み の ん だ 通 信 み の ん だ通 信

:
みのんだ通信
みのんだ通信 7
おかげさまで植木病院は 30 周年
医療法人方佑会
植木病院
VOL.
医療法人方佑会 植木病院
ん
2016 冬号
ん
5
VOL.
2015 冬号
巻頭言
植木 孝浩
医療法人方佑会植木病院 病院長
30 周年の内外の記念事業を終え、当院は 31 年目の年に入りまし
た。日頃先生方には大変お世話になっております。私事ではござい
ますが、6 月に開かれた理事会の推薦により、7 月 1 日より植木重
文(現会長)の後任として理事長職を引き継ぎました。現在、理事
長兼院長として病院の経営と運営に携わっております。微力ではご
ざいますがこれまで以上に地域に密着した医療の向上のため最善
の努力を傾注してまいる所存です。今後ともご支援ご鞭撻を賜りま
すようお願い申し上げます。
2016 年の診療報酬の改定が終わり、ジワリとボディーブローを感
じています。次は 2020 年の東京オリンピックではなく、医療界に
は 2018 年の医療と介護の同時改定が待っています。そんな折、経
営セミナーの案内が届きました。タイトルは『中小病院に求められ
る役割』
。なんとタイムリーな研修会だと、早速登録して 10 月のあ
る日に東京へ日帰りで研修を受講してきました。自院をこの先どう
導くのか。今まさに中小病院は大きな岐路に立たされています。講
師の先生の最初の言葉はこうでした。「なぜこの岐路で立ち止まっ
ているのですか?なぜ進められないのですか?なぜ進まないので
植木 孝浩
医療法人方佑会植木病院 病院長
PROFILE
■生年月日/1962 年 6 月 30 日
■血液型/A 型
■専門/
日本外科学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医/指導医
日本消化器外科学会認定医
身体障害者福祉法による
ぼうこう・直腸・小腸指定医
日本医師会認定産業医
検診マンモグラフィ読影認定医
■診察担当/
火曜日午前診、夜診
水曜日夜診
金曜日午前診、夜診
金曜日午後専門外来 乳腺外来
(第 2,4,5 週金曜日)
土曜日午前診
すか?」ここでの岐路とはこれまでの急性期病院の一員として基幹
病院に食らいついていくのか、それとも地域包括ケアシステムの一
員として役割を担うのかという病院にとっての大きな方針の転換
点の事です。研修では大きな変換を遂げ、次の改定を見据え対応を
始めている病院の院長先生による講演がありました。当院の状況と
重ね合わせ、興味深く聞き入り、今後の参考としました。その変換
の過程では様々な問題が立ちはだかったようで、それを乗り越える
ために理事長、院長そして幹部の方々が努力され、現在では職員一
同が同じベクトルに向いて診療に当たっておられるそうでした。
当院は現在一般病棟・一般障害者病棟・医療療養病棟・在宅診療の
ケアミックス型病院で、2次救急受諾医療機関でもあり、在宅支援
病院でもあります。この特性を生かした今後の運営を考えたとき、
地域包括ケアシステムを念頭に入れた変化が必要かと考えていま
す。“開院以来の当院の想い”、“地域のニーズ”、そして“医療界への
社会からの要請”を考えたとき、地域の中で利便性、信頼、安心感を
兼ね備えた、まさに地域の”かかりつけ病院”を目指していくことが
当院の進むべき道と考えています。その役割を地域の先生方にも納
得いただけるよう、診療内容、看護・介護の内容、事務の対応など
スタッフ一同は日々研鑽し前進していきたいと考えています。大き
な変化ではありますが、まずはスタッフの心構えから変化させて参
ります。その後には診療形態や病棟の運用変化も計画しておりま
す。変化していく植木病院をこれまでと変わらずご支援賜りますよ
う宜しくお願い申し上げます。
1
診療部門紹介
専門
担当医
名誉理事長
植木重文
日本外科学会専門医/指導医
日本消化器病学会専門医
日本消化器外科学会認定医
理事長、院長
植木孝浩
日本外科学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医/指導医
外科
日本消化器外科学会認定医
部長
文野峯健
日本外科学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器外科学会会員
日本大腸肛門病学会会員
整形外科
顧問
吉川 澄
日本外科学会認定医
部長
中本俊毅
日本整形外科学会専門医
副院長(呼吸器)
岡崎 浩
日本内科学会認定医
日本呼吸器学会専門医
日本肺癌学会会員
部長(循環器)
河本 巖
日本循環器学会会員
副部長(消化器)
田中淳二
日本内科学会認定医
日本消化器内視鏡学会専門医/指導医
日本消化器病学会専門医
日本消化管学会胃腸科認定医
医長(消化器)
寺垣 聡
日本内科学会認定医
内科
日本消化器内視鏡学会専門医
日本消化器病学会専門医
日本肝臓学会肝臓専門医
医員
三井絵里子
日本内科学会認定医
日本糖尿病学会会員
日本消化器病学会会員
医師(呼吸器)
長坂行雄
日本内科学会認定内科医/指導医
日本消化器病学会専門医/指導医
日本感染症学会認定医/専門医/指導医
日本アレルギー学会認定医/専門医/指導医
2
特集1
内科診療の充実をめざして
呼吸器内科医はココを診ている
日常診療では感染症、アレルギー疾患、悪性疾患などさまざまな呼吸器疾患に遭遇します。
慢性の感染症のひとつで、結核菌以外の抗酸菌で引き起こされる非結核性抗酸菌症についての
特徴や治療法について解説致します。
今回は、西日本でも最近増加傾向にある非結核性抗酸菌症についてのお話です。
胸部 X 線像で結核を疑われ、精密検査を行った結果、“結核菌の仲間だけど人にはうつらない菌ですよ”と
言われる場合があります。それは非結核性抗酸菌という菌のことを指しています。
■非結核性抗酸菌症とは
非結核性抗酸菌症は、塵埃、土壌、水など広く自然界に生存しています。また、飲料用水をはじめとして池、
噴水、温泉水、公衆浴場水、一般家庭浴水及び循環風呂浴水など身近な生活水からも検出される身近に存在
する菌です。抗酸菌というのは酸に抗う(あらがう)と書き、酸に非常に強いのが特徴です。実際胃の酸に
も強いので、菌を飲み込んでも菌は死なずに存在します。
排菌している患者さまの喀痰塗抹検査(チールネールゼン染色)においては、肺結核と同じ抗酸菌を認める
(Fig1)ため、肺結核症との区別はつきません。
Fig1 喀痰塗抹検査(チールネールゼン染色)
画像的にも、もともと陳旧性結核などの荒廃した肺に併発することが多く、結核との鑑別が困難な空洞形成
を伴う浸潤影(Fig2)や結節影(Fig3)をしばしば認めます。そのため肺結核症との鑑別、確定診断には、
PCR 法や培養検査が必要となります。無症状の場合もありますが、咳・痰、発熱、時には喀血で来院するこ
ともあります。この非結核性抗酸菌の結核菌との大きな違いは、ヒトからヒトへ感染(伝染)をしないこと、
病気の進行が緩やかであること、そして薬剤があまり効かないことなどがあります。確実に有効な薬剤がな
いため、患者が蓄積され、年々増加しており、重症者も多くなってきているのが現状です。
Fig2 胸部 CT 画像・浸潤影
3
特集1 呼吸器内科
Fig3 胸部 CT 画像・結節影
■治療法は?
