カラーで蘇る 80 年前の白黒映像 白黒 16mmフィルム(コダカラー)を

2015 年 2 月 27 日
ニュースリリース
カラーで蘇る 80 年前の白黒映像
白黒 16mmフィルム(コダカラー)をカラーで再現
多様なメディアで保存が可能に
株式会社 IMAGICA ウェスト(大阪市北区、代表取
締役社長 稲土広己、以下 IMAGICA ウェスト)は、
神戸映画資料館所蔵のおよそ 80 年前の 16mm白黒フ
ィルム「コダカラー」のカラー再現と復元に成功しま
したのでお知らせいたします。
「コダカラー」は 1928 年にイーストマン・コダック
社から発売された家庭用白黒フィルムで、専用の映写機を使用するとカラーで投影されま
すが、通常の映写機で映写すると白黒像にしか見えない特殊なフィルムです。<別紙 1>
昨年 10 月、神戸映画資料館の安井喜雄館長より同館が収集・保存していた白黒 16mmフィ
ルム「コダカラー」をカラーの状態で再現しメディアに保存できるようにしてほしいとの
依頼がありました。
「コダカラー」は、専用の映写機を使用すればカラーで再現ができ、投
影したカラー映像をカメラで撮影すればテープやカードなどのメディアに保存することも
可能です。しかしながら実際に専用の映写機を使用して投影したカラー映像をみると輝度
が低いため発色も乏しくカラー映像の保存としては好ましい状態ではありませんでした。
そこでカラーの再現性が高く汎用性も高い手段として、フィルムに光をあて直接収録する
テレシネ方式(*1)を利用した再現を試み、
「コダカラー」のカラー再現に不可欠な赤・緑・
青3色のフィルターの製作も含め当社独自のカラー再現システムを開発いたしました。そ
れにより「コダカラー」がより再現性の高いカラー映像となり、多様なメディアに収録し
て保存できるようになりました<別紙 2>
カラーで再現いたしましたフィルムは、映像に映っている風景から 1937 年に撮影された
ものと推測されています。そこには 1943 年に解体された初代通天閣や第二次世界大戦の空
襲で焼失した道頓堀の風景などが映っており、特に初代通天閣のカラー映像は今まで発見
されていなかったこともあり当時を知る映像資料としても大変貴重なものとなりました。
IMAGICA ウェストはこれからも、貴重な映像を後世に遺すためにより一層技術力の向上に
励んでまいります。
(*1)テレシネ
映画などのフィルム素材をビデオテープに変換する装置や作業。フィルム
に光源装置から発生する光をあてて通過した光を撮像装置で読み取って映像信号に変換する。
本件に関するお問い合わせ:IMAGICA ウェスト
TEL:06-6353-1714
広報担当(五郎丸・藤井)
FAX:06-6353-1727
※記事等ご掲載の際はご一報くださいますようよろしくお願い申し上げます。
<別 紙 1>
コダカラーフィルムについて
コダカラーフィルムには、ベース面にカマボコ状の凹凸に型押しされたものがあります。
(図 1)
それが撮影時に赤・緑・青 3 色の専用フィルターを通すことでプリズムの働きをし、赤・緑・
青の光に分光して白黒像として記録されます。(図 2)映写時に、分光して記録された情報に同
じく赤・緑・青 3 色の専用フィルターとレンズを通すことで白黒フィルムがカラーで再現され
ます。(図 3)
図 1 カマボコ状の凹凸
図 2 撮影のしくみ
図 3 映写のしくみ
拡大図
<別 紙 2>
「コダカラー」のカラー映像再現について
カラー再現に必要な三色合成用の赤・緑・青3色のフィルターをオリジナルで製作し、映写
とは異なり、コピーレンズとフィルムの間に3色のフィルターを置きました。フィルムのベ
ース面にあるカマボコ状のレンズによって分散した3色の光がフィルターからコピーレンズ
を通って合成されることで再現性の高いカラー映像となります。
また、テレシネ方式を採用して再現されたカラー映像を映像信号に変換することで、多様な
メディアに保存が可能となりました。
拡大図