串間市中心市街地まちづくり基本計画書

といくん
みさきちゃん
串間市中心市街地まちづくり基本計画書
~住む人と訪れる人がふれあう
にぎわいとうるおいのあるまち~
・にぎわいのあるまちづくり
・回遊 性のあるま ちづくり
・うるおいのあるまちづくり
平成 27 年 3 月
串
間
市
目
次
計画策定の目的 ................................................................................................................................. 1
1.計画策定の目的 ...................................................................................................................... 1
2.計画の位置づけ ...................................................................................................................... 1
3.計画の対象区域 ...................................................................................................................... 2
Ⅰ
与条件の整理 ............................................................................................................................. 3
1-1.串間市の地域概況 ........................................................................................................... 3
1-2.上位計画・関連計画の整理 .......................................................................................... 15
1-3.整備課題の整理............................................................................................................. 20
Ⅱ
まちづくり基本計画 ................................................................................................................ 24
2-1.まちづくりの基本目標 .................................................................................................. 24
2-2.まちづくり全体計画 ..................................................................................................... 27
2-3.ゾーン別計画 ................................................................................................................ 28
Ⅲ
まちづくりの展開方針 ............................................................................................................. 45
計画策定の目的
1.計画策定の目的
串間市は宮崎県の最南端に位置し、約 77km の海岸線は日南海岸国定公園に属し、野生馬の
いる都井岬、文化猿の幸島と自然豊かな地域で、豊かな生産環境を背景とした農林水産業を中
心に現在まで発展してきました。
しかしながら、串間市においては、少子高齢化の進展、地域産業の停滞(農林水産業の衰退、
観光客の減少など)、高速交通体系や道路網整備が充実していないことなどが要因となり、地
域活力の低下が懸念されています。
今後、東九州自動車道が整備されれば、串間市の地域活力の向上に一定の効果が期待される
一方で、自動車道利用者が串間市内を通過するだけになることも懸念されます。
串間市の中心市街地は、JR 串間駅の周辺地で、国道 220 号と同 448 号の結節点であり、昭和
29 年町村合併による誕生以来、市役所などの公共施設、小規模店舗、戸建て住宅が集中してい
る地域です。また大正時代に建築された近代的和風建築物である旧吉松家住宅など歴史的価値
の高い建築物もある文化の香り高い地域でもあります。
しかしながら、中心市街地としての基盤整備が大きく立ち遅れた状況にあることや、人口減
少、後継者不足なども相まって、集客力に乏しく、空き店舗・空き地が目立ち、中心市街地と
しての機能は衰退の一途をたどりつつあります。
このような状況を踏まえ、広域交通ネットワークの結節点としての機能を最大限に活用した
中心市街地の形成、通過型観光客を中心市街地や市内観光地へ回遊させるための拠点づくりな
どによる中心市街地の活性化に向けたまちづくりを展開するため、市街地環境の改善と活性化
のための機能集積等の一体的な推進に関する基本的方向性を示す「串間市中心市街地まちづく
り基本計画」(以下、
「本計画」と称します)を定めます。
なお、中心市街地においては、旧吉松家住宅周辺における活性化の方向性を定めた「旧吉松
家住宅周辺(仲町通り等)活性化基本計画 平成 25 年 3 月 串間市」(以下、「旧吉松家周辺
基本計画」と称します)、
「同実施計画 平成 26 年 3 月 串間市」が既に策定されています。
本計画は、この「旧吉松家周辺基本計画」に示されるまちづくりの目標・方針等を踏まえつ
つ、先に示した「広域交通ネットワークの結節点としての機能を最大限に活用した拠点づくり」
を新たに推進するための発展的見直しを行うものとして策定します。
2.計画の位置づけ
本計画は、
「第五次串間市長期総合計画 平成 23 年 3 月 串間市」や「串間市地域創造計画
平成 23 年度策定 串間市」などの上位計画に示されている中心市街地の活性化等に関する目
標・施策や、関連計画である「都井岬再開発基本計画 平成 26 年 3 月 串間市」、「串間市エ
ネルギービジョン 平成 26 年 3 月 串間市」に示されている中心市街地との連携方策などを
踏まえ、これらの計画に示す目標などの実現に向けた基本的な方向性を示す計画としての位置
づけになります。
なお、本計画の策定にあたっては、学識者や串間市の地域振興に携わる方々の代表者で構成
される「中心市街地活性化基本計画策定検討委員会」ならびに「中心市街地まちづくりに関す
るワーキンググループ」の意見、提言を伺いつつ策定しました。
1
計画の位置づけ
◆第五次串間市長期総合計画
●串間市の将来像:豊かな自然とともに生きる喜びにあふれる協働と交流のまち串間
◆串間市地域創造計画
南国みやざき最南端!くしま跳ね駒プロジェクト
~交流・協働・エコが引き出す地域の底力~
◆串間市中心市街地まちづくり基本計画
~中心市街地の活性化に資する基本的な方向性を示す計画~
発展的見直し
◆旧吉松家住宅周辺(仲町通り等)活性化基本計画
◆旧吉松家住宅周辺(仲町通り等)活性化実施計画
◆都井岬再開発基本計画
◆串間市エネルギービジョン
3.計画の対象区域
本計画の対象区域は、
「旧吉松家周辺基本計画」で設定されているゾーン区分を踏まえ、
「広域
交通ネットワークの結節点としての機能を最大限に活用した拠点づくり」を考慮し、以下のとお
り設定します。
計画の対象区域
計画の対象区域
2
Ⅰ
与条件の整理
1-1.串間市の地域概況
1.串間市の位置・アクセス条件
串間市は、九州の南東端、宮崎県の最南端で県都宮崎市の南南西約 70km の場所に位置し、東
は日向灘、南は志布志湾に臨み、北から西にかけては都城市・日南市及び鹿児島県志布志市
と接しています。
串間市へのアクセスは自動車での利用が主であり、宮崎空港・宮崎港がある宮崎市からは国
道 220 号を利用して 1 時間 40 分程度、宮崎自動車道都城 IC からは国道・県道を利用して 1
時間 20 分程度要します。
公共交通機関は JR 日南線があり、串間駅から宮崎駅まで 2 時間 20 分程度要します。
大阪方面への航路が発着する志布志港までは、国道 220 号を利用して 20 分程度でアクセスで
きます。
都城市から
約 1 時間 20 分
宮崎県
鹿児島県
宮崎市から
約 1 時間 40 分
N
N
図
串間市の位置
2.串間市の自然条件
市の中北西部のほとんどは豊かな丘陵地帯となっており、東部から南部に続く海岸線は、日
南海岸国定公園に属し、南国らしい風景が訪れる人々を魅了しています。
市内には、2つの山脈が走り、龍口山、笠祇山等を主峰とする北部一帯は、うっそうとした
