ファシリティ・サイエンス

ファシリティマネジャーのための科学的基礎知識
ファシリティ・サイエンス
連載 第3回 ― 水(トイレ)の科学
オフィスのトイレは
リフレッシュスペースへと進化
社団法人ニューオフィス推進協議会(NOPA)の調査によると、オフィス環境
の中で特に不満な点をワーカーに尋ねたところ、
「トイレ・洗面所」が15項目
中第5位と、かなり上位を占めています。それでは、ワーカーが望むトイレの
環境とはどんなものなのでしょうか。TOTOの平岡さんにお話しを伺いました。
TOTO
プレゼンテーション課 係長
・人数
1000人(1フロア100人×10フロア)
共
6:4
通 ・男女比
条 ・上・下水道料金 749円/㎡(東京都)
件
・年間稼動日数 265日
節水料金
シミュレーション
●擬音装置の場合
●自動洗浄大便器(節水型大便器)の場合
年間約774万円の節水効果
(万円)
1500
年間約738万円の節水効果
(万円) 約1445万円
(約1929 )
1500
約1290万円
(約1722 )
1000
節水金額 約774万円
(節水 約1033 )
500
約516万円
(約689 )
0
平岡達也氏
上・下水道料金試算(年間)
● 擬音装置の場合
19,352円×400人=約774万円の節水
● 自動洗浄大便器の場合
男性トイレ
992円×600人=①約59万円の節水
↓
試算:
(一般的なFV13 /回 自動洗浄大便器8 /回)×1回×1回/(人・日)×265日×0.749円
女性トイレ
<小便>
13,894円×400人=②約556万円の節水
↓
試算:
(一般的なFV13 /回 自動洗浄大便器6 /回)×2.5回×4回/(人・日)×265日×0.749円
<大便>
3,077円×400人=③約123万円の節水
↓
(一般的なFV13 /回×2.5回)−(自動洗浄大便器6 /回×1.5回+8 /回×1回×1回/(人・日)×265日×0.749円
試算:
節水金額 約738万円
(節水量 約986 )
1000
約706万円
(約943 )
500
0
擬音装置なし 擬音装置あり
一般的な
フラッシュバルブ大便器
節水合計金額①+②+③=約738万円の節水
に御社ビルの人員をあてはめていただければ、簡単に試算することができます
自動洗浄大便器
■新しいトイレほど水の使用量は減っている
ワーカーの意識
■ワーカーにとって居心地のいいトイレを
オーナーの意識
ところでトイレは、時代とともにどんどん進化していることをご存じですか?
●オフィス環境の中で特に不満な点は?
リフレッシュエリア
オフィスのトイレはこれまで「用足しができればいい」という考えで軽視さ
●オフィスで改善を優先させたいところは?
30.8%
空調設備
試算条件
●使用器具 擬音装置 30台 フラッシュバルブ大便器 30台
●使用回数 男性 大便1回/(人・日)
女性 小便4回、大便1回/(人・日)
●1回の使用で水を流す回数 男性 1回
女性 小便2.5回、大便2.5回(1.5回+1回)
擬音装置設置後
1回
●1回あたりの洗浄水量(自動洗浄大便器)大便8 /回、小便6 /回
(一般的なフラッシュバルブ大便器)
大便、小便13 /回
39.4%
OAスペース
25.8%
れてきました。しかし最近の施工例を見ると、使いやすさや過ごしやすさへ
たとえば大便器の場合、従来は1
は1回の洗浄で
は1
で10
で10
0∼13 の水を使用して
の関心はずいぶん高まっているようです。
ものや、大用−小用の時の洗浄量を切り替えることで節水をはかるものな
したり、間接照明にしたり、
さらには人の動線を考えて、
トイレに行く途中に
新しいオフィスビルの中には、
トイレを窓際に配置して外光が入るように
38.7%
情報ネットワーク
リフレッシュやコミュニケーションのためのスペースを設ける事例もあります。
社員食堂
23.7%
財務スペース
30.3%
19.7%
収納スペース
収納スペース
トイレ・洗面所
30.0%
オフィスにいる限り、
1日に何度も利用する施設なのですから、
これからの
トイレで使用する水の量を減らすのは、
コスト削減効果があるだけでなく、
ワークスペースづくりにおいて、
ワーカーが望むトイレ環境について、
もっと
地球環境のためにも大切なことです。このため米国では新しい便器の洗
検討してみてはいかがでしょうか。
浄水の量を6
を に規制しています。
を6
17.7%
14.4%
OAスペース
洗浄8
浄 、小洗浄 6 という大幅な節水が実現されています。
浄8
●便器適正個数
9.4%
トイレ・洗面所
男子大便器
(社)ニューオフィス推進協議会調べ
(社)ニューオフィス推進協議会調べ
■トイレはいろいろな目的に使用されている
り化粧を直すのに使っていますし、
およそ半数のワーカーが歯を磨いてい
るそうです。また男性でも、身だしなみを整えたり、
うがいや歯磨きをする人
オフィスにおけるトイレはどのように利用されているのでしょうか?
