200号 - 広島日仏協会・広島日仏学院

No. 200
août 2016
2016 年パリ祭
Joyeux 14 juillet!
2016 年7月8日(金)午後6時 30 分からリー
ガロイヤルホテル広島(3階 宮島の間)にて,
台風1号の影響で何年ぶりかの雨での「2016
年パリ祭」
(フランス革命記念日)が開催された.
開場とともに,ソプラノ歌手の大城薫氏の歌
声によるフランス国歌 『ラ・マルセイエーズ』
で会は始まった.
引き続き後藤文生会長から「会員との再会の
喜びと,G 7広島外相会合,念願であったオバ
マアメリカ大統領の初来広で,ヒロシマが世界
にアピールされた」と挨拶された.次にいつも
シャルランリ・ブロソー総領事から挨拶と乾杯
をしていただいていたが,今年は多忙を極めた
日々を過ごされており,欠席されたが,それに
代わり,ティエリー・ダナ駐日フランス大使か
ら出席者に向けて以下(要旨)のようなビデオ
メッセージが届き,会場に映し出された.
「皆さまのお陰で,パリ祭が日本各地で開催
されています.私からの友情のメッセージをお
伝えするとともに,皆さまの取り組みに心から
感謝申し上げます.私たちが活動を進めるには
皆さまの存在がなければ思うに任せません.今
年の前半は特に充実していました.フランスの
首脳や閣僚が来日し,日仏イノベーション年も
昨年 10 月にスタートし,今年 12 月に大阪での
大規模なイベントによって閉幕します.
皆さまにあらためて感謝を申し上げ,楽しい
ひとときを過ごされますように,そしてすばら
しいパリ祭になりますように!」
続いて,望月公正・在広島フランス名誉領事
の乾杯音頭で歓談に入った.
在広フランス人を交えて,会食とおしゃべり
が飛び交っている途中で,各テーブル対抗クイ
ズが始まった.3択クイズで難問もあれば,お
まけ問題も加えて5問を準備.最後の5問目は
後藤会長が投げるサイコロの目当てで,得点も
5倍になった.賑やかに各テーブルで相談をし
て,楽しく進んでいた.
談笑の半ばで,大城氏とピアノの伊藤加恵氏
が再度登場され,ソプラノの歌声でガブリエル・
フォーレ作曲『La Rose』そしてエリック・サ
ティ作曲『Je te veux』が唄われた.
大使が願われたように,楽しいひとときのパ
リ祭は,恒例の抽選会の賞品選びで賑わいなが
らお開きとなった.
パリ祭に協賛していただいた会社は以下のと
おり:サントリー酒類㈱中国・四国支店,㈱中
国放送,㈱テレビ新広島,広島エフエム放送㈱,
広島テレビ放送㈱,㈱広島東洋カープ,㈱広島
ホームテレビ,㈱福屋,㈱平安堂梅坪,㈱みづ
ま工房 , ㈱むさし(五十音順).
-2-
(撮影/小道康弘)
La Rochelle 滞在記
西 猛 ①
準 備
今年3月下旬から6月下旬までフランスに滞
在しました.
目的はフランス語会話の改善に加え,新しい
環境の中で気分を変えリフレッシュすることで
した.半年くらい滞在することも考えましたが,
雑用もありなかなか半年も家を空けられないこ
と,その場合ビザが必要なこともあり,滞在は
3ヵ月間としました.90 日まではビザ無しで滞
在できるからです.語学学校の期間を 11 週,そ
の後 10 日ばかりを旅行に充てることにしました.
海岸のあまり大きくない街に住んでみたかっ
たのでネットで探しましたが,フランスは海岸
線が長いにも拘らず語学学校がある場所はそれ
ほど多くはありません.このうち数回旅行した
ことのある南仏を除くと大西洋岸の数ヶ所に絞
られます.寒がりなのでその中で一番南の La
Rochelle に決定,学校は必然的に Eurocentres
と決まりました.
仲介業者もネットで探し,殆ど個人でやって
いるフランス在住の日本人の業者にお願いしま
した.基本的にメールでやり取りする仕組みで
したが,丁寧な説明があり,また仲介費用もと
てもリーズナブルなものでした.
語学学校
Eurocentres はスイス人経営で,ヨーロッパ
中に支校を持つ大きな組織ですが,ラ・ロシェ
ル校は比較的小規模のものです.
