Adobe の PDF に見る ソフトウェアビジネスの知財マネージメント

IAM Discussion Paper Series
#24
Adobe の PDF に見る
ソフトウェアビジネスの知財マネージメント
―大量普及と高収益を同時実現させる仕組み構築について―
On the IP Management of Adobe’s
Software Business
-Business Structure for Success in Open-volume Market―
IAM
Intellectual Asset-Based Management
2011 年7月
東京大学知的資産経営・総括寄付講座 小川紘一
特許庁特許審査第四部
高都広大
特許庁特許審査第四部
北村学
東京大学 知的資産経営総括寄付講座
Intellectual Asset-Based Management Endowed Chair
The University of Tokyo
※ IAMディスカッション・ペーパー・シリーズは、研究者間の議論を目的に、研究過程における未定稿
を公開するものです。当講座もしくは執筆者による許可のない引用や転載、複製、頒布を禁止します。
http://www.iam.dpc.u-tokyo.ac.jp/index.ht
Adobe の PDF に見るソフトウェア・ビジネスの知財マネージメント
―大量普及と高収益を同時実現させる仕組み構築について―
要約
本稿の目的は、大量普及と高収益を同時実現させるためのビジネス・スキームについ
て、ソフトウエア製品の知的財産マネージメントという視点から論じることにある。この
代表的な事例として Adobe System 社の PDF を取り上げた。
Adobe は自ら電子ドキュメントの交換市場を創出して PDF 市場に君臨し、マイクロソフ
トと並んで高い利益率を誇るソフトウエアビジネスの世界的企業である。特に PDF 事業は、
オープン環境を活用しながら成功に導いた代表的な事例であるが、同時にマイクロソフト
と同じように売上げの急拡大と高い利益率が長期にわたって維持した代表的な事例として
特記される。これを背後で支えたのが独創的な知的財産マネージメントだったのである。
特に本稿は、ソフトウエアの特許権や著作権の活用によって PDF 仕様の拡張(技術進
化の方向性や改版権)を合法的に独占する仕掛けを Adobe 自身で形成していた事実、そし
てこれが PDF 市場で大量普及と高収益とを同時実現させる基本スキームになっていること
を明らかにした。このスキームは、ソフトウエアビジネスで成功した他の多くの事例にで
も共通して観測されるものである。これをオープン国際分業型の経営環境の中の知財マネ
ージメントと定義すれば、日本のソフトウエア産業が国内の特殊市場から脱してグローバ
ル市場へビジネス展開する上で極めて重要な役割を担うのではないか。
キーワード
アドビシステムズ社、PDF、オープンイノベーション、ソフトウェア産業、ビジネスモデ
ル、知的財産マネージメント、特許権、著作権
Adobe の PDF ビジネスに見るソフトウェア産業の知財マネージメント
―大量普及と高収益を同時実現させる仕組み構築について―
【目次】
第1章 本稿の背景と基本メッセージ
第2章 PDFによるドキュメント市場の創造と拡大
2.1 PDF の誕生とドキュメント交換市場の創造
2.2 PDF 市場の拡大に向けた施策
2.3.PDF 市場の拡大
第3章 合法的な市場独占に向けた Adobe の知財マネージメント
3.1 はじめに
3.2 Adobe が保持する知的財産権(特許権及び著作権)
3.3 Adobe の施策: 知的財産権を起点とした PDF 仕様の拡張制限
3.3.1: 特許権を起点とした PDF 仕様の拡張制限
3.3.2: 著作権を起点とした PDF 仕様の拡張制限
3.4 Acrobat が独占的に売れる理由
3.5 市場拡大のためのオープン環境の活用
第4章 整理と考察
4.1 はじめに
4.2 Adobe の戦略の整理と Adobe の知財マネージメント
4.2.1 Adobe の戦略の整理と他の事例との比較
4.2,2 Adobe の知財マネージメントから学ぶこと
付録
参考文献
第1章 本稿の背景と基本メッセージ
1
PDFで有名なAdobe Systems社は、オープンなグローバル市場で圧倒的な競争優位を
構築してきた。 2
特に、2004 年から急成長に転じ、2008 年の売上が 2004 年の3倍に近
い 35.8 億ドルとなった(図 1)。粗利率は常に 90%前後であり、3
営業利益も平均して 30%
を誇るなど(図 2)、世界のソフトウェア企業の中でマイクロソフトと並んで最も利益率の高
い企業の一つと言われる。 4
Adobeの売上げ推移
(※Adobeのアニュアルレポートより作成)
4000
3500
100万ドル
3000
2500
2000
1500
1000
500
20
08
20
07
20
06
20
05
20
04
20
03
20
02
20
01
20
00
19
99
19
98
19
97
19
96
19
95
19
94
19
93
0
年
図1 Adobeの売上げの推移
1
2
3
4
本稿は、著者の一人である小川の、
「オープン国際分業の中の勝ちパターン形成は、技術進化の方向性を
合法的に独占する知財マネージメントに宿る(小川、2009a、の 14 章)」という仮説を、Adobe Systems
社の PDF ビジネスにおいて検証するための、一連の調査研究結果をベースに書かれたものである。
小川が研究全体の方向性を示したものの、具体的な事実の調査・分析および PDF Reference や法令分析・
解釈はすべて高都と北村が行った。今回の調査分析によって、オープンな経営環境における知財マネー
ジメントの成功事例とその関連事項についても広く明らかにできたが、その詳細は別稿に譲りたい。
以下、本稿では Adobe、で統一する。
Adobe 社全体の粗利率推移は付録1を参照。
クスマノ(2004),p. 55
Adobeの営業利益率の推移
(※Adobeのアニュアルレポートより作成)
100
90
80
70
%
60
50
40
30
20
10
0
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
年
図 2 Adobe の営業利益率推移
本稿が焦点を当てるPDFのIntelligent Document事業部を見ると、 5 1999 年ころから
急成長の軌道に乗っている(図 3)。特に注目すべき点は、高い利益率と売上げの急拡大が、
長期にわたって同時実現している事実である。6 我が国のソフトウェア産業では、高い利益
率の場合は例外無く売上げ規模が小さいニッチビジネスに終始し、また売上げ規模が大き
い場合は極めて低い利益率に低迷し続けるという実態と比較すれば、7 Adobeによる売上の
急拡大と高収益を同時実現させる背後には、これまでの日本企業が経験し得ない高度な仕
組みが存在すると考えざるを得ない。
5
6
7
以下、ID 事業部、で統一する。
ID 事業部の粗利率推移は付録2を参照。
日本のソフトウエア企業については付録3を参照。
Adobe(ID事業部)の売上げ
(※Adobeのアニュアルレポートより作成)
1200
1000
ID 事業部は 1999 年以降急成長している。
100万ドル
800
600
400
200
8
7
20
0
5
4
6
20
0
20
0
20
0
2
3
20
0
20
0
0
1
20
0
20
0
8
7
9
20
0
19
9
19
9
19
9
19
9
6
5
4
19
9
19
9
19
9
3
0
年
図3 Adobe ID 事業部の売上推移
一般に、売上げ規模の拡大と高収益の同時実現には、圧倒的な技術リーダーシップ以外
に、合法的に市場を独占するスキームが必要である。8 AdobeはPDF事業において、どのよ
うなスキームを構築したのだろうか。その背後にどのようなビジネスモデルがあり、そし
てどのような知財マネージメントが潜んでいるのだろうか。これを解明するのが本稿の目
的である。最初に、本章で扱う用語について以下のように定義しておく。
一般名称
電子ドキュメントのファイル・フォーマット
上記フォーマットで作成された電子ドキュメント
Adobeの固有名称
PDF
PDFデータ
PDFデータを作成するソフトウェア
PDF作成ソフト(Writer)
Acrobat
PDFデータを閲覧するソフトウェア
PDF閲覧ソフト(Reader)
AdobeReader
AcrobatReader
AdobeのID事業部が成功する要因として、これまで“PDFの作成ソフトであるWriter仕
様の公開”や”PDF閲覧ソフトであるAdobe Readerの無償配布” というビジネスモデルに言
及されることが多かった。 9
しかしながら、PDF仕様の公開やAdobe Readerの無償配布
では全く収入が得られない。したがって公開や無償配布が売上げの急拡大と高収益の同時
実現に直接つながるわけではない。それどころか、PDF仕様の公開によってAdobe以外の企
業がPDF市場に参入できるようになることや、Adobe Readerの無償配布によってAdobe以
8
例えば小川(2009a)の第 14 章
9
例えばカール・シャピロ
ハル・R. バリアン(1999), クリス・アンダーソン(2009)
外の企業がPDF閲覧ソフトを開発せずにPDF市場に参入できるようになることを考えれば、
公開や無償配布はAdobe: ID事業部の成長を妨げるものである。
ID 事業部の成長(売上げの急拡大と高収益の同時実現)が、主に PDF 作成ソフトとし
ての Writer(別名 Acrobat)に関する売上の成長(大量普及と価格維持の同時実現)によると
いう事実を踏まえるなら、PDF 仕様の公開や無償配布によってなぜ Writer(Acrobat)の売上
げが成長しているのであろうか。
この背後にある知財マネージメントを解明するために、まず第2章では Adobe の ID 事
業部が創造した PDF 市場の概要を説明しながら、PDF の市場が拡大されてきた様子を概観
する。第3章では、拡大される市場においてなぜ PDF 作成ソフト(Writer)が独占的に売
れ続けるのかを、Adobe のビジネスモデルやこれを支える知財マネージメントに注目する
ことで分析する。
Adobe は、知的財産としての特許権や著作権を用いた施策によって、公開した PDF の仕
様を他社が独自拡張することを制限するスキーム、したがって Adobe だけが PDF 仕様の拡
張(進化・改版)をコントロールできるスキームを確立していた。これによって PDF 市場
を実質的に独占することに成功し、PDF 作成ソフト(Writer)の大量普及(売上げの急拡
大)と価格維持(高収益)とを同時に実現することができたのである。
最後の第4章では、Adobe の成功を支えたビジネスモデルと知財マネージメントを他の
事例と比較しながら体系化し、我々が Adobe から何を学ぶべきかを考察したい。
第2章 PDFによるドキュメント交換市場の創造と拡大
Adobe の ID 事業部は、1993 年に、PostScript を基盤とした PDF、Acrobat、および
Adobe Reader をリリースし、PDF によるドキュメント交換市場(PDF 市場)の創出に向
けて歩みはじめた。本章では、PDF 市場が生まれ、そして成長する様子を、Adobe の仕掛
け作りという視点から概観する。
2.1 PDF の誕生とドキュメント交換市場の創造
PDF はデジタル文書(=電子ドキュメント)のファイル・フォーマットとしてグロー
バルなスタンダードであり、2001 年以降は徐々に ISO 規格化を進めて公的文書市場の主役
になった。
PDFは、Adobeが 1984 年の創業当時に発表して進化発展させたページ記述言語
「PostScript」をベースに開発されたものである。10 PostScriptは、特にMac環境の印刷/
出版の世界で広く用いられてきたが、多種多様なプリンター・ハードウエアの違いを吸収
するプリンタ・インデペンデントのコンセプトがここに実現されていた。本稿が着目する
PDFは、この基本思想を更に進化させ、Mac/Windows/Unix系OSなどの異なるプラット
10
PDF の開発経緯については、アスキー(2008)から引用した.
