国際ディスクフォーラム概要報告 - IDEMA Japan(日本HDD協会)

DISKCON JAPAN2009
国際ディスクフォーラム概要報告
堀内義章
HORI Technology Office / IDEMA JAPAN 協賛会員
DISKCON JAPAN2009 フォーラムコーディネータ
本年度IDEMA JAPAN主催のDISKCON JAPAN 2009は、東京コンファレンスセンター品川で7月21日(火)~22日(水)の二日
間開催されフォーラム参加者は2日間で377名であった。特に今年は、HDDドライブメーカーで業界2位のWestern Digital(以下
WD)の会長兼CEOであるJohn Coyne氏が、初日の基調講演を行い2日目の基調講演には、長年に渡って垂直記録技術で貢
献された岩手県立大学学長の中村慶久氏(東北大学名誉教授)の大物を迎え行った。また、ラウンドテーブルでは各社のトッ
プが顔を揃え(WDの会長兼CEOであるJohn Coyne氏、日立グローバルストレージテクノロジーズ<以下日立GST>の技師長
である鈴木良氏、東芝の事業部長である池田隆之氏、Hutchinson technologyの会長兼CEOであるWayne Fortun氏の4名)、
コーディネータにIDEMA JAPAN会長でインフォメーションテクノロジー総合研究所の久保川昇氏が、会場から寄せられた質問
票をうまく分類し各企業の本質に迫った。その他、ロードマップ、アプリケーション、市場動向、ヘッド&媒体の新しい技術や業
界の動向の報告があった。ここでは、その概要を報告する。
1. 講演内容
<7 月 21 日(火)>
●10:00-10:10 【開会挨拶】
久保川昇 氏
Session 1 HDD
IDEMA JAPAN 会長/インフォメーションテクノロジー総合研究所
チーフアナリスト
HDD 主要技術のロードマップ
●10:10-10:40 【Magnetic Recording Beyond 1 Tb/in2】
Dr.Currie Munce 氏
Hitachi Global Storage Technologies
VP, Research and Advanced Technology
●10:40-11:10 【磁気記録技術の今後】
三浦義正 氏
信州大学 工学部 電気電子工学科
教授
●11:10-11:40 【SSD’s as an Enabling Technology in Enterprise Computing】
Scott Stetzer 氏
Session 2 アプリケーション
STEC Incorporated
Director SSD Products
HDD のコンシューマ応用および SSD との今後の共存性
●13:00-13:30 【PS(Personal Storage)の市場動向と iVDR の日立 GST の事業戦略】
釘屋文雄 氏
株式会社 日立グローバルストレージテクノロジーズ
新事業推進本部 本部長
●13:30-14:00 【Solid State Drives - New Measures for a New Industry】
Don Barnetson 氏
SanDisk Corporation
SSD 製品 シニアマーケティングディレクター
Session 3 基調講演・ラウンドテーブル
●14:30-15:20 基調講演 【The New Reality :Surviving and Thriving in a New Economy】
John Coyne 氏
Western Digital Corporation
President and CEO
●15:20-17:00 ラウンドテーブル
・モデレーター・ 久保川昇 氏 IDEMA JAPAN 会長/インフォメーションテクノロジー総合研究所 チーフアナリスト
・パネラー・
John Coyne 氏
鈴木良 氏
池田隆之 氏
Western Digital Corporation
President and CEO
株式会社 日立グローバルストレージテクノロジーズ
技師長
株式会社 東芝 デジタルメディアネットワーク社 ストレージデバイス事業部 事業部長
Wayne Fortun 氏
Hutchinson technology Inc.
