Multilingual Service of Sightseeing Information for Foreign Tourists

プロジェクト報告書(最終)Project Final Report
提出日 (Date) 2011/1/19
外国人観光客のための多言語函館観光情報サービス
Multilingual Service of Sightseeing Information for Foreign Tourists
in Hakodate
1008161 古屋敷洋 Hiroshi Furuyashiki
1 背景
2.2 函館を観光する外国人たちが抱える問題点
函館の観光サイトを閲覧する外国人観光客の問題点と
函館は函館山から見る有名な夜景や五稜郭公園を初め
して、言語変換が正確にできていないことと、提供する
とした豊富な観光資源に恵まれている。その知名度か
情報の少なさの2点があげられる。前者は、英語には変
ら、函館に来る観光客は日本人だけでなく、外国人も多
換できるものの、観光客として多い韓国人や中国人に対
い。その中でも特に近年は韓国や中国などの海外からの
応しておらず、かつ変換の質もあまり良いとは言えな
観光客が増加している。しかし、函館の観光情報は日本
い。後者は例を挙げると、函館の観光情報サイト「はこ
語によるものは数多く存在していることに対して、日本
ぶら」で宿泊に関するコンテンツを調べてみると、わず
語以外での観光情報の提供が少なく、不十分である。そ
か6件しか該当しないということである。これでは観光
こで私たちのプロジェクトでは、多言語翻訳機能の集合
客が泊まりたい場所の宿泊施設が見つかりづらいので
体である”言語グリッド”をつかうことにより外国人観光
ある。
客が函館に観光に来る際に必要な情報を Web ページで
2.3 昨年の成果物について
提供することを目的として立てられた。
2 到達目標
本プロジェクトは、昨年度から続いているものであ
る。昨年度のプロジェクトの成果物であるウェブサイト
のコンテンツを以下の 3 つである。
2.1
本プロジェクトにおける目的
本プロジェクトでは、函館を訪れる外国人観光客に母
1. フレーズブック
国語で観光情報を提供するため、言語グリッドを利用し
2. 市電料金検索
て多言語観光情報サービス・システムを開発することが
3. Web ページ翻訳
目的である。そのために、最初に昨年の成果物の確認を
した。その成果物では「言語グリッド」を使用していた
ため、「言語グリッド」の理解から本プロジェクトは始
2.3.1 機能
昨年度のそれぞれのコンテンツの機能について以下に
示す。
まった。言語グリッドについての仕組みを大まかに把握
した後は、新しいサービス・システムの構築を考えた。
1. フレーズブック
先に述べたように、昨年の成果物には問題点がいくつ
旅行会話表現集を Web ページで表示する。日本
かあったので、前期はそれを修正しながら新しいコンテ
語フレーズを言語グリッドの機械翻訳を用いて翻
ンツについて考えた。API を利用した飲食店情報、口
訳を行っている。ユーザが求めるフレーズを探しや
コミ掲示板の作成、道路標識の説明を、どれも多言語で
すいように、状況別にカテゴリ分けして表示して
実装できるようにするという案があげられた。後期は中
いる。
間発表で得た意見も基にして、新しいコンテンツである
「飲食店情報」を作ることを決定。それを作ることと、フ
レーズブックを完成させることが後期の目標となった。
2. 市電料金検索
2. 前期活動
函館市の路面電車の乗車駅と降車駅を指定する
(c) 昨年のアンケート結果の分析
と、必要な運賃を表示する。
課題:新たなコンテンツとして必要とされているも
3. Web ページ翻訳
のを考案する。
翻訳したいウェブページの URL を入力し、翻訳
(d)ウェブサイトトップページの作成
前言語、翻訳後言語を選択すると、ページ内のテキ
課題:函館市をイメージしたトップページを作成
スト部分が翻訳されて表示する。
する。
2.3.2
問題点、改善点
問題点は、フレーズブックページの表示される速度が
遅い、ページの構成が見づらいという点が考えられた。
(e)フレーズブックの作成
課題:表示速度と操作性のあるデザインを考慮した
フレーズブックを作成する。
フレーズブックページはページを更新するごとに言語グ
リッドの機械翻訳 を利用していたので表示速度が遅く
なっていた。そこで改善点としてあがったのは、表示速
度を向上させ、ユーザにとって操作性を考えたページデ
ザインにすることであると考えられた。また、ウェブサ
イトのコンテンツ自体が少ないこともあげられ、外国人
観光客にとって有用な新コンテンツの作成が必要だと考
えられた。
2.4
本プロジェクトで取り組んだ課題、解決策
本プロジェクトで取り組んだ課題は 2 点ある。1 つ目
は、フレーズ集の表示の高速化である。これはあらかじ
め各言語に翻訳したフレーズをデータベースに格納す
ることで解決した。2 つ目に、飲食店情報の Web ペー
ジを新たに実装することである。ページの製作にあたっ
