H26 年 4 月講習会資料 【インゲン豆(三度豆)(マメ科)】 [つるなし品種、つるあり品種がある] インゲンマメは豆を食べるよりも若い幼果のさやを食べます。若採りして、 柔らかいさやを収穫します。1 年に何回か種まきすることができるので 「三度豆」ともよばれています。 1.地ごしらえ ・2週間前に1㎡あたり苦土石灰 150g を全面に散布して深く耕す。 ・1 週間前に1㎡あたり堆肥3kg、化成肥料 100g を入れて耕す。 畝を立て上面を平らにならしておく。 2.種まき ①条間(蒔く幅)30cm、株間 30cm で3~4粒ずつ点まきする。2cm ほど 覆土する。 ②種が流れないように注意して、たっぷり水やりする。 3.育て方 ・発芽して本葉が出たら良い苗を1カ所に1本残し間引きする。 ・(つるありの場合)蔓が伸びてきたら支柱を左右から合掌にたて蔓を 誘引する(ネットでも可)。 また、 つるインゲンは節数が収量を決めるので、 生育初期は水やりを控え、 節間を伸ばさないように注意する。 ・(つるあり、つるなし共通)草丈が 30cm 程になると、1㎡あたり肥料を 二握りばらまき、土寄せもする。 雨が少なく、乾燥するなら、ときどき水やりし、根元に敷きわらをして、 乾燥を防ぐ。 4.収穫 さやが、ふくらみ始めたら若いうちに収穫する。 つるなしインゲンの場合、収穫が遅れてマメが硬くなると、完全に生育を 止めるので要注意。 H26 年 4 月講習会資料 【オクラ(アオイ科)】 原産地:アフリカ北東部 オクラは未熟な果実をサヤごと食べます。収穫が早すぎると種ができず、 ネバネバがありません。収穫が遅れると皮が硬くなって食用に向きません。 1 本ずつ植えると、生育が良くなりすぎ、実も早く大きく硬くなってしまい ます。 3~4本を1株にして競争させる、実も少し柔らかくなって食用になる期間が 長くなります。 1.地ごしらえ 2週間前に1㎡あたり苦土石灰 100g を全面に散布して深く耕す。 1 週間前に1㎡あたり堆肥3kg、化成肥料 100g を入れて耕す。 畝を立て上面を平らにならしておく。 2.種まき ①株間 40~50cm で1カ所3~4粒ずつ点まきする。2粒ずつ少し 離してまくようにして、発芽後間引かないように3~4本立ちにする。 ②種が流れないように注意して、たっぷり水やりする。 3.育て方 発芽しても間引かず、3~4本立ちにする。 開花~収穫終了まで月2回、肥料を1㎡あたり一握りうねにばらまき、 土寄せする。 夏は株元に敷きわらをして乾燥を防ぐ。 4.収穫 開花後、7日目ぐらいが収穫適期。4本立ちの場合、1~2日遅れても 柔らかい実が収穫できる。 収穫が終わった下の節の葉は摘み取り、風通しを良くする。 H26 年 4 月講習会資料 【ニンジン(セリ科)】 日当たりがよく、水はけのよいところを好みます。種子は集団でまくと 発芽率が良くなり、生育も良くなります。すじまきします。 1.地ごしらえ 2週間前に1㎡あたり苦土石灰 150g を全面に散布して深く耕す。 1 週間前に1㎡あたり堆肥3kg、化成肥料 100g を入れて耕す。 2.種まき ①種子をまく前日、一晩水につけると発芽しやすくなる。 ②条間(蒔く幅)20cm ですじ蒔きする。ミニニンジンなら条間 10cm で 構わない。 種子がやっと隠れるぐらい、薄く覆土する。 ※ニンジンの種子は 「好光性」 といって土を厚く覆うと発芽しにくくなる。 フルイなどを使って、ごく薄く種子が隠れるほどでよい。その上に もみ殻や細かく刻んだ敷きわらなどで薄く覆っておくと乾燥防止に なり発芽しやすくなる。 ③種が流れないように注意して、たっぷり水やりする。 3.育て方 発芽したら混み合うところから間引きを始め、本葉5~6枚で 12cm ぐらいの株間にする。ミニニンジンなら6~8cm の株間にする。 月に1回、1 ㎡あたり 50g の化成肥料をばらまく。 また、ニンジンの肩が見えてくると緑になるので、土寄せをする。 種子をまいてから 100 日頃が収穫の目安。ミニニンジンなら 80 日前後。 (ミニニンジンはサラダでも食べることができる) 〇間引いたニンジンは葉の部分はニンジン葉として、サラダや、刻んで スープの具に利用できる。 <施肥の目安> 堆肥 :スコップ1杯(2kg) 苦土石灰:1握り(約 40g) 化成肥料:1 握り(約 30g) 1つまみ(約2g) H26 年 4 月講習会資料 【苗の購入のヒント】 〇春から夏にかけての作物の苗を買うときの注意 4月は一年の中でいちばん天候の変動の大きい月といわれています。 特に、寒の戻り、強風、大雨などであり、朝晩の寒暖の差もいちばん 大きい時期です。 園芸店、 ホームセンターなどで4月中旬からすでに野菜苗を販売している ところもありますが、その時に買ってすぐに植えつけると、まだまだ朝晩が 冷えて、全然大きくならなかったり、苗が枯れてしまうことがあります。 早い時期に店頭に出てくる苗は、温室や、ビニールハウスなどの施設で育て られているのが大半です。朝夕の気温の変化にも慣れていない「温室育ち」 です。 全然大きくならないと、 「早く育ってほしい」という親心が働いて、肥料 や水をやりすぎる場合が多く見られます。それにより「肥あたり」を起こし 枯らしてしまうことも少なくありません。苗は人間でいえば「赤ちゃん」の 状態なので、大事に育ててやらなければなりません。暖かくしてやらなけれ ばなりません。また、根の力がない時に、肥料をたくさん施しても、赤ちゃ んに「ミルクならぬステーキを食べさせる」のと同じです。 5月になって、 暖かくなってから、 苗を植え付けると、 土の温度も上がって、 根もはやく元気になっていきます。 早く、植えつけて、失敗するより、暖かくなってから植えつけた方が生育が よくなります。 野菜苗を買う時期は、5月の連休まで待ちましょう! H26 年 5 月講習会資料 ナス(ナス科) ナスはインド東部が原産地とされている。日本へは8世紀ごろに は中国を経由してすでに伝わってきている。 日当たりがよく、水はけのよいところを好む。 肥料と水を多く必要とするが、うまく栽培すると、秋まで長期に わたり収穫できる 1.地ごしらえ 堆肥などの有機物をできるだけ早い時期に施用し深く耕す。 できれば定植 30 日前に、元肥として1m2 あたり苦土石灰 120g 化成肥料 200g 堆肥3~4kg をすきこんでおく。 2.植え付け ①5月上から中旬が最適。 