生徒の平均年齢は 20 歳くらい.度々のフランス
旅行を容易にするため,あるいはこの港からヨット
で乗り出すためにフランス語を学ぶ年配者も稀に
はいましたが,こちらはダントツの最年長でした.
一番多いのはやはりスイス人です.スイスで
は 18 歳ごろから仕事をしながら学習の時間が
取れる制度があるようです.(ちなみにスイス
人の平均所得はヨーロッパでも一番高い方で,
また,物価もとても高いようです.)
次に多いのはドイツ人,それからブラジルや
コロンビアなど南米からの生徒です.東アジア
からの生徒はここでは稀で 11 週の期間中では
数人のみ
で し た.
日本人は
3 名 で,
ロンドン
勤務の商
社 マ ン,
La Rochelle 旧港
バカンス
で来たドイツの養護施設で働いている女性,フラン
ス料理を勉強に来ているワーホリの男の子でした.
学校の食堂はフランス人に嫁いでいる日本人女
性の経営で,料理は日替わりでしたが,とても美
味しく,
また日本語で話ができるので助かりました.
授業は基本的には週5日8時半から 12 時半
までですが,インテンシブコースだったのでこ
れに1時間プラスでした.
政治や放送,新聞,TV などのメディア,芸
術関係あるいは文法などジャンル別に,またビ
デオを見たり,読解,ゲームをしたり,あるい
は日常に関する話題などがテーマとなります.
街に出かけて取材?することもありました.
スイス人,南米人たちは例え文法にそれ程強
くなくてもフランス語を滑らかによく喋りま
す.それに自分の意見をすばやくまとめて積極
的に発言することが得意です.またそうするこ
とに慣れているように感じました.
こちらは文法,語彙などいわば正解を言い当
てるテストに於いては比較的強いためか,上級
クラスに入れられたので,生徒たちの会話につ
いて行くのにとても苦労しました.それで,プ
ロフに下のクラスにして欲しいと頼みました
が,“それはいい考えではない,フランス語で
考えるように,話せる筈だからもっと自信を持
つように”と言われました.また“鉛筆を口に
挟んで発音練習するのもいい”と勧められまし
たが,こちらは日本語でも発音が不明瞭でしば
しば聞き返されることが多いので,滑舌をよく
するのは至難の技でした.しかし,会話は自然
に出てきません.まず,日本語→フランス語と
構築を考えている内に,会話は次の話題に移行
しています.この点は最後まで苦労しました.
もっと個人レッスンに近いかたちの 「学校」も
あるので,費用はかかるけどそちらにすればよ
かったか,などと考えたりしましたが,過ぎて
しまえばこれもいい経験だったなどと思ったり
[次号に続く]
しています.(広島日仏学院受講生)
-3-
パリの風景
上村 弘子
2016 年,ゴールデンウイークを利用して,
二回目となるパリを訪れた.
小さい頃からお菓子作り,また手芸等の趣味
を持つ私はとてもフランスに興味を持ってい
る.フランス語の雑誌を買って辞書を片手に記
事を読み,さらに大好きなフランス映画を字幕
なしでみたいと思うようになり,フランス語を
習いはじめた.
はじめてパリを訪れた際に感動したのは,そ
こが想像通りのパリだったことであった.
エッフェル塔や凱旋門を中心に広がる変わら
ぬ街並.セーヌ川のほとりを散歩する人々.あっ
という間に様相を変えて行く東京とは異なり,
古き良き景観が守られていることが,写真や映
画を見て,パリに憧れてやってくる世界中の観
光客を満足させている一因だと思う.
数年前,そんなパリの景観の憧れを募らせた
写真集に出会った.1954-55 年にパリで撮影さ
れた写真集の復刻版である.日本のカメラマン
の先駆け,木村伊兵衛氏が撮ったパリは,生き
生きとした街並みや人々が描かれている.その
中に大好きな一枚の写真がある.ミラボー橋で
ある.1897 年に架けられ,15 区と 16 区を結ん
でいる.ミラボー橋から川をのぞむとその向こ
うには「自由の女神」,そしてエッフェル塔が
正面に見えてくる.
まさにこの情景を 62 年前に木村伊兵衛氏は
レンズに収めていた.同じ視線で同じ風景を今
も眺められるパリは素晴らしいと思った.
2016 年5月ミラボー橋から見たエッフェル塔
数ある公
園もまたパ
リらしい風
情がある.
