西山会計事務所通信 2016 年 2 月号 NO:CN-3 越境(クロスボーダー)電子商取引総合試験区の設立 国務院は 2016 年 1 月 12 日に「天津等の 12 都市におけるクロスボーダー電子 商取引総合試験区の設立同意に関する批複」を公表し、天津市、上海市、重慶 市、合肥市、鄭州市、広州市、成都市、大連市、寧波市、青島市、深圳市、蘇 州市等 12 都市にクロスボーダー電子商取引総合試験区の設立を同意した。 具体的な実施内容は所在地省級人民政府が制定し公布する。クロスボーダー電 子商取引総合試験区は、すでに運営を開始している中国(杭州)クロスボーダ ー電子商取引総合試験区(以下、総合試験区)の経験とやり方を参考にして各 地域の事情に合わせた措置を講じクロスボーダー商取引企業対企業(B2B)の 関連の技術標準、業務フロー、監督管理モデル、情報化の建設などの面で全国 に先駆けて試行する。 中国(杭州)クロスボーダー電子商取引総合試験区 総合試験区はネット上の「単一窓口」とネット上以外の「総合園区等」の2つ のプラットホームを設け「情報」「資金」「貨物」を一致させ、ネット上の取引 の自由とネット上以外の総合サービスの有機的融合が特徴です。 【主な監督管理部門】 税関部門、質量監督検験検疫部門、外貨部門、国税部門、その他政府部門 【関連企業】 電子商取引企業、物流企業、金融(支払)機関、等 ①輸出 B2B 業務フロー クロスボーダーB2B 輸出企業は「単一窓口」に企業登録完成、商品登録完成後、 かつ単一窓口のプラットフォームに接続し監督管理部門の要求する輸出注文書 申告データを送信する。 ②輸出 B2C 業務フロー クロスボーダーB2C 輸出企業(或は個人)は「単一窓口」に企業登録完成、商 品登録完成後、かつ単一窓口のプラットフォームに接続し監督管理部門の要求 する輸出注文書,リスト等のデータを送信する。 西 山 会 計 事 務 所 http://nishiyama-accountingfirm.com 西山会計事務所通信 2016 年 2 月号 NO:CN-3 輸出時の税務上の取扱い 輸出時は増値税の輸出免税及び還付政策が適用されますが、越境電子商取引の 小売については以下の条件を満たすことで輸出税収政策が適用されます。 ・増値税一般納税人かつ主管税務機関で輸出還付(免)税資格を認定している。 ・輸出貨物の通関申告書(輸出還付税専用)を取得しかつ税関の輸出貨物通関 申告電子情報と一致している。 ・輸出貨物の還付(免)税申告期日までに外貨入金している。 ・電子商取引輸出企業が外資の貿易企業の場合、増値税専用発票等を取得し、 かつ、その増値税専用発票等と輸出貨物通関申告書(輸出還付税専用)の内 容が相応すること また、財政部と国家税務総局は、 「中国(杭州)クロスボーダー電子商取引総合 試験区輸出貨物についての税収政策の通知」財税[2015]143 号を公布し、合法か つ有効な証憑を取得していない貨物について以下の条件を満たす場合には、 2016 年 12 月 31 日前まで増値税免税政策を試行する。 ・輸出貨物は中国(杭州)クロスボーダー電子商取引総合試験区の単一窓口の プラットフォームの監督管理にある。 ・輸出企業は単一窓口のプラットフォームにその購入貨物の販売方名称と納税 人識別番号、販売日時、貨物の名称、数量単位、数量、単価、総額等の仕入 れ貨物情報を登記する。 ・単一窓口のプラットフォームに登記登録かつ杭州市内に登記された企業 ③輸入 B2C 業務フロー クロスボーダーB2C 輸入企業(或は個人)は「単一窓口」に企業登録完成、商品登 録完成後、かつ単一窓口のプラットフォームに接続し監督管理部門の要求する 注文書,支払リスト,運送リストと個人物品申告リスト等のデータを送信する。 輸入時の税務上の取扱い 輸入時には増値税や消費税及び関税が課税されますが、中国本土に在庫を持つ ことができます。一方、販売が実現するまで課税を保留するためには、保税区 等を利用することで可能となります。また個人輸入の場合には増値税等ではな く行郵税が課税されます。 クロスボーダーの電子商取引は急拡大していますがオペレーションが多様化 しており輸出入実務や課税実務が混乱しているのが現状です。原則的な考えを 理解すればリスクの少ない中国市場への進出形態として期待されます。 西 山 会 計 事 務 所 http://nishiyama-accountingfirm.com
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