税理士のための成年後見ガイドブック

平成23年1月
税理士のための
成年後見
ガイドブック
~財産管理を中心として~
日本税理士会連合会
公益活動対策部
は し が き
平成12年4月1日、わが国は成年後見制度(以下、
「本制度」という)をスタート
させた。本制度は、平成27年には65歳以上の人口が3,300万人にも達し、何らかの保
護 等 が 必 要 と さ れ る 人 が 500万 人 に も の ぼ る こ と が 確 実 と い う わ が 国 の 重 要 課 題 へ
の対応として、自己決定権の尊重と、高齢者や障害者が地域社会でともに生活でき
る社会基盤を作る理念であるノーマライゼーションとの調和を基本として制定され
たものである。
制定時の附帯決議には、
「制度の趣旨・内容について(中略)司法関係者等の関係
者に十分周知徹底されるよう努めること」とされており、本制度を維持発展させる
ためには、関連する専門士業団体の協力が必要とされ、また、期待されているとこ
ろである。
日本税理士会連合会では、この社会の要請に応えるため、税理士の専門的職能を
活用し社会貢献を果たすとの観点から、本制度への参画を公益的な業務と位置付け、
税理士の積極的な参加を目的に本制度の研究とその対応策等の検討を行ってきた。
本制度制定から10年が経過し、平成22年10月には、横浜市で開催された成年後見
法世界会議における横浜宣言の項目に、
「『成年後見人の行動規範』として、
『正確な
会計記録を付け、任命権者である裁判所あるいは公的機関の要請に応じて速やかに
それを提出する』」ことや、公的支援センターの創設の必要性などが提唱され、適正・
明確な会計処理と税理士会としての組織的支援体制への期待が強く打ち出され、税
理士及び税理士会が果たすべき役割はますます重要になっている。
本書は、これまでの「税理士のための成年後見制度テキスト」の内容を大幅に見
直し、税理士が成年後見業務の遂行にあたり、財産管理を行うときの具体的手順や
留意事項などを中心に取り纏めており、実務的なガイドブックとして活用できるよ
う編集している。
本書が税理士の皆様方にとって有用な書として活用されることにより、本制度の
定着と信頼性の高い運用に寄与することを願うものである。
平成23年1月
公益活動対策部
部長
日出
雄平
目
第1章
次
成年後見制度の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
はじめに
1
旧制度の問題点
2
法改正の必要性
3
法改正とその理念
4
成年後見制度の概要
5
成年後見申立の推移と現在の概況
第2章
成年後見制度の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
1
法定後見制度
2
任意後見制度
3
成年後見登記制度
第3章
高齢者の経済的被害の急増と成年後見制度 ・・・・・・・・・・・・27
1
事業者とのトラブル
2
経済的虐待
第4章
税理士の職能と成年後見制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
1
税理士と成年後見制度
2
税理士と地域社会
3
税理士の職能と成年後見制度
4
今後の課題と取組み
第5章
税理士が行う成年後見事務 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
1
概要
2
申立
3
成年後見人の職務
4
成年後見事務の終了
5
死亡後の事務
6
成年後見と税務
第6章
後見監督人 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59
1
監督人の必要性
2
後見監督人の権限
3
法定後見監督人の職務
4
任意後見監督人の職務
5
家庭裁判所への報告・報酬
第7章
倫理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
第8章
Q&A ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65
Q1
税理士が成年後見人として裁判所から選任を受けるためにはどうしたら
いいですか。
Q2
税理士が成年後見人及び監督人として裁判所から選任を受けた場合、どの
ような事項に注意すればいいですか。
Q3
選任されて成年後見人となった場合、不得意な身上監護の成年後見人をも
う一人選任してもらうことは可能ですか。
Q4
職員による代理事務は可能ですか。
Q5
税理士法人は成年後見人となることができますか。
Q6
遺言執行者である税理士はその人の成年後見人となることができますか。
Q7
損害賠償責任保険制度はありますか。また、どのような場合が対象となり
ますか。
Q8
成年後見人の報酬は税理士報酬として売上高に計上すべきですか。
Q9
後見終了後、被後見人の相続人から相続税の申告の依頼がありました。受
任に問題はありませんか。
Q10
成年被後 見 人 の 相 続 人 か ら 、 相続 対 策 と し て 成 年 被 後 見 人 と 孫 と の 養 子
縁組、従来からなされている連年贈与、アパート建築資金の借入れ等の相
談があった場合、応じてもいいでしょうか。
Q 11
保佐人に就任した後、被保佐人から遺贈の申し出があった場合、保佐人
はその申し出を受けてもいいでしょうか。
Q 12
本人が死亡した場合、成年後見人は2か月以内に相続人等の権利者に財
産を引き渡さなければなりませんが、相続人間で遺産についての争いがあ
る場合、どのように処理すればいいでしょうか。
第9章
1
問題事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69
横領・背任行為又はこれらとの限界が問題となる事例
(1)使い込み、無断借用・流用
(2)虚偽の名目による支出、過大な支出
(3)後見人又は親族への贈与
(4)後見人その他の親族に対する扶養
(5)後見人又は親族への金銭の貸付
(6)立替金、介護の日当・費用、見舞の日当・費用の支払
(7)被後見人と後見人及びその家族とが生計を共にしている場合における被後見
人の「生活費」及び「介護料」等
(8)施設等への寄付、謝礼、差額ベッド、冠婚葬祭等の交際費の限界
(9)後見開始・後見人選任前の不正・不明朗な支出
(10)不正又は不明朗な行為が行われた場合の対応
2
財産管理の管理・運用方法が問題となる事例
(1)預貯金口座の名義等
(2)建物建築・借入れ等
(3)ペイオフ対策、投資・投機等について
(4)被後見人を契約者・被保険者、後見人を受取人とする生命保険契約の是非
(5)被後見人の墓地・墓石の購入、葬儀・供養に関する契約等
3
第三者後見人と親族の関係
4
報告書等不提出・「選任されてしまえばこっちのもの」か
第10章
記載例・参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・76
<記載例>
(1)申立書
(2)申立事情説明書
(3)後見人等候補者事情説明書
(4)診断書
(5)上申書
(6)登記されていないことの証明申請書
(7)登記されていないことの証明書
(8)登記事項証明申請書
(9)財産目録(就任時)
(10)収支予定表
(11)成年後見制度に関する届出書兼代理人届
(12)成年後見制度に関する届出書
(13)年金受給権者
通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出書
(14)郵便物の転送届
(15)財産目録(周年報告)
(16)報酬付与申立書
(17)特別代理人選任申立書
(18)居住用不動産処分許可申立書
(19)辞任許可申立書
(20)辞任に伴う後任者選任の申立書
(21)財産目録(終了時)
(22)後見事務終了報告書
(23)報酬付与申立書(終了時)
(24)登記申請書(終了の登記)
(25)任意後見監督人選任申立書
(26)報酬付与審判申立書
<参考資料>
(27)登記事項証明書<後見・保佐・補助>
(28)審判書
(29)支援者リスト
【凡例】
◆本書では、かっこ書きで根拠条文を示す場合は、原則として
次のような略語を使用する。
(例)民法13条1項 → 民13①
◆法律の略号
民
民法
任意後見
任意後見契約に関する法律
老
福
老人福祉法
知的障害
知的障害者福祉法
精
神
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
家 審 規
家事審判規則
後見登記
後見登記等に関する法律
家
審
家事審判法
公
証
公証人法
虐待防止
高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対す
る支援等に関する法律
公
選
公職選挙法
第1章 成年後見制度の趣旨
第1章
成年後見制度の趣旨
はじめに
「ある社会が、その一部の構成員を締め出して構成されるとしたら、その社会は
弱くて脆い社会である。」。これは、1980年(昭和55年)、国連の国際障害者年行動
計画の言葉です。
21世紀に入り、わが国においては少子高齢化が急速に進展しつつありますが、そ
のなかでわが国が選択した道は、国民の自己責任を基礎とする国家社会の確立でし
た。
そして平成12年4月1日より、国は社会福祉政策を税による直接的な介入から、
国民相互の負担による介護保険制度へと転換しました。これに伴い、福祉サービス
の提供は、原則的に行政処分としての「措置」から、利用者とサービス提供者との
「契約」によることとなりました。このような「契約」を基本とする社会にあって
は、国民が等しく契約者としての権利行使を可能とするために、判断能力が不十分
な者に対する保護が必要不可欠となってきます。
禁治産・準禁治産といった旧制度においては、専ら経済取引の安定や家の財産(家
産)の保全が求められ、本人の権利や利益擁護の観点が希薄でした。しかし、この
ような社会福祉政策の転換により、本人の残存能力の活用や自己決定権の尊重、そ
して障害 (※ ) のある者との共生を目指すノーマライゼーションといった新たな理 念
との調和を基本にし、本人の身上監護及び財産管理の達成を目的とした「成年後見
制度」が制定されたのでした。
※「 障 害 」の 表 記 に つ い て は「 障 碍 」又 は「 障 が い 」が 適 切 で あ る と の 見 解 が あ り ま す が 、こ の ガ
イドブックにおいては法律の規定を説明する関係上「障害」で統一しました。
1
旧制度の問題点
1898年(明治31年)、当時のわが国の民法に、フランスのナポレオン法典に由来す
るといわれている禁治産・準禁治産制度が創設され、以来、約100年間その内容を改
正することなく推移してきました。しかし当時から現在までの間に、わが国の社会
及び経済においてはその規範等に劇的な変革が生じるとともに、また個人の権利意
識等にも大きな変化が生じ、旧制度の運用については、以下のような問題点が指摘
されるようになりました。
①
旧制度の立法目的が家の財産(家産)の保全や経済取引の安全性確保にあり、
本人の自己決定権に対する尊重の理念は希薄でした。いわば、旧制度が適用さ
れた人々は、社会から除外される傾向にあったのです。
②
旧制度の対象者は、本人の心神喪失等の態様により2類型だけに区分された
ことからその適用範囲は狭く、また2類型以外の人々への保護の制度もなかっ
たことから、社会制度として使いづらい状況にありました。
③
心神喪失の類型が戸籍に記載されることによって、本人に対する身分的な悪
- 1 -
第1章 成年後見制度の趣旨
影響や、個人のプライバシーが著しく侵害されるという実態があり、加えて、
その呼称に対する差別感が社会問題となっていました。
④
心神喪失等の態様の判定までに時間と費用がかかりすぎ、その利用程度は必
要対象者数に比し極端に少なく、制度としての存在意義が問われていました。
2
法改正の必要性
これら旧制度下における諸々の問題点が浮かび上がるとともに、わが国における
社会、経済における著しい変化は、社会福祉制度のあり方に対し大きな改革を迫る
こととなりました。
第一に、わが国の急速な高齢化の進展に伴い、身上保護を必要とする人々が急増
したことです。推計によれば、平成27年には約3,300万人にも達する高齢者が、介護
等何らかの生活上の支援を必要とされると予想されています。
第二には、国が社会福祉政策を「措置」から「契約」へと転換したことにより、
高齢者及び知的障害者等の判断能力が不十分な者に対する保護の必要性が高まった
ことが挙げられます。一方で核家族化が進行することにより家族構成員は減少し、
その結果として家庭における介護力は著しく低下している状況があります。これら
の問題に対して、地域社会としての支援体勢を確立することが強く求められました。
第三には、国民の権利意識や、人権感覚が成熟してきたことがあります。いわば、
自らの生き方は自らが決めるという、個人としての意識が成熟してきたといって良
いでしょう。さらには、社会的弱者への虐待問題などが日常的に報じられるように
なると、それらの人々を擁護する必要性が強く市民社会に共有されるようになりま
した。
第四には、諸外国、特に欧米諸国における成年後見制度改革の影響が挙げられま
す。約30年前のフランス民法改正以来、オーストリア、ドイツにおいて、法定後見
制度が順次改正され、またイギリスでは、持続的代理権授与法の制定により自己決
定権の尊重が法制化されました。このような世界の情勢が当然わが国の制度改革へ
の後押しとなっていることは、見逃せない要因です。
3
法改正とその理念
以上のような時代背景に後押しされ、また旧制度が内包する諸問題の解決を図る
ために、民法等の改正が検討され、新しい成年後見制度が平成12年4月1日よりス
タートしました。
この法改正の目的は、本人の身上監護及び財産管理の達成にあります。そして、
その基本理念は、一つには本人の残存能力の活用による自己決定権の尊重であり、
二つ目には、障害のある者も家族や地域で通常の生活を送ることができる社会を作
るというノーマライゼーションの理念との調和にあります。したがって、新制度で
- 2 -
第1章 成年後見制度の趣旨
は財産管理を行う場合であっても、本人の身上に配慮すべき義務(民858)が課され
ており、また個人の持つ尊厳や権利の擁護に対しても旧制度に見られなかった義務
が課されているところから、いわば人間尊重の理念が基本にあるといえます。
4
成年後見制度の概要
新しい成年後見制度は、以下の三つの個別の制度から構成されています。
(1)法定後見制度
その内容は、判断能力が不十分な者に対する旧来の禁治産・準禁治産を改正し
た「後見」、「保佐」と、新設された軽度の判断能力の低下が見られる人を対象と
する「補助」の三つの類型に分けることによって、対象者の範囲を広げ本人の支
援を行う制度です。
(2)任意後見制度
その内容は、本人の判断能力が健常な段階で、契約によって、判断能力が低下
した場合における後見の範囲や後見人をあらかじめ定めておくことができる制度
です。
法定後見制度が、既に本人が判断能力を欠いている場合に適用される制度であ
るのに対し、任意後見制度は、事前的な措置を自らが定めることを目的とした新
しい制度です。いわば自らの将来は自らが事前に決めることを最大限に尊重した
制度といえるでしょう。
(3)後見登記制度
旧制度では、禁治産・準禁治産宣告の事実は直接戸籍に記載され、プライバシ
ーの侵害及び差別感を生む等の様々な問題が生じていました。しかし取引の安全
性確保には取引相手方の法律行為能力の確認が求められる一方、個人情報の保護
等も十分に確保される必要があります。
後見登記制度はこれらの問題の解決を図るため、制度の利用に関する情報を「登
記」することを義務付けるとともに、限定された者以外はその情報の入手を不可
能とする新しい制度です。
法定後見制度及び任意後見制度の要件等の概要は、次頁のとおりです。
- 3 -
第1章 成年後見制度の趣旨
補助・保佐・後見・任意後見の概要
後見類型等
要件
判断能力
<対象者>
鑑定等の要否
法定後見
任意後見
補助
保佐
後見
精神上の障害によ 精神上の障害によ 精神上の障害によ 契約締結能力があ
り事理を弁識する り事理を弁識する り事理を弁識する る段階で契約、事理
弁識能力が不十分
能力が不十分な者 能力が著しく不十 能力を欠く者
な状態で開始
分な者
診断書等(原則とし 原則として鑑定必 原則として鑑定必
て鑑定不要)
要
要
開始の手続
機関
同意権・取消権
代理権
支援者の権限・義務
請求権者
本人、配偶者、四親等内の親族、他の類型の支援者・監督者、 本人、配偶者、四親
検察官、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人、市 等内の親族、任意後
町村長
見受任者
本人の同意
必要
不要
不要
原則として必要
支援者
補助人
保佐人
成年後見人
任意後見人
監督者
補助監督人
保佐監督人
成年後見監督人
任意後見監督人
付与の範囲
特定の法律行為(民
法13条1項の範囲
内)<申立ての範囲
内>
民法13条1項所定の 日常生活に関する 取消権はない
行為(日常生活に関 行為以外の行為【同
する行為を除く) 意権はない】
【注】
付与の審判
本人の同意
取消権者
付与の範囲
必要
必要
本人、補助人
特定の法律行為
<申立ての範囲内>
不要
不要
本人、保佐人
特定の法律行為
<申立ての範囲内>
付与の審判
本人の同意
権限
必要
必要
不要
不要
必要
必要
不要
不要
同意権・取消権・代 同意権・取消権・代 取消権・代理権
理権
理権
本人の意思の尊重、 本人の意思の尊重、 本人の意思の尊重、 本人の意思の尊重、
本人の心身の状態 本人の心身の状態 本人の心身の状態 本人の心身の状態
及び生活状況の配 及び生活状況の配 及び生活状況の配 及び生活状況の配
慮義務
慮義務
慮義務
慮義務
義務
不要
不要
本人、成年後見人
すべての財産的法
律行為
不要
不要
契約で付与した範
囲
【注】審判により、民法13条1項以外についても同意権・取消権が付与される。
- 4 -
第1章 成年後見制度の趣旨
5
成年後見申立の推移と現在の概況
成年後見制度はそのスタートから早10年を経過しました。そしてこの期間の制度
の利用状況は着実に広がっています。最高裁判所のホームページに掲載されている
「成年後見関係事件の概況」を参考に過去10年間における事件申立件数の推移をま
とめると(図1)のようになります。
(図1) 過去10年間における申立件数の推移
35,000
任意後見監督
人選任
補助開始
30,000
32,125
26,459
保佐開始
25,000
20,124
後見開始
20,000
27,397
24,727
17,086
17,129
15,151
15,000
11,088
9,007
10,000
5,000
0
平成12年度
平成13年度
平成14年度
平成15年度
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
平成20年
平成21年
※ 各 年 の 件 数 は 、 平 成 12年 度 か ら 平 成 15年 度 ま で は 、 そ の 年 の 4月 1日 か ら 次 の 年 の 3月 31日 ま で 、 平 成 16年 以 降 は 1月 か ら 12月 ま で
に申立のあった件数である。
平成18年に申立件数は異常な伸びを示していますが、これはこの年の4月に地域
包括支援センターが各地に設置され、また障害者施設の利用が10月より措置から契
約に移行することに伴う集団申立がされた等の特殊事情によるものです。この年の
特殊な状況を除いてみても、申立件数が着実に増加していることが分かります。
また、「成年後見関係事件の概況―平成21年の1月~12月」における「申立人と
本人との関係別件数」
(図2)を見ますと、申立人のほとんどが本人及び配偶者、子
を含む親族であることが分かります。次に「主な申立ての動機別件数」
(図3)にお
いては財産管理処分が最も多く、全体の56.5%を占めています。
さらに「成年後見人等と本人との関係別件数」は(図4)のようになっており、
当初、成年後見人に就任するのは家族が90%を占めていましたが、現在は60%程度
まで減少しており、家族以外の者(第三者後見人)が増加しており、第三者後見人
の重要性がますます高まっています。なお、税理士はその他の一として記載されて
います。
- 5 -
第1章 成年後見制度の趣旨
(図2)申立人と本人との関係別件数
総数
27,498
1,612
本人
2,463
配偶者
1,882
親
10,679
子
兄弟姉妹
3,996
その他親族
3,861
163
法定後見人等
367
任意後見人等
4
検察官
(件)
2,471
市区町村長
0
5000
10000
15000
20000
25000
30000
(注 1 )後 見 開 始 、 保 佐 開 始 、 補 助 開 始 及 び 任 意 後 見 監 督 人 選 任 事 件 の 終 局 事 件 を 対 象 と し た 。
(注 2 )申 立 人 が 該 当 す る 「 関 係 別 」 の 個 数 を 集 計 し た も の ( 27,498件 ) を 母 数 と し て お り 、 1 件 の 終 局 事 件 に つ い て 複 数 の 申 立
人 が あ る 場 合 に 、 複 数 の 「 関 係 別 」 に 該 当 す る こ と が あ る た め 、 総 数 は 、 終 局 事 件 総 数 ( 27,409件 ) と は 一 致 し な い 。
(注 3 )そ の 他 親 族 と は 、 配 偶 者 、 親 、 子 、 及 び 兄 弟 姉 妹 を 除 く 、 四 親 等 内 の 親 族 を い う 。
(図3)主な申立ての動機別件数
43,056
総数
24,347
財産管理処分
4,183
遺産分割協議
1,297
訴訟手続等
2,401
介護保険契約
8,596
身上監護
2,232
その他
(件)
0
10000
20000
30000
40000
50000
(注 1 )後 見 開 始 、 保 佐 開 始 、 補 助 開 始 及 び 任 意 後 見 監 督 人 選 任 事 件 の 終 局 事 件 を 対 象 と し た 。
(注 2 )1 件 の 終 局 事 件 に つ い て 主 な 申 立 て の 動 機 が 複 数 あ る 場 合 が あ る た め 、 総 数 は 、 終 局 事 件 総 数 ( 27,409件 ) と は 一 致
しない。
(図4) 成年後見人等と本人との関係別件数
25,808
総数
1,765
配偶者
1,308
親
7,969
子
2,523
兄弟姉妹
2,824
その他親族
2,358
弁護士
3,517
司法書士
2,078
社会福祉士
682
法人
136
知人
(件)
648
その他
0
5000
10000
15000
20000
25000
30000
(注 1 )後 見 開 始 、 保 佐 開 始 及 び 補 助 開 始 事 件 の う ち 認 容 で 終 局 し た 事 件 を 対 象 と し た 。
(注 2 )成 年 後 見 人 等 が 該 当 す る 「 関 係 別 」 の 個 数 を 集 計 し た も の ( 25,808件 ) を 母 数 と し て お り 、 1 件 の 終 局 事 件 に つ い て 複 数
の 成 年 後 見 人 等 が あ る 場 合 に 、 複 数 の 「 関 係 別 」 に 該 当 す る こ と が あ る た め 、 総 数 は 、 認 容 で 終 局 し た 事 件 総 数 ( 24,708
件)とは一致しない。
(注 3 )そ の 他 親 族 と は 、 配 偶 者 、 親 、 子 、 及 び 兄 弟 姉 妹 を 除 く 親 族 を い う 。
- 6 -
第2章 成年後見制度の概要
第2章
1
成年後見制度の概要
法定後見制度
法定後見制度は、従来の禁治産・準禁治産制度を、各人の多様な判断能力や保護
の必要性の程度に応じて、柔軟かつ弾力的な措置を可能とするために補助(新設)・
保佐(準禁治産の改正)・後見(禁治産の改正)に改めた制度です。
補助・保佐・後見の制度は、被補助人(補助を受ける人)、被保佐人(保佐を受
ける人)、被後見人(後見を受ける人)
(以下「成年被後見人等」という。)を支援す
るために、家庭裁判所が適当と認める者、補助人、保佐人、成年後見人(以下「成
年後見人等」という。)を選任して、成年被後見人等に権限を付与するもので、法定
後見制度と呼ばれます。さらに、必要があると認められる場合には、成年後見人等
を監督するために、それぞれ監督人が選任されます。
法
区
定
分
補助(新設)
本人(要支援者)
支援者
監督人
被補助人
補助人
補助監督人
被保佐人
保佐人
保佐監督人
成年被後見人
成年後見人
成年後見監督人
後
見 保佐(準禁治産の改正)
制
度
後見(禁治産の改正)
(1)補助
補助とは、比較的軽度な精神上の障害のある人のための制度です。
「事理を弁識
する能力が不十分な人」を対象とし、従来の制度では保護の対象とならなかった
軽度の精神上の障害を有する者を保護の対象とした新しい制度です。本人の重要
な財産に影響を与えるような行為について、本人の状況に応じて、補助人に対し
同意権及び代理権を付与して保護を図るものです。
①
補助の申立
補助の手続は、家庭裁判所に対して「補助開始の審判」の申立により開始し
ます。補助開始を求めるには、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見
監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官(民15①)、任意後見受任者、任意後見
人、任意後見監督人(任意後見10②)が、家庭裁判所に対し申立を行う必要が
あります。なお、身寄りのない者については市町村長が申立権者となります(老
福32、知的障害27の3、精神51の11の2)。
ただし、本人以外の者の請求により補助開始の審判を行う場合には本人の同
意を必要とします(民15②)。
- 7 -
第2章 成年後見制度の概要
家庭裁判所は補助人を選任し、当事者が選択した特定の法律行為について、
補助人に対し代理権又は同意権(取消権)の一方もしくは双方を付与します(民
17①、120①、876の9)。
②
補助の開始
1)同意権・取消権
家庭裁判所は、本人(被補助人)の行為に対し、補助人に民法13条(保佐
人の同意が必要な行為)の事項の中から、申立の範囲内で、本人の状況に応
じて個別的に同意権を付与します(民17①)。ただし、日常生活に関する行為
は除かれます(民17①ただし書)。
同意権付与の審判がなされると、その特定の法律行為について本人が補助
人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないで行った場合には、本
人及び補助人はこれを取り消すことができます(民17④、120①)。
2)代理権
家庭裁判所は、補助人に、本人が行う特定の法律行為についての代理権を
与えることができます(民876の9①)。ただし、この申立の請求が本人以外
である場合、本人の同意が必要となります(民15②、民876の9②・876の4②)。
代 理 権 の 付 与 さ れ る 法 律 行 為 は 民 法 12条 に 規 定 す る 事 項 の 範 囲 内 と い う 制
限はなく(民876の9①)、財産管理及び身上監護(生活又は療養看護)に関
する法律行為(例えば、介護契約、施設入所契約、医療契約の締結等)が含
まれます。この代理権が付与される特定の法律行為は、申立の範囲内で家庭
裁判所が本人の状況に応じて個別的に決定するとされています。
なお、居住用不動産の処分については、家庭裁判所の許可が必要となりま
す(民876の10、859の3)。
③
付与の追加及び取消
補助開始の審判後に代理権又は同意権の追加又は範囲の拡張が必要となった
ときは、申立により、追加的にその付与の審判を求めることができます(民17
①、876の9①)。
また、代理権又は同意権の全部又は一部を維持する必要性がなくなったとき
は、その付与の審判の全部又は一部の取り消しを求めることができます(民18
②、876の9②・876の4③)。なお、家庭裁判所は、すべての代理権・同意権の付
与の審判を取り消すときは、職権で、補助開始の審判を取り消すこととされて
います(民18③)。
④
補助の終了
本人の判断能力の回復により補助開始の原因が止んだとき、家庭裁判所は、
本人、配偶者、四親等内の親族、補助人・補助監督人又は検察官の請求により、
補助開始の審判を取り消さなければなりません(民18①)。なお、判断能力の
減退により後見開始又は保佐開始の審判に移行するときは、審判の重複を回避
- 8 -
第2章 成年後見制度の概要
するため、家庭裁判所は職権で補助開始の審判を取り消すこととされています
(民19①)。
(2)保佐
保佐とは、精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者、すな
わち精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)により判断能力が著しく不
十分な者を対象とする制度です。一定の「重要な行為」
(民13①に掲げる行為)に
ついては、支援者(保佐人)の同意を必要とすることにより本人が不利益を受け
ることを防ごうとするものです。また、必要に応じて代理権を付与することもで
きます。
①
保佐の申立
「保佐」の状態が発生した場合、
「補助」と同様に、本人、配偶者、四親等内
の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官(民11)、任意後
見受任者、任意後見人、任意後見監督人(任意後見10②)、身寄りのないものに
ついては市町村長が申立権者となります(老福32、知的障害27の3、精神51の11
の2)。
なお、本人以外からの保佐の申立の場合、補助とは異なり本人の同意は不要
です。また、保佐の申立により鑑定(本人の判断能力の判定)がなされます(家
審規30の2・24)。
家庭裁判所が本人のために保佐人を選任し(民12の2、876の2①)、これによ
り「重要な行為」を行うときは保佐人の同意が必要となり(民13①)、また、上
記以外の行為についても、同意権付与の審判を経て、保佐人に同意権を付与す
ることができます(民13②)。
特定の法律行為については、当事者が選択したものについて保佐人に代理権
を付与することができます(民876の4①②)。
②
保佐の開始
1)同意権・取消権
本人(被保佐人)が民法13条1項(保佐人の同意が必要な行為)に規定す
る事項、いわゆる「重要な行為」を行うときは保佐人の同意が必要になりま
す(民13①)。ただし、日常生活に関する行為は除かれます(民13ただし書)。
「重要な行為」として次の事項を規定しています。
イ
元本の領収、利用(弁済金の受領、賃貸不動産の返還を受けること、
不動産の貸付、預貯金の出し入れなど)
ロ
金銭の借入、保証
ハ
不動産その他の重要な財産(自動車、株式、貴金属、ゴルフ会員権、
特許権、著作権等)の売買、担保の設定など
ニ
訴訟行為
- 9 -
第2章 成年後見制度の概要
ホ
贈与、和解、仲裁契約
へ
相続の承認・放棄、遺産分割
ト
贈与・遺贈の拒絶、負担付贈与・遺贈の受諾
チ
新築、改築、増築、大修繕
リ
長期の賃貸借契約(山林は10年、その他の土地は5年、建物は3年、
動産は6か月を超えるもの)をすること
同意権付与の審判がなされるとその「重要な行為」について、本人が保佐
人の同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないで行った場合には、本
人及び保佐人はこれを取り消すことができます(民13④、120①)。
また、家庭裁判所は、必要があると認めるときは保佐開始の審判の申立権
者、保佐人、保佐監督人等の申立により、
「重要な行為」以外の行為について
も保佐人の同意を必要とする内容の審判を経て、保佐人に同意権を付与する
ことができます(民13②)。この審判は、保佐開始の審判と同時にすることも、
後に追加的にすることもできます(民13②)。
2)代理権
家庭裁判所は、保佐人に特定の法律行為について代理権を与えることがで
きます(代理権付与の審判)(民876の4①)。この代理権の付与には、本人の
同意が必要となります(民876の4②)。代理権の付与される法律行為は民法
12条に規定する事項の範囲内という制限はなく、婚姻や遺言のように本人し
かできないもの(一身専属的行為)を除くどのような法律行為についても付
与することができます。特定の法律行為は申立の範囲内で、家庭裁判所が本
人の状況に応じて個別的に決定します。
ただし、居住用不動産の処分は家庭裁判所の許可を必要とします(民876
の5②・859の3)。
③
保佐の終了
本人の判断能力の回復により保佐開始の原因が止んだときは、家庭裁判所は、
本人、配偶者、四親等内の親族、保佐人・保佐監督人等の請求により、保佐開
始の審判を取り消さなければなりません(民14①)。なお、判断能力の減退又
は回復により後見開始又は補助開始の審判に移行するときは、審判の重複を回
避するため、家庭裁判所は職権で保佐開始の審判を取り消すこととされていま
す(民19)。
(3)後見
後見とは、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、すな
わち精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)により判断能力を全く欠く
か、ほとんどない状態にある者を対象とする制度です。
このような者は、自分の行動の意味や結果を理解できないため、単独で契約な
- 10 -
第2章 成年後見制度の概要
どを行った場合不利益を被る恐れがあり、後見人が代わって契約等を行い、本人
を保護する制度です。
①
後見の申立
審判開始の手続の申立は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、
未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官(民7)、
任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人(任意後見10②)、身寄りのない
者については市町村長(老福32、知的障害27の3、精神51の11の2)が申立権者
となり行います。なお、後見の申立により鑑定(本人の判断能力の判定)が必
要となります(家審規24)。
②
後見の開始
家庭裁判所は、後見開始の審判において、本人(成年被後見人)のために成
年後見人を選任します(民8、843①)。
成年後見と未成年後見の区別を明確にするため、
「被後見人」を「成年被後見
人」と「未成年被後見人」に区別するとともに(民794)、
「後見人」を「成年後
見人」と「未成年後見人」に、
「後見監督人」を「成年後見監督人」と「未成年
後見監督人」に区別しています(民10)。成年後見人には、広範な代理権と取消
権が付与されます(民859①、9)。
1)代理権
成年後見人に対して、本人(成年被後見人)の財産に関する法律行為につ
いて包括的な代理権が付与されます(民859①)。
ただし、居住用不動産の処分は家庭裁判所の許可を必要とします(民859
の3)。
2)取消権
本人の行った法律行為は、取り消すことができます(民9)。取消権者は、
本人と成年後見人となっています(民120)。
ただし、自己決定の尊重の観点から、日用品の購入その他日常生活に関す
る行為は、取消権の対象から除外されています(民9ただし書)。
③
後見の終了
本人の判断能力の回復により後見開始の原因が止んだときは、家庭裁判所は、
本人、配偶者、四親等内の親族、後見人・後見監督人等の請求により、後見開
始の審判を取り消さなければなりません(民10)。なお、判断能力の回復により
保佐開始又は補助開始の審判に移行するときは、審判の重複を回避するため、
家庭裁判所は職権で、後見開始の審判を取り消すこととされています(民19②)。
(4)成年後見人等の責務
成年後見人等は本人の財産に関する法律行為について広範な代理権、同意権又
は取消権を付与されその職務を行います。成年後見人等はその権限を本人のため
- 11 -
第2章 成年後見制度の概要
に適切に行使しなければなりません。
その職務を行うに当たって本人の意思を尊重し(意思尊重義務)、本人の心身の
状況及び生活の状況に配慮しなければならない(身上配慮義務)と定められてい
ます(民858、876の5①、876の10①)。
(5)成年後見監督人等
法定後見制度では、家庭裁判所が必要と認めたときは、成年後見人等の職務を
監督する者を選任できる旨の規定を設けました。なお、監督人は個人、法人いず
れも可能です。
平成12年の改正により、これら監督体制の整備が確立されたことは、本制度の
利用の信頼性や安全性をより確実なものにすることであり、その基礎を為す監督
人の職務は重要な意義を持っています。
成年後見人には幅広い権限が付与されており、その権限の濫用に対し十分な配
慮が必要となります。成年後見人に対しては家庭裁判所が指導、監督を行います
が、本人の財産が巨額で、より細やかな監督が必要な場合や、成年後見人に対し
ての助言等が必要な場合には成年後見監督人を選任することにより(民849の2)、
より安全性が担保されます。
また、保佐人・補助人も代理権を持つことがあり、その権限が濫用されると本
人に被害や危険をもたらす恐れがあることから、保佐、補助にも監督人の制度を
設けました(民876の3、876の8)。その職務内容は、成年後見監督人と同様です
(民876の3②、876の8②)。
①
成年後見監督人等の職務
成年後見監督人等(成年後見監督人、保佐監督人、補助監督人)の職務は次
のとおりです(民851)。
1)成年後見人等の事務を監督する。
2)成年後見人等が死亡等で欠けた場合には、遅滞なく後任者の選任を家庭裁
判所に請求する。
3)急迫な事情がある場合の成年後見人等に代わって必要な処置をする。
4)成年後見人等と本人の利益が相反する場合に本人を代理する(保佐及び補
助監督人おいては、保佐・補助人又はその代表する者と本人との利益が相反
する行為について本人がこれをすることに同意する)。
②
成年後見監督人等の権限
上記職務の他に、成年後見監督人等はいつでも成年後見人等の事務に関する
報告等を求め、又はその事務若しくは本人の財産の状況を調査することができ
ます。また、本人の財産の管理、その他後見等の事務について必要な処分を命
ずることを家庭裁判所に請求することができます。
さらに、監督の過程で不正行為等を知ったときは、成年後見人等の解任を家
- 12 -
第2章 成年後見制度の概要
庭裁判所に請求することができます。
(6)報酬
成年後見人等及び成年後見監督人等は適切な額の報酬を受けることができます。
この場合、家庭裁判所の報酬付与の審判を必要とします(民862、852、876の5②、
876の3②、876の10①、876の8②)。
また、後見事務を行うために必要な費用は、本人の財産から支弁することとし、
立て替えた費用については本人に請求することができます(民861②)。
(7)不服申立
家庭裁判所が出した結論に不服があれば、高等裁判所に不服申立(即時抗告)
ができます。法定後見の開始を認めた審判に対しては申立権者が、申立を却下す
る 審 判 に 対 し て は 申 立 人 が そ れ ぞ れ 即 時 抗 告 を す る こ と が で き ま す ( 2 週 間以
内)。
(8)審判前の保全処分
審判手続は通常補助で1~2か月、保佐・後見は鑑定等により通常2~3か月
を要し、また、即時抗告があればさらにその審理の期間が加わります。その間、
財産が散逸したり、本人が不利益な契約をして損害を受けることが考えられます。
このような恐れのある場合には「審判前の保全処分」を求めることができます。
すなわち、法定後見開始等の審判の申立がなされた場合において、本人の財産の
管理又は本人の監護のために必要があるときは、家庭裁判所は申立人からの申立
又は職権で「財産の管理人」を選任し、あるいは本人の財産の管理、本人の監護
に関する事項を指示する保全処分を発令することができます。
さらに、本人の財産の保全のため特に必要があると認めるときには、家庭裁判
所は、「財産の管理人」の後見、保佐、補助を受けることを命ずる保全処分(後
