クリック - 岡山理科大学動物学科

Bio-Resorces of Mammals,
Department of Zoology,
Faculty of Science,
Okayama University of Science
岡山理科大学理学部動物学科
哺乳類バイオリソース
目 次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
食虫目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
スンクス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
NAG・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
KAT ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
KAT-s ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
SK ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
BK ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
EDS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
BKocao ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
TESS ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
パルバ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
齧歯目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
トゲマウス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
ロシアハタネズミ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
ユーラシアハタネズミ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
トリトンハムスター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
アフリカヤマネ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
スナネズミ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
マウス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
ラット ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
系統維持動物・資源の分与等に関する基準 ・・・・・・ 21
系統維持動物・資源の分与申請書 ・・・・・・・・・・・・・・ 22
1
ライフサイエンス研究における動物資源
岡山理科大学理学部動物学科のバイオリソース
1992年のブラジルサミットにおいて生物多様性条約が採択され、1)生態系
の保全(外来種の排除を含む)、2)資源の持続的利用、3)遺伝資源からの利益
の衡平な配分を国際的に取り組むことが決まった。その後、日本国内においても、
種の保存法(1992年)、動物愛護法(2000年)、鳥獣保護法(2002年)、カルタヘ
ナ法(2004年)、外来生物法(2004年)、感染症法(2004年)、生物多様性基本法
(2009年)が制定、改正、改訂された。そして、2010年10月に開催された生物多様
性条約第10回締約国会議(COP10)において、名古屋議定書が採択され、遺伝資源
の利用により生じた利益を公正かつ衡平に配分することにより、生物多様性の保全
と持続可能な利用に貢献することが明文化され、その国際的取り決めがなされた。
名古屋議定書の適用範囲は、議定書の発効以降であり、派生物は含まないとされて
いるが、今後、
ますます遺伝資源の重要性についての認識が高まるとともに、国際的
な資源獲得競争の激しさが増していくことが予測される。
本邦においては、National Bio-Resources Project(NBRP)が2010年時点で世界
最高水準に到達するということで戦略的整備が進められ、現在は28のプロジェクト
により500万種類以上の生物遺伝資源が蓄積されている。NBRPでは、生物遺伝資
源のうち、国が戦略的に整備することが重要なものについて体系的な収集・保存・
提供等を行うための体勢を整備することを目的としており、
まさにいつでも、
どこで
も、
