度保持に効果の高い、シャーベット状の海 1 気仙沼魚市場 水スラリーアイスの製氷施設が併設され、場内 水産庁から出向されている気仙沼市産業部水 の車両には電動のフォークリフトを使用し、排 産課の小川副参事と気仙沼遠洋漁業協同組合の 気ガスが出ないようにしている。研修生は、同 齋藤組合長の案内で市場見学を行った。同市場 魚市場が、震災を機に最先端の魚市場として再 は、生鮮カツオ、サメ、メカジキ等は全国一の 整備されたことを理解し、質問をしたり写真を 水揚げを誇っていること、及び特に 9 月ごろか 撮ったりし、熱心に説明を聞いていた。 らはカツオ、サンマの水揚げが多くなり、活気 がある様子を 2 階の見学デッキから見学できる とのことであった。研修生は、陸送されたネズ ミザメ、輸入されたマグロ及び定置網による漁 獲物の水揚げや選別の様子を見学し、ヒレを切 り取った後のネズミザメを熱心に写真に収めて いた。 この見学の途中で三陸新報社の中島記者の取 材を受け、水産庁武下係長が研修の概要を説明 衛生的な大船渡魚市場 (電動フォークリフト充電場) し、モロッコ農業・海洋漁業省のAomar氏は、 「気仙沼に来るまでは(サメを)無駄にしてい 2 岩手県栽培漁業協会 岩手県の阿部課長の先導で岩手県栽培漁業協 会を訪問し、同協会の坂本専務から、アワビの 種苗生産の案内を受けた。 主に、ヒラメ、アユ、アワビの種苗生産を行 っており、中でもアワビは500万個/年を生産し 国内最大の規模であること、及び温度管理やエ サ等種苗生産する上でのポイントが紹介された。 研修生からは再捕率はどのように算出するのか 等様々な質問が出された。 29 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 29 気仙沼魚市場に並ぶモウカ(ネズミザメ) 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:44 財団ニュース るのではないかとの懸念が合った。 (サメの漁 の感想を述べた。なお、この記事は翌日の同紙 獲を)感情的に非難する人もいるが、すべて活 1 面に掲載された。 用しているという証拠がここにある。 」と見学 三陸新報社 提供 2 気仙沼市役所訪問 鋭い指摘がなされ、その後、30分間活発な質疑 菅原茂気仙沼市長を表敬訪問した。時村財団 応答が交わされた。市長からは、地元以外も含 技術顧問が視察の目的を説明をし、市長から めた多角的な水産物の集荷、及び関連産業(造 “市を挙げて水産資源の持続的利用を図ってい 船、加工等)のレベルアップによる市外からの る。”との力強いご挨拶があった。ここで、研 業務の受託ができるよう体質強化を図っている 修生から、自国での経験を基に、一つの漁業に という趣旨のご説明をいただいた。最後に、菅 過度に依存するのは危ういのではないかという 原市長を囲んで記念撮影を行った。 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 30 海外漁業協力 第74号 2016.6 30 2016/07/21 14:43 財団ニュース 4 フカヒレ加工場見学 食品工場とは思えないお洒落な外観の株式会 社中華高橋水産において、高橋代表取締役社長 より、ヒレや肉のみならず骨も医薬品やペット フードや医薬品に利用していること、資源的に 問題の無い種だけを利用していること等の説明 を受けた後、フカヒレの加工現場の見学を行っ た。原料となるフカヒレの半量を気仙沼から、 残りを国外(主にスペイン)から買い付けてお 菅原気仙沼市長と記念写真 り、ヒレ、骨、肉など無駄なく活用しているこ と、フカヒレは乾燥に80日、その戻しに 8 日程 3 サメ肉のすり身加工場見学 度と、完成まで長期間を要する加工品であるこ 小川副参事と共に気仙沼市産業部水産課加工 と等の説明を受けた。 振興係の糟谷主事にも同行していただき、株式 会社ムラタにおいて村田専務の案内で、サメ肉 の加工施設・サメ皮の加工施設・製品を見学し た。サメ皮が 7 層に分かれており、その 2 層を 剥ぐことでサメ皮として利用できること、サメ には毛穴が無いことも特徴であること等の説明 を受け、着色を施したサメ皮も見学した。研修 生はサメはヒレだけでなく、肉・皮に至るまで 無駄なく使える資源であることを実感したよう であり、ファッションに関心が高いグレナダの Calliste氏は、村田専務と熱心に交渉して、展 示用の製品(ベルト)を譲り受けて(購入し フカヒレから骨を外す作業をする モーリタニアのWague氏 て)いた。 5 サメ肉等の昼食 鮨処「えんどう」で、サメを利用したメニュ ーの昼食をとった。料理長が、サメ肉は水分が 多いことが欠点でもあるが、冷めても軟らかい という利点にもなること等、食材としてのサメ 肉の特性等について説明し、研修生と質疑応答 を行った。中華高橋の高橋社長も同席し、研修 生達と各国の食文化や食材についての意見交換 がされた。研修生からは、“帰ったらさっそく サメを利用するようにしよう。”とか“それぞれ の国でサメの歌を作ろう。”といった声が聞か れた。