(株)クロスエイジ(PDF:312KB)

事業内容で分類
創業形態で分類
地域資源活用
環境・リサイクル・新エネルギー
スピンオフ・独立
女性起業
新商品・新サービス開発
ソーシャルビジネス・コミュニティビジネス
大学発ベンチャー
シニア起業
「中規模流通」というビジネスコンセプトをもとに
「強い農業」へ産業化促進
株式会社クロスエイジ 代表取締役 藤野 直人さん
住所:福岡県春日市春日公園 3-61-2
電話番号:092-985-6266
FAX 番号:092-985-6267
E-mail:[email protected]
HP:http://www.crossage.com
設立:2005年3月
資本金:2,800 万円
従業員数:8 名
主要事業:企画・コンサルティング、
流通開発事業、消費者直販事業
■創業のきっかけ ~社会起業家になりたい
奈良県生まれの社長は、中学3年生の時に、テレビで孫正義氏やビル・ゲイツ氏の存在を知って、自分も社
長になりたいとあこがれていた。高校を出たら親元を離れて暮らしたい、将来は、研究開発型ではなくアイデ
ア創造型の起業をしようと、経済系の国立大学を目指した結果、九州大学に進学することになる。
大学3年生の夏、学生インターンシップ先のコンサルティング会社で担当したプロジェクト案件が、農業・
青果流通分野であったことが、今の事業に繋がる接点となった。2週間の期間終了後も個人的に係わり、農家
を廻ったり、スーパーや仲卸業者へのヒアリングといった市場調査を行っていたが、翌年の卒業時点でもプロ
ジェクトは続いており、他の会社に就職することもなく、4月からそのまま会社に籍を置いてプロジェクトに
係わった。しかしその案件も年末に終了したことから、独立を決意し、年明けから準備をして 2005 年 3 月、
学生時代に貯めた自己資金 300 万円を元に、食と農をテーマとした企画コンサルティングの会社「クロスエ
イジ」を設立した。社名は、
“年齢や年代に壁を作らず、地域や国の枠組みも取り払う”という意味を込めた。
元々、大学卒業後は自分で起業したい、世の中の課題を事業を通じて解決する
「社会起業家」になりたいと思っていたが、どういった事業をするかは特に決め
ていなかった。そこで、インターンシップ先で出会った農業の課題について考え
ると、古い業界と思われるなかでも、徐々に生産現場や流通現場が変わりつつあ
り、面白いと感じ、また、食や農は世の中に無くてはならない仕事であり、自分
が生涯一貫して取り組む事業テーマであると思った。
福岡市内に事務所を設け、中小機構に経営相談に行ったところ、民間インキュベーター施設の「ibb 天神」
(
(株)アイ・ビー・ビー)を紹介され、たまたま空き室があった幸運にも恵まれ、2005 年 8 月からに入居、
低額な家賃で天神のど真ん中にオフィスを構えることができた。
■事業のあらまし ~農業の産業化を目指して
会社を作った1年目は、農業コンサルタントとして九州一円の農家とネットワーク
を作った。そのなかで、出会ったある経営者からは、
“農業の流通や販売の改革をし
ろ”と言われた。
2年目には、コンサルティング先の産地市場から依頼されて、農産物の販売代行を
始めた。3年目の時、東京の企業から“産直小売チェーン事業を立ち上げるから、九州の産直品を仕入れて欲
しい”と依頼された。つまり、
「農家の販売代行」から「小売業者の仕入れ代行」といった農産物バイヤーに
なり、スーパーや飲食店と農家を繋ぐBtoBの仕事をすることになった。また、このあたりから会社はようや
く黒字になった。さらに、4年目の 2009 年 8 月 31 日(831 野菜の日)には、直販事業「時や」をスタ
ートさせた。
具体的には3つの事業である。
【食と農のコンサルティング事業】
商品開発、供給体制、マーケティング開発といった企画やコンサルティングを通じて、
農家のお手伝いをしている。
“消費者目線を持った農家の味方”というスタンスで、農家
や産地とは接している。同じ野菜でも品目毎のマーケティングプランの策定が必要だと
考えているが、そのマーケティングプランの策定の仕方そのものを体系化している。
「農業の産業化」に欠か