だれでも、永続的に利用可能な生物遺伝資源が整備され、その生物遺伝資源は
本邦のライフサイエンスの根幹をなしていくことは揺るぎのない事実である。
哺乳類の種数ならびに有胎盤哺乳類の系統関係を次ページの図1、2に示す。
哺乳類全体では、29目、153科、1229属、5416種が知られており
( Wilson and
Reeder, 2005)
、全世界の様々な生態学的地位へと適応放散を遂げており、形態学
的、生理学的、遺伝学的にそれぞれに特徴を有している。
このことから、
ライフサイエ
ンスの研究には、哺乳類(あるいは対象種)の多様性、普遍性、歴史(進化)性を考慮
した多角的なアプローチが求められる。現在、NBRPの対象となっている哺乳類は、
マウス、
ラットおよびニホンザルのみである。
しかし、本邦には、
この他にも多くのバ
イオリソースは存在している。
また、その対象を野生動物にまで広げた場合、陸生哺
乳類は122種が生息している。
これは、本邦が世界に誇る重要なバイオリソースで
あり、名古屋議定書の発効以降、国内の既存のバイオリソースの重要性が再認識さ
れていくであろう。
岡山理科大学理学部動物学科では、動物の多様性、普遍性、歴史(進化)性の理
解によるライフサイエンス研究のためのバイオリソースの構築を目指し、現在、3目
11種23系統の動物を維持しており、今後、
これらバイオリソースの保存を継続する
とともに、多くの方々が利用できるよう努めていきたく思います。皆様からの熱いご
支援・ご協力をお願いし申し上げます。
岡山理科大学理学部動物学科
織田 銑一
2
表1.哺乳綱目別種数一覧(Wilson and Reeder, 2005; 本川ほか, 2006改)
科
属
目
単孔目
2
3
5
オポッサム目
1
17
87
少丘歯目
1
3
6
ミクロビオテリウム目
1
1
1
フクロモグラ形目
1
1
2
フクロネコ形目
3
22
71
バンディクート目
3
8
21
双前歯目
11
39
143
アフリカトガリネズミ形目
2
19
51
ハネジネズミ目
1
4
15
管歯目
1
1
1
イワダヌキ目
1
3
4
長鼻目
1
2
3
海牛目
2
3
5
被甲目
1
9
21
有毛目
4
5
10
登木目
2
5
20
皮翼目
1
2
2
霊長目
15
69
376
兎形目
3
13
92
ハリネズミ形目
1
10
24
トガリネズミ形目
4
45
428
翼手目
18
202
116
鱗甲目
1
1
8
食肉目
15
126
286
奇蹄目
3
6
17
偶蹄目
10
89
240
鯨目
11
40
84
齧歯目
33
481
2277
153
1229
54165146
はじめに
目
計
3
はじめに
図2. 有胎盤哺乳類の系統関係(Murphy et al., 2001)
4
食 虫 目
5
スンクス
学名:Suncus murinus
標準和名:ジャコウネズミ
英名:house musk shrew
バングラデッシュ
ネパール
スリランカ
長崎
多良間島
キャラバン行動
6
食虫目 スンクス
1973年より日本国内は長崎に始まり、沖縄諸島を中心として広く南西諸島にお
よび、国外では、
インドネシア、バングラデッシュ、
スリランカ、ネパール等、
アジア全
域にて捕獲調査、系統化が行われた。
体サイズや毛色は地域集団ごとに変異がかなり大きく、
どこで捕獲された野生ス
ンクスか判別できるほどである。
こうした特徴を踏まえて、地域集団ごとに系統育成
を行っている。
食虫目 スンクス
表2. スンクスの起源による形態差.
起源
Group 1
Bangladesh
性
L
Bangladesh
W
West Bengal
W
Group 2
Sri Lanka
L
Sri Lanka
W
Nepal
L
Group 3
Malaysia
W
Nagasaki
L
Okinawa Is.
L
Fujian, China
W
Group 4
Guam
L
Madagascar
L
Taramal Is.
L
体重(g) 全長(mm) 尾長(mm)
M
F
M
F
M
F
135.3
82.0
147.3
81.7
177.0
103.0
290
251
276
246
ー
ー
104
91
97
88
ー
ー
M
F
M
F
M
F
72.9
49.6
81.9
60.0
94.8
56.0
239
210
245
218
24.6
22.6
98
82
92
78
9.5
8.7
M
F
M
F
M
F
M
F
55.0
45.0
52.9
34.2
50.5
33.8
ー
ー
ー
ー
209
191
ー
ー
205
202
ー
ー
79
74
ー
ー
79
78
M
F
M
F
M
F
44.0
26.0
47.7
29.1
43.5
29.0
199
171
196
172
192
174
64
58
62
55
72
66
7
スンクス NAG
起源:長崎県長崎市茂木
採集:1973年および1975年
体重:♂52.9g、♀34.2g(Group 3)
