金属加工会社における生産工程管理システムの開発

金属加工会社における生産工程管理システムの開発
-工程管理の自動化技術の検討とそのシステム化-
国立松江工業高等専門学校情報工学科
指導教官:越田
高志
研究者:蔵野
晋也
2008 年 2 月 4 日
-1-
1.
はじめに......................................................................................................................... 3
1.1 共同開発企業について.............................................................................................. 3
1.2 研究の目的................................................................................................................ 3
2.
生産工程管理システムの設計......................................................................................... 4
2.1 生産工程管理システムについて ............................................................................... 4
2.2 開発方針 ................................................................................................................... 4
2.3 システム概要 ............................................................................................................ 5
2.4 ハードウェア構成 ..................................................................................................... 6
2.5 データベース ............................................................................................................ 7
2.5.1 既存データベース構造 ....................................................................................... 7
2.5.2 データベース設計 .............................................................................................. 8
3.
生産工程管理システムの開発......................................................................................... 9
3.1 開発環境 ................................................................................................................... 9
3.2
MZPlatform について ............................................................................................. 9
3.3 開発状況 ................................................................................................................. 10
3.3.1 開発画面と機能の解説 ..................................................................................... 10
3.3.2 フィールドテストの報告.................................................................................. 13
4.
今後の課題・計画 ........................................................................................................ 16
4.1 フィールドテストについて..................................................................................... 16
4.2 今後の課題.............................................................................................................. 16
参考文献
付録
-2-
1.
はじめに
1.1 共同開発企業について
共同開発先である金属加工会社(以下A社とする)では、月平均 500~600 種類(約 30
種類/月)の金属加工を行っている。これらの依頼は全て設計図である図面データを受け
て加工する受注形態となっている。新規受注時には顧客名・図番※1・作番※2 など、受
注時点で決定される項目を受注台帳データベース(Microsoft Access2000 にて運用)に
登録している。作番ごとの加工工程は、工場の監督者が図面を見た上で経験を元に工程
を決定する。加工工程の決定については受注されたものの規模や納期などの条件によっ
て変わることもあるため、詳細は加工しながら決定する状況もありうる。また、一日の
作業状況は、現場の作業者が作業票と呼ばれる紙に記入しており、終業時に事務室に提
出する。集められた作業票は事務の担当者によって、作業データベース(Microsoft
Access2000 にて運用)にキーボード入力にて登録される。
これらの状況から、作業データベースにて確認できる作業状況は前日までのデータと
なり、リアルタイムでの進捗管理を行えていない。また、加工作業ごとの結果時間のみ
を記録しているため、何時から何時まで加工したのかを知ることができない。つまり、
加工機械ごと・工場ごとの稼働状況を知ることができない。
1.2 研究の目的
生産工程管理システムは各企業固有の情報を多く扱うため、汎用システム化が難しく、
ほとんどの場合企業専用のソフトウェアを発注しなければならない。そのためシステム
価格が高騰し、中小企業では価格的に手が出ない状態が続いている。それらの問題を解
決するために、我々は産業技術総合研究所(以下産総研)が開発した MZPlatform[1]を
ベースに、生産工程管理システムを開発することとした。
また、本研究ではA社の協力の元、特にその問題点である加工工程の進捗管理とその
入力方式について提案・開発し、最終的にはA社の業務に対応していける生産工程管理
システムの開発を目的とする。
※1 受注した製品の図面データに割り振られた番号
※2 受注した製品に割り振られた番号
-3-
2.
