特 許 公 報 特許第5803047号

〔実 11 頁〕
特 許 公 報(B2)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許番号
特許第5803047号
(45)発行日
(P5803047)
(24)登録日 平成27年9月11日(2015.9.11)
平成27年11月4日(2015.11.4)
(51)Int.Cl.
FI
A01N 37/36
(2006.01)
A01N
37/36
A01N 31/06
(2006.01)
A01N
31/06
A61K 31/22
(2006.01)
A61K
31/22
A61K 31/075
(2006.01)
A61K
31/075
A61P 31/04
(2006.01)
A61P
31/04
請求項の数5
(全15頁) 最終頁に続く
(21)出願番号
特願2011-146348(P2011-146348)
(22)出願日
平成23年6月30日(2011.6.30)
高砂香料工業株式会社
(65)公開番号
特開2013-014521(P2013-14521A)
東京都大田区蒲田五丁目37番1号
(43)公開日
平成25年1月24日(2013.1.24)
審査請求日
平成26年4月14日(2014.4.14)
(73)特許権者 000169466
(74)代理人 100092093
弁理士
辻居 幸一
(74)代理人 100082005
弁理士
熊倉 禎男
(74)代理人 100084663
弁理士
箱田 篤
(74)代理人 100093300
弁理士
浅井 賢治
(74)代理人 100119013
弁理士
山崎 一夫
(74)代理人 100123777
弁理士
市川 さつき
最終頁に続く
(54)【発明の名称】抗菌剤組成物
1
2
(57)【特許請求の範囲】
ンケタール、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル
【請求項1】
−3−メチルブタンアミド、コハク酸メンチル、グルタ
3−ヒドロキシブタン酸メンチル、3−メントキシプロ
ル酸メンチル、ペパーミントオイル、ユーカリプタスオ
パン−1−オール、2−(メントキシエトキシ)エタノ
イル、ハッカ油、スペアミントオイル、バニリルエチル
ール、及び、グリオキシル酸メンチルからなる群から選
エーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピ
ばれる少なくとも1種類の冷感剤を含有することを特徴
レングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレン
とする抗菌剤組成物。
グリコールアセタール、カプサイシン、ギンゲロール、
【請求項2】
バニリルブチルエーテル、4−(1−メントキシ−メチ
3−ヒドロキシブタン酸メンチル、及び、3−メントキ
ル)−2−フェニル−1,3−ジオキソラン、4−(1
シプロパン−1−オールからなる群から選ばれる少なく 10
−メントキシ−メチル)−2−(3’,4’−ジヒドロ
とも1種類の冷感剤を含有する、請求項1に記載の抗菌
キシ−フェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(1−
剤組成物。
メントキシ−メチル)−2−(2’−ヒドロキシ−3’
【請求項3】
−メトキシ−フェニル)−1,3−ジオキソラン、4−
メントール、イソプレゴール、メントン、カンファー、
(1−メントキシ−メチル)−2−(4’−メトキシフ
プレゴール、シネオール、ハッカオイル、N−アルキル
ェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(1−メントキ
−p−メンタン−3−カルボキサミド、p−メンタン−
シ−メチル)−2−(3’,4’−メチレンジオキシ−
3,8−ジオール、4−l−メントキシブタン−1−オ
フェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(1−メトキ
ール、1−(2−ヒドロキシ−4−メチル−シクロヘキ
シ−メチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキ
シル)−エタノン、乳酸メンチル、メントールグリセリ
シフェニル)−1,3−ジオキソラン、トウガラシ油、
( 2 )
JP
3
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4
トウガラシオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、ジ
【0004】
ャンブーオレオレジン、サンショウエキス、サアンショ
【特許文献1】特開2007−45754号公報
ール−I、サアンショール−II、サンショウアミド、
【特許文献2】特開2011−6346号公報
黒胡椒エキス、カビシン、ピペリン及びスピラントール
【特許文献3】特開2004−18470号公報
からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の成分をさ
【特許文献4】国際公開第2011/050871号公
らに含有する、請求項1又は2に記載の抗菌剤組成物。
報
【請求項4】
【発明の概要】
さらに香料を含有することを特徴とする、請求項1∼3
【発明が解決しようとする課題】
のいずれかに記載の抗菌剤組成物。
【請求項5】
【0005】
10
上述の状況を鑑みて、本発明は、安全で飲食品、香粧品
前記冷感剤の含有量が0.01∼50質量%である、請
、医薬品など広範な用途に応用でき、多種多様の微生物
求項4に記載の抗菌剤組成物。
に対して生育阻害活性を示す抗菌剤組成物を提供するこ
【発明の詳細な説明】
とを目的とする。
【技術分野】
【課題を解決するための手段】
【0001】
【0006】
本発明は、安全性が高く、優れた抗菌作用を有する抗菌
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、主に冷感剤とし
剤組成物に関する。また、本発明は、当該抗菌剤組成物
て知られる多数の化合物中のある特定の一部の冷感剤が
を含有する製品に関する。
予想外にも優れた抗菌効果を有することを見出し、本発
【背景技術】
明を完成させた。なお、本願発明において抗菌剤として
【0002】
20
使用される化合物は、長年冷感剤として使用されてきた
従来から、食品や化粧品の保存性を高めるために、各種
ため、人体に対する安全性が確認されている。
抗菌剤、例えば天然抗菌剤や合成抗菌剤が活用されてい
本発明は、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、2−メチ
る。合成抗菌剤としては、安息香酸エステル類やソルビ
ル−3−(メントキシ)プロパンー1,2−ジオール、
ン酸塩などが商品化されている。しかし、合成抗菌剤に
2−(メントキシ)エタノール、3−メントキシプロパ
関しては、化粧品や食品など直接人体に触れる製品に使
ン−1−オール、2−(メントキシエトキシ)エタノー
用される場合、より安全性が保証されることが必要であ
ル、及び、グリオキシル酸メンチルからなる群から選ば
ることが指摘されている。また、天然抗菌剤に関しては
れる少なくとも1種類の冷感剤を含有することを特徴と
、供給が不安定であり、生成に多くのコストがかかるこ
