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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
十六アジアレポート 2017 年 1 月号
2017 年 1 月 4 日
十六銀行 海外サポート部
《 目
次 》
<駐在員レポート>
1.バンコク: 「プミポン国王陛下崩御から2ヶ月」 バンコク駐在員事務所
2.上海: 「チャイナビジネスセミナー&交流会in上海2016」 上海駐在員事務所
3.香港: 「地銀合同セミナー・交流会@広州2016」 香港駐在員事務所
4.シンガポール: 「SJ50に想うこと」 シンガポール駐在員事務所
5.ベトナム: 「ブラックフライデー開催∼じわじわと欧米の波が∼」
十六銀行 海外サポート部 (ベトナム投資開発銀行 ジャパンデスク) 伊藤 信介
6.インドネシア: 「キラキラの国 インドネシア」
十六銀行 海外サポート部 (バンクネガラインドネシア ジャパンデスク) 三浦 武雄
7.為替相場情報
本書中の情報は情報提供のみを目的として作成されたものであり、何らかの行動を勧誘するものではあ
りません。ご利用に関しては全てお客様御自身でご判断くださいますよう、宜しくお願い申し上げます。
当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当行及び執筆者はその正確性を保
証するものではありません。また、本書中の情報は、法律上、会計上、税務上の助言を含むものではあ
りません。法律上、会計上、税務上の助言を必要とされる場合は、それぞれの専門家にご相談ください。
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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
1.バンコク:「プミポン国王陛下崩御から2ヶ月」
バンコク駐在員事務所
タイのプミポン国王陛下の崩御から 2 ヶ月が経過しました。1947 年に即位して以来 70 年に及ぶ
在任期間中、国王はタイの発展・安定に大きく貢献してきたことから、国民から絶大な尊敬を集め
ていました。今月は、日系企業の動向を中心に、大きな喪失感を覚えたタイの現在の様子をレポー
トします。
■プミポン国王陛下の崩御
昨年 10 月 13 日 18 時 50 分、タイ王室庁がテレビを通
じてプミポン国王陛下の崩御を発表しました。発表によ
れば、プミポン国王陛下は、2014 年 10 月より約 2 年に
わたりバンコクのシリラート病院で治療を受けてきま
したが、体調は回復せず、13 日 15 時 52 分、シリラート
病院にて安らかに崩御されたとのことでした。享年 89
歳でした。
続いて同日 19 時、首相府がテレビを通じて以下の内
<街中至る所で掲げられている
容を発表しました。
プミポン国王の遺影>
(1)全ての公的な場所、国営企業、政府関係機関及
び教育機関は、10 月 14 日より 30 日間半旗を掲揚する。
(2)全ての公務員及び国営企業従業員、政府機関職員は、10 月 14 日より 1 年間喪に服す。
(3)一般国民は、適切な行動を考えて行動すること。
その他、歌舞歓楽は 30 日間の自粛、弔意を表す黒い服(または白い服)の着用が呼びかけられ
ました。
自粛ムードの中、祝い事やイベントの多くは延期や中止を余儀なくされました。当行お取引先さ
まの中には、昨年 11 月に開所式や操業 20 周年記念式典の開催を予定していたものの、やむなく中
止を決定したお取引先さまもいらっしゃいました。
なお、当行他 13 行主催で昨年 11 月にバンコクで開催予定であった「タイ日系企業ビジネス交流
会」も本年 5 月に開催を延期いたしました。
■企業活動・生産の現場では
国王崩御が発表された翌 14 日に工場の操業を休止した日系企業は、キャノンやユニチャームな
ど一部の大企業にとどまり、多くの日系企業は通常通りの操業をしていました。
国王崩御の翌日ということもあり、タイの人々の多くがショックを受けていた状況にあって、お
取引先さまの現法代表者の中には、14 日に従業員が通常通り出勤してくるか不安を感じた方も多
かったようですが、意外にもほとんどの従業員が休まず出勤してきたとのことです。14 日の午後
には、プミポン国王陛下のご遺体が王宮にお帰りになりましたが、バンコク市内のオフィスやバン
コク近郊の工場に勤務する従業員からは、国王をお見送りしたいとの要望が出され、午後から半休
にしたお取引先さまもいらっしゃいました。
その後、従業員から出された要望としては、社内あるいは工場の入口に国王の遺影を掲げて欲し
い、従業員全員に黒いTシャツを配布して欲しい、または黒リボン(喪章)を配布して欲しい、な
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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
どがあったようですが、お取引先さまからは要望を却下したとの話は一切無く、概ね対応されたよ
うです。
現在に至るまで、国王崩御に起因して生産の現場が混乱したという情報はほとんど入ってきてお
りません。生産の観点からは、企業活動への影響はあまり無かったといえます。
■自粛期間の延長
国王崩御から 30 日が経過しても、バンコクの街中で
はたくさんの人々が黒い服装をし続けて弔意を示して
おり、タイ国民の深い悲しみが伝わってきます。こうし
た世情を鑑み、日系企業の多くは、当初、自粛期間を 30
日間と捉えていましたが、100 日間へと延長しています。
日系企業が自粛期間に採っている措置として、前述し
た記念式典等の延期の他には、自社主催ゴルフコンペ、
社内ゴルフコンペの自粛、クリスマスパーティー、ニュ
ーイヤーパーティーの自粛、社員旅行の中止等が挙げら
<サイアム駅。黒い服装が目立つ。>
れます。また、例年であれば年末に行っていた、取引先
へのギフトバスケットの贈答や、グリーティングカードの発送を控えた企業も多かったようです。
取引先との会食を自粛或いは控えめにする向きもありました。
■消費への影響は軽微?
