課題別指針 障害者支援 平成 21 年 3 月 (2009 年) 独立行政法人国際協力機構 序 文 この度、2003 年 10 月に策定した JICA 障害者支援・課題別指針を改訂しました。 指針改訂にあたっては、「人間の安全保障」の概念や新 JICA のビジョンである 「Inclusive and Dynamic Development」の要素を取り入れ、JICA の協力の方向性 を再検討いたしました。2008 年 10 月の JBIC との統合をふまえ、本指針が JICA の障害者支援の礎となり、障害者の社会参加への取組みが実施されるための手 引書となれば幸いです。 この JICA 障害者支援・課題別指針は、障害者支援に関する現状や援助動向、ア プローチや手法を整理し、それらをふまえた JICA 事業の方向性や留意点を示す ことを目的に作成したものです。本指針が関係者の障害者支援に関する基本的 な情報・知識の共有を促進するとともに、JICA 事業の企画・立案及び案件の審 査や実施の際の参考となることを期待しています。 また、本指針を JICA ナレッジサイトを通じて公開することにより、広く一般 の方々にも JICA の障害者支援に対する基本的な考え方の周知を図っていきます。 2009 年 3 月 1 課題別指針 障害者支援 目 次 序文 1 概観 4 第1章 障害者支援の概観 9 1-1. 障害者支援の現状 9 1-2. 障害者支援の定義 10 (1) エンパワメント 10 (2) メインストリーミング 12 1-3. 1-4. 国際的援助動向 12 (1) 国連を中心とする取り組み 12 (2) 地域内・間協力への展開 14 (3) NGO の取り組み 16 我が国の援助動向 17 (1) 障害者政策の変遷 17 (2) 障害当事者団体等の発展 19 (3) 援助動向 20 第2章 障害者支援に対するアプローチ 21 2-1. 障害者支援の目的 21 2-2. 障害者支援に対する効果的アプローチ 21 (1) 障害者のエンパワメント 21 (2) 障害者のメインストリーミング 36 第3章 JICA の協力の方向性 47 3-1. JICA が重点とすべき取組みと留意点 47 (1) メインストリーミングの重点分野 47 (2) エンパワメントの重点対象者 48 (3) メインストリーミングの重点対象者: 行政、NGO・民間セクター、マスメディア (4) 実施上の留意点 49 50 2 3-2. 今後の検討課題 51 (1) 人材養成・確保にかかる課題 51 (2) 事業実施者としての障害者のメインストリーミングの 一層の促進 51 (3) JICA 職員に対する研修の実施拡充 51 付録 1. JICA 各スキームにおける障害者支援分野協力の実績 53 2. 主要ドナー及び国際機関、NGO の障害者支援に対する取組 70 3. 基本チェック項目 78 4. 地域別の障害者の現状と優先課題 82 5. リハビリテーションの専門分野 89 6. Community Based Rehabilitation 91 7. ICIDH(国際障害分類)及び ICF(国際生活機能分類) 97 8. インクルーシブとインテグレーション 100 9. 交通バリアフリー法とバリアフリー新法 102 10. バリアフリーとユニバーサルデザイン 105 11. 障害者の受入、派遣について 110 12. 障害分野関連団体リスト 118 13. 国際的なイニシアティブや関連条約一覧 125 14. 障害者支援にかかる諸概念の変遷 128 参考資料 1. 用語解説 135 2. 参考文献 142 3 概観 1. 障害者支援の概況 1-1. 障害者支援の現状 国連によれば、世界には何らかの障害を持つ人口が 6 億人に達し、その 3 分の 2 の 4 億 人が途上国に居住すると推定される。途上国における障害者は、様々な機会への参加が制 約されており、その多くは貧困状況で生活していることから、2015 年に国連ミレニアム開 発目標を達成するためには、障害者も対象として積極的に取り込んでいく必要がある。 1-2. 障害者支援の定義 本指針においては、障害者支援を「障害者の『完全参加と平等』を成し遂げるための当 事者のエンパワメントおよびメインストリーミング」と定義する。 「障害者のエンパワメント」とは、5 つの能力(基礎的能力、社会的能力、経済的能力、 政治的能力、危機対応能力)を障害者やその家族、コミュニティーが、状況に合わせなが ら開発していく過程を指す。また、JICA 事業における「障害者支援のメインストリーミン グ」とは、障害者の視点を全ての協力スキーム、事業サイクル、セクターに組み込む考え 方である。 1-3. 国際的援助動向 1975 年の「障害者の権利宣言」の採択などを経て、1981 年に「国際障害者年」が定めら れたことを機に、国際社会において障害者支援が主要な課題の一つとみなされるようにな った。1983 年から 1992 年の十年間が「国連・障害者の十年」と定められるとともに、その ガイドラインとして「障害者に関する世界行動計画」が宣言され、各国で様々な取り組み が行われるようになった。その後、1993 年に「障害者の機会均等化に関する標準規則」が 新ガイドラインとして採択され、1990 年代末から一層強力な障害者の権利条約が必要であ るという声が高まった。2006 年 12 月には「障害者権利条約」が採択、2008 年 5 月に発効 された。 こうした国連を中心とした取り組みと共に、地域ごとの取り組みも進展している。アジ アにおいては、国連アジア太平洋社会経済委員会(ESCAP)が 1992 年に「アジア太平洋障 害者の十年」を決議し、12 の行動課題からなる「アジア太平洋の障害者の十年行動課題」 4 を採択した。2002 年には、 「アジア太平洋障害者の十年」の 2012 年までの延長が決定され、 アジア太平洋の各国・地域の政府や関係者が取り組むべき障害者政策・行動計画として「び わこミレニアム・フレームワーク」が採択されている。アジア以外の地域においても、1999 年にアフリカ統一機構(現アフリカ連合)によって宣言された「アフリカ障害者の十年」 (2000 年~2009 年)、2004 年に国連西アジア経済社会委員会(ESCWA)とアラブ同盟によ って宣言された「アラブ障害者の十年」(2004 年~2013 年)、2006 年に米州機構によって 宣言された「アメリカ障害者の十年」(2006 年~2016 年)と、各地域イニシアティブが採 択されている。 1-4. 我が国の援助動向 1981 年の「国際障害者年」とこれに続く「国連・障害者の十年」を契機に、我が国の障 害者政策はノーマライゼーションや自立の理念に基づく在宅施策強化と社会参加促進にそ の重点を移してきた。1993 年に成立した「障害者基本法」では、対象となる障害の範囲を 拡大するとともに障害者の日や国による障害者基本計画の策定等について定めた。2003 年 度を初年度とする 10 ヵ年計画である「障害者基本計画」では、障害者の社会参加に向けた 施策の一層の推進を図るため、十年間に講ずべき施策の基本的方向が定められている。ま た、2006 年度より施行されている「障害者自立支援法」では、これまで障害種別ごとに提 供されていた福祉サービスについて、一元的に市町村が提供する仕組みに改めるとともに、 利用者負担の見直しが図られている。 全国的な当事者組織としては、戦後「全日本聾唖連盟」、「日本盲人連合会」、「日本 身体障害者団体連合会」等、障害種別・原因別の団体が結成され、初期はそれぞれ個別に 活動していたが、「国際障害者年」の影響を受け 1980 年代以降障害の種類や立場を超えて 当事者団体が連携を図るようになった。 対外的には、これまでの各障害者関連計画においても、これまで国内に蓄積された知見 を活かして国際協力を行うことが示されている。また、2002 年 5 月の ESCAP 総会において は我が国の主唱によって「アジア太平洋障害者の十年」の延長に関する決議が採択された。 2. 障害者支援に対するアプローチ 2-1. 障害者支援の目的 JICA における障害者支援の目的は、JICA が事業を実施する途上国において障害者の「完 全参加と平等」が実現できるよう支援することである。つまり、障害者が社会生活及び社 会の発展に完全に参加すること、障害を持たない人々と同じくあらゆる機会が均等に得ら 5 れるよう支援することである。 2-2. 障害者支援に対する効果的アプローチ 上述の目的の達成に向け、(1)障害者やその家族、当事者団体等のエンパワメント、 および(2)JICA のすべての事業における障害者支援のメインストリーミング、といった 二つの取組み=ツイン・トラック・アプローチが必要である。 (1) 障害者のエンパワメント エンパワメント型支援では、支援の対象レベルの違いを見極めた上で、「直接支援」 に関するものと「条件・環境整備」に関するものに分け、それぞれの支援策を検討する。 「障害者自身、その家族及び当事者団体」、「地方自治体・住民組織」、「国家レベル」 それぞれのレベルで協力を実施することにより、5つの能力(基礎的能力、社会的能力、 経済的能力、政治的能力、危機対応能力)の構築に貢献することができる。 1) 障害者のエンパワメントのための直接支援 当事者の能力開発研修、障害当事者団体の組織化、CBR(地域に根ざしたリハビリテーシ ョン)プログラムの実施、障害当事者同士のネットワークの強化などが挙げられる。青年 海外協力隊等のボランティアは、障害者の機能リハビリテーションを行う職種以外にも、 青少年活動や村落開発普及員、栄養士、助産師、看護師、コンピューター技師等の職種に よって草の根レベルでの支援を行う。 2) エンパワメントのための条件・環境整備 教育、訓練・雇用、福祉(行政サービス、福祉用具の開発・改良および普及、情報・コ ミュニケーションの保障)、保健・医療(障害原因の予防・早期発見および研究、リハビ リテーション医療)、スポーツ・レクリエーション・文化活動、啓発・広報、生活環境等 の分野で、障害者の主体性・自立性の確立、障害者の完全参加と平等といった基本的な考 え方を踏まえつつ協力を実施する。 (2) メインストリーミング 全ての事業に裨益者・実施者として障害者が参加することを進めていくこと、すなわち 「JICA 事業における障害者のメインストリーミング」と同時に、JICA 関係者の障害者に対 する意識・理解を深めあらゆる障壁を取り除く「メインストリーミング促進のための環境 整備」を進めていく。 6 1) JICA 事業における障害者のメインストリーミング 障害者を対象とした案件のみならず、全ての案件について、案件計画・実施・評価の段 階で、障害者の視点を確保し、事業の便益を障害者も平等に享受できるようにする必要が ある。たとえば、JICA の援助によって建設・設計される施設、設備等が、障害者にも利用 しやすいものとのなるよう、ハード面でのバリアフリー施策やユニバーサルデザインの導 入措置を講じることも含まれる。 また、事業実施者として、我が国の障害者と援助現場である途上国障害者の双方が、JICA が実施する事業に平等に参加できるようにすることを目指していく。加えて、案件形成、 検討、調査、実施、評価といった事業サイクルの各ステップに障害者の視点を導入するた めの具体的な手段が講じられる必要がある。 2) メインストリーミング促進のための環境整備 職員研修の実施、職員専門区分の設置、JICA ナレッジサイトの活用等を通じた JICA 関係 者への障害者支援への理解促進、障害のある JICA 職員雇用促進、JICA 関連施設におけるバ リアフリー化とユニバーサルデザインの導入等が挙げられる。 3. JICAの協力の方向性 3-1. JICAが重点とすべき取組みと留意点 (1) メインストリーミングの重点分野 世銀によると途上国の貧困人口の 20%が障害者であり、障害と貧困は密接に関連してい るため「貧困削減」は重点分野である。コミュニティー開発、村落振興、生計向上といっ た協力の実施において対象地域の障害者およびその家族も便益を享受できるよう留意が必 要である。また、内戦が長く続いた国々や地雷埋設数の多い国々では身体障害や PTSD を持 った人々が多いこと、障害者は他の社会的弱者同様、紛争後の復興・開発から取り残され る場合が多いことから、「復興・開発支援」も重点分野に挙げられる。 (2) エンパワメントの重点対象者 途上国において障害者があらゆる開発プロジェクトの便益を享受するためには、当事者 団体およびリーダーの育成といった協力が重要である。また、女性障害者は「女性」であ りかつ「障害者」であるという二重の社会・文化的障壁に直面している場合が多く、特に 配慮が必要である。 7 (3) メインストリーミングの重点対象者 障害者が社会や政治に参加するためには、中央政府レベルでの司法・行政の整備や意識 向上が必要である。また、開発途上国では民間セクターや NGO が行政組織を補完する役割 を果たすことも多いため、民間セクターの理解促進も重要。さらに、地域社会・生活のす べての面において障害者のインクルージョンが達成されるには、社会全体の障害理解が必 要であり、そのためにラジオ、テレビ、新聞などのメディアの果たす役割は大きい。 3-2. 今後の検討課題 (1) 人材確保 リハビリテーション専門職分野の専門家、障害者のエンパワメント分野の専門家ともに、 今後の需要に対応できるよう人材の把握に努める必要がある。また同時に、ジュニア専門 員や個別専門家養成研修といった人材養成制度を活用し、障害者支援分野の国際協力に関 する専門家を養成・確保していく必要がある。 (2) 事業実施者としての障害者のメインストリーミングの一層の推進 「人間の安全保障」が開発理念として掲げられ、JICA においても経済成長だけではなく 人々の生活の質が開発の課題となりつつある。障害もジェンダー等と同様、開発の枠組み における分野横断的な課題として認識されつつあるが、すべての事業において障害のメイ ンストリーミングを推し進めていくこと、またそれを可能にするための基盤づくりが今後 の大きな課題である。 (3) JICA 職員に対する研修の実施拡充 JICA におけるメインストリーミング推進のために、障害に関する職員研修を毎年実施 してきているが、受講者は関心のある職員に限られるなど限定的である。今後は、より多 くの関係者に確実に意識を根付かせるアプローチを検討する必要がある。 8 第1章 障害者支援の概況 1-1. 障害者支援の現状 開発援助がめざすべき目標については、開発援助に携わる国や機関等において様々な定 義や議論が行われている。しかしながら、開発がめざすものが、世界の全ての人々が遍く 平和と繁栄を享受し、貧困や飢餓、紛争に脅かされない状態であることは論を俟たない。 そしてこうした開発を支える手段として開発援助が果たす役割は大きい。 国連の推定によれば、世界には何らかの障害を持つ人口が 6 億人に達し、その 3 分の 2 の 4 億人が途上国に居住すると推定されているが、医療や教育などのサービスを受けられ る人は極めて少ないとされている。途上国では社会保障制度が発達しておらず、障害者は 十分な教育を受けられず、就労が困難であり、貧困に陥りやすい状況にある。また疾病に 対する脆弱性のために、貧困者は、障害を持ちやすい状況がある。途上国の多くの障害者 は絶対的貧困状況で生活しており、貧困層の 20%(世銀)と言われる障害者の問題を解決しな いことには国連のミレニアム開発目標(MDGs)の達成は成し遂げられないとの報告もある。 しかしながら開発途上国において障害を持つ人々は、国家政策においても優先順位は低く、 「開発」による受益から取り残されがちであり配慮はほとんどなされてこなかった。障害 者への偏見が根深いこと、また女性障害者や知的障害者に対する支援には特に課題が多い。 障害者支援分野は社会福祉の一環としてのみ捉えられ、障害者支援以外の分野においては、 これまで障害を持つ人々を参加者として認識し、積極的な参加を図る方策が適切に講じら れてきたとは言い難い。 2000 年の国連ミレニアム・サミットにおいて 21 世紀の国際社会の目標として採択された 国連ミレニアム宣言を踏まえて、国際社会共通の開発枠組みとしてミレニアム開発目標が とりまとめられた。このミレニアム開発目標は、人間開発(human development)を推進す る上で最も国際社会の支援を必要とする重要かつ緊急な課題に対して、2015 年という達成 期限と具体的な数値目標を定めたものであり、いわば国際社会が採るべき行動指針として、 今や国際的に受けとめられ、各国ドナーや援助機関はミレニアム開発目標の達成をめざし た援助アプローチの検討を開始し始めている。このミレニアム開発目標に示された 8 つの 目標は、貧困や飢餓の撲滅、普遍的初等教育の達成、ジェンダー平等の推進、幼児死亡率 の削減、妊産婦の健康改善等の「人間」を対象とした目標であり、数値目標として人口比 率が設定されている例が殆どである。当然ながら、人口の 5~10%を占めると言われる障害 者も対象として積極的に取り込んでいかなければ、このミレニアム開発目標の達成は容易 9 ではない。社会的便益を受けにくい障害者に対しては、特に留意して支援策を実施してい くことが極めて重要である。 1-2. 障害者支援の定義 本指針においては、JICA のこれまでの取り組みや課題別支援委員会での取り扱い範囲と の関係も踏まえ、障害者支援を「障害者の『完全参加と平等』を成し遂げるための当事者 のエンパワメントおよびメインストリーミング」と定義する。 障害者の「完全参加と平等」を成し遂げるためには、障害者やその家族が「 (自己)決定・ (自己)選択」することができる能力を取得し(エンパワメント)、そのような障害者やそ の家族を受け容れる社会的状況を整備することが必要である。障害者の参加を促す社会的 状況とは、社会における伝統的な障害者観を変革することによって「意識上の障壁」が取 り除かれるともに、建物へのアクセスを困難にする「物理的な障壁」 、情報へのアクセスを 困難にする「文化・情報面での障壁」 、および障害を持つ人々の参加を困難にするような「制 度的な障壁」が取り除かれ、あらゆる機会が平等に与えられている状況である1。 また、JICA 事業の実施においては、障害者やその支援者を対象としたプロジェクトのみ ならず、その他のプロジェクトについても、障害を持つ人々も平等に参加できるようにし なくてはならない。障害を持つ人々の視点を全ての協力スキーム、事業サイクル、セクタ ーに組み込むこと(メインストリーミング)により、JICA で実施されるプロジェクトや研 修の便益を、障害を持つ人々も遍く平等に享受できるようにすることが必要とされる。 (1) エンパワメント 「エンパワメント」とはジェンダー平等や貧困削減といった分野でも広く使用されてい る言葉であるが、その一般的な定義は「心理的、社会的、経済的あるいは政治的な要因で 抑圧され、自らの主体性を発揮する力を奪われている人たちが、その主体性を回復し、自 己実現に向けての力を獲得していくプロセス2」や、 「個人が自分自身の状況を改善するため に必要な行動を起こすことができるように、個人的、対人的、政治的な力を伸ばすプロセ スである3」とされている。 このような一般的な考え方に基づき、障害者福祉分野における「エンパワメント」とは、 「社会的に不利な状況に置かれた人々のハンディキャップやマイナス面に着目して援助す 11 22 3 障害者を取り巻く4つ障壁については、石渡、2001 を参照した。 社会福祉学双書:3:障害者福祉論、2002、p35 F.E. Peacock Publishers, 1998 10 るのではなく、長所・力・強さに着目して援助することでサービス利用者が自分の能力や 長所に気付き、自信を持ち、ニーズを満たすべく主体的に取り組めるようになることを目 指す理念4」と定義されている。 しかし、 「開発援助における障害者のエンパワメント」については、明確な定義が示され ていない。特に、JICA が事業を実施する国々は開発途上国であり、そもそも資金や人的資 源が限られており、社会的偏見が根強い国も多く、先進国と状況は大きく異なっている(2-1 参照)。したがって、そのような社会状況の中で障害者のエンパワメントを目指す際には、 個々の国の政治的、文化的、宗教的、社会的背景を十分考慮しつつ実施する必要がある。 本指針においては、DAC5貧困削減ガイドラインにおけるエンパワメントの考え方を採用し、 障害者支援におけるエンパワメントとは、表1にあるとおり5つの能力(基礎的能力、社 会的能力、経済的能力、政治的能力、危機対応能力)を障害者やその家族、コミュニティ ーが、状況に合わせながら開発していく過程を指すこととする。 表 1-1 能 力 基礎的能力 社会的能力 経済的能力 政治的能力 危機対応能力 障害者のエンパワメント支援における5つの能力の定義 内 容 教育、リハビリテーション、予防接種、保健・医療サービスや十分な栄養 を摂取するために必要な情報を得るための能力、及び、自分の意志で自由 に移動・行動できる能力。 人間としての尊厳を持ち、社会的地位が認められるために必要となる能力。 社会の一員であり、その発展に貢献し、障害者の住む地域住民が障害者を 社会の構成員であると認識できる状態を達成するために必要な能力。 生活していく上で必要な収入が得られ、必要に応じた消費ができる能力。 障害者の人権が認められるために必要な能力。障害者やその家族が彼らの 生活に影響を与える政治・政策決定過程に参加し、意思決定に参加するた めの能力。 食糧不足、病気、災害、犯罪、戦争、紛争などによる脆弱性から自らを守 る能力。 前述のエンパワメントの対象者は障害者自身やその家族であるが、このようなエンパワ メントの過程を支援していくには、各国の政府の方針に配慮し、リハビリテーションを担 う人材の養成、障害児教育や障害者福祉に係る政策策定、市民への啓発活動といった分野 での協力も必要不可欠である。これらの支援は、障害者の生活の質(QOL)を高め、自己選 択できる選択肢を広げ、参加を阻害する数々の障壁を除去し、エンパワメントされた障害 者の社会活動への完全参加を保障する体制をつくりあげることを可能にする。障害者を直 接の裨益者としなくとも、間接的に障害者のエンパワメントに貢献することができるこの 4 5 社会福祉士養成講座:障害者福祉論、2003,p12 Development Assistance Committee:開発援助委員会。OECD (経済協力開発機構)内の委員会。 11 ような支援を「エンパワメントのための条件・環境整備」として整理する。つまり、障害 者のエンパワメントには、障害者やその家族、当事者団体を対象とした直接的な支援と、 間接的な支援である条件・環境整備の2つのアプローチがある。 (2) メインストリーミング JICA 事業における障害者支援のメインストリーミングとは、障害(者)の視点を全ての 協力スキーム、事業サイクル、セクターに組み込むという考え方で、このことによって、 全ての開発課題において、計画策定、実施・モニタリング、評価に障害者が参加できるよ うにすることを目指す。 例えば、農村における保健・医療、教育、地域開発、復興・開発支援、ジェンダー平等 といった分野で実施する案件について、プロジェクトの裨益者・実施者として障害者の存 在を意識し、彼らがプロジェクトの計画、実施・モニタリング、評価に参加することによ って、障害を持つ人たちのニーズも開発プロジェクトに反映させていくことを目指すもの である。同時に、研修コースなども、障害者を対象とした研修だけでなく、他の研修につ いても障害者がより参加しやすいような研修環境を整えることである。 また、上記のように JICA 事業におけるメインストリーミングを図るためには、JICA 関係 者の障害者に対する意識改革(意識上の障壁の除去)、建物等のバリアフリー化(物理的な 障壁の除去) 、情報提供手段の多様化(文化・情報面での障壁の除去)、および障害を持つ 専門家や協力隊等に係わる派遣制度の見直し(制度的な障壁の除去)等を同時に行ってい く必要がある。このような取組を「メインストリーミングを実現させるための条件・環境 整備」として整理し、メインストリーミングの取組として、計画策定、実施・モニタリン グ、評価における障害者の参加と、JICA 内での環境整備の2つのアプローチを設ける6。 1-3. 国際的援助動向 (1) 国連を中心とする取り組み 1975 年の「障害者の権利宣言7」などを経て、国連は、1976 年の国連総会で、1981 年を 「国際障害者年」と定めた。これを機に、国際社会において障害者支援が主要な課題の一 6 アプローチのまとめとして図 2-3 を参照。 1975 年 12 月 9 日、全ての障害者の権利を擁護するために採択された。この中で、まず障害者について定 義し、全ての障害者の平等を主張し、リハビリテーションや労働・経済保障、レクリエーションなどの権 利、差別や搾取からの保護が謳われている。また、この宣言が出された 12 月 9 日を日本では「障害者の日」 と定めている。 7 12 つとして重視されるようになった。 「国際障害者年」は「完全参加と平等」をテーマとしており、これを契機に、障害者が 社会生活及び社会の発展に完全に参加すること、障害を持たない人々と平等な生活を営む こと等の「機会の均等化」を目的として、世界各国で積極的な取り組みが行われるように なってきた。 国連は、 「国際障害者年」終了後も障害者問題に関する課題に引き続き取り組む必要性を 感じたことから、1982 年 12 月に、1983 年から 1992 年の十年間を「国連・障害者の十年」 とすることを決議し、そのガイドラインとして「障害者に関する世界行動計画」を宣言し た。「国連・障害者の十年」は、「障害者に関する世界行動計画」に基づき、各国において 「障害の予防」 、 「リハビリテーション」 、障害者の社会生活と社会発展への「完全参加と平 等」を目標に行動計画を策定し、障害者の「機会の均等化」を促進するよう提唱した。各 国ではこの行動計画を指針にさまざまな取り組みを行った結果、障害者問題に関する意識 の向上や知識の増大、障害者や障害者団体の役割の拡大、障害に関する法制の発展等が飛 躍的に達成されたのである。 その後、障害者の「完全参加と平等」が実現されるために、「子どもの権利条約(1989) 」 同様、批准することで国内法と同等の拘束力をもつ「障害者権利条約」の採択が望まれた が、国連総会での合意は得られず、1993 年に「障害者の機会均等化に関する標準規則 (Standard Rules) 」が、新たなガイドラインとして採択された。同規則には、教育、雇用、 医療、途上国への技術・経済協力や国際協力等々の分野において、障害者の社会活動への 参加、差別禁止、機会均等を実現する方法が具体的に示されており、国際社会は機会均等 基準の実施を促進した。しかし 1990 年代末からより一層強力な障害者の権利条約が必要で あるという声が再度強まってきたことを受け、2006 年 12 月 13 日、第 61 回国連総会におい て「障害者権利条約」がついに採択された。日本政府は 2007 年 9 月 28 日に署名。2008 年 4 月 3 日までに 20 ヵ国が批准し、2008 年 5 月 3 日に発効した。2009 年 1 月現時点では 137 カ国が署名、44 カ国が批准している。このような流れを受け、近年、国連アジア太平洋経 済社会委員会(ESCAP) 、世界銀行(WB) 、アジア開発銀行(ADB) 、国際労働機関(ILO)等々、 多数の国際機関が障害者問題への積極的な取り組みを行っている。また、二国間援助機関 としては、障害者分野での国際協力に力を注いでいるスウェーデンの「国際開発機構 (Sida) 」や、デンマークの「国際開発援助(DANIDA)」、カナダの CIDA らの活動が注目さ れる8。 8 それぞれの活動の詳細については、付録 2 参照。 13 (2) 地域内・間協力への展開 「国連・障害者の十年」は、アジア地域において、障害者問題に関する意識の向上や障 害予防とリハビリテーションに関する進歩をもたらしたものの、特に途上国、後発開発途 上国において障害者の状況改善に関する進歩にばらつきがあるという認識から、ESCAP は 1992 年に「アジア太平洋障害者の十年」を決議し、12 の行動課題からなる「アジア太平洋 の障害者の十年行動課題9」を採択した。この決議によって、ESCAP 地域で、障害者の「完 全参加と平等」を実現するため、各国政府に対し、経済・社会開発における障害者の参加 促進、障害者支援サービスの拡大等の施策を策定し、障害者の状況を改善するとともにそ のフォローアップ評価をすることが要請されることになった。また、この十年を広く周知 させるため、1993 年に沖縄で国際 NGO 会議が開催されたが、その決議として、アジア太平 洋地域の民間団体で同「十年」を推進する目的で、アジア太平洋障害者の十年推進 NGO 会 議(RNN)が同年設立された。一方、全世界の障害者数の約 6 割がアジア太平洋地域に住ん でおり、更にその半分以上が女性であるといわれる現状の中、 「アジア太平洋障害者の十年」 においては、ジェンダー問題も大きく取り上げられるようになった。 2002 年には、ESCAP 総会で、 「アジア太平洋障害者の十年」を 2003 年から 2012 年まで延 長すること、 「障害者の権利条約」実現の促進、「アフリカ障害者の十年」との協力など 11 項目からなる決議が採択された。アジア太平洋の各国・地域の政府や関係者が取り組むべ き障害者政策・行動計画として、同年 10 月に「びわこミレニアム・フレームワーク」が採 択されている。この新「十年」を推進するため、RNN は APDF(Asia and Pacific Disability Forum:アジア太平洋障害フォーラム)という新たな組織にかわり、その活動が更に発展さ れることとなった。2007(平成 19)年9月には中間評価に関するハイレベル政府間会合が開 催され、各国の取組状況の報告等とともに、「びわこプラスファイブ」が採択された。「び わこプラスファイブ」は、 「びわこミレニアム・フレームワーク」を補完し、2008 年から 2012 年までの実施を促進するための行動指針であり、 「アジア太平洋地域の障害者のための インクルーシブでバリアフリーな、かつ、権利に基づく社会」を目指すものである。 アジア以外の地域では、1999 年にアフリカ統一機構(現アフリカ連合:African Union: AU) によって、2000 年から 2009 年を「アフリカ障害者の十年」とすることが宣言された。これ は、アフリカ諸国の政府が、障害者のエンパワメントと障害状態の改善、社会的・経済的・ 政治的計画に障害者を含めること等を目的10として決議したもので、アジア地域との協力の 9 12 の行動課題とは、①国内調整、②法律、③情報、④啓発広報、⑤アクセシビリティとコミュニケーシ ョン、⑥教育、⑦訓練と雇用、⑧障害の予防、⑨リハビリテーションサービス、⑩福祉機器、⑪自助組織、 ⑫地域協力の 12 の分野における課題を整理したものである。 10 最大の目的は、政府の開発戦略に障害(者)問題を組み入れること、つまり障害(者)問題のメインス トリーミングである。具体的課題は9点ある。①障害者とその家族の貧困の軽減、②障害(者)問題に関 14 もとに推進される。また、アラブ地域でも 2004 年から 2013 年までを「アラブ障害者の十 年」と定め、12 の重点課題項目 ①法律、②健康、③教育、④リハビリテーションと就業、 ⑤物理的なアクセシビリティー、⑥障害児、⑦女性障害者、⑧障害と高齢者問題、⑨マス メディアと障害、⑩貧困とグローバリゼーション、⑪スポーツとレクリエーション、⑫モ ニタリングと実施を通じた同地域の障害者の環境改善に向けての取り組みが行われている。 中南米地域においては、 「アメリカ障害者の十年」が 2006 年 4 月に米州機構によって宣 言され、参加国は 2016 年までにインクルーシブな社会に向け確実な進歩を遂げること、開 発プログラムおよび貧困対策プログラムにおいて障害者に優先的に取り組むことが理念と して掲げられている。重点目標は次のとおり。①障害者への社会的態度におけるバリアー の除去、②保健医療への平等なアクセスの改善、③インクルーシブ教育および技能・職業 訓練の保障、④労働への参加、⑤ユニバーサルデザインの導入による物理的およびコミュ ニケーション上のバリアーの除去、⑥コミュニティの利益を享受するための市民的・政治 的権利の確保。 BOX1-1(1) びわこミレニアム・フレームワーク 「アジア太平洋障害者の十年」を通して取り組まれた 12 の目標達成のための行動領域のうち、 教育など十分な進展が見られなかった領域に着目し、①障害者の自助団体およびその家族・親の 会、②女性障害者、③早期発見、早期療育と教育、④職業訓練と自営を含む雇用、⑤各種施設及 び公共交通機関へのアクセス、⑥情報やコミュニケーション支援技術を含む情報やコミュニケー ションへのアクセス⑦能力構築や社会保障及び持続可能な生計プログラムによる貧困削減、の七 つの優先的な行動領域の具体的な目標と行動計画が定められた。また、円滑に実行するための準 地域レベルでの政府間の協力と連携や NGO との協力強化、「アジア太平洋障害開発センター」 (APCD)との協力やネットワークの構築、進捗状況について監視と評価など、具体的な戦略も組 み込まれた。 する啓発、③平和の構築とその他の障害原因の削減、④アフリカ障害者の地位向上、⑤政府の政治・経済・ 社会アジェンダへの障害(者)問題の組み入れ、⑥国連標準規則のアフリカ地域における定着、⑦国連人 権宣言の適用、⑧障害児、障害女性、障害青年に関する諸問題への取組、⑨アフリカにおいて障害者の利 益を守るための政策や制度の設立に対して国連標準規則を利用すること。 15 BOX1-1(2) びわこミレニアム・フレームワーク 訓練と自営を含む雇用 早期発見、 早期療育と教育 障害者自助 団体および その家族や 親の会 各種施設や 公共交通機関へ のアクセス 女性 障害者 能力構築や社会保障、 持続可能な生計プログ ラムによる、貧困削減 情報やコミュニケーシ ョン、支援技術を含む、 情報やコミュニケーシ ョンへのアクセス (参考:社会福祉士養成講座 障害者福祉論 中央法規 2003 ESCAP 新アジア太平洋障害者の十年 2003-2012 政策分野) (3) NGO の取り組み 「国際障害者年」や「国連・障害者の十年」が障害者支援分野において残した成果は大きく、 しかも、民間の組織化と活性化に重要な役割を果たしたといえる。世界的当事者団体である、 障害者インターナショナル(DPI) 、世界盲人連合(WBU) 、世界ろう連盟(WFD) 、インクルージ ョン・インターナショナル(II)などが、それぞれに会員団体を抱え、活発な活動をしている。 リハビリテーション・インターナショナル(RI)は、各国において各種のリハビリテーション サービス提供など、障害者支援に携わる専門組織から構成される国際的な障害者支援団体であ る。近年は、政府、国際機関とともに、これら国際 NGO が障害者支援に重要な役割を果たして いる。 1999 年には「国際障害同盟(IDA : International Disability Alliance) 」が、障害者 インターナショナル(DPI)、世界ろう連盟(WFD)、世界盲人連合(WBU)、インクルージョ ン・インターナショナル(II)、世界盲ろう者連盟(WFDB)、世界精神医療ユーザー・サバ イバーネットワーク(WNUSP)によって結成された。その後、リハビリテーション・インタ ーナショナル(RI)と難聴者インターナショナル・フェデレーション(IFHHP)が加わり、 現在ではこれら 8 つの団体によって構成されている。この組織はゆるやかなネットワーク 16 組織であり、国連における障害者権利条約の制定に向けて取り組んでいる11。 2000 年 3 月北京において、DPI、RI、WBU、WFD 等々の国際障害 NGO が集い、「障害に関す る世界 NGO サミット」が開催された。この会合では、21 世紀に向けて「障害者の完全参加 と平等」実現のための国際条約の成立を促すことを目的のひとつとし、「新世紀のおける障 害者の権利に関する北京宣言」が採択されている。2002 年 10 月には、アジア太平洋障害者 の十年最終年記念フォーラムとして、札幌で DPI 世界大会が、大阪では RI 及び RNN などに よる大阪フォーラムがそれぞれ開催され、障害者の「完全参加と平等」に向け、更なる大 きな一歩が踏み出された。 このように、今日、政府、国際機関、NGO の三者の連携による取り組みや、国際レベルか ら地域レベルでの活動と、世界中で障害者の「機会均等化」実現のための積極的な活動が 行われている。その大きな成果とも言えるのが、2001 年、メキシコ等が提案した障害者の 権利に関する国際条約を検討するための特別委員会の設置が、国連総会において全会一致 で採択されたことである。障害者差別禁止法が制定されているのは今のところ 40 数カ国で あるが12、真の障害者の「完全参加と平等」に向けて、2006 年 12 月 13 日国連総会は障害者 権利条約を採択、2008 年 5 月 3 日に発効、障害者の歴史にとって画期的な出来事となった。 1-4. 我が国の援助動向 (1) 障害者政策の変遷 1981 年の「国際障害者年」とこれに続く「国連・障害者の十年」を契機に、我が国の障 害者政策はノーマライゼーションや自立の理念13に基づく在宅施策強化と社会参加促進に その重点を移した。政府は、1980 年に総理府に国際障害者年推進本部を設置し、1982 年に は「障害者対策に関する長期計画」を策定した。この長期計画は啓発広報活動、保健・医 療、教育・育成、雇用・就業、福祉、生活環境について、10 年間の障害者施策の方向と目 標を示した。 1993 年には障害者対策推進本部(1982 年、国際障害者年推進本部から改組)が、政府の 障害者施策の基本を定めた「障害者対策に関する新長期計画‐全員参加の社会づくりをめ ざして‐」 (以下、 「新長期計画」とする)を策定した。同年、「障害者基本法」(心身障害 者対策基本法の改正)が成立し、対象となる障害の範囲を「身体障害、精神薄弱14又は精神 11 それぞれの団体の活動内容については、付録 2 参照。 日本も未制定国の一つである。 13 詳細は付録 14 を参照。 14 1998 年の「精神薄弱の用語の整理のため関係法律の一部を改正する法律」により、法律上「知的障害者」 の語が用いられることになった。ここでは歴史的記述について「精神薄弱」を用いた。 12 17 障害」に拡大するとともに、障害者の日や国による障害者基本計画の策定等について定め た。また、 「新長期計画」の具体化を図るための重点施策実施計画として「障害者プラン~ ノーマライゼーション7か年戦略~」(1996 年度~2002 年度)を推進してきた。このプラ ンの特色は①数値目標設定等、施策の具体的目標を盛り込み障害者施策の協力推進を図る こと、②保健福祉分野にとどまらず幅広い施策分野に総合的・横断的に取り込み、関係省 庁が連携協力して施策を効果的に推進していくことにある。 2002 年度には「新長期計画」とその重点施策実施計画である「障害者プラン」は最終年 を迎え、2003 年度を初年度とする 10 ヶ年計画である「障害者基本計画」と 5 ヶ年計画とし ての「重点施策実施計画(新障害者プラン) 」が策定された。 「障害者基本計画」は、これ までの「新長期計画」における「リハビリテーション」及び「ノーマライゼーション」の 理念を継承するとともに、障害者の社会への参加、参画に向けた施策の一層の推進を図る ため 2012 年度までの十年間に講ずべき障害者施策の基本的方向について定めている。この 中では、障害者が社会の対等な構成員として、自己選択と自己決定の下にあらゆる活動に 参加できる共生社会にしていくことを目標に、①社会のバリアフリー化、②障害の特性を 踏まえた施策の展開、③利用者本位の支援、④総合的かつ効果的な施策の推進、を進めて いくことを基本方針としている。また、重点的に取り組むべき課題として、①活動し参加 する力の向上、②活動し参加する基盤の整備、③精神障害者施策の総合的な取組み、④ア ジア太平洋地域における域内協力の強化、を挙げている。新障害者プランは「利用者主体」 を実現するための障害者ケアマネジメント、地域生活支援システムの確立などが強調され ている。 また、2005 年度に「障害者自立支援法」が成立し、2006 年度より施行されている。同法 においては、これまで身体障害、知的障害、精神障害の障害種別ごとに提供されていた福 祉サービスについて、一元的に市町村が提供する仕組みに改めるとともに、利用者負担の 見直し( 「応能負担」から「応益負担」へ:受けたサービスの値段の 1 割を自己負担とする) が図られている。 なお、各種の障害者施策は国のレベルでは多くの省庁が担当して実施されている。盲人 用の信号機の設置は警察庁の担当であり、財務省は各省庁の予算を担当する以外に所得税 など国税に関する障害者への減免措置などを担当している。厚生労働省は予防、治療、福 祉、雇用、所得保障などと幅広く担当しており、関連法律も多い。国土交通省ではバリア フリー新法の施行や交通バリアフリー法の公布により、物理的バリアフリー化を推進する 他、総務省で障害者に係る欠格条項の見直しを行い、障害者情報ネットワークの構築など、 制度や情報の面から、さまざまなバリアフリーに係る施策をとっている。