気仙沼市の小川副参事からは、今回の研 なめして着色したヨシキリザメの皮 31 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 31 修でサメの有効利用について知見を深め、国際 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:43 財団ニュース 会議における日本の主張の正当性について理解 得できた様子であった。研修生達が実際の目で していただきたいという、研修の主催者を代弁 現場を見ることができ、とても有意義な地方研 するようなコメントが研修生に伝えられた。最 修になったと考える。 後に、研修生代表としてソロモン諸島のAba氏 最後に、今回の地方研修の趣旨を正確に把握 より、この研修旅行で、震災と復興を体感でき し、的確な視察プログラムを組んでくださった、 たこと、サメが有効に利用されていることを理 岩手県の阿部課長及び気仙沼市の小川副参事、 解できたことに対する感謝の言葉が述べられた。 並びに、お忙しい中、プログラムに真摯に対応 今回、2011年の東日本大震災で大きな被害を してくださった現場の皆様に心から感謝する。 受けた大船渡、気仙沼における研修を引率し、 震災の被害の甚大さと復興状況を垣間見ること ができた。未だプレハブの仮設住宅が多くみら れ、個人的にも、 5 年が経った今も多くの人が 震災以前の生活環境に戻っていないことを実感 した。研修生も当時の様子や津波被害の甚大さ を目の当たりにし驚いた様子であった。また、 サメの有効利用においては、サメについて知っ て、見て、触って、食べてといった五感を使う ことで、フカヒレだけの利用だけでなく、骨、 皮に至る全てを有効活用していることが深く納 料理長によるサメ肉調理に関する解説 研修修了式 左から Aba Kirk Alan(ソロモン諸島) 、 Lai The Hung(ベトナム社会主義共和国) 、 Wague Abdoulaye(モー リタニア・イスラム共和国) 、Francis Calliste(グレナダ) 、Bourhim Aomar(モロッコ王国) 、粂専務理事、 Seid Mohammed Abrar Ahmed(エリトリア国) 、Sok Long(カンボジア王国) 、Enkhbat Damdin(モンゴル 国) 、 Ramkisor Ajey Chandrabhose Randjitsingh(スリナム共和国) 、 Defoe Jullan Benoie Georges(ドミニカ国) なお、ラオス人民民主共和国のAkhane Phomsouvanh氏は修了式前に帰国 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 32 海外漁業協力 第74号 2016.6 32 2016/07/21 14:43 財団ニュース 海外漁業協力財団のインターンシップを終えて 日本大学 大学院 生物資源科学研究科 修士課程 2 年 藤倉 たくみ 私は、将来、我が国の水産業と海外を繋げ発展 業との共同研究も積極的に進 させていく職種に就きたいと考え、日本大学 大 めています。そこで感じるの 学院 生物資源科学研究科に進学しました。はじ は、養殖産業における海外と めに、現在大学院で取り組んでいる研究内容につ の密接なつながりです。私が いて紹介します。 被害を抑え込みたいと考えて 大学では養殖産業で大きな問題となっている いるウイルス病もほぼ全て海 “魚病”を専門とする研究室に在籍しています。研 外から日本に侵入してきたと考えられているもの 究室では、主に魚病を引き起こす魚類病原体と魚 であり、世界中で問題となっている病気でもあり 病の予防に関する研究に取り組んでおり、私自身 ます。 1 年半ほど海外留学を経験する機会があっ は魚病の予防法として近年注目されている免疫賦 たこともあり、世界と繋がるような研究をしたい 活剤(免疫強化剤ともいいます)を研究課題とし と考え、世界中で養殖され、被害も大きいニジマ ています。免疫賦活剤には様々な種類があり、私 スのウイルス病予防を研究課題として選びました。 は魚類で最も有名かつ利用されているビタミンC そして、卒業後も水産関係で世界を視野に仕事を がどのように魚の免疫機能を向上させているのか、 したいという希望があり、指導教員の間野伸宏先 そのメカニズムについてニジマスをモデルに研究 生にご相談したところ、海外漁業協力財団でのイ しています。ビタミンCは工業的に大量生産され ンターンシップを紹介して頂きました。 1 週間、 ているビタミンであり、価格も安価で、多量に投 インターンシップをやらせて頂きましたが、当然 与しても副作用が殆ど認められないなど、優れた ながら、普段取り組んでいるものとは全く異なる 抗酸化物質です。複数の魚類の病原体に効果があ 作業・経験でした。一方で、先生より“君の視野 ることが確認されており、マス類で最も被害の多 が広がると思う”、とインターンシップ前に指摘 いウイルス病に対しても、投与方法を工夫するこ されていた通り、交流促進課における研修生受入 とで明瞭な効果がもたらされることが明らかとな 事業や、企画評価課の事業評価などは、これまで っています。一方で、 『何故効くのか?』