する抗菌剤組成物を提供する。
とが、指摘されている。
また、本発明は、上述の抗菌剤組成物を含有することを
従って、従来の抗菌剤よりも、安全性が高く、かつ、安 30
特徴とする香料組成物を提供する。
定して供給され、食品や化粧品に安心して使用できる抗
また、本発明は、上述の抗菌剤組成物、又は、上述の香
菌剤が望まれている。そして、以下の文献に記載される
料組成物を含有することを特徴とする飲食品、香粧品、
ように、食品や化粧品等の保存性を高めるための各種抗
日用雑貨品、口腔用組成物、又は、医薬品を提供する。
菌剤に関する研究が進められている。
また、本発明は、上述の抗菌剤組成物を配合することを
【0003】
特徴とする、香料組成物、飲食品、香粧品、日用雑貨品
天然抗菌剤としては、特許文献1(特開2007−45
、口腔用組成物、又は、医薬品の製造方法を提供する。
754号公報)に、有機溶媒等の溶媒で抽出されたオオ
なお、本明細書で記載される本願請求項に係る冷感剤は
バキ抽出物が開示されている。
、右旋性及び左旋性の異性体並びにこれらのラセミ混合
合成抗菌剤としては、特許文献2(特開2011−06
物を包含する。
346号公報)には、化学合成により生成されたヒドロ 40
【発明の効果】
キウンデカン酸又はその塩が開示されている。
【0007】
特許文献3(特開2004−18470号公報)には、
本発明は、安全に食品、化粧品、医薬品など広範な用途
メントールを主成分とするハッカオイルなど、食品用の
に応用でき、様々な製品において、広範な微生物の種類
香料成分等を抗菌剤として使用する技術が開示されてい
に対する生育阻害活性を示す抗菌剤組成物及び香料組成
る。
物を提供できる。
特許文献4(国際公開第2011/050871号公報
また本発明は、当該抗菌剤組成物又は当該香料組成物を
)には、化学合成により生成されたメントキシプロパン
含有する、微生物の生育が阻害された製品を提供できる
ジオールを有効成分とする抗菌剤が開示されている。
。
【先行技術文献】
【発明を実施するための形態】
【特許文献】
50
【0008】
( 3 )
JP
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5
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以下に、本発明の抗菌剤組成物で使用される各成分につ
菌)などのアクチノマイセス属の抗菌剤として使用され
いて詳細に説明する。
ることが望ましく、3−メントキシプロパン−1−オー
<抗菌剤組成物>
ルは、スタフィロコッカス・アウレウス(黄色ブドウ球
本発明の抗菌剤組成物は、3−ヒドロキシブタン酸メン
菌)などのスタフィロコッカス属の抗菌剤として使用さ
チル、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパンー
れることが望ましい。
1,2−ジオール、2−(メントキシ)エタノール、3
【0011】
−メントキシプロパン−1−オール、2−(メントキシ
また、2−(メントキシ)エタノール及び2−(メント
エトキシ)エタノール、及び、グリオキシル酸メンチル
キシエトキシ)エタノールは、特に嫌気性の微生物に対
からなる群から選ばれる少なくとも1種類の冷感剤(以
下、本願発明に係る冷感剤とも呼ぶ)を含有する。
する生育阻害活性が高く、更に具体的には、抗菌作用が
10
知られている3−メントキシプロパン−1,2−ジオー
本願発明に係る冷感剤は、予想外に優れた抗菌効果を有
ルと比較して、プロピオニバクテリウム・アクネス(J
する。例えば、冷感剤として使用されてきた本願発明に
CM6473)及び(ATCC6919)、並びに、フ
係る冷感剤以外の冷感剤(N-アルキルーp−メンタンー
ゾバクテリウム・ヌクレアタムに対して2倍以上の生育
3−カルボキサミド、N-メチルー2,2−イソプロピル
阻害活性を有する。
メチルー3−メチルブタンアミド、メントール、3−メ
また、グリオキシル酸メンチルは、抗菌作用が知られて
ントキシプロパンー1、2−ジオール及び、p−メンタ
いる3−メントキシプロパン−1,2−ジオールと比較
ンー3,8−ジオールなど)と比較すると、非常に優れ
して、対象菌体によって異なるが2倍から16倍、又は
た抗菌効果を有することが理解できる。
それ以上の生育阻害活性を有する。
【0009】
上記冷感剤は、市場で容易に入手可能であり、通常用い
本願発明に係る冷感剤は全て、好気性及び嫌気性のいず 20
られる方法で合成することもできる。
れの微生物(例えば細菌、真菌など)に対しても生育阻
【0012】
害活性を有するが、3−ヒドロキシブタン酸メンチル及
また、本発明の抗菌剤組成物は、メントール、イソプレ
び3−メントキシプロパン−1−オールは、特に高い生
ゴール、メントン、カンファー、プレゴール、シネオー
育阻害活性を有し、好気性及び嫌気性のどちらの微生物
ル、ハッカオイル、N−アルキル−p−メンタン−3−
に対しても強い生育阻害活性を有する。当該微生物とし
カルボキサミド、p−メンタン−3,8−ジオール、4
ては、例えばコリネバクテリウム属、アクチノマイセス
−l−メントキシブタン−1−オール、1−(2−ヒド
属などが挙げられる。3−ヒドロキシブタン酸メンチル
ロキシ−4−メチル−シクロヘキシル)−エタノン、乳
及び3−メントキシプロパン−1−オールは、抗菌作用
酸メンチル、メントールグリセリンケタール、N−メチ
が知られている3−メントキシプロパン−1,2−ジオ
ル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンア
ールと比較して、2∼8倍の生育阻害活性を有し、菌の 30
ミド、コハク酸メンチル、グルタル酸メンチル、ペパー
種類によっては、8倍以上の生育阻害活性を有する。
ミントオイル、ユーカリプタスオイル、ハッカ油、スペ
また、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパン−
アミントオイル、バニリルエチルエーテル、バニリルプ
1,2−ジオールは、抗菌作用が知られている3−メン
ロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタ
トキシプロパン−1,2−ジオールと比較して、対象菌
ール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール
体によって異なるが約2倍程度の生育阻害活性を有する
、カプサイシン、ギンゲロール、バニリルブチルエーテ
。
ル、4−(1−メントキシ−メチル)−2−フェニル−
以上から、本願発明においては、3−ヒドロキシブタン
1,3−ジオキソラン、4−(1−メントキシ−メチル
酸メンチル、2−メチル−3−(l−メントキシ)プロ
)−2−(3’,4’−ジヒドロキシ−フェニル)−1
パン−1,2−ジオール、及び、3−メントキシプロパ
,3−ジオキソラン、4−(1−メントキシ−メチル)
ン−1−オールからなる群から選ばれる少なくとも1種 40
−2−(2’−ヒドロキシ−3’−メトキシ−フェニル
類の冷感剤を含有することが更に好ましい。
)−1,3−ジオキソラン、4−(1−メントキシ−メ
【0010】
チル)−2−(4’−メトキシフェニル)−1,3−ジ
また、3−ヒドロキシブタン酸メンチルは、ポルフィロ
オキソラン、4−(1−メントキシ−メチル)−2−(