見命令・保佐命令・補助命令)をすることができます(家審規23①②、30①②、
30の8①②)。この保全処分が出されると法定後見開始等の申立の結論が出るまで
臨時に「後見」、「保佐」、「補助」に規定する同意権・取消権が認められます(た
だし、補助命令は、同意権付与の申立範囲内)。
- 13 -
第2章 成年後見制度の概要
後見開始の審判のフローチャート
申
鑑
立
定
保全処分
調
査
審
問
審
理
登
審
認
判
容
確
定
登
記
却
下
即時抗告
- 14 -
記
第2章 成年後見制度の概要
2
任意後見制度
任意後見制度とは、平成12年の改正により新く設けられた制度であり、本人の判
断能力が健常なうちに、判断能力が低下したときに備えて任意後見人や支援の範囲
等を公正証書により契約を締結し、実際に判断能力が低下したとき家庭裁判所によ
る任意後見監督人の選任によってその契約の効力が生じる制度のことです。
(1)任意後見制度の特徴
任意後見制度の特徴は「自己決定権の尊重」であるとともに、委任者本人、代理
人及び取引の相手方、いずれに対しても制度に対する信頼性が確保される機能に
あります。
①
自己決定権の尊重
認知症の発症や危険な手術に備え、自らの意思で信頼のおける親族や専門家
を後見人として支援の範囲(本人の生活、療養監護、財産の管理等の事務・代
理権の範囲)を決め、法務省令で定める様式により公正証書を作成し、その契
約内容(任意後見契約)を登記することとなっています。
登記することによって、任意後見監督人の選任も家庭裁判所に請求すること
ができます。
②
信頼性の確保
任意後見契約は、任意後見監督人の選任が効力発生の条件となっており、家
庭裁判所が任意後見監督人から定期報告を徴することや、必要に応じて同監督
人に報告を求めること、あるいは調査を命じることなどのチェックシステムが
配慮されています。また、任意後見契約の登記により、取引相手は本人の判断
能力の有無を確認することが可能となります。
(2)任意後見契約の締結
①
公正証書の作成
任意後見契約は法務省令で定める様式の公正証書によって作成しなければな
りません(任意後見3)。
1)原則として、本人が直接公証人に任意後見契約を委任しなければなりませ
ん。これにより委任者の判断能力等が確認できます。
2)任意後見契約は登記されることから、その前段階として任意後見人の代理
権の範囲等を明確にする必要があります。
②
契約の内容
1)任意後見監督人の選任を効力発生の条件とします(任意後見2)。
2)絶対的記載事項として、本人が後見を必要とする状況になった場合の具体
的な委任事務と代理権の範囲を決めます(任意後見2)。
3)代理権の対象となる委任事務の内容
- 15 -
第2章 成年後見制度の概要
本人の自由裁量が基本ですが、法務省令の代理権目録を参考として作成し
ます。なお、委任事務は法律行為を対象としており、介護労働のような事実行
為は含まれません。
4)知的障害者・精神障害者等の「親なき後」
(親の老後・死後)の保護のため
に任意後見契約を活用する場合、親権者が未成年の子に代わって締結するこ
とも可能です。
親が自己を本人とする任意後見契約を締結するとともに個々の事案に応じ
て次の契約を適宜組み合わせます。
イ
遺言執行者と遺産の管理方法を指定する遺言
ロ
親の死後の財産管理を受託者に委託する信託
ハ
親の死後における子の介護等の事実行為を第三者に委託する準委任契約
以上により、
「親なき後」における子の保護及びそのための財産管理等につ
いてあらかじめ定めておくことが可能となります。
③
その他の留意点
任意後見契約は民法上の委任の一種であり、報酬の定めがないと報酬に関す
る請求をすることができません(民648①)。支払時期、方法を含め定めておく
ことが必要です。任意後見人が事務処理に要した実費は本人負担である旨を確
認しつつ、その精算方法をあらかじめ定めておくことがトラブル発生の未然防
止となります。任意後見人には任意後見監督人の選任や法定後見の申立ができ
ますが、当初の契約に本人に対する積極的な義務として規定しておくこともで
きます。
任意後見制度では、法定後見制度と異なり、重要事項について任意後見監督
人や家庭裁判所の同意を必要としませんが、任意後見人が行う重要事項には任
意後見監督人等の同意を必要とする特約をおくことは、代理権の濫用を自制し、
本人あるいは親族の不安を払拭し、取引の相手方にも注意を喚起させるのに有
用な方策といえます。
(3)任意後見契約の開始―任意後見監督人の選任
契約締結以後、本人が「事理弁識能力が不十分な状態になった」ときに、家庭裁
判所は、申立権者の請求により任意後見監督人を選任し(任意後見4①)、任意後
見人による任意後見契約が開始されます。
①
任意後見監督人選任の手続
本人の住所地を管轄する家庭裁判所(支部を含む)に対して通常は書面にて
審判の申立を行います。「申立ての実情」欄には、申立が必要になった事情、本
人の生活状況を具体的かつ簡潔に記載するとともに、任意後見監督人の候補が
いる場合にはその旨を記載します。
「任意後見契約」、「任意後見受任者」の欄は登記事項証明書の記載に従って記
- 16 -
第2章 成年後見制度の概要
入します。申立ができるのは、本人のほか、配偶者、四親等内の親族又は任意
後見受任者で、検察官や市町村長には申立権はありません。
なお、本人以外の申立により任意後見監督人を選任する場合には本人の同意
が必要となりますが、本人の判断能力の低下が著しいために意思を表示するこ
とができないときは本人の同意は不要となります。
添付書類としては次のものが必要となります。
1)申立人の戸籍謄本
2)任意後見契約公正証書の写し・任意後見契約の登記事項証明書
3)本人の戸籍謄本・戸籍附票・法定後見の登記事項証明書(又は登記され
てないことの証明書)・診断書(成年後見用診断書)
4)任意後見監督人の候補者(候補がある場合)の戸籍謄本・住民票・身分
証明書・登記事項証明書(又は登記されていないことの証明書)
また、申立ての際に次の費用がかかります。
1)申立手数料・・・1件800円(収入印紙)
2)郵便切手・・・実費
3)登記手数料・・・2,000円(登記印紙)
②
任意後見監督人選任の基準と留意点
任意後見監督人の選任に当たっては、成年後見人選任と同様に、本人の心身
の状態並びに生活及び財産の状況や監督人となる者の職業、経歴や本人との利
害関係の有無など一切の事情が考慮されます(任意後見7④・民843④)。ただし、
①本人が未成年者であるとき、②すでに「後見」、「保佐」又は「補助」が開始され
ていて、これを継続することが本人の利益のために特に必要であると認めると
き、③任意後見受任者が成年後見人の欠格事由である破産者、あるいは著しい
不行跡、その他任意後見人の任務に適しない事由がある者に該当する場合には、
任意後見監督人は選任されません(任意後見4ただし書)。また、任意後見受任
者または任意後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、任意後見監督人にな
ることができません(任意後見5)。
ただし、任意後見監督人の人数には制限がなく、法人も選任可能です(任意
後見4④、7④・民859の2)。したがって任意後見人が親族である場合には一定の
専門家を、法人・団体の職員である場合には当該法人・団体を選任するという
ケ-スが多くなる傾向と思われます。
(4)任意後見人の職務内容(権限と義務)
①
任意後見人の職務内容
任意後見受任者は、任意後見監督人が選任されることにより、任意後見契約
の効力が生じ、任意後見人となります。任意後見人は、任意後見契約で受任し
た後見事務(以下「事務」という。)を行うことになります。主な事務の内容は、
- 17 -
第2章 成年後見制度の概要
「身上監護」と「財産管理」に大別されますが具体的内容については個々の契
約により異なります。
例示:①銀行取引事務・・・預金の出し入れ、必要資金の借入等
②不動産等事務・・・賃貸契約の締結、賃貸料の集金及び管理等
③介護保険事務・・・介護認定申請、審査請求、介護サービス契約の締
結、介護保険費用の支払等
②
任意後見人の義務
任意後見人の義務は、次のとおりであり、特約で免除したり、軽減すること
はできません。
1)身上監護について
任意後見人は、任意後見人の事務を行うに当たっては、本人の意思を尊重
し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません(任
意後見6)。
2)財産管理について
最善の注意をもって職務を行う義務があります(任意後見7④・民644「善
良な管理者の注意義務」)。
(5)任意後見監督人の役割
①
任意後見監督人の職務
任意後見監督人の職務については、次のとおりです(任意後見7①)。
1)任意後見人の事務の監督であり、代理権行使に対するチェック、検証、確
認等を行います。
2)任意後見人の事務に関し、家庭裁判所へ定期的な報告を行います。具体的
な報告の時期・内容は、家庭裁判所が指示します。
3)急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲において必要な処分
を行います。
4)任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本
人を代表します。
5)任意後見契約が終了(任意後見人の解任以外の事由による終了)した場合、
終了の登記を申請します。
②
任意後見監督人の権限
任意後見監督人には、上記職務の他に、次の権限が与えられています。
1)任意後見監督人は、いつでも、任意後見人に対し事務の報告を求め、又は
任意後見人の事務若しくは本人の財産状況を自ら調査することができます
(任意後見7②)。
2)任意後見監督人は、任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任
務に適しない事由があるとき、家庭裁判所に対し、任意後見人の解任を請求
- 18 -
第2章 成年後見制度の概要
することができます(任意後見8)。
(6)家庭裁判所の役割
家庭裁判所は、任意後見人を直接監督することはありません。あくまでも、任
意後見監督人から任意後見人の事務について定期的な報告を受けることにより、
間接的に任意後見人を監督することになります。また、家庭裁判所は、必要があ
ると認められるときは、任意後見監督人に対し、任意後見人の事務に関する報告
を求め、任意後見人の事務若しくは本人の財産状況の調査を命じ、その他任意後
見監督人の職務について必要な処分を命ずることができます(任意後見7③)。
上記の報告結果により、任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任
務に適しない事由があるとき、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、その親族
(四親等以内)又は検察官の請求により、任意後見人を解任することができます
(任意後見8)。
(7)任意後見の終了
任意後見契約は、以下の事由の発生によって終了します。
①
解除
1)任意後見監督人選任前においては、いつでも、公証人の認証を受けた書面
によって、任意後見契約を解除できます(任意後見9①)。
2)任意後見監督人選任後においては、正当な理由がある場合に限り、家庭裁
判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができます(任意後見9②)。
②
任意後見人の解任
任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があ
るとき、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、その親族(四親等以内)又は
検察官の請求により、任意後見人を解任することができます(任意後見8)。こ
のように任意後見人が解任されると、任意後見契約は自動的に終了します。任
意後見制度は委任者が自ら後見人を選ぶ制度のため、家庭裁判所が後任者を選
任する仕組みになっていないので、任意後見契約は終了せざるを得ません。
③
任意後見終了の登記
任意後見人は、その付与された代理権の範囲で、第三者と契約を結ぶ場合が
あります。その代理権の消滅を知らずに契約等を行った場合には、第三者が思
わぬ損害を被る恐れが生じます。したがって、善意の第三者への対抗要件とし
て、任意後見の終了は登記をしなければならないこととされています(任意後
見11)。
④
民法上の委任の終了原因
任意後見契約は委任契約の一種であるため、民法が定める委任の終了原因の
発生によっても契約は終了します。その終了原因は以下のとおりです。
- 19 -
第2章 成年後見制度の概要
1)委任者の死亡・破産
2)受任者の死亡・破産
3)受任者が後見開始の審判を受けたとき
(8)任意後見人及び任意後見監督人の報酬及び費用
任意後見契約は、民法の委任契約の一種であり、任意後見人と任意後見監督
人の報酬及び費用については、任意後見契約において特約のない限り、民法の
委任規定に準ずることとなります。
①
任意後見人の報酬
民法上、受任者が報酬を受けるには、その旨の特約が必要であると規定して
います(民648①)。つまり、この規定は受任者の報酬が原則無報酬であるとい
うことを意味しており、任意後見契約を締結する際に報酬額を決めておかない
と、任意後見人は無報酬で事務を行わなければならないこととなります。
また、民法上、報酬は特約のない限り後払いであるとされています(民648
②)。しかし、特約により月額又は年額を決定し、着手金の定めをすることも
可能です。
②
任意後見人の費用
任意後見人の職務遂行に要する費用に関しては、任意後見契約の有償・無償を
問わず、特約のない限り、次のような民法の一般原則に従うことになります。
1)本人は、任意後見人の請求があり次第、事務処理に要する費用を支払わな
ければなりません(民649)。
2)任意後見人が事務処理に要する費用を立て替えた場合には、本人から、そ
の費用を支出日以降の利息を含めて償還を受けることができます(民650①)。
3)任意後見人は、本人のために自己の名で債務を負担した場合には、本人に
対し、その債務の弁済又は担保の提供を求めることができます(民650②)。
③
任意後見監督人の報酬
任意後見監督人の報酬については、後見監督人に関する民法852条の規定と同
様、民法の後見人の報酬・費用及び辞任・解任の手続に関する規定が準用され
ており(任意後見7④)、後見監督人と同様の規則に従うことになり、家庭裁判
所が審判により任意後見人及び本人の資力その他の事情によって、相当な額を
定めることとなります。
④
任意後見監督人の費用
任意後見監督人の職務遂行に要する費用に関しては、任意後見人と同様に、
本人に対し請求することができます。
(9)任意後見制度の利用形態
任意後見制度の利用形態には、次のものがあります。
- 20 -
第2章 成年後見制度の概要
①
本来型(任意後見契約単独利用将来型)
本人が健常時に任意後見契約を締結し、判断能力が低下し任意後見開始の申
立により、任意後見監督人が選任され、任意後見契約が発効する基本的形態。
②
即効型(任意後見契約単独利用即効型)
判断能力の相当低下した者が、任意後見契約を締結と同時又は直近に、任意
後見監督人を選任し、契約を直ちに発効させる形態。
③
移行型(委任契約・任意後見契約併用移行型)
任意後見契約と同時に民法上の委任契約・代理権授与契約による財産管理等
に関する契約を締結し、任意後見受任者にそれらの事務を委託した後、本人の
判断能力が低下し、任意後見開始の申立により、任意後見監督人が選任され、
民法上の財産契約等の契約から任意後見契約の発効へと移行させる形態。
任意後見制度
(家庭裁判所:任意後見人の解任)
本
人
任
意
後
見
人
家庭裁判所
任意後見監督人:
家庭裁判所へ報告
義務
家庭裁判所:
任意後見監督人の選任
任意後見監督人の監督
(任意後見人:任意後見監督人へ報告)
任意後見監督人
(任意後見監督人:任意後見人を監督)
公正証書による契約の締結
任 意 後 見 の 登 記
- 21 -
第2章 成年後見制度の概要
任意後見制度の契約の締結から終了まで
登
記
公 正 証 書 に て 契 約
(精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分になる)
裁判所に対し任意後見監督人
の選任申立
登
記
任意後見監督人選任=任意後見開始
(任意後見監督人による監督)
解
登
記
任
解
除
委任者・受
任者の死
亡、破産等
任 意 後 見 契 約 の 終 了
- 22 -
法定後見の開始
第2章 成年後見制度の概要
3
成年後見登記制度
成年後見登記制度は、従来の禁治産宣告・準禁治産宣告の戸籍記載に代わる新た
な公示方法として、
「後見登記等に関する法律」
(平成11年法律152号)に基づいて創
設された制度です。
後見に関する情報を「登記」という方法により管理・証明するとともに、この登
記情報の開示を求めることができる者を限定することにより、取引の安全性の確保
と本人のプライバシー保護を図っています。
(1)成年後見登記制度の概要
成年後見登記制度は、法定後見(補助、保佐、後見)及び任意後見に関する事
柄を公示するための登記制度で、登記事務は法務大臣の指定する法務局若しくは
地方法務局等において電子情報処理組織によって処理されます(後見登記2、4、
5)。
登記は、嘱託又は申請に基づき法定後見又は任意後見契約の内容等の事項を後
見登記等ファイルに記録することにより行われます(後見登記4、5)。
登記情報の開示は、後見登記等ファイル(後見登記4、5)又は閉鎖登記ファイ
ル(後見登記9)に記録されている事項(記録がないときは、その旨)を証明し
た登記事項証明書又は閉鎖登記事項証明書の交付によって行われます。
(2)登記の種類
成年後見登記には次の3類型があります。
①
法定後見(補助・保佐・後見)に関する「後見等の登記」(後見登記4①)
②
任意後見に関する「任意後見契約の登記」(後見登記5)
③
法定後見開始の審判前の保全処分に関する「後見命令等の登記」(後見登記4
②)
また、上記の各類型について、それぞれ次の3種類の登記があります。
1)法定後見開始の審判、任意後見契約の締結又は後見命令等の審判があった
場合の登記
2)登記すべき事項に変更が生じた場合の「変更登記」(後見登記7)
3)法定後見・任意後見が終了し、又は保全処分(後見命令等の審判)が失効
した場合の「終了の登記」
(3)成年後見制度の登記手続
登記は、原則として裁判所書記官又は公証人の嘱託(家審15の2、公証57の3①)
に基づいて行われ、申請に基づいて行われる登記は、変更又は終了の登記等の一
部に限られます(後見登記7、8、附則2①②)。この変更の登記又は終了の登記
の申請は、本人の親族等の利害関係人も行うことができます(後見登記7②、8③)。
なお、登記の申請は郵送によることも可能です。
- 23 -
第2章 成年後見制度の概要
①
法定後見登記の場合(後見登記4)
法定後見について、登記される主な事項は以下のとおりです。
1)
「補助」、
「保佐」、
「後見」の別、開始の審判をした裁判所、その審判の表示
及び確定の年月日
2)成年被後見人等の氏名、生年月日、住所、本籍(外国人の場合は国籍)
3)成年後見人等の氏名、住所(法人の場合はその名称・商号、主たる事務所・
本店)
4)成年後見監督人等の氏名・住所(法人の場合はその名称・商号、主たる事
務所・本店)
5)保佐人・補助人の同意権の範囲
ただし、民法13条1項の事項は、法律上当然に、
「保佐」のすべてに適用さ
れるため、登記はされません。
6)保佐人・補助人の代理権が付与されたときは、その代理権の範囲
7)家庭裁判所が数人の成年後見人等、成年後見監督人等について、権限を共
同して行使すべきこと、あるいはその権限を分ける決定をしたときは、その
決定
8)後見等が終了したときは、その原因及び年月日
②
任意後見制度の登記(後見登記5)
任意後見制度において、登記される主な事項は以下のとおりです。
1)任意後見契約の公正証書を作成した公証人の氏名、所属、証書番号、作成
年月日
2)任意後見契約の委任者の氏名、生年月日、住所、本籍(外国人の場合は国
籍)
3)任意後見人の氏名、住所(法人の場合はその名称・商号、主たる事務所・
本店)
4)任意後見人の代理権の範囲
5)任意後見契約において、数人の任意後見人について、代理権を共同して行
使することを定めたときは、その定め
6)任意後見監督人氏名、住所(法人の場合はその名称・商号、主たる事務所・
本店)
7)家庭裁判所が数人の任意後見監督人について、権限を共同して行使すべき
こと、あるいはその権限を分ける決定をしたときは、その決定
8)任意後見契約が終了したときは、その終了の原因及び年月日
(4)後見登記等ファイルと閉鎖登記ファイル
成年後見制度の登記ファイルは、次の2種類があり、戸籍簿と除籍簿の関係に
類似しています。
- 24 -
第2章 成年後見制度の概要
①
後見登記等ファイル(後見登記6)
上述した登記事項が記録されるものであり、登記記録の特定のために登記番
号が付されます。
1)法定後見の登記については、法定後見開始の審判ごと
2)任意後見の登記については、締結された任意後見契約ごと
3)後見登記法4条2項の審判前の保全処分の登記については、保全処分(後
見命令等の審判)ごと
上記の登記が変更又は終了したときは、その記録が順次登記されます。戸籍
のように人単位での登記ではありません。
②
閉鎖登記ファイル(後見登記9)
終了の登記がなされた場合には、後見登記等ファイルの登記記録を閉鎖して、
閉鎖登記ファイルに記録します。これは、終了の後に、本人の行為能力につい
て の 判 断 を 要 す る 場 合 や 成 年 後 見 人 等 の 権限 等 に 関 す る 紛 争 の 際 に 登 記 の 情
報が必要とされるためです。
(5)登記事項の証明
登記情報の開示は、成年後見制度の登記ファイルに記録されている事項を証明
する登記事項証明書と閉鎖事項証明書を交付することにより行います。
この証明書の交付請求権者は次の者となっています。
①
登記記録に記録されている者(本人、成年後見人、成年後見監督人、任意後
見受任者、任意後見人、任意後見監督人等)(後見登記10①③)
②
登記記録に記録されている者以外の者
1)本人の家族(配偶者・四親等内の親族)、未成年後見人(後見登記10①)
2)国又は地方公共団体の職員(職務上必要とする場合に限る)等(後見登記
10⑤)
このように、登記事項証明書の交付を請求できる者を一定の者に限定している
のは、人の判断能力というプライバシー性の高い情報を誰もが自由にアクセスで
きることが適当でないということと、その一方で、円滑な取引活動を行うために
は、登記の内容等を取引の相手方に証明することにより、取引の安全性を確保す
るという両方の調和を図るためです。
なお、取引の相手方は登記事項証明書等の交付を請求することはできませんが、
相手方に対し登記事項証明書等の提示を求めることにより、成年後見の有無、成
年 後 見 人 等 で あ る こ と の 確 認 及 び 権 限 の 範 囲 等 を 確 認 す る こ と が 可 能 と な りま
す。
(6)手数料
手数料としては、次の費用がかかります。
- 25 -
第2章 成年後見制度の概要
①
法定後見開始の審判に基づく登記及び任意後見契約の登記手数料
……1件4,000円
②
登記事項証明書及び閉鎖登記事項証明書の交付等に要する実費
……1通800円
③
後見登記等ファイルに記録がない旨の証明……1通400円
《成年後見登記制度のイメージ》
とうきょうほうむきょく
家庭裁判所
こうけん と う ろ く か
しょくたく
任意後見監督人
の選任の審判
登記の 嘱 託
法定後 見(後 見・
保佐・補助)の開
始の審判
後見 登録課
東京法務局以外の
(コンピューター処理)
法務局・
地方法務局
法定後見の登記
任意後見の登記
「変更の登記」の申請
(登記されている者の住所変更など)
登記されていない
ことの証明書の交
付請求
しょくたく
登記の 嘱 託
任意後見契約の
公正証書作成
戸籍課
証明書発行
こうしょうにん
公 証 人
登記事項の証明書
の交付請求
東京法務局
かていさいばんしょ
本人
成年後見人・保佐人・補助人
成年後見監督人・保佐監督人
補助監督人
任意後見人・任意後見受任者
任意後見監督人
本人の配偶者
四親等内の親族など
「終了の登記」の申請
(本人の死亡など)
本人
成年 後 見 人・ 保佐 人 ・補助人
成年 後 見 監督 人・ 保 佐 監督人・補助監督人
任意 後 見 人・ 任意 後見受任者
任意 後 見 監督人
本人 の 親 族な どの 利害関係人
- 26 -
法定後見・任意後見を
受けていない方
第3章 高齢者の経済的被害の急増と成年後見制度
第3章
1
高齢者の経済的被害の急増と成年後見制度
事業者とのトラブル
近年、精神障害や知的障害、そして認知症等の理由により十分な判断ができな
い消費者に関するトラブルが著しく増加しています。
独立行政法人国民生活センターの報告(「判断力が不十分な消費者に係る契約
トラブル―認知症高齢者に係る相談を中心に―」平成20年9月4日)によれば、1998
年 度 に 2,409件 で あ っ た こ れ ら の 消 費 者 の 相 談 件 数 が 2005年 度 に は 5 倍 以 上 の
12,607件にまで達しています。
そのなかで契約当事者のうち70歳代以上の高齢者の占める割合は、1998年度は
42.9%、2005年度には63.7%、そして2008年度には65.9%まで増加しており、さ
らに男女比ではその7割以上を女性の消費者が占めています。
トラブルに関する相談の内容を商品・役務別に見ると、ふとん類、健康食品、
新聞、リフォーム工事、浄水器といった順に相談件数が多く、また、販売の形態
では訪問販売が全体の64.2%を占めており、トラブルの過半を占めています。
これらの業者や販売員は一人暮らしや日中独居の高齢者に狙いを定め、高齢者
の認知症や判断能力の低下につけ込んで強引に、そして時には親切を装って商品
を無理矢理に販売しています。さらに1人の高齢者である消費者に対して、複数
の業者が次々と商品等を販売していく「次々販売」と呼ばれる販売方法は、高齢
者に重大な経済的ダメージを与え深刻な事態を招きかねません。
これらの悪質商法に対しては、特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引
法」という。)に規定するクーリングオフ制度、消費者契約法に規定する消費者
取消権、また割賦販売法による消費者保護、さらには民法の詐欺取消し・錯誤無
効の主張などの方法により事業者に対抗することができますが、認知症等により
判断能力が不十分な高齢者がこれらの法的措置を適切に取り得る可能性は低い
のが実情です。
しかし、これらの高齢者が成年後見による後見開始の審判を受けていれば、後
見人はこれらの契約を無条件に取り消すことができます(民9)し、あるいは保
佐開始の審判を受けていれば、重要な法律行為(民13①)に関してこれらの契約
を無条件に取り消すことができます。また、補助開始の審判を受け、これらの契
約締結につき同意権の付与を受けていれば、その範囲内で同様に契約を取り消す
ことができます(民17④)。
特定商取引法などの適用については、販売される商品の種類、その販売方法等
の要件が法律の規定に該当する必要がありますが、後見等は審判の開始を受けて
いれば適用できるため、判断能力の不十分な高齢者の保護に関しては非常に有効
な方法となり得ます。
- 27 -
第3章 高齢者の経済的被害の急増と成年後見制度
<参考>
独立行政法人国民生活センター報告「判断力が不十分な消費者に係る契約トラブル―認知症高
齢者に係る相談を中心に―(平成20年9月4日」)より
契約当事者の年代別件数と割合(2003~2008年度)
20歳代未満
455件
(0.9%)
90歳代以上
1,356件
(2.6%)
30歳代
3,608件
(6.8%)
80歳代
14,159件
(26.8%)
20歳代
3,726件
(7.0%)
40歳代
3,090件
(5.8%)
50歳代
3,582件
(6.8%)
70歳代
17,583件
(33.3%)
60歳代
5,303件
(10.0%)
( 注 ) 割 合 は 判 断 力 が 不 十 分 な 消 費 者 に 係 る 相 談 全 体 ( 年 齢 が 不 明 ・ 無 回 答 の も の を 除 く ) を 100と し た 値 で あ る 。
契約当事者が70歳代以上の割合の年度別推移(1998~2008年度)
(%) 割合
70.0
63.7%
65.0
65.3%
65.9%
58.8%
60.0
52.1%
55.0
61.4%
62.9%
54.3%
56.1%
50.0
45.0
42.9%
44.1%
40.0
1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
年度
( 注 ) 判 断 力 が 不 十 分 な 消 費 者 に 係 る 相 談 全 体 ( 年 齢 が 不 明 ・ 無 回 答 の も の を 除 く ) を 100と し た 割 合 で あ る 。
70歳代以上の販売購入形態別件数と割合(2003~2008年度)
電話勧誘販売
3,085件(10.2%)
ネガティブ・
オプション
85件(0.3%)
その他無店舗
442件(1.5%)
店舗購入
2,390件(7.9%)
マルチ・
マルチまがい
246件(0.8%)
通信販売
1,210件(4.0%)
訪問販売
22,783件
(75.3%)
( 注 ) 割 合 は 判 断 力 が 不 十 分 な 消 費 者 に 係 る 相 談 全 体 ( う ち 70歳 代 以 上 の も の ) 全 体 ( 不 明 ・ 無 関 係 を 除 く ) を 100と し た 値 で あ る 。
- 28 -
第3章 高齢者の経済的被害の急増と成年後見制度
2
経済的虐待
平成18年4月に「高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する
法律(高齢者虐待防止法)」が施行されました。
現在、わが国における高齢者に対する虐待は深刻な状況にありますが、高齢者
の権利利益を擁護しその尊厳を保持するためには、これらの虐待を防止すること
が非常に重要です。そのため高齢者虐待の防止等に関する国等の責務、虐待を受
けた高齢者に対する保護措置、また高齢者の養護者に対する支援のための措置等
を定めたもので、家庭や施設で介護を受けている高齢者を虐待から守るわが国で
初めての法律です。
この法律においては、「高齢者」を65歳以上の者と規定するとともに、養護者
による高齢者に対する虐待について、①身体的虐待、②著しい擁護懈怠(ネグレ
クト)、③心理的虐待、④性的虐待と列挙し定義しています。
そして高齢者の身体に様々な傷やあざがあったり、高齢者の居室が極めて不衛
生であったり、さらに高齢者のおびえる、泣く、わめく等の行為は、これらの高
齢者が発している虐待に対するサインであることが多いのです。
さらにこの法律では「経済的虐待」についても「養護者又は高齢者の親族が当
該 高 齢 者 の 財 産 を 不 当 に 処 分 す る こ と そ の 他 当 該 高 齢 者 か ら 不 当 に 財 産 上 の利
益を得ること。」(虐待防止2④二)と定義をしています。
高齢者の年金をその親族が勝手に使用してしまって日常生活に必要な金銭を
本人に渡さない、また高齢者の自宅を本人に無断で売却してしまうなど、高齢者
を守るべき立場にある親族自身が、高齢者の財産を侵害しているケースが多く見
られるのが実情です。
年金等の収入があるはずなのに、利用負担のある介護サービスを希望しない、
またサービスの利用料や生活費を支払えないなど、その原因が養護者による高齢
者に対する経済的虐待にあることも予測しなければなりません。
通常これらの高齢者に対する経済的虐待に対しては、それを発見した場合の市
町村への通報(努力)義務(虐待防止7①)、及びそれを受けた市町村の措置(虐
待防止9①)などが規定されていますが、判断能力が十分でない高齢者について
は成年後見制度を利用して、第三者による財産管理や生活支援を行うことが有効
な方策となります。
この法律にはその28条において「国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及
び 高 齢 者 虐 待 を 受 け た 高 齢 者 の 保 護 並 び に 財 産 上 の 不 当 取 引 に よ る 高 齢 者 の被
害の防止及び救済を図るため、成年後見制度の周知のための措置、成年後見制度
の利用に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより、成年後見制
度が広く利用されるようにしなければならない。」と高齢者虐待防止の実効性を
あげるため、成年後見制度の利用促進の規定をおいています。
- 29 -
第4章 税理士の職能と成年後見制度
第4章
1
税理士の職能と成年後見制度
税理士と成年後見制度
税理士制度においては、税理士法1条に「税理士の使命」が規定されています。
その使命を達成するには高潔な倫理観と高度な専門性が求められていますが、同時
にその職能により社会へ貢献することを期待されています。
一方、成年後見制度は、本人の残存能力の活用及び自己決定権の尊重、そして障
害者との共生を目指すノーマライゼーションといった、新たな理念との調和を基本
としつつ、社会全体が高齢者の保護に取り組むことを求めています。
この成年後見制度は、少子高齢社会が加速度的に進行するわが国において、これ
からの国民生活を支える重要な社会的基盤と位置付けられる制度です。
成年後見人等の業務は、代理権・同意権・取消権の三つの権利行使に立脚してい
ますが、その業務に応じて行使権限は異なっており、また任意後見人については契
約した範囲の代理権行使を前提としています。
これらの権利行使内容は広範囲にわたると同時に、社会・経済の多様性の中で、
その運用に当たっては高度な専門的知識と的確な判断、そして高い倫理性が求めら
れます。そのため成年後見人等及び任意後見人を従来のように本人の血縁者に頼る
ことが、成年後見制度が有効に機能しない原因となっている場合もあり、そのこと
が各分野において質の高い専門家に期待が寄せられている理由となっています。
すでに述べたように税理士は公共的役割を担っており、業務の遂行には高度な専
門性と客観的な判断が必要とされるとともに、高潔な倫理観が求められています。
税理士法によりこれらの資質の保持を制度的に義務付けられている税理士が、成
年後見制度に参加することは、本制度の目的に資するとともに、より質の高い制度
運用が図られる一助になるものと確信しています。
2
税理士と地域社会
平成9年、地方自治法の改正により地方公共団体の外部監査制度が導入され、財
務に関する専門家である税理士はその監査人の有資格者として地方自治法上に明記
されました。
また現在、全国の税理士会員数は7万人強であり、大都市のみならず全国の地方
行政単位に多くの会員が存在しています。
成年後見制度の利用者数は、高齢化の進展とともに今後加速度的に増加すると推
定され、当然に、人口の分布状況に比例して全国のあらゆる地域で成年後見制度を
支える人々のマンパワーが必要とされるでしょう。
成年後見制度が目指す本人支援は、その人の居所においてなされることが原則で
す。したがってその地域で支援を行うことが可能な専門家が存在することは、制度
- 30 -
第4章 税理士の職能と成年後見制度
の利用者にとって大きな安心につながります。
以上のことから、税理士が地域社会への関わりを深め、本制度への対応を十分に
行っていくことが、成年後見制度の維持・発展にとって大きな力となると考えられ
ます。
3
税理士の職能と成年後見制度
成年後見人等及び任意後見人(以下「各支援者」という。)の職務には財産管理と
身上監護があり、また成年後見監督人及び任意後見監督人の職務は、各支援者が行
う事務のチェック、確認、実査、検証等の監督事務と各支援者に対する事務指導が
あります。この各支援者及び監督人の職務と税理士の職務の関わりについて考えて
みます。
まず財産管理の場合、各支援者が行う職務は、本人の財産目録の作成あるいは確
認から始まるものであり、本人に帰属する経済的価値を有するすべての財産の一定
時期における有り高の把握や、その実在性の確認が重要となります。次にこれらの
財産の増減に影響を及ぼす行為等について、各支援者が行える範囲の代理、同意、
取消の各権利を行使し、その経過及び結果について記録、計算し、証憑の保存を行
います。それらを一定期間ごとに集約し、必要な事項について定期的あるいは随時
の報告を、家庭裁判所等に行うことになります。
監督人は、これらの事務に関する検証、確認等の監督を行うとともに必要に応じ
て直接、本人の財産状況について調査し、家庭裁判所に対し所要の報告を行います。
これらの職務の内容は、相手先が事業者か否かという違いはありますが、まさし
く税理士が行う日常的業務の一形態といえます。いわば貸借対照表(財産目録)の
確認から開始し、各種「取引」を把握し、その処理の適法性等を検証し、さらに一
定期間での取引を集計、分類、記録し報告をするという業務は、税理士にとっては
基本的な業務です。したがって、特に財産管理業務においては税理士の職能として
の専門性を遺憾なく発揮することができるのです。私たち税理士の業務との親和性
は高いといって良いでしょう。
他方、身上監護の職務については、社会生活を送る人間を支える行為(財産管理
を除く)として認識されるものであり、税理士の業務とは異質な側面を有するもの
の、人間個人の生活に視点をおいた職務であり、特殊な技能あるいは高度な医学知
識を求められるものでもありません。しかし、介護保険制度や民間が行う地域での
社会サービス、あるいは福祉サービスの内容やこれらのサービスを受ける場合の契
約手続等に関する正確な知識や情報の収集は必要とされるでしょう。
上記サービスの提供については、サービス提供事業者等の情報公開の推進により、
より多くの情報が得られるものであり、それらの活用により職務上の有用性が高く
なると期待されます。
また、その他の身上監護の職務については税理士にとって未知の分野が多く、今
- 31 -
第4章 税理士の職能と成年後見制度
後これらの分野に関する研修及び関連士業との連携を視野に入れるべきであり、税
理士会としての取組みを進める必要があります。
4
今後の課題と取組み
(1)本制度に対する基本的な考え方
わが国における高齢者(65歳以上)の総人口に占める割合は、平成21年10月現
在において22.7%であり、すでに超高齢社会(21%以上)に突入しています。し
かし今後、平均寿命、高齢者数、そして高齢化のスピードという点で世界に例を
見ない社会を迎えることになります。
このような状況下において日税連及び税理士会は、成年後見制度がこれからの
わが国のあり方を考える上で、また国民一人ひとりにとって重要な問題であり、
制度の充実・発展に当たっては税理士の職能が重要な役割を果たすものと確信し
ています。
税理士が本制度の一端を担うことは、税理士のもつ公共的使命を、成年後見と
いう社会貢献により具現化することになるため、日税連及び税理士会は本制度に
携わる税理士に対し支援を行うとともに、組織として本制度への取組みを行って
います。
(2)現状の取組み
日税連及び税理士会は本制度に携わる税理士に対する支援として、以下の施策
を行っています。
①
日税連、税理士会における支援組織
日税連では公益活動対策部において、成年後見制度を所掌するとともに下記
に記載する施策を行っています。また、各地域の税理士会においても公益活動
に関する部・委員会あるいは業務対策部において、地域の状況に応じた対応を
行っています。なお、平成23年7月下旬には、日税連において「日税連成年後
見支援センター」の創設が予定されており、設置以降の日税連の成年後見制度
に関する諸施策は同センターで行うことが予定されています。
②
研修等に関する施策
成年後見業務に従事する税理士に対して、目的に応じて、次の研修を実施し
ています。
1)成年後見制度指導者研修(日税連が実施する研修)
日税連は、税理士が成年後見制度に対する正しい認識を得るように、その
普及に努めることが重要な課題であることから、税理士会における制度普及