という 考えてこなかった海外との繋がる仕事やプロジェ 原理はよくわかっておらず、その使用に不安を抱 クトの存在を体験できる機会となりました。 いている養殖業者の方達も未だ多くみられます。 研修生の受け入れ事業では、市場や養殖場へ直 つまり、いくら安価といえ、それなりの費用のか 接赴き、現場で実地研修を行い実用的なノウハウ かるビタミン剤を購入・使用する価値はあるの を学ぶ場面や、日本の流通システムや日本語の講 か?と。そこで私は、その原理解明に取り組み、 義など、将来日本とビジネスを円滑に行う際の地 ビタミンCを投与したニジマスでは、ウイルスの 盤を学ぶ機会などがありました。日本へ水産物を 増殖を抑える免疫物質の一種が増加することを明 輸出している国の技術者や政府関係者を招聘し、 らかにしました。この免疫物質の量を指標として、 技術力やノウハウの提供を行うことで、日本にと 最適な投与法を提案していくことが、私の大学院 っては高品質の水産物を安価に輸入でき、生産国 での研究の目標となっています。 にとっては国益の上昇・水産業の発展に繋げるこ 私の所属研究室では、水産試験場や養殖関連産 とができるという、両国どちらにもメリットがあ 33 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 33 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:43 財団ニュース る素晴らしい事業だと感じました。また、事業終 最後に本インターンシップに取り組むに当たり、 了後に被援助国からアンケートをいただき、その 財団の皆様には丁寧かつ具体的な指導を賜りまし 事業に対しての評価を行う仕事も、現場の声を次 た。この場をお借りしまして厚く御礼申し上げま の事業へフィードバックするためにとても大切な す。 業務であると感じました。 本インターンシップで知ることのできた事業は どれも途上国の水産現場に直接アウトプットする ものであり、得られた効果は水産業の振興だけで なく、現地の住民にとっても喜ばしいことだと感 じました。加えて、被援助国にて産業地盤の整備 に貢献することで、両国の国益や水産産業の発展 に寄与していることが理解でき、新たな発見をす ることができました。本インターンシップでは今 まで自分の知らなかった業務について知識を得る ことができ、また実際に現場の雰囲気を体験する ことができました。この経験を糧に、自分自身の 今後に活かしていきたいと考えています。 講習中に研修生をサポートする筆者 所感: 間ではあったが、財団に対して興味を持ち、理解 各担当者による業務説明において、メモをとり を深めてもらえたこと、財団職員にも刺激となっ ながら真剣に話を聞き、積極的に疑問点を質問す たことは、双方にとって有意義な機会だったので るなど、全体を通じて意欲的に取り組んでいた。 はないかと考える。 一方、大学院での研究に関して質問が問い掛け 企画評価課(現総務課) 森 祥子 られると熱心に語る様子が印象的であった。短期 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 34 海外漁業協力 第74号 2016.6 34 2016/07/21 14:43 財団ニュース マーシャル諸島から見た日本、そして海外漁業協力財団 事業部 開発協力課(現融資部 審査課) 西村 直樹 はじめに シェアの精神然り、時間の観 私と財団との最初の出会いは私が青年海外協力 念然り…。 隊の活動を終えた後、マーシャル諸島共和国の現 到着してすぐに始まる離島 地日系企業で働いているときのことでした。マー での語学訓練では一か月間、 シャル諸島共和国は首都があるマジュロ島でも 3 日本統治時代に首都だったジ 万人程度の住民しかおらず、誰か新しく日本人が ャルート環礁に滞在しました。 来るとすぐにわかります。 歴史的な背景からジャルートの人々が日本人に対 「財団の専門家として来ました。 」現地に馴染ん しどのような感情をもっているか、非常に不安な でいるはずの私が、悔しいくらい日焼けした、妙 気持ちで赴いたことを覚えています。幸い私を迎 にたくましく、明るい二人組は財団の船舶機関の え入れてくれたホストファミリーは非常に親日的 専門家と製氷機の専門家でした。“海外漁業協力 でしたし、不思議なことに村の雰囲気にどこか懐 財団”という名称は現地邦人の間であまり広がっ かしいところがあり、私も非常にリラックスして ていませんが、英語名である「OFCF」の名称は、 過ごしました。昼間は座学による語学訓練ですが、 現地邦人だけでなく、水産に携わるマーシャル人 その後は子供たちとチャンポ(散歩)したり、ブ を中心に知らない人がいないくらいに知れ渡って エブエナート(おしゃべり)をしたり、ウクレレ います。カウンターパートも徒弟制を思わせるほ でカジャンジャン(演奏)したり、今となっては ど熱心に師匠(財団専門家)のあとをくっついて 夢のような時間をすごしました。夜になると月の まわって勉強している姿勢が印象的でした。 あかりの下で“ママ”(ホストファミリーの母)が、気 を遣って沸かしたお湯で入れてくれたホットティ ーを“パパ”(ホストファミリーの父)と飲みながら、 色々な話をしました。