目 第1章 1 2 次 基本方針 ............................................................................................................................... 1 子どもの読書をめぐる社会的背景 ............................................ 1 ⑴ 情報化社会の中の子どもたちと読書 ........................................ 1 ⑵ 子どもと読書 ............................................................ 3 ⑶ 富士宮市の読書活動推進のこれまでの取り組み .............................. 5 計画策定の視点 ............................................................ 6 ⑴ ⑵ 「子どもの読書活動の推進に関する法律」を基本 ........................... 6 国の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」及び 県の「静岡県子ども読書活動推進計画」を参考 ............................... 6 ⑶ 3 「子どもの読書活動」を推進するための諸条件を整備・充実 .................. 7 子どもの読書を支える柱 .................................................... 7 ⑴ 家庭、地域及び市立図書館などの公の施設、学校における読書活動の推進 ....... 7 ⑵ 子どもの読書に関する理解と関心の普及 .................................... 7 ⑶ 子どもの読書活動推進・支援体制の整備 .................................... 7 第2章 1 2 子どもの読書活動の推進のための施策の方法 ........................................................ 8 家庭における子どもの読書活動の推進......................................... 8 ⑴ 基本方針 ................................................................ 8 ⑵ 現状と問題点 ............................................................ 9 ⑶ これからの取り組み ...................................................... 9 ア 就園前の子どものいる家庭に向けた取り組み .............................. 9 イ 保育園、幼稚園通園の子どものいる家庭に向けた取り組み ................. 10 ウ 小学生の子どものいる家庭に向けた取り組み ............................. 10 エ 中学生以上の子どものいる家庭に向けた取り組み ......................... 10 地域における子どもの読書活動の推進........................................ 11 ⑴ 保育園、幼稚園、保健センターなど就学前の子どもに関わる機関における読書活 動推進の充実 ............................................................ 11 ⑵ ⑶ ア 基本方針 ............................................................. 11 イ 現状と問題点 ......................................................... 11 ウ これからの取り組み ................................................... 11 放課後児童クラブなど学童期の子どもと関わる施設における読書活動推進の充実 12 ア 基本方針 ............................................................. 12 イ 現状と問題点 ......................................................... 13 ウ これからの取り組み ................................................... 13 「富士宮子どもと読書の会」などボランティアグループによる子どもの読書活動 推進の充実 .............................................................. 13 ⑷ ア 基本方針 ............................................................. 13 イ 現状と問題点 ......................................................... 13 ウ これからの取り組み ................................................... 14 読書と読み聞かせ推進事業の促進 ......................................... 14 ア 基本方針 ............................................................. 14 イ 現状と問題点 ......................................................... 14 ウ 3 4 市立図書館における子どもの読書活動の推進 .................................. 15 ⑴ 基本方針 ............................................................... 15 ⑵ 現状と問題点 ........................................................... 15 ⑶ これからの取り組み ..................................................... 16 6 ア 子どものための資料の充実 ............................................. 16 イ 子どもへの読書支援及び普及 ........................................... 16 ウ 児童担当職員の育成 ................................................... 16 エ 読書活動、図書館利用の啓発 ........................................... 16 オ 子どもに関わる事業の実施 ............................................. 16 カ 読書活動推進団体などとの連携 ......................................... 17 キ 公民館など施設との連携と支援 ......................................... 17 ク 学校・学校図書館との連携 ............................................. 17 ケ 関係機関との連携 ..................................................... 17 コ 読書ボランティアグループ等への支援 ................................... 17 サ 情報提供 ............................................................. 17 学校における子どもの読書活動の推進........................................ 17 ⑴ 基本方針 ............................................................... 