Japan Book in Japanese 16

富士通
会社概要
インドにおける富士通
富士通株式会社(Fujitsu Limited; 以下「富
士通」と表記)は、全世界に情報技術と通信ソ
リューションを提供している大手企業であり、
1935年に設立された。東京に本社を置く同社
は、全世界に15万人を超える従業員を擁し、
2005年3月期の売上高は438億ドルを超えてい
る。
富士通は、1982年、ニューデリーに連絡事務所
を開設してインドのマーケットに進出した。そ
れ以来、富士通は、BSNL、MTNL、VSNLといった
インド企業や、固定および携帯の民営通信事業
者に通信機器を提供している。
富士通はR&D(研究開発)にきわめて積極的に
取り組んでおり、日本、中国、英国および米国
に研究所を設置し、研究を担当する科学者の数
は1,500名以上。2005年3月期における同社の研
究開発費は、22.4億ドルにも達している。富士
通の研究活動は知的財産基盤の拡充に貢献して
おり、同社の所有する特許は3万2,000件以上に
もなっている。
富士通の事業活動は、コンピュータ製品やソフ
トウエア、通信およびマイクロエレクトロニク
ス、エレクトロニクス・デバイスなど多岐にわ
たっている。また、コンサルティングやシステ
ムインテグレーション、ITインフラストラクチ
ャ管理、ソリューションなどさまざまなサービ
ス事業も展開している。
富士通は、ウォールストリート・ジャーナル紙
のネットワーク・セキュリティ分野の企業を対
象とした「2005年度イノベーション・アワー
ド」や「クイーンズ・アワード ― イノベーシ
ョン2005」をはじめとする、数多くの賞を受賞
している。
富士通インディア
富士通インディア(Fujitsu India Ltd.)
は、富士通本社の全額出資子会社で1997年に
設立された。インドでの情報・通信技術(
Information and Communication Technology:
ICT)分野に重点を置いており、親会社のICTソ
リューションの流通・販売およびサポートを行
っている。
富士通オプテル
富士通オプテル(Fujitsu Optel Limited:
FOTEL)は、ISO-9002を取得しており、富士通
とマディヤ・プラデシュ州営エレクトロニクス
開発(Optel)およびOptel テレコミュニケー
ションとのアライアンス関係から生まれた会社
である。1994年に、新世代伝送用およびデジタ
ル・マイクロ波無線用機器の設計、開発、製造
および販売を目的として設立された。それ以
降、製品ラインを拡大するとともに、フィージ
ビリティ調査、据え付けと試運転、システム設
計とエンジニアリング、年間保守契約といった
サービスにも着手。富士通オプテル社は、デジ
タル・マイクロ波機器、デジタル伝送システム
およびネットワーク・アクセス製品の生産施設
をマディヤ・プラデシュ州のマンディディープ
に持っている。
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富士通マイクロエレクトロニクス・アジア
パシフィック
富士通マイクロエレクトロニクス・アジアパシ
フィック(Fujitsu Microelectronics Pacific
Asia Ltd.)は、親会社の多様なマイクロエレ
クトロニクス製品の販売、マーケティングおよ
びサポートを子会社として担当。業務の中心は
アジア太平洋地域。
富士通ゼネラル
富士通ゼネラル(Fujitsu General Limited)
は、窓付け型および室外型エアコンの「OGeneral」ブランドを製造しているETA エンジ
ニアリング・プライベートとのコラボレーショ
ンを通じてインドで事業を展開。製品は、ポ
ンディチェリにあるETAの工場で製造されてい
る。
地場企業とのコラボレーション
富士通のインドにおけるプレゼンスは、子会社
である富士通インディアや富士通マイクロエレ
クトロニクス・パシフィックアジアを通じてだ
けでなく、インドの地場企業とのパートナーシ
ップを通じても発揮されている。富士通ゼネラ