活動等を行う指導者を養成する目的で研修を実施しています。
この指導者は、所属する税理士会において、会員を対象とする研修または
勉強会を実施するとともに、税理士会における本制度の普及活動を率先して
- 32 -
第4章 税理士の職能と成年後見制度
行うこととし、税理士会は、これらの指導者が十分に活動できるよう支援を
しています。
2)成年後見人等養成研修(各税理士会が実施する研修)
税理士会は、税理士が成年後見人等、任意後見人、成年後見監督人等及び
任意後見監督人に選任された場合又はその業務に従事する際に、支障なくそ
の任務を遂行できる人材の育成を目的として研修を実施しています。
3)家庭裁判所への名簿提出と連絡協議
税理士会は「成年後見人等養成研修履修者名簿」を作成して、成年後見人
等養成研修の一定科目について履修した者を当該名簿に登載し、この名簿を
家庭裁判所へ提出しています。なお、名簿の登載者数等については、日税連
に報告を行っています。
そのほか地域によって異なりますが、一部の税理士会において家庭裁判所
との協議を行って成年後見制度の推進を図っています。
4)成年後見賠償責任保険の整備
日税連では、税理士が安心して成年後見業務を遂行できるよう、また被後
見人等の不安の払拭及び保護を目的として、平成16年より成年後見賠償責任
保険を整備しました。
この保険は、税理士会が家庭裁判所に提出する「成年後見人等推薦者名簿」
への登載者及び登載予定者(成年後見人等養成研修受講者)を加入対象とし
ています。
5)税理士パブリックサークル
日税連では、公益的業務専用のホームページ『税理士パブリックサークル』
(略称:税理士パブサー
http://www.zeipabusa.org)を立ち上げています。
この「税理士パブサー」は、税理士の社会貢献活動である「公益活動業務」
の総合窓口となるサイトで、納税者などの国民や、公益活動を行っている税
理士に対するポータルサイトを目指して運用しています。
6)広報活動
日税連は、本制度の概要、利用促進に関する啓発、税理士及び税理士会が
本 制 度 を 支 え る 意 義 及 び 制 度 に 対 す る 対 応方 策 の 周 知 を 目 的 と し た パ ン フ
レット「あなたと歩む成年後見制度」を作成し、また税理士が取り組む公益
活動全般に関するパンフレット「税理士が行う公益活動」を作成して、税理
士、納税者及び関連行政機関等に配布しています。
(3)今後の課題と取組み
日税連及び税理士会において、成年後見制度に関し、以上のような取組みを行
っていますが、一層踏み込んだ形でその業務を進めるには、現状の取組みでは不
足することは早くから指摘されていました。
- 33 -
第4章 税理士の職能と成年後見制度
成年後見の業務を主体的に担うのは税理士個人です。そして個人としての税理
士の能力には一定の限界が存することは言うまでもありません。しかし、その能
力に対する社会的評価は個々の税理士にとどまらず、税理士業界全体の評価にも
影響を与えることとなります。また、これからの超高齢社会において成年後見制
度の果たす重要な役割を鑑みるとき、税理士に対する国民の信頼を得るためにも、
税理士会の組織をあげてこの問題に取り組む必要があります。
①
日税連における課題と取組み
成年後見制度に関しては、その専門的な知識、経験の蓄積に相当な時間と労
力が必要とされますが、現状の2年間を周期とする日税連の役員任期では、短
期間での役員交代があるため、実質的に有効な活動が継続されていないという
問題があります。さらに行政機関等への折衝を行うにしても、成年後見に関し
て専門的知識と経験を有する役員を適切に配置する必要がありますが、このよ
うな問題を解決するためには、成年後見制度に関して専門的に取り組む組織の
創設が必要です。
また、成年後見業務に従事する会員からは、日税連の成年後見制度に取り組
む姿勢が見えないとの批判があります。司法書士会が社団法人成年後見センタ
ー・リーガルサポート、弁護士会がオアシス、しんらい等の成年後見を専門に
担当する組織を立ち上げて全国規模で取り組んでいるのに対し、日税連は数段
立ち後れている感が否めません。その結果、一般的に成年後見制度における税
理士会の役割がほとんど認識されていないという状況を生み出しています。
さらに成年後見活動の現場においては、従事する税理士のボランティアに対
する意思と善意によって支えられている側面が多く、個々の税理士の力に頼る
限り、活動の継続には早々に限界が訪れます。日税連や税理士会において成年
後見基金(仮称)の整備など、従事税理士に対する多面的な支援を検討する必
要があります。
以上の諸問題を解決するために、日税連においては、平成14年4月、当時の
公 益 的 業 務 対 策 特 別 委 員 会 が 成 年 後 見 制 度の 取 組 み に 関 す る 長 期 的 展 望 に 立
った施策として「日税連成年後見支援センター(仮称)」の構築を具申しまし
た。
また、平成21年6月には公益活動対策部が、公益活動全般を支援する組織を
日税連の外部に設立することを内容とする「日税連公益活動支援センター(仮
称)の設立について」を具申しましたが、継続して検討する旨の指示を受けて
おりました。
しかしながら、高齢化のスピードは加速度的であり、家庭裁判所への成年後
見申立は急激に増加していく現状と、今後5年間の高齢者の増加に鑑みれば、
税理士会としての組織的支援体制の構築は急務と判断されました。よって平成
22年12月、再々度、日税連の特別委員会組織による「日税連成年後見支援セン
- 34 -
第4章 税理士の職能と成年後見制度
ター」の設置を具申し、平成23年1月の機関決定を受けました。これにより、
平成23年7月の日税連定期総会後に成年後見制度に特化した「日税連成年後見
支援センター」が特別委員会として創設されることとなり、対外的に大きな一
歩を踏み出すこととなりました。
②
税理士会における課題と取組み
東京地方税理士会においては、平成18年10月、同会の50周年記念事業の一環
として、特定非営利活動法人「税理士による公益活動サポートセンター」が設
立されています。同センターは税理士会とは別のNPO法人組織により運営さ
れ、成年後見、外部監査、NPO法人支援等の公益活動全般について、それぞ
れの業務に従事する会員を、研修などの側面から支援する業務を行っています。
また平成22年6月、東京税理士会において「東京税理士会成年後見支援セン
ター」が開設されました。同センターは税理士会内の組織として、公益活動対
策部の所管として運営されています。
常設の相談員を置き、東京税理士会会員、成年後見制度利用者及び同制度の
利用希望者からの相談をはじめ、下記の事業を行っています。
1)法定後見人等の支援
2)任意後見人等の支援
3)相談事業
4)研修会の実施
5)各種団体等との連絡協議会の実施
6)成年後見制度の普及・定着に関する施策の実施
7)その他公益活動対策部が必要と認めた事業
このように各税理士会においても、成年後見制度をはじめとする公益活動に従
事する会員を支援する組織が設置され始めています。各地域の実情、特殊性等を
勘案した上で、各税理士会における「成年後見支援センター」等の支援組織が全
国的に設置されることが望まれます。
- 35 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
第5章
1
税理士が行う成年後見事務
概要
(1)相談
税理士が業務として行う相談は税務相談です。主に納税者に対し納税の有無、
特例の適用要件などを説明するケースが多いでしょう。
しかし、中小企業や個人事業主などから家族に関わる相談を受けることが多く
なっていませんか。このような場合は、相談者のこれまでの取組みや、その方の
考え方をよく聞くことから始まり、相談者がどのようなことを期待しているかに
注意してこちらが説明するよりもむしろ傾聴する姿勢が大切です。
これらの相談の中に成年後見制度を活用することによって問題解決の糸口を見
つけてあげられれば良いのではないでしょうか。
例えば、成年後見に関係ありそうな相談には、次のようなものがあります。
《ケース1》
身体的に不自由になり日常生活に関する財
産管理ができない。
委任による任意代理
《ケース2》
相続人に精神または知的障害者がいて、相続
の遺産分割をどうしたら良いか。
成年後 見で は なく委 任に よ る
任意代 理と な ります 。日 常 生
活の範 囲を 超 える契 約等 の 任
意代理はできません。
ただし 、介 護 サービ スや 公 的
支援の 情報 を 提供で きれ ば な
お喜ばれます。
《ケース3》
認知症の親の不動産を売り、本人の療養看護
費用に充てたい。
《ケース4》
子どもに精神障害者や知的障害者がいて、自
分が歳を取って面倒見られなくなったら…。
法定後見
法定後見の検討が必要です。
《ケース5》
金融機関に親の代理で行ったら成年後見制
度を使ってほしいと言われた。
《ケース6》
親戚がいない、または面倒見てもらいたくな
い。今は元気だが将来のことが不安。
任意後見
※
死後事務委任、遺言
※
《ケース7》
葬式のことが心配。
※賃貸借契約の更新や解除など日常生活の範囲内の行為を超えた法律行為は専門的な法律
事務を受任することは、弁護士法違反を指摘されることもありますのでご注意ください。
- 36 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
上記ケース2~5の場合には、法定後見の検討が必要となります。
【ケース2の場合】
障害の程度により補助、保佐、成年後見のいずれかの法定後見制度を利用し遺
産分割に法定代理人を立て本人の利益を守ることができます。
【ケース3の場合】
相談者と認知症の親(本人)の利害が必ずしも一致しない場合です。相談者の
事業資金にするための抵当権の設定や売却を前提とするならば、利益を受けるの
は相談者でありこのような目的での法定後見の申立は認められません。本人に最
善の利益をもたらすことを前提とした制度であることをよく説明することが大切
です。
【ケース4の場合】
親亡き後問題といわれています。自分が元気なうちはできるだけ障害のある子
の面倒は見たいという親心ですが、法定後見制度を利用していれば、たとえご自
分にもしもの事があっても後見人を捜してもらえる保証があります。
【ケース5の場合】
金融機関は預金者に判断能力が劣る方がいる場合は積極的に成年後見制度の利
用を勧めています。高齢者がオレオレ詐欺の被害にあったり第三者による預金の
引出しが問題になるので、成年後見制度を利用していれば安心というわけです。
また、高齢者等の相談に「虐待」の事件や消費者被害が隠されていることもあ
るので、地域の消費者センターや成年後見支援組織などの関連機関とネットワー
クを創っておくのも良いでしょう。
●成年後見制度が必要となる事例●
①認知症、高齢者の年金(財産)を、息子(親族)が不当に処分する。
②知的障害のある息子が、高価な絵画や宝石などをローンで購入する契約をして
しまう。
③一人暮らし、認知症、高齢者がたびたび訪問販売にだまされ、不要なリフォー
ム工事、高額な布団、着物を買わされる。
④親は多額の借金を抱えて死亡、唯一の相続人である息子は認知症である。
⑤身寄りがなく、認知症も進み、在宅での生活が困難となってきた。
⑥夫は交通事故により重傷を負い、判断能力も低下。妻は、保険会社に保険金を
請求したい。
以上のほかにも、判断能力が低下した者が法律行為を行いたいと思うのであれば、
成年後見制度を利用する必要が出てきます。
- 37 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
(2)後見類型と受任の職務の範囲
法定後見では、すでに精神上の障害(認知症、精神障害、知的障害、高次脳機
能障害など)により本人が判断力を欠いている状況において「後見」、
「保佐」、
「補
助」の判断能力の程度により、本人の支援を行います。ここでは主に後見を中心
に解説しますが、
「保佐」、
「補助」については、代理権の範囲、本人の同意につい
て特に注意して取り組むことが大切でしょう。代理権の範囲はそれぞれの登記事
項証明書を見比べてみるとその違いがよく分かります。参考にしてください。
<参 考 資 料 >
登 記 事 項 証 明 書 (p118~ 127)
(3)税理士と成年後見制度
では、このような相談を受けた場合、税理士であるあなたはどのように関わる
可能性があるでしょうか。
①
相談者が成年後見人
顧客が成年後見人となるケースや主に親族として成年後見人になるケースが
あり、財産管理や書類作成についてアドバイスを求められます。
成年後見人
(顧客)
本人
②
税理士
元顧客または顧客が成年被後見人
親族に適当な者がいない場合、税理士が成年後見人に就任する可能性があり
ます。その場合、顧問契約はどうなるのでしょうか。顧問契約を結ぶと顧客か
ら報酬をいただく立場になりますので、成年後見人に就任した場合には税理士
報酬を別途受け取ることはできません。報酬付与の申立の際、税務代理を評価
してもらうようにしましょう。
また、成年被後見人(本人)の推定相続人(親族)との利益相反が生ずる場
合には本人の立場に立たなければならず、親族との顧問契約の継続は難しくな
る場合もありますので税理士も後継者などにバトンタッチしておくことが賢明
でしょう。
本人
③
成年後見人
(税理士)
取引の相手方に成年後見人がいる
成年後見制度をよく理解し、成年後見人の取るべき行動に適した税務判断等
をする必要があります。
取引
本人
顧客
成年後見人
- 38 -
税理士
第5章 税理士が行う成年後見事務
④
裁判所から選任される
税理士会では税理士の社会貢献の一環として各地の家庭裁判所に成年後見人
等推薦者名簿を提出しているので、面識のない第三者の成年後見人となる可能
性があります。
最近では、全国の地方自治体でも成年後見支援組織を立ち上げており、これ
らに協力を求められた場合にも成年後見人に選任される場合があります。
裁判所
選任依頼
本人
2
成年後見人
(税理士)
申立
法定後見は法定後見開始の審判の申立を行うことによって始まります。36頁のケ
ース2や3の場合、申立にも関わることになりますので簡単に説明します。
申立は申立人が行います。弁護士、司法書士に申立書の作成を依頼することもで
きます。税理士は、申立書類の作成の相談や必要書類のアドバイスをすることは構
いません。地方自治体その他に成年後見制度支援組織がありますのでこれらを利用
することも有効です。
(1)申立の流れ
申立から後見人等が決まるまでの手続の流れは次頁のとおりです。
- 39 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
【東京家庭裁判所の場合】
後見制度を理解する
必要書類を集める
申立の準備
申立書類の作成
申立日の予約をする
申立書類の審査
申立の当日
即日面接
調査官の調査
親族等への照会
鑑定など
(いずれも必要な場合)
審
理
審
判
後見等を開始するかどうかや、後見
人等を誰にするかを家事審判官が
判断します。
知
開始審判に不服がある場合は2週
間以内に即時抗告ができます。た
だし、成年後見人の選任について
は即時抗告ができません。
告
審判確定
後見登記
成年後見人の仕事が始まります。
裁判所が、審判確定後に東京法務局に行う手続
財産目録・年間収支予定表の提出
後見等監督
(2)申立準備
このような流れで申立は進みますが、申立の予約をする(東京家庭裁判所は予
約制)前に問題点の整理をしておきましょう。なお、各地の家庭裁判所により申
立の手続には違いがあります。ここでは東京家庭裁判所を例にとって説明します
ので、本人の住居の管轄の家庭裁判所に問い合わせてください。
①
申立理由の明確化
成年後見制度は本人の権利・利益を守るための仕組みです。また、この制度
を一度利用すれば原則的に遺産分割等当座の問題が解決しても本人が亡くなる
まで責任を持たなければなりません。後見や保佐には多くの欠格事由等があり、
- 40 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
特に後見では本人の選挙権・被選挙権を失う(公選11)などの不利益もありま
すので、これらの趣旨をよく理解した上で申立の理由を明確にしておきましょ
う。
②
本人の状況の把握など
法定後見は本人の判断能力が既に低下している状況において、判断能力の低
下の程度により申立の際の後見類型が決まりますので、医師の診断書の準備や
かかりつけ医師とのコミュニケーションを取っておくことが大切です。
本人の状況として介護認定や入院の有無、在宅か施設入所か、大まかな財産
状況、親族と本人との関係、本人の同意(補助及び保佐の代理権付与)の有無
などを把握しておきましょう。
いずれが欠けても開始の審判が遅れる可能性があります。
(3)審判前の保全処分
本人の状況を把握し、法定後見の申立をして後見開始の審判が下りる前に本人
の権利が侵害されてしまう恐れがあるとき「審判前の保全処分」を利用すること
もできます。
例えば、親族からの財産の収奪が激しく、後見開始の審判を待っていては本人
の生活もままならなくなる可能性が強いときなどに財産管理人を決めてもらう場
合や、後見開始の審判が何らかの理由で遅れるときに後見命令を出してもらい本
人の保護にあたる場合などです。
(4)申立の実務
法定後見の申立は、申立人が本人の住所地 (※ ) を管轄する家庭裁判所へ申立書類
を添えて提出します。家庭裁判所によっては申立書を提出すると「即日面接」と
いって提出したその日に、申立人、本人及び後見人候補者と面接をして、申立の
事情を聴取して審判での時間を短縮するところもあります。この場合は予約制で
すので各地の家庭裁判所に問い合わせてください。
※本人の住所地とは「住民票上の住所」をいいますが、実際に本人が居住し生活している
施設などの場所が住民票と異なるときは実際の居住地を管轄する家庭裁判所に申立を
することができる場合もあります。
①
申立書類
》》 記 載 例
申 立 書 (p77~ 78)
申 立 事 情 説 明 書 (p79~ 82)
後見人等候補者事情説明書(p83~84)
1)申立書
2)収入印紙:800円
3)郵便切手(裁判所によって異なるのでご確認ください)
4)登記印紙:4,000円
5)鑑定料(裁判所に申立の際問い合わせると良い)
②
添付書類
- 41 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
1)申立人の戸籍謄本:1通
2)本人の戸籍謄本:1通
3)戸籍の附票:1通
4)成年後見に関する登記事項証明書(東京法務局発行「登記されていないこ
との証明書」又は「補助または保佐の」登記事項証明書)
〒102-8226
東京法務局民事行政部後見登記課
東京都千代田区九段南1-1-15
九段第2合同庁舎
TEL 03-5213-1234 ※申請用紙はWEBでダウンロードできます。
》》 記 載 例
医 師 の 診 断 書 (p85~ 86)
5)医師の診断書:1通
医師の診断書は最高裁判所のWEBサイトからダウンロードできます。ま
た医師会によっては認知症高齢者の研修を行い、成年後見について知識のあ
る医師もいます。事前にかかりつけ医師と連絡を取り診断書の必要性を説明
しましょう。
6)成年後見人候補者の戸籍謄本:1通
7)住民票の写し:1通
8)市区町村発行の身分証明書:1通
9)(法務局発行の「登記されていないことの証明書」):1通
このほか管轄の家庭裁判所により添付書類が異なったり、短期間に本人の状況
により添付すると本人の状況を判断する上で有用と思われるものもあるので、事
前に管轄の家庭裁判所に確認すると良いでしょう。
③
》》 記 載 例
上 申 書 (p87~ 88)
申立費用の負担(本人の財産から申立費用を支弁する手続)
申立費用は申立人が負担します。しかし、非訟事件手続法26条により手続費
用を申立人に負担させることが妥当でないとき、例えば本人に相当の資力があ
る場合の市区町村長申立といった「特別の事情」があるときは、申立人以外の
関係人にその費用の全部又は一部を負担させることができるとされており、本
人に申立費用を負担させることもあります。(参考:東京都福祉局編「成年後見
制度及び福祉サービス利用援助事業の利用の手引き」)
④
申立費用の補助(成年後見制度利用支援事業)
介護保険サービスの利用に当たって、成年後見制度を利用する認知症高齢者
等で市区町村長が申立をする場合の申立費用及び後見人等の報酬の一部を援助
する制度があります。
(5)鑑定書
後見又は保佐開始の審判をする場合には原則的に鑑定が必要です。家庭裁判所
によっては、診断書を提出した医師に鑑定書も作成してくれるかどうかの問い合
わせをする場合もあります。また、明らかに本人が植物状態などで鑑定をせずに
審判が下せるようなときは鑑定を省略することがあります。最近は鑑定を省略す
- 42 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
る事例が多くなっていますが、問題提起もなされています(2010年成年後見法世
界会議における「横浜宣言」。139~142頁参照。)。
(6)調査・審問・審判
家庭裁判所は申立を受理した後(即日面接を除く)、調査官が申立人、本人、後
見人候補者に対して面接し調査・審問を行い、審判官がこの調査・審問に基づき
後見開始の審判を下し、職権で成年後見人を選任します。また、家庭裁判所は本
人の推定相続人に対し、後見開始等についての意向確認を書面照会をすることが
あります。
(7)審判確定
審判が下されると、申立人や本人、成年後見人に対して審判書謄本が裁判所の
手続によって本人に送付されます。その後2週間以内に、この審判に対して不服
のある者から即時抗告という手続が行われなければ審判は確定します。成年後見
人の選任に対して即時抗告はできません。ですから申立人が推薦した後見人候補
者が成年後見人となれなくても、これを覆すことはできません。
(8)登記、登記事項証明
審判が確定すると家庭裁判所は東京法務局に後見登記を嘱託します。通常は成
年後見人に対し登記ができた旨のお知らせがあります
が、急ぐ場合は東京法務局に確認することもできます。
この際、審判書に記載してある事件番号を提示してく
<参 考 資 料 >
審 判 書 (p128~ 130)
ださい。
3
》》 記 載 例
・登記されていないことの
証明申請書(p89)
・登記されていないことの証明書(p90)
・ 登 記 事 項 証 明 申 請 書 (p91)
成年後見人の職務
ここから成年後見人の仕事が始まります。成年後見人の仕事は財産管理と身上監
護とされていますが、いずれも善良なる管理者としての注意義務を負うことは言う
までもありません。特に、成年後見人は、①本人の最善の利益を求めて行動するこ
と、②成年後見制度の理念を忘れないこと、③税理士であれば税理士法をはじめと
する諸法令を遵守すること、④業務上関係があれば本人やその関係者との利益相反
に注意すること、が大切です。
また、本人が認知症高齢者か、知的障害者、精神障害者、高次脳機能障害による
者か、またはこれらの障害を複合的に持つ者なのか、支援の仕方や後見事務にも影
響がありますので、これらの障害に対して理解を深めるとともに、例えば支援者リ
ストを作成するなど、専門家とのネットワークを構築していくことが重要です。
(1)就任時
①
<参 考 資 料 >
支 援 者 リ ス ト (p131~ 138)
登記事項証明書の取得
- 43 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
家庭裁判所から成年後見の登記が完了した旨が通知されます。そこで東京法
務局に交付申請書を提出し登記事項証明書を取り寄せます。1通のみですと金
融機関や役所が複数に関係する場合には時間のロスにつながりますので、最低
でも3通程度必要でしょう。同時に成年後見人の印鑑証明を求められることも
ありますので揃えておくと良いでしょう。
②
<参 考 資 料 >
登 記 事 項 証 明 書 (p118~ 127)
申立人、関係者と引継ぎ
本人に成年後見制度を利用させるために申し立てた申立人やその関係者から
本人の状況を十分把握することが大切です。本人以外の者が本人の財産や書類
を預かっている場合には速やかに引継ぎを行います。本人と同居している親族
や推定相続人が協力的な場合は問題がありませんが、何らかの事情で引継ぎが
スムーズに行われない場合は成年後見制度の趣旨や後見人の役割を説明し、家
庭裁判所や成年後見監督人の協力の下、成年後見人の活動が始められるよう工
夫が必要です。このほかの関係者(親族・近隣・賃借人または賃貸人・施設・
病院・ケースワーカー等)にも成年後見人として就任したこと、成年後見人の
権限などを周知すると同時に本人の生活の状況や健康状態の把握をしておくこ
とが大切です。
③
本人との面談
本人と面識がない場合には、関係者と打合せの上、本人と面接し成年後見人
として選任されたこと、本人の援助者として働くことなどを分かりやすい言葉
で伝えます。
④
関係書類の謄写
最初から申立に関与していない場合には、担当書記官に連絡して事件記録の
閲覧・謄写を求めましょう。特に成年後見人が交替した場合などは、かなりの
量の記録になりますが、裁判所の許可を得て事件記録を謄写することは必要で
す。
(2)財産管理
①
財産の調査
財産目録を作成し、その財産を管理するために、まずは財産の調査を行いま
す。財産調査の方法は、相続税の申告の際行っている税理士のノウハウを活用
すれば十分です。ただし、相続税の申告期限は10か月ですが、財産目録は就任
後1か月以内に提出しなければなりません。通常は裁判所の用意した様式を使
用します。財産目録提出後に発見された財産や負債については、次回の報告時
か発見されたときに裁判所に報告します。不動産や
》》 記 載 例
財 産 目 録 ( 就 任 時 ) (p92~ 93)
有価証券については評価の必要はありません。
財産及び負債に関してチェックリストを作成しその保管場所、名義、使用状
態を調査します。
- 44 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
場合によっては関係者立会いの下、家捜しなどの必要もあります。
ただし、後見の場合はその財産を実際に預からなくてはなりません。
被後見人の財産を確実に保管するために金庫などの保管場所を用意しましょ
う。
本人の生活状況、預金通帳、関係者の聞き取りなどから年間の収支予定表を
作成します。収支ですので基本的には現金ベースで
》》 記 載 例
収 支 予 定 表 (p94)
発生主義にする必要はありません。
②
成年被後見人との間の債権債務
本人と成年後見人との間に債権債務がある場合はこの時点で申し出てくだ
さい。成年後見人が債権を有する場合は、申し出を行わないとその権利を失い
ますので注意が必要です。
③
財産及び負債の引継ぎ
財産及び負債に関する書類等を引き継ぎます。その際、誰から、いつ、どの
ように引き渡されたかを記録しておきます。引渡し確認書やその控え(後見人
用)も用意しておきましょう。
財産の引継ぎは申立時に作成した財産目録を基にして行います。
1)土地
固定資産税の記録や登記事項証明、公図などから本人の所有不動産を確認
し、権利証や賃貸借契約書も預かります。また、不法に占有としている者や
建築物がないかも確認しましょう。
2)家屋
土地と同様ですが、本人が施設入所などで無人となっている場合には、防
犯上や防災上問題となっている場合もあるので、大家や近隣から事情を聞く
ことも大切です。
3)有価証券
上場株式については証券会社に保護預りとなっている場合が多いので残高
証明の取得(内容の分かる物)で足りますが、念を入れて証券管理代行会社
に確認することもできます。
証券会社、証券管理代行会社とも成年後見制度に関する届出を提出し、配
当振込先(銀行の口座名が変更になるため)、書類
の送付先等の変更の手続をします。
》》 記 載 例
成年後見制度に
関 す る 届 出 書 兼 代 理 人 届 (p95)
同族会社などの株式は、会社に連絡し株主権の行使に必要な手続や連絡先
変更の手続をします。ただし、中小企業においては成年後見制度に対する知
識が不足している場合もあるので注意しましょう。
4)現金
本人が在宅で独居の場合、多額の現金を自宅に保管している場合はケース
ワーカーなどの第三者立会いの下で調査をする必要があります。また、地域
- 45 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
福祉権利擁護事業での財産預りサービスを利用している場合などはそこから
の報告を受け、引き続きサービスが継続できるか否かを確認します。
5)預貯金
預金通帳は速やかに記帳をします。長期間記帳をせず、合計記帳になって
いる場合もあり、収支が明らかにならないケースもあります。
銀行印・カード等の引渡しを受け、金融機関に「成年後見制度に関する届
》》 記 載 例
成 年 後 見 制 度 に 関 す る 届 出 書 (p96)
出書」を提出します。
内容の確認の意味で残高証明を取得することもあります。
金融機関によっては成年後見制度をまだ熟知していないところや、成年後
見制度利用者のためのマニュアル届け出様式などが整備されていないところ
や、支店間の情報のレベルが異なるといったことがままあります。そこで事
前に問い合わせの上、必要書類、担当する部署等を確認してから手続を進め
ましょう。
金融機関には預貯金の名義を「○○○○成年後見人XXXX」と変更しま
す。不要な口座は整理解約し、支払に関する自動引落しや年金、各種手当て
などの収入口座は一本化した方が実務上便利です。カードの発行が可能な金
融機関もありますので利用しましょう。
6)生命保険・損害保険
本人が加入している保証の内容を証書などから確認し、満期受取り・疾病・
介護などの受取りができるかどうか見てみましょう。
関係者の協力が得られない場合などで、通帳や証書の引渡しができないと
きでも再発行の手続を取れば問題がないので存在が明らかな預金や証書には
こだわる必要はありません。本人が契約者である生命保険契約に関する権利
については満期受取人、死亡受取人、解約返戻金などを確認し保険契約継続
の必要性も検討しましょう。
医療特約など代理人請求制度があるものは請求代理人届を出しておくと良
いでしょう。
7)借入金などの債務
借入金があれば残高、利息、返済方法、差し入れ担保の有無を調べましょ
う。
個人保証の債務の有無も調べておきましょう。
公共料金などの未払金等は督促状などによって調べることができます。
8)年金
年金に関しても成年後見人就任の届出を提出し、年金に関する書類の送付
先変更の届出をします。
》》 記 載 例
変 更 申 出 書 (p97~ 98)
9)貴金属等
高価な貴金属や書画骨董類は成年後見人の手元に置くことは危険なので
- 46 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
貸金庫や適当な保管場所を見つけることも必要です。
10)貸金庫
貸金庫契約があるときは、公正な第三者(成年後見監督人や公証人)立会
いの下、中身を確認し収納物の点検を行います。
11)郵便物の転送届、その他
郵便局に対して、本人に送られてくる郵便物に対して後見人に転送しても
らうよう届出が必要です。転居届と同様ですので
》》 記 載 例
郵 便 物 の 転 送 届 (p99)
毎年する必要があります。
実印、印鑑登録カード、年金証書、年金手帳、不動産の権利証、健康保険
や介護保険の被保険者証、などを預かります。施設に入所している場合には
被保険者証は預けますので、コピーを取って受領書と引き替えに引き渡しま
す。
12)運用について
これら預かった財産については安全確実な運用を図ります。間違っても投
機的取引に投資してはいけません。もし、本人がそのような取引をしていた
場合には、損の少ない形でできるだけ早く撤退しましょう。
(3)身上配慮
①
施設、近隣、親族
1)施設
本人が入所している施設があれば速やかに訪問し、成年後見人として必要
な書類にサインすることがあります。この場合、身元保証人・身元引受人の
就任要請を求められることがあります。このような場合には、身元保証・身
元引受の内容を文書などで確認し、単に本人死亡退去時の遺品の引き取りや
遺族への連絡程度のものであれば引き受けることは可能かもしれませんが、
それ以上の成年後見人の責任の範囲でできることとできないことがあること
を説明する必要があります。一般的には就任要請には従う必要はありません。
最近は、本人が施設に未入所の場合に、成年後見人の就任をもって施設の入
所を許可するところも多くなっています。
成年後見人の登記事項証明書の提出を求められることはあります。
2)近隣
本人が居住していた住宅の確認とともに近隣にも挨拶し、無人の場合、管
理してもらう必要があれば管理の手配、防犯・防災上、気を配ってもらうた
めに最寄りの交番などと接触を持つことが必要です。
3)親族
成年後見開始申立の際、親族に対しては照会がされていますが、成年後見
人として就任した挨拶はした方が良いでしょう。たとえ申立に協力的でない
- 47 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
親族であっても、本人の急病や死亡の場合など今後連絡する必要があるので
すから。
②
就任中の業務
税理士を含む第三者後見人が選任された場合、特に身上監護について後見人等
の職務の範囲が明確にされていないため、どこまでが必要であるかについて議論
のあるところです。成年後見人の行う事務は法律行為に限られていますが、それ
に付随する事実行為は次のようなものがあります。後見事務を行うに当たっての
参考にしてください。
1)身上監護業務としての法律行為
イ
病院等の受診、医療・入退院等に関する契約、費用支払
ロ
本人の住居の確保に関する契約、費用支払
ハ
福祉施設の入退所・通所に関する契約、費用の支払
ニ
公租公課・公共料金等に関連して必要な手続、契約、費用の支払
ホ
社会保障給付に関連して必要な申請、手続
ヘ
保健・福祉・介護サービスに関連して必要な申請、契約、手続
ト
教育・リハビリテーション・就労・余暇活動・文化活動などの社会参加
に関する契約、費用の支払
チ
イからトに関連する手続上の異議申立、訴訟行為
2)身上監護業務としての法律行為に付随する必要な事実行為
イ
本人の状況に応じた定期・不定期の訪問による本人の心身状態、生活状
況、社会参加に対する希望の把握並びに意思確認
ロ
本人の住居の確保のための情報収集並びに本人の意思確認
ハ
福祉施設等を決定するための情報収集並びに本人の意思確認
ニ
保健・福祉・介護サービス内容に対する監視・監督行為
ホ
その他契約の履行に関する監視・追跡調査
ヘ
本人を取り巻く支援関係者との状況確認・連絡・調整
これらの業務を行うに当たっては後見人1人ではとてもできません。そこで本
人を取り巻く支援関係者とネットワークを創ることによって、本人の最善の利益
(ベストインタレスト)を実現することができます。
本人の意思確認については成年後見人1人で行わず第三者の同席を求めたり、
介護支援専門員(ケアマネジャー)等の報告を聴取することで本人の最善の利益
につながるよう心掛けましょう。
特に身上監護については認知症、精神障害、知的障害といった障害の種類によ
って本人を支える支援のための方法や社会資源に違いがあります。認知症高齢者
は年齢が進むにつれて障害が進む傾向があります。精神障害の場合は、精神保健
福祉法について特別の規定があるので関係者との連携が必要です。知的障害につ
いては親亡き後問題が深刻です。精神障害、知的障害については長期にわたって
- 48 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
支援する覚悟が必要です。障害を持つ本人を支えるための社会資源については、
131~138頁の支援者リストを参考にして具体的にご自分の地域の情報や連絡先を
記入してみてください。
(4)周年報告―報告書、財産目録
成年後見人に就任して概ね1年が経過しました。通
》》 記 載 例
財 産 目 録 ( 周 年 報 告 ) (p100)
常は1年を単位として家庭裁判所から後見事務報告書、収支報告を含む財産目録
の提出が求められます。収支報告は発生主義でなく、現金主義で行います。前回
の財産目録と今回の財産目録の間の整合性が合う形で提出することは言うまでも
ありません。
就任時に報告してから後に発見された財産債務もここで追加報告します。
報酬付与申立、報告書提出のタイミングで報酬付与
》》 記 載 例
報酬付与申立書(p101)
の申立を行い成年後見人としての報酬を請求します。
ただし、成年後見人の費用のうち後見事務に必要な公共交通機関を利用した交
通費、切手代、貸金庫使用料などの実費は後見事務費用として本人の財産から支
弁することができます。日当などを勝手に受け取ってはいけません。では経済的
に問題がある方はこの制度を利用することができないのでしょうか。国の仕組み
と公益信託について紹介します。実際には、市区町村を通じて行いますので各自
治体に確認してください。
①
成年後見制度利用支援事業
介護保険サービス等を利用する身寄りのない認知症高齢者や知的障害者で経
済的問題がある場合、成年後見制度利用支援事業を利用することにより、申立
費用や後見人等の報酬につき、在宅28,000円(月額)・施設18,000円(月額)の
費用の補助を受けることができます。ただし、市区町村長の審判の申立と費用
負担命令の申立が必要です。報酬付与の申立に成年後見制度利用支援事業の助
成を受けられるかどうか確認する必要があります。
②
公益信託
成年後見助成基金
社団法人成年後見センター・リーガルサポートが委託者となり、被後見人の
所得や財産状況により後見事務の内容に照らして適正な報酬を支払うことがで
きない成年後見人のために「公益信託成年後見助成基金」があり、成年後見人
等の報酬・鑑定費用について原則、被後見人1人につき月額1万円2人まで、
年度ごとの毎年4月の応募で最長5年間受けることができます。
(5)遺産分割協議、特別代理人選任申立
成年被後見人が相続人となった場合、成年後見人は遺産分割協議を行います。
この場合、税理士としての知識は有用ですが、原則として本人の法定相続分は確
保しなければなりません。すべての財産について、すべて法定相続分での分割な
- 49 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
らば問題ありませんが、全体としては法定相続分を確保している場合、代償分割
として法定相続分を受け取る場合、代償分割として渡す場合などのケースがあり
ます。
本人と成年後見人の間に利益相反の関係があるときは後見監督人に、後見監督
人がいないときは特別代理人選任の申立をします。
》》 記 載 例
特 別 代 理 人 選 任 申 立 書 (p102~ 103)
(6)居住用不動産の処分
本人の居住する不動産の処分を行う場合には、家庭
裁判所の居住用不動産処分許可の申立をしなければな
》》 記 載 例
居住用不動産処分許可申立書
(p104~ 105)
りません。成年後見監督人が選任されている場合にはその同意も必要です。この
申立なしに行われた処分行為は無効であると解されています。
居住用不動産とは「その居住の用に供する建物又はその敷地」をいい、本人が
現に居住の用に供している又は将来居住の用に供する予定のあるもの、過去にお
いて居住していたものまで含まれます。この解釈は大変複雑なので家庭裁判所の
意見を聞くことが賢明でしょう。
「処分」とは、本人が所有又は占有使用する不動産について、売却、賃貸、賃
貸借の解除、抵当権の設定その他これに準ずるものをいいます。
「その他これらに
準ずる処分」としては(負担付き)贈与、使用貸借・賃貸借契約による貸し渡し、
借り主として締結していた使用貸借・賃貸借契約の解除、譲渡担保・仮登記担保・
不動産質権の設定、リバースモーゲージの利用、建物の取壊し等が含まれます。
居住用不動産がなくなるというのは、本人にとっては大変精神的に影響が大き
いこともあるので医師、社会福祉士などのケースワーカーなどの専門家の意見を
聞いて慎重に判断しましょう。
【売却の場合】
成年後見人が本人に代わって不動産を売却しようとするときは、売却の必要性、
