平成21年4月1日 原子力安全対策課 ( 2 1 - 1 ) <11時記者発表> 美浜発電所2号機の第25回定期検査開始について このことについて、関西電力株式会社から下記のとおり連絡を受けた。 記 美浜発電所2号機(加圧水型軽水炉;定格電気出力50.0万kW)は、 平成21年4月3日から約4カ月の予定で第25回定期検査を実施する。 検査を実施する主な設備は次のとおりである。 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) 原子炉本体 原子炉冷却系統設備 計測制御系統設備 燃料設備 放射線管理設備 廃棄設備 原子炉格納施設 非常用予備発電装置 蒸気タ-ビン 問い合わせ先(担当:内園) 内線2354・直通0776(20)0314 -1- 1 主要工事等 (1) 1次冷却材ポンプ軸シール部改造工事 (図-1参照) 設備の信頼性を一層向上させる観点から、シールの摺動面で発生した 磨耗粉がシールの動きを阻害することを防止するため、1次冷却材ポン プ2台のNo.3シール部に1次系純水を供給して磨耗粉を排出する系統を 新たに設置する。 (2) 耐震裕度向上工事 (図-2参照) 既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系 統などの配管、格納容器排気系統やアニュラス排気系統などのダクト、 放射性機器冷却水タンクや動力変圧器などの機器の支持構造物を強化す る。 (3) 600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事 (図-3参照) 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全 対策として、加圧器サージ管台について、600系ニッケル基合金で溶接さ れた管台から耐食性に優れた690系ニッケル基合金で溶接された管台に取 り替える。 (4) 湿分分離加熱器取替工事 (図-4参照) 美浜1号機の第22回定期検査(平成18年)において、湿分分離加熱器 A号機の加熱管に損傷が確認された事象を踏まえ、湿分分離加熱器3台 の加熱管を取り替える。 この事象の原因については、加熱管の直管部外表面に加工されている フィンが、最終管支持板と干渉したことによるものと推定されたことか ら、取替え後の加熱管は、最終管支持板近傍の直管部にフィン加工をし ないこととする。また、あわせて、加熱管の材質を銅合金から耐食性に 優れたステンレスに変更する。 2 設備の保全対策 (1) 高サイクル熱疲労割れに係る対策工事 (図-5参照) 国内外PWRプラントにおける高サイクル熱疲労割れ事象(温度ゆら ぎによる疲労)を踏まえ、A余熱除去ポンプ入口配管1箇所について、 温度ゆらぎを抑制するため、配管ルートを変更する。 -2- (2) 2次系配管の点検等 (図-6参照) 関西電力㈱の定めた「2次系配管肉厚の管理指針」に基づき、2次系 配管 1,024 箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する。 (超音波検査 997 箇所、内面目視点検 27 箇所) また、今後の保守作業を考慮した部位226箇所を耐食性の優れたステン レス鋼の配管に取り替える。 3 燃料取替計画 燃料集合体全数 121 体のうち、33 体(うち20体は新燃料集合体)を 取り替える予定である。 