ITS Japanニュース№137(2006年7月号)

◆特定非営利活動法人 ITS Japan 2006年 ◆ITS Japan企画グループの活動紹介
度通常総会
◆地域ITS推進団体連絡会の報告
◆第13回ITS世界会議(ロンドン)情報
◆産学連携特集:東京農工大学のITS取り
◆タイ・プラビット大臣と意見交換
組み
◆国際フォーラム「Challenge Bibendum
2006」出席報告
◆(社)日本自動車工業会(JAMA)のITS取
り組み
◆幹事会報告
※写真、図等の著作権はITS Japan及び寄稿者に存するので、利用されたい場合は必ず承諾をとるようにしてください。
◆ 特定非営利活動法人 ITS Japan 2006年度通常総会
特定非営利活動法人 ITS Japanの2006年度通常総
会(写真右)が、6月6 日に東京都千代田区霞が関3−
2−5の霞が関東京會舘ゴールドスタールーム(霞が
関ビル35階)で開催されました。総会は、出席正会員
総数230名(含む委任状)で行われました。
本総会では、豊田章一郎会長の挨拶、4省庁を代表し経済産業省製造産業局の石毛博行局長から
来賓ご挨拶がありました。そして豊田会長を総会の議長に選出し、議事に入りました。
以下の3議案について審議されました。
・第1号議案 2005年度事業報告及び収支決算(案)について
・第2号議案 2006年度事業計画及び収支予算(案)について
・第3号議案 任期満了に伴う理事・監事選任(案)について
提示された3議案はすべて満場一致にて承認されました。
承認された各議案の概要は以下の通りです。
Ⅰ. 2005年度事業報告及び収支決算
Ⅱ. 2006年度事業計画及び収支予算
Ⅲ. 任期満了に伴う理事・監事選任
豊田会長の挨拶
本日は、ご多用中にもかかわりませず、NPO法人ITS
Japanの通常総会に、経済産業省製造産業局の石毛
局長様をはじめ、ITS関連省庁の皆様のご出席を賜り
まして、誠にありがとうございます。
また、ITS Japanの日頃の活動に関しまして、ご支援・
ご協力をいただいております全国の会員の方々にも、
心より、感謝を申し上げる次第でございます。
さて、昨年3月から、半年間行われました愛・地球博につきましては、皆様方の多大なご支援・ご協力
によりまして、当初の予想を大きく上回る2200万人もの参加をいただき、自然や環境に配慮した生活や
地球的な課題について見つめ直すとともに、様々な国々の多様な文化と価値観を共有していただくなど
の成果をおさめ、成功裏に終了することが出来ました。
また、愛・地球博の期間中に行われました、ITS Japan主催のITS EXPOにつきましても、8000人を超
す市民、ご家族が来場されるなど、2004年に開催されたITS世界会議名古屋大会での、「ITSの先進
性」と「市民参加」のコンセプトが継承され、我が国のITSの発展に大きく貢献できたものと思われます。
改めまして、皆様方のご支援にお礼申し上げます。
さて、昨年6月、ITS Japanは皆様のご支援により、NPO法人として再スタートを切りました。法人格を
持つITSの推進組織として、より責任の ある立場になったわけですが、この一年、ITSの利用者や市民
の視点にたち、ITSの推進政策への提言や要望のとりまとめを行うとともに、ITSの実用化促進、関係者
の連携促進に積極的に取組んでまいりました。
また、我が国のITSの、言わばファーストステージを牽引してまいりました、
カーナビ、VICS、ETCの普及はさらに進展し、カーナビ2200万台、VICS1500万台、ETCが1200万台を
こえる という、いずれも、世界最大の市場に成長しております。
2004年の名古屋でのITS世界会議を契機に、「セカンドステージ」に入った我が国のITSは、これらの
システムが単独に発展するだけではなく、相互に連携・融合することによって、新たなサービスを生み出
す段階を迎えております。
おりしも本年1月、政府のIT戦略本部におかれましては、世界のIT革命を先導するフロントランナーと
して、我が国が、アジアを中心とする共存共栄の国際社会づくりに貢献していくため、「IT新改革戦略」
を策定し、発表いたしました。
この新改革戦略におきましては、国家として戦略的に取り組むべき重要プロジェクトが取り上げられて
いるわけですが、ITSに関連しましては、二つの重要なテーマが盛り込まれています。
一つは、「世界一安全な道路交通社会」の実現 に向けて、「インフラ協調による安全運転支援システ
ム」の実用化により、交通事故死傷者数、事故件数を削減することでございます。
この目標達成のため、官民連携会議の設立、2008年度の公道における大規模な実証実験、さらには
2010年以降の全国展開等の道筋が具体的に示されました。
もうひとつは環境改善に向けた取組みです。すなわち、ITを駆使した環境配慮型社会の実現に向け
て、ITSによる渋滞の緩和、物流システムの構築等の方策が盛り込まれております。
ITS Japanといたしましては、こうした国家戦略目標の達成に向けて、着実かつ具体的成果があげられ
ますよう、積極的に取組んでまいる所存でございます。
のちほど、報告があるかと思いますが、ITS Japanの2006年度の重点事業といたしまして、安全問題に
関しましては、「J-Safetyプロジェクト」を、また、環境問題に関しましては、「環境ITSプロジェクト」を推進
いたしまして、 政府の取組みに協力して参りたいと存じます。
また、ITS Japanとしての2006年度重点事業のもう一つの柱に海外に向けた取組みがあります。今年
10月には、ロンドンにおきましてITS世界会議が開催されますが、続いて来年には北京で開催されま
す。また、この7月には、アジア・パシフィック地域ITSフォーラムが香港で開催されます。
ITS Japanといたしましては、とりわけ、アジア・パシフィック地域のITS推進のリーダーとして、北京及び
香港の会議の成功を支援するとともに、ITSに関する国際協力及び国際交流を積極的に展開してまい
りたいと思います。すなわち まずは、我が国のITSのトップランナーでありますVICSを中心とした道路
交通情報通信システムの中国への導入支援に積極的に取組み、ITSによる日中の交流促進に貢献し
てまいりたいと思います。
また、さらには、その他アジア諸国に対しても、我が国のITSの成果、経験を活用していただくことによ
り、各国がかかえている交通問題の解決に少しでも貢献できればと考えております。
最後に、ITS Japanは、我が国、さらには世界のITSの発展に、引き続き全力をあげて取組んでまいり
たいと存じますので、皆様方の一層のご支援・ご協力をお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていた
だきます。
来賓(経済産業省製造産業局 石毛博行局長)の挨拶
豊田会長からも広範囲なご説明がありましたが、
ITS Japanが国際展開、地域展開について絶大なる
尽力をされていることに深く敬意を表します。
昨年は「愛・地球博」でITS実証実験を行い広く実力
を示しました。良い活動であったと、思います。日本の
ITSの普及の度合いは、かなり広まってきていると認
識しています。
カーナビは3台に1台の割合(アメリカは8パーセント、
欧州は20パーセント)となり、普及の度合いはかなり
進んできています。VICSやETCについても会長のお話しにあったように、日本のITSはかなり進んでき
たわけですが、非常に重要なのは自動車の利用に伴う負の側面についてこの段階で一生懸命に取り
組んでいかなければならないことです。
言うまでもないことですが、交通事故、交通渋滞、環境の問題に従来から取り組んでいますが、ここで
もう一段と力を入れていくべきです。
交通事故の削減については、政府もしっかり取り組まなければということで、IT戦略会議の中でも世界