売買の条件(適正価格・仲介手数料)、公正な手段で見つけた業者(利益相反に注
意)や買い主等、売買が具体的になった段階で申立をします。特に税理士が注意
したいのは、自分の顧問先や関係者に対し不公平な情報提供や謝礼の受取りなど
があった場合、解任事由にもなりかねませんので注意を要します。
将来売却の予定がある程度で申立をするものではありません。
(7)その他、類型の変更、辞任
登記事項証明書に記載している事項について変更があった場合には直ちに変更
の届出をしなければなりません。被後見人の住所・氏名・本籍、後見人の住所・
氏名などに変更があった場合などです。
①
後見類型に変更がある場合
本人の病気や障害の進行や改善によって補助類型や保佐類型から後見類型
- 50 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
などに変更を申し立てなければいけない場合には、変更の申立をします。とい
っても新たに申立をするのと同様な手続を行います。成年後見人等が申立権者
になれますので医師の診断書等を取り寄せ手続を行ってください。
②
成年後見人の辞任
成年後見人は通常選任されると本人が亡くなるなど後見の終了の事由が発生
するまで、本人の権利利益の保護のために働きます。とはいえ、どんなことが
あってもやめられないのでしょうか。
民法844条で「後見人は正当な理由があるときは、裁判所の許可を得て、その
職務を辞任することができる」と規定されています。正当な理由とは、成年後
見人等の高齢、疾病、遠隔地などへの引っ越しといったやむを得ない事情で成
年後見人としての仕事ができなくなる状況をいいます。この場合でも裁判所の
許可がなければ勝手に辞任することはできません。
この場合、家庭裁判所に対して辞任の許可の申立
と後任の成年後見人選任の申立を行います。
》》 記 載 例
辞 任 許 可 申 立 (p106~ 107)
辞任に伴う後任者選任の申立
(p108~ 109)
(8)成年後見人の職務とならないもの―医療同意・居所指定権・身分行為・一
身専属権・身元引受・身元保証
①
医療同意
成年後見人には各種の検査、治療行為(投
=医的侵襲とは=
薬・注射など)などの「医的侵襲行為」への同
投薬や検査、手術とい
意権は与えられていません。本人に手術や治療
った行為で本人の身体に
のための入院が必要となった場合に、家族に代
傷を付けたり影響を与え
わって成年後見人にサインを求められることが
る行為をいいます。
あります。本来、自分の治療に対する同意は本
人しかできないので家族にサインを求めるのもおかしな話ですが、過去にサイ
ンなしの手術に対して医師が損害賠償責任を追及された事例があり慣行的に行
われているようです。常識的には親族がいれば優先してサインしていただき、
本人の命や生活に関わることでやむを得ない場合には同意権のないことを明示
した上でサインしているのが実情です。
②
居所指定権
未成年後見の場合は未成年者に対し居所指定権が与えられていますが、成年
した大人に対して住居や入院先を強制することはできません(精神保健福祉法
に例外あり)。あくまでも本人の残存能力を引き出し、意思を尊重することが大
切です。
③
身分行為
民法738条は「成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要
しない」とされています。離婚も同様です。ただし、結婚も離婚も本人自身が
- 51 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
届出を行うこととされていますので、法的に結婚・離婚が成立するかどうかは
本人次第です。
④
一身専属権
身分行為や専門資格などの一身専属権に関しては成年後見人といえども奪う
ことはできません。税理士登録などの資格登録については成年被後見人となる
ことが欠格事由となるので自動的に資格を失います。
⑤
欠格事由他
公職選挙法により投票権を失うほか、民法とは関係なく成年被後見人となっ
た場合、欠格事由があることにご注意ください。
4
成年後見事務の終了
本人が亡くなったとき、成年後見人が死亡したとき、解任されたとき、辞任した
とき、成年後見人はその職を終了します。本人死亡以外では、その時までの収支計
算書及びその時点での財産目録を作成し新たな後見人に引き渡し、必要であれば報
酬付与の申立をします。
(1)本人の死亡
本人が亡くなったとき、後見人は本来その時点で後見人としての地位を失いま
す。相続人がいれば本人の死亡を伝え、死後の事務は相続人に行っていただくの
が原則です。
ただし、相続人が不存在、所在不明等の場合は、本来成年後見人の職務ではな
い遺体の引き取り、死亡届や火葬・埋葬許可手続、一連の葬儀、果ては埋葬、家
財などの処分、生前の債務の支払、相続財産管理人・財産管理人等の選任申立、
必 要 が あ れ ば 年 金 や 税 務 処 理 も 委 任 終 了 後 の 応 急 処 分 義 務 と し て 行 う こ と があ
ります(民654、874)。
(2)成年後見人の解任―解任事由
民法846条「後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事
由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくは親族若しくは検
察官の請求により又は職権で、これを解任することができる。」とされています。
一度成年後見人として解任された者は二度と成年後見人にはなれません。成年
後見人の欠格事由(民847)の一つに解任された者となっているからです。単な
るクビ以上の重い処分だとわきまえてください。税理士として職業専門家の職能
を期待されて就任した以上、解任されることは大変恥ずべきことです。仮に横領
などの刑事事件に発展すれば、税理士としての登録抹消理由になりますし、当然
処分の対象にもなります。
(3)終了の事務―財産目録の作成、財産の引渡し、終了報告書、報酬付与申立、
- 52 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
終了の登記
成年後見が終了したときは、速やかに財産目録を作成し、後見監督人がいると
きはその立会いのもと管理の計算をしなければなりません。また、その際に報酬
付与の申立を行って、相続人等に財産を引き渡す際、
審判に従ってこれを差し引き、事務を終了することも
できます。
》》 記 載 例
財 産 目 録 ( 終 了 時 ) (p110)
後 見 事 務 終 了 報 告 書 (p111)
報酬付与申立書(終了時)
(p112~ 113)
後見事務が終了しても、一定期間、書類は保管しておく必要があるでしょう。
相続人に財産を引き渡す際、遺言があればそれに従い、遺言がない場合には相
続人の間で遺産分割協議をしてもらい、それに従います。相続人の間で争いが生
じている場合などは家庭裁判所とよく相談して対処することが必要でしょう。
5
死亡後の事務
本人が亡くなった場合、成年後見人の任務は終了しますが、家庭裁判所への報告、
財産を相続人に引き渡すことが後見人の最後の仕事になります。死亡後の事務とし
ては、管理の計算(民870)及び急迫の事情がある時に相続人が事務処理できるよう
になるまで必要な処分をすること(民874準用、654)と、成年後見終了の登記申請
をすること(後見登記等に関する法律8①)などがありま
》》 記 載 例
登 記 申 請 書 ( 終 了 の 登 記 )( p114)
す。
(1)成年被後見人の死亡と相続開始
本人の死亡により相続が開始(民882)され、相続人は、相続開始の時から、被
相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民896)。よって本人の死亡
により、その瞬間から相続人の財産となりますので、成年後見人には本人死亡後
の財産に関する処分権限がないことを再認識してください。単に相続人の財産を
管理していることになります。ただし本人の死亡に際して成年後見人が行わなけ
ればならない事務(管理計算義務)と、現実にやらざるを得ないが、相続法制度
との矛盾や抵触を招く恐れのある事務(応急処分義務)などがあり、注意が必要
です。
(2)管理計算義務と相続人・家庭裁判所への報告
<相続人への報告・財産引渡>
管理計算とは、成年後見開始から任務終了した時までの間に、後見事務を行っ
て生じたすべての財産の収支計算で、その間の財産変動と現状報告を相続人又は
遺言執行者に、2か月以内に報告することをいいます(民870)。
管理計算は、成年後見監督人がいるときは、その立会いが必要となります。ま
た、計算期間の伸長の申立もできます。
管理計算の終了後、速やかにに遺産の引渡しを相続人に対して行います。なお、
- 53 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
家庭裁判所に対し報酬付与の申立を行い決定された場合には、遺産を引き渡す際
に、報酬控除させてもらうと良いでしょう。
なお、管理計算終了時から成年後見人が相続人へ返還すべき金額に対して、利
息が発生しますので注意して下さい(民873)。
<家庭裁判所への終了時報告の手続手順>
①
成年後見人=相続人のケース
第一段階…家庭裁判所に本人の死亡を証明する資料(戸籍・除籍謄本、死亡
診断書のコピーなど)を添付し後見等事務報告書(終了時報告)、
財産目録(終了時報告用)を提出します。また、報酬付与を求め
る場合には報酬付与審判申立書も提出します。
第二段階…報酬付与審判書謄本を受領した場合には、成年被後見人の財産か
らその報酬額を受領します。
第三段階…遺産分割協議の実施をします。
②
成年後見人≠相続人のケース
第一段階…家庭裁判所に本人の死亡を証明する資料(戸籍・除籍謄本、死亡
診断書のコピーなど)を添付し後見等事務報告書(終了時報告)、
財産目録(終了時報告用)を提出します。また、報酬付与を求め
る場合には報酬付与審判申立書も提出します。
第二段階
報酬付与審判書謄本を受領した場合には、成年被後見人の財産か
らその報酬額を受領します。
( 相続人に遺産を引き渡す前に行いま
す。)
第三段階
遺産の相続人への引渡しを行い、署名捺印をもらいます。
第四段階
家庭裁判所に対し後見等事務報告書(相続財産の引渡し報告)を
提出します。
③
相続人がいないケース
成年被後見人に相続人がいない場合には、上記②の第一、第二段階の要領で
終了報告を行い、併せて利害関係人として相続財産管理人選任の申立を行いま
す。家庭裁判所が選任した相続財産管理人に対して上記方法に準じて遺産を引
き渡します。
(3)応急処分義務
成年後見人は急迫の事情がある時において、その事務を行った場合は、従前の
委任契約が継続するのと同一の権限が認められています。この「急迫の事情があ
るとき」とは、相続人等への事務引継ぎを待つと不測の損害を与えるなど、緊急
性のある事務であることが求められます(民654)。
応急処分義務については、成年後見人は、相続人の財産管理者の立場であるこ
とを再認識し、できるだけ必要最小限の範囲での事務処理を行うよう心掛けてく
- 54 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
ださい。
また、後々のトラブルを避けるため、相続人とよく相談してから行ってくださ
い。
(4)後見の終了登記
登記の申請は書面で行い送付する場合には、書留郵便、信書便又は電子情報処
理組織を使用してできることになっています。登記印紙は不要ですが、添付書類
として除籍事項証明書等が必要です。申請先は、東京法務局となっています。
〒102-8226
東京都千代田区九段南1-1-15
九段第2合同庁舎
東京法務局民事行政部後見登録課
電話:03-5213-1360
(5)その他
年金関係・社会保険関連の手続、所得税準確定申告・相続税申告書作成など、
税理士にとって日頃の業務で対応が容易にできますが、本来は相続人が手続きす
るのが原則ですので、相続人と契約を取り交し税理士の立場でこれらの業務を請
け負うのが良いでしょう。
6
成年後見と税務
成年後見制度を利用する方にも納税の義務はあります。そこで税理士が成年後見
人として税務を行う場合(後見人に依頼された場合を含む。)を想定して検討してみ
ましょう。
(1)成年後見人、成年被後見人の定義
成年後見人は法定代理人に当たります。ただし所得税法、相続税法に成年後見
人の規定はなく、届出としては所得税では「納税管理人」として届けているのが
現状です。
成年被後見人は、民法の規定ぶりからすると「特別障害者」に当たるように思
われますが、現状では障害者手帳や他の証明手段で特別障害者として扱われてい
るにすぎません。
介護認定が低く、障害者手帳の交付も受けていない高齢者等については、市区
町村で現状を説明し「特別障害者」に相当する旨の証明を出してもらえますので、
この制度を利用してください。
(2)納税地
本人の住所地など、今まで本人が使っている場所を納税地にしてください。し
たがって、所轄税務署も施設入所などで転居しない限り変更する必要はありませ
ん。
- 55 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
ただし、申告書等の送り先は「連絡先変更届」を提出して成年後見人の住所に
してもらう必要があります。
(3)申告書の氏名の記載
納税者署名押印欄は「乙野花子 (被 後 見 人 氏 名 )
成年後見人
甲野太郎」と記載し
てください。印字の場合も同様です。
(4)納税
振替納税をすることは大変有効です。この場合、振替口座は既に「乙野花子 (被
後見人氏名)
成年後見人
甲野太郎」となっていますので、振替口座の申込書は同
様に記載してください。もちろん、銀行印は「甲野」になっていますが全く差し
支えありません。
本人が既に振替納税を使っている場合には、口座名を変更すると振替えできな
くなりますので、変更の手続を行ってください。
本人が何らかの事情で納税できないときは、成年後見人が立て替える必要はな
く滞納に関する手続を行う必要があります。
(5)所得税の節税
青色申告や青色申告特別控除を受けるための複式簿記の採用は、所得税の節税
になりますが成年後見人がこれを選択することに何ら問題はありません。特別償
却、圧縮記帳その他の税法上の特別措置の選択に関しても成年後見人が判断しま
す。
成年後見人が本人の青色事業専従者になっている場合、利益相反が考えられま
すが実際に事業に従事している場合、その対価を払わないことはできないので、
既に以前から支払っていた青色事業専従者給与の金額の範囲内であれば問題ない
のではと考えます。
本人所有の不動産の老朽化など新たな設備投資の必要が生じたとき、居住用の
不動産の処分ではないが多額の金銭が動くので、家庭裁判所に相談します。最近
では借入れ設備投資であっても、本人の生活の安定などの理由としっかりした資
金計画があれば処分の許可が下りるところも出てきているようです。
(6)居住用不動産の譲渡
本人の居住用不動産を譲渡したときは、多くの場合3,000万円控除が適用できま
すが、本人から資料が出ないことが多いので住民票、以前の申告書の閲覧、居住
用不動産処分の許可審判書など譲渡が成立していること、譲渡資金の流れなどよ
く確認し、譲渡のチェックシートなどを活用して申告しましょう。また、施設入
所などの理由により住民票が移動されており、3年を経過して3,000万円控除が受
- 56 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
けられないことがありますので注意が必要です。
(7)相続税
①
相続税の申告
相続人の中に本人と成年後見人がいる場合、利益相反になりますので特別代
理人か成年後見監督人に遺産分割に関して代理してもらってください。
申告書に記載する本人署名の要領は所得税と同様です。納税についても本人
は物納延納要件が整えば物納できます。
②
相続税対策
相続税対策には、相続人の増加、単純贈与、相続税対策としての保険契約な
どがありますが、本人のためでない支出は認められません。相続人のためにす
ることが結果的に本人のためになるという論理は通用しません。
事業承継税制の場合、本人が成年被後見人でないことが条件ですから注意し
てください。
③
税務代理権限証書
税理士が、成年後見人から申告を依頼された場合には、当然の事ながら税務
代理権限証書は、相続人一人ひとりからもらってください。
(8)報酬の所得区分
法定後見の報酬は裁判所に「報酬付与の申立」をして審判がおりた金額で確定
します。それまでは、交通費などの実費は受け取ることができます。
報酬は税理士であれば雑所得、弁護士・司法書士は事業所得です。一般の方は
雑所得です。
消費税の課税対象でもあります。
(9)会社法関係
成年被後見人・被保佐人は会社法により取締役にはなれません。ですから社長
に成年後見人が付いた場合は直ちに役員変更を行わなければなりません。ただし、
社長が所有する株についての権利まで失うことはありません。成年後見人が一定
範囲の株主権の行使(限定あり)を行うことになります。
(10)書面添付の勧め
税理士が成年後見人から申告を依頼された場合、申告書提出の際、税理士法33
条の2の書面添付をすることをお勧めします。
税務署は成年後見制度について研修していますが、本人の状況、成年後見人と
の関係、申告の経緯などを添付書面にして説明することができれば、大変スムー
ズに納税者の負担を軽減することができます。
- 57 -
第5章 税理士が行う成年後見事務
(11)税理士法
成年後見人は法定代理人なので本人に代わって税務申告をします。税理士法52
条に抵触するのではないかとの指摘もありますが、本人に代わって法律行為を行
うこと、業として行わないことなどから業法には触れません(弁護士法の訴訟代
理でも成年後見人はできます。)。
もちろん、税理士に依頼することもできます。この場合の代理権限証書には「乙
野花子 (被 後 見 人 氏 名 )
成年後見人
甲野太郎」と記載してもらってください。
- 58 -
第6章 後見監督人
第6章
1
後見監督人
監督人の必要性
(1)法定後見
家庭裁判所は、必要があると認めたときは、本人、その親族若しくは成年後見
人の請求により、または職権で成年後見監督人を選任することができます(民849
の2)。
これは財産関係が複雑な場合や遺産分割協議・不動産取引などの法律行為が予
定されている場合、財産管理について推定相続人の間で紛争がある場合など、ま
た、親族後見人が高齢や若年などで手厚い支援が必要な場合など、それぞれの事
案ごとに総合的に判断して家庭裁判所が選任します。
税理士はその職能に着目され成年後見監督人に選任される傾向があるとされて
います。
法定後見の件数の増大により、家庭裁判所による直接監督が厳しい状態になっ
てきていることから、成年後見監督人の必要性が高まっています。
また、社会のニーズにより市民後見人が注目されています。多くの場合、地域
の社会福祉協議会が中心となって市民後見人を支援しています。これら地域の支
援団体といっても市民後見人をすべて監督する機能やスタッフが備わっていると
はいえません。そこで計数管理に関しては、税理士がその職能を発揮し協力する
ことがいま求められています。
なお、成年後見人の欠格事由に加えて、成年後見人の配偶者・直系血族及び兄
弟姉妹は成年後見監督人にはなれません。これは、任意後見にも該当します。
(2)任意後見
任意後見は本来、任意後見受任者と委任者との私的契約でありますが、
「任意後
見に関する法律」において任意後見契約が発効する条
件として、任意後見監督人の選任を挙げています。
》》 記 載 例
任意後見監督人選任申立書
( p115~ 116)
これは任意後見の長所である自己決定を生かすため欠くべからざることです。
それは本人が実際に任意後見を必要とするときは既に判断能力が衰えており、本
人には監督能力がないため任意後見監督人を付けることによって任意後見人の職
務を遂行させることを約束したものです。
2
後見監督人の権限
成年後見監督人は成年後見人に対し、いつでも後見の事務の報告や財産目録の提
出を求めたり、本人の財産の状況を調べたりすることができます。
また、任意後見監督人は家庭裁判所に対し、任意後見人の事務を監督し、それを
- 59 -
第6章 後見監督人
定期的に家庭裁判所に報告します。
この結果、監督人が後見人につき不適切であると認めるときは家庭裁判所に対し、
成年後見人の解任の請求をすることができます。
3
法定後見監督人の職務
成年後見監督人の職務は、成年後見人に対するお目付役としての役割と、成年後
見人と本人が利益相反関係となったときに一時代理を行う法定代理人としての役割
があります。また、親族後見人が財産管理等に不慣れな場合等はこれを支援する役
割も求められています。
では、後見監督人の職務を具体的に検討してみましょう。
(1)成年後見人の事務を監督すること
成年後見人の事務には財産管理と身上監護があります。
①
財産の調査及び財産目録の作成に立ち会う
不動産については登記事項証明や権利証等で確認しますが、預貯金、有価証
券、貸金庫等については成年後見人等と同行し、内容を確認します。
金融機関によっては、本人に借入れがあるときは後見監督人に借入れの承認
の署名を求められることがあります。
また、成年後見人の財産目録の作成を指導することも求められます。
成年後見人と本人との間に債権債務があるときは財産調査に着手する前に後
見監督人に対し申し出なければなりません。債権の場合は申し出なければその
権利を失います。
これは、成年後見監督人から後見人へ説明しておきましょう。
②
本人と面接しその現状を把握する
③
財産管理及び身上監護その他後見事務について必要な処分を命ずるよう家庭
裁判所に請求する
財産管理については処分行為禁止や不動産の売却指示、身上監護については
療養看護についての指導をすることができます。また、成年後見人が指導に従
わず財産状況などを明らかにしないような場合は家庭裁判所に対し開示命令を
請求できますし、さらにそれに従わないときは解任請求ができます。
④
営業及び民法13条の行為に対する同意
成年後見人が本人に代わって営業や民法13条の行為を行うときは、成年後見
監督人の同意を得なければなりません。同意は通常書面により行われます。
特に居住用不動産の処分については、家庭裁判所の許可申立についての同意、
その他については成年後見監督人の同意が必要です。
⑤
成年後見人の任務終了時の管理計算への立会い
財産目録、報告との整合性及び作成指導
- 60 -
第6章 後見監督人
(2)成年後見人が欠けた場合の次の成年後見人の請求
成年後見人が死亡、解任された場合、成年後見人が辞任した場合には遅滞なく
家庭裁判所に対し後任者の選任の申立をします。
(3)急迫の事情がある場合必要な処分をする
本人のための事務で、それをしなければ本人に回復し難い損失を与えることな
るような事情がある場合には、本人または成年後見人を代理して自ら財産上の処
分をすることができます。例えば、成年後見人が病気等や一時不在で後見事務を
行えないようなときです。ただし、この行為が急迫に当たらなかったり、必要が
なかった場合、無権代理行為になりますので注意が必要です。
(4)成年後見人と本人の間で利益が相反する行為について本人を代表する
成年後見人と本人の利益相反取引の場合特別代理人が選任されますが、成年後
見監督人が選任されているときは、成年後見監督人がこれを行います。
①
本人と成年後見人がともに相続人となるときの遺産分割協議
②
成年後見人の債務を担保するため本人所有の不動産に抵当権などを設定する
場合(監督人が連帯して保証することはありません。)
4
任意後見監督人の職務
任意後見監督人は、任意後見契約に定められた事項を任意後見人が適切に行って
いるかを監督します。
(1)身上監護
任意後見契約に定められた介護契約や福祉サービスが適切に利用されているか
を監督します。
(2)代理権限
任意後見契約の代理権目録にある代理権を任意後見人が適切に行使しているか、
無権代理になっていないかを監督します。
(3)任意後見監督人の同意
任意後見契約により任意後見監督人の同意が求められている場合は、これに同
意します。例えば、不動産の売却や多額の預金の解約などが任意後見契約により
任意後見監督人の同意を要する場合、任意後見人から同意を求められますので、
同意するか否か内容を精査して問題なければこれに同意します。通常は文書で行
います。
(4)任意後見人の報酬について
- 61 -
第6章 後見監督人
任意後見契約に定められた報酬が任意後見人の行っている事務について適切に
受領されているかを監督します。報酬の定めにある事務を行っていないにも関わ
らず報酬を受領していた場合などは報酬返還の指導をします。
5
家庭裁判所への報告・報酬
監督人はいつでも後見人に対し後見の事務の報告を求めることができますが、家
庭裁判所も監督人に報告を求めます。
東京家庭裁判所の場合には、審判が確定して概ね1年後に「報酬付与の申立(後
見等監督事務報告)について」の文書が送られるので、報酬付与審判申立書(添付
書類報酬付与申立事情説明書、後見等監督事務報告書、
》》 記 載 例
報 酬 付 与 審 判 申 立 書 ( p117)
財産目録)を提出します。
これによって監督人の報酬の審判が下されるので、審判書を後見人に提示して後
見人が管理している本人の口座から受け取ります。
- 62 -
第7章 倫理
第7章 倫理
税理士が成年後見人として職務を行う場合には、あくまでも本人の意思そして利
益を最優先する必要があり、そのほかにもその職務を執行する上で以下に記載する
ような倫理を成年後見人として最低限遵守する心構えを持って業務を行ってくださ
い。
(行動基準)
税理士としての誇りを持ち、かつ、その使命を自覚するとともに、常に品位を
保持し、法令その他諸規定を遵守し、公明正大にその職務を行わなければならな
い。
(執務姿勢)
成年後見制度の基本理念である本人の最善の利益を優先してその職務を遂行す
るとともに、ノーマライゼーションに配慮し本人の自己決定を尊重して、財産管
理及び身上監護を行わなければならない。
(守秘義務)
現在又は過去において、正当な理由がある場合を除き、後見事務を行うにつき
職務上知り得た秘密を他に漏らし、あるいは自己若しくは第三者の利益のために
これを利用してはならない。
(研修等への参加)
資質の向上に努め、税理士会等が主催する研修会はもとより、法律、福祉その
他の学術及び実務に関する研修会、講習会等に積極的に参加しなければならない。
(適正報酬)
後見事務等につき受領する報酬は、社会通念に照らし適正・妥当な額とする。
(禁止項目)
後見事務等の使命を自覚し、次に掲げる行為を行ってはならない。
①高齢者・障害者及びその関係者等(以下「高齢者等」という。)から、受任事
件の報酬に相当する金銭以外に、金銭、物品、不動産その他財産上の利益を
収受し、あるいは自らのために他の者の名義をもって収受させること。
②高齢者等に対し、自ら又は自らの親族、又は自らが所属する組織に贈与、遺
贈等を勧誘し、あるいは要求すること。
- 63 -
第7章 倫理
③税理士業務との関連において利益相反行為並びに利益誘導行為をすること。
④上記の他、高齢者等から執務の公正さに対する疑惑や不信を招くような行為
をすること。
(後見事務の委任)
病気、事故その他やむを得ない事由がある場合においても、後見事務等を行う
につき復代理人を選任してはならない。
(関連諸機関との連携)
後見事務等を行うに当たっては、親族、行政機関、福祉関係者その他専門職能
との連携に努めなければならない。
(紛争処理)
依頼者等との間で紛議等が起こらないよう十分に注意し、万一紛争が生じた場
合には、遅滞なく税理士会に報告し、誠実かつ速やかに対応しその解決に努めな
ければならない。
- 64 -
第8章 Q&A
第8章
Q1
Q&A
税理士が成年後見人として裁判所から選任を受けるためにはどうしたらいい
ですか。
A
各地の税理士会が行っている成年後見人養成研修を受講し、成年後見賠償責任
保険へ加入して、成年後見人候補者名簿登載基準に従って家庭裁判所の成年後見人
候補者名簿に登載されている場合には、第三者後見人として家庭裁判所からの選任
を受けます。
また、成年後見開始の申立等をするときに税理士が自ら成年後見人候補者として
成年後見人候補者事情説明書を提出することもできます。このような場合にも税理
士として成年後見に対する正しい知識が必要なので、当該研修を受講していること
が要求されることもあります。
Q2
税理士が成年後見人及び監督人として裁判所から選任を受けた場合、どのよ
うな事項に注意すればいいですか。
A
本書を参考として後見事務・監督事務を行ってください。特に成年後見人及び
監督人に就任した税理士が「果たすべき責務とその権利の制限」、遵守すべき倫理(第
6章)そして問題事例(第9章)などに注意する必要があります。
分からないことや判断に迷うときは、1人で抱え込まずに成年後見制度の基本理
念や本人の最大の利益は何かをよく考え、家庭裁判所や関係機関に相談しましょう。
Q3
選任されて成年後見人となった場合、不得意な身上監護の成年後見人をもう
一人選任してもらうことは可能ですか。
A
成年後見人に選任された場合に、さらに成年後見人が必要であれば一定の申立
のもとに家庭裁判所がその必要性を判断することになります。財産管理をすべき資
産の所在が広範囲にわたっている場合や、身上監護をすべき成年被後見人の入所施
設と、財産管理をすべき資産の所在が遠隔地であるとか、本人にとって真の利益と
なるか否かを前提として家庭裁判所が判断します。ですからご質問のような身上監
護が不得意であることなど、成年後見人の側の事情から認められることはありませ
ん。
Q4
A
職員による代理事務は可能ですか。
成年後見人は、成年被後見人の財産に関する法律行為について包括的な代理権
を付与されると同時に、日常生活に関する行為を除き、本人の行った法律行為を取
り消すことができます。成年後見人には、これらの事務を自ら行うべき自己執行義
務があると解されています。したがって、成年後見人が事務所職員を包括的に復代
- 65 -
第8章 Q&A
理人として選任することはできません。もっとも、適正な範囲で履行補助者として、
職員を活用することは支障ありません。
Q5
A
税理士法人は成年後見人となることができますか。
税理士法人は税理士法の規定によりその設立が認められた特別な法人です。そ
の業務は税理士法48条の5に規定されており、税理士業務を行うほか、定款で定め
るところにより税理士法2条2項業務その他これらに準ずるものとして財務省令に
定める業務を行うことができます。成年後見の業務は法律行為であり、これらの税
理士業務には含まれないので税理士法人が法人として成年後見人に就任することは
できません。
しかし税理士法人の社員税理士及び補助税理士は、個人としての資格で成年後見
人となることはできます。
Q6
A
遺言執行者である税理士はその人の成年後見人となることができますか。
成年後見人は、あくまでも本人が生きている間の生活を支援するための制度で
すので、本人が亡くなった後に行われる遺言執行について制限を加えるものではあ
りません。したがって遺言執行者は成年後見人となることができます。成年後見人
となった場合は推定相続人の利益ではなく、財産管理・身上監護について本人の最
大の利益を追求することを忘れないでください。なお、弁護士・司法書士でない者
は、報酬を得る目的で遺言執行を業とすることはできないことに注意してください。
Q7
損害賠償責任保険制度はありますか。また、どのような場合が対象となりま
すか。
A
税理士が家庭裁判所から法定後見人及び任意後見監督人に選任された場合に、
その業務の遂行に起因して「過失による経済損害」
「被後見人等に対する身体賠償及
び財物賠償」
「被後見人に対する人格権の侵害」に対して、法律上の賠償責任を負っ
たとき、これに対応するための「成年後見賠償責任保険」があります。
税理士会が実施する成年後見人等養成研修を履修した方のうち家庭裁判所に提出
する「成年後見人等候補者名簿」への登載者を加入者とします。保険の内容は以下
のとおりです。
①加入者の過失による盗難、詐欺、受託物の破損、過失による財産処分等の経済損
害の賠償
②加入者の業務遂行上の事故に起因して他人の身体の障害、財物の毀損に対する賠
償
③被後見人に対して不当な身体拘束による自由の侵害、または名誉の毀損、プライ
バシーの侵害に対する損害賠償
現行の保険では、任意後見人は対象とされていないのでご注意ください。
- 66 -
第8章 Q&A
Q8
成年後見人の報酬は税理士報酬として売上高に計上すべきですか。
A
成年後見人の業務は税理士業務ではないので、税理士報酬として計上するので
はなく雑所得とするのが良いでしょう。ただし、消費税の課税対象となります。
Q9
後見終了後、被後見人の相続人から相続税の申告の依頼がありました。受任
に問題はありませんか。
A
成年後見制度はあくまでも判断能力の不足する本人の生活を支援する仕組みで
すので、本人の死亡による後見終了後には成年後見人としての業務は終了します。
したがって本人の相続人から改めて相続税の申告を依頼された場合、受任しても問
題はありません。ただし、本人の生前に相続税の申告について慫慂してはいけませ
ん。
Q10
成年被後見人の相続人から、相続対策として成年被後見人と孫との養子縁組、
従来からなされている連年贈与、アパート建築資金の借入れ等の相談があった
場合、応じてもいいでしょうか。
A
成 年 後 見 人 は 本 人 の 最 善 の 利 益 を 図る も の で 推 定 相 続 人 の 利 益 を 図 る も の で
はありません。しかし、従来からされている連年贈与や老朽化したアパート建て替
えや生活安定のための建築資金の借入れについては判断に苦しむところです。また、
養 子 縁 組 な ど の 身 分 行 為 は 後 見 人 の 同 意を 要 し な い の で 本 人 の 意 思 が 確 認 で き れ
ば自らすることができます。しかし、これらが相続税対策として行われるとすると
問題があります。このような場合は家庭裁判所とよく相談してください。
Q11
保佐人に就任した後、被保佐人から遺贈の申し出があった場合、保佐人はそ
の申し出を受けてもいいでしょうか。
A 保佐人となった場合これを受けることは倫理上ふさわしくありません。詳しく
は69頁をご覧ください。後見人については、禁止の明文規定があります(民966、973)。
Q 12
本人が死亡した場合、成年後見人は2か月以内に相続人等の権利者に財
産を引き渡さなければなりませんが、相続人間で遺産についての争いがある場
合、どのように処理すればいいでしょうか。
A
本人の死亡後どころか、生前から推定相続人の間で争いのあるケースすらあり
ます。成年後見人としては大変困った問題です。
財産の引渡しに関して紛争が落ち着くまで待つのも一つの方法ですが、共同相続
人の中に協力者を見つけられるときは、この協力者に遺産分割と遺産分割審判前の
保全処分による遺産管理人の選任の申立をしてもらい、遺産管理人に引き渡すこと
ができます。協力者が見つからないときは本人死亡後の元後見人として、民法918
- 67 -
第8章 Q&A
条2項の相続財産保存に必要な処分として遺産管理人の選任の申立をして、遺産管
理人に渡すという方法もあります。
(参考文献:日本成年後見法学会制度改正研究委員会「法定後見実務改善と制度改
正のための提言」)
- 68 -
第9章 問題事例
第9章
問題事例
本章では、東京家裁後見センターにおいて、後見監督の過程で生じた具体的な成
年後見人の職務遂行をめぐる問題事例を紹介します(判例タイムズ1165「東京家裁
後見センターにおける成年後見制度運用の状況と課題」/東京家裁後見問題研究会
編著より引用)。
1
横領・背任行為又はこれらとの限界が問題となる事例
(1)使い込み、無断借用・流用
後見人は、被後見人の財産の適正な管理を責務としているから、これらの行為
は違法性の強い行為であって、厳しく禁じられなければなりません。
例えば、後見人が被後見人とは全く別家計(別世帯又は被後見人が入院中)に
も関わらず、専ら自己又は自己の家族の生活費を支出している例があります。ま
た、被後見人の不動産を処分してその代金を自己の債務弁済や不動産その他の物
の購入のために費消する例もあります。これらを、「借用証」を作成して形を整
えようとしている例もありますが、これは自己契約であり、かつ、利益相反行為
であって、正当な手続を踏まずにできる行為ではありませんから、借りたもので
あるという弁解は通らないでしょう。
これらの不正行為の多くは、裁判所が後見人に財産管理状況の報告を求めた際、
報告された収支(黒字又は赤字幅)と被後見人の流動資産額の変動が大きく異な
る場合に後見人を追求して判明することが多いです。また、居住用不動産の処分
許可や遺産分割等が行われた後、あまり間をおかずに後見監督を実施することに
より、売却代金や取得遺産が適正に被後見人の預金等に組み入れられていないこ
とが判明し、これをきっかけに不正が発覚することもあります。
(2)虚偽の名目による支出、過大な支出
使い込みや無断借用・流用が発覚するのを隠蔽するために、虚偽の、もっとも
らしい費目を記載したり、あるいは「被後見人の生活費」、
「身の回り品の購入費」
などとして過大な金額が計上されている場合があります。
現金出納帳や収支状況報告書の作成・提出及びそれらの裏付け資料(預貯金通
帳、契約書・請求書・領収書の写し等)の提出をさせることが大切です。
(3)後見人又は親族への贈与
贈与は、対価を伴わない、被後見人の財産の減少行為ですから、後見人自身又
は他人に対するものいずれも原則として許されません。相続税対策のための贈与
も、相続人の利益を図る行為であって被後見人のためのものではありませんから、
- 69 -
第9
問題事例
後見センターではこれも原則として許されないとしています。これに対して被後
見人が仮に判断能力が低下していなかったら贈与していたであろうといえる場
合にはその意思の推定を根拠に許されるべきであるとする見解もありますが、こ
れを認めると受贈者に都合の良い推定が行われる恐れもあり、また、被後見人が
他の者に遺贈又は相続させる遺言書を作成していたような場合には取り返しが
つかないことになります。仮に容認するとしても、被後見人が完全な判断能力を
有する時期から継続的に贈与を行っていたことが客観的な証拠から明らかで、か
つ、被後見人の将来の療養看護に十分な財産が存在するような場合に、従前行わ
れていた金額の範囲内で行う場合に限るべきでしょう。
(4)後見人その他の親族に対する扶養
被後見人の財産から親族の生活費や教育費を支出している例も多々みられま
す。対価がないので贈与と誤解されることもありますが、それとは似て非なるも
のです。現代では扶養はほとんど経済的扶養と解されていて被後見人でも財産が
あれば可能であり、特に配偶者や未成熟子は被後見人の財産によって生活を支え
ている場合が多いから、被後見人にも扶養義務の負担を認めるべきです。ただ、
扶養能力や要扶養状態及び扶養の限度は厳格に判断されるべきです。親族に高価
な自動車を買い与えたり、海外旅行の費用を出したりするのは扶養の限度を超え
るでしょう。
(5)後見人又は親族への金銭の貸付
金銭貸付については、後見人自身に対して行う場合には自己契約及び利益相反
行為となります。また、親族に対して行う場合にも、無利息の場合や回収可能性
がない場合には贈与とほとんど変わりません。したがって、原則としては認めら
れないものというべきです。ただし、その融通が被後見人を含む家業ないしある
親族の事業の運営上必要であるなど特殊な事情が存在する場合には、その事情に
つき具体的な説明を求め、被後見人の財産及び生活状況、当該事業との結び付き
及び他の親族の意向等を踏まえ、可否を検討します。場合によっては、扶養や親
族間の紛争調整の調停申立を促すこともあります。
(6)立替金、介護の日当・費用、見舞の日当・費用の支払
後見人については、後見事務に要した費用は被後見人の財産から支弁すること
ができます(民861②)から、立替金支払の問題は生じません。後見人自身が被
後見人に対して行った介護・見舞等に対するいわゆる「日当」は報酬の範疇に属
すると解されますから、後見人がこれを被後見人の財産から無断で取り崩すこと
は許されません。
後見人以外の者からの立替金請求については、確実な裏付資料があるときは支