特徴:スンクスの最初の実験室系統
上顎第三切歯欠如系統
スンクス KAT
起源:ネパール、
カトマンズ
採集:1991年3月
体重:♂94.8g、♀56.0g(Group 2)
特徴:スンクス標準系統
1991年3月にネパールのカトマンズにて捕獲された雄1匹、雌2匹を起源
とする系統。繁殖力に優れ、現在スンクスの標準系統として実験に用いられ
ることが多い。
8
食虫目 スンクス
NAG KAT
現在では、野生スンクスの長崎個体群は絶滅したと考えられている(浦
田,2000)。
そのため、本系統は、長崎個体群を起源とする残された貴重な遺
伝資源である。
スンクス KAT-s
起源:SK
食虫目 スンクス
SK KAT-s
特徴:精巣萎縮系統
SKにて生じた精巣萎縮突然変異をKATに導入した系統。
スンクス SK
起源:スリランカとKATの交雑群
採集:1984年11-12月
(スリランカ)
体重:♂72.9g、♀49.6g(Group 2)
特徴:異数染色体系統
スンクスの標準的な染色体数は、2n=40である。
しかし、インド南部ならび
にスリランカ個体群は2n=30、マレー半島個体群は2n=35-40である。本系
統は、
スリランカにて捕獲された個体に標準染色体数を持つKATを掛け合わ
せ、異数染色体系統として維持・育成を行っている。
9
スンクス BK
起源:バングラデッシュとKATの交雑群
採集:1983年9-11月
(バングラデッシュ)
体重:♂135.3g、♀82.0g(Group 1)
特徴:スンクス最大サイズの系統
スンクス EDS
起源:バングラデッシュ
採集:1993年9-11月
体重:♂135.3g、♀82.0g(Group 2)
特徴:早期糖尿病発症系統
バングラデッシュ個体群より作出された系統である。早期糖尿病発症系統
(EDS: early-onset diabetes in suncus)
である。
10
食虫目 スンクス
BK EDS
これまでに飼育されたスンクスの中で最大サイズの系統である。
毛色は、
灰色であり、波毛(kc)の突然変異起源系統である。
スンクス BK
ocao
起源:沖縄島
採集:2002年9月
食虫目 スンクス
TESS BK ocao
特徴:アルビノ様系統
2002年9月に沖縄島具志堅村(現:うるま市)にて捕獲されたアルビノ
様個体の雄1匹を起源とし、アルビノ様表現型をBKに導入した系統であ
る。本系統は、一般的なアルビノであるチロシナーゼの突然変異体ではな
く、
MATPの一塩基置換により生じた突然変異である。食虫目で初めてアルビ
ノ様原因遺伝子を特定した。
(ocao: occulo-cutaneous albinism Okinawa)
スンクス TESS
起源:沖縄島、
ジャワ島、多良間島、NAG
特徴::red-eyed dilution (rd: 赤色眼淡毛色、沖縄島)
cream coat-color (cr: クリーム毛色、
ジャワ島)
curly hair (ch: 巻き毛、多良間島)
sucrase deficients(suc: スクラーゼ活性欠損NAG)
スンクスのテスター系統(TESS: tester in suncus)
として作出された、4つ
の突然変異を持つ系統である。
11
パルバ
学名:Cryptotis parva
標準和名:ヒメコミミトガリネズミ
英名:least shrew
トガリネズミ亜科
パルバ
ジネズミ亜科
スンクス
トガリネズミ亜科とジネズミ亜科の系統関係(Ohdachi et al., 2006)
12
食虫目 パルバ
1966年に捕獲された32個体を起源として育成された
(Mock and Conaway,
1976)
トガリネズミ亜科唯一の飼育繁殖個体群である。2006年5月にKirksville
College of Osteopathic Medicine(KCOM)
より譲り受け、現在、我が国で唯一岡山
理科大学理学部動物学科でのみ維持繁殖を行っている。
表3. トガリネズミ亜科とジネズミ亜科の比較
パルバ
スンクス
分類
トガリネズミ亜科
ジネズミ亜科
分布
亜寒帯から寒帯
熱帯から亜熱帯
体重
3-6.5g
50-150g
妊娠期間
21-22日
約30日
排卵数
平均5.7(2-11)
平均4(1-7)
産子数
平均4.6(1-9)
平均3(1-6)
出生時体重
平均0.45g
1.2g
性成熟
雄36日 雌31日
雄45日 雌30日
飼育下寿命
平均690日
平均556日
(最大1250日)
(最大1154日)
齧 歯 目
13
トゲマウス
学名:Acomys cahirinus
標準和名:カイロトゲマウス
英名:Cairo spiny mouse, Northeast African spiny mouse
体重:♂23.09g、♀18.63g
起源:1998年宮崎医科大学付属動物実験施設より導入
1960年代より飼育動物化され、遺伝
学、生理学、生態学、行動学などの研究
に広く用いられている。全身を針状毛
で覆われている。
また、マウスやラット