複数の抗結核薬などを使用した化学療法が行なわれますが、確実に有効な薬剤はほとんど無く、現況は治療
の開始時期や終了時期などにも定まった基準がありません。一般的に進行はゆっくりで、10年、20年の
経過をたどり、日常生活に支障がない例も多く、治療をしなくても喀痰中に菌がなくなったり、何年も胸部
X 線像が変化しない患者さまもいます。しかし、画像で空洞を認める場合や過去の画像と比較して明らかに
悪くなっている場合、痰から多数の抗酸菌がみつかる場合などの症例に対しては治療を開始します。
代表的な治療薬は、クラリスロマイシン(CAM)に抗結核薬であるエタンブトール(EB)とリファンピシン
(RFP)を加えた3種類です。また病状によってはストレプトマイシン(SM)やカナマイシン(KM)などの注射
剤(筋肉注射)を使用する場合があり、これらの薬剤で効果が不十分な場合はクラビットなどのフルオロキノ
ロンも使用します。
この病気を他の病気に例えるなら“水虫”、そして動物に例えるなら“ねこ”、というのが当てはまるでしょう
ね。その理由は下記の通りです。
1.水虫(白癬菌)
弱毒の菌で、肺に住みついているだけならあまり全身には影響ない。
ひどい病状となれば治療するが完全に消すことはほとんど不可能。
治療するにしてもしないにしても長い(数年)経過をたどる。
2.ねこ
なかなか飼いならすのは難しいということ。
気まぐれな菌で、一生懸命何とかしようと頑張っても結果うまく制御出来ないことが多い。
いつの間にかいなくなってしまうこともあるが、気がつけばまた出てくる。
岡崎 浩
医療法人方佑会植木病院 副院長
PROFILE
■生年月日/1964 年 9 月 17 日
■血液型/B 型
■診察担当/
月曜日午前診
火曜日午前診、夜診
水曜日午前専門外来 呼吸器・禁煙外来
水曜日午後専門外来 呼吸器外来
4
特集1
内科診療の充実をめざして
循環器疾患とカテーテル検査
当院でも 2016 年 1 月のより循環器疾患に対するカテーテル検査・治療を行っております。
これまでに行われた 101 例の検査・治療実績(10 月末現在)をご紹介するとともに、当院で行
われているカテーテル検査の概要をご説明致します。
当院では 2016 年1月より、X 線デジタル透視撮影装置 Cios Alpha iV (シーメンス社製)を導入し、狭心
症の患者さまに対しては CAG、必要に応じて PCI を、また、徐脈性不整脈の患者さまにはペースメーカー植
え込み、下肢動脈狭窄(ASO)には PTA(ステント留置)
、その他、腎動脈狭窄、透析シャント狭窄、腫瘍に
よる静脈狭窄、下肢深部静脈血栓症など循環器疾患に対してカテーテル検査及び治療を積極的に行っていま
す。
当院でのカテーテル検査・治療実績 2016年1月~10月
検査/治療
件数
CAG(冠動脈造影)
48
PCI(冠動脈拡張術)
25
PTA(下肢動脈狭窄拡張術)
8
シャントPTA
1
ペースメーカー植え込み
5
ジェネレーター交換
9
IVCフィルター留置
2
深部静脈カテーテル治療
1
その他
2
備考
鎖骨下動脈閉塞 1例
深部静脈血栓症・肺塞栓
右心カテーテル
肺動脈拡張術
表 当院でのカテーテル検査・治療実績
■CAG 及び PCI
主に労作時の胸部症状(胸部圧迫感、息切れ、動悸)があれば心エコー、エルゴメーター負荷試験などで虚
血の評価を行い、狭心症、心筋梗塞の適応があれば CAG(冠動脈造影検査)を行い、有意な狭窄や閉塞が認
められれば PCI(冠動脈拡張術)にてステントを留置しての治療を行います。通常 3 日間の入院で検査を行
いますが、患者さまの希望があれば日帰りでも行っています。
CAG は、橈骨動脈よりカテーテルを挿入します。検査時間は 20 分前後と短く、検査後の安静は不要です。
合併症はほとんどなく低侵襲です。PCI も同様に、橈骨動脈より行い、通常治療時間は 1 時間前後です。
当院での不安定狭心症の症例です。前下行枝#6 の 90%狭窄が 0%狭窄に改善しています(Fig1、2)
。
Fig2 PCI 左冠動脈・前下行枝近位部で90%狭窄
PCI ステント留置後
Fig1 PCI 左冠動脈・前下行枝近位部で90%狭窄
5
特集1 循環器内科
■PTA
歩行時に間欠性跛行を訴える患者さまに対して血圧脈波測定装置(CAVI/ABI 測定)にて ABI(下肢動脈の
狭窄度)の測定、下肢動脈エコー及び造影CTなどで下肢動脈の評価を行い、血管の狭窄や閉塞が認められ
れば PTA(下肢動脈狭窄拡張術)にて下肢動脈狭窄(ASO)の治療を行います。PTA 施行で症状は劇的に改
善します。3日間の入院で治療を行います。
当院での左外腸骨動脈閉塞の症例です(Fig3、4)
。腹臥位で左膝窩動脈より施行しています。
Fig3 PTA
PTA 前造影で左外腸骨動脈が閉塞
Fig4 PTA
左外腸骨動脈が閉塞・PTA ステント留置後
■肺塞栓・深部静脈血栓症
原因不明の労作時の呼吸困難、片側性下肢腫脹などの症状が出ますが、エコーでも容易に診断が可能です。
下大静脈フィルターを留置して抗血栓療法を行い、無効ならカテーテルによる血栓溶解療法で治療をしま
す。
■ペースメーカー植え込み・ジェネレーター交換
動悸、息切れ、ふらつき、失神などの症状の場合は、負荷心電図、ホルター心電図などで不整脈の評価、及
び心エコーで心機能の評価を行います。洞不全症候群、そして 2~3 度房室ブロックの徐脈性不整脈の患者
さまにはペースメーカー植え込みを行います。
胸部症状や冠危険因子のある患者さま、並びに循環器精査を希望する患者さまを積極的に受け入れ、より高
度な循環器疾患に対する診断、及び治療を提供致します。
河本 巖
医療法人方佑会植木病院 内科部長(循環器)
PROFILE
■生年月日/1952 年 1 月 7 日
■血液型/O 型
■診察担当/
月曜日午前診、夜診
水曜日午前診
水曜日午後専門外来 循環器外来
土曜日午前診
6
特集2
堺市がん検診を極める
胃X線撮影法のポイント
堺市で 10 月より実施されている胃がん検診(エックス線)では、日本消化器がん検診学会の
新・胃X線撮影法での撮影が推奨されています。胃がんによる死亡率及び死亡リスクの低減を
目的に、質の高い検診を提供するために考えられた胃X線撮影法のポイントを解説致します。