President and CEO
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<7 月 22 日(水)>
Session 4 市場動向
HDD のさらなる発展に向けて、業界動向を米国アナリストが分析、今後を展望する
●10:00-10:30 【The “Netbook” and the Future of PC Storage】
John Kim 氏
TrendFOCUS,Inc
Vice President
●10:30-11:00 【HDD 市場の最新動向】
久保川昇 氏 IDEMA JAPAN 会長/インフォメーションテクノロジー総合研究所 チーフアナリスト
●11:00-11:30 【Future HDD and SSD Adoption: Which Way is Up?】
David Reinsel 氏
IDC Group Vice President, Storage and Semiconductors and Pricing
Session 5 基調講演 《無料講演》
●11:40‐12:20 【磁気記録のこれからの高密度化に思う】
中村慶久 氏
Session 6 ヘッド&媒体
岩手県立大学 学長
東北大学名誉 教授
ヘッド・媒体の高密度化のための将来技術についての技術展望
●13:30-14:15 【磁気ヘッドの研究動向と Iintermag 概要報告(ヘッド)】
金井靖 氏
新潟工科大学工学部 情報電子工学科
教授
●14:15-15:00 【パターンド媒体の研究動向と Intermag 概要報告】
本多直樹 氏
東北工業大学 工学部知能エレクトロニクス学科
教授
●15:30-16:00 【光、マイクロ波等のアシスト型磁気記録の技術動向】
五十嵐万壽和 氏
株式会社 日立製作所 中央研究所
主任研究員
●16:00-16:30 【コプレーナ線路のマイクロ波磁界を用いた垂直媒体のマイクロ波アシスト記録実験】
能崎幸雄 氏
九州大学大学院システム情報科学研究院 情報エレクトロニクス部門
准教授
●16:30-17:00 【MgO-TMR 素子の成膜技術の進展】
恒川孝二 氏
キヤノン アネルバ株式会社
第一プロダクト部
エレクトロンデバイス事業本部 第二 ED 装置事業部
マネージャー
2. 各セッションの概要とラウンドテーブルの概要
Session 1 HDD 主要技術のロードマップ
SSD(Solid State Drives)の大容量化により、HDD やフラッシュメモリのロードマップがどうなるかに大きな関心があり、そ
の意味で、HDD 側から日立 GST の技術責任者で VP の Currie Munce 氏と信州大学の三浦義正教授、SSD 側から STEC
のディレクターの Scott Stetzer 氏のそれぞれの立場からの報告があった。
HDD としては、将来的に面記録密度を高める技術と現状の垂直磁気記録の限界、そして 10Tb/in2 への技術について述
べられた。日立 GST の VP の Currie Munce 氏は、現状の垂直磁気記録(PMR)では、1 Tb/in2 が目処で、それに DTM
(Discrete Track Media)が加わって更に伸ばし、BPM(Bit Patterned Media)で 5 Tb/in2? TAR(Thermally Assisted
Recording)(BPM を入れて)で 10 Tb/in2?のロードマップを示された。これらの詳細な技術処方を述べられ、特に熱アシスト
記録には MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)もあり、アイデアとしては TDMR(Two-Dimensional Magnetic
Recording)などがあることを付け加えられた。
信州大学の三浦義正氏は、面記録密度を向上させるには、磁気ヘッド、メディア、ローデング方式、スライダー形状、制御
方式、信号処理の技術的な発展により達された一覧表を示され、また新しい面記録密度向上のとして、メディアの超 ECC
(Exchange coupled composite)構造、重ね記録を行う Shingled Writing Recording について、その記録パターンとヘッドの構
造(Edge Write)を解説された。また、CoFeAlSi を用いた CPP-GMR の Microwave Oscillations 技術の紹介もされた。表1に
は、10 Tb/in2 へ向けた技術ロードマップを示された。
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表1 面記録密度10Tb/in2 へ向けた技術ロードマップ
PMR
Perpendicular
Magnetic
recording
Media
Writer
Guard band
Limits
BPM
Bit Patternded
Media
ECC,
granular with
single domain
SUL
pattern
Single pole
Thermal Assisted
Magnetic
Magnetic Recording
granular with SUL
granular with SUL or
or Single domain
Single domain
patterned ECC
patterned ECC
Single pole with
Single pole with
near-field
microwave
transducer
generator
Yes
<1 Tb/in2
<10 Tb/in2
>10 Tb/in2
Writing,
Lithography
Microwave Assisted
ECC,
Yes
Super-para
Shingled Write
ECC,
Yes
Synchronous
Challenges
MAMR
Recording
ECC,
WAS single pole
TAMR
ECC,
conventional
Writing at corner
NO
>10 Tb/in2
<10 Tb/in2
Microwave Osillator
Reliability
granular with SUL,
edge of wider head
Yes
High Temp.