こうした動きから、ゴルフなどの娯楽関連、ギフト小売関連は売上に大きな影響を受けているよ
うです。一方、ホテル業、旅行業の苦戦も予想されたため、複数ヒアリング(営業担当者レベル)
したところ、少し違った面も見えてきました。
ホテル業については、国王崩御後 30 日間については、一時的には売上が減少したものの現在は
ほぼ例年並みに戻っているとのことでした。30 日経過後には、日系以外の外資系企業やタイロー
カル企業はディナーパーティーやランチセミナーを開催し始めており、民間でも 30 日間の自粛期
間直後から、招待客 500 人規模のウェディングをすでに数件取り扱っているとのことでした。12
月現在の客室稼働率も 80∼90%であり、例年並みとのことです。
旅行業においては、複数社にヒアリングしましたが、いずれも影響を感じていないとの話でした。
30 日間の自粛期間においても、実感としてインバウンドの減少はあまり無かったとのことであり、
アウトバウンドについても、例えば、タイローカル企業の日系自動車ディーラーによる、店舗マネ
ージャー数十人の日本視察ツアーなどを自粛期間中に取り扱うなど、例年に比べて特に落ち込みは
感じなかったとのことです。筆者も、自粛期間中にチェンライやウドンターニーなどといった地方
都市へ行く機会がありましたが、彼の地の空港でバンコク便の搭乗を待つ人々の中には、親類縁者
で連れ立って、王宮へ弔問に向かうのだろうと予想される方々を数多く見受けました。このような、
弔問を契機とした国内旅行消費は、むしろ増加しているのではないかと思われます。
■おわりに
プミポン国王陛下の崩御により、大変多くのタイの人々が悲嘆に暮れました。こうした国民感情
に配慮し、日系企業の多くは慎重な行動を取っていますが、諸外国勢に比べ、ややセンシティブな
きらいもあるようです。昨年 12 月には新国王も即位され、タイの人々も悲しみを乗り越えつつあ
ります。我々日系企業も、そろそろタイ経済への貢献を鑑み、消費行動を平時に戻してもいいので
はと感じています。
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2.「チャイナビジネスセミナー&交流会 in 上海 2016」
十六銀行 上海駐在員事務所
平成 28 年 12 月 15 日(木)に「チャイナビジネスセミナー&交流会 in 上海 2016」を、当行を含
む地方銀行 6 行で開催しました。今回は、このイベントの様子をご案内します。
■ 上海に拠点を有する地方銀行 6 行の協力により開催
今回のイベントは当行の他、滋賀銀行(滋賀県)、第四銀行(新潟県)、中国銀行(岡山県)、
西日本シティ銀行(福岡県)、東京 TY フィナンシャルグループ(東京都民銀行、八千代銀行、新銀
行東京)の 6 行により開催致しました。各行のお取引先のうち、上海近郊に拠点を持たれているお
取引先を中心に合計 124 社、157 名の方にご参加頂きました。
各行のお取引先は上海を中心とした華東地域に数多く進出されています。本商談会は、日本全国
の各地銀のお客様に効率的な情報収集・商談を行って頂く機会と考え、各行が協力して開催したも
ので、当行は今回で 3 回目の共催となります。
■ 第 1 部個別商談会、第 2 部セミナー、第 3 部交流会の三部構成
第 1 部は参加企業同士が 1 対 1 でのビジネ
マッチングを行う個別商談会、第 2 部は上海
に進出している日系企業のコンサルティング
業務に従事し、日本企業の中国進出に関する
講演も多数実施している上海納克名南企業管
理咨詢有限公司(NAC 名南コンサルティング)
の小島成樹氏による「現地化の注意点/2017
年為替展望と対策」と題したセミナー、第 3
部の交流会では、情報交換の場として、また
第 1 部の個別商談会のみでは十分な時間が取
れなかったお客さま同士が積極的に交流を図
【個別商談会の様子】
る時間としてご利用頂きました。
■ 関心の高い第一部個別商談会について
相手企業と直接商談することができる個別商談会への関心は高く、今回のイベントに参加頂いた
124 社のうち 79 社は個別商談会にご参加頂きました。当日までの全体的な流れは、以下の通りとな
ります。
① 参加企業の調達・販売ニーズの双方を一覧表に取りまとめて、事前にご提供
② 上記一覧表を参考に、商談相手を第 1∼4 希望までお伺い
③ とりまとめた商談希望をもとに商談設定を行い、商談スケジュールを事前にご案内
約 2 時間の間に、1 社あたり最大で 6 件の商談を設定することができ、今回は合計 122 件の商談
を設定しました。アンケート結果の速報値によると、個別商談会に参加した企業のうち、約 84%が
今後に繋がる商談が出来たと回答を頂いています。
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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
■ 製造業を中心とした参加企業
今回のイベントへの参加企
業のうち、6 割弱を製造業が占
め、卸売・貿易業がこれに続き、