山林に囲まれ、森林資源の宝庫となっています。
これらの連山を源とする河川は、市内の中央を貫流する福島川をはじめ、善田川、本城川、
市木川などの河川に分かれ、その流域は肥沃で、豊富な農産物を産出しています。
夏から、秋にかけては台風の影響を受けることがあり、多雨でもありますが、黒潮の影響に
より年平均気温は 17.9 度と県内観測地点で 2 番目に高く、年間を通して温暖で、海岸部には
無霜地帯もあり亜熱帯植物が自生しています。
3
3.串間市の社会的状況
(1)人口動向
串間市の人口は平成 26 年において 19,232 人と 20 千
串間市の年齢別人口割合
100.0%
14.2% 19.7%
24.7% 29.8%
34.2% 35.8%
人台を割り込んでおり、昭和 35 年の半数以下にまで
80.0%
減少しています。
世帯数については減少傾向にあり、また平均世帯人員
60.0%
も昭和 35 年の 4.75 人/世帯から平成 26 年は 2.32 人/
40.0%
世帯まで減少しており、核家族化の進行が伺えます。
64.5% 60.5%
57.6%
55.4% 53.1%
52.5%
20.0%
年齢別人口割合の推移をみると、少子化高齢化の進行
21.3% 19.9% 17.7% 14.8%
12.6% 11.5%
0.0%
が顕著であり、平成 22 年の 65 歳以上の老年人口割合
昭和55年 平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
若年人口(0~14歳)
生産年齢人口(15~64歳)
老年人口(65歳以上)
が 35.8%となっています。
資料:国勢調査
串間市の人口の推移
4.75
50,000
5.00
人
口
(
)、
人
41,143
30,000
3.25
31,734
29,420
4.00
3.06
2.88
26,734
2.62
25,243
20,000
2.54
23,647
2.43
22,118
20,453
2.32
3.00
2.00
19,232
人
/
世
帯
)
)
世
帯
40,000
平
均
世
帯
人
員
(
(
世
帯
数
3.64
10,000
1.00
8,655
9,064
8,714
8,741
8,774
9,024
8,700
8,417
8,293
0
0.00
昭和35年 昭和45年 昭和55年
人口(人)
平成2年
平成7年
平成12年 平成17年 平成22年 平成26年
世帯数(世帯)
平均世帯人員(人/世帯)
資料:S35~H22 国勢調査 H26 総合政策課「現住人口調査」 各年 10 月 1 日現在
(2)産業動向
串間市の就業者数は平成 2 年から一貫して減少傾向にあり、平成 22 年は 10 千人を割り込ん
でいます。また、全ての産業において就業者数は減少傾向にありますが、特に第 2 次産業の
減少が大きく、平成 22 年は平成 2 年の約半分にまで減少しています。
構成比をみると、第 1 次産業は平成 12 年から横ばい傾向にあり、第 3 次産業は一貫して増加
傾向にあることから、経済のソフト化が進んでいます。
串間市の産業別就業者割合の推移
串間市の就業者数の推移
14,000人
12,000人
就 10,000人
業
者
数
12,454
3
11,873
1
0
5,571
2,915
4,000人
2,000人
16
3,934
3,542
9,399
57
5,428
2,946
10,296
5,415
8,000人
6,000人
10,836
5,454
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.2%
0.6%
80.0%
44.7%
45.6%
50.1%
53.0%
54.7%
23.7%
24.6%
21.7%
18.8%
16.8%
29.8%
28.2%
28.1%
28.0%
60.0%
5,138
40.0%
2,348
1,933
1,575
3,060
2,893
2,629
20.0%
31.6%
0.0%
0人
平成2年
第1次産業
平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
第2次産業
第3次産業
分類不能
平成2年
平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
第1次産業
第2次産業
第3次産業
分類不能
資料:国勢調査
4
4.串間市及び周辺地域の主要交通施設の状況
(1)道路交通
串間市の主要幹線道路は国道 220 号、国道 448 号で構成されています。
国道 220 号は宮崎市から鹿児島県霧島市まで至る宮崎県南地域の主軸を構成するものであり、
串間市中央部を縦断し、志布志湾沿いを東西方向に通過しています。
国道 448 号は、国道 220 号から日南市南郷地域で分岐し、東部海岸沿いから都井岬近傍を通
過し、串間市中心部付近で国道 220 号に再び接続しています。
上記の国道を補完する役割を果たす主要地方道が 4 路線配置されています。
串間市内の国道 220 号の交通量は 5,207~7,999 台/24h となっています。国道 448 号は 449
~3,936 台/24h で、東海岸部では少ない状況にあります。
東九州自動車道は、宮崎県南地域では清武南 IC~日南 IC(仮称)区間、鹿児島県大隅地域で
は鹿屋串良 JCT~志布志 IC(仮称)区間において現在、事業が進められています。串間市を
通過する区間は基本計画区間(未事業化区間)としての位置づけにあり、事業化に向けた検
討が進められている状況です。
N
資料:平成 22 年度道路交通センサス一般交通量調査 箇所別基本表・一般交通量図
図
道路網・自動車交通量
5
(2)航路
宮崎港には「宮崎カーフェリー」が、大阪~宮崎航路の上下航路合わせて 1 日 2 便運航して
おり、平成 24 年の乗降客数は 166,882 人となっています。
志布志港には「フェリーさんふらわあ」が大阪~志布志航路の上下航路併せて 1 日 2 便運航
しており、平成 24 年の乗降客数は 147,764 人となっています。
宮崎港カーフェリー利用状況(宮崎市)
降客数
乗客数
*グラフ最上段は合計値
250,000人
200,000人
乗
降 150,000人
客
数 100,000人
50,000人
198,547
93,722
192,132
90,963
177,227
175,048
169,452
166,882
82,860
81,064
78,713
76,173
104,825
101,169
94,367
93,984
90,739
90,709
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
0人
資料:宮崎市統計書
志布志港船舶乗降客数
降客数
乗客数
*グラフ最上段は合計値
200,000人
171,528
乗
降 100,000人
客
数
50,000人
155,106
146,186
148,244
148,601
147,764
76,655
69,871
71,899
74,026
71,314
85,313
78,451
76,315
76,345
74,575
76,450
平成19年
平成20年
平成21年
平成22年
平成23年
平成24年
150,000人
86,215
0人
資料:港湾調査
(3)鉄道
串間駅の年間乗車人員は、平成 20 年の 43,388 人から平成 21 年の 16,894 人へ大きな減少が
ありましたが、平成 23 年以降はやや回復傾向がみられ、平成 25 年は 28,610 人となっていま
す。
内訳をみると「定期」の減少が大きく、平成 25 年は平成 20 年の約半数となっています。ま
た、一部観光客等が利用する「普通」についてはほぼ横ばいとなっています。
串間駅乗車人員の構成
定期
普通
*グラフ最上段は合計値
50,000人
乗
車
人
員
数
42,307
43,388
25,129
29,028
40,000人
30,000人
20,000人
28,490
16,236
16,894
3,459
10,000人
17,178
14,360
13,435
12,254
21,823
25,766
28,610
9,307
13,722
15,549
12,516
12,044
13,061
0人
平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年 平成25年
資料:九州旅客鉄道株式会社 総合鉄道事業部
6
(4)バス
串間市内の公共交通機関として、「よかバス」があり、串間市民の日常生活の貴重な足とし
て平成 20 年 10 月より運行を開始しました。
現在では市街地内を循環する系統のほかに、串間市中心部と市内各地域を結ぶ路線が 14 系
統運行されています。
市街地内巡回線と都井岬線は平日・休日とも運行されており、高校線は平日のみ、その他の
路線は指定曜日運行となっています。
図 よかバス運行系統図
7
5.串間市の観光動向
(1)串間市の観光資源
串間市の海岸線は総延長が約 77km で大小の半島がリアス式海岸の態をなしており、野生馬の
いる都井岬、海水で芋を洗って食べることで有名な文化猿の幸島、夏でも冷涼なクス学術林、
身も切れるほどの冷たい山水を湛え四季折々の美しさを見せる赤池渓谷、さらには、近年注