て、PHP, JavaScript, SQL を主に学習し、さらにホッ
トペッパー WEB サービス API を使用し、函館市の飲
食店情報を XML 形式で取得した。その取得した情報を
使い、Web ページを完成させた。
3. 後期活動
(f)プロジェクト中間発表評価シート結果の分析
課題:前期活動の反省を行い、後期活動の方針を決
定する。また、新たなコンテンツ案を得る。
(g)新たなコンテンツの企画
課題:新たなコンテンツを決定し、具体的にどのよ
うに実装するか考察する。
(h) フレーズブックの作成
課題:前期と同様、表示速度と操作性のあるデザイ
ンを考慮したフレーズブックを作成する。
(i)飲食店情報ページの作成
課題:リクルートが提供する全国の飲食店情報を利
用できるグルメサーチ API*1 と、地図情報を取得
できる Google Maps API*2 を利用して飲食店情報
ページの作成をする。*1 と、地図情報を取得できる
Google Maps API*2 を利用して飲食店情報ページ
の作成をする。
3 課題解決のプロセス
3.2 課題の割り当て
3.1
具体的な手順、課題設定
1. 準備
(a)言語グリッドの理解
課題:多言語化を実現するために、多言語翻訳機能
など言語資源を提供している言語グリッドの仕くみ
について理解する。
(b)昨年の成果物の確認
(a)言語グリッドの理解:メンバー全員 習得技術:PHP
(b)昨年の成果物の確認:メンバー全員
(c)昨年のアンケート結果の分析:メンバー全員
(d)ウェブサイトトップページの作成:吉田正善、高
橋正輝 習得技術:HTML, CSS, AdobeFlash
課題:今年度のコンテンツとして引き継ぐもの、ま
た改良すべき点があるものを考慮する。
*1
リクルート WEB サービス
*2
http://webservice.recruit.co.jp/hotpepper/reference.html
Google Maps API ファミリー
http://code.google.com/intl/ja/apis/maps/
(e)フレーズブックの作成:古屋敷洋、内藤貴章、小
吹頼 次に、各自の学習を進めつつ今年度の目標を設定し活
動を進めた。昨年度外国人観光客から取ったアンケー
習得技術:HTML, CSS, PHP, MySQL, JavaScript
トや、昨年度の成果物の問題点を見つけ、コンテンツの
(f)プロジェクト中間発表評価シート結果の分析:メ
改良・追加を主軸としてプロジェクトを進めていくこと
ンバー全員
とした。コンテンツの改良案として、フレーズブックの
(g)新たなコンテンツの企画:メンバー全員
表示速度、操作性の向上、トップページのデザイン。追
(h)フレーズブックの作成:古屋敷洋、内藤貴章、小
加案として、函館市内の飲食店情報、口コミ掲示板、道
吹頼 路標識の説明、携帯端末からの閲覧などがあがった。ま
習得技術:HTML, CSS, PHP, MySQL, JavaScript
た、翻訳ツールとして利用している言語グリッドの仕組
(i)飲食店情報ページの作成:メンバー全員 みや、言語グリッドを利用した様々なアプリケーション
習得技術:HTML, CSS, PHP, MySQL, JavaScript
を学んだ。
4 活動成果
前期では基礎知識の構築と中間発表までの成果物と
して、PHP やデータベースを利用するための MySQL、
4.1
最終成果
このプロジェクトは、函館に観光に来る外国人観光客
を対象とした言語コミュニケーション支援や、多言語
で閲覧できる観光情報を提供する Web ページを作成す
ることを目的とし作業を進めてきた。その結果、言語コ
ミュニケーション支援のための「フレーズブック」、多
ホームページ作成に必要な HTML、CSS、JavaScript
の学習と、改良したトップページとフレーズブックを完
成させることを目標に作業を進めていった。作業の分担
するため、トップページ班とフレーズブック班の 2 班
に分かれて作業を進めた。各班の主な活動は以下のとお
りで
言語で閲覧できる観光情報として「飲食店情報」という
二つのコンテンツの完成に至った。
4.2
成果の評価
フレーズブック班
フレーズブック Web ページのデザ
インを考案し、日本語フレーズを言語グリッドを使
プロジェクト始めに Web 上で函館観光情報サービス
い英語、中国語、韓国語で翻訳、データベースにフ
のホームページを作ると決めた我々は、昨年度に外国人
レーズ格納、取り出しの作業を進めた。また、日本
観光客を対象として集計したアンケート結果も参考に
語音声の録音、再生ボタンの設置もした。
し、外国人観光客が日本の観光情報に対してどのような
しかし、予定していた全てののフレーズの翻訳、
要望を持っているかを取り入れた。前期では主に学習と
データベースへの格納までは至らず、一部を完成さ
目標設定、後期ではコンテンツの作成と発表会に向け
せ中間発表に臨んだ。
た調整を進めた。学習として PHP、MySQL から始め、