フォーム間であっても、また同じアプリケーションの異なるバージョン間においても、自
由自在に文章交換のできる本格的なプラットフォーム・インデペンデントを実現させてい
たのである。いうまでもなくこれは 1990 年代初期にあって実現不可能な机上の空論と言わ
れていたが、この不可能に挑戦したのがAdobeであった。
PDF の基本コンセプトは、文書の閲覧・印刷を可能とする共通の文書交換フォーマッ
ト(IPS:Interchange PostScript フォーマット)として 1991 年に公開されたが(Camelot
Project)、製品として正式に我々の手に届くようになったのは 1993 年に出荷された
Acrobat1.0 が最初である。PDF とともに登場した Acrobat は、ワープロ/表計算/画像な
どの印刷コマンドを持つアプリケーションであれば、すべてのファイルを PDF 化できる。
この離れ業とも言うべき”アクロバティック”な変換ができることから、Adobe はこれを
Acrobat と名付けた。
1994 年になると、さらに機能追加されたPDF1.1 をベースにAcrobat2.0 が販売された
が、同時にこのタイミングでPDFを閲覧するビューアーソフトとして、Acrobat Reader(現
在のAdobe Reader)が無償で配布された。PDFを用いればOSやアプリ等の環境の違いを気
にせずにドキュメント交換を行うことが可能になるが、これをエンドユーザ側で実現させ
るためのReaderが無償配布されたのである。だれもが気軽にPDFを表示し、閲覧できるよ
うになれば、異なるコンピュータと言われたWindows、UNIX/Linux、Macintoshの間で自
由にドキュメント交換するという画期的な市場が、これによって爆発的に普及するように
なった。 11
PDFが生まれる以前に、電子文書において最も汎用性が高かったのはプレーンなアス
キー・テキスト形式のファイルであった。しかしながらこの場合に、例えばWindows上の
MS-Wordで作成した文書は、受け取った側も同じソフトを持っていなければ閲覧すること
はできない。当時のUNIXやMac, LinuxのユーザはMS-Word環境を持てなかったので、情
報を共有することができなかったのである。 12 AdobeからPDFが提供されたのは、まさに
そのような時代だったのであり、PDFの登場によってはじめて、Wordで文書を作成しても
AcrobatでPDFに出力しさえすれば、UNIX側のAcrobat ReaderでWordのレイアウトのま
まに文書閲覧ができたことになる。
同時に我々が留意すべきことは、Adobe の PDF が無償配布され、普及し始めた 1990
年代の中期は、図 4 に示すように、光通信システムのアーキテクチャが技術モジュールの
組合せ型へ大転換して電送容量が飛躍的に拡大し、ネットワークのコストが劇的に低下す
る時期だった点である。ここから LAN やインターネッというハードウエア側のインフラが
急速に整備され、印刷物と同じレイアウトのままで電子文書を公開・配布・印刷するドキ
11
ドキュメント交換市場が生まれる経緯については JACIC「フリーウエアの PDF 作成ソフト(第 1 回)
、オ
ンライン http://www.jacic.or.jp/feature/program/017pdf/pdf_1.htm>より引用。
12
現在では Open Office 等の環境が出来ているので、それなりに情報共有が可能になっている。
ュメント交換市場が、ネットワークを介して世界中のコンピュータで可能になった。
図4 製品アーキテクチャの転換と伝送容量
●
1T
伝送容量( bit/sec)
WDM方式
●
の採用
100G
TDM方式
擦り合せ型
10G
●
●
●
●
アーキテクチャの大転換
●
1G
モジュラー型
(組合せ型)
●
100M ●
1980
1985
1990
1995
2000
図4 製品アーキテクチャ転換と伝送容量
その様子を図 5 に示すが、Adobe の独創的な技術思想や技術イノベーションだけでな
く、1990 年代中期に起きた WDM 方式というハードウエア側のアーキテクチャ転換(図4)
があってはじめて、PDF によるドキュメント交換の市場(PDF の市場)が創造されたので
ある。
電子文書の閲覧者
電子文書の製作者
Mac
Windows
Word
Windows
Word
Adobe Reader(Windows 用)
Writer(Mac 用)
Writer(Windows 用)
PDF
Unix
Internet
Adobe Reader
(Unix 用)
PDF
図5 インターネットを介した自由自在なドキュメント交換
2.2 PDF 市場の拡大に向けた施策
新製品・新技術を市場に浸透させていくに際し、初期市場と成長後のメジャー市場の間
には容易には越えがたい「キャズム(深い溝)」があり、「キャズム」を超えて製品・技術
が広く使われるようになることは、非常に難しいと言われてきた(ジェフリー・ムーア
2002)。しかし、Adobeが開発したPDFに係る製品群は現在まで非常に広範囲に使われてお
り、明らかに「キャズム」を超えている。 13 その背景でAdobeがどのような施策を繰り出
していたのかを分析するために、PDF市場が拡大されてきた様子を、ビジネス上の施策と
いう視点から概観する。
Adobeの公式サイトで紹介されている事例から顧客がPDF作成ソフトであるWriter
(Acrobat)を導入した理由を整理すると、以下の事実が見えてくる: 14
<PDF 作成ソフト:Acrobat の導入理由>
① 忠実な再現性が実現されている。
・特殊文字・多言語環境に対応
・クロスプラットフォーム環境に対応し、OS やデバイスに依らず忠実に再現
② 導入したくなるような便利な機能が実装されている。
・電子認証機能による高いセキュリティの実現
・編集機能(注釈、コメントの付与)による情報共有で時間コストの削減
・電子フォーム機能による紙コストの削減
(たとえば電子フォーム入力によるオンライン資料提出など)
③
PDF という名称や Adobe Reader が持つ大衆性や認知度の高さ。
このような導入理由の背後で、確かに Adobe は以下のような施策を徹底させていた:
① まず PDF の利用範囲を拡大する基本戦略として、ドキュメント交換を行う環境の違
いをユーザに感じさせない機能を徹底して追求:
これを PDF レイヤー1(プレゼンテーション用のレイヤー)にて実現するが、以下
がその代表的な施策である:
・異なる OS 環境で忠実な再現の実現によるドキュメント交換の範囲を拡大する。
・PDF 作成ソフト、Acrobat,へ Font 埋め込み機能を持たせることによって、特殊文
字・多言語環境であっても忠実な再現を可能にし、ドキュメント交換の範囲を拡
大する
13
14
15
15
PDF ファイルは現在 10 億以上存在するとされ、Web 上に公開されている数でも 1 億 5 千万以上と言われ
ている。http://www.adobe.com/jp/products/acrobat/adobepdf.html
導入事例の詳細は、付録4を参照。
1999 年に日本語の Font に対応し、2001 年には OpenTypeFont への対応も可能にしている。フォント埋め
込み機能は、PDF(Acrobat)の大きな特徴である体裁の維持を確保する上で最も重要な機能の一つである。
通常、文書を正確に再現するにはフォントが正しく設定されなければならないが、OS 環境が異なると OS
が保持しているフォントが異なるため、文書を正確に再現するためのフォントを正しく設定できないこと
がある。そこでフォント埋め込み機能を用いて、コンテンツ制作者が PDF にフォントを埋め込むことでこ
例えば 1999 年に日本語のFontに対応し(PDF1.3)、2001 年にはOpenTypeFont 16
に
対応した(PDF1.4)。
② ドキュメント交換の価値を向上する施策として、先進的かつエンドユーザが欲する機
能を次々に PDF 作成ソフトへ追加:
これを PDF レイヤー2(ビジネスロジック用のレイヤー)にて実現するが、以下が
その代表的な施策である:
・電子認証・電子署名・注釈/コメント付与などの機能を PDF に追加することで、
ドキュメント交換の価値を向上
・電子フォーム・XML 連携などの機能を PDF に追加することで、人(デスクトッ
プ)とコンピュータ(企業内のバックオフィスシステム)とのドキュメント交換
を可能とし、ドキュメント交換の価値を向上
これらの施策は、デスクトップ上で税金の確定申告を行うサービスなどの、
“PDF を用
いた新たなビジネス“、を Adobe にもたらした。
③ エンドユーザが PDF、Acrobat、Adobe Reader を利用し易くなる環境を整えるため
に、以下の施策を具体化させた:
・PDF の仕様公開
・Adobe Reader の機能を Netscape ブラウザへの plug-in として公開
・Adobe Reader の無償配布
・Adobe Reader のダウンロード配布
Adobe は PDF を用いたドキュメント交換をグローバル市場へ展開するために、上記のよ
うな「範囲の拡大」、「価値の向上」、「利用の促進」を図る施策を次々に立案・実施したの
である。
2.3 PDF 市場の拡大
ここでは、Adobe Reader のダウンロード回数の推移を例にとって PDF 市場が拡大され
た様子を見ていく。
Adobe Reader のダウンロード回数の推移を図6に示す。1999 年以降、Adobe Reader は
爆発的に普及し、PDF 市場が急拡大された様子が見てとれる。
の課題を解消し、文書の正確な再現を可能としているのである。
16
OpenTypeFont は 1999 年にマイクロソフトと共同でアナウンスしたものである。
これ(OpenTypeFont 埋め込みに対応した PDF)を開発社サイドで実現させるための仕様書である PDF
Reference(PDF1.4)も 1999 年に発表されており、ここから Adobe は従来の Mac 環境中心から Windows 環境
に向けて大きく踏み出すことになる。
アニュアルレポート(2002 年以降)によると、ダウンロ
ード回数は「5 億回以上」となっている。(Adobe のサ
台数・回数(億回)
イトによると、2010 年現在のダウンロード回数は「7
6.0
億回以上」となっている。)
5.0
4.0
Internetに接続されている
ホスト台数(ISC(Internet
Software Consortium)資料
により作成(※1))
ReaderのDL回数(累計)
(Adobeのアニュアルレポー
トより作成)
3.0
2.0
1.0
0.0
1999
図6
2000
2001
2002
年
2003
2004
2005
Adobe Reader のダウンロード回数の推移を通して見る PDF 市場の拡大の様子
(※1:http://www.isc.org/solutions/survey/history)
これまで、Adobe が様々な普及施策を行いながら PDF 市場を拡大してきた様子を見てき
たが、市場が拡大するにつれて PDF に係る製品・技術の利用者が増えていき、PDF 市場が
巨大なインストールド・ベースに育ってネットワーク外部性が強力に働くようになった。
これによって PDF 市場が自動的に急拡大するようになり、PDF 市場の拡大が加速していく
のである。
第3章
合法的な市場独占に向けた Adobe の知財マネージメント
3.1
はじめに
前章では、PDF 市場が拡大されてきた様子を見た。しかし、これだけでは Adobe の ID