- 70 -
第9章 問題事例
払っても良いでしょう。親族が後見人に対し施設・病院にいる被後見人に対する
介護や見舞の日当・費用を請求する場合があります。これらが親族としての情愛
に基づいて行うべき見舞程度のものである場合には日当・費用を支払うべきでは
ありません。これに対し、被後見人にとって必要な介護をした場合には、交通事
故 被 害 者 に 対 す る 近 親 者 の 付 添 料 な ど を 参 考 に し て 支 払 を 認 め て 差 し 支 え ない
のではないでしょうか。
実際の事例ではさまざまな「費用」が問題となります。海外にいる親族が被後
見人の見舞のため来日する際の渡航費用、介護又は見舞に行くための自動車・バ
イク等の購入代金、介護ないし見舞に赴いた際の外食費、被後見人を介護するた
め介護に関する講習を受けた場合の受講料等々挙げればきりがありません。当該
行為の性質、必要性、被後見人の介護との因果関係の強弱等を考慮して、判断し
なければなりません。
(7)被後見人と後見人及びその家族とが生計を共にしている場合における被後見
人の「生活費」及び「介護料」等
後見人と被後見人が同居するなどして生計を共にしている場合には被後見人
自身の食費、光熱費、住居費その他の諸雑費等を峻別することは困難であり、煩
瑣でしょう。同居家族全体の生活費を頭割りするなどして被後見人の負担部分を
割り出し、これに被後見人独自にかかる医療費・介護費等を加えて、被後見人の
財産からの支弁を認めてはどうでしょうか。被後見人の事実上の介護を後見人が
行っている場合には報酬付与審判の際に考慮され、それ以外の同居人が行ってい
る場合における介護料の支払については(6)と同様の問題となるでしょう。
(8)施設等への寄付、謝礼、差額ベッド、冠婚葬祭等の交際費の限界
ある特別養護老人ホームに対し、月々15万円、年間180万円の寄付をしている
例がありました。しかも、この事例では、家庭裁判所に対し、民法863条2項を
根拠として上記寄付をすることの許可申立がされ、これを認容する審判がされて
いました(後見センターで取り扱った事件ではありません。)。これは二重の意味
で問題があります。そもそも手続上そのような申立や審判ができるか否か、そし
てまた、上記のような寄付を容認して良いか否かです。後見センターにおいては、
後見人に上記寄付の是正を促しました。
施設・病院職員への謝礼についてはどうでしょうか。特に国公立の施設・病院
職員へのそれは贈賄罪となる恐れがあり、また、国公立・私立を問わず、職員の
服務・職務規律違反となる恐れがありますので、提供をする側においても注意す
る必要があります。社会通念上、社交儀礼として許される範囲に限るべきです。
個室等(差額ベッド)の利用は、それが被後見人の療養看護のため必要なもの
であれば、その利用及び料金の支払を一概に不相当であるとはいえないでしょう。
- 71 -
第9
問題事例
被後見人の心身の状況、医師の意見及び財産状態に照らして相当性を判断すべき
です。
冠婚葬祭等における祝儀・香典等を支出することは許されるでしょうか。特に
心身の状況が悪化している者、判断能力が著しく低下している者にこのような支
出をさせるのはいかがなものかという疑問もあります。しかし、このようなもの
のやりとりは形式的・儀礼的な面がありますから(被後見人も受け取る立場に立
つこともあり得ます。)、被後見人の財産状態や相手方との関係に照らして妥当な
金額であれば、許されると解すべきでしょう。
(9)後見開始・後見人選任前の不正・不明朗な支出
後見人として選任される以前に被後見人となるべき者(本人)の財産を侵害し
ても、就任以前には本人のためにその財産を管理する地位にありませんから、横
領又は背任にはなりませんが、不当利得や不法行為は成立します。もっとも、任
意の財産管理契約が締結されていた場合は横領又は背任が成立し得ます。しかし、
選任以前にこれらが発覚すれば後見人に選任されることはありません。
後見人が選任される以前に、他の者が被後見人の財産を侵害していた場合には、
被 後 見 人 が 侵 害 者 に 対 し て 有 す る 不 当 利 得 返 還 請 求 権 又 は 不 法 行 為 に よ る 損害
賠償請求権を後見人が行使し得ます。
(10)不正又は不明朗な行為が行われた場合の対応
行為の悪質性・結果の重大性及び被後見人と後見人との関係等を参酌して対応
することになりますが、具体的対応を軽い順序から挙げれば、非を指摘して再び
しないことを誓約させること、過去の行為により得た金員等を返還ないし弁償さ
せ、又はその約束をさせること、辞任を勧告すること、解任をすること、家庭裁
判所による刑事告発又は新たに選任した後見人による告訴などが考えられます。
解任した場合、新後見人から損害賠償請求がされることもあり得ます。解任をす
る場合には、後見人の職務執行停止・職務代行者選任の保全処分をすることもあ
ります(家審規86、74①)。これらを進める手段としては、書記官による電話、
書面又は面接による是正の監督指導、時に調査官による調査・指導、審判官によ
る審問などがあります。
2
財産管理の管理・運用方法が問題となる事例
(1)預貯金口座の名義等
後見センターでは、被後見人又は肩書付後見人名義(成年被後見人△△成年後
見人○○)とし、後見人名義にはしないように指導しています。なお、預かり口
座でも被後見人に限定されていれば差し支えありません。後見人名義では、収支
の混同や使途不明金が生じやすいし、債権者等の第三者から後見人の財産と間違
- 72 -
第9章 問題事例
えられる恐れもあります。要するに他と峻別して被後見人に帰属することが外観
上も明らかな形で管理されていることが必要です。なお、定期預貯金は別として、
普通預貯金については1口の口座で出入金が管理されていれば、収支や変動を把
握しやすいので、そのように指導しています。
(2)建物建築・借入れ等
相続税対策としての贈与の是非については前述しました。建築費を借り入れ、
居住又は収益目的で被後見人名義の建物を新築する場合があります。同時に相続
税対策も考慮されている場合があります。これについては贈与とは異なって一概
に否とはいえず、被後見人の財産規模や収支状況、収益計画の内容等を検討して、
その是非が判断されなければなりません。
被後見人の所有地(居住用)上に後見人名義の建物を建築し、後見人名義のロ
ーンにつき同土地にも担保権を設定しようとする事例があります。このような場
合には、被後見人も当該建物に居住するか、あるいは地代を徴収し又は後見人か
ら扶養を受けるなど被後見人自身にも利益がなければなりません。そして、これ
を容認する場合には、土地利用権(借地権又は使用貸借権)の設定をする必要が
あり、さらに、土地利用権及び担保権の各設定につき特別代理人選任及び居住用
不動産の処分許可の申立をしなければなりません。他に推定相続人がいる場合に
は、紛争防止のために、その同意書等を提出させています。
(3)ペイオフ対策、投資・投機等について
ペイオフ対策としての預金の分散等は、預金についての危険の防止すなわち保
存行為に当たると解されますから、基本的には後見人の裁量により行って差し支
えないと考えられます。ペイオフ対策として、後見人又は被後見人の自宅や貸金
庫に現金を保管している例も散見されますが、後見監督上管理が適正に行われて
いることを確認することに難がある上、自宅管理には防犯上の問題がありますの
で、預金化を指導すべきでしょう。
後見人は被後見人の資産を増やす義務はありませんので、投資・投機をする必
要はありません。また、元本が保証されない契約についてはできるだけ早急に解
約すべきです。隠れて証券・商品取引等を行ってたまたま利益を挙げた場合には
注意のみで終わるかもしれませんが、損をすれば、そのような取引をして被後見
人に損害を与えたこと自体で責任を問われるでしょう。
(4)被後見人を契約者・被保険者、後見人を受取人とする生命保険契約の是非
被後見人に保険料を負担させておいて、同人が死亡した場合には後見人自身が
死亡保険金を受け取るという、「ちゃっかり型」の契約です。他に推定相続人が
いるときは紛争の源になること必至です。このような契約形式はよくありません。
- 73 -
第9
問題事例
①保険料を被後見人が負担しているので、同人を死亡保険金の受取人とするか、
②後見人が利益を得るので、保険料相当額を同人が負担するか、いずれかの選択
を指導することになるでしょう。
(5)被後見人の墓地・墓石の購入、葬儀・供養に関する契約等
墓地、墓石については、被後見人の財産状況も踏まえ、常識的な金額の範囲で
あれば、購入を認めても良いでしょう。
また、第三者後見人の場合などには、親族に被後見人の菩提寺や死亡時の引取
り親族は誰かについて把握しておくと後見終了後の事務の困難さが軽減します。
3
第三者後見人と親族との関係
被後見人に対する事実上の身上監護は親族が行っていることが多く、また、財産
管 理 に つ い て も 親 族 特 に 被 後 見 人 の 推 定 相 続 人 は 関 心 が 強 い の で 、 後 見 事 務 を適
切・円滑に遂行するためには、第三者後見人としてはできる限り親族と円満な関係
を保ち、協力して、後見事務の遂行に当たりたいところでしょう。反面、第三者後
見人が選任されるのは、親族間紛争がある場合や後見開始申立人が挙げた後見人候
補者を不適当とした場合が多いので、信頼を得、円満な協力関係を築くのは容易な
ことではありません。
そこで、家庭裁判所としては、後見人選任の際に配慮を必要とします。選任後に
親族から意見・要望等が出された場合にも、まずはその内容や理由を虚心坦懐に、
公平な態度で聴く必要があります。そして、もっともと思われるものは採り上げる
べきです。一方、無理・無謀な要求に対しては毅然として臨まなければなりません。
4
報告書等不提出・「選任されてしまえばこっちのもの」か
家庭裁判所は、いつでも、後見人に対し、後見事務について報告及び財産目録の
提出等を求め、必要な処分を命ずることができ(民863①、②)、後見センターにお
いては全件につき定期的又は臨時に報告を求めています。また、後見人は、家庭裁
判所から求められなくても、就任後速やかに財産調査に着手し、1か月内に財産目
録を調整し、また、支出金額の予定を策定しなければなりません(民853、861)。前
述のとおり、これらは後見事務について問題を発見する上で重要な手掛かりとなる
ものですが、催促を重ねてもこれらを提出しない者がいます。親族後見人のみなら
ず、後見開始申立人推薦の専門家後見人の中にもみられます。提出しない理由とし
ては、①能力的に又は健康上困難、②他の業務等による多忙、③後見人の職務に対
する無理解、④不正意図によるものなどが挙げられます。報告を求めただけで「俺
を疑っているのか。」と怒る者もいます。
①の場合には、時間的猶予をおき、あるいは家庭裁判所又は専門家の指導を受け
るよう勧告し、それでもできない場合には辞任を勧告することになるでしょう。問
- 74 -
第9章 問題事例
題はできるのにしない「故意犯」の場合です。単に漠然と報告書等の提出を求める
のみでなく、「この点についてどうなっているか。」と具体的な質問をするなど催促
の工夫も必要ですが、それでも駄目な場合には辞任・解任に至ってもやむを得ませ
ん。報告書提出等の重要性に鑑みれば、仮に不正の疑いがなかったとしても、少な
くとも複数回催促を受けたにも関わらず提出しなかったときは、それだけで十分解
任理由になるというべきです。また、報告書は提出したけれども不明な点が多く、
家庭裁判所からの釈明にも応じないという場合も同様でしょう。
- 75 -
第 10 章 記載例・参考資料
第 10 章 記載例・参考資料
本章では、前章までに説明した主な書類の記載例及び参考資料を掲載していますが、あくま
で参考としてお考えください。
これらの書類は、地域によって異なる場合がありますので、必ずその地域の家庭裁判所に確
認してください。
<記載例>
(1)申立書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77
(2)申立事情説明書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
(3)後見人等候補者事情説明書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・83
(4)診断書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
(5)上申書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87
(6)登記されていないことの証明申請書 ・・・・・・・・・・・・・・・・89
(7)登記されていないことの証明書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
(8)登記事項証明申請書
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91
(9)財産目録(就任時) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92
(10)収支予定表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94
(11)成年後見制度に関する届出書兼代理人届 ・・・・・・・・・・・・・・95
(12)成年後見制度に関する届出書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96
(13)年金受給権者 通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出書 ・・・97
(14)郵便物の転送届 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・99
(15)財産目録(周年報告) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100
(16)報酬付与申立書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
(17)特別代理人選任申立書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102
(18)居住用不動産処分許可申立書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・104
(19)辞任許可申立書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106
(20)辞任に伴う後任者選任の申立書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・108
(21)財産目録(終了時) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110
(22)後見事務終了報告書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111
(23)報酬付与申立書(終了時) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112
(24)登記申請書(終了の登記) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114
(25)任意後見監督人選任申立書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・115
(26)報酬付与審判申立書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・117
<参考資料>
(27)登記事項証明書<後見・保佐・補助> ・・・・・・・・・・・・・・・118
(28)審判書 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・128
(29)支援者リスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131
- 76 -
(本文参照頁)
(41)
(41)
(41)
(42)
(42)
(43)
(43)
(43)
(44)
(45)
(45)
(46)
(46)
(47)
(49)
(49)
(49)
(50)
(51)
(51)
(52)
(52)
(52)
(53)
(59)
(62)
(38、43)
(43)
(43)
第 10 章 記載例:(1)申立書
受付印
後
見
開
始
申
立
書
(この欄に収入印紙800円をはる。
)
収入 印 紙
予納郵便切手
予納登記印紙
円
円
円
準口頭
(はった印紙に押印しないでください。
)
関連事件番号
○○ 家庭裁判所
御中
平成○○年 ○月 ○日
添付書類
平成 ○○ 年(家○○)第
申 立 人 の
署 名 押 印
又は記名押印
○○○○○○ 号
印
○
甲野 太郎
申立人の戸籍謄本
通(本人以外が申し立てるとき。
)
本人の戸籍謄本
通,戸籍附票
通,登記事項証明書
通,診断書
成年後見人候補者の戸籍謄本
通,住民票
通,登記事項証明書
通
本 籍
申
住 所
○○県○○市○○区○○町字○○番地
〒000-0000
立
人
フ リ ガ ナ
コウノ
甲野 太郎
職 業
会社役員
本 籍
本
住 所
(
タロウ
※ 1 本人
方)
昭和○○年 ○月 ○日生
2 配偶者
3 四親等内の親族(
4 未成年後見人・未成年後見監督人
)
5 保佐人・保佐監督人
7 任意後見受任者・任意後見人・任意後見監督人
6 補助人・補助監督人
8 その他(
)
○○県○○市 1 丁目 1 番地
〒000-0000
〒
人
居 所
電話 000(000)0000
東京都○○区二丁目○番○号
氏 名
本人と
の関係
通
電話 000(000)0000
東京都○○区○丁目○番
-
東京都○○区2丁目22番地22号
フ リ ガ ナ
オ ツ ノ
氏 名
乙野 花子
職 業
無 職
(
電話
)
○○区立○○特別養護老人ホーム
明治
大正
昭和
ハ ナ コ
方)
(
年
月
日生
(注)太枠の中だけ記入してください。※の部分は当てはまる番号を〇で囲み、3 又は 8 を選んだ場合には、
( )内に具体的に記入してくださ
い。
- 77 -
第 10 章 記載例:(1)申立書
申
立
て
の
趣
旨
本人について後見を開始するとの審判を求める。
申
立
て
の
実
情
(申立の理由,本人の生活状況などを具体的に記入してください。)
長期の寝たきり生活の為、自己の資産管理が困難である為
〒000-0000
主たる
事務所
電話 000(000)0000
○○県○○市○○町○丁目
(
成年後見人
候 補 者
タロウ
大正
氏 名
甲野 太郎
昭和
職業
○ ○ ○
フリガナ
コウノ
本人と
の関係
〒000-0000
勤務先
方)
○○年 ○月○日生
甥
電話 000(000)0000
○○県○○市○○町○丁目
(注)太わくの中だけ記入してください。
- 78 -
第 10 章 記載例:(2)申立事情説明書
申 立 事 情 説 明 書
(後見開始・保佐開始・補助開始)
※ この事情説明書は,申立人(申立人が記載できないときは,本人の事情をよく理解している人)が記載
してください。
記入年月日: 平成○○年 ○月 ○日
印
記入者氏名: 甲野 太郎 ○
(記入者が申立人以外の場合は申立人との関係:
)
裁判所との連絡方法について
1 申立人の平日昼間の連絡先(携帯電話又は勤務先等)を記入してください。
① 携帯電話番号 000( 0000
② 連絡先名
)0000
○○○県○○市○○町○丁目
裁判所名で電話しても □よい
電話番号
000(0000)0000
□差し支える
2 裁判所から連絡をするに当たり,留意すべきこと(電話できる時間帯等)があれば記載
してください。
【申立ての事情について】
1 この申立ての主な目的は何ですか(具体的な内容や時期も記載してください。)。
□ 預貯金の解約又は保険金等の受取りのため
□ 被相続人(
,平成 年 月 日死亡)の遺産分割協議(相続放棄の申述を含む。)のため
※この場合は,添付資料として遺産目録を提出してください。
□ 不動産の処分(□売却,□賃貸,□抵当権等設定,□
)のため
□ 不動産の購入,建替,リフォ-ム等のため
□ 不動産以外の財産(動産,株式,社債等)の処分のため
□ 金銭の借入れのため
□ その他の財産管理(□年金・不動産賃料等の受領,□医療費・介護費用・税金・保険料の支払い等)
のため
□ 施設入所又は福祉サ-ビス契約のため
□ 裁判所の手続(遺産分割調停,訴訟等)のため(現在事件が係属しているときは,裁判所名,事件番
号,事件の内容も記載してください。)
□ その他
(具体的な内容・時期)
2
この申立ての内容に関して,これまでに家庭裁判所の手続を利用したことがありますか。
□ ない
□ ある
申立時期: 平成
裁判所 :
年
月頃
申立人氏名:
家庭裁判所
事件番号:平成 年(家 )
支部・出張所
号
事件名:
- 79 -
第 10 章 記載例:(2)申立事情説明書
3
本人の親族について
(1) 本人の配偶者,子,父母,兄弟姉妹等の親族について記載してください。
(申立人や候補者については記入の必要はありません。)
関 係
住 所 ・ 氏 名
年齢 / 同居・別居の別 / それぞれの考え
○で囲む。
配偶者
子
父・母
兄・弟
姉・妹
配偶者
子
父・母
兄・弟
姉・妹
配偶者
子
父・母
兄・弟
姉・妹
配偶者
子
父・母
兄・弟
姉・妹
配偶者
子
父・母
兄・弟
姉・妹
配偶者
子
父・母
兄・弟
姉・妹
〒 000-0000
○○県○○市○○町○○丁目
〒
〒
〒
〒
〒
年齢○○歳
同居・別居(電話
-
-
)
-
この申立てについて
□知っている □知らない
申立てをすることに
□賛成している □反対している □不明
候補者が後見人等になることに
□賛成している □反対している □不明
年齢
歳
同居・別居(電話
-
-
)
-
この申立てについて
□知っている □知らない
申立てをすることに
□賛成している □反対している □不明
候補者が後見人等になることに
□賛成している □反対している □不明
年齢
歳
同居・別居(電話
-
-
)
-
この申立てについて
□知っている □知らない
申立てをすることに
□賛成している □反対している □不明
候補者が後見人等になることに
□賛成している □反対している □不明
年齢
歳
同居・別居(電話
-
-
)
-
この申立てについて
□知っている □知らない
申立てをすることに
□賛成している □反対している □不明
候補者が後見人等になることに
□賛成している □反対している □不明
年齢
歳
同居・別居(電話
-
-
)
-
この申立てについて
□知っている □知らない
申立てをすることに
□賛成している □反対している □不明
候補者が後見人等になることに
□賛成している □反対している □不明
年齢
歳
同居・別居(電話
-
-
)
この申立てについて
□知っている □知らない
申立てをすることに
□賛成している □反対している □不明
候補者が後見人等になることに
□賛成している □反対している □不明
(2) 反対の意向を示している人がいれば,その理由や内容を記載してください。
4
申立書と一緒にお渡ししている「成年後見申立ての手引」をお読みになって理解できなかったことや疑
問なことがあれば記載してください。
- 80 -
第 10 章 記載例:(2)申立事情説明書
【本人の状況について】
1 本人は現在どこで生活していますか。
□ 病院,老人ホーム等の施設で生活している。
施設名:
○○区立○○特別養護老人ホーム
入院・入所日:平成○○年○○月○○日
所在地: 〒 000-0000
東京都○○区2丁目22番地22号
電話 000(000)0000
最寄駅:
(担当職員名
○○線 ○○ 駅下車 徒歩・バス(
□ 転院・移転予定あり(平成
年
)
○○○
行) ○○分
月頃:移転先
)
□ 転院・移転予定なし
□ 自宅又は親族宅で生活している。
□ 介護サ-ビスを受けている。
□ 親族が介護している。(介護者:
)
□ 介護は受けていない。
最寄駅:
2
線
駅下車 徒歩・バス(
行)
分
次の認定を受けている場合は記入してください。
□ 愛の手帳( 1度・2度・3度・4度 ),療育手帳(A・B・
)
□ 精神障害者手帳 ( 1級・2級・3級 )
□ 介護認定 (要支援 1・2 ,要介護 1・2・3・4・5 )
□ いずれもない。
3
本人の現在の状態について
(1) 裁判所まで来ることは
□ 可能である。
□ 不可能,または容易には来ることができない。
(2) 移動することについて
□ 自立歩行可能(自力で車椅子で移動できる場合も含む。)
□ 介添えにより車椅子で移動できる。
□ ベッドから起き上がることができない。
(3) 会話能力
□ 会話は成り立つ。
□ あいさつ程度のやりとりはできるが,会話として意味が通じない。または通じないことが多
い。
□ 言葉が出ない。
- 81 -
第 10 章 記載例:(2)申立事情説明書
4(1)
本人の経歴(最終学歴,主な職歴,結婚,出産等)を記入してください。
年月日
最終学歴,主な職歴
年月日
身分の変動,家族関係
5人きょうだいの 5番目として出生
○・○・○
最終学歴( ○○大学 )を卒業
○・○・○
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
・ ・
(2) 本人の病歴(病名,発症・受症時期,その後の入院期間等)を記入してください。
心臓病
一昨年前
一年入院
5
□
□
□
□
本人の財産を,現在,事実上管理しているのは誰ですか。
本人自身
申立人(あなた)
その他(氏名及び本人との関係
誰が管理しているか分からない。
)
6
本人はこの申立てがされることを知っていますか。
□ 知っている。
本人は,後見人等を付けることに同意していますか。
□ 同意している。
□ 同意していない。(理由
□ 分からない(本人が理解できない場合を含む。)。
候補者が後見人等になることについての本人の意向はどうですか。
□ 本人は,候補者が後見人等になることに賛成している。
□ 本人は,候補者が後見人等になることに反対している。
(理由
□ 分からない(本人が理解できない場合を含む。)。
)
)
□ 知らない(その主な理由は次のとおりである。)。
□ 本人は理解できる状態にない。
□ 本人は理解できる状態だが,不安を与えたくないので,知らせていない。
□ 本人は理解できる状態だが,申立てに反対すると思うので知らせていない。
□ その他(
)
7
家庭裁判所調査官が本人のところへ面接調査に行く場合がありますが,留意点(訪問可能な時間帯,訪問する
際の本人の精神面への注意等)があれば記載してください。
- 82 -
第 10 章 記載例:(3)後見人等候補者事情説明書
後見人等候補者事情説明書
(後見開始,保佐開始,補助開始)
※ この事情説明書は,必ず後見人等候補者自身が記載してください。
記入年月日:平成 ○○年 ○月 ○日
記入者氏名: 甲野 太郎
印
○
1 候補者の住所,氏名等について
□ 候補者は申立人である。
□ 申立書候補者欄に記載のとおり
□ 住所:東京都○○区二丁目○番○号
(平日昼間の連絡先)000(000)0000
(電話)000(000)0000
2 候補者は次のいずれかの事由に該当しますか。
□ 未成年者
□ 家庭裁判所で成年後見人等を解任された者
□ 破産者で復権していない者
□ 本人に対して訴訟をしたことがある者,その配偶者又は親子である者
□ いずれにも該当しない。
3 身上・経歴等
(1) 候補者の家族を記入してください。
氏
甲野 夏子
名
年齢
続柄
○○才 配偶者
職業(勤務先,学校名)
主婦
同居・別居
同居
(2) 候補者の経歴(学歴,職歴,結婚,出産等)を記入してください。
年月日
○・○・○
最終学歴・主な職歴
最終学歴( ○○大学 )を卒業
年月日
○・○・○
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
・・
身分の変動,家族関係
(3) 候補者の健康状態について記入してください。
□ 良好である。
□ あまり良好ではない。
(具体的内容)
(4) 候補者の経済状態について記入してください。
① 収入: 月収・年収 約
600
万円
内訳:給与等 月額
50 万円
年金等 月額
万円
その他の収入(内容:
) 月額
- 83 -
万円
第 10 章 記載例:(3)後見人等候補者事情説明書
※収入がない場合
生活費を負担している人の氏名
負担している人の月収
② 資産:不動産
□有(
万円
)
住宅
□無
預貯金(株式,国債等を含む。) 合計約
③ 負債:
借入先
借入目的
○○銀行
住宅ローン
万円
負債額
1 ,0 0 0
万円
万円
④ あなたが本人のために立て替えて支払ったものがあれば,その額及び内容並びに,その返済を求める意思がある
か否かについて記入してください。
金
額
内
容
0円
返済を求める意思
□求める。□求めない。
4 今後の方針,計画を具体的に記載してください。
(1) 療養看護の方針や計画について(今後の生活の拠点,必要となる医療や福祉サービス,身の回りの世話等)
(2) 財産管理の方針や計画について(大きな収支の変動,多額の入金の予定があれば,その管理方針等についても記載
してください。)
特になし
5 後見人等の役割について
(1) 申立人から「成年後見申立ての手引」を見せてもらいましたか。
□ すべて読み,内容も理解している。
□ すべて読んだが,理解できなかった部分がある。
(不明,疑問な点)
□ 読んでいない,または見せてもらっていない。
→申立人に手引をお渡ししてありますので,お読みください。
(2) 後見人等に選任された場合には,次のことに同意しますか。
① 本人の意思を尊重し,その心身の健康に配慮して身上監護を行うこと。
② 本人の財産を後見人等自身のために利用しないことはもちろん,投資,投機等の運用をしたり,贈与,貸付をし
たり,本人に借金や保証(抵当権設定を含む。)等させることがないよう誠実に管理すること。また,疑義が生じ
ないように,収支を記録に残すこと。
③ 家庭裁判所の指示に従い,後見等事務の監督を受けること。
□ 同意する。
□ 同意できない,又は疑問がある。
(理由)
- 84 -
第 10 章 記載例:(4)診断書
診 断 書(成年後見用)
の診断書の記入要領については,○○家庭裁判所(支部)にお問い合わせください。
1 氏
生年月日
住
男・女
○
名
M・T・S
○・H ○○年 ○月 ○日生( ○歳)
所
2 医学的診断
診断名
所見(生活歴,現病歴,現在症,重症度,現在の精神状態と関連する既往症・合併症及び今後
の見通しなど)
理学的,臨床的所見
① 理学的検査:□特記事項なし
□特記事項あり(
)
② 臨 床 検 査:□特記事項なし
□特記事項あり(□脳の萎縮が著しい □
)
備考(診断が未確定の時の今後の見通し,必要な検査など)
3 判断能力判定についての意見(下記のいずれかにチェックし,必要に応じて(意見)欄に記入する)
□自己の財産を管理・処分することができない。
(日常的に必要な買い物も自分ではできず,だれかに代わってやってもらう必要があるという程度)
□自己の財産を管理・処分するには,常に援助が必要である。
(日常的に必要な買い物程度は単独でできるが,重要な財産行為(不動産,自動車の売買や自宅の増改築,金銭の貸し借り
等)は自分ではできないという程度)
□自己の財産を管理・処分するには,援助が必要な場合がある。
(重要な財産行為(上記のとおり)について自分でできるかもしれないが,本人のためにはだれかに代わってやってもらっ
た方がよいという程度)
□自己の財産を単独で管理・処分することができる。
(意見)
判定の根拠(検査所見・説明)
回復の可能性
□全くない
□ほとんどない
(
備考(本人以外の情報提供者など)
□ある
□その他
)
- 85 -
第 10 章 記載例:(4)診断書
4 精神の状態及び日常生活の状態
(1) 精神の状態
① 意識/疎通性
□意思疎通不可(言語及び身体動作を含む)
□
② 記憶力
□自己の年齢及び経歴(□回答不可 □回答可)
□
③ 見当識
□日時(□回答不可 □回答可)
□場所(□回答不可 □回答可)
□
④ 計算力
□計算は全くできない
□
⑤ 近親者の判別
□できる
□
□できない
⑥ 理解・判断力
□理解不能
□
⑦ 知能検査,心理学的検査(必要に応じて記入)
□HDS-R
点
□その他の検査(
⑧ その他
(2) 日常生活の状態
① 移動
□IQ=
(
歳程度)
)
□特記事項なし
□
□自力でできる
□自力でできない
□自力である程度できる
② 食事
□経口摂取が可能
□経管栄養中(胃ろう,中心静脈栄養を含む)
③ 排泄
□自立または介助で自立
□失禁状態(カテーテル留置中を含む)
④ 発語
□できる
□できるが意味をなさない
⑤ 指示への反応
□できる
□簡単な指示には反応できる □できない
⑥ 意識障害の程度
□3-3-9度方式(JCS)(
□その他(
⑦ 総合
□植物状態である
□植物状態に準ずる
□植物状態またはそれに準ずる状態ではない
⑧ 現在の状態の
継続期間
□6か月以上(
□6か月未満(
以上のとおり診断します
病院又は診療所の名称
所在地・電話番号
担当診療科名
担当医師氏名
□できない
)
)
年
か月)
か月)
平成
年
印
○
- 86 -
月
日
第 10 章 記載例:(5)上申書
平成20年(家)第000号
本人 ○○○○
上
申
書
平成21年1月6日
東京家庭裁判所 ▲▲出張所 御中
申立代理人
弁護士
弁
護
御庁頭書事件につき、以下の書類を追加していただきたく上申致します。
記
1 同意書
1通
- 87 -
四
郎
第 10 章 記載例:(5)上申書
〔本人の状況説明書・別紙〕
同 意 書
申立人 ○○○○ 申立てによる本人 ○○○○ についての補助等開始事件に
つき,本人 ○○○○ に補助等が開始され,補助人等に 特定非営利活動法人XX
XXX高齢者・障害者支援ネットワーク が就任することに同意する。
平成21年
1月 5日
住所
東京都港区
氏名
◎ ◎ ◎ ◎
電話
123(456)7890
印
(携帯電話)
--------------------------------------------------------------------------*この同意書に御記入頂くご親族の方々に
この書類は申立人さんがご本人について「後見等開始事件」を申立てられるに
当たり,その趣旨をご理解していただき、ご同意をなさっていただいている場合
に予め申立人さんにご提出をお願いしているものです。
後日,お電話によりその内容について確認をさせていただく場合や,改めて書
面にて確認させていただく場合があることをご了解ください。
また、最終的な家庭裁判所の判断として,別の後見人等が選任されることもあ
りますのでその点につきましてもお含み置き下さるようお願い致します。
(
- 88 -
家庭裁判所)
第 10 章 記載例:(6)登記されていないことの証明申請書
「登記されていないことの証明申請書」
(後見登記等ファイル用)
請求できるのは, 本人, 本人の配偶者または四親等内の親族です。
なお, 代理の方が申請する場合は, 該当する方からの委任状が必要です。
平成
住
(フリガナ)
コウノ
氏
甲野 太郎
名
代理人
(上記の方から
頼まれた方)
返送先
(上記以外に証明書
の返信先を指定され
る場合に記入)
タロウ
)
印 紙
(フリガナ)
コウノ ジロウ
氏
名
甲野 次郎
住
所
㊞
連絡先(電話番号
)
1通につき400円
○○県○○市○○町○丁目
※割印はしないでください。
先
※ 返信用封筒にも同一事項を必ず記入
□ 委任状(代理人が申請するときに必要。また、会社等法人の代表者が社員等の分を申請する時に社員等から代表者への委任状も必要)
□ 戸籍謄抄本等親族関係を証する書面(本人の配偶者・四親等内の親族が申請するときに必要)
□ 法人の代表者の資格を証する書面(法人が代理人として申請するときに必要)
添付書類
(本人が請求する
場合は不要)
登 記
)
○○県○○市○○町○丁目
所
宛
㊞
連絡先(電話番号
□ 本人 □ 配偶者 □ 四親等内の親族 □ その他(
証明を受ける方との関係
住
登記印紙を
貼るところ
○○県○○市○○町○丁目
所
法務局
月 日申請
必ず貼ってください。
請求される方
(請求権者)
年
登記印紙は収入印紙
と違いますのでご注
意ください。
□ 成年被後見人,被保佐人とする記録がない。(後見・保佐を受けていないことの証明が必要な方)
証明事項
□ 成年被後見人,被保佐人,被補助人とする記録がない。(後見・保佐・補助を受けていないことの証明が必要な方)
(いずれかの□に
チェックしてくだ
さい)
□ 成年被後見人,被保佐人,被補助人,任意後見契約の本人とする記録がない。(後見・保佐・補助・任意
後見を受けていないことの証明が必要な方)
□ その他(
※請求通数は
右詰めで記入
してください。
1 通
請求通数
◎証明を受ける方
①氏
)とする記録がない。(上記以外の証明を必要とする場合)
証明を受ける方の
氏名のフリガナ
コ
ウ
ノ
ロ
ウ
この部分を複写して証明書を作成するため,字画をはっきりと,住所又は本籍は番号,地番まで記入してください。
名
甲野 太郎
明治 大正 昭和 平成
□□□□
又は
②生年月日
西暦
□
□□□□ □□ □□
年
都道府県名
③住
タ
所
○
○
県
月
市区郡町村名
○○市
丁目 大字 地番
○○丁目○○番
都道府県名
④本
籍
○
○
県
□ 国籍
市区郡町村名
○○市
丁目 大字 地番(外国人は国籍を記入)
○○丁目○○番
提出先から特に指定がない場合は,住所又は本籍(外国人の場合は④に□し,正しい国籍名)のいずれかを記入してください。
記入方法:1.証明を受ける方の氏名のフリガナ欄は,例えば,ヤ マ ダ ○ タ ロ ウ ○ ○ と左詰め(氏と名
の間1字空き)でカタカナで記入してください。
2.外国人は氏名欄に本国名(漢字を使用しない外国人はカタカナ)を記入してください。
3.生年月日欄は,例えば,昭和にレし
40 年
1 月
1 日と右詰めで記入。
4.郵送請求の場合は,返信用封筒(あて名を書いて,切手を貼ったもの)を同封し下記のあて先に送付
してください。
申請書送付先:〒102 - 8226 東京都千代田区九段南1-1-15 九段第2合同庁舎 東京法務局民事行政部後見登録課
(登記所が
記載します)
交付通数
交付枚数
手数料
受
付
交
付
- 89 -
年
月
日
年
月
日
日
第 10 章 記載例:(7)登記されていないことの証明書
登記されていないことの証明書
(フリガナ)
① 氏
コウ ノ
名
タ
ロウ
甲 野 太 郎
② 生年月日
明治・大正・昭和・平成/西暦
③ 住
所
東京都○○区2丁目○番○号
又は本
籍
○年 ○月 ○日生
(国 籍)
上記の者について、後見登記等ファイルに成年被後見人、被保佐人、
被補助人とする記録がないことを証明する。
平成○年○月○日
東京法務局
登記官
法務太郎
- 90 -
東
東京
京法
法
務
務局
局登
登
記
記官
官印
印
第 10 章 記載例:(8)登記事項証明申請書
登記事項証明申請書
○○法務局
住
請求される方
コウノ
(フリガナ)
(請求権者)
氏
タロウ
甲野 太郎
名
印
○
連絡先(電話番号
請求される
方の資格
登記印紙を
貼るところ
登記印紙は割印
をしないでここに
貼ってください。
東京都○○区二丁目○番○号
所
御 中
平成○○年 ○月 ○日申請
(成年後見登記用)
000-0000 -0000 )
1 □ 本人(成年被後見人,被保佐人,被補助人,任意後見契約の本人,後見・保佐・補助命令の本人)
2 □ 成年後見人
3 □ 保佐人
4 □ 補助人
5 □ 任意後見受任者
(任意後見人)
住
代 理 人
登記印紙は
収入印紙と
違いますの
で注意して
ください。
6□ 成年後見監督人 7□ 保佐監督人 8□ 補助監督人
9□ 任意後見監督人 10□ 配偶者 11□ 四親等内の親族
12□ 未成年後見人 13□ 未成年後見監督人 14□ 職務代行者
15□ 財産の管理者
所
..