外務省は、障害 者リハビリテーションに対する技術協力を担当している。 18 (2) 障害当事者団体等の発展 我が国の障害者支援に係る施策やサービスの形式は、国や地方自治体などの行政機関及 び専門家によるものだけでなく、障害を持つ人自身や団体の運動によって切り拓かれてき たものも多い。 全国的な当事者組織としては、1947 年の「全日本聾唖連盟」、1948 年の「日本盲人連合」 が最初であり、後に身体障害者団体の連合体として「日本身体障害者団体連合会」が結成 された。障害の種類や原因別に、また地域別や考え方の違いにより誕生してきた当事者団 体は、それぞれ個別に活動をしてきた。 1981 年の国際障害者年は我が国の当事者運動等にも大きな影響をもたらした。1960 年代 後半から団体組織の連係を図る動きはあったが、1980 年に全国所得保障確立連絡会、1984 年全国障碍者自立生活確立連絡会などが発足し、障害者の自立、所得保障、精神障害者の 社会復帰などの課題に関し、当事者が積極的な社会運動を展開してきた。こうした運動は 海外の障害当事者・団体の協力・連携により実施されることもあった。 一方、国際障害者年前年である 1980 年に「国際障害者年日本推進協議会(推進協) 」(現 在の「日本障害者協議会」 (JD))が設立された。推進協は、障害の種類や立場を越えて全 国規模の 100 に近い各種の当事者団体及び支援団体が参加するという、我が国障害分野に おける民間サイドの運動の中できわめて画期的な出来事であったと言える。 障害当事者及び団体の活動として重要な点は、自分たちで抱えている問題をアピールす るだけではなく、実際に必要な情報やサービスを同じ障害を抱える仲間に提供することに ある。全国規模・都道府県レベルの団体は、アピール運動の他、各種の相談や情報提供、 福祉サービスを独自で、あるいは国や都道府県からの委託事業として実施している。また、 国の制度である身体・知的障害者相談員の役割を担うなど各種の相談及びピアカウンセリ ング事業を展開している。特に障害者にとって、同じ障害を持つ人による相談、ピアカウ ンセリング15事業は実質的かつ精神的に大きな効果があり、様々な取組みがなされている。 当事者運動の成果として、1993 年改正の「障害者基本法」には、その条文に施策審議や 計画策定に関して障害者自身の参加を明記しているが、このことに象徴されるように、我 が国の当事者運動も欧米同様、過去の要望・要求や問題提起レベルから、問題解決の提案 レベルへと役割が進展しているといえる。 15 ピア(Peer)とは仲間や同等という意味で、障害という共通の体験を通してカウンセリングをする事。 障害を持って生きてきた事を自分の中で認め(受容) 、自信を持って積極的に生きるためのカウンセリング。 批判やアドバイスではなく、本人が積極的に自己評価をできるように、よりそい、感情の開放を促してい くコウ・カウンセリングの手法を用いている。カウンセリングを通して、積極的な自己イメージを築き、 親元という庇護の場や、施設という管理の場ではなく、自立した生活へ移行できるよう、精神的サポート と具体的な情報の提供を目的としている。ピア・カウンセリングは障害者個人の自立生活を可能にする自 己変革と、障害者の側から社会を変える力を育てていく事にある。 19 (3) 援助動向 対外的には、 「新長期計画」において、我が国が国際的地位にふさわしい国際協力を行う ことを明確に位置づけており、これまで福祉、保健・医療、教育、雇用などさまざまな分 野で蓄積してきた技術、経験などを、ODA や NGO などを通じて途上国の障害者施策への支援 に活かしている。また援助対象国に対する直接援助の他、国連等の国際機関を通じた協力、 例えば、国連障害者基金16や ESCAP の「アジア太平洋障害者の十年」関連プロジェクトへの 拠出、各国障害者の交流、情報交換の場として、国際会議やスポーツ大会の開催に協力も 行っている。また、1996 年にリヨンサミットで日本政府が提唱した「世界福祉構想」は、 先進国も開発途上国も含めた社会保障政策について、互いの知識と経験を共有することに より、それぞれの国が抱える問題解決を目指すものであり、その構想に基づき我が国では、 関係省庁の協力体制の下、事業を推進している。 「アジア太平洋障害者の十年」に関しては、2001 年 4 月の ESCAP 第 57 回総会において、 同「十年」提案国である我が国の政府代表が同「十年」最終年ハイレベル政府間会合の本 邦誘致を表明し、これを滋賀県で開催することが決定された。2002 年 5 月の ESCAP 第 58 回 総会においては、我が国の主唱により、現「十年」を更に十年延長する決議が採択された (29 カ国の共同提案) 。 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念事業では、関連する2つ の国際会議である DPI 世界会議札幌大会、大阪フォーラム17を成功させるために、超党派約 200 名の国会議員による「障害者国際会議推進議員連盟」が結成された。 以上のように「アジア太平洋障害者の十年」が更に 10 年延長することが ESCAP の総会で 採択されたことを受け、新長期計画、障害者プランについても引き続き行うことが決まり、 「障害者基本計画」及び「重点実施計画5ヶ年計画(新障害者プラン)」が 2003 年度を初 年度に策定された。この中で重点的に取り組むべき課題の一つとして、アジア太平洋地域 における域内協力が挙げられている。特に国際協力の基本的方向を示す中で「国際協力に 当たっては、相手国の実態やニーズを十分把握するとともに、援助を受ける国の文化を尊 重し、その国のニーズに応じ柔軟に対応する」と相手国に沿った協力をすることを明確に している。 16 国連障害者基金は、開発途上国等における障害者施策関連事業への資金的な援助を行うことを目的とし て 1977 年(昭和 52 年)に設立され、世界各地で様々な障害者支援プロジェクトに役立てられている。日 本は、障害の予防及び効果的リハビリテーンョン等「障害者に関する世界行動計画」の目的を実現するた めに開発途上国や障害者組織からの要請に応えることを目的として、1999 年までに累計 531 万ドルの資金 拠出を行っている。 17 DPI,RI,RNN の三つの国際的 NGO 組織が中心となり札幌と大阪で「アジア太平洋障害者の十年」最終年記 念行事が行われた。DPI 世界会議札幌大会では、 「札幌宣言」が採択された。大阪フォーラムでは、第 12 回 RI アジア太平洋地域会議、アジア太平洋障害者の十年推進 NGO 会議(RNN) 、第 25 回総合リハビリテー ション研究大会、国際職業リハビリテーション研究大会の4つの会議が行われ、 「障害者の権利実現へのパ ートナーシップに関する大阪宣言」が採択された。 20 第2章 障害者支援に対するアプローチ 2-1. 障害者支援の目的 JICA における障害者支援の目的は、JICA が事業を実施する途上国において障害者の「完 全参加と平等」が実現できるよう支援することとする。つまり、障害者が社会生活及び社 会の発展に完全に参加すること、障害を持たない人々と同じくあらゆる機会が均等に得ら れるよう支援することである。 2008 年 10 月に誕生した新 JICA は、「全ての人々が恩恵を受けるダイナミックな開発 (Inclusive and Dynamic Development)」という新しいビジョンを掲げ、民族も宗教も性 別も障害も越えて、すべての人々が自らの開発課題を認識し、それを解決するプロセスに 参加し、その成果を享受することを目指している。JICA は、そのような人々の主体的な取 組みを効果的に後押しするため、障害者支援事業実施にあたっては、プログラムとして戦 略的に実施・拡充することによってインパクトの拡大を目指し、事業計画策定・実施・評 価の際に我が国及び途上国双方の障害者自身の参画する機会を拡大していくこと、及び障 害者支援を直接目的としない協力事業においても、障害者を含めた全ての人々のニーズに 配慮した協力を実施していくことによって、効果的且つ効率的に開発途上国における障害 者の「完全参加と平等」の達成に寄与することとする。 2-2. 障害者支援に対する効果的アプローチ 障害者の「完全参加と平等」という目的を達成するためには、(1)障害者やその家族、 当事者団体等のエンパワメント、及び(2)JICA のすべての事業における障害者支援のメ インストリーミング、といった二つの取組み=ツイン・トラック・アプローチが必要である。 両者は相互補完的に重なる点も多く、明確に分かれたものではない。 (1) 障害者のエンパワメント JICA における障害者のエンパワメントは、貧困削減分野でも採用している5つの能力(基 礎的能力、社会的能力、経済的能力、政治的能力、危機対応能力)を障害者やその家族、 コミュニティーが状況に合わせながら開発していく過程を指すと第 1 章で述べたが、エン パワメント型支援については、支援の対象レベルの違いを見極めた上で、 「直接支援」に関 するものと「条件・環境整備」に関するものに分けて、それぞれの支援策を検討する必要 21 がある。対象レベルとしては、 「障害者自身、その家族18及び当事者団体」、「地方自治体・ 住民組織」、「国家レベル」という3つのレベルにわけた支援が可能であり、それぞれのレ ベルで協力を実施することにより、5つの能力の構築に貢献することができる。 図2-1は、 「障害者自身、その家族及び当事者団体」、 「地方自治体・住民組織」、 「国家 レベル」というそれぞれのレベルで、どのような障害者に対する「直接支援」や、「条件・ 環境整備」に関する支援があるかを表にまとめたものである。表でまとめられているそれ ぞれの項目については、3-3 以降で具体的な支援メニューについて詳述する。 図 2-1 障害者のエンパワメント支援例-5 つの能力と援助対象レベル 障害者自身、家族及び当事者団体 直接支援に関わるもの <当事者> 社会技能訓練 自立生活訓練 職業訓練 自営能力開発(経営、融資、経理、税等) 利用可能な金融システムについての情報提供 権利擁護活動支援 ピアカウンセリングの提供 <当事者と家族> リハビリテーションや保健・医療施設に ついての情報提供 政治や政策に関する情報へのアクセス支 援活動 緊急対応方法指導 CBR の実施・運営支援 障害に関する知識の向上 <家族> 介助技術指導 啓発活動 日常生活支援方法の提供 カウンセリング・相談 <親や障害当事者団体> 団体の組織化強化 組織運営に係る指導 リーダーシップ能力育成 啓発手法の強化 資金調達手法の強化 運営能力向上訓練 その他 地方自治体・住民組織 直接支援に関わるもの <地方自治体・住民組織> CBR の実施支援 その他 条件・環境整備に関わるもの <地方自治体・住民組織> CBR 従事者の育成 機材・施設の拡充 早期発見、療育のための関連スタッフの 育成 普通校による障害児の受入 コミュニティの啓発活動 余暇・スポーツなどの社会活動の開催 相互扶助組織の立ち上げ支援 障害者の起業支援 その他 18 国家レベル 直接支援に関わるもの CBR の実施支援 知的障害者などの場合には家族を当事者として含む。 22 条件・環境整備に関わるもの 心身障害、精神・神経疾患の発生予防や 治療法の研究 健康・保健対策整備支援 関連職種専門家の育成及び育成機関の 設立 福祉機器・技術の開発・普及 早期発見、療育のための関連スタッフ訓 練方法の確立 障害者の人権擁護、雇用、福祉に係る施 策整備 インクルーシブ教育も含めた障害児教 育政策・制度の策定 障害児教育教員養成 障害児教育のための教材作成 障害関連統計整備 ICT 技術者養成 条件・環境整備に関わるもの <当事者> 情報処理技術 日常生活訓練(ADL) 就学・修学支援 <当事者と家族> 識字教育 社会活動、余暇・スポーツなどの社会活 動への参加促進活動 栄養指導 リプロダクティブ・ヘルス体制整備支援 <家族> 衛生教育 その他 啓発・広報 情報収集・提供 公共建物・交通機関のバリアフリー化 (ユニバーサルデザイン) 安全対策整備支援及び救急医療の向上 その他 エ ン パ ワ メ ン ト 経済的能力 基礎的能力 危機対応能力 CBR の実施(社 会参加型) 政治的能力 社会的能力 1) 障害者のエンパワメントのための直接支援 図 2-2 にあるように、直接支援にあたっては、地域社会にすでにあるいろいろなサービ ス及びその提供者と連携して「地域リハビリテーション」の概念19を応用して実施する必要 がある。JICA が行う直接支援では、障害者一人一人に直接資する事業を実施することは難 しいが、当事者の能力開発に資する研修、草の根レベルでの交流や情報交換、技術移転な どの協力、日本の当事者団体と海外の当事者団体とのパートナーシップを強化する協力等 が考えられる。 19 「地域リハビリテーションとは、障害を持つ人々や老人が住み慣れたところで、そこに住む人々ととも に一生安全にいきいきとした生活が送れるよう、医療や保健、福祉及び生活に係わるあらゆる人々が、リ ハビリテーションの立場から行う活動の全てを言う。 」 (上田敏、 「目で見るリハビリテーション医学、2002、 p7」 ) 23 図 2-2 地域リハビリテーションの範囲と組織 地域社会 保健 医療 行政 障害のある人・家族 教育 地域住民 障害者団体 ボランティア 職業リハ 福祉 地域リハビリテーション (上田 敏:目で見るリハビリテーション医学 1994 P7 より引用) また、地方自治体やコミュニティーレベルで実施できるものとして、CBR プログラム20、 障害当事者団体の組織化、及び組織運営、組織運営に係るリーダーシップ能力の育成や、 障害問題の啓発、資金調達の実施方法を直接指導できるような支援が考えられる。その際 に、例えば、他地域で既に活動している当事者団体同士の交流を図ることにより、それぞ れの組織がエンパワメントされるようにすることも大切である。 青年海外協力隊等のボランティアも草の根レベルでの活動が可能であり、障害者の身体 機能的なリハビリテーションを行う職種以外にも、青少年活動や村落開発普及員、栄養士、 助産師、看護師、コンピュータ技師等といった職種で対応することが可能である。青年海 外協力隊等のボランティアは、現地の現場で直接支援が実践でき、福祉に関わる分野では 現在のところ、養護、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、鍼灸マッサー ジ師、ソーシャルワーカーの7職種があるが、今後は更に職種の枠を広げる必要がある。 村落開発の中で、特に、障害児・者に向けた CBR 活動を担う村落開発普及員、CBR の中で行 う障害者のためのレクリエーション、スポーツ指導のためのスポーツ指導員、看護師等の 要請が望まれる。 また、JICA の事業そのものではないが、例えば、帰国研修員同士のネットワークの強化 や、メーリングリスト作成なども、直接支援の枠組みで考えられる方策である。例えば、 20 詳細は付録 6 参照。 24 JICA の研修を受けた者は、母国に帰った後も、本人のみならず、周りの障害者もしくは障 害当事者団体のエンパワメントに大きな貢献をしている。このような帰国研修員同士の情 報共有の場を提供することも大切なアプローチである。 <協力事例> 形態 対象国 名称 年度 プロジェクト タイ アジア太平洋障害者センターフェーズ2 07-12 プロジェクト 中国 中西部地区リハビリテーション人材養成プロジ ェクト 08-13 プロジェクト キルギス 障害者の社会進出促進 07-09 個別専門家 シリア CBR 事業促進 08-10 JOCV ヨルダン 木工 JOCV ボリビア 看護師、青少年活動 2) エンパワメントのための条件・環境整備 「エンパワメントのための条件・環境整備」にあたっては、障害者の主体性・自立性の 確立、障害者の完全参加と平等といった基本的な考え方をふまえつつ、障害者やその家族 のエンパワメントの状況と抱える課題を的確に把握した上で、どのような条件・環境を整 えていくことが可能か検討することが必要である。 実際の案件検討にあたっては、協力形態や上記領域に限定されることなく、ニーズを見 極めながら柔軟に様々な活動策を検討していくことが望ましい。 ① 教育 現在展開されている「国連識字の 10 年(2003 年~2012 年)」でユネスコ(国際連合教育 科学文化機関)が“Education for All(EFA)”と提唱するように、教育はすべての人の ものであり、また障害の有無に関わらず全ての児童の権利である。障害を持つ児童に対し て、その可能性を最大限に伸ばし、将来にわたってエンパワメントできるよう、教育また 育成の場の確保と整備を図る必要がある。可能性を最大限に伸ばし、将来主体的に「自己 選択、自己決定」できるようその基礎・基本を習得させることを教育の最大の目的とし、 障害児一人一人の障害の種類・程度、能力・適性等に応じて適切な教育を行うことが必要 である。 開発途上国では、障害のある児童は初等教育へのアクセスが限られている地域が多く、 初等教育がある程度普及している地域では、障害児教育の多くは障害児を分離した学校で 25 提供される特殊教育21の枠組みで実施されている。 このような状況をふまえ、当該領域の技術協力においては、まず初等教育へのアクセス 確保に留意することが大切である。また、教育形態としては、先述のとおり特殊教育が実 施される傾向が見られるため、社会的偏見の緩和も含め、“Education for All(EFA)” の認識の下に、インクルーシブ、インテグレーション22といったコンセプトやアプローチを 教育の中に可能な限り取り入れて推進していくことが望ましい23。 当該領域への技術協力の具体策としては、1)教育・療育施策整備支援(教育制度、予 算措置、教員資格制度、施設・職員配置、研究活動等) 、2)カリキュラム、教材開発、教 育手法、教育管理、教育形態(巡回指導、訪問教育、院内学級、通級指導、遠隔教育等)、 教育方法(児童中心型教育、グループ学習、TT(チームティーチング)指導、ピアティー チング、教員アシスタント、介助者)等といった学校・リソース拠点づくり、3)専門職 (管理者、専門教員、一般教員等)の養成を挙げることが出来る。必要に応じ、児童福祉 施設や作業所などを含め、4)施設建設及び機器整備などの検討も一案である。また5) 識字教育の推進も重要である。 <協力例> 形態 対象国/方式等 名称 年度 研修員受入 集団 知的障害福祉 80- 研修員受入 国別(タイ) 障害者教育 98 研修員受入 国別(マレーシア) 身障者療育技術支援 98 専門家派遣 スリランカ ろうあ教育 80,82,83 専門家派遣 スリランカ 視覚障害教育 87 専門家派遣 メキシコ 特殊教育(自閉症) 88 専門家派遣 フィリピン 障害児社会教育訓練 89 専門家派遣 メキシコ 特殊教育 89,90 専門家派遣 スリランカ 教材 VTR 作成(聴覚障害児教育用) 93 専門家派遣 ウルグアイ 自閉症児教育法 93,94,95,99 ,00,01,02 専門家派遣 スリランカ 聴覚障害児教育 96 専門家派遣 ウルグアイ 自閉症児生活療法(音楽指導) 96,98 専門家派遣 ウルグアイ 自閉症児生活療法(全般) 96,97 21 22 23 障害児のための分離教育を意味する。 それぞれの定義については付録 8 参照。 ただし、障害の種類、例えば聴覚障害等は、特殊なコミュニケーション方法があることに留意する。 26 専門家派遣 タイ 特殊教育 98 専門家派遣 サウジアラビア 教育(障害者教育) 99 専門家派遣 サウジアラビア 障害者コンピューター教育 00 専門家派遣 サウジアラビア 特殊教育カリキュラム開発 00 専門家派遣 サウジアラビア 障害者リハビリ教育 00 専門家派遣 ホンジュラス 自閉症児の自立を目指した療育法の技 01-02 術移転 専門家派遣 アフガニスタン 障害児教育 02 専門家派遣 アフガニスタン 教員研修アドバイザー(特殊教育) 03 ② 訓練・雇用 障害者の社会参加のために重視されているのが、職業の選択機会や雇用機会の確保と整 備である。 開発途上国では、障害者の雇用機会の確保以前に、職業の選択機会が乏しく、また職業 的自立を図るための訓練機会や関連施策の整備が遅れており、知的障害、精神障害、重複 障害をもつ重度障害者の雇用が大変厳しい状況にある。また、職業訓練においては、特に 先端技術(例:エレクトロニクス分野)を目的とした訓練などが不足していたり、指導者 の知識や技術が時代に即応したものとなっておらず、かなり前に習得した技術が長年変わ らず使用され、同じ訓練が繰り返されているケースや、訓練の内容が障害者の居住してい る地域や社会の事情に合わせて実施されていなケースが散見される。 このような状況をふまえ、当該領域への技術協力としては、1)障害者関連の職業・雇 用施策の整備支援(雇用対策、保険、施設設置(作業所、第3セクター) 、職業紹介、情報 提供・関係機関との連携等) 、2)障害者向けの雇用開拓や労働市場分析等の各種調査支援、 3)起業支援、4)職業リハビリテーション専門職(職業訓練指導員、職業カウンセラー、 管理者など)の養成や再教育を挙げることが出来る。また、必要に応じて、5)職業訓練 施設建設及び関連機器整備等についても検討を加えることが出来る。 なお、訓練・雇用領域は、他の環境・条件整備領域と密接に関連しているため(福祉(例: 社会保険・各種福祉サービス施策等)、教育(例:識字教育)、生活環境(例:職場までの アクセス等) ) 、CBR プロジェクトなどにおいては、保健・医療、教育などの諸領域と統合・ 連携したかたちで協力策を検討していくことも有効と思われる。 なお、職業訓練の協力にあたっては、障害当事者のニーズを訓練に反映させるため、障 害当事者を積極的に事業決定・運営に参加させる仕組みを作ることや、産業界のニーズや 27 訓練生自身のニーズに柔軟に対応すべく、訓練メニューの定期的な見直しや職員の能力育 成など訓練プログラムの開発体制の強化に努めることが重要である。また、修了生に対す る新しい職業技術や就職に関する情報の提供や、同窓会を結成し修了生同士が精神的に支 え合えるような仕組みを作るなど、訓練修了生に対するフォローアップ体制を確立するこ とも重要である。加えて、訓練生の相互交換、情報や新技術の交換、施設の相互利用など の促進を通じ、サービスの相乗効果を高めるべく、NGO を含めた他の障害者施設との連携を 積極的に図る必要がある。 <協力例> 形態 対象国/方式等 名称 年度 研修員受入 集団 リハビリテーション専門家 83- 専門家派遣 インドネシア 職業リハビリテーション 87 専門家派遣 インドネシア セミナー(職業リハビリ) 90 専門家派遣 インドネシア 障害者職業リハビリテーションセ 91 ミナー 専門家派遣 インドネシア 障害者職業訓練指導 91 専門家派遣 インドネシア 障害者職業リハビリテーション 88,93 専門家派遣 パナマ 障害者に対する職業訓練 93 専門家派遣 インドネシア 職業リハビリテーション政策 95,98,00,01,02 専門家派遣 タイ 労災リハビリテーション 00,01,02 専門家派遣 ラオス 労働社会福祉省政策アドバイザー 07-09 小規模開発 ラオス 障害者職業訓練センター計画 01-02 専門家派遣 タイ 職業リハビリテーション 98,00 プロジェクト インドネシア 国立障害者職業リハビリテーショ 97-02 ンセンター 小規模開発 ラオス 障害者職業訓練センター計画 01-02 プロジェクト ルワンダ 障害を持つ除隊兵士の社会復帰の 05-08 ための技能訓練 ③ 福祉 a. 行政サービス 障害者に対する福祉施策全般について、障害者が社会生活を送る上での基本的な生活ニ ーズに対応し、生活の質の向上を図るという観点からその充実に努めていくことが必要で 28 ある。障害者本人の立場に立った施策の展開といった視点に基づきながら、障害者個々人 のニーズに応じて介護や特別な処遇を行う等の必要な施策、障害者の自立や社会参加促進 に必要な施策を充実させることが重要である。 当該領域への技術協力としては、1)法・施策整備支援(差別禁止法、福祉関連法、福 祉行政機構、医療・教育・職業・CBR や自立生活支援を含む施策、福祉従事者養成制度、各 種統計等)2)専門職(養護、ソーシャルワーカー、社会福祉士等)の養成を挙げること が出来る。 <協力例> 形態 対象国/方式等 名称 年度 研修員受入 集団 知的障害福祉 80- 研修員受入 タイ 障害者支援政策 98 研修員受入 カンボジア 社会福祉行政 00- 専門家派遣 マレーシア 社会開発福祉 98 専門家派遣 カンボジア 社会福祉行政アドバイザー 99, 00,01,02 専門家派遣 フィリピン 社会福祉政策アドバイザー 01 労働社会福祉省政策アドバイ 専門家派遣 ラオス ザー 04-07, 07-09 プロジェクト ミャンマー 社会福祉行政官育成 07-10 JOCV/ シ ニ ア 多数 養護 409 名 隊員/SV 派遣 ソーシャルワーカー 80 名 *1976.4-2006.6 の派遣人数 b. 福祉用具(福祉用具+共用品)の開発、改良、及び普及 福祉用具は、障害者の社会参加の度合いを高めるとともに、介助者の介護労力の軽減に 資するものであり、研究開発の取り組みが必要である。研究開発にあたって、障害者のニ ーズや介助者のニーズに対応するとともに、障害者の生活の質を高めるとの観点から行う 必要がある。 開発途上国における福祉用具の開発、改良、普及は、従来一般的に商業ベースを基本とし た民間業者ではなく、主に公的セクターによって実施されてきた。今後は NGO の参画も増え ることが予想されることから、当該領域の技術協力の対象は、幅広く考える必要がある。 具体的な活動策として、1)施策整備支援(補助金制度、法・税制優遇制度、民間業者 への委託開発制度) 、2)情報・教育活動(情報提供・展示活動等)、3)専門職(義肢装 29 具、用具開発技術者、福祉用具相談員等)の養成を挙げることが出来る。 <協力例> 形態 対象国 名称 年度 研修員受入 集団 補装具製作技術 81- 専門家派遣 タイ 義肢装具 92 専門家派遣 タイ 義肢装具加工 95 専門家派遣 タイ DAISY 製作指導者 01 専門家派遣 ラオス 国立メディカルリハビリテーションセンターに 00-03 おける車椅子製造支援事業 草 の 根 パ ー ト マレーシア 東南アジアにおける車いす製造技術移転および 04-07 ナー型 車いすスポーツ普及講習 草 の 根 パ ー ト ラオス 障害者のための車椅子普及支援 04-07 ナー型 JOCV/シニア隊 多数 義肢補装具作製 員/SV 派遣 *1976.4-2006.6 で計 12 名を派遣。 c. 情報・コミュニケーション 障害者、特に視覚・聴覚障害者は、その障害により情報の収集、コミュニケーションの 確保に大きな障壁がある。情報のやりとりのみならず、コミュニケーションの手段として 電子メール、手話、点字やリーディングサービス等が必要不可欠な場合もあり、的確かつ 十分な情報・コミュニケーションの確保は、障害者の能力を生かし、自立と社会参加を促 進するために不可欠である。 また、情報通信は日常生活におけるコミュニケーションから、就労や教育等あらゆる場 面に影響を与えており、情報支援は、エンパワメントのための環境・条件整備のために行 われる様々な技術協力の領域と有機的に連携して実施されることが望ましい。 当該領域への技術協力としては、1)法・施策整備、2)障害を持つ人に役立つ各種情 報を収集・提供する障害者情報ネットワークの構築や情報の発信(ニュースレターの発行、 ウェブサイトの開設) 、3)国内標準手話の開発、国際手話の普及、4)専門職(手話通訳、 点訳者等)の養成、5)研修教材の多様化(点字、録音、その他 ICT を利用した教材の作 成) 、6)情報へのアクセスを促進するためのコンピューターの技術指導、7)情報処理・ 情報通信機器の研究開発・普及等の協力を挙げることができる。 30 <協力例> 形態 対象国 名称 年度 専門家派遣 スリランカ 教材 VTR 作成(聴覚障害児教育用) 93 専門家派遣 タイ DAISY 製作指導者 01 プロジェクト タイ アジア太平洋障害者センター 02-07 プロジェクト タイ アジア太平洋障害者センターフェーズ 2 07-12 開発福祉 タイ 障害者のためのコンピューター情報ネットワーク 99-01 整備計画 ④ 保健・医療 a. 障害原因の予防・早期発見及び研究 障害対策への取り組みの基本として、まず障害そのものの原因究明、またその成果を活 かした発生予防、早期発見、早期治療などの取り組みは重要である。 当該領域への技術協力としては、1)心身障害、精神・神経疾患の発生予防や治療方法 の研究、2)健康・保健対策整備支援(健康教育、健康診断、保健・衛生指導、母子保健、 予防接種等) 、3)安全対策整備支援(学校、交通、労働等における災害防止や救急医療の 向上、4)リプロダクティブ・ヘルス体制整備支援、5)専門職(医師、栄養士、保健師、 救急救命士等)の養成などを挙げることが出来る。 <協力事例> 形態 対象国 名称 年度 専門家 ウガンダ ポリオ対策/ウィルス学 00 専門家 バングラデシュ ポリオ対策 01, 02 プロジェクト ペルー 地域精神衛生センター 80-87 プロジェクト 中国 ポリオ対策 91-99 プロジェクト ミャンマー ハンセン病対策・基礎保健サービス改善 00-05 JOCV スリランカ 早期発見・早期療育 00- 保健・医療プロジェクト(特に感染症対策やリプロダクティブ・ヘルス分野)において は、直接もしくは間接的に上記技術協力に寄与しているものもあり、事例は多数ある。 b. 医療・リハビリテーション医療 障害の軽減を図り、障害をもつ人をエンパワメントするためには、医療・リハビリテー ション医療も重要な役割を果たしている。 31 開発途上国では一般的に、医療・リハビリテーション医療に関する専門的な知識・経験・ 技術を有する人材が不足し、一方で専門職の質の向上が急務となっている。また近年、国 によっては高齢化の進展や疾病構造の変化などに伴い、リハビリテーションの必要性や重 要性が一層増してきている。 当該領域の技術協力としては、1)CBR 支援24、2)医療・リハビリテーション医療の専 門職(作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、鍼灸マッサージ師、義肢補装具作製、医師、 また協力事例は少ないが、対象国の施策・人材育成状況等を見極めつつ、精神保健福祉士、 介護福祉士、歩行訓練士、視能訓練士、といった専門職の養成を、対象国における従事者 の資格制度等と比較しながら、案件形成を検討していくことも必要と思われる)の育成を 挙げることが出来る。また必要に応じて、CBR の展開や専門職への技術指導などには、3) 施設建設及び機器整備の検討も一案である。 <協力事例> 形態 対象国/方式等 名称 年度 研修員受入 一般(東南アジア) 精神医療指導者研修 92- 研修員受入 一般(アジア諸国) 喉頭摘出者発声指導者養成 94- 研修員受入 一般(アジア・太 視覚障害者用支援技術 95- 平洋諸国) 研修員受入 一般 医学リハビリテーション専門家 98- 専門家派遣 チリ リハビリテーション医学 97 専門家派遣 チリ 小児リハビリテーション 98 専門家派遣 チリ リハビリのカウンセリングと開発 98 身体障害者リハビリテーション実施 専門家派遣 チリ アドバイザー 99 専門家派遣 カンボジア グループカウンセリング 99,00 専門家派遣 エジプト 障害者リハビリ対策プログラム 00,01,02 専門家派遣 カンボジア 障害者のリハビリテーション 01 専門家派遣 ボスニア・ヘルツ 身体のリハビリテーションにかかる 03 ェゴビナ 専門家派遣 ボスニア・ヘルツ 身体のリハビリテーションにかかる 03 ェゴビナ 専門家派遣 24 医療統計資料の開発 データベースの構築 ボスニア・ヘルツ 障害者リハビリテーション CBR 支援については、付録 6 を参照。 32 04 ェゴビナ 専門家派遣 パキスタン 理学療法 05 専門家派遣 カンボジア 理学療法:指定規則・指導要領 06 プロジェクト 中国 肢体障害者リハビリテーション研究 86-93 センター プロジェクト インドネシア ソロ身体障害者リハビリテーション 94-97 センター プロジェクト ミャンマー ハンセン病対策・基礎保健サービス 00-05 改善 プロジェクト チリ 身体障害者リハビリテーション 00-05 プロジェクト 中国 リハビリテーション専門職養成 01-06 プロジェクト 中国 中西部地区リハビリテーション人材 養成プロジェクト 開発福祉 カンボジア 08-13 社会的弱者の自立を図るためのソー 98-01 シャル・サービス 開発福祉 ベトナム フエ市児童福祉総合支援 JOCV/シニア隊 多数 理学療法士 220 名 員/SV 派遣 作業療法士 157 名 鍼灸マッサージ 30 名 義肢補装具作製 12 名 言語聴覚士 98-02 14 名 *1976.4-2006.6 の派遣人数。 ⑤ スポーツ・レクリエーション・文化活動 スポーツ、レクリエーション及び文化活動への参加機会の確保は、障害者の社会参加の 促進にとって重要であるだけでなく、啓発広報活動や、特にスポーツについては障害者の 健康増進という視点から有意義である。これら活動は、障害者の生活の質を高めるもので あり、積極的に振興を図ることが必要である。 当該領域への技術協力としては、1)各種展覧会、障害者スポーツ大会等の企画、運営 等などのイベントづくり支援、また2)障害者スポーツや青少年活動(音楽・美術・陶磁 器等)の指導者などの専門職の養成を挙げることが出来る。ただし、イベントなどは徐々 にマンネリ化する場合が多いので、一定期間毎に内容を見直していく必要がある。 33 <協力例> 形態 方式 名称 年度 研修員受入 集団 障害者スポーツ指導者 90- JOCV - 水泳 06 <想定例> 村落開発分野の JOCV/SV 隊員によるコミュニティー活動の一環としての障害者支援関連 のイベントづくり、また IEC(Information, Education, Communication)の専門家による障 害者支援に関わるメディア戦略づくり、例えば、成功した障害者(社会的に活躍する障害 者や地域の中で生き生きと自立生活を送る障害者)の話などを取り上げたり、資料・映像 資料等の作成指導等を挙げることが出来る。 ⑥ 啓発・広報 障害者を含むすべての人々にとって住みよい平等な社会づくりを進めていくためには、 国や地方公共団体など行政府が障害者に対する各種施策を実施していくのみならず、社会 を構成するすべての人々が障害及び障害者に対して十分な理解をし、配慮していくことが 必要である。このためには、啓発・広報は極めて重要であり、障害者の問題は全ての人々 に関わる問題として、相互理解を促進することによって障害者や障害者の家族が社会の中 でエンパワメントされていく素地を作ることが重要である。 当該領域への技術協力としては、1)啓発広報活動(メディア戦略の策定や資料・映像 等の作成、イベント(例: 「障害者の日」「人権週間」「障害者雇用促進月間」等)策定等に 協力し、相互理解を深める等) 、2)福祉教育活動(小、中学校等の学校教育、福祉・保健 サービス機関を通じ、地域住民等へ教育機会を提供し働きかけを行う等) 、3)ボランティ ア活動(学生、住民、企業、障害者自身による障害者関連のボランティア活動への理解、 参画、連携などを促す等) 、また4)障害者団体等による国際交流活動やネットワークへの 協力などを検討することが出来る。 このような協力においては、活動の効果や自立発展性、また障害者を取りまく社会状況 に留意しつつ実施していくことが望ましい。ただし、イベントなどは徐々にマンネリ化す る場合が多いので、一定期間毎に内容を見直していく必要がある。 34 <協力例> 形態 対象国 名称 年度 JOCV 派遣 ヨルダン 障害者支援関連分野 87-01 の間、 現場活動に加え、障害者の社会的地位の向上を目指した 計 40 名以上 「障害者フェスティバル」 (年1回)の開催を支援。 プロジェクト エジプト 地域開発活動としての障害者支援プロジェクトにて、 2006-2009 CBR 啓発セミナーを開催した。 プロジェクト マレーシ 障害者福祉プログラム強化のための能力向上計画プロ 2005-2008 ア その他 日本 ジェクトにおいて、障害平等研修を実施。 JICA地球ひろば「人間の安全保障展」にて、障害者支 2008 援関連プロジェクトの活動紹介など ⑦ 生活環境 障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するためには、生活環境面の基礎的な条件 整備も重要である。具体的には、建築物、道路等における物理的な障害の除去のため、障 害者の利用に対する配慮を含めた「都市計画」 、また障害者の社会参加の機会増大や行動範 囲の拡大に伴い、障害者の移動におけるハンディキャップの軽減を図るための「移動・交 通対策」 、障害者が地域で生活していくため、障害者の住宅が適切に確保されるよう「住宅 整備対策」 、また障害者が安心して在宅生活や社会生活を送れるような「防犯・防災対策」 などを挙げることが出来る。 これらの対策は、障害者のための特別な措置として講ぜられることは必ずしも適当では なく、一般的な措置がそもそも障害者に対する配慮を前提として行われること、言い換え れば、こうした基本原則ではどうしても対応できない場合に限って、障害者に対する特別 な措置として講ぜられる必要がある。またこうした生活環境面での改善の推進は、政府、 地方公共団体、民間事業者、国民が一体となって取り組むべき課題であり、啓発・広報に よる住民意識の高揚や施策・事業の連携も重要である。 当該領域への技術協力としては、各種施策の整備支援や、施設建設などの調査・基本設 計等への参画などを挙げることが出来る。 <協力例> 形態 対象国/方式等 名称 年度 専門家 中国 障害者に配慮した公共交通機関の促進 00 専門家 タイ 障害者の公共施設へのアクセス 94,95 35 研修 現地国内 障害者のアクセスを考慮した公共施設計画 00 プロジェクト フィリピン 地方における障害者のためのバリアフリー 2008- 環境形成 (2) 障害者のメインストリーミング 1) JICA 事業における障害者のメインストリーミング JICA 事業に障害者をメインストリーミングしていくためには、事業の裨益者として障害 者を意識し、同時に事業実施者としての障害者の参加を進めていく必要がある。また、計 画策定、実施・モニタリング、評価という JICA 事業サイクルにおいても障害者支援をメイ ンストリーミングしていくことが要求される。ここでは、事業の裨益者としての障害者の 参加、事業の実施者としての障害者の参加、事業サイクルにおける障害者のメインストリ ーミングに分けて述べる。 ① 事業裨益者としての障害者の完全参加 従来、JICA 事業では、障害者を対象とした案件を除き、障害者が裨益者を代表するグル ープの一つとして十分認識されていなかった。例えば、就学率向上を目的とした案件にお いて障害児の就学率の向上が考慮されていなかったり、女性の地位向上を目的とした案件 において、女性障害者が裨益者に含まれていない、といった事態が見られた。また、施設 建設や社会インフラ整備等の事業では、建築物のデザインによっては障害者のアクセスを 困難にしている場合もあり、全ての人々のアクセスを十分考慮していないケースもある。 事業裨益者としての障害者の参加とは、このような事態を極力排除し、障害者を対象とし た案件のみならず、全ての案件について、案件計画・実施・評価の段階で、裨益者として 障害者の参加を確保し、事業の便益を障害者も平等に享受できるようにする考え方である。 以下、特に障害者を裨益者として認識する上での重点分野(貧困削減・社会開発及び平 和構築支援)と、JICA による公共機関等の建設・設計支援における対応を説明する。 ② ハード面でのバリアフリー施策やユニバーサルデザインの導入 障害者が JICA プロジェクトの便益を十分享受するためには、JICA の援助によって建設・ 設計される施設、設備等が、障害者にも利用しやすいものとのなるよう措置を講じなくて はならない。例えば、道路、駅、バスターミナル、電車、バス、病院、学校等は障害者が 利用する可能性も高く、できる限りユニバーサルデザインを採用すべきである。その際に は国際的な基準を参照することを基本とするが、現地の実状と生活形態に適合した技術を 36 取り入れる等の工夫も考慮する。公共施設の場合は、少なくとも車椅子利用者、視覚障害 者の利用を想定して移動、洗面、トイレ等の利便性をチェックする。なお、障害者にとっ て使いやすい設備を建設するためには、設計の段階から障害者の助言を得る事が有益であ る。加えて非常時に障害者が安全に避難できる方法等をマニュアル化しておくと尚良い。 これらの措置は、障害者のみ、または特定の障害を持つ人のみを対象とする特別な措置 として講じられるのではなく、あらゆる種類の障害者、高齢者、女性、子ども等すべての 人が利用しやすいようにすることが基本原則である点に留意する。ある特定の障害を持つ 人のみを対象とした措置を講じるのは、こうした基本原則では対応できない場合に限る。 各種措置の実施に当たっては、ハード面での整備に加えて、民間事業者を含めた国民全 体がその必要性に対する理解を深め、社会的に支持し、協力することが非常に重要である。 