17 ⑵ 現状と問題点 ........................................................... 18 ⑶ これからの取り組み ..................................................... 19 ⑷ 5 これからの取り組み ................................................... 14 ア 学校の体制づくり ..................................................... 19 イ 学校図書館の整備・充実のための支援 ................................... 22 連携の充実 ............................................................. 24 ア 公立図書館との連携の充実 ............................................. 24 イ 「市の推進事業」との連携の充実 ....................................... 24 ウ 読み聞かせボランティアとの連携の充実 ................................. 24 エ 学校図書館ボランティアとの連携の充実 ................................. 24 特別な教育的支援が必要な子どもの読書活動 .................................. 25 ⑴ 基本方針 ............................................................... 25 ⑵ 現状と問題点 ........................................................... 25 ⑶ これからの取り組み ..................................................... 26 ア 家庭における読書活動の支援 ........................................... 26 イ 地域における読書活動の支援 ........................................... 27 ウ 市立図書館における読書活動の支援 ..................................... 27 エ 学校における読書活動の支援 ........................................... 27 啓発・広報等の促進 ....................................................... 28 ⑴ 基本方針 ............................................................... 28 ⑵ 現状と問題点 ........................................................... 28 ⑶ これからの取り組み ..................................................... 28 第3章 富士宮市における推進・支援体制の整備 .............................................................. 30 1 富士宮市における推進・支援体制の整備 ...................................... 30 2 施策の実施に向けて ....................................................... 30 第1章 1 基本方針 子どもの読書をめぐる社会的背景 ⑴ 情報化社会の中の子どもたちと読書 日本の子どもたちの読書離れ、自制心・自立心の低下、短絡的思考などが読書習慣の 未形成によるものだとの指摘の上に、平成 13 年 12 月国の「子どもの読書活動の推進 に関する法律」(以下「法」)が施行され、平成 14 年 8 月「子どもの読書活動の推進 に関する基本的な計画」(国)や平成 16 年 1 月「静岡県子ども読書活動推進計画」が 出されました。国は、「法」第 2 条の「基本理念」として「子どもの読書活動は、子ど もが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより 深く生きる力を身につけていく上で、欠くことのできないもの」と位置づけています。 その後、各県、市町村でそれぞれ読書推進計画の見直しの時期に応じて、少しずつ変 更を加えながら、子どもの読書推進に向けた取り組みが日本中で行われています。その 結果、全国的に学校での朝読書の広がりはますます増えています。静岡県では、静岡県 子ども読書活動推進計画―第二次計画―(平成23年3月県教育委員会)によると、小・ 中学校の全校で取り組む読書活動は平成21年度100%に達したと報告されていま す。 本市では、「富士宮市子ども読書活動推進計画」(以下「市の推進計画」)が平成24 年度に新たな計画発行の時期となりました。富士宮市内の学校図書館の報告などによれ ば、子どもたちの読書の量は、市内の小中学校においても確かに広がりを見せている状 況にあります。このことは果たして手放しで喜べる状況といえるでしょうか。子どもた ちの読書の推進を考える時、「法」に「言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造 力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で、欠くことのでき ないもの」として位置づけられているのは、子どもたちが一人の人間としてしっかり育 っていってほしい、ということが基本にあるからこそ出てきたことです。 今、子どもの状況をみると、子どもたちが実際に体を動かしてさまざまな体験をする ことが、非常に少なくなっています。一番の問題は、TV、ビデオ、DVD、ゲーム、 インターネット、携帯・・・などの電子的メディアが非常な勢いで広がりを持ってきた ことにあり、高速で大量の情報が流れ、生活の中ですぐ手にとれるために、子どもたち は膨大な時間を費やしています。必要な情報をきちんと受け止めればいい面もあります 1 が、正しくない情報も流れ、大人だけではなく子どももその中に巻き込まれることが増 えています。 また、本もメディアの一つとしての要素が強くなっていて、ケータイ小説が世の中に 衝撃を与えたのもつかの間、いまや、出版されている本を電子本として読むことができ る時代になりました。そういう形態だけのことではなく、物語そのものの中身をみても、 本の形をしているから安心とはいえなくなってきています。子どもたちが、知らないう ちに出会う物語の中には、視界をゆがめられ、心に負の領域を注がれているものも多々 あります。 読書はいいものであると考えられていて、その流れの中で朝読書をはじめ子どもたち への読書活動の推進が図られています。しかしながら、子どもたちがどんな本に出会っ ているのか、その全体的な傾向や質を慎重に検討することが必要な時代になっています。 この視点に立って今後さまざまな角度から検証を行いつつ、さらに一歩進んだ形で子ど もと本に向き合う姿勢を持つことが大切であると考え、この基本方針を策定しました。 2 ⑵ 子どもと読書 赤ちゃんの時代は、家庭で大人による働きかけと言葉かけをていねいにすることに よって、人との基本的な信頼関係ができる時期です。赤ちゃんにとっては毎日が新しい できごとや発見の連続で、興味深く楽しいことでいっぱいです。赤ちゃんはそのような 刺激だけではなく、同時に大人とのスキンシップの中でやさしい声のゆったりした呼び かけや、あやし言葉や、子守歌などをたくさん聞くことで、安定してすごします。1歳 前後には絵本に興味を持ち、絵本の中の言葉のリズムを楽しむようになります。また、 自分の知っているものや言葉を絵本の中に見つけ、大人と共有できることも大きな楽し みとなります。 3、4歳になるとやさしい筋立てのあるものや、繰り返しのある絵本を楽しみ、5 歳以上ではかなり複雑な物語が理解できるようになるので、絵本の世界はますます広が ります。絵本は、絵を見ながら自分で想像力を働かせて聞く本です。絵本には、日常の 遊びの延長から空想の世界に入っていくものや、動物や人が主人公として登場しハラハ ラする冒険を繰り広げるもの、出だしから不思議な世界に連れていってくれるものなど があります。子どもにこびたものではなく、絵と文が一体となって物語世界を見事に描 き出している質の高い絵本であることが大事です。