生産工程管理システムの設計
2.1 生産工程管理システムについて
生産管理[2]とは、生産活動を計画し、組織し、統制する総合的な管理活動のこと。そ
の内容は、生産計画、生産組織および、生産統制である。これらのうち、一つないし二
つだけの管理は、生産管理の部分管理とみなされる。
生産工程管理システムとは、上記の生産管理を行うことを目的としたシステムである。
総合的な内容になるため、PC や入力・出力機器などハードウェアとソフトウェアを含め
てそう呼ばれることが多い。また、企業固有の生産工程に依存した情報を扱うため汎用
化が難しく、依頼企業に合わせたカスタマイズが必須となる。
そのシステム価格も様々で、部分管理ごとのソフトウェアなら 100 万~、総合的な生
産工程管理システムとなると数千万円が相場となっている[3]。
2.2 開発方針
A社とのミーティングの中で出た要望や意見を分析し、MZPlatform での実現性と運
用していく上での有効性等の観点も含めて、具体的な開発方針を決定した。システムの
全体は以下に示す開発方針に沿っていくものとする。
z
バーコードシステムの導入で、工数集計の簡便化を行う
z
リアルタイムでの進捗管理を実現する
z
工場・加工機械の稼働状況を可視化する
z
スムーズなシステムの移行ができるよう、インターフェース等は現在あるものを
ベースとする
z
ハードウェアの能力も考慮したうえで、実用に耐えうる処理速度を実現する
-4-
2.3 システム概要
現在A社では、作業工程ごとの経過時間のみを記録しており、この状態では作業機械
の稼働状況を知ることができない。そこで、加工作業開始時と作業終了時にその時間を
入力させることとした。時間の取得は登録操作時に自動で取得・書き込みを行うものと
し、登録の際には
‹
作業者 ID
‹
作番
‹
機械 ID
の 3 項目を入力しデータベースに格納する。これにより、誰が・どの製品を・どの機械
で作業しているかを知ることができる。作業終了時にも上記の 3 項目を入力させること
によって終了登録を行うが、その際に作業中のものを検索することができる機能を付加
する。具体的には開始登録を行っていて、終了登録が行われていないレコードにフラグ
を立てておき、そのレコード検索してくるという操作を行う。これは開始登録を行って
いない作業を終了するという誤操作を防ぐほか、工場ごとに作業中の工程を検索させる
ことによってリアルタイムでの工場・加工機械の稼働率を表示させることも可能になる。
また、入力はキーボードではなく、事前に作成されたバーコードを読み取ることによ
って行う。これにより入力作業を高速化・簡易化することができ、入力するバーコード
の管理を工夫することによって誤入力の低減を図っている。具体的には
z
作業者 ID ←
作業者自身が自分の ID バーコードが印刷されたカードを携帯
する
z
作番
z
機械 ID ←
←
工場に流される作業指示書に作番を変換したバーコードを印刷する
工場ごとに設置されているクライアント PC の側に、その工場に
置かれている加工機械の機械 ID を印刷した表を設置する
として、開始時・終了時の登録に利用する。
開始・終了時間を記録させることによって、稼働率を計算させることができる他にガ
ントチャートを作成させることも可能になる。これは、作番ごとの進捗状況を可視化す
るにあたって非常に重要な点である。このシステムに対応したデータベースの構造につ
いては後述する。
-5-
2.4 ハードウェア構成
今回開発する生産工程管理システムのハードウェア構成図を図 1 に示す。サーバ PC
は MySQL[4] をインストールし、データベースサーバとして運用する。サーバ PC には
MZPlatform と開発したアプリケーションのインストールが無くともデータベースサー
バとして稼動する。クライアント PC は工場端末として設置し、入力機器としてバーコ
ードリーダを接続している。また、クライアント PC には MZPlatform とは別にデータ
ベースの通信に利用する MySQL 用 JDBC[5]ドライバのインストールを必要とする。工
場の規模によってはクライアント PC を複数設置する場合もある
・・・・・
サーバ PC
工場 1
・・・・・
工場 n
クライアント PC1
クライアント PCn
バーコードリーダ
バーコードリーダ
図1
システムのハードウェア構成
-6-
2.5 データベース
2.5.1 既存データベース構造
まず、A社で現在利用されているデータベースの内、工程の時間数など作業実績
が記録されているデータベース[job]とその補助データベースである[table]について
の構造とリレーションシップを図 2 に示す。A社ではこのデータベースを利用し
Microsoft Access でフォームを作成することによって作業実績を入力している。今
回開発したシステムのデータベースもこのデータベースを基準にして改変したもの
となっている。
図2
データベース構造とリレーションシップ
-7-
2.5.2 データベース設計[6]
A社ではデータベースソフトとして Microsoft Access2000 を利用していたが、
MZPlatform での運用と複数のクライアントから書き込ませる状況を想定している
ために、MySQL を採用した。また、単位時間ではなく開始・終了時間を基準とし
て可視化するシステムであるため、データベースを新たに設計した。今回新たに作
成したテーブル main_run を表 1 に示す。これは図 2 内にあるテーブル[job]に代わ
るものとして設計したため、このテーブルを元にしたグラフ表示等には補助テーブ
ルである[table]も必要になる
表1
名称
ID
作業日
開始時間
終了時間
作業者ID
作番
機械ID
加工個数
段取り時間
中断時間
復帰時間
状態
フィールド
id_main
date_work
time_start
time_end
id_person
no_lot
no_machine
result
time_planing
time_stop
time_return
situation
main_run
フィールドタイプ
int(15)
date
time
time
int(3)
char(5)
int(3)
int(6)
float
time
time
int(2)
空の値(NULL)
いいえ
いいえ
いいえ
はい
いいえ
いいえ
いいえ
はい
はい
はい
はい
いいえ
基本値
NULL
NULL
NULL
NULL
NULL
開始・終了時間の他、作業者が何らかの理由で加工作業を中断した際に登録させ
る「中断時間」と、その復帰時間を記録する「復帰時間」を今後必要になってくる
ものと考え作成してある。具体的には昼休憩時などに利用される。
現在A社で使用されているデータベースとも互換を取るために、開始・終了時間
から経過時間を計算し、図 2 の[job]に書き込ませる機能も検討している。
-8-
3.