こうしたソフト面での改善は、ハード面での整備を補うだけでなく、ハード面での整備を 進めていくための基盤でもある。このため、学校教育における青少年期からの意識の啓発、 一般市民に対する啓発広報活動への積極的取組等により、市民意識の高揚を図ること必要 がある。 ③ 事業の実施者としての障害者の参加 「事業実施者としての障害者」とは、我が国の障害者の場合と援助現場である途上国の 障害者の場合がある。いずれの場合でも、障害者への支援を実施する際に、障害者を援助 実施者として協力を行うことは、同じ障害を有するという立場から彼らが必要としている 援助ニーズを的確に把握することが容易であること、さらに、障害者自身による協力活動 そのものが、他の障害者の生活様式や生き方の参考となる具体例ともなりうることから、 極めて大きな協力効果が期待できる25。また、今後はより一層国際協力の促進のため国民参 加の拡大を図ることが期待されており、障害者にも国民の一人として平等に様々な機会が 与えられるべきである。したがって、JICA が実施するプロジェクトに実施者として障害を 持つ人々が平等に参加できるようにするとともに、 「障害者だから難しい」という考えから 「どうすれば障害者が事業に参加できるか」という方向に発想を転換し、障害者が援助の 重要な担い手でもあることを認識する必要がある。事業実施者としての障害者の参加は、 障害者に対する協力活動事業から始めて、必要且つ可能と考えられる場合には、積極的に その他の分野への参加も検討する。 我が国における障害者の参加促進には、専門家、ボランティアといった JICA 事業の実施 者として障害者の参加の機会を増やし、併せて訓練施設や研修内容等実施体制を障害者に 25 障害者の参加にあたっての重点分野及び参加推進のための方策については、 「障害者の国際協力事業へ の参加(フェーズI、II) 」 (付録 1)を、また派遣に当たっての留意点については、付録 11 を参照。 37 も一層使いやすいものに改善していく必要がある26。ボランティア事業においては、長期に 障害者を派遣することを想定しての対応を検討する。そして、障害者の国際協力への参加 を促進していくために、JICA が実施する各種イベントへの参加を障害者団体に呼びかける 等の積極的な広報も必要である。イベントへの申込書の中に、車椅子使用、介助者、手話 通訳、点字プログラムの必要性の有無等について尋ねるようにし、必要な対策を立てる。 ④ 事業サイクルにおける障害者視点の導入 JICA の各種事業は、事業の計画、実施、評価、そして次の事業計画へのフィードバック という一連の工程(事業サイクル)に沿って行われる。JICA の協力を「障害者の完全参加 と平等」に貢献するものとするためには、現在 JICA 事業の拠りどころとなっている「国別 事業実施計画」の中で、当該国の障害者の状況を JICA としてどのように捉えているかを明 らかにすることから始め、案件形成、検討、調査、実施、評価の各ステップに障害者の参 加を含む具体的な手段が講じられる必要がある。 a. 当該国の障害者の概要の把握 JICA ホームページに掲載されている国別障害関連情報を参照しながら、その概要を国別 事業実施計画「第 3 章 JICA の協力の留意点 3.各イシューアプローチ上の留意点 (4) 障害者支援」に記載する。国別障害関連情報が作成されていない国については、少なくと も下記について調査し、JICA 関係者の共通情報として共有する。 これらの情報を通じて、当該国の障害者のニーズを掴むとともに、障害者の活動状況を 理解することにより、事業の実施者としての参画の可能性についても検討することが可能 となる。 JICA「国別障害関連情報」記載事項 1.障害に関する調査・統計の整備状況 国勢調査(障害に関する項目や統計的データを含んでいるか) その他統計(障害種別、年齢別、性別、障害程度別、障害原因別、地域別) 2.障害関連政策 障害関連行政制度(中央・地方、省庁別の障害に関する担当分野、連携) 障害関連法律の詳細 障害関連施策の状況 障害の予防・発見・早期療育に関するもの 26 JICA 関連施設の環境整備にかかる具体的方策については、p44 を参照。 38 医療サービス、リハビリテーションに関するもの 教育に関するもの 社会サービス(社会保障、バリアフリーの状況など)に関するもの 訓練・雇用に関するもの 地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)に関するもの 情報とコミュニケーション(手話・点字など)に関するもの ・ 障害者施策の決定方法、過程、障害者の参画を担保するための条例(法的支援)な どの状況 3.障害分野専門家・ワーカーの種類 4.障害関連団体リストとそれぞれの活動概要 5.国際機関・その他の機関の障害分野に関する援助実績 b. 新規案件検討、要望調査結果検討時 JICA 事業の全新規案件を検討する際、以下のプロセスを踏む。JICA 事業においては、障 害者を直接対象とした支援に関わる案件への障害者の参加を確保し、障害者を直接対象と した支援、条件・環境整備に関わる案件のみならず、全ての案件の検討において障害者の 存在を意識して便益を設定することが必要である。 ア. 当該国の障害者支援方針と要望案件との整合性の確認 国別事業実施計画(国別障害関連情報)、当該国の障害者支援政策等を確認し、要望案件 をこれに照らして整合性を検討する。また、相手国政府、関係ドナー、NGO と情報交換、調 整を行い、重複を避け有効な連携ができるよう配慮する。 イ. 裨益対象者の確認 プロジェクトを実施した際の受益者や便益がどの程度特定されているかを確認する。 ①障害者や障害者福祉に関わる人が直接的な受益者となる場合 障害者、障害者福祉に関わる人はどのように特定され、またどのような特性を持つか。 直接支援重点対象者(障害者団体及びリーダー、女性障害者)との関わりはあるか。 ②直接的な受益者に障害者が含まれない場合 プロジェクトのデザインを変更することにより、障害者を裨益する可能性があるか、そ の変更は可能か。 39 ウ. 障害者への正負のインパクト予測 プロジェクトの受益者だけでなく、広い意味でのプロジェクトの影響範囲にいる人々に 対して、プロジェクトが実施された場合に与える影響を予測し、負のインパクトが予測さ れる場合には、これを抑止あるいは緩和するための方策を検討する必要がある。以下の 5 つをチェック項目として、分析を行う。 チェック項目 チェック内容 援助実施による負の影 案件を実施することによって障害者に負の影響を及ぼしていない 響の有無 か 援助の分配 障害者が裨益者から排除されていないか、障害者へのターゲティン グがよくなされているか 案件形成への障害者の 案件形成時よりステークホルダー(利害分配における関係者)の中 声の反映 に障害者が含まれているか 障害者自身の能力構築 障害者自らが「5つの能力」を構築していく過程に配慮しているか 関係者の能力構築への 障害者支援の関係者が持続的に障害者に財やサービスを供給しう 配慮 るための能力強化を組み込んでいるか ただし、案件検討段階では基本情報が十分でないことが多いため、その可能性を確認す るためにどのような情報が必要であるか、その情報の入手手段も含めて検討する。大きな 影響が予想される場合には、プロジェクトの事前調査あるいは実施の段階で、どのような 調査・対応が必要であるかを予め検討しておく。 エ. 事業実施者としての障害者の確認 プロジェクトの実施に当たって、障害者が事業実施者に含まれているかどうか、排除さ れていないかどうかを確認する。 ①障害者や障害者福祉に関わる人が直接的な受益者となる場合 障害者自身が実施者となることは、援助ニーズの的確な把握や障害者自身による協力活 動によってもたらされる社会的インパクトの観点から、協力の有効性は非常に大きい。我 が国及び途上国双方の障害者の参加について検討する。 ②直接的な受益者に障害者が含まれない場合 そのプロジェクトの実施者として、障害者が参加できる可能性はあるか、障害者の参加 が排除されていないか。 40 c. 事前評価調査時、実施計画作成時 この段階においても新規案件や要望調査結果検討時と同様に、現地調査を行う際には、 障害者に対し、正の影響があるように、前述した5つのチェック項目をもとに影響分析を 行う必要がある。 また、障害者への直接支援や条件・環境作りに係る案件については、事前評価において 評価指標を設定し、プロジェクトの進捗状況が適切に管理できるよう検討する。 この際、定量的なデータを利用するのはもちろんであるが、それだけでは実際の障害者 のエンパワメントの状況が明らかになりにくいので、可能な限り、障害者及びその関係者 の参加により、障害者自身の視点から捉えた定性的データを併せて収集する。 また、単にデータを集めるだけでなく、プロジェクトデザインに障害者が加わり、関係 者が案件の目的・目標、その実施方法を共通に理解することで、障害者自らの行動が促さ れ、それが障害者のエンパワメントに繋がることを十分に意識することが重要である。 d. 案件の実施・モニタリング時 事前評価の段階で評価指標、モニタリング指標を設定することが出来たものについては、 その指標にしたがって年次計画策定時、四半期報告、中間評価時にその進捗状況を確認(モ ニタリング)し、円滑な実施を目指す。その際、達成目標に対する到達度を調査、分析す ることにより、モニタリング実施手法、計画の修正案作りまでを行う。 e. プロジェクト終了時 終了時評価は、評価5項目(妥当性、有効性、効率性、インパクト、自立発展性)の観 点から、特に効率性や有効性、自立発展性(見通し)などを中心に調査・分析し、協力を 終了することが可能かどうか、あるいは協力延長などのフォローアップを行う必要がある かどうかを検討する。ただし、この際にも相手側のオーナーシップを考慮し、それを損な わないよう配慮する。 また、ここで得られた経験を JICA の中で共有できるよう、本課題別指針、国別障害関連 情報、国別事業実施計画等にフィードバックする。 2) メインストリーミング促進のための環境整備 第2章で述べたように、JICA 事業において障害者支援のメインストリーミングを図るた めには、JICA 内でのあらゆる障壁を取り除いていく必要がある。ここでは、JICA 組織内で の障害者理解促進と、障害者の雇用促進、関連施設におけるバリアフリー化とユニバーサ ルデザインの導入について説明する。なお、これらの対応については日本国内の障害者関 41 連施策のとりまとめを行っている内閣府の情報も適宜参照する。 ① JICA 関係者への障害者支援への理解促進 JICA が、事業として途上国における障害者支援に取り組み、当事者のエンパワメントお よび事業全体でのメインストリーミングを推進するには、事業実施者である JICA 職員が、 まずは障害者について正しく理解している必要がある。それは、障害について正確な知識 を持つことにより、そのニーズを的確に事業に反映し、実施効果を高めるためである。具 体的には下記の方策がある。 a. 研修の実施 障害者について理解を深めることを目的とした JICA 職員および関係者に対する研修を実 施する。研修内容は、JICA 事業の紹介と共に、可能な限り障害当事者や関係者を講師に、 実技講習等を含め、参加者が障害者の実態について実感を持って理解できるよう工夫する と効果的である。 今後は、同種の研修を階層別研修、在外赴任前研修等に組み入れ、一般職員への障害者 理解拡大を図ることとする。同時に職員以外にも、各種調整員、専門家、各種ボランティ ア、研修監理員等の関係者を対象にした研修も実施する。 JICA 関連施設への障害者の来訪、問い合わせに適切に対応するため、受け付け等窓口業 務担当者用にマニュアルを作成し各機関に配布する。マニュアルには、障害別に対応時の 基本事項、注意事項等を記載する。それに基づいて、各機関は、担当者を対象に事前研修 を実施する。 障害者支援に係る援助人材の養成については、既に日本で活躍している人々を国外に派 遣すること等によって、これまでの経験の上に、途上国における活動に必要なノウハウを 蓄積する方向で検討する。 b. 職員専門区分の設置 「障害者支援」を職員の専門区分として設置し、より高いレベルで専門性を持った職員 の育成を計ると共に、同分野におけるさらなる事業の推進に取り組む。 c. 『JICA Knowledge Site』の活用 JICA 内に 散在 して いる 障 害者 支援 分野 に関す る 情報 をデ ータ ベース 化 し、『 JICA Knowledge Site』を有効活用できる体制を整備する27。『Knowledge Site』の活用により、 27 『JICA Knowledge Site』は、グループウエア基盤上に構築されたシステムで、 「分野・課題」 、 「プロジ ェクト」 、 「人材」という3つの重要情報を核に、JICA 内部の情報および外部インターネットの Web サイト 42 例えば各分野別の JICA の援助方針、事業実績、専門家・調査団等在外に派遣された人材情 報、有識者・関連機関の連絡先、及び過去の事例等を必要に応じて調べることができる。 新規案件を立ち上げる際、または新たに本分野の担当となる職員等が JICA に蓄積された経 験を共有し、事業の実施効果を高めることが期待される。 また、障害以外の分野の『Knowledge Site』にも障害者支援の視点を導入できるよう、 他の分野・課題別チームとの連携を計る。 d. 支援委員による現場視察 JICA 事業における障害者支援メインストリーミング促進のため、当分野の支援委員を実 際に協力現場に派遣し、事業実施状況調査を行う。当分野の専門家である支援委員による 現地での JICA の協力活動の視察や在外事務所員が障害者支援への理解を深め、効果的にメ インストリーミングを推進するための助言を行う。 ② 障害者の JICA 職員としての雇用促進 障害者の社会への「完全参加と平等」を実現すべく、途上国において障害者の職業リハ ビリテーション支援事業を実施している JICA 自らが障害者雇用促進に取り組むことは、対 外的に大きな意味を持つものである。また何よりも、障害者支援事業全般を実施する上で、 事業の主体である JICA が、組織の中に障害当事者の視点を取り込んでいることが、事業の 効果的な実施、運営のための促進力となる。それは、障害を持つ人々の支援を実施する際 に、どう言った視点が必要であるかを一番理解できるのは同じく障害を持つ人々であり、 また、障害を持たない職員も、障害を持つ職員と同じ職場で働くことにより、障害(者) 問題への理解が促進される、という効果が期待できるからである28。更には、障害を持つ職 員が障害分野以外の専門性や能力を高め、他の分野においてもその専門性や能力を発揮す る機会が得られるよう、障害を持つ職員も参加しやすい研修環境の提供など、組織として 支援していく体制を確保する必要がある。 同時に、職場環境においても、障害を持つ職員が働きやすいよう、ハード面、ソフト面 において改善する。必要な環境整備として以下のようなものが考えられる。 ハード面:障害に応じた事務所へのアクセシビリティーの確保および事務所内バリアフ リー、障害に合った業務用使用器材の導入、設置(コンピュータおよびその を含む他のデータベース群の情報を検索することができる。これにより各事業部ごと、案件担当者ごとに 管理されていた分野情報、関連文書等を JICA として一元的に管理、共有することが可能となる。既に教育、 自然環境保全、南南協力等 23 の分野で導入されている。http://gwweb.jica.go.jp/km/km_frame.nsf 28 「障害者の雇用の促進等に関する法律施行令」第十条の二によって特殊法人等の特定の法人は、全職員の 2.1%に相当する数の障害者を雇用することが義務付けられている(法定雇用率) 。 43 周辺機器の整備等)等。 ソフト面:一般職員の障害理解、障害ゆえに必要となる業務実施上の支援(職員間の協 力・配慮およびアシスタントの導入、点字・手話等情報伝達手段の確保) 。 聴覚障害者は特にソフト面での整備が重要である。 現在、障害者の就労は、国際的に大きな課題である。障害者雇用機会の拡大 には、当事者への職業訓練充実と同時に雇用主への理解促進が欠かせないも のとなっている。 ③ JICA 関連施設におけるバリアフリー化とユニバーサルデザイン29の導入 メインストリーミング促進の一環として、障害者が JICA 関連施設を利用できる体制を整 えていく必要がある。ここで言う JICA 関連施設には、本部、国内センター、協力隊訓練所、 在外事務所等を含む。既存の施設については、各種障害者の利用を妨げている種々の側面 を早急に改善(バリアフリー化)する。新たな施設を建設する際には、障害者・高齢者等 を含む全ての人の利用を前提に、 「バリアフリー新法」の基準を参照し、基本的にユニバー サルデザインを導入する。建築物以外の備品についても、例えば車両を買い換える際には その一部をリフト付きバンとする等、全ての人のアクセスを考慮し、バリアフリー化を促 進する。なお、これらに必要な予算措置について今後検討する。 以下、現状改善に取り組む際、配慮すべき具体例を障害別に上げる。実際に施設改善や 新たな建設を行う場合には、設計段階から複数の障害当事者の意見を聴取し、各種障害者 の利便性をチェックする。 (例)事務所及び宿泊施設等における改善点 a. 車椅子利用者 エレベーター:誤ってドアに挟まれることがないよう、ドアに赤外線センサーを設置す る。車椅子利用者用のボタンパネルを設置する。 トイレ:各フロアに車椅子用トイレを設置する。 宿泊用居室:車椅子対応の居室を少なくとも5部屋設置する。特に、浴室、トイレは車 椅子のまま出入りが可能なよう、適切なスペースを確保し、可能な限り段差 をなくす。 その他:建物入り口及び館内の段差は可能な限りなくし、解消できない段差にはスロー プを設置する。館内は車椅子での自由な移動を可能にするため、スペースの確 29 バリアフリー化とユニバーサルデザインについては、付録 10 参照。 44 保に留意する。 b. 視覚障害者 エレベーター:エレベーター内のボタン、各階ごとのボタン脇に点字と浮き出し文字を 設置する。音声ガイド(英語)を設置する。 点字表示:施設内の各室、トイレの入り口等に点字表示を設置する。 宿泊用居室:スイッチ類等に点字表示を設置する。利用者用の案内等、常備資料を点訳、 拡大文字でも用意する。ドアに浮き出し数字を付ける。 その他:主要個所(入り口、フロント、階段、食堂等)に点字ブロックを付設する。ま た、主要個所間(玄関→フロント等)に誘導ブロックを付設する。危険個所に は注意を促す点字ブロックまたは柵を敷設する。館内の照明を明るくし、表示 は見やすいものを設置する。 c. 聴覚障害者 宿泊用居室:ノックの音が聞こえないので、訪問者を認識できるよう、音を視覚認識で きるフラッシュライトを設置する。朝、確実に起床するためのバイブレータ ー付き目覚まし時計・腕時計を設置する。 その他:非常ベルと同時に点灯するフラッシュライトを設置する。 上記の改善を実施するためには、いずれも予算が必要であり、賃貸契約下の事務所等で は全ての実行は困難であることが予想される。現地の実情を考慮しつつ、可能な限り物理 的な障壁の解消に取り組むと同時に、4-2-1(1)でも述べたように関連施設に勤務する職 員(JICA 所属者に限らない)が適切な障害者対応方法を身につけておく。特に、非常時の 避難・誘導に関するマニュアルを予め備えておくことが不可欠である。 45 図 2-3 障害者支援へのアプローチ概念図 障害者の完全参加と平等 メインストリーミング エンパワメント 直接支援に係る協力例 JICA 事業への障害者の参加支援 リーダー養成 各セクターで実施されるプロジェクトへ 自立生活訓練 の裨益者としての障害者の参加 自営・職業訓練 障害者を対象としたプロジェクトの実施者と CBR への参加促進 しての障害者の参加 当事者や家族への相談事業 etc… 障害当事者団体への技術指導 福祉機器の提供 etc… 連 携 相互作用 エンパワメントのための 条件・環境整備 メインストリーミング促進 CBR の実施及び CBR ワー のため条件・環境作り カーの育成 職員研修 関連職種専門職の養成 研修教材の多様化 教育政策の策定 職場環境のバリアフリー化 福祉政策の策定 職員採用と就業上のサポート コミュニティーでの啓発・ 広報活動 専門家・ボランティア派遣制度の見直 etc… し 46 etc… 第3章 JICA の協力の方向性 3-1. JICA が重点とすべき取組みと留意点 ツイン・トラック・アプローチは、第二章で述べたとおりエンパワメントとメインスト リーミングという二つの取組みからなるが、両者は相互補完的に重なる点も多く、明確に 分かれたものではない。またより重要であるのはメインストリーミングとしての取組みで ある。開発という取組みにおいて、障害(者)問題が単なる健康もしくは医療という一分野 の課題として取り組まれるのではなく、すべての人が様々な課題に直面しているように障 害者も同様に多様な課題に直面しており、障害者が開発のすべての取組みにおいて統合(イ ンクルージョン)され、その統合が阻害されるような障壁と取り組むことが重要である。 (1) メインストリーミングの重点分野 1) 貧困削減 世界的な貧困削減の流れは、ミレニアム開発目標(MDG)の達成に向けて進んでいる。MDG では 2015 年までに世界中で1日1ドル以下で生活している人口比を半減することとしてい る。一方、障害と貧困は密接に関連していて、世銀によると開発途上国の貧困人口の 20% が障害者といわれており、また、障害者の 60%が開発途上国にいるという統計30もある。し たがって、貧困削減という枠組みにおいては、障害者をターゲットグループとすることは 国連ミレニアム開発目標を達成するための重要な要素である。 また、貧困削減では、コミュニティー開発、村落振興、生計向上といった協力の実施に おいて、対象地域に住む障害者やその家族もプロジェクトの便益を享受できるよう協力内 容を策定することが重要となる。 2) 復興・開発支援 近年、世界における紛争は、国家間の紛争から、地域間もしくは国内紛争へとその形態 が変わってきており、それに伴い紛争の被害者も8割が非戦闘員となっている。紛争経験 国では、他の途上国と共通する問題に加え、社会インフラ・制度の崩壊、国内の治安・政情 不安など、より困難な状況を抱えている。紛争による社会・経済的状況の悪化の影響は子供 や高齢者、女性、障害者といった社会的弱者に対してより強く現れる傾向がある。紛争が 30 Elwan, “Poverty and Disability: A Survey of the Literature Social Protection Discussion Paper No. 9932; Publication Date: 12/99” 47 解決され、平和な国家を築くための復興・開発が始まっても、彼らは社会・経済の発展か ら取り残される場合が多い。障害者は施設に収容され、自らの意思や決定権を持たず、ケ アを受けるのみの存在としては、復興・開発の重荷となりえるが、復興・開発の重要な担 い手となる可能性があることを十分に認識したうえで、障害者のインクルージョンを促進 し、障害者をエンパワメントしていくような取組みに支援内容を転換(例えば義肢の支給 から義肢装具士の育成への転換)していく必要がある。 BOX3-1 復興・開発支援と障害者 JICA では、現在平和構築支援を実施する際に、PNA(Peacebuilding Needs and Impact Assessment) という紛争分析・プログラミングツールを使用して、復興・開発支援への協力計画案を作成してい る。このツールでは全部で7つの分野を分析することになっているが、その分析項目の一つに社会 的弱者支援がある。この項目での分析では、地雷や戦闘による身体障害や PTSD の現状を調査し、ど のような支援が必要かを検討する事になっている。このようにすべての平和構築支援に障害分野の 分析を入れることにより、復興・開発支援における障害者への裨益を必ず考慮する仕組みになって いるといえる。ただし、障害者は他の人と同様にいろいろなサービスが必要であるにも関わらず、 医療的リハビリテーションサービスのみが考慮される傾向にある。障害者を医療的リハビリテーシ ョンに限らず全ての援助の裨益者とみなし配慮することが重要である。 (2) エンパワメントの重点対象者 1) 当事者団体及びリーダー 当事者団体及びリーダー育成分野は、これまでも重点的に取り組んできた分野であるが、 途上国において、 障害者が JICA に限らずあらゆる開発プロジェクトの便益を享受し、 また、 プロジェクトに参加する機会を均等に得るためには、更に当事者団体やリーダーの育成と いった取組を強化していくことが急務である。具体的には、研修事業の他、日本の当事者 団体との連携を支援するといった方法が考えられる。なお、リーダー育成に係る協力を実 施する際には、障害者のなかでも弱い立場にある人々(女性、中重度の障害者、少数言語 使用者、先住民族や少数民族等)の実態をより深く理解し、彼らの代表者/代弁者を対象に 含めるなど配慮することなくしては効果的な協力とはならない。なお、家族の会や家族も エンパワメントの重点対象とする。 <協力事例> 形態 対象国/方式等 名称 年度 研修員受入 課題別 地域活動としての知的障害者支援 80- 研修員受入 課題別 障害者リーダー育成 86- 研修員受入 課題別 聾者のための指導者(アジア・太平洋諸国) 96-04 研修員受入 課題別 アフリカ地域障害者の地位向上 48 02- 第三国研修 タイ プロジェクト キルギス 障害者に優しい環境造りに係る地域研修 01-03 障害者の社会進出促進 07-10 2)女性障害者 女性障害者は、 「女性」でありかつ「障害者」であるという二重の社会・文化的障壁によ って種々の人権を侵害されている場合が多い。多くの女性障害者は基本的な権利さえも十 分に認められず、家族によって匿われ、移動・教育・就業といった機会に恵まれていない 状況にある。こうした女性障害者については、家族や社会の理解を促すと共に、生産活動 も含めた様々な社会活動に参画できるよう配慮すること、及び本人に自信を付ける (エン パワメント)ための支援が必要である。 <協力事例> 形態 対象国 名称 アジア太平洋障害者センター 年度 フェー プロジェクト タイ ズ2 07-12 プロジェクト パキスタン 障害者社会参加促進プロジェクト 08-10 JOCV ドミニカ共和国 手工芸 JOCV パキスタン 家政 (3) メインストリーミングの重点対象者:行政、NGO・民間セクター、マスメディア 障害者が人間としての尊厳を持ち、社会的地位が認められ、また社会の一員であるとい う意識を持つこと、また人権が保障され、政治・政策の意思決定過程に影響を与えられる ことは、障害者の社会参加促進の重要な土台であるが、実際には、制度・社会環境の不備 や意識不足のために障害者が社会や政治に参加することは難しい場合が多い。全ての人が 参加できる平等な社会をつくっていくためには、中央政府レベルでの、障害者の人権や社 会参加を担保するための立法、司法、行政の整備及び意識向上が必要である。例えば、教 育機会の均等化には、学校関連機関の意識・理解改革が不可欠となる。他方、障害者の社 会参加は行政だけで促進することはできない。開発途上国では、脆弱な行政組織を補完す る役割として、NGO が現場の地方行政機関と連携して公共サービスを担っていることも多い。 また、障害者の生計向上には、民間セクターによる雇用も不可欠であり、民間セクターの 理解促進も重要となる。地域社会・生活すべての面において障害者のインクルージョンが 達成されるためには、社会全体の障害理解の向上が必要である。ラジオ、テレビ、新聞な どのメディアは、行政へのチェック機能のほかに情報伝達媒体を通じて障害者の抱える課 49 題に焦点をあてる重要な役割を果たすことができる。したがって、これら行政以外の関係 機関・者の理解促進も必要である。 (4) 実施上の留意点 以上のように、JICA の障害者支援実施方針として、 「エンパワメント」と「メインストリ ーミング」を2本の柱とし、それぞれの柱を下支えする環境づくりや条件づくりをも視野 に入れた支援を行うこととするが、これらの分類化された支援は、それぞれ個別に存在す るのではなく、連携しながら且つ相互補完性を持って実施されるべきである点に留意する。 つまり、教育、保健・医療、農村・社会開発、ジェンダー平等、平和構築支援といったセ クターに障害者支援の視点を組み込むことは、障害者に係わる人材の育成や、障害児も含 めた教育に係る政策策定に間接的に貢献する等、障害者のエンパワメントを推進する上で の条件・環境整備(メインストリーミング、インクルージョン)になることがある。また、 コミュニティーを対象とした CBR31を実施する際には、それが直接障害者のエンパワメント の5つの能力開発につながる場合もあれば、妊産婦への栄養指導、識字教育等の活動を含 めることにより、エンパワメントの条件・環境整備をも含んだ協力になることもある。 また、他のコミュニティー開発に関する支援と同様、特にコミュニティーにおいて障害 者支援を実施する際には、現地の社会、経済、政治、宗教等の特徴を十分調査することに よって、既存のシステムを有効活用し、不要な対立関係をもたらさないよう実施すること が肝要である。障害者支援は、周りにある社会と障害者がパートナーシップをもって取り 組むべき課題である点に十分留意する。 同時に、障害者支援においては、中央、地方政府だけが主要なカウンターパートではな く、民間セクター、特に NGO の果たす役割が非常に大きいことを十分考慮し、種々のセク ターやレベルの関係者が連携して計画を策定・実施する体制を構築するように留意する。 また、障害者支援にあたっては、できる限り障害者一人ひとりの考え方、障害による生 活様式の多様性等を尊重しながら、社会への参加を支援することが求められる。そのため にも、障害者を単なるサービスの受け手として認識するだけでなく、可能な限りサービス 提供者としても活動する機会を用意することと併せ、社会や開発から除外されないように 留意する必要がある。 31 CBR については、付録 6 を参照。 50 3-2. 今後の検討課題 (1) 人材養成・確保にかかる課題 障害者支援分野における専門家の養成・確保は喫緊の課題である。最近の傾向としては、 従来からの医療リハビリテーション人材養成機関の強化といった案件のほかに、新たな分 野として障害当事者団体の育成・ネットワーク構築支援、就労を含む社会参加促進といっ た障害者のエンパワメントに関するもの、地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)に関す るものが徐々に増えてきている。リハビリ専門職分野の専門家は、国内の現場を長期に離 れることができないため、海外の協力に従事することが難しい場合が少なくない。また、 障害者のエンパワメント分野の専門家は、これまで大学や NGO、NPO の協力を得てきたもの の、今後の需要増加に対応できるように、人材の把握に努めていく必要がある。特に障害 者支援分野を大学等で勉強したり、JOCV 等でその分野の業務経験がある人材はかなり存在 するにも関らず、国際協力人材登録システムである「PARTNER」の専門分野の分類には「障害 者支援」という区分がないために、これら人材が十分に把握できていないという問題もある。 ジュニア専門員や個別専門家養成研修といった人材養成制度を活用し、障害者支援分野の 国際協力に関する専門家を養成・確保していくことが今後の課題である。 (2) 事業実施者としての障害者のメインストリーミングの一層の促進 事業実施者としての障害者のメインストリーミングは、近年確実に進展しているといえ、 障害者支援を目的とする案件において、障害を有する短期専門家や調査団員の派遣が増え ている。例えば、肢体不自由者や知的障害者が短期専門家として派遣され、ロールモデル やピアカウンセリング等を通じた障害者のエンパワメントで大きな成果を挙げたり、また、 プロジェクトの各ステージの調査団に、視覚障害者やろう者が調査団員として派遣され、 評価やモニタリングに参加している。青年海外協力隊等のボランティアに関しても、障害 者スポーツ分野を中心に短期隊員の派遣実績をのばしており、2008 年には初めての長期派 遣の事例として全盲のシニアボランティアが派遣された。今後の課題として、これまでは 障害者に対する協力活動事業に限定されてきたところを、必要かつ可能と考えられる場合 には、積極的にその他の分野への参加も検討することが必要である。そのためには、派遣 に関する制度やルールを、障害者の派遣に対応しうるものにしていくことが重要である。 (3)JICA 職員に対する研修の実施拡充 第 2 章で述べたとおり、メインストリーミング推進のためには、JICA 職員を中心とした 関係者の理解を促進し、意識を高めることが重要であるという認識のもと、年1~2回、 51 障害者支援に関する職員研修を人間開発部により実施してきている。しかしながら、現状 では同研修は受講希望者を対象としており、もとより障害者支援に関心のある職員が自発 的に受講するという性質のものである。本来、啓発・理解促進が必要な対象は、むしろ障 害者支援に関心がない層であるが、この層にアプローチするためには現状の方法では限界 がある。今後は、階層別研修に取り込むなどの方法を検討し、より多くの関係者に確実に 意識を根付かせるアプローチを検討する必要がある。 52 付録 1.JICA 各スキームにおける障害者支援分野協力の実績 1-1.JICA のこれまでの主な取組紹介 1.研修 (1) 障害者リーダー養成研修 1986 年より日本障害者リハビリテーション協会に委託し、集団研修コース「障害者リ ーダーコース」を実施している。障害者をサポートする立場にいる自ら障害のあるリーダ ーに対し、様々な角度から障害者の自立に関する情報を提供し、障害者の地位向上に資す ることを目的としている。アジア、太平洋、中近東地域から来日した研修員は、講義や見 学、実習を通して「障害者の現状分析とニーズの把握」、 「障害者の組織的活動の推進」、 「障 害者の権利やニーズに関する総合的な広報プログラムの改善」、「日本の障害者組織による 社会参加推進活動」についての理解を深め、母国へ帰ってから地域の障害者福祉政策を推 進するリーダーとして活躍している。JICA では障害を持つ研修員が快適に過ごせるよう、 研修施設の改善も進めている。 BOX1-1 リーダー養成研修の大きな成果:ヴィーナス・M・イラガン(フィリピン) 第 6 回 DPI32世界会議において、女性として初めて世界議長に選出された、1994 年度 JICA「障 害者リーダーコース」の研修生である。ポリオ感染のため3歳から車椅子生活。大学はジャー ナリズム学科を卒業し、14 年間フィリピン情報局に勤務する。 1992 年に日本の NGO による「自立生活研修」のために初来日し、日本の障害者が自立し、且 つ、活動的であるのを見て、自分の得た経験をフィリピンの障害者の自立に役立てることを決 意した。1995 年よりフィリピン障害者連合 KAMPI の代表として自国の障害者支援活動に取り組 む。特に女性障害者、障害児の問題に関心を寄せており、女性ネットワークの事務局や子ども に関する国家プロジェクトのコーディネーターとして活動している。 数多くの国際会議にも出席し、DPI フィリピン会長、アジア太平洋ブロック議長を務め、障 害者の権利のために発言してきた。2001 年に障害分野で活躍した人に贈られる糸賀一雄賞を受 賞。今後4年間、DPI 世界議長として、障害者の指導的な立場で活躍できる人材を育成する環 境づくりに全力をつくすことを表明している。 (2) DPI 障害者リーダー養成セミナー(第三国研修) 障害当事者団体として国際的に活動する NGO である DPI は、1986 年より、支部のあるア 32 DPI については、付録 2 参照。 53 ジア・太平洋・アフリカ地域の開発途上国において、障害者リーダーの養成を目的とした セミナーを開催した。毎年、異なる国々で、地域組織の協力を得ながら行われた。参加者 の障害の種別、程度は問わない。各国の障害団体の強化のための情報交換・技術の提供、 地域への参加の促進、自立の援助を目的としていた。国連の「世界行動計画」や ESCAP「ア ジア太平洋障害者の 10 年」の行動計画の実行のため知識・技術の習得や、開発事業に従事 する職員と技術者に向けた知識・技術の習得も目的としていた。障害を持った専門家の講 義やグループワークを通して、さまざまな国からの参加者がエンパワーメントされていっ た。 また、実施国において、政府や一般市民が障害分野について考える契機となり、バリア フリーの重要性や、障害関係省庁と障害当事者団体のネットワークの重要性が認識される などの効果もあった。 <これまでの研修受入実績> 1986 年度 韓国 19 名 1994 年度 ザンビア 31 名 1987 年度 パキスタン 27 名 1995 年度 フィリピン 23 名 1988 年度 タイ 44 名 1996 年度 インド 22 名 1990 年度 フィジー 26 名 1997 年度 タイ 37 名 1991 年度 シンガポール 23 名 1998 年度 フィジー 25 名 1991 年度 ジンバブエ 21 名 1999 年度 スリランカ 19 名 1992 年度 中国 19 名 2000 年度 ラオス 40 名 1993 年度 バングラデシュ 21 名 2001 年度 カンボジア 56 名 1994 年度 インドネシア 28 名 2002 年度 中国 26 名 (3) 聾者のための指導者(アジア・太平洋諸国) 本コースは、1995 年より(財)全日本聾唖連盟に研修を委託し実施している。アジア・ 大平洋の開発途上国の聾者を招き、日本で蓄積された聾者の社会福祉や運動事業の知識を これらの国々に広め、聾者団体のリーダーを育成することにより、聾者の自立と社会参加 に貢献することを目的としている。研修ではまず、最初に各国で異なる手話の理解を深め コミュニケーションを円滑にするために、研修員の手話のすり合せが行われる。 (本研修で は国際手話を使用。 )5週間の研修の中には、日本の聾者の現状、教育、雇用、手話通訳、 聾者団体の運動などについての講議の他、近畿、九州地方等の都市で聾者を対象とする公 共施設や社会で活躍する聾者の活動を視察など、地域との交流も組み込まれている。 54 2.青年海外協力隊 (1) コスタリカ:障害者リハビリテーション分野青年海外協力隊巡回指導調査「リハ ビリテーションにおける戦略としてのチームワーク」セミナー 2001 年 9 月にリハビリテーション・福祉分野青年海外協力隊活動巡回指導調査団が派遣 され、結果、1979 年協力隊派遣当初より課題とされているリハビリテーション分野の発展 が促進されないのは、チーム医療の未熟性が原因と分析された。その後、国家リハビリテ ーション・特殊教育審議会等との協議を重ね、02 年 6 月に3日間のチームワーク強化を目 的としたセミナーの開催が決定した。 セミナー実施においては、調査団(団長:上田敏日本障害者リハビリテーション協会副 会長、技術指導:田口順子青年海外協力隊技術顧問)派遣に加えて、協力隊経験者 3 名も バックアッププログラムのチームとして同行した。上田団長はリハビリテーションにおけ る基本概念である、異職種間のチームワークに関する講演を3日間実施し、スペイン語の パワーポイントを用意するなどして、概念を把握させるよう努めた。そして講演内容に対 する理解を深めるために分科会を開催し、過去に隊員が直面した問題を事例に、職場にお けるチームワークを考えたケーススタディを行った。また、理学療法士に対し、田口技術 顧問による運動療法の実習が行われた。セミナーには連日 80 名を超す参加者が国内のさま ざまな地方から集まった。またリハビリテーションにおけるチームワークについて学びた いとの強い意志からドミニカ共和国からも隊員2名を含む、医師、作業療法士の参加があ った。 このセミナーを通して、理学/作業療法士、ソーシャルワーカー、医師、心理士などさま ざまな職種の人が集まり、これまで各自で抱えていた問題を共有し、コスタリカにおける リハビリテーションのチームワークの状況を知り、チームワーク実施方法について分析す る話し合いが行われた。最終的には、提言がまとめられ、国家計画に反映されることが確 約されている。 3.技術協力プロジェクト (1) アジア太平洋障害者センター フェーズ1(協力期間:2002.08.01-2007.07.31) タイ国における技術協力プロジェクトであるが、タイ国のみならずアジア太平洋地域全 体を支援対象とした広域案件であった。同案件の形成については、2001 年から三度にわた る調査を行い、同時に障害者を中心としたワークショップを開催するとともに、タイ及び 周辺国における政府機関、NGO、国際機関などと協議を進めた。その結果、「アジア太平 55 洋地域内障害者のエンパワーメントと社会のバリアフリー化を促進する」ことを最終的な 目標としたプロジェクトを開始することが決定された。 既に 2000 年 8 月から活動を開始し、 ①人材育成、②情報支援、③関係機関のネットワーキングと調整を三つの協力の柱として 位置付けていた。