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総合「情報」学習指導案
IT マナー教室(インターネットとメールの情報モラル指導)
【5校時】児童 5年1組 男子 10 名 女子 15 名 計 25 名
【6校時】児童 5年2組 男子 11 名 女子 16 名 計 27 名
【講 師】NPO 法人「HEART」山田好宏
※富士ゼロックス北海道株式会社販売本部ソリューションセンター長
HES 主幹審査員)
1.はじめに
最近は、本校でもインターネットの利用だけでなく携帯電話を所持する子供たちが増えてきている。
昨年の例では、個人のブログを持っている高学年もおり、携帯メールでのトラブルやチェーンメールな
どの迷惑行為に悩んでいる子もいた。全国的には、アダルトサイトや出会い系サイトに関わる犯罪、個
人情報流失や著作権侵害などの問題も、小学生にとっても他人事ではない状況である。携帯電話の所持
者数は、中学進学とともに爆発的に増える傾向にあり、それに伴うトラブルもより深刻なものとなりま
す。(中高生が巻き込まれる犯罪のほとんどに携帯電話が関係しているということである。)
だからといって、インターネットやメールから背を向けることは、子供たちの将来にとって大きなマ
イナス要因となる。(デジタルデバイド)
そこで、子供たちにインターネットの利便性の裏側にあるさまざまな危険を教えるとともに、常に子
供たちがインターネットの利用に関して判断力を高めていけるように、インターネットやメール利用の
基礎的なマナーや、犯罪に巻き込まれない、或いは、加害者にならないための最低限のモラルを身につ
けることを学習の柱とした。学習の中で、子供たちに日常の情報モラルを意識させるとともに、小学校
の児童の実態と発達段階に即した、日常の生活に生きる情報モラルの育成をめざしていきたい。
2.講師(NPO 法人「HEART」)について
HEART は、「地域社会の情報化を推進し、高度化した情報通信技術の普及や技術者の育成を図る事
業を通じて、地域社会の情報化の推進と地域経済の活性化に寄与すること」を目的として、情報関連企
業約70社で構成される団体である。また、子供たちがインターネットを利用するルールとマナーを啓
発するための絵本、
『まなぶ君・ハート君の IT マナーブック もっと楽しくインターネット』を発行す
るなど、子供たちの情報モラル育成に関しても積極的な取り組みをしている。
3.単元の流れ
便利な道具も手
に入れることが
できる
メールを送る 前
に読み返そう
インターネットな
らいろいろな情報
を見つけられるね
メ ール やチ ャ ッ
トでは、気持ちを
上手に伝えよう
インターネットは
インターネットやメー
ルは便利で楽しいなも
のだね。でも、気をつ
けないといけないこと
もありそうだよ
インターネッ
トにも悪い人
がいるよ
ときは、よく考えて
から
中に知られてしま
自分のことを
教えちゃだめ
写 真な ど他 人の情
報も、その人にとっ
て 大切 な個 人情報
です。
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ている
メールを発信する
自分の情報が世界
うこともある
世界中とつながっ
誰かの写真を勝手
にホームページに
のせてはだめだよ
自分の作品や顔写真を
勝手に使われたらいや
だよね。自分や友達の
個人情報は大切に扱わ
ないといけないね。
コピーした写
真・画像・文章
は、勝手に使っ
ちゃいけない
よ
インターネット上に
ある写真やデータに
は必ず持ち主がい
ます
4.本時の展開
【1/2 の目標】
情報ツールやコミュニケーションツールとしてのメールやインターネットの利便性を理解し、併せてメ
ール(文字情報)のマナーや、フィッシングメールに対する注意事項を知る。
【学習展開】
【事例 1】インターネットからテンプレートを探して、デジカメを利用して、コンピュータでカレンダ
ーを作る。
インターネットは知りたいこ
便利さその1
とが簡単にわかって便利だね
私も今度カレンダーを
作ってみようかな
【事例 2】サッカーの話や、写真やイラストも入れて、まわりのできごとを書いたホームページを作っ
た。メールすると、『見たよ!』とたくさんの返事がきた。
ホームページは遠くの人や外国
便利さその2
でも見ているかも知れないんだ
メールを使えたら、たく
さん知り合いができるね
【事例 3】親友のA君とのチャットで、
『おまえとなんか、いやだよー!』と冗談で書いた。ところが、
『そうかい!もうぜっこうだ!』と、A君は、本気でおこってしまった。
声に出した場合と、字だけの場合
では違うことがあるんだね
気をつけよう
その1
書いた後、一度読み返す
といいのかな
メールなどの文字にはアクセントや感情までは伝わりません。
気持ちを伝えるときには直接あって話したほうがいいよ
【事例 4】
『攻略法教えます。メールしてネ!』と書いてあるホームページにメールすると、
『これから
公園で会おう』という返事です。急いで公園に行くと、大人の男の人があらわれました。
インターネットでは、だます人も
いるんだね
気をつけよう
その2
かんたんに信用するのは
危険だね
インターネットやメールは便利だけど、おかしいなと思ったら、まず、大人に相談しようね!