目をあびた九州最大規模のテーブルサンゴなど、市内全域が自然の美しさそのままの景観で
包まれています。
志布志湾が一望できる第二高畑山、釣りのポイントが点在する海岸線、温泉と干潟の本城、
サーフィンスポットである恋ヶ浦、平成 23 年にオープンした志布志湾大黒イルカランドなど、
交流・レクリエーション・スポーツを楽しむための資源も数多く立地しています。
都井岬火まつり、串間市民秋まつり、福島港花火大会、観光とび魚すくい、串間よかむん市
など特色あるイベントも多彩であり、中心市街地にある旧吉松家住宅では、「九州窯元行列
in 串間」、
「あたごまつり」、
「吉松邸まつり」、
「旧吉松家住宅ひなまつり」なども開催されて
います。
この他に、下弓田遺跡や福島古墳群に代表される歴史遺産や旧吉松家住宅(国指定重要文化
財)に代表される文化遺産があります。
赤池渓谷
石波海岸
旧吉松家住宅
クス学術林
日南市
幸島(文化猿)
第二
高畑山
串間
よかむん市
イルカランド
串間駅の駅
恋ヶ浦(サーフィン)
高松海水浴場
串間温泉いこいの里
福島港花火大会
本城干潟
宮之浦漁港(トビウオすくい)
図
立宇津漁港
(トビウオすくい)
串間市の観光資源分布図
テーブルサンゴ群落
8
都井岬
・岬馬、ソテツ自生地
・都井岬灯台、ビジターセンター
・都井岬火祭り
(2)串間市の観光客数の推移
串間市の総観光客数の推移は昭和 52 年の 1,129 千人から平成 2 年には 600 千人を切り、平
成 17 年から平成 22 年までは 200 千人前後で推移していましたが、平成 23 年以降はイルカ
ランドのオープンに伴い 300 千人台まで回復しています。
県内・県外の内訳をみると県外が占める割合がほぼ半数以上を占めています。
宿泊客数は平成 2 年までは 128 千人~172 千人で推移していましたが、平成 7 年から平成 12
年までは 50 千人台まで減少し、平成 22 年以降は 20 千人台にまで落ち込んでいます。
串間市の観光客数
1,200千人
1,129
1,000千人
883
800千人
宿
泊
客
数
400千人
、
観
光
客
数
600
600千人
574
445
323
133
200千人
149
128
172
57
55
190
183
202
204
216
47
44
44
45
37
320
306
332
25
24
29
173
23
0千人
県外客数
県内客数
宿泊客数
資料:串間市資料
(3)スポーツ合宿の利用
串間市は充実したスポーツ施設及びカルチャー施設(音楽施設)が完備され、野球・陸上な
どの各種スポーツや文化の合宿が盛んな地域です。
平成 26 年のスポーツ合宿団体数は 89 団体、参加人数 2,668 人、延べ宿泊数 8,528 泊となっ
ています。
スポーツ合宿等の状況
参加人数
延べ宿泊数
団体数
10,000
、
参
加
人
数
延
べ
宿
泊
数
120団体
8,000
6,000
89
74
4,000
6,041
77
6,576
89
80団体
71
6,047
2,000
100団体
7,097
8,528
2,192
2,363
2,369
2,728
2,668
平成22年
平成23年
平成24年
平成25年
平成26年
0
団
60団体 体
数
40団体
20団体
0団体
資料:串間市資料
9
(4)串間市の主要観光施設の入込客数
串間市内の主要観光施設における平成 26 年の入込客数をみると、いこいの里が 152 千人と
最も多く、次いでイルカランド 148 千人、都井岬 103 千人、串間駅の駅 58 千人の順となっ
ています。
隣接する日南市の主要観光施設の動向をみると、
県内有数の観光地である鵜戸神宮は年間約
1,000 千人もの観光客が訪れ、
「道の駅酒谷」
、「港の駅めいつ」、「道の駅なんごう」も年間
約 200 千人程度の観光客が訪れています。
N
資料:串間市資料
平成 23 年度日南市統計書
図 主要観光施設入込客数
10
(5)串間市を訪れる観光客の動向
串間市においては、平成 24 年度の「観光・交流による地域づくり調査研究事業」において、
串間市を訪れた観光客のニーズや消費活動等を把握し、今後の串間市の観光・交流による地域
づくりに資することを目的として、串間市を訪れる観光客等を対象としたアンケート調査を実
施しています。調査方法等の概要については以下のとおりです。
●調査方法:串間市内の主要観光地・イベント来場者・スポーツキャンプ団体・モニタ
ーツアー参加者に対して「専用アンケート用紙」による聞き取り調査を実
施。
●調査地点等
・観光地定点:イルカランド、高松海水浴場、旧吉松家住宅、串間駅の駅、
「岬の駅」
都井岬、串間温泉いこいの里、赤池渓谷、幸島
・イベント:九州窯元行列 in 串間、金環日食(都井岬)
、あじさいロード、高松海水
浴場海開き、福島港花火大会、都井岬火祭り、ビーチバレー大会、フェ
ニックスリーグ(プロ野球 2 軍リーグ戦)
、串間市民音楽祭、串間市民
秋祭り、シーパラダイス、いこいの里オープンイベント、イチゴ狩り(串
間いちご畑)
、都井岬初日の出、よかむん市
●調査期間:平成 24 年 5 月 4 日~平成 25 年 3 月 17 日
観光地定点調査総実施日数:50 日
月平均:5 日(10:00~16:00 の約 5 時間)
イベント調査総実施日数:延べ 35 日
月平均:3 日(時間帯は不定期)
スポーツキャンプ調査:キャンプ最終日に説明の上、責任者及び選手の個別に記入
上記観光調査を基に、市内観光モニターツアーを開催、参加者にアンケート調査を
実施した。
以下に、この調査結果をとりまとめた「観光・交流による地域づくり調査研究 調査報告書
平成 25 年 串間市」より、観光地定点の串間市全地点の結果について示します。
①出発地
どこから来たか
県外客、県内客はほぼ同数となっており、
県内客が若干多い結果となっています。
宮崎・鹿児島以外
22.2%
県外客は鹿児島県内からが最も多く、鹿
鹿児島市
児島市からも比較的多く訪れています。
志布志市
6.7%
鹿屋市
6.0%
県内客は宮崎市、都城市、日南市で多く
上記以外の鹿児島県内
を占めていますが、他の県内都市からの
宮崎市
来訪者は 1%に満たない状況となってい
都城市
ます。
21.9%
0.6%
0.8%
小林市
1.3%
えびの市
0.2%
東諸県郡
0.5%
西諸県郡
0.3%
北諸県郡
0.8%
日南市
県外
49.4%
11.8%
日向市
西都市
鹿児島県計
27.3%
8.2%
延岡市
児湯郡
11
6.4%
県内
50.6%
1.3%
0.2%
10.7%
②客層・同伴者
来訪者の年代は 60 代が最も多いですが、20 代を除き、年代間の差はあまりなく、幅広い年
代の方が訪れています。
同伴者は「家族(子連れで)」(「家族で」も含む)が最も多く、ついで「夫婦で」、「友人
グループで」と続いており、家族層が多くを占めています。一方でツアー利用は低い状況
にあります。
年代
誰と来たか
10代
17.1%
20代
カップル
10.1%
30代
16.4%
60代
19.3%
70代以上
未回答
22.4%
30.7%
家族(子連れで)
14.3%
50代
6.8%
夫婦で
16.7%
40代
10.0%
一人で
6.0%
0.0%
家族で
12.8%
友人グループ
13.1%
会社/学校ツアー
1.7%
旅行会社ツアー
0.6%
その他(仕事等)
1.8%
③串間市の情報源、来訪回数
串間市の情報源は、
「その他(昔から知っている)」が最も多く、次いで「テレビ・ラジオ」
、
「市内に知人がいる」の順となっています。
来訪回数は「その他(毎年等)
」が最も多く、次いで「初めて」が多くなっています。
来訪回数
串間市の情報源(複数回答)
18.3%
テレビ・ラジオ
1.9%
3回目
11.7%
8.9%
6.1%
インターネット・HP
4回目
13.7%
知人などにすすめられて
15.0%
市内に知人がいる
31.5%
その他(昔から知っている)
未回答
2回目
7.9%
ポスター・パンフレット
旅行会社のツアー
31.2%
初めて
9.7%
新聞/タウン誌
5.7%
39.3%
その他(毎年・・・)
未回答
2.3%
3.3%
④来訪目的・滞在時間
来訪目的は、「景観を楽しむため」が最も多く、次いで、「癒されそうだから」「マリンレ
ジャー」の順となっており、豊かな自然を満喫できることを期待して訪れているようです。
串間市での滞在時間は、
「日帰り」が 90%を超えており、宿泊は 10%に満たない状況です。
串間市の滞在時間
串間を選んだ理由(複数回答)
15.7%
マリンレジャー
48.4%
景観を楽しむため
24.6%
癒されそうだから
温泉等での保養の為
イベント参加
帰省・冠婚葬祭・墓参り
仕事と観光を兼ねて
団体ツアー
未回答
1泊
9.2%
5.4%
91.2%
日帰り
4.0%
2泊
1.6%
3泊
1.0%
4泊以上
2.2%
7.2%
5.7%
1.5%
3.2%
12
⑤串間市内の立ち寄り先
串間市の観光資源の認知度(
「立ち寄る(予定)
」と「知っているが行ったことがない」の
合計)は、
「都井岬」と「イルカランド」が特に高く、
「都井岬」においては、全体の 64.9%
が「立ち寄る(予定)」と回答しています。
「都井岬」と「イルカランド」以外については「知らない」と回答した方が多く、「長浜
海岸」、