4 運転再開予定 原子炉起動・臨界 : 発電再開(調整運転開始) : 定期検査終了(営業運転再開): -3- 平成21年6月下旬 平成21年6月下旬 平成21年7月下旬 図-1 1次冷却材ポンプ軸シール部改造工事 工事概要 設備の信頼性を一層向上させる観点から、シールの摺動面で発生した磨耗粉がシールの動きを阻害す ることを防止するため、1次冷却材ポンプ2台のNo.3シール部に1次系純水を供給して磨耗粉を排出する 系統を新たに設置する 1次冷却材ポンプ概要図 系統概略図 原子炉格納容器 加圧器 モータ 蒸気 発生器 主蒸気 (タービンへ) 原子炉容器 主給水 (復水器から) No.1~3シール部 主軸 1次冷却材 ポンプ 羽車 1次冷却材の流れ 工事内容概要図 軸シール部の変更内容 【変更前】 【変更後】 可動部 1次系純水供給系統の追加 主軸 ー 1次系 純水 シ 押さえバネ シール リング 外枠 シール ランナー ル リ ン グ Oリング DDCS 磨耗粉が入り込む 摺動面 DDCS:可動部から水が漏れることを防ぐパッキン 1次系純水供給系 統の追加 形状変更(一山型から二山型) ①シールランナーとシールリングが接触することにより、 水が漏れ出ることを防止 ②シールリングの磨耗粉が発生 ③水の流れが僅かであるため、磨耗粉が滞留 ④シールリングとDDCSの接触面に磨耗粉が入り込む ⑤シールリングの上下方向の動きが鈍くなる 1次系純水を常時流すことにより、 シールの摺動面で発生した摩耗粉を シール部より排出 スタンド パイプ 主軸 軸シール部の概要 No3シール シールリング(静止側) 材質:カーボン シールランナー(回転側) 材質:ステンレス鋼 No3シール水 戻り 1次系純水 スタンド パイプ 1次系純水 1次系純水供給ラインの追加設置に伴う 軸シール部の構成部品(外枠)の取替 体積制御タンク No2シール No1シール 水戻り No1シール シール 水注入 充てんポンプ 冷却材 ドレンタンク 図-2 耐震裕度向上工事 工事概要 既設設備の耐震性を一層向上させるため、安全注入系統や余熱除去系統などの配管、格納 容器排気系統やアニュラス排気系統などのダクト、放射性機器冷却水タンクや動力変圧器など の機器の支持構造物を強化する。 凡例 燃料取替 用水タンク 1次系 主蒸気系統(2次系) 給水系統(2次系) 換気空調系 格納容器排気筒 格納容器排気系統 主蒸気系統 蒸気発生器 安全注入系統 主蒸気 (タービンへ) 加圧器 蓄圧注入タンク 主給水 (復水器より) 高圧注入ポンプ 2次側へ 格納容器冷却水クーラ 主給水系統 格納容器冷却水系 海水系統 余熱除去ポンプ 補助給水系統 余熱除去クーラ 燃料 一次 冷却材ポンプ 余熱除去系統 アニュラス 排気系統 原子炉容器 復水タンク 燃料ピット冷却浄化系統 非常用ディーゼル 発電機系統 使用済 燃料ピット 原子炉補助建屋 原子炉建屋 放射性機器冷却水タンク (原子炉補助建屋) 放射性機器冷却水タンク支持部の強化例 電気計装盤 (中間建屋) 伝送器架台 (タービン建屋) 配管の支持部の強化例(イメージ) 【工事前】 【工事後】 クランプ クランプを 厚板化 スナバ スナバ容量 の大型化 放射性機器冷却水タンク 支持脚(鋼材) の強化部分 動力変圧器 (中間建屋) 基礎コンクリート部 の強化部分 サポート部材変更 アンカ 工事対象:2台 (H形鋼 → 角パイプ) 【スナバ】 配管の熱による伸びなどのゆっくりとした動き には追従するが、地震等の激しい動きに対し、 配管を固定する機能を持つ 図-3 600系ニッケル基合金溶接部の応力腐食割れに係る予防保全工事 工事概要 国内外PWRプラントにおける応力腐食割れ事象を踏まえ、予防保全対策として、加圧器サージ 管台について、600系ニッケル基合金で溶接された管台から耐食性に優れた690系ニッケル基合金 で溶接された管台に取り替える。 