一安全な道路交通社会を作ろうと、宣言しているところです。
日本の交通事故死者数は年間7千人の方が亡くなられています。WHOの統計だと世界で100万人が
命を落としたというデータもあります。
世界に先駆けてそういったものを作り上げていくことが重要ではないかと思います。
具体的に実行するためにITS推進協議会を作って大規模な実証実験も行っていく予定です。
豊田会長もおっしゃっていましたが、ITS技術を世界に広げていくことが大事です。アジアに出張され
れば、いかに渋滞が激しいか、交通事故の多さ、空気の悪さ を感じられると思います。古いデータに
なりますが、排気ガスの総量はジャカルタが東京の10倍、バンコクが東京の15倍、上海が東京の8倍、
北京が東京の7倍です。
ITS技術を世界に広げていく具体的な取り組みとして、今後、中国、北京、上海、大連、広州でITS事
業化を念頭に置きながら大規模な実証実験を行っていくと聞いています。日本の中で開発されたITS技
術を世界に、とりわけアジアの大都市を中心に広めていくことは非常に意義があります。先進国である
日本の使命であり、世界に貢献すべきポイントだと思います。
ITSは一つの省庁が単独でやるには広すぎる、重すぎるため、従来から4省庁で力を合わせしっかり
取り組んできましたが、今後も4省庁体制でしっかり取り組んでいきたいと、思っています。
昨年、ITS Japanは法人格を得てより強い体制でこの事業を進めるんだと、スタートしましたが、引き
続き官民の結節点として、その中心的組織体として、皆の力を合わせる求心力として、ITS推進の中心
体として活躍され、どうぞこの1年間、システムがより普及したなと、新しい未来が開けたなと実感できる
よう示してほしいと思います。最後にITS事業がもっと進んでいくことを祈念して挨拶とします。
◆ 第4回理事会
通常総会終了後、第4回理事会が行われ、新役員の選任が討議され豊田会長の再任など新役員
体制が決まりました。
◆ 総会懇親会
総会終了後、場所を霞が関ビル34階のロイヤルルームに移して総会懇親会が開催されました。国内
だけでなく海外のVIPも加わって総勢約290名、会場は立錐の余地もないほどの賑わいでした。
豊田会長の挨拶により始まり、来賓ご挨拶は特別に参加された松田岩夫IT担当大臣からいただきま
した。
4省庁の代表(警察庁の佐々木長官官房参事官、総務省総合通信基盤局の桜井電波部長、経済産業
省製造産業局自動車課の渡邉ITS推進室長、国土交通省の谷口道路局長、国土交通省の松尾自動
車交通局次長、文部科学省宇宙開発委員会の井口委員長、(社)日本自動車工業会の下平常務理
事、(社)日本自動車連盟の田中副会長、青森ITSクラブの阿部理事長、英国大使館のポール・ジョンソ
ン一等書記官、豊田会長による「パッシング ザ ITSボール」も行われました。乾杯の音頭を越 東大
名誉教授、中締めは藤江副会長が行ないました。
IT担当 松田大臣
「パッシング ザ ITSボール」
「パッシング ザ ITSボール」
上枠をクリックすると、通常総会・総会懇親会の様子を
スライドショーでご覧いただけます。
(担当:総務グループ)
◆ 第13回ITS世界会議(ロンドン)情報
第13回ITS世界会議がいよいよ3ヶ月後にロンドンで開催されます。
多くのみなさまのご参加をお願いします。
【ITS世界会議の公式サイトで会議登録ができるようになりました。】
下記のURLの公式サイトのトップページの Register Now をクリックしてください。
http://www.itsworldcongress.com
【ITS世界会議のプログラムが公式サイトで入手できるようになりました。】
各セッションのプログラムについてはトップページの Congress をクリックしてください。
プログラム全体の時間割一覧表"Program at a Glance"は Congress のページから Programme をクリ
ックするとご覧になれます。
お探しのものが見つからない場合は国際グループまでお問合せください。印刷物としてのプログラム
も近日中に到着する予定です。また今後、訂正変更が適宜行われますのであらかじめご了承いただけ
ますようよろしくお願いいたします。
また、会議登録費は下記のリストでご確認下さい。
【PRICES(会議登録費)】 注1:VAT(Value Added Tax、付加価値税)17.5%を含みます。
注2:Early Bird Rates (早期割引)の期限は8月11日です。
注3:Speaker / ModeratorおよびGroup Bookingsの登録は近日中に可能となります。
Early Bird Rates *
Delegate
Delegate
Exhibitor Delegate **
Speaker / Moderator ***
Speaker / Moderator ***
4 Days
1 Day
4 Days
4 Days
1 Day
Fax
Web
Excl. VAT Inc. VAT Excl. VAT Inc. VAT
£685
£804.88 £675
£793.13
£455
£534.63 £445
£522.88
£635
£746.13 £625
£734.38
£525
£616.88
£300
£352.50
* Registration and Payment received before 11 August 2006
** Delegate must belong to an exhibiting company
*** Website registration only with access code
Standard Fees *
Delegate
Delegate
Exhibitor Delegate **
Speaker / Moderator ***
Speaker / Moderator ***
Student ****
UK Public Sector
Publication only
Gala Event
CD ROM
Press
Exhibition Visitor
Accompanying Person
(exhibition only)
4 Days
1 Day
4 Days
4 Days
1 Day
4 Days
4 Days
Fax
Web
Excl. VAT Inc. VAT Excl. VAT Inc. VAT
£785
£922.38 £775
£910.63
£510
£599.25 £500
£587.50
£660
£775.50 £650
£763.75
£600
£705.00
£350
£411.25
£160
£188.00 £150
£176.25
£660
£775.50 £650
£763.75
£199
£233.83 £199
£233.83
£90
£105.75 £90
£105.75
£299
£351.33 £299
£351.33
Free of
Free of Free of
Free of
Charge
Charge Charge
Charge
Free of
Free of Free of
Free of
Charge
Charge Charge
Charge
Free of
Free of Free of
Free of
Charge
Charge Charge
Charge
* Registration and Payment received after 12 August 2006
** Delegate must belong to an exhibiting company
*** Website registration only with access code
**** To qualify for a student ticket you must have an International Student Identification
Card (ISIC) card.