基準撮影法には対策型検診撮影法と任意型検診撮影法の 2 種類があります。対策型は集団検診等向けの撮
影法で、胃部8体位の二重造影像で構成されています。任意型は人間ドックや個別検診等向けの撮影法で、
胃部 10 体位の二重造影像に食道第1斜位と立位圧迫を加えた 16 曝射より構成されています。発泡剤 5g
を 20ml 前後の水またはバリウム希釈液で服用し、120~150ml 程度の 180~220w/v%の高濃度低粘性バ
リウムを、全量飲んでから撮影を行います。鎮痙剤は原則使用しません。
以下に私の考える胃 X 線撮影法のポイントについて述べたいと思います。
■食道の撮影
食道が椎骨と重ならない程度の第 1 斜位で食道及び噴
門部を透視観察します。撮影では食道が二重造影とな
り、胃入口部が開口期となるタイミングで撮影します。
下部食道は胃入口部を含み開口期で撮影することで、
噴門部病変のチェックも同時に行うことができます。
■胃部の撮影
Fig1 対策型検診撮影法
1、バリウムは十二指腸に流さない
食道の観察・撮影の後には、バリウムが十二指腸に流
出しないように第 1 斜位または左側臥位で撮影台を倒
していきます。
2、右方向への 360 度回転の体位変換
胃部撮影前には背臥位から右方向への 360 度回転を 3 回行い、背臥位二重造影正面位を撮影します。水
平位で素早く回転すると造影効果が向上します。背臥位二重造影第 1 斜位ないし第 2 斜位では、右方向へ
1 回転の体位変換ないし右左交互変換、また、半臥位二重造影第 2 斜位(胃上部)
・背臥位二重造影第 2 斜
位(振り分け)では右左交互変換を行ってから撮影します。
体位変換の方法としては右下回転を基本とするのが一般的です。右下回転の体位変換は、胃の中を洗い流
し、バリウムを付着させるには最も効果的です。しかし、前後壁の情報が入り混じるため後壁側の病変を見
逃す可能性があり、これを補うために、右左交互変換で後壁側に流れるバリウムに注目する必要がありま
す。それぞれの体位変換によって流れるバリウムの位置を把握し、目的に応じた体位変換を選択すること
が重要です。右左交互変換では十二指腸へのバリウムの流出が問題となります。十二指腸にバリウムが流
出してしまったら、右側臥位から腹臥位への体位変換を素早く行う必要があります。十二指腸球部にバリ
ウムが溜まった場合は、頭低位の腹臥位第 2 斜位にして前庭部へ空気を集め、その体位のまま撮影台を半
立位まで起こし、十二指腸球部のバリウムを空気と入れ換えることでバリウムを胃の中に戻すことができ
ます。
3、胃 X 線検査でのポイント
標的部位にバリウムを流したら素早く撮影することが重要です。バリウム付着が良好な写真、標的部位を
正確に描出した写真を撮影するように心がけています。
背臥位二重造影像で前庭部に余分なバリウムがある場合は、やや頭低位にして胃上部に流し、流れる様子
を透視観察します。胃体下部大彎の病変は描出されていても気付かないことがあるので、透視観察で病変
がないかよく見ることが重要です。背臥位二重造影第2斜位(振り分け)では、撮影台の起倒を利用するこ
とで目的とする部位にバリウムを流すことができます.胃体上部を中心とする小彎寄りの後壁が標的部位
なので、撮影する場合は撮影台を水平位からやや頭低位にして息を吐いた時に撮影します。大彎寄りに流
す場合は撮影台を少し立てる、もしくは息を吸いこむことでバリウムは大彎側を流れます。またバリウム
の付着が悪い場合は右左交互変換を繰り返し行います。
7
特集2 放射線科
胃上部の撮影で良好なバリウム付着
を得るためには撮影台を立てすぎない
こと、体位変換から撮影までを手早く
行うことが肝要です。
圧迫撮影ではゲップを出し、腹壁の力
を抜くように伝えます。そして決して
無理な圧迫は行わないようにします。
■前壁撮影(腹臥位二重造影正面位)
腹臥位前壁撮影では圧迫フトンを挿入
するのが原則です。心窩部あるいは左季
肋部を目安とし、撮影台を半立位にして
圧迫フトンを挿入します。転落防止のた
めに肩あてを必ずします。正しく圧迫フ
トンを挿入することができれば、逆傾斜
Fig2 任意型検診撮影法
をかけるだけでバリウムは均等に胃上
部に流れていきます。
逆傾斜をかける時に第2斜位が強いと、胃角部~前庭部の前壁大彎寄りにはほとんどバリウムは流れない
ので、腹臥位正面位のままで逆傾斜することが重要です。
■透視下での観察
検査全般を通じて溜まり像、はじき像、粘膜ひだの走行を透視観察します。目的とする部位にバリウムを
溜めた後、バリウムを移動させる時の引き際を観察します。透視観察ではバリウムの流れを見ることの他
に、小彎線や大彎線の変化を見ることも重要と考えています。
■異常所見を発見した時
1、異常所見を発見した時には…
異常所見を発見した時は追加撮影を行い、所見の性状を明らかにするように心がけています。病変の肉眼
的所見を明確に描出するために、撮影時期を変えたものや空気量が変化した時の撮影、病変部にバリウム
を溜めたり、流したりして撮影を行っています。
2、病変を描出するのに必要な画像
病変の正面像、側面像、バリウムの厚さを変えた流し撮り像、空気量を変化させた二重造影像、強弱をつ
けた圧迫像が必要と考えます。
異常所見を発見し追加撮影を行う場合、病変部にバリウムが流れた直後に撮影する、病変部を椎骨から外
して撮影する、病変部を正面視するようなポジショニングを意識する、病変の存在部位に応じた適切な空
気量を意識する等のポイントに留意して撮影を行います。
胃 X 線撮影ではバリウムの流れを確認することに
重きを置いています。特にバリウムのはじき像に気
付くことができるように注意しています。
IIc でも陥凹内の隆起や陥凹辺縁に隆起を伴うこと
が多く、IIc の浅い陥凹を撮影中に発見するというこ
とは困難です。バリウムのはじき像、隆起の存在に気
付くことが IIc の発見のきっかけとなるので特に注
意して撮影を行っています。
Fig3 IIc 型早期胃癌
丹羽 大輔
医療法人方佑会植木病院 放射線科
PROFILE
■生年月日/1974 年 3 月 24 日
■血液型/A 型
8
植木病院 TOPIX
平成 28 年度院内研究発表会を開催しました