このプロジェクトの特徴としては、障害者自身が主体的に案件形成、企 画、運営、評価を行うこと、障害当時者団体が協力機関として活用されていること、アジ ア太平洋地域に住む障害者を対象にした広域案件であること、が挙げられる。日本政府も 「重点施策実施五ヶ年計画」の中で特に本案件に対する支援を強化することを明記してい る。 (2) チリ:身体障害者リハビリテーション(協力期間:2000.8.1.-2005.7.31) チリ国は弱者救済を目的とした社会福祉を重視し、身体障害者福祉制度の改善に向け努 力している。しかしながら全国唯一の国立小児身体障害者リハビリテーション病院である ペドロ・アギレ・セルダ国立リハビリテーション研究所(INRPAC)は施設・医療技術共に 遅れていたため、リハビリテーションの技術とケアシステムなどの機能向上を目的とした プロジェクトを実施した。 ケアプログラムの改善、スタッフ技術水準の向上、医療情報システムの開発などを目指 した協力を行ってきた。スタッフへのリハビリテーション技術の指導が進むとともに臨床 データベースのプロトタイプが完成するなど順調に進んだ。また、プロジェクトではリハ ビリテーションプログラムの一環として、入院・外来診療システムと並ぶ地域リハビリテ ーションの開発を進めてきた。チリのコミュニティー調査の結果から、リハビリテーショ ンの専門家に指導された介助者が行う在宅リハビリテーションと障害者の社会統合への取 り組みが強く求められていることがはっきりしたが、チリ国の福祉制度はまだ整っていな い。一方で地方分権化が進んでいるため、地方自治体の支援のもと、障害者家族が地域グ ループを法人化し、国立障害者基金などにプロジェクトを申請して自分たちの地域リハビ リセンターを作っていくやり方があることがわかった。現在 INRPAC の患者家族グループが 地域リハビリテーションを設立するようプランが INRPAC スタッフの指導で進められている。 4.調査・研究・評価 (1) 障害者の国際協力事業への参加(フェーズI、II) ODA 事業においても障害者支援の視点を持ち、今後一層の障害者の参加を促進するために 1995~96 年にわたり、国内と途上国において「障害者の国際協力事業」への参加」の調査 研究が実施され、提言がまとめられた。 56 (1)障害者自身が参加する意義 (2)途上国側の援助ニーズと我が国障害者の協力意向 (3)障害者の参加の可能性 (4)参加の方向性 (5)障害者の参加にあたっての重点分野 (6)重点分野を中心とした参加推進のための方策 (7)障害者の参加促進のための留意点 途上国側の援助ニーズは非常に高く、日本の障害者自身が障害福祉分野の協力へ参画し ていく意義は大きいことがわかった。 障害者の参加にあたっての重点分野、参加推進のための方策は以下の通りである。 重点分野 1) 障害者に関する啓発、広報のための方策 2) コミュニケーション手段と移動・情報へのアクセシビリティ確立のための協力 3) 情報交換、収集と利用のための協力 4) 障害者の職業機会拡大のための協力 5) 途上国の障害者団体の組織化及び運営のための協力 6) 障害者のスポーツ、レクリエーション、文化活動のための協力 7) 福祉機器の紹介と導入のための協力 8) その他 重点分野を中心とした参加推進のための方策 1)途上国の障害者に対する協力事業の拡充及び基本的考え方の方策 2)ODA 実施機関における障害福祉分野のとりまとめ体制の確立 3)ODA 関係機関スタッフの障害者に対する理解促進 4)途上国の障害者に関する基礎的情報整備 5)途上国の障害者へ協力のためのアドバイザリー・グループの設置 6)途上国の障害者に対する協力事業に関する情報交換体制の確立 7)障害者の参加を配慮した既存事業の実施 (2) 障害者福祉検討会 フェーズⅠ、Ⅱの提言を受け、具体的な障害者支援事業拡大に向けての基本方針及び行動計 画を策定することを目的として関連各事業部の委員からなる 「障害者福祉検討会」 が設置され、 1998 年から 1 年にわたり内部検討が行われた。基本方針では JICA としての長期目標「国際協 57 力における完全参加と平等を促進することである」を設定し、目標達成のため取り組むべき課 題として、中期行動計画、短期行動計画を以下の通り策定した。 中期行動計画 1)本邦障害者の国際協力参加推進体制整備 2)途上国障害者支援事業の実施 3)障害者団体による協力事業支援 4)途上国障害者基礎情報整備 5)被援助国政府の協力受入理解促進 短期行動計画 1)情報ネットワークの整備 2)JICA 事業への助言・支援体制整備 3)我が国の国際協力関係者の理解促進及び JICA 組織内意識改革 短期行動計画に基づく事業実施体制整備と伴せて、障害者のエンパワーメントに重点を おいたパイロットプロジェクト(プログラム)をアジア・太平洋地域において実施するこ ととした。 (3) 特定テーマ評価:タイ障害者支援 1999 年8月、 「障害者の社会への完全参加と平等の実現」の観点から、JICA の過去の協 力について評価を行うとともに、同実現に向けて今後の協力の改善に係る教訓・提言を導 きだしフィードバックすることを目的に評価は行われた。総合評価としては、JICA が行っ てきた各スキームによる障害者支援は、教育、医療、職業及び社会の各リハビリテーショ ンの分野及び、障害者の社会への参加と平等を実現するための基盤整備に大きく貢献した と言える。そして今後の協力の方向性として以下の3点が確認された。 (1)タイ政府は国際的潮流に合わせ、障害者の社会への完全参加と平等の実現に向け て障害者支援の体制を整備しつつある。 (2)障害者の社会への完全参加と平等の実現のためには、政府だけでなく、障害当事 者団体、NGO の活動が重要であり、また、社会全体を巻き込んでいくことが不可欠 である。 (3)中央レベルでは支援に係る基本的な人材・施設・財源もある程度確保されている。 また、案件形成・実施に係る横断的な教訓は以下の通りである。 (1)協力への障害者の積極的参加及び参加に向けての環境整備 58 (2)協力における障害者への配慮 (3)NGO との連携 障害者のニーズに合った協力を効率的に実施するため、JICA においても案件形成、実施・ モニタリング、評価のプロジェクトサイクルの全過程に日・タイの障害者の積極的参加を 図る必要があり、また障害者が参加しやすい環境を整備する必要がある。また、社会・経 済活動の多方面において障害者のアクセスへの配慮が盛り込まれる必要がある。現状の協 力量をいか効果的に活用するかが重要な課題となっていることから、可能な限り優良な NGO との連携を図り、そのノウハウを活用すべきである。 5.有償資金協力(障害者配慮がなされた事例) (1)メトロマニラ大都市圏交通混雑緩和事業 I~III(承諾年度:1995,1996,1998) メトロマニラ大都市圏の交通手段は主として道路に依存しているが、1990 年代以降の経 済復興に伴い、市内では車両通行台数の増加による慢性的な交通渋滞に陥っていた。この 結果、大気汚染が深刻化し、甚大な経済的損失を被っており、この問題を解消するために 大量公共輸送手段である高架鉄道網の整備が求められた。これを受け、有償信金協力によ り人口急増が著しい郊外と中心部を東西に結ぶ高架鉄道の 2 号線を建設することで、主に 道路に依存しているメトロマニラの都市交通体系を整備することとなった。 施工にあたり、駅構内へのエレベーター、スロープ、点字タイル、障害者用トイレ等の 設置、車両への車椅子スペースの設置等の、障害者の利用を配慮した設計を行った。 (2)第二バンコク国際空港建設事業 I~ⅤⅡ(承諾年度:1996-2005) 経済発展に伴い増加しているタイの航空需要に対応するため、バンコク東方 30km のノン グーハオ地区に最大年間対応旅客数約 4,500 万人の新空港を建設し、バンコク圏の年間対 応旅客数を大幅に増大させることを目的として実施された。旅客ターミナルにおいて、ゲ ート、レストラン、展望台等各所へのスロープの設置、障害者対応エレベーターの設置、 空港内車椅子およびアシスタントの配置等のバリアフリー設計を行った。 6.無償資金協力 (1)アジア太平洋障害者センター建設計画(2003-2004) アジア太平洋地域の障害者の多くは教育や就労等の社会参加の機会に恵まれておらず、 タイ王国政府が、アジア太平洋地域内各国における障害者の社会的地位の向上と社会参加 59 の促進のため、関係機関との連携強化、人材養成および情報提供を行うことを目的として 「アジア太平洋障害者センター」を設立するにあたり、技術協力プロジェクト(前述3(1)) 、 第三国研修、無償資金協力の要請を併せて行った。これを受け、日本政府より、センター の施設建設および活動に必要な機材(コンピューター、AV 機材、リフト付きバス等)の供 与のための無償資金協力(総額 5.38 億円)が行われた。 (2)肢体障害者リハビリテーション研究センター整備計画(1985-1988) 1980 年代、近代的かつ総合的なリハビリテーション医療が行われていなかった中国にお いて、工業、交通の発達に伴う障害者の増加と、その社会復帰に対する要求の高まりから、 障害者に対する奉仕を目的として 1984 年「中国残疾人福利基金会」 (障害者連合会の前身) が設立された。同基金会は近代的リハビリテーションを行う機関として、中国で初めての 「中国肢体障害者リハビリテーション研究センター」の建設を決定し、日本政府により、 建築用資機材、医療資機材、これら供与資機材に関するコンサルタント業務、特定部分の 設計監理業務に係る無償資金協力(総計 33.8 億円)が行われた。 60 1-2.スキーム別実績 1.技術協力プロジェクト実績 開始年度 国名 件名 協力期間 実施状況 主管 1980 ぺルー 地域精神衛生向上 1980.05-1987.05 終了 人間開発・社会保障 1983 タイ 労災リハビリテーションセンター 1984.02-1991.03 終了 人間開発・社会保障 1986 中国 肢体障害者リハビリテーション 1986.11-1993.11 終了 人間開発・社会保障 1991 中国 ポリオ対策プロジェクト 1991.12-1999.12 終了 医療協力・医療協力第一 1994 インドネシア ソロ身体障害者リハビリテーションセンター 1994.12-1997.12 終了 人間開発・社会保障 1997 インドネシア 国立障害者職業リハビリテーションセンター 1997.12-2002.12 終了 社会開発協力・社会開発協 力第一 2000 ミャンマー ハンセン病対策・基礎保健サービス改善プロジェクト 2000.04-2006.11 終了 人間開発・感染症対策 2000 チリ 身体障害者リハビリテーションプロジェクト 2000.08-2005.07 終了 人間開発・社会保障 2001 エチオピア ポリオ対策プロジェクト 2001.04-2004.04 終了 人間開発・感染症対策 2001 中国 リハビリテーション専門職養成 2001.11-2008.03 終了 人間開発・社会保障 2002 タイ アジア太平洋障害者センター 2002.08-2007.07 終了 人間開発・社会保障 2003 インドネシア 国立障害者職業リハビリテーションセンター機能強化 2003.07-2006.03 終了 インドネシア事務所 2003 ネパール アジア太平洋地域障害者のための能力開発セミナー 2004.02-2004.02 終了 アジア第二・南西アジア大 洋州 2003 スリランカ 2004.03-2008.03 終了 スリランカ事務所 2004.12-2005.10 終了 人間開発・社会保障 2004 コミュニティ・アプローチによるマナー県復旧・復興計画プロジェ クト ボスニア・ヘルツェ 地雷被災者等に対するリハビリテーション技術の向上 ゴビナ 2005 ミャンマー ミャンマー国「アジア太平洋障害者センター」FU 2005.07-2006.02 終了 アジア第一 2005 マレーシア 障害者福祉プログラム強化のための能力向上計画 2005.07-2008.07 終了 マレーシア事務所 2005 ボスニア・ヘル ツェゴビナ 地雷被災者支援 フェーズ2 2005.09-2007.03 終了 人間開発・社会保障 2005 ルワンダ 障害を持つ除隊兵士の社会復帰のための技能訓練 2005.12-2008.12 終了 人間開発・社会保障 2005 パキスタン 基礎保健医療施設耐震建築指導プロジェクト(保健医療施設にかかる耐震及 2006.02-2006.10 終了 地球環境・防災第一 2006 インドネシア 障害者職業リハビリテーションに関する国際研修プロジェクト 2006.11-2011.03 実施中 インドネシア事務所 2006 ミャンマー 社会福祉行政官育成プロジェクト 2006.07-2010.12 実施中 人間開発・社会保障 2006 ボリビア ラパス市障害者登録実施プロジェクト 2006.08-2007.10 終了 ボリビア事務所 2006 アフガニスタン 特殊教育強化プロジェクト 2006.09-2008.03 終了 アフガニスタン事務所 2006 パキスタン EPI/ポリオ対策プロジェクト 2006.09-2011.09 実施中 人間開発・感染症対策 2006 エジプト 地域開発活動としての障害者支援 2006.11-2009.11 実施中 エジプト事務所 2006 コスタリカ ブルンカ地方における人間の安全保障を重視した地域住民参加の総 合リハビリテーション強化プロジェクト 2007.03-2012.3 実施中 人間開発・社会保障 2007 タイ アジア太平洋障害者センタープロジェクト フェーズ2 2007.08-2012.7 実施中 人間開発・社会保障 2007 キルギス 障害者の社会進出促進 2007.09-2010.3 実施中 人間開発・社会保障 2008 中国 中国中西部地区リハビリテーション人材養成プロジェクト 2008.04-2013.03 実施中 人間開発・社会保障 2008 ボスニア・ヘル ツェゴビナ 地雷被災者等に対するペインマネジメントプロジェクト (地雷被災者支援 フェーズ3) 2008.05-2010.05 実施中 バルカン事務所 2008 ミャンマー リハビリテーション強化 2008.07-2013.07 実施中 人間開発・社会保障 2008 コロンビア 2008.08-2012.08 実施中 人間開発・社会保障 2008 フィリピン 地雷被災者を中心とした障害者のための総合リハビリテーション体 制強化 地方における障害者のためのバリアフリー環境形成プロジェクト 2008.10-2012.09 実施中 フィリピン事務所 2008 エクアドル 社会的弱者のための職業訓練強化 2008.11-2011.10 実施中 人間開発・高等技術教育 2008 パキスタン 障害者社会参加促進プロジェクト 2008.12-2011.11 実施中 パキスタン事務所 2008 ボリビア 全国統一障害者登録プログラム実施促進プロジェクト フェーズ2 (全国展開) 2009.03-2012.03 実施中 ボリビア事務所 2009 ベトナム 南部地域医療機関リハビリテーション強化プロジェクト 2010.03-2013.02 新規 ベトナム事務所 2009 マレーシア 障害者の社会参加支援サービスプロジェクト 保留 マレーシア事務所 2009 ルワンダ 障害を持つ除隊兵士の社会復帰のための技能訓練(フォローアップ 協力) 新規 人間開発・社会保障 びバリアフリー建築指導) (障害者に優しいまちづくり) 61 2009.10-2010.03 2.研修実績 (課題別、国別、地域別、青年研修) 形態 開始 年度 国名 コース名 所管 部署 実施 状況 -96 97 98 99 00 01 02 受入人数 03 04 05 06 07 08 09 計 8 8 8 11 8 256 10 8 8 4 4 2 4 2 4 10 10 9 7 10 9 10 225 4 5 5 5 4 11 12 12 10 11 9 11 8 10 203 7 7 9 5 課題別 1980 N/A 地域活動としての知的障害者支援 東京 継続 139 8 9 9 10 8 9 11 10 課題別 1980 N/A 知的障害福祉(注1) 東京 終了 139 8 9 9 10 8 9 8 8 課題別 1980 N/A 知的障害福祉Ⅱ 東京 終了 139 8 9 9 10 8 9 11 課題別 1981 N/A 補装具製作技術(注2) 東京 継続 76 6 5 4 4 4 4 4 課題別 1983 N/A リハビリテーション専門家コース 東京 終了 138 9 11 11 9 10 10 8 課題別 1986 N/A 障害者リーダー育成 東京 継続 102 7 11 12 9 10 9 課題別 1989 N/A ハンセン病の治療及び予防の実践(注3) 東京 終了 36 5 5 4 5 4 課題別 1990 N/A 障害者スポーツを通じた社会参加(注4) 東京 継続 67 9 11 12 10 課題別 1991 N/A 世界ポリオ根絶のための実験室診断技術(注5) 課題別 1992 N/A 精神科チーム医療指導者研修(アジア) 課題別 1995 N/A 課題別 208 229 127 206 82 東京 継続 38 11 15 11 4 7 6 10 7 八王子 終了 33 6 10 8 6 8 9 10 10 137 視覚障害者用支援技術(アジア・太洋州諸国) 東京 終了 15 8 10 8 0 10 9 7 1995 N/A 聾者のための指導者 大阪 継続 15 8 8 8 8 7 8 8 8 8 8 9 10 10 123 課題別 1996 N/A ワクチン品質管理技術(注6) 大阪 継続 59 6 6 5 6 3 4 4 4 4 4 4 3 4 116 課題別 1997 N/A セルプ事業による障害者自立(注7) 沖縄 終了 5 8 8 8 9 8 8 6 6 課題別 1999 N/A 喉頭摘出者のための食道発声指導員養成(アジア) 東京 終了 課題別 2001 N/A 医療技術スタッフ練成コースII 兵庫 終了 課題別 2003 N/A 視覚障害者自立支援のためのマッサージ指導者育成 研修(アジア太平洋)(注8) 沖縄 終了 課題別 2004 N/A 職業リハビリテーションと障害者の就労(注9) 東京 終了 課題別 2007 N/A 医療技術スタッフ練成コース 兵庫 課題別 2007 N/A 母子保健福祉行政研修 課題別 2009 N/A 国別 100 67 66 5 5 13 13 10 3 1 5 10 9 7 10 6 42 終了 10 9 19 東京 終了 10 障害者の雇用促進とディーセント・ワークの実現 東京 新規 1998 タイ 障害者支援政策 東京 終了 6 6 国別 1998 タイ 障害者教育 東京 終了 5 5 国別 1998 マレーシア 身障者療育技術支援 八王子 終了 3 国別 2000 カンボジア 社会福祉行政 東京 終了 国別 2005 マレーシア CBRワーカー支援プログラム (注10) 北陸 終了 国別 2004 インドネシア 職業リハビリテーション政策 東京 終了 1 1 国別 2004 インドネシア 職業リハビリテーション運営 東京 終了 2 2 国別 2004 ヨルダン CBR障害者リーダー研修 八王子 終了 2 国別 2005 アフガニスタン 特殊教育研修 筑波 終了 1 1 2 国別 2005 マレーシア 障害者自立生活プログラム 八王子/ 東京 終了 3 2 5 国別 2006 カメルーン ジェンダーの視点を取り入れた社会福祉政策の視察 研修 東京 終了 1 1 国別 2006 カンボジア 理学療法教育 東京 終了 2 2 国別 2006 タイ 障害者自立生活センター運営 東京 終了 2 2 国別 2006 マレーシア 障害者雇用支援政策および職業リハビリテーション 東京 終了 2 2 国別 2006 ラオス 社会的弱者支援 東京 終了 国別 2007 中国 ポリオ実験室診断 東京 終了 国別 2007 マレーシア 障害者の雇用支援(ジョブコーチ制度) 九州/ 大阪 終了 国別 2008 ネパール 知的障害者教育 帯広 終了 1 国別 2008 ヨルダン 障害者の経済的エンパワメント 沖縄 継続 8 国別 2009 イラン 障害者のための職業訓練 東京 新規 62 8 26 27 10 5 5 3 5 5 5 5 5 25 6 6 6 18 2 1 1 2 4 1 3 6 10 1 8 2 2 地域別 1986 N/A DPI障害者リーダー養成セミナー(第三国研修) 地域別 2002 N/A アフリカ地域障害者の地位向上(注11) 東京 終了 継続 地域別 2006 N/A 大洋州地域 障害者教育・福祉人材育成コース (注 大阪 地域別 2006 N/A 障害児教育 地域別 2007 N/A 地域別 304 37 25 19 40 56 26 507 10 5 5 61 終了 8 10 6 24 筑波 終了 12 10 中南米地域 新生児マス・スクリーニング確立支援 (クレチン症) 札幌 終了 6 2007 N/A 南米地域 障害児教育 筑波 継続 11 11 地域別 2007 N/A 中東地域CBR事業促進 北陸 継続 6 5 地域別 2008 N/A 中米・カリブ地域 障害者自立生活 大阪 継続 地域別 2008 N/A 障害者自立生活 大阪 継続 8 地域別 2009 N/A 地域に根ざした就労支援による障害者の経済的エン パワメント 沖縄 新規 4 4 青年 2009 障害者支援制度コース 四国 終了 17 17 青年 2009 タイ 障害者支援制度コース 兵庫 終了 15 15 青年 2008 マレーシア 社会福祉(障害者支援) 四国 終了 アルメニア、キルギ ス、ウズベキスタン 12) 10 10 10 11 22 6 22 6 7 17 7 16 合計 1300 141 166 137 144 168 151 144 133 116 128 152 123 103 8 16 3106 課題別合計 2279 国別合計 101 地域別合計 678 青年合計 48 注1:1980年~「精神薄弱福祉」、2000年~「知的障害福祉」として実施。 注2:1981年~特設コース、1986年~集団コースとして実施。 注3:1989年~「ハンセン病医学研究コース」、2002年~「ハンセン病の治療及び予防の実践」として実施。 注4: 1990年~「身体障害者スポーツ指導者」、2000年~フェーズII「障害者スポーツ指導者」、2005年~「障害者スポーツを通じた社会統合」として実施。2006年~『障害者の社会参加 促進手段としてのスポーツ活動の企画と展開』を中心とする研修を実施。 注5:1991年~「ポリオ根絶計画ウイルス検査技術コース」、2002年~「地球規模ポリオ根絶のためのウイルス検査技術の質的向上」、2007年~「世界ポリオ根絶のための実験室診断技 術」として実施。 注6:1987年~「生物製剤技術コース」、1994年~「ワクチン品質管理技術コース」として実施。 注7:1997年~「ID(障害者自立)」、2002年~「セルプ事業による障害者自立」として実施。 注8:2003年「アジア・太平洋視覚障害者支援(マッサージ業)」、2004年~「視覚障害者自立支援のためのマッサージ指導者育成研修(アジア太平洋)」として実施。 注9:2009年より「障害者の雇用促進とディーセント・ワーク」として新たに実施している。 注10: 2004年まで「マレーシア知的障害児・者支援プログラム」コースとして実施。 注11: 2002年~「南部アフリカ地域障害者の地位向上」、2007年~「アフリカ地域障害者の地位向上」として実施。 注12:2006年~「大洋州地域 障害者福祉人材育成」、2008年は「大洋州地域 障害者教育・福祉人材育成コース」として実施。 63 3.個別専門家派遣実績 開始年度 国名 派遣人数 担当内容 -96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 計 1980 スリランカ ろう教育 3 3 1982 タイ 青少年福祉センター計画 4 4 1984 スリランカ ろう教育機材据付 1 1 1987 インドネシア 障害者職業リハビリテーション 6 6 1987 スリランカ 聴覚障害教育 2 2 1988 マレーシア リハビリテーション施設の設計 1 1 1988 メキシコ 特殊教育(自閉症) 2 2 1989 フィリピン 障害児社会教育訓練 2 2 1989 メキシコ 特殊教育 2 2 1990 インドネシア 職業リハビリテーションセミナー 6 6 1990 フィジー 第三国研修(DPI指導者養成セミナー) 1 1 1991 インドネシア 障害者職業訓練指導 1 1 1991 ガーナ 第三国研修(ポリオワクチン) 4 4 1991 シンガポール 第三国研修(障害者指導者セミナー) 1 1 1992 タイ 義肢装具 1 1 1992 中国 身障者対策 1 1 1992 中国 第三国研修(障害者指導者セミナー) 1 1 1993 インドネシア セミナー(開発福祉) 1 1 1993 ウルグアイ 自閉症児教育法 5 5 1993 スリランカ 教材VTR作成(聴覚障害児教育用) 1 1 1993 パナマ 障害者に対する職業訓練 1 1 1994 インドネシア 第三国研修(障害者セミナー) 1 1 1994 タイ 障害者の公共施設へのアクセス 3 3 1994 タイ セミナー(障害者の社会復帰) 2 1995 インドネシア 職業リハビリテーション政策 1 1995 ガーナ 第三国研修(ポリオ診断技術) 2 2 1995 タイ 義肢装具加工 1 1 1995 フィリピン 第三国研修(障害者セミナー) 1 1 1995 フィリピン 第二国研修(社会福祉における開発と女性) 2 1996 ウルグアイ 自閉症児生活療法(音楽指導) 1 1996 ウルグアイ 自閉症児生活療法(全般) 1 1997 チリ リハビリテーション医学 1998 カンボジア 社会福祉事業の運営指導 1 1 1998 タイ 職業リハビリテーション 1 1 1998 タイ 特殊教育 1 1 1998 マレーシア 社会開発福祉 1 1 1998 モンゴル 世界福祉構想セミナー 3 3 1998 ラオス 障害者リーダー養成 3 1999 カンボジア グループカウンセリング 1 1999 カンボジア 社会福祉行政アドバイザー 1 1999 サウジアラビア 障害者教育 1 1999 タイ 第三国研修(障害者及び高齢者に優しい街づくり) 2 2000 エジプト 障害者リハビリ対策プログラム 1 1 2000 サウジアラビア 障害者コンピューター教育 1 1 2000 サウジアラビア 障害者リハビリ教育 1 1 2000 サウジアラビア 特殊教育カリキュラム開発 1 1 2000 タイ アジア太平洋障害者センター設立支援 1 1 2000 タイ 労災リハビリテーション 1 1 2000 中国 障害者に配慮した公共交通機関の促進 2 2001 カンボジア 障害者のリハビリテーション 2 2001 タイ DAISY製作指導者 3 2001 バングラデシュ ポリオ対策 1 2001 フィリピン 社会福祉政策アドバイザー 1 2 1 2 4 8 2 1 1 2 2 1 1 1 1 1 64 8 1 3 1 2 1 2 1 2 2 2 3 1 1 3 1 2002 アフガニスタン 障害児教育 1 1 2002 エジプト 障害者リハビリテーション 1 1 2002 シリア 障害者職業訓練教育 1 1 2002 中国 第三国研修(障害者の社会参加) 2 2 2002 バングラデシュ 障害者職業訓練アドバイザー 1 1 2002 フィリピン 障害者福祉制度(社会リハビリ) 1 2003 アフガニスタン 教員研修アドバイザー(特殊教育) 2 2003 ウズベキスタン 手話通訳養成 1 2003 カンボジア 除隊兵士支援プログラム 1 2003 シリア CBR事業推進 1 2003 ナイジェリア ポリオ対策 1 1 2003 フィリピン 障害者福祉政策アドバイザー 1 1 2003 ボスニア・ヘルツェゴビナ 身体のリハビリテーションにかかる医療統計資料の開発 1 1 2003 ボスニア・ヘルツェゴビナ 身体のリハビリテーションにかかるデータベースの構築 1 1 2003 ボスニア・ヘルツェゴビナ 療法機材の応用指導 1 1 2003 ラオス 労働社会福祉行政調査 1 2004 ボスニア・ヘルツェゴビナ 障害者リハビリテーション 1 2004 マレーシア 障害者福祉・NGO連携 1 2005 パキスタン コミュニティリハビリテーション 1 1 2005 パキスタン 理学療法 1 1 2003 カンボジア 除隊兵士支援プログラムコーディネーター(モニタリング・評価) 2006 カンボジア 理学療法:指定規則・指導要領 1 2006 フィジー 障害者ベースライン調査 1 2006 ヨルダン 障害者支援政策 1 1 2006 ラオス 労働社会福祉省政策アドバイザー 1 1 2009 ヨルダン 地域リハビリテーション 1 2 3 4 1 1 1 1 2 1 1 6 1 1 1 1 1 1 1 1 2 3 1 合計 62 65 2 12 7 12 12 10 14 7 3 6 3 1 1 1 152 4.海外協力隊派遣実績 (青年海外協力隊、シニア海外協力ボランティア、日系社会青年ボランティア、日系社会シニア・ボランティア) 地域 アジア地域 国名/職種名 ソーシャルワーカー インドネシア 5 ウズベキスタン 1 カンボジア 3 キルギス 1 義肢装具 士・製作 言語聴覚士 作業療法士 1 養護 10 2 16 6 2 12 1 1 31 7 11 2 12 27 9 1 62 ネパール 11 5 12 6 2 36 1 12 7 13 パキスタン バングラデシュ モンゴル 中華人民共和国 アジア地域 集計 2 3 2 9 22 1 4 13 21 38 78 30 4 3 9 5 1 1 ウガンダ 2 3 1 6 1 91 3 13 21 13 1 17 2 2 ケニア 5 2 ザンビア 1 3 2 4 2 9 ジブチ 2 ナミビア 1 ベナン 1 ニジェール 2 ブルキナファソ 6 11 1 1 1 4 3 8 27 1 1 1 6 1 マダガスカル 2 11 2 9 15 23 1 1 3 マラウイ 1 7 モザンビーク 5 32 3 2 33 ハンガリー 2 3 ブルガリア 12 1 ルーマニア 7 8 6 3 0 0 26 7 40 ポーランド 2 5 12 1 3 5 3 1 12 1 18 7 0 6 ソロモン 1 2 トンガ 5 1 パプアニューギニア 1 2 3 2 3 0 4 4 1 シリア 3 2 チュニジア 3 トルコ 1 イエメン 1 モロッコ 4 7 8 1 11 3 6 18 47 36 44 1 92 3 3 4 3 2 12 3 13 5 24 8 3 6 20 1 1 3 3 3 13 14 24 イエメン エジプト 34 6 6 10 フィジー 142 1 サモア パラオ 9 15 1 ジンバブエ 5 498 6 1 ヨルダン 36 5 3 大洋州地域 集計 21 3 1 1 1 タンザニア 169 107 ガボン 欧州地域 集計 2 187 エチオピア ガーナ 4 2 5 73 アフリカ地域 集計 33 1 ボツアナ ルワンダ 52 4 ラオス 中東地域 集計 5 タイ マレーシア 中東地域 3 3 ベトナム 大洋州地域 41 1 5 ブータン 欧州地域 総計 スリランカ フィリピン アフリカ地域 鍼灸マッサージ 師 3 22 理学療法士 5 3 66 3 12 47 9 27 69 28 13 71 0 145 アルゼンチン 14 ウルグアイ 3 エクアドル 3 エルサルバドル 1 グアテマラ 3 コスタリカ 6 コロンビア 5 ジャマイカ 1 14 3 1 2 北米・中南米地 チリ 域 ドミニカ ドミニカ共和国 6 1 14 1 16 9 31 4 7 3 15 6 3 12 4 19 45 1 1 7 4 16 8 29 2 2 1 4 9 20 14 セントビンセント セントルシア 2 3 13 1 ボリビア 28 2 ホンジュラス 6 メキシコ 1 4 1 25 4 8 11 5 55 1 64 2 2 17 46 9 2 ペルー 2 12 4 ベリーズ 6 11 1 63 22 1 7 ブラジル 2 1 パナマ 22 2 2 ニカラグア パラグアイ 4 3 4 1 1 4 4 33 3 60 3 37 5 6 2 14 9 1 52 32 北米・中南米地域 集計 176 3 16 68 193 97 6 559 総計 305 17 27 217 543 316 45 1470 (2009 年 9 月現在) 5.無償資金協力実績 開始年度 国名 件名 1985 中国 肢体障害者リハビリテーション研究センター整備計画 1993 タイ 青少年職業訓練センター設立計画 1995 インドネシア 障害者職業リハビリテーションセンター建設計画 2001 ヨルダン 障害者職業訓練機材整備計画 2002 アゼルバイジャン リハビリテーション・センター機材整備計画 2002 タイ アジア太平洋障害者センター建設計画(詳細設計) 2002 ボスニア・ヘルツェゴビナ 地域密着型リハビリテーションセンター 2003 タイ アジア太平洋障害者センター建設計画 2008 ウズベキスタン 国立障害者リハビリテーション・センター整備計画 2008 ペルー 国立障害者リハビリテーション・センター建設計画(詳細設計) 67 6.草の根技術協力実績 採択内定 年度 国名 件名 協力期間 形態 実施団体名 主管 2000 ラオス 国立メディカルリハビリテーションセンターにおける車椅子製造支 援事業 2000 ホンジュラス 自閉症児の自立を目指した療育法の技術移転 2001.07-2002.06 日本知的障害者連盟 東京国際センター 障害者職業訓練センター計画 小規模開発 2001.11-2002.10 パートナー アジア障害者を支援する会 沖縄国際センター 頭頸部癌治療音声機能リハビリテーショ 九州国際センター ンを支援する会 2000 ラオス 2000.12-2003.12 特定非営利活動法人 難民を助ける会 小規模開発 パートナー 2001 ベトナム 頭頸部癌治療音声機能リハビリテーション 小規模開発 2003.01-2004.01 パートナー 2002 タイ タイ国障害者創造活動と就労機会開発及び山岳民族の手紡ぎ糸ほか 商品開発計画 2002.10-2005.10 特定非営利活動法人 さをりひろば アジア第一・インド シナ カンボジア タケオ州及びコンボンスブー州における除隊兵士(家族)支援プロ ジェクト 小規模開発 2003.02-2004.01 パートナー インターバンド 東京国際センター 障害者教育支援プロジェクト 小規模開発 2003.04-2004.03 パートナー 立命館大学 大阪国際センター 特定非営利活動法人 日本ヒアリングイ 広尾センター ンターナショナル 2002 2002 ベトナム 開発パート ナー事業 2002 インドネシア インドネシアにおける難聴者支援のためのネットワーク作り 2003.08-2006.07 パートナー型 2002 ベトナム ベトナム点字図書館運営支援計画 2003.11-2004.10 小規模開発 パートナー 民族フォーラム 東京国際センター 2003 フィジー アジア・太平洋障害福祉人材育成事業 2003 地域提案型 滋賀県健康福祉部 大阪国際センター 2003 ベトナム 障害児教育分野における専門教員養成コース支援事業(略称:ベト ナム教育専門教員養成プログラム) 小規模開発 2003.04-2004.03 パートナー 立命館大学 大阪国際センター 2003 ペルー ワラル地域保健福祉プロジェクト 2003.07-2005.03 協力支援型 ひまわりの会 広尾センター 2003 ラオス ラオス国内のハンセン病患者とその家族のための巡回医療活動とそ の技術指導(歯科・医科・補装具作成) 2003.08-2006.07 協力支援型 梅本記念歯科奉仕団 大阪国際センター 2003 中国 低所得農民層の失明実態究明と対策のための人材育成 2004.01-2007.01 パートナー型 金沢医科大学 北陸支部 2003 ラオス 障害者のための車椅子普及支援 2004.11-2007.10 パートナー型 特定非営利活動法人 難民を助ける会 広尾センター 2003 マレーシア 東南アジアにおける車いす製造技術移転および車いすバスケット ボール普及講習 2004.12-2007.03 パートナー型 社会福祉法人 太陽の家 九州国際センター 2004 カンボジア カンボジア義肢装具士育成 地域提案型 熊本県国際協会 九州国際センター 地域提案型 知的障害児施設近江学園、滋賀県中央子ども家庭相談 センター、滋賀県立三雲養護学校等滋賀県内の障害福 祉・教育関係機関等 大阪国際センター 2004 2004 フィジー 障害福祉人材育成事業 2004 中国 知的障害児教育施設(特殊学級)の設立支援 2004.06-2006.03 協力支援型 2004 特定非営利活動法人 九州アジア記者ク 九州国際センター ラブ 2004 ケニア 視覚障害者に対するあんま療法技術指導 2004.07-2005.03. 協力支援型 特定非営利活動法人 視覚障害者国際協 広尾センター 力協会 2004 フィリピン 知的障害者自立支援プロジェクト 2005.09-2008.03 協力支援型 特定非営利活動法人 クオレ七戸 東北支部 2004 ベトナム ベトナムにおける地域リハビリテーション及び障害当事者エンパワ メントを通した身体障害者支援事業 2006.01-2008.12 パートナー型 学校法人 国際医療福祉大学 広尾センター 2005 カンボジア シェムリアップ州における地域精神保健プロジェクト 2005 協力支援型 2005 ミャンマー ミャンマーにおける鍼灸指圧技術普及事業 2005 協力支援型 特定非営利活動法人 命門会 広尾センター 地域提案型 滋賀県立近江学園、滋賀県中央子ども家庭相談セン ター、滋賀県立三雲養護学校等滋賀県内の障害福祉・ 教育関係機関等 大阪国際センター 福島県障害児・者の動作学習研究会 (FAMAT) 二本松青年海外協力 隊訓練所 熊本総合医療福祉学院 九州国際センター 広尾センター 2005 フィジー アジア・太平洋障害福祉人材育成事業 2005 マレーシア 心身障害児・者のための教育・心理リハビリテーション指導者育成計 画 2005 2005 カンボジア カンボジア義肢装具士育成 2005.12-2008.12 協力支援型 2005-2006 地域提案型 特定非営利活動法人 途上国の精神保健 広尾センター を支えるネットワーク 2005 タイ ろう学校教員等の補聴器および関連機器研修プロジェクト 2006.02-2008.03 協力支援型 特定非営利活動法人 NPOアジアマイン ド 2005 ペルー 障害者自立支援事業 2006.04-2009.03 パートナー型 ひまわりの会 広尾センター 2006 ベトナム 知的障害児の就学率向上及び教育プログラム開発を支援するプロ ジェクト 2006 パートナー型 立命館大学 大阪国際センター 2006 メキシコ メキシコの医療体制に最適な脳卒中予防戦略の研修 2006 地域提案型 秋田県立脳血管研究センター 東北支部 2006 ベトナム 千葉とベトナムにおける特別支援教育分野での人材育成事業 2006-2008 地域提案型 千葉とベトナムにおける特別支援教育分 広尾センター 野での人材育成事業実行委員会 2006 中国 日中療育技術交流事業 2006-2008 地域提案型 鳥取県立総合療育センター 2006 2007 2007 2008.05-2010.04 パートナー型 中国国際センター 特定非営利活動法人 ワールド・ビジョ 広尾センター ン・ジャパン ウズベキスタン タシケント市における地域に根ざした障害者支援事業 フィリピン 聴覚障害児教育における聴覚を活用した教育実施体制支援プロジェ クト 2007 協力支援型 フィリピン耳の里親会 札幌国際センター ラオス ラオスにおける悪路型車椅子の開発と修理体制の確立を通じた障害 者のためのモビリティー促進支援 2007 パートナー型 特定非営利活動法人 難民を助ける会 広尾センター 68 2008 アルゼンチン ママ・パパ・家族でできる障害児発達 アルゼンチンに障害児発達 指導員の普及を 2008 協力支援型 南米ひとねっとハボン 中国国際センター 2008 中国 河北省における自閉症児教員養成支援プロジェクト 2008 協力支援型 岐阜日中美谷福祉協会 中部国際センター 2008 ラオス ラオス障害者スポーツ振興プロジェクト 2008 協力支援型 アジアの障害者活動を支援する会 広尾センター 2008 中国 視覚障害者音声情報提供技術指導事業 2008 協力支援型 日本点字図書館 広尾センター 2008 フィジー フィジー国理学療法士臨床技術研修 2008.04-2010.03 地域提案型 社団法人 沖縄県理学療法士会 沖縄国際センター 2008 中国 大連市障害者職業技能訓練センターによる就労開発事業の強化 2008.07-2008.09 地域提案型 社会福祉法人 北九州市手をつなぐ育成 九州国際センター 会 2008 ブラジル ろう者組織の強化を通した非識字層の障害者へのHIV/AIDS教育 2008.10-2011.09 パートナー型 DPI日本会議 2009.06-2012.04 協力支援型 特定非営利活動法人 視覚障害者国際協 広尾センター 力協会 2009 ケニア 視覚障害者に対する日本式あん摩 応用技術と理論講習 広尾センター 7.