ルは、エアコンの製造ではETA エンジニアリン
グ・プライベートと提携しているほか、マディ
ヤ・プラデシュ州営エレクトロニクス開発(
Optel)およびオプテル・テレコミュニケーシ
ョンとは共同で富士通オプテルを設立。さら
に、RPG グループとは合弁でゼンサー・テクノ
ロジーを設立。その結果、富士通ではパートナ
ー企業の専門性と経営資源を活用してインド市
場での地歩を簡単に築くことが可能となった。
今後の計画
ゼンサー・テクノロジー
(Zensar Technologies)
センサー・テクノロジー(Zensar
Technologies)は、富士通サービスとRPG グル
ープとのインドにおける合弁会社である。ゼン
サー・テクノロジーはさまざまな業界の企業に
ITソリューションを提供している。富士通サー
ビスと富士通サービス・ホールディングの両
社で株式の29.51%を保有している。2004年-
2005年会計年度のゼンサー・テクノロジーとそ
の子会社の営業利益は3,940万ドルである。
成功の要因 強力な技術基盤 24
富士通は、富士通研究所を通じてR&D活動に積
極的に取り組んでおり、富士通研究所では、オ
ーガニック・コンピューティング、ITユーティ
リティ・サービス、高密度データ・ストレージ
および半導体技術といった分野での革新的な
技術研究に着眼している。同社の革新性は、
3万2,000件以上の取得特許を見れば明らかであ
る。このようなR&D活動を通じて、インドにお
ける子会社は、最新の技術を取り入れた製品を
継続的に導入することが可能である。
インドIT市場への投資
富士通コンサルティングでは、インドのIT市場
への参入を計画しており、先ごろ、インドに全
額出資子会社のラピディム・インディアを持
つ、ラピディムを買収した。富士通コンサルテ
ィングでは、ラピダイム・インディアを通じ
て、今後2年間に2,000万ドルをインドのITマー
ケットに投資する計画がある。この投資は、同
社の既存施設の拡充、IT通信インフラストラク
チャの構築などに充てられる予定。また、イン
ドでの従業員数を現在の1,000名から3,500名に
増員する計画もある。富士通コンサルティング
がインド市場で提供するサービスには、SAP、
BI、Oracle、Siebelおよびe-ビジネスといった
新技術の認証も含まれる見通し。
インドにおけるプレゼンスの拡大
富士通インディアでは、インドでのプレゼンス
の強化を図ろうとしている。全国を網羅する、
より包括的なサービス支援のインフラストラ
クチャを構築することに主眼を置いている。
同社では、パートナーのネットワークを、現
在の54社から、2006年には200社前後にしたい
としている。また、サービスセンターの増設
も予定。社屋および小売の最前線に、「コンセ
プト・ゾーン」と「タブレット・ゾーン」を設
置するほか、TFTモニターや、ノートブック用
アクセサリー、PC(企業向けと消費者向けの両
方)、パソコン用キャリーケースを新たに導入
する予定。富士通では、バンガロールに営業所
をすでに開設しており、今後2年間でインドの
ITサーバー市場のシェアを5%にしたいと考えて
いる。
富士通は、ICT(サーバー、PC、ストレージ、
コンポーネントなど)、家電(富士通ゼネラル
の製品)、ソリューション、開発分野(ゼンサ
ー、ラピダイム)のような事業領域の拡大を計
画している。同社は、さまざまなビジネス領域
のトータル・ソリューション・プロバイダーと
してインドにおけるプレゼンスを強化しようと
している。
専用の国際配送センター
富士通サービスはゼンサー・テクノロジーと共
同で、プネにある国際配送センターからヨーロ
ッパ、中東およびアフリカ(EMEA)市場にある
富士通の顧客に統合型のビジネス・ソリューシ
ョンを提供する。この国際配送センターのイン
フラは、すでに富士通サービスのネットワーク
に統合済みであり、今後3年間で、技術スタッ
フの増員も1,000名を目標としている。
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