12 月 1 日 世界エイズデー

平成 20 年 11 月 28 日
No.12 岸川中学校 保健室
12 月 1 日 世界エイズデー
「Living Together ∼ちょっとの愛からはじまる事∼」
WHO(世界保健機関)が 1988 年に世界的レベルでエイズまん延防止及び患者・感染者に対する差別・偏見の
解消を図ることを目的として、12 月 1 日を World AIDS Day”と定めた
AIDS/HIV 感染について知ろう
① 血液製剤と HIV 感染
日本の血友病患者のほとんどが、1979 年から輸入されたアメリカの高濃度凝固因子製剤(血液製剤の一種)を
使っていました。この血液製剤は、アメリカなどでは自分の血液を売って生活せざるをえない人たちの血液でつ
くられていました。そのため血液を売った人がもっていたウイルスが体のなかに入る危険性がありました。
1982 年、それが現実となり血液製剤で 8 人の血友病患者が AIDS の犠牲になったことが明らかになり、1983
年にアメリカではいままで使っていた血液製剤を安全な薬に切り換えることを決定しました。この薬(加熱製剤)
は、血液の中に HIV が入ったとしても、いったん加熱して HIV を殺してしまうため安全でした。またヨーロッ
パの各国でも、安全な加熱製剤に切り換えました。
これを知った日本の多くの血友病患者たちは不安を感じ、国に加熱処理された安全な血液製剤を早く使うこと
ができるようにすることと、日本国内の献血で、血液製剤をつくることを訴えました。しかし国や製薬会社、血
友病の専門の医師は加熱していない製剤でも「HIV の心配はない、安全だ」と説明していました。そのため、こ
の当時日本の約 4,500 人の血友病患者のうち、約 1,500 人もの人が HIV に感染してしまいました。
血友病患者のなかに HIV 感染者が多いという日本の特異性は国や製薬会社の責任とともに献血が少なかった
という、私たち日本人のこころの貧しさをあらわしているといえます。
また血友病以外の医療にも非加熱製剤を使用していたことが明らかになり、三百十数人の被害者がいることが
わかりました。
② AIDS という病気
HIV とは?
H Human(ヒト)・・・・・・・・・・・・・・・・・人間
I Immunodeficiency(免疫不全)・・・「免疫(病気からからだを守る働き)
」をこわしてしまう
V Virus(ウイルス)・・・・・・・・・・・・・・・・ウイルス
HIV がからだに入ると、
「免疫(病気からからだを守る働き)
」が十分に働かなくなって「抵抗力」が弱くなり
ます。そのため HIV 感染者は、自分が病気を他人にうつすより、自分がいろいろな病気にかかる危険性のほうが
はるかに大きいのです。
AIDS とは?
A Acquired(後天性)・・・・・・・・・・・・・・・遺伝によるものではなく、生まれた後から
I Immuno/Immune(免疫の)・・・・・・病気になるのを防ぐ働き(抵抗力)
D Deficiency(不全)・・・・・・・・・・・・・・・不十分になる(HIV におかされて)
S Syndrome(症候群)・・・・・・・・・・・・・いろいろな病気や症状がでる
HIV に感染してから、8∼10年ぐらい、とくに症状のない時期を経過した後、いろいろな病気や症状がでる
ことによって、はじめて「AIDS」と診断されます。しかし現在では早期に治療をすることで、AIDS の発症を防
ぐことが可能になりました。また、平成 10 年 4 月から感染者は身体障害者の認定を受けられるようになり、身
近な医療機関で適切な治療が受けられる体制がほぼ整いつつあります。
③ HIV の感染経路
1) 性的接触による感染
感染した人の、精液、膣分泌液や血液が性的接触によって、HIV がパートナーの体内に入り感染しま
す。
2) 血液による感染
血液製剤、輸血、薬物の注射器の回し打ち、医療従事者の針刺し事故などがあります。日本では献血
血液の検査(1986 年∼)と血液製剤の加熱処理(1986 年∼)を行い、HIV をとり除く処理をしていま
す。
3) 母子感染
HIV に感染している母親から生まれる子どもの約 10∼30%が HIV に感染するといわれています(出
産のときの血液や母乳などをとおして感染)
。しかし、日本ではいろいろな対策がとられ、感染している
ことがわかっている妊婦からの母子感染はほとんどありません。
④ HIV 抗体検査
HIV に感染しても長い間、ほとんど何の症状もあらわれないため、感染しているかどうかを確かめるには「HIV
抗体検査」などを受けるしかありません。HIV 抗体ができるのは感染した日から少なくとも6∼8週間かかるた
めこの期間に検査を受けて陰性でも感染していることがあります(この期間のことをウィンドウ・ピリオドとい
う)
。検査は心配な行為があった日から3ヶ月後に受けることにより正確な結果がでます。
検査は全国のほとんどの保健所で費用は無料、匿名で受けることができます。また、病院でも受けることがで
きますが、健康保険証を使うため匿名ではできませんし、費用もかかります。
抗体検査を目的とした献血や臓器提供は、ほかの人に HIV をうつすことになるので、絶対にやめましょう。
⑤ 共に生きていくために
HIV 感染者や AIDS 患者が受け入れられる社会にしていくためには、私たち一人ひとりが「自分も感染する可
能性のある病気」として「自分が HIV に感染して、こんな差別を受けたらどんな気持ちがするだろう?」と考え
ることが大切です。なぜなら HIV/AIDS は特別な病気ではない以上、HIV/AIDS にかかわる問題は、自分自身に
も起こりうる問題だからです。
HIV 感染者や AIDS 患者がつくりだしたことばに「PWH/A(Person With HIV/AIDS)=HIV/AIDS と共にある
人」ということばがあります。これは、髪の毛の黒い人、背の低い人、弱い人・・・・・・など、世界中にはいろんな
からだの特徴を持った人がいるのと同じように、AIDS 患者についても HIV というウイルスをもっているに人に
すぎないという考え方です。この考え方はほかの病気についても、同じように考えていくことにつながります。
そして HIV 感染者や AIDS 患者が差別されず共に生きていく社会とは、弱い立場におかれた人たちが生きや
すい社会です。それは私たち一人ひとりにとっても生きやすい快適な社会です。
病気や障害などのハンディキャップをもった人たちを差別せず、共に支えあいながら生きていけるやさしい社
会をつくるためにも、私たち一人ひとりが考え、共に力を出し合い行動していくことが大切です。
HIV 感染症は、感染しにくく感染経路も限られ、予防できる病気です。とくに感染経路のほとんどが性的接触
によるもので、若者のあいだに広がっています。
HIV/AIDS について正しく知ることは、病気のこと、感染経路、予防法を知るだけではなく、感染者・患者に
対する偏見や差別をなくし、共に生きる社会をつくっていくことにもつながります。
World AIDS Day には、毎年テーマが決められ、世界各地で HIV/AIDS に関するイベントやキャンペーンが行
われています。そして、感染者・患者だけでなく、いろいろな立場の人たちがこの問題の解決にむけて、さまざ
まな取り組みを行っています。
参考文献 AIDS をどう教えるか(解放出版社)