この 2 業種で全体の 8 割を占め
ることとなりました。
いずれの業種においても自
社製品の販売ニーズが多いの
は当然ですが、素材、各種部
品・加工、外注先発掘、食材、
雑貨等の調達ニーズも多く、約 70 社がこういった調達ニーズを持ってご参加頂きました。
【セミナーの様子】
【交流会の様子】
■ お客様の中国ビジネスをサポート
2016 年には「中国ビジネス交流会 in 青島 2016」、「FBC 上海 2016 ものづくり商談会」、「大
連-地方銀行合同ビジネス商談会」、そして「チャイナビジネスセミナー&交流会 in 上海 2016」
を開催致しました。各イベントに対して総じて高い評価を頂いておりますが、イベント後にも改め
て交流を持つ企業と出会うことができたお客様からは、特に喜ばれております。実際にこのような
イベントにご参加されることで、効率的なビジネス発展の場となることや、思わぬ発見や出会いが
期待できるのではないでしょうか。
今後も当行では海外ビジネスに取組まれるお客さまに役立つ様々な企画を計画していく予定で
すので、積極的にご参加賜りますようお願い申し上げます。
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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
3.香港:「地銀合同セミナー・交流会@広州 2016」
香港駐在員事務所
平成 28 年 12 月 16 日、十六銀行は香港に拠点を有する地方銀行 9 行(十六銀行、足利銀行、大垣共
立銀行、京都銀行、群馬銀行、南都銀行、西日本シティ銀行、福岡銀行、横浜銀行)と協力し、中国広
東省広州市において、
「地銀合同セミナー・交流会@広州 2016」を開催しました。香港および中国広東
省に進出している取引先を中心として参加を募り、76 社、107 名の参加を得ました。
中国有数の大都市である広州市や深圳市を有する広東省は、世界の工場と呼ばれるように、早くから
日本の製造業が進出してきましたが、近年の中国の経済発展に伴い、進出企業を取り巻く経済環境は予
想をはるかに超えて大きく変化しています。例をあげると、
〇人件費の高騰
中国での人件費の目安とされる「最低賃金(月額)」は省や市ごとに定められていますが、例えば今
回の会場である広州市の最低賃金は 10 年前の 2006 年時点では 780 元であったものが、2016 年は 1,895
元になりました。10 年で約 2.5 倍です。日系企業は最低賃金以上で従業員を雇用しているところが多
く、当地での工場労働者の賃金は月 2,000 元∼3,000 元ほどです。そしてこの賃金は毎年 10%弱で上昇
し続けています。このため、労働集約型の企業は中国の内陸奥地へ移転するか、他国へ移転するか、も
しくは投資して機械化し省力化するか、何かの策を検討しなければなりません。
〇不動産の高騰
昨年の夏に中国の株価が大幅に下落したのは記憶に新しいですが、その後このマネーが不動産に向か
い、深圳市では昨年 9 月から今年 9 月までの 1 年で不動産価格が 70%も高騰しました。深圳市の不動
産は 20 年前は隣の香港の 10 分の 1 以下の価格でしたが、現在は 2 分の 1 程度まで上昇しています。11
月に入り政府が価格抑制策を実施したため現在は一服していますが、長い目で見ると上昇基調は変わり
ません。不動産の高騰は地代の上昇、社宅や寮の家賃の上昇に繋がり、会社の利益を圧迫します。
〇都市化
不動産価格の高騰もさることながら、大都市では都市化が著しく、大規模なマンションやショッピン
グモールの建設が次々と進んでいます。進出したころは駅もない、舗装された道路もないような工業団
地だった地域の多くが、今ではオフィスビルやマンションの立ち並ぶ都市へと変化してしまい、開発の
ために立ち退きを迫られるケースも発生しています。特に進出が古い企業の工業団地ほど、現在の街の
中心部に近く、移転も視野に入れないといけません。
〇チャイナプラスワン
中国は「世界の工場」と言われて久しいですが、
「工場」といっても、以前は材料や部品を中国に送
り、中国で組立加工して完成品にし、日本やアメリカなどに輸出する“組立”工場でしたが、経済成長
とともに中国国内市場が拡大し、中国で組立てて中国で売るビジネスモデルに変化し、
“販売も行う”
工場に変化しています。部材の調達も日本からの輸入だけでなく、現地調達が拡大しています。大手メ
ーカーでは、世界へ輸出する「グローバルモデル」の製造拠点は中国からベトナムやタイに移管し、中
国国内の生産は中国市場向け、としているところが増えてきました。大手メーカーに追随して進出した
サプライヤー企業は中国国内での大手メーカーからの受注減に伴い、新たな販路の拡大の必要性を迫ら
れています。
〇産業構造の変化の影響
10 年前の 2006 年の中国の GDP の内訳は第一次産業が 12.6%、第二次産業が 47.5%、第三次産業が
39.9%という構成でしたが、直近では第一次産業が 9.0%、第二次産業が 40.5%、第三次産業が 50.5%