(TDMR)
New Formal
Architecture
SSD に関して、エンタープライス系に導入している STEC のディレクターの Scott Stetzer 氏は、データーストレージとして
の立場から話され、市場の要望としては、「大容量」「大パフォーマンス」の2点を上げられた。「エンタープライズに SSD が適
しているのは、機能(IOPS と Latency)、信頼性(Full Data Path Protection、No mechanical failure)、省電力」。HDD と SSD
を比較を以下に示す。
HDD
SSD
Form Factor
3.5"/2.5"/1.8"
3.5"/2.5"/1.8"
Interface
FC/SAS/SATA
FC/SAS/SATA/PCle
Components
Controller
Controller
Heads
Motor
Actuator
Dust proof case
Media
Glass or Aluminum
SLC or MLC NAND
Performance
350 IOPS(15,000rpm)
45,000~50,000 IOPS
Latency 4.5~9ms
Latency <1ms
「SSD の今後として、SSD の数量の伸びは続く、インタフェース(FC,SAS,SATA)が、力強く推進する、新しいインタフェース
(PCle)がニッチなアプリケーションに採用されるだろう」「エンタープライズでは、ストレージやサーバーに継続して使われる、
機能のアプリカーションが SSD へ移行していく、大部分のストレージが$/GB の価格の媒体を使い続けるだろう」。
Session 2 アプリケーション~HDD のコンシューマ応用および SSD との今後の共存性
HDD の応用製品として日立 GST の事業本部長の釘屋文雄氏が、SSD の立場から SanDisk のシニアマーケティングディ
レクターDon Barnetson 氏が報告された。
HDD に関して先ず日立 GST の事業本部長の釘屋文雄氏から、PS(Personal Storage)の市場について昨年(08年)は、
HDD 出荷台数の内、PS は20%以上の成長をしていることを述べられた。また CE(Consumer Electronics )製品、ネットワ
ークビジネス、IT 応用製品について上げられ、また各種データとしては、音楽(1時間で58MB)、写真(高画質100枚で40
0MB)、映画(2時間で20GB)などが多くの容量が必要であること。データの情報量は年々増加し、ネットワークやクラウドコ
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ンピューティングの時代に入っていく。日立 GST のビジネスプランとしては、各種コアとなる HDD(HDD、ヘッド、メディア、ウ
エハー、HGA)に付加価値を加えた HDD として
・CinemaStar(CE use) ・Endurastar(Automotive & Industrial use)
・Enterprise SSD
・DRM (Data Rights Management) ・Opal security ・iVDR
な ど が 上 げ ら れ 、 こ れ ら を ベ ー ス に ス ト レ ー ジ ビ ジ ネ ス を 展 開 し て い く 。 そ の 一 つ に HDD の リ ム ー バ ル 化 と し て
iVDR(Information Versatile Device for Removable usage)を進めている。著作権保護のSAFIA(Secure Architecture For
Intelligent Attachment device)機能を持っている。現在の容量は 2.5 インチHDDで、160GB、250GB、320GBであるが来年度
は 500GB~1TBの予定。現在、テレビへのiVDR端子やプレーヤ、USBタイプが出されているが、今後はSTB(Set Top Box)
やホームサーバー、PC応用などを進めていく予定である。