このような絵本は大人にとっても満 足のいくものが多く、文化財としての大きな役割を果たしています。 5、6歳になると、絵本と並行して、やさしい物語(幼年文学)を楽しみ始めます。 10歳くらいまでは、子どもは主人公と一体となってお話の世界に入り、読んでもらっ た本や聞いたお話も自分の経験となるという、大人と違った特徴があります。耳で聞い てわかりやすい言葉で書かれ「それからどうなるの?」という興味を満足させるできご とで進む物語を楽しみます。 この年齢では文字が読めても、挿し絵があるだけの物語を一人で読んで理解するの は難しいことです。読めることと内容が理解できることの間には大きな隔たりがあるの で、10歳くらいまでは「本は自分で読むのは難しくても読んでもらうのは楽しい」と いう体験を重ねることで本への親しみができます。また、5歳から10歳くらいまでは、 昔話の年齢ともいわれています。児童文学の源泉ともいえる昔話は、長い間耳で聞かれ て現在に残っているので、聞き手である子どもたちが耳から聞いて自分でイメージしや 3 すくなっています。昔話は主人公中心のお話で「むかし、あるところに・・・・・」と始ま り、時代も場所も人物も特定しない独特な語り口になっているため、どこの国のお話で も、どんな「時」でも、どんな「空間」でも、人であれ動物であれどんな「主人公」で も聞き手が想像の翼をひろげ、自由に楽しむことができます。時間の流れが一直線で、 最後は主人公にとってハッピーエンドで終わる昔話ほど、この年齢の子どもたちに深く 働きかけるお話はありません。もとのお話と違うものもたくさん出ていますが、昔から 長く語り伝えられたお話の中にこそ、昔話の持つ楽しさや子どもの成長の糧となる大事 な力が存在するといえます。また、昔話絵本の絵はお話のイメージをつくるうえで手が かりを与えるものです。絵によってはお話の持つ不思議さをつまらないものにしてしま うものもあるので、質の高い絵であることが大切です。 小学校高学年(4年生以上)になると、できごとの展開だけではなく、登場人物の 内面にも目が向くようになります。人間関係の複雑さや、人にはそれぞれ個性があるこ と、自分と人との物事の受け止め方の違いにも気づきます。興味の向く範囲が広がり、 本格的な読書の入口にいるので、物語の舞台も、背景も、時代もさまざまな読みごたえ のある本を楽しむようになります。一方では、手軽なものに手を出したり、まったく本 を読まない子もいますが、初めの3章くらい読んであげると、物語の楽しさに入り込ん で自分で続きを読むこともあります。精神が躍動するような本に出会うことで、日常を 楽しむ力をひき出すことにもなります。 中学生になると部活を始めとして塾などで忙しくなり、本にあまり手を出さなくな る子が増えてきます。それ以前に本のおもしろさを知っている子は、冊数は少なくても 厳選された質の良い本に満足感をいだきます。それらの「物語」の本の中には、構想に 深みと広がりが感じられる壮大な冒険ものやファンタジーもの、現実に近いものや内面 をていねいに描いたものなどがあり、大人が読んでも十分満足でき、それぞれ楽しめる ものがいっぱいです。また、古典といわれる長く読み継がれたものには、現在でもおも しろさが色あせないものがたくさんあります。筋を追ったダイジェスト版ではなく、原 書をすべて訳した完訳で読むと、知っていると思った本でもおもしろさがまったく違う ので、大人がこれらの本を子どもにつなげていくことが大事ですが、この年齢では、本 を読む、読まないがはっきりわかれてきます。 4 また、ジャンルが広がりノンフィクション、伝記、ルポルタージュなど幅広くなり ますが、まだまだ「物語」が必要な年齢です。現実の生活の中での自分の体験が増えて きているので、ほかのメディア(映画、ビデオなど)に触発されたり、友達からおもし ろいといわれたことをきっかけに本を読み出したりもします。 13歳から18歳くらいの年齢層では、自分の目前にある課題を把握し、さまざま な解決策を考え、そのための計画を練り、行動に移す思考力が飛躍的に育ちます。 質の高い物語は、子どもたちが主人公や作者など自分以外の人物の意識に入り込ん で生き方や考え方を共有したり、自分の存在を外部から把握したりする力を養います。 この年齢では、自らの生き方、新しい人との出会いによる人間関係をどうつくるか、自 分とは何かという問い、進路や職業をどう選択するかなど、大きな課題に直面します。 それまで出会った本を通して培われたものに加えて、さらに手応えのある本を読むこと で、生きていく力が自然に身についていくような読書が大事になります。 おおむねこのような過程を通って子どもは物語に触れ、本を楽しみます。 国は、「法」第2条の「基本理念」として「子どもの読書活動は、子どもが、言葉を 学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力 を身につけていくうえで、欠くことのできないもの」と位置づけています。つまり、子 どもの心に直接働きかけ、生きる力になりうる良い物語を子どもにつなげることが非常 に大事なことであるといえます。また、本や子どもに向けた資料としては、ほかにも科 学的なさまざまなジャンルがあります。それらを自由にさがして読みこなすためにも、 自主的に読書できうる環境の整備が課題です。 児童書だけでも年間3,000冊以上の本が出版されています。物語の本も、科学 読み物もたくさんの中から良いもの、内容が信頼できるものをさがすのは至難の技です。 市立図書館の司書、本にくわしい先生、富士宮市では市民読書サポーターのアドバイス や、信頼できるリストなどを頼りにするのが良い本をさがす近道となります。 ⑶ 富士宮市の読書活動推進のこれまでの取り組み 本市では、平成2年に「富士宮子どもと読書の会」が発足し、小学校での読み聞か せを中心とした子どもの読書に関わる活動が、活発に行われてきました。この流れを受 5 けて、平成13年度より社会教育課に「読書と読み聞かせ推進事業」(以下「市の推進 事業」)が発足し、平成23年度で11年目を迎えました。この「市の推進事業」は長 く子どもと本に関わる活動をしてきた市民が、市民読書サポーターとして市と協働で年 間を通して活動するという、今までにない画期的な形態をとっています。市民読書サポ ーターは、子どもの読書に向けてこれまでの実践を生かしつつ、さまざまな観点から企 画・運営を行い、より質の高い活動と同時に、今までにない新たな展開をめざしていま す。「市の推進事業」は、「法」の施行以前から進められてきました。これらのことは他 市町村と異なる大きな特徴であり、本市独自の流れであるといえます。 従って「市の推進計画」は、「市の推進事業」だけでは不十分な面を補うものとして 策定しました。 2 計画策定の視点 本推進計画は「1 子どもの読書をめぐる社会的背景」の「(1)情報化社会の中の子ど もたちと読書」及び、「(2)子どもと読書」で述べたことを踏まえたうえで、以下の「法」 に基づき国と県の計画を参考にして、諸条件の整備・充実を組み入れて策定しました。こ れは、おおよそ平成28年度までの方向を示すものです。 ⑴ 「子どもの読書活動の推進に関する法律」を基本 *平成13年法律第154号 平成13年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律」が施行されました。 「法」はその基本理念として子どもの読書環境の整備(第2条及び付帯決議)を求めて います。読書は個人の自由な意思によるものであり、強制するものではなく、この「法」 は読書環境を整備し、子どもの自主性からうまれる読書を支援することが視点です。す なわち、子どもたちが読書できる場、豊かな資料、子どもと本をつなげることのできる 大人(なかでも専門職員)の3つの要素を整えることです。 ⑵ 国の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」及び県の「静岡県子 ども読書活動推進計画」を参考 「国の基本計画」及び、それを受けた「県の推進計画」が策定されました。「市の推 6 進計画」はそれらの内容を参考にし、これまで実践されてきた富士宮市独自の活動の流 れをくんで具体的に策定しました。子どもの読書を保障する場の中心は、家庭と、市立 図書館と学校図書館であり、市立図書館と学校図書館の充実、資料の充実、及び子ども と本をつなげる大人(専門職員、ボランティア、保護者)の充実と啓発が急務です。 ⑶ 「子どもの読書活動」を推進するための諸条件を整備・充実 「国の基本計画」は公立図書館の司書の役割、学校図書館の学校司書、司書教諭の 役割を明確にし、その配置をうながしています。