とサービス業の伸張が目立ちます。日本から中国への投資が年々減っているため、世界中が対中投資を
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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
減らしているように感じているかもしれませんが、2015 年の世界の国からの中国への直接投資は前年
比 5.6%増、3 年連続で過去最高を更新しています。増加の主因は第三次産業への投資で、中国経済も
内需型へ転換しつつあります。
【地銀合同セミナー・交流会】
十六銀行では一昨年 12 月に広東省広州市では初めての地銀合同セミナー・交流会を開催しましたが、
今回は 3 回目の開催となりました。昨年のプログラムは個別商談会と懇親会でしたが、お客様からセミ
ナーの要請が多くあったことから、第一部をビジネスセミナー、第二部を懇親会といたしました。
【第一部:ビジネスセミナー】
第一部では、講師にKLO投資コンサルティング有限公司
広州分公司の藤田大樹氏(日本国弁護士)を招き、
「中国で
の法務調査の現場からみた企業コンプライアンスの注意点
∼法務デューディリジェンスの観点から∼」と題したビジネ
スセミナーを実施しました。前述の通り、中国での事業環境
は大きく変化してきており、進出企業は今後を鑑みつつ、組
織変更、事業分割、譲渡、清算といった選択肢も視野に入れ
なければならないこともあるかと思います。また、企業コン
プライアンスの論点として商業賄賂が話題に上がることが
多いことから、こういったテーマの講演といたしました。前半では企業再編の概要から、再編と労務問
題の関連、リストラの法的手続き、解散・清算実務の概要などについて、後半では商業賄賂の概要、調
査の手法、書類の精査などのポイントを解説いただきました。ちょうど 11 月にソニーが広州市のカメ
ラ工場を中国ローカル企業に売却するにあたって、従業員の大規模ストライキが起きたばかりであり、
参加企業からはタイムリーな話題でした、という感想を多くいただきました。
【第二部:ビジネス交流会】
第二部では立食形式の交流会を実施いたしました。今回は
個別商談会を実施しませんでしたので、交流会の場で少しで
も有益な親交を深めていただくために、事前に参加者全員の
リストを作成・配布し、お客様がビジネスパートナーとして
興味のある企業をピックアップしていただき、当日の会場で
取引銀行を通じて紹介しあう「指名式の名刺交換」を行いま
した。従来もこうした交流会の会場でお客様より「〇〇会社
さんを紹介して欲しい」といった依頼を受け、個別に取引銀
行経由で紹介をしておりましたが、会場で混乱することが多
く、すべての希望には添えなかったかと思います。今回お客様からピックアップいただいた組合せは全
体で 170 件ほどありましたが、銀行ごとに体系的に面談していく形式をとり、すべての希望先と名刺交
換をしていただけました。
十六銀行では、お取引先企業様が中国で現地法人を運営していくにあたって、法務や税務の情報のア
ップデートとともに、変化していくビジネス環境に対応すべく、販路開拓やサプライヤー探し、工場自
動化、環境対応など、少しでも参加企業様のお役に立てるよう、今後とも、こうしたセミナー・交流会
を企画していきます。
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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
4.シンガポール:「SJ50に想うこと」
シンガポール駐在員事務所
シンガポール在住の日本人にとって、2016 年の最も大きな
トピックスと言えば、それは間違いなく「SJ50」だったでし
ょう。
「SJ50」とは、
「日・シンガポール外交関係樹立 50 周年」
を表すキャッチフレーズであり、昨年 1 年間に行われた様々
な記念行事には、右のロゴマークが使用されました。また
「SJ50」を記念して、シンガポールより、4 月のビビアン外相、
9 月のリー・シェンロン首相に続き、11 月下旬から 12 月上旬
にかけて、トニー・タン大統領が国賓として日本を訪問した
ことは、記憶に新しいところかと思います。今回は、2016 年
を振り返り、「SJ50」についてご報告します。
「日・シンガポール外交樹立 50 周年」
記念行事にて使用されたロゴマーク
1.50 年前の両国の関係
外交関係が樹立された 1966 年当事、両国の関係は極めて不安定なものでした。少し遡った第二次世
界大戦中の 1942 年 2 月から 1945 年 8 月までの約 3 年半、日本軍がシンガポールを占領していました。
戦後、日本軍が占領下で華人に対して行った「粛清」と言われる大虐殺や強制労働に対する戦争裁判が
行われましたが、4 万人とも言われる犠牲者を出した華人社会からは、判決の内容を不服とする声が上
がったそうです。しかし、当時の混乱した国際情勢や、日本の経済復興に伴う対日経済関係の拡大を背