【系統概要図】 蒸 気 発 生 器 加 圧 器 :取替箇所 1次冷却材ポンプ 原子炉容器 加圧器管台取替概要 オーバーレイ(ステンレス鋼) 【取替前】 加圧器 管台(低合金鋼) 溶接継手 (600系ニッケル基合金) セーフエンド(ステンレス鋼) 約10m オーバーレイ(ステンレス鋼) 管台(低合金鋼) 溶接継手 (690系ニッケル基合金) サージ管台 セーフエンド(ステンレス鋼) 【取替後】 図-4 湿分分離加熱器取替工事 工事概要 美浜1号機の第22回定期検査(平成18年)において、湿分分離加熱器A号機の加熱管に損傷が確認さ れた事象を踏まえ、湿分分離加熱器3台の加熱管を取り替える。 この事象の原因については、加熱管の直管部外表面に加工されているフィンが、最終管支持板と干渉し たことによるものと推定されたことから、取替え後の加熱管は、最終管支持板近傍の直管部にフィン加工 をしないこととする。また、あわせて、加熱管の材質を銅合金から耐食性に優れたステンレスに変更する。 取替概要図 系統概要図 湿分分離加熱器(1A,1B,2A,2B) 蒸気 蒸気 低圧タービン 蒸気発生器 水 発電機 循環水ポンプ 復水器 海水 高圧タービン 水 復水ポンプ 脱気器 海水 高圧給水加熱器 原子炉容器 放水口 水 冷却材ポンプ 水 第1低圧給水加熱器 主給水ポンプ 第2低圧給水加熱器 第3低圧給水加熱器 湿分分離加熱器概要図 蒸気出口(低圧タービンへ) 蒸気入口 (高圧タービンより) 管支持板 加熱蒸気入口 取替対象: 1A,1B,2B-湿分分離加熱器 2A-湿分分離加熱器は、第14回定 検(H3~6年度)に、最終管支持板と干 渉しない形状の銅合金製の加熱管に取 替済み。 (湿分分離加熱器仕様) 長さ:約13m 胴径:約3.2m 板厚:約22mm 水室材質:炭素鋼 加熱管 (加熱管本数) 取替前:690本 取替後:690本 加熱蒸気 ドレン出口 (材質) 取替前:銅合金 取替後:ステンレス 管巣 最終管支持板 【旧型】 最終段管支持板 【新型】 加熱管フィン 加熱管が干渉しない構造に変更 ・工場にて管巣を組立、現地で取り替える。 美浜1号機第22回定期検査で確認された湿分分離加熱器A号機加熱管の損傷事象概要 管支持板 最終管支持板 損傷の推定メカニズム ①加熱管の入口部と出口部の温度差により熱伸び 量に差が生じ、加熱管の外面フィンと最終管支持 板が干渉した。 入口 出口 ②損傷部 ①干渉部 ②その後の熱伸びにより加熱管に曲がりが生じ、 隣接管と接触した。その際、両管の外面のフィン 同士が偶発的にかみ合うとともに、管支持板と ひっかかった 図-6 2次系配管の点検等 点検概要 今定期検査において、1,024箇所について超音波検査(肉厚測定)等を実施する。 <超音波検査(肉厚測定):997箇所、内面目視点検:27箇所> ○2次系配管肉厚の管理指針に基づく超音波検査(肉厚測定)部位 「2次系配管肉厚の管理指針」 今回点検開始時点での の 点検未実施部位 点検対象部位 1,585 1,019 2,604 主要点検部位 その他部位 合 計 0 0 0 今回点検実施部位 668 329 997 ○2次系配管肉厚の管理指針に基づく内面目視点検 高圧排気管の直管部27箇所について、配管内面から目視点検を実施する。 その結果、配管内面に減肉が認められれば、超音波検査(肉厚測定)を実施する。 取替概要 ○配管の保守性を考慮した部位226箇所を、耐食性に優れたステンレス鋼配管に取り替える。 系統別概略図 復水系統 給水系統 :主な配管取替箇所 主蒸気系統 ドレン系統 発電機 蒸 気 発 生 器 【取替理由】 高圧 タービン 低圧タービン G ① 配管の保守性を考慮して取り替える (226箇所) 炭素鋼 ⇒ ステンレス鋼 226箇所 復水器 湿分分離加熱器 復水ポンプ 高圧給水 加熱器 給水ポンプ ① ① 脱気器 給水ブースタ ポンプ 脱気器タンク 第3 第2 第1 低圧給水加熱器 グランド蒸気 復水器
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