GROUP BOOKINGS
Group bookings must be made online to qualify for the discount. Attendees that have already registered
are not permitted to cancel and rebook under a group discount. To qualify for the discount all delegate
names and details must be entered at the time of booking. A group booking constitutes a booking of ten or
more paying attendees and is at the discretion of the organisers. Group registration (10+ registrations
made in one transaction only) entitles you to a 10% discount; (50+ registrations made in one transaction
only) entitles you to a 15% discount. Bookings must be made through the website at
www.itsworldcongress.com.
(担当:国際グループ)
◆ タイ・プラビット大臣と意見交換
6月29日タイ・プラビット科学技術大臣が来日され、ITS関連施設をご視察されました。ITS Japan は、
大臣一行のご視察に対応し、警視庁交通管制センターとVICSセンターへご案内しました。
ご視察後の意見交換の折に、大臣より「タイにおけるITS推進のために、日本との協力関係を深めて
行きたい」旨のご発言がありました。
タイをはじめとするアジア太平洋地域のITS発展への貢献はITS Japan の重要な役割のひとつであ
り、今回のご視察を契機として、関係者との交流をさらに進めて行きたいと思います。なお、ご視察にあ
たりご協力いただいた関係者のみなさまに厚く御礼申し上げます。
(写真右より)
プラピッド科学技術大臣、National Electronics and Computer Technology Centerパイラシュ会長、パサコン部長
(写真右より) プラビット科学技術大臣、ITS Japan寺島専務理事
(担当:国際グループ)
◆ 国際フォーラム「Challenge Bibendum 2006」出席報告
6月9日から12日までパリで開催されたミシュラン主催の国際フォーラムにITS Japanの坂本常務理事
が招待参加しましたので、以下ご報告します。
1. イベントについて
正式名は「Challenge Bibendum 2006」であり、ミシュラン社が1998年にミシュランマン誕生100周年
を記念して開始し、今回は第8回目となります。昨年は京都、一昨年は上海で開催されました。
「Sustainable mobility」をメインテーマに、従来からのエネルギー・交通安全に加えて都市における
モビリティを中心議題とし、9日はワークショップ、10日と11日は低公害車のデモ、12日は国際フォー
ラム、が開催され、主催者発表では参加者は約2500名でした。
2. 低公害車ラリー
11日には、パリ郊外のテストコースを約100台の低公害車が出発してパリ市内エッフェル塔近くの
ゴールを目指してデモ走行を実施しました。低公害車には、電気自転車・電気自動車、燃料電池
車、ハイブリッド車、などがあり、日本車も含め参加しました。特に今年はディーゼルハイブリッド車
がマスコミの注目を集めていました。
ラリー出発場所
ゴール
低公害車の例
3. 国際フォーラム
12日に、新凱旋門のLe CNIT(フォーラム会場)で開催されました。
ミシュラン社CEO (Mr. Rollier) 、フランス産業大臣(Mr. Loos) の挨拶の後、3つのセッション
(①The Energy Challenge ②Road Safety ③Urban Mobility)が順次開催されました。
各セッションは、最初に約5名の発表のあとパネルディスカッションの形式で進められ、発表は、プ
ジョーシトロエン社CEO、ダイムラークライスラー社役員、EU関係者、WBCSD社長、中国同済大学
学長、シーメンスVDO役員、他から行われました。
日本からは、Energy Challengeの分野に経済産業省自動車課の伊藤課長補佐、Urban Mobilityの
分野に国交省自交局環境課の江坂低公害車対策官、ITS Japanが出席しました。ITS Japanは、
Urban Mobilityのパネルディスカッションに出席し、日本のITSの現状の取組み、ITSの今後の方向
を紹介しました(またこれとは別に、9日のワークショップにおいて、環境省水・大気環境局総務課の
小林課長補佐がスピーチを行いました)。
フォーラム
4. 感想
今回のフォーラムの3つのテーマは「ITS の推進の指針」に述べられているテーマと共通でした。
また、欧州関係者からは、日本のITSが世界でも最も進んでいるとの評価がパネルディスカッション
でも述べられました。今後も日本のITSが最先端であることが他の地域への貢献にもつながること
をあらためて感じました。
(担当:国際グループ)
◆ ITS Japan企画グループの活動紹介
企画グループの活動を紹介します。大きくは、体制、昨年度の主な取組み、そして、今年度の主な取
組みに分けて記述します。企画グループのルーツを探りますと、当初の調査部→研究部、→企画部→
企画グループとなり、企画グループに改名して1年余りです。
1.体制
企画グループは現在7名で運営されています。ITS Japanは今年度、世代交代の時期でもあり、全体
で半数ぐらいの人が代わりましたが、企画グループも例外でなく、3名が4月以降に変わっています。
以下、紹介します。
・緑川常務理事(企画グループ長、ホンダ):グループ統括
・立松部長(デンソー、4月赴任の新人):グループ総括、J-Safetyプロジェクト担当
・屋敷担当部長(沖電気工業):J-Safetyプロジェクト担当
・吉多担当部長(沖電気工業、6月赴任の超新人):J-Safetyプロジェクト担当
・榊原担当部長(東芝):ITSサービス導入アクションプランの策定担当