現地語学訓練では辛うじて 通じる英語を使いながら現地語の語彙数を増やし ていく、という作業を延々と続けるわけですが、 不思議なことに話に集中していると、その時に何 語で話していたか覚えていないことがあります。 私は毎晩何語かわからない言葉でパパと話をしま 空から見るジャルート環礁 した。 「日本のブエブエナート(ここでは昔話の意) マーシャルとの出会い で一番好きなのは、怒った神様が洞窟に隠れて真 青年海外協力隊の理数科教師としてマーシャル っ暗になってしまった。そこで鶏がきて鳴いたら 諸島共和国に派遣されたのが大洋州との出会い、 神さまが出てきてまた明るくなったってやつだ。 国際協力の始まりでした。それまで海外に縁がな 直樹はこの話を知っているか?」 い人生だったこともあり、マーシャルでの生活は 驚きました。私は古事記や日本書紀には詳しく カルチャーショックの連続でした。食事やお金の ないのですが、間違いなくアマテラスオオミカミ 35 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 35 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:43 財団ニュース ながなきとり の話です(長鳴鳥では開かなかったので、アメノ 想です。実際に理科や数学の授業を行ううえで言 ウズメノミコトが踊ってその隙に岩戸をあけるこ 葉の壁、時間の観念の違い、カリキュラムがマー とに成功したなど、いくつかのあらすじがある) 。 シャルに適したように作られていないなど、色々 童話なども、ストーリーが微妙に変化していたり な難しさはありましたが、 「日本人がせっかく教 しましたが、人々の記憶に残っていました。音楽 えに来てくれているのだから、とりあえず話を聞 も「恋しいわ」の歌、 「ありがとう」の歌など日 いてやろう」という雰囲気を感じることが多々あ 本語でいまだに歌われているものもあります。 りました。これは二年間という限られた時間で活 動するうえでは大きなアドバンテージでした。 マーシャルと日本との結びつき 私がマーシャルのブエブエナートでもっとも好 財団での仕事と今後の抱負 きだったのは“イーシュ”の話です。 マーシャルの話が長くなってしまいましたが、 イーシュは日本統治時代のジャルートの娘の名 開発協力課に配属された私の担当はマーシャルを 前です。イーシュは日本兵と恋に落ち、幸せに暮 含む大洋州の地域巡回機能回復等支援事業(以下、 らしていました。しかし戦争が終わると日本兵は FDAPIN)とナマコ資源管理プロジェクトの 2 つ イーシュをおいて日本に帰ってしまいました。イ です。これらはおおまかにいって漁業振興に必要 ーシュは悲しくて毎晩泣き続けました。泣き続け な技術の移転と、それに必要な資機材の供与です。 て何日経ったかわからなくなったある日、悲しみ 具体的に言うと、FDAPINにおいては魚の鮮度保 のあまりイーシュの背中に羽が生えてきました。 持に必要な氷を作る製氷機などの修理とメンテナ イーシュはこれで会えると日本兵のもとへ空を飛 ンスの技術移転、ナマコ資源管理プロジェクトに んでいきました。やっとの思いで日本兵を見つけ おいては、世界的にも珍しいオニイボナマコの養 ましたが、なんとそのとなりには女性と小さな子 殖を試験的にソロモン諸島で行っています。2015 供もいます。イーシュはすべてを悟り、日本兵に 年10月に入団したのですが、私はこれらの専門家 声をかけることなくジャルートに帰りました」 の方々と二人三脚でプロジェクトを行っています。 “ママ”はこの話は他と違って実話なのだと教え マーシャルのマジュロに通算 5 年 4 か月間いた経 てくれました。 「イーシュはわたしのおばあさん 験から、専門家の方々がする苦労、感じるやりが にあたる人なのよ」と。人間に羽が生えるとは思 いはそれなりに想像がつき、私ならではのサポー えないのですが、その場の空気でなんとなく作り トができるようになれればと考えています。また 話のように思えません。まわりのマーシャル人も お世話になったマーシャル国民に恩返しができる まじめな顔をして「本当の話だ」と言います。作 と思うとうれしくてなりません。しかし開発支援 り話でない証拠にイーシュが日本から戻ってくる の前に、まずは自分の所属する開発協力課で貢献 ときに持って帰ってきた桜の木がジャルートにあ できるようにならねばと思っております。 ると言います。私はまだその木を見ていません。 ジャルートは簡単に行ける場所ではありませんが、 いつかその木を見ることを楽しみにしています。 残念ながらその話をしてくれたママはアメリカに 移住してしまいジャルートで一緒に桜を見ること は難しくなってしまいましたが…。 