景に、こうした動きはかき消されました。ところが 1962 年、シンガポール島東部で大量の人骨が発見
されると、日本に対する賠償要求は「血債問題」として大きな運動となりました。当時は、日貨排斥、
対日非協力、入国ビザ拒否など、反日ムードが一気に高まったと言います。
この「血債問題」を抑え込んだのが、時の首相であった故リー・クアンユー氏率いる人民行動党(以
下、PAP)政府でした。まだイギリス自治領だった当時、PAP 政府は隣国マラヤ連邦への統合(新連邦
マレーシア結成)による独立を最重要課題とし、また工業化推進のために日本との協力を進めたいと考
えていたからです。さらに 1965 年、マレーシアから分離・独
立直後の経済的に不安定なシンガポールにとって、日本との
経済関係の強化は一層不可欠なものとなりました。こうした
背景から、独立の翌年である 1966 年 4 月、日本とシンガポー
ルの間に外交関係が結ばれることになったのです。
2.「リー・クアンユー」という存在
外交関係樹立後、PAP 政府は「血債問題」の決着を急ぎまし
た。1967 年 9 月、日本が占領時に華人社会に課した強制献金
額と同じ 5,000 万シンガポールドルの援助協定を調印するこ
とで、この問題を終結させたのです。また同年、犠牲者慰霊
塔を市の中心部に建立、遺族の反日感情を慰撫したものの、
公的な犠牲者調査は行いませんでした。実際、慰霊塔に犠牲
者の名前はありません。
「血債問題」解決直後から、故リー・クアンユー氏は積
極的に日本との貿易、日本からの投資や観光誘致のための
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犠牲者慰霊塔
十六アジアレポート 2017 年 1 月号
環境整備に取り組みました。彼自身、
「粛清」から辛くも逃れた経験があったにも拘らず、日本軍占領
下での過去を「忘れないが許す」として、一貫して親日政策を採ったのです。この英断がなければ、今
日の両国の友好関係は絶対にあり得なかったと言えるでしょう。長い間、反日教育を行わなかっただけ
でなく、1970 年代後半から 90 年代初頭にかけて、
「日本に学べ運動」を展開。日本人の「転職をせず
各自の仕事を天職と考えて打ち込む」職業倫理を学ぶように国民に呼びかけました。こうした彼の功績
があって、労働集約型、資本集約型、金融・サービス、知識集約型と、年代によって変化していった基
幹産業に呼応する形で、様々な分野において日系企業の投資・進出は順調に拡大し、シンガポールの経
済発展に大きな貢献を果たしてきたと言えます。
リー・クアンユー氏は一昨年亡くなられましたが、彼が敷いた道筋は確実に受け継がれており、現在
は、自動化やロボットなど、生産性向上に寄与する最新技術を持った企業の進出が期待されています。
3.「SJ50 まつり」
2016 年は「日・シンガポール外交関係樹立 50 周年記念行事」
として、本当に様々なイベントが行われました。一定の基準
を満たしたものが記念事業として認定される仕組みだったの
ですが、その総数は 200 件を越えたそうです。その中でも最
大規模だったといえるのが、10 月 29 日(土)と 30 日(日)
に開催された「SJ50 まつり」です。これは、日本の伝統文化、
ポップカルチャー、観光・物産を含めた「今の日本」、「ジャ
パンブランド」をアピールする、まさに「おまつりイベント」
として企画されたもので、メインステージでは、和太鼓やフ
ァッションショーなど、2 日間合計で約 40 のパフォーマンス
が披露されました。日本でも翌日のニュースで報道されてい
ましたが、29 日の午後 8∼9 時には繁華街オーチャード通りが
閉鎖され、
「SJ フレンドシップパレード」として、両国市民総
勢約 2,000 人が阿波踊りでパレードし、交流を深めました。
食、旅行、アニメ等、日頃から当地での日本文化の浸透を肌
で感じていますが、このイベントを通じ、シンガポール国民
の日本に対する関心の高さに改めて感銘を受けた筆者でした。
「SJ50 まつり」の様子
4.「SJ100」に向けて
11 月に来日したトニー・タン大統領は、宮城県七ヶ浜町の保育所を訪問しました。同保育所はシン
ガポール赤十字社を通じて寄せられた義捐金で再建されたそうです。当時、これ以外にもシンガポール
政府や民間団体、個人の方から、本当に多くの支援が寄せられました。そうした心温まる支援のみなら
ず、日本の文化を受け入れてくれたり、旅行先として多くの方が訪れてくれたり、そして何より筆者の
ような駐在員を温かく迎えてくれる。かつて日本人がシンガポールに強いた苦難の歴史があるにもかか
わらず、このように接してくれるシンガポールの方々に対し、最大限の感謝の意を表したいと強く思い
ます。また同時に、当初は非常に不安定だった両国の関係を、50 年という年月をかけて、現在の友好
的な関係にまで育まれた先人に対しても、深い敬意を払わずにはいられません。
私たち日本人は、これから先も日本がシンガポールに残した「負の遺産」を決して忘れることなく、
過去 50 年間で築いてきた絆を、次の 50 年間で一層強いものにしていかなければならない。この記念す
