演題番号 演題名 :18 :犬の妊娠による急性腎不全の1例 発表者氏名:橋本真理 橋本元秀 発表者所属:橋本小動物病院(山口県) 1. 初めに:妊娠末期から産後にかけて、犬の腎不全に遭遇したことは当院では今までに無く、今回帝王切開後 腎不全を呈し、次回妊娠時にも腎不全の兆候があったので、その概要を報告する。 2. 症例:チワワ、雌、3才、初産6胎妊娠、体重 5.8kg。妊娠末期に食欲低下を認めた。定法に従い帝王切開 し、35cc / kg の静脈点滴を施して終了した。 術後 2 日目、3 日目と食欲廃絶のため静脈点滴を施した。術後 4 日目にも食欲廃絶が続いたため血液検査を行 ったところ、 Cre=4.8 BUN=118 を示し、急性腎不全を呈していた。Ht=27 、Tp、Alb の低下、電解質では Na の軽い低下と、Ca の低下が認められた。その後腎不全は静脈点滴による水和と、腎不全用処方食とクレメジ ンでコントロールできた。術後 17 日目の血液検査では Cre=1.4、BUN=26.2 まで改善し、術後 3 ヶ月経過後、 Cre,BUN ともに正常値を示した。 次回妊娠末期にも食欲の廃絶が見られ、分娩 3 時間前の血液検査では正常、 尿検査で尿比重の低下 (Ugr=1.006)、尿蛋白+、尿ケトン±が検出された。 3. 考察:初産産後の生化学検査で Tp,Alb の低下がみとめられ、電解質では Na の軽度低下、Ca の低下が認め られた。また、初産時の急性腎不全よりも 2 産目のほうが腎不全の程度が軽かった。2産目の尿検査では、尿蛋 白+、尿ケトン±であった。 これらはこの腎不全の原因を考える上で、重要と思われた。
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