事業部が成長(売上げの急拡大と高収益との同時実現)し続けることを説明するには不十
分である。なぜなら一般に、市場規模が大きくなるにつれて新規プレーヤの参入による競
争の激化とそれに伴う製品の価格下落が起きて、既存プレーヤのシェアも売上げも、そし
て利益率も大きな影響を受けるからである。
確かに PDF 市場においても、市場規模が十分な大きさとなった 2004 年以降に新規プレ
ーヤが参入している(図7)。
Adobe(ID事業部)の売上げ
(※Adobeのアニュアルレポートより作成)
1200
市場の拡大と共に新規
1000
プレーヤが参入している
2004年 ソースネクスト参入
「いきなりPDF Professional」
800
100万ドル
「いきなりPDF to Data」
600
2005年 アンテナハウス参入
「リッチテキスト PDF」
400
2008年 ジャストシステム参入
200
「JUST PDF シリーズ」
0
1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
年
2006年
アンテナハウス新製品:「書けまっせ!!PDF」、「書けまっせ!!PDF2 」
2007年
アンテナハウス新製品:米国にて「RainbowPDF」商標でPDF製品の販売を開始
2009年
アンテナハウスM&A:クセロ社(PDF事業)を買収
図7
PDF市場における新規プレーヤの参入
しかし、新規プレーヤの参入後に営業利益が少し悪化したものの、Adobe(ID事業部)の高
収益は依然として維持されており(図2、付録2)、そしてまたAdobe(ID事業部)の売上げ
規模も依然として(新規プレーヤを遙かに上回って)急拡大しており(図7、図8)、Adobe
のPDF作成ソフト(Writer:Acrobat)が独占的に売れ続けていることが分かる。新規参入
プレーヤの常道として製品価格がAdobe製品の価格を遥かに下回っており、これによって
Acrobatの価格が相対的に非常に高くなってしまったにも係らず新規プレーヤの売上は伸
びず、Adobeの売上げに全く影響を与えなかったのである。 17
17
Adobe と新規プレーヤとの製品価格の比較は付録5を参照。
PDF 作成ソフト(Acrobat)の価格推移は付録6を参照。
Adobe
(ID事業部のみ計上)
2004
541.80
2005
2006
2007
2008
708.04 815.98
1063.86
組織構造が大919.85
幅に変化した為、
ソースネクスト
売上げ
(PDF関連のみ計上)
(単位:100万ドル)
※1$=100円換算で概算 アンテナハウス
(全社合計)
図8
未記入
6.47
4.56
5.68
4.99
5.00
Adobe と新規プレーヤとの売上げ比較
このような急拡大の市場においてなぜ Acrobat が独占的に売れ続けるのだろうか。本章
ではこの疑問を、特許権及び著作権に注目することで明らかにしたい。
3.2
Adobe が保持する知的財産権(特許権及び著作権)
ここでは、Adobe が保持する特許権及び保持していると主張する著作権を確認する。
AdobeのPDF作成ソフト(Writer:Acrobat)及び閲覧ソフト(Adobe Reader)について多数の
特許権を保持している。 18
また、PDFの仕様を開示しているPDF Referenceの<PDF
Reference, Sixth Edition, version 1.7>には以下のような記述があり、 19
This example code includes, but is not limited to, the copyrighted list of data
structures, operators, and PostScript language function definitions, that were
referenced in PDF Reference, fifth edition, version 1.6, Section 1.5 (Intellectual
Property).
PDFの仕様(data structures、operators、PostScript language function definitions、
example code)についてAdobeが著作権を主張しているのである。20
Adobeは、これらの
18
PDF に係る特許権の一覧を付録7に示した。(先頭に○を付した案件はロイヤリティ・フリー
だが、色塗りした案件はロイヤリティ・フリーになっていないのである。この点については後述
する。
)
19
PDF Reference の詳細は付録8を参照
20
< http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/pdf_reference_1-7.pdf
>より引用。本稿で「PDF の仕様について著作権を主張している」と記載したが、実際に
Adobe が著作権を主張している対象は PDF Reference に記載された「data structures、
operators、PostScript language function definitions、example code」であることから以
下の点を議論する必要があるが、それは今後の課題としたい。
・ 「data structures、operators、PostScript language function definitions、example code」
はそもそも著作権の保護対象(表現)に該当するのか?
・「data structures、operators、PostScript language function definitions、example code」
が著作権の保護対象であると仮定した場合、それらは PDF の仕様(という漠然とした概
念)を保護するのに十分であるのか?
特許権や著作権を用いてどのような施策を施したのであろうか。
3.3
Adobe の施策: 知的財産権を起点とした PDF 仕様の拡張制限
3.3.1:
特許権を起点とした PDF 仕様の拡張制限
Adobeがdeveloper向けに開示しているLegal notice 21 には複数の特許をロイヤリティ・
フリーでライセンスすることが記載されているが、この特許の内容はPDF作成機能(Writer)
に関するものであった 22 。したがってAdobeは、第三者がAdobeの特許をロイヤリティ・フ
リーで使用できるようにしていたことが分かる。しかしながらAdobeが公開した特許をベー
スに開発するだけなら新規プレーヤ(第三者)は製品の差別化ができず、常に他社のWriter
との価格競争に曝される。したがってPDF仕様を拡張して独自のWriterを開発しようとす
るはずである。
しかしながらAdobeのLegal noticeに記載された次の箇所(特に枠内に注目)を見ると、
23
新規プレーヤには「PDFの仕様に準拠(compliant)したWriterを提供すること」とい
う条件が課されていた。したがって、新規プレーヤは独自にPDFの仕様を拡張して独自の
Writerを開発することは出来ない。つまりAdobeは、PDF作成機能(Writer)の仕様をオープ
ンにして第三者へ開発権を供与する代りに、第三者がPDF仕様を独自拡張することを合法
的に制限していたのである。 24
21
Legal notice の詳細は付録9を参照
PDF に係る特許権の一覧を付録7に示した。(先頭に○を付した案件はロイヤリティ・フリー
だが、色塗りした案件はロイヤリティ・フリーになっていないのである。
)更に興味深いことに、
Adobe 自身がバージョンアップで追加した Writer 側の新機能についても、当該新機能を作成す
る Writer 側の特許権はロイヤリティ・フリーとなっていたのである(付録7に示した特許権一
覧の新機能の部分を参照)
。ここから Adobe の施策が一貫して継続されていたことが見て取れる。
22
23<http://partners.adobe.com/public/developer/support/topic_legal_notices.html>より
引用。Legal notice の詳細は付録9を参照
しかしながら我が国では、特許権を起点に仕様拡張を制限することが合法か否かは議論が残
る。一般に第三者の技術改良を制限する行為は独占禁止法に抵触するおそれがあるため、独占禁
止法について検討するが、独占禁止法第 21 条では、
「この法律の規定は、著作権法、特許法、実
用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」と規
定されていることを考慮すると、Adobe が特許権を利用して第三者の技術改良を制限しても、特
許法による権利の行使であるから、上記条文上は合法のようにみえる。
しかしながら、公正取引委員会が公表している「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」
(http://www.jftc.go.jp/pressrelease/07.september/07092803-tenpu.pdf)では、「また、技術
に権利を有する者が、他の者にその技術を利用させないようにする行為及び利用できる範囲を限
定する行為は、外形上、権利の行使とみられるが、これらの行為についても、実質的に権利の行
使と評価できない場合は、同じく独占禁止法の規定が適用される。すなわち、これら権利の行使
とみられる行為であっても、行為の目的、態様、競争に与える影響の大きさも勘案した上で、事
業者に創意工夫を発揮させ、技術の活用を図るという、知的財産制度の趣旨を逸脱し、又は同制
度の目的に反すると認められる場合は、上記第 21 条に規定される「権利の行使と認められる行
為」とは評価できず、独占禁止法が適用される。」と規定されている。つまり、
「行為の目的、態
様、競争に与える影響の大きさ」の結果次第では、Adobe が特許権を利用して第三者の技術改良
を制限することが、特許法による権利の行使と認められない可能性も残されている。
24
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<Legal notices for developers>
Adobe Patent Clarification Notice:
Reading and writing PDF files
Adobe has a number of patents covering technology that is disclosed in the Portable
Document Format (PDF) Specification, version 1.3 and later, as documented in PDF
Reference and associated Technical Notes (the "Specification"). Adobe desires to
promote the use of PDF for information interchange among diverse products and
applications. Accordingly, the following patents are licensed on a royalty-free,
nonexclusive basis for the term of each patent and for the sole purpose of developing
software that produces, consumes, and interprets PDF files that are compliant with