「赤池渓谷」、
「旧吉松家住宅」は 90%近くに及んでいます。
串間市内の立ち寄り先
20%
40%
60%
0%
イルカランド
長浜海岸
18.2%
旧吉松家住宅
8.0% 4.7%
駅の駅
89.0%
75.8%
5.9%
87.2%
63.4%
4.9%
31.6%
都井岬
23.5%
赤池渓谷
8.3% 5.0%
恋ヶ浦
幸島
69.6%
6.8%
86.7%
72.6%
9.2%
18.2%
8.6%
33.4%
立ち寄る(予定)
30.3%
4.8%
64.9%
串間温泉いこいの里
100%
38.9%
9.0%
52.1%
7.5% 3.5%
高松海水浴場
80%
58.1%
知っているが行ったことがない
知らない
⑥観光消費額
宿泊費は「未回答(市内未利用)」が全体 96.2%を占めています。
お土産代、飲食代、入場料については、「未回答(市内未利用)」が最も多くなっており、
消費額も 1,000 円未満が多くなっています。
串間市内でいくら使ったか(宿泊費)
串間市内でいくら使ったか(お土産代)
~1,000円
6.1%
~6,000円
1.2%
6,000円
0.0%
10,000円
0.3%
4,000円
1.5%
10,0000~30,000円
1.5%
5,000円
3.7%
5,000~9,000円
0.7%
1.2%
30,000円~
3,000円
8.1%
4.2%
66.1%
未回答(市内未利用)
串間市内でいくら使ったか(飲食代)
~1,000円
9.0%
10,000円~
96.2%
未回答(市内未利用)
2,000円
串間市内でいくら使ったか(入場料)
10.0%
~1,000円
2,000円
7.7%
2,000円
3,000円
6.3%
3,000円
9.9%
2.4%
5.3%
4,000円
2.1%
4,000円
5,000円
4.2%
5,000円
2.1%
2.1%
5,000~9,000円
1.1%
5,000~9,000円
1.2%
10,000円~
3.1%
10,000円~
0.6%
未回答(市内未利用)
65.4%
未回答(市内未利用)
13
76.4%
⑦串間市の印象
串間市の好印象については、「海と空がきれい」と「景色がいい」という点を挙げる方が
多くなっています。一方で、「特になし」という意見も比較的多くなっています。
悪い印象としては「特になし」が最も多いですが、
「交通の便が悪い」
「道路が悪い」とい
う意見が特に多く、アクセスに関して良くない印象を持たれています。
串間市の悪印象(複数回答)
串間市の好印象(複数回答)
53.8%
海と空がきれい
雄大である
健康的で清潔
素朴で人情味がある
清潔感が無い
0.8%
1.2%
スポーツ施設が整っている
1.2%
3.1%
未回答
1.7%
3.5%
駐車場不足
市民の不親切
0.8%
13.0%
観光施設が整っていない
スポーツ施設が整っていない
7.2%
土産品が豊富
10.6%
道路が悪い
9.3%
観光施設が整っている
15.5%
交通の便が悪い
10.9%
0.4%
特になし
0.9%
38.8%
神話歴史のイメージ
料理がうまい
2.2%
自然破壊と俗化
5.8%
景色がいい
南国的で情熱的
宿泊施設が少ない
15.6%
土産品が良くない
1.5%
3.0%
未回答
特になし
25.1%
14.7%
47.1%
⑧今後串間市に望むこと
「自然を残してほしい」と望む方が最も多く、次いで「交通網の充実」
、
「高速道路の配備」
が多く、アクセスの改善を望む声が多くなっています。
また、「新しい観光の開発」、「地物飲食施設の充実」
、「宿泊施設の充実」も比較的多く、
新たな観光コンテンツの提供やサービス面の改善を望んでいます。
今後串間市に望むもの(複数回答)
16.7%
交通網の充実
高速道の配備
13.8%
新しい観光の開発
13.9%
地物飲食施設の充実
9.7%
宿泊施設の充実
9.3%
25.2%
自然を残してほしい
8.6%
郷土料理・お土産品の開発
観光関連のサービス改善
その他
特になし
4.4%
5.0%
4.2%
14
1-2.上位計画・関連計画の整理
1.第五次串間市長期総合計画(平成 23 年 3 月策定 計画期間:平成 23 年度~平成 32 年度)
第五次串間市長期総合計画では、串間市の将来都市像を「豊かな自然とともに生きる喜びに
あふれる協働と交流のまち
串間」としています。
この将来都市像の実現に向け、合理的、計画的なまちづくりが進められるような土地利用に
かかわる基本的な考え方において、JR 串間駅を中心とした地域を「にぎわいの市街地・商業拠
点ゾーン」と位置づけ、公共施設・事業所・商業施設機能の充実、都市計画道路や幹線道路、
公園施設などの社会資本整備や都市基盤整備等を推進し、住む人と訪れる人がふれあうにぎわ
いのある良好な市街地・事業所・商業環境の創出、誘導に努めることとしています。
■将来都市像、基本理念
「豊かな自然とともに生きる喜びにあふれる協働と交流のまち 串間」
基本理念 1 み ん な が 主 役 - 参 画 と 協 働
基本理念2 み ん な が す こ や か - 健 康 と 快 適
基本理念3 みんながいきいきー活力と人づくり
■土地利用の基本方針
にぎわいの市街地・商業拠点ゾーン
●JR串間駅を中心とした公共施設・事業所・商業
施設機能の充実
●都市計画道路や幹線道路、公園施設などの社会資
本整備や都市基盤整備等の推進
●住む人と訪れる人がふれあうにぎわいのある良
好な市街地・事業所・商業環境の創出、誘導
15
■将来像実現のための基本目標(まちづくり関連分野)
基本目標1:市民と行政がおもいを一つに前進する・くしま(市民活動・行財政経営分野)
基本目標2:ともに暮らし、ともに支え合う・くしま (保健・医療・福祉分野)
基本目標3:ワクワクがとまらない、おどろき・くしま(教育・文化分野)
基本目標4:みんなでつくる、元気でにぎやか・くしま(産業振興分野)
●農林水産業の振興
生産基盤の充実や企業的経営の促進、多様な担い手の育成、農水産物加工・販売体制
の整備、都市・消費者との交流促進による農林水産業の維持・高度化
●商業・サービス業の振興
道路整備や基盤整備と連動した商店街の再生整備
●工業・地場産業の振興
企業誘致や地場産業の振興などの工業支援施策の強化、起業の推進
NPO との協働による事業の推進、コミュニティビジネスの育成による新規雇用の創出
●観光・交流活動の振興
豊かな自然や伝統文化、各種スポーツ・文化施設等を活用した観光・交流機能の拡充
第一次産業とも連動した観光・交流活動の活発化による地域性に即した活力ある産業
構造の再構築
●雇用・勤労者対策の充実
勤労者福祉の充実、活発な産業活動や企業誘致などによる雇用の確保
基本目標5:安全・安心で、やすらぎのある・くしま(生活基盤分野)
●道路・交通ネットワーク、住宅・市街地の整備
長期的・広域的視点に立った計画的で利便性の高い、定住人口・交流人口の増加を目
指した生活基盤の整備推進
東九州自動車道の早期整備をはじめとした国・県道の整備促進、市道の整備
人々が集う魅力ある市街地環境の整備
快適な住宅や宅地の整備誘導、鉄道・バスなどの公共交通機関の利便性の向上
●情報ネットワークの整備
多様な分野の情報ネットワークの整備による市民生活の利便性の向上と新たな交流
の創出
●交通安全・防犯体制、消防・防災・救急体制、消費者対策の充実
大地震や風水害などの自然災害への対応、交通安全・防犯対策、消費者保護対策によ
る安心・安全なまちづくりの推進
基本目標6:自然の宝庫、暮らしやすい・くしま(環境保全分野)
16
2.串間市地域創造計画(平成 23 年度策定 計画期間:平成 23 年度~平成 25 年度)
串間市地域創造計画においては、「南国みやざき最南端!くしま跳ね駒プロジェクト
~交
流・協働・エコが引き出す地域の底力~」をテーマに掲げ、南国宮崎の最南端に位置する串間
市の特徴である”海”沿いを有機的に結びつけるとともに、地域毎の特性を見極めながら地域
産業の可能性を探る分野横断的な5つの活性化プロジェクトを展開しています。
このプロジェクトの中で中心市街地については、「2.まちなかクロスプロジェクト」にお
いて、以下の3つ事業を展開しています。
「まちづくり協働交流機能強化事業」による移住相談、観光案内、各種ツーリズムの
コーディネート等の中核的機能整備
「旧吉松家住宅周辺(仲町通り)再開発事業」による古民家等を活用した物販・飲食・
民宿等の整備、景観づくり・街路整備による回遊性ある空間の創出
「案内サイン整備事業」による計画的な案内サインの配置と中心市街地における串間
を象徴するサインの設置
17
3.都井岬再開発基本計画
(平成 26 年 3 月策定)
都井岬再開発基本計画においては、「交流・体験・学習をつなぐニューツーリズムの創造 ~
癒しと感動体験の都井岬~」を基本理念に掲げ、「賑わいの回復による地域の活性化」、
「資源の
有効活用とネットワークの形成」、
「新たなサービスの提供」、
「トータルな情報戦略の構築」、
「効
率的かつ効果的な投資」の基本目標に基づいた活性化方策を展開しています。
これらの目標等の実現に向けた行動計画において、
「串間市中心部の活性化に向けた取り組み
(旧吉松家周辺)と都井岬で展開する活性化方策との連携による相乗効果で串間市全体の活性化
へ寄与することが期待できることから、その方策について検討する」ことが示されています。
18