生産工程管理システムの開発
リアルタイムでの工程管理を実現するためにバーコードによる作業開始・終了時間登
録システムを設計開発した[7]。以下にその詳細を述べる
3.1 開発環境
開発環境を表 2 に示す
表2
開発環境
OS
Windows XP Professional
開発環境
MZPlatform ver.2.0
データベース
MySQL ver.5.0.17
3.2 MZPlatform について
製造の現場で必要なアプリケーションを製造スタッフの手で作りたいというニーズか
ら生まれたソフトウェア開発環境。仕様言語は Java でいわば Java のフレームワークで
ある。コンポーネントと呼ばれる部品をつなげることによってアプリケーションを作成
することや、GUI でインターフェースを作成することができるなど、Java の知識が深
くなくてもソフトウェアの開発ができるといった特徴がある。しかし、0からアプリケ
ーションを作成するにはそれなりの知識と時間を要する。
図 3 にアプリケーションの作成画面例、図 4 にその実行結果を示す。
図3
アプリケーション作成画面例
-9-
図4
図 3 の実行結果
3.3 開発状況
3.3.1 開発画面と機能の解説
MZPlatform 上で実際に開発したアプリケーションの画面と、その機能について
説明する。
まず、システムで最初に表示されるのは図 5 となっている。この状態からそれぞ
れの業務を行うページを開いていくことになる。現段階ではボタンを押すごとに新
しいページが出てくるが、最終的には全画面を基本とし、中をフレームとして切り
替えていくことで画面を遷移させる計画である。
図5
システムトップ画面
図 5 のトップ画面と同時に、システムはデータベースとの接続を行う。これは前
回使用した際のデータベース接続設定を保持していて、その設定のまま接続を自動
的に行う。接続が正しく行われなければ図 6 のデータベース接続設定画面があらわ
れる。
-10-
データベース接続設定画面では、指定したデータベースとの接続を確立する他、
確認用として簡易ではあるが、SQL の実行システムも搭載してある。
「テーブル一
覧」内にあるテキストボックスに SQL 文を入力し、横の実行ボタンを押すことで
SQL 文を実行することができる。また、今回のシステムは MySQL を使用している
ためにサーバ設定が[jdbc:mysql//ホスト名/]となっているが、Microsoft Access や
Excel で作成したデータ ODBC でマッピングすることで、MZPlatform 用のデータ
ベースとして利用することが可能である。
図6
データベース接続設定
図 7 が開始登録を行う作業開始入力画面である。システム概要で説明した通り、
作業者 ID、作番、機械 ID を入力するようになっている。入力はバーコードから行
うが、キーボードから入力することもできる。全て入力した段階で登録ボタンを押
すと確認ダイアログが現れ、
「はい」を押すと開始登録が完了する。時間はそのパソ
コンのシステム時間を取得し、確認ダイアログの「はい」ボタンを押した瞬間の時
間を記録して書き込む仕組みになっている。
-11-
図7
作業開始入力画面
次に示す図 8 の画面が作業終了登録画面である。作業開始登録を終え、加工作業
を終了した時点でこの登録を行う。また、誤入力を防止する目的として現在作業し
ている工程を検索することができる「作業中工程検索」処理を搭載している。この
ボタンを押すと作業中の工程を表示する。フィールド situation(表 1 参照)には開
始時点で 1 が入っており、終了登録を行うことでその値を 0 に変える。そのため
situation が 1 のものを表示させる SQL 文よって作業中の工程検索を実現している。
終了登録の際には開始登録時に入力した、作業者 ID、作番、機械 ID の他に段取
り時間と加工個数を入力できるようになっている。段取り時間は加工機械のプログ
ラミング等、実際に加工機械を稼動させていない時間を入力する。加工個数はその
工程が終了した段階で加工済みの個数を入力する。また、この 2 項目は NULL を許
可しており、空白にして終了登録を行うこともできる
図8
作業終了登録画面
-12-
3.3.2 フィールドテストの報告
日時
2007 年 12 月 7 日(金)
場所
A社
参加者
松江高専
11:00~17:00
:清水、蔵野、牧、越田先生
テスト環境
PC
SOTEC winbook WS
OS
Windows XP Professional
バーコードリーダ
TS-4500-USB-B-FKS
今回システムテストを行った部署
・ ワイヤーカット、放電
・ 検査