「県の推進計画」においても公立図書 館における専門職員の養成及び配置の促進、司書教諭の授業時数の軽減など、いわゆる 学校司書の全校配置の促進、学校図書館担当職員の研修等の充実があげられています。 富士宮市においても、学校司書の未配置が大きな課題となっていたなか、平成21年度 学校司書4名の配置があり、さらに平成 22 年度は新たに 5 名配置されるなど、大き な進展がありました。今後は1校1名配置に向けた取り組みが必要です。 3 子どもの読書を支える柱 ⑴ 家庭、地域及び市立図書館などの公の施設、学校における読書活動の推進 市立図書館、学校図書館など本を提供する場を整備し、本を始めとする資料を充実 していきます。 ⑵ 子どもの読書に関する理解と関心の普及 読書の意義やその楽しさについて、子どもやその保護者に向けて、啓発活動を行っ ていきます。 ⑶ 子どもの読書活動推進・支援体制の整備 子どもの読書活動を支えていくために、市立図書館、学校を始めとし、子どもに関 わるあらゆる担当の職員と、市民読書サポーター、ボランティア、市民と連携して読書 推進を図るとともに、子どもの読書活動を推進するための人材を育成し、活動の担い手 を育てます。 7 第2章 1 子どもの読書活動の推進のための施策の方法 家庭における子どもの読書活動の推進 ⑴ 基本方針 子どもがどんな本をどのように読むかについては、周囲にいる大人の影響が大きい といえます。家庭においては、まずは本と出会う以前に、大人との基本的な信頼関係を 築くことが大事です。乳幼児期の子どもは、言葉のリズムに敏感なので、わらべうたな ど親子で遊ぶことで言葉への感覚が育ち、大人や子ども同士の関係も楽しいものになり ます。1歳前後になると、絵本の中の知っているものを大人と共有することが喜びにな り、3歳前後からは単純な筋立てのあるものへの理解に進みます。字の読めない乳幼児 には、親が読み聞かせをすることと思いますが、その時子どもに向く本を知ることが大 事です。子どもと本をつなげる最初は、やはり家庭です。大人が忙しくなっていること もあり、意識しないとなかなか子どもに絵本を読むことができませんが、絵本はわずか な時間で読めるので、決して難しいことではありません。 また、小学校に入る前後で、字が読めるようになると「自分で読みなさい」という ことが多くなりますが、3年生くらいまでは字が読めることと内容が理解できることに 大きな差があるので、読んであげることが必要です。この年齢では感じたことを言い表 す語いが十分ではないので、本を読んだあとに質問をしたり、感想を聞いたりするので はなく、お話を楽しむだけにとどめましょう。 また、メディアとの関係では、2歳まではテレビやビデオなど一方的に送られてく る映像はなるべく見せない、見る時間を親子で決めてしっかり守る、見る番組が終わっ たら必ず電源を切る、ということを身につけることが大事です。スマートフォンやタブ レット、携帯ゲームなどを安易に触らせないことも必要です。週に1日くらいテレビを 見ない、ゲームをしないなど、電子メディアに触れない日(ノーメディアデー)を決め て、親子で遊ぶ工夫をする中に読み聞かせを入れることもいいでしょう。親には、家庭 での読み聞かせについての講座や、リストなどを通して、子どもに向く絵本や本の紹介 が行われることが必要です。 思春期を迎えると、多かれ少なかれ子どもはさまざまな葛藤を経験します。今、子 どもが人との関係の中で問題解決をするのがうまくいかないという現状があります。言 8 葉で自分の考えや気持ちを人に伝えることや、人の立場になって考え相手の気持ちを理 解することが苦手なためだと考えられます。それは、子どもが人の内面に深く触れると きに必要な想像力と、言い表す言葉の獲得ができていないため、コミュニケーションの 取り方がうまくいかないことが要因の1つになっています。 洞察力のすぐれた作家が書いた作品の中には、登場人物の内面を見事に書き表して いるものが多く、そのような本を読むことで、現実の中で理解しにくい人の感情や内面 を理解する想像力と言葉の獲得ができてきます。そのためには質の良い児童文学を読む ことが大事になってきます。子どもは、友達や身近にいる大人にすすめられて本に出会 うことが多いので、親を始めとしてまわりにいる大人がこの年齢に向く質の良い本を読 んで、子どもにすすめることが大切です。 家庭での子どもの読書は年齢を追ってこのように変わってくるといえるので、それ ぞれの年齢にあわせて、親の関わり方の大切さを伝えていかなくてはなりません。 ⑵ 現状と問題点 テレビを始めとし、ビデオ、テレビゲーム、インターネット、携帯電話、スマート フォンなどの情報メディアへの接触の低年齢化と長時間化による問題が指摘されてい ます。情報の肥大化、高速化により、調べやすくなると同時に手軽になっていることも 感じとれます。また過剰な光や音の刺激が脳に悪影響を及ぼすとも心配されるなか、テ レビを見ない、ゲームやメディアにふれない日(ノーメディアデー)を実施していると ころもあります。子どもは聞いたお話、読んだ(読んでもらった)物語、親の生き方な どを見て自分の生き方の手がかりにするといわれています。今、良い物語が家庭で読み つがれたり、子どもに手渡されたりすることが少なくなっています。読書だけで現在の 子どもの問題は解決できないとはいえ、本を通して親子の信頼関係が深まるなど本は大 きな役割を果たします。 ⑶ これからの取り組み ア 就園前の子どものいる家庭に向けた取り組み (ア) 親子で参加できて、気軽に楽しめる「絵本とわらべうたの会」を月1回程度開 催する。(「市の推進事業」、子育て支援センターなど) 9 (イ) 絵本の紹介や、読み聞かせの意義への理解が進む講座を開催する。 (市立図書館、「市の推進事業」、子育て支援センターなど) (ウ) (エ) 絵本のリストを作成、配布する。(市立図書館、「市の推進事業」など) 保健センターの1歳6か月児健康診査などの親と子が集まる場で絵本 を紹介しリストを作成、配布する。(「市の推進事業」など) イ 保育園、幼稚園通園の子どものいる家庭に向けた取り組み (ア) 創作絵本や昔話絵本などのリストを作成、配布する。 (市立図書館、「市の推進事業」など) (イ) 絵本の 紹介や、読み聞かせの意義への理解が進む講座を開催する。 (市立図書館、「市の推進事業」、子育て支援センターなど) (ウ) 公民館の幼児家庭教育学級で絵本の読み聞かせの講座を開催する。 (公民館、「市の推進事業」など) (エ) 図書館、公民館などでお話会や、読み聞かせの会などを開催する。 (市立図書館、「市の推進事業」、富士宮子どもと読書の会など) (オ) 保育園、幼稚園などで絵本の紹介をするとともに、読み聞かせへの理解 が進む講座を開催する。(保育園、幼稚園など) ウ 小学生の子どものいる家庭に向けた取り組み (ア) 絵本や児童文学などのリストを作成、配布する。 (市立図書館、学校、「市の推進事業」など) (イ) 本の紹介と読書の大切さへの理解が進む講座を開催する。 (市立図書館、学校、「市の推進事業」など) エ 中学生以上の子どものいる家庭に向けた取り組み (ア) 児童文学などのリストを作成、配布する。 (市立図書館、学校、「市の推進事業」など) (イ) 読書会などを開催する。(「市の推進事業」、 「富士宮子どもと読書の会」 など) (ウ) 子どもの本を知る講座を開催する。(市立図書館、「市の推進事業」な ど) 10 2 地域における子どもの読書活動の推進 子どもの読書活動を推進するためには、身近なところに読書のできる環境を整備してい くことが重要です。 保育園、幼稚園、保健センター、地域子育て支援センター、放課後児童クラブ、「富士 宮子どもと読書の会」に所属するグループと、それ以外で子どもの読書推進に向けた活動 をしているグループ、「市の推進事業」、公民館、青少年団体などが子どもの読書推進につ いての理解や関心を深め、広めていくことが大事です。 ☆ ⑴ 市立図書館及び学校図書館については別記します。 保育園、幼稚園、保健センターなど就学前の子どもに関わる機関における読 書活動推進の充実 ア 基本方針 これらの施設は、子どもがはじめて絵本に触れ、親が読み聞かせの大切さに触れ る場であるため、大人が絵本の大切さ、どのような絵本や本が子どもにとって良い のかを知ることが重要です。 そのため、絵本や子どもの本について新たな知識や発見につながるように職員の 研修を行い、各施設には良い絵本や読みものの本を置いて、子どもたちが容易に手 にとれるようにしていきます。 イ 現状と問題点 保育園、幼稚園などの子どもと関わる各施設では、本との関わりが大事であると いう認識をもち絵本の読み聞かせ等が行われていますが、その他の施設においては、 絵本や本の大切さに対する理解が十分でない施設が一部見受けられます。さらに絵 本の質への理解を深めることが必要です。 