円借款実績(障害者配慮がなされた事業) 承諾年度 1995(1)、1996(2)、1998(3) 国名 フィリピン 案件名 メトロマニラ大都市圏交通混雑緩和事業(1~3) 1996(1)、1999(2) ウズベキスタン 地方3空港近代化事業(1,2) 1996(1)、2000(2)- インド デリー高速輸送システム建設事業(1~6) 1996(1)-2000(5) タイ バンコク地下鉄建設事業(1~5) 1996-2005 タイ 第二バンコク国際空港建設事業(1~7) フィリピン 幹線空港開発事業(1&2)(バコロド空港分) カザフスタン アスタナ空港改修事業 1998(1)、2001(2) 1998 1999(1)、2004(2) トルコ ボスポラス海峡横断地下鉄整備事業(1、2) 2000 フィリピン 新イロイロ空港開発事業 2001 ブルガリア ソフィア地下鉄拡張事業 2002 インド アジャンタ・エローラ遺跡保護観光基盤整備事業(2) 2004 エジプト ボルグエルアラブ空港近代化事業 2006 エジプト 大エジプト博物館建設事業 2006 インド デリー高速輸送システム建設事業フェーズ2(2) 2006 インドネシア ジャカルタ都市高速鉄道事業(E/S) 2006 インドネシア ハサヌディン大学工学部整備事業 2006 ベトナム ホーチミン市都市鉄道建設事業 2007 タンザニア 第5次貧困削減支援借款 2007 バングラデシュ ダッカ・チッタゴン鉄道網整備事業 2007 中国 湖南省都市廃棄物処理事業 2007 ベトナム 第6次貧困削減支援借款 2007 インド デリー高速輸送システム建設事業 フェーズ2(3) 2007 インド コルカタ東西地下鉄建設事業 2007 タンザニア 第4次貧困削減支援借款 2007 タイ バンコク大量輸送網整備事業(パープルライン)(1) 2007 インドネシア ジャワ南線複線化事業(3) 2007 インドネシア インドネシア大学整備事業 2007 ベトナム ハノイ市都市鉄道建設事業(1号線)(E/S) 2008 モンゴル 新ウランバートル国際空港建設事業 2008 インド チェンナイ地下鉄建設事業 2008 インドネシア ジャカルタ都市高速鉄道事業(1) 2008 ベトナム ハノイ市都市鉄道建設事業(ナタムロン-チャンフンダオ間(2号線))(1) 2008 インド デリー高速輸送システム建設事業フェーズ2(4) 2008 タイ バンコク大量輸送網整備事業(レッドライン) 2008 タンザニア 第6次貧困削減支援借款 69 付録 2. 主要ドナー及び国際機関、NGOの 障害者支援に対する取り組み 1.国際機関 (1)国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP) 国連の地域委員会の一つとして、地域の経済・社会の開発の視点から障害施策に取組ん でいる。1954 年に日本も加盟国となった。 「アジア太平洋障害者の十年」 (1993 年-2002 年) 決議の採択以降、障害者支援に関するプロジェクトの実施が ESCAP の優先事項の一つとし て位置付けられた。ESCAP には、アジア太平洋地域の障害問題の中心になって取り組む RICAP(アジア太平洋地域団体間会議)があったが、それが改組され、障害問題作業部会 (TWGDC: Thematic Working Group on Disability-related Concerns)が設置されている。 国連、NGO 及び政府が参加している地域機構で、全ての開発政策、プログラム、プロジェク トの主要部分に障害者を含む、多様な分野からの協調的な活動を奨励したり、障害者の人 権の保護のための政策や法整備の促進をしたり、 「アジア太平洋障害者の十年」を進めるに あり、重要な役割を果たしている。2002 年 5 月の総会において、貧困と障害の悪循環をた ちきるため「アジア太平洋障害者の十年」を更に十年延長することが、決議、採択された。 (2)国連西アジア経済社会委員会(ESCWA) アラブ地域を管轄する地域委員会の一つ。社会開発、人間開発の分野で障害施策に取り 組んでいる。国連、援助機関 AGFAND からの資金援助や NGO の協力を得ながら、CBR プロジ ェクトを実施したり、視聴覚障害者のためのコンピューター訓練センターの設立などの活 動をしている。また 2003~2012 年はアラブ障害者の十年として採択された。 (3)世界銀行 (WB) 世界銀行では、障害者を貧困層の中の最貧困として位置づけ、ミレニアム開発目標にそ った貧困撲滅プログラムの中に障害問題を組み込んでいる。 「障害と開発」部門では、世銀 の持つさまざまな開発プロジェクトの計画段階で障害者の視点を取り入れることの重要性 を強調し、障害問題のメインストリーミング化を進めている。パートナーシップを重要視 しており、社会開発、教育分野、リハビリテーションなど多くのプロジェクトは、政府機 関、NGO との共同で実施されている。また、アジア開発銀行、米州開発銀行との協力で障害 と貧困の相互関係を理解するための障害に関するデータを集め情報整備を行っている。 2002 年 6 月に、障害問題担当官を配置し、積極的に取組始めている。 70 (4)アジア開発銀行(ADB) アジア太平洋地域の貧困撲滅プロジェクトに障害者を重要な対象者とみなし障害施策を 統合して取り組んでいる。社会保護戦略の中で、障害と開発の問題を取り扱っている。障 害により教育や就労の機会へのアクセスが限られたり、経済的社会的に疎外されることな く尊厳を持って暮らせるために「Inclusion」「Participation」「Access」「Quality」の4 つの領域から障害者支援を行う提言をしている。“Nothing about us without us”のスロ ーガンの通り障害者自身の参加なく、プロジェクト策定が進むことこがないよう、計画段 階からの障害者の参加を奨励している。 (5)米州開発銀行(IDB) 地域銀行の中では最も早く障害に着目し、ラテンアメリカ地域の貧困削減プロジェクト の中で、障害問題を取り入れている。社会開発の枠組みから、開発と統合を踏まえた上で、 障害者の教育や就労に焦点を当てた取り組みをしている。また、障害に関する情報整備も 行っている。 (6)国際労働機関(ILO) 労働及び社会問題の視点から障害者施策に取組んでいる。1970 年代までの活動は主に職 業リハビリテーションの設置等、 障害者を通常の学校や雇用から隔離して保護するという考 えを基本とするものであったが、1980 年代以降、機会の均等化の理念を基調とするものに 変化し、障害者が一般雇用市場(オープンマーケット)で雇用される機会の増大や、障害の ある男女の機会均等などが謳われるようになった。過去の、障害者を隔離して保護するので はなく、障害のない人とともに働くことを目的として、職業リハビリテーションを行うこと により、社会への統合を促進するべきという考えにたっている。現在、ILO は、地域に根付 いた職業リハビリテーションプログラムの創設などを行う具体的な途上国支援プログラム を実施している。 ※関連法案: 「障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約(第 159 号条約) 」 「職業リハビリテーション及び雇用(障害者)に関する勧告(第 168 号条約)」 (7)国連教育科学文化機関(UNESCO) 教育の視点から障害者施策に取組んでいる。1990 年にタイのジョムチェンで「万人のた めの教育世界会議」を開催し、2000 年までに全世界のあらゆる層の人々に基礎教育の機会 を与えることを目標として、初等教育の完全普及に向けた取り組みを推進している。この 71 枠組みに基づき 1994 年にスペインのサラマンカで開催された「特別ニーズ教育国際会議」 では、特殊教育のアクセス及び質をテーマに、特殊教育に関する政策、カリキュラム及び 教育研修、地域社会の役割等について討議が行われ、「サラマンカ宣言」及び「行動の枠組 み」が採択された。 「宣言」では、すべての子どもの教育を受ける権利を保障すること、な らびに特別な教育的ニーズをもつ児童・青年・成人に対する教育システムの在り方に言及 した。そして、特別な教育的ニーズに配慮しつつ、通常の学校に障害児を含む多様な子ど もたちを受け入れるインクルーシブ教育に向けた改革が提言されている。現在、UNESCO の 障害者教育に関する事業活動では、万人の為の教育を推進するため、障害のある子どもや 青少年など、教育を受ける機会が十分に与えられていない者に対する基礎教育の機会を増 やすことに高い優先順位を与えるよう奨励している。 (8)国連児童基金(UNICEF) 子どもの保護の視点から障害施策に取り組んでいる。様々な困難な状況下で特別の保護 を必要としている子どもたちに対して、生存と発達の権利を守るための活動をしている。 子どもの権利条約第 23 条の中で、障害のある子どもが尊厳を確保し、自立を促進し社会へ の参加を容易にする充実した生活を享受する権利があること、そのために教育や保健サー ビスを受けたり、スポーツやレクリエーションをする権利があることを述べている。 UNICEF では、WHO、UNESCO、ILO などの国連機関または NGO と連携し、各国で障害の予防 や早期発見、リハビリテーション、教育などさまざまなプログラムを実施している。また 地域開発、家族を含む障害児プログラムの改善、紛争による身体的、心的トラウマプログ ラムの支援にも取り組んでいる。 (9)世界保健機関(WHO) 保健・医療の視点から障害者施策に取組んでおり、障害を持つ人々、その家族や、保健、 医療、福祉、教育等の幅広い分野の従事者が、障害に関して共通理解ができ、連携体制を 構 築 す る こ と を 一 つ の 目 的 に 作 ら れ た 、 国 際 障 害 分 類 33 ( ICF: International Classification on Functioning, Disability and Health)が 2001 年 5 月の WHO 総会で採 択された。また、CBR は WHO が 1970 年後半に開発し、障害者の機会均等と地域への統合を 目的に長年取り組んでいる重要な事業であり、2004 年には国際的な見直しを経て、UNESCO, ILO とジョイントポジションペーパー「CBR: A Strategy for Rehabilitation, Equalization of Opportunities, Poverty Reduction and Social Inclusion of People with Disabilities」を発表した。JICA 33 国際障害分類(ICF)については、付録 14 の中で詳細を述べている。 72 は 2007 年度に WHO との連携に関する合意文書を締結し、 障害者支援分野に関し連携協力 (特 に CBR、医療リハビリテーション、World Report on Disability and Rehabilitation)を 図っていくことを確認している。 (10)国連食糧農業機関(FAO) 農業開発援助の枠組みの中で、障害者施策に取組んでいる。障害の原因の中には貧困や 飢饉があるとして、食物生産量の増加、栄養改善、地域への統合を目的とした開発プログ ラムを農村地域の障害者に実施している。具体的には 1999 年以来、タイでは公共福祉局と 協力し、農村地域の障害者の自給自足の生活を目的とした、しいたけ栽培の研修を行って いる。このプログラムはアジアの近隣諸国にも広まってきている。カンボディアでは、ハ ンディキャップインターナショナルと共に「総合有害生物管理プログラム」を障害者に実 施し、社会の中で障害者が無視されることなく、情報を得られるよう支援している。また、 1974 年以来、西アフリカ地域における寄生虫を原因とした視覚障害、オンコセルカ症(河 川盲目症)の撲滅活動をしている。 2.二国間援助機関 (1)スウェーデン(Sida:Swedish International Development Cooperation Agency) 二国間援助機関のなかでも特に、障害者支援分野における国際協力活動におけるスウェ ーデンの取組みは日本でも関係者の間で注目されてきた。Sida は、1981 年に設立された障 害者団体で構成される NGO である SHIA(シア:スウェーデン障害当事者国際援助団体協会) を通じて、途上国の障害者団体を支援する開発協力プログラムを実施している。途上国障 害者支援において SHIA を通じたスウェーデン34の協力が与えた実績は多大なものがあり、 国際機関、二国間ドナーから高い評価を得ている。 (2)デンマーク ノーマライゼーション思想の発祥の地でもあるデンマークは、伝統的に途上国の障害者 支援分野において国際的なリーディングドナーである。1990 年代に入り、他の北欧諸国の 動きや、国際的な「障害」に関するパラダイムの転換の影響を受け、自国の障害 NGO をよ り取り込む形で途上国障害者支援を実施することを、新たな方針とした。障害者の権利に 焦点をあてた動きにより、彼等が社会に統合されることの必要性および、開発過程におけ 34 Sida:Swedish International Development Authority 国際開発機構という名称で 1965 年に外務省から 独立した機関として設立された政府開発援助をする実施機関。1995 年の SIDA の機構改革に伴い、名称表 記も Sida になった 73 る障害の視点を中央に捉えることの重要性がうたわれてきた。そのことは、過去において、 障害者を慈善の対象として一般社会と隔離された特別のサービスを提供していたこととは 対照的である。 デンマーク Danida(Danish International Development Activities: 同国の開発援助の 一般的呼称。 )による途上国障害者支援は、主に、国内の障害当事者団体から成る The Danish Council of Organisations of Disabled People(DSI)を通じて実施される。この点はス ウェーデンと同じである。また、デンマークの協力の特徴は、障害者団体 DSI を通じて途 上国の障害者団体へ協力を実施するという、障害者団体同士の協力を重視している点であ る。また、Danida は、障害者支援分野における他ドナー(国際機関、二国間機関)、NGO と の協調による相乗効果を重要視している。 (3)フィンランド フィンランド政府は、障害者の人権促進と機会均等化がフィンランドの人権政策におい て不可欠な部分を構成すると認識しており、その考え方を元に、障害者支援をフィンラン ド政府による政府開発援助の中でも重点分野としている。MDG(ミレニアム開発目標)や PRSP (貧困削減ペーパー)などの行動計画においても、障害問題を主流化していくことが重要 である、という考え方である。2002 年~2003 年には、フィンランド政府開発援助における 障害者支援への取り組みに対する評価を実施した。 (4)カナダ(CIDA:Canadian International Development Agency) CIDA は、貧困を削減し、世界のさらなる安全、平等、繁栄に貢献するため、途上国の持 続的な発展を支援している。開発途上国、カナダの組織、企業、並びに国際組織、機関、 NGO などさまざまな組織と協力しながら援助活動を行っている。障害者施策については、 CIDA が優先課題としている保健や基礎教育、平和構築支援など様々な分野の中で取り組ま れている。例としては、インドの統合教育システム推進のためセンター設立の援助をした り、カナダ国内の国際機関(ICACBR: International Center for the Advancement of Community Based Rehabilitation)を通じて、スロバキアでの CBR プロジェクトを資金援 助している。また、1985 年頃より日本とカナダとの ODA 協調が始まり、障害者分野におい ても JICA と CIDA の連携プロジェクトが実施されている。具体的には、ボスニア・ヘルツ ェゴビナ国において地雷被災者のリハビリテーションを支援するため、日本が CBR センタ ー17 箇所の改修、理学療法用具の供与、短期専門家の派遣を行い、CIDA が CBR にかかる政 策支援やリハビリテーション要員を育成するプロジェクトを実施中である。 74 3.国際 NGO (1)DPI (Disabled Peoples’ International) 障害者インターナショナル 1981 年、国際障害者年を機に障害の種別を越えて自らの声をもって活動する障害当事者 の自助団体として設立された。特に「われら自身の声:Vox Nostra」をモットーに、障害 者の人権団体として活動している。現在加盟団体は 150 ヶ国以上。世界本部はカナダのウ ィニペグにあり、DPI 札幌大会でフィリピンのヴィーナス・イラガンが世界議長に選出され た。DPI は国連の社会経済理事会や WHO(世界保健機構)、ILO(国際労働機構)などの組織に も影響力を持っている。 JICA では 1986 年以降、アジア・アフリカ地域において、DPI セミナーの開催支援を行っ ている。第三国研修として毎年違う国で実施され、障害者リーダーの育成を行っている。 (http://www.dpi.org/) (2)RI (Rehabilitation International) 国際リハビリテーション協会 障害の予防、リハビリテーションおよび障害者の権利を推進することなどを目的とした 国際団体として 1922 年に設立された。100 の国と地域から約 200 団体が加盟し、リハビリ テーションの専門家と当事者との交流を図っている他、国連の障害者問題の諮問に対し、 意見を述べている。本部はニューヨークにあり、会長はアメリカのレックス・フリーデン。 RI の日本の窓口として、日本障害者リハビリテーション協会があり、この協会では、JICA の委託を受けて開発途上国の人を対象に「リハビリテーション専門家コース」と「障害者 リーダーコース」の研修を実施している。また、この JICA 研修参加者を中心に交流と情報 交換を行うことを目的としたリハビリテーション従事者行動ネットワークを 1991 年に設立 した。 (http://www.rehab-international.org/) (3)WFD (World Federation of the Deaf) 世界ろう連盟 1951 年、イタリア・ローマで設立された、世界 123 カ国のろう者団体を代表するろう者当 事者組織である。事務局はフィンランド・ヘルシンキ市。聴覚障害者の人権擁護、そして機 会均等の実現に向けて、各国政府による手話の法的な認知、情報・コミュニケーション保障 体制の整備、手話を使用するろう教育体制の発展を訴えている。 二つの方針書「開発途上国における WFD の活動」及び「会員組織の開発途上国における 活動」に沿って、スウェーデンろう協会、フィンランドろう協会、全日本ろうあ連盟など 数ヶ国のろう者団体が海外協力事業を展開している。また、IDA(国際障害同盟)の一員とし て国連諸機関の諮問機関としての役割を果たしている。 75 (http://www.wfdnews.org/) (4)WBU (World Blind Union) 世界盲人連合 1984 年に国際盲人連合(IFB)と世界盲人福祉協議会(WCWB)の提唱により設立された、 158 ヶ国から 600 団体、1 億 8000 万人の視覚障害者を代表する組織。本部はスペインのマ ドリードにあり、会長は、スウェーデンのキキ・ノードストレム(Kicki Nordstorm)。国連 機関の諮問機関のひとつ。全ての国の視覚障害者の人権と個人の尊厳のため、視覚障害の 予防や治療の促進、福祉の向上、視覚障害分野での知識と経験の交換の国際的な場を提供 することを目的としている。また UNESCO や WHO と共に障害者が教育を受ける権利を確保す ることに取り組んでいる。また女性障害者の社会からの差別に反対する活動をしている。 (http://umc.once.es/) (5)II(Inclusion International) インクルージョン・インターナショナル インクルージョン・インターナショナルは、家族、支援者、友人のネットワークで、世 界中の 6000 万人の知的障害者の生活向上のため活動している。1960 年に知的障害者とその 家族の権利を守ることを目的に知的障害者の親の会として組織された国際知的障害者育成 連盟(International League of Societies for Persons with Mental Handicap/ILSMH) が、1995 年に名称を変更した。名称の変更は、完全な市民権、家族援助、自己決定のもと に共生する社会を目指して前進するという参加者の姿勢を明らかにするために行われた。 会長は、ニュージーランドのドン・ウィルス、フランスに本部をおき、115 ヶ国から約 200 団体が加盟している。知的障害者が国や国際的な政策策定のどのレベルにおいても、確実 に考慮にされるようにするため、国連機関や各国政府機関、NGO と協力して活動している。 近年、98 年の世界会議の本会議前に本人だけが参加する準備会議を開催するなど、障害者 本人による活動を推進している。 (http://www.inclusion-international.org/) (6)WFDB (The World Federation of The DeafBlind) 世界盲ろう者連盟 2001 年 10 月に発足。世界中の盲ろう者のための経済、教育、社会福祉の促進と盲ろう者 個人の積極性を高めることを目的に組織された。本部はスウェーデンにあり、会長は、ス ティッグ・オールソン(Stig Ohlson)。現在各国の盲ろう者団体が同連盟への加盟の準備 をしている。コミュニケーションの手段、情報の入手、移動の自由に大きな制約を持つ盲 ろう者の自立と社会参加の実現のため活動している。 (http://www.wfdb.org/) 76 (7)WNUSP(World Network of Users and Survivors of Psychiatry) 世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク 1991 年に the World Federation of Psychiatric Users(WFPU)として発足(初代会長 メ アリー・オヘイガン) 。1997 年に現在の組織となる。デンマークに事務局があり、暫定的に 9人の委員で運営している。ユーザー / サバイバーとは精神医療を利用している人や、精 神病の経験がある人を指す。精神障害を持つ人々の声を広めること、権利の促進を目的に 国際的組織として活動している。世界中の精神障害関連組織との情報交換を図る他、個人 同士のネットワーク化を進めている。本人の意志に関係なく強制的治療が行われないため に、人権に関する方針書や精神障害者の保護に関する方針書を作成している。 (http://www.wnusp.org/) (8)APDF(Asia and Pacific Disability Forum)アジア太平洋障害者フォーラム APDF は「アジア太平洋障害者の十年 大阪フォーラム」において、新たな十年に向けて RNN(アジア太平洋障害者の十年推進 NGO 会議)を引き継ぐ組織として結成された。「障害 者の権利実現へのパートナーシップに関する大阪宣言」の中には、各国政府に APDF への協 力が要請されている。APDF は、RNN を発展させ、アジア太平洋地域の国内障害関連 NGO や 国際障害関連団体、各国政府機関との連携を強化し、更に多くの団体の参加を呼びかけ、 次の十年の推進のための活動を継続的に展開していく予定である。キャンペーン会議を通 じて情報や体験の交換し、地域内の共通の目的に取り組むことが期待されている。 77 付録 3.基本チェック項目(障害者支援) 以下は、協力対象国の障害者支援に関する状況を知るための代表的な指標やデータ項目 についてとりまとめたものである。国や地域によっては統計資料が整理されていないため 項目を確認することができない場合があるが、障害者支援分野の協力を実施する際に、可 能な限り以下の情報を収集することが望まれる。 JICA はこれらの項目に関し、 「国別障害関連情報」として取りまとめ、JICA ナレッジサ イト35上に公開している(2009 年 3 月末時点で 37 カ国について整備)。また、アジア太平洋 諸国に関しては、アジア太平洋障害センター(APCD)のホームページにおいて、域内各国 の Country Profile36を公開している。 なお、ここで設定しているチェック項目は、協力対象となる国や地域の障害者および障 害者支援の状況を概観するためのものであり、個別の協力実施時には、さらに詳細な項目 について調査する必要がある。 チェック項目/指標 0 社会・経済基本指標 1 障害者の定義、障害 種別 国勢調査あるいは国 勢調査以外の障害者 統計調査に基づく障 害別・年齢別障害者 人口 WHO 国際生活機能分 類(ICF)を導入した 障害者統計調査の有 無 2 3 単位 ― 計算・把握方法 狙い・備考 一般情報 UNDP 人間開発 指 数 、 UNICEF 統計等 各国の障害者が置かれている状況を 把握するための背景情報として、人 口、一人当たり GNI、妊産婦死亡率、 就学率、絶対的貧困水準、失業率等を 把握しておく必要がある。 障害者の定義・種別と統計調査 ― 各国の障害者数は国勢調査や標本調 査、また行政統計(登録障害者数)な どを元に出されているが、障害者数に 人 関する統計データを有していない途 % 上国も多く、有していても、調査自体 が古い場合や、女性障害者のデータが 入っていないなど一部しか調査して いない場合もある。加えて、調査にお ― いて「障害者」と判断するための障害 (者)の定義や基準が各国で異なって いる、調査方法自体に問題があるなど して、他国間の比較も実際は困難であ る。障害者数データを利用する際に 35 JICA ナレッジサイト「国別障害関連情報」 :http://gwweb.jica.go.jp/km/km_frame.nsf 36 APCD ホームページ“Country Profile”:http://www.apcdproject.org/countryprofile/ 78 は、これらを理解した上で使用する等 の注意が必要。 4 障害関連行政組織の 役割・機能 5 憲法における障害者 関連の記述 6 主要な障害者関連法 制の整備状況 ― 7 障害者関連国家計 画・分野別政策 国際条約への取り組 み ― 8 9 障害者支援施策に対 する予算と事業別経 費 10 11 障害者年金制度 障害者の健康/医療 保険制度 障害者の生活保護な ど所得保障制度 12 13 14 15 障害者福祉制度とサ ービス 障害者福祉サービス に従事する専門職の 種類・養成システム 国民の意識向上・ア ドボカシー ― 障害関連行政・法令 省 行 政 組 織 国により所掌する省庁、またその担当 表・組織図、障 範囲が異なる。また、多くの途上国で 害 者 支 援 管 轄 障害者支援管轄部署の体制は脆弱で 部 署 と 当 該 部 あることが多いため、実質の人員体制 署の業務、職員 も把握する必要がある。 規模(人数) 各国の憲法 憲法に障害に関わる基本的な権利が 記されているか。障害者支援制度の法 的根拠。 国内法 個別の法律、政令、規則、命令など。 通常 5 年以上の期間について基本方 針、重点分野等を示している。 ― 「国際障害者の権利条約」等の国際条 約への姿勢は、今後の同国の障害者支 援政策の動向に関わってくるので、署 名・批准の状況を確認する。 US 当該国が措置している予算と、国際機 ドル 関や NGO の予算措置による分を区別し て把握する。特に外部から投入されて いる年限付きの予算については注意 が必要。 障害者に対する社会保障 ― 障害者向けの各種社会保障制度が存 在するかは、障害原因によって有無が ― 異なる場合もあるので注意が必要。 ― 障害者に対する福祉サービス ― 福祉用具の開発・普及や情報・コミュ ニケーション保障も含む。 ― 専門職種(ソーシャルワーカー、社会 福祉士、介護士、精神保健福祉士等) の分類、数、資格制度、養成学校種等 を把握する。 ― 障害や障害者に対する国民の関心、理 解を深めるための積極的な啓発・広報 活動を政府が行っているか(例えば、 『障害者週間』の実施、各種行事の実 施など)。 79 16 障害者のための入 所・通所福祉施設数 ― 17 バリアフリー化・ユ ニバーサルデザイン の導入 ― 18 医療リハビリテーシ ョンを行う医療施設 の要件 医療リハビリテーシ ョンを実施する専門 職の種類・養成シス テム ― 19 20 21 22 23 24 25 ハード面のバリアフリー化・ユニバー サルデザイン導入を定める法律や国 内の建築基準の有無を確認する。ま た、それらの度合いを測る客観的なデ ータを入手することは困難であるが、 少なくとも主要な公共施設や公共交 通機関等が障害者に配慮した作りと なっているかを確認する。 また、視覚障害者のための点字資料、 聴覚障害者のための手話通訳等、情報 保障の面におけるバリアフリー化の 状況も把握する必要がある。 医療リハビリテーション 医療水準、必要な専門職種について把 握する。 ― 専門職種(理学療法士、作業療法士、 言語聴覚士、臨床心理士、技師装具士、 メディカルソーシャルワーカー等)の 分類、数、資格制度、養成学校種等を 把握する。 医療リハビリテーシ ― 各レベルの医療施設間のレファラル ョンを実施する医療 体制の確認も含む。また、リハビリテ 施設数(種別、国公 ーションを実施する施設への距離が 立/私立別) あることにより、貧困層はこれらへの アクセスが困難であることにも留意 が必要。 障害児・者に対する教育(特別支援教育) 障害児の就学実態 ― MDGs では 2015 年までに男女の区別な く(障害児・者を含む)全ての人が初 等教育課程を終了することが目標の 一つに掲げられている。 特別支援教育教員の ― 障害児の教育を受ける権利を保障す 養成システムと資格 るためには、特別支援教育に従事する 要件 専門家の養成、職員に対する研修が必 要。 特別支援学校(就学 ― 障害種別の教育支援体制や卒業後の 前/初等/中等教育) 進路についても確認する。 における教育 一般学校(就学前/初 ― 支援体制(特別支援学級の設置状況や 等/中等教育)におけ 授業の工夫等)を確認する。 る特別支援教育 手話による教育 国内において手話が確立しているか、 また、手話による教育が行われている 80 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 か確認する(途上国で共通手話がある 国は限られている) 。 障害者の雇用・就労支援・職業訓練/教育 障害者雇用の実態 % 雇用の実態は、障害者の社会参加の度 合いを測る一つの目安であるが、開発 障害者の雇用保険制 ― 途上国では、障害者の雇用率ないし自 度 営率を示す正確なデータが揃ってい 障害者の法定雇用率 ― る国は少ない。 制度 職業リハビリテーシ ― ョン(職業指導、職 業紹介など)に関わ る制度 障害者の職業訓練/ ― 職業教育支援制度と 内容 障害者の受入を行う ― 職業訓練・職業教育 の学校数(職種別、 国公立/私立別) 地域に根ざしたリハビリテーション(CBR) CBR の実施例 ― 実施主体や活動内容、提供されている サービスの種類等を確認する。 障害者関連団体の活動 国内の障害当事者団 ― 障害者支援のノウハウや情報は障害 体 当事者団体によって蓄積・分析・活用 されている場合が多く、また、障害者 の権利擁護の運動は障害当事者団体 がイニシアチブを取っているため、主 要な障害当事者団体の把握は必須で ある。 国内の障害者支援を ― 障害者支援を実施している政府組 行う政府組織・非政 織・地方組織・地域組織を把握する。 府団体 フォーマルなものだけでなく、各地域 で社会福祉的な機能を果たしている 組織(例えば教会など)についても把 握することが望ましい。 国際機関/他政府援 ― 途上国においては、政府によるサービ 助組織等の援助実績 ス提供が不十分であるため、他国政府 援助組織・国際援助機関・国際 NGO 等 に頼るところが大きいためこれらの 組織の障害関連プログラム/プロジェ クト情報を把握する。 81 付録 4:地域別の障害者の現状と優先課題 アジア太平洋地域 1.概観 アジア太平洋地域には全世界の障害者の 3 分の 2 にあたる約4億人の障害者がいると推 計(WHO や世界銀行の統計) 。障害の原因としては主に以下の要因が挙げられる。疾病、先 天的原因、事故(交通事故、労働災害、家庭内事故等) 、紛争、自然災害、栄養失調等。 アジア太平洋地域諸国には、地域社会に変革をもたらす主体として積極的に活動している 障害者がいる一方で、大多数の障害者は依然として、地域社会における教育、雇用及びそ の他の社会経済的機会を奪われ、基本的な人権が無視され、最貧困層の 20%を占めている 状況。アジア太平洋地域の障害をもつ子供のうち教育を受けているのはわずか 10%に過ぎ ない(アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP) :2002 年) 。ESCAP は 1993 年より二次にわた り、日本政府主導のもと「アジア太平洋障害者の十年」を推進している。 2. アジア太平洋障害者の十年 アジア太平洋障害者の十年は、当初 1993 年から 2002 年までであったが、2002 年5月の 国連 ESCAP 総会で 2012 年までの延長が決まった。第一次十年の実施機関中に進捗が不十分 であり活動が停滞していた分野に焦点をあて、優先課題として以下の7項目が挙げられて いる。①障害者の自助団体及び家族・親の会育成、②女性障害者支援、③早期発見、早期 対応と教育、④訓練と自営を含めた雇用、⑤各種建築物及び公共交通機関へのアクセス向 上、⑥情報と通信へのアクセス向上、⑦能力開発と社会保障及び持続的生計プログラムに よる貧困削減。 3. JICA 地域事業実施方針における位置づけ 東南アジア地域別指針における 3 重点分野は以下のとおり。 (1)国際競争力強化に向け た協力、域内の格差是正に資する協力を中心とする地域統合への支援、(2)人間の安全保 障の視点を踏まえた貧困削減のための協力、 (3)国境を越えた課題への対応。 障害者支援は、上記(2)のなかの課題③社会的弱者支援に明確に位置づけられている。 「障害者支援の分野では、アジア太平洋地域内における障害者の社会的地位の向上と社会参 加の促進を目的としたアジア太平洋障害者センター(APCD)が我が国の協力によりタイに 建設されており、現在技術協力プロジェクトにより域内各国の関係機関との連携強化、人 82 材育成及び情報提供を行っており、各国において同センターを活用・連携することによっ て効果的な支援も可能となる。」(東南アジア地域別指針より抜粋) 4.アプローチ APCDを柱とした支援:タイAPCDプロジェクトは、アジア太平洋32カ国を対象とする広域 プロジェクトであり、障害者のエンパワメントのモデル事業として、域内の人材育成及び ネットワーク構築に貢献し様々なインパクトを生み出してきた。域内の大半の国では、障 害者のエンパワメントのための何らかの支援が行われている。また、ここ最近、APCDと連 携し、障害の社会モデルに基づく(※)技術協力プロジェクトが形成・実施されてきてい る。今後も、APCDを核に、障害の社会モデルに基づいた効果的な協力の展開を目指してい く。 ※障害の社会モデルに基づく支援とは、1)障害を不平等・差別の課題としてとらえ、2)個人 の機能的回復を社会参加の前提条件とはせずに、直接障害者の社会参加を支援する制度の整備や 事業の拡充を支援すること。 中近東地域 1. 概観 中近東地域は、産油国等比較的経済的には恵まれている国がある一方、民族・宗教や政 治など様々な側面から紛争が途絶えない地域。全域でみると、不透明なガバナンス、民主 主義の未熟さ、ジェンダーの不平等など社会的な課題を抱えている。障害者の統計に関し ては、2003 年の UNESCWA のレポートによれば、アラブ連盟の定義による広域アラブ連盟全 土で人口の 4%、UNESCWA 管轄の協議のアラブ地域 13 ヶ国では、それよりかなり高いと予 測。他方、戦傷障害者の増加、戦後の混乱の犠牲者の増加、貧困、女性の地位向上の遅れ、 それが原因で障害防止-早期介入の欠如などの原因が重なり、実際は当地での障害者はこれ らの統計数値よりもかなり多いと予測できる。 障害者は社会参加の機会を奪われ、社会の発展から取り残され、最も疎外視されたグル ープである。大半の障害者には公的サービスが行き届いておらず(エジプトでは、政府・ NGO のサービスを享受しているのは全障害者の約 1 割に過ぎず、シリアでは、全障害者の 2.4%という報告あり) 、アラブ全域で約 5%の障害児しか教育を受ける機会を与えられてい ない。身体機能の制限だけでなく、障害者というレッテルは封建的なアラブ社会の偏見と 差別の対象となっている。特に女性障害者はジェンダーに基づく差別もあり二重苦を背負 っている。 障害の原因としては、主として、貧困(栄養失調と予防接種の問題)、近親結婚、事故、 83 紛争などが挙げられる。またジェンダーの観点からは、母子保健の未熟さと不完全さ、そ れと関連して障害の早期発見・早期介入の欠如、物理的なインフラの悪さ、手術後病後の 簡単なリハビリテーション訓練の不十分さ等が挙げられる。 2. アラブ障害者の十年 2004 年5月のアラブサミットで「アラブ障害者の十年」が公式に採択された。アラブの十 年は次の 12 の重点課題項目を掲げている。①法律、②健康、③教育、④リハビリテーショ ンと就業、⑤物理的なアクセシビリティ、⑥障害児、⑦女性障害者、⑧障害と高齢者問題、 ⑨マスメディアと障害、⑩貧困とグローバリゼーション、⑪スポーツとレクリエーション、 ⑫モニタリングと実施。究極的な目的はアラブの障害者の権利を保障すること。指針は以 下のとおり。①アラブの十年を施行しモニターするための特別な団体を形成する、②個々 のアラブ諸国は自国の現状や発展状況を考慮した「国内障害者の十年」(とその指針)を作 成する、③アラブ地域での活動は世界の動きと並行させる、④アラブ諸国は十年を施行す るための活動に資金援助する。 3. JICA 地域事業実施方針/国別事業実施計画における位置づけ 中東地域事業実施方針では、中東地域の平和と安定に向けた協力を目的に、アフガニス タン、パレスチナ、イラクの平和構築支援を、同地域の最重要課題としている。東アラブ 諸国(パレスチナ、イラクを除く)についても、これらの諸国の安定した経済成長と開発課 題の克服は、民生の安定と政治的な安定にも関連し、直接・間接的に中東和平にも影響を 及ぼすとし、従来どおり協力を実施していくとしている。障害者支援については、エジプ ト、ヨルダン、シリアの東アラブ 3 カ国に、重点プログラムとして共通に存在する「社会サ ービス拡充・格差是正」プログラムのなかに位置づけられる。 4. アプローチ 地域社会に根ざした障害者支援の強化:エジプト、ヨルダン、シリアを中心に CBR、職業 訓練、リハビリテーション、障害者リーダー育成等の障害者のエンパワメント支援が行わ れてきた。今後は、国内研修や第三国研修を通じた障害当事者団体(自助団体)への直接支 援、自立生活支援、雇用創出支援や JOCV 等の活動を通じた自立に必要な介助者の育成、ピ アカウンセリングの導入、ICT 情報処理技術の導入、女性障害者対象のスポーツ活動の導入 等、活動の幅を拡げてゆくことが望ましい。なお、こうしたエンパワメント活動を行う際 は、障害をもつ女性や知的・精神障害者など、特にニーズの高い人々が必ず含まれているか にも配慮することが必要。 84 アフリカ地域 1. 概観 アフリカ全土では 8100 万人の障害者がおり、その 80%が農村に住んでいるとされる。障 害の原因としては主として以下のような要因が挙げられる。出生前後の感染症、出産時の 不慮の事故、栄養不足、栄養失調、弊害のある文化的習慣、子供の適切なケアの不足、内 戦、旱魃、飢餓、早期発見・早期介入の欠如、物理的なインフラの悪さ、手術後病後の簡 単なリハビリテーション訓練の不十分さ等。 学校教育を受けている障害児・者はわずか 2%以下。教育どころか交通手段や水源(水汲 み場)などライフラインへのアクセスすらままならない状況。また障害者への差別や偏見 は根強く、スワヒリ語やズールー語など多くのアフリカの言語で障害者を示す名詞は動物 や無生物と同じカテゴリーの名詞になっている。学校や居住、結婚などで、地域の差別が 根強くある。 国によっては、障害は精神的な悪と関係があるとされることもあり、障害者は、公共の 場から遠ざけられている。障害者の家族が障害者を匿ったりすることが障害に関する原因 や統計の不正確さの原因となっている。 2. アフリカ障害者の十年 アフリカの 10 年は、アジア太平洋障害者の 10 年に刺激を受けたアフリカの障害者が働 きかけた結果、アフリカ統一機構(現在はアフリカ連合=AU)が 1999 年から 2009 年を「10 年」として宣言を行ったもの。最大の目的は、政府の開発戦略に障害(者)問題を組み入れ ること、つまり障害(者)問題のメインストリーミングである。具体的課題は 9 点ある。 ①障害者とその家族の貧困の軽減、②障害(者)問題に関する啓発、③平和の構築とその 他の障害原因の削減、④アフリカ障害者の地位向上、⑤政府の政治・経済・社会アジェン ダへの障害(者)問題の組み入れ、⑥国連標準規則のアフリカ地域における定着、⑦国連 人権宣言の適用、⑧障害児、障害女性、障害青年に関する諸問題への取組、⑨アフリカに おいて障害者の利益を守るための政策や制度の設立に対して国連標準規則を利用すること。 2008 年 11 月、 AU から 2019 年の 12 月まで 10 年の取組みを延長するという発表があった。 AU の開発担当大臣会議で出されたウィントフック宣言では、AU 加盟 53 カ国において障害 者の開発へのインクルージョンのためにさらに努力を続けるとしている。 3. JICA 地域事業実施方針/国別事業実施計画における位置づけ アフリカ地域事業実施方針では、アフリカ地域の「貧困削減」に向けた早急な対応が必要 であるとし、JICA は TICAD の枠組みを基本に、各国の貧困削減計画に基づいて協力を実施 85 する方針。域内の国を、①ガバナンスの改善が見られる国、②統治状況が脆弱な国(ポスト 紛争国)、③中間段階に位置する国(すなわち安定はしているが国家行政機能強化に向けた 取組みが必要な国)の 3 カテゴリーに分け、①については持続的経済成長に必要な支援を、 ②及び③については社会セクターへの協力を中心にしていくとしている。重点 5 課題とし て①社会開発、②農業・農村開発、③経済開発、④ガバナンス強化、⑤地球的規模問題へ の対応が挙げられているが、障害者支援はどの課題にも位置づけられていない。 4. アプローチ 障害の開発におけるメインストリーミング化が、アフリカ地域の全域の課題。 (ア) 障害者のメインストリーミング 差別や不平等、貧困等に苦しんでいる人々のなかでも、さらに参加の機会が奪われ、 後ろ後ろへと押しやられ、社会の発展から最も取り残されているのが障害者である。開 発援助の目標は障害と取り組むことなしに達成できないのである。全ての開発プロジェ クトに障害をメインストリーミングする必要がある。具体的なアイディアとしては、紛 争後の復興・開発、インフラ整備プロジェクト、学校建設や保健所/病院建設などハー ド面でのバリアフリーやユニバーサルデザインの導入、保健医療分野の人材育成カリキ ュラムに障害の予防や早期発見、CBR などの地域リハビリテーションに関する講義や実 技を組み込む、貧困撲滅プロジェクトや HIV/AIDS 対策プロジェクト、小規模金融貸付 プロジェクト、生計向上支援プロジェクト等の中に障害者を裨益者として組み込む、通 常の職業訓練プロジェクトに障害者を参加させる、地域開発プロジェクトに障害者を裨 益者あるいは運営実行者として参加させる等。 (イ) 障害者のエンパワメント 研修及びボランティア事業により、障害者のエンパワメントを支援してきた。今後も 引き続きこれら事業を継続してゆく。 ※アフリカの障害者の十年をサポートする形で、地域別研修「南部アフリカ地域障害者の地 位向上コース」(2002-2007)及びその後身の「アフリカ地域障害者の地位向上コース」 (2008-2012)が行われている。元研修員が政府の役職につくなど、研修の成果が徐々に現 れてきている。 中南米地域 1. 概観 中南米地域は、豊かな鉱物資源と食料資源を背景に比較的所得水準の高い国が多く、開 86 発途上地域の中でも一人当たりの平均所得が 3,580 ドルと最も高い。しかしながら、他地 域と比較しても国内の貧富の差が大きい国々が多く、極端な不平等と局所的な貧困が存在 するため、障害者の大半は貧困を余儀なくされている。そのため、パンアメリカン保健機 構(PAHO)の指針のもと、貧困対策と関連した障害者支援についての様々な域内の取組み が行われている。しかし、国内課題として母子保健、栄養失調等が優先され、障害者支援 に関する十分な政策の整備、サービス体制の構築がなされていない国が依然として多い。 JICA における障害者支援分野の協力実績は、アジアに次いで二番目に大きい地域である。 2.アメリカ障害者の十年(2006 年-2016 年) 2006 年 4 月に米州機構によって宣言され、参加国は 2016 年までにインクルーシブな社会 に向け確実な進歩を遂げること、開発プログラムおよび貧困対策プログラムにおいて障害 者に優先的に取り組むことが理念として掲げられている。重点目標は次のとおり。①障害 者への社会的態度におけるバリアーの除去、②保健医療への平等なアクセスの改善、③イ ンクルーシブ教育および技能・職業訓練の保障、④労働への参加、⑤ユニバーサルデザイ ンの導入による物理的およびコミュニケーション上のバリアーの除去、⑥コミュニティの 利益を享受するための市民的・政治的権利の確保。 3.JICA 地域事業実施方針/国別事業実施計画における位置づけ 中南米地域事業実施方針では、域内の 33 の国々を、①高中所得国(中進国)、②今後協 力を強化していく貧困国、③前二者以外の中間的な国の 3 つに分類して、それぞれに応じ て今後の協力の方向性を掲げている。①の国々については、バイの協力の予算配分を減ら していく中でも当該国の強いオーナーシップの下で格差是正の取り組みへの支援を行うこ と、②の国々については、人間の安全保障を重視した、教育・保健医療等の社会セクター への支援を重視することが記載されており、障害者支援はこの両者ともに関連付けられる。 また、中米・カリブ地域、南米地域とも援助重点分野として「保健医療・衛生」を掲げ ているが、その中で障害者支援に優先的に取り組むとされている。 4. アプローチ 域内リソースの活用:チリにおける技術協力プロジェクト「身体障害者リハビリテーショ ン」 (2000 年~2005 年)の成果として育成された国立リハビリテーションセンターの人材 を活用して、現在、域内 15 カ国を対象とした第三国研修が実施されているほか、同センタ ーの人材がコスタリカ、コロンビア、ボリビア、パラグアイ等に派遣され実施中の技術協 力プロジェクトと連携している。今後も、効果的・効率的な事業実施に向け域内リソース 87 の活用とネットワークの強化を図っていくため、実施中プロジェクトについてはその後の 域内の展開も念頭に取り組む。 障害者の社会参加支援の拡充:これまで同地域に対する協力は医療リハビリテーション分 野の協力が中心であったが、医療リハビリテーションに関わる人材は他地域と比較すると 質・量とも育成されつつある。他方、「アメリカ障害者の十年」の重点目標の第一に掲げら れているように、障害者に対する社会的態度には依然課題が多い。したがって、今後は障 害者の社会参加促進に資する協力をも検討していく。 ※ 各国の詳細なデータ等については、「JICA 国別障害関連情報」 http://www.jica.go.jp/activities/issues/social_sec/more.html 参照。 88 付録 5.リハビリテーションの専門分野 1968 年の WHO の定義以来、リハビリテーションの主要な分野としては、医学的リハビリ テーション・職業リハビリテーション・教育リハビリテーション・社会リハビリテーショ ンの四つがある。それぞれのリハビリテーションの定義は以下のとおり。ただし、本文に あるとおり、これらのリハビリテーションが個別に存在するのではなく、総合的なアプロ ーチが重要であることが今日国際的に認知されている。 1.医学的リハビリテーション 障害は疾病ではなく、病気・変調・傷害など健康状態の変化によってもたらされた諸状 態を意味する。医学的な考え方や方法により、障害の除去・軽減を図ることが医学的リハ ビリテーションである。したがって、障害の原因となっている疾病や治療や管理も医学的 リハビリテーションの範疇と考えられている。さらに、障害児(者)の二次的障害の予防、 機能維持、健康管理などについては、他のリハビリテーション領域のプログラムのなかで も、医学的リハビリテーションの果たすべき役割とされている。したがって、リハビリテ ーションの全プロセスに関わりを持つ場合が多い。 医学的リハビリテーションでは、障害の三つのレベルのうち、機能障害(構造障害を含 む)と活動制限に対して、疾病の治療・管理、機能回復訓練、二次障害の発生予防、義肢・ 装具の作製・訓練などを行う。 2.職業リハビリテーション ILO や WHO、国連の定義や概念を総括すると、「職業リハビリテーションは、それ自体は 単独で成り立つものではなく、医学・教育・社会などで構成される総合リハビリテーショ ンの一環であり、それらの連携が重要であり、職業リハビリテーションによって障害者の 社会への統合ないし再統合を促進するものであり、それは時間を限定したプロセスでなけ ればならない」と理解される。職業リハビリテーション・サービスの具体的内容は、職業 評価、職業指導、職業準備訓練及び職業訓練、職業紹介、保護雇用、フォローアップなど がある。また時間限定のプロセスとは、目標達成のために具体性のある計画でなければな らず、漠然とした目標のものはリハビリテーション目標にならないという意味である。し たがって、リハビリテーション目標や計画がなく、単に福祉工場で従事している場合は、 雇用であっても職業リハビリテーションではないとされる。 89 3.教育リハビリテーション 年齢階層を問わず、障害児(者)に関して行われる教育的支援が教育リハビリテーショ ンである。特殊教育と同義であると理解される傾向が強いが、教育リハビリテーションの 思想と特殊教育の思想は必ずしも一致するものではない。 教育リハビリテーションの関心は、現実には、就学前の通園施設及び学齢期における学 校教育に向けられる。そして国際的な動向としては、統合教育を原則としながら、それら が困難な場合に特殊教育が考慮されている。ただし、ろう児(者)・盲ろう児(者)につい ては、世界ろう連盟などの意見を取り入れて、特別なコミュニケーション手段を要すると いう理由から、特殊学校ないし特殊学級の設置が必要であるとしている。また、教育リハ ビリテーションにおいては、教育の機会の均等と大学レベルでの教育の保障も求められて いる。 4.社会リハビリテーション 今日の社会リハビリテーションの定義は、1986 年の国際リハビリテーション協会(RI) の社会委員会委員会によるものが広く支持されている。それによれば、 「社会リハビリテー ションとは、社会生活力(Social Functioning Ability; SFA)を高めることを目的とした プロセスである。社会生活力とは、さまざまな社会的な状況のなかで、自分のニーズを満 たし、一人ひとりに可能な最も豊かな社会参加を実現する権利を行使する力を意味する」 ものである。この定義の前提として「機会均等化」の重要性があげられている。 社会リハビリテーションのプログラムとしては、例えば①生活の基礎をつくる(健康管 理、時間・金銭管理、家庭管理、安全・危機管理)②自分の生活をつくる(介助、福祉用 具、住宅、外出)③自分らしく生きる(自己認識、障害の理解、コミュニケーションと人 間関係、性・結婚)などがある。 なお、リハビリテーションについて、障害当事者団体は上記の分類よりも、世界行動計 画の定義を使っている(詳細は本文参照)。 出典: 社会福祉士養成講座3 障害者福祉論 福祉士養成講座編集委員会編 90 中央法規、P18-20 付録 6.Community Based Rehabilitation Community Based Rehabilitation(以下 CBR)には、既に第一章で紹介したとおり、様々 な定義、目標、アプローチが存在する。CBR を翻訳すると「地域に根ざしたリハビリテーシ ョン」であるが、その意味するところは広く、且つ、数々の考え方が提示されている。こ こでは、CBR の登場、発展といった歴史的背景、CBR の代表的な定義と目標、実施方法及び 留意点、課題と提言に分けて概説する。 1.歴史的背景 1960 年代まで、リハビリテーションも含めた保健・医療サービスの多くは、病院やリハ ビリテーションセンターといった舞台で、医者や専門家を主体として実施されてきた37。こ のような保健・医療サービスは、多くの病気、障害を持った人々にとってアクセスが困難 であり、1960 年代に入るとリハビリテーション専門家による組織や WHO といった国際機関 によってより良いサービスをより多くの人々に提供するためにどうすればよいか模索する 動きもでてきた。この中では、特に発展途上国において、限られた資源が都市部を中心と した病院に集中しているため、農村部に居住する貧しい人々や障害者が適切な医療やリハ ビリテーションサービスを受けることができないことが問題とされた38。 1970 年代には、WHO と UNICEF によって「community health worker」の概念が紹介され39、 貧困、保健、開発、人口増加、コミュニティー参加、といった点に重点を置いた保健サー ビスが推進されるようになった。このような動きは、CBR の発展に影響を与えた。1976 年 には WHO によって CBR の発展と実施についてのポリシーが作成され、途上国における障害 者の状況が詳しく調査されることとなった。 その後、1981 年になって、WHO リハビリテーション専門家会議において CBR の定義が初め て打ち出された。1980 年代には、WHO のヘランダーを中心としたグループの努力によって CBR は急速に途上国に広まっていった。特に「Training in the Community for People with 37 このようなアプローチを「医療モデル」と呼ぶ。また、病院や医療センターなどを中心としたリハビリ テーションを IBR : Institutional Based Rehabilitation と呼ぶ。 38 ヘランダーの調査によると、途上国でリハビリテーションサービスを受けることができるのは、障害者 のたった2%と言う報告がある。 39 1978 年に WHO/UNICEF が発表したアルマアタ宣言「2000 年までに全ての人に健康な生活を」による PHC の アプローチとして生まれた。都市部より地方部での、そして職業医療者による高度/高価な治療行為より、 地域住民による経済的且つ公平な衛生活動を通して疾病の予防普及と健康促進を重視する、現代の途上国 保健サービスの根幹をなすアプローチと理解されている。 91 Disabilities(ヘランダー、他、1989) 」というマニュアルは 30 カ国で活用され、また多 くの言語に翻訳された。 このような CBR は、 特に初期には NGO やコミュニティーのメンバーを中心としていたが、 1990 年代に入って、リハビリテーション専門家も積極的に参加するようになり、CBR が、 コミュニティーから専門家の医療ケア施設までを広範に含めたアプローチとして広がるよ うになった。 一方、1980 年代に自立生活運動(IL)の概念が途上国に紹介されるようになってくるに したがって、IL と CBR においての同一性が論じられるようになってきた。つまり、IL にし ても、CBR にしても、同じ社会的問題、つまり障害者の権利と責務がないがしろにされてい るという状況、に呼応して発生・展開していったものである、という考え方である。この 考え方では、CBR が消費者主導の社会的動向に合わせて自然発生的に生まれたいくつかの概 念が同じ方向に集合されたものと考える。その先はサービスの提供者が主役となる IL 運動 であることになる。実際、CBR と IL はリハビリテーションの定義や障害者のニーズに焦点 を当てたコミュニティーの参加を促進するなど、共通する部分が多い40。 現在の CBR の概念は初期のものと大きく変化し、昨今では、CBR は障害者の生活の質(QOL) 向上のため、また、統合的な社会を実現するために必要不可欠な全ての分野に焦点を当て て実施することを目標としている。このように CBR 実施においては、幅広い分野の関係者 が連携していく必要性が高まっている。今後は障害者自身がさらにエンパワメントを目指 せるような取り組みが求められている。 2.定義と目標 CBR の考え方が様々であることは前述のとおりだが、広く受け入れられている定義と目標 は 2000 年に発表された、WHO, ILO, UNESCO, UNICEF による Joint Position Paper である。 そこでは、以下のように述べられている。 定義:CBR は全ての障害児・者のリハビリテーション、機会均等、社会統合を実現するため に、一般的なコミュニティー開発の枠組みで実施される戦略である。CBR は障害者自身と彼 らの家族、そして彼らの属するコミュニティーが一致協力することによって、また、適切 な保健、教育、職業訓練および福祉それぞれのサービスを提供することによって、実現す る。 目標:障害者が身体的及び精神的能力を最大限発揮し、通常のサービスや機会にアクセス でき、活動的になるために、彼らがエンパワーされることである。そしてこのことによっ 40 ただし、CBR はコミュニティー開発を進めることを主眼とするが、IL は全ての活動について消費者がコ ントロールすることを促進している、という違いも指摘されている。 92 て、彼らの属するコミュニティーや社会に貢献することを目的とする。このように、CBR は 社会変革を通じて障害者の人権を促進する。 なお、国連 ESCAP は 1997 年に「Understanding Community Based Rehabilitation」とい う文書を発表し、その中で、CBR の基準を以下のように示している。 ・ 障害者自身が、プログラムの計画策定や実施も含めた全ての段階において参加している こと。そして、彼らが明確な意思決定の役割を持っていること。 ・ プログラム活動の目的が、障害者の生活の質(QOL)を高めることであること。 ・ プログラムの焦点のひとつとして、コミュニティーにおける障害者に対する態度を前向 きなものとし、コミュニティーメンバーの CBR プログラムへの支援と参加を促進するこ と。 ・ プログラムの対象となる障害が全てのタイプの障害であること。 ・ 女性障害児・者に対応していること。 ・ 地域の状況に合わせて柔軟に対応できていること。 ・ 地域レベルで色々な種類のサービス提供を調整していること。 3.実施方法及び留意点 CBR は色々と異なった意味あいを持って実践されている。これは、それぞれの社会が文化、 環境、教育、保健、福祉といったプログラムの中で違っている為で、CBR へのアプローチが 違うのも当然である。したがって、コミュニティーにおいて CBR 事業を成功に導くために は、既存の習慣と、建設的な変化に対する理解の間にバランスをうまく取っていく必要が ある。つまり、コミュニティーに入り込んでいく際には、コミュニティーの多様性、組織、 境界線、人々のつながり、人々の相互作用、社会・政治的な枠組みといったコミュニティ ーの性質を理解し、認める必要がある。したがって、計画策定の際には、現地の知識に明 るい主要な情報提供者と関係者からの情報収集が肝要であり、特に障害当事者のニーズが プログラム策定の基盤となるので、彼らの参加は立案の段階から重要である。 CBR 実施の一般的な構成要員は、障害者、障害者の家族や介助者、コミュニティー、ボラ ンティア、コミュニティーヘルスワーカー、リハビリテーション専門家、政府及び多国籍 組織や NGO、雇い主である。実施の段階は以下のとおりである。 ・ CBR 委員会を結成する。 ・ 定期的に(ボランティアとして)活動が可能な CBR ワーカーを募集、選考し、図解され た CBR の手引き書を参考とした専門家による訓練を行う。 ・ 障害者の調査を実施する。 ・ 少数の障害者を対象とした試行プログラムを計画し、着手する。 93 ・ 地域で手に入る技術、材料を使い、補装具、自助具を製作する。 ・ 正しい障害観や障害予防の知識を育てるために、啓蒙キャンペーンを行う。 ・ 障害者の雇用を進める。 ・ 障害者の自助団体を育成する。 ・ 評価及びフォローアップを行う。 CBR を実施する上での留意点は、CBR がコミュニティーにおいて弱者とされている人々に 焦点を当てた真に参加型のプログラムであればあるほど、既得権益を守ろうとする社会的 に高い身分の人々と対立することがある危険性をはらんでいることである。また、CBR プロ グラムを途上国において実施する際には家族の参加が非常に重要になるため、特に女性の 家族に追加的な責任を負わせるような、現実的でない要求を求めるべきではない。 さらに、CBR を持続可能にするためには以下を留意する必要がある。 ・ 人権に根ざした CBR プログラムのニーズを確認すること ・ コミュニティーがそれらニーズに対応する心理的な準備があること ・ コミュニティーの外から資源や支援の可能性があること ・ DPO と NGO の連携も含めて、複数分野の連携があること ・ コミュニティーワーカーがいること ・ CBR が適当な資源の分配も担保した国家計画に統合されること 4.課題と提言 CBR はコミュニティーで障害者に対する支援を実施する際の理想にも見えるが、実際には 色々な問題点が指摘されている。WHO が SHIA と行った調査からも明らかなように、以下の ような問題がある。 ・ 政府が支援するCBRプログラムであっても、いまだ限られたコミュニティーしか対象に できていない。 ・ 対象とされる障害者も、軽度の身体障害者が主であったり、一部の知的障害や聴覚障害 の子どもが主であったりと、恩恵を受けるものが限られている。 ・ 容易にサービスが提供できる障害者から始めるため、最も支援を必要としている障害者 の期待にこたえられない。 ・ 大半の場合障害者はサービスの受け手であり、参加して意見を述べることがないので、 プログラムへの影響力が限られている。 ・政府、地域社会、委員会、コミュニティワーカーをみてみると、プログラムの持続性懸 念がある。 また、インドのマヤ・トーマスもいくつかの問題点を挙げている。例えば、コミュニテ 94 ィーの参加・オーナーシップについては、CBR はコミュニティーのメンバーが限りある資源 を障害者のためのプログラムに割く意思があると期待しているが、実際はその様なことは 稀で、多くの場合、外部からの援助関係者がリーダーシップを取って実施しているのが現 実である、と指摘している。 その他には、CBR は複数分野における連携を重視しているが、多くの途上国では、省庁が 縦割り体制であるため、現場で数々のサービスを提供する人々の連携が難しく、現実的と は言えないこと、も課題として挙げている。また、CBR はリハビリテーションを多くの人に 安価に提供できるという考え方があるが、実は、誰にとって「安価」であるかについては 疑問である点が指摘されている。つまり、CBR はその実施について家族が負担する部分(金 銭的な点だけではなく、心理的な点も含まれる)が多く、政府として経済的ではあっても、 家族としては負担が増えることもある、としている。毎日の生存をかけて生活している多 くの途上国の人々にとって、障害を持った子供のために貴重な資源を投入することは無駄 であり、障害を持たない子が将来に渡って障害を持った子を世話できるように、障害を持 たない子に集中して投資するのが普通の考え方である、事を指摘し、CBR を実施する際の難 しさを浮き彫りにしている。 このような問題点や課題に対し、前述の WHO/SHIA による CBR 調査では以下が提言されて いる。 ・ 障害者の「完全参加と平等」を実現するためにはコミュニティーレベルだけの支援では 難しく、地方行政府や国家レベルも視野に入れた、社会を構成する全てのレベルをター ゲットとすること。 ・ CBR にかかわるあらゆる関係者(障害者や家族、国や専門家、NGO や DPO 等)をどの程 度巻き込むことができるか、 に CBR の成功如何が係わっていることを十分認識すること。 ・ CBR は障害者の生活の質に影響するすべての事柄を対象とし、単にリハビリテーション だけを意味するのではない。 CBR はいまだ発展中のアプローチであり、さまざまなモデルが存在する。上記の問題を中 心として課題も多いので、真に参加型開発を目指したプログラムであることが求められて いる。 詳細は、参考文献を参照のこと。 95 <参考文献> (1) 上田敏、目で見るリハビリテーション医学(第2版) 、東京大学出版会、2002 (2) 国際協力事業団、 「ソーシャル・キャピタルと国際協力-持続する成果を目指して-事例分析編、第4 章 プライマリ・ヘルス・ケアとソーシャル・キャピタル」 、JICA、2002 年 8 月 (3) 中西由起子、久野研二、障害者の社会開発:CBR の概念とアジアを中心とした実践、明石書店、1997 (4) Economic and Social Commission for Asia and the Pacific, United Nations, UNDERSTANDING COMMUNITY-BASED REHABILITATION, 1997 (5) Edmonds, Lorna Jean, THE POST CONFLICT INTEGRATION OF PERSONS WITH DISABILITIES IN BOSNIA-HERZEGOVINA - The Role of Community Based Rehabilitation, March 2002 (6) HARTLEY, SALLY, Ed., CBR – A PARTICIPATORY STRATEGY IN AFRICA, 2002 (7) ILO, UNESCO, UNICEF, WHO, CBR FOR AND WITH PEOPLE WITH DISABILITIES – JOINT POSITION PAPER, 2001 (8) Mendis, Padmani, THE RELATIONSHIP BETWEEN INDEPENDENT LIVING (IL) AND COMMUNITY-BASED REHABILITATION (CBR), Leadership Training Seminar for People who have Disability Held in Ha Noi, Viet Nam, 25-27 May 2000 (9) Peat, Malcolm, COMMUNITY BASED REHABILITATION, 1997 (10) WHO/SHIA, Community-Based Rehabilitation as we have experienced it… voices of persons with disabilities, 2002 96 付録 7.ICIDH(国際障害分類)及び ICF(国際生活機能分類) 1.ICIDH 1980 年に発表された ICIDH では、障害を以下の3階層に分類した。 ・ 機能障害(impairment) ・ 能力障害(disability) ・ 社会的不利(handicap) これらの意味の違いは、例えば全盲の人が新聞を読めないということを例に取って考え てみると分かりやすい。目が見えないこと自体は impairment(目という機能に障害がある こと)であり、墨字(インクで書かれた文字)を読めないことは disability(目が見えな いために墨字を読むという能力に障害があること)であり、新聞を読めないために情報を 入手できないことは handicap(墨字で書かれた情報を得られないために社会的な不利を得 がちだということ)である。 このように障害の階層を明確にしたことにより、色々な支援の方法が考えられるように なった。つまり、目が見えないという impairment は解消することができない場合でも、点 字の読み書きを身につけることにより、 「読む」という能力に対す問題(disability)は解 消でき、点字の新聞が発行されることにより情報を得られないと言う社会的不利 (handicap)を解消することができる。したがって、障害者支援のアプローチにおいては、 この3階層を念頭に置きつつ、最終的に handicap を解消するべく方策を練る必要がある。 また、ICIDH により障害者を表す英語表現も変化した。かつては、 「the handicapped」と いう名称が多く用いられたが、ICIDH の考え方が広まるにしたがって、handicap という表 現は、マイナスイメージが強いということで近年では「Person with disability」 (略して PWD)と表現されることが多い。 2.ICF 大きな理論的、実際的功績のあった ICIDH であるが、障害のマイナス面にのみ焦点を置 いているといった批判がなされるようになった。 こういった批判を受けて、ICIDH では障害というマイナス部分のみが対象とされた点を変 更し,障害のみならず健康というプラス部分を含む人間の健康状態に関わるすべてのこと が対象となるように改められた.すなわち,ICIDH が疾病の結果(consequence of disease) 」 に対する分類だったのに対し,ICF では「健康状態の構成要素(components of health) 」 97 に対する分類に変更されている. 主要な改訂ポイントは以下の通りである。 第 1:背景因子が分類に加わり,大きく 2 つの部分,Part1: 生活機能と障害(Functioning and Disability),Part2:背景因子(Contextual Factors)から構成されている。 また,Part1 と Part2 は,それぞれ 2 つの構成要素からなり,それが Part1 では(a) 心身機能と構造(Body Functions and Structures)と(b)活動と参加(Activities and Participation) ,Part2 では(a)環境因子(Environmental Factors)と(b)個人因子 (Personal Factors)となっている。 第 2:ICIDH では身体,個人,社会の 3 つの次元で障害というマイナス部分を機能障害 (Impairment) ,能力障害(Disability) ,社会的不利(Handicap)に分類していたも のを,ICF では,身体(Body)と生活(Life areas)の 2 つの次元で、マイナス部分 の障害(Disability)のみならず,生活機能(Functioning)というプラス部分に対 しても分類されている。身体は心身機能( Body functions)と身体構造(Body structures)からなり,そのプラス面は機能的・構造的統合性(Functional and structural integrity)と呼ばれ,一方マイナス面は機能障害(Impairment)と呼ば れる。また、生活のプラス部分は,活動(Activities)または参加(Participation) と呼ばれ,一方マイナス部分は,活動制限(Activity limitation)または参加制約 (Participation restriction)と呼ばれる。 第 3:ICIDH では、機能障害→能力障害→社会的不利という一方向的関係について批判が多 かった。これは、ICIDH 構造モデルの印象にからの誤解による批判であったと思われ るが、ICF においては、生活機能と障害が健康状態と背景因子に影響される各構成要 素間の相互作用として図表化されている。 98 ICF の定義 健康との関連において 心身機能(body functions)とは,身体系の生理的機能(心理的機能を含む)である。 身体構造(body structures)とは,器官・肢体とその構成部分などの,身体の解剖学的 部分である。 機能障害(構造障害を含む)(impairments)とは,著しい変異や喪失などといった,心 身機能または身体構造上の問題である。 活動(activity)とは,課題や行為の個人による遂行のことである。 参加(participation)とは,生活・人生場面(life situation)への関わりのことであ る。 活動制限(activity limitations)とは,個人が活動を行うときに生じる難しさのこと である。 参加制約(participation restrictions)とは,個人が何らかの生活・人生場面に関わ るときに経験する難しさのことである。 環境因子(environmental factors)とは,人々が生活し,人生を送っている物的な環境 や社会的環境,人々の社会的な態度による環境を構成する因子のことである。 ICF の概念 第1部:生活機能と障害 構成要素 心身機能・ 活動・参加 第2部:背景因子 環境因子 個人因子 身体構造 領域 構成概念 心身機能・ 生活・人生領域 身体構造 (課題,行為) 心身機能の変化 能力 (生理的) 標準的環境にお ける課題の遂行 身体構造の変化 実行状況 (解剖学的) 現在の環境におけ る課題の遂行 肯定的側面 機能的・構造的 活動 統合性 参加 生活機能と障害へ 生活機能と障害へ の外的影響 物的環境や社会的 環境,人々の社会 の内的影響 個人的な特徴の影 響力 的な態度による環 境の特徴がもつ促 進的あるいは阻害 的な影響力 促進因子 非該当 阻害因子 非該当 生活機能 否定的側面 機能障害 活動制限 (構造障害を含む) 参加制約 障害 99 付録 8.インクルーシブとインテグレーション 1.インテグレーション 障害者に対する政策の問題解決の鍵概念になったのがインテグレーション(市民社会へ の統合)であり、特に教育分野で、分離教育から統合教育へという形で強調された。イン テグレーションは、障害のある人もない人も、分け隔てのない仲間として渾然一体のシス テムが形成される状態をいう。我が国では、学校教育のなかで「統合教育」として普通学 級の障害児を積極的に受け入れたり、併設された特殊学級に通う障害児と同学年のそうで ない児童が一定の教科について一緒に学習する「交流教育」等が全国的に普及している。 2.インクルーシブ 西欧の障害児教育で進められた統合教育(インテグレーション)が、現実には形式的な 場の統合になっている例が多いという問題への対応として提唱されたのがインクルーシブ (包み込み)でそれぞれニーズの異なる障害者の個別化されたプログラムによって教育や 援助をしていくことを意味し、実質的な統合・共生をめざすものである。1980 年代からア メリカの特殊教育の分野で、インクルーシブの運動が活発化しつつある。インクルーシブ は 「“All” means “All”(すべてというのは全部のこと)」という理念により、障害の 種別の枠にとらわれず、またその子どもの能力にとらわれず、その子どもたちの「生活年 齢に相応する普通教育の環境を保障していこう」ということに重点がおかれている。 インクルーシブとは、特別ニーズ教育の充実によって学校がさまざまの違いや多様なニ ーズを有する子どもの学習と発達、協同と連帯の場になっていくこと、換言それば「共学・ 協同と発達保障」の実現を追求する学校教育のあり方を示したものであるが、なお理念の レベルにとどまっており、具体的な構想と実践は今後の課題となっている。 3.インクルーシブとインテグレーションの違い インクルーシブの考え方は、障害があろうとなかろうと、あらゆる子どもが地域の学校 に包み込まれ、必要な援助を提供されながら教育を受けることを主張している。つまり障 害があるからといって障害児だけの特別の場で教育を受けるのではないということでる。 この考え方は、従来の「インテグレーション(統合教育)」とどう違うのか。 まず第一に、必要な援助が提供された上で、統合された環境で教育を受けるという点で ある。従来のインテグレーションはこの「必要な援助」が位置付けられておらず、学ぶ場 (物理的な環境)が統合されたというだけで「お客さん」扱いされていた。第二には「必 100 要な援助」を提供されるのは障害児だけではなく、子どもはそれぞれに特別なニーズをも ち、そのニーズに対して配慮がなされなければならないことである。インクルーシブでは すべての子どもに、必要とされる個別の援助を提供することが強調されている。障害者の 親という立場で活躍している松友了氏は、インクルーシブを「通常の場面における、援助 付きの共生戦略」と規定している。 「通常の場面」とは教育であれば普通クラス、就労なら ば一般企業など障害のない人と同じ場である。そして「援助付き」とは、それぞれの特別 なニーズに応じて、必要な援助が提供されるということである。 参考: 石渡和実「Q&A 障害者問題の基礎知識」 社会福祉士養成講座 障害者福祉論 明石書店 p73-75 中央法規 『新版 社会福祉学習双書』全国社会福祉協議会 障害者福祉論 101 付録 9.交通バリアフリー法とバリアフリー新法 1.交通バリアフリー法とは 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した円滑化の促進に関する法律」平成 12 年 5月 17 日公布、11 月 15 日施行 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の利便性・安全性の向上を促進す るため Ⅰ. 鉄道等の旅客施設及び車両について、公共交通事業者によるバリアフリー化を推進 する。 Ⅱ. 鉄道等の旅客施設を中心とした一定の地区において、市町村が作成する基本構想に 基づき、旅客施設、周辺の道路、駅前広場等のバリアフリー化を重点的・一体的に推 進する。 法律の基本的な仕組み 1.基本方針 国は公共交通機関を利用する高齢者、身体障害者等の移動の利便性・安全性の向上を 総合的かつ計画的に推進するため、基本方針を策定している。 2.公共交通事業者が構ずべき措置 公共交通事業者に対し、鉄道駅の旅客施設の新設・大改良、車両の新規導入の際、 「バ リアフリー基準」への適合を義務付ける。 3.重点整備地区におけるバリアフリー化の重点的・一体的な推進 ア. 市町村による基本構想の作成 市町村は、基本方針に基づき、一定規模の旅客施設を中心とした地区について、駅 などの旅客施設、周辺の道路、駅前広場、信号機等のバリアフリー化を重点的かつ 一体的に推進するため、当該重点整備地区におけるバリアフリー化のための方針、 実施する事業等を内容とする「基本構想」を作成することができる。 イ. 基本構想に基づく事業の実施 交通事業者、道路管理者及び都道府県公安委員会は、それぞれ具体的な事業計画を 作成し、バリアフリーのための事業を実施する。 4.バリアフリー化に関する情報の提供 安心して公共交通機関を利用していただけるよう、駅施設などのバリアフリー化の状 況についての情報を提供する。 102 2.バリアフリー新法とは 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」 平成 18 年 6 月 21 日公布、同年 12 月 20 日施行 1.趣旨 高齢者、障害者(身体障害者・知的障害者・精神障害者・発達障害者を含む、全ての 障害者) 、妊婦、けが人などの、移動や施設利用の利便性や安全性の向上を促進するため に、公共交通機関、建築物、公共施設のバリアフリー化を推進するとともに、駅を中心 とした地区や、高齢者、障害者などが利用する施設が集まった地区において、重点的か つ一体的なバリアフリー化を推進する。また、バリアフリー化のためのソフト施策も充 実する。 2.概要 ア.基本的方針の策定 主務大臣が、バリアフリー施策を総合的かつ計画的に推進するための「基本方針」を 作成する。 イ.バリアフリー化のために施設設置管理者等が講ずべき措置 公共交通機関(駅・バスターミナルなどの旅客施設、鉄道車両・バスなどの車両)、並 びに特定の建築物、道路、路外駐車場及び都市公園を新しく建設・導入する場合、そ れぞれの事業者・建築主などの施設設置管理者に対して、施設ごとに定めた「バリア フリー化基準(移動等円滑化基準) 」への適合を義務づける。 また、既存のこれらの施設等について、基準適合するように努力義務が課される。 ウ.重点整備地区におけるバリアフリー化に係る事業の重点的かつ一体的な実施 ①市町村による基本構想の作成 市町村は、国が定める基本方針に基づき、旅客施設を中心とした地区や、高齢者、 障害者などが利用する施設が集まった地区(「重点整備地区」 )において、公共交通 機関、建築物、道路、路外駐車場、都市公園、信号機などのバリアフリー化を重点 的かつ一体的に推進するため、当該地区におけるバリアフリー化のための方針、事 業等を内容とする「基本構想」を作成することができる。 ②基本構想に基づく事業の実施 関係する事業者・建築主などの施設設置管理者及び都道府県公安委員会は、それぞ 103 れ具体的な事業計画を作成し、事業を実施する。 エ.住民などの計画段階からの参加の促進を図るための措置 基本構想を作成する際に高齢者、障害者などの当事者参加を図るために、協議会制度 を法律に位置づけ、また、高齢者、障害者などから、市町村に対して、基本構想の作 成・見直しを提案できる制度を創設する。 オ. 「スパイラルアップ」と「心のバリアフリー」の促進 ①「スパイラルアップ」の導入 具体的なバリアフリー施策などの内容について、高齢者、障害者など当事者の参加 の下で検証し、その結果に基づいて新たな施策や措置を講じることによって、段階 的・継続的な発展を図っていく「スパイラルアップ」を国(地方公共団体)の責務 とする。 ②「心のバリアフリー」の促進 バリアフリー化の促進に関する国民の理解・協力を求める「心のバリアフリー」を 国(地方公共団体)や国民の責務とする。 カ.その他(移動等円滑化経路協定) 基本構想で定められた重点整備地区内において、駅~道路~建築物などの連続的なバ リアフリー環境を、安定的に維持するために、その土地所有者などが、全員の合意に より、経路の整備や管理に関する事項を移動等円滑化経路協定として網結することが できるようにする。