乳果オリゴ糖を用いた排便コントロール
4 階療養病棟
当院の療養病棟では、入院患者の 8 割が 80 歳以上の高齢
者であり、疾病や廃用性症候群による便秘を伴っているこ
とが多い。一般的に便秘の患者は習慣的に下剤を使用しな
ければ排便がなく、便秘と下剤による下痢を繰り返すこと
が多いと言われている。当院では便秘に起因する食欲低下
や腹部膨満感・腹痛、嘔気・嘔吐に伴う誤嚥を予防する目
的で緩下剤や刺激性下剤を使用している。下痢による問題
としては、電解質の異常や体液の喪失から生じる脱水や尿
路感染、下痢便の皮膚への刺激によるスキントラブル等が
挙げられる。そこで、民間療法で用いられている安価で安
全性が確認されている乳果オリゴ糖に着目した。九谷¹⁾は
オリゴ糖の効果が、腸内のビフィズス菌を増やして腸内環
境を整え、腸の蠕動運動を活発にすることで便秘を改善で
き、ビフィズス菌の増殖効果が下腹部の膨満感を軽減し、
水分の吸収力を活発にすることで下痢改善に繋がるとして
いる。今回、乳果オリゴ糖を 4 週間投与し、患者にとって
苦痛を伴わない排便コントロールについての検討を行っ
た。
まず、オリゴ糖を投与することによって排便回数の大幅な
減少がみられた。また、排便量はおむつへの少量の付着が
減り、中等量の付着に変化がないことから、これまでは宿
10月18日、26日
○鳥井智子 浅井和江 楠野幸子
便により出し切れていなかった便が排便できたものと考え
られ、これによりオムツ交換やシーツ交換を行う回数も減少
した。排便間隔は 1 回/週のみであった排便が 4 週目にかけ
て増加し、硬便の患者が増えていないことから、オリゴ糖の
影響により便秘が改善していると考えられた。今回はオリゴ
糖の投与前後に、顕微鏡下での調査を行っておらず、腸内の
ビフィズス菌の増加やその効果等の実証は得られていない
が、1 回の排便量が増えていることや、アンケート調査で「排
便がスムーズになった」という回答があったことから、オリ
ゴ糖の投与により、患者の整腸作用に良い影響を与えたもの
と考えられる。オリゴ糖を投与していない期間には、浣腸の
施行やラキソベロン等を使用した回数が多かったが、週を追
うごとに投与する回数が減少した。排便パターンはそれぞれ
異なるが、摘便や浣腸のみで排便を促すことができ、下剤に
よる下痢便が減少したといえる。今回の研究において、乳果
オリゴ糖を投与することにより、患者の排便コントロールに
良い影響を与えることができたと考えられる。また排便日誌
を通して、個々に排便のリズムがあり、患者への個別のアセ
スメントが重要であることを再認識した。
【引用文献】
1)九谷由美子.乳果オリゴ糖摂取による便秘・下痢改善を試みて(食品での排便
コントロール)、臨床レポート.(株)H+B ライフサイエンス情報誌 5 号
心臓カテーテル検査が始まって―安全な検査にするために―
当院では 2015 年 6 月から新たに心臓カテーテル検査が
行われようになり、これまで未経験であったスタッフは、
検査時の準備や検査介助、急変時の対応等において戸惑う
場面が多く見受けられた。今回、検査介助に携わるスタッ
フが不安に思うことや不便と感じる点を明確にし、検査が
安全・安楽に行えるよう改善を行った。
当初時間がかかっていた検査の準備に関しては、物品の配
置場所の目印を決め、検査に携わるスタッフの誰もが同じ
場所に置くことができるように改善した。また、使用する
機器の配線も、コードを配線する場所を決めたことにより、
時間の短縮を図ることができた。さらに動線を意識した配
置にすることで、検査中スタッフが作業しやすくなり、安
全に検査を受けられる環境になったと考える。心臓カテー
テル検査に携わった看護師への聞き取り調査では、検査の
流れについていけるか不安、急変時に慌てずに対応できる
か不安、急変時すぐに使用する物品が準備できるか不安、
記録用紙に何を記入すればよいのか、記録内容の記入漏れ
が生じるのではないか不安との回答があった。この問題に
関しては、医師や経験のある看護師、医療機器業者から講
習を受け、スタッフの誰もが安心して検査に携わることが
できるようなマニュアルを作成することで対応を図った。
検査の流れについては検査の進行状況・医師の動き・看護
師の動き等をマニュアル化し、急変時の対応は、どのよう
外来 ○東中川美智子 伊津聡美
な状況で急変が予測されるか、また急変時の対応方法をリス
トにして掲示した。急変時に使用する薬品はまとめてケー
ス・トレイに入れ、一目で分かるように表示するようにした。
急変時は各スタッフが自分の行動を声に出すようにし、お互
いの行動を把握できるように心がけることや、急変時のマニ
ュアル、及び急変時の対応方法についての表を作成したこと
により、急変時に使用する薬品をすぐに準備することが可能
となり対応がスムーズになった。対応方法が分かりやすく明
確になったことで現在は検査中に余裕ができており、不安の
軽減に繋がっている。さらに検査中の記録は記載者によって
記入内容にばらつきが生じていたため、必要な記載内容に漏
れが生じないようにチェックシート形式の心臓カテーテル
検査専用記録用紙を作成した。記録に必要な内容が明確にな
り、スタッフから書き易いとの意見もあり、記録作業の効率
化が図れた。現在までに検査中に 10 件の急変の事例が発生
したが、IABP(大動脈内バルーンポンピング)を使用する等
の対応で重篤な急変には至らなかった。しかし、そのような
場面に遭遇した場合、すぐに対応できるかについてはやはり
不安が否めない。今後、実際に急変時に使用する機器を用い
てシミュレーションを行うことや、急変時の対応方法を定期
的に検証して見直しを行い、スタッフの知識・技術の向上を
図っていくことが課題である。
簡易懸濁ボトルを導入して
3 階病棟 ○竹岡利恵 藤井愛子 上原千菜摘
当病棟では、年々経管栄養投与の患者の比率が高くなって
きている。これまで当病棟で行ってきた薬剤投与法「粉砕
法」は、投薬者への曝露、薬剤溶解の不良によるチューブの
閉塞や飛散、飛散や漏れによる投与量の減少、カテーテル
チップの頻繁な破損等の様々な問題があり、その対応に追
われる状況であった。しかし近年、経管栄養患者への効果