べき 1 年間を終え、
「SJ100」に向けた新たな年のはじまりにあたり、そんな使命感をひしひしと感じて
います。
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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
5.ベトナム:「ブラックフライデー開催∼じわじわと欧米の波が∼」
海外サポート部 (ベトナム投資開発銀行ジャパンデスク) 伊藤 信介
皆さんは「ブラックフライデー」という日をご存知でしょうか。ブラックという表現から、あまり良
くない印象を受けるこの名前ですが、実態は大々的にセールが行われる「お祭り」の日であり、デパー
トなどの小売店には、セールを目的とした消費者が多数押しかけます。
「ブラックフライデー」の発祥地はアメリカです。 名前の由来は諸説ありますが、セールによる道
の混雑や店でのトラブルなどにより、普段より仕事が増えた警察官たちがそう呼び始めた、という説が
有力のようです。
現在では世界中に広まりつつあるこの「ブラックフライデー」ですが、
ベトナムでも 2、3 年前から徐々に浸透しており、若者を中心に認知
されるようになってきました。今年のブラックフライデーは 11 月 25 日
(金)で、ショッピングモールの高級店からノーブランドの服を売る格
安店に至るまで、ハノイ市内のあちらこちらで「ブラックフライデー最
大 50%割引セール」等の看板が掲げられていました。多くの店はバーゲ
ン目的のお客さんで混雑しており、客足は夜遅くまで途切れることはあ
りませんでした。毎週金曜日の夕方は、地元に帰る人や旅行に行く人等
で道路が混雑し一種の名物となっていますが、この日は更に渋滞がひど
く、バイクと車が全く進みませんでした。社会主義国家のベトナムにも、
じわじわと欧米の波が押し寄せていることを強く感じました。
こうしたイベントが浸透し、人々の意識が消費に向かうようになった
第一の要因として、インターネットの発達などに伴う情報化社会の急速
な発展が挙げられます。2016 年の国内インターネット普及率は 50%を越
えており、フェイスブック平均利用時間が 1 日 2.5 時間(Facebook 調
べ)といったデータがあるなど、若者を中心に世界各国からの情報に対
して影響を受けやすい環境にあることが分かります。
第二の要因として、最低賃金上昇による所得の向上が挙げられます。
ベトナムでは政府が毎年、最低賃金の上昇率を決定していますが、ここ
数年は最低賃金の上昇率が 2 桁以上のパーセンテージで伸びており、国
内労働者の生活水準が向上していることから、消費意欲の増加につなが
っていると言えます。
但し、賃金上昇については、一般的に賃金上昇率の目安と言われている物価上昇率が 10%未満で推移
していることから、企業経営者からは「経済の実態を反映していない」「コスト増加により他国との競
争力低下を招く」との声が上がっており、そういった意見も受けて、2017 年の最低賃金上昇率は、全
国平均で 7.3%となることが決まっており、これは 1997 年に最低賃金の制度が始まって以来最小の数値
となります。
国内労働者の生活水準向上により、現在は消費が活発化しているベトナムですが、賃金上昇の鈍化後
もそれが続くかどうか、今後も注視していきたいと思います。
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十六アジアレポート 2017 年 1 月号
6.インドネシア:「キラキラの国 インドネシア」
海外サポート部(バンクネガラインドネシア ジャパンデスク) 三浦 武雄
インドネシアという国や人々を表現する時に、『Kira Kira(キラキラ)』という表現がしばしば使わ
れます。これは「だいたい」「おおよそ」などを意味するインドネシア語であり、インドネシアの特徴
をよく表しています。
インドネシアは約 300 の民族から構成されています。民族・地方によって、その気質は様々ですが、
多くのインドネシア人に共通する特徴は大変
寛容で穏やかであるということです。陽気で明
るく、非常に親しみやすい性格の人が多く、面
識の無い人に対しても、困っている様子であれ
ば、優しく助けてくれます。また、インドネシ
アは親日国家でもありますので、日本人に対し
て、とても親切です。また、インドネシアにお
いて、怒ることはよくないこととされている為、
いつもニコニコと笑顔を絶やさない人が多いです。
<BNI の運転手の方々と共に>
一方で、ルーズな一面もあり、ゴミ箱があるにも関わらず、街の至るところにゴミが散乱しており、
雨が降ると川にゴミが流れて排水装置を詰まらせるといった事例も起こっています。ジャカルタでは毎
年洪水が起こるのですが、こういった状況が、その一因ともなっています。
また、インドネシアの人々は、日本と比較すると時間に対する感覚が非常にゆったりしているという
印象を受けます。インドネシアは、基本的に農業国ですので、古くから自然と調和した生活を送る過程
において、時間にしばられない性格が形成されてきたのかもしれません。日本の『明日』という言葉は