苗は、本葉が5~6枚に育ったものを植え付ける。 ②植え付け後、15~20 日後に化成肥料を1m2 あたり 50g 施用する。 3.育て方 ①苗が根づいたら週に2回程度液肥を与え、 ②本葉が8枚に育つと8枚目に一番花が咲き脇芽が出る。花のすぐ下と、もう一つ下の脇芽を残 し、主枝と合わせて3本仕立てにする。それより下の脇芽は取り除く。この時支柱をする。 ③残りの脇芽はそのまま成長させると、多くの実をつける。 4.肥料・その他 ①苗が根づいたら、週に1回は液肥を与え、肥ぎれしないようにする。 ②夏の高温乾燥時には敷きわらなどをして、乾燥を防ぐ。 支柱立て 整枝(3 本仕立て) H26 年 5 月講習会資料 トマト(ナス科) トマトの原産地は南米のアンデス山系のペルー、エクアドル、 ボリビア。 日当たりがよく、水はけのよいところを好む。 1.地ごしらえ 堆肥などの有機物をできるだけ早い時期に施用し深く耕す 2.植え付け ①4月下旬~5月中旬に植え付ける。 苗は、茎が太くて節と節の間が短く、根張りがよいものを選ぶ。 ②うね幅は 90cm~1m にする。 1条または2条植えにし、株間は 35cm~45cm にする。 ③花房はすべて同じ側につくので、花房がうねの外側になるように植え付ける。 ④長さが 1.5mぐらいの支柱を立てる。 3.育て方 ①植え付け後は十分水やりをする。 ②植え付け後 10 日ほどで完全に根付き、葉の付け根からわき目が伸び始める。脇芽は原則とし て摘み取り、一本仕立てにする。 ③花房が4~5段ついたらその上の葉を 2 枚残して生長点を摘み取る(芯とめ)。 4.肥料 定植2週間後から化成肥料を1回 30g ずつ施す。 主枝の摘心 5から6段目まで花房がついた ら、その上の本葉 2 枚を残し、左 記を 摘心します。 H26 年 5 月講習会資料 エダマメ(枝豆)(マメ科)[大豆の若い実] エダマメは大豆の若いさやを枝つきのまま塩ゆでして食べるところから付けられた名前です。 タンパク質やビタミンA、B、Cを多く含みます。 1.地ごしらえ できるだけ日当たりのよいところを選ぶ。 2週間前に1㎡あたり苦土石灰 100g を全面に散布して深く耕す。 1 週間前に1㎡あたり堆肥2kg、化成肥料 100g を入れて耕す。 畝を立て上面を平らにならしておく。 2.種まき ①条間(蒔く幅)20cm、株間 25cm で3粒ずつ点まきする。2cm ほど覆土する。 ②種が流れないように注意して、たっぷり水やりする。 3.育て方 発芽して本葉が2枚になったらよい株を2本残し、生育のよくないものを 1 本間引きする。エ ダマメはさやの中に入っている豆の数(2~3粒)をまくと発芽とその後の生育が良くなる。そ の時に双葉がかくれるぐらいに土寄せする。 本葉6枚のころに摘芯(芯止め)し、わき芽を伸ばすようにすると、株がしっかりしてさや付き もよくなる。その時期にリン酸やカリの多い肥料を1㎡あたりふた握り施す。 4.収穫 さやが、ふくらみ、押すと豆がとびだす頃が収穫どき。 *ハト避けのため、種まき後、本葉が出るまで、べた掛け資材をかけるか、 育苗ポットで育苗し、本葉が出たころに畑に定植する。この場合も2粒まきにして育てると 生育が良くなる。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、1つまみ:約2g) 摘心の仕方 本葉5~6枚の頃、摘心してわき芽の伸び を促す 摘心によりわき芽がよく伸び、さやつきも よくなり、空ざやが少なくなる H26 年 5 月講習会資料 トウモロコシ(イネ科) トウモロコシの原産地は中央アメリカといわれている。日本へはヨーロッパ経由で中国から 16 世紀に伝わった。 日当たりがよく、水はけのよいところを好む。 1.地ごしらえ 堆肥などの有機物をできるだけ早い時期に施用し深く耕す。根は土中に深く入る。 2.植え付け ①4 月上旬~5月上旬。 一か所に3粒ずつ、株間を 45cm とって2列にまく。 苗を購入した場合も2列に植え付ける。2列にするほうが実がよくなる。 3.育て方 ①発芽して本葉が4~5枚になったら間引きして1ヶ所1本にする。倒れないように根基に 土を寄せる。 ②株元から脇芽が出てきてもそのままにしておく。これは実をじゅうじつさせる 働きがある。 4.肥料 定植して 20 日後から1m2 あたり 50g の化成肥料を施す。 H26 年 7 月講習会資料 ナス(ナス科) ナスはインド東部が原産地とされている。日本へは8世紀ごろには中国を 経由してすでに伝わってきている。 日当たりがよく、水はけのよいところを好む。 肥料と水を多く必要とするが、うまく栽培すると、秋まで長期にわたり 収穫できる ナスの夏場の管理 Ⅰ 収穫と剪定 ① 3本仕立て、または2本仕立てにしていくと、葉ごとに花が咲き、実が できる。 ② 実を収穫すると、わき芽が伸び出して花が咲き実ができる。 ③ 実を収穫した後、実の下の葉を1枚残して剪定する。 ④ 残した葉からわき芽が伸びてきて花が咲く。そして実ができると、収穫 する時、実の下の葉を1枚残して剪定する。あとはそれを繰り返してい く。 Ⅱ 切り戻し(更新剪定) 8月になり実つきが悪くなってきたら、思い切って切り戻す。 ① 収穫の最盛期を過ぎるとわき芽が出てこなくなるので、花が咲かなく なり結局、実つきが悪くなる。(8月上旬頃) ② 3本仕立て(2本仕立て)の場合、各枝の葉を1~2枚残して切り戻す。 ③ 地上部を切り戻したら、株元から約 30cm 離れたところにスコップを深 く差しこんで根を切る。こうすることによって地上部と、地下部のバラ ンスをとる。 ④ スコップを差し込んだところに緩効性の肥料を施用する。 ⑤ 根を切ったところから新しい根が出てくる。地上部はわき芽が伸びて きて花が咲く。 このようにすると 10 月下旬まで順次、実を収穫することができる。 H26 年 7 月講習会資料 図1 ナスの収穫と剪定 図2 更新剪定 H26年8月講習会資料 ダイコン(大根)(アブラナ科) ダイコンは土を特に選びませんが、ふかふかした 水はけのよいところが適しています。 特に大切なことは、深く耕して、土の中の石や 木片などを取り除きます。 こうすることにより、変形根を防ぎます。 また、間引きも大切な作業になります。 1.地ごしらえ 2週間前に1㎡あたり苦土石灰 100g を全面に散布して深く耕す。 この時、小石や枯れ木などはていねいに取り除く。 *ダイコンの場合は元肥を施さない。初めから土の中に肥料分があると、 枝根や堅くなる原因となる。 2.種まき ①株間 25 ㎝で 5~6粒ずつ種子をまく(点まき)。 1cm ほど覆土をして、 種子が流れないように注意してたっぷり水やりをする。 ※ダイコンの種子は「さみしがり屋」1粒まきより数粒まきのほうが 発芽がよい。 ②堆肥3kg と化成肥料 100g を混ぜて元肥をつくる。これを株間に 1握りずつ置いていく。土にすきこむと変形根の原因になる。 3.育て方 ①発芽したら双葉の時に3本に間引く。 ②本葉3~4枚の時に2本にする。 この時、化成肥料を株の周りに1つまみ施す。 ③本葉6~7枚の時に1本にする。 この時も株の周りに化成肥料を2、3つまみ施す。 ④1本立ちにした半月後に株の片側に化成肥料を2、3つまみずつ施す。 その半月後に反対側に化成肥料を追肥として2、3つまみずつ施す。 ※1本立ちした後は、追肥の都度、必ず土寄せをします。これをしないと 肩の部分が緑化する。 ※間引いたダイコンは、サラダや、みそ汁の具に利用できる。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、1つまみ:約2g) 4.収穫 葉が、上を向いて立っている間はまだ生育中。葉が、開いて平らになって きたときが収穫適期。 H26年8月講習会資料 ハクサイ[白菜](アブラナ科) 種まきの時期が大事 漬け物、鍋物、炒め物と、何でも使える冬野菜の代表選手です。 ただ、種まきの適期が限定されています(8月下旬~9月下旬:秋の彼岸まで にまく)。この適期を守れば、比較的育てやすく、保存もきく野菜です。 種まきはポットで行った方がいいです。 1.地ごしらえ ①2週間ほど前に1㎡あたり苦土石灰 100g を全面に散布しよく耕す。 ②1 週間ほど前に1㎡あたり堆肥3kg、化成肥料 100g を入れてよく 耕す。 ③幅 60cm、高さ 15cm ほどの畝をつくり、表面を平らにする。 2.種まき(ポット育苗:ポットを育苗箱などに入れて管理するとよい) ①ビニールポット(3号)に育苗用土を入れる。 ②4~5粒の点まきにして、5mm ほど覆土する。 ③種が流れないように注意して、たっぷり水やりする。 ④発芽したら不良苗を順次間引き、本葉2~3枚で2本、5~6枚で 1本立ちにする。 3.育て方 ①株間 40~50cm で植え付け、水やりし、苗を安定させる (10 月 10 日頃までに定植する。それより遅れると、結球しなくなる)。 ②定植後 15 日に株まわりに化成肥料1握りまき土寄せする。 ③定植後 30 日の頃に畝の肩に1握りまいて土寄せする。 ④結球始めのころに化成肥料1握り畝に肩にまく(土寄せはしない)。 4.収穫 ※品種にもよるがハクサイの頭を軽く手で 押さえ、かたくしまっていたら適期。 <施肥の目安> 堆肥:スコップ1杯:2kg、 苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g) H26 年9月講習会資料 ホウレンソウ(法蓮草)(アカザ科) ホウレンソウはもともと涼しい気候を好みます。秋の彼岸を過ぎてから種を まくと、じっくり育ち栄養分が多くなります。また、酸性の土を嫌います。 少なくとも種まきの2週間前までに石灰を入れ、土づくりをします。 葉ネギと混植すると、コンパニオンプランツになります。 1.地ごしらえ 2週間前に、1㎡あたり堆肥3kg、苦土石灰 150g を全面に散布して よく耕す。 1週間前に1㎡あたり化成肥料 100g を全面に散布してよく耕す。 2.種まき ①ホウレンソウの種子は皮が硬く、特に高温では発芽しにくい。 一晩水に浸けておくと発芽しやすくなる。また「ネイキッドシード」 という種皮を取り除いた種も売られているので、それを使ってもよい。 ②発芽がそろうように、板切れを使って土の表面を滑らかにし、 10cm 間隔でまき溝をつける。(深さ1㎝、幅2㎝ 程度)種子が 重ならないように5~10mm 間隔で筋まきし、覆土する(1cm)。 ③土と種子が密着するように板などでしっかり鎮圧し、たっぷり水やり する。 3.育て方 発芽したら、込み入っているところから間引きして株間を拡げ、本葉が 6~7枚の頃に株間 10cm にする。間引き後、条間(すじ蒔きの間)に 追肥をしておく。 間引いた株はおひたしや、汁の具に使える。 高さが 20cm ほどになったら、順次抜き取って収獲する。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、1つまみ:約2g) 間引き 発芽したら、混み合っているところから間引いて株間を広げ、本葉 6~7 で株間 10cm にします H26 年9月講習会資料 キクナ(菊菜)[シュンギク(春菊)](キク科) ほとんど1年中栽培できます。関西では普通、キクナと呼ばれています。 キクナも栽培しやすい葉もの野菜です。 日当たりがよく、水はけのよいところを好みます。 アブラナ科の野菜と混植すると、コンパニオンプランツになります。 1.地ごしらえ 10 日ほど前に、1㎡あたり堆肥3kg、苦土石灰 100g、化成肥料 100g を全面に散布してよく耕す。 2.種まき ①キクナの種子は種子の表面に発芽抑制物質があるので、種をまく前日、 一晩水につけて、その水を洗い流し、生乾きの種子を使います。 ②板切れで 10cm 間隔で深さ約5mm のまき溝をつける。 まき溝に種子が重ならないようにすじまきし、薄く覆土する。 ③種が流れないように注意して、たっぷり水やりする。 3.育て方 1週間ほどで発芽する。本葉2枚ほどで間引きを始め、本葉が5~6枚の 頃に株間5~6cm になるようにする。 葉が、重なり合ってきたら、さらに間引きをして、最終的には株間が 10~ 15cm になるようにする。間引いたキクナはおひたしや、汁の具に使える。 高さが 15~20cm ほどになったら、順次抜き取って収獲する。 (収穫の時、本葉を4~5枚残して摘み取ると、 脇芽が出て数回収獲することができます。) H26 年9月講習会資料 チンゲンサイ[青梗菜](アブラナ科) ほぼ、一年を通じて栽培しやすい葉もの野菜です。 日当たりがよく、水はけのよいところを好みます。 1.地ごしらえ ①2週間ほど前に1㎡あたり苦土石灰 100g を全面に散布しよく耕す。 ②1 週間ほど前に1㎡あたり堆肥3kg、 化成肥料 100g を入れてよく耕す。 ③幅 40cm、高さ 15cm ほどのうねをつくり、表面を平らにする。 2.種まき ①板切れで畝に平行に条間 15cm 間隔で浅いまき溝(5mm ほど)をつける。 ②まき溝に種子が重ならないようにすじまきし、薄く覆土する。 ③種が流れないように注意して、たっぷり水やりする。 3.育て方 ①発芽したら混み合っているところから間引く。本葉2~3枚ほどで 株間7~8cm に間引きする。 ②本葉4~6枚になったら株間 20cm になるよう間引きする。 ③生育期は2週間に 1 回1㎡あたりに化成肥料1握りをすじ間にまき、 土を寄せる。 4.収穫 ・株の下の方がふくらみ、葉に厚みができたら収穫適期。 ・種まき後、秋は 50~60 日、春は 45~55 日、夏は 35~45 日で 収穫できる。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、1つまみ:約2g) H26 年9月講習会資料 タマネギ(玉葱)(ユリ科) タマネギは水はけのよいところが適しています。 ネギの仲間は「さみしがり屋」でタネまきや育苗は、密植させて育てるとお互い の生育がよくなります。 1.育苗(まき床) ①2週間前に1㎡あたり苦土石灰 150g を全面に散布してよく耕す。 ②1週間前に1㎡あたり堆肥3kg、 化成肥料 100g を入れ、 よくすきこむ。 ③まき床の表面を平らにならす。 ④種子が重ならないようばらまきし、5mm 程度覆土をする。その上に 細かくした腐葉土か、もみ殻をまいておくと、乾燥を防ぐことができる。 ⑤種子が流れないように注意してたっぷり水やりをする。 ⑥発芽したら混み合う部分を間引く。 2.定植(地ごしらえ) ①2週間前に1㎡あたり苦土石灰 150g を全面に散布してよく耕す。 ②1週間前に1㎡あたり堆肥3kg、 化成肥料 150g を入れ、 よくすきこむ。 ③苗は鉛筆ぐらいの太さのものを選ぶ。葉が伸びすぎた場合は 20 ㎝ほどに 刈り込んで植えても問題ない。 ④株間約 10 ㎝の間隔で植え付ける。植えつけ時は、苗がまだ細く、根が あまり伸びていないが、根の白い部分が少し埋まるぐらいの浅植えにする。 その方が今後の生育がよくなる。 ⑤定植 20 日後と、翌年生育を始める頃(3月中旬)、1㎡あたり化成肥料 50gを施す。 3.収穫 葉が黄色くなり、自然に倒れてから 1 週間~10 日後が収穫の適期。 *倒伏してからも葉で作られた養分が、タマ(球根)の方に移動します。 その期間が球根の充実に大きく影響します。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、1つまみ:約2g) <市民農園講習会資料(H26.10)by 春井> タマネギの定植(玉葱)(ユリ科) タマネギは水はけのよいところが適しています。 1.定植(地ごしらえ) ①2週間前に1㎡あたり苦土石灰 150g を全面に散布してよく耕す。 ②1週間前に1㎡あたり堆肥3kg、化成肥料 150g を入れ、よくすきこむ。 ③苗は鉛筆ぐらいの太さのものを選ぶ。葉が伸びすぎた場合は 20 ㎝ほどに 刈り込んで植えても問題ない。 ④株間約 10 ㎝の間隔で植え付ける。植えつけ時は、苗がまだ細く、 根があまり伸びていないが、根の白い部分が少し埋まるぐらいの 浅植えにする。その方が今後の生育がよくなる。 ⑤定植 20 日後と、翌年生育を始める頃(3月中旬)、1㎡あたり化成肥料 50gを施す。 ※冬の晴れた暖かい日には水やりをし、水分をたっぷり与えてやる。 タマネギのふるさとは地中海性気候で生育期の冬は温暖で比較的、 雨がよく降る。光合成が盛んになり、春からのタマ(球根)が肥大する。 *苗が手に入ってからいろんな事情で直ぐに定植できない場合 ・苗床育苗の場合 苗が伸びてきたら、上から3分の1ほどのところで刈りこむ。 そして、薄い液肥(1000 倍程度)を施す。 ・購入苗の場合 植える時期が来るまでプランターか植木鉢に仮植えしておく。 苗が伸びてきたら苗床育苗と同様に刈り込んで、液肥を施しておく。 2.収穫 葉が黄色くなり、自然に倒れてから 1 週間~10 日後が収穫の適期。 *倒伏してからも葉で作られた養分が、タマ(球根)の方に移動します。その 期間が球根の充実に大きく影響します。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、1つまみ:約2g) <市民農園講習会資料(H26.10)by 春井> 植物は光があることによって発芽が促進される種類があります。 これを好光性種子といいます。 <好光性種子> シソ、セロリ、ニンジン、ミツバ、キクナ、インゲン、 レタス、ゴボウ、ツケナ 〇好光性種子は非常に細かい種子が多く、播種する時は覆土をせず、 まいた後、上から薄く土をまいたり、敷きわらをします。 そうすると適当に光が届き、発芽がそろいます。 反対に光に当たると発芽しにくくなるものもあります。 これを嫌光性種子といいます。 <嫌光性種子> ダイコン、タマネギ、ネギ、ニラ、カボチャ、スイカ、 トマト、ナス 〇嫌光性種子は、まき穴やまき溝をつくり、タネをまいてからしっかり 覆土します。 タネが発芽するとき光があった方が発芽が促進されるタネを好光性種子と 呼び、反対に光に当たると発芽が抑制されるタネを嫌光性種子と呼びますが、 この中間で光の影響を全く受けない中間性のタネも存在します。 <市民農園講習会資料(H26.10)by 春井> コンパニオンプランツとは 野菜と花、野菜同士、それぞれ生育を助け合うもの同士を「コンパニオン プランツ(共栄植物)」といいます。生育の補助を行うことが出来ると ともに、病害虫の害を減らすことにも役立ちます。 <材料> トマト(ナス科)、ねぎ(ユリ科ネギ属)、パセリ(セリ科)、赤じそ(シソ科)、 サニーレタス(キク科)、みずな(アブラナ科)、ラディッシュ(アブラナ科) 植 物 バジル 相性の良い植物 胡椒, トマト, マリーゴールド キャベツ、ニンジン、セロリ、トウモロコシ、 キュウリ、ナス、レタス、エンドウ、 豆類(蔓なし) ラディッシュ、イチゴ、マリーゴールド ニンジン、トウモロコシ、キュウリ、ナス、 豆類(蔓あり)レタス、エンドウ、ラディッシュ, ビート 相性の良くない 植物 タマネギ ビート、タマネギ 豆類(蔓なし)、キャベツ、タマネギ、セージ アブラナ科 植物 豆類(蔓なし)、ビート、セロリ、タマネギ、 トマト、ハーブ類(シソ)、マリーゴールド、 ナスタチウム ニンジン 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、レタス、セージ、 タマネギ、エンドウ、ラディッシュ、トマト、 セロリ 豆類(蔓なし)、キャベツ、タマネギ、 ホウレンソウ、タマネギ、トマト トウモロコシ 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、キュウリ、 エンドウ、カボチャ、メロン イチゴ ディル トマト <市民農園講習会資料(H26.10)by 春井> 植物 キュウリ ナス レタス メロン タマネギ パセリ エンドウ コショウ ラディッシュ ホウレンソウ カボチャ イチゴ トマト (メモ) 相性の良い植物 相性の良くない 植物 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、トウモロコシ、 レタス、タマネギ、エンドウ、ラディッシュ、 ナスタチウム、マリーゴールド、 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、カボチャ 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、 キュウリ、タマネギ、ラディッシュ、イチゴ トウモロコシ、ナスタチウム、ラディッシュ ビート、キャベツ、ニンジン、セロリ、キュウリ、 豆類 (蔓あり、蔓 レタス、コショウ、カボチャ、イチゴ、トマト なし、エンドウ) トマト 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、カブ、 トウモロコシ、キュウリ、ラディッシュ、 タマネギ タマネギ 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、キュウリ、ヒソップ レタス、メロン、エンドウ、カボチャ セロリ、ナス、カリフラワー トウモロコシ、タマネギ、ラディッシュ 豆類(蔓なし)、レタス、タマネギ、カボチャ キャベツ キャベツ、ニンジン、セロリ、タマネギ、ミント トウモロコシ、 フェンネル <市民農園講習会資料(H26.11)by 春井> ホウレンソウ(法蓮草)(アカザ科) ホウレンソウはもともと涼しい気候を好みます。秋の彼岸を過ぎてから種を まくと、じっくり育ち栄養分が多くなります。また、酸性の土を嫌います。 少なくとも種まきの2週間前までに石灰を入れ、土づくりをします。 葉ネギと混植すると、コンパニオンプランツになります。 1.地ごしらえ 2週間前に、1㎡あたり堆肥3kg、苦土石灰 150g を全面に散布してよく耕す。 1週間前に1㎡あたり化成肥料 100g を全面に散布してよく耕す。 2.種まき ①ホウレンソウの種子は皮が硬く、特に高温では発芽しにくい。一晩水に浸けて おくと発芽しやすくなる。また「ネイキッドシード」という種皮を取り除いた 種も売られているので、それを使ってもよい。 ②発芽がそろうように、板切れを使って土の表面を滑らかにし、10cm 間隔で まき溝をつける。(深さ1㎝、幅2㎝ 程度) 種子が重ならないように5~10mm 間隔ですじまきし、覆土する(1cm)。 ③土と種子が密着するように板などでしっかり鎮圧し、たっぷり水やりする。 3.育て方 発芽したら、込み入っているところから間引きして株間を拡げ、本葉が 6~7枚の頃に株間 10cm にする。間引き後、条間(すじ蒔きの間)に追肥を しておく。 間引いた株はおひたしや、汁の具に使える。 高さが 20cm ほどになったら、順次抜き取って収獲する。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、1つまみ:約2g) (公財)尼崎緑化公園協会ホームページ URL:http://www.amaryoku.or.jp/ <市民農園講習会資料(H26.11)by 春井> ミズナ[水菜](アブラナ科) ミズナは、水だけで栽培できるのでこの名前がつけられました。 冬の低温に遭うと糖分が葉に集積して葉色が淡くなります。また、低温条件でじっ くり育てると、やわらかくて甘くなります。葉色が濃いと、硝酸塩濃度が高く、 えぐみがあり、糖分も低くなるので甘くありません。元肥をやらずに栽培した方が いいです。 1.地ごしらえ ①2週間ほど前に1㎡あたり苦土石灰 100g を全面に散布しよく耕す。 ②1 週間ほど前に1㎡あたり堆肥3kg を入れてよく耕す。 *元肥の肥料は入れない。 2.種まき ①株間 30cm で4~5粒ずつ点まきし、5mm ほど覆土する。 ②種が流れないように注意して、たっぷり水やりする。 3.育て方 ①発芽したら本葉1~2枚の頃に2本にする。 ②本葉3~4枚になったら 1 本にする。 ③種まきから 1 ヶ月後をめやすに株間に油粕か、ぼかし肥料を1㎡たり 1握り施し、土となじませる。 ④さらに3週間ほどしたら同じように油粕かぼかし肥料を1握り施し、 土となじませる。 4.収穫 ・下葉の色が薄くなったら収穫適期。大株の場合は1kg にもなる。 ※密植栽培にして小株どりする方法もある。 スジまきし、数回間引きして株間が 5cm ほどにする。草丈が 30cm ほどに なれば収穫適期。株間が混み合いシャキ シャキした食感になりサラダとして利用 できる。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、 苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、 1つまみ:約2g) (公財)尼崎緑化公園協会ホームページ URL:http://www.amaryoku.or.jp/ <市民農園講習会資料(H26.12)by 春井> エンドウ(マメ科) 原産地:中央アジア、中近東 若い莢(さや)を食べるサヤエンドウ、実だけを食べる実エンドウ、実が大きく なってもさやが柔らかく、さやごと食べられるスナックエンドウがあります。 冷涼な気候を好むので耐寒性は強く、小さい期間は0℃以下でも耐えることが できます。尼崎なら 12 月に蒔いても育ちます。 1.地ごしらえ できるだけ日当たりのよいところを選ぶ。 ① 2週間前に1㎡あたり苦土石灰 100g を全面に散布して深く耕す。 ②1 週間前に1㎡あたり堆肥3kg、化成肥料 100g を入れて耕す。 畝を立て上面を平らにならしておく。 2.種まき ①うねの中央に株間 30cm で 1 カ所に3粒 ずつまき、2cm ほど覆土する。 ② 種が流れないように注意して、たっぷり 水やりする。 3.育て方 発芽して本葉が3枚になったらよい株を2本 残し、1 本を間引きする。 冬の間は小さいままであまり大きくならない が、耐寒性が強いので問題ない。 株元に敷きわらをして、防寒してやるとよい。 春(3月上旬)になると生育が盛んになってくる ので、リン酸やカリの多い肥料(草木灰)を株元 に一握り施す。支柱を立てて誘引してやる。 4.収穫 サヤエンドウはさやが平らで、実の小さい時に、 実エンドウは中の実が充実し、さやが膨れて 表面の光沢が無くなり、ざらつくようになった 頃が収穫適期。 *育苗ポットで育苗し、本葉が出たころに畑に 定植する。この場合も2粒まきにして育てる と生育が良くなる。 (施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、 苦土石灰1握り:約 40g、化成肥料 1 握り: 約 30g、1つまみ:約2g) (公財)尼崎緑化公園協会ホームページ URL:http://www.amaryoku.or.jp/ <市民農園講習会資料(H26.12)by 春井> 植物に必要な栄養 <三要素> 私たち人間に必要な栄養分にたんぱく質、脂肪、炭水化物のほかに各種ビタミ ンがあります。植物にも同じように必要な栄養素があります。 その代表的なものが窒素(N)、リン酸(P2O5)、カリ(K2O)です。これを三要素 といいます。このほかにもマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、硫黄(S)、 鉄(Fe)なども必要とされます。特に三要素は最も多く吸収されるので、不足す るとたちまち栄養障害を起こします。それで、肥料として補給してやる必要が あります。 光合成(炭酸同化作用) 窒素、リン酸、カリ、それと多くの微量要素は植物体では水に溶けて葉に送ら れます。葉には葉緑素があり空気中に含まれている二酸化炭素(炭酸ガス)を 吸収して、太陽の光と熱の働きにより炭酸同化作用を行います。その結果炭水 化物(でんぷんや糖類)を合成し、植物体の各部分に送り、生命活動を行います。 また、動物の生命活動に欠かすことのできない酸素(O2)を生産しています。 炭酸同化作用(光合成)の式 6CO2 + 12H2O + 光エネルギー → C6H12O6 + 6H2O + 6O2 (ブドウ糖) <三要素のはたらき> 窒素(N) 植物のたんぱく質や葉緑素をつくる。葉の色を濃くしたり、葉や茎を生長 させます。 リン酸(P2O5) 細胞分裂を盛んにしたり、茎や葉を多くして果実の実りを良くしたり、花の 色やつやを良くします。 カリ肥料(K2O) 水に溶けやすい成分です。糖やでんぷん、たんぱく質をつくったり、それら を移動、蓄積する働きがあります。また、植物繊維を丈夫にしたり、根の 肥大や耐寒力を増すためにも役立ちます。 ・その他の栄養素 カルシウム(石灰):植物組織を強くし、葉緑素の生成、根の発育、有害物質の 中和 マグネシウム(苦土):葉緑素の生成、体内物質の移動 硫黄、鉄、銅、亜鉛なども総合的に有効な働きをする (公財)尼崎緑化公園協会ホームページ URL:http://www.amaryoku.or.jp/ <市民農園講習会資料(H26.12)by 春井> (公財)尼崎緑化公園協会ホームページ URL:http://www.amaryoku.or.jp/ <市民農園講習会資料(H26.12)by 春井> (公財)尼崎緑化公園協会ホームページ URL:http://www.amaryoku.or.jp/ H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井) 2014年の野菜づくりから ① ② ③ ④ タネについて---――タネの選び方、性質、タネの寿命 苗について――――――つくり方、選び方(買いかた) 土づくりについて―――栄養分、肥料について、肥料効き方、やり方 病気、害虫について ① タネについて-タネの知識- 1)タネの寿命 品目によって異なるが、3~4年でも 発芽する長命なもの。梅雨を越すと 1年で発芽しない短命なものもある。 タネは貯蔵中でも少しずつ呼吸して いるので夏の高温多湿を経過すると 消耗が激しくなり発芽率が極端に悪く なるものもあります。 ・寿命の短いもの(1~2年経つと発芽しない) ネギ、タマネギ、ニラ、レタス、ゴボウ、ニンジン、ホウレンソウ、 ミツバ ・・・・・・・・・・・古いタネは使わない ・やや長寿なもの(2~3年) ダイコン、カブ、ハクサイ、キクナ、エンドウ、スイカ、インゲン ・・・・・・・・残りのタネは貯蔵して翌年使用する ・長命なもの(3~4年) キュウリ、カボチャ、ナス、トマト ・・・・・・・貯蔵して翌年使用 2)タネの保存のしかた 低い温度で乾燥したところ コーヒーの空き瓶かお茶の缶がよい。 タネを紙袋に入れ名前を書いておく。 乾燥剤(生石灰)かシリカゲルを入れ、密閉して冷蔵庫に入れる。 または、比較的涼しいところに置く。 3)タネの発芽には光が必要か? 植物は種類によって光があったほうが発芽が促進されるものがあります。 これを好光性種子といいます。 好光性種子:シソ、セロリ、ニンジン、ミツバ、キクナ、インゲン、 レタス、ゴボウ、ツケナ ※好光性種子は非常に細かい種子が多く、播種する時は覆土をせず、 まいた後、上から薄く土をまいたり、敷きわらをします。そうすると 適当に光が届き、発芽がそろいます。 p. 1 H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井) 反対に光に当たると発芽しにくくなるものもあります。これを嫌光性種子と いいます。 嫌光性種子:ダイコン、タマネギ、ネギ、ニラ、カボチャ、スイカ、トマト、 ナス ※嫌光性種子は、まき穴やまき溝をつくり、タネをまいてからしっかり 覆土します。 ②苗について -苗の購入のヒント- ※春から夏にかけての作物の苗を買うときの注意 4月は一年の中でいちばん天候の変動の大きい月といわれています。 特に、寒の戻り、強風、大雨などであり、朝晩の寒暖の差もいちばん大きい 時期です。 