登録した作番数
・ 10 個
登録した作業者 ID 数
・ 4名
1)
テスト結果について
システムテストに入る前の段階だが、離れた HUB 同士でのネットワークの接続
が確立できなかった。同じハブ内では、互いに通信することができたが、違うハブ
同士になると Windows XP の「マイネットワーク」上でお互いを確認できず、接続
も確立できなかった。この点については、離れたハブ同士でのルーティングと
Windows のネットワーク環境について、さらに調べて対応していく必要がある。
バーコードを利用してのデータベースの書き込みはトラブルもなく終えることが
できたが、作業者のみで入力するのは難しいようで自分たちが補助しなければいけ
ないところがあった。
記録したデータの内容を表 3 に示す。表 3 のデータベースの構造は表 1 である。ま
た、表 1 の結果を解析しガントチャート化したものを図 9 に示す。図 9 の表示では、
横軸が時間・縦軸が作番となっており、色で作業者を区別できるようになっている。
-13-
2)
使用者の感想及び意見
(1)
工程管理システムを使用した感想
・ 今のインターフェースでは入力がわかりづらい
・ 作業者レベルの視点で見ると、作業効率が悪くなる可能性がある
・ タッチパネルを利用するなど、直接キーボードやマウスを使わないほうが
わかりやすい
(2)
実際に運用していくとどうなると思うか
・ 一般の加工作業には向いているかもしれないが、検査など 1 つの作番あた
りの作業時間が短いものについては、煩雑である
・ 加工作業には油を使用するものもあり、作番のバーコードが印刷された作
業指示書が汚れて、バーコードが読み取れなくなる可能性があるのではな
いか?
・ 1 人あたりが複数の作業を同時進行することが多いので、開始登録、終了
登録がスムーズにいかない状況が出てくるのではないか?
3)
テストの反省点と問題点
実際に加工作業と平行して記録をとっていくにあたり、運用していくために改良
しなければならないところが複数見えてきた。これはテストで気付いた点の他ミー
ティングでの要望も入っている。
・ インターフェースに関して、大幅な改修が必要である。別画面で開いていく
のではなく、全画面表示の中で、画面を遷移していく等、もっとわかりやす
く、使いやすいインターフェースの考案が必要である
・ 業務終了時に加工機械を動かしたままにして翌日加工が終了している、とい
う加工作業の場合、終了登録の時間に誤差が生じてしまう。これを解決する
ために終了登録時、
「停止時間」を記録させ、その時間分をマイナスすること
で正確な加工作業時間を割り出させる
・ バーコードの割り当て、印刷、バーコードが記載された帳票の印刷に関して
MZPlatform 上でできるよう、作成・印刷システムを組み込む
・ 登録内容の修正の他、登録された時間の修正も可能なようにする。その場合、
管理者権限を持つ者のみが操作できる等、セキュリティに関しても考えなく
てはならない
-14-
表3
ID
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
作業日
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
2007/12/7
テーブルダンプデータ
開始時間 終了時間 作業者ID 作番 機械ID 加工個数段取り時間 中断時間 復帰時間状態
11:21:28 NULL
203 K0001
152 NULL
NULL
12:01:47 13:14:36 1
13:10:55 16:01:01
202 K0002
131
4
0 NULL
NULL
2
13:21:46 13:42:45
204 K0004
15
1
0 NULL
NULL
2
13:31:06 14:00:13
205 K0005
15
6
0 NULL
NULL
2
13:43:21 14:12:48
204 K0006
15
7
0 NULL
NULL
2
14:04:00 14:47:39
205 K0007
15
12
0 NULL
NULL
2
14:25:14 14:35:51
204 U0001
15
1
0 NULL
NULL
2
14:44:28 NULL
203 K0003
132 NULL
NULL
NULL
NULL
1
14:49:06 15:17:49
204 U0002
14
40
0 NULL
NULL
2
15:17:59 15:37:53
204 U0002
15
40
0 NULL
NULL
2
15:21:39 15:49:34
205 U0003
14
40
0 NULL
NULL
2
図9
ガントチャート[8]
-15-
4.