the Specification:
・・(略)・・
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------3.3.2:
著作権を起点とした PDF 仕様の拡張制限
次に著作権を用いた施策に注目してみる。PDF Referenceには次のような記載箇所(特に
枠内に注目)があり、第三者がPDFの仕様に準拠したWriter・Readerを開発しユーザへ提
供することが、Adobeが第三者へ著作権の利用を許可する条件とされている。 25
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------<PDF Reference, Fifth Edition, version 1.6>
Adobe gives anyone copyright permission, subject to
the conditions stated below, to:
• Prepare files whose content conforms to the Portable Document Format
• Write drivers and applications that produce output represented in the Portable
Document Format
• Write software that accepts input in the form of the Portable Document Format
and displays, prints, or otherwise interprets the contents
• Copy Adobe’s copyrighted list of data structures and operators, as well as the
example code and PostScript language function definitions in the written
specification, to the extent necessary to use the Portable Document Format for
the purposes above
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
25
<http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/pdf_reference_archives
/PDFReference16.pdf>より引用。PDF Reference の詳細は付録8を参照
この施策から、Adobe が有する著作権を開示されて開発し、市場参入する新規プレーヤ
は、「PDF の仕様に準拠(compliant)した Writer・Reader を提供すること」という条件
が課されるため、独自に PDF の仕様を拡張して独自の Writer・Reader を開発することは
出来ないことが分かる。つまり Adobe は、PDF 仕様をオープンにして利用させる際に、著
作権までも動員し、第三者が PDF 仕様を独自拡張することを合法的に制限していたのであ
る。
ここから、Adobe が、前節で述べた特許権を用いた施策(PDF 仕様の第三者による独自
拡張の制限)と同様のことを、著作権を用いて行っていることが見て取れる。このように
性質や効果等が異なる権利を用いた施策を二重三重に張り巡らせることで、PDF 仕様の拡
張制限を強化しようとした。施策が何重にも張り巡らされることで、第三者は PDF 仕様を
独自拡張する際のハードルを高く感じるはずであり、第三者は独自の機能や性能を持たせ
る製品開発を躊躇するはずである。もし第三者によって独自拡張を試みられては、例え
Adobe が強力な権利を保持していたとしても、Adobe 自身が第三者による価格攻勢に巻き
込まれてしまう。
そういった意味で、第三者へ開発と販売権を供与はするものの、同時に特許権や著作権
をフル動員して、合法的に第三者に対する抑止力を持たせることが、Adobe 自身の収益を
確保する上で決定的な役割を担っていたことになる。Adobe は、性質や効果等が異なる権
利を用いた仕掛けを何重にも張り巡らせることによって、PDF 仕様の独自拡張に対する抑
止力を効果的に働かせるようにしようとしたのである。このようにオープン環境でサプラ
イチェーンを事前設計し、その特定セグメントで市場を合法的に独占する行為を、Adobe
の知財マネージメント、と本稿で定義する。
3.4
Acrobat が独占的に売れる理由
これまで、Adobe が、特許権や著作権を用いた施策によって PDF 仕様の第三者による独
自拡張を合法的に制限あるいはコントロールしていたことを見てきた。このメカニズムに
よって、Adobe 以外の新規プレーヤは PDF の仕様拡張に手を出せず、Adobe だけが PDF
仕様の拡張を合法的に独占できる仕掛けが出来上がっていたのである。
このような知財マネージメント環境の PDF 市場では、Adobe だけが PDF 仕様を拡張し、
同時に当該拡張した仕様に対応した新規の PDF 作成ソフトを市場投入できる。一方で、第
三者は Adobe によって拡張された仕様が公開されるのを待ってから、この拡張に対応した
Writer の開発を行わなければならず、製品の市場投入が常に Adobe より大幅に遅れる。
Adobe はこの上市スピードの差を利用することによって、
常に技術と製品開発の方向性を、
合法的に独占し、高い利益率を維持できたのである。
3.5
市場拡大のためのオープン環境の活用
Adobe の施策でもう一つ注目すべき点は、PDF に係る知的財産権を開放することで、
Adobe が第三者の市場参入を積極的に受け入れた点である。これは、知的財産権を用いて
第三者を排除していく従来の知財マネージメントとは明らかに異なる。市場の独占のみを
目指すのであれば、従来の方法でも良かったはずであるが、この姿の裏にどのような意図
が隠されているのであろうか。
最初に、Adobe が従来の知財マネージメントを行う場合を考えてみる。Adobe は、3.
2で見たように PDF に関して多数の特許権と著作権を保持しており、当該特許権と著作権
とを用いて第三者を排除していくことで PDF 市場を独占できたはずである。しかしこの場
合、Adobe の普及戦略が十分でなかったり、PDF が Adobe だけの独自技術であることが懸
念され、PDF 市場が思ったように拡大しない可能性がある。そうすると、Adobe の PDF
事業は、高い利益率であるものの売上げ規模が小さいニッチビジネスに終始してしまうこ
とになる。
この懸念こそが、Adobe自身によるPDFの知的財産権を開放させ最大の動機だったのでは
ないだろうか。事実、PDF市場には新規プレーヤ(第三者)が次々と参入しており、彼ら
がPDF作成ソフト(Writer)を製造・販売することで確かにPDF市場が拡大した。そして確か
に特許権や著作権を開放することでPDFがAdobeだけのものでは無くなり、誰もが使えるデ
ファクト・スタンアードとなってPDFの採用者が増へ、市場が急速に拡大された。 26
PDF 市場が拡大すれば PDF に係る製品の利用者が増えていき、PDF 市場が巨大なイン
ストールド・ベースに育ってネットワーク外部性が強力に働く。そしてこの繰り返しによ
って PDF 市場が自動的に急拡大したのである。このようにして巨大なインストールド・ベ
ースに育ったレガシー製品と互換性を持たせながら Adobe だけが PDF 仕様を拡張・進化さ
せることができるのであれば、技術で先行する Adobe の Acrobat だけが高い利益率を維持
しながら大量普及の軌道に乗ることができるようになる。
このように、Adobeは、PDFに係る知的財産権を開放することでPDF市場を急拡大させ
て売上げの急拡大を狙い、その上で更に知的財産権を用いた施策によって技術改版・進化
の方向性を独占することでPDF市場を独占して高収益を実現した、と言い換えてもよい。
このような知財マネージメントによってはじめて、売上げの急拡大と高収益との同時実現
が可能になったのである。 27
26
Adobe は官公庁を中心に PDF 技術を導入してきたが(付録4参照)、PDF が公的な機関によって
標準化された技術であったことは官公庁が採用を決める上で大きな要因であったと思われる。
27ここに紹介した
Adobe の施策は、大量普及を実現する領域(市場)と高収益を実現する領域
(企業:Adobe)の境界を事前設定して成功させた代表的な事例である。Adobe は、1)現在の
仕様に準拠する条件で第三者の参入を認めることで大量普及させる市場領域を拡大させ、2)現
在の仕様を第三者が独自拡張することを制限するスキームを構築することで Adobe という企業
領域を設定したのである。Adobe だけが巨大なインフラに育った市場と互換性のある新規製品
を提供して普及と高収益を同時実現させた。
<本章のまとめ>
本章では、Adobe が知的財産権を用いた施策によって、PDF 仕様に準拠する限り第三者
の参入を認めつつも、この PDF 仕様を第三者が独自拡張することを合法的に制限あるいは
コントロールする仕組みを構築することで、拡大される PDF 市場において、Adobe の PDF
作成ソフト(Writer: Acrobat)が独占的に売れ続けるようにしてきた、と言う事実を見て
きた。このように「常に市場で優位性を保てる仕組みを構築することによってビジネスで
実質的な独占を維持する姿」は、Adobe のみならずインテルやシスコシステム等の他の事
例でも同じように観察される。
そこで、次章では、Adobe の成功を支えたビジネスモデルと知財マネージメントを他の
事例と比較しながら体系化し、我々が Adobe から何を学ぶべきかを考察したい。
第4章
整理と考察
4.1
はじめに
約 1 兆ドル(100 兆円)と言われる世界のソフトウェア市場の 5 割を、アメリカ企業が
占めている。また、世界のソフトウェア企業における営業利益総額のランキングにおいて
も、欧米企業が上位の半数を占める。 28 これらの企業は、例外無く「売上げ規模の拡大と
高収益の維持とを同時実現」している。本稿では、そのような企業の一つとしてAdobeを取
上げて、その背後に高度な戦略があった事実を明らかにした。本章ではこれまで述べた
Adobeの戦略を整理し、Adobeから学ぶべきことを他の企業と比較しながら考えてみること
にする。
4.2
Adobe の戦略の整理と Adobe の知財マネージメント
4.2.1
Adobe の戦略の整理と他の事例との比較
Adobe が行った戦略は以下のように整理することができる。
1)巧妙な普及戦略によって PDF の巨大なインストールド・ベースを構築し、ここから生
まれるネットワーク外部性の効果を、その後の戦略へ効果的に活用した。ネットワー
ク外部性が PDF 市場を自動的に急拡大させる上で極めて大きな役割を果たしたのであ
る。
2)知的財産権を用いた施策により、公開した PDF の仕様に準拠する条件で他社の PDF
市場への参入を認めつつも、当該 PDF の仕様を他社が独自拡張することを制限するス
キーム(Adobe だけが独占的に PDF 仕様の拡張できるスキーム)を確立した。Adobe
は、そのスキームを利用して PDF 仕様の拡張時に他社よりも早く Acrobat を市場投入
するビジネスモデルを実ビジネスとして確立することで、価格を維持しながら売れ続
28
付録10を参照。
けるようにしてきた。
以上が大量普及と高収益の同時実現を可能にするメカニズムである。このように Adobe