とは異なり、生まれた時点で成長が進
んでいる早成性動物であり、出生時に
既に被毛、開眼、耳介の起立、耳孔の開
口が認めらる。小脳についても、出生時に既にマウスの生後1週齢と同程度である。
このようなことから、水俣病などのような経胎盤性疾患のモデル動物としての可能
性が期待されている。
学名:Microtus rossiaemeridionalis (Microtus levis)
標準和名:ロシアハタネズミ
英名:Russian vole (East European vole)
体重:♂36.5g、♀24.04g
起源:1995年にロシア、サンクトペテルブルク地方にて捕獲。
2000年にロシア科学アカデミーより導入。
Microtus属には60種以上含まれるが、
本種は、性格が比較的温順で飼育が容易。
複胃構造を有しており、低血糖動物であ
る。Microtus属の中にはVFA発酵を行う種
も存在しており、複胃動物のモデルとして
期待。近年では、ハタネズミに近縁の動物
がBSEに高い感受性を持つということから、本種に対しても注目が集まっている。
14
齧歯目
トゲマウス ロシアハタネズミ
ロシアハタネズミ
ユーラシアハタネズミ
学名:Microtus arvalis
標準和名:ユーラシアハタネズミ
英名:common vole
体重:
齧歯目
トリトンハムスター ユーラシアハタネズミ
起源:
トリトンハムスター
学名:Tscherskia triton
標準和名:キヌゲネズミ
英名:Greater long-tailed hamster (Rat-like hamster)
体重:110-174g
起源:1991年中国
ハムスターの中でも、大型な種であるが、繁殖が比較的容易である。草食獣のモ
デル動物、光周性を示す季節繁殖モデル動物として期待される。
15
アフリカヤマネ
学名:Graphiurus murinus
標準和名:アフリカヤマネ
英名:Forest African dormouse
体重:18-30g
昆虫食性の齧歯目であり、無盲腸動物である。近年に導入したばかりであり、今
後、様々な特性について検討を行っていく。
齧歯目
アフリカヤマネ スナネズミ
スナネズミ
学名:Meriones unguiculatus
標準和名:スナネズミ
英名:Mongolian jird (gerbil)
起源:1976年に和歌山医科大学より導入
日本で飼育動物化された動物である。本種は、非常に温順で、飼育が容易であ
る。放射線照射に対して抵抗性を示す。脳の血管走行が他の動物とは異なることか
ら脳梗塞を容易に誘発できる。
また、てんかんを起こしやすいといった動物である
ことから、脳・神経研究に広く普及している。
16
マウス
ATX/Nem-Cts(RBRC00376)
Cts: Cataract and small eye 小眼白内障
第10染色体上の単一優性遺伝子。ヘテロ接合体では白内障、ホモ接合体では明瞭
な小眼白内障を呈す。
B6.Cg-shm/Oda (RBRC02373)
第11染色体上の単一優性遺伝子。行動の異常がある。
ホモで不妊/死亡 。繁殖成
績が低い。
SHM/Nem-Re/+-shm/+ (RBRC00389)
第11染色体単一優性遺伝子。
齧歯目
マウス
B6J.C-Atp2b2<wri>/Oda(RBRC02684)
内耳の異常を伴う運動失調マウスwriggle mouse sagamiより育成されたC57BL/6
コンジェニック系統。常染色体単一劣性遺伝で1塩基置換がある。ホモマウスは生
存性があるものの、行動異常のため雄雌とも繁殖できない。
ホマウスの小脳では小
脳のプルキンジェ細胞の萎縮があり、顆粒細胞のアポトーシスが認められるが、極
端な小脳の萎縮はない。 Joggleマウスでは、第6染色体上のAtp2b2遺伝子内の一
塩基置換によりAtp2b2遺伝子の発現が抑えられ、失調性歩行と内耳の異常を呈す
ることが明らかとなっている。
B6.Cg-Atp2b2jog/Oda(RBRC02683)
dilute-lethal
歩行失調系統であるDSOの系統から生じた内耳の異常を伴う運動
失調マウスjoggle系統(JOG/Oda、RBRC00384)
より育成された C57BL/6コンジ
ェニック系統。常染色体単一の劣性遺伝。ホモマウスは生存性があるものの、行動
異常のため雄雌とも繁殖できない。本マウスの小脳では小脳のプルキンジェ細胞
の萎縮があり、顆粒細胞のアポトーシスが認められるが、極端な小脳の萎縮はな
い。Joggleマウスでは、第6染色体上の Atp2b2遺伝子内に、retrotransposonが挿
入しており、
この挿入によってAtp2b2遺伝子の発現が抑えられ、失調性歩行と内耳
の異常を呈することが明らかとなっている。
17
C3H/HeN-Elo/Elo (RBRC00104)
Elo: Eye lens obsolescens 優性小眼症
常染色体上の優性単一遺伝子(第1染色体).水晶体の著しい退行性異常を示す.