的な投与法として「簡易懸濁法」が注目されている。簡易懸
濁法について賀勢¹⁾は錠剤、カプセル剤をそのまま微温湯
に溶解する「簡易懸濁法」が、薬剤粉砕投与時における主薬
損失を回避し、作業の迅速化も可能とできると述べている。
今回、広口で振盪混和が容易である懸濁ボトルを導入し、
手順が簡便で作業の迅速化が図れたという結果が得られた
のでここに報告する。
懸濁ボトル導入前のアンケート調査では、粉砕法では投与
量の減少、薬剤溶解の不良によるチューブの閉塞や飛散、
接続部からの漏れの原因となるカテーテルチップの破損等
の問題があることが分かった。また導入後のアンケート調査
では、懸濁ボトルを使用することによって、多くの看護師が
溶解手技を省略化でき、メリットを感じていることが分かっ
た。簡易懸濁法では、薬剤を直接ボトル内に入れ調整するた
め手順が簡便になり、作業時間の迅速化に繋がった。また、
薬剤を入れる口が大きいため錠剤が入れやすく、洗浄もしや
すいとの声もあった。しかし、懸濁ボトルの問題として、ボ
トルの接続からの漏れや薬剤の溶解性についての情報の不
足を挙げた意見が多く見受けられた。溶解が不充分だと薬剤
が閉塞することで圧力がかかり、ボトル接続部からの漏れの
原因に繋がる。従って充分な溶解をするためには湯温が問題
となる。文献ではカプセルを溶解するためには水温を約 55℃
に設定すべき 2⁾であり、確実にカプセルを溶解するためには
水温を 37℃以上に 10 分間保持する必要がある。また、沸
9
騰したポットの湯:水道水が約 2:1 になるように入れると
だいたい 55℃となる(環境により変わるので,季節・地域
により確認必要)3⁾、温度を高くしすぎると安定性に問題が
生じる薬品もある 4⁾。当病棟の給湯器の湯温はおよそ 80℃
であり、給湯器の湯 400ml と水 100ml を混ぜることで湯
温を 55℃に調整し溶解を行ったが、冷房や室温によりステ
ンレスの処置台が冷やされ、その上にボトルを置くことで
湯温が下がりやすいことが分かった。すると溶解しきれず
に閉塞したり、ボトル内の圧力が一定以上かかることが漏
れの要因となっていた。充分高い湯温で調整を開始するこ
とや、湯温が下がり過ぎないよう充分な湯量を用意し速や
かに蓋をすること、大きな錠剤は溶解に時間を要するため
予め何分割かに砕くこと、または湯温が高いうちに振盪混
和すること等の工夫が必要である。現在、これらの注意点を
スタッフへ伝達し、粉砕を要す薬剤の見本と現在内服中の患
者の一覧表を設置して注意喚起した結果、薬剤の閉塞やボト
ル接続からの漏れの改善を認めているが、今後さらに簡便
で、患者にも安全な手法を取り入れていく必要がある。薬剤
の粉砕や他剤への変更においては医師、薬剤師との連携の強
化が重要である。今回の研究の過程で、経管栄養における薬
剤の溶解についての知識をスタッフ間で共有することがで
き、また経管栄養に用いる湯温、その他の手技を統一するこ
とができたことに意義があった。
【引用文献】
1)賀勢泰子(日本療養病床協会薬剤研究会)
.簡易懸濁法に関する看護師および
薬剤師報告
2)3)4)倉田なおみ.内服薬 経管投与ハンドブック第 3 版.じほう
『家で看取ると云うこと』の冊子を渡して
在宅医療
人は生まれ、そしてその命には限りがある。ならば最期を
どう迎えるのか。死が避けられなくても、住み慣れた場所
で、その人にとって適切な医療や介護を受けながら、自分
らしく生活を営み、自然な死を迎えられる、それが在宅看
取りである。しかし”家で看取る”ことに対する家族の不安
と恐怖はかなり強い。
「怖くて看取れない」
、
「今からどのよ
うな状態になっていくの?」等家族の気持ちが揺れ動く。
そこで命としっかりと向き合い、人生に別れを告げる悲し
みや本人に思いを馳せながら、看取りを行って頂ける指標
となるよう 2015 年に『家で看取ると云うこと』の冊子を
作成した。今回、在宅看取り患者の家族 21 名に冊子を手渡
し、冊子を渡す前の家族の心情、冊子を渡した後の家族の
希望や要望、そして在宅看取り後の家族の心情について在
宅療養中や看取り後に家族から聞き取りを行った。
まず冊子を手渡すことにより在宅での看取りがほぼスム
ーズに行われた。在宅看取りが「怖い」、
「これからどうな
るのか分からないので心配」と躊躇していた家族も冊子を
読むことにより「冊子のおかげで看取る心構えができた」、
「不安が和らいだ」と答えられた方が大半であった。これ
は未知の死に対して、今後どうなっていくのかを理解され、
これからの予測が立てられるため、心の準備や気持ちの整
理が出来たからだと考えられる。また医療従事者が訪問す
るたびに家族の不安な事項を聞き取ったり、
「これでいいん
ですよ」、
「困ったことがあればいつでも連絡していいです
○高田恵子 福山陽子 片山菊美
よ」と安心感を与えられる言葉を何度も繰り返して、家族に
説明したりすることが看取りをスムーズにさせたと考えら
れる。さらに「在宅看取りの予定ではなかったが、冊子を見
て看取る気になった」という回答があり、
「私にも看取ること
ができる」や「それだったら本人の気持ちを尊重し、家で看
取ろう」という気持ちの変化があったことが推測できる。家
族の「痛い、苦しい時の対処はできるのか」に対しては、緩
和ケアが十分できずに辛い思いをされた家族もおられた。
「痛みが取れず辛い思いをした」という回答は、痛みや苦し
んでいる様子を家族が見ていられず、「これだったら入院さ
せればよかった」という気持ちが揺れ動いているものと推測
される。そのためにも早期の緩和ケア導入が必要であり、終
末期の緩和ケアに関しては、我々在宅医療に従事する看護師
も知識を向上させる必要がある。また、冊子を渡していても
看取りができない家族もいた。呼吸苦、痛みに対し家族が看
ていられなくなり入院へ、あるいはマンパワー不足で介護者
が疲労困憊状態となり看取れず、または患者の急変に驚き、
呼吸停止に対し家族が救急車を呼んでしまったという事例
もあった。この事例では訪問時に何度も繰り返し説明したつ
もりでいたが、家族の理解が充分に得られておらず、今後の
看取り指導の検討課題となった。全体を通して在宅看取りを
行って頂くためには、
『未知の死』への経過が理解でき、自然