は、巧妙な普及戦略によって PDF 市場を拡大しつつも、知的財産権を用いた施策により仕
様拡張をコントロールするスキームを確立することで PDF 市場を合法的に独占して、売上
げ規模の拡大と高収益の維持とを同時実現してきた。このような同時実現の仕組み作りは、
以下に示す事例も同じであったという意味で、オープン環境のグローバルビジネスに共通
する知財マネージメントである、と考えられる。
事例1:パソコン産業におけるインテルのマイクロプロセッサーとチップセット
(立本
2007、小川 2009a ,小川 2010)
事例2:インターネット産業におけるシスコシステムの IOS と IGRP プロトコル
(小川
2009a,小川 2009b,小川 2010)
事例3:携帯電話産業におけるノキアなどの欧州 GSM 陣営における基幹ネットワーク・
システムと GSM プロトコル(立本 2008a,立本 2008b,立本 2008c、小川 2009a,
小川 2010)
事例4:パソコン産業におけるマイクロソフトの DOS ソースコード
(小川
2009a, 小川 2010)
事例5:サン・マイクロシステムズ(現在はオラクル)の JAVA 技術やマクロメディア
(現在は Adobe)の Flash 技術
においても、公開する仕様に知的財産権(著作権)を刷り込ませて仕様拡張をコントロ
ールする様子が見て取れる。 29
しかしながら、仕様拡張をコントロールしなかった(できなかった)ためにシェアを失
った事例も数多くあったのである。その代表的な事例として以下を挙げることができる。
事例6:パソコン産業における IBM の BIOS:IBM が著作権を保持したものの、BIOS
ソースコードの改版権を保持できなかった。(小川 2009a, 小川
2009c, 小川
2009d,小川 2010)
事例7:パソコン産業における IBM と DOS; IBM がマイクロソフトからオペレーティン
グ・システム(DOS)を調達する際に、DOS ソースコードの改版権を取得・保
持できなかった。(小川
2009a、 小川 2010)
事例8:ネットワーク検索ソフトにおけるネットスケープのブラウザ:
一時はブラウザ市場の90%程度のシェアを取ったものの、その後マイクロソ
フトのIEブラウザによってシェアを奪われてしまったネットスケープの
29
付録11、12を参照
Navigator ブラウザは、仕様拡張をコントロールしていなかった。普及と独占を
両立させる仕組みを考えていなかったのである。
これらの事例に見る成功と失敗を、インテルとネットスケープとを例にとって、以下に
詳しく分析してみたい。
<事例1のインテルのケース>
1)PCI バス規格の標準化やマザーボード規格である ATX 規格の標準化、更にはチップ
セットの低価格化などにみる様々な普及施策によって、インテルは、まず第一に自社
仕様の MPU やバスおよびチップセットを一体化したブラックボックス型のプラット
フォームとして統合化し、次にこれを Full-Turn-Key-Solution として提供することに
よって巨大なインストールド・ベースに育てた。この巨大インストールド・ベースが
強力なネットワーク外部性として働き、インテル仕様のプラットフォームだけがパソ
コン市場で大量普及していったのである。
2)インテル・プラットフォームの仕様に準拠する条件で他社の参入を認めつつも、知的
財産権を用いた施策によって、当該プラットフォームの仕様を他社が独自拡張するこ
とを制限するスキームを確立した。インテルは、そのスキームを利用してプラットフ
ォーム仕様の拡張時に他社よりも早く MPU やチップセットを市場投入するビジネス
モデルを確立することで、インテル製の MPU やチップセットが独占的に売れ続けるよ
うにしてきた。
その代表的な事例を、インテル・プラットフォームの仕様に対応するチップセットを
製造していた VIA とインテルとの間でおこった 1999 年の係争から見て取れる。その
内容は、次のようなものであった。
・インテルは、ペンティアム後継機である P6 世代のプラットフォームにおいて、MPU
とチップセットとの間のローカルバス(P6 バス)における信号・通信の仕様(P6 バ
ス・プロトコル)に付随する特許をベースにし、ここから P6 バスをライセンスする
ことにしたが、当該ライセンス契約を交わした VIA が発売した P6 バスに対応する
チップセット(Apollo Pro133)は、インテルが推し進めようとしていた「Direct
Rambus 仕様の DRAM」メモリの規格に対抗する(反対する)「PC133 仕様のシン
クロナス DRAM」を採用した製品であった。したがってインテルは、VIA に対して
上記ライセンス契約の無効を主張して、P6 バス・プロトコルの特許権侵害を理由に
訴訟を起こした 30 。(立本
30
2007、Nikkei Electronics 1999.7.26,p.36 を参照)
インテルと VIA が交わしたライセンス契約では「133MHz で動作する P6 バスを備えたチップ・
セットが除外されていた」
(VIA 社)とされているが (Nikkei Electronics 1999.7.26,p.36)、
このように(P6 バス・プロトコルに係る)特許権を起点に仕様拡張を制限することが、
「知的財
VIA が製造・販売したチップセットでは、確かにメモリの規格以外でならインテルのプ
ラットフォーム(P6 バス)と同等だが、メモリの規格がインテル・プラットフォームの RAMBUS
規格ではなく、より性能のよい PC133 規格に変更していた。これがインテルのプラットフ
ォームを独自改版(拡張)した、と判断されたのである。
以上から分かるように、インテルは第三者によるインテル・プラットフォーム仕様の独
自改版・拡張を許さなかった。インテルは、
“P6 バス・プロトコルに係る特許権”によって
他社がインテルのプラットフォームの仕様(例えば、RAMBUS 仕様)を独自拡張すること
を制限し、インテルだけがプラットフォーム仕様の拡張・進化を独占してきたのである。
<ネットスケープの事例>
1)ネットスケープ社も、Navigator ブラウザの無償配布や、Navigator ブラウザ技術の
GPL ライセンスでの提供等の様々な普及施策により、自社ブラウザを巨大なインストール
ド・ベースに育て、ここからネットワーク外部性を強力に働かせるようにした。確かにこ
れらの施策によってブラウザ市場が一気に拡大した。
2)しかしながら結果的に、マイクロソフトが提供する IE ブラウザの方が、ネットスケープ
社の Navigator ブラウザからシェアを奪って市場を制した。マイクロソフトは、例えそれ
が Windows ベースの技術と相反するものであっても、ネットスケープが開発した技術の多
くを受け入れて IE ブラウザを発展させてきたからである(クスマノ 1999)。他社が
Navigator ブラウザを独自拡張した仕様のブラウザ開発を行うことを、ネットスケープ社は
阻止できなかったのである。
つまり、ネットスケープ社は、知的財産権を用いた施策によって、ブラウザの仕様を第三
社が独自拡張することを制限するスキームを結果的に確立できなかったのである。他社が
Navigator ブラウザを独自拡張した仕様のブラウザを開発することを許したために、他社製
ブラウザにシェアを奪われていった、と言い換えてもよい。
上記の事例から、売上げ規模の拡大と高収益の維持との同時実現を目指すには、次の視点が
必要になる、という結論が得られる:
知的財産権を起点にした施策により、開示した仕様に準拠する限り他社の市場への参
入を認めつつも、この仕様を他社が独自拡張することを制限するスキーム(当該仕様
の拡張をコントロールできるスキーム)を確立することで、仕様の拡張時に他社より
も早く製品投入できる環境を作り、自社製品が独占的に売れ続けるようにする。
市場リーダは、このようにして市場の拡大と市場の独占とを両立させることで「売上げ
産の利用に関する独占禁止法上の指針」で述べられている「特許法による実質的な権利の行使」、
と評価できるか。しかしながら我が国では、この点がまだ議論の必要があるように思われる。
(3
章の脚注 24 を参照。)
規模の拡大と高収益の維持とを同時実現」を実現してきたのである。そして、そのような
リーダが支配する経営環境では、リーダ以外の企業は、以下のいずれかを強いられるいこ
とになる。
・市場リーダと非互換の技術・製品を用いてニッチな市場でビジネスを行う
・市場リーダが構築したインストールド・ベースの上で、新たな”サービス/ソリュー
ション”ビジネスを行う
・市場リーダが技術仕様を開示した範囲で、開示された仕様に準拠した互換ソフトを低
コストで作り、市場リーダの製品機能がオーバーテクノロジーになってしまったユー
ザ層を狙って低価格でビジネスを行う
4.2.2
Adobe から学ぶ知財マネージメント
以上のことから我々が学ぶべきことは次の2点にあり、これを21世紀のオープン環境
の中の知財マネージメントとして定義したい。
1)先行参入者が市場リーダ、すなわち売上げ規模の拡大と高収益の維持との同時実現を目
指す際には、次の視点を意識する必要がある。 31
知的財産権を用いた施策により、開示した仕様に準拠する限り他社の市場への参入を認
めつつも、当該仕様を他社が独自拡張することを制限するスキーム(当該仕様の拡張を
コントロールできるスキーム)を確立することで、仕様の拡張時に他社よりも早く製品
投入できる環境を作り、自社製品が独占的に売れ続けるようにする。
2)一方で、後発参入者が市場リーダ(売上げ規模の拡大と高収益の維持との同時実現)を
目指す際には、次の視点を意識する必要がある。 32
先行参入者が開示する技術を採用する際には、その際に課される制限(特に、仕様の拡
張(進化・改版)の制限)に気を配る必要がある。
先行参入者が開示する技術を採用することで研究開発費を削減できることは一見魅力的
であるが、その結果、前節で述べたような「売上げ規模が小さい中で高収益を得るビジ
ネスか、売上げ規模は大きいものの低収益であるビジネス」を行うことを余儀なくされ
てしまうことがないようにしなければならない。
先行参入者または後発参入者のどちらの立場であったとしても、オープン環境で大量普
31
先行参入者が市場リーダを目指す際には、「様々な普及施策により自社技術の市場を拡大して
ネットワーク外部性を強力に働かせるようにする。ネットワーク外部性の効果を徹底活用して自
社技術の市場を自動的に拡大していくようにする。」という全ての事例に共通して現れる戦略が
極めて重要である。
32
後発参入者が市場リーダを目指す際には、
「先行参入者が開示する技術と非互換の独自技術を
開発する際には、先行参入者の技術が普及してネットワーク外部性が強力に働くようになる前に
手を打つ(自社技術を普及させる)必要がある。」という視点が大切である。
及と高収益の同時実現を成功させる定石を踏まえながら、更に独自の知財マネージメント
が必須になる。これを再度強調して本稿を終える。
付録
付録1:Adobe 社全体の粗利率推移
Adobeの粗利率の推移
(※Adobeのアニュアルレポートより作成)
100
90
80
70
%
60
50
40
30
20
10
0
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
年
付録2:ID 事業部の粗利率推移
Adobe(ID事業部)の粗利率の推移
(※Adobeのアニュアルレポートより作成)
100
90
80
70
%
60
50
40
30
20
10
0
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
年
付録3:日米のソフトウェア企業における収入・収益比較