モナス・ジンジバリス(歯周病菌)などのポルフィロモ
3’,4’−メチレンジオキシ−フェニル)−1,3−
ナス属、スタフィロコッカス・アウレウス(黄色ブドウ
ジオキソラン、4−(1−メトキシ−メチル)−2−(
球菌)などのスタフィロコッカス属、及び、コリネバク
3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3
テリウム・キセロシス(腋臭原因菌)などのコリネバク
−ジオキソラン、トウガラシ油、トウガラシオレオレジ
テリウム属の抗菌剤として使用されることが望ましく、
ン、ノニル酸バニリルアミド、ジャンブーオレオレジン
2−メチル−3−(l−メントキシ)プロパンー1,2
、サンショウエキス、サアンショール−I、サアンショ
−ジオールは、アクチノマイセス・ビスコーサス(虫歯 50
ール−II、サンショウアミド、黒胡椒エキス、カビシ
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ン、ピペリン及びスピラントールからなる群から選ばれ
本発明においては、抗菌作用の指標となる生育阻害活性
る少なくとも1種以上の成分(以下、この群に含まれる
を、寒天培地又は液体培地を利用する最小阻止濃度測定
成分を併用成分とも呼ぶ)をさらに含有することが望ま
法(MIC)により評価する。なお、この最小阻止濃度
しい。本発明の抗菌剤組成物は、併用成分により更に抗
測定法では、検討される生育阻害活性が殺菌的作用に基
菌活性が増強することが期待されるだけでなく、心地よ
づくのか静菌的作用に基づくのかを判断することはでき
い清涼感や温感を付与し、制御することも可能である。
ないが、本願明細書においては、殺菌的作用及び静菌的
【0013】
作用いずれも抗菌作用に含めるので、判断することがで
また、従来抗菌剤として汎用されている以下の化合物を
きないことは問題にならない。
併用することで相乗的に所望の抗菌活性を付与すること
【0015】
も可能である:パラベン、安息香酸類(例えば安息香酸 10
<香料組成物>
、安息香酸ナトリウムなど)、サリチル酸類、1,2−
本発明の香料組成物は、上述の抗菌剤組成物を含有する
アルカンジオール、ヒドロキシカルボン酸のエステル又
。香料組成物中の本願発明に係る冷感剤の含有量は、香
はエーテル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウ
料組成物の賦香率により任意に調整可能であるが、一般
ム、塩化リゾチウム、ハロカルバン、トリクロロカルバ
的には香料組成物の全質量に基づいて好ましくは0.0
ニリド、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフ
1∼50質量%、より好ましくは、0.01∼20質量
ェノール、フェノールスルホン酸アルミニウム、トリク
%、さらに好ましくは、0.05∼10質量%である。
ロサン、グルコン酸クロルヘキシジン、亜硫酸水素ナト
50質量%超過で含有する場合には、経済面でメリット
リウム溶液、亜硫酸ナトリウム(結晶)、亜硫酸ナトリ
が少なく、0.01質量%未満で含有する場合には、そ
ウム(無水)、ウド抽出物、エゴノキ抽出物、カワラヨ
の効果が十分に発揮できない恐れがあるためである。
モギ抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物、次亜硫酸ナトリ 20
本発明の香料組成物は、本発明の目的及び効果を損なわ
ウム、しらこたん白抽出物、ソルビン酸、ソルビン酸カ
ない範囲で、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑
リウム、ツヤプリシン(抽出物)、デヒドロ酢酸ナトリウ
橘油、動物性香料、その他の香料組成物を調製する際に
ム、二酸化硫黄、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラ
通常使用される調香成分をさらに含むことができる。
オキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸エチ
【0016】
ル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プ
本発明の香料組成物に用いられる合成香料としては、従
ロピル、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、
来から香気及び香味を付与する目的で使用されているも
プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸
のであれば特に制限されなく、例えば、「合成香料 化
ナトリウム、ペクチン分解物、ホオノキ抽出物、ε−ポ
学と商品知識」(印藤元一著、化学工業日報社)等に記
リリシン、レンギョウ抽出物、オールスパイス油、オリ
載のエステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン
ガナム油、オレンジ油、カシア油、クミン油、クローブ 30
類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素
油、コリアンダー油、シソ油、シトロネラ油、シナモン
類、含窒素化合物、含硫化合物類および酸類からなる群
油、ショウブ油、セージ油、ゼラニウム油、タイム油、
から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。
ディル油、トリーモス油、ヒバ油、ビメント油、フェン
【0017】
ネル油、ベイ油、ベチバー油、ペニーローヤル油、ペル
エステル類としては、例えば、ギ酸プロピル、ギ酸ブチ
ーバルサム油、ユーカリ油、ラベンダー油、レモングラ
ル、ギ酸アミル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シ
ス油、レモン油、ローズマリー油、ローズ油、ローレル
トロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニ
油、アスナロ油、アニス油、ウインターグリーン油、エ
ル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、
ストランゴン油、オニオン油、カルダモン油、キャラウ
酢酸ヘキシル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トラン
ェイ油、ケード油、スターアニス油、セダーウッド油、
ス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸
セロリ油、タラゴン油、タイワンヒノキ油、ナツメグ油 40
デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル
、バーチ油、ブラックペパー油、ベージル油、ホワイト
、酢酸スチラリル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、
ペパー油、マージョラム油、メース油、カナンガ油、ジ
酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネ
ャスミン油、スペアミント油、ハッカ油、パチュリ油、