・中井担当部長(KDDI、4月赴任の新人):将来テーマの研究(ITS調査検討)担当
・(兼)担 当 飯塚:企画サポート業務など
2.2005年度の取組み
昨年度は「ITS推進の指針」の具体化促進に向けた取組みを中心に行いました。主な事業として「JSafetyプロジェクト」と「ITS導入シナリオの策定」で、以下に紹介します。
2‐1 J-Safetyプロジェクト
2004年10月に策定された「ITS推進の指針」の中で、 道路交通の安全性向上 については、「官民
あげて重点的に取り組むプロジェクトとして推進する必要がある」との提言がありました。これを受け
て、J-Safety勉強会を設置し、勉強会での議論の成果を基に、IT戦略本部への提案活動(経団連を経
由した意見書の提示・必要な情報の提供・意見交換・パブリックコメント提出等)を通して、IT新改革戦
略の中へITSの重点的な盛り込みを図りました。そして、2006年1月には、政府のIT戦略本部が策定
した「IT新改革戦略」が公表され、目指すべき将来の社会として、「世界一安全な道路交通社会」が謳
われました。
この政府目標達成に貢献すべく、勉強会を発展的に解消し、1月にJ-Safety委員会をプロジェクト型委
員会として発足しました。
2‐2 ITS導入シナリオの策定
セカンドステージに入ったITSをより一層発展・普及させるために、「日本ITS推進会議」が2004年10
月に公表した「ITS推進の指針」の中で定義された4つの総合テーマ(道路交通の安全性向上、交通
の円滑化・環境負荷の軽減、個人の利便性向上、地域の活性化)をベースに、(財)機械システム振興
協会からの受託事業(調査研究)として本プロジェクトを実施しました。このために、プロジェクト型委員
会として「ITS導入シナリオ策定委員会」と2つの作業グループ(WG1、WG2)を発足しました。なお、こ
の事業は実用化/連携促進プロジェクトとの共同で行いました。
これらの作業グループにおいて、
・ ITSに関連するニーズ並びに先端技術の調査・分析(WG1)
・ 4つの総合テーマに対して29のITSサービスを設定し、これらサービスの2005年∼
2020年の16年間における導入シナリオの策定、及びこれらサービスにおけるITS市
場規模予測(WG2)等の具体的調査研究を行い、調査研究の成果を報告書に取り纏
め、ITS関係機関、関係者に配布すると共に、報告書の概要版をITS Japanホームペ
ージに掲載し、広く世の中に公表しました。
3.今年度の取組み
昨年度と同様、「ITS推進の指針」の促進/支援の位置付けとして、「J-Safetyプロジェクト」と「ITS導
入シナリオの策定」を行うと共に、将来テーマの研究として、「観光ITS」をテーマにした活動を積極的
に進めていきます。
3‐1 J‐Safetyプロジェクトの推進
IT戦略本部が策定した「IT新改革戦略」の中に謳われた「世界一安全な道路交通社会」の実現を目
指し、J‐Safety委員会を基軸に、J-Safetyプロジェクトをさらに強力に推進しています。以下の2点が今
年度の活動目標です。
①J‐Safety委員会の運営
カーメーカ4社、インフラ・車載機関係メーカ9社の計13社からの専門家
を委員としたJ‐Safety委員会を運営し、2008年度大規模実証実験に向
けた検討と民間としての意見取りとまとめを行っていきます。さらに、こ
れらの成果を民間側の見解として、官民連携会議をはじめ、関係機関
等へ提言していこうと考えています。
②官民連携会議活動への支援/協力
官民連携会議に対する支援/協力を行い、強固な連携関係を築き、2008年度大規模実証実験の実
現に向けた官民合意形成を支援していきます。
このように、「IT新改革戦略」におけるマイルストーンである2010年度からの全国展開を目指して、
官民連携の「インフラ協調による安全運転支援システム」の実用化推進に貢献していきます。
3‐2 ITSサービス導入アクションプランの策定
ITSサービスの普及展開を図るためには、多くの関連サービス・技術の関連性・発展性を深く調査し
た具体的なアクションプランの策定が必要となります。このため、昨年度に「ITS推進の指針」の具体化
促進に向けた取組みとして実施した「ITSサービス導入シナリオ策定に関する調査研究」の成果を基に
して、将来普及が期待されるITSサービスの具体的な実用化導入シナリオとそれに伴うアクションプラ
ンを検討・策定すべき、その計画案を作成しています。本活動は、ITS Japanの自主研究活動として、本
年度は活動していきます。
3‐3 将来テーマの研究
ITSサービスの将来的広がりを見据え、新たなITSサービス導入を探る活動を行っています。今年度
は、「観光による地域活性化とITS活用」をテーマに、国の施策として進められているVisit Japan※等を
検討しながら、「IT新改革戦略」での「国際競争社会における日本のプレゼンスの向上」に謳われてい
る海外旅行者へのサービスに焦点を当て、「観光ITS」としての新たなサービスをITS調査検討会の活
動として調査研究しています。本活動は一般会員による自主的取組みと位置付け、自主検討テーマと
して行っています。
※Visit Japan:日本人の海外旅行者が約1,600万人であるのに対して、我が国を訪れる外国人旅行者
は、その3分の1以下である約500万人に過ぎないことから、その格差をできる限り早期に是正しようと
するもの。2010年までに1,000万人の訪日外国人誘致実現を目標としている。
4.あとがき
現在の企画グループの主要業務は上記の3点ですが、他に、企画検討委員会の事務局も担当して
います。ここでは、各グループのテーマ検討や将来を鑑みた大きな取組みに関する検討を行っていま
す。企画グループもITSの世界の動向、国内の動向等の基本的な調査も含め、将来のITS社会を構
築するために必要なテーマを、もう少しメンバーが現状業務に慣れた段階から、探っていきたいと考
えています。
今後ともよろしくお願いします。
(担当:企画部長 立松)
◆ 地域ITS推進団体連絡会の報告
(1)概要
地域のITS普及促進のためには、官民、国と地域がよ
り一層の連携を図り推進することが必要であると考え
られます。そのためには、地域と地域あるいは国と地
域との情報共有や連携を深めることが重要であると
の考えにより、昨年度に引き続き「地域ITS推進団体
連絡会」を開催しました。今年は昨年の連絡会で候補
地として挙がった「青森」での開催となりました。