ウ これからの取り組み (ア) 保育園、幼稚園 a 絵本の読み聞かせやお話などを引き続き積極的に取り入れる。 b 職員への絵本やお話の研修会を開催する。 c 「ノーメディアデー」を設けるなどして読み聞かせや絵本を通して親子の関 11 わりを深めていくよう働きかける。 d 保護者への家庭での読み聞かせの研修会を開催する。 e 親子で楽しむ絵本のリストを作成、配布する。 (イ) 保健センター a 健康診査等の機会を利用して、親に向けて読み聞かせの大切さを知らせる。 (市立図書館、「市の推進事業」、子育て支援センターなど) b 親子で楽しむ絵本のリストを作成、配布する。 (市立図書館、「市の推進事業」など) c 6歳児健康相談時にブックスタートを行う。 (市立図書館) (ウ) 地域子育て支援センター a 資料の充実を図り、就園前の子どもと親に向けて絵本の読み聞かせの大切さ を知らせる。 b 親子で楽しむ絵本のリストを作成、配布する。 (子育て支援センター、市立図書館、「市の推進事業」など) ⑵ 放課後児童クラブなど学童期の子どもと関わる施設における読書活動推進の 充実 ア 基本方針 放課後児童クラブは本市では1小学校区に1放課後児童クラブの設置をめざし ており、そこを利用する児童の数も増えています。 小学校低学年を中心とした子どもたちが集団で放課後をすごす場であり、遊びや 読書にも集団として広がりを持つことができる数少ない施設の1つです。指導員が 子どもたちに読み聞かせをしたり、子どもが自分で本を手にとれるよう読書の環境 を整えていくことが大事です。 また、親に、家庭で子どもと楽しんでもらえる本を紹介し、本を読むことで親子 関係が楽しいものになることを知らせていきます。 12 イ 現状と問題点 放課後児童クラブでは、絵本や本の活動があまり積極的に行われていないところ があります。小学生が毎日集団ですごす場なので、絵本や本と子どもをつなぐこと の大切さに大人が気づくことが大事です。 ウ これからの取り組み (ア) この年齢の子どもが楽しめる絵本や、本の充実を図る。 (市立図書館の団体貸出の利用など) (イ) 読み聞かせの時間を持つ努力をする。 (ウ) 指導員に向けた読み聞かせや、絵本・本に関する研修会を開催する。 (市立図書館、子ども未来課、「市の推進事業」など) (エ) 子どもが楽しむ本のリストを作成、配布する。 (市立図書館、「市の推進事業」など) ⑶ 「富士宮子どもと読書の会」などボランティアグループによる子どもの読書 活動推進の充実 ア 基本方針 富士宮子どもと読書の会は、平成2年に発足した市内の子どもの読書に関わる活 動をしているグループのネットワークの会です。平成23年度は30グループ48 0余名のメンバーで、小学校を始め、市立図書館、公民館、家庭文庫などで子ども に向けて読み聞かせや、お話を定期的に行っています。また、ほかにも子どもの本 やお話や昔話を学ぶ活動もしています。 この会の活動から、本市の読書と読み聞かせ推進事業がうみ出されてきました。 今では市内のすべての小学校で低学年を中心として、読み聞かせが定期的に行われ ています。高学年にも活動の場が広がっています。これからも読み聞かせをはじめ とした子どもと本をつなぐ活動を担うものとして、 「市の推進事業」の市民読書サポ ーターとともに、研修を充実させ協働で歩んでいきます。 イ 現状と問題点 学校からの要請で、高学年や中学生に向けた読み聞かせの依頼、学校図書館の手 13 伝いなどが各学校のボランティアに向けて増えている傾向があります。少子化と同 時に社会状況の変化の中で、読み聞かせを始めとした活動の担い手の確保が難しく なっています。そこで、家庭で絵本を読むことや、子どもと本をつなげることが楽 しいということを多くの人に認識してもらうことがさらに必要です。 ウ これからの取り組み 子どもと本をつなげるという立場から、個人的な考えに頼るのではなく、絵本や 本の大切さを認識して活動することができる研修の機会を持ち、広く呼びかけます。 (ア) 児童文学講演会を開催する。 (市立図書館、富士宮子どもと読書の会など) (イ) 読み聞かせの講座を開催する。 (市立図書館、富士宮子どもと読書の会など) (ウ) ⑷ 絵本や児童文学のリストを作成、配布する。 読書と読み聞かせ推進事業の促進 ア 基本方針 本市では平成13年度より社会教育課で市民と協力して「読書と読み聞かせ推進 事業」が進められてきました。「市の推進事業」は主として子どもと本をつなぐこと に視点を置いています。 「市の推進事業」は市民が企画・運営に関わる形で進められてきました。このこ とは他の市町村にない画期的なことであり、今後もさらに充実させていきます。 イ 現状と問題点 「市の推進事業」が始まり、より多くの子どもや大人に本の楽しさや、おもしろ さが伝わってきました。さらに内容や質の充実を目指して、より多くの人に伝えて いく努力が必要です。また、今後子どもと本をつなぐ活動の担い手となる人の育成 が大きな課題です。 ウ これからの取り組み 子どもと本をつなぐ活動に関わる人を育てることと同時に、市民読書サポーター の研修の充実を図っていきます。 14 (ア) 絵本とわらべうたの会を開催する。 (イ) 子どもと楽しむ絵本講座を開催する。 (ウ) 読み聞かせ講座を開催する。 (エ) 子どもの本を知る講座を開催する。 (オ) 子どもの本のセミナーを開催する。 (カ) 読書推進講演会を開催する。 (キ) 公民館、小・中学校、高校などでの読み聞かせ、語り、本の紹介などを促進す る。 3 (ク) 市民読書サポーターの研修の充実を図る。 (ケ) ブラッシュアップ講座を開催する。 市立図書館における子どもの読書活動の推進 ⑴ 基本方針 市立図書館は、子どもたちが本と出会い読書を楽しむところです。また、自分のさ まざまな疑問や興味を持ったことがらなどを調査したり、いろいろな情報や知識を得る ことができるところでもあります。 市立図書館は、すべての子どもたちが、いつでも、どこでも安心して読書に親しめ る環境づくりと読書活動の推進を図ります。 ⑵ 現状と問題点 本市では、中央図書館を中心にして西富士図書館、芝川図書館、自動車図書館(ひ ばり号)及び公民館図書室等により、図書館サービスを展開しています。 市立図書館は従来から業務として、子どもの読書活動の推進については重点業務と 位置付けており約 15 万冊の児童書を所蔵して年間延べ 30 万冊以上の児童書を貸し出 しています。また、 「市の推進事業」や「富士宮子どもと読書の会」などの協力を得て、 幼児・児童やその保護者を対象に、おはなし会や児童文学講演会などの子どもの読書な どに関わる事業も行っています。平成 25 年度からは、6 か月児健康相談時のブックス タート事業を開始し、就園前の子どもの保護者との接点を持てたことは大きな前進と考 15 えています。 しかし、広い市域を持つ本市は、気軽に市立図書館を利用できる子どもたちが限ら れているため、さらなる環境整備が求められています。分館設置が困難な現状において は、地域にある学校、保育園、幼稚園、公民館、地域学習センター、交流センター、児 童クラブ、子どもの読書支援団体などの既存の施設や団体と連携したサービスの拡充が 特に必要となっています。 ⑶ これからの取り組み ア 子どものための資料の充実 中央図書館、西富士図書館、芝川図書館、自動車図書館(ひばり号)の蔵書につ いては、子どもの読書活動の推進を図るため、乳幼児から青少年まで、そして保護 者や子どもの読書に関わっている人々を対象に、自由な読書を支える良質で魅力あ る図書、学習や生活に役立つ図書、児童図書研究書の整備を計画的に行います。 また、特別な教育的支援の必要な子どもたちのための点字図書や音声資料などと ともに、外国人の子どもたちのための外国語の図書も収集します。 イ 子どもへの読書支援及び普及 児童資料利用者(保護者を含む)へのフロアワーク(読書相談や読み物・調べ物等へ の利用者支援)に重点を置きます。また、本の主題別・年齢別などによるリーフレッ トの作成配布や新着図書の紹介、親子で楽しむ絵本などのテーマコーナー設置によ り本の紹介を積極的に行います。 ウ 児童担当職員の育成 児童サービス担当職員の育成に努め、専門性を高めます。 エ 読書活動、図書館利用の啓発 「子ども読書の日」「読書週間」における事業、図書館見学、図書館ボランティア 受け入れ、職場体験などにより読書活動・図書館利用の啓発を行います。 オ 子どもに関わる事業の実施 子どもたちを対象に、読書へのきっかけづくり、本と出会える機会づくり、読書 や物語の楽しさを紹介する事業を行います。 また、同時に子どもと本をつなぐ役割をする保護者や読書・読み聞かせボランテ 16 ィアなどを対象に、子どもの読書活動の推進事業や支援事業を行います。 