登記印紙は
1通につき
800円 です
(フリガナ)
(上記の方から
頼まれた方)
氏
印
○
名
連絡先(電話番号
-
-
)
( ただし、1 通の枚
数が1 0 枚を超え
た場合は、超える
5枚ごとに2 0 0 円
が加算されます)
□ 戸籍謄本又は抄本など本人との関係を証する書面
(上欄中10,11,12,13の方が申請するとときに必要。発行から3か月以内のもの)
□ 委任状(代理人が申請するときに必要)
□ 法人の代表者の資格を証する書面
(上欄中2~9の方が法人であるときに必要。発行から3か月以内のもの)
添付書類
後見登記等
の種別及び
請求の通数
□ 後見 □ 保佐 □ 補助
□ 任意後見契約
□ 後見命令 □ 保佐命令 □ 補助命令
(
(
(
通)
通)
通)
●登記記録を特定するための事項
(フリガナ)
オツノ ハナコ
本人の氏名
乙野 花子
(成年被後見人等)
(登記番号がわかっている場合は、記入してください。
)
登記番号
第
000―0000
号
(登記番号が不明の場合に記入してください。
)
本人の生年月日
明治・大正・昭和・平成/西暦
年
月
日生
本人の住所
又は本人の本籍
(国籍)
交付通数
10枚まで
11枚以上
交付枚数
(合計)
手数料
交付方法
□窓口交付
受
付
年
月
日
受
付
年 月 日
レ のようにチェックし、所要事項を記入してください。
記入方法等 1 二重線の枠内の該当事項の□に□
2 「登記記録を特定するための事項」には、登記番号が判っている場合は、本人の氏名と登録番号を、不明な場合は本人の氏名・生
年月日・住所又は本籍(本人が外国人の場合には、国籍)を記載してください。
3 郵送請求の場合には、返信用封筒(あて名を書いて、切手を貼ったもの)を同封し下記のあて先に送付してください。
申請書送付先:〒122-8226 東京都千代田区九段南1-1-15 九段第2合同庁舎
東京法務局民事行政部後見登録課
1
□郵送交付
- 91 -
第 10 章 記載例:(9)財産目録(就任時)
(後見・保佐・補助申立用)
平成 ○○年 ○○月 ○○日作成
本人氏名
乙野 花子
作成者氏名
甲野 太郎
印
○
財産目録
【注意事項】
① 本人が現在所有している財産全てを,分かる範囲で記載例に従って記入してください。
② 資料番号欄には,添付した資料の順に①,②,③ ・ ・ ・ と資料番号を鉛筆書きするとともに,対応する資料コピーの上部右側の
余白にも,同様に①,②,③ ・ ・ ・ と資料番号を鉛筆書きしてください。
1 普通預貯金と現金(本人名義のもの)
※通帳のコピー(銀行等の名称,口座名義人及び口座番号が記載された部分,総合口座の定期預金が記載された部
分,普通預金の直近1年分の残高が記載された部分)を付けてください。
金融機関,支店名等
口座番号等
○○銀行○○支店(普通預金)
郵便貯金
合
1年前の残高
申立時の残高
資料番号
000-00000
5,237,000 円
4,657,000 円
1
000-000000
10,000,000 円
10,000,000 円
2
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
計
A
15,237,000 円
B
差 額( B - A )
14,657,000 円
580,000 円
2 定期預貯金,株式,国債など(本人名義のもの) ※証書などの資料(株式については,所有する株式の内容,株式数が記載された報告書,
通知書等)のコピーを付けてください。
金融機関,支店名等
種 類
口座番号等
金 額 等
備 考
資料番号
○○銀行
定期預金
000-0000
5,000,000円
残高証明書
3
○○電力(株)
有価証券
2,000株
7,000,000円
〃
4
12,000,000円
合計金額
- 92 -
第 10 章 記載例:(9)財産目録(就任時)
(後見・保佐・補助申立用)
3 生命保険等(契約者及び受取人が本人のもの)
保険会社名
※保険証書のコピーを付けてください。
保険の種類
○○生命保険会社
生命保険
4 不動産(本人所有の土地,建物)
保険証券番号
保険金額
資料番号
000-00-0000
20,000,000円
11
※不動産登記事項証明書(登記簿謄本),名寄帳,固定資産評価証明書,固定資産税納税通知書
のいずれかの原本またはコピーを付けてください。
(1) 土地
名
義
筆 数 等
裏付け資料等(該当する□にチェックを入れてください)
本人単独名義
00 筆
共有名義
00 筆
□登記事項証明等 □名寄帳 □評価証明書 □納税通知書
資料番号
12
13
(2) 建物
名
義
筆 数 等
裏付け資料等(該当する□にチェックを入れてください)
00 筆
本人単独名義
共有名義
□登記事項証明等 □名寄帳 □評価証明書 □納税通知書
資料番号
14
筆
5 負債(本人が借り入れしたもの)
種
住宅ローン残金
類
※債権者ごとに残高総額を計算して記入してください。
返済額や返済期間が分かる資料のコピーを付けてください。
債 権 者
残高総額
○○銀行○○支店
12,000,000円
- 93 -
備考(返済予定,方針等)
資料番号
平成○○年○月完済予定
(残 高 証 明 書)
15
第 10 章 記載例:(10)収支予定表
(後見・保佐・補助申立用)
○○年 ○○月 ○○日作成
平成
乙野 花子
本人氏名
甲野 太郎
作成者氏名
印
○
年間収支予定表
1 定期的に予定される収入
種
※過去の収入を参考にして金額(千円未満切捨て)を書いてください。
類
金額(年額)
年金( 老齢基礎年金)
株
式
配
当
賃
品
資料番号
年金通知書(2 ヶ月分)
21
金
200,000円
通知書
22
料
1,200,000円
契約書
23
合
2 定期的に予定されている支出
2,400,000円
備考(入金口座名)
計
A
年額 3,800,000 円
※過去の支出を参考にして金額(千円未満切捨て)を書いてください。
目
支 払 先 等
金 額(年額)
本人の生活費(自宅での日常生活にか
かる費用)
31
0円
32
本人が扶養義務を負う者(配偶者
療養費(病院,施設においてかかる費用
住居費
(水道光熱費他)
税金
(固定資産税,住民税等)
保険料
(健康保険,介護保険等)
資料番号
1,500,000円
等)の生活費
全部)
備考(月額・使用通帳等)
500,000円
施設・病院作成の領収書
(2 ヶ月分)
33
240,000円
領収書(2 ヶ月分)
34
300,000円
請求書
35
200,000円
請求書
35
その他(上記に分類されない支出全部)
960,000円 平成○○年○月に終了予定
36
住宅ローン(○○銀行○○支店)
合
計
B
年額
3,700,000 円
毎月の支出予定額(B÷12)
308,333円
予定収入A - 予定支出B
100,000円
※ 今後予定される不定期の収入や支出について書いてください。 (資料のコピーを付けてください。)
収
入(内容)
金 額(年額)
保険解約金収入
3,000,000円
合
計
支
出(内容)
○○手術費用
3,000,000 円
- 94 -
合
計
金 額(年額)
600,000円
600,000 円
第 10 章 記載例:(11)成年後見制度に関する届出書兼代理人届(証券会社用)
成年後見制度に関する届出書兼代理人届
※書式は証券会社によって異なりますのでご注意ください。
○○証券株式会社
▼成年後見人・保佐人・補助人・任意後見人
○年 ○月 ○日
フリガナ
おところ
フリガナ
おなまえ
トウキョウト○○クニチョウメ○バン○ゴウ
〒(000 ― 0000 )
取引使用印鑑
東京都○○区2 丁目○番○号
コウノ
タロウ
○
甲野 太郎
(実印)
続
柄
生年月日
有効期限
□ 1.親
□ 2.子供
□ 3.配偶者
□ 4.祖父母
□ 5.孫
□ 6.兄弟・姉妹
□ 1.明治
□ 2.大正
□ 3.昭和
□ 4.平成
平成
年
年
月
月
日
□ 9.その他(二親等外)
電話番号
TEL
FAX
携帯
000( 0000 )0000
000( 0000 )0000
090( 0000 )0000
日 (※ご指定いただく場合はご記入ください。
)
貴社に取引口座を開設している下記口座名義人は、成年後見制度に係る家庭裁判所の審判を受けましたので、
今後の貴社との有価証券取引等に関しては、私を代理人とするとともに、貴社との有価証券取引等に使用する取
引使用印鑑をお届けいたします。
なお、届出内容に変更があった場合には、直ちにその内容をお届けいたします。変更の届出を行なうまでは、
従前のとおり取扱ってください。
▼口座名義人
〒( 000 ― 0000 )
おところ
東京都○○区○丁目○番
フリガナ
オツノ ハナコ
おなまえ
乙野 花子
お電話
000( 0000 )0000
□してください。)
▼上記口座名義人の審判内容(該当する項目□にチェック(レ
審 判 の
種
類
□ 成 年 後 見
添付資料
□ 登録事項証明書
□ 保 佐
□ 補 助
□ 任意後見(任意後見監督人の選任)
□ 審判書及び確定証明書
※成年後見人・任意後見人・保佐人・補助人の方は、必ず「印鑑証明書」を副えて本書をご提出ください。
- 95 -
第 10 章 記載例:(12)成年後見制度に関する届出書(銀行用)
成年後見制度に関する届出書
○年 ○月 ○日
※書式は全国銀行協会提供
○○銀行
○○支店
御中
おところ
東京都○○区○丁目○番
お電話( 000 ー 0000 ー 0000)
フリガナ
本人
おなまえ
オ ツ ノ
ハ ナ コ
乙野 花子
(届出印)
おところ
補助人
保佐人
成年後見人
任意後見人
東京都○○区二丁目○番○号
お電話( 000 ー 0000 ー 0000)
フリガナ
おなまえ
コ ウ ノ
タ ロ ウ
甲野 太郎
(実印)
私(本人)は、成年後見制度に係る家庭裁判所の審判を受けましたので、貴店との取引につい
て、次のとおりお届けいたします。
なお、届出内容に変更があった場合には、改めてお届けいたします。
(1・2については、該当する項番・項目を○で囲んでください。)
1.同意権(取消権)付与の審判
審判の種類
補助・保佐
同意権(取消権)
・添付資料のとおり。
の内容
添付資料
登記事項証明書 ・ 審判所の銀行届出用抄本(理由部分のみを省略し
たもの)および確定証明書
2.代理権付与の審判
審判の種類
補助・保佐・成年後見・任意後見(任意後見監督人の選任)
代理権の内容
・添付資料のとおり。
添付資料
登記事項証明書 ・ 審判所の銀行届出用抄本(理由部分のみを省略し
たもの)および確定証明書
3.現在の取引の種類
4.その他
- 96 -
区分
0
- 97-
変
更
後
の
受
取
機
関
通
知
書
等
送
付
先
(フリガナ)
タ ロウ
金
融
機
関
の
口
座
振
込
ア
0
支店名
⑧(フリガナ)
金融機関名
⑧(フリガナ)
口座名義
(カナ)
④(フリガナ)
0
0
0
0
⑨預金通帳の口座番号
○○支店
マルマル シテン
○○銀行
マルマルギンコウ
○○○ ○○○
0 0 0 0 0 0 0
④(フリガナ)
甲野 太郎
コウ ノ
0
0
本店 支店
出張所
本所 支所
銀行 金庫
信組 信連
農協 漁協
信漁連
②
生
年
月
日
番号(右詰めでご記入ください)
―
記号(左詰めでご記入ください)
⑨貯金通帳の口座番号
※
郡 市
区
⑥金融機関コード
⑦ 支 払 局 コ ー ド
東京都○○
印
○
0 0 0 0 0 0 0 0
年金コード
トウキョウト ○○ク ニチョウメ ○バン ○ゴウ
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
基 礎 年 金 番 号
年金受給権者 通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出書
③ 郵 便 番 号
受給権者氏名
及び後見人氏名
年金証書の
① 基礎年金番号
・年金コード
届書コード
0 0
0
【表面】
年
月
日提出
月
日
0 0 0 0 0 0
年
町
村
◎変更後の口座番号等をご記入のうえ、
金融機関又はゆうちょ銀行(郵便局)の
証明を受けてください。
◎口座をお持ちでない方や口座での
お受取りが困難な事情がある方は、
お受取り方法について、
「ねんきんダイヤル」
又はお近くの社会保険事務所等に
お問い合わせください。
印
口座名義を必ず確認してください。
金融機関又は
ゆうちょ銀行(郵便局)
の証明
2丁目○番○号
000 - 000 - 0000
7 平 成
電 話 番 号
5 昭 和
3 大 正
1 明 治
平成
成年後見人等用
第 10 章 記載例:(13)年金受給権者 通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出書
2 ゆうちょ銀行(郵便局)
- 98 -
いただくようお願いします。
0
0
0
0
郵 便 番 号
0
0
(フリガナ)
東京都○○
区
郡 市
トウキョウト ○○ク ○チョウメ ○バン
町
村
○丁目○番
なお、変更後の新しい支払機関への初めての支払いを確認するまでは、念のために旧口座はそのままにして
◎ 支払機関の変更は、次の年金の支払日の1か月以上前までに手続きをお願いします。
ご記入ください。
また、この届出により最大4つまでの年金の支払機関を変更ができますので、変更する年金の年金コードを
◎ 複数の年金受給権をお持ちの方は、この届出により、他の年金についても住所を変更いたします。
◎ ※印欄は、ご記入いただく必要はありません。
◎ 受給権者が自ら署名する場合は、押印は必要ありません。
◎ フリガナは、カタカナではっきりとご記入ください。
◎ 住所は郵便が正しく配達されるように番地、○○方などまで正しくご記入ください。
【年金受給権者 通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出書の提出にあたって】
年金受給者の方の住民票上の住所
(フリガナ)
0
【裏面】
第 10 章 記載例:(13)年金受給権者 通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出書
第 10 章 記載例:(14)郵便物の転送届
転
居
届
Change of Address Notice
通信事務(依頼信)
届出年月日
この面は、郵便局で記入します
から、お客さまがご記入される
必要はありません。
○○年
平成
Heisei
Date
Yr.
○○月
Postal Cord
新住所(居所)
要しません。
)
東京都○○区二丁目○番○号
TEL
000 ( 000
Postal Cord
東京都○○区○丁目○番
Old Adress
世帯主名
又は事業所名
TEL
000 ( 000
甲野 太郎
商号
屋号
等
転居者の氏名
Name of HouseHolder/Company
a. 世帯の全部
b.世帯の一部
Dentails
Entire Household
Part of Household
Date for Start of Mail Delivery at
転入局
平成
平成
年
年
月
月
) 0000
転居の内容
郵便物の転送の開始を希望する年月日
転出局
) 0000
郵便番号( 000 ― 0000 )
(
旧住所(居所)
処理責任者印
Day
郵便番号( 000 ― 0000 )
(不明な場合の記入は
New Adress
処理済年月日
○○日
Mo.
New Address.
平成○○年○○月○○日
Heisei
Yr. Mo. Day
届出人氏名印
日
印
signature
Seal
考:
「転居の内容」欄は、a.世帯の全部 b.世帯の一部のう
ち該当する符号のいずれかを「○」で囲んでください。
転送期間は、1年間です。
Remarks :Under “Details.” Circle a. Entire Household or b.
Part of Household, whichever is appropriate.
備
日
キ 01000 (14.SYE) 再生紙利用
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(下欄にご記入される場合は、切り離さずにお出しください)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●各種お問い合わせ
郵便、郵便貯金、簡易保険についてのお問い合わせや
ご相談は、下記のフリーダイヤルをご利用ください。
●郵便に関すること
0120-232886
平日/8:00~20:00 土日休日/9:00~17:00
●郵便貯金に関すること
0120-108420
●郵便貯金、簡易保険に関する住所変更届けついて
ご住所の変更に際しましては、郵便物の転送のための転居届のほ
か、郵便貯金及び簡易保険に関しての住所変更の届出が必要となりま
すので、最寄りの郵便局で住所変更届の提出をお願いいたします。
なお、郵便貯金又は簡易保険の住所変更届の用紙が必要な場合
は、下欄にご連絡先をご記入ください。
郵便局から連絡の上、必要な書類を郵送又はお届けいたします。
※住所変更届出用紙が不要な場合は、ご記入いただく必要はありません。
平日/8:30~18:00
●郵便貯金の通帳等をなくしたとき
0120-794889
0120-552950
・
「かんぽコールセンター」での受付時間
(東京、関東、信越、近畿、中国地方を対象、対象地域は順次拡大予定)
平日/9:00~21:00 土日休日/9:00~17:00(1月1日~1月3日を除く。)
(※ 相談内容によっては、受け持ちの簡易保険事務センターへお
電話を転送させていただきます。
)
・かんぽコールセンター以外の受付時間
平日/9:00~17:00
●簡易保険カードをなくしたとき
平日/8:30~21:00
名
〒
新 住 所
年中無休/24時間
●簡易保険に関すること
氏
0120-794055
電話番号
※平日に郵便局からご連絡できる電話番号をご記入ください
必要な用紙
◎郵便貯金又は簡易保険の住所変更の届出をされないままですと、お客さ
まへの満期などの重要なお知らせがお届けできなくなるほか、満期金等
のお支払い時においても即時にお支払いできない場合があるなどお客さ
まに不利益が及ぶことがありますので、
必ず住所変更の届出を行ってくだ
さい。
◎簡易保険は、
「かんぽホームページ(http://kampo.go.jp)」でも住所変更
の届出ができますので、ご利用ください。
- 99 -
第 10 章 記載例:(15)財産目録(周年報告)
財産目録(周年報告用)
作成日:平成○○年○月○日/作成者
甲野 太郎
印
○
1 不動産
地目
種類
所在・地番
地積
床面積
所有
名義
備考
(現状・持分等)
乙野花子
本人単独名義
資料
No.
12
○○番○○の○
土地
○○番○○の○
〃
〃
共有名義
13
○○番○○の○
建物
〃
本人単独名義
14
2 預貯金・現金・投資信託・株式等
預貯金・現金合計額(投資信託・株式を除く)
種別
普通
銀行・証券会社
(支店名・銘柄等)
口座番号
株式番号等
金額
19,657,000 円
数量
名義人
乙野花子
備考
(保管者等)
資料
No.
○○銀行○○支店
000-0000
4,657,000 円
1
1
郵便貯金
000-00000
10,000,000 円
1
〃
2
定期
○○銀行○○支店
000-0000
5,000,000 円
1
〃
3
有価証券
○○電力㈱
7,000,000 円
2,000
〃
4
3 生命保険等
保険金額合計額
種別
生命保険
保険会社名
○○生命保険会社
保険金額
契約者
受取人
20,000,000 円 乙野花子
4 負債(住宅ローン・その他のローンなど)
□ 別紙のとおり
20,000,000 円
□ なし
- 100 -
備考
(保管者等)
資料
No.
11
第 10 章 記載例:(16)報酬付与申立書
受付印
家事審判申立書
(成年後見人に対する報酬付与)
ここに収入印紙をはる
収入印紙
800 円
800 円
予納郵便切手
80 円
(はった印紙に押印しないでください。
)
○○家庭裁判所
御 中
立
人
の
署
名
押
印
□ 後見事務報告書
添付書類
本 籍
申
住 所
立
連絡先
〒000-0000
東京都○○区二丁目○番○号
〒 -
フ リ ガ ナ
コウノ
甲野 太郎
職 業
会社役員
本
住 所
人
連絡先
□ 財産目録
○○県○○市○○区○○町字○○番地
氏 名
本 籍
印
○
甲野 太郎
又は記名押印
平成○○年 ○月 ○日
人
申
℡ 000(000)0000
℡
(
)
タロウ
T・S
○・H
年
月
日生
○○県○○市1丁目1番地
〒000-0000
東京都○○区○丁目○番
〒
-
フ リ ガ ナ
オ ツ ノ
氏 名
乙野 花子
職 業
無 職
℡ 000(000)0000
℡
(
)
ハ ナ コ
T・S
○・H
申
立
の
趣
年 1月 1日生
旨
成年後見人の報酬として、本人の財産の中から相当額を申立人に与えるとの審判を求めます。
申
立
の
実
情
1 申立人は、平成
年
月
日,本人の成年後見人に選任されました(御庁平成
2 本人の財産
平成
年
月
日付け財産目録のとおり
3 後見事務の内容
平成
年
月
日付け後見事務報告書のとおり
4 よって、申立ての趣旨のとおり審判を求めます。
- 101 -
年(家)第
号)
。
第 10 章 記載例:(17)特別代理人選任申立書
受付印
特別代理人選任申立書
(基本事件番号 平成
年(家 )第
号)
(この欄に収入印紙 800 円をはる。
)
収 入 印 紙
800 円
予納郵便切手
800 円
準口頭
(はった印紙に押印しないでください。
)
関連事件番号
○○家庭裁判所
平成
年
添付書類
平成 ○○ 年(家○○)第
○○支部 御中 申立人の署名押印
月
日
住
所
各1通
1通
1通
○○県○○市大字○○××番地△
申
籍
印
○
甲野 太郎
又は記名押印
申立人の戸籍謄本及び住民票 関連事件添付分を援用
被相続人の相続関係説明図、戸籍・改製原戸籍謄本、
遺産分割協議書(案)、不動産登記事項証明書・評価証明書
特別代理人候補者の住民票
本
○○○○○○ 号
〒000-0000
立
フ リ ガ ナ
○○県○○市○○町11番地22
コウノ
タロウ
人
名
甲野 太郎
被後見人
との関係
成年後見人
氏
本
籍
電話 000(000)0000
昭和○○年○月○日生
職 業
○○県○○市大字○○××番地△
本
〒000-0000
住
所
電話 000(000)0000
○○県○○市大字○○××番地△
〒000-0000
居
所
人
フ リ ガ ナ
会社役員
○○県○○市○○
コウ ノ
電話 000(000)0000
グループホーム○○苑
ハナ コ
氏
名
甲野 花子
職
業
無 職
昭和○年○月○日生
(注)太枠の中だけ記入してください。
- 102 -
第 10 章 記載例:(17)特別代理人選任申立書
申
立
て
の
趣
旨
て
の
実
情
特別代理人の選任を求める。
申
立
利 益 相 反 す る 者
※
利 益 相 反 行 為 の 内 容
※
○
○ 被相続人亡
1
1 成年後見人と成年被後見人との間で
甲野 弥助
の遺産を分割するため
利益相反する。
2 被相続人亡
2 その他(
)
の相続を放棄するため
3 身分関係存否確定の調停・訴訟の申立てをするため。
1 抵当権
4 被成年後見人の所有する物件に
を設定するため
2 根抵当権
○ その他(以下
5
)
(その詳細)
被相続人の別紙遺産目録記載の遺産を分割するにあた
り,申立人と成年被後見人はともに相続人であり利益相反
するため,特別代理人の選任を求める。
本
籍
東京都○○区○○3丁目3番地
特別代理人候補者
〒000-0000
住
所
電話 000(000)0000
○○県○○市○町4番4号
〒000-0000
連 絡 先
フ リ ガ ナ
氏
名
本
人
との関係
電話 000(000)0000
○○県○○市○○22番地22
オツ ノ
ジロウ
昭和○○年○月○日生
乙野 次郎
職 業
第三者
会社役員
(注)太枠の中だけ記入してください。 ※の部分については、当てはまる番号を〇で囲み,利益相反する者欄の2及び
利益相反行為の内容欄の5を選んだ場合には、
(
)内に具体的に記入してください。
- 103 -
第 10 章 記載例:(18)居住用不動産処分許可申立書
受付印
居 住 用 不 動 産 処 分 許 可 申 立 書
(ここに収入印紙800 円をはる)
収入印紙
円
予納郵便切手
円
(はった印紙に押印しないでください。
)
準口頭
関連事件番号 平成
○○家庭裁判所
御中
平成
年
添付書類
月
日
年(家
)第
申立人の署名押印
又 は 記 名 押 印
号
甲野 太郎
印
○
申立人及び本人の戸籍謄本,住民票(関連事件添付分を援用)
後見開始の審判書及び審判確定証明書写し
各1通
貸室賃貸借契約書写し
1通
本 籍
申
住 所
立
連絡先
人
フリガナ
氏 名
職 業
本 籍
成年被後見人
住 所
フリガナ
○○県○○郡○○町××字△△○○番地
〒 000-0000
(
方)
電話 000(000)0000
○○県○○市○○区○○町字○○番地
〒 000-0000
(
方)
電話 000(000)0000
○○市○○区○×2丁目2番2号
コウノ
大正
昭和
平成
タロウ
甲野 太郎
○○年○○月○○日生
○ ○
○○県○○市1丁目1番地
〒 000-0000
電話 000(000)0000
東京都○○区2丁目22番地22号 ○○区立○○特別養護老人ホーム
オツ ノ
明治
大正
昭和
ハナ コ
氏 名
乙野 花子
職 業
無 職
- 104 -
年
月
日生
第 10 章 記載例:(18)居住用不動産処分許可申立書
申
立
2 被保佐人
3 被補助人
の
趣
旨
○
ア 別紙売買契約書(案)
○ 建物
1
○
1 被後見人
申立人が
て
の
居住用
2 敷地
3 建物及び敷地
4 区分建物
イ 別紙人貸借契約書(案)
ウ 別紙(根)抵当権設定
契約書(案)
エ その他
につき
a 売却 b 賃貸 c
○賃貸借の解除
のとおり
をすることを許可する旨の審判を求める。
d (根)抵当権の設定
e その他(
申
)
立
て
の
実
情
1 成年被後見人に対して後見開始の審判がされ、申立人が成年後見人に就職しました。
2 成年被後見人は,平成○○年4月1日に「○○市○×区大字△1000番地1特別養護
老人ホーム○△□」に入所し,今後は同所に居住することになるため,同人が上記区分建
物(マンション)に帰来する見込みはありません。
3 よって,この申立てをします。
- 105 -
第 10 章 記載例:(19)辞任許可申立書
受付印
家事審判申立書
(この欄に収入印紙800 円をはる)
辞任許可申立
収入印紙
円
(はった印紙に押印しないでください。
)
予納郵便切手
円
準口頭
○○家庭裁判所
署 名 押 印
申立人の戸籍謄本及び住民票1通 被保佐人の戸籍謄本及び住民票1通
添付書類
登記事項証明書1通
本 籍
人
印
○
甲野 太郎
又は記名押印
平成○○年○月○日
立
○○○○○○ 号
申 立 人 の
御 中
申
平成 ○○ 年(家○○)第
関連事件番号
住 所
連絡先
○○県○○市○○区○○町字○○番地
〒000-0000
東京都○○区二丁目○番○号
〒000-0000
フ リ ガ ナ
コウノ
甲野 太郎
被 保 佐 人
本 籍
住 所
(
方)
電話 000(000)0000
東京都○○区二丁目○番○号
氏 名
職 業
電話 000(000)0000
タロウ
昭和○○年 ○月 ○日生
会社役員
千葉県○○市○○町1111番地
〒000-0000
電話 000(000)0000
○○県○○市○○町33番3号
フ リ ガ ナ
オツ ノ
氏 名
乙野 次郎
ジロウ
職 業
会社役員
昭和○○年 ○月 ○日生
- 106 -
第 10 章 記載例:(19)辞任許可申立書
申
立
て
の
趣
旨
申立人が被保佐人乙野次郎の保佐人を辞任することを許可する
との審判を求めます。
申
立
て
の
実
情
(申立の理由,本人の生活状況などを具体的に記入してください。)
1 申立人は,被保佐人のための保佐人選任の審判(平成○○年○月○日
確定)を受けて以来,同人の心身の状態及び生活の状況に配慮しつつ,保
佐の事務を遂行してまいりました。
2 しかるに申立人は,このたび実父の介護のため郷里の○○県に転居し
なければならなくなりました。
3 そのため、申立人が保佐人として引き続きその職責を果たすことは難
しい状況のため,保佐人の職を辞任したくこの申立てをするものです。
(注)太わくの中だけ記入してください。
- 107 -
第 10 章 記載例:(20)辞任に伴う後任者選任の申立書
受付印
家事審判申立書
(この欄に収入印紙800 円をはる)
収入印紙
円
予納郵便切手
円
準口頭
平成 ○○ 年(家○○)第
添付書類
○○○○○○ 号
署 名 押 印
甲野 太郎
印
○
又は記名押印
平成○○年○月○日
申立人の戸籍謄本 辞任許可申立書に添付のものを援用
本 籍
人
(はった印紙に押印しないでください。
)
申 立 人 の
御 中
立
-後任の候補者をたてるとき-
関連事件番号
○○家庭裁判所
申
辞任に伴う後任者選任の申立
住 所
連絡先
○○県○○市○○区○○町字○○番地
〒000-0000
東京都○○区二丁目○番○号
〒000-0000
フ リ ガ ナ
コウノ
甲野 太郎
職 業
会社役員
被 保 佐 人
住 所
電話 000(000)0000
東京都○○区二丁目○番○号
氏 名
本 籍
電話 000(000)0000
タロウ
昭和○○年 ○月 ○日生
千葉県○○市○○町1111番地
〒000-0000
電話 000(000)0000
○○県○○市○○町33番3号
フ リ ガ ナ
オツ ノ
氏 名
乙野 次郎
ジロウ
職 業
会社役員
昭和○○年 ○月 ○日生
- 108 -
第 10 章 記載例:(20)辞任に伴う後任者選任の申立書
申
立
て
の
趣
旨
被保佐人の保佐人を選任するとの審判を求めます。
申
立
て
の
実
情
(申立の理由,本人の生活状況などを具体的に記入してください。)
1 申立人は,被保佐人のために選任(平成○○年○月○日確定)された保佐人です。
2 今般,申立人の実父の介護のため郷里の○○県に転居しなければならなくなり、申
立人が保佐人として引き続きその職責を果たすことが難しい状況のため,保佐人の職を
辞任したく申立てを行いました。
3 被保佐人にはこの経緯を説明し,申立人が保佐人を辞任した場合の後任者を下記候
補者とすることなどにつき被保佐人の同意を得ましたので,申立人が保佐人を辞任する
ことにつき許可が得られた場合,後任の保佐人として下記候補者を選任してくださるよ
う申し立てます。
4 保佐人候補者は,市民後見人養成講座を優秀な成績で終了し、すでに被保佐人から
も相当な信頼を得ておりますので、同人を保佐人とすることによって,被保佐人の利益
は十分に図られるものと思料します。
〒000-0000
本 籍
保
佐
人
候
補
者
住 所
電話 000(000)0000
北海道○○市××11番地23
〒000-0000
電話 000(000)0000
埼玉県○○市××6丁目6番6号
フ リ ガ ナ
テイ
氏 名
丁 野
ノ
職 業
○ ○
マコト
昭和○年○月○日生
誠
(注)太わくの中だけ記入してください。
- 109 -
第 10 章 記載例:(21)財産目録(終了時)
財産目録(終了時)
作成日:平成 ○○年 ○月 ○日/作成者 甲野 太郎
印
○
1 不動産
地目
種類
所在・地番
○○番○○の○
土地
○○番○○の○
〃
○○番○○の○
建物
地積
床面積
所有
名義
備考
(現状・持分等)
乙野花子
資料
No.