園芸店、ホームセンターなどで4月中旬からすでに野菜苗を販売しているとこ ろもありますが、その時に買ってすぐに植えつけると、まだまだ朝晩が冷えて、 全然大きくならなかったり、苗が枯れてしまうことがあります。 早い時期に店頭に出てくる苗は、温室や、ビニールハウスなどの施設で育てら れているのが大半です。朝夕の気温の変化にも慣れていない「温室育ち」です。 全然大きくならないと、 「早く育ってほしい」という親心が働いて、肥料や水 をやりすぎる場合が多く見られます。それにより「肥あたり」を起こし枯らし てしまうことも少なくありません。苗は人間でいえば「赤ちゃん」の状態なの で、大事に育ててやらなければなりません。暖かくしてやらなければなりませ ん。また、根の力がない時に、肥料をたくさん施しても、赤ちゃんに「ミルク ならぬステーキを食べさせる」のと同じです。 5月になって、暖か くなってから、苗を 植え付けると、土の 温度も上がって、 根もはやく元気に なっていきます。 早く、植えつけて、 失敗するより、暖かくなってから植えつけた方が生育が よくなります。 野菜苗を買う時期は、5月の連休まで待ちましょう! p. 2 H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井) ③土づくりについて 1)よい土とは 植物がよく育つ土をつくること 土の役割 植物体を支える 植物が根を十分に伸ばして水や 養分しっかり吸収する。 十分に体を大きくし、花を咲かせ 実を成らせる 根は表面の細胞(表皮細胞)から土の すき間にある酸素を直接取り込む 土のすき間が狭すぎると空気が入りにくくなってうまく呼吸ができない ある程度のすき間が必要 ・・・・・・・ 団粒構造 ・団粒構造 小さな土の粒子が集まって団子のような構造になったもの 団子と団子の(団粒構造)の間にはほどよい空気のすき間ができる 呼吸 団粒の中には肥料分や適度な水分を取り込むことができる 団粒と団粒を結びつける糊のようなものが必要になります。 (ミミズのいる土) これが有機物(完熟たい肥や腐葉土)の役目をする 有機物の入った柔らかな土 ・通気性 これらがよくなると作物が立派に育つ ・排水性 ・保水性 ・保肥性 2)栄養分 土壌の pH(ペーハー)と各種養分の 効き方と作物に適する pH pH は0~14 まであり、pH が 7.0 を 中性といい、pH が 7.0 より小さいと 酸性、大きいとアルカリ性といいます。 土が極端に酸性になっていくと土壌中の 微生物の活性が低くなり、硝酸化作用 (窒素肥料分が微生物の力によって アンモニア態窒素→硝酸態窒素になり、 p. 3 H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井) 植物の作物の根から吸収される)が悪くなり、作物ができにくくなります。また、 土壌中の成分はpH によって水に溶けやすくなったり溶けにくくなったりします。 酸性が強くなるとアルミニウムやマンガン銅が水に溶けやすくなり作物が吸収 するが、これらの成分が多くあっても大丈夫な作物が酸性に強い作物といいます。 酸性に弱い作物はアルカリ性になると水によく溶けるカルシウムや マグネシウムを多く必要とする作物です。 ④病気、害虫について 1)植物の病気 植物の病気の原因は次のものがあります。 ・カビ 高温、多湿、風通しの悪さなどによりカビが生えて、病気になります。 灰色かび病、うどんこ病、疫(えき)病、べと病、さび病など多くあります。 ・細菌 大風に吹かれて作物に傷ができたり、雨に叩かれて土がはね返り、傷ができ たところから細菌が植物体内に侵入して病気を引き起こします。 また、害虫が食害した傷口から、細菌が侵入して発病します。軟腐病、 青枯れ病などがあります。 ・ウイルス アブラムシが植物の汁を吸ったときに、アブラムシの体内にいるウイルスが 植物体に移り感染します。また、タバコモザイクウイルス病(TMV)はタバ コを吸う人がトマトの作業を行ったときに手から移ることもあります。 ウイルス病にかかると有効な薬剤はないので、株ごと抜き取って焼却する 必要があります。ウイルスに感染しないように、ウイルスを媒介する昆虫 などを駆除する必要があります。 ・害虫 作物を食害したり、吸汁したりして、作物をヒトが食べられなくします。 見つけ次第、補殺するか、薬剤を施用します。 (例)アブラムシの場合 薬剤散布も効果がありますが、アブラムシを寄せ付けにくくすることが できます。 アブラムシは春先は翅が生えていて、空中を浮遊しています。作物の あるところに降りて、そこで吸汁し、環境がよければ卵を産まないで、 直接、翅がないメスの幼虫を産みます(卵胎生)。生まれたアブラムシは メスばかりで7日ほどで大人になり、交尾をしないでまた、直接メスの 幼虫を産みます。そして一カ所で爆発的に増殖します。 ただ、春先の翅の生えている浮遊しているアブラムシはキラキラする ものを嫌います(逆に黄色いものに引き寄せられます)。 p. 4 H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井) そこで、キラキラ光るテープをうねに沿って張っておくとアブラムシの 飛来を防ぐことができます。 病期と害虫を防ぐため、コンパニオンプランツの栽培(キュウリ vs.ネギ等)や、 天敵動物(クモやテントウムシ)を利用します。 コンパニオンプランツ (例:キュウリとネギ) 天敵:害虫を餌にして繁殖する虫です。 テントウムシ、 カマキリ、 ヒラタアブ、 寄生蜂、 クサカゲロウ ハネカクシ、 クモ などが自然界に います。 p. 5 H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井) 植物に必要な栄養 三要素 私たち人間に必要な栄養分にたんぱく質、脂肪、炭水化物のほかに各種ビタミン があります。植物にも同じように必要な栄養素があります。 その代表的なものが窒素(N)、リン酸(P2O5)、カリ(K2O)です。これを三要素と いいます。このほかにもマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、硫黄(S)、鉄(Fe) なども必要とされます。特に三要素は最も多く吸収されるので、不足するとたち まち栄養障害を起こします。それで、肥料として補給してやる必要があります。 