SSD の立場から SanDisk のシニアマーケティングディレクターDon Barnestson 氏が SSD について HDD との比較において
の紹介があった。SDD のクライアント要望の価格帯としては、500~800 ㌦であるが。現在は、2,000 ㌦以上だが、2011 年に
は 800~1,200 ㌦に近づく。また SSD と HDD の比較は、「2.5 インチ HDD と第三世代 SSD との比較では、書き込み速度で
2.4 倍、読み出し速度で1.8 倍、ランダムな読み出しの IOPS(QD=32)では、384 倍、ランダムな書き込みでも IOPS は 4.7 倍、
SSD の方が良い」「MTBF は、ノートブック PC が 300K~500K 時間に対し、SSD は 2M 時間」「SanDisk の耐久性の提案は、
LDE(Longterm Data Enduarance)で記録回数による寿命の SSD の寿命、LDE が SSD の寿命を評価(80TB の記録による
寿命、1 日 20GB の記録、寿命は 10 年以上)」「SSD の価格は、2013 年に HDD の 40 ㌦弱に対し、SSD の 64GB がこれ以
下になり、32GB、16GB は蘇例会になる」「結論として、HDD 業界は 50 年以上の実績がある(SSD は 07 年から)、SSD の成
長は更なる機能の充実(進んだ機能、信頼性、価格)、SanDisk は、SSD 業界においてリーダーシップをとり続ける」。
Session 3 基調講演&ラウンドテーブル
(1)基調講演は、WD の会長兼 CEO の John Coyne 氏で、注目を集める。先ず、世界の経済状況から分析。特に GDP の
伸びのマイナスとゆっくりした回復を示し、また US,カナダ、英国、フランス、日本、イタリア、ドイツ等の雇用と GDP の伸
び率がマイナスであること、過去(1990年~2007年)の HDD の生産と売上高の変化を示し、特に 2001 年の落ち込
みが一つのポイントとなっている。更に HDD の出荷予測も 08 年 Q1 の予測と 09 年 Q1 の予測を示し、昨年秋の金融
危機による経済の落ち込みで、09 年 Q1 の予測は大きく変化している。すなわち、09 年度は大きく減少し約 5 億台を予
想し、これをベースに伸びていく。11 年になって 08 年の出荷台数より増える傾向。売上高も大幅落ち込みで、08 年レ
ベルになるには 13 年以降になる。WD としても売上高は大幅に落ちているが、研究開発費は落としていない。ストレー
ジとしては、サーバー(ネットワークデータセンター、IP データセンター、IT データセンター)、ネットワーク(ネットワーク装
置など)、デバイスでは、業務用・組み込み製品(SSD&HDD)、ハンドヘルド製品(SSD>HDD)、PC 製品(HDD>SSD)、
テレビ製品(HDD>SSD)、パーソナルなエリアネットワーク(PAN)周辺機器などがある。IP のやり取りの情報量は 40%
の伸び、またモバイルブロードバンドも大幅な伸びとなる。面記録密度は、HDD が年率 40%の伸びに対し NAND 型フ
ラッシュメモリの伸びは 55%。HDD は次の技術が鍵(DTR、HAMR、BPM)。その意味で IDEMA は鍵を握る立場にある。
従って、「世界の経済は、絶えず激しく変化していること」「世界の経済は回復しているにもかかわらず、ゆっくりしてい
る」「HDD ビジネスは1年前に比べると減少している(08 年 Q2 に対して 09 年 Q2 比で 16%減、資料はガートナー)」
「HDD 業界は、要望には対応する必要がること、技術に対する投資は、効果的に行うこと」「HDD 業界は、活発で繁栄
すると思われる」「新しい経済に対して、生き残り、繁栄するであろう」。
(2)ラウンドテーブルは、4 人のパネラー(WD、日立 GST、東芝、Hutchinson)に対して、モデレーターの IDEMA JAPAN 会
長/インフォメーションテクノロジー総合研究所チーフアナリストの久保川昇氏の司会で、例年のごとく会場からの質問
内容に基づきスタート。大きくは「ビジネス・経済」と「技術関連」の二つの分野で進行した。
○ 「ビジネス・経済」