せないテーマである「自分で作って作物を自分で売る農業」を農家とともに進めている。
また、
「背広を着た農業実践塾(情報交換会)
」
(2004 年 11 月~2005 年 2 月、全 5 回を開催)など、
月に3~4回、年間 30~40 回の講演やセミナーを行っている。これらを通じて農家と出会う機会が多く、
生産者との広大なネットワークを持っていることが強みである。
ただ日本では、農家個人でコンサルティングにお金を払うという慣習がないため、青果市場や資材会社など
の関連業者、公的機関と一緒になって、地域農業の活性化を目指す取り組みを進めている。
【流通開発事業】
大規模流通で安価に売る仕組みは限界に来ており、これからはミドルマーケット
「中規模流通」が狙いである。こだわりを持ったスーパーや直売店、通販や生協とい
った取引先約 80 軒に、九州一円の 100 軒を超える生産者から直接仕入れて直接届
けている。
当社の卸売り事業の相手である生産者は、農業専業で食べていける、
「農業法人」
、
「30 歳代の農業後継者」
、
「異業種からの参入組」
、
「こだわりの商品を生産する篤農家」
、以上4タイプの生産者を対象としている。
これからは地元限定の「地産地消」ではなく「知産知消」
、九州で作ったものを価値が分かる人に届けたい。
【消費者直販事業】
農家直売所「時や」で小売事業をしている。九州一円の地場野菜や果物を販売し、福岡
県内の浮羽や朝倉地区には早朝に生産者の元に取りに行って、午前中には店に並べている。
郊外の農産物直売所は、都会の人間が日常的に買い物に行くことが難しいので、直売所
の 1 つが都会にやってきたというコンセプトで、都市部に直売所を設けた。
セミナーや研修会、個別コンサルタント等を通じて構築された独自の生産者ネットワー
クにより日々商材を仕入れ、また、生産者の思いを伝えるために、きちんと商品の説明を
しており、さらに、対面販売を通じてテスト販売やモニタリングも行う等、普通のスーパ
ーマーケットや八百屋との差別化を図っている。現在、南区高宮と中央区清川に2店舗を構える。
■今後の取組 ~日本の農業システムを海外へ展開
会社を設立したばかりで実績もお金もコネもない時に、宮崎の農業法人の社長から「誰と会う時でも俺の名
前を使ってもいい」と言われたことが、九州一円 100 を越える生産者ネットワークの原点となった。また、
その後の繋がりで、山口の農業法人の社長から「農業の産業化」のコンセプトを授かり、そのまま会社の経営
理念となっている。
設立4年目の時、経済産業省の「にっぽんe物産市プロジェクト」の地域エージェントに
応募した。この事業により、一次産業と販売者の間に立った「地域商社」機能を担うという、
今のビジネスモデルの構築に役立った。その後、メーカーや産地問屋が一緒になって新たな
小売ネットワークの構築を目指す組織、
「地域間中間規模流通協議会(豪族ネット)
」を立ち
上げ、こだわりの農産物の相互流通を実現している。こういった全国の産地市場同士の交流
会により、地域間連携による相互物流とノウハウ共有の枠組みが始まっている。
「農業の産業化」により、品質や生産体制だけでなく経営形態も含めて、日本の農業が世界一になると考え
る。農産物だけでなく、農業技術や農業経営まで輸出する海外事業の展開に向けて始動している。
農家が自分たちで作った農産物を生産量に見合った規模の販売先に販売できる流通システムを構築し、プロ
農家が安定的に儲かる仕組みにより、農業を魅力ある業種、小学生にとってあこがれの職業にしたい。
■活用した施策
・2005 年 8 月、ibb fukuoka インキュベーション施設「ibb
天神」に入居(6 年間)
・平成 24 年度先端農業産業化システム実証事業(経済産業省)
・平成 24 年度福岡市創業者応援ファンド第 1 号
・平成 25 年度緊急雇用創出事業(福岡県)
■その他特記事項
・平成 20 年度 福岡市ステップアップ助
成事業最優秀賞受賞
・2012 年 3 月北九州ソーシャルビジネス
メッセ&フォーラム 2012
・
『
「これからの農業ビジネス』書籍出版
■創業予定者に対するメッセージ
“心の底に染み渡るような経営理念(存在意義)がきちんと見つかるまで頑張れるか?”