パリ6区
にあるリュ
クサンブー
ル 公 園 は,
17 世 紀 の
宮殿を公園
にしたもの
で,広大な
庭 園 に は
様々な彫刻も見られる.この公園では,1808
年にリヨンで始まった人形芝居,その主人公を
表題にした「ギニョール」が,常設の小屋で見
ることができる.古い映画等にも登場する,こ
の人形芝居は今でも子供連れの家族が多く見に
きていた.栄華な芸術だけではなく,このよう
な文化を大切にしていることもうれしい.
リュクサンブール宮殿公園内の芝居小屋
このようにパリには,興味さえあれば,一般
の観光ルート以外に沢山の魅力がある.もちろ
ん世界有数のコレクションを誇る多くの美術館
や蚤の市等は観光客に取って大きな魅力である
が,それを満喫した後は,パリを愛した人々の
足跡からまたパリを巡るのも楽しい.1920 年
代のパリに住んでいたヘミングウエイや,1980
年から 20 年近く住んでいたフランス文学者,
辻邦生の住居等がまだ現存しており,記念碑の
プレートがつけられている.プレートを読むと
歴史やその存在が理解でき,より多くの発見に
出会える.また,人々との簡単な会話でも,一
所懸命フランス語を話すと,途端に皆,笑顔で
親切に応対してくれる.パリに憧れ,フランス
語を学ぶことで,パリの探索ははるかに楽しい
(広島日仏学院 受講生)
ものになった.
-4-
29 年目の旧婚旅行
松野 万里
今年の4月半ば,夫と3週間の南欧旅行に行
きました.夫の勤続 30 年の休暇と GW を合わ
せ,結婚 29 年の旧婚旅行,大学院生の次女が
愛犬との留守番を快く引き受けてくれて実現し
ました.
コースは,関空〜パリ〜バルセロナ⇒フィゲ
ラス⇒モンペリエ→ゴルド→フレジュス→サン
トロペ→グラース→ヴァンス→ニース⇒ジェノ
バ〜パリ〜関空(〜飛行機/⇒鉄道/→車)
私が旅程とホテル選択,夫が移動の手配とホ
テルの予約を担当しました.マンネリ夫婦に新
風が吹き込み,会話が増えました.
西仏伊のアートと自然と美食を満喫して,心
身ともにリフレッシュしました.その中で特に
楽しかったレンタカーの旅をご紹介します.
最初はバルセロナからレンタカーで海岸沿い
にフランスに入る計画でしたが,国をまたぐと
割高になることがわかり,鉄道でフランスに入
り,モンペリエ駅でレンタカーを借りて,ニー
スで返却することにしました.
ところがいきなりモンペリエで問題発生,営
業所が駅ではなく空港にあったのです.私は駅
で荷物番,夫が空港に向かいました.結局3時
間待ちました.大きいスーツケース2個から開
放され,助手席のシートに座ったときは,本当
にホッとしました.予約した車とは違う車だっ
たので夫に尋ねると,スーツケースがすっぽり
入るトランクの大きい車に変更したとのこと,
車内の荷物が見えると盗難のリスクが高まるか
らです.しかもナビ付き,これが今回大活躍し
ました.
早速ナビにホテルの住所を入れて発進,外は
大雨でしたが,車内は快適でした.案内通りに
進むと,不思議とやたら横道にそれて旧市街に
入ったり,わざわざ混み合う街中を通ったり.
後でわかったのですが,この時,観光スポット
を巡るコースを選んでいたせいでした.この他,
高速道路利用の時間短縮コース,一般道のみの
節約コースがあり,次からは賢く使い分けまし
た.
新婚旅行の時は,スペインでレンタカーを利
用したのですが,道に迷うとだんだん口数が減
り,険悪なムードになっていました.文明の利
器のおかげでスムーズに目的地に着く事がで
き,車内はいつも和やかでした.
ゴルドを拠点に,ボニュー,ルールマラン,
ルシヨン等の美しい村々とコート・ダジュール
の町を廻りました.リュベロンの山並みと渓
谷,海岸沿いのドライブは最高でした.景色の
いい場所で車を停めて写真を撮ったり散策した
り,時間を気にせず気ままにのんびり過ごしま
した.