これだけ日本と結びつきの強い国で活動できる のは非常にありがたかった、というのが一番の感 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 36 研修の最初に過ごしたホストファミリーと 海外漁業協力 第74号 2016.6 36 2016/07/21 14:43 財団ニュース 主な動き (要人往来) 2015年11月12日 財団訪問 ソロモン諸島 マネニアル大臣と粂専務 2015年11月12~13日 日・ソロモン協議 2016年 1 月27日 財団訪問 キリバス共和国 アッカ・マロティ・リモン外務次官と竹中理事長 2016年 3 月 9 日 財団訪問 パラオ共和国 ウミー・センゲバウ天然資源・環境・観光大臣と 竹中理事長 37 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 37 2016年 3 月 9 ~11日 日・パラオ漁業協議 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:43 財団ニュース (研修受入) 2015年11月13日 水産指導者養成(資源管理)コース開始式 2015年11月25日 水産指導者養成(漁業管理)コース修了式 2016年 2 月19日 漁船員養成(乗船)コース修了式 2016年 2 月26日 水産技術者養成実習コース 修了式 (運営管理グループ/定置網研修) X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 38 2016年 3 月14日 水産技術者養成実習コース 修了式 (運営管理グループ/冷凍冷蔵研修) 海外漁業協力 第74号 2016.6 38 2016/07/21 14:42 財団ニュース 外国要人等の招請 国名等 ソロモン パラオ 目 的 我 が 国 か つ お・ ま ぐ ろ 漁船の同国水域の安定 的な入漁を確保するた め、 我 が 国 政 府 や 漁 業 関 係 者 と の 意 見 交 換・ 関連施設の視察等を通 じ て、 我 が 国 の 漁 業 の 実態や資源管理手法等 の理解を促すととも に、 両 国 の 漁 業 分 野 に おける友好協力関係の 強化を図る。 所属等 氏 名 漁業海洋資源省大臣 Hon.John Maneniaru 同省漁業局次長 Mr.Edward Honiwala 期 間 2015年 11月11日 ~11月14日 主な訪問先 水産施設 2016年 3月8日 ~ 3 月12日 海外漁業協力 財団 司法局上級法務官 Mr.John Gilbert Muria 天 然 資 源・ 環 Hon.Fleming Umiich 境・観光大臣 Sengebau 同省大臣顧問 Mr.Noah Idechong 同 省 ま ぐ ろ 漁 業 Mr.Asterio Takashi 事業部長 国際会議支援等 国名等 目 的 氏 名 期 間 キリバス 日・キリバス漁業協議支援 嶋本 州和 2015年11月 1 日~ 6 日 フィジー(スバ) ソロモン 日・ソロモン漁業協議支援 嶋本 州和 2015年11月12日~13日 東京 嶋本 州和 前田盛 暢彦 八塚 明彦 2015年12月 3 日~ 8 日 WCPFC (中西部太平洋ま 第12回年次総会 ぐろ類委員会) 主な派遣先 インドネシア (バリ島) 専門家派遣等 ⑴ 地域巡回機能回復等支援事業(太平洋) 国 名 パラオ ミクロネシア 目 的 巡回指導 氏 名 畑野 実 坂本 浩司 期 間 2015年10月29日~12月20日 江口 秀伸 2015年11月 8 日~11月12日 2015年11月22日~11月29日 2015年12月 8 日~12月12日 坂本 慎司 ナウル パプアニュー ギニア ソロモン 39 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 39 2015年11月 9 日~12月24日 西住 廣喜 2015年11月21日~12月24日 林 当磨 藤田 克二 2015年11月 7 日~11月21日 2015年12月 5 日~12月18日 藤田 克二 2015年11月29日~12月 4 日 2016年 2 月21日~ 3 月21日 主な派遣先 コ ロ ー ル、 ペ リ リュー、アンガウル、 アルモノグイ、 チューク、ヤップ、コ スラエ チューク、コスラエ、 ポンペイ ヤップ、コスラエ、ポ ンペイ アニバレ ポートモレスビー、ケ ビアン ホニアラ、コロボウ 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:42 財団ニュース 国 名 マーシャル 目 的 巡回指導 フィジー キリバス ツバル 氏 名 畑野 実 期 間 2016年 1 月13日~ 2 月29日 坂本 浩司 林 当磨 林 当磨 高橋 啓三 林 当磨 2016年 1 月15日~ 2 月29日 2016年 1 月22日~ 1 月31日 2016年 2 月 1 日~ 2 月24日 2016年 3 月 7 日~ 3 月15日 2016年 3 月 1 日~ 3 月14日 主な派遣先 マ ジ ュ ロ、 イ バ イ、 ウォッジェ スバ、レクツ、ランバサ タラワ、ニクナウ クリスマス フナフチ ⑵ 地域巡回機能回復等支援事業(アフリカ、中南米) 国 名 マダガスカル 目 的 事業実施 氏 名 大和 優一 吉岡 正次 北之園 禎之 新井 孝彦 モザンビーク 期 間 主な派遣先 2015年10月10日~12月17日、 アンタナナリボ、タマ タブ 2016年 2 月 4 日~ 3 月21日 2015年10月10日~11月10日 2015年10月17日~11月 8 日 2015年11月28日~12月11日、 