連絡会にはITS関係省庁の方、地域のITS推進団体
の方など合計30名の出席をいただき、興味深い発表
や報告が行われ好評を得ました。今後も本連絡会を継続して開催していきたいと考えています。
(2)内容
■日 時 : 平成18年6月16日(金)9:00-13:00
■場 所 : 「ぱ・る・るプラザ青森」
■参加者 : 地域の推進団体・組織から9団体14名、ITS関連4省庁5局から6名、
ITS Japanから10名の合計30名
(地域)
北海道ITS推進フォーラム、青森ITSクラブ、愛知県ITS推進協議会、
豊田市ITS推進会議、関西ITS推進協議会、中国経済連合会、
高知県ITS推進協議会、福岡県地域ITS推進協議会、九州・山口経済連合会
(省庁)
警察庁交通局交通企画課、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課、
経済産業省製造産業局自動車課、国土交通省道路局道路交通管理課、
国土交通省自動車交通局総務課、総務省東北総合通信局無線通信部陸上課
■会 議 :
以下のような3部構成で行われました。
①「地域ITSの取り組み」・・・・・・・・・・ITS Japan、4地域から発表
ITS Japanの取り組み方針の説明、各地域からの取り組みの成果発表
②「日本におけるITSの取り組み」・・・・・・4省庁5局から発表
セカンドステージに入ったITSとIT新改革戦略による取り組みの加速について説明
③「ITSによる観光支援について」・・・・・・ITS Japan、2地域から発表
観光情報についての考え方、地域の観光に対する取り組み事例発表
今回は、各地域の共通的な課題である「観光」という切り口で発表があり、ボランティアも
参加した地域ぐるみの取り組みやビジネス客の観光への誘導など大変興味深い事例紹
介がありました。
(担当:普及促進グループ)
◆ 産学連携特集:東京農工大学のITS 取り組み
永井正夫(大学院工学府機械システム工学専攻教授)
鎌田崇義 (大学院工学府機械システム工学専攻助教授)
吉田秀久,道辻洋平(大学院工学府機械システム工学専攻講師)
ポンサトーン・ラクシンチャラーンサク(大学院工学府機械システム工学専攻助手)
池西俊仁(大学院工学府機械システム工学専攻技官)
1. まえがき
平成17年になり、交通事故死者数が年間7,000名を下回ったが、交通事故死傷者数は年間100万
名以上で下げ止らない状況が続いている。そのため、事故を未然に防ぐ技術として予防安全技術
(Active Safety)が今後必要不可欠であり、人間・自動車・道路の統合センシング技術、電子制御技
術やITS (Intelligent Transport Systems) 技術を使った先端制御技術が中心的な役割を果たすと思わ
れる。本稿では、東京農工大学機械システム工学科モビリティ研究グループで行われているITSの
取り組みについて紹介する。
2. ドライブレコーダを用いたヒヤリハット解析 (国土交通省請負事業)
交通事故そのものを無くすためには、それに至る要因を明らかにしていくことが必要で、さらに事故
以前のインシデントレベルであるヒヤリハット状態を徹底的に調べ上げ、事故そのものの発生を大幅
に削減する方策を見出すべきである。我々は、「ヒヤリハット収録型ドライブレコーダ」を開発し大量
のヒヤリハットデータ収集・分析を行い、事故に至る潜在的な危険性を体系的に明らかにしている。
その分析結果に基づき、先進安全自動車(ASV)の評価・効果把握や今後の技術開発等にフィード
バックしより効果的な事故対策を提案していく。現在、都内のタクシーによるヒヤリハットデータベー
ス作成、ドライブレコーダのデータ収録開始トリガ条件の検討、ドライブレコーダを用いたVSC、 ABS
等のような予防安全デバイスの作動状況の調査等を行っている。また、ドライビングシミュレータを利
用してリアルワールドでの危険場面を再現しドライバの運転行動やヒヤリハットを解析していく予定
である。
3. 運動制御・運転支援システムを備えた超小型電気自動車の開発
超小型電気自動車は、歩行と乗用車間のパーソナルモビリティ、高齢者対応のモビリティ手段とし
て注目されている。我々は電気自動車の駆動源であるインホイールモータの分散配置を利用した車
両運動制御系、さらに電動モータによるアクティブ操舵制御系を開発し、運動性能の向上、すなわち
運転支援操作意図に忠実に動く「メカトロニクス車両」づくりを取り組んでいる。そこで一人乗り電気
自動車を使って、操作系をすべて電子化するX-バイワイヤ(X-by-Wire)車両を製作し、自動車の基
本運動性能(走る、止まる、曲がる性能)を向上させ、運転者に優しい次世代操作支援技術を開発し
ている。これまで左右駆動トルク配分による直接ヨーモーメント制御やステアバイワイヤ制御による
車両安定化制御を実証し、さらにヨーモーメント制御によるレーンキープ制御と人間との協調性等も
現在検討している。
4. 高齢者用アクティブインタフェイスビークルの開発 (NEDO 基盤技術研究促進事業)
予防安全技術の現在の主流と目されている支援システムはドライバと協調するシステムである。そ
こで我々は、自動運転のような自動化レベルの高い支援ではなく、ドライバの意志を反映した運転支
援技術がよりドライバにとって効果的な支援を実現するという考えから、研究・開発を進めている。
交通事故の原因の大半がドライバの認知・判断・操作の何らかのミスに起因している。ドライバの
認知・判断・操作の過程で、操作を補助する運転支援技術としては、ドライバの認知・判断を理解し
た上で支援することが有効であると考える。
そこで我々は、ドライバと自動車運転支援システムの協調性を図る「アクティブインタフェイス」を提
案した。
具体的には、支援の必要な運転状況下でのドライバの運転行動分析から、ドライバの運転意図・判
断を検出し、運転支援の開始タイミングに利用しようとする研究を行っている。また運転者の操作状
況を解析し、抽出した遅れ特性を補償する支援を提案している。更にペダル操作の足位置から、煩
わしさ低減を目指した警報出力タイミングの研究も行っている。
5. ドライブレコーダの走行データを活用した個別適合運転支援システム
(JST 戦略的創造研究推進事業(CREST))
盛んに研究開発が進められている運転支援システムでは、ドライバが一つの制御器として道路・人
間・自動車の閉ループに含まれるため、情報提示、警告、操作の支援等をいつ、どのように行えばド
