症例5 閉塞性肥大型心筋症合併妊娠の 1 例 田中 佳世 国立循環器病研究センター 周産期・婦人科 症例は 33 歳、1 経妊未経産の女性。 父方祖父と父が肥大型心筋症を有している。また父は、農作業中に失神、CPA を来し、 蘇生された既往がある。 27 歳時に検診で心電図異常を指摘され、A 病院循環器内科を受診した。同院で肥大型心筋症と診 断され、アテノロール 25mg/day の内服を開始されるが、内服コンプライアンスは不良でほとん ど内服されていなかった。NYHA Ⅱ(階段昇り 1 階から 3 階で息切れする程度)、日常生活には 問題なく、美容師として働いていた。 今回、自然妊娠し、妊娠初期より、B 病院産婦人科で妊娠管理されていた。肥大型心筋症につ いては、引き続き、A 病院循環器内科で管理されていた。 妊娠 17 週 0 日、ホルター心電図を施行され、NSVT(最大 16 連発)を指摘された。 A 病院循環器内科よりアテノロール 50mg/day へ内服増量の指示が出されたが、B 病院産婦人科で、 妊娠に対する影響を懸念し、25mg/day のままで継続された。 妊娠 19 週 4 日、上記の経過のため、周産期管理目的に当科外来初診となった。 本症例の妊娠、分娩、産褥経過について提示する。 130
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