に看取ることへの心の準備をして頂くことが必要であり、冊
子が重要な役割を果たすのではないかと考えられる。
新たな転倒対策の効果とスタッフの意識づけ評価
2 階病棟 〇山内恭子 八木夏美
我が国では 4 人に 1 人が高齢者であり、当院でも高齢者
が大半を占めている。高齢患者は運動能力や認知力低下等
加齢による転倒要因に加え、入院による環境の変化や疾患
に伴う症状に対応が困難なことから転倒を生じやすい。高
齢者の転倒は受傷のリスクも高く、回復遅延や ADL の低下
等 QOL に大きな影響を及ぼす。それ故、当院では看護師が
患者の転倒リスクについてアセスメントを行い、ハイリス
クな患者を予測し効果的な看護介入を行う手段として転倒
評価・フローチャートを用いている。これは看護師の視点
から患者のレベルを判断しケアを行う方法である。昨年、
転倒事故が減少しない点に着目し、フローチャートの見直
しやスタッフが共通した認識を持って転倒転落の予防対策
ができるように改善を行った。しかし対策不備や危険予知
不足による転倒が目立ったため、今年は定期的に標準対策
のチェックを行い環境整備の強化、KYT(危険予知トレーニ
ング)
、そして 5S 活動を行っている。これらの活動や調査
を行うことで、昨年との転倒状況の違いやスタッフの対策
の浸透状況が明らかになった。
昨年の転倒は、環境整備の不備と危険予知不足による発生
が多かったため、今年は定期的な対策確認を行ってきたが、
減少するには至らなかった。環境整備の不備では、ベッド
のストッパーの止め忘れやハンドルの未収納等の足元の不
備によるものがあり、日常から対策がなされていないのが
現状であった。また、転倒の大半はベッドから降りる際に
発生していた。ベッドから降りる際の転倒リスクが倍増す
る理由としては、理解力が乏しい、尿意切迫、ながら動作、
もしくは筋力低下等の状態が挙げられる。その為、未然に
防ぐ対策が重要となる。患者の疾患、ADL、精神状態、性格、
可動能力と現在の能力認識のズレ等のアセスメントが十分
に行われていれば、危険予知から対策を講じることができた
ものも少なくない。さらに患者の自発的な行動に対しては、
日頃からの声かけやリーフレットを用いての注意喚起が今
後も必要であると考える。そこで当病棟では転倒の危険予知
能力を養うため、KYT を月 2 回行っている。転倒転落のフロ
ーチャート見直しについては、以前のフローチャートは細分
化しすぎて対策のズレが生じやすくなっていたので、簡潔化
することでこの問題を解決した。スタッフ間の転倒対策の理
解状況を調査したが、対策の統一化を図るためにマニュアル
を作成したにも関わらず、転倒予防の意識や行動に大きな変
化は見られなかった。マニュアルが十分に理解されていない
ことが分かり、これが危険予知に対する意識の不十分さの原
因であったと考えられる。どんな有効な対策でも適切に活用
できなければ意味がない。この結果を受け、スタッフ間で何
らかの対策を講じる必要があると考える。今回の研究では、
日常的に看護師から患者へのアプローチを行う対策が積極
的に実施されていなかったことで、転倒予防に関する意識が
不十分であることが分かった。患者の QOL を満たしつつ安
全の確保を行うためには、日常的な環境整備、及び継続した
適切な対策が重要となる。そのためにもう一度対策や手順の
再確認を行わなければ改善は困難である。転倒の大部分は患
者の自発的な行為の途中や結果として起こる出来事である。
それを不可抗力と考え諦めるのではなく、1 件でも防ぐため
にも転倒をさせないという意識を持って行動し、今後の対策
に取り組んで行きたい。
10
新しく入職しました
「私の考える看護」
東 千代子
医療法人方佑会植木病院 看護部長
この度、前看護部長より引き継ぎ 10 月1日より看護部部長に就任いたしました東です。
以前勤務しておりました病院は、部屋から見渡すまわりの風景に緑が多く、また晴れた日に
は PL の塔もはっきりと見え、時々眺めては癒されていました。
私のいちばん好きなことばに『花も美しい・月も美しい・それに気づく心が美しい』があり
ます。朝目覚めたら必ずこのことばを心の目で読んでいます。
今回、看護部長として植木病院に赴任して思うことは、法人の経営理念にもあるように『地
域に密着・信頼される・愛される病院を目指したいということ』。看護部として、患者さまに
対して優しい看護が提供できるような職場の環境づくりを心がけたいと思っております。
自分が何かをしてあげたいと思っても、患者さまが望まなければ決してしない。なぜなら、
それは患者さまに寄り添う看護にはならないからです。心から「ありがとう」と言っていただ
けるような看護・ケアを提供することが、私の基本とする看護です。
私は今までスタッフには「患者さまの喜びが自分の喜びとなるように自分の看護を提供して
ください」と常に声をかけて参りました。そして、看護の場で不安を抱いたときは、いつでも
心の支えになり、支援していけるよう、また看護部スタッフの良き理解者となれるよう、環境
づくりにも取り組んできました。植木病院においても同様の環境を作っていきたいと考えてお
ります。
患者さまが安心して療養することができる看護をこれからも継続して提供できるように、看
護部の教育・指導に力を入れていきたいと考えておりますので、これからもご指導ご鞭撻の程、
宜しくお願い申し上げます。
東 千代子
医療法人方佑会植木病院 看護部長
PROFILE
■生年月日/1952 年 7 月 7 日
■血液型/O 型
11
植木病院 NEWS
勉強会開催のお知らせ
第 8 回堺黒土病診連携ネットワーク
開催日
会
場
29 年3 月18 日(土)15:00~17:00
堺市産業振興センター 4 階セミナー室
(旧じばしん南大阪)
平成
〒591-8025 堺市北区長曽根町 183-5
TEL 072-255-0111
プログラム
■特別講演
「がんの話・痛風の話
血液疾患・白血病・高尿酸血症に痛風 専門医に聞いてみよう!」
山内
高広 先生
福井大学医学部 病態制御医学講座内科学(1)教授
血液・腫瘍内科長
■一般講演
「
(仮)当院での肝炎治療」
寺垣
聡
肝胆膵内科
「
(仮)本格稼働の循環器内科の紹介」
河本