眼球以外には異常はなし
C3H/HeNem-ruf/+ (RBRC00377)
ruf: rough fur 皮膚被毛異常疾患
第9染色体単一劣性遺伝子.形態的汗腺の異常(高脂質形成)
.生後,13日頃から毛
と皮膚が水に濡れたような症状を呈する.生後13日目以前は正常と同じように成
長し,生後50日目以降は毛並みが荒れている形態しかみられない.
C57BL/6-Hm/+-rl/+ (RBRC00379)
rl: reeler 遺伝性歩行異常.第5染色体劣性遺伝子.脳の皮質構築に異常が引き
起こされる.Reelerマウス歩行を開始する2週間頃に発症し,通常の飼育では4週齢
頃に死亡する.飼料摂取や飲水を可能にするように飼育管理を十分に行なえば,寿
命を全うする.
C57BL/6By-Sd/+-Re (RBRC00380)
第11染色体。Sd: 優性短尾,腎欠損 Re: 巻き毛
JIL(RBRC00841)
北東アジア産野生マウス由来。
KDT/Nem -Lb/+ -p/+ (RBRC00386)
ホモ致死短尾症lethal brachyury, Lb,p: pink eyed dilution 遺伝性短尾
常染色体上の単一優性遺伝子.尾の異常を呈し,尾無から短曲尾まで変異がみ
られる.尾の異常以外は無い.ホモ接合体は胎生期に死亡する.p:
pink-eyed
dilution(赤眼,網膜色素形成阻害,第7染色体)は不確定.
18
齧歯目
マウス
Hm: hammer-toe.第5染色体優性遺伝子.Hammer-toeマウスは胎生15日以降で
は指の外形観察により,その遺伝子ホモ型(ハンマー状),ヘテロ型(水掻き状)の
判別が可能である.Rl遺伝子座の近位にある
(組換え価3.935±0.693%)
.
マウス
PIC/Nem-Pdn/+ (RBRC00387)
Pdn: Polydactyly Nagoya 遺伝性多指症
ヘテロ接合体において後肢第1指の多指症を表し,ホモ接合体において前後肢と
もに軸前側に1から3本の過剰指を現し,約20%の外脳症が合併する.外脳症以外
の個体も脳の発生異常が見られ,生後2日以内に死亡する.
第13染色体上の優性突然変異.bg遺伝子座と近位でリンケージが見られる.Xt:
extra toeの複対立遺伝子
PROD-rol/+ (RBRC00388)
rol: Rolling mouse Nagoya 遺伝性運動失調症
Cchl1a4<tg>遺伝子座(第8染色体)におけるミュータント.tg: tottering mouse(
小脳性運動失調症)の複対立遺伝子(tgrol).劣性単一遺伝子.小脳性失調.生後
10‐14日に歩行異常が起こる.特に後肢のアンバランスが著しく,横転を繰り返
す.
cosa(RBRC00391)
齧歯目
マウス
cosa: cochleo-saccular defect
常染色体劣性単一遺伝子.内耳異常.ホモ接合体は音に対する反射を欠き,歩行
異常を呈す.
