TOPICS nano tech 2016 (第15回 国際ナノテクノロジー総合展)、 3D Printing 2016 (Additive Manufacturing Technology Exhibition) (一財)素形材センター 松井 健治 nano tech 2016 及び併設展示会が平成 28 年 1 月 27 日〜 29 日に開催され、それらに関連する講演も 行われた。そのいくつかについて報告する。 1.nano tech 2016 国内の出展者には、NEDO(写真 2)を始め、産業 技術総合研究所(AIST、写真 3)、科学技術振興機構 ナノテクノロジーは、ナノ(10 億分の 1)メートル (JST)および物質・材料研究機構(NIMS)など多く の精度を扱う技術の総称であり、原子レベルの精度で の機関が参加していた。そのうち NEDO は、ナノカー 素材や部品の製造、計測を行うもので、情報通信、エ ボン、電子デバイス・機械、プリンテッドエレクトロ レクトロニクスから、医療・健康、バイオ、環境・エ ニクス、構造部材、製造技術・加工技術および医療部 ネルギーなど幅広い分野で、21 世紀のキーテクノロ 材・環境部材などを展示していた。また、多くの企業 ジーとして期待されている。 「nano tech 2016」の概要を以下に示す。 ■ 主催者:nano tech 実行委員会 東 4・5・6 ホール ■ 出展規模:約 520 機関 ■ 来場者数:48,514 人(公式結果報告より) ■ 参加:34 国/地域 ■ 分野:〇材料・素材 〇 IT& エレクトロニクス 〇ナノバイオ 〇自動車 〇環境・エネルギー 〇ライフ分野 〇 ROBOTICS ■ 会場:ビックサイト 本展示会は、 ナノテクノロジー 写真 1 nano tech 2016 および併設展 をテーマとした 展示会としては世界でも最大の規模である。世界を リードする技術を発信する場として、社会に貢献する 展示会の実現を目指し、最先端技術と製品のビジネス マッチングを創出するものとして実施された。 58 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.3 写真 2 NEDO ブース TOPICS 写真 3 AIST ブース 写真 6 チェコパビリオン 写真 7 イランパビリオン がナノオーダー素材製造、ナノスケール計測法、ナノ 加工法および応用に関して展示していた。 国際的に今回も多くの国々が参加していた。スペイ ン、イタリア、イラン、カナダ、スイス、チェコ、台 湾、タイおよび韓国といった国々は、国名を冠してパ ビリオンを出展していた。 そのうち、スペインパビリオン(写真 4)は、グラフェ ン(1 原子厚さの蜂の巣のような六角格子構造をもっ た炭素原子シート)などを紹介していたが、ブースに 広いマッチングスペース設けるとともに、ブース内に てレセプションパーティを行い、交流を深めていた。 カナダパビリオン(写真 5)は、ナノカナダビジョ ンと題し、学界、産業および政府のナノテクへの取り どのナノテク素材の展示を行っていた。 そのほかタイ、台湾および韓国パビリオンでは、多 くの企業が参加して展示を行っていた。 併設セミナーでは、 組みを紹介していた。 チェコパビリオン(写真 6)では、チェコ共和国の ナノテクノロジー産業への取り組みを紹介するととも に、メスバウワー分光分析技術などを紹介していた。 イランパビリオン(写真 7)では、ナノポリマーな ○特別シンポジウム「Nanotech Agenda 2020」 ○グラフェンスペシャル 「次世代カーボン素材の最新状況」 ○ ImPACT プログラム 「進化を超える極微量物質の超迅速多項目センシ ングシステム」 ○ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI) 「産業活性・NBCI の産業ネットワーク」 ○ NEDO のナノ炭素材料開発 ○科学研究費 新学術領域研究「分子ロボティクス」 ○「ものづくり」をかえる、バイオミメティクス 写真 4 スペインパビリオン などが開催された。NBCI のセミナーでは、後ほど 紹介する 3D プリンターについて東京大学 生研 新野 俊樹教授が最近の動向を解説された。 2.3D Printing 2016 nano tech 2016 の同時開催展として ○ 3D Printing 2016 (Additive Manufacturing Technology Exhibition) ○ ASTEC 2016(第 11 回先端表面技術展・会議) 写真 5 カナダパビリオン ○ SURTEC 2016(表面技術要素展) Vol.57(2016)No.3 SOKEIZAI 59 TOPICS ○ InterAqua 2016 (第 7 回国際水ソリューション総合展) ○ ENEX2016(第 40 回地球環境とエネルギーの調和展) Smart Energy Japan 2016 第2回新電力 EXPO 2016 ○プリンタブルエレクトロニクス 2016 ○新機能性材料展 2016 ○ 3 次元表面加飾技術展 2016 などが開催された。 このうち、3D Printing(付加製造技術)は新たな素形 材技術となる可能性が期待されている。そのロゴを写真 8 に示す。 写真 9 3D プリンター推進協議会 ブース 協議会は、3D プリンタの不正使用に対して警鐘を鳴 らし、3D プリンタを正しく使用したものづくりの普 及 / 啓蒙をするため、 「3D プリンタによる新しいもの づくりの啓発」、「3D プリンタ技術や応用開発事例の 伝搬」および「銃や武器、知的財産権を侵害する製造 等の違法行為の防止」活動を行う機関である。協議会 3D Printing 2016 ロゴ 写真 8 は 3D プリンタ関連企業 11 社が参加し、㈱アスペク トの早野社長が代表である。 