『今日の次の日』を指しますが、インドネシア語で日本の明日にあたる意味を持つ『besok』は、『今
日の次の日』だけを指すのでは無く、
『明日以降の近い将来』も意味合いに含まれています。言葉の語
感の中にも、時間に対するおおらかな特徴が表れているように思われます。
私も現地の方と『明日』待ち合わせの約束をしたことについて、待っていても現れなかったという経
験がしばしばあります。また、
『明日』までに終えて欲しい依頼について、
『具体的な日にちと時間』を
しっかり連絡したことについても、結果として完了するのは『明日』ではなく、『近い将来』になって
しまうことも、ままあるので注意が必要です。
インドネシアの時間感覚を表現する言葉として『jam karet(直訳するとゴム時間)』という表現があ
ります。インドネシアでは、時間はゴムのように『伸びる』ものなのです。インドネシアの国内線飛行
機についても、定刻通りに出発することはほとんど無く、案内すらないこともよくあります。そういっ
た状況においても、周りのインドネシアの方々は、特に気にしていない様子で搭乗開始までの時間を過
ごしています。日本人との『時間感覚』の違いを感じます。
人の性格は千差万別ではありますが、その国の歴史、風土、環境が国民気質に影響を与えることはあ
ると思います。私がインドネシアに赴任し、現地の方の人懐っこさに癒され、おおらかな対応に助けら
れたことは何度もあります。その国の国民性を理解・尊重して、良好な関係を構築していくことは、現
地での生活やビジネスにおいて非常に重要なことだと日々感じます。
11
十六アジアレポート 2017 年 1 月号
7.為替相場情報
(1)人民元−円為替相場(中国人民銀行公表仲値)
(月)
11月28日
12月5日
(火)
(単位:1人民元当たりの日本円)
(水)
(木)
(金)
16.31774 11月29日
16.23008 11月30日
16.30896
12月1日
16.56973
12月2日
16.56370
16.44953
16.57935
16.56068
12月8日
16.54178
12月9日
16.54725
12月6日
12月7日
12月12日
16.69282 12月13日
16.66694 12月14日
16.67723 12月15日
16.92964 12月16日
17.00420
12月19日
16.93451 12月20日
16.84466 12月21日
16.94513 12月22日
16.92477 12月23日
16.91303
20.00
過去1年間の人民元−円相場推移
19.00
18.00
17.00
16.00
15.00
14.00
1/
/1
15
19
/1
15
14
2/
1
/0
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8
/0
2
7
3
7
2
6
1
6
0
4
9
3
8
3
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/0
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/1
/1
/0
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/2
/0
/1
/0
/2
/2
03
02
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04
05
07
06
07
08
09
10
11
11
12
/
/
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/
/
16
16
16
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16
16
16
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16
16
16
16
16
16
上記表、及びグラフはこの公表仲値を便宜的に1人民元当たりの日本円へ換算し直した相場です。
そのため、正式な人民元相場が必要な場合は、中国人民銀行にお問い合わせ下さい。
(2)ドル−円為替相場(当行公表仲値)
(単位:1ドル当たりの日本円)
(月)
(火)
(水)
(木)
(金)
11月28日
112.24
11月29日
111.90
11月30日
112.42
12月1日
114.39
12月2日
113.71
12月5日
113.81
12月6日
113.58
12月7日
114.18
12月8日
113.77
12月9日
114.27
12月12日
115.47
12月13日
115.04
12月14日
115.18
12月15日
117.72
12月16日
118.18
12月19日
117.63
12月20日
117.18
12月21日
117.94
12月22日
117.72
12月23日
-
130.00
過去1年間の米ドル−円相場推移
125.00
120.00