マウスについては、理化学研究所バイオリソースセンター(BRC)に寄託済みです。
19
ラット
BDIX/NemOda( NBRP Rat No: 0304)
1)経胎盤発癌を高率に発症する。胎児期にENUを投与すると、成熟期に三叉神経
や脊髄神経に腫瘍を発症する。
2)dimethylhydrazineによって大腸がんを発症する。
3)
トリパンブルーの催奇形抵抗性がある。
BDIX.Cg-Tal/NemOda( NBRP Rat No: 0305)
TalはTail anomaly lethalということで、尾は短尾、曲尾など変異があり、ホモ型は胎
児期の10日頃致死となる。
KB/Oda( NBRP Rat No: 0306)
頭巾をかぶったような毛色変異。
DOB/Oda( NBRP Rat No: 0307)
ラットについては、ナショナルバイオリソースプロジェクト・ラット
(NBRP-Rat)に寄
託済みです。
20
齧歯目
ラット
日本産野生由来ラット。NBRP-Ratにおいて、F12世代時に357個のSSLPマーカーに
よるジェノタイピングを行ったところ、多くの実験用ラットと 90%以上の多型率を示
した。既存の実験用ラットにない遺伝的組成を多く保有していることが判明してお
り、新規リソースとしての価値が期待できる。
岡山理科大学理学部動物学科
系統維持動物・資源の分与等に関する規準
(目 的)
第1条 この規準は、岡山理科大学理学部動物学科において維持している各種実験動物・資源
の分与等に関することを定めるものとする。
(分与に関する者の資格)
第2条 分与を希望する者は次の各号の一つに該当しなければならない。
(1)営利を目的としない者で、岡山理科大学理学部動物学科の系統飼育の理念に協力し、動
物の系統維持を図る者。
(2)学術研究あるいは公的機関等における研究、教育活動を目的とする者。
(3)
その他、岡山理科大学理学部動物学科の実験動物系統・資源維持者が適当と認めた者。
(申 請)
第3条 前条に該当し、実験動物の分与または交換を希望する者は、別紙分与申請書を提出し
なければならない。
(申請の不承認)
第4条 前条に基づき申請があっても、分与または交換により当施設の系統維持に支障をきた
す場合は承認しないことがある。
(申請の承認)
第5条 前条の申請があったときは、審査のうえ承認および不承認の結果を文書により通知す
るものとする。
系統維持動物・資源の
分与等に関する基準
(分与条件)
第6条 被分与者は、次の事項を遵守するものとする。
(1)既に分与されている研究機関の研究内容と抵触しないこと。
(2)分与動物を用いた研究を発表される時は、当施設に報告すると共に
論文には当施設
名(岡山理科大学理学部動物学科、Department of Zoology, Faculty of Science, Okayama
University of Science)
を明記する。
(3)動物園等における展示においては、当施設より分与もしくは貸し出しを受けたことがわか
るように、当施設名(岡山理科大学理学部動物学科)
を展示に当たり明記する。
(4)被分与者から他の研究機関への動物(組織の一部を含む)の再分与は、当該動物の遺伝
的な混乱を避けるためにお断りします。
21
岡山理科大学理学部動物学科
系統維持動物・資源の分与申請書
平成 年 月 日
岡山理科大学 理学部 動物学科
系統維持動物・資源分与担当者 殿
系統維持動物・資源の分与について、貴学科の「系統維持動物・資源の分与等に関する規準」
に従い、次の通り申請いたします。なお、分与された資源を用いた動物実験は、所属機関の承認
を得て実施されること、下記目的以外には使用しないこと、繁殖のために用いないことを確約し
ます。
申請者:
住所:〒
Tel:
Fax:
所属:
氏名: 印
(法人の場合にあっては名称・代表者の氏名)
E-mail:
1.申請事項(種名、系統名、性別、希望数等)
:
2.申請理由(研究課題名等)
:
3.分与希望年月日: 年 月 日
4.輸送方法: 航空貨物便 直接受取 その他方法:
5.特記事項
その他特記事項:
分与年月日: 年 月 日 分与責任者:
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系統維持動物・資源
の分与申請書
申請のあった動物について: 記載の通り分与します。 分与できません。
岡山理科大学理学部動物学科 哺乳類バイオリソース
系統維持動物・資源の分与等に関するお問い合わせ
〒700-0005
岡山市北区理大町1−1
岡山理科大学理学部動物学科
城ヶ原 貴通
Tex & Fax: 086-256-9459
e-mail: jog [email protected]