本人単独名義
12
〃
共有名義
13
〃
本人単独名義
14
2 預貯金・現金・投資信託・株式等
19,657,000 円
預貯金・現金合計額(投資信託・株式を除く)
種別
普通
銀行・証券会社
(支店名・銘柄等)
口座番号
株式番号等
○○銀行○○支店
郵便貯金
定期
○○銀行○○支店
有価証券
○○電力㈱
金額
数量
名義人
備考
(保管者等)
資料
No.
000-0000
4,657,000 円
1
乙野花子
1
000-00000
10,000,000 円
1
〃
2
000-0000
5,000,000 円
1
〃
3
〃
4
7,000,000 円 2,000
3 生命保険等
20,000,000 円
保険金額合計額
種別
生命保険
保険会社名
○○生命保険会社
保険金額
20,000,000 円
4 負債(住宅ローン・その他のローンなど)
□ 別紙のとおり
□ なし
- 110 -
契約者
受取人
甲野花子
備考
(保管者等)
資料
No.
11
第 10 章 記載例:(22)後見事務終了報告書
様式○
平成
年(家)第
号
○○家庭裁判所
平成
年
月
日
支部 御中
乙野 花子
被後見人(本人)
の後見人
住所(〒000 ― 0000) 東京都○○区二丁目○番○号
電 話 000 ― 000 ― 0000
氏 名
甲 野 太 郎
印
○
後 見 事 務 終 了 報 告 書
1 終了事由
□後見開始の審判が取り消された。
□被後見人(本人)が死亡した。
(次のいずれかの書面を添付 □本人死亡の記載のある戸籍謄本 □死亡診断書写し)
□その他(
)
2 終了事由の発生時期(被後見人が亡くなられた場合は死亡日)
平 成 ○○年 ○○月 ○○日
3 後見の計算
□提出済みの各後見事務報告書及び平成○○年○○月○○日付け財産目録のとおり
□
4 財産の引継について(※後見人が相続人である場合は記入不要)
(1) 引継年月日
平 成
年
月
日
(2) 引継の相手方
氏 名
本人との関係(
(3) 引継いだ財産の内訳
□平成
年
月
日付け財産目録のとおり
□
5 後見事務に対する報酬について
□報酬は放棄します。
□申立て済み
6 東京法務局への終了登記手続について
□登記済み
□これから登記申請します。
- 111 -
)
第 10 章 記載例:(23)報酬付与申立書(終了時)
受付印
家事審判申立書(成年後見人に対する報酬付与)
(この欄に収入印紙800 円をはる)
収入印紙
円
予納郵便切手
円
報酬付与申立(任務終了時)
(はった印紙に押印しないでください。
)
○○家庭裁判所
御 中
平成○○年 ○月 ○日
申
立
人
の
署
名
押
印
業務日誌
本 籍
○○県○○市○○区○○町字○○番地
〒000-0000
住 所
立
連絡先
人
フ リ ガ ナ
コウノ
氏 名
甲野 太郎
職 業
会社役員
成 年 被 後 見 人
住 所
各1通
1通
申
本 籍
印
○
又は記名押印
後見事務報告書及び資料
添付書類
甲野 太郎
電話 000(000)0000
東京都○○区二丁目○番○号
〒000-0000
電話 000(000)0000
東京都○○区二丁目○番○号
タロウ
昭和○○年 ○月 ○日生
○○県○○市1丁目1番地
〒000-0000
電話 000(000)0000
東京都○○区○丁目○番
フ リ ガ ナ
オツ ノ
氏 名
乙野 花子
ハナコ
職 業
無 職
昭和○○年 1 月 1 日生
- 112 -
第 10 章 記載例:(23)報酬付与申立書(終了時)
申
立
て
の
趣
旨
成年後見人報酬として成年被後見人の財産の中から
相当額を申立人に与えるとの審判を求めます。
申
立
て
の
実
情
(申立の理由,本人の生活状況などを具体的に記入してください。)
1 申立人は,成年被後見人(以下「本人」といいます)の成年後見人に選任されて以
来,本人の利益を最優先に,心身の状態と生活の状況に配慮しながら,財産管理及び身
上監護の事務を遂行してまいりましたが,平成○○年○月○日午後6時過ぎ,本人は入
院先の「○○病院」で死亡し,本件後見事務は終了しました。
2 平成○○年○月1日以降,後見人が行った事務の内容としては,
①預貯金及び不動産の管理
②安否確認のための面会,入院費及び同雑費の支払,郵便物の管理等
③簡易保険金(合計50万150円)の還付手続及び受領
④本人名義の株式の内容調査
⑤本人死亡に伴う入院費用の精算,葬儀社との連絡調整等
⑥後見終了登記の申請
などです(本日付け後見事務終了報告書及び業務日誌参照)が,かなりの時間と労力
を要しました。
3 平成○○年○月○日までの分については,先般,報酬付与審判(平成○○年(家)第
○×○×号)を受けましたので,同日以降の成年後見人報酬として,本人の財産の中か
ら相当額を申立人に付与してくださるよう,申立てをします。
(注)太わくの中だけ記入してください。
- 113 -
第 10 章 記載例:(24)登記申請書(終了の登記)
登記申請書(終了の登記)
登記の事由(終了の事由)
終
了
□成年被後見人の死亡,□被保佐人の死亡,□被補助人の死亡
該当事由の□にレ□の
□任意後見契約の本人の死亡,□任意後見受任者・任意後見人の死亡
ようにチェックして
□任意後見契約の解除
ください。
□その他(
事
由
の
年
月
日 平成
)
○○ 年 ○○ 月 ○○ 日
(注)終了事由の年月日欄には,死亡日,任意後継契約の解除の日などを記入してください。
登記記録を特定するための事項
(本 人 の 氏 名 は 必 ず 記 入 し て く だ さ い 。 )
フ
リ
ガ
ナ
本 人 の 氏 名
オツ ノ
ハナ コ
乙野 花子
( 登 記 番 号 が わ か っ て い る 場 合 は , 記 入 し て く だ さ い 。)
登
記
番
号
第
0000
― 000000
号
( 登 記 番 号 を 記 入 し た 場 合 に は , 以 下 の 欄 の 記 入 は 不 要 で す 。)
本 人 の 生 年 月 日 明 治・大 正・昭 和・平 成 / 西 暦
本 人 の 住 所
○○ 年
1
1
月
日生
東京都○○区○丁目○番
又は本人の本籍
(国籍)
添
付
書
類 □法人の代表者の資格を証する書面(申請人が法人であるときに必要)
□委任状(□その他(
該当事由の□に□の
レ
ようにチェックして
く だ さ い 。
))
(代 理 人 が 申 請 す る と き に 必 要 )
[登 記 の 事 由 を 証 す る 書 面 ]
□①合意解除の意思表示を記載した書面
□②解除の意思表示を記載した書面の配達証明付内容証明郵便の謄本
□ ③ 家 庭 裁 判 所 の 許 可 審 判 書 及 び 確 定 証 明 書 (任 意 後 見 監 督 人 選 任 後 の 解 除 の 場 合 に 必 要 )
□④その他(
)
(注 ) 被 後 見 人 等 の 死 亡 の 場 合 に , 登 記 官 が 本 人 確 認 情 報 の 提 供 を 受 け て , 死 亡 の 事 実 を 確 認 で き な い と き
には戸籍(除籍)の謄抄本,死亡診断書等が必要になります。
( 注 )任 意 後 見 監 督 人 選 任 前 の 解 除 の 場 合 は ,① ま た は ② の( 合 意 )解 除 の 意 思 表 示 を 受 け た 書 面 は ,公 証 人 の 認 証 を 受
けたものであることを要します。
平成
申
○○年
請
人
○○月 ○○日申請
東
住
所
東京都○○区二丁目○番○号
氏
名
甲野太郎
資
格(本人との関係)
京
法
務
局
御
中
印
○
連絡先(電話番号)
上記代理人
住
所
氏
名
印
○
連絡先(電話番号)
( 記 入 方 法 ) 申 請 人 が 法 人 の と き は ,「 名 称 ま た は 商 号 」 お よ び 「 主 た る 事 務 所 ま た は 本 店 」 な ら び に 「 代 表 者 の
氏名および住所)を記載してください。
- 114 -
第 10 章 記載例:(25)任意後見監督人選任申立書
受付印
任意後見監督人選任申立書
(この欄に収入印紙800 円をはる)
収入印紙
800
円
80
円
予納郵便切手
準口頭
(はった印紙に押印しないでください。
)
平成 ○○ 年(家○○)第
関連事件番号
○○家庭裁判所
○○○○○○ 号
申 立 人 の
御 中
又は記名押印
平成○○年○月○日
添付書類
印
○
甲野 太郎
署 名 押 印
申立人の戸籍謄本
通(本人以外が申し立てるとき。
)
,任意後見契約公正証書写し
本人の戸籍謄本
通, 戸籍附票
任意後見監督人候補者の戸籍謄本
登記事項証明書
本 籍
申
住 所
立
通,登記事項証明書
通,住民票
通 ,診断書 通
通, 身分証明書
通
通
○○県○○市○○区○○町字○○番地
〒000-0000
電話 000(000)0000
東京都○○区二丁目○番○号
フ リ ガ ナ
コウノ
氏 名
甲野 太郎
タロウ
(
方)
昭和○○年 ○月 ○日生
人
職 業
本 籍
本 人
住 所
会社役員
○○県○○市1丁目1番地
〒000-0000
電話 000(000)0000
東京都○○区○丁目○番
フ リ ガ ナ
オツ ノ
氏 名
乙野 花子
ハナコ
職 業
無 職
(
方)
昭和○○年 1月 1日生
- 115 -
第 10 章 記載例:(25)任意後見監督人選任申立書
申
立
て
の
趣
旨
任意後見監督人の選任を求める。
申
立
て
の
実
情
(申立の理由,本人の生活状況などを具体的に記入してください。)
1 申立人と本人は,平成○○年○×月15日任意後見契約を締結し,別
添登記事項証明書記載のとおりの登記がなされている。
2 本人は,平成○○年3月頃から仮面うつ病との診断を受けて通院治療
を続けていたが,その後,高血圧や自律神経失調症を併合して全身衰弱が
進み,平成○×年10月から,○△□病院(千葉県○○市○×)に入院中
である。
3 現在,本人の判断能力の低下の程度は「補助相当」と軽度であるが,
本人も任意後見契約を発効させることを希望しているので,この申立てに
及んだ。
4 本人の資産等は,別添財産目録記載のとおりである。
公正証書を作成した
任意後見
契
約
東京 法務局
公 証 人 の 所 属
証書作成年月日 平成○○年 ○× 月 15 日
住 所
フリガナ
任意後見
受 任 者
〒
登記番号
-
氏 名
申立人と同じ
職 業
会社役員
電話
第 0000 - 0000 号
(
)
本人と
の関係
〒 000 - 0000
勤務先
平成○○年第 111 号
証書番号
電話 000(000)0000
東京都○○区二丁目○番○号
(注)太わくの中だけ記入してください。
- 116 -
第 10 章 参考資料:(26)報酬付与審判申立書
報酬付与審判申立書
○○家庭裁判所御中
平成○○年○○月○○日
〒000-0000
東京都○○区○○丁目○番
申立人
○○○○
(成年後見監督人)
代表者理事
甲野 太郎
当 事 者 の 表 示
申立人
本
籍
住
所
電 話
FAX
名
称
代表者理事
東京都○○区○○丁目○番
000-000-0000
000-000-0000
○○○○○○○○○○○○○○○○
甲野 太郎
成年後見人
住
所 東京都○○区○○丁目○番
電 話
000-000-0000
氏
名 乙野 三郎(三男)
成年被後見人
本
籍
住
所
住民票の住所
氏
名
東京都○○区○○丁目○番
東京都○○区○○丁目○番 ○○病院
東京都○○区○○丁目○番
乙野 花子
申 立 の 趣 旨
申立人に対し
成年被後見人
の財産から相当額の報酬を付与するとの審判を求める。
申 立 の 実 情
申立人は、下記のとおり
成年後見監督人 に選任された。
事件番号 平成○○年(家)第○○○○号
審判日
平成○○年○月○日
成年被後見人
乙野 花子
申立人は、既提出の報告書のとおり、成年後見監督を行った。
よって、申立の趣旨掲載の審判を求める。
以上
- 117 -
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書①後見
登 記 事 項 証 明 書
後 見
後見開始の裁判
【裁 判 所】東京家庭裁判所
【事件の表示】平成 19 年(家)第0000号
【裁判の確定日】平成 19 年○月○日
【登記年月日】平成 19 年 8 月 27 日
【登記番号】第 2007-000000 号
成年被後見人
【氏
名】○○○○
【生年月日】昭和
年
月
日
【住
所】東京都港区○-○-○
【本
籍】東京都港区○-○-○
成年後見人
【名称又は商号】
【主たる事務所又は本店】東京都品川区
【選任の裁判確定日】平成 19 年○月○日
【登記年月日】平成 19 年 8 月 27 日
上記のとおり後見登記等ファイルに記録されていることを証明する。
平成 21 年 2 月 10 日
東京法務局 登記官
法 務 太 郎
東
東京
京法
法
務
務局
局登
登
記
記官
官印
印
〔証明書番号〕2009-2600-000
- 118 -
(
1/
1)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書②保佐
登 記 事 項 証 明 書
保 佐
保佐開始の裁判
【裁 判 所】東京家庭裁判所
【事件の表示】平成 18 年(家)第0000号
【裁判の確定日】平成 18 年○月○日
【登記年月日】平成 18 年 6 月 8 日
【登記番号】第 2006-000000 号
被保佐人
【氏
名】○○○○
【生年月日】大正
年
月
日
【住
所】東京都港区○-○-○
【本
籍】東京都港区○-○-○
保佐人
【名称又は商号】
【主たる事務所又は本店】東京都品川区
【選任の裁判確定日】平成 18 年 月 日
【登記年月日】平成 18 年 6 月 8 日
【代理権付与の裁判確定日】平成 18 年 月 日
【代理権の範囲】別紙目録記載のとおり
【登記年月日】平成 18 年 6 月 8 日
【同意を要する行為の定めの裁判確定日】平成 18 年 月 日
【登記年月日】平成 18 年 6 月 8 日
〔証明書番号〕2009-2600-000
- 119 -
(
1/
4)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書②保佐
登 記 事 項 証 明 書( 別 紙 目 録 )
保 佐
同意行為目録
(別紙)
同 意 行 為 目 録
以下の行為(ただし,日用品の購入その他日常生活に関する行為を除く。
)
1 介護サービス受給にかかる契約及び手続
2 行政の福祉サービス受給にかかる契約及び手続
3 預貯金の出し入れほか金融機関との取引全般
以 上
登記年月日 平成 18 年 6 月 8 日
〔証明書番号〕2009-2600-000
- 120 -
(
2/
4)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書②保佐
登 記 事 項 証 明 書( 別 紙 目 録 )
保 佐
代理行為目録
(別紙)
代 理 行 為 目 録
1 介護サービス受給にかかる契約及び手続
2 行政の福祉サービス受給にかかる契約及び手続
3 預貯金の出し入れほか金融機関との取引全般
以 上
登記年月日 平成 18 年 6 月 8 日
〔証明書番号〕2009-2600-000
- 121 -
(
3/
4)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書②保佐
登 記 事 項 証 明 書
保 佐
上記のとおり後見登記等ファイルに記録されていることを証明する。
平成 21 年 11 月 19 日
東京法務局 登記官
法 務 太 郎
東
東京
京法
法
務
務局
局登
登
記
記官
官印
印
〔証明書番号〕2009-2600-000
- 122 -
(
4/
4)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書③補助
登 記 事 項 証 明 書
補 助
補助開始の裁判
【裁 判 所】東京家庭裁判所
【事件の表示】平成 17 年(家)第0000号
【裁判の確定日】平成 17 年○月○日
【登記年月日】平成 17 年 11 月 4 日
【登記番号】第 2005-000000 号
被補助人
【氏
名】○○○○
【生年月日】昭和
年
月
日
【住
所】東京都港区○-○-○
【本
籍】東京都港区○-○-○
補助人
【名称又は商号】
【主たる事務所又は本店】東京都品川区
【選任の裁判確定日】平成 20 年 月 日
【登記年月日】平成 20 年 5 月 29 日
【代理権付与の裁判確定日】平成 17 年 月 日
【代理権の範囲】別紙目録記載のとおり
【登記年月日】平成 20 年 5 月 29 日
【同意を要する行為の定めの裁判確定日】平成 17 年 月 日
【同意を要する行為】別紙目録記載のとおり
【登記年月日】平成 20 年 5 月 29 日
【代理権付与の裁判確定日】平成 18 年 月 日
【代理権の範囲】別紙目録記載のとおり
【登記年月日】平成 20 年 5 月 29 日
補助人であった者
【氏
名】
【住
所】東京都港区
【選任の裁判確定日】平成 20 年 月 日
【登記年月日】平成 20 年 5 月 29 日
【代理権付与の裁判確定日】平成 17 年 月 日
【代理権の範囲】別紙目録記載のとおり
【登記年月日】平成 17 年 11 月 4 日
【同意を要する行為の定めの裁判確定日】平成 17 年 月 日
【同意を要する行為】別紙目録記載のとおり
【登記年月日】平成 17 年 11 月 4 日
【代理権付与の裁判確定日】平成 18 年 月 日
【代理権の範囲】別紙目録記載のとおり
【登記年月日】平成 18 年 2 月 13 日
【辞任許可の裁判確定日】平成 20 年 月 日
【登記年月日】平成 20 年 5 月 29 日
〔証明書番号〕2008-2600-000
- 123 -
(
1/
5)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書③補助
登 記 事 項 証 明 書( 別 紙 目 録 )
補 助
同意行為目録
(別紙)
同 意 行 為 目 録
ア 元本を受領し又はこれを利用すること。
イ 金銭を借り入れたり保証をすること。
ウ 10万円以上の物品の売買等をすること。
エ 訴訟行為をすること。
以 上
登記年月日 平成 17 年 11 月 4 日
平成 20 年 5 月 29 日
〔証明書番号〕2008-2600-000
- 124 -
(
2/
5)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書③補助
登 記 事 項 証 明 書( 別 紙 目 録 )
補 助
代理行為目録
(別紙)
代 理 行 為 目 録
ア 不動産の売買等をすること。
イ 建物や土地について賃貸借契約の締結,変更,解除をすること。
ウ 住居等の新築,増改築,修繕に関する契約の締結,変更,解除及び費用の支払
いをすること。
エ 福祉関係施設への入所に関する契約の締結,変更,解除及び費用の支払いをす
ること。
オ 預貯金に関する取引(預貯金の管理,振込,払戻し,口座変更,解約等)をす
ること。
カ 障害者年金その他の社会保障の給付を本人に代わって受領し,毎月の生活費を
本人に渡すこと。
キ 障害者年金その他の社会保険についての契約の更新,変更等の必要な手続きを
すること。
ク 公共料金,保険料の支払いをすること。
ケ 介護契約の締結,変更,解除及び費用の支払いをすること。
コ 介護契約以外の福祉サービスの利用について契約締結,変更,解除及び費用の
支払いをすること。
サ 医療契約(病院への入院を含む)の締結,変更,解除及び費用の支払いをする
こと。
以 上
登記年月日 平成 17 年 11 月 4 日
平成 20 年 5 月 29 日
〔証明書番号〕2008-2600-000
- 125 -
(
3/
5)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書③補助
登 記 事 項 証 明 書( 別 紙 目 録 )
補 助
代理行為目録(追加)
(別 紙)
代 理 行 為 目 録
○○○○ が死亡したとき、
1 同人の財産を相続により取得した被補助人のために、登記移転手続等所用の手
続きをすること
2 被補助人が生活を維持するのに必要な公的及び私的機関の発行する各種の書類
の請求手続きをすること
以 上
登記年月日 平成 18 年 2 月 13 日
平成 20 年 5 月 29 日
〔証明書番号〕2008-2600-000
- 126 -
(
4/
5)
第 10 章 参考資料:(27)登記事項証明書③補助
登 記 事 項 証 明 書
補 助
上記のとおり後見登記等ファイルに記録されていることを証明する。
平成 20 年 6 月 5 日
東京法務局 登記官
法 務 太 郎
東
東京
京法
法
務
務局
局登
登
記
記官
官印
印
〔証明書番号〕2008-2600-000
- 127 -
(
5/
5)
第 10 章 参考資料:(28)審判書
平成 20 年(家)第 000 号
補助開始の審判申立事件
平成 20 年(家)第 000 号
同意を要する行為の定め申立事件
平成 20 年(家)第 000 号
代理権付与申立事件
審
本
籍
東京都港区
住
所
東京都港区
判
申立人兼本人
○ ○ ○ ○
同代理人弁護士
弁 護 四 郎
(昭和 18 年 月 日)
本件について,当裁判所は,その申立てを相当と認め,次のとおり審判する。
主
文
1 本人について補助を開始する。
2 本人の補助人として次の者を選任する。
主たる事務所
名
称
東京都品川区
特定非営利法人○○
3 本人は,別紙同意行為目録記載の行為をするにはその補助人の同意を得なけ
ればならない。
4 本人のために別紙代理行為目録記載の行為について補助人に代理権を付与す
る。
平成 21 年 2 月 16 日
東京家庭裁判所△▲出張所
家事審判官
○ ○ ○ ○
こ れ は 謄 本 で あ る 。
上記同日同庁
裁判所書記官
-1- 128 -
● ● ● ●
第 10 章 参考資料:(28)審判書
(別紙)
同 意 行 為 目 録
(1)
元本を領収し、又は利用すること
(2)
借財又は保証をすること
(3)
不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること
(4)
新築,改築,増築又は大修繕をすること
以 上
-2- 129 -
第 10 章 参考資料:(28)審判書
(別紙)
代 理 行 為 目 録
(1)
本人に帰属する預貯金に関する金融機関との一切の取引(解約・新規口座の
開設を含む。
)
(2)
保険契約の締結・変更・解除
(3)
保険金の請求及び受領
(4)
次に挙げる物及びこれらに準ずる物の保管並びに事務処理に必要な範囲内の
使用
① 実印,銀行届出印,印鑑登録手帳,預貯金通帳,キャッシュカード
② 年金証書
③ 保険証券,共済証書
(5)
年金,障害手当金その他の社会保障給付等の定期的な収入の受領及びこれに関
する諸手続
(6)
公共料金,国民健康保険料又は後期高齢者医療保健料,ローンの返済等の定期
的な支出を要する費用の支払い及びこれに関する諸手続
(7)
本人の負担している債務の弁済及びその処理
(8)
介護契約(介護保険制度における介護サービスの利用契約,ヘルパー・家事援
助者等の派遣契約等を含む。
)の締結・変更・解除及び費用の支払い
(9)
医療契約及び病院への入院に関する契約の締結・変更・解除及び費用の支払い
(10) 行政機関の発行する証明書の請求及びその受領
(11) 登記・登録の申請に関する一切の権限
(12) 税金の申告・納付に関する一切の権限
以 上
-3- 130 -
第 10 章 参考資料:(29)支援者リスト
支援者リスト
◆医療ニーズの高い利用者の支援
主な課題
相談窓口
予防・指導
活用できる社会資源
事業名
事業内容
栄養士・保健師、理学療法
訪問指導
士等が訪問し、寝たきり予
(老人保健事業)
防、看護指導等を実施
口腔機能評価と口腔ケア指
訪問口腔ケア指導
導
床ずれに関する電話相談、
とこずれ 110 番
往診・専門医の紹介
難
保健所
誤嚥性肺炎の再発予防
保健所・地域包括
支援センター
床ずれをおこしやすい
東京都皮膚科医会
進行性の神経難病(脊髄
小脳変性症、ALS)を受
け入れるショートステイ
がない
保健所
在宅難病患者緊急
一時入院事業
神経難病、在宅療養が不
安
相談連絡員
(指定病院・保健所
等)
神経難病医療ネッ
トワーク事業
東京都難病相談・
支援センター
難病相談
区市町村
在宅難病患者訪問
相談指導事業
保健所
当事者団体の紹介
区市町村
訪問歯科診療
区市町村
歯科医療連携推進
事業
区市町村
保健所
機能訓練事業
機能訓練
社会福祉協議会
ボランティア紹
介・派遣
STの資格を持つボランテ
ィアを紹介
病
疾患があり栄養管理が必
要だが、病院の指導だけ
では不十分
難病を正しく理解する
歯 科
リ
ハ
ビ
リ
慢性関節リュウマチで閉
じこもりがち
寝たきりのため、歯の治
療ができない
義歯の調整が必要だが寝
たきりで通院ができない
保険外でリハビリを受け
たい
嚥下困難なため、のみこ
みの訓練を受けたい
地域の情報・連絡先等
(地域の情報を記入してください)
平日 13:30~16:00
TEL 03-5332-1112
難病患者の緊急入院、
ショートステイ先の確保・
紹介
神経難病等に関する相談連
絡員を配置し、在宅療養を
支援
難病に関する相談、情報資
料室、日常生活用具展示を
実施
専門医が利用者宅に訪問
し、利用者・家族に専門的
見地から生活全般について
アドバイスする
膠原病患者の交流等を行う
団体を紹介
歯科医師が自宅に訪問し歯
の治療を実施
歯科のかかりつけ医を紹
介、通院が困難な場合は訪
問歯科診療を紹介
平日 10:00~16:00
TEL 03-3943-4050
※空欄部分には、地域の情報を書き込んで利用してください。
- 131 -
第 10 章 参考資料:(29)支援者リスト
◆虐待の疑いがあるケース
主な課題
相談窓口
虐
区市町村・地域包
括支援センター
待
同居家族に虐待を受けて
いる
日本高齢者虐待防
止センター
活用できる社会資源
事業名
事業内容
虐待を受けている高齢者の
相談・指導
虐待等やむをえない理由に
よる場合は、特別養護老人
ホームへの入所措置
虐待相談
対応のノウハウ・解決に向
けてのアドバイス
地域の情報・連絡先等
(地域の情報を記入してください)
月・水・金 10:00~
16:00
TEL 0424-62-1585
虐待を受けている高齢者の
一時保護や相談
警察(防犯係)
◆障害を持つ利用者の支援
主な課題
精
神
リ
ハ
ビ
リ
生
活
支
援
社
会
参
加
精神症状が見られるが、
本人の拒否で医療ケアに
つながらない
本人・家族とも精神疾患
が強く、訪問介護がスム
ーズに受け入れてもらえ
ない
精神的なリハビリをした
いが適当なサービスがな
い(ST を配置している事
業所がない)
視覚障害者の在宅生活の
維持
聴覚障害があり手話によ
るコミュニケーションが
必要
視覚障害者があり、外出
が困難
相談窓口
活用できる社会資源
事業名
地域の情報・連絡先等
事業内容
保健所
精神保健福祉相談
精神科医師と保健師が在宅
に訪問し相談対応
保健所
保健師による自宅
訪問
保健師が利用者の病状の把
握を行い、ヘルパーにその
対応を指導
区市町村
機能訓練事業
障害認定を受けた者を対象
に、個別の通所リハビリを
実施(PT、OT、ST)
区市町村
視覚障害者日常生
活支援活動
視覚障害者生活訓練専門職
によるアドバイス、歩行訓
練、情報提供等
社会福祉協議会
ボランティア紹
介・派遣
手話ボランティアを派遣
視覚障害者のガイ
ドヘルパーの派遣
知的障害者のガイ
ドヘルパーの派遣
視覚障害者の外出支援のた
め、ガイドヘルパーを派遣
知的障害者の外出支援のた
め、ガイドヘルパーを派遣
就業支援
職業相談、OA講習等の就
業支援
区市町村
知的障害者で外出が困難
区市町村
就業の支援をしてほしい
東京障害者就業セ
ンター
失語症のためデイサービ
ス利用が難しく閉じこも
りがち
当事者団体
交流会、研修会等を実施
- 132 -
(地域の情報を記入してください)
TEL 03-3989-9651
多摩支所
TEL 042-529-3341
第 10 章 参考資料:(29)支援者リスト
◆認知症の高齢者等への支援
主な課題
相談窓口
金銭管理
区市町村
財産管理ができない
区市町村
生活支援
財産管理ができない(契
約可)
社会福祉協議会
金銭管理が困難な利用者
の食材や生活用品の確保
生活協同組合、商
店、コンビニエン
スストア等
病院に通いたいが認知症
もありケアが難しいた
め、移送サービスでは対
応できない
認知症・独居で、一人で
は食事をとらない
活用できる社会資源
事業名
事業内容
身寄りがいない場合など
成年後見制度(申
は、区市町村長が法定後見
し立て)
の審判の申し立てを実施
成年後見制度利用 成年後見制度利用の支援、
支援事業
経費の助成
福祉サービスの利用援助、
地域福祉権利擁護
書類預かり、日常の金銭管
事業
理(有料)
カタログでの購入
徘
民間福祉団体
通院時の送迎サービス
民間福祉団体
家事援助活動(有料)
目を離すと徘徊してしまう
区市町村
徘徊高齢者家族支
援サービス事業
徘徊があり家族が長時間
家を空けられない
区市町村
認知症高齢者家族
安らぎ支援事業
認知症があるが専門医の
受診を拒んでいる
区市町村
認知症相談事業
徊
医
療
カタログ等による商品の購
入・配達
- 133 -
PHS 電波利用のシステムで
探索
探索機器貸与、探索システ
ム利用料の助成
介護者が外出や休息が必要
なときにボランティアを派
遣
高齢者の見守り、話し相手
等を実施
専門医が利用者宅に訪問
し、診療
地域の情報・連絡先等
(地域の情報を記入してください)
第 10 章 参考資料:(29)支援者リスト
◆家族への支援
主な課題
認知症高齢者への対応
認知症の高齢者の介護を
している家族が疲労して
いる
認知症の症状を受容でき
ない
認知症の要介護者へどう
接したらよいかわからな
い
その他
介護方法や知識を身につ
けたい
家族の介護負担を軽減す
る
介護方法等について相談
したい
相談窓口
活用できる社会資源
事業名
地域の情報・連絡先等
事業内容
認知症高齢者家族
支援
家族を家庭内で介護してい
る方同士の交流
当事者団体の紹介
認知症の高齢者、家族がと
もに参加し、悩みを分かち
合うとともに、知識を高め
る
認知症の介護の情報交換、
支えあい
認知症の人と家族
の会
ぼけ老人てれほん
相談
認知症の高齢者に係る電話
相談、情報提供、ピアカウ
ンセリング
社会福祉協議会
ボランティア派遣
区市町村・地域包
括支援センター
家族介護教室
区市町村
訪問指導事業
国際長寿センター
介護支えあい電話
相談
区市町村
保健所
社会福祉協議会
- 134 -
介護経験者のボランティア
による訪問相談
介護方法、健康づくり等の
正しい知識・技術を身につ
けるために教室を開催
保健師、看護師、理学療法
士等による訪問相談
介護に関する相談、情報提
供
(地域の情報を記入してください)
東京都
TEL 03-5367-2339
(火・金10:00~16:00)
本 部
TEL 0120-294-456
(平日10:00~15:00)
平日 10:00~15:00
TEL 0120-070-608
第 10 章 参考資料:(29)支援者リスト
◆安心・安全の確保
主な課題
相談窓口
緊急対応
認知力の低下により火の
始末ができない
区市町村
発語不明瞭な方で、緊急
時の対応が不安
区市町村
地震発生時の安全の確保
区市町村
介助者の急病により緊急
に生活支援が必要
転倒リスクが高く、介護
保険では緊急対応ができ
ない
安否確認等
一人暮らしだが、持病が
あり不安
活用できる社会資源
事業名
事業内容
慢性疾患があるなど常時注
火災安全システム 意が必要な高齢世帯に電磁
調理器を支給
緊急時にペンダント式のボ
緊急通報システム タンを押すと 119 番に自動
通用する機器を設置
家具転倒防止器具
家具転倒予防器具の取付
の取付
社会福祉協議会
ボランティアを派遣
サービス事業者
緊急対応のサービスを提供
(有料・保険外)
区市町村
一声訪問
友愛訪問
福祉電話
民間事業者等
身寄りがなく独居で自分
から積極的に連絡をしな
い
目を離すと一人で外出し
てしまい転倒する
区市町村
シルバーテレホン
(電話訪問)
区市町村・地域包
括支援センター
見守りネットワー
ク
- 135 -
一人暮らし高齢者等を訪問
し、安否確認等を実施
福祉電話の貸与、電話料金
の助成 等
配食、配達等の際に安否確
認を実施
高齢者の安否確認、話し相
手として定期的に電話をか
ける
民生委員、近所の方等の協
力を得て、見守りを実施
地域の情報・連絡先等
(地域の情報を記入してください)
第 10 章 参考資料:(29)支援者リスト
◆日常生活の援助
主な課題
相談窓口
活用できる社会資源
事業名
地域の情報・連絡先等
事業内容
食
事
生活支援
生活習慣病を予防するた
めの食生活の改善
時間がかかるミキサー食
の提供
区市町村
配食サービス
給食サービス
栄養バランスの取れた食事
の提供、ミキサー食対応の
配食サービス
独居高齢者の食事の確保
社会福祉協議会
民間福祉団体
配食サービス
有償家事援助サー
ビス
料理を配達
生活支援ヘルパーを派遣す
る(有料)
年末年始等事業所の長期
休業中の食事の確保
コンビニエンスス
トア 等
曜日・時間がうまく認知
できず、ゴミ捨てができ
ない
区市町村(清掃局)
ゴミの収集場所までゴミ
を運べない
民生委員
独居高齢者で、健康管理
に問題がある
区市町村・地域包
括支援センター
生活指導事業
介護予防教室
区市町村
訪問理美容サービ
ス
区市町村
寝具類等洗濯乾燥
消毒サービス
寝たきりで美容院にいけ
ない
家の周りがビルに囲まれ
ていて布団を干す場所が
ない
配偶者(自立)の家事支
援が必要
社会福祉協議会
民間福祉団体
社会福祉協議会
重い家具の移動、電球の
取替え、粗大ゴミの廃棄
等、保険対象外の生活援
助
居住環境が悪化してねず
みが発生し困っている
弁当の配達
ゴミの戸別収集
有償家事援助サー
ビス
高齢者助け合いグ
ループ
ボランティア派遣
(有償)
シルバー人材セン
ター
民間会社
住まいの困りごと
全般
保健所
- 136 -
ゴミを収集所まで運ぶこと
が難しい世帯に対し、家の
入口でゴミを収集
民生委員、近所の方がゴミ
だしに協力
訪問による指導・相談
転倒予防、栄養管理指導の
講座実施等
寝たきりの方に理容師を派
遣
寝たきりの方を対象に寝具
の洗濯、乾燥消毒サービス
を実施
生活支援ヘルパーを派遣す
る(有料)
ヘルパーができない作業を
ボランティアが支援
シルバー人材センター会員
を派遣(有料)
水道のつまり、
ドアの修理、
電球取替え、粗大ゴミの始
末等の援助(有料)
相談・毒餌・粘着剤の配布
(各区市町村により異なる)
(地域の情報を記入してください)
第 10 章 参考資料:(29)支援者リスト
◆住まいの支援
主な課題
住まいの確保
保証人がいないため、賃
貸住宅がみつからない。
住宅改修
玄関及び玄関前の段差の
ため外出できない
(車椅子利用者)
本人の状態にあった住宅
改修を行い、在宅生活の
安心を確保する
相談窓口
東京都防災・建築
まちづくりセンタ
ー
活用できる社会資源
事業名
事業内容
対象:登録住宅の入居者
①見守りサービス(利用料)
・訪問電話、生活リズムセ
ンサー設置
あんしん入居制度 ・24 時間電話相談、緊急時
対応等
②葬儀の実施(預託金)
③残存家財の片づけ(預託
金)
区市町村・地域包
括支援センター
住宅改修費助成
段差解消機設置の工事費を
助成
区市町村・地域包
括支援センター
住宅改修支援
専門的な助言・指導を行う
住宅改修アドバイザーを派
遣
地域の情報・連絡先等
(地域の情報を記入してください)
TEL 03-5466-2635
◆移動の支援
主な課題
相談窓口
ショートステイ利用時施
設に送迎がない
区市町村
車椅子利用のため通院が
困難
区市町村
機能訓練施設の送迎バス
では時間がかかり負担
社会福祉協議会
ハンディキャブの貸し出し
遠方の病院への輸送
民間福祉団体
福祉タクシーによる送迎
ひざ関節痛、下肢筋力低
下の方の外出支援
区市町村
日常生活用具給付
シルバーカー、車椅子、腰
掛便座等の給付・貸与
社会福祉協議会
シニア外出支援ク
ラブ
ハンディキャブの
貸出し
送迎の介助
リフト付自動車の貸し出し
と運転ボランティアの手配
送
迎
活用できる社会資源
事業名
事業内容
寝たきり状態にある高齢者
が病院・施設の入退院等に
外出支援サービス あたり、車椅子で乗車でき
るリフト付タクシーを利用
できる
寝たきりの方等を対象に通
福祉タクシー利用
院時に利用するリフト付福
券支給
祉タクシー利用券を支給
外
出
一人でお墓参りができな
い
(歩行困難)
- 137 -
地域の情報・連絡先等
(地域の情報を記入してください)
第 10 章 参考資料:(29)支援者リスト
◆生きがい活動の支援
主な課題
閉じこもり
日中独居、高血圧でうつ
状態になり外出しない自
立の方の閉じこもり防止
家族との同居のため転居
してきたが、近くに友人
もなく閉じこもりがち
相談窓口
活用できる社会資源
事業名
地域の情報・連絡先等
事業内容
生きがい
区市町村・地域包
括支援センター
生きがい生活支援
通所サービス
食事・趣味等の生きがい活
動の提供
社会福祉協議会・
地域包括支援セン
ター
会食交流事業
食事、懇談、レクリエーシ
ョン等を実施
外出が困難で閉じこもり
がち
老人クラブ
友愛訪問活動
老人クラブ会員が、一人暮
らし高齢者等を訪問し、話
相手などをする
趣味活動を行いたい
区市町村・地域包
括支援センター
教養講座等
教養講座の開催、福祉会館
等におけるサークル活動支
援
趣味活動を行いたいが、
外出が困難
寝たきりの生活に潤いを
与えたい
社会福祉協議会
ボランティア派遣
ボランティアを派遣
(囲碁の相手、朗読ボラン
ティア等)
個人的趣味のための外出
援助がしてほしい
社会福祉協議会
ささえあい活動
(有料)
保険対象外の外出の付添
い、家具の修繕等のサービ
スを提供
(地域の情報を記入してください)
◆その他
主な課題
経
地域の情報・連絡先等
事業内容
区市町村
母子・女性相談
一人親家庭の経済その他の
問題の相談受付と援助
紙おむつ代がかかり経済
的に大変である
区市町村
紙おむつ支給
①現物給付、②購入補助券、
③おむつ代の支給 等
区市町村
(福祉事務所)
経済的に苦しく、日常生
活やサービス利用に支障
がある
否
活用できる社会資源
事業名
年金を同居の息子が使っ
てしまうため、経済的に
困窮している
済
拒
相談窓口
社会福祉協議会
生活福祉資金の貸
付
社会福祉協議会
長期生活資金貸付
【リバースモーゲ
ージ】
サービスの利用を拒否し
ている
区市町村
地域包括支援セン
ター
民生委員
独居、介護保険サービス
の利用拒否
社会福祉協議会
生活保護、障害者施策との
連携
障害者や要介護者のいる世
帯に対して、生活資金を貸
し付ける
自己所有の不動産を担保に
生活資金を貸し付ける
諸機関の連携により介護サ
ービス利用につなげる
コンビニエンスス
トア宅配サービス
- 138 -
弁当、飲み物、日常生活用
品の配達にあたり、宅配費
を助成
(地域の情報を記入してください)
成年後見制度に関する横浜宣言
2010年10月4日
横浜にて
2 0 1 0 年1 0 月2 、3 、4 日に横浜にて開催された2 0 1 0 年成年後見法世界会議は、成年後
見法分野における最初の世界会議であり、主催者および共催者は今後の世界において成年後
見法が果たすべききわめて重要な意義と役割を改めて確認し、成年後見制度の適切な利用を広
く世界に訴えるために「横浜宣言」を発することとした。
この「 横浜宣言」 は2 0 1 0 年成年後見法世界会議の参加者が3 日間の会議の成果としてま
とめたものである。Ⅰ として世界に共通する問題を取り上げ、Ⅱ として日本に特化した問題を取り
上げることとする。
2 0 1 0 年成年後見法世界会議組織委員会は、本「横浜宣言」の起草に関与したすべての参
加者に対して深甚なる謝意を表するとともに、本宣言が世界における成年後見法の一層の発展
に寄与することを切望する次第である。
Ⅰ.世界の課題
1.