巖
循環器内科
「
(仮)呼吸器内科の一題」
岡崎
浩
副院長 呼吸器内科
■ポスター展示
「平成 28 年度院内研究発表会から」
看護部
「診断・治療に難渋した後腹膜膿瘍の一例」
文野峯健
外科
第 41 回日本外科系連合学会学術集会より
■講師紹介
山内 高弘 先生
専門領域
福井大学医学部 血液・腫瘍内科学教授
血液疾患・臨床腫瘍・痛風
■血液・腫瘍内科紹介
福井大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科
抗がん薬の研究を専門とする全国でもまれな内科であり、教室員は皆、 抗がん薬治療(化学療法)に精通し
た医師たちです。対象疾患は白血病、 悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液がんが中心ですが、大量療法
など固形がんの専門的化学療法にも対応いたします。また貧血や出血 症状などすべての血液疾患を血液専門
医として診療いたします。
福井大学医学部附属病院ホームページより
12
当院は 1986 年の開院から本年度で創立 30 年を迎えました。
これまでお力添え下さった多くの地域の皆様に感謝申し上げますとともに、今後も当院は
地域医療に貢献できますよう努めて参りますので何卒宜しくお願い申し上げます。
医療法人方佑会植木病院 院長 植木孝浩
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おかげさまで植木病院は30周年
開院30周年によせて
思い出から振り返る私と植木病院
医療法人方佑会植木病院 事務長
藤原 誠
植木病院は今年 6 月に 30 周年を迎え、未来に向けて新たなスタートを
切ることとなりました。
本誌「みのんだ通信」は第 7 号を発行することにあたり皆さまへの感謝
と、新たな植木病院の進むべき方向性について筆を取らせていただくこと
となりました。
私は 2003 年 11 月に前理事長、現在の植木重文会長との縁で当院に入
職いたしました。それからまる 13 年が過ぎようとしています。当時、世
間はバブル崩壊後の後遺症を引きずりながら、経済は停滞し人々の間には
閉塞感も漂っており、明るい将来がまだ描ける時代ではなかったように思
います。当然、医療・介護もまたその例外ではなく非常に厳しい中にあり
ました。しかし、当院で働くスタッフと患者さまとの間には、大変深い絆
と信頼関係が生まれていると感じられたことを、着任早々の私ではありま
したがはっきり記憶しています。私自身も病院にかかわるすべての皆さま
や、開業医の先生、近隣の病院の先生、そしてご近所の皆さまとの温かい
ふれあいを感じながら、今日ここまで勤めてくることができました。本当
にありがとうございました。
「地域に密着し、最新でよりよい医療を提供することにより、信頼され、
愛される病院づくりを目指します」。これは開院当初からの私たちがもっ
とも原点とする経営理念であります。これを礎に今日まで私たち全職員は
地域に根ざし愛される病院づくりを目指して来ました。しかし、ここで働
く職員全員にとっても、今後の病院の発展を目指す上でもこれだけでは何
かが足りないと思い、考え抜いた末、「全従業員の物心両面の幸福を追求
すると共に、医療を通してよりよいサービスを提供し地域社会に貢献しま
す」と新たに付け加えていただきました。これからも引き続き愛される病
院づくりを目指すとともに、ここで働く全職員の幸福も追及して参りたい
と思います。
さて、最後にこれからの病院が向かうべきところを述べたいと思います。
迫りくる高齢化社会と大きな医療改革が目の前に来ている中で「そこにい
る皆さんがいつでも、どんな時でも、そしてすべての患者さんに寄り添う
ことのできる温かい医療。」それはまさしく地域の皆さまに必要とされる
病院の姿です。地域の皆さまに必要とされる医療と、そして在宅医療を含
めた介護サービスの提供が今後は不可欠であると考えています。そしてそ
れが植木病院の目指す道ではないかと思っております。
この 30 年間、皆さまのご支援のおかげでここまでくることができまし
た。この紙面をお借りして厚く御礼申し上げます。そして、未来に向け微
力ながら地域社会に貢献して参りたいと思います。
今後も植木病院にますますのご支援を賜りますようお願い申し上げま
す。
14
おかげさまで植木病院は30周年
開院30周年記念イベント 健康フェスタ
6月12日(日)に植木病院開院 30 周年記念イベントとして健康
フェスタを開催いたしました。たくさんの患者さまや地域の皆さま
にご来場いただきました。
オープニングの堺市立長尾中学校吹奏楽部様によるコンサートが
始まる頃から会場は大入りで、焼きそばやフランクフルトなどの模
擬店やお子様も楽しめるヨーヨー釣りなどの縁日ブースだけでな
く、健康ブースにも大行列ができる盛況ぶりでした。
ご協力いただきました皆さま、またご参加いただきました皆さま、
本当にありがとうございました。
●駐車場特設ステージ
オープニングは数々のコンクールやコンサートにて演奏を行っている堺市立長尾中学校吹奏楽部様による
特別コンサート。マーチングやポップスなど、イベントのオープニングを飾るにふさわしい演奏でした。堺
市北消防署救急隊による救命救急講習では、普段の生活の中で誰もが体験する可能性がある事故や災害など
の状況下で、AED が必要となった際の使用方法を実際に作動させて分かりやすく実演していただきました。
健康イベントでは、来ていただいた方にも楽しんでご参加いただける内容でお薬○×クイズ、肩こり体操、
応急処置デモンストレーションが行われました。
オープニングコンサート 吹奏楽部コンサート
堺市立長尾中学校吹奏楽部様
救命救急講習
堺市北消防署救急隊
健康イベント
肩こり体操
健康イベント
応急処置デモンストレーション
健康イベント
お薬○×クイズ大会
15
●外来待合ルーム特設ステージイベント
ヴィオラ奏者の奥幸代様とヴァイオリン奏者の山之内悠子様によるヴィオラ・ヴァイオリンコンサートで
は、弦楽器のきれいな音色が外来待合ルームに響き渡り、たくさんの方が耳を傾けていました。
また、健康イベントとして開催した岡崎副院長による禁煙講習、放射線科のマンモグラフィ講習にはたくさ