今後の課題・計画
4.1 フィールドテストについて
今回行ったフィールドテストでは、同一 HUB 内での通信しか成功しなかった。HUB
を越えた通信でのみ失敗したという状況から、持参したパソコンの設定に問題があった
可能性も考えられる。また、ファイアウォールの設定や HUB の接続状態なども通信に
関係してくるので、A 社のネットワーク環境を調査する必要がある。
直接の解決ではないかもしれないが、NetBUEI[9] をインストールすることによって
HUB を越えていても接続が確認できる可能性がある。しかし、マルチキャストを多用す
ることやルーティング機能が無いことから、あくまでテスト用の裏道的な解決法であり、
運用には向かない。
4.2 今後の課題
本研究ではシステムの中でも入力がほぼ完成し、入力テストを行うことができた。
また、登録されたデータをグラフ化する機能も開発が進んでいるため、今後の大きな
課題としてはインターフェースの改善等、現場で運用していくことを前提とした開発
が必要になってくる。今回行ったフィールドテストは約半日ほどで、登録された工程
も 4 種類ほどと少なかったため、登録の機能を試すことはできたが、登録データをも
とに工場・加工機械の稼働率を可視化するにはデータが足りていなかった。長い期間
テストを行うにあたり、誤入力や誤操作によるデータの修正が必要になる場合が出て
くると思われるので、インターフェースの改善と平行してコントロールパネルの開発
も行っていく。
-16-
参考文献
[1] 独 立 行 政 法 人
産業 技 術総 合研 究 所、 デジ タ ルも のづ く り研 究セ ン ター
:
MZPlatform, http://unit.aist.go.jp/dmrc/mzpf/mz_top.html
[2] Wikipedia:生産管理, http://ja.wikipedia.org/wiki/生産管理
[3] 生産管理システム TPiCS ホームページ, http://www.tpics.co.jp/
[4] MySQL, http://www-jp.mysql.com/
[5] Download Connector/J 5.1,http://dev.mysql.com/downloads/connector/j/5.1.html
[6] 松信嘉範:現場で使える MySQL,株式会社翔泳社(2006)
[7] 蔵野晋也、清水邦宏、越田高志:バーコードを利用した生産工程管理システムの開
発-バーコードによるリアルタイム進捗管理の実現-,情報処理学会第 70 回全国大会発表
予定
[8] 清水邦宏、蔵野晋也、越田高志:MZPlatform を利用した生産工程管理システムの開
発 -検索機能とその可視化-,情報処理学会第 70 回全国大会発表予定
[9] Windows XP で NetBEUI プロトコルを利用する方法,
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/win2ktips/209xpnetbeui/xpnetbeui.html
-17-
付録
XAMPP について
MySQL について
プログラム構成図
参考文献
-18-
XAMPP[1]について
今回のシステム開発において MySQL データベースの作成・管理には xampp と呼ばれる、
開発環境の一括インストールソフトを利用した。これは php を用いた web アプリケーショ
ンを開発する際に、必要となるソフトのほとんどを一括でインストールしてくれるソフト
ウェア群である。インストールされるソフトの中には MySQL も含まれており、また
phpMyAdmin と呼ばれる MySQL データベース管理ツールも自動でインストールされるこ
とから、今回 xampp を利用することとなった。Xampp は細かい設定をすることなく開発
環境を一括インストールできることから、開発には大変便利だが、その分標準設定でセキ
ュリティが甘くなっている。Xampp で運用を行う場合には注意が必要である。[2]
MySQL を他のアプリケーションと連動させる中で、避けて通れないのが文字化けの問題
である。ここでは Windows 環境で xampp を動かしているという条件のもと、主に考えら
れる文字化けとその対処法の一例を記述する
書き込みでの文字化け[3][4]
Xampp を標準のままインストールした状態でデータベース操作を行うとほとんどの場合
文字化けがおこる。これはそれぞれの phpMyADmin と MySQL、そして OS の標準文字セ
ットが違っているからである。ちなみに現在のデータベース・内部エンコーディングの文
字セット等を確認するには
SQL>SHOW VARIABLES LIKE 'character¥_set¥_%';
という SQL 文を実行して確認する。6 つの文字セットの状態が確認できるが、ここでそれ