4.串間市エネルギービジョン(平成 26 年 3 月策定)
串間市エネルギービジョンにおいては、「豊かな自然環境と調和したエネルギーの積極的な利
用に努めるまち」を基本理念に掲げ、
「エネルギー自給から生まれる安心・安全な生活」
、「エネ
ルギー施設の魅力を活かした観光の活性化」、
「まちづくりの視点による情報発信」、
「資源の有効
活用と効果的な支援」の基本目標に基づいた、
「再生可能エネルギーによるまちづくり」を推進
するものとしています。
■串間市エネルギービジョンの基本理念、目指す将来像、まちづくりの基本目標
基本理念:
「豊かな自然環境と調和したエネルギーの積極的な利用に努めるまち」
将 来 像:「協働と交流のエネルギーがつむぐ、豊かな自然との共生社会
~くしまエネルギー・ライフの創造~」
基本目標 1 エネルギー自給から生まれる安心・安全な生活
多くの市民が高い関心を示している南海トラフ巨大地震等の自然災害時に
おける防災面の非常時のエネルギー供給拠点としてのまちづくりと共に、本市
のエネルギービジョンでは、日常時でも市民の安心・安全を確保するためのエ
ネルギー供給などのまちづくりの推進を図る。
基本目標2 エネルギー供給施設の魅力を活かした観光の活性化
再生可能エネルギー大規模発電施設(本城・都井の風力発電、市内各地の太
陽光発電・バイオマス発電等)にてエネルギーについて学ぶことができ、豊か
な自然を肌で感じる環境づくりに地域、官民が協働で取り組むことで、地域活
性化(交流人口の増加)を図る。
基本目標3 まちづくりの視点による情報発信
再生可能エネルギーの普及・導入の認知度の向上は、市民や地域のまちづく
りに向けた行動につながる。再生可能エネルギーの普及・導入支援だけでなく、
導入後に目指すまちづくりの方向性、具体的な取組を地域や官民が協議し、共
有することで、地域の活性化に向けた新たな協働の取り組みの展開を図る。
基本目標4 資源の有効活用と効果的な支援
豊かな自然(再生可能エネルギー資源)を活かした新規事業に取り組む事業
者を支援すると共に、既存事業者の安定経営やこれらに間接的に携わる市内事
業者(メンテナンス事業、設置工事等)等への効果的な支援を通して、市内産
業の活性化、新規雇用者の創出、所得向上、経済の活性化を図る。
19
1-3.整備課題の整理
串間市では、進学や就職による若年層の市外流出が大きな課題で、その要因は、高速交通網と
道路整備の充実が図られていないこと等によるところがあります。
今後、東九州自動車道が整備されれば、これについては一定の効果が上がるものと期待されま
すが、その効果をより確たるものにするため、またそれだけでは解決が難しい課題に対処するた
め、中心市街地において対応を検討していく必要があります。
1.観光客の減少/観光業の弱体化
・串間市は都井岬など優れた自然を有し、国定公園に指定されていますが、以前 1,000 千人
以上を数えた観光客が 200 千人前後まで落ち込んでおり、これは国定公園を有する市町村
の中でも特に低く、
〈野生馬の都井岬・現代霊長類学発祥の地幸島〉などの優れた資源を活
かせていない状況になっています。
・また宿泊客数も 20 千人前後まで減少しています。これは観光客の減少とともに、ホテルが
廃業し、収益をあげられる機能が失われていることが要因であると考えられます。
串間市観光客入込実数および宿泊客数の推移(再掲)
1,200千人
1,129
1,000千人
883
800千人
宿
泊
客
数
400千人
、
観
光
客
数
600
600千人
574
445
200千人
323
133
149
128
172
57
55
190
47
183
202
204
216
44
44
45
37
320
306
332
25
24
29
173
23
0千人
県外客数
県内客数
宿泊客数
資料:串間市資料
国定公園所在市別 観光入込客数
佐賀県唐津市
7,945
北海道小樽市
6,036
山口県萩市
2,280
宮崎県日南市
1,800
千葉県勝浦市
1,425
福井県若狭市
1,216
宮崎県延岡市
1,125
青森県むつ市
1,015
北海道積丹町
896
新潟県佐渡市
532
宮崎県串間市
173
青森県佐井村
144
0千人
500千人
1,000千人
1,500千人
2,000千人
2,500千人
6,000千人 7,000千人
3,000千人
3,500千人
8,000千人
4,000千人
観光入込客数
資料:都道府県観光統計調査(平成22年度値、市町村統計のない石川県、
徳島県、大分県、鹿児島県、沖縄県は除く)
20
2.第1次産業の衰退
就業人口・就業率の推移
・串間市では就業人口、就業率(人口に占
47.0%
かつ満足度の低い優先度の高い課題とし
て雇用対策をはじめ、各産業の振興が取
47.0%
12,000人
める就業人口の割合)がいずれも低下傾
向にあり、市民意向でも、重要度が高く
47.2%
14,000人
46.6%
就
業
者
数
46.8%
46.6%
10,000人
46.6%
46.4%
8,000人
6,000人
46.0%
4,000人
り上げられています。
45.8%
就
46.2% 業
46.0% 率
45.8%
45.6%
2,000人
45.4%
45.2%
0人
平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
就業人口
就業率
資料:国勢調査
まちの各環境に関する重要度・満足度の相関
資料:第五次串間市長期総合計画
・特に食用甘藷や米、施設園芸等を主体とする農業をはじめ、肉用牛、養豚などの畜産、定置
網や養殖業などの水産業といった串間市の基幹産業である第1次産業の低迷も大きな課題で、
農地の荒廃、後継者離れ等が顕著になっています。
農家人口と農家数の推移
14,000人
3,148
3,500戸
2,812
12,000人
2,202
10,000人
農
家
人
口
3,000戸
2,477
1,922
8,000人
6,000人
13,051
11,615
10,283
4,000人
8,759
2,500戸
1,734
1,499
1,000戸
7,451
5,143
2,000人
2,000戸 農
家
1,500戸 数
4,014
0人
500戸
0戸
昭和55年 昭和60年 平成2年
平成7年 平成12年 平成17年 平成22年
農家人口
農家数
資料:各年農林業センサス
21
3.中心市街地の衰退
・串間市の中心市街地は、国道や鉄道駅にも近く、市役所等の行政施設も集積していますが、
自動車中心のライフスタイルが浸透して久しく、すでにまちの核としての機能が失われ、市
民が集まる場所・喫茶店等もない状況となっています。
・観光地から中心市街地への回遊性が欠けており、人通りも少なく快適な環境とは言い難い状
況となっています。
◆中心市街地(仲町通り)の歩行者数:(平日)74~81 人、(休日)32~56 人
資料:通行量調査(串間商工会議所 平成 21 年・平成 22 年・平成 24 年)
◆昼食可能な店舗数
:9 店舗
快適な環境の欠如した中心市街地
・特に沿道に中心市街地全体の約 30%の空家が存在するとともに更地や駐車場が点在するなど、
寂しい雰囲気となっており、また歩車道分離がないため、歩行者の安全性の確保も課題とな
っています。
・また、仲町商店会加入の商店主アンケート
調査結果を見ると、仲町商店会の経営者年
齢は、
「60 代」が最も多く、次いで「50 代」、
「70 代」となっており、「30 代」、「40 代」
の若手経営者の占める割合は、全体の
15.2%となっており、経営者の育成も急務
となっています。
資料:旧吉松家住宅周辺(仲町通り等)活性
化基本計画 商店主調査
22
4.高齢化の進展
・串間市ではすでに高齢化率が 35%を上回り非常に高い値を示していますが、将来的にはさ
らに高齢化が進展し、10 年後には 45%に迫る勢いとなっており、リタイヤ組等への再雇
用や生きがいづくりへの取り組み、日常生活に不都合のないまちの構造の実現など対策が
必要となっています。
串間市の高齢化率の推移と見込み
50.0%
44.8%
45.0%
38.6%
40.0%
34.2%
35.0%
35.8%
29.8%
30.0%
25.0%
45.1%
42.1%
24.7%
高齢化率(実績)
19.7%
高齢化率(推計)
20.0%
15.0%
10.0%
平成2年 平成7年 平成12年 平成17年 平成22年 平成27年 平成32年 平成37年 平成42年
資料:実績値 各年国勢調査
推計値 日本の地域別将来推計人口(都道府県・市区町村)平
成 25 年 3 月推計:国立社会保障・人口問題研究所)
23
Ⅱ
まちづくり基本計画
2-1.まちづくりの基本目標
1.まちづくりの基本目標
まちづくりの整備課題及び上位計画(第五次串間市長期総合計画等)における中心市街地
の位置づけを踏まえ、当該地区のまちづくりの将来像、基本目標を以下のように定めます。
【まちづくりの将来像】
住む人と訪れる人がふれあう にぎわいとうるおいのあるまち
【基本目標1】:にぎわいのあるまちづくり
中心市街地は市役所、JR 串間駅、旧吉松家住宅など様々な施設が集積しており、人が集
まる空間としてのにぎわいの回復を図る観点から、住む人(串間市民)、訪れる人(観光
客:将来的な東九州自動車道の整備による遠方から串間市を訪れる観光客も含めて)を立
ち止まらせ、互いが出会い・交流できる拠点、環境づくりを推進します。