ライバの受容性が高く、また、ドライバの通常の運転行動に対して妨害にならないかの検討が重要
となる。その一つの打開策として、ドライバ個人の過去の走行データを学習し、それらを利用した「個
別適合型運転支援システム」の考え方がある。そこで、個別適合型運転支援システムを実現するた
めには、実路において自然な状態での通常の運転行動データを計測・分析する必要がある。
本研究では、従来のドライブレコーダの機能を拡張しリアルワールドでのドライバの運転行動や走
行環境の常時センシングを行う。一定の走行場面において、蓄積された大量のデータから「データマ
イニング技術」により個人のドライバの認知・判断・操作の特徴を抽出し、通常の運転状態から逸脱
した危険状態を予知するアルゴリズムを開発する。その結果を利用して、警告あるいは操作介入と
いった運転支援に結びつけることを目的としている。
6. あとがき
ITS 分野の今後の発展として、我々東京農工大学モビリティ研究グループでは、上記に解説したセ
ンシング・制御技術を利用して、今後さらに取り組みを拡大させていき、交通事故死傷者ゼロ化を目
指して、人間・道路・自動車の様々な観点から、産官学連携のネットワークを通じて科学技術分野か
らのアプローチで有効な交通事故対策を提案していきたいと考えている。
◆ (社)日本自動車工業会(JAMA)のITS取り組み
−交通安全の視点から−
はじめに
2005年の道路交通事故による年間死者数は6,871人と、1956年以来およそ半世紀ぶりに6,000人台
まで減少しました。また2003年、2004年2年連続で過去最悪を記録していた交通事故発生件数と負傷
者数も減少に転じました。
とはいえ、年間7,000人近くの人が亡くなられ、事故件数は90万件を超え、負傷者も110万人を超える
という高い水準で推移しており、依然として厳しい状況が続いています。
交通事故はその原因として「ひと・クルマ・道路環境」の3つの要素が考えられ、実際の事故ではそ
れらが複合的にからみあって発生しています。
日本自動車工業会(以下、自工会)は、交通事故の3要素を十分認識したうえで、自動車を社会に提
供するという自動車メーカーの立場から「車両の安全対策」をはじめ、人に対する「交通安全広報・啓
発活動」、道路を利用する立場からの「道路環境整備への提言」について取り組んでいます。
1.交通事故削減目標…世界一安全な道路交通の実現をめざして
2003年にわが国政府は今後10年間で交通事故死者数を半減し「世界一安全な道路交通」の実現を
めざすことを表明しました。これを受けて第8次交通安全基本計画(計画期間2006∼2010年度)では、
究極的には交通事故のない社会をめざすことが掲げられ、さらに次のような具体的目標が立てられて
います。
z
z
z
2012年までに、年間死者数を5,000人以下とし、世界一安全な道路交通の実現をめざす
2010年までに、年間死者数を5,500人以下にすることをめざす
2010年までに、年間死傷者数を100万人以下にすることをめざす
また、交通政策審議会(国土交通省)の自動車交通部会技術安全ワーキンググループ(WG)におい
て「交通事故のない社会をめざした今後の車両安全対策のあり方について」が審議され、その中で、
平成11年(1999年)運輸技術審議会答申で設定した2010年までに車両安全対策で年間死者数を1,200
人削減する(30日死者数・1999年比)という目標が、2005年に5年前倒しで概ね達成(推計約1,250人)
されていることが判明しました。
これを受けて、同WGでは以下の目標を新たに掲げました。
2010年までに車両安全対策で、今後更に750人年間死者数を削減する
(当初目標の1,200人を2,000人に上方修正。第8次交通安全基本計画の全削減目標の約1/2に
相当)
z 2010年以降も車両安全対策による継続的な死者数削減を図るため、予防安全対策の普及・拡
大に速やかに取り組む
z 新たに、負傷者数削減目標を掲げ、車両安全対策により2010年までに年間25,000人、2015年ま
でに50,000人削減する
さらに政府のIT戦略本部においては、「IT新改革戦略」が取りまとめられ、以下の目標を掲げていま
す。
z 「インフラ協調による安全運転支援システム」の実用化により、死傷者数・事故件数を削減する。
z 交通事故の覚知から負傷者の医療機関等収容までの所要時間を短縮する。
z
自工会はこれらの目標達成のために最大限の努力を今後とも強力に継続して参ります。
2.交通安全に対する自工会の取り組みと進捗状況
●自工会の8つの重点課題
自工会では「世界一安全な道路交通」の実現に向けて協力するため、効果的な取り組み方策を検討
し、交通安全への取り組みの重点課題として以下の8項目を取り上げて展開しております。
①歩行者・自転車の事故
②高齢者対策
③シートベルト着用率のさらなる向上
④運転者の認知遅れ・不操作
⑤夜間の交通事故
⑥交差点の事故
⑦工作物衝突
⑧コンパティビリティ※
※ コンパティビリティ: 小さいクルマと大きいクルマの共生
大きさが異なる自動車同士が正面衝突や側面衝突をすると、小さいほうの自動車の被害程度が大きく、重大な事
故につながることがあります。小さい自動車の衝突安全性能向上と大きい自動車の加害性低減という車両の安全
対策が事故死者数を少なくすることにつながります。
●普及拡大が進む車両の安全技術
安全なクルマ社会実現のため、自工会では、事故調査分析、新技術評価試験法の開発、シミュレー
ション技術開発などの安全基盤技術開発に取り組み、自動車メーカにおいても自動車事故対策機構
の自動車アセスメント事業、国土交通省のASVの研究開発などに積極的に取り組んでいます。
交通事故件数及び死傷者数削減のためには、事故被害を軽減するための衝突時の人的損傷軽減
及び衝突後の被害拡大防止といった「衝突安全」と、事故を未然に防止するための「予防安全」の両
視点での対策が必要です。
自工会としては、自動車の先進安全技術・装備の採用率を高めることが、自動車メーカとして交通事
故件数及び死傷者数削減に貢献する最良の方法と考えております。(図参照)
■安全技術の採用状況(総車種数と総生産台数(平成16年1月∼12月末現在))
■採用されている主な安全技術
なお、予防安全技術をさらに実効性あるものとするためには、事故の発生原因や運転ミスの発生メ
カニズムを明らかにする必要があり、これについては、近年事故やニアミスのデータを記録する「ドライ