カ (ア) 読み聞かせ、おはなし会の実施 (イ) 児童文学講演会、絵本講座などの事業開催 (ウ) ブックスタート事業の推進 (エ) その他、市民及び団体からの要望に対応した事業開発 読書活動推進団体などとの連携 社会教育課の「市の推進事業」や、 「富士宮子どもと読書の会」などの関係団体と 協働して、より効果的な事業運営を行います。 キ 公民館など施設との連携と支援 適切な配本を行い、施設担当者、市民読書サポーターと連携し、魅力ある資料コ ーナーの維持管理に努めます。 ク 学校・学校図書館との連携 学校の読書活動や調べ学習に対する支援、学校図書館の運営に関する支援など、 に努めます。 ケ 関係機関との連携 保育園、幼稚園、保健センターのほか関係機関への資料支援とともに読書活動事 業に協力します。 コ 読書ボランティアグループ等への支援 地域、学校、幼稚園、保育園、放課後児童クラブ、各種施設において活動してい るボランティアグループなどの要望に対する支援に努めます。 サ 情報提供 子どもの読書に関わる資料・事業情報等について、子供・青少年用ホームページ に、図書館だより、リーフレットなどにより、積極的に情報を発信し提供します。 4 学校における子どもの読書活動の推進 ⑴ 基本方針 学校は、従来から国語などの各教科等における学習活動を通して、読書活動を行い、 子どもの読書習慣を形成していくうえで、大きな役割を担っています。学習指導要領に も「学校図書館を計画的に利用し、その機能の活用を図り、児童生徒の主体的、意欲的 17 な学習活動や読書活動を充実する」こと、各学校においては、児童生徒の発達段階に応 じた読書活動計画やきめ細かな体制づくりが重要であることが掲げられています。その ためには、子どもの読書活動の習慣づくりに対して家庭や学校が一体となっての共通理 解を図っていくことが必要です。 ⑵ 現状と問題点 平成 20 年度からほとんどの市内小中学校では、朝読書・昼読書など校内での一斉読 書が実施されています。児童生徒が自主的に読書に取り組むことや、短い時間でも読書 を積み重ねることで集中力が養われ、学習への相乗効果も期待されています。また、学 校図書館を効果的に活用することによって、各教科、特別活動、道徳、富士山学習 PART Ⅱ ※ ① において、調べ学習や多様な学習活動を展開し、本に親しむ子どもの育成に努め ています。 また、司書教諭を中心に平成 23 年度から施行された学習指導要領の内容に即した年 間指導計画及び学校図書館構想図を作成し、学校での読書活動の推進を図っています。 小学校は平成 23 年度から、中学校は平成 24 年度から、新しく作成された年間指導計 画及び学校図書館構想図をもとに読書指導をしていきます。 平成 21 年度から学校司書が配置されたことにより、蔵書の管理が充実するなど学校 図書館の整備が進んできました。22年度からはさらに司書が 9 名に増え、1 人が 4 校を兼務し、1ヶ月あたり1校につき4日間程度来校するようになりました。書架の配 置を工夫したり、図書コーナーなどを設置したりして、読書センターとしての機能を充 実させています。また、文部科学省国立教育政策研究所の平成25年度全国学力・学習 状況調査の分析から「計画的に読書に親しむ習慣が付いている子どもほど学力が高い」 という相関関係が示されました。これを受け、富士宮市教育委員会では、読む本の質を 考慮した読書活動の充実をすすめるため、「富士宮市教育委員会おすすめの100冊 【小学校版】【中学校版】」を選定しました。各学校では、この「おすすめの100冊」 をもとに「○○学校おすすめの△冊」 ※ ② を選んでいます。このように読書の質を考慮 した活動をすすめています。 ※① 探究活動を中心に、地域を素材とした学習を深く掘り下げ、子どもたちが学ぶ課程を通して、自ら学ぶ力を 育てていく学習。(富士宮の学校力育成会議 平成 22 年1月より引用) ※② 「富士宮市の学校力育成会議提言ステージⅡ平成 26 年度アクションプラン」提言1の④「言語活動の充実」 18 学校図書館にコンピュータを整備している学校は数校ありますが、データベース化 や校内 LAN、ネットワーク化は進んでいないのが現状です。また、コンピュータを導 入している学校はそれぞれ異なるデータベースを使っているため、なかなか統一するこ とができません。コンピュータ導入に関しては、難しい問題を抱えています。 保護者を中心とした学校ボランティア活動では、ほとんどの小学校で読み聞かせが 行われています。また、中学校でも、読み聞かせが行われており、生徒指導面における 効果も期待されています。 家庭において、親が子どもに読み聞かせをしたり、子どもと一緒に読書をしたりす るなど、親子読書を推奨する学校が増えてきています。また「ノーメディアデー」とい う「テレビを見ない・ゲームに触れない日」を設定することで、家庭でも読書に親しむ 習慣がつくられるよう呼び掛けている学校もあります。 今後いっそう「開かれた学校づくり」を推進し、保護者や地域住民と連携した学校 図書館運営がされていくことが期待されています。 ⑶ これからの取り組み ア 学校の体制づくり 新学習指導要領(小学校は23年度、中学校は24年度から)では、「言語力の育 成」「言語活動の充実」を新しい基軸として打ち出し、各教科等の学習を通して、記 録、説明、批評、討論などの言語を使った活動を充実することとしています。 学校図書館は、「読書センター」として、子どもが自由に好きな本を選び、静かに 読む本を提供したり、子どもがおもしろいと思える本、子どもにとってためになる 本を紹介したりして、読書の楽しさを伝える場となるように努めます。 学習指導要領改定に伴い、小学校全学年の国語の教科書には「本を読もう」とい う各学年で読みたい本を紹介するページがあります。また、中学校の国語の教科書 にも同様に「○年生の読書案内」、「読んでみよう」という本を紹介するページがあ り、これまで以上に多くの本が紹介されるようになりました。そのため、これから も新しい教科書に沿って蔵書を増やしていくことが必要になりました。 また、国語の教科書には、情報活用のスキルを身に付けるための単元が系統立て て設置されています。各教科の学習に活用するとともに、教科学習で学んだことを 19 確かめる、資料を集めて読み取る、自分の考えをまとめて発表するなど、主体的な 学習活動を支援するため、「学習センター」「情報センター」としての機能を持つよ うに努めます。そのため、公立義務教育諸学校においては、学校図書整備5か年計 画により、蔵書の充実を図ってきました。 学校は「子ども読書の日」 ※ ③ (4月23日)の趣旨を踏まえ、それにふさわしい 事業の実施に努めるとともに、市立図書館等の関係機関や関係団体との連携を図り ながら、広く啓発広報を推進するよう努める必要があります。 (ア) 教職員全体の共通理解と協力体制の確立 子どもの読書習慣づくりを進めるため校長の理解、指導のもと、校内研修や研 究会を通じて教職員全体の共通理解を図るとともに、司書教諭を中心とした教職 員の協力体制を確立します。 a 学校図書委員会(部)の設置 b 司書教諭を中心に、図書主任や研修主任、各学年担当を配置して、学校図書 館の活性化を図る。 c 司書教諭がその職責を十分果たせるよう、校内における教職員間の連携や理 解をうながす。 (イ) d 司書教諭研修会への積極的参加 e 司書教諭の校務分掌などの軽減 f 学校司書との連携 年間活動計画の作成 司書教諭を中心に市内各校で、地域や学校の実態に応じた年間活動計画を作成し、 学校での読書活動の推進のために、読書活動に関する年間活動計画を作成します。 また、年度の終わりには、「司書教諭 活動実践報告」を冊子にまとめるなど、積極 的に各校のよりよい実践が広がるよう研修を進めます。 (ウ) 朝の読書、一斉読書の実施 児童生徒が自主的に読書に取り組めるよう校内での一斉読書の時間を確保して います。教職員とともに読書し、学年、学級、個の成長、興味や関心に適した読書 ※③ ユネスコはシェイクスピアとセルバンテスの命日である4月23日を「世界・本と著作権日」と宣言してい ます。欧米、特にスペインでは、4月23日は「サン・ジョルディの日」として本を贈る習慣があります。日本 では、社団法人読書推進運動協議会が毎年4月23日から5月12日までを「こどもの読書週間」と定めて子ど もの読書活動の普及・啓発を図っています。 20 支援ができるように意識することが大切です。本の選び方は、小学校低学年は絵本、 小学校中学年から中学生までは児童文学を中心にすすめています。内容は、次の展 開に期待が持て、経過が分かるものがよいとされています。近代文学や古典などさ まざまなジャンルがある中で、どんな本が良いか、また適しているか、児童生徒の 実態をふまえ、司書教諭を中心に選書していくことが望ましいと思われます。