【基本目標2】:回遊性のあるまちづくり
中心市街地には旧吉松家住宅以外にも「石蔵・石塀」、
「福島古墳群」
、
「西南の役戦没者
墓地」などの史跡や俳人の種田山頭火が訪れ句を詠むなど多くの地域資源があることから、
これらを活用したまちなか観光を推進します。
また、まちなか観光と都井岬・幸島などの串間市を代表する観光資源を結びつけること
で訪れる人の回遊性を高めるとともに、これらの地域資源への効果的な誘導や情報発信を
推進します。
【基本目標3】:うるおいのあるまちづくり
住む人と訪れる人にとって魅力的な空間となるような休憩・休息空間や緑化等により潤
いと憩いの空間づくりを推進します。
また、大規模地震や集中豪雨などの自然災害発生時においても、住む人の安全確保や復
旧支援がスムーズに展開できるよう、安全性の高いまちづくりを推進します。
24
2.まちづくりの基本方針
(1)ゾーン区分と空間形成方針
ゾーン区分は、「旧吉松家周辺基本計画」に示されているゾーン区分を基本に、先に掲げた
まちづくりの基本目標を踏まえ設定し、ゾーン毎の空間形成方針を以下のように定めます。
【にぎわい・うるおいゾーン】
仲町通り周辺は、市役所・商店街・旧吉松家住宅など公共施設・商業施設・観光施設等
の多様な都市機能によるにぎわいのあるまちと、緑化や休憩施設等の整備により観光客
やスポーツ合宿者及び市民にうるおいと憩いを与える空間が共存する空間形成を図りま
す。
旧吉松家住宅については、仲町通りの拠点集客施設として、集客力のある仕組みづくり
を目指し、にぎわいの創出を図ります。
【歴史・文化ゾーン】
石蔵・石塀・福島古墳群・西南の役戦没者墓地等の歴史・文化等を観光客やスポーツ合
宿者及び市民がまち歩き観光として楽しむなど、にぎわいと回遊性のある空間形成を図
ります。
【出会い・交流ゾーン】
「観光都市くしま」の顔として相応しい休憩・情報発信・集客機能の集積に加え、市民
が憩い・集う機能を付加することにより、都井岬等の観光地を訪れる観光客やスポーツ
合宿者、市民をまちなかへ回遊させ、にぎわいを創出する拠点としての空間形成を図り
ます。
にぎわいの創出と連携して中心市街地の安全性を高める機能の配置を図ります。
ゾーン区分
計画の対象区域
25
(2)ソフト面の取り組み方針
中心市街地の空間形成(主にハード面)に価値を吹き込むためのソフト面の取り組み方針に
ついて以下に示します。
【方針1:串間市固有の魅力を活用したコンテンツの提供】
串間市の基幹産業である第 1 次産業の活性化に寄与するため、串間市の魅力のある農林
水産物を活用したコンテンツ(特産品・加工品・食等)の提供を図ります。
都井岬や幸島といった串間市でしか体験できない観光資源との繋がりを持たせることで、
中心市街地のみならず串間市の全体のにぎわいの回復を図るための情報提供ツールや観
光ルート等の開発を図ります。
串間市の自然特性を生かしたエネルギーの積極的な活用を図る「再生可能エネルギーの
まち」としての魅力を発信できるコンテンツの提供を図ります。
【方針2:にぎわいのある中心市街地の雰囲気づくり】
中心市街地がにぎわっている雰囲気を高めるため、中心市街地で現在展開している様々
なイベントの拡大化や新たなイベント等の企画・展開を図ります。
旧吉松家住宅に隣接する愛宕神社についても、重要な地域・まちづくり資源としてイベ
ント等の活用を図ります。
【方針3:多様な主体の市民が活躍できる環境づくり】
人口減少社会の進展により今後更に増加が見込まれる高齢者の知識やスキルの積極的な
活用を図るとともに、まちづくりに参加できる環境づくりを図ります。
まちづくり団体など多様な主体の市民がまちづくりに参加できるような仕組みづくりや
市民が考えるアイディアのまちづくりへの活用を図ります。
【方針4:統一感のある景観づくり】
地域の魅力を高めていくために統一感のある景観形成は有用であることから、旧吉松家
住宅に代表される歴史・文化環境と融合した景観づくりを図ります。
統一感のある雰囲気づくりを行うためには、地域住民の意識・知識の向上や協力が不可
欠であることから、地域住民も含めた取り組みを図ります。
26
2-2.まちづくり全体計画
前項で整理した「まちづくりの基本目標及び基本方針」に基づき、まちづくりの具体的方策を示す「まちづくり全体計画」を以下のと
おり整理しました。
◆まちづくりの将来像
住む人と訪れる人がふれあう
詳細な計画内容については、次項の「ゾーン別計画」に示します。
にぎわいとうるおいのあるまち
◆まちづくりの基本目標
【基本目標1】
:に ぎ わ い の あ る ま ち づ く り
【基本目標2】
:回 遊 性 の あ る ま ち づ く り
【基本目標3】
:う る お い の あ る ま ち づ く り
◆まちづくり全体計画
にぎわい・うるおいゾーン
まち歩きしたくなるような魅力的かつ安
安心して通行できる歩行者
環境づくり
全性の高い歩行者環境の創出
魅力的なオブジェや案内サイン、情報板の
配置
色や明るさに配慮した街灯の配置
訪れる人・住む人が憩い・ 訪れる人・住む人が休息、交流するうるお
いのある空間の創出
交流する空間づくり
訪れる人や住む人が気軽に集う場、スポー
複合的な機能を備えた空間 ツ合宿者などが簡易に宿泊できる場、市民
づくり
の文化活動ができる場などが一体化した
空間づくり
旧吉松家住宅の有効活用
生涯学習の場としての活用、愛宕神社の常
時開放等による通りのにぎわいの創出
商店街やまちづくり団体が主体となった
ゾーン全体
まちづくりのルールづくり
まちづくり組織の設立、景観に配慮したま
ちづくりのルールづくり
歴史・文化ゾーン
まちなか観光の取り組み
地域の歴史・文化資源を回遊し、通りのに
ぎわいを創出するまちなか観光の実施
出会い・交流ゾーン
住む人・訪れる人の出会い・交流機能、国
道等利用者の休憩機能、地域資源の情報発
信機能、串間市固有の魅力を活用した地域
振興機能が集積する拠点の形成を目的と
した道の駅の整備
○地域振興機能(串間らしさを感じさせる
休憩・情報発信・地域振興 場⇒食、地域産物の提供)
機能が集積する拠点づくり ○市民交流機能(気軽に地元の人が立ち寄
れる場)
○イベント機能
○情報発信機能(道路情報・観光情報の発
旧吉松家住宅周辺(にぎわい・うるおいゾーン、歴史・文化ゾーン)と出会い・交流ゾ
ーンとの一体的な取り組みを展開することで、まちの回遊性、にぎわい感を高める
信拠点)
○休憩・休息機能、防災機能
27
2-3.ゾーン別計画
1.にぎわい・うるおいゾーン
(1)安心して通行できる歩行者環境づくり
仲町通りや路地接合点は、歩行者優先や散歩道をイメージさせる道路舗装によりまち歩き
したくなるような魅力的かつ安全性の高い空間を創出します。
通りのにぎわい創出のため、魅力的なオブジェや案内サイン、情報板を配置します。
現在の仲町通りが暗いことから歩行者が安心安全に往来できるよう、色や明るさに配慮し
た街灯を配置します。
◆安心して通行できる歩行者環境イメージ
(2)訪れる人・住む人が憩い・交流する空間づくり
まちなかには訪れる人や市民が休息したり、子供が安全に遊べるような広場や緑が少ない
ことから、休息施設やトイレなどの休憩機能、緑陰などのうるおい機能を兼ね備えた交流
空間を創出します。
◆訪れる人・住む人が憩い・交流する空間イメージ
28
(3)複合的な機能を備えた空間づくり
仲町通りの人の流れの創出や、価値ある石蔵の有効活用策として、訪れる人や住む人が気
軽に集う場、スポーツ合宿者などが簡易に宿泊できる場、市民の文化活動ができる場など
が一体化した空間を創出します。
◆複合的な機能を備えた空間イメージ
(4)旧吉松家住宅の有効活用
旧吉松家住宅は、国指定重要文化財であり、串間市の交流拠点施設として「九州窯元行列
in 串間」、「あたごまつり」、「吉松邸まつり」、「旧吉松家住宅ひなまつり」等のイ
ベントを開催し、平成21年には年間12千人の来場者があったものの、来場者数は減少傾向
にあります。
今後は、旧吉松家住宅で生涯学習講座などの集客性のある事業の開催や、愛宕神社の常時
開放及び活用(歴史・文化ゾーンのまちなか観光との連携)などにより、通りのにぎわいを
創出します。
(5)まちづくりのルールづくり
訪れる人・住む人にとって魅力的な空間づくりとするため、街並みの統一感や計画的な事
業推進を目指すため、商店街やまちづくり団体等が主体となったまちづくり組織の設立と
景観に配慮したまちづくりのルール策定を行います。
29
【にぎわい・うるおいゾーン計画図】
◆複合的な機能を備えた空間づくり
訪れる人や住む人が気軽に集う場、スポー
ツ合宿者などが簡易に宿泊できる場、市民
の文化活動ができる場などが一体化した
空間の創出
◆安心して通行できる歩行者環境づくり
まち歩きしたくなるような魅力的かつ安
全性の高い歩行空間の創出
魅力的なオブジェや案内サイン、情報板の
配置
歩行者が安心安全に往来できるよう、色や
明るさに配慮した街灯の配置。
◆訪れる人・住む人が憩い・交
流する空間づくり
◆旧吉松家住宅の有効活用
旧吉松家住宅で生涯学習講座な
どの集客性のある事業の開催
愛宕神社の常時開放及び活用(ま
ちなか観光との連携)などによる
通りのにぎわいの創出
休息施設やトイレなどの休憩
機能、緑陰などのうるおい機能
を兼ね備えた交流空間の創出
◆まちづくりのルールづくり
街並みの統一感や計画的な事業推進を目指すためのまちづくり