115.00
110.00
105.00
100.00
/0
2
16
/0
2/
27
16
/0
3/
23
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/0
4/
17
16
/0
5/
12
16
/0
6/
06
16
/0
7/
01
16
/0
7/
26
16
/0
8/
20
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/0
9/
14
16
/1
0/
09
16
/1
1/
03
16
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1/
28
16
/1
2/
23
/0
2
8
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1/
0
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/0
/1
2/
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15
15
/1
1
/1
9
95.00
12
十六アジアレポート 2017 年 1 月号
(3)タイバーツ−円為替相場(当行公表仲値)
(単位:1バーツ当たりの日本円)
(月)
(火)
11月28日
(水)
3.1500 11月29日
12月5 日
3.1900
(木)
3.1500 11月30日
12月6日
3.1900
12月7日
(金)
3.1600
12月1日
3.2100
12月2日
3.1900
3.2000
12月8日
3.2000
12月9日
3.2100
12月12日
3.2400
12月13日
3.2400
12月14日
3.2400
12月15日
3.3000
12月16日
3.3100
12月19日
3.2800
12月20日
3.2700
12月21日
3.2800
12月22日
3.2800
12月23日
-
過去1年間のタイバーツ−円相場推移
3.60
3.40
3.20
3.00
2.80
23
2/
/1
16
16
/1
1/
28
03
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09
/1
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16
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16
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14
9/
8/
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01
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/0
16
/0
16
/0
16
7/
06
6/
5/
12
17
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23
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27
02
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16
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/0
1/
14
2/
19
/1
1/
/1
15
08
2.60
(4)インドネシアルピア−円為替相場(参考値)
(単位:100ルピア当たりの日本円)
(月)
(火)
(水)
(木)
(金)
11月28日
0.8300
11月29日
0.8300
11月30日
0.8300
12月1日
0.8500
12月2日
0.8400
12月5 日
0.8400
12月6日
0.8500
12月7日
0.8600
12月8日
0.8600
12月9日
0.8600
12月12日
0.8700
12月13日
0.8700
12月14日
0.8700
12月15日
0.8900
12月16日
0.8900
12月19日
0.8800
12月20日
0.8800
12月21日
0.8800
12月22日
0.8800
12月23日
-
過去1年間のインドネシアルピア−円相場推移
1.00
0.95
0.90
0.85
0.80
0.75
23
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16
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28
03
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01
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