読書 の質・量両面の充実を図り、学習への相乗効果のみならず、精神的な面での学習効 果、心を育てる大切な場であることを意識していきます。 (エ) 目標読書冊数の設定 「静岡県子ども読書活動推進計画」では、2010年までの目標として、「1ヶ 月の目標読書冊数を、小学生8冊以上、中学生3冊以上」と「朝読書、読み聞かせ 等全校一斉の読書活動を実施している学校数の割合100%」が示されました。各 学校では発達段階に応じた具体的目標を掲げ、豊かな支援ができるようにしていま す。 (オ) 授業改善の工夫 学校独自の読書週間・月間を設定したり、読書会や紙芝居、ブックトーク、アニ マシオン ※ ④ を実施したり、研修の中に読書指導を位置付けて授業を見せ合うなどの 研修時間を確保します。教師自身の読み聞かせなどの技量を磨くことも大切であり、 読書を通して一人一人の内面を耕すことのできる授業を工夫していきます。 また、国語の学習では、教科書の教材文を学習するとき、その文章を書いた作者 の別の作品を読んだり、作者は違っても同じテーマの様々な作品を読んだりする 「並行読書」が行われるようになってきました。多くの本に触れることにより、子 供の読む力が育つことになると考えます。 (カ) 「子ども読書の日」 「子ども読書の日」の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるとともに、各 機関と連携を図りながら、学校の児童生徒たちの実情に応じた特色ある「子ども読 書の日」を設定します。 ※④ ゲーム的な手法を通じて子どもたちを本に立ち向かわせ、子どもたちを物語の世界に引き込むことをねらい とした取り組み。 21 (キ) 学校図書館に親しむ読書週間・月間 読書の秋などを中心に年間計画の中に位置付け、各教科や富士山学習 PARTⅡ、 特別活動などの学習指導との関連も明確にし、学校図書館が有効に利用されるよう な意味ある活動が望まれます。委員会活動を始め、ブックトークやビブリオバトル ※⑤ など児童生徒の創意工夫・アイデアを生かし、実態に応じたさまざまな活動を期 待します。 (ク) 学校図書委員会の自主的な活動の支援 図書委員会を中心として貸出事務や書架の整理、展示・掲示などの作業を始め、 図書館だよりの発行、図書紹介など自主的な児童生徒の活動をサポートします。 (ケ) 児童資料、教師用資料、調べ学習用資料購入の充実 文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」(平成16年2 月3日)の「子どもたちが本当に『読みたい本』を提供できていない」という指摘 を受け止め、学校図書館は、教職員の判断だけではなく、保護者や子どもたちの意 向も十分に取り入れることのできるような図書の選定方法を検討することも必要 です。 イ 学校図書館の整備・充実のための支援 (ア) 資料・設備の充実 学校図書館だけでなく学級文庫を設置し、各教室や廊下などに図書コーナーを設 けて子どもたちに近いところに本を置くことで障がいや発達の状態に応じて本と 親しめる環境づくりに配慮していきます。 また、学校図書館は情報センターとしての機能の充実も期待されていることから、 コンピュータなどの整備の充実についても検討していきたいと考えます。 学校図書館を効果的に活用し、いっそうの設備、資料の充実を目標に、各教科、 特別活動、富士山学習 PARTⅡの時間に、調べ学習や多様な学習活動を展開し、本 に親しむ子どもの育成に努めることが大きな課題でもあります。 (イ) 全ての小・中学校への司書教諭の配置 学習指導要領では、学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、児童生 ※⑤ 各自が本を持ち寄って集まり、その本の面白さについて5分程度でプレゼンテーションし合い、一番読みた くなった本を参加者の多数決で決定する書評会。 22 徒の主体的、意欲的な学習活動や読書活動を充実することを求めています。 a 司書教諭の学校図書館運営に向けた研修会の開催 司書教諭の発令を受けた者を対象にして研修会を実施し、司書教諭としての役 割、実務についての理解を深める。 b 司書教諭の授業時数の削減 司書教諭がその職責を十分に果たせるよう、校内における教職員間の連携や理 解をうながす。 (a) 司書教諭と担当教員とのティームティーチング(複数の教師が協力して行う 授業方式のひとつ)を実施し、学びの充実を図る。 (b) 司書教諭が学校図書館において職務に当たる図書の時間を設けるなどして、 教育課程に学校図書館活用の時間を位置づける。 c 読書感想文コンクール特選作品集作成事業 富士宮地区読書感想文コンクールを実施し、「読書感想文コンクール特選作品 集」を出版する。 d 子どもを生かす学校図書館―運営ハンドブック―事例集作成 富士宮市学校図書館研究部を中心に、司書教諭の職務や司書教諭と教科担任・ 学校司書・学校図書館ボランティアとの連携等に関する事例を作成し、市内各学 校に配布することにより、読書活動の推進や学校図書館の活性化、学校司書の配 置促進を図っていきます。 (ウ) 学校司書の配置 平成21年度から学校司書が配置されました。平成22年度からは9名に増え、 1名あたり約4校を兼務しています。 司書教諭が学校図書館の教育的な活動の中心的な役割を果たすのに対して、学校 司書は学校図書館の管理運営が役割となります。両者の円滑な役割分担の中で、学 校図書館の活性化を図る必要があります。 学校司書は、校長の監督指示の下に、学校図書館担当教員の指導・助言を受けな がら、概ね以下の内容の職務を行っています。 a 蔵書の配架及び整備 b 学校図書館の環境整備 c 学校図書館を利用する児童生徒への図書の貸し出し 23 d 学校図書館を利用する児童生徒への指導 e 授業などで学校図書館を利用する教員への助言や補助 f 学校図書館ボランティアとの連携 「新刊本コーナー」の設置や、読書目標の掲示、団体貸出を定期的に利用でき るよう補助するなど、学校司書の活動により、今まで以上に利用しやすい学校図 書館になってきています。 ⑷ 連携の充実 ア 市立図書館との連携の充実 司書教諭を中心に中央図書館、西富士図書館、芝川図書館からの学校への団体貸 出を利用し、ひばり号での地域へのサービスを利用するなど、積極的に活用します。 イ (ア) 市立図書館のリストを活用する。 (イ) 学校図書館運営上の相談や資料収集の相談をする。 (ウ) 市立図書館でのキャリア教育、職場体験の参加をすすめる。 (エ) サマーボランティアの参加をすすめる。 (オ) 本となかよくする会への参加をすすめる。 「市の推進事業」との連携の充実 小学校高学年や、中学生に向けての読書推進に関わる活動を考える場合、市の事 業と学校との連携体制を考えて、市民読書サポーターとも連絡をとって、本や物語 の楽しさに触れるプログラムを検討していくことを考えています。 ウ 読み聞かせボランティアとの連携の充実 「地域における子どもの読書活動の推進」の(3)に紹介されているように、子ども たちの読書活動をサポートするため、「富士宮子どもと読書の会」のボランティアの 活動と互いに連携し、読書活動の充実を図っていくよう努めます。 エ 学校図書館ボランティアとの連携の充実 学校においては、開かれた学校づくりを推進し、保護者や地域住民と連携した学 校図書館運営が期待されています。保護者を中心とした学校図書館ボランティアと の連携は、歴史も古く、家庭において、親が子どもに読み聞かせをしたり、子ども 24 といっしょに読書をしたりするなどの親子読書を推奨する学校もあります。資料の 整理・掲示物の作成などといった実務的な仕事だけでなく、保護者の立場で、学校 図書館を見直し、共に地域の子どもたちを育てる大人として支援・アドバイスをし ていく学校図書館ボランティアは必要です。児童生徒の需要を読み取り、読み聞か せ企画を決定するなど、各地域の特色ある学校図書館運営を期待します。 5 特別な教育的支援が必要な子どもの読書活動 ⑴ 基本方針 子どもたちの中には、見ることや聞くことが不自由である、知的発達に遅れがある、 運動・動作が不自由である、身体が弱い状態や病気である、または発達障がいがあるな どのため、教育上の配慮が必要な子どもがいます。このような子どもたちが、入院によ る治療を必要とするような制約された状況にあっても、良い本に出会い読書の楽しさを 知ることで、気持ちが解き放たれ世界に広がりを感じ、内に持っている力がひき出され ることもあります。子どもたちが困難にぶつかったとき、支えてくれるのは、人を信じ ることと、未来に対する希望です。心に届く質の良い本に出会わせてくれた人を通して、 子どもたちは人と自分をお互いに満足できるものとして結びつけていきます。