ブレコーダー」を用いた研究が国土交通省等各方面で開始されています。これによって「人・クルマ・道
路環境」の観点からの効果的な予防安全技術の方向性が明らかにされていくことが期待されていま
す。自工会としてもドライブレコーダーの研究・開発、事故原因の解明について積極的に対応していく
こととしてます。
以下は、現在採用されている先進安全技術の一部の例です。
<車線維持支援・車線逸脱警報機能装置>
路面の車線表示をセンサーが検出し、ステアリング操作をアシストして走行車線の維持を支援する装置。
車線維持支援機能
車線逸脱警報機能
<夜間前方情報提供装置>
赤外線を利用して車両進路上の歩行者や遠方の路面状況を検知し、インパネ上部のディスプレイに
表示することにより、夜間走行時のドライバーの視覚を補助する装置。
3.カーナビゲーション等車載情報機器の設計ガイドラインについて
ここでは、カーナビ普及に合わせ、自工会が技術進歩に応じて改訂してきた自主ガイドライン『画像
表示装置の取り扱いについて』を振り返りつつ、自工会のITSに関する取り組みの一端を紹介します。
1)カーナビの普及
カーナビは、走行経路を探しながら運転する場合のドライバーの負荷を軽減する効果があります。し
かし一方で、Driver Distraction (運転以外の行動によりドライバーの注意が散漫になること)の問題が
取り上げられています。
カーナビの商品化が始まったのは1980年代の初め頃、そして本格的に市場が立ち上がってきたの
は、80年代の終わりから90年代に入ってのことです。この時期は交通事故死亡者が1万人を突破し、
運輸省(現国土交通省)や警察庁もカーナビの安全性に注目をしていました。
2)自工会ガイドラインの策定と改訂
自工会では、90年に専門家によるガイドラインの検討を行ない、走行中のTVやビデオ映像の表示禁
止、細街路の表示制限、走行中の複雑な操作の禁止などを織り込んだ初版のガイドラインを発行しま
した。
その後もディスプレイ取り付け位置の規定の追加や走行中に許容される操作機能として、
「Occlusion法(視界遮断法)で測定した操作開始から操作完了までの総シャッター開時間が7.5秒以内
の操作」という要件を規定しました。つまり、カーナビの注視は必要最小限に抑えることが安全というこ
とです。
なお、Occlusion法とは、実車を用いずベンチ上で簡易的に視認行動を測定する方法のひとつです。
図に示すように、液晶シャッターを用いる方法が広く用いられており、周期的にシャッターが開閉され、
閉時の画面視ができない時間を、実走行時の『前方視』と見なしているものです。
本ガイドラインは言うまでもなく自工会加盟企業の『自主対応』ですが、当初より国土交通省と警察
庁の指導を頂いています。また、本ガイドラインはVICSが技術開示メーカーに示す「VICS対応車載
機に関するガイドライン」にそのまま引用されており、アフターマーケットナビを開発しているほとんどの
メーカーに公知のものとなっています。
また、国内に限らず海外においても、自工会ガイドラインが参照されたり、実際に引用されたりしてお
り、本ガイドラインの重要性は広く認識されています
本ガイドラインの最新版は、自工会のホームページで公開されています。
http://www.jama.or.jp/safe/guideline/
3)自工会の今後の活動
自工会は、ガイドラインの改訂・運用によるテレマティクス機器の使用時の安全性確保はもとより、社
会動向・技術動向の変化に合わせ、政府機関や関連業界団体への働きかけ、ドライバーへの啓蒙を
含め、より安全で快適な自動車社会を実現するため、一層の活動が必要であると認識し活動を進め
て参ります。
(寄稿:(社)日本自動車工業会)
◆ 幹事会報告
NPO法人ITS Japan 平成18年6月度幹事会
■開催日時:6月21日(水)10:30∼12:00
■場
所:日本女子会館ビル3階 ITS Japan 大会議室
■出席会社・団体:計30(理事会社20社、理事団体10団体)
Ⅰ.議題
1.
2.
3.
4.
5.
2006年度通常総会について
オールジャパンイベント企画について
ポスト関係4省庁年次レポートについて
J-Safetyの活動状況について
国際関係について
①「第13回ITS世界会議」の状況」
②「第8回アジア・太平洋地域ITSフォーラム」の内容
③英国ウエールズITS視察団募集のご案内
④国際フォーラム出席報告
6. 地域ITS推進団体連絡会について
7. 中国道路交通信息化研究会について
8. 「環境ITSプロジェクト」の進捗状況について
1. 2006年度通常総会について
事務局から、6月6日(火)東京都千代田区霞が関3-2-5の霞が関東京會舘(霞が関ビル35
階ゴールドスタールーム、34階ロイヤルルーム)で行われたITS Japanの2006年度通常総会、
総会懇親会、第4回理事会について下記を中心に結果報告をしました。
① 通常総会
・出席230名
・豊田会長挨拶内容
・来賓挨拶
・新聞掲載
② 総会懇親会
・写真を基に概要報告
③ 第4回理事会
・役員選任結果(会長、副会長、専務理事、常務理事、常任理事)
2. オールジャパンITSイベント企画について
事務局から、オールジャパンITSイベント企画の進捗状況について、下記を中心に報告しま
した。
① オールジャパンITSイベント 開催の基本的な考え方:中期計画
② 総務委員会に検討ワーキング(リーダー:秋月総務委員長)を設け、これまで5回実施
③ 今年の取り組みのプログラムイメージ企画案は、「あつまる、ひろがる、つながる」
3. ポストITS関係4省庁年次レポートについて
事務局から、従来のITS関係4省庁年次レポートに変え新たにITS関係4省庁と産官学民の
連携による ITS早わかり手引書 的なITSレポートを企画検討中であることを報告しました。
4. J-Safetyの活動状況について
事務局から、J-Safetyの活動状況についてJ-Safety委員会と官民連携会議の活動を中心に
報告しました。
5. 国際展開について
① 「第13回ITS世界会議」の状況」
事務局から、10月8日∼10日、英国ロンドンのエクセルで開催される第13回ITS世界
会議の準備状況(会議日程、展示会、ショーケース、テクニカルビジット、会議登録費)
について告しました。
② 「第8回アジア・太平洋地域ITSフォーラム」の内容
事務局から、7月10日∼13日、香港の香港会議展覧中心で開催される第8回アジ