マプト 2016年 1 月23日~ 2 月19日 ⑶ 拠点機能回復等支援事業 国 名 ウルグアイ 目 的 事業実施 氏 名 城野 草平 原 由郎 期 間 主な派遣先 2015年10月13日~2016年 3 月13日 モンテビデオ、カーボ・ ポロニオ 2016年 1 月 4 日~ 3 月13日 ⑷ 水産振興・資源管理推進事業 国 名 目 的 パプ アニュー 沿岸漁業開発 ギニア 氏 名 藤井 資己 期 間 主な派遣先 2015年10月 4 日~11月13日、 ポ ー ト モ レ ス ビ ー、 ウェワク、レイ 2016年 1 月23日~ 2 月12日 海外派遣専門家リスト 合計 5 か国 7 名 2016年 3 月31日現在 氏名 担 当 大洋州 4 か国 6 名 小松 徹 沿岸漁業資源管理指導 藤原 俊司 まぐろ産業アドバイザー 江口 秀伸 巡回普及指導 畑野 実 巡回普及指導 高橋 啓三 漁業開発アドバイザー 曽根 重昭 シャコガイ養殖振興 アフリカ 2 か国 2 名 石川 淳司 漁業協力アドバイザー 左近充 浩一 漁獲情報整備に関する技術指導 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 40 国 名 ソロモン ソロモン ミクロネシア ミクロネシア キリバス パラオ モロッコ セーシェル 海外漁業協力 第74号 2016.6 40 2016/07/21 14:42 政府ベースの漁業協力/漁業交渉・国際会議 水産無償 我が国の水産無償、一般無償水産関連案件につきましては、外務省のホームページに「外務省 ODA ホームページ」があり、「国別・地域別データ ― 国別約束(交換公文(E/N))データ」に案 件記事が掲載されています。URL(アドレス)は次のとおりですので、ご参照ください。 (編集事務局) URL http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/index.html 専門家の派遣(JICA専門家派遣:農林水産省推薦分) 国 名 セネガル 担当業務 水産行政アドバイザー (水産行政) 所 属 無所属 氏 名 池田 誠 期 間 2015年 8 月 5 日~ 2017年 8 月 4 日 調査団の派遣 国 名 ナミビア 担当業務 所 属 氏 名 期 間 海外水産協力ニーズ具体化支 水産エンジニアリング株式会社 (FEC) 援事業(案件発掘調査) 渡辺 豊徳 2015年 8 月 3 日~ (FEC) 2015年 8 月 7 日 添田 修平 (FEC) 大洋エーアンドエフ株式会社 及川 晋 (TAFCO) (TAFCO) 漁業交渉・国際会議 プレスリリース 発表日 2015 /10 /15 2015 /10 /29 2015 /10 /30 2015 /11 /2 2015 /11 /9 2015 /11 /12 2016 /11 /13 2015 /11 /18 2015 /12 /8 2015 /12 /16 2016 /2 /29 2016 /3 /1 2016 /3 /11 2016 /3 /26 タイトル 「みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)第22回 年次会合」の結果について 「日ロ漁業取締専門家会合」の結果について 「日・パプアニューギニア漁業協議」の結果について 「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)第34回 年次会合」の結果について 「日・キリバス漁業協議」の結果について 「北方四島周辺水域における日本漁船の操業枠組み協定」に基づく日ロ政府間協議及び民間交渉の結果について 「日・ソロモン漁業協議」の結果について 「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)第24回 通常会合(年次会合)」の結果について 「南東大西洋漁業機関(SEAFO)第12回 年次会合」の結果について 「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第12回 年次会合」の結果について 「日ロ漁業委員会 第32回 会議」の結果について 「第21回 日韓漁業取締実務者協議」の結果について 「日・モーリタニア漁業協議」の結果について 「日・パラオ漁業協議」の結果について 「日ロさけ・ます漁業交渉」の結果について 水産庁のホームページに「新着報道発表」があり、漁業交渉、国際会議資料が掲載されています。 URL(アドレス)は次のとおりですので、ご参照ください。 