んの方にご参加いただきました。
健康イベント
禁煙講習
ヴィオラ・ヴァイオリンコンサート
山之内悠子様(写真左)
、奥幸代様(写真右)
●健康ブース
リハビリテーション科、放射線科、超音波室などで行われた健康ブー
スも大盛況で、どのブースにも行列ができるほどの大賑わいでした。
模擬店開催
焼きそば、フランクフルト、唐揚げ
ポップコーン 綿菓子
模擬店・縁日開催
健康ブース
ヨーヨー釣り、スーパーボールすくい
・身近にあるもので出来る応急処置
・AED の使い方
・熱中症対策
・身体測定
・在宅医療相談窓口
・リハビリ相談窓口
・お薬相談窓口
・ABI(血管年齢)測定
・感染予防・手洗い体験
・便秘タイプ別チェック
・マンモグラフィ体験
・骨年齢測定
バザー開催
●フィナーレ
フィナーレの餅まきでは、小雨が降るあいにくの天気にもかかわらず
たくさんの方に最後までご参加いただき、大盛況のうちにイベントは
幕を閉じました。
16
おかげさまで植木病院は30周年
開院30周年記念パーティー
7月 30 日(土)にスイスホテル南海大阪 浪華の間にて、開院 30 周年記念
パーティーを開催いたしました。
開宴後、
「植木病院 30 年のあゆみ」と題した映像が上映され、改めて 30 年
の歴史を振り返りました。
来賓の藤元治朗先生(兵庫医科大学肝・胆・膵外科主任教授)
、及び神村裕之
先生(神村学園高等部校長)よりご祝辞を、渡二郎先生(兵庫医科大学消化管
内科教授)より乾杯のご挨拶を頂戴し、植木病院への温かいお言葉をかけて頂
きました。この場をお借りして心より感謝申し上げます。
パーティーではかつての同僚など懐かしい顔もたくさん見られ、植木病院に
対する深い思い入れが感じられました。植木重文会長のメッセージに込められ
た熱い思いを今後も引き継ぎ、当院の経営理念に掲げる「地域の皆様から信頼
され、愛される病院づくり」をこれからも目指して参りたいと思います。
藤元治朗先生
神村裕之先生
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渡 二郎先生
医療法人方佑会植木病院
活動記録
2月21日 第 28 回日本消化器画像診断情報研究会静岡大会
X 線症例検討会「VS 読影」読影者:丹羽大輔(放射線科)
アクトシティ浜松コングレスセンター
3月19日 スピオルト発売記念講演会 In 堺
講演:岡崎 浩(副院長)
「COPD の病診連携と病状に応じた治療法」
ホテルアゴーラリージェンシー堺
4月15日 田辺三菱製薬講演会
講演:中本俊毅(整形外科)
「RA に対するレミケードを用いた治療経験」
田辺三菱製薬株式会社堺営業所
5月14日 第 360 回大阪消化管撮影技術研究会
症例検討会司会:丹羽大輔(放射線科)
エーザイ株式会社大阪コミュニケーションオフィス
6月16日 第 41 回日本外科系連合学会学術集会
演題発表:文野峯健(外科)
「診断・治療に難渋した後腹膜膿瘍の一例」
ナレッジキャピタルコングレコンベンションセンター
6月17日 第 4 回プライマリーケア研究会
座長:岡崎 浩(副院長)
「不眠症治療薬の使い分けについて」 大阪マリオット都ホテル
10月 1日 第 365 回大阪消化管撮影技術研究会
症例検討会司会:丹羽大輔(放射線科)
エーザイ株式会社大阪コミュニケーションオフィス
10月20日 喘息エリアミーティング in SAKAI
演題発表:岡崎 浩(副院長)
「喘息治療の現状」 杏林製薬株式会社堺営業所
10月29日 南大阪における HIV 陽性者の療養支援体制充実をめざす研修会
講演:岡崎 浩(副院長)
「HIV 陽性患者受け入れについての取り組み」
地方独立行政法人堺市立病院機構 堺市立総合医療センター
11月26日 平成 28 年度ディスカスしよう会
座長:岡崎 浩(副院長)
「浮腫治療中に四肢脱力と呼吸抑制を来した 1 例」
「間質性肺炎フォロー中に急性呼吸不全を認めた 1 例」 堺市医師会館
11月26日 平成 28 年度大阪府中級障がい者スポーツ指導員養成講習会
講義:岡崎 浩(副院長)
「障害各論 内部障害」
大阪府立障がい者交流促進センター(ファインプラザ大阪)
18
診療科目
火
水
木
金
外科
1診
文野
院長
文野
中井
院長
院長
2診
ー
中本
ー
中本
ー
非常勤
副院長
副院長
三井
田中
寺垣
一般内科
一般内科
一般内科
一般内科
一般内科
田中
消化器内科
(1,3,5週)
呼吸器内科
内科
呼吸器内科
消化器内科
消化器内科
三井
寺垣
前
2診
診
消化器内科
ー
ー
ー
ー
(2,4週)
河本
酒井
山上
河本
ー
ー
ー
肝胆膵内科
循環器内科
4診
河本
肥後
鼡径ヘルニア
専門外来
外来
(予約制)
呼吸器外来
ー
文野
禁煙外来
副院長
呼吸器外来
午
後
診
夜
診
土
整形外科
3診
午
月
専門外来
呼吸器外来
(予約制)
長坂
乳腺外来
副院長
文野
ー
ー
(1,3週)
循環器外来
院長
河本
(2,4,5週)
外科
1診
文野
院長
院長
文野
院長
整形外科
2診
非常勤
中本
辺見
中本
非常勤
内科
3診
河本
副院長
園尾
田中
寺垣
経営理念
一、地域に密着し、最新でよりよい医療を提供することにより、
信頼され、愛される病院づくりを目指します。
一、全従業員の物心両面の幸福を追求すると共に、
医療を通してよりよいサービスを提供し、地域社会の発展に貢献します。
一、より高度な医療技術の習得と謙虚で誇り高い人材の育成を目指します。
行動指針
一つ、私たちは地域の皆様に愛される病院を目指します
一つ、私たちは医療者としての高い志をもって責務を果たします
一つ、私たちは皆様への思いやりの心を忘れません
一つ、私たちは医療安全に対して最善の努力をいたします
一つ、私たちは守秘義務の原則を守り信頼される病院を目指します
医療法人方佑会 植木病院
〒591‐8024 堺市北区黒土町 3002‐5 TEL 072-257-0100
e-mail:[email protected]
http://www.uekihospital.or.jp
うえきびょういん
みのんだ通信 第7号
19
平成 28 年 12 月1日発行 編集/発行 みのんだ通信編集部
検索
発行人 植木孝浩