なお、協定は市町村長の認可を受けなければならない。 これにより、継続的に協定内容が効力を発揮することができる。 国土交通省:http://www.mlit.go.jp/barrierfree/transport-bf/explanation/kaisetu/kaisetu_.html 104 付録 10.バリアフリーとユニバーサルデザイン 1.バリアフリー 「バリアフリー」とは、もともとは建築用語で「バリア(障壁)」を「フリー(のぞく) 、」 つまり障壁となるものを取り除き、生活しやすくすることを意味する。建物内の段差など、 物理的な障壁の除去と言う意味合いから、最近ではより広い意味で用いられてきている。 道路や建築物の入り口の段差などの物理的なバリアだけでなく、高齢者、障害者などの 社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なバリアもある。 「バリアフリー」とは、 高齢者や障害者だけではなく、全ての人にとって日常生活の中で存在するあらゆる障壁を 除去することを意味する。 私たちの生活する社会には、主に以下のようなバリアがある。 (1) 物理的バリア 建築物、交通機関等のバリアである。例えば、JICA 国内機関等でも、段差、車椅子利用 者には高すぎる受付カウンター、車椅子用トイレの不足、スイングするドア等、障害者の 利用には支障がある点が多く残されている。これらは、速やかに解消すべき問題である。 また、完成した建築物等を改修するには、時間もコストも多くを要する。設計段階での注 意が必要である。 (2) 情報バリア 情報の入手、伝達に関するバリアである。特に、視覚、聴覚、知的障害者等は、情報の 入手、伝達にまだまだ支障を来しているのが現状である。解決のためには、ICT 技術の開発、 専用端末機器の開発普及の他、手話通訳者等、人材の育成が必要である。 (3) 制度的バリア 欠格条項、各種資格制度、就職・任用試験等のバリアである。例えば、かつて聾者が欠 格条項により薬剤師の資格を得られなかったことや、公務員試験等に点字の試験が準備さ れていないといったことがこれにあたる。 (4) 心理的バリア 周囲の人達からの偏見や差別によるバリアである。本編第一章で述べたように、社会に 105 は様々な障害者観がある。偏見、差別、無知、無関心、同情、哀れみといった障害者観は、 障害者の社会参加において大きなバリアとなる。点字ブロックを設置されていてもその上 に、自転車が放置されているために視覚障害者が却って危険な目に遭うといったことが、 日本でもまだまだ聞かれる。物理面でのバリアを除去しても心理面でのバリアを除去しな ければ、その効果は十分に発揮されないという適例である。 2.ユニバーサルデザイン UD は、BF と共通点はあるが、異なった概念である。障害の有無に関係なく、全ての人が 利用しやすい製品及び環境のデザインのことである。例えば、従来のバスのステップにリ フトを設置するのが、従来のバリアフリーの考え方であるが、段差のないバスにし、障害 者も一般の人も同じ方法で利用できるようにするのが、ユニバーサルデザインの考え方で ある。 米国ユニバーサルデザインセンターが以下のとおり UD7原則を定めている。 (但し、この 原則は、工業製品全てを対象に定められているので、一部 JICA 事業にはそぐわないものも 含まれている。 ) ユニバーサルデザインの7原則 原則1:誰でも公平に利用できること 【定義】 誰にでも利用できるように作られており、かつ、容易に入手できること。 【ガイドライン】 1a.誰もが同じ方法で使えるようにする。それが無理なら別の方法でも仕方ないが、公平な ものでなくてはならない。 1b.差別感や屈辱感が生じないようにする。 1c.誰もがプライバシーや安心感、安全性を得られるようにする。 1d.使い手にとって魅力あるデザインにする。 原則2:使う上で自由度が高いこと 【定義】 使う人のさまざまな好みや能力に合うように作られていること。 【ガイドライン】 2a.使い方を選べるようにする。 2b.右利き、左利きどちらでも使えるようにする。 106 2c.正確な操作がしやすいようにする。 2d.使いやすいペースに合わせられるようにする。 原則3:使い方が簡単ですぐわかること 【定義】 使う人の経験や知識、言語能力、集中力に関係なく、使い方がわかりやすく作られている こと。 【ガイドライン】 3a.不必要に複雑にしない。 3b.直感的にすぐに使えるようにする。 3c.誰にでもわかる用語や言い回しにする。 3d.情報は重要度の高い順にまとめる。 3e.操作のためのガイダンスや操作確認を、効果的に提供する。 原則4:必要な情報がすぐに理解できること 【定義】 使用状況や、使う人の視覚、聴覚などの感覚能力に関係なく、 必要な情報が効果的に伝わ るように作られていること。 【ガイドライン】 4a.大切な情報を十分に伝えられるように、絵や文字、手触りなど異なった方法を併用する。 4b.大切な情報は、 (例えば大きな文字で書くなど)できるだけ強調して読みやすくする。 4c.情報をできるだけ区別して説明しやすくする(やり方が口頭で指示しやすくなるよう に) 4d.視覚、聴覚などに障害のある人が利用しているさまざまなやり方や道具でも、情報がう まく伝わるようにする。 原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること 【定義】 ついうっかりしたり、意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られ ていること。 【ガイドライン】 5a.危険やミスをできる限り防ぐ配慮をすること。頻繁に使うものは最もアクセスしやすく し、 危険なものはなくしたり、隔離したり、覆うなどする。 107 5b.危険なときやミスをしたときは警告を出す。 5c.間違っても安全なように配慮をする(フェイルセーフ) 5d.注意が必要な操作を意図せずにしてしまうことがないように配慮する。 原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること 【定義】 効率よく、気持ちよく、疲れないで使えるようにすること。 【ガイドライン】 6a.自然な姿勢のままで使えるようにする。 6b.あまり力を入れなくても使えるようにする。 6c.同じ動作を何度も繰り返すことを、できるだけ少なくする。 6d.体に無理な負担が持続的にかかることを、できるだけ少なくする。 原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること 【定義】 どんな体格や姿勢、移動能力の人にも、アクセスしやすく、操作がしやすいスペースや大 きさにすること。 【ガイドライン】 7a.立っていても座っていても、重要なものは見えるようにする。 7b.立っていても座っていても、あらゆるものに楽に手が届くようにする。 7c.さまざまな手や握りの大きさに対応する。 7d.補助具や介助者のためのスペースを十分に確保する。 国際指針としては、日本が提案し、製品・サービス開発、建物、道路などの施設づくり について ISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)による「ISO/IEC ガイド 71」 (規 格作成における高齢者・障害者のニーズへの配慮ガイドライン)が、2001 年 11 月に策定さ れた。 「ガイド 71」は今後あらゆる分野の製品・サービスの開発において、高齢者や障害者 にも使いやすい配慮を加えることを明記したもので、ISO 加盟各国が自国内の各種規格を作 成する際に基本指針として活用される。 同ガイドでは、高齢者や障害者に対する具体的な「配慮ポイント」を、様々な製品・サ ービス・施設などに共通する7つの分野に分けたうえで、包装、材質などの「配慮領域」 を縦軸に、感覚、身体、認知、などの身体特性を横軸にとるマトリックス形式で分かりや すく表している。7つの分野とは、 (1)情報、表示、注意表示、警告、(2)包装・容器、 108 (3)素材(材質) 、 (4)取り付け、(5)ユーザー・インタフェース(扱いやすさ、操作 スイッチ、フィードバック) 、 (6)整備・保管・廃棄、 (7)建築環境(建物など)である。 詳細については以下、ホームページ参照。 共用品推進機構 http://www.kyoyohin.org/12hyoujunka/index.html 経済産業省 www.jisc.go.jp/tpk/guide71-2.html 読売新聞 www.yomiuri.co.jp/nie/note/fukushi10/kiji/kiji.htm ISO www.iso.ch/iso/en/CatalogueDetailPage.CatalogueDetail?CSNUMBER=33987&ICS1=1&ICS2=120&ICS3= 109 付録 11.障害者の受入れ、派遣について 11-1.研修員の受入 1.来日前 障害を持つ研修員が来日した場合に、適切な対応がとれるよう、全ての研修コースの General Information に Special Needs に関するクエスチョネアを添付し、要請時に併 せて提出を求める。クエスチョネアでは宗教上の対応等と合わせ、障害についての項 目を含める。 在外事務所及び本邦での研修員選考にあたっては、障害の有無を選考基準としない。 介助者が必要な障害者の参加についても手段を講じていく必要がある。重度障害によ り本邦への渡航が困難な障害者についても J-net 等を通じて研修参加の機会が得られ るよう最大限の配慮をする。聴覚障害者の使用言語は原則として国際手話とする。 相手国政府にも障害の有無、その軽重に関わらず、適切な人材を推薦するよう啓発が 必要となる。 2.来日時 クエスチョネアにより収集した情報に基づいて、研修員の必要に応じて、入国ゲートま での出迎え、JICA カウンターまでの誘導、空港から滞在先までのタクシーによる移動等の 措置をエージェントを通じて行う。 3.宿舎 各センターでは、以下の通りバリアフリー化を図る。 (1)車椅子利用者 ・ エレベーター:誤ってドアに挟まれることがないよう、ドアに赤外線センサーを設置す る。車椅子利用者用のボタンパネルを設置する。 ・ トイレ:各フロアに車椅子用トイレを設置する。 ・ 宿泊用居室:車椅子対応の居室を少なくとも5部屋設置する。特に、浴室、トイレは車 椅子のまま出入りが可能なよう、適切なスペースを確保し、可能な限り段差をなくす。 ・ その他:建物入り口及び館内の段差は可能な限りなくし、解消できない段差にはスロー プを設置する。館内は車椅子での自由な移動を可能にするため、スペースの確保に留 意する。 110 (2)視覚障害者 ・ エレベーター:エレベーター内のボタン、各階ごとのボタン脇に点字と浮き出し文字を 設置する。音声ガイド(英語)を設置する。 ・ 点字表示:施設内の各室、トイレの入り口等に点字表示を設置する。 ・ 宿泊用居室:スイッチ類等に点字表示を設置する。利用者用の案内等、常備資料を点訳、 拡大文字でも用意する。ドアに浮き出し数字を付ける。 ・ その他:主要個所(入り口、フロント、階段、食堂等)に点字ブロックを付設する。ま た、主要個所間(玄関→フロント等)に誘導ブロックを付設する。危険個所には注意 を促す点字ブロックまたは柵を敷設する。館内の照明を明るくし、表示は見やすいも のを設置する。 (3)聴覚障害者 ・ 宿泊用居室:ノックの音が聞こえないので、訪問者を認識できるよう、音を視覚認識で きるフラッシュライトを設置する。朝、確実に起床するためのバイブレーター付き目 覚まし時計・腕時計を設置する。 ・ その他:非常ベルと同時に点灯するフラッシュライトを設置する。 4.教材 (1)視覚障害者:可能な限り点字教材又は、電子データ(Microsoft Office File 等)に て教材を支給する。 5.情報伝達 (1)視覚障害者:見学先等で視覚的な情報を口頭で説明できるよう、ボランティアを手 配する。ボランティアは随時手配できるよう信頼できるソースを開拓す る。ボランティアには、事前に研修を実施する。 (2)聴覚障害者:国際手話通訳者を随時手配できるよう、信頼できるソースを開拓する。 6.研修旅行等の移動について 視覚障害者の誘導及び車椅子利用者のサポートのため、ボランティアを手配する。ボ ランティア手配のための信頼できるソースを開拓する。 7.研修監理員の研修 研修の現場で、研修員と密接に関わりを持つのは研修監理員である。これまで、一部 の受入先等から研修監理員の障害者への理解不足等が指摘されている。ついては、JICE に 111 登録している全ての研修監理員に対し、障害者問題に対する基礎知識及び障害者介助方法 に関する研修を実施する。 11-2.障害を有する専門家/調査団員等の派遣(車椅子利用者及び介助サービス 利用者の場合) 1.背景 『障害者福祉検討会報告書』 (国際協力事業団企画評価部環境・女性課 平成 13 年 3 月) として、JICA の障害者支援戦略に「受益者としてだけの障害者から参加者としての障害 者」を提言し、障害当事者派遣の必要性が出てきた。 2.留意点 (1) 一人一人のニーズは極めて多様なので、具体的な支援内容を予め本人と打ち合わ せることが重要。 (2) 現地の状況を事務所及びプロジェクトに事前に確認させる。 (3) 想定していなかった出来事が通常より多い頻度で発生する可能性がある(外出先 でのトイレや車椅子の故障等)ので、その都度、柔軟に対応できるよう現地業務費あ るいは現地調査費は余裕をもって積算する。 3.事前の準備 (1) リフト付きバス、リクライニングシートのある車輌、介助者等の必要が想定され た場合、実施計画書にあらかじめ予算を計上する。 (2) 研修会場や宿泊場所については、館内の移動やトイレの使用等に支障がないかを 予め確認して選定するように、事前にプロジェクトあるいは在外事務所に指示する。 (ア) 宿泊場所については、必要に応じ柔軟に対応する(宿泊費が事務所内規の上限を 越える場合もあり得るため、事務所に要確認)。 (イ) バスタブの有無、バスルームの段差 2 ㎝以下か、65 ㎝以上の有効幅が確保されて いるか、車椅子でトイレに近寄れるか、トイレ内に車椅子を方向転換できるスペ ースがあるか等を確認する。 (ウ) 完全なバリアフリーでなくても、板で段差を補ったり、浴室に椅子や手すりを設 置するなど工夫できるところを探す。 4.派遣の手続き 112 (1)最初のコンタクトでニーズ(必要となる支援)の概要を把握 (専門家/調査団の原課が担当する) (ア) 氏名、所属先、連絡先、業務内容の確認 (イ) 派遣日程の確認 (ウ) 障害の程度(=必要な支援内容)の確認 介助者の必要性と介助者候補の確認 (エ) 移動について 現地で利用するのは電動車椅子か手動車椅子か(車椅子の予備を持っていく か) 。 車での移動はリフト付きバスか乗用車か両方か。 成田までの移動にリフト付きバンが必要か。 (オ) 宿泊について 介助者と同室か別室か。Connecting Room の有無。 バスタブとシャワーとどちらの方が都合がいいか。 トイレはどの程度のスペースが必要か。 (カ) 渡航について 飛行機の座席の要望(トイレの近くか最前列か) 介助者は専門家の隣にするのか=飛行機のクラスを専門家と同等とするのか。 (キ) 健康上の留意点(※飛行機会社から確認が入ることがあるが、健康上の問題点を 尋ねられることに対し、嫌悪感をもつ方もおられるので注意。最近、航空会社で は障害団体からの要請で尋ねないようにしている。 ) (ク) 専門家→B1 履歴書、携行機材申請書、その他関連フォーム等の記入依頼 調査団員→団員調書の記入依頼 (2)個別の対応を検討(例えば介助者派遣の場合) (専門家/調査団の原課が担当) ○介助者派遣の必要性の判断基準 A. 特別障害者手当の対象となる程度の障害を有する。(例えば四肢麻痺) B. 日常的に介助サービスを利用して生活している。 【判断のポイント】 コミュニケーション(非常時の連絡手段を含む) 、着替え、トイレ、移動(ベットと車 椅子) 、食事、入浴等に介助が必要かどうか。 113 但し、日本ではバリアフリー環境によって介助者サービスを利用しない生活が可能だ が、途上国では介助者が必要となる場合が多いので個別の対応が必要である。 また、寝返りができないほど重度の障害がある場合、体位を変えるため24時間介助 が必要(一人の障害者に対して二人の介助が必要)となる場合もあるので別途協議す る。 (3)介助者が必要な場合の手続き (ア)介助者の人選 原則、専門家が指名。 (介助者は専門家の配偶者や親など家族である場合もあり 得る。 ) 派遣日程、業務内容を確認の上、当該専門家の介助に十分な経験がある介助者 を選ぶように説明する。 氏名、所属先(派遣時の身分) 、年齢、当該専門家の介助経験等を確認する。 (イ)介助者派遣の決裁(専門家/調査団の原課が担当) 短期の派遣については調査団員の通訳(格付は4号を上限)に準じた手続きで その都度決裁をとり派遣する(長期派遣については別途協議)。 関係各課(派遣支援部専門家等制度室、経理部財務一課等)に合議の上、介助 者派遣を決定する。 専門家の格付に合わせて介助者の飛行機のクラス(C か Y か)を変更する場 合があるので、その旨決裁に明記する。 自宅と成田空港の往復にリフト付きバスが必要な場合には事前に見積書を 取り付けて介助者派遣決定決裁の中に、その旨記載する(帰国後、精算をす る) 。リフト付きバスを利用する場合は国内旅費を振り込まないように注意 する。 (4)専門家候補者連絡票/調査団員派遣手続き (1)介助者の件41、 (2)ホテル、移動時の便宜供与について(3)内国旅費について(リ フト付きバス利用時は内国旅費を除く)及び4(1)で確認した事項等について原課が 留意事項に記載。 以降は専門家派遣であれば派遣支援部担当者と調査団手続き担当者と連絡をとり調整す る。調査団であれば原則として原課が調整する。特に飛行機の手配を含め同じエージェ 41 介助者に A1 フォームが出ない場合、相手国の事情により異なるが、調査団員や研修講師として派遣した例があ る。 114 ントに依頼するのが望ましい。 (5)エージェント、航空会社への指示 (ア) 出発時は飛行機のところまで、到着時は飛行機のところから自分の車椅子を使え るように手配する。(目的地に到着した時、車椅子が荷物と紛れてターミナルに 行かないよう留意。 ) (イ) エージェントとの情報の共有を図る。(渡航に関する細かい話については直接本 人と連絡をとり、確認の上、内容については後から報告してもらう) ・ 事前に車椅子の重さやバッテリーの種類などをチェック(リチウム電池は不 可) 。 ・ 自力移動の段階をチェック(車椅子から椅子への移動、起立、歩行(平坦)、 歩行(手すり) 、手すり付き階段の昇降等) ・ 非常時の対応 ・ 障害の原因は事故か病気か(病気の場合の留意事項)※尋ねるのに注意 ・ 非常口周辺と翼の上以外でどこの席が望ましいか(トイレの近くか、最前列の 足下が広いところか、通路側か窓側か) (6)専門家/調査団員及び介助者との派遣前ブリーフィング (専門家/調査団の原課が担当) (ア)特に初めて途上国に行く専門家の場合は、派遣前に本人と直接会って打ち合わ せる(電話では気付かないことも多い、また余計な不安を取り除くことも可能) 。 (イ)介助者にとっても海外での業務は長期間気の抜けない重労働となる。専門家と 介助者の両者を交え、介助者の業務内容(出発から帰宅まで責任ある対応が求 められる)や休憩時間等を確認する。(※調査団員の場合は、→介助者派遣の今 後の参考にするため、介助者にも報告書を義務づけている) (ウ)スケジュールに従って、宿泊及び現地での移動について確認する。 【現地 確認事項】 ○宿泊について 入口等に段差がある場合、ホテルに要望し準備する。 ○表敬等訪問先 1)入口及びエレベーターなど移動にかかるバリアフリー状況の確認。段差があ る場合は、板/スロープを用意する。 115 ※事務所あるいはプロジェクトに依頼し、事前にデジカメ等で状況を知らせ るように依頼することも可能。 2)トイレの有無。 ○移動について 1)リフト付きバスが必要か。 ・ 電動車椅子(40~50 ㎏)の場合はリフト付きバスが必要。 ・ 簡易スロープを設置して荷台に乗って移動することも可能だが、揺れは大き い。 ・ 車椅子に乗ったまま移動する時は必ず、車椅子を車輌に固定すること。 2)リクライニングできる車輌が必要か。 ・筋力が弱くて首が支えられない場合は、リクライニングできる車輌が必要と なる場合(特に長距離の移動時)もある。 3)荷物の総量はどの程度か。(予備の車椅子を持参する場合、荷物が通常より 多くなる) (7)便宜供与依頼の発出 (ア)専門家の便宜供与依頼と調査団(介助者)の便宜供与依頼は手続き上、別部署 にて行うことになるが、現状は、派遣支援部に依頼し、同じ便宜供与電で専門 家に伴う介助者も併せて連絡するようにしている。 (イ)事務所と密に連絡をとりホテルの予約などが二重にならないように留意する。 (8)便宜供与の回答 便宜供与の回答を専門家に伝えた上で必要に応じて打ち合わせを行う。 (9)帰国後の手続き (ア)帰国報告 (イ)報告書の確認 (ウ)その他立替払い請求等追加経費の確認 (10)その他の留意点 (ア)全ての段階において事務所の担当者、プロジェクト調整員/専門家と密に連絡 を取り、情報を共有し準備する。 (イ)広報する時には必ず本人の了解を得て、プライバシーに十分配慮する。 116 リリース前に必ず障害に係る記載を含め本人に内容を確認してもらう。 (ウ)海外旅行保険:安田海上は、障害者も死亡時の補償額を差別しない。AIU は障害 者の補償額を2000万円と低く設定) 。 117 付録 12.障害分野関連団体リスト 1 アジア・ディスアビリティ・インスティテート 192-0046 東京都八王子市明神町2-7-7-104 0426-45-2216 0426-45-2216 アジアの障害者の自立を推進するための活動をしている。 自立生活セミナーの開催やアジアの障害者と日本の障 害者団体との交流や研修を目的としたプログラムの企画・運営、またCBRを中心としたアジア各国の障害施策な どの研究をしている。 中西由起子代表は、JICA「障害者支援課題別支援委員会」の委員を務めている。 2 アジアの障害者文化交流協会 252-0825 神奈川県藤沢市獺郷1008 社会福祉 0466-48-1500 0466-48-1504 法人光友会 アジアの障害者が文化交流を通して相互理解を深めるともに、それぞれの福祉向上をはかる。チャリティーコン サートや盲人バレーボール大会を開催したり、視覚障害の研修生の受け入れをしている。 3 財)アジア保健研修財団(AHI) 470-0111 愛知県日進市米野木町南山987-30 0561-73-1950 0561-73-1990 アジアの人たちのための自主的な保健・福祉活動に協力するため、献身的な多目的中堅保健医療従事者を養成す るための研修事業や開発教育を行っている。 4 NPO)FHCYアジア障害者パートナー 234-0054 神奈川県横浜市港南区港南台2-10-5 045-831-8870 045-831-8871 ズ タイのNGOをパートナーとして活動。タイの障害者作業所の支援、アジアの障害者製品のフェアトレード、障害 理解や人権のための啓発活動、障害者グループやCBRの支援などの他に現地の人材養成事業と交流の促進などを 図っている。また、国内では、セミナー開催を行なうと共に担い手の育成を行なっている。 5 社福)沖縄コロニー 901-2126 沖縄県浦添市字前田997 098-877-5047 福祉サービスを必要とする者の心身の育成と、また社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会 を与えられるとともに、その環境、年齢、あらゆる状況に応じ、地域において必要な福祉サービスを総合的に提 供できるよう援助している。授産施設や老人ホームの設置、運営、またアジア諸国の障害者の自立のための技術 習得の研修を行っている。 6 きょうされん 164-0011 東京都中野区中央5-41-18 東京都生 03-5385-2223 03-5385-2299 協連会館5階 小規模作業所を中心としながら、授産施設や生活施設、グループホームや生活支援センターなどで構成され、障 害のある人々が地域で働き、安心した生活を送ることができる社会をめざして活動している。 藤井克徳常務理事は、JICA「障害者支援コスタリカリハビリテーション強化小委員会」の委員を務めている。 7 国際義肢装具協会(ISPO)日 669-1313 兵庫県三田市福島501-85 118 神戸医療 079-563-1222 079-563-1294 本支部 福祉専門学校三田校内 身体障害者、特に切断患者、ポリオなどの麻痺患者を対象に、義肢装具のサービス向上のため研究開発、国際標 準化、教育基準の設定のために、3年に1回の世界会議を開催。開発途上国における義肢装具サービス向上を目 的に教育機関の整備、教育標準の設定具体的支援を行う。 8 国際CBR研究会 910-0362 福井県坂井郡丸岡町上安田10-38 0776-67-3772 0776-67-3772 各国の事例研究や情報の収集・整理、CBR現場へのスタディーツアーの実施、CBR分野で現地で活動する個人や団 体へのサポートなどをしている。 9 NPO)さをりひろば 531-0071 大阪府大阪市北区中津1-2-21 明大 06-6376-0392 06-6371-1911 ビル3階 個性を尊重した新しい手織りを通じて国内外の障害者や高齢者の福祉の向上に寄与する活動をしている。 障害者 芸術支援、地域指導の養成、国際協力支援、障害者学習推進事業を行っている。 10 JBS日本福祉放送(社福)視覚 532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島5-4-33 06-4801-7400 障害者文化振興会 視覚障害者向け音声情報サービス提供を行う日本で唯一の放送局。ラジオでの視覚障害者向け専門放送やテレビ での全障害者、高齢者および福祉全般を対象とする日本初の福祉専門放送をしている。点訳絵本の文庫事業や防 災事業なども行っている。 11 財)全日本ろうあ連盟 162-0801 東京都新宿区山吹町130 SKビル8階 03-3268-8847 03-3267-3445 聾唖者の人権を尊重し、文化水準の向上を図り、その福祉の増進をする。各地方の聾唖団体相互の連絡や統合、 事業の援助、また聾唖者に関する研究・調査を行っている。全国集会の開催をしている。 JICAの委託を受け、「聾者のための指導者コース」の研修を実施している。石野富志三郎副理事長はJICA「障害 者支援課題別支援委員会」の委員を務めている。 12 社福)太陽の町 724-0622 広島県賀茂郡黒瀬町乃美尾367 0823-82-2187 0823-82-2188 重度身体障害者授産施設・太陽の町共同体を中心として、社会福祉活動を行っている。各種ユニフォーム販売・ 太陽の町共同体事業部は、学校、幼稚園、会社等の作業服・制服等のユニフォームを販売している。車椅子の合 唱団・ヒロシマ太陽の町合唱団1969は、国の内外で演奏活動を行っている。 13 社福)東京コロニー 165-0023 東京都中野区江原町2-6-2 03-3952-6166 03-3952-6664 障害のある人の「完全参加と平等」を実現するため、福祉工場や授産施設、各種障害サービス事業等を行う。グ ループホーム・ケアホーム、居宅介護事業の運営も行う。 14 NPO)DPI日本会議 101-0054 東京都千代田区神田錦町3-11-8 蔵野ビル5階 119 武 03-5282-3730 03-5282-0017 DPIは、1981年、国際障害者年を機に、身体、知的、精神など、障害の種別を超えて自らの声をもって活動する 障害当事者団体として設立された。 第1回DPI世界会議に参加した障害者リーダーを中心としてDPI日本会議が正 式に発足した。DPI日本会議は、障害当事者の声を施策に少しでも反映させるため、具体的な政策提言から実践 行動まで幅広く活動している。 15 NPO)難民を助ける会(AAR) 141-0021 東京都品川区上大崎2-12-2 ミズホビ 03-5423-4511 03-5423-4450 ル5階 在日および海外の難民等の自立支援を目的とし、 国内定住難民等への生活支援活動や海外では紛争や天災で被害 を受けた人々への支援活動などをを行っている。地雷廃絶キャンペーンを実施している。 開発パートナー事業「ラオス車椅子製造支援計画」プログラムを実施している。 16 社)日本オストミー協会 124-0023 東京都葛飾区東新小岩1-1-1 トラスト 03-5670-7681 03-5670-7682 新小岩901号 人工肛門保有者及び人工膀胱保有者(オスメイトと呼ぶ)等の生活の質的向上をめざしている。医療従事者等に よるストーマケア、健康管理の指導、ピアカウンセリングなど各地域に支部をおき推進している。 17 社福)日本キリスト教奉仕団 169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18 アガペセンター・アガペ交換研修プログ 228-0002 神奈川県座間市小松原2-10-14 03-3202-0486 03-3202-0487 046-254-7111 046-255-2915 ラム アジア諸国で社会福祉分野の事業に従事している指導者を日本に招き、障害者職業リハビリテーション研修を5 カ月間実施している。 18 社)日本義肢協会 113-0033 東京都文京区本郷5-32-7 03-3811-0697 03-3814-5250 身体障害者の社会復帰を促進するため、義肢装具等の研究開発を推進し、技術の向上を図っている。研究会の開 催や技術者養成校の設置運動などの活動をしている。 19 社)日本作業療法士協会 111-0042 東京都台東区寿1-5-9 盛光伸光ビル 03-5826-7871 03-5826ー7872 7階 作業療法の学会等の開催、調査研究、作業療法士の教育の向上などの活動を行っている。また内外関係機関との 交流をはかっている。 小林毅理事は、JICA「障害者支援医療リハビリテーション小委員会」の委員を務めている。 20 日本CBRネットワーク 501-3993 岐阜県関市倉知4909-3 学人間福祉学部 中部学院大 0575-24-9300 0575-24-9300 渡邊研究室内 日本国内でのCBRの知識の普及、国内及び海外との情報交換ネットワークづくり、開発途上国へのCBR分野での協 力活動を行っていく。年に3〜4回の研究会を開催している。 120 21 日本障害者協議会(JD:Japan 162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1(財)日本障 03-5287-2346 03-5287-2347 Council on Disability) 害者リハビリテーション協会内 1980年に設立された「国際障害者年日本推進協議会」を前身とし、 「国連・障害者の十年」 (1983〜1992年)終了 後に改称して活動を継続している全国団体。 障害種別や組織構成などが異なる全国的な障害関係団体の連合体で あり、現在67団体が加盟している(2008年6月現在) 。 「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を 具体的に実現することを目的とし、障害当事者の立場から今後の障害者施策に関する総合的な調査・研究や提言 の策定等を行う。 22 財)日本障害者リハビリテーション協 162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 03-5273-0601 03-5273-1523 会 国内外における障害者のリハビリテーションに関する調査研究を行うとともに、国際的連携の強化を図ってい る。リハビリテーションに関する情報提供、国際協力事業などを行っている。 JICAの委託を受けて、 「障害者リーダーコース」の研修を実施している。 上野悦子部長はJICA「障害者支援課題別支援委員会」の委員を務めている。 23 NPO)日本せきずい基金 183-0034 東京都府中市住吉町4-17-16 042-366-5153 042-314-2753 せきずいの再生の研究支援及び情報の提供。せきずい損傷者への支援 24 社)日本発達障害福祉連盟 102-0074 東京都千代田区九段南3-7-7 九段南 03-5275-1128 03-5275-1205 グリーンビル5階 開発途上国の知的障害福祉施策に関する研究および研修などの技術援助、諸外国の関係団体との交流などを行っ ている。JICA小規模パートナー事業として、ホンデュラスで「自閉症児の自立を目指した療育法の技術移転」プ ロジェクトを実施している。 沼田千好子事務局長は、 「障害者支援課題別支援委員会」の委員を務めている。 25 社福)日本点字図書館 169-0075 東京都新宿区高田馬場1-23-4 03-3209-0241 03-3204-5641 アジア太平洋地域の盲人図書館と協力し、 同地域における視覚障害者の情報サービス活動が円滑に行われるよう に援助を行っている。 田中徹二理事長は、JICA「障害者支援課題別支援委員会」の委員を務めている。 26 日本ポーテージ協会 166-0012 東京都杉並区和田3-54-5 第10田中 03-3313-4822 03-3313-2575 ビル3階3号室 ポーテージプログラムの全国的普及を図っている。ポーテージプログラムとは、発達遅滞乳幼児のための早期教 育プログラム。 27 社福)日本盲人職能開発センター 160-0003 東京都新宿区本塩町10-3 121 03-3341-0900 03-3341-0967 視覚障害者の職業リハビリテーション、コンピューター関連補助機器の活用の推進、アジアの視覚障害者への技 術的支援を行っている。 28 社福)日本ライトハウス 538-0042 大阪府大阪市鶴見区今津中2-4-37 06-6784-4414 06-6784-4417 視覚障害リハビリテーションセンター、点字情報技術センター、盲人情報文化センターの運営。 29 社)日本理学療法士協会 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-8-5 03-5414-7911 03-5414-7913 学会等の開催、社会福祉サービス、地域リハビリテーションの指導参加、海外技術援助としてCBRへの派遣、お よび受け入れ、セミナーの開催などを行っている。 内山靖副会長は、JICA「障害者支援医療リハビリテーション小委員会」の委員を務めている。 30 ヒューマン・ケア協会 192-0046 東京都八王子市明神町4-14-1 パシフィ 042-646-4877 042-646-4876 ックリビュー王子1F 1986年に設立した日本初の自立生活センター。介助者派遣サービスや各種相談、自立生活プログラム、ピア・カ ウンセリングの実施、講演会の開催、委託研究の実施及び報告書の発行などの多様な企画を通して地域での自立 生活を支援している。 31 プノンペンの会 352-0021 埼玉県新座市あたご3-2-22 泰弘様 北川 048-477-5600 048-477-7639 気付 カンボジアの内戦、特に対人地雷による障害者に対する義肢の供与のため、義肢装具士を派遣している。 32 ベトナムの子ども達を支援する 606-8104 京都府京都市左京区高野竹屋町33-25 075-701-2095 075-701-2095 会 ベトナム南部ベンチェ省、北部バクザン省の障害児(者)教育、リハビリテーション、母子保健を中心とした取 り組みを行っている。現在、ベンチェ省で心臓病診療活動と神経系疾患関係の協力、バクザン省で母子保健活動 とCBR活動を行っている。 33 社福)全国盲ろう者協会 101-0051 東京都千代田区神田神保町2-5 神保 03-3512-5056 03-3512-5057 町センタービル7階 視覚と聴覚と両方に障害をもつ重複障害者「盲ろう者」が十分な社会福祉サービスが受けられるように支援する ため、盲ろう者やその家族との、電話、ファックス、直接面談等による相談業務を行っている。 34 社福)全日本手をつなぐ育成 105-0003 東京都港区西新橋2-16-1 会 全国たば 03-3431-0668 03-3578-6935 こセンタービル8階 知的障害者の当事者団体として、教育、福祉、就労の分野での政策提言、関係機関との連携強化を行うとともに、 相談業務、全国大会・研修などの開催、生活・活動支援、本人活動支援なども行っている。 35 社福)東京ヘレン・ケラー協 169-0072 東京都新宿区大久保3-14-20 03-3200-0525 03-3200-0608 会 視覚障害者福祉の総合施設として、ヘレン・ケラー学院、点字出版所、点字図書館、盲人用具センターを運営。 122 ヘレン・ケラー記念音楽コンクールの開催、海外盲人交流事業、ガイドヘルパー養成研修事業などを行っている。 36 社福)日本盲人会連合 169-8664 東京都新宿区西早稲田2-18-2 03-3200-0011 03-3200-7755 全国の視覚障害者団体に対する連絡及び助成事業、点字図書館、点字出版所、更生相談所、録音製作所の設置経 営、点字情報ネットワーク、福祉用具の販売事業、福祉一般に関する調査研究など。 37 社)銀鈴会 108-0014 東京都港区芝5-18 東京都障害者福 03-3455-6321 祉会館 喉頭摘出者の発声練習のための食道発声を中心とする講習会を開催している。 38 国際視覚障害者交流・協力ネッ トワーク(JIBEC) 39 NPO)BHNテレコム支援協議会 169-0074 東京都新宿区北新宿1-5-1 NTT新 03-5348-2221 03-5348-2223 宿ビル3階 テレコム分野に特化して活動する唯一のNGO。 アジア各地の医療施設に対するテレコム面からの支援等の人道 支援活動や、世界各地で発生する災害への緊急支援活動などを実施している。 ITUと共同で遠隔診断等を実施。 40 内閣府認証 NPO)ひまわりの 102-0075 東京都千代田区三番町30-8 会 第2生光 03-5226-7226 03-5226-7227 ビル 出産、育児支援。妊婦の“マタニティーマーク”を配布。 41 アジアの障害者活動を支援 114-0002 東京都北区王子2-16-13 マルサンビル 03-3914-1632 する会(ADDP) ラオスを中心に障害当事者活動を支援している。障害者リーダーセミナー、障害者スポーツ支援、障害者IT支 援、視覚障害者プロジェクトなどを行っている。 42 日本キリスト教海外医療協力会 169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-33 03-3208-2416 03-3232-6922 (JOCS) アジアやアフリカの諸団体に「ワーカー」 (医師・保健師・助産師・看護師・栄養士・障がい児教育専門家・看 護教師)を派遣。近年は、理学療法士や作業療法士など障がい分野のニーズも高くなっている。また、将来自分 の生まれ故郷にとどまり働きたいと願う保健医療学生に奨学金を支給し、その地域の保健医療レベルの向上に協 力している。 43 ヒーリングファミリー財団佐賀ネットワーク センター タイのチェンマイにあるヒーリングファミリー財団と協力し、 アジアレベルでの福祉の増進を目的とする佐賀県 の団体。財団は、チェンマイで障害者の「親の会」によって設立され、手織り、歌、踊りなどの創作活動を行う クリエイティブセンターを運営している。 44 財)広げよう愛の輪運動基金 564-0051 大阪府吹田市豊津町1-33 123 ダスキン 06-6821-5270 06-6821-5271 本社ビル内 障害者の自立と社会との共生を目指す。主な活動は、 「ダスキン障害者リーダー育成海外研修派遣事業」-障害 のある人を対象とする海外研修派遣制度、 「ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業」-アジア太平洋 地域の障害のある若者に日本の障害者福祉を学んでもらう人材育成事業、「愛の輪のつどい」。 45 NPO)日本介助犬アカデミー 222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜2-12-3 045-475-4925 045-475-4926 成田ビル9F 国内外における介助犬育成・普及状況に関する情報収集及び提供、障害者・介助犬育成を目指す方に対する相談 業務、介助犬の育成促進を目的とする事業計画、介助犬使用者の社会参加推進事業等。 46 横浜・ブータン王国友好協会 259-0131 神奈川県中郡二ノ宮町中里716-2 0463-71-4080 0463-70-3041 学校法人国際学園法人本部 ブータン王国・日本間の経済文化交流事業を促進している。ブータン王国における文化・教育および福祉の向上、 障害者の自立促進のための経済的援助の斡旋、実施。 障害分野 NGO 連絡会(JANNET)加盟団体 124 (44 と 45 は賛助会員) 付録 13.国際的なイニシアティブや関連条約一覧 第1期 医療モデルに基づく国連障害政策(1945-1970 年代) 1.