URL http://www.jfa.maff.go.jp/ (編集事務局) 41 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 41 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:42 ご案内 公益財団法人 海外漁業協力財団 平成29年度職員採用のご案内 求 人 票 求 名 代 所 表 在 称 者 地 人 先 電 話 ホームページ 業 務 内 容 応 募 採 用 時 期 採 用 予 定 数 受 験 資 格 内 容 ・ 提 出 書 類 選 考 容 ・ 選 提 出 期 限 選 考 日(第 1 次) 選 考 日(第 2 次) 考 勤 務 条 件 ・ 給 与 等 選 選 考 考 場 方 所 法 勤 務 時 間 休 日 有 給 休 暇 給 与、 賞 与、 諸手当 職務内容 勤 務 職 務 内 地 容 (公財)海外漁業協力財団 竹 中 美 晴 東京都港区虎ノ門3-2-2 虎ノ門30森ビル5階 TEL:03-6895-5381 http://www.ofcf.or.jp 設 職 員 立 数 正 味 財 産 額 人 事 担 当 者 (採用条件等) 昭和48年6月2日 男35名 女12名 計47名 (平成28年4月1日現在) 810億円 (平成28年3月31日現在) 総務課長 坂 田 重 登 当財団は、我が国海外漁場及び漁船の安全操業の確保、我が国漁業の安定的な発展並びに 我が国への水産物の安定的な供給の確保に資することを目的として、海外の地域における 水産業の開発、振興、国際的な資源管理等に資する経済協力及び技術協力を実施しています。 平成29年4月1日 若 干 名 ① 水産及び国際協力に興味のある心身共に健康な者 ② 平成29年3月に大学を卒業見込みの者及び卒業後5年以内の者 (学部、学科、専攻等は問わない) ③ TOEICスコア600又はTOEFLiBTスコア62以上相当の者 次に掲げる書類を一括の上、下記連絡先まで提出して下さい。 (郵送に限り受け付けます。) エントリーシート(ホームページをご覧下さい。)、履歴書(自筆。様式は市販あるい は学校指定のもので可)、卒業証明書又は卒業見込証明書、成績証明書、TOEIC又は TOEFLスコア写し・・・・・各1通 (注)履歴書添付用写真(最近3ヶ月以内撮影、上半身、脱帽、正面向、縦4センチ横3センチ) 平成28年9月9日(金):必着 平成28年10月6日(木):応募書類による選考 平成28年10月19日(水):試験 第1次試験の選考結果による第2次試験受験者に対し、平成28年10月11日頃、試験日等通知予定 (公財)海外漁業協力財団会議室 筆記試験(小論文・英語を予定)、面接試験 月曜日~金曜日 午前9時00分~午後5時00分まで又は 午前9時30分~午後5時30分まで 土曜日、日曜日、祝祭日、年末、年始 就職1年目 年間15日(4月1日採用)、2年目以降は20日、 夏季休暇3日 初任給:200,400円(平成27年度実績) 賞 与:年2回 その他:通勤手当、住宅手当、扶養手当 所在地と同じ(海外赴任可能性有り) ① 業務内容に掲げる経済協力又は技術協力に関する事務 ② 総務、経理に関する事務 ご質問・お問い合わせ・応募書類の提出は、下記連絡先までお願いいたします。 〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3 - 2 - 2 虎ノ門30森ビル 5 階 公益財団法人海外漁業協力財団 総務部総務課 採用担当 坂田、少作(しょうさく) TEL:03(6895)5381 メール:[email protected] X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 42 海外漁業協力 第74号 2016.6 42 2016/07/21 14:42 ご案内 日本の漁業と水産物の安定供給を支援する海外漁業協力財団 海外漁業協力事業のための賛助会員・寄附の募集 海外漁業協力財団は、海外の地域において技術協力事業と経済協力事業を一体的に実施することにより 関係沿岸国との間の関係強化や国際的な理解の増進を図り、我が国漁船の操業権益と我が国への水産物の 安定供給の確保を支援しています。 当財団がその事業を安定的に継続して行くためには、広く財団の活動に対する国民の皆様からの理解と 支持を頂くとともに、財務基盤の充実が不可欠であり、賛助会員を募集するとともに皆様よりのご寄付を お願いしているところです。 皆様よりお送りいただいた賛助会費および寄付金は法令並びに定款の定めに基づき技術協力事業又は経 済協力事業に充当されます。財団の諸事業を通じた開発途上国の水産振興や漁業資源管理の推進並びに水 産物の安定供給にご支援をお願いします。 太平洋諸国での技術指導 アフリカでの技術指導 1 .賛助会員 (会員期間は納入頂いた年度の 3 月末までです。 ) 年会費(個人) 1 口 05,000円(何口でも結構です) 年会費(法人・団体) 1 口 50,000円(何口でも結構です) 2 .寄附金 いくらからでも結構です。 3 .賛助会員・寄付金の使途 皆様から寄せられた賛助会費・寄付金は、法令並びに定款の定めに基づき、財団が実施する海外漁業 協力事業に使用します。 4 .賛助会員・寄附については下記にお問合せください。 公益財団法人 海外漁業協力財団 総務部総務課 住 所 :〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3 - 2 - 2 虎ノ門30森ビル 5 F 電 話 : (03)6895-5381 FAX: (03)6895-5388 M a i l :[email protected] 詳細は財団HP http://www.ofcf.or.jp/ をご覧ください。 