コミュニ ケーションが取りにくく、社会性が弱い子どもたちにとって本は、理解と言語獲得のた めだけではなく人との関係をつくるためにも重要です。 21世紀を迎え、障がいのある人もない人も同じように社会の一員として社会活動 に参加し、自立して生活することができる社会をめざすというノーマライゼーションの 理念の実現に向けて、社会の各分野においてさまざまな取り組みをし、社会全体がもっ と自然に触れあい、お互いに理解の持てるように努力することが大切です。そのうえに たって障がいのある子どもたちすべてに本の楽しさを知ってもらうための環境の整備 を行い、人の支援をしていくことをめざします。 ⑵ 現状と問題点 障がいのある子どものいる家庭では、保護者は病院や訓練などに通い、それに追わ れることもあります。また子どもとの外出が難しい場合もあります。制約の多い子ども にとって、本を読むことで世界を広げ、物語を通して人との関わりを知ることが大切な ことですが、そこまで手がまわらない現状があります。 25 地域においては、さまざまな公共の場や社会の場で障がいのある子どもが受け入れ てもらいにくい現状があります。また、障がいによっても、個によっても興味や関心が それぞれ異なり、こだわりがあったりしてまわりにはなかなか理解されにくいといえま す。 読むこと、聞くことがしにくく、視覚的なものに興味を示しやすいため、本に関心 を持つまでが難しい場合もあります。 ⑶ これからの取り組み 特別な教育的支援が必要な子どもへの読書活動の支援として、それぞれ一人一人に 応じた配慮を行うことができるように周囲の大人の理解を深め、よりよい読書環境が整 えられ、本の提供が受けられることが大事です。 子どもの読書を考えるうえで、昔話を語るか読んで聞かせることが、障がいのある 子どもも含めたあらゆる子どもを満足させる力があることを指摘する声(ドイツの精神 科医で重度の情緒障がいのある子どもの教育と治療に長年関わってきたブルーノ・ベッ テルハイムなど)もあります。読み聞かせの場でも、昔話の絵本を子どもたちは繰り返 し聞きたがり、心から楽しんでいます。障がいのある子どもたちにも昔話の良いものを 意識的に届けていくことが大事だということを、まわりの大人が知ることが大切です。 また、ほかにも飛び出す絵本や、音の出る絵本、さわってわかる絵本、感触のある 絵本、しかけ絵本、色が鮮明な絵本など、個々の子どもにあった絵本を用意して提供す ることが大事なことです。それらの絵本を大人が読んであげることによって、安定して 落ちつける関係をつくることができます。 ア 家庭における読書活動の支援 特別な教育的支援が必要な子ども一人一人に、その子にあった本を出会わせるこ とは、なかなか難しいことです。市立図書館のリストや、「市の推進事業」で発行し た絵本と本のリストなどを参考に、絵本や、昔話の本を読んであげることから始め ましょう。長い間、多くの子どもたちに読みつがれてきたものを読んであげること で、親子のつながりが深まり、子どもの世界を広げることになるので、そのことを 保護者に理解してもらうことが、家庭で本に出会う第一歩になります。 26 イ (ア) 絵本のリストを配布する。(市立図書館、「市の推進事業」など) (イ) 絵本とわらべうたの会への参加をすすめる。(「市の推進事業」など) 地域における読書活動の支援 総合福祉会館、保健センター、子ども未来課、青少年相談センター、保育園、幼 稚園などにも、子どもに向けた絵本や本のリストを用意して、訪れた保護者に手渡 し、障がいのある子どもたちにも良い本が届くように理解をうながしていきます。 特別な教育的支援が必要な子どもの中には、長期に入院などをよぎなくされてい る子どももいます。 生活面での規制がある中で、病院関係者やボランティアなどの協力を得て、本に 親しんですごすことは、生きていくうえでとても大切なことです。 ウ 市立図書館における読書活動の支援 視覚障がいのある子どもの読書に関しては、障がい者サービス用機器(デスクトッ プパソコン、点字プリンタ、デイジー再生専用機ほか)、とデイジー図書・大活字本・ LLブック ※⑥ 等による新たなサービスに取り組みます。 また、視覚障害者情報総合ネットワーク「サピエ」 ※ ⑦ の活用など、情報提供の環 境整備に努めます。 そして、福祉施設等との連携を強化して、障がいのある子どもたちへ絵本や児童 書及び情報の提供を行います。 エ 学校における読書活動の支援 市内の特別支援学級や言語・難聴通級指導教室に学ぶ児童生徒は、学校図書館を 教師とともに利用し、美しい絵や言葉に触れることでより豊かな情操がはぐくまれ ることを期待して、身近な学級文庫の充実を図ります。 ノーマライゼーションのもと、校内一斉読書や富士山学習 PARTⅡなどで積極的 に校内の交流を図るとともに、図書を活用し、生きて働く力を身につけるためにも、 一人一人の特性に応じた読書指導が実現できるよう学習指導の工夫をしていきます。 地域や学校ボランティアの協力を得て、読み聞かせの活動の良さが広がり、良い本 ※⑥ 知的障害や自閉症の人が読めるように、様々工夫して作られた本。 ※⑦ 以前の「ないーぶネット」が改修されたもので、全国の視聴覚障害者情報提供施設(点字図書館)や公共図 書館、ボランティア団体、大学図書館など220を超える施設や団体が加盟。「サピエ」のメニューの中の「サ ピエ図書館」では、書誌データベース(約47万件)検索や、視聴覚障害者等へのさまざまな情報提供サー ビスを行っている。 27 との出会いや読書の効果が広く認識されるよう各機関との連携を大切にしていきま す。 通常学級には、LD、ADHD、高機能自閉症など発達障がいを有する児童生徒が在 籍していますが、これからの特別支援教育のもとでは、それぞれの特性に応じて適 正な読書指導がなされることや、環境の整備に十分な配慮がされるよう努めます。 6 啓発・広報等の促進 ⑴ 基本方針 子どもの読書活動の推進には大人が深く関わることが重要なので、家庭や地域に対 して、子どもが本に親しむことの大切さを啓発していきます。 そこで、市立図書館及び各課の取り組みなど読書関連情報をインターネット、ホー ムページ、メールマガジン、広報紙、リーフレット等を通じて提供するとともに、市民 のボランティアや読書活動推進に関わる人たちとの連携を図りながら、より幅広い市民 への周知に努めます。 ⑵ 現状と問題点 家庭・地域・学校等における子どもの読書活動を推進するには、読書の楽しさや必 要性、重要性などについて、幅広く市民に理解を得ることが必要です。 本市では、市立図書館のさまざまな取り組み、社会教育課の「市の推進事業」など の取り組みがなされていますが、市全体への周知が必ずしも十分ではありません。 市全体での子どもの読書を推進するうえで、市立図書館・社会教育課・学校教育課・ 子ども未来課など行政間の連携とともに、学校や読書推進に関わる市民ボランティアな どとの連携が必要です。 ⑶ これからの取り組み ア 子どもの読書活動推進に向けた機運を高めるために「子ども読書の日」及び「読書 週間・月間」を中心にさまざまな機会をとらえて、啓発・広報を行います。(市立図 書館、学校) イ 子どもの読書活動を推進していくために「読書と読み聞かせ推進事業ニュース」な 28 どを発行していきます。(「市の推進事業」) ウ 絵本と子どもの本のリストを作成し、活用します。(市立図書館、「市の推進事業」) エ 家庭に向けての各種便りの発行、PTA活動、講演会、授業参観、懇談会等を通し て、保護者に読書の有効性についての理解・啓発を図ります。(学校・市の推進事業) 29 第3章 1 富士宮市における推進・支援体制の整備 富士宮市における推進・支援体制の整備 市は子どもから大人までのすべての市民が、生涯にわたり読書に親しみ、考える力を養 い、豊かな心をはぐくむ環境づくりをめざしています。 子どもの読書活動の推進に向けて、学校、市立図書館、社会教育課をはじめとした関係 行政機関と、市民読書サポーター、ボランティアなど読書活動に取り組む関係団体とが連 携・協力して、子どもたちがたくさんの良い本と出会える環境づくりと、子どもと本に関 わる人材の育成をめざして推進体制を整備していきます。 そのために「富士宮市子ども読書活動推進会議」を定期的に開催し、この推進計画の進 捗状況を把握するとともに、新たな施策を検討します。 この推進計画の期間は、平成24年度から平成28年度までの5年間で、今後も計画に 揚げられた施策等について評価と見直しを行います。 2 施策の実施に向けて 市は本計画に掲げられた各種施策を実施するため、必要な予算措置、その他の措置を講 ずるよう努め、この「第2次富士宮市子ども読書活動推進計画」の適切な実施が図られる よう努めます。 30
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