(共通する認識)
2 0 1 0 年1 0 月2 日より4 日まで日本国横浜にて開催された2 0 1 0 年成年後見法世界会議
の参加者たる私達は、次の事実を共通に認識するものである。
(1)
人口動態、社会変化、医学の進歩および生活条件の向上等によって全世界的に高齢者
人口が増加している。
(2)
高齢者人口が増加している事実は、医療、年金、社会保障給付、住宅、移動手段といっ
た社会的資源に大いなる衝撃を与えるものであり、次世代にとって主要な社会経済問題
となる。
(3)
意思能力は加齢とともに低下することもあり、 加齢によって精神に不具合をかかえる高
齢者の数も増加している。
(4)
家庭内、施設内双方において弱い立場の高齢者に対する虐待の実態が白日の下にさら
されつつある。
(5)
成年後見制度は高齢者を主たる対象としているが、精神疾患、学習障害、および後天的
脳障害を有する若年者にも意思能力の有無は影響を及ぼしうる。
(6)
人権の保護は世界的潮流としては改善されつつあるものの、いまだ多くの国では成年後
見関連の法整備は等閑視されたり、立ち遅れたりしており、事前の意思決定、能力判定
時のベスト・プラクティス、 能力を欠く成年者のための代替的意思決定の仕組みといっ
た最新の考え方が考慮されるには至っていない。
- 139 -
成年後見制度に関する横浜宣言
2.
(2条約への賛意)
加えて、私達は次の2 条約の指導原理と条項に賛意を表する。
(1)
2009年1月1日に発効し、管轄権、準拠法、承認と執行、国家間協力を一元化した
2000年1月13日ハーグ国際私法会議「成年者の国際的保護に関する条約」
(2)
人権の普遍性、不可分性、相互依存症、相関性への支持、および障害を有する人が偏見
なしに人権を享受できることの保障を条約締結国々に要求する2006年12月13日国
際連合「障害者権利条約」
3.
(成年後見制度の基本原則)
そのうえで次の5点をここに宣言する。
(1)
人は能力を欠くと確定されない限り特定の意思決定を行う能力を有すると推定されなけ
ればならない。
(2)
本人の意思決定を支援するあらゆる実行可能な方法が功を奏さなかったのでなけれ
ば、人は意思決定ができないとみなされてはならない。
(3)
意思能力とは「 特定の事柄」 「 特定の時」 の両方に関連するものであり、行なおうとする
意思決定の性質および効果によって異なること、また同じ人でも一日の中で変動し得る
ことを立法にあたっては可能な限り認識すべきである。
(4)
保護の形態は、本人を守ろうとするあまり全面的に包み込み、結果としてあらゆる意思
決定能力を奪うものであってはならず、かつ本人の意思決定能力への制約は本人または
第三者の保護に必要とされる範囲に限定されるべきである。
(5)
4.
保護の形態は適切な時期に独立した機関により定期的に見直されるべきである。
(成年後見人の行動規範)
特定の時に特定の意思決定を行う能力を欠くすべての成年者は、意思決定過程において他
に支援や代理を得ることができない場合には次のような資質を有する後見人を持つ権利がある
ことを、更に宣言する。
(1)
本人に代わって意思決定を行なう際には適切に注意深く行動する。
(2)
公正かつ誠実に行動する。
(3)
本人の最善の利益を考えて行動する。
(4)
本人に明らかな危害が及ばない限り、本人の要望、価値観、信念を事前に知ることがで
き、または推認することができるときには、それらを最大限に尊重し、遵守する。
(5)
本人の生活に干渉する場合は最も制約が小さく、最も一般化された方法にとどめる。
(6)
本人を虐待、放棄、搾取から守る。
(7)
本人の人権、市民権を尊重し、これらの侵害に対しては常に本人に代わってしかるべき
行動を取る。
- 140 -
成年後見制度に関する横浜宣言
(8)
本人の権利である年金、社会福祉給付金、福祉サービスなどを本人を支援して積極的に
取得させる。
(9)
後見人という立場を私的に利用しない。
(10)
本人と利害対立が起きないよう常に配慮を怠らない。
(11)
本人が可能であればいつでも独立した生活を再開できるよう積極的に支援する。
(12)
本人をあらゆる意思決定過程に最大限参加させる。
(13)
本人の参加を奨励し、本人のできることは本人にまかせる。
(14)
正確な会計記録を付け、任命権者たる裁判所あるいは公的機関の要請に応じて速やか
にそれを提出する。
(15)
任命権者たる裁判所あるいは公的機関より付与された権限の範囲で行動する。
(16)
どのような形態の後見が継続して必要であるかについて定期的に見直しをうける。
5.
最後に
成年後見制度は自由の剥奪となり得ることもあり、人権に関わるものであること、また、世界
中どこでも後見人の職務と義務とは一般的に公的介入であることを認識したうえで、各国は専門
性の基準を明らかにし、適切な監督手段を提供し、財源に裏付けされた納得できる枠組みを保
障すべきである。この点に関する問題意識を目覚めさせ、今この場で私達が共通に認識し、賛同
し、かつ宣言した条項の実現に必要な支援の獲得に向けて、「 横浜宣言」 が公的機関および各
国政府に広く周知徹底されるべきものであることをここに再度宣言する。
Ⅱ.日本の課題
2010年成年後見法世界会議における日本からの参加者は、本宣言Ⅰの趣旨に全面的な賛
意を表明したうえで、特に国連の「 障害者権利条約」 とハーグ国際私法会議の「 成年者の国際
的保護に関する条約」 を日本政府が早期に批准することを要望し、以下の事項を「 横浜宣言」
に含めることを確認し、これに海外からの参加者も同意した。
1.
(1)
現行の成年後見法の改正とその運用の改善
全国の市区町村長が成年後見等に関する市区町村長申立てをさらに積極的に実施しう
る体制を法的に整備すべきである。
(2)
成年後見制度を利用するための費用負担が困難である者に対しては公的な費用補助を
行うべきである。
(3)
成年後見等の開始には本人の権利制限という側面があることに鑑み、原則として鑑定
は実施すべきであり、また本人面接は省略すべきではなく、鑑定・本人面接の実施率が
低水準にとどまっている現状を改善すべきである。
(4)
現行成年後見法は、成年後見人が本人の財産に関してのみ代理権を有すると規定して
いるが、成年後見人の代理権は財産管理に限定されるべきではなく、これを改めるべき
である。成年後見人は、本人の医療行為に同意することができるものとすべきである。
- 141 -
成年後見制度に関する横浜宣言
(5)
現行成年後見制度に多く残されている欠格事由は撤廃すべきである。特に後見開始決
定に伴う選挙権の剥奪には合理的根拠はなく、憲法で保障された普通選挙の理念に反
し、基本的人権を著しく損なうものである。
(6)
任意後見制度は「自己決定権の尊重」に最も相応しい制度であるが、その利用は決して
多いとはいえない。任意後見制度の利用を促進し、同時にその濫用を防止する立法的措
置を講じるべきである。
2.
公的支援システムの創設
成年後見制度は、利用者の資産の多寡、申立人の有無等にかかわらず「誰でも利用できる制
度」 として位置づけられるべきであり、そのためには行政が成年後見制度全体を公的に支援す
ることが不可欠である。このような公的支援システムは「成年後見の社会化」を実現するもので
あり、行政による公的支援システムの創設を提言する。成年後見制度の運用面における司法機
能、とりわけ家庭裁判所の機能の一層の拡充・強化を図ることが公的支援システムの円滑な実
施の大前提となるべきである。このような公的支援システムの創設は、本人の親族、一般市民、
各専門職間のネットワークを拡充させ、適切な成年後見人の確保、成年後見制度の権利擁護機
能の強化に資するものである。
3.
新たな成年後見制度の可能性
現行成年後見法の枠内にとどまることなく、常に新しい理念を求めてさらなる発展の可能性
を模索すべきである。
(1)
現行成年後見法は後見、保佐、補助という3類型を前提としているが、とりわけ後見類
型においては本人の能力制限が顕著である。国連の障害者権利条約第12条の趣旨に
鑑みて、現行の3類型の妥当性を検討する必要がある。同時に、成年後見手続における
本人の保護に関する検討も必要である。
(2)
本人の能力制限をともなわない保護手段として信託の活用が考えられるが、日本におい
てはこのようなタイプの信託は普及していない。裁判所が信託設定に関与する成年後見
代替型の信託制度導入について検討する必要がある。
(3)
交通事故被害者等の高次脳機能障害者が成年後見制度を殆ど利用していない現状を
改善するために、新たな立法によって高次脳機能障害者が成年後見制度を利用しやす
くするための方途を講じるべきである。
2010年成年後見法世界会議
組織委員会
参加者一同
- 142 -
成年後見制度
問い合わせ一覧
東京税理士会成年後見支援センター
………TEL 03-3356-4421
http://www.tokyozeirishikai.or.jp/generalperson/kouken.html
※成年後見制度一般、財産管理、成年後見人等にかかわる
税金に関する相談窓口
成年後見制度と
成年後見登記制度のことを知りたい
最高裁判所………http://www.courts.go.jp/
※成年後見制度の概況、概要、申立書・鑑定書・診断書様
式のダウンロード
法務省民事局……TEL 03-3580-4111
http://www.moj.go.jp/MINJI/index.html
※成年後見制度の概況、成年後見登記制度の概要、登記事
項証明書申請書様式のダウンロード、オンライン申請
「登記・供託インフォーメーションサービス」
(法務省)
TEL / FAX 03-3519-4755
※24 時間受付の音声・FAX サービス
(登記所の場所、登記事項証明書の書き方)
東京法務局民事行政部後見登録課……TEL 03-5213-1360
http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo
※全国の成年後見登記制度事務の取り扱い、成年後見登記
制度の概要、登記事項証明書申請書様式のダウンロード
最寄りの法務局・地方法務局
※登記事項証明書の申請について
成年後見制度の
申立ての手続を知りたい
家庭裁判所(本人の住所地)
成年後見人等に
なってくれる人を探している
全国の弁護士会:日本弁護士連合会
TEL 03-3580-9841(代表) http://www.nichibenren.or.jp/
社会福祉協議会(本人の居住地)
司法書士会:社団法人成年後見センター リーガルサポート
TEL 03-3359-0541(代表) http://www.legal-support.or.jp/
日本社会福祉士会……TEL 03-3355-6541 http://www.jacsw.or.jp/
社団法人家庭問題情報センター(通称FPIC)
(元家庭裁判所調査官等で構成される団体)
TEL 03-3971-3741 http://wwwl.odn.ne.jp/fpic/
任意後見制度の
ことを知りたい
日本公証人連合会……TEL 03-35-2-8050 http://www.koshonin.gr.jp/
最寄りの公証役場
- 143 -
弁護士会 成年後見に関する法律相談窓口一覧
(2010 年 8 月現在)
弁護士会
センター等名称
高齢者・障害者総合支援センター
東
京
「オアシス」
第一東京 成年後見センター「しんらい」
高齢者・障害者財産管理センター
第二東京
「ゆとり~な」
高齢者・障害者の権利擁護相談
横
浜
埼
玉
千 葉 県
茨 城 県
栃 木 県
群
馬
静 岡 県
郵便番号
100-0013 千代田区霞が関 1-1-3 弁護士会館 6 階
電話番号
03-3581-2201
100-0013 千代田区霞が関 1-1-3 弁護士会館 11 階 03-3595-8575
100-0013 千代田区霞が関 1-1-3 弁護士会館 9 階
231-0021
高齢者・障害者権利擁護センター
336-0063
「しんらい」
高齢者・障害者支援センター
260-0013
茨城県弁護士会法律相談 (水戸) 310-0062
センター
(土浦) 300-0043
(下妻) 304-0067
高齢者等援護センター
320-0036
高齢者・障害者支援センター
371-0026
高齢者・障害者総合支援センター
センター等所在地
420-0853
山 梨 県 高齢者・障害者支援センター
400-0032
高齢者・障害者総合支援センター
長 野 県
380-0872
「ひまわり長野」
高齢者・障害者の財産管理・権利
新 潟 県
951-8126
擁護支援センター
高齢者・障害者総合支援センター
大
阪
530-0047
「ひまわり」
高齢者・障害者支援センター
京
都
604-0971
「助かります」
高齢者・障害者総合支援センター
兵 庫 県
650-0044
「たんぽぽ」
奈
良 高齢者・障害者支援センター
630-8237
滋
賀 高齢者・障害者支援センター
520-0051
和 歌 山 高齢者・障害者支援センター
640-8144
高齢者・障害者総合支援センター
愛 知 県
460-0001
「アイズ」
三
重 高齢者・障害者支援センター
514-0032
岐 阜 県 高齢者・障害者の権利擁護センター 500-8811
福
井 高齢者・障害者権利擁護センター 910-0004
金
沢 高齢者・障害者支援センター
920-0912
富 山 県 高齢者・障害者の権利擁護センター 930-0076
高齢者等財産管理
【西部地区】 730-8501
センター「あんしん」
広
島
【東部地区】 720-0034
横浜市中区日本大通 9 番地 横浜弁護士
会館 1F
さいたま市浦和区高砂 4-2-1 浦和高砂
パークハウス 1 階
千葉市中央区中央 4-13-12
水戸市大町 2-2-75
土浦市中央 1-13-12
下妻市下妻乙 99
宇都宮市小幡 2-7-13
前橋市大手町 3-6-6 群馬弁護士会館・県
民法律センター
静岡市葵区追手町 10-80 静岡地方裁判
所構内
甲府市中央 1-8-7 山梨県弁護士会館
長野市妻科 432
03-3581-2250
045-221-7700
048-710-5666
043-227-8431
029-227-1133
029-821-0122
0296-44-2661
028-622-2008
027-234-9321
054-252-0008
055-235-7202
026-232-2104
新潟市中央区学校町通 1-1 新潟県弁護
025-222-5533
士会
大阪市北区西天満 1-12-5 大阪弁護士会
06-6364-1251
館1階
京都市中京区富小路通丸太町下ル
神戸市中央区東川崎町 1-1-3 神戸クリ
スタルタワー13 階
奈良市中筋町 22-1 奈良弁護士会館
大津市梅林 1-3-3
和歌山市四番丁 5
名古屋市中区三の丸 1-4-2
津市中央 3-23
岐阜市端詰町 22
福井市宝永 4-3-1 三井生命ビル 7 階
金沢市大手町 15-15 3 階
富山市長柄町 3-4-1
広島市中区基町 6-27 そごう新館 6 階
(紙屋町法律相談センター内)
福山市若松町 10-7 若松ビル 2 階 202(法
律相談センター福山内)
山 口 県 高齢者・障害者権利擁護センター 753-0045 山口市黄金町 2-15
財団法人リーガルエイド岡山
高齢者・障害者支援センター
岡
山
700-0807 岡山市北区南方 1-8-29
(弁護士会内でなく外郭団体と
して設立)
- 144 -
075-231-2378
078-341-0550
0742-22-2035
077-522-2013
073-422-4580
052-252-0044
059-228-2232
058-265-0020
0776-23-5255
076-221-0242
076-421-4811
082-225-1600
084-923-1798
083-922-0087
086-223-7899
弁護士会
鳥 取 県
センター等名称
成年後見ネットワーク鳥取
成年後見ネットワーク米子
(社)成年後見ネットワーク倉吉
郵便番号
センター等所在地
電話番号
鳥取市二階町 3-204 アイシン二階町ビ
680-0033
0857-21-0570
ル 2F つくし野法律事務所
米子市旗ヶ崎 7-20-33 出垣社会福祉士
683-0845
0859-24-1895
事務所内
倉吉市駄経寺町 2-15-1 倉吉合同事務所
682-0816
0858-22-8900
内
松江成年後見センター
(弁護士会だけでなく司法書士 690-0815
会・社会福祉士会との設立)
出雲成年後見センター
(弁護士会だけでなく司法書士 693-0003
会・社会福祉士会との設立)
島 根 県
石見成年後見センター
(弁護士会だけでなく司法書士 697-0026
会・社会福祉士会との設立)
益田・鹿足成年後見センター
(弁護士会だけでなく司法書士 698-0024
会・社会福祉士会との設立)
高齢者・障がい者総合支援 【福岡】
810-0004
センター「あいゆう」
福 岡 県
【北九州】803-0816
佐 賀 県
長 崎 県
大 分 県
熊 本 県
鹿児島県
宮 崎 県
沖
縄
仙
台
福 島 県
山 形 県
岩
手
秋
田
青 森 県
札
幌
函
館
旭
川
釧
路
香 川 県
徳
島
高
知
愛
媛
松江市西持田町 362-42
周藤社会福祉士事務所内
0852-60-1711
出雲市今市町南本町 21 番地 3
成瀬司法書士事務所内
0853-22-8097
浜田市田町 1655 朝日堂ビル 3 階 浜田
0855-24-1605
ひまわり基金
益田市駅前 17-1 EAGA A-311
0856-31-1690
福岡市中央区渡辺通 5-14-12 南天神ビル
092-724-7709
2 階 天神弁護士センター
北九州市小倉北区金田 1-4-2 裁判所構内
093-561-0360
北九州弁護士会館内
【筑後】 830-0021 久留米市篠山町 11-5 筑後弁護士会館内 0942-30-0144
高齢者・障害者財産管理センター 840-0833 佐賀市中の小路 4-16 佐賀県弁護士会館 0952-24-3411
高齢者・障害者支援センター
850-0875 長崎市栄町 1-25 長崎MSビル 4 階
095-824-3903
高齢者・障害者の財産管理・権利
870-0047 大分市中島西 1-3-14
097-536-1458
擁護支援センター
成年後見についての独自のセンターは設置していない(窓口は当会法律相談センター) 096-325-0009
高齢者・障害者総合支援センター 892-0815 鹿児島市易居町 2-3
099-226-3765
高齢者・障害者等権利擁護センター 880-0803 宮崎市旭 1-8-28
0985-22-2466
高齢者・障害者の財産管理・権利
900-0023 那覇市楚辺 1-5-15
098-833-5545
擁護支援センター
高齢者・障害者の財産管理・権利
980-0811 仙台市青葉区一番町 2-9-18
022-223-2383
擁護支援窓口「ふくろうくん」
高齢者・障害者権利擁護支援セン
960-8115 福島市山下町 4-24
024-534-2334
ター
高齢者・障害者財産管理センター
山形市七日町 2-7-10 NANA BEA
990-0042
023-622-2234
NS 8 階
高齢者・障害者支援センター
020-0022 盛岡市大通 1-2-1 サンビル 2 階
019-651-5095
高齢者・障害者のための支援セン
010-0951 秋田市山王 6-2-7
018-896-5599
ター
高齢者・障害者支援センター
030-0861 青森市長島 1-3-1 日赤ビル 5 階
017-777-7285
高齢者・障害者支援センター
札幌市中央区北 1 条西 10 丁目 札幌弁護
060-0001
011-242-4165
「ホッと」
士会館 2 階
高齢者・障がい者支援センター 040-0031 函館市上新川町 1-3
0138-41-0232
高齢者・障害者支援センター
070-0901 旭川市花咲町 4
0166-51-9527
高齢者・障害者財産管理センター 085-0824 釧路市柏木町 4-3
0154-41-0214
高齢者・障害者支援センター
760-0033 高松市丸の内 2-22
087-822-3693
高齢者・障害者支援センター
770-0855 徳島市新蔵町 1-31
088-652-5768
高齢者・障害者支援センター
780-0928 高知市越前町 1-5-7
088-872-0324
高齢者・障害者総合支援センター 790-0003 松山市三番町 4-8-8
089-941-6279
(日本弁護士連合会ホームページより)
- 145 -
社団法人成年後見センター・リーガルサポート 連絡先一覧
(2010 年 8 月現在)
本
部
札 幌 支 部
函 館 支 部
旭 川 支 部
釧 路 支 部
宮 城 支 部
ふくしま支部
山 形 支 部
岩 手 支 部
秋 田 支 部
青 森 支 部
東 京 支 部
神奈川県支部
埼 玉 支 部
千葉県支部
茨 城 支 部
とちぎ支部
群 馬 支 部
静 岡 支 部
山 梨 支 部
ながの支部
新 潟 支 部
愛 知 支 部
三 重 支 部
岐 阜 支 部
福井県支部
石川県支部
富山県支部
大 阪 支 部
京 都 支 部
兵 庫 支 部
奈 良 支 部
滋 賀 支 部
和歌山支部
広 島 支 部
山 口 支 部
岡山県支部
鳥 取 支 部
しまね支部
香川県支部
徳 島 支 部
高 知 支 部
えひめ支部
福 岡 支 部
佐 賀 支 部
長 崎 支 部
大 分 支 部
熊 本 支 部
鹿児島支部
宮﨑県支部
沖 縄 支 部
郵便番号
160-0003
060-0042
040-0033
070-0901
085-0833
980-0821
960-8022
990-0041
020-0015
010-0951
030-0861
160-0003
231-0024
330-0063
261-0001
310-0063
320-0848
371-0023
422-8062
400-0024
380-0872
951-8063
456-0018
514-0036
500-8114
910-0019
921-8013
930-0008
540-0019
604-0973
650-0017
630-8325
520-0056
640-8145
730-0012
753-0048
700-0816
680-0022
690-0884
760-0022
770-0808
780-0928
790-0062
810-0073
840-0833
850-0032
870-0045
862-0971
890-0064
880-0803
900-0006
住所
新宿区本塩町 9 番地 3 司法書士会館 4F
札幌市中央区大通西13 丁目4 番地 中菱ビル6 階 札幌司法書士会館
函館市千歳町 21-13 桐朋会館内
旭川市花咲町 4 丁目 旭川司法書士会館
釧路市宮本 1-2-4
仙台市青葉区春日町 8 番 1 号 宮城県司法書士会館内
福島市新浜町 6 番 28 号 福島県司法書士会館内
山形市緑町 1 丁目 4 番 35 号
盛岡市本町通二丁目 12 番 18 号 岩手県司法書士会内
秋田市山王六丁目 3 番 4 号 秋田県司法書士会館内
青森市長島三丁目 5 番 16 号 青森県司法書士会館
新宿区本塩町 9 番地 3 司法書士会館 4F
横浜市中区吉浜町 1 番地 神奈川県司法書士会館内
さいたま市浦和区高砂 3 丁目 16 番 58 号 埼玉司法書士会内
千葉市美浜区幸町 2 丁目 2 番 1 号 千葉司法書士会館内
水戸市五軒町一丁目 3 番 16 号 茨城司法書士会館内
宇都宮市幸町 1 番 4 号
前橋市本町一丁目 5 番 4 号
静岡市駿河区稲川 1 丁目 1 番 1 号
甲府市北口 1 丁目 6 番 7 号 山梨県司法書士会館内
長野市妻科 399 番地
新潟市古町通十三番町 5160 番地
名古屋市熱田区新尾頭一丁目 12 番 3 号 愛知県司法書士会館
津市丸之内養正町 17 番 17 号
岐阜市金竜町 5 丁目 10 番地の 1 岐阜県司法書士会館内
福井市大手三丁目 15-12 フェニックスビル 5 階
金沢市新神田 4 丁目 10 番 18 号 石川県司法書士会館内
富山市神通本町一丁目 3 番 16 号 エスポワール神通 3 階
大阪市中央区和泉町 1 丁目 1 番 6 号 大阪司法書士会館内
京都市中京区柳馬場通夷川上る5 丁目232 番地の1 京都司法書士会館
神戸市中央区楠町 2 丁目 2 番 3 号
奈良市西木辻町 320-5 奈良県司法書士会内
大津市末広町 7 番 5 号
和歌山市岡山丁 24 番地
広島市中区上八丁堀 6 番 69 号
山口市駅通り二丁目 9 番 15 号
岡山市富田町 2 丁目 9 番 8 号 岡山県司法書士会館
鳥取市西町 1 丁目 314-1
松江市南田町 26 番地
高松市西内町 10 番 17 号 香川県司法書士会館
徳島市南前川町 4 丁目 41 番地 徳島県司法書士会館内
高知市越前町 2 丁目 6 番 25 号
松山市南江戸 1 丁目 4 番 14 号 愛媛県司法書士会合同会館
福岡市中央区舞鶴三丁目 2 番 23 号
佐賀市中の小路 7 番 3 号
長崎市興善町 4 番 1 号
大分市城崎町 2 丁目 3 番 10 号
熊本市大江 4 丁目 4 番 34 号
鹿児島市鴨池新町 1 番 3 号 司調センター鹿児島県司法書士会内
宮崎市旭 1 丁目 8 番 39-1 号
那覇市おもろまち 4 丁目 16 番 33 号
電話番号
03-3359-0541
011-280-7078
0138-27-0726
0166-51-9058
0154-41-8332
022-263-6786
024-533-7234
023-623-3322
019-653-6101
018-824-0055
017-775-1205
03-3353-8191
045-640-4345
048-845-8551
043-243-3555
029-302-3166
028-632-9420
027-224-7773
054-289-3700
055-254-8030
026-232-7492
025-228-1727
052-683-6696
059-213-4666
058-259-7118
0776-30-0016
076-291-7070
076-431-9332
06-4790-5643
075-255-2578
078-341-8686
0742-22-6707
077-525-1093
073-422-0568
082-511-0230
083-924-5220
086-226-0470
0857-24-7013
0852-24-2005
087-821-5701
088-622-1865
088-825-3141
089-941-8065
092-738-1666
0952-29-0626
095-823-4777
097-532-7579
096-364-2889
099-251-5822
0985-28-8599
098-867-3526
(社団法人リーガルサポートセンターホームページより)
- 146 -
〔参考文献等〕
・臨時増刊判例タイムズ 1165「東京家裁後見センターにおける成年後見制度運用の状
況と課題」/東京家裁後見問題研究会 編著
・成年後見人の職務と報告の手引き/岡山家庭裁判所 発行
・専門職後見人と身上監護/上山泰 民事法研究会
・成年後見教室 実務実践編/(社)成年後見センター・リーガルサポート編著/日本加除
出版
・
〃
課題検討編
・介護・福祉・医療用語集/小松真監修 吉本光一編著/エルゼビア・ジャパン
・成年後見実務マニュアル/(社)日本社会福祉士会編集/中央法規
・法定後見ハンドブック/(社)成年後見センター・リーガルサポート
・高齢者・障害者の財産管理と福祉信託/日弁連法的サービス企画推進センター 遺言信
託プロジェクトチーム 著
・成年後見の法律相談<第2次改訂版>/赤沼康弘、鬼丸かおる編著/学陽書房
・成年後見実務マニュアル 基礎からわかるQ&A/社団法人日本社会福祉士会編集
・パンフレット「高齢者虐待かも??と感じたら……」/日本司法書士会連合会
・成年後見人制度の実務と税理士/池畑芳子、小林猪二共著/(財)大蔵財務協会
- 147 -
日本税理士会連合会 公益活動対策部
担当副会長
田 村
担当専務理事
櫻 井 芙二雄(名 古 屋)
部
日 出 雄 平(東
長
副 部 長
同
委
襄 (九 州 北 部)
辻 村 祥 造(東 京 地 方)
北 村 善 和(近
員
北)
原
稔 (東
畿)
京)
同
小長谷 藤兵衛(千 葉 県)
同
添 野 一 雄(関 東 信 越)
同
杉 下 清 次(北 海 道)
同
佐 藤 光 生(東
同
浅 岡 勇 夫(名 古 屋)
同
田 中 克 明(東
海)
同
若 井 英 忠(北
陸)
同
桑 原
一 (中
国)
同
清 田 明 弘(四
国)
同
吉 田 茂 樹(九 州 北 部)
同
藏 前 達 郎(南 九 州)
同
鈴 木 啓 子(沖
縄)
特命委員
伊 藤 佳 江(東
京)
同
北)
梅 田 隆 志(関 東 信 越)
「税理士のための成年後見ガイドブック~財産管理を中心として~」
平成23年1月 発行
発行 日本税理士会連合会
〒141-0032 東京都品川区大崎1-11-8
日本税理士会館8階