平成 24 年(2013 年)にオバマ大統領が一般教書演説 また、多くの装置メーカが出展していたが、武藤工 において 3D プリンティングを戦略的技術の一つとし 業㈱(写真 10)および㈱ストラタシスジャパン(写 て取り上げ、注目を集め、本技術は一躍大ブームとなっ 真 11)が広いスペースで展示を行っていた。武藤工業 ている。周知のとおり、付加製造技術は、RP(Rapid ㈱は、自社製の樹脂系 3D プリンタおよび代理店とし Prototyping)として、現在も意匠確認用のモックアッ て販売している装置を紹介していた。㈱ストラタシス プモデル、試作品、或いは試作用型への適用が主要な ジャパンは、樹脂系の 3D プリンタを展示するととも 用途となっていると考えられている。このような流れ に金属系の 3D プリンタを紹介していた。 の中で、経済産業省は「新ものづくり研究会報告書(平 ナショプロを実施している技術研究組合次世代 3D 成 26 年 2 月) 」として、現状及び将来の取り組みなど 積層技術総合開発機構は、研究成果の紹介を行ってい を取りまとめた。また、ナショナルプロジェクト「次 たが開発した装置の展示はなかった。 世代型産業用 3D プリンタ技術開発及び超精密三次元 造形システム技術開発」 (TRAFAM、撮影禁止のため 映像はない)が実施されている。3D プリンタへの関心 は高く、今回も非常に多くの人たちが詰めかけていた。 その概要を以下に示す。 ■ 主催者:㈱ ICS コンベンションデザイン ■ 共催:(一社)ナノテクノロジービジネス推進 協議会 ■ 会場:ビックサイト ■ 出展規模:63 東 6 ホール 機関 写真 10 武藤工業㈱ ブース 本展示会は、(一社)ナノテクノロジービジネス推進協 議会(NBCI)が、共催している。同協議会は、日本の ナノテクビジネスを早期に立ち上げ、世界を牽引でき るナノテクビジネスの基礎を築くことを目的に、研究 機関および企業が会員となり活動を行っている。 会場では、日本における 3D プリンタの技術および産 業の健全な発展のために設立された「3D プリンター振 興協議会」の会員が協力して参加した(写真 9) 。この 60 SOKEIZAI Vol.57(2016)No.3 写真 11 ㈱ストラタシスジャパン ブース TOPICS 併設セミナーでは、欧州の 3D プリンタ関連企業の 活動、(NBCI)3D プリンタ分科会の活動、3D プリン みずほ情報総研 岩崎 拓也 NBCI のテクノロジー委員会に、3D プリンタ分科 タメーカの取り組みおよび産業用 3D プリンタの現状 会(アドバイザー:東大 生研 新野俊樹教授)が設 と展望ほか多くの講演が行われた。その概要を以下に 置され、3D プリンタの状況調査、動向調査、課題の 紹介する。 討議およびデータベース構築(予算獲得)などの活動 を実施している。その活動の中で、トポロジ―最適化 【高度技術産業のための、Additive Manufacturing の グローバル提供】 のアプローチを検討し、セロテープカッターを例題に 解析を実施し、その結果を紹介していた。 プリズマットジャパン㈱(写真 12) Philippe Riviere 同社は、ヨーロッパを拠点に、次に紹介する BeAM 【市場動向に見る産業用 3D プリンタの現状と展望】 みずほ銀行 社および 3DMATERIALS ほかの会社とともに企業グ 藤田 公子 ループ 3dTrust としてエアバス社に部品供給などを 3D プリンタを実用化している金型および航空部材 行っている。また、プリズマットジャパン㈱自身も山 を例として、複雑形状、少量生産および高価格なもの 一ハガネほかの企業と国際的にグループを形成してい が適用の条件と分析していた。具体的に事業を成立さ る。同社は、3D プリンタ素材の提供およびトポロジー せるためには、3D プリンタで解決できる課題を把握 最適化設計を行っている。 しているユーザが、3D プリンタ適用ノウハウ提供者 とマッチングすることが必要であると説明していた。 【3D プリンタはどこまでビジネスに使えるか】 スマイルリンク㈱(写真 14) 大林 万利子 同社は、3D プリンタ開発販売、3D プリンタを使っ た製品開発およびファブラボ「おおた Fab」の運営を 行っている企業である。3D プリンタの普及では、顧 客の社員を受け入れて研修を行い、3D プリンタを購 入したけど使えないという課題を解消しているとのこ 写真 12 プリズマットジャパン㈱ ブース とである。また、ファブラボ運営により 3D プリンタ ユーザの底辺拡大を行っている。 【BeAM 社の 3D プリンター技術と航空機エンジン部 品について】 BeAM 社(写真 13) Thierry SOUILLART 同社は、レーザメタルディポジション法の 3D プリ ンタ装置の製造と同装置を使った部品供給を行ってい る。講演では、成形過程の状況を動画により詳細に紹 介していた。 写真 14 スマイルリンク㈱ ブース セミナーに参加して、3D プリンタが普及しないこ とに対して、最近言われている「どう使えるのか」と か「なにに使えるのか」ということに具体的な事例を 出していくことが重要であると感じた。 3.次回開催 写真 13 BeAM 社 ブース 来年の nano tech 展および3D Printing 展は、 【(NBCI) 3D プリンタ分科会活動状況】 NBCI(リコー) 打方 佳郎 日時:平成 29 年 2 月 15 日(水)〜 17 日(金) 場所:ビックサイトの予定である。 Vol.57(2016)No.3 SOKEIZAI 61
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