の数は決して少なくありません。
私たちは使いやすい環境づくりのために、
さまざまなユーザー調査を行っ
したがって、
これからのオフィスのトイレは、
このようなワーカーのニーズ
ています。その結果、
わかったのは、女性の8
の8割以上はトイレで髪をとかした
の8
に応えたものにしていくべきなのです。
男性
41.3%
顔を洗う・髭を剃る
10.7%
9.3%
コンタクトレンズを洗う
9.3%
水を飲む
6.0%
3.4%
3.3%
1.3%
0%
TOTO調べ
たばこを吸う
休憩・休息をとる
瞑想にふける
85.0%
31.0%
洋服を着替える
最近ではトイレの利用形態の多様化に応えるため、歯磨きコーナーや化
粧直しをするパウダーコーナーを設置するオフィスも増えてきています。また、
56.0%
4.0%
身だしなみに必要な物を収納する小物入れを設置するなど、
最近ではオフィ
スのトイレも単に用を足すだけではない、快適な空間へと変わってきました。
9.0%
工学会の「衛生器具の適正個数算定法」を
6
50
100
150
200
人員(人)
250
300
器
具
数
︵
個
︶
5
参考に検討します。
4
ワーカーの人数は、
「執務スペース10㎡に1
3
人」を目安に、全体数を出します。
2
●オフィスにおけるトイレの適切な器具数
1
(それぞれ就業人数100人あたり)
50
100
150
200
人員(人)
250
300
4
器
具 3
数
︵ 2
個
︶ 1
0
男子洗面器 2∼3個
女子洗面器
7
無駄な水を流すことを防ぐことで、大幅な節水が実現されコスト面におい
て大きなメリットをもたらします。
2.0%
家庭では43.2
は .2%と半数近くの家に
は43.2
34.3%
.3
39.0%
に及びます(平成9
成9年度
成9
度TOTO
度TOTO
O調査)。
したがって、入居を検討するビルにおいて、
50
100
150
200
人員(人)
250
300
器
具
数
︵
個
︶
4
予定就業人数に対し、
これより少ない器具数
3
しかなければ、
トイレが混雑する可能性があり
2
ます。
1
0
男子洗面器
通常のオフィスの使い方では、
トイレの器具
50
5
100
150
200
人員(人)
250
300
器
具 3
数
︵ 2
個
︶ 1
0
数が不足するというケースは少ないのですが、
問題は女性が多い会社の場合でしょう。通常、
指定がなければ就業人数における男女比は7:
4
88.0%
6.0%
女子洗面器 3∼4個
5
うに2
に2回以上、
水を流すという統計があります。
したがって擬音装置を設置し、
8.0%
女子大便器 4∼5個
6
流水音で消す擬音装置があります。女性は他人に排泄音を聞かれないよ
3.0%
男子大便器 3個
男子小便器 3個
5
新しいトイレ設備として、普及率の高いものの一つに排泄音を擬似的な
14.0%
化粧を直す
ストッキング・下着を取り替える
7
6
歯をみがく
16.0%
4
器
具 3
数
︵ 2
個
︶ 1
0
の必要器具数を決める場合、空気調和・衛生
男子小便器
女性
うがいをする
18.0%
新しく建設されるオフィスビルにおいてトイレ
8
■多様なニーズに応えるトイレづくりの工夫
髪を整える
36.0%
9
5
0
●トイレでする「用足し」以外の行為は?
トイレの数はこうして決まる
女子大便器
6
レベル1
レベル2
3として、上の基準で器具数を決めます。
したがっ
レベル3
て、女性ワーカーの多い企業がオフィスを探す
場合には、事前に器具数をチェックしておいた
50
100
150
200
人員(人)
250
300
ほうがいいかもしれません。