2013年 2013年9月25 日(水)発行 武蔵小杉スクール フィスゼミ 武蔵小杉 スクール 校長 本荘 雅一 ℡:044-948-5661 ✉:[email protected] http//www.fines-group.com 10 月の予定一覧 予定一覧 日 月 火 水 木 金 土 9/29 30 10/1 2 3 4 5 5A、学判 A、学判 小6必勝④ 必勝④ 統一模試 10/19 分申込〆切 6 7 8 9 10 11 12 保護者会・ 保護者会・特 日能研合 別講座 判模試 英検 (鷺沼スクール 鷺沼スクール) スクール) 13 14 15 16 17 18 開講 6A、4 A、4・6T (体育の日 中 3 必勝③ 必勝③ ですが) 20 19 21 22 23 24 25 26 28 29 30 21 11/1 2 ファインズ ラボ「 ラボ 「カエ ルの解剖」 解剖」 27 漢検 (鷺沼スクー 鷺沼スクー ル) テスト時間割 テスト時間割( 時間割(記号に 記号に注意) 注意) 4T 小4非受験 統一模試 土曜日 13:10~14:40 算・国各 40 分 5C 小5中学受験 チェックテスト 土曜日 13:00~15:10 算・国各 30 分 理・社各 20 分 5A 小5中学受験 アタックテスト 土曜日 13:00~16:10 算・国各 50 分 理・社各 30 分 6T 小6非受験 統一模試 土曜日 13:10~14:40 算・国各 40 分 6A 小6中学受験 アタックテスト 土曜日 13:00~16:10 算・国各 50 分 学判 理・社各 30 分 学判テスト 1・2 中学1・2年 1・2 土曜日 16:30~19:05 英・数・国各 45 分 土曜日 14:20~19:10 英・数・国・理・社各 50 分 年 学判 学力判定テスト 学力判定テスト 中学3年 3 3年 ●受験生必勝講座 受験生必勝講座 小 6:④10/5(土)【柿生】11:15~17:15 中 3:③10/19(土) 【鷺沼】13:30~19:00 ●中学受験向 中学受験向け 中学受験向け模試 *日能研全国模試 10/6( 10/6(日)各会場で 各会場で実施 *アタックテスト 10/19( 10/19(土)フィスゼミで フィスゼミで実施。 実施。13:00~ 13:00~16:10 ●高校受験向 高校受験向け 高校受験向け模試 *私立もぎ 私立もぎ 10/13( 10/13(日) 各会場で 各会場で実施 *W合格 *W合格もぎ 合格もぎ 10/27( 10/27(日) 各会場で 各会場で実施 ●非受験小学生模試( 非受験小学生模試(統一テスト 統一テスト) テスト) 10/ 10/19( 19(土)実施。申込〆切は 10/5(土) ●ファインズラボ ファインズラボ「 ファインズラボ「カエルの カエルの解剖」 解剖」 10/20( 10/20(日) 13:00 13:00~ :00~15:00 15:00 ファインズ青葉台 ファインズ青葉台スクール 青葉台スクール 小学4 小学4年生~ 年生~中学2 中学2年生対象 ●冬期準備保護者会( 冬期準備保護者会(保護者対象、 保護者対象、語学特別講座付き 語学特別講座付き) 10/12(土 10/12( 土) ①保護者会 10 時~11 時 ②特別講座 11 時~12 時 「生徒ノート 生徒ノートの ノートの紹介( 紹介(中学生M 中学生Mさん: さん:社会科) 社会科) 今回、中学生Mさんのノートを紹介するのは、彼女が、私や本荘先生が指示したわけではないの に、この教科の本質を理解し、学校のプリントから自発 的に、ノートを作成していてくれたためです。このノー トを、私と本荘先生が高く評価する理由は、大きくわけ て、3 つあります。 一つは、彼女が、あまり社会が好きではないという点 です。歴史が好きな子というのは、一定数いまして、そ うした子が、好きでやるということは珍しくありません が、彼女の場合は、それほど思い入れがあるわけではな いのです。そうした子は、本来、科目自体を敬遠し、 「手 早く」すませてしまいがちです。しかし、このノートの行間からはなんとかそれを、理解しよう(覚 えようではなく)と言う意思がしっかり読み取れます。 二つ目は、しごく当然に思いがちですが、とても丁寧に作っている点です。綺麗ではなく、丁寧 に作っているところに、彼女が、日ごろどういう姿勢で勉強に臨んでいるかがわかります。 