組織の設立と景観に配慮したまちづくりのルール策定
30
2.歴史・文化ゾーン
(1)まちなか観光の取り組み
今、まちなか観光という地域の歴史や文化を再発見し、地域資源を活用した新しい視点の
観光が多くの地域で盛んに行われています。
旧吉松家住宅周辺も国指定重要文化財の旧吉松家住宅をはじめ「福島古墳群」や「西南の
役戦没者墓地」並びに「石蔵・石塀」などの史跡や俳人の種田山頭火の句など多くの地域
資源があります。
串間市では、串間史談会が生涯学習講座の中で「史跡めぐり」を実施しており、この取り
組みを拡充する形で、仲町商店会をはじめ、宮崎県建築士会串間支部と連携し、仲町通り
の歴史・文化、種田山頭火の歩いた道など来街者及び市民がまちなかを回遊する「まちな
か観光」の実施により、通りのにぎわいを創出します。
まちなかの回遊による
通りのにぎわいの創出
出会い・交流ゾーンと
の繋がりによる、まち
としての回遊性、にぎ
わい感を高める
31
3.出会い・交流ゾーン
(1)休憩・情報発信・地域振興機能が集積する拠点づくり
JR 串間駅、国道 220 号・同 448 号・県道今別府串間線などの広域交通網のクロスポイントと
なるエリアについては、住む人・訪れる人の出会い・交流機能、国道等利用者の休憩機能、地
域資源の情報発信機能、串間市固有の魅力を活用した地域振興機能が集積する拠点の形成を目
的とした道の駅の整備を推進します。
また、大規模地震や集中豪雨等の自然災害発生時の市民の避難や復旧活動の拠点となる防災
機能の配置を検討します。
①基本コンセプト
全国各地で整備されている道の駅は、まちなかから離れた幹線道路沿いにあることが多く、
もっぱら観光客が利用し、地元の人はあまり立ち寄らないことも多くなっています。
観光客も、車で道の駅に立ち寄って、道の駅の中でだけ過ごし、また車で立ち去るというス
タイルで、人気のある道の駅でも地元に与える経済効果は限られたものになりがちです。
しかし、今回の道の駅は、串間駅・市役所・学校などに近く、まちなかに立地するものなの
で、ふつうの道の駅とは違う地元の関わり方・使い方を示すことができ、串間市の現況を踏ま
えると、
「まちなかの道の駅」として以下の点が特徴として提示できます。
まちなかにあることで、観光客をはじめ地元の人など色々な人が使う場所となります。
観光地ではなくまちなかにあるので、特定の観光スポットだけでなく、広く串間地域へ
の玄関口・情報発信の場所になります。
にぎわいの少ない今の串間市に、経済活力を取り戻していくためには、市民も来訪者も両方
が使う道の駅を設置して、にぎわう「雰囲気」を創出することが必要とされています。
市民が使うことでにぎわいを創り出し、にぎわいが串間市の魅力を伝え来訪者を呼び込みま
す。来訪者も含めたにぎわいはまちなかに波及していきます。その流れの中で、にぎわいが消
費をうみ、消費が雇用を生み出し、串間市の経済を育て、またにぎわいが生まれていきます。
市民が
使う
道の駅
にぎわう
雰囲気が
生まれる
再び
来訪者が
にぎわい
に惹きつ
けられる
さらに
にぎわいが
生まれる
にぎわいが消
費を生みだす
にぎわいへ…
しごとが経済
を育てる
消費がしごと
を生みだす
32
にぎわい
が街なか
へ
そのような良い循環を育てていくことが串間市の経済の再生のスタートになるものと考え
られることから、道の駅のコンセプトを以下のように設定します。
―道の駅と串間の街を、串間市の経済を支えるにぎわう場所に育てていくために―
◆周辺地域からの来訪者と市民が交流する「道の駅」とすることで、来訪者が地域
との繋がりを感じ、訪れた実感を味わえる場所とします。
◆市民が日常的に利用する「道の駅」とすることで、いつも人がいるイメージをつ
くり出し、串間の活力・魅力を感じさせる施設とします。
◆アクセス面や景観等で周辺と繋がる「道の駅」とすることで、整備の効果を市街
地に波及させることを目指します。
コンセプト:まちぐるみで育てる、まちなかの道の駅
33
②道の駅の目指す姿と成長プロセス
道の駅の成長プロセス
1)市民が日常的に利用する機能
を配置し、にぎわいを創出。
2)市民のにぎわいが串間の魅力を
伝え、来訪者を呼び込む
3)来訪者、市民の交流が市街地へ波及する。
道の駅の目指すすがた⇒「しごと創り・ひと創り・まちの再生へ」
34
③導入機能の検討
道の駅において必要になる施設・役割については、ワーキンググループ会議等の検討の中で
以下のような提案がなされています。これを「だれが使うか」
「どのように使うか」という観
点から、下図のように整理しました。
ワーキンググループ会議等の提案の整理結果とコンセプト等を踏まえ、道の駅に備える機能
として、<地域振興機能(飲食物販・体験見学)><市民交流機能><イベント機能><拠点
機能・情報発信機能><休憩・休息機能><防災機能>を定めます。
道の駅の導入機能のイメージ
35
イベント機能
地域振興機能
(飲食・物販等)
休憩・休息機能、防災機能
遠方からの来訪者
拠点機能・情報発信機能
地元・地域の人向け
市民交流機能
前項の整理を踏まえて、導入機能は以下のような内容とします。
a.地域振興機能(飲食・物販等)
○串間市に訪れた人が串間らしさをわかりやすく感じられる機能を確保し、串間市のイメー
ジを印象付けるとともに収益につなげます。周辺の農業・まちなか農業等と連携して、地
域の産物を販売提供する機能を設けます。また誰でも楽しめるような体験機能も備えます。
○地元の人・地域の人が頻繁に利用する「地元のおみせ」としても機能するような、飲食・
物販の施設を備えます。目の肥えた地元の人が買うお店=よい品を扱うお店・地元の品を
扱うお店、という認識を持たれることで、遠方からの来訪者も惹きつけられていきます。
◆地域振興機能(飲食・物販等)のイメージ(参考事例)
萩しーまーと (萩市)
・
「地元の人が喜んで使ってくれる店であれば、
そのうち遠くからのお客様も自然と来るよ
うになる。
」という考えのもと、市民を対象
にした公設市場を設置しています。
・地産地消にこだわり、食材は萩市産が大半を
占めています。また、地域の子供達や高齢者
への食育、地魚のブランディング(萩地魚も
ったいないプロジェクト)などに積極的に取
り組んでいます。
Caf
里わ(飯山市)
・道の駅「花の駅・千曲川」に併設した喫茶店で
あり、併設する直売所の野菜を用いた料理を提
供するとともに、市内の和・洋菓子屋と協力し
て、各店舗のお菓子を提供しており、まちのス
イーツのアンテナショップの役割を果たしてい
ます。
・テラス、中庭でも食事可能であり、観光客・住
民とも利用するカフェスペースとなっています。
36
b.市民交流機能
○誰もいない場所にあえて人は立ち寄ろうとはしません。人がいないこと自体が、人を遠ざ
けることになります。
○そのため、まず地元の人が、気軽に立ち寄れる場所にして、人が集まる「雰囲気」を育て
ることが、来訪者を呼び寄せるためにも大切です。
○さらには、地元の人・地域の人が頻繁に立ち寄ることで内需的な消費も生まれ、また来訪
者にも、地元の人がいることで串間市とのつながりを感じていただくことができます。
◆市民交流機能のイメージ(参考事例)
わいわいコンテナ (佐賀市)
街なかに芝生の広場と誰もが自由に楽しめる 3 つのコンテナを設置しています。
・国内外から厳選した雑誌や絵本、マンガが自由に閲覧できる「図書館コンテナ」
・子供たちからお年寄りまで天候を気にすることなく憩い、集える「交流コンテナ」
・市民の皆さんのアイディアと工夫で様々な使い方ができる「チャレンジコンテナ」
街なかに時間を消費する場を用意したことで、日常的に多くの市民が訪れるようになり、街な
かのにぎわい再生への効果が実証されつつあります。
c.イベント機能
○朝市などのイベントができる空間を確保します。あまり大規模な空間は、周辺市街地等と
の調和や維持管理の面から避け、適正な規模の空間を配置します。
(各施設の軒先を拡張
するイメージ)
○屋内空間は地元で広く使われている旧吉松家住宅があるため、すみわけを行う意味でも、
雨天のみ回避できる半屋外空間を備えます。
◆イベント機能のイメージ(参考事例)
ハルニレテラス (軽井沢町)
・歩行者空間(デッキ部)により複数の飲食・物
販施設をつなぎ一体の商業空間として整備さ
れています。
・各店舗の軒先とデッキ部分をあわせて活用しイ
ベントスペース、食事や休憩スペース、一時的
な物販のスペースなどとしています。
37
d.拠点機能・情報発信機能
○道の駅を JR、路線バス、観光バス、タクシーなどの乗り換えの場所として使っていただ
くようにします。遠方からの来訪者とともに、車を使えない方も来ていただける、また
待ち時間に道の駅の施設を使っていただけるようにします。
(交通ネットワークの乗り継
ぎ)
○遠方からの来訪者に串間市を知って楽しんでいただくため、情報発信を行うとともに、
道の駅の外にも人を誘導します。
都井岬・幸島を中心とする観光地の情報の提供(メジャーな観光地・知られてな
い小さな観光地の情報の提供、体験型の観光・見学予約など)
エコツーリズムの紹介や水素ガス充てん施設などの環境技術の提供など、串間市
の新たな展開を紹介
サイクリング・ツーリングの拠点
串間のミニチュア模型などわかりやすい形での串間市の紹介
歴史的な事項については旧吉松家住宅などを活用した住み分け
◆拠点機能・情報発信機能のイメージ(参考事例)
道の駅小国 ゆうステーション (小国町)