ア・太平洋地域ITSフオーラムの準備状況(会議日程、開会式、エグゼグテイブセッショ
ン、テクニカルビジット、出展状況など)について、報告しました。
③ 英国ウエールズITS視察団募集のご案内
事務局から、10月12日(木)∼10月13日(金)に行われる、英国ウェールズITS視察団(主
催:ウェールズ議会政府 協力:ITS Japan)の内容を報告するとともに、8月末締め切り
の申し込みへの応募をお願いしました。
④ 国際フォーラム出席報告
6月9日から12日までパリで開催されたミシュラン主催の国際フォーラム「Challenge
Bibendum 2006」に招待参加した坂本常務から、下記を中心に報告しました。
フォーラムは、①The Energy Challenge、②Road Safety、③Urban Mobility、の3つのセ
ッションが開催され、各セッションは、最初に約5名の発表のあとパネルディスカッション
の形式で進められた。発表は、プジョーシトロエン自動車社長、DC役員、EU関係者、
WBCSD社長、同済大学学長、シーメンスVDO役員、他から行われた。
日本からは、①に環境省水・大気環境局総務課小林課長補佐、経済産業省自動車課
伊藤課長補佐、③に国交省自交局環境課江坂低公害車対策官、ITS Japanが出席。
ITS Japanは、③のパネルディスカッションで日本のITSの現状の取組み、ITSの今後の
方向、を紹介した。
6. 地域ITS推進団体連絡会について
事務局から、6月16日(金)、ぱ・る・るプラザ青森 北斗の間(青森市柳川1-2-14)で9団体と
ITS関係4省庁が出席して行なわれた地域ITS推進団体連絡会について、下記を中心に報告
しました。
1) 地域ITSの取り組み(ITS Japanの取り組み方針の説明、4地域からの取り組みの成果
発表)
2) 日本におけるITSの取り組み(4省庁5局からの発表)
3) ITSによる観光支援について(ITS Japan、2地域から発表)
7. 中国道路交通信息化研究会について
事務局から、中国道路交通信息化研究会が時限的研究会(2年間、8月まで)であることと
広州市での交通情報配信実証実験の実現性が非常に高くなってきたため、4月の常任理事
会で承認されている通り、新しい組織を設立して対応していく方針であることと、具体的には
以下のステップで設立を進めていくことを報告しました。
① 研究会全体会議を開催しこれまでの活動状況報告と研究会の次段階への移行について
研究会の会員に説明しご意見を伺う。(7/6午後予定)
② ITS Japan企画検討委員会にて、プロジェクト型委員会として審議・承認いただく。(7月中)
③ 8月第1週を目処に、ITS Japan全会員へ新委員会の提案と参加募集を行なう
④ 9月目標に新委員会設立
また、広州市での実証実験の費用の一部を捻出するためNEDOの「提案型開発支援研究協
力事業(応募締め切りは6月末日)」に応募することも報告しました。
8. 「環境ITSプロジェクト」の進捗状況について
事務局から、「環境ITSプロジェクト」の進捗状況について、下記を中心に報告しました。
① 産官(自治体)学の協力のもと、世界会議ショーケースである、P-DRGS(プローブ情報を
活用した動的経路案内)、交通エコポイント、プローブ情報、パーク&ライド、リアルタイム
信号制御、公共車両優先(PTPS)等に加えて、エコドライブ、駐車管理、交通需要管理(T
DM)等、車の効率的利用・走行による複数の環境改善システムを連携させるとともに、
市民の方々がそれらのシステムの利用により環境改善活動に積極的に参加できる仕組
み(モデル実験システム)を構築し、これによる社会実験を通して地域における大規模な
環境改善活動に発展させていくことを目的としている。本年度は、市民参加や環境改善シ
ステムの連携の仕組みづくり、環境改善の効果推定(シミュレーション調査)、事業化基礎
調査等を行い、来年度(2007年度)の愛知・名古屋地域におけるモデル実験システムを
使った社会実験に展開する予定である。
② NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)補助金申請
「環境ITSプロジェクト」を推進するため、NEDO「平成18年度民生部門等地球温暖化対
策実証モデル評価事業」に対して、「自動車の効率的利用・走行システム及びその連携
による省エネルギー手法開発のための調査事業」(FS事業)の補助金(100%補助:2000
万円)をITS Japanより申請した(申請書提出は5月末、採否の決定は7月末)。
③ 関係先への説明やプロジェクトの体制等を検討中で、補助金申請の採否の目処がつき
次第、「環境ITS推進委員会(仮称)」、並びに関連WGを立ち上げる予定。理事企業等、
関係各位に対し、今後、委員会・WGへの参加をお願いしました。
【次回NPO法人ITS Japan平成18年7月度(第14回)幹事会日程について】
日 時:平成18年7月19日(水)10:30∼12:00
場 所:ITS Japan 大会議室
編集後記
・ 日照不足による農作物への被害については、前号でもふれましたが、特に関東地方では海上からの
冷たい東風が低い雲の層を作り、7月も曇りや雨の日が多く日差しが少ないとの天気予報です。
西瓜を栽培している農家のハウスでは、受粉を蜜蜂
の活発な活動に頼っていますが、温度が上がらない
ため蜜蜂が巣箱から外へ出ようとせず、西瓜の実が
育たず栽培農家は困っています。収穫は平年の3割
減だそうです。
写真は、スーパーの陳列棚に並んだ西瓜
・ 東京都港区高輪のエプソン品川アクアスタジアムの水族館・ライブホールは、週末ともなると家族連れ
や若者達でにぎわっています。
ペンギン(写真右)やマンボーなど世界の海の生き物
(約300種、20,000点)を見ることができ、サメとエイが
約800トンもの海水の中を雄大に泳ぎまわる長さ20
メートルの海中トンネル(写真下左)は真下から見上
げると圧巻です。
イルカのダイナミックなパフオーマンス(写真下右)や
アシカのコミカルなパフオーマンスも楽しむことができ
ます。
・ 今年度も4分の1が過ぎました。引き続き課題を着実にフォローしてまいりたいと思います。蒸し暑く過
ごしにくい日が続くと予想されますが、体調にはくれぐれもご留意ください。(T.S)
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