三つ目は、彼女の生の声が、しっかりと記録され ているという点です。ある頁の余白に、 「興味ないけ ど・・・」とあります。なぜ、こうした「感想」が 大切かといえば、戦後の「社会科」が目指したもの が、まさにそれを拡充する目的であったからです。 「どう思うか」を無視して、事実を羅列しているだ けのものは、歴史なり公民なりを学習しているとは 言えません。自分なりの、意見、共感、反論があっ て、それは、学習となりえます。 以上の点から、このノートを、私は高く評価いた します。ぜひ、他の生徒さんも参考にして、 「生の拡充」 (大杉栄)のために、社会科の勉強を役立 ててほしいと思います。 話すということ- すということ-児童期における 児童期における言語習得 における言語習得の 言語習得の問題 た フィスゼミ武蔵小杉スクールに初めて、赴任して、半年が経ちました。本荘先生とも半年前まで は、面識がなく、初めてお会いしたときに、精気のない私の表情を見て、「とにかく、生徒のため になることならどんどんやってください。なんでも。」とおっしゃっておられたのを、昨日のこと のように感じます。それまで私は、高校生、高卒生、大学生の指導の経験が長く、小学生や中学校 低学年生とここまで長く同じ時間を過ごすことはありませんでした。この半年、生徒さんたちの言 葉に驚かされることの連続でした。なぜ、生徒さんたちの言葉に驚かされるのか、その点を、すこ し考えてみたいと思っています。 よくある誤解として、「日本語」は、普遍的であり、誰もが同じ言葉を使っているというものが あります。ですから、国語などは、普通に生活していれば誰でもできるはずであり、できないのは 勉強が足りないからだと考えている人は少なくはないでしょう。言うまでもありませんが、これは 誤りです。言語というのは、生活範囲に、強く規定されます。簡単に言えば、周囲にどんな人がい て、どのような言葉を使う必要があるのかということが、言語の質を決定していきます。丸山真男 の論文を、すべての人が同じように読めるということはありません。丸山の関心と同じような関心 と、その背景を、共有した人は、それをたやすく理解できます。これを、ここでは、コンテクスト、 「文脈」と呼びたいと思います。 言葉というのは、 「文脈」で変幻自在に形を変えます。 「文脈」とは前後の言葉の並びだけを意味 するものではなく、それを取り囲む外的な環境の一切を含むものです。たとえば、江戸時代に用い られていた訴状があったとき、それが書かれた背景を消去して、その内容を理解することはできま せん。訴状の背景には、訴えなければならない理由や、当時の社会情勢、さらにいえば、作者の言 語状況などが存在します。こうした外的状況が、内在的な言葉を決定していきます。有名な学者に、 バースティンという人がいます。この人は、学校の教室で用いられている言葉を分析し、なぜ、中 産階級以上の子弟は、学校の文化をたやすく消化できるかを証明しようとしました。バースティン は、ここで、「言語コード」という概念で、これを説明しています。この言語コードのうち、中産 階級のコードは、学校のそれにきわめて近いものである。だから、中産階級の子弟は、学校での会 話に苦労しないのだというのが、やや乱暴にまとめた場合の、バースティンの主張です。 フィスメイトという、向き合って行う形の授業では、毎回、生徒さんたちは、黙りこくって授業 を受けているわけではありません。先生のほうを向いて、押し黙っているという形式ではなく、自 分で勉強しながら、わからないときは、自分の言葉でそれを、説明する必要があるわけです。そう すると、生徒さんたちが、なにがわからないのかを、こちらは、理解する必要がありますから、自 然と、大人である講師と、生徒さんとの間での言語的な差異が浮き彫りになります。自分のことを、 相手に伝えるというのは、非常に重要な言語運用の能力です。より正確に、自分を表現しようとす れば、自ずと、言語は洗練されます。こうして、当教室では、従来の塾とは、すこし変わった言語 コードが、定着したと、感じています。 私は、生徒さんが、講師だけでなく、他の子と話すことは、重要なことであると思っています。 よく、「読書家」という言葉が使われますが、これは、中国の科挙試験の勉強のように、暗い部屋 にひとり閉じこもって、古典作品を読んでいるイメージです。こうした読書で定着する言葉は、そ の「文脈」による言語です。つまり、科挙試験という世界で用いられているコードです。