リル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロム
ボアドローズ油、緑茶抽出物、ウーロン茶抽出物、茶カ
ゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸
テキン類、ジンジャー油、セレリーシード油、ロベージ
ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢
油、バレリアン油、ホップ油、アンブレットシード油、
酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4−ジメ
ディルシード油、ベニーローヤル油、タンジー油、ワイ
チル−3−シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル
ンリーズ油、麻黄抽出物、山椒油、麦門冬抽出物。
、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン
【0014】
酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリ
≪抗菌作用の評価≫
50
ル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロ
( 5 )
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10
デセニル、プロピオン酸スチラリル、プロピオン酸アニ
、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、
シル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イ
トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセ
ソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナ
ナール、3−ドデセナール、トランス−2−トリデセナ
リル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草
ール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナ
酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、2−メチル
ール、2,4−ドデカジエナール、5,9−ジメチル−
吉草酸2−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸
4,8−デカジエナール、シトラール、ジメチルオクタ
メチル、3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸
ナール、α−メチレンシトロネラール、シトロネリルオ
メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノ
キシアセトアルデヒド、ミルテナール、ネラール、α−
ナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリ
あるいはβ−シネンサール、マイラックアルデヒド、フ
ル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラ 10
ェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタ
ン酸メチル、クエン酸トリエチル、アセト酢酸エチル、
ール、ノナナールジメチルアセタール、デカナールジメ
2−ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エ
チルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−
チル、2−エチル酪酸アリル、3−ヒドロキシ酪酸エチ
メチルウンデカナールジメチルアセタール、シトラール
ル、ノナン酸エチル、デカン酸エチル、2,4−デカジ
ジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、
エン酸エチル、2,4−デカジエン酸プロピル、アント
シトラールプロピレングリコールアセタール、n−バレ
ラニル酸メチル及びリナリル、N−メチルアントラニル
ルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブタ
酸エチル等を挙げることができる。
ナール、2−ペンテナール、トランス−2−ヘプテナー
【0018】
ル、トランス−2−ノネナール、2,6−ジメチル−5
アルコール類としては、例えば、3−ヘプタノール、1
−ペプテナール、2,4−ウンデカジエナール、トリメ
−ノナノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノー 20
チルデカジエナール、シトロネラール、ヒドロキシシト
ル、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセン
ロネラール、サフラナール、ベルンアルデヒド、ベンズ
−1−オール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロムゴ
アルデヒド、p−イソプロピルフェニルアセトアルデヒ
ール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒ
ド、p−メチルヒドロトロパアルデヒド、フェニルプロ
ドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、ホ
ピオンアルデヒド、2−メチル−3−(4−メチルフェ
ートリエノール、3−ツヤノール、ベンジルアルコール
ニル)プロパナール、シクラメンアルデヒド、シンナミ
、β−フェニルエチルアルコール、α−フェニルエチル
ックアルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒ
アルコール、3−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプ
ド、p−メチルフェノキシアセトアルデヒド、アセトア
タノール、2−ヘプタノール、3−オクタノール、1−
ルデヒドジエチルアセタール、シトロネリルメチルアセ
ノナノール、2−ノナノール、2,6−ジメチルヘプタ
タール、アセトアルデヒド 2−フェニル−2,4−ペ
ノール、1−デカノール、トランス−2−ヘキセノール 30
ンタンジオールアセタール、2−ヘキセナールジエチル
、シス−4−ヘキセノール、メチルトリメチルシクロペ
アセタール、シス−3−ヘキセナールジエチルアセター
ンテニルブテノール、シトロネロール、ジヒドロミルセ
ル、ヘプタナールジエチルアセタール、2−ヘキシル−
ノール、ロジノール、ゲラニオール、ネロール、リナロ
5−メチル−1,3−ジオキソラン、シトロネラールシ
ール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール
クロモノグリコールアセタール、ヒドロキシシトロネラ
、ヒドロキシシトロネロール、イソプレゴール、メント
ールジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジ
ール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、カル
メチルアセタール等を挙げることができる。
ベオール、ジヒドロカルベオール、ペリラアルコール、
【0020】
4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコ
ケトン類としては、例えば、2−ペンタノン、3−ヘキ
ール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、
サノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタ
アニスアルコール、ヒドロトロパアルコール、3−フェ 40
ノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン
ニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、ア
、2−ウンデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオク
ミルシンナミックアルコール等を挙げることができる。
テノン、ゲラニルアセトン、ファルネシルアセトン、2
【0019】
,3,5−トリメチル−4−シクロヘキセニル−1−メ
アルデヒド類としては、例えば、アセトアルデヒド、n
チルケトン、ネロン、ヌートカトン、ジヒドロヌートカ
−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール
トン、アセトフェノン、4,7−ジヒドロ−2−イソペ
、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、3,5,
ンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピン、2−ペン
5−トリメチルヘキサナール、デカナール、ウンデカナ
タノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2,3−ヘ
ール、2−メチルデカナール、ドデカナール、トリデカ
キサジオン、3−ノナノン、エチルイソアミルケトン、
ナール、テトラデカナール、トランス−2−ヘキセナー
ジアセチル、アミルシクロペンテノン、2−シクロペン
ル、トランス−4−デセナール、シス−4−デセナール 50
チルシクロペンタノン、ヘキシルシクロペンタノン、ヘ
( 6 )
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プチルシクロペンタノン、シス−ジャスモン、ジヒドロ
【0025】
ジャスモン、トリメチルペンチルシクロペンタノン、2
含窒素化合物又は含硫化合物類としては、例えば、アン
−(2−(4−メチル)−3−シクロヘキセン−1−イ
トラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、N−メチル
ル)プロピルシクロペンタノン、ダマスコン、α−ダイ
アントラニル酸メチル、N−2’−メチルペンチリデン
ナスコン、トリメチルシクロヘキセニルブテノン、ヨノ
アントラニル酸メチル、リガントラール、ドデカンニト
ン、メチルヨノン、アリルヨノン、プリカトン、カシュ
リル、2−トリデセンニトリル、ゲラニルニトリル、シ
メラン、l−カルボン、メントン、カンファー、p−メ
トロネリルニトリル、3,7−ジメチル−2,6−ノナ
チルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベ
ジエノニトリル、インドール、5−メチル−3−ヘプタ
ンジリデンアセトン、ラズベリーケトン、メチルナフチ
ノンオキシム、リモネンチオール、1−P−メンテン−
ルケトン、ベンゾフェノン、フルフラールアセトン、ホ 10
8−チオール、アントラニル酸ブチル、アントラニル酸
モフロノール、マルトール、エチルマルトール、アセト
シス−3−ヘキセニル、アントラニル酸フェニルエチル
酢酸エチルエチレングリコールケタール等を挙げること
、アントラニル酸シンナミル、ジメチルスルフィド、8
ができる。
−メルカプトメントン等を挙げることができる。
【0021】
【0026】
フェノール類としては、例えば、チモール、カルバクロ
酸類としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
ール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール
草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸
、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチ
、2−デセン酸、ゲラン酸、2−メチル酪酸、2−エチ
ルエーテル、クレオゾール、ベラトロール、ヒドロキノ
ル酪酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、イソ酪酸、イソ吉草
ンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、
酸、3−メチル吉草酸、2−ヘキセン酸、2−メチル−
4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノ 20
2−ペンテン酸、2−メチルヘプタン酸、ミリスチン酸
ール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルヒド
、ステアリン酸、乳酸、ピルビン酸、シクロヘキサンカ
ロキノンジメチルエーテル等を挙げることができる。
ルボン酸等を挙げることができる。
【0022】
【0027】
エーテル類としては、例えば、デシルビニルエーテル、
天然香料としては、例えば、スイートオレンジ、ビター
α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン、2,
オレンジ、ネロリ、マンダリン、プチグレン、ベルガモ
2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロペニル)−テ
ット、タンゼリン、温州ミカン、ダイダイ、ハッサク、
トラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール
イヨカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、
、ネロールオキサイド、2,2,6−トリメチル−6−
スダチ、カボス、スウィーティー等を例示することがで
ビニルテトラヒドロピラン、メチルヘキシルエーテル、
きる。
オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィク 30
【0028】
ス、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド
また、上記の天然香料以外に、例えば、シトロネラ、エ
、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラ
レミ、オリバナム、マジョラム、アンゲリカルート、ス