【2/2 の目標】
「個人情報の保護」
「著作権や肖像権の保護」など、IT社会で問題となっている情報モラルやきまり(法
律)の存在を知り、それらを守ろうとする気持ちを育てる。
【学習展開】
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【事例 1】『クイズに答えて、ヒーローグッズをもらおう!』というホームページで『送り先の住所・
名前・学年と、メールアドレスを書いてね』と、画面が出てきたので、わくわくしながら
書きこみました。その後、知らない人から、ものすごい量のいたずらメールがとどいた。
ぼくなら書き込んでしまいそ
うだな。不審電話みたいだね
気をつけよう
その3
自分の情報を世界中の人に
知らされたんだ。
いろいろな方法で個人情報を集めようとする人がいます。
名前や住所、アドレスを書くところがあったら、まず大人に相談しようね!
【事例 2】ホームページからコピーしたもので、ヒーロー大図鑑を作りました。自分のホームページに
のせようとしたら、お父さんに「それは泥棒と同じだよと」反対された。
ホームページはのっているんな
ら使ってもいいんじゃないの
気をつけよう
その4
悪用する人がいるからかな。
許可を取ればいいのかな
人の情報を悪いことに使おうとする人もいます。
自分で楽しむ以外に、自分のホームページに、コピーした画像を勝手にのせてはだめ。(犯罪)
使うときには、相手の許可が必要です。
【事例 3】自分のホームページに、友達のクチャクチャ顔をのせました。
「私の顔を勝手にのせるなん
てひどい!」と、怒った友達に何度もあやまって、写真をすぐ消しました。
この場合も、コピーと同
ホームページは面白くなるけど
使われた人はおこるよね
気をつけよう
その5
じで相手の許可があれば
いいの?
ホームページに人の写真をのせるときは、友だちでも、許可が必要です。
肖像権といって個人情報と同じように法律で守られています。
【振り返り】
二時間の学習を通しての振り返りを次の視点についてインターネットチェックシートを使って行
う。
(視点1)自分や人の情報について
(視点2)メールや掲示板について
(視点3)こんなときどうする
5.授業について補足説明
(1)5年2組は、事前に1時間目の内容を学習済みです。また、5年1組の2時間目については、後
日行う予定です。
(2)授業では、HEART 出版の「ITマナーブック」を利用しています。これについては、HEART
のホームページ「http://www.213e-jititai.org」からダウンロード可能です。
※HEART 連絡先
: 〒060-0003
札幌市中央区北 3 条西 7 丁目 緑苑ビル 704 号
TEL 011(272)8853 FAX 011(272)8854
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6.参考資料1(5年生の実態調査から)
コンピュータ利用状況
家庭でのコンピュータ所持率
インターネットについて
1.ゲーム
26.5%
2.インターネット
22.5%
3.調べ学習等
18.6%
コンピュータで
87.1%
4.E-mail
12.7%
携帯電話で
12.9%
5.DVD・CD 等
6.その他
72.5%(ほとんどは家族共用)
7.8%
携帯電話所持率 17.6%
(専用:55% 兄弟で共用:45%)
携帯電話利用状況
34.8%
2. 写真・VTR
30.4%
3. ゲーム
21.7%
4. E-mail
13.0%
5. 音楽ダウンロード
13.0%
64.7%
【内訳】
インターネット利用状況
11.8%
1. 電話
利用できる家庭
1.ゲーム
30.8%
2.調べ学習等
26.9%
3.ホームページ
24.4%
4.E-mail
10.3%
5.ショッピング
6.掲示板等
【解説】
7.8%
11.8%
ゲームサイトやネットショッピング(親と一緒に)を利用している
という実態から、ネット利用に係るマナー指導の必要性が高い。
また、携帯電話の所持率は 6 年生(約 30%)に比べてまだ少ないが、
女子の所持率が高く、その点で現 6 年生の昨年の状況と酷似してお
り、今後増える可能性が高いと思われる。本校としては、モラル指導
に加えて、安全指導としての授業の位置づけが大切と考えている。
7.参考資料2(本校の情報モラル指導概要)
学習内容
4
年
具体的な指導事項
活用メディア
調べ学習のツールとしての
インターネットの基本ホームページの楽しみ方・検索 やさしいネ
インターネットの利便性
エンジンの利用
チケット
インターネット利用時の基 初歩的なネチケット・危険なホームページの存在
ver.2(東京書
本的なルール
籍)
情報・コミュニケーション E-mail やホームページでの交流の楽しさ
「ITマナ
ツールとしてのインターネ
ー教室」
5
ット・メールの利便性
(NPO 団体
年
インターネットやメール活 悪用される個人情報、メールを使った犯罪(安全指導) HEART)
生
用方法やマナー、活用時の 著作権・肖像権の遵守(自己の安全と法の遵守)
生
トラブルの実際と個人情報
保護の大切さ
インターネット・携帯電話 掲示板・チャット、ブログなどでの情報交流・発信
・地上デジタ
を利用した、様々な情報・
ル放送コン
コミュニケーションツール
ネットオークション、ネットショッピング、ゲーム、
音楽ダウンロード等
テンツ
6
の存在
年
インターネットや携帯電話 チェーンメール、フィッシングメール、アダルトサイ ネット」
(justsystem)
利用時のトラブル・犯罪の ト・出会い系サイトに対する危険回避(安全指導)
生
実際とその危険回避方法
・「つたわる
文字情報とネットの向こう側の相手の気持ち、掲示
板・チャット・ブログ等での情報発信における個人情
報・著作権保護の重要性(自己の安全と法の遵守)
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