売上高合計 Microsoft
営業利益総額
粗利率
営業利益率
米国のソフトウェア企業
2010
2009
6248400 5843700
2416700 2122500
80
79
39
36
2008
6042000
2227100
81
37
2007
5112200
1843800
79
36
2006
4428200
1606400
83
36
売上高合計 Oracle
営業利益総額
粗利率
営業利益率
2682000
906200
79
34
2325200
832100
79
36
2243000
784400
78
35
1799600
597400
77
33
1438000
473600
78
33
売上高合計 Adobe
営業利益総額
粗利率
営業利益率
294585
69051
90
23
357989
102827
90
29
315788
85759
89
27
25753
5512.9
89
21
196632
72843
94
37
日本のソフトウェア企業
2010
2009
売上高合計 伊藤忠テクノソリューションズ
290391
307254
営業利益総額
20833
20927
粗利率
26
26
営業利益率
7
7
2008
319289
24015
25
8
2007
294374
22614
24
8
2006
239021
18877
24
8
売上高合計 CSK
営業利益総額
粗利率
営業利益率
169518
-59267
31
-35
206099
-146142
-28
-71
239695
2663
36
1
245981
29329
36
12
241154
13631
35
6
売上高合計 NTT Data
営業利益総額
粗利率
営業利益率
1142940
76467
24
7
1139092
93359
24
8
1074405
51308
24
5
1044918
87411
25
8
907281
4147
25
0
売上高合計 富士ソフト
営業利益総額
粗利率
営業利益率
141683
3855
22
3
165082
5676
24
3
170740
6445
23
4
169602
5336
23
3
179506
12569
20
7
売上高合計 オービック
営業利益総額
粗利率
営業利益率
46318
14845
55
32
47423
12945
52
27
47357
11227
49
24
45746
12822
49
28
45750
12501
47
27
他にも、「JISA基本統計調査
2006」によると、情報サービス産業における中央値の会社は、売り上げ規模56億円、営業
利益率3.87%となっており、「売上げ規模の拡大」と「高収益の維持」とを同時実現できていないのは日本企業全体に共
通する特徴であるように思える。
<対象企業について>
米国企業は図1-1を参考抽出。日本企業は(マイケル・A. クスマノ 「ソフトウエア企業の競争戦略」
ダイヤモン
ド社、2004年:ⅳ)より抽出。
<値について>
付値は全てmsnマネーで検索
録4:PDF 導入事例(Adobe のサイトより作成)
米国企業は米国市場をターゲットに1$=100円換算で概算。日本企業は日本市場をターゲットに円単位で概算。
米国連邦 政府裁判所
国税 局(IRS)
1998:taxフォームを
Webで提供
1999:電子フォーム
によりオンライン入
力(Readerを利用)
導入年度
・AdobePDF
・Acrobat Capture
導入形態
米 国連邦食品医薬
局 (FDA)
米国破産裁 判所
米国航空管制 局
・Adobe Acrobat
・Acrobat Capture
・Adobe Acrobat
1997:PDFを導入し、製
薬会社にN DA(新薬認
可手続き)をPDFで提
出することを認めた
・AdobePDF
・Adobe Acrobat
・Adobe Acrobat
(メインフレーム:84
台、WorkStation:
1500台、PC:10万台
以上)
・オンライン資料の可搬性 ・オリジナル資料の
・無料であ るReaderの大衆 忠実性(公的文書に
性/認知性
は必須)
・オリジナル資料の忠実性
・オリジナル資料の
忠実性(Font、注釈、
Platform)
・Acrobatは使い易い
・PDFの大衆性/認知
性
・電子フォーム入力によ り
裁判資料の提出
・全ての納税申告書
をPDFで作成しWeb
で公開
・電子フォーム入力に
より裁判資料の提出
裁判所、弁護士、第三者
(判例参照人等)
IRS、納税者
FDA、製薬会社
膨大な紙資料の管理
<納税者>
・フォーム入手コスト
(フリーダイヤル料、
配布時間)
<IRS>
・納税者が負担して
きたフォーム配布の
費用削減
・フォームの管理費
等
<FDA>
・紙の管理費等
<製薬会社>
・認可スピードを早め、
早期の市場投入
導入理由
利用形態
顧客
ニーズ
・裁判資料へのアクセス性 ・紙削減効果
を高める
・紙削減効果(ファイリング
の手間、保管庫の削減、消
失の危険回避、紙コストの
削減等)
効果
・新薬の認可申請の調
査期間を短縮、効率化
→FDAが増収
・製薬会社も早期の市
場投入で大幅な増収
・審査作業の迅速化(し
おり&リンク機能で、複
数文書へのフルテキ検
索。注釈機能でコメント
付与。)
・電子署名により校閲
に有用
・紙削減効果
・判例にすばやくアク ・重要な情報を常に
セス
最新に保ち、航空管
・資料保管施設のコ 制官がいつでも参照
スト削減
付録4(続き):PDF 導入事例(Adobe のサイトより作成)
米国郵政 局
世界保健
機関
NASA 合衆国連 邦政府 インド・オ ーストラリア 政府
(WHO)
1993:PDFデ ータをイン CDCの紹
ターネットに登場
介により採
1995:重要な公衆衛星 用
情報をPDFでWebに公
開
導入年度
導入形態
連邦 疫病管理予防
センター(CD C)
・AdobePDF
・Adobe Acrobat
・Adobe Acrobat
・Adobe
FrameMaker
・オリジナル資料の忠
実性(科学誌に掲載さ
れている特殊文字をエ
ラ ーなしに忠実に再現
するこ とが必要
↓
膨大なテストを重ね、
PDFのみが、埋め込ん
だ全ての特殊文字を
完璧に再現した。
<インド>
・オリジナル資料の忠実性(法
律で電子紙が紙の名簿と正確
に同じ外観になるように定めら
れている)
・名簿をインド公用語として認
めている18言語の全てで出版
しなければならない
<オーストラリア>
・オリジナル資料の忠実性(多
民族、多言語での出版が必要)
・PDFの大衆性/認知性
・Readerが無料
導入理由
・Webで公衆衛星情報
を毎週公開
利用形態
スペー
スリン
ク(教育
教材)
の提供
顧客
ニ ーズ
効果
・郵便情報のライブ
ラリを作成し、大量
の郵便物を扱う企
業向けの顧客サー
ビスの向上
付録5:Adobe と新規プレーヤとの製品価格の比較
・公文書をPDFで 有権者名簿から家庭裁判所ま
公開
で、あらゆる刊行物に採用
・電子フォー ムで
オンライン入力に
よる提出
・電子投票
Adobe
Acrobat 9 Pro Extended
Acrobat 9 Pro
Acrobat 9 Standard
89,565円
57,540円
36,540円
ソースネクスト
いきなりPDF 7
いきなりPDF to Data 7
いきなりPDF EDIT 7
いきなりPDF from スキャナ 2
2,990円
2,990円
6,980円
1,980円
書けまっせ!!PDF
書けまっせ!!PDF2
リッチテキストPDF
リッチテキストPDF2
リッチテキストPDF5.2
瞬簡PDF 3
『書けまっせ!!PDF4』
『PDFスイート3』
7,980円
7,980円
10,290円
10,290円
15,540円
3,990円
13,440円
24,990円
JUST PDF [作成・高度編集] 通常版
JUST PDF [作成・編集] 通常版
JUST PDF [作成] 通常版
9,800円
4,800円
2,000円
アンテナハウス
ジャストシステム
付録6:Acrobat の価格推移
A cr ob at の 価 格 推 移 (日 本 市 場 ) ※ 価 格 は 全 て 「通 常 版 」製 品 の 値
A d obe A c robat 9 P ro E xtended日 本 語 版
89,56 5円
( Wind ows版 )
A crob a t 9
A crob a t 8
A crob a t 7
A crob a t 6
A crob a t 5
A d obe A c rob at 9 P ro日 本 語 版
( Wind ows版 / M acintos h版 )
57,54 0円
A d obe A c rob at 9 Stan d ar d 日 本 語 版
( Wind ows版 )
36,54 0円
A d obe A c rob at 8 P rofessional 日 本 語 版
( Wind ows 版 / Ma cintosh 版 )
57,54 0円
A d obe A c rob at 8 Stan d ar d 日 本 語 版
( Wind ows 版 )
36,54 0円
A d obe A c robat 7 .0 P rofessional 日 本 語 版
( Wind ows版 / Ma cint osh 版 )
57,54 0円
A d obe A c rob at 7 .0 St and ar d 日 本 語 版
( Wind ows版 / Ma cint osh 版 )
36,54 0円
A d obe A c robat 6 .0 P rofessional 日 本 語 版
( Wind ows版 / Ma cin tosh版 )
54,80 0円
A d obe A c rob at 6 .0 St and ar d 日 本 語 版
( Wind ows版 / Ma cin tosh版 )
34,80 0円
A d obe A c rob at 5 .0 日 本 語 版
( Windows版 、M acintosh版 )ア ド ビ ス ト ア 提 供 価 格
28,31 0円
Acrobatの価格推移(米国市場) ※価格は全て「通常版」製品の値
Adobe Acrobat 9 Pro Extended
Acrobat 9
Adobe Acrobat 9 Professional
US$449.00
Adobe Acrobat 9 Standard
Acrobat 8
Acrobat 7
Acrobat 6
Acrobat 5
Acrobat 4
Adobe Acrobat 8 Professional
US$449.00
Adobe Acrobat 8 Standard
US$299.00
Adobe Acrobat 7.0 Professional
US$449.00
Adobe Acrobat 7.0 Standard
US$299.00
Adobe Acrobat 6.0 Professional
US$449.00
Adobe Acrobat 6.0 Standard
US$299.00
Adobe Acrobat 5.0
US$249.00
Adobe Acrobat 4.0
US$249.00
付録7:Acrobat 及び AdobeReader の特許一覧
Acrobat 及び AdobeReader(Ver6.0)関連特許リスト
(注:先頭に○を付した案件は loyalty free)
(注:色塗りした案件は loyalty free でない)
○を付した案件の内容は PDF 作成機能(Writer)に関するものである。
#
1
2
3
4
5
6
7
8
9
○
10
11
○
12
13
○
14
○
15
16
17
18
○
19
20
Pat. No.