ヒドロフラン、ネロールオキサイド、ローズオキサイド
ターアニス、バジル、ヘイ、カラマス、キャラウェイ、
等を挙げることができる。
カルダモン、ペッパー、カスカリラ、ジンジャー、セー
【0023】
ジ、クラリセージ、クローブ、コリアンダー、ユーカリ
ラクトン類としては、例えば、γ−ウンデカラクトン、
、フェンネル、ピメント、ジュニパー、フェネグリーク
δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラ
、ローレル、メース、スギ、センキュウ、アーモンド、
クトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャ
アップルミント、アニス、アルテミシア、アルファルフ
スンミラクトン、メチルγ−デカラクトン、7−デセノ
ァ、アンズ、アンブレット、イグサ、イチゴ、イチジク
ラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、 40
、イランイラン、ウインターグリーン、ウメ、エルダー
δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ド
、エンジュ、オークモス、オールスパイス、オリス、カ
デカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリン等を挙げる
ーラント、カッシー、カモミル、ガランガ、カリン、ガ
ことができる。
ンビア、グァバ、グーズベリー、クスノキ、クチナシ、
【0024】
クベバ、クミン、クランベリー、コーラ、サンショウ、
炭化水素類としては、例えば、オシメン、リモネン、α
サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シソ
−フェランドレン、テルピネン、3−カレン、ビサボレ
、シベット、ジャスミン、ショウガ、ジンセン、シンナ
ン、バレンセン、アロオシメン、ミルセン、ファルネセ
モン、スターフルーツ、スチラックス、スペアミント、
ン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、テルピノー
ゼラニウム、タイム、タバナ、タンジー、タンジェリン
レン、p−サイメン、セドレン、β−カリオフィレン、
、チャンパカ、チュベローズ、ツバキ、ディタニー、ト
カジネン等を挙げることができる。
50
ルーバルサム、トンカ、ナッツ、ナツメ、ナツメグ、ナ
( 7 )
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ンテン、ニアウリ、ニンジン、バイオレット、パイナッ
ー、トマトフレーバー、ゴボウフレーバー、ミツバフレ
プル、ハイビスカス、ハチミツ、ハッカ、パッションフ
ーバーなどの野菜系香料;ペパーミントフレーバー、ス
ルーツ、バニラ、バラ、ヒソップ、ヒノキ、フーゼル油
ペアミントフレーバー、和種ハッカフレーバーなどのミ
、ブチュ、ペパーミント、ペピーノ、ベルベナ、ボアド
ント系香料;バニラ系香料;アーモンドフレーバー、カ
ローズ、ポポー、ボルドー、ボロニア、マツ、マンゴー
シューナッツフレーバー、ピーナッツフレーバー、ヘー
、ミツロウ、ミモザ、ミルフォイル、ムスク、メープル
ゼルナッツフレーバー、ウォルナッツフレーバー、チェ
、メリッサ、メロン、モモ、ヤラヤラ、ラベンダー、リ
スナッツフレーバー、マカデミアナッツフレーバー、ペ
キュール、リツェア、リンデン、ルー、レンブ、ローズ
カンナッツフレーバー、ピスタチオフレーバー、ブラジ
マリー、ロベージ等を本発明の香気及び香味付与又は改
良剤として使用することもできる。
ルナッツフレーバー、ココナッツフレーバーなどのナッ
10
ツ系香料;ワインフレーバー、ウイスキーフレーバー、
これらの調香成分の含有量は、特に制限されなく、香料
ブランデーフレーバー、ラムフレーバー、ジンフレーバ
組成物の目的及び用途に応じて適宜選択することができ
ー、リキュールフレーバーなどの洋酒系香料;コーンフ
る。
レーバー、ポテトフレーバー、スイートポテトフレーバ
【0029】
ー、米飯フレーバー、ブレッドフレーバーなどの穀物系
本発明の香料組成物は、さらに目的及び用途に応じて他
香料;ハネーフレーバー、メープルシロップフレーバー
の香料組成物と配合することができる。具体的には、オ
、シュガーフレーバー、黒糖フレーバー、モラセスフレ
レンジフレーバー、レモンフレーバー、ライムフレーバ
ーバーなどのシュガー系香料などが挙げられる。
ー、グレープフルーツフレーバー、ユズフレーバー、ス
【0030】
ダチフレーバーなどのシトラス系香料;ストロベリーフ
上記合成香料は、市場で容易に入手可能であり、必要に
レーバー、ラズベリーフレーバー、ブルーベリーフレー 20
より容易に合成することもできる。上記天然香料に関し
バーなどのベリー類系香料;マンゴーフレーバー、パパ
ても、市販品を用いることもできるし、通常用いられる
イヤフレーバー、グァバフレーバー、パッションフルー
方法で容易に抽出精製することができる。
ツフレーバー、ライチフレーバーなどのトロピカルフル
【0031】
ーツ系香料;アップルフレーバー、グレープフレーバー
本発明の香料組成物を用いて各種製品に香気付け及び香
、パイナップルフレーバー、バナナフレーバー、ピーチ
味付けを行う場合の本発明の香料組成物の使用量は、各
フレーバー、メロンフレーバー、アンズフレーバー、ウ
種製品の種類または形態、製品に求められる香気付け及
メフレーバー、チェリー(サクランボ)フレーバーなど
び香味付け効果または作用などに応じて調整することが
のフルーツ系香料;緑茶フレーバー、ウーロン茶フレー
できる。
バー、紅茶フレーバー、コーヒーフレーバーなどの茶、
また、本発明の香料組成物を用いて、各種製品(例えば
コーヒー系香料;ビーフフレーバー、ポークフレーバー 30
飲食品、香粧品、日用雑貨品、口腔用組成物、又は、医
、チキンフレーバーなどのミート系香料;アサフェチダ
薬品など)を香気付け及び香味付けする場合は、香気付
フレーバー、アジョワンフレーバー、アニスフレーバー
け及び香味付けする製品の種類や製品の最終形態(例え
、アンゼリカフレーバー、ウイキョウフレーバー、オー
ば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾ
ルスパイスフレーバー、シナモンフレーバー、カッシャ
ール状などの製品形態)に応じて適宜選択することがで
フレーバー、カモミールフレーバー、カラシナフレーバ
きる。
ー、カルダモンフレーバー、キャラウェイフレーバー、
【0032】
クミンフレーバー、クローブフレーバー、コショウフレ
<飲食品、香粧品、日用雑貨品、口腔用組成物、又は、
ーバー、コリアンダーフレーバー、サッサフラスフレー
医薬品>
バー、セイボリーフレーバー、サンショウフレーバー、
本発明の飲食品、香粧品、日用雑貨品、口腔用組成物、
シソフレーバー、ジュニパーベリーフレーバー、ジンジ 40
又は、医薬品(以下、まとめて製品とも呼ぶ)は、上述
ャーフレーバー、スターアニスフレーバー、セイヨウワ
の抗菌剤組成物、又は、上述の香料組成物を含有する。
サビフレーバー、セージフレーバー、タイムフレーバー
当該製品中の本願発明に係る冷感剤の含有量は、これら
、タラゴンフレーバー、ディルフレーバー、トウガラシ
の製品の賦香率により任意に調整可能であるが、一般的