光合成(炭酸同化作用) 窒素、リン酸、カリ、それと多くの微量要素は植物体では水に溶けて葉に送られ ます。葉には葉緑素があり空気中に含まれている二酸化炭素(炭酸ガス)を吸収して、 太陽の光と熱の働きにより炭酸同化作用を行います。その結果炭水化物(でんぷん や糖類)を合成し、植物体の各部分に送り、生命活動を行います。また、動物の 生命活動に欠かすことのできない酸素(O2)を生産しています。 炭酸同化作用(光合成)の式 6CO2 + 12H2O + 光エネルギー → C6H12O6 + 6H2O +6O2 (ブドウ糖) 三要素のはたらき 窒素(N) :植物のたんぱく質や葉緑素をつくる。葉の色を濃くしたり、葉や 茎を生長させます。 リン酸(P2O5) :細胞分裂を盛んにしたり、茎や葉を多くして果実の実りを良く したり、花の色やつやを良くします。 カリ肥料(K2O):水に溶けやすい成分です。糖やでんぷん、たんぱく質をつくった り、それらを移動、蓄積する働きがあります。また、植物繊維を 丈夫にしたり、根の肥大や耐寒力を増すためにも役立ちます。 その他の栄養素 カルシウム(石灰) :植物組織を強くし、葉緑素の生成、根の発育、有害物質の中和 マグネシウム(苦土):葉緑素の生成、体内物質の移動 硫黄、鉄、銅、亜鉛なども総合的に有効な働きをする H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井) H27 年 1 月市民農園講習会資料(春井) <市民農園講習会資料(H26.10)by 春井> コンパニオンプランツとは 野菜と花、野菜同士、それぞれ生育を助け合うもの同士を「コンパニオン プランツ(共栄植物)」といいます。生育の補助を行うことが出来ると ともに、病害虫の害を減らすことにも役立ちます。 <材料> トマト(ナス科)、ねぎ(ユリ科ネギ属)、パセリ(セリ科)、赤じそ(シソ科)、 サニーレタス(キク科)、みずな(アブラナ科)、ラディッシュ(アブラナ科) 植 物 バジル 相性の良い植物 胡椒, トマト, マリーゴールド キャベツ、ニンジン、セロリ、トウモロコシ、 キュウリ、ナス、レタス、エンドウ、 豆類(蔓なし) ラディッシュ、イチゴ、マリーゴールド ニンジン、トウモロコシ、キュウリ、ナス、 豆類(蔓あり)レタス、エンドウ、ラディッシュ, ビート 相性の良くない 植物 タマネギ ビート、タマネギ 豆類(蔓なし)、キャベツ、タマネギ、セージ アブラナ科 植物 豆類(蔓なし)、ビート、セロリ、タマネギ、 トマト、ハーブ類(シソ)、マリーゴールド、 ナスタチウム ニンジン 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、レタス、セージ、 タマネギ、エンドウ、ラディッシュ、トマト、 セロリ 豆類(蔓なし)、キャベツ、タマネギ、 ホウレンソウ、タマネギ、トマト トウモロコシ 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、キュウリ、 エンドウ、カボチャ、メロン イチゴ ディル トマト <市民農園講習会資料(H26.10)by 春井> 植物 キュウリ ナス レタス メロン タマネギ パセリ エンドウ コショウ ラディッシュ ホウレンソウ カボチャ イチゴ トマト (メモ) 相性の良い植物 相性の良くない 植物 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、トウモロコシ、 レタス、タマネギ、エンドウ、ラディッシュ、 ナスタチウム、マリーゴールド、 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、カボチャ 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、 キュウリ、タマネギ、ラディッシュ、イチゴ トウモロコシ、ナスタチウム、ラディッシュ ビート、キャベツ、ニンジン、セロリ、キュウリ、 豆類 (蔓あり、蔓 レタス、コショウ、カボチャ、イチゴ、トマト なし、エンドウ) トマト 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、カブ、 トウモロコシ、キュウリ、ラディッシュ、 タマネギ タマネギ 豆類(蔓なし)、豆類(蔓あり)、ニンジン、キュウリ、ヒソップ レタス、メロン、エンドウ、カボチャ セロリ、ナス、カリフラワー トウモロコシ、タマネギ、ラディッシュ 豆類(蔓なし)、レタス、タマネギ、カボチャ キャベツ キャベツ、ニンジン、セロリ、タマネギ、ミント トウモロコシ、 フェンネル H2703-市民農園講習会資料(春井) 【タマネギ(玉葱)の追肥~収穫について(ユリ科)】 〇タマネギのふるさとは地中海性気候で生育期の冬は温暖で比較的、雨がよく降ります。 日本では3月になると日差しが長くなり光の量が増えてきます。そうなると光合成が 盛んになり、生育を始め、タマ(球根)が肥大していきます。 1. 追肥 3月中旬~下旬に、1㎡あたり化成肥料 50gを施します(1株あたり1つまみ[約2g])。 2.収穫 収穫する時期が梅雨入りの時期と重なる場合が多いので、葉が黄色くなり、自然に 倒れてから 1 週間~10 日後が収穫の適期。 *倒伏してからも葉で作られた養分が、タマ(球根)の方に移動します。その期間が球根 の充実に大きく影響します。 施肥の目安 堆肥:スコップ1杯:2kg、苦土石灰1握り:約 40g、 化成肥料 1 握り:約 30g、1つまみ:約2g) H2703-市民農園講習会資料(春井) 【春・夏野菜の育苗】 春夏野菜の準備の時期になってきました! 苗を自分で育てる場合、これから準備にかかります。(下図) キュウリ(ナス科)、ナス、トマト、ピーマン(ナス科)など 1. タネをビニールポットに3~4粒ずつまきます。 2. 双葉がのうちから間引 きはじめ、本葉3枚の頃に1本にします。 (※オクラを育苗する時は間引きせず、3~4本立ちのまま定植するとよい)。 苗を購入する場合、5月の連休まで待ちましょう! 5月になって、暖かくなってから、苗を植え付けると、土の温度も上がって、 根もはやく元気になっていきます。早く植えつけて失敗するより、暖かくなって から植えつける方が生育がよくなります。
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