Abstract
U.S. 4,837,613 表示、印刷時の色選択
U.S. 5,050,103 漢字表示方法
フォント置き換え
U.S. 5,185,818
(類似のフォントに置き換える)
フォント表示方法
U.S. 5,200,740
(pixelを補うことでドット抜けを防ぎ、低解像度でも読み易くする)
U.S. 5,233,336 フォント表示方法(ラスタライズ関連)
U.S. 5,237,313 低解像度でのキャラクタ表示法(ラスタライズ関連)
U.S. 5,255,357 低解像度でのキャラクタ表示法(ラスタライズ関連)
複数ウィンドウ?の表示方法
U.S. 5,546,528 (複数のツールボックスを表示し、それぞれのボックスで操作処
理を選択できる)
テキストとスキャンイメージを併せて、ディスプレイ用のラスタイ
U.S. 5,625,711
メージを作成
複数の記事間がリンクされてるPDFの表示に際して、逐次的に
U.S. 5,634,064 次のリンク先記事へ移動するもの(新しいファイルフォーマットの
利用に関するものと思われる)
5625711のCA
U.S. 5,729,637 (テキストとスキャンイメージを併せて、ディスプレイ用のラスタイ
メージを作成)
multi-page documentの構成で、ページオフセットテーブルを持つ
構成
multi-page documentのダウンロード方法で、ページオフセット
U.S. 5,737,599
テーブルを利用することで、特定ページのダウンロード指示に対
応でき、ダウンロードの高速化を図るもの
(PDFのファイルフォーマットに関するものと思われる)
U.S. 5,754,873 ラスタイメージ(テキスト対象)の拡大方法
5737599に類似。5737599のCIP親?
U.S. 5,781,785
(PDFのファイルフォーマットに関するものと思われる)
5737599の分割
U.S. 5,819,301
(PDFのファイルフォーマットに関するものと思われる)
PDFドキュメントからテキストワードの選択および抽出
U.S. 5,832,530 (ページ定義ではワードと特定されないワードを位置等から特
定)
page description language file(?)からテキストワードの選択およ
U.S. 5,832,531 び抽出
(後でワード検索に利用)
U.S. 5,835,634 bitmap比較によるノイズ除去。OCR関連
5737599の分割。テキストをobjectの上に描画
U.S. 5,860,074
(PDFのファイルフォーマットに関するものと思われる)
文字表示方法
U.S. 5,929,866
(ベクターイメージのラスタライズにおけるアンチエイリアス処理)
付録7(続き):Acrobat 及び AdobeReader の特許一覧
○
U.S. 5,929,866
21
U.S. 5,930,813
22
U.S. 5,943,063
23
U.S. 5,995,086
24
U.S. 5,999,649
25
U.S. 6,028,583
26
U.S. 6,049,339
27
U.S. 6,073,148
28
【PDF1.4の新機能に関する内容】
U.S. 6,185,684 許可属性を埋め込むことによるセキュアなアクセス(許可属性を
付与されていない者による勝手に変更できないこと)を実現
29
【PDF1.4の新機能に関する内容】
U.S. 6,205,549 公開鍵での暗号化によるPDFへのセキュアなアクセス(受取人に
指定されていない者による暗号解読ができないこと)を実現
30
○
○
文字表示方法
(ベクターイメージのラスタライズにおけるアンチエイリアス処理)
テキストオブジェクトを的確にハイライト表示する方法
文字表示方法
(ベクターイメージのラスタライズにおけるアンチエイリアス処理)
文字表示方法
(フォントの特徴を保ったまま軸を変化させることで多くの書体を
生成して表示できる)
5625711のCA
(テキストとスキャンイメージを併せて、ディスプレイ用のラスタイ
メージを作成)
【PDF1.5の新機能に関する内容】
マルチメディアコンテンツの埋め込み
(PDFのファイルフォーマットに関するものと思われる)
【PDF1.4の新機能に関する内容】
透明効果による表現力の向上
(透明効果を使うと、重なった複数のオブジェクトのうち、下に
なっているオブジェクトが上のオブジェクトを透かして表示される
ことで表現力が増す。)
5860074の分割(5737599の孫)
【PDF1.4の新機能に関する内容】
OpenTypeFontを用いた表示に関するもの
フォント定義が含まれたドキュメントを当該フォントを保持してい
ない端末で表示する場合、1)保持しているフォントで一旦表示し
て、2)フォントサーバから定義されているフォントをダウンロード
して、3)ダウンロードしたフォントで再表示する。
20
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
U.S. 6,275,587 暗号化と複合化に関する内容
【PDF1.4の新機能に関する内容】
透明効果による表現力の向上
U.S. 6,289,364 (透明効果を使うと、重なった複数のオブジェクトのうち、下に
なっているオブジェクトが上のオブジェクトを透かして表示される
ことで表現力が増す。)
U.S. 6,324,555
U.S. 6,385,350
U.S. 6,408,092 Adobe がバージョンアップで追加した新機能についても、
U.S. 6,411,730
新機能を作成する部分(Writer)の特許権はロイヤリティ
U.S. 6,415,278
U.S. 6,421,460 フリーとなっている。
U.S. 6,466,210
U.S. 6,507,848
U.S. 6,515,675
付録8:PDF の仕様書(PDF Reference
バージョン 1.7)
< http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/pdf_reference_1-7.pdf >
参照
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------1.4Intellectual Property
Adobe owns copyrights in the PDF Reference. Adobe will enforce its copyrights. One
reason Adobe must retain its copyrights in the PDF Reference is to maintain the
integrity of the Portable Document Format standard and ensure that the public
can distinguish between the Portable Document Format and other interchange formats
for electronic documents. Nonetheless, Adobe desires to promote the use of the Portable
Document Format for information interchange among diverse products and applications.
Accordingly, Adobe gives permission to everyone under
its copyrights to copy, modify, and distribute any example code in the written
specification, to the extent necessary to implement the Portable Document Format
in a manner compliant with the PDF Reference.1
PDF の仕様に従順(compliant)であることが、PDF の仕様に対する著作権
の利用を許可する条件とされている。
Adobe Systems Incorporated and its subsidiaries own a number of patents covering
technology disclosed in the PDF Reference. Nothing in the PDF Reference itself
grants
rights
under
any
patent.
Nonetheless,
Adobe
desires
to
encourage
implementation of the PDF computer file format on a wide variety of devices and
platforms, and for this reason offers certain royalty-free patent licenses to PDF
implementors worldwide. To review those licenses, please visit
http://www.adobe.com/go/developer_legalnotices.
1.This example code includes, but is not limited to, the copyrighted list of data
structures, operators,
and PostScript language function definitions, that were referenced in PDF Reference,
fifth edition, version 1.6, Section 1.5 (Intellectual Property).
PDF の仕様(data structures、operators、PostScript language function definitions、
example code)が著作権で保護されている。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
付録8(続き):PDF の仕様書(PDF Reference
バージョン 1.6)
<http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/pdf_reference_archives/P
DFReference16.pdf>
参照
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------1.5 Intellectual Property
The general idea of using an interchange format for electronic documents is in the
public domain. Anyone is free to devise a set of unique data structures and
operators that define an interchange format for electronic documents. However,
Adobe Systems Incorporated owns the copyright for the particular data structures
and operators and the written specification constituting the interchange format
called the Portable Document Format. Thus, these elements of the Portable
Document Format may not be copied without Adobe’s permission.
PDF の仕様(data structures、operators、PostScript language function definitions、
example code)が著作権で保護されている。
Adobe will enforce its copyright. Adobe’s intention is to maintain the integrity of
the Portable Document Format standard. This enables the public to distinguish
between the Portable Document Format and other interchange formats for electronic
documents. However, Adobe desires to promote the use of the Portable
Document Format for information interchange among diverse products and
applications. Accordingly, Adobe gives anyone copyright permission, subject to
the conditions stated below, to:
• Prepare files whose content conforms to the Portable Document Format
• Write drivers and applications that produce output represented in the Portable
Document Format
• Write software that accepts input in the form of the Portable Document Format
and displays, prints, or otherwise interprets the contents
• Copy Adobe’s copyrighted list of data structures and operators, as well as the
example code and PostScript language function definitions in the written
specification, to the extent necessary to use the Portable Document Format for
the purposes above
PDF の仕様に従順(conforms to the Portable Document Format/represented in the Portable Document
Format/in the form of the Portable Document Format)であることが、上記で述べた PDF の仕様に
対する著作権の利用を許可する条件とされている。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
付録8(続き):PDF の仕様書(PDF Reference
バージョン 1.5)
※バージョン 1.6 と同様の記載
<http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/pdf_reference_archives/P
DFReference15_v6.pdf>参照
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------1.4 Intellectual Property
The general idea of using an interchange format for electronic documents is in
the public domain. Anyone is free to devise a set of unique data structures and
operators that define an interchange format for electronic documents. However,
Adobe Systems Incorporated owns the copyright for the particular data structures
and operators and the written specification constituting the interchange format
called the Portable Document Format. Thus, these elements of the Portable
Document Format may not be copied without Adobe’s permission.
Adobe will enforce its copyright. Adobe’s intention is to maintain the integrity of
the Portable Document Format standard. This enables the public to distinguish
between the Portable Document Format and other interchange formats for electronic
documents. However, Adobe desires to promote the use of the Portable
Document Format for information interchange among diverse products and
applications. Accordingly, Adobe gives anyone copyright permission, subject to
the conditions stated below, to:
• Prepare files whose content conforms to the Portable Document Format
• Write drivers and applications that produce output represented in the Portable
Document Format
• Write software that accepts input in the form of the Portable Document Format
and displays, prints, or otherwise interprets the contents
• Copy Adobe’s copyrighted list of data structures and operators, as well as the
example code and PostScript language function definitions in the written
specification, to the extent necessary to use the Portable Document Format for
the purposes above
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
付録8(続き):PDF の仕様書(PDF Reference
バージョン 1.4)
※バージョン 1.6 と同様の記載
<http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/pdf_reference_archives/P
DFReference.pdf>参照
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------1.4 Intellectual Property
The general idea of using an interchange format for electronic documents is in
the public domain. Anyone is free to devise a set of unique data structures and
operators that define an interchange format for electronic documents. However,
Adobe Systems Incorporated owns the copyright for the particular data structures
and operators and the written specification constituting the interchange
format called the Portable Document Format. Thus, these elements of the Portable
Document Format may not be copied without Adobe’s permission.
