うさぎ組(2歳児) < 思いを膨らませ、伝えたい思いをいっぱいに >

うさぎ組(2歳児)
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思いを膨らませ、伝えたい思いをいっぱいに
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りす組からうさぎ組の部屋に移り、喜びや期待いっぱいのこども達。保育士も一人持ち
上がり安定したスタートだった。大きくなったうれしさの反面「イヤ」「ジブンデ」「ミテ
テネ」と自己主張いっぱい。でもうまく出来ずに、怒ったり甘えたり行きつ戻りつしなが
ら自立へ向かう2歳児。自分の思いが膨らみ、イメージを持って遊ぶようになるときでも
ある。こども達の姿を大切にするため、毎日安定した気持ちのよい生活リズムの中で、ゆ
とりを持ち一人ひとりがしたいあそびをじっくり出来る環境を作っていった。
朝は、「ハヤクオソト、イコウヨ!」と元気に外へ飛び出していくこども達。「オシゴト
イクンダ」と木箱を引き、長シャベルを持って出かける A くん B くん。ファームの切り株
のところを、お家に見立てて「ワタシ
オカアサンネ」とCちゃん。フライパン片手に忙
しく手を動かし、土山にいたDくんがやってきて「ピンポーン、タッキュウビンデス」と
遊びの仲間入りをする。二人や三人でお母さんやお父さんそして赤ちゃんやお兄さんお姉
さんになったつもりで、ご馳走を作り会話を楽しんだり、お家での体験を再現し、こども
同士が分かり合った世界をあっちでもこっちでも広げているのがとても素敵に思う。
ある時は切り株のところをバスに見立てて「ブーブー」と運転するEくん。「ノッテク
ダサーイ」と言う声に「動物園まで行って下さい」と保育者が言うと「ワタシモノル」
「ボ
クモ」とやって来た。「ドウブツエン
ツイタヨ」の声に走っていくと、「アッ
ライオン
ガイル」とFちゃん。自分たちがライオンになり「ガオー」保育者の歌に合わせ高バイで
強そうに進んだ。「コンド
なっていると、「ボク
ウサギ」「アッチニ
ゾウサンガイル」等、いろいろな動物に
クマサンダヨ」と地面にコロンと寝転ぶGくん。(あっむっくりく
まさんだな)そこで、「むっくりくまさん」の歌を歌うと、Gくんの周りに子どもたちが
集まり丸くなって歩き「オキテー!」の声で、くま役のGくんが「ガオー!」と、みんな
を追いかけて、追いかけごっこのはじまりだ。
時には、それぞれのつもりとつもりが違ったり、おもちゃの取り合い等でぶつかること
も多かったが、そのつど「そうか、~したかったんだね」とお互いの思いを聞き、代弁し
たり「~してみては
どお?」と提案しながら解決していくことを丁寧に行ってきた。子
どもたち一人ひとりのみたてやつもりを大切にその子の思いに寄り添って共感しながら、
たっぷりと遊んでいった。
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どろんこ、土山、プール遊びを経て、運動会へ >
どろんこ、土山すべり、プール遊びと、思う存分遊んだ子どもたち。出来る事が増えて、
「ミテ、ミテ、スゴイデショ」と言う言葉がたくさん聞かれるようになってきた。“飛行
機”や“トンボ”になって土山のかけ上がり降りをしたり、“やぎのがらがらどん”にな
って橋を渡ったり、“電車”になって気持ちよく走れるようになり「かっこいいね」と褒
められ、益々走る姿が増えていった。運動会では、その姿を見てもらうことで、緊張しな
がらも“できた”という自信が生まれたようだった。
その後の遊びでは、毎日毎日運動会の再現遊びが続いた。箱をつなげて橋にみたてて渡
ったり、親子競技のようにキューピー人形をクルリンパさせたり、お弁当を粘土で作って
運動会の時のように食べたりした。また、憧れのぞう組さんの太鼓は、箱や切り株を太鼓
にみたてて「ニジニムカッテ
ハシロウヨ」と言いながら、なりきって叩く姿があった。
幼児クラスのイモほりの後は、つるを使って網引きをしたり、パン食い競争の網とパンに
みたてたりと、イモのつるが大活躍した。幼児クラスのリレーごっこにも入れてもらい、
何度も何度も繰り返し走ったりした。共通の体験からイメージが一緒になり、“みんなで
遊ぶと楽しいなー!”という思いが大きく膨らんでいった時だった。
この一年、~にみたてたり、~のつもりになって遊ぶことを、保育者自身も一緒に楽し
み、子どもたちのイメージをつなげたり、ふくらませたり、時には意図的になげかけなが
ら遊んできた。その中で走ったり、歩いたり、体の色々な部分を巧みに動かせるようにな
り、手先の器用さも育ってきたように思う。思いがふくらんでくるからこそ、つもりとつ
もりがぶつかり合うことも多かったが、わかってもらう安心感の中で自己主張をいっぱい
し、互いに伝え合ったり、分かり合えたりする芽生えが出てきた。
描画においても「コレハネ~
パパトママ」「コレハ○○ちゃん」「コレハ
オバケ」等
とお話しながら、大好きな人や物、自分のイメージの世界を丸にたくして表現するように
なっている。あちらこちらから「ミテー、ミテー」の声が上がる。伝えたい思いがいっぱ
いだ。やりたい思いを充分発揮し、楽しい遊びをしていく中で、大きくなった自分を感じ、
友だちと遊ぶのが楽しくなっている子どもたちだ。