フレーバー、ナツメフレーバー、ナツメグフレーバー、
には製品の全質量に基づいて、好ましくは0.0001
バジルフレーバー、パセリフレーバー、マジョラムフレ
∼30質量%、より好ましくは、0.001%∼20質
ーバー、ローズマリーフレーバー、ローレルフレーバー
量%、さらに好ましくは、0.005%∼10質量%で
、ワサビフレーバーなどのハーブ、スパイス系香料;オ
ある。30質量%超過で含有する場合には、経済面でメ
ニオンフレーバー、ガーリックフレーバー、ネギフレー
リットが少なく、0.0001質量%未満で含有する場
バー、キャベツフレーバー、キャロットフレーバー、セ
合には、その効果が十分に発揮できない恐れがあるため
ロリーフレーバー、シイタケフレーバー、松茸フレーバ 50
である。
( 8 )
JP
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また、これらの製品中の冷感剤、併用成分、及び、従来
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、
抗菌剤の含有量の和は、一般的には製品の全質量に基づ
本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではな
いて例えば0.01%∼50質量%に設定できる。
い。
【0033】
【0037】
本発明の飲食品としては、例えば、果汁飲料類、果実酒
以下の実施例及び比較例で検討される物質名において、
類、乳飲料類、炭酸飲料、清涼飲料、ドリンク剤類の如
「Coolact(登録商標)」は高砂香料工業株式会
き飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイス
社の登録商標であり、「WS」はMillennium
キャンディー類の如き冷菓類;ゼリー、プリンなどのデ
specialty
chemicals社の登録商
ザート類;ケーキ、クッキー、チョコレート、チューイ
標名である。この「Coolact(登録商標)」は本
ンガムなどの洋菓子類;饅頭、羊羹、ウイロウなどの和 10
明細書中で「CA」とも呼称する。これらの物質のIU
菓子類;ジャム類;キャンディー類;パン類;緑茶、ウ
PAC表記名は、下記の表のように対応する。
ーロン茶、紅茶、柿の葉茶、カミツレ茶、クマザサ茶、
【0038】
桑茶、ドクダミ茶、プアール茶、マテ茶、ルイボス茶、
【表1】
ギムネマ茶、グァバ茶、コーヒー、ココアなどの茶飲料
または嗜好飲料類;和風スープ、洋風スープ、中華スー
プなどのスープ類;風味調味料;各種インスタント飲料
または食品類;各種スナック食品類などを挙げることが
できる。
【0034】
本発明の香粧品としては、例えば、フレグランス製品( 20
香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン
など)、基礎化粧品(洗顔クリーム、バニシングクリー
ム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサ
ージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク
落としなど)、仕上げ化粧品(ファンデーション、粉お
しろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リッ
なお、メントールは、高砂香料工業株式会社から購入し
プクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャ
た。
ドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリ
以下、物質名を呼称で表記する。
ムバーなど)、頭髪化粧品(ポマード、ブリランチン、
【0039】
セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、 30
[実施例1]
ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム
生育阻害活性試験において、皮膚関連菌として以下の菌
、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、
を使用した。
バンドリン、養毛剤、染毛剤など)、日焼け化粧品(サ
・表皮ブドウ球菌:スタフィロコッカス・エピデルミデ
ンタン製品、サンスクリーン製品など)、薬用化粧品(
ス(Staphylococcus
好気性菌に対する生育阻害活性の測定
epidermi
T
制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、
dis)(JCM2414 及びATCC12228)
パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、
・黄色ブドウ球菌:スタフィロコッカス・アウレウス(
薬用皮膚化粧料など)が挙げられる。
Staphylococcus
【0035】
RC12732及びJCM2151)
また、本発明の日用雑貨品としては、例えば、消臭・芳
・表在性感染症を引き起こす皮膚常在菌:コリネバクテ
香剤(固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプな 40
リウム・ミヌチシマム(Corynebacteriu
ど)、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどを
m minutissimum)(NBRC15361
挙げることができる。
T
また、本発明の口腔用組成物としては、口腔用品(歯磨
・腋臭原因菌:コリネバクテリウム・キセロシス(Co
き粉、口腔洗浄料、マウスウォッシュ、トローチ、チュ
rynebacterium
ーインガム類など)などを挙げることができる。
M1324)
また、本発明の医薬品としては、例えば、ハップ剤、軟
また、その他一般的な好気性菌として、以下の菌も使用
膏剤などの皮膚外用剤、及び、内服剤などを挙げること
した。
ができる。
・大腸菌:エシェリヒア・コリ(Escherichi
【実施例】
a coli)(NBRC3972)
【0036】
50
aureus)(NB
)
xerosis)(JC
・緑膿菌:シュードモナス・エルギノーサ(Pseud
( 9 )
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omonas
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aeruginosa)(NBRC13
表2の結果より、(3S)-CA20、(3R)-CA2
275)
0、CA1、CA5、CA15、CA55、CA
・腸内細菌:プロテウス・ブルガリス(Proteus
H(実施例)は、WS−3、WS−23、l−ment
vulgaris)(NBRC3167)
MG
hol、CA10、CA38(比較例)と比べ多くの菌
・肺炎桿菌:クレブシエラ・ニューモニエ(Klebs
株に対してMICが低い値となった。黄色ブドウ球菌、
iella
腋臭原因菌などの皮膚関連菌やその他の好気性菌に高い
pneumoniae)(NBRC132
77)
抗菌作用を発揮できることが分かった。
・枯草菌:バチルス・サブティリス(Bacillus