リハビリテーション分野における技術援助活動 ・1950 年 「身体障害者の社会的リハビリテーション」 (社会経済理事会) ・1952 年 「国際リハビリテーション調整計画」 (社会委員会(現:社会開発委員会)決議) ・1965 年 「障害者のリハビリテーション」 (社会経済理事会決議) 2. 医療モデル優位の国際環境の下での国際人権基準 ・1948 年 「世界人権宣言」→差別禁止事由に「障害」は含まれず(1966 年の国 際人権規約も同様) ・1961 年 「欧州社会憲章」→伝統的な施設主義的障害観 3. 医療モデルからの離脱に向けて ・1969 年 「社会進歩と開発に関する宣言」→障害者差別に若干言及 ・1971 年 「精神遅滞者の権利宣言」→初の障害者の国際人権基準だが、その内 容は「不完全な参加と不平等」 ・1975 年 「障害者の権利宣言」→「完全参加と平等」に向けた一歩 第2期 人権モデルに基づく国連障害政策の開始(DPI 成立)- 人権・社会的 障壁除去に関する意識向上(1980 年代) 1.人権モデルに向けた国際人権基準の設定 ・1980 年 「国際障害者年行動計画」(1980-1981 年までの短期枠組)→社会的障 壁への言及あり ・1981 年 「国際障害者年」→「完全参加と平等」を宣す ・1982 年 「障害者に関する世界行動計画」→リハビリテーション・障害予防・ 機会均等化という 3 大目標 ・1983 年 「国連障害者の十年」(1983-1992 年)→機会均等化、社会参加、社会 的障壁除去など、人権意識向上の機関 125 2.障害者の国際人権基準の実施 ・1987 年「ストックホルム専門家会議」→各国の政策および活動の微温性を指摘 ・1987 年「障害者に関する世界行動計画」のモニタリング開始(1987 年、1992 年、1997 年、2002 年報告予定) ・国連人権システムの一部機能回復→宇都宮病院事件、デスポイ報告、精神保健 ケア改善原則の審議(1991 年総会決議) 3.障害者差別撤廃条約の試みの失敗(1987 年イタリア、1987 年スウェーデン)→基準規則へ 第3 期 人権モデルに基づく国連障害政策の伸張 -人権・社会的障壁除去に 関する国際的・国内的行動の伸張(1990 年代) 1.障害者の国際人権基準の実施強化へ ・1993 年「障害者の機会均等化に関する基準規則」 (基準規則)→2002 年に基準 規則の「補足文書」が提出 ・1995 年 基準規則のモニタリング開始(1995 年(中間報告)、1997 年、2000 年、 2002 年に報告書提出) ・人権条約機関の機能回復(社会権規約委員会、女性差別撤廃委員会、子どもの権利委 員会など) 2.地域レベルでの活動 ・1993 年 「アジア太平洋障害者の十年」 (1993-2002 年)→「12 の行動課題」と 「107 項目の目標」を設定 ・1999 年 「障害者差別米州条約」の採択(未発効) 3.各国で差別禁止法と人権委員会の急増 ・ADA や DDA など障害者の差別禁止法を含む、障害者差別を禁止している法律を 持つ国はすでに 40 ヶ国以上 ・欧米、アジア、アフリカにおいて障害関連の人権委員会やオンブズマンが次々 と設置。各国裁判所も活動を始める。 第4 期 人権モデルに基づく障害者権利条を中軸に据えた「総合的」かつ「多 層補完的」な人権保障体制の時代へ(2000 年代) ・2000 年 「アフリカ障害者の十年」(2000-2009 年) 126 ・2001 年 「障害者権利条約提案検討のための特別委員会の設置」総会決議 56/168 (2002 年から特別委員会の活動開始) ・2003 年 「欧州障害者年」 ・2003 年 「第二次アジア太平洋障害者の十年」 (2003-2012) ・2003 年 日本において人権委員会設置。社会権規約委員会が障害者差別禁止法 の制定を日本に勧告(2001 年) ・2004 年 「アラブ障害者の十年」 (2004-2013) ・2006 年 「アメリカ障害者の十年」(2006-2016) ・2006 年 障害者の権利条約採択 ・2008 年 障害者の権利条約発効 出典:「アジア太平洋障害者の十年」最終記念フォーラム <特別フォーラム in 東京> 障害者権利条約とバリアフリー社会-どこまできている国連の動き、アジアから追い風を! 参考資料 川島聡 127 付録 14.障害者支援にかかる諸概念の変遷 1.障害者観の変遷 古代から現代まで、社会には様々な障害者観が存在した。このような障害者観は、障害 当事者やその家族などを中心とした世界的な動き42や、1975 年の国連による「障害者の権利 宣言」 、また、1982 年の「障害者に関する世界行動計画」等の様々な世界的取り組みの中で 変化してきた。 「障害者の権利宣言」では、「 『障害者』という言葉は、先天的か否かにかかわらず、身 体的又は精神的能力の不全のために、通常の個人又は社会生活に必要なことを確保するこ とが、自分自身では完全に又は部分的にできない人のことを意味する」としている。また、 「障害者に関する世界行動計画」では、 「(障害者は、)他の全ての人々と同一の権利を有し ており、平等の機会を保障されなければならない」としている。 このように、近年では、障害者を「特異な存在」として捉える考え方(以下、A,B,C)か ら「普通の市民」とする考え方(以下、D,E)へと変遷してきている。 A:排除の思想 障害者を邪魔者として排除の対象とする思想である。歴史上、このような障害者観は世 界中に存在した。特に初期の資本主義社会や軍国主義社会では、障害者は社会の「お荷物」 とする考え方が支配的であった。日本の「優生保護法」 (平成8年に「母性保護法」に改正) にもこういった思想が顕著に窺える。未だに、こういった考え方は、社会に根強く残って いる。 B:哀れみ、同情の考え方 障害者を「かわいそうな人」 「保護すべき人」とする考え方である。ここには、保護する 人と保護される人という明確な上下関係が存在する。障害者を自分自身と同等の存在とし て捉えていないという点において、排除の思想と同様の考え方と言える。現在においても、 この考え方は根強く残っている。障害者を家族が、専ら家の中でケアし、外に出さないと いう例が散見されるが、これは家族にこの考え方がある場合が多い。 C:「偉い人(ヒーロー) 」という考え方 障害者を「頑張っている人」 「偉い人」とする考え方である。例えば、手に障害を持つ主 婦が料理をするのを「障害があるのに料理をするなんてエライ」とする考え方は、障害が 128 あるのが普通の状態である当人にとっては抵抗を覚える感覚である。この考え方をする本 人は、障害者を善意で捉えているつもりである場合が多いが、特別な存在と見なしている 点で、上記2つと同様の考え方と言える。 D:共生の考え方 障害者は特別な存在ではなく、障害のない人と同じ欲求・権利を持つ人間であるという 立場で、社会において共に生きる仲間であるとする考え方である。障害者とその他の市民 とが互いに人権を尊重し、相互に支えあう社会を作ることを目指す。 E:「障害は個性」という考え方 共生の考え方を一歩進めたもので、障害を特別視するのではなく、背が高い、低い、髪 が長い、短いといった身体的特徴と同様に捉えようとする思想である。障害当事者を中心 に広まってきている。我が国においても、平成七年(1995 年)の障害者白書(総理府)に おいてこの考え方を紹介している。 BOX14-1 ノーマライゼーション ノーマライゼーションという考え方は 1952 年にデンマークで知的障害者の親の会を中心に した運動に端を発している。当時、知的障害者の多くは「コロニー」と呼ばれる施設で生活し ていたが、その中で著しい人権侵害が行われていたことに気づいた親たちが脱施設を目指して 起こした運動が始まりとなっている。 「ノーマライゼーションの父」と呼ばれるバンク・ミケル センは、この概念を「障害のある人たちに障害のない人々と同じ生活条件をつくりだすことを ノーマライゼーションという。ノーマライズというのは障害がある人をノーマルにすることで はなく、彼らの生活の条件をノーマルにすると言うことである。ノーマルな生活条件とは、そ の国の人々が生活している通常の生活条件ということである」と説明し、地域で誰もが当たり 前に暮らすというノーマライゼーションの理念が誕生した。 スウェーデンはこのようなデンマークにおけるノーマライゼーションに触発され、いち早く 法律を整備した。そこでは「全ての知的障害者の日常生活や条件を、社会の通常の環境や生活 の仕方にできる限り近づけることができるようにすること」と説明している。 その後ノーマライゼーションの思想はアメリカに輸出されたが 既に自立生活運動や脱施設 政策を進めていたアメリカでは、その概念が再構成された。その概念は「できる限り文化的に 通常の人間行動特徴を確立ないし維持するために、できる限り文化的に通常である諸手段を利 用すること」である。この特徴は文化特定的であり、従来型施設を容認しない統合理論である といえる。 このようなノーマライゼーションの理念は国連の「精神薄弱者の権利宣言(1971 年)」、 「障 害者の権利宣言 1975 年) 」の採択にも大きな影響を与え、国際障害者年と国連・障害者の十年 によって世界的な潮流となって発展していった。このようにノーマライゼーションの理念は知 的障害者の親の運動から生まれたが、今では、身体障害、精神障害などの全ての障害者、さら に高齢者や児童なども含む、社会福祉の全領域に共通する理念として受け容れられている。 (「新版・社会福祉学習双書 2002:3:障害者福祉論」全国福祉協議会、2002、31-32 及び石渡和美、 「Q &A障害者問題の基礎知識」明石書店、2001、67-68 を要約) 129 BOX14-2 自立生活運動(Independent Living Movement : IL 運動) この運動の誕生は、 「自立生活運動の父」と称されるエドワード・ロバーツがカリフォルニア 大学バークレー校に入学した 1962 年とされている。当時のアメリカは公民権法が制定され、権 利を獲得するための黒人運動や女性運動が盛んな時期で、障害を持つ学生もこれらの運動の影 響を受け、重い障害があっても地域で学生生活が送れるよう、介助などの必要な援助を障害を 持つ学生に提供する「身体障害者学生プログラム」が開始された。1972 年にはバークレーに自 立生活センターが設立され、バークレーは「自立生活運動のメッカ」と呼ばれた。エドワード・ ロバーツはその後カリフォルニア州のリハビリテーション局長になり、世界の障害者に大きな 影響を与えるようになった。特に彼の「慈善から自立へ!」という講演は有名である。 自立生活運動における「自立」の定義は、自己決定権と自己選択であり、仮に介助を受けて いても、自分が決定し選択した生き方を貫いているのなら「自立」とみなすという、新しい「自 立観」を確立した。 また、自立生活運動は「ピアカウンセリング」という手法を生み出し、障害を持つ人の相談 に、障害者自身が自分の生活体験を踏まえて応じるという支援の方法を確立した。ピアカウン セリングは、障害がある自分の存在を肯定させ、自信を持って積極的に生きるための、大きな 原動力になったといえる。 更に、自立生活運動とは、一言で表すと「障害者の権利擁護運動」であることに注目すべき である。重度障害者が人間として、地域で当たり前に生きる権利を認めさせ、その為の援助シ ステムを確立したのである。そして、その中で障害者が果たすべき役割、言い換えれば障害者 の義務をも明確にし、さらに社会の中での障害者の地位を確固たるものにしたのである。 (石渡和美、 「Q&A障害者問題の基礎知識」明石書店、2001、58-61 を要約) 2.リハビリテーション概念の変遷 「リハビリテーション」の語源は中世ヨーロッパの時代までたどることができ、当時は 「一度失った地位、特権、財産、名誉などを回復すること」の意味が含まれていた43。 そのようなリハビリテーションの概念が障害者に対して用いられるようになった直接の 契機は第一次世界大戦である。例えば、アメリカでは戦傷者に対する社会復帰問題(職業 及び生活の保障)に対応するため、1918 年に「戦傷軍人リハビリテーション法」が制定さ れて、理学療法や作業療法などの治療施設が建設された。第二次世界大戦はさらに多くの 戦傷兵を出し、このような人々の社会復帰のために、運動機能回復訓練を中心とした医学 的リハビリテーションや職業訓練を中心とした職業的リハビリテーションが実施されてき た。第二次世界大戦中から戦後にかけて、リハビリテーションの対象者は高齢や疾病によ る障害者、視覚・聴覚などの感覚機能障害、精神障害者等へと広がっていった44。 43 リハビリテーションの語源は、中世ヨーロッパにおける身分的ないし宗教的な措置に求められる。すなわ ち、王が、剥奪した臣下の地位を回復させるとか、教会が、破門していた信徒に許しを与えて破門を解く という場合などがリハビリテーション本来の意味であった。その後、宗教的な意味は薄れ、 「無実の取り消 し」という意味で使われ、次第に、 「名誉の回復」を示す言葉として理解されるようになった。 44 その背景的要因のひとつとして、戦争中から戦争直後にかけての労働力不足への対応が挙げられる。 130 1960 年から 70 年代には、欧米を中心とした障害者のノーマライゼーションの実践や自立 生活運動が登場し、障害を「個人」の問題でなく「社会」の問題としてとらえ、社会変革 を求める態度や思想の形成がなされた45。これらの思想では、リハビリテーションの主体は 専門家ではなく障害者自身であるとしている。 1980 年代からは QOL(Quality of Life46)が重視されるようになり、それによって、リ ハビリテーションの目標も日常生活動作(ADL)における自立から生活・人生の質(QOL) の向上に資すること、と変化してきた。つまり、リハビリテーションの目指すところは全 人間的復権47であり、それぞれの人にとって最高の QOL を実現することである、という考え 方が定着してきた。 一方、WHO を中心とする国連機関では、1968 年に WHO が「リハビリテーションとは、医 学的、社会的、教育的、職業的手段を組み合わせ48、かつ、相互に調整して、訓練あるいは 再訓練することによって、障害者の機能的能力を可能な限り最高レベルに達せしめること である(WHO、1968) 」と定義した。ここで、今日のリハビリテーションの総合的なアプロ ーチの必要性を明確にした。 現在最も広く使用されているリハビリテーションの定義は、1982 年の国連「障害者に関 する世界行動計画」における定義である。そこでは、「リハビリテーションとは、身体的、 精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能にすることによって、各個人 が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことを目指し、かつ、時間を限定 したプロセスである(WHO、1982) 」としている。この定義により、リハビリテーションの 理念や体系は大きく変化した。第一には、リハビリテーションが医療的側面のみに終始す る事が多かったのに対し、精神的及び社会的な機能の達成が可能であることを示した上で リハビリテーションの総合的なアプローチの必要性を明確にした。第二に、達成すべき機 能水準を決定するのは障害者本人で、それは障害者自身が人生を変革するための手段なの であり、第三は、リハビリテーションが時間的に限定されるものであるということが明確 となった。 この「障害者に関する世界行動計画」では、その「行動」の基準として、①予防、②リ ハビリテーション、③機会均等化をキーワードとして掲げた。つまり、リハビリテーショ ンをより限定した意味で用い、多様な、総合的なサービスを三つの言葉で整理しようとし 45 この概念を、障害を個人の問題とし、専門家による個別的治療・医学ケアを必要としていた「医療モデ ル」に対して「社会モデル」と表現する。 46 QOL は、通常「生活の質」と訳されるが、 「人生の質」 「いのちの質」といった側面も含まれる。上田敏 氏は、QOL を構成するものとして ADL、労働・仕事、経済生活、家庭生活、社会参加、趣味、文化活動、旅 行・レジャー活動、スポーツ等、としている。 47 全人間的復権とは具体的に人間らしく生きることの権利の回復である。 48 それぞれのリハビリテーションの在り方については、付録 5 を参照。 131 たのである。この定義においては、リハビリテーションそのものを全人間的復権であるこ ととする前述の定義に比べてリハビリテーションの枠組みが狭くなっており、 「全人間的復 権=リハビリテーション+機会均等化」となる。 更に、1993 年 12 月に国連で採択された「障害者の機会均等化に関する標準規則49」では、 リハビリテーションを「障害のある人々が各々の最大限の身体的、知覚的、知能的、精神 的及び社会機能のレベルに達し、それを維持できるようにすることによって、より自立し た生活に向けた変化のための手段を提供することを目的とした過程である(WHO、1993) 」 と定義した。つまり「リハビリテーション」は、障害者個人の多様な機能の改善・維持に 限定されていることが注目される。 BOX14-3 CBR:Community Based Rehabilitation について CBR は、現在広く途上国で実施されているコミュニティーにおけるリハビリテーション手法 である。CBR は、 「地域に根ざしたリハビリテーション」であるが、実際には CBR については様々 な定義があり、また、その実施方法についても、対象となるコミュニティーの文化、宗教、社 会的な要因によって、多様なアプローチがあるとされている50。一般的に広く知られている定 義は 1994 年に WHO、ILO、UNESCO が発表した Joint Position Paper 及びその改訂版である 2001 年に発表された WHO、ILO、UNESCO、UNICEF の Joint Position Paper である。2001 年版の Joint Position Paper によれば、CBR の定義、目標は以下のとおりである。 定義: CBR は全ての障害児・者のリハビリテーション、機会均等、社会統合を実現するために、一 般的なコミュニティー開発の枠組みで実施される戦略である。CBR は障害者自身と彼らの家族、 そして彼らの属するコミュニティーが一致協力することによって、また、適切な保健、教育、 職業訓練、そして社会それぞれのサービスを提供することによって、実現する。 目標: 障害者が身体的及び精神的能力を最大限発揮し、通常のサービスや機会にアクセスでき、活 動的になるために、彼らをエンパワーすることである。そしてこのことによって、彼らの属す るコミュニティーや社会に貢献することを目的とする。このように、CBR は社会変革を通じて 障害者の人権を促進する。 CBR の実施方法については WHO がマニュアルを作成しているが、CBR の特徴は、既存のコミュ ニティーの資源(人的、物的、組織的)を活用すること、そして、単一のセクターではなく、 福祉、保健、教育、労働、等、複数のセクターにまたがって実施されること、そして、何より も、サービスの消費者(障害者や家族)が中心となって計画がなされ、コミュニティーがオー ナーシップを持って実施されることが重要である。 3.障害分類の変遷 上記のような障害者観やリハビリテーションの定義にみられる変化とともに、障害につ 49 英文名は“Standard Rules on the Equalization of Opportunities for Persons with Disabilities”で あり、 「Standard Rules」を政府関連文書では「標準規則」と翻訳しているが、その他文書では「基準規則」 としているものも多い。 50 CBR についての詳細説明は、付録 6 参照。 132 いても従来のような、障害を疾病・事故に基づく身体機能不全、つまり、医学的、生物学 的なレベルものという限定的な認識から、個人の能力レベルの問題や社会生活上の不利益 レベルまでを含むという認識に変ってきた。これは、WHO による障害分類の変遷に見て取れ る。 WHO は、1980 年に障害を医学及び社会の両面から捉えた「国際障害分類試案(ICIDH) 」 を発表した。これは、障害を「機能障害-能力障害-社会的不利」 (impairment-disability-handicap)の3つの層からなる階層構造として捉えたことに大 きな意義があった。つまり、 「病気や怪我が顕在化したもの」が「機能障害:インペアメン ト」で、そのために「実際の生活の中での活動能力が制約されること」が「能力障害:デ ィスアビリティ」であり、さらにそのために「通常の社会的役割を果たせなくなること」 を「社会的不利:ハンディキャップ」と整理したのである。このように階層を明らかにす ることにより、例えば「disability があっても handicap を起こさないようにすることはで きる」といった、障害者支援の考え方を理論づけることが可能となった51。 図 14-1 「国際障害分類試案(ICIDH)」の障害構造モデル Disease or Disorder Impairment Disability Handicap 疾患・変調 機能・形態障害 能力障害 社会的不利 (生物レベル) (個人レベル) (社会レベル) ICIDH は、理論的にも実際的にも意義のあるものであったが、障害のマイナス面にのみ注 目している等の批判があった。そういった批判に応えて、WHO は 1990 年代から、ICIDH の 見直しを始め、数次にわたる修正作業を経て、2001 年 5 月に WHO 総会において新しい「国 際生活機能分類(生活機能・障害及び健康の国際分類:International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)」が採択され、初めて人間の生活機能という プラスの面も含めた障害の分類法が確立された。 ICIDH で示された3階層は、ICF に引き継がれたが、各階層はプラス、または客観的名称 で示されるようになった。 機能障害→心身機能・構造 能力障害→活動 51 詳細は付録 7 を参照。 133 社会的不利→参加 また、環境因子(生活環境、人的環境、社会的偏見、社会サービス等)を加えることに より、障害と環境との関係性を明示したことも大きな特徴である52。 図 14-2 ICF の生活機能構造モデル 健康状態 Health Condition 心身機能・身体構造 Body Functions & Structure 52 活動 参加 Activity Participation 環境因子 個人因子 Environmental Factors Personal Factors 詳細は付録 7 を参照。 134 参考資料 1.用語解説 あ行 異常行動 Strange behavior 移動障害 Locomotive disability 医療モデル 専門職の視点から、ニーズの発生する原因を病気や身体機能 の障害といった医学的な原因へ還元してとらえる考え方であ る。サービスの提供者は専門的な知識と技術を独占して一方的 に利用者に提供する役割を持ち、利用者は知識を与えて専門的 な指導に従う存在である。 (佐藤久夫・小澤温「障害者福祉の 世界」有斐閣アルマ P106-107) 心理・社会的問題を疾病モデルとしてとらえ、診断・治療とい う立場でかかわっていく方法。利用者を治療対象ととらえる伝 統的ソーシャル・ケースワークで展開されてきたアプローチで ある。 ( 『新版社会福祉学習双書』2002 障害者福祉論 P188) インクルーシブ教育 Inclusive education 基本的理念「インクルージョン」の教育場面での展開である。 「疎外および排斥された集団の児童を呼び寄せ、引き留めるに は、柔軟に対応する教育制度が必要である。学校に登録されて いない児童を積極的に集め、全ての学習者の状況やニーズに柔 軟に対応する、インクルーシブ教育システムが必要である。 」 ( 「万人のための教育:集合的責務の遂行」詳細は付録 7 参照) 運動障害 Mobility impairment か行 義肢装具士、義肢製造士 Orthotist / Prosthetist ケアマネジメント ケアマネジメントには、いろいろな定義が存在している。日本 でよく使われている定義を三つ挙げる。一つは「多様なニーズ を持った人々が自分の機能を最大限発揮して健康に過ごすこ とを目的としてフォーマル及びインフォーマルな支援と活動 のネットワークを組織し、調整し、維持することを計画する人 135 (もしくはチーム)の活動」 (マクスリー[野中猛・加瀬裕子監 訳]『ケースマネジメント入門』中央法規 P12 1994)。二つ めは「自立と QOL を目指して、そのためにニーズしっかり捉え てサービスを行う総合的な援助」 (竹内孝仁『ケアマネジメン ト』医歯薬出版 P11 1996)。三つめは、「対象者の社会生活上 での複数のニーズを充足させるため適切な社会資源を結びつ ける手続きの総体」(白澤政和『ケアマネージャー養成テキス トブック』中央法規) 。社会的な援助を必要とする人に対して、 そのニーズを明らかにし、ニーズに応えるケアプランを作成 し、適切な社会資源に結び付ける調整をすること。 (石渡和実 Q&A 障害者問題の基礎知識) ケアマネジメントの方法は、①入り口(アウトリーチ及びイン テーク②アセスメント③支援の目標設定とケア計画の作成④ ケア計画の実施⑤サービスの提供状況の監視及びフォローア ップ⑥再アセスメント⑦終了の7段階ある。ケアマネジメント で重要なのは、あくまでも、援助を必要とする人の自己決定を 側面的に援助するものだということである。 言語障害 Speech impairment 言語聴覚士 Speech therapist 交通バリアフリー法 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した円滑化の促 進に関する法律」2000 年 11 月 15 日施行。この法律は、高齢 者や障害者等が安全かつ不自由なく交通機関が利用できるこ とを目的として、駅の新設・大改良や車両の新規導入に際して、 エレベーター・エスカレーターの設置などの「バリアフリー基 準」を満たすことを義務づけ、また市町村も参加して駅周辺の 整備を進めるもの。(佐藤久夫・小澤温「障害者福祉の世界」 有斐閣) 詳細は付録 8 参照。 国際手話 International Sign Language 日本手話やアメリカ手話(American Sign Language)のように 文法が明確に規定された言語というよりは、世界各国の異なる 手話同志でコミュニケーションができるように、世界ろう連盟 でつくられた共通手話ジェスチャーノで広まった手話単語を 136 元に、相手にわかるように工夫した方法で表現するコミュニケ ーションの方法のひとつとして捉えられる。ろう者の国際的な イベントでは、国際手話が公用語の一つとされている。 さ行 作業療法士 Occupational therapist サナトリウム Sanatorium サービス提供団体 Service delivery organization 障害者に対して直接何らかの専門的サービスを提供している 専門機関・団体・施設 支援団体 Organizations for PWD 基本的には、サービス提供団体以外の専門機関・団体(たとえ ば、日本障害者リハビリテーション協会や全国社会福祉協議 会) 視覚障害 Visual impairment 児童養護施設 Children’s Institution 自己決定権と自己選択権 自己決定権とは、自らの人生や生活のあり方を、自らの責任で 決定する権利である。リハビリテーションの基本認識の一つ に、リハビリテーションの主体は本人であり、どのような努力 が必要か、何を選択するかは本人が決めるという原則がある。 従来、専門家の評価と指導に委ねられがちであったリハビリテ ーションや課題解決だが、今日的な認識は「自己選択/自己決 定」こそが重要であり、その選択や決定がより適切なものとな るために提供されるものが、専門家の情報や技術であるとされ ている。これは自立生活の基本理念も同様である。(社会福祉 士養成講座3 障害者福祉論)(新版 社会福祉学習双書 害者福祉論) 四肢変形 Limb deformity 施設型リハビリテーショ Institution-based Rehabilitation(IBR) ン 社会生活行為 ASL Activities of social life 家事や自動車の運転などの社会生活行為 (社会的)弱者 (Socially) vulnerable 137 障 社会モデル 障害を持つと生活しにくくなるのは個人ではなく社会の側の 問題であり、社会そのものが改善されるべきであるとする考え 方である。 障害児 Children with disabilities (CWD) 障害者 Persons with disabilities (PWD), disabled persons or people 障害者自助団体 Self-help organization of PWD 当事者団体(自立生活センターのように、障害当事者によるサ ービス提供団体も含め、障害当事者によるサービス団体も含 め、当事者自身により設立された各種の団体。 自立生活支援モデル 医療モデル対生活モデルといった単純の2群分けではなく、こ の両者をつなぐ視点の共有化をめざすモデルである。具体的に は専門技術性を持ちながら自立生活に対する共感も持ち合わ せる支援者のあり方の必要性を説くモデルである。 身体障害 Physical disability 生活モデル 当事者の視点から、生活のさまざまな側面が相互に影響し合っ て生み出される相互作用としてのとらえる考え方である。サー ビスの利用者は必要な知識を経験的に理解し、自らの主体的に ニーズの解決に向かう潜在力のある存在であり、提供者は、利 用者のその潜在力を引き出すような働きかけを利用者と共同 しながら行う役割を持つ(佐藤久夫・小澤温「障害者福祉の世 界」有斐閣アルマ P106-107) 。 医学モデルの治療的機能を見直すものとして、生態学的視点か ら体系化されたアプローチ方法。人間と環境との交互作用に重 点が置かれ、人間の適応能力の強化、環境の人間への応答性の 増大によってその交互作用の改善をめざす。 (新版社会福祉学 習双書 2002 障害者福祉論 整形外科的障害 Orthopedically handicapped 精神障害 Mental disability 切断手術を受けた人 Amputees 肢切断者 戦争障害者、戦傷者、戦傷 War-disabled people 138 P191) 病者 先天的障害 Congenital disability た行 地域統合 Community integration 地域に根ざしたリハビリ Community-based Rehabilitation(CBR) テーション 詳細は付録2参照。 知的障害 Intellectual disability, Learning disability 知的障害者 Person with intellectual disability 聴覚障害 Hearing impairment 聴覚障害者 Hearing impaired persons 重複障害 Multiple disability 通級指導 通常学級に在籍する軽度障害児が通常学級で教科等の授業を 受けながら、特別の指導を特別の場で行うこと。1993 年度に 制度化。 てんかん Epilepsy 当事者団体・協会 Organization of PWD / DPO: Disabled People’s organization 障害者当事者の団体、障害児を持つ親の会や障害者の家族会を 含む 特殊教育 Special education な行 日常生活動作 ADL Activities of daily living 食事、排泄、入浴、衣服の着脱、移動などの生活上の動作がど の程度行えるかという障害の程度や医学的リハビリテーショ ンの指標になるもの。 (『新版社会福祉学習双書』2002 障害者 福祉論 P35) 139 は行 ハートビル法 「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築 の促進に関する法律」1994 年 9 月 28 日施行。 (通称:ハート ビル法)ハートビル法は、我が国で初めて「バリアフリーデザ イン」を目的とした「アクセス法」であり、建築設計の技術基 準として全国に共通なバリアフリーデザイン基準を法的に位 置づけ、それまでの各自治体によるバラバラの取り組みに歯止 めをかけた。 (社会福祉士養成講座3 「障害者福祉論」 )この 法律では対象となる建築物( 「特定建築物」 )として、病院、百 貨店、ホテル、郵便局、保健所、銀行などの 16 類型、整備の 対象として出入口、廊下、階段、昇降機、便所、駐車場、敷地 内通路の7施設を指定している。そして、最低限の水準として の「基礎的基準」、および利用しやすさを考えた「誘導的基準」 の2段階整備基準を設けた。誘導的基準は、安全かつ快適に建 物を利用するために望ましい基準であり、この基準を満たした 建築物には施設整備への補助・融資、容積率の割増し、事業税 などの特別措置を設けている。(佐藤久夫・小澤温「障害者福 祉の世界」有斐閣)詳細は付録 8 参照。 ハンセン病 Leprosy 普通学級 Normal class 普通学校 Regular school 訪問型リハビリテーショ Outreach Rehabilitation ン 補そう具技師 Prosthethist ポリオ Polio ま行 麻痺 Paralysis 盲人 Blind person ら行 理学療法士 Physiotherapist リハビリテーション リハビリテーションの定義はさまざまにあるが、主要な分野と 140 して、医学的リハビリテーションの・職業リハビリテーショ ン・教育リハビリテーション・社会リハビリテーションの四つ がある。 詳細は付録 1 参照。 療護施設 Nursing home 労働災害 Work accident 聾者 Deaf person 石渡和美、 「Q&A障害者問題の基礎知識」、明石書店、2001 佐藤久夫・小澤温、 「障害者福祉の世界」有斐閣アルマ、2000 福祉士養成講座編集委員会編集、 「新版社会福祉養成講座3:障害者福祉論」中央法規、2003 「新版・社会福祉学習双書」編集委員会編集、「新版・社会福祉学習双書 2002:3:障害者 福祉論」全国福祉協議会、2002 141 参考資料 2.参考文献 (1) 石渡和美、 「Q&A障害者問題の基礎知識」 、明石書店、2001 (2) 上田敏、 「リハビリテーション-新しい生き方を創る医学-」 、講談社ブルーバックス、 1996 (3) 上田敏、「リハビリテーションを考える-障害者の全人間的復権-」、障害者問題双書、 2000 (4) 上田敏、 「目で見るリハビリテーション医学(第2版)」東京大学出版会、2002 (5) 大杉豊(全日本ろうあ連盟)編「国際手話のハンドブック」 、三省堂、2002 (6) 国際協力事業団 国際総合研修所 「平成 7 年度国民参加型協力推進基礎調査「障害 者の国際協力事業への参加」 (第1フェーズ)報告書」 1995 (7) 国際協力事業団 国際総合研修所 「平成 8 年度国民参加型協力推進基礎調査「障害 者の国際協力事業への参加」 (第 2 フェーズ)報告書」1996 (8) 国際協力事業団 企画・評価部評価監理室 「平成 11 年度 特定テーマ評価調査報 告書 タイ 障害者支援」1999 (9) 国際協力事業団 企画・評価部 環境・女性課 「障害者福祉検討会報告書」 2001 (10) 国際協力事業団 青年海外協力隊事務局「障害者リハビリテーション分野青年海外協 力隊巡回指導調査 ー リハビリテーションにおける戦略としてのチームワークセミナ 報告書(コスタ・リカ共和国) 」2002 (11) 国際協力事業団 「フロンティア」平成 14 年 12 月号 2002 (12) 国際協力事業団、 「ソーシャル・キャピタルと国際協力-持続する成果を目指して- 事例分析編、第4章 プライマリ・ヘルス・ケアとソーシャル・キャピタル」、2002 年8月 (13) 国際連合 国際障害者年行動計画(1980) (14) 国際連合 障害者に関する世界行動計画(1982) (15) 国際連合 アジア太平洋障害者の十年(1993-2002)行動課題 日本障害者リハビリテ ーション協会訳 (16) 国際連合 障害者の機会均等化に関する基準規則 1993 日本語版 長瀬 修訳 (17) 佐藤久夫・小澤温、 「障害者福祉の世界」有斐閣アルマ、2000 (18) Sida 発行 日本障害者リハビリテーション協会翻訳 協力に関するガイドライン 1999 年 2 月 142 Sida の障害児者のための開発 (19) 障害分野NGO連絡会 JANNET DIRECTORY (20) 高橋一生・武者小路公秀編著、 「紛争の再発予防」 (財)国際開発高等教育機構、紛争 と開発研究会、2001 年 3 月 (21) 中西由起子、 「アジアの障害者」 、現代書館 1996 (22) 中西由起子、久野研二、 「障害者の社会開発:CBR の概念とアジアを中心とした実践」 、 明石書店、1997 (23) 財)日本障害者リハビリテーション協会 日本障害者リハビリテーション協会の概 要 (24) 福祉士養成講座編集委員会編集、 「新版社会福祉養成講座3:障害者福祉論」中央法 規、2003 (25) 「新版・社会福祉学習双書」編集委員会編集、「新版・社会福祉学習双書 2002:3: 障害者福祉論」全国福祉協議会、2002 (26) アジア太平洋障害者の十年 大阪フォーラム 抄録集 2002 (27) 厚生白書(平成9年版) (28) 障害者白書(平成7年度~12 年度) (29) Danida The Way Forward for Disability Support through Danish NGOs – A study of Danish NGO Support to Disability Organizations in Developimg Countries /, June 2000 (30) Economic and Social Commission for Asia and the Pacific, United Nations, UNDERSTANDING COMMUNITY-BASED REHABILITATION, 1997 (31) Edmonds, Lorna Jean, THE POST CONFLICT INTEGRATION OF PERSONS WITH DISABILITIES IN BOSNIA-HERZEGOVINA - The Role of Community Based Rehabilitation, March 2002 (32) HARTLEY, SALLY, Ed., CBR – A PARTICIPATORY STRATEGY IN AFRICA, 2002 (33) ILO, UNESCO, UNICEF, WHO, CBR FOR AND WITH PEOPLE WITH DISABILITIES – JOINT POSITION PAPER, 2001 (34) Mendis, Padmani, THE RELATIONSHIP BETWEEN INDEPENDENT LIVING (IL) AND COMMUNITY-BASED REHABILITATION (CBR), Leadership Training Seminar for People who have Disability Held in Ha Noi, Viet Nam, 25-27 May 2000 (35) Peat, Malcolm, COMMUNITY BASED REHABILITATION, 1997 (36) UNESCO Education for All (37) WHO/SHIA, Community-Based Rehabilitation as we have experienced it… voices of persons with disabilities, 2002 143 ホームページ (1) 外務省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jido/9605/5a_030.html (2) 全日本聾唖連盟 www.dinf.ne.jp/doc/japanese/twg/jpn/contact/ (3) DPI 日本会議 http://homepage2.nifty.com/dpi-japan/index.htm (4) ヒューマンケア協会 http://humancare21.tripod.co.jp/ (5) ADB www.adb.org (6) CIDA www.acdi-cida.gc.ca (7) ESCWA www.escwa.org.lb/about/main.htm, www.escwa.org.lb/divisions/social/activities/human2.html (8) ESCAP 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