・道の駅を町の「情報発信スポット」と
位置づけて、町の観光や特産物、文化、
イベントの紹介をはじめ、
“U・J・I タ
ーン”を希望する人たちに対する就職
や住まいの相談窓口など、幅広い活動
を行っています。
・個展やグループ展などの展示に利用さ
れるほか、ツーリズム協会の事務局な
どもあり、また外形デザインは、木造
建築による個性的なデザインとなっています。
e.休憩・休息機能、防災機能
○観光客の休息場所となるパーキング、トイレ機能を備えます。
○中心市街地・市役所に近い施設として、地域防災計画に即した防災機能の配置を検討し
ます。
◆休憩・休息機能のイメージ(参考事例)
刈谷ハイウェイオアシス (刈谷市)
・ハイウェイオアシスは、高速道路のサービスエリア・パー
キングエリアと連結した地域振興施設であり、高速道路か
ら出ずに利用可能となっています。
・刈谷ハイウェイオアシスでは、デラックストイレと銘打っ
たトイレを設け、観光の売りの一つとなっています。
38
④導入機能の配置の考え方(ゾーニング)
各導入機能の位置については、まず地域振興機能、駐車場等の大枠の考え方を以下4案につい
て比較し、アクセス性等に最も優れるA案を基本的な方針として採用します。
39
40
配置に関する基本的な方針をもとに、各導入機能のゾーニングは以下の図のようなイメージとなります。
41
⑤導入機能に基づくソフト面の取り組み
○導入機能の内容を道の駅で展開するにあたり、下表に整理したようなソフト面の取り組
みが必要になります。
○取り組み主体については、道の駅の運営主体が主として実施するもの、他組織等と協働
で取り組みを進めるもの、他組織等との調整を行いながら進めるものがあることから、
あわせて下表に示しました。
ソフト面の取り組み
取り組み項目
取り組み主体
取り組みのイメージ
●地元・観光客が消費する場所として、適切な種
類のテナントを揃える。(地元の生産者・商業
者との協力・共存関係を築くことが必要)
●小規模テナントとして、地域の商業者・生産者
から出店希望を募る。
●アンテナショップやチャレンジショップと位
置づけて、若手を育成し将来の商店街への出店
も想定する。
●特産品生産のための加工場を整備することを
基本に考える。
●観光客向けの見学・体験などの仕掛けは、サブ
の機能として想定する。
●串間ブランド品の開発をめざした取り組みを
行う。(取り組み体制の構築やブランドの方向
性の検討、PR の取り組みなどが必要)
●道の駅を核とした人材のネットワークを構築
する。
●地元出身者の育成やイベントでのボランティ
ア手配などを行う。
●高齢者のスキルや知恵を商品開発や教室など
へ活用するとともに、中高生の地元への引き留
めにも寄与できるよう若年世代に伝えていく。
●道の駅で販売する産品を集める仕組みを構築。
(直売所を機能させるためのルール・仕組みや
トレーニングが必要。
)
●高齢農家の産物を集め収益につなげることで
生きがいにつなげるとともに、地域貢献サービ
ス(食事配送等)への展開も想定する。
●市民が集まってゆっくり時間を過ごせるちょ
っとしたスペースやサービス機能を確保する。
(施設の内容の確定、施設の運営の方法や主体
について検討が必要。箱だけの施設にならない
ようにコンテンツが重要。
)
●既存の取り組み(図書館・生涯学習等)をコン
テンツとして育てたり、大学との連携による活
性化活動拠点としての利用も想定する。
地域
飲食・物販機能の
道の駅運営 組
振興
企画・運営
織 or 協働
体験機能の企画・
道の駅運営 組
運営
織 or 協働
1 次産品のブラン
協働
ド化・商品開発
人材の活用(就
協働
職・リタイア)
野菜・魚等の供給
協働
システムの構築
市民交
ちょこっと施設の
流
企画・運営(交流
等)
協働
42
取り組み項目
取り組み主体
取り組みのイメージ
●市役所や病院のサービス・受付窓口を設置し、
待ち時間を有意義に過ごせる場とし、休日窓口
なども想定する。(各機関との調整が必要にな
るとともに、自動車を利用しない人用に送迎バ
ス等の足の確保について検討が必要)
。
●待ち時間を有意義に過ごさせるとともに、送り
迎えのついでの利用につなげるため、バス停を
道の駅に設置する。(事業者・学校等との調整
が必要)
●祝日・休日には絶えずイベントを開催し、にぎ
わいを見せて観光客を含めて集客する。(イベ
ント内容を想定して、必要な設備や空間を考え
ることが必要。まずは小さなもの(バザーなど)
からの積み上げが重要)
●観光客に観光情報を伝え、関心を抱かせる場所
とするとともに周辺商店街にも人が循環する
情報発信を行う。(既存の組織・施設とのすみ
わけ、見せる・伝達する手法、まちづくり・移
住等の情報伝達や窓口の設置についても検討
が必要)
●埋もれている観光資源を、観光客が活用できる
ようにする。(掘り起こしだけでなく、観光ル
ートに組み込めるような調整・企画等が必要。
食・トイレ・土産物など、観光客へのしっかり
としたサービスが提供できるルートの確立が
必要)
●水素・電気の供給ステーション、レンタサイク
ルを事業者と調整して設置。(施設および車両
が必要)
市民交
ちょこっと施設の
他組織と調整
流
企画・運営(窓口
(市、病院)
機能)
コミバス・スクー
他組織と調整
ルバス等の運行調
(バス事業
整
者・学校)
イベン
イベント広場の管
道の駅運営 組
ト
理
織
イベントの企画・
協働
運営・募集
拠点・
観光情報提供・ビ
他組織と調整
情報発
ジターセンター運
(観光協会 ・
信
営
既存ビジタ ー
センター等)
観光資源の掘り起
協働
し
レンタル交通(水
他組織と調整
素ガス等)運営
(水素事業 者
等)
休憩・
トイレの維持管理
休息
防災
全体
道の駅運営 組
織
防災設備の配置・
他組織と調整
維持管理
(市)
中心市街地との一
協働
体的な取り組み
●観光の売りになるきれいで清潔なトイレを設
置する。
●防災設備の設置。(周辺の防災施設等の内容も
含め、当地区の防災上の役割を整理することが
必要)
●中心市街地へ客を流す取り組みやハード面の
仕掛けを検討する。
●市内各店舗に収益を還元する仕組みづくりを
検討する。
43
取り組みの主体のイメージ
主として道の駅運営組織が行う取り組み
道の駅運営組織が取り組む項目
トイレの維持管理
イベント広場の管理
飲食・物販機能の
体験機能の企
企画・運営
画・運営
市民や他の組織と「協働」で
取り組む項目
ちょこっと施設の企画・運営(交流等)
○道の駅だけでなく、市民や観光協会、
イベントの企画・運営・募集
まちづくり協議会など他の組織と協
働で取り組む。
1 次産品のブランド化・商品開発
○組織に参加していない市民の協力を
募るための枠組みも必要。
野菜・魚等の供給システムの構築
(地域コーディネーターを設け、意欲の
人材の活用(就職・リタイア)
ある人・企業を募り調整しながら取り
観光資源の掘り起し
組みを実施。/道の駅サポーターを募
集し各種企画に市民参加を募るなど)
中心市街地との一体的な取り組み
他の組織の協力を得て「調整」しながら取り組む項目
ちょこっと施設の企画・運営(窓口機能)
コミバス・スクールバス等の運行調整
←市等と調整
←バス事業者・学校等と調整
←水素ガス事業者等と調整
レンタル交通(水素ガス等)運営
←観光協会・既存ビジターセンター等と
観光情報提供・ビジターセンター運営
調整
防災設備の配置・維持管理
←市等と調整
他の組織と調整しながら行う取り組み
44
Ⅲ
まちづくりの展開方針
これまでにまとめた、中心市街地活性化に向けての取り組みについて、以下の方針に基づきそ
の展開を図ります。
◆中心市街地のまちづくりの基礎を築くための体制づくり
○まちづくりのルールづくり(まちづくり組織の立ち上げ、景観形成のルールづくり)
短期的(概ね5~7年)な対応
○多様な主体がまちづくりに参加できる環境づくりや市民が考えるアイディアのま
ちづくりへの活用
○市民等との協働による串間市固有の魅力を活かしたコンテンツの提供を具体化す
るためのシステムづくり(イベント等の企画・立案、1 次産品のブランド化、商品
開発、供給手法、販売戦略、人材育成等)
◆中心市街地のまちづくりの基盤づくり
○旧吉松家周辺の取り組み
◆魅力的なコンテンツづくり
○串間市の魅力のある農林水産
・安心して通行できる歩行者環境づくり
物を活用したコンテンツ(特産
・訪れる人・住む人が交流する空間づくり
品・加工品・食等)開発
・複合的な機能を備えた空間づくり
○休憩・情報発信・地域振興機能が集積する
拠点づくり(道の駅)
○都井岬や幸島といった串間市
でしか体験できない観光資源
との繋がりを持たせるための
情報提供ツール・観光ルート等
の開発
中・長期的な対応
◆短期的な対応で固めた基礎を活かした新たな取り組みの展開
○地域の歴史資源を巡るまちなか観光の実施
○東九州自動車道の整備に伴う九州全域をターゲットにした取り組みの展開(九州内
の道の駅等との連携、観光ツアー商品等の開発、情報発信、イベント等)
○中心市街地の集客性、収益性への効果が見込まれる段階で新たな取り組みの検討
(取り組み範囲の拡大、新たなコンテンツの提供(ハード・ソフト)
)
45
串間市中心市街地まちづくり基本計画書
平成 27 年 3 月策定
串間市都市建設課
〒888-8555
串間市大字西方 5550 番地
TEL
0987-72-1111(代表)
FAX
0987-72-6727