ぞれの文字セットがバラバラであれば、文字化けが起こってしまう可能性が高い。文字化
けの特徴としては「~」が「?」として書き込まれてしまうなどがある。
解 決 法 は イ ン ス ト ー ル し た Xampp 内 に あ る MySQL フ ォ ル ダ の [my.cnf] と
PHPMyAdmin フォルダの[config.inc.php]というファイルから、それぞれの文字セットを
変更する。また、データベースを作成する際に照合順序を[utf-8_unicode_ci]にしておく。
照合順序については PHPMyAdmin から後で変更することが可能だが、最初から設定して
おくべきである。変更箇所の詳細は参考文献のホームページを参照していただきたい。
全てが utf-8 で統一できていれば、書き込みの際に文字化けすることはなくなる。
-19-
読み出しでの文字化け[4]
PHP や JAVA 等から SQL を実行し、データを読み込んでくる際にも文字化けをする可能
性がある。これは Windows の標準文字セットが SJIS であることに関係する。
解決法は select 系の SQL 文を実行する前に
SQL>SET NAMES sjis
を実行すること。これを実行してからデータを検索すると文字化けを解決することができ
る。文字化けの特徴としては、文字数は合っているが全て?になっている等である。
また、上記の SQL 文は文字セットの統一が出来ていないと効果がないため、まずは開発
環境の文字セットを統一することが必要である。
MySQL について
XAMPP をインストールすることで MySQL を利用する場合はデータベースのバックア
ップや移動を簡単に行うことが出来る。また、下記の内容は文字セットの統一が行われて
いることを前提とする。
バックアップについて
MySQL はバージョンにもよるが、それ自体にバックアップに関する機能が組み込まれて
いる。しかし、コマンドからの利用が分かりにくいため、開発段階では PHPMyAdmin で
のバックアップや移動をお勧めする。
まず、作成したデータベースを選択する。データベース構造が表示されているので[エク
スポート]タブを選択しエクスポートを行うが、この時テーブルが空でなければ自動的に[デ
ータ]にチェックがされている。このまま実行すればテーブル構造と同時にデータもエクス
ポートすることができる。注意点としては、エクスポートタブ選択時に[データ]の項目の中
で[バイナリフィールドは 16 進数を使用する]にもチェックが入っている点である。このチ
ェックをはずしておかないと内容が全て文字化けしてしまう。(図 10 参照)
[実行する]ボタンを押すことで、出力イメージをブラウザ上に表示させることができる。
これは確認用であって、実際にデータをバックアップするには[ファイルに保存]にチェック
を入れてから実行しなければならない。出力されたファイルは.sql という拡張子となる。
-20-
図 10
PHPMyAdmin でエクスポート
コンポーネント接続図
図 11
システムメインコンポーネント図 1
-21-
図 12
システムメインコンポーネント図 2
図 13
システムメイン実行画面
-22-
図 14
データベース接続用コンポーネント図 1
図 15
データベース接続用コンポーネント図 2
-23-
図 16
図 17
データベース接続実行画面
入力分岐画面コンポーネント図 1
-24-
図 18
入力分岐画面コンポーネント図 2
図 19
入力分岐実行画面
-25-
図 20
開始登録画面コンポーネント図 1
図 21
開始登録画面コンポーネント図 2
-26-
図 23
開始登録画面コンポーネント図 3
図 24
開始登録画面コンポーネント図 4
-27-
図 25
図 26
開始登録実行画面
終了登録画面コンポーネント図 1
-28-
図 27
終了登録画面コンポーネント図 2
図 28
終了登録画面コンポーネント図 3
-29-
図 29
終了登録画面コンポーネント図 4
図 30
終了登録画面コンポーネント図 5
-30-
図 31
終了登録実行画面
参考文献
[1] apache friends ,http://www.apachefriends.org/jp/xampp-windows.html
[2] phpspot,http://phpspot.net/php/pgXAMPP.html
[3] 不良社員のアフターファイブ | MySQL の文字コードを設定する,
http://yantona.jugem.jp/?eid=305
[4] artful xampp:Mysql に関する PHPMyAdmin の文字化け,
http://www.artful.jp/blog/archives/2006/07/xamppmysqlphpmy.html
-31-