【0046】
subtilis)(NBRC3134)
[実施例2]
【0040】
10
嫌気性菌に対する生育阻害活性の測定
抗菌活性試験には、以下の菌を用いた。
試験菌株を菌株分譲機関推奨の液体培地で培養後、更に
・ニキビ原因菌:プロピオニバクテリウム・アクネス(
Mueller
Propionibacterium
HintonBroth(Difco
)に移植して30℃で培養した。生育した菌を生理食塩
acnes)(
JCM6473)及び(ATCC6919)
6
水で10 CFU/mLになるよう希釈調製し、接種用
・膿瘍菌:バクテロイデス・フラジリス(Bacter
菌液とした。
oides
【0041】
・虫歯原因菌:ストレプトコッカス・ミュータンス(S
また、冷感剤による菌の生育阻害活性を検討するために
treptococcus
、冷感剤:(3S)-CA20、(3R)-CA20、C
175)
A1、CA5、CA15、CA55又はCA
:アクチノマイセス・ネスランディイ(Actinom
MGHの
fragilis)(GAI5560)
mutans)(JCM5
濃度が最小阻止濃度測定法で必要な濃度になるようにエ 20
yces
タノールで希釈しサンプル液とした。
:アクチノマイセス・ビスコーサス(Actinomy
【0042】
次に、溶解状態のMueller
ces
Hinton
Ag
naeslundii)(JCM8350)
viscosus)(JCM8352)
・歯周病原因菌:フゾバクテリウム・ヌクレアタム(F
ar(Difco)寒天培地溶液10mLに対して各サ
usobacterium
ンプル液を夫々100μLを添加し、各寒天培地溶液を
CM6328)
シャーレに入れて固めて、様々なサンプル液濃度(冷感
:ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyro
剤濃度)を有するテストプレートを作製した。そして、
monas
上記各接種用菌液を5μLずつテストプレートにスタン
)
プし、37℃にて一晩培養を行った。
:プレボテラ・ニグレセンス(Prevotella
このようにして、(3S)-CA20、(3R)-CA2 30
nigrescens)(JCM6322)
0、CA1、CA5、CA15、CA55、CA
【0047】
MG
nucleatum)(J
gingivalis)(JCM8525
Hによる生育阻害活性を検討した。菌の生育が認められ
試験菌株をGAM培地(日水製薬)またはSchaed
なかった最小の冷感剤の濃度をMIC(最小発育阻止濃
ler
度)とした。
se
【0043】
せ、生育した菌を生理食塩水で濁度0.5マクファーラ
[比較例1]
ンドになるよう希釈調製し、接種用菌液とした。培養は
実施例1と同じ方法により、WS−3、WS−23、l
嫌気条件(三菱ガス化学社アネロパック使用)37℃で
−menthol、CA10、CA38の効果を検討し
3日間行った。
た。菌の生育が認められなかった最小の冷感剤の濃度を
MIC(最小発育阻止濃度)とした。
Broth(BBL)またはTryptica
Soy Broth(BBL)液体培地で生育さ
【0048】
40
また、冷感剤による菌の生育阻害活性を検討するために
実施例1及び比較例1のMIC(最小発育阻止濃度)を
、冷感剤:(3S)-CA20、(3R)-CA20、C
表2に示す(単位:ppm)。
A1、CA5、CA15、CA55又はCA
【0044】
濃度が最小阻止濃度測定法で必要な濃度になるようにエ
【表2】
タノールで希釈しサンプル液とした。
MGHの
【0049】
次に、溶解状態のTrypticase
Soy Br
oth寒天培地溶液10mLに対して各サンプル液を夫
々100μLを添加し、各寒天培地溶液をシャーレに入
れて固めて、テストプレートを作製した。そして、上記
【0045】
50
各接種用菌液を5μLずつテストプレートにスタンプし
( 10 )
JP
19
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20
、37℃にて3日間培養を行った。
【0052】
このようにして、実施例1と同様に、(3S)-CA2
表3の結果より、(3S)-CA20、(3R)-CA2
0、(3R)-CA20、CA1、CA5、CA15、
0、CA1、CA5、CA15、CA55、CA
CA55、CA
MG
MGHによる生育阻害活性を検討した
H(実施例)は、WS−3、WS−23、l−ment
。菌の生育が認められなかった最小の冷感剤の濃度をM
hol、CA38(比較例)と比べ全ての菌株に対して
IC(最小発育阻止濃度)とした。この時の濃度を表3
MICが低い値となった。CA10と比べても多くのM
に示す(単位:ppm)。
ICが低い値となった。ニキビ原因菌、膿瘍菌、虫歯原
【0050】
因菌、歯周病原因菌などの嫌気性菌に高い抗菌作用を発
[比較例2]
揮できることが分かった。
実施例2と同様に、WS−3、WS−23、l−men 10
【0053】
thol、CA10、CA38の効果を検討した。菌の
今回開示された実施態様及び実施例は全ての点で例示で
生育が認められなかった最小の冷感剤の濃度をMIC(
あって制限的なものではないと考えられるべきである。
最小発育阻止濃度)とした。この時の濃度を表3に示す
本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲
(単位:ppm)。
によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲
【0051】
内での全ての変更が含まれることが意図される。
【表3】
────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
FI
A23L
3/349
(2006.01)
A23L
3/349
A23L
3/3517
(2006.01)
A23L
3/3517
A01P
3/00
(2006.01)
A01P
3/00
A01P
1/00
(2006.01)
A01P
1/00
(74)代理人
100154988
弁理士
(72)発明者
石田
小林
真知
賢哉
神奈川県平塚市西八幡1−4−11
(72)発明者
山本
鈴木
(56)参考文献
天野
高砂香料工業株式会社
研究開発本部内
高砂香料工業株式会社
研究開発本部内
美穂
神奈川県平塚市西八幡1−4−11
審査官
研究開発本部内
知子
神奈川県平塚市西八幡1−4−11
(72)発明者
高砂香料工業株式会社
皓己
国際公開第2011/050871(WO,A1)
特開2010−254621(JP,A)
特開2010−254622(JP,A)
特開平09−217083(JP,A)
特開2001−294546(JP,A)
特開2005−343915(JP,A)
特開2005−343795(JP,A)
( 11 )
JP
5803047
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
A01N
37/36
A01N
31/06
A01P
1/00
A01P
3/00
A23L
3/349
A23L
3/3517
A61K
31/075
A61K
31/22
A61P
31/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
B2
2015.11.4