Adobe will enforce its copyright. Adobe’s intention is to maintain the integrity of
the Portable Document Format standard. This enables the public to distinguish
between the Portable Document Format and other interchange formats for electronic
documents. However, Adobe desires to promote the use of the Portable
Document Format for information interchange among diverse products and
applications. Accordingly, Adobe gives anyone copyright permission, subject to
the conditions stated below, to:
• Prepare files whose content conforms to the Portable Document Format
• Write drivers and applications that produce output represented in the Portable
Document Format
• Write software that accepts input in the form of the Portable Document
Format and displays, prints, or otherwise interprets the contents
• Copy Adobe’s copyrighted list of data structures and operators, as well as the
example code and PostScript language function definitions in the written
specification, to the extent necessary to use the Portable Document Format for
the purposes above
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
付録8(続き):PDF の仕様書(PDF Reference
バージョン 1.3)
※バージョン 1.6 と同様の記載
<http://www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/devnet/pdf/pdfs/pdf_reference_archives/P
DFReference13.pdf>参照
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------1.4 Copyright Permission
The general idea of using an interchange format for electronic documents is in the
public domain. Anyone is free to devise a set of unique data structures and operators
that define an interchange format for electronic documents. However, Adobe Systems
Incorporated owns the copyright for the particular data structures and operators and
the written specification constituting the interchange format called the Portable
Document Format. Thus, these elements of the Portable Document Format may not be
copied without Adobe’s permission.
Adobe will enforce its copyright. Adobe’s intention is to maintain the integrity of the
Portable Document Format standard. This enables the public to distinguish between
the Portable Document Format and other interchange formats for electronic
documents.
However, Adobe desires to promote the use of the Portable Document Format for
information interchange among diverse products and applications. Accordingly, Adobe
gives copyright permission to anyone to:
• Prepare files whose content conforms to the Portable Document Format
• Write drivers and applications that produce output represented in the Portable
Document Format
• Write software that accepts input in the form of the Portable Document
Format and displays, prints, or otherwise interprets the contents
• Copy Adobe’s copyrighted list of data structures and operators, as well as the example
code and PostScript language function definitions in the written specification, to the
extent necessary to use the Portable Document Format for the purposes above
The only condition of such copyright permission is that anyone who uses the
copyrighted list of data structures and operators in this way must include an
appropriate
copyright notice. This limited right to use the copyrighted list of data
structures and operators does not include the right to copy this book, other copyrighted
material from Adobe, or the software in any of Adobe’s products that use
the Portable Document Format, in whole or in part, nor does it include the right
to use any Adobe patents (except as may be permitted by an official Adobe Patent
Clarification Notice).
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------付録9:Legal notices for developers
※PDF 作成機能に係る特許権をロイヤリティフリーとしてライセンスする条件
<http://partners.adobe.com/public/developer/support/topic_legal_notices.html>参照
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------Adobe Patent Clarification Notice:
Reading and writing PDF files
Adobe has a number of patents covering technology that is disclosed in the Portable
Document Format (PDF) Specification, version 1.3 and later, as documented in PDF
Reference and associated Technical Notes (the "Specification"). Adobe desires to
promote the use of PDF for information interchange among diverse products and
applications. Accordingly, the following patents are licensed on a royalty-free,
nonexclusive basis for the term of each patent and for the sole purpose of developing
software that produces, consumes, and interprets PDF files that are compliant with the
Specification:
U.S. Patent Numbers:
PDF の仕様に従順(compliant)であることがロイヤリティフ
リーの条件とされている。
* 5,634,064
* 5,737,599
* 5,781,785
* 5,819,301
* 6,028,583
* 6,289,364
PDF 作成機能(Writer)に係る特許権がロイヤリティフリー
* 6,421,460
となっている。
In addition, the following patent is licensed on a royalty-free, nonexclusive basis for
its term and for the sole purpose of developing software that produces PDF files that are
compliant with the Specification (specifically excluding, however, software that
consumes and/or interprets PDF files):
U.S. Patent Number:
* 5,860,074
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
付録10:世界のソフトウェア企業における営業利益総額のランキング
<本川裕
「社会実情データ図鑑」
オンライン、
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5430.html>より引用
付録11:Flash の仕様(2001 年)
<http://web.archive.org/web/20010210100431/www.macromedia.com/software/flash/ope
n/licensing/fileformat/license2.html>参照
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------MACROMEDIA, INC
Macromedia Flash File Format (SWF) Software Development Kit (SDK) License
Agreement
3.
Restrictions
By using the licenses above, you agree to the following restrictions:
a
You will not make or distribute copies of the SDK, or electronically transfer the SDK
outside your company.
b
You will not modify, sell, rent, transfer, resell for profit, distribute, or create
derivative works based upon the SDK or any part thereof other than to develop products
that output SWF.
c
You will not export or re-export, directly or indirectly, the SDK into any country
prohibited by the United States Export Administration Act and the regulations
thereunder.
d
You agree to identify the SWF output from within your Product, whether from the
Save As, Export, or equivalent menus, as "Macromedia Flash (SWF)" and to refer to
Macromedia
Flash
according
to
the
Trademark
Usage
Guidelines
at
http://www.macromedia.com/go/flash_trademark.
e
If your Product SWF export support will be added via a stand-alone plug-in or
equivalent, you agree to identify the SWF export feature as '[Product] Exporter for
Macromedia® Flash™'.
f
You agree that your Product must output SWF files that can playback without Errors
in the latest versions of the Microsoft Windows, Apple Macintosh, and Linux
Macromedia
Flash
Players
http://www.macromedia.com/go/flashsource_platforms
as
listed
("Macromedia
at
Supported
Platforms") as may be amended from time to time at Macromedia's sole discretion.
g
You agree that your Product must output SWF files that can be opened without
Errors in the latest version of the Macromedia Flash authoring software listed at
http://www.macromedia.com/software/flash/open/licensing/fileformat/fileformat.html.
仕様に従順(without Errors)であることが、公開した仕様の利用を許可する条件とされ
ている。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------付録11(続き):Flash の仕様(2006 年
※Adobe がマクロメディアを買収後)
<http://web.archive.org/web/20010210100431/www.macromedia.com/software/flash/ope
n/licensing/fileformat/license2.html>参照
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
3. Restrictions
a. You may not use the Specification in any way to create or develop a runtime, client,
player, executable or other program that reads or renders .SWF.
Adobe が追加した条項
Reader の作成を禁止している(Adobe の FlashPlayer と競合するソフトウェアを作っては
いけない)
b. You will not make or distribute copies of the Specification, or electronically transfer
the Specification outside your company.
c. You agree to identify the SWF output from within your Product, whether from the
Save As, Export, or equivalent menus, as "Macromedia Flash (SWF)" and to refer to
Macromedia
Flash
according
to
the
Trademark
Usage
Guidelines
at
http://www.macromedia.com/go/flash_trademark.
d. If your Product SWF export support will be added via a stand-alone plug-in or
equivalent, you agree to identify the SWF export feature as ‘[Product] Exporter for
Macromedia Flash’.
e. You agree that your Product must output SWF files that can playback without Errors
in the latest versions of the Microsoft Windows, Apple Macintosh, and Linux
Macromedia
Flash
Players
as
http://www.macromedia.com/go/flashsource_platforms
listed
("Macromedia
at
Supported
Platforms") as may be amended from time to time at Macromedia’s sole discretion.
f. You agree that your Product must output SWF files that can be opened without Errors
in the latest version of the Macromedia Flash authoring software listed at
http://www.macromedia.com/software/flash/.
仕様に従順(without Errors)であることが、公開した仕様の利用を許可する条件とさ
れている。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------付録12:java の仕様書(Java Language Specification)
<http://java.sun.com/docs/books/jls/third_edition/html/jcopyright.html>参照
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------Java Language Specification
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nontransferable, perpetual, worldwide limited license (without the right to sublicense)
under SUN's intellectual property rights that are essential to practice this specification.
This license allows and is limited to the creation and distribution of clean room
implementations of this specification that: (i) include a complete implementation of the
current version of this specification without subsetting or supersetting; (ii) implement
all the interfaces and functionality of the required packages of the Java 2 Platform,
Standard Edition, as defined by SUN, without subsetting or supersetting; (iii) do not
add any additional packages, classes, or interfaces to the java.* or javax.* packages or
their subpackages; (iv) pass all test suites relating to the most recent published version
of the specification of the Java 2 Platform, Standard Edition, that are available from
SUN six (6) months prior to any beta release of the clean room implementation or
upgrade thereto; (v) do not derive from SUN source code or binary materials; and (vi) do
not include any SUN source code or binary materials without an appropriate and
separate license from SUN.
仕様に従順であることが、公開した仕様の利用を許可する条件とされている。
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小川紘一(2009c)「製品アーキテクチャのダイナミズムとオープン国際分業の進展-日本型イ
ノベーション・システムの再構築に向けて(2)-」東京大学知的資産経営・総括寄付講座
IAM Discussion Paper Series #003
小川紘一(2009d)「ネットワーク型産業の国際標準化と知財マネージメント-日本型イノベー
ション・システムの再構築に向けて(3)-」東京大学知的資産経営・総括寄付講座 IAM
Discussion Paper Series #004
小川紘一(2010)「知財立国のディレンマ-日本型イノベーションシステムと企業制度(3)-」
東京大学知的資産経営・総括寄付講座 IAM Discussion Paper Series #015
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『東京大学ものづくり経営研究センターディスカッションパーパー』No.197
立本 博文(2008c)「GSM 携帯電話③ アーキテクチャとプラットフォーム―欧州はどのよ
うに通信産業の競争力を伸ばしたのか」
『東京大学ものづくり経営研究センターディスカ
ッションパーパー』No.204