43 X4_漁外漁業協力 No74_本文.indd 43 海外漁業協力 第74号 2016.6 2016/07/21 14:42 世界の漁港 イムスワン(Imsouane)漁港 モロッコ王国は北部は地中海、西部は大西洋に面して約 3,500㌔㍍の海岸線を持ち、約 100 万平 方㌔㍍の排他的経済水域(EEZ)を有している(出典:http://comhafat.org/en/)。大西洋岸は海 流のぶつかる海域でもあることから、魚種の豊富な好漁場であり、イカ、タコは日本、EU( 南欧 ) に も輸出されている。 イムスワン漁港はその大西洋岸にあり、観光都市アガティールの北部約 100㌔㍍に位置する。同 国の水産業は北アフリカの中では最大の規模であるが、拠点の 1 つである同港のような沿岸小規模 漁業の生産量は多くはない。イムスワン漁港は、1995 年頃からの日本の水産無償資金協力で、消波堤、 倉庫、スリップウエイなどの漁港施設の整備を行い、多少の荒天時にも出漁できるようになった。ま た日本政府は漁業協同組合の設立を支援し、同港の運営管理能力を向上させ、生産力を上げることに も貢献した。 通常、漁船には 3 - 4 人の漁師が乗船し、底はえ縄漁を主体とした漁業を行っており、ヨーロッ パオオアナゴ、エイ、カレイなどを漁獲している。また、三枚網による底刺し網漁も行われており、 メルルーサ、イカ、シタビラメなどが漁獲され、夏季には、かご漁でオマールエビ漁を行っている。 漁獲物は仲買人によって競り落とされ、アガディールの魚市場で販売される。 貸付制度について 当財団は、我が国漁業者等が海外の地域で、沿岸漁業等 の開発振興、国際的な資源管理の推進、現地合弁法人の設 立等の海外漁業協力事業を行う場合、これらの漁業者等に 対してその事業に必要な資金について融資を行っています。 貸付対象、資金の種類等は次のとおりです。 1.貸付対象となる事業 実施する海外漁業協力事業が次に該当することが必要です。 (1)我が国海外漁場の確保との関係において行われるも のであること。 (2)我が国政府の支持のもとに行われるものであること。 (3)水産関係団体の支持態勢がととのっていること。 2.貸付対象者 本邦法人、本邦人、本邦法人等の出資に係る現地法人、国際機関 3.資金の種類等 (1)無利子融資[手数料 年 0.5 %以内、償還期限 30 年 以内(うち据置期間5年以内)] ① 海外の地域の沿岸漁業開発及び国際的な資源管理 の推進等に寄与するための協力事業で、 (ア)海外の地域の政府、現地法人等に施設等を譲渡 するために必要な資金 (イ)海外の地域で行う事業に必要な資金で相手国政 府、現地法人等に貸付けるために必要な資金 (ウ)海外の地域で行う開発可能性調査その他の技術 協力に必要な資金 (エ)入漁との関連で相手国に支払う漁業協力金等 ② 現地法人の設立等海外投資により行う事業で、そ の効果が主として周辺の住民生活向上に寄与すると 認められる事業に必要な資金等 (2)低利融資[利率は市場実勢に応じて、円貨の場合は 年1.0%以上、外貨(米ドル)の場合は 年3.0%以上、 償還期限20年以内(うち据置き期間5年以内)] 海外の地域において現地法人等の設立等海外投資に より行う協力事業で、 ① 現地法人等に出資し、又はその株式を取得するた めに必要な資金 ② 本邦法人等の出資に係る現地法人等に貸付けるた めに必要な資金で、設備資金その他長期資金に充て られるもの ③ 本邦法人等の出資に係る現地法人等に出資しよう とする海外の地域の政府、現地法人等に対して、こ れに要する資金を貸付け又は施設等を譲渡するため に必要な資金等 4.融資割合 原則として海外漁業協力事業の実施のために必要な資 金の70%相当額 5.担 保 銀行保証、その他物的担保等 公益財団法人 海外漁業協力財団 融資部 審査課 電話:03-6895-5382 Fax:03-6895-5388 海外漁業協力 第74号 空から見たイムスワン漁港 底はえ縄漁船 漁獲対象はヨーロッパオオアナゴ 発行人 粂 知文 編集人 内田 和久 発行所 公益財団法人 海外漁業協力財団 〒105-0001 東京都港区虎ノ門3丁目2番2号 虎ノ門30森ビル (TEL) 総務部 (03) 6895-5381 融資部(03) 6895-5382 事業部(03) 6895-5383 (FAX)(03) 6895-5388 (URL) http://www.ofcf.or.jp/ 印刷所 松本印刷株式会社 発刊日:2 0 1 6 年 6 月 漁船とスリップウエイ X4_漁外漁業協力 No74_表紙.indd 2-3 漁船の浜揚げ 裏表紙の写真:モロッコ 「マサガン(アル・ジャディーダ)のポルトガル様式市街」城壁と海 2016/07/21 13:33 No 74 海外漁業協力 № 74 2016.6 Overseas Fishery Cooperation Foundation of Japan X4_漁外漁業協力 No74_表紙.indd 4-1 公益財団法人 海外漁業協力財団 2016/07/21 13:33
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