第1回「板金の基本」(お試し版)

板金( Sheet Metal シートメタル )を用いたものづくりは生活のなかに広く
浸透しており、あらゆる分野において板金製品は利用されています。
その中でも、自動車・建築資材・電子機器の産業で使われることが多く、
用途として、外観が重要視されるものから、耐久性が求められる部品、
1/100mmの精密さで使用される機械の部品まで多岐に及びます。
本日はそんな板金加工についての性質、製造工程などをご説明させて頂
きたいと思います。
このセミナーを通して、皆さまに板金加工についての知識がより深いもの
になる手助けが出来れば幸いです。
株式会社 リ・フォース
清水康晴
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1.板金の性質
2.樹脂材や紙材との違い
3.製造工程のご紹介
4.製品例と、加工方法例ご紹介
5.質疑応答、アンケート記載
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板金加工でも、製作物や使用用途、使用環境など様々な条件によって、
金属の材質を選択する必要があります。
ここでは、板金加工で使用される代表的なものをご紹介いたします。
① スチール
② ステンレス
③ アルミニウム
④ 銅・真鍮
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板金加工の基本的な材料であり、市場流通量が多いため入手するまでに
時間のかからないものが多い。
錆やすいというデメリットがあるが、塗装やメッキなどの表面処理を施すこ
とで、対処することができる。
●SPCC ・・スチールの材料で、素材そのままのもの
●SECC ・・電気亜鉛メッキ鋼板
SPCC材に亜鉛メッキ処理を施すことによって、SPCC材より錆びる
速度を遅くすることを可能にしている。
ボンデ鋼板と呼ばれることもある。
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非常に錆びにくい性質を持ち、品質を保つための表面処理が必要ない。
強度は強く、熱伝導性は低い性質を持つ。
熱膨張率が大きいため、高温環境下での使用には注意が必要。
また、鉄以外の金属は非鉄金属と呼ばれる。
●SUS304 ・・ステンレスの板金材料で最も一般的なもの。
特に指定がなければ、通常はこの材料を使用する。
非磁性体であるため、磁石には付かない。
●SUS430 ・・304に比べてコストは安いが、耐食性は劣る。
コストを抑え、外観を重視するような製品に適切。
磁性体であるため、磁石に付く。
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ステンレスは様々な場所で利用されている為、その用途に応じて様々な表
面仕上げが存在している。
意匠的に利用されることも多い為、その場合は表面にビニールを貼った状
態で取扱われる。
●NO.2B ・・ 冷間圧延後、熱処理、酸洗を施し、適度な光沢を得る為、
スキンパス(圧延・引き抜き)を施している。
ステンレスの中では一般的な仕上げ。
●BA仕上 ・・ 美しい光沢のある仕上げ。
他の表面仕上げと比べ、耐食性に優れている。
意匠性が求められる所など幅広く利用されている。
●HL仕上 ・・ 2B材などに研磨機で一方向に連続した仕上を施している。
髪毛状の細いライン模様が特徴。
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金属の中では軽量であるため利用しやすく、切削性は良い。
しかし、溶接性は悪く、板金加工では難しいとされている。
鉄に比べ錆び難くはあるが腐食しやすいので、加工後はアルマイトなどの
表面処理が必要になる。
アルミで一般的に使われる材料はA5052といい、代表的な合金である。
建材や車両、アルミホイールなど広く使われている。
導電性・熱伝導性が良好な為、電極や電気部品によく用いられる。真鍮は
黄銅とも呼ばれており仏具など装飾具に使われることが多い。
鉄などと比べると加工性はやや劣り、高価な材料である。
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