これの習 得度が、科挙の合否に影響しているのはいうまでもありません。ですから、中国では、長い時代、 市民は、正統的な文学の担い手たりえなかったとも言えるのではないないでしょうか。 た 一方で、われわれは、知らず知らずのうちに生活の中で、言葉を貯めています。その主たる供給 源は、会話です。会話は、相手がいなければできません。そして、相手には、その相手の「文脈」 が存在します。会話をするということは、お互いの「文脈」をつきあわせる作業でもあります。こ うして、相手の「文脈」が自分と異なれば、その言葉を、われわれは、異質なものとして、聞くこ とになります。今日、カウンセリングという用語が定着しているように、聴くということは、とて も重視されています。それと、同時に、話すということもまた、重視されるべきものだろうと思い ます。特に、言語を身につける段階である、児童期において、話すということは、自分の「文脈」 を構成する意味を持ちます。 生徒さんたちは、休み時間、とてもたくさんのおしゃべりをします。私は、おしゃべりというの は、とても大切なものではないかと思っています。おしゃべりができるということは、相手の言葉 がわからなければいけません。また、わからなくても、わかっているようにしなければなりません。 相手の言葉に触れることで、自分の言葉の意味がわかります。また、自分で、言葉を選ぶことによ り、表現するということが可能になります。私が見ていると、小学生の生徒さんは、まず、「自分 のこと」を表現しようとします。「暑い」「つまらない」「好き・嫌い」「お腹減った」。中学校の生 徒さんたちは、「自分の中の他人のこと」を表現しようとします。「あの先生は嫌い」「部活で相手 チームが」など。反対に、大人というのは、 「他人の中の自分のこと」、つまり、自分を語っている ようで、他人を語ることが少なくありません。こうして、フィスメイトという形で、各種の「文脈」 が持ち込まれた空間は、一種独特な言語世界を構築しています。 あまり知られていないのが、とても残念なのですが、明治の思想家である福澤諭吉は、こうした 異種混合による人間の形成を重視していました。彼は、これが、国の本であるとさえ考え、慶応義 こうじゅん しじゅん 塾の他に、 交 詢 社(交わりともに諮詢する)といった組織を作っています。福澤は以下のように 述べています。 「世に学問と云い、工業と云い、政治と云い、法律と云うも、皆人間交際のためにするものにて、 ゆえん もうく 人間の交際あらざれば何も不用のものたるべし。政府何の由縁を以て法律を 設 るや、悪人を防ぎ まった 善人を保護し、以て人間の交際を 全 からしめんがためなり。学者何の由縁を以て書を著述し人を もっ 教育するや、後進の智見を導て、以て人間の交際を保たんがためなり」(福澤諭吉「學問ノスヽメ 九編」『福澤諭吉全集第3巻』、八七頁) こうした「交際」による人間の形成を、彼が重視する背景には、天保年間に、中津藩の下級士族と して生まれ、さまざまな人間と交わりながら、自分の言葉を構築していった福澤の、非近代的な生 活への実感があったことでしょう。彼のころには、外国語を教える学校は蘭学塾しかなく、英学な こ どは、すべて、人から直接教えを乞うたものでした。 私たちのフィスゼミは、フィスメイトという授業形態を取っていますが、本荘先生のオリエンテ ーションでの言葉のとおり、近代的な、教師が教え、生徒が教わるという構図ではなく、生徒さん 自身が、自ら主体的に学んでいくということを目的としています。それは、福澤の経験のような非 近代的な学びのあり方を見つめなおすという視点をも含んでいます。 その中でも、ただ本に書いてある難しい言葉をしたり顔でなぞるのではなく、積極的に、異なる 「文脈」を有した他者と、話していくことが、自分自身の言葉を成長させ、他者を理解するうえで の、とても大切な手段であることを、ここでは、述べてみました。私の使っている言葉を、生徒さ んは聞いていますから、まねしていることもあるでしょうし、私が、生徒さんの言葉を学んでいる ことも少なくありません。生徒さん同士では、さらに、それが顕著でしょう。こうした授業という 枠に留まらない範囲で、生徒さんたちの言語能力を、少しでも向上させ、自分を表現し、相手を理 解することができるように、することが、国語講師としての私の一つの使命であると思っています。
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