あっという間に6日が過ぎ,ニースでの返却
日,まずホテルで荷物を降ろしてびっくり.車
に荷物を置いて身軽だったせいか,陶器や石鹸,
額に古本,マルシェカゴ等々,かさ張る重いお
みやげが増えていました.(後に過重量で苦労
する事になったのは自業自得.)ニースの営業
所は駅に近いパーキングビルで,1階での手続
き後,屋上に返却しました.頼もしい旅の相棒
とのお別れは寂しかったです.
その日のニースは風が強く,海が紺/青/水
色/白の4色のグラデーションで,息をのむほ
ど綺麗でした.夫も私も夢中でシャッターを押
し,いっぱい海の写真を撮りました.
朝な夕なに散歩したプロムナード・デ・ザン
グレ,この度の悲惨なテロ(2016. 7.14)が起
こるなんて誰も想像できないほど美しく,人々
は憩い楽しんでいました.
犠牲になられた方々に,心からお悔やみ申し
上げ,平和が戻りますようお祈りいたします.
(広島日仏学院受講生)
-5-
平成28年度総会
平成 28 年度広島日仏協会総会が,7月8日(金)18 時からリーガロ
イヤルホテル広島において開催された.
開会の辞,後藤文生会長の挨拶,議長選出に引き続き議案審議
にはいった.
平成 27 年度の事業報告そして決算報告を白銀専務理事が行ない,
久保監事から監査報告があった.次いで平成 28 年度事業計画案お
よび予算案の説明が同専務理事からあり,異議なく了承された.
つぎに役員追加の審議に入り,望月公正在広島フランス名誉領事・広島テレビ常勤監査役が理事
に追加され,そして副会長の青木暢之氏に代わり㈱中国放送社長畑矢健治氏,また副会長の大辻茂
氏に代わり㈱広島ホームテレビ社長伊藤裕章氏が就任.任期はお三方とも平成 29 年3月 31 日まで.
原案通り承認された.(役員名簿は下記を参照)
平成 27 年度事業報告,決算報告と平成 28 年度事業計画案,予算案は別紙.
役 員 名 簿
編集後記
平成 27 年4月1日〜平成 29 年3月 31 日
役 職
名誉会長
氏 名
勤 務 先
今回,記念すべき第 200 号となる『広
島日仏協会報』をお送りすることになり
ました.
現在まで1号から途切れることなく発
行を続けることができましたことを会
員の皆様とその他の多くの方々のご協
力とご理解に深く感謝致します.現存し
ている3号から 200 号の内容に眼を通し
ますと,半世紀以上に及ぶ広島日仏協会
とフランス,そして日仏関係の状況をみ
ることができます.それはまさに歴史の
紐と言っていいのではないかと自負も
しております.
本協会の活動報告のみならず,フラン
スとフランス文化にかかわる新鮮な情
報を,直接触れた方々の体験をとおして
できるだけ多様な視野からお伝えする
ことに努力して参りました.当初は,年
4回の季刊でしたが,諸般の事情によ
り 2004(平成 16)年より現在のような
年3回発行となりましたが,200 号とな
り,これからも継続の意志をあらためて
固くしております.
原稿の投稿にご協力いただきました
多くの方々に,また無理をお聞きしてい
ただきました印刷所に改めてお礼を申
し上げます.
2016 年8月 広島日仏協会報編集部(S)
備考
ティエリー・ダナ駐日フランス大使
名誉顧問 シャルル=アンリ・ブロソー在京都フランス総領事
会 長 後藤 文生 広島テレビ放送㈱
副会長 畑矢 健治 ㈱中国放送
伊藤 裕章 ㈱広島ホームテレビ
新任
新任
竹内 泰彦 ㈱平安堂梅坪
箕輪 幸人 ㈱テレビ新広島
原野 昇 広島大学(名誉)
専務理事
白銀 敏枝 広島修道大学(名誉)
理 事 今中 亘 ㈱中国新聞社
大下 龍介 ㈱福 屋
白井 孝司 ㈱みづま工房
杉山 政則 広島大学(医)
玉田 健二 安田女子大学
野口 脩 ㈱三笠屋
野坂 文雄 ㈱もみじ銀行
野村 尊敬 バイオガイアジャパン㈱
福島 真平 広島テレビ放送㈱
望月 公正 広島テレビ放送㈱
新任
山口 真司 広島テレビ放送㈱
山本 修 広島大学(名誉)
吉原 誠 マツダ㈱
2016
28
8月5日
㈱ニシキプリント
監 事 浮田 収 ㈱むさし
久保 雅史 広島エフエム放送㈱
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