CSS、JavaScript、XML などの学習をした。
4.2.1
活動内容
トップページ班
トップページのデザインを考案し、
Hakotra のロゴ作成、Flash を使ったボタンの設
置、函館の主要名所の写真を収集し TOP ページに
前期の活動は主に方針決定と学習、中間発表にむけて
掲載などの作業を進めた。フレーズブック班より作
のコンテンツ作成に取り掛かった。昨年では”言語グ
業の進み具合もよく、中間発表に向けてのポスター
リッドを用いた函館観光サービス”と題してプロジェ
作成にも手がけた。
クトを進めており、言語グリッドを用いて URL から読
み込んだ Web ページを翻訳する機能、旅行先で使うフ
レーズを集めた単語帳から、頻出するフレーズを抜粋し
て作成したフレーズブック、函館市の市電の料金検索
ページが日本語、英語、中国語、韓国語の4ヵ国語で実
装されている Web ページであった。よって、昨年の経
験も踏まえ、先生の指導のもと今年度も同様 PHP を基
本に学習を始めていった。
後期の活動では、中間発表でもらった評価からコンテ
ンツを見直し、フレーズブックの完成、トップページの
デザイン変更を進めた。新たなコンテンツとして様々な
API を利用し函館市内の飲食店や、温泉検索といった
観光情報検索ページの作成を進めていった。また前期で
は目標は立てたが予定をあまり立てずに計画を進めてい
たので後半に仕事が詰まってしまったという反省を生か
し、プロジェクトの節目節目に何度もスケジュール確認
6 今後の課題
をはさんだため計画的に作業を進めた。
フレーズブック班のメンバーは中間発表までに間に合
今後実現したい機能は、以下の 3 つである。1 つ目は
わなかったフレーズの編集や、音声データの録音をして
携帯端末からの閲覧で、中間発表時から課題として挙
フレーズブックを完成させ、後期は班を分けず、飲食店
がっていたいたものの、人数と時間の都合により断念す
情報作成の中で各人が作業を分担して作成することと
ることになってしまった。利便性を考えるとこの点は変
した。
えていかなければならない。2 つ目は函館ならではの観
観光情報検索は様々な API を調べ、どのような情報
光の追加。五稜郭タワーなどの函館の象徴となる観光情
があり、その情報がどこまで充実しているかを調査し
報を私たちの作った Web サイトに組み込むことで、よ
た。しかし、情報量の少なさや情報の誤りが目立ち、最
り函館らしいものに仕上げたい。3 つ目はコンテンツの
終的にリクルートの公開しているグルメサーチ API を
拡張で、今回作成したサイトで主なコンテンツは、フ
利用した飲食店情報ページを中心に作成することが決
レーズブックと飲食店情報表示ページの二つでコンテ
まった。また、皆で相談し、時間やシステムの都合上、
ンツの数が少ない。今後もっと有用なコンテンツを増や
携帯端末からの閲覧や、道路標識案内、口コミ掲示板の
していくことが課題となる。また、フレーズブックのフ
案は断念した。
レーズ数も少ないのでフィードバックを取りながら増や
API を利用するにあたって、その使用方法として
XML の取得方や取得した XML データからどの情報を
抽出し利用するかを決めていった。また、GoogleMap
の API も利用し、店舗周辺の地図情報も記載すること
にした。
作業面では大きく 3 つに分け、飲食店ページのデザイ
ン組み立て、検索ボタンの設置、GoogleMap の設置に
分かれて作業を進めた。手の空いた人は残されている最
終発表や報告書に向けて作業を進めた。
飲食店情報のコンテンツが完成すると最終発表に向け
たスライド作成や、コンテンツのデバッグ作業をし、最
終発表に臨んだ。最終発表が終わると最終発表の反省を
踏まえ、2 月の学会に向けたコンテンツの見直しや、大
学内の外国人留学生に要望し、コンテンツの評価実験の
準備に取り掛かった。
5 まとめ
本プロジェクトでは函館を訪れる外国人観光客のため
に多言語で観光情報を提供する Web サイトの構築をし
てきた。成果物として前期には、新しいトップページ、
データベースを使ったフレーズブックを作成し、後期に
は飲食店情報を表示するページの作成をした。作成した
サイトでは日本語だけでなく、英語、中国語、そして韓
国語の 4 ヶ国語で観光情報、または観光中に利用できる
コンテンツを提供することが可能なので、本プロジェク
トの目的は達成されたといえるのではないだろうか。
していくべきだと考える。
参考文献
すずきけんじ
あんどうけんいち
や ま だ なおあき
や ぎ てるお
やまもとよしゆき
[1] 鈴木憲治、安藤建一、山田直明、八木照朗、山本義之、
か わ い かつひこ
河合勝彦. PHP 逆引きレシピ. 翔泳社, 2010.
[2] 鈴木啓修. MySQL 全機能バイブル. 技術評論社.
2009
[3] 西沢夢路. 基礎からの MySQL. Softbank Creative.
2010
[4] 掌田津耶乃. Eclipse 3ではじめる PHP5 プログラ
ミング入門. 秀和システム. 2005