・業界再編に関して
「東芝の富士通買収に関しては、事業の中で伸びることが前提で、ストレージは、なくてはならない機器。それぞ
れの強みを生かす。インパクトはあったと思われる」「業界の再編成は良く、効率も上がる」「2.5 インチタイプでは
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強力なライバルになる。また、日本企業同士なのでうまくやれるのでは」「部品としてはサプライヤーの統合でサ
ポートのインフラは減らせ効率化になる」。
・ドライブメーカー5 社の次の再編は
「更なる再編は必要ない」「何が起こるかは不明だが、今の所その必要はない」
「5 年後はどうなっているかに対し、5 社または 4~5 社との返事であった」。
・SSDに関して
「補完関係にある。ハイエンド・ハイパフォーマンスでの役割分担」「応用分野が HDD と代わる」「容量が伸びない
分野は NAND 型になるが、予測は難しい」「SSD のモバイル系には少しあるが、全体としては影響ない」「SSD に
数量で HDD がそこなわれることはない」。
・もしHDD=SSDのコストならばHDDはどの位残か
「ありえない。NAND フラッシュには制約あり」「SSD は稼動部分がないが、電子の移動があり可動と言える。それ
により信頼性や耐久性に影響あり」「4GB の HDD なんてありえない」。
・ストレージとして 40GB(又は 120 分)を下さいと言われたら販売店はどうするか
「20 ㌦であれば SSD、40 ㌦であれば HDD」。
○ 「技術関連」
・PMRは何時まで持つか(限界的な時期)
「1 Tb/in2(昔は 600~700Gb/in2 だったが)。1 年後は次の技術の出次第」
・PMRを限界として、次の技術は
「ヘッド・媒体に力を入れ過ぎた。他の領域があると思う。従って、PMR の延命は可能」「勿論、次は DTM、BPM
を行う」「コストによる。他の要素技術も必要」「DTM+追加部品が必要になる。現在の技術を伸ばした方が良
い」。
・位置決め精度の見通し
「周波数が高くなるので、スペースを含めた管理が重要」「デュアルサスペンションが必要になる。その他、セン
サー、コントローラ等の改善が、経済的な方法で必要」「DAT やミリ・マイクロ技術、TPI 時の不連続的なジャンピ
ングに対応(克服は可能)」。
・3.5 インチHDD対 2.5 インチHDD(アルミディスク対ガラスディスク)
「デスクトップは今後も残る」「モバイル PC は増える(2.5 インチ HDD が残る)。デスクトップにも採用される」「高容
量(3.5 インチ HDD)は ATA エンタープライズと外付け HDD」。
・3.5 インチHDDと 2.5 インチHDDで、同じ容量で価格は
「同じ容量であれば、逆転はない。価格差は付く」
・デスクトップの用途
「B to B は 3.5 インチ HDD、B to C は 2.5 インチ HDD。液晶も薄くなって来ているので、デスクトップの 3.5 インチ
HDD から 2.5 インチ HDD の可能性はあるし、要望もある」「キャパよりコストの時にチャンスがある。3.5 インチ
HDD でシングルヘッド(価値あり)。要は経済性とコスト」
・3.5 インチHDDがアルミディスク、2.5 インチHDDがガラスディスクで変わらないか
「多分変わらない」「新しい技術で熱を用いる場合はや TPI を攻める場合検討必要(フラッターがないもの)」「基
板厚は厚くする方向」。
・HDDで、容量が 250GB/500GB/1 TBの価格
「モデルでの各社の価格差はない。08 年に圧力があったが、ドライブメーカーの強大化、またガラスディスクの不
足もあり」。
Session 4 市場動向 ~HDD のさらなる発展へ向けて、業界動向を米国のアナリストが分析、今後を展望する~
その道の 3 名の専門家講師お願いした。TrendFOCUS VP の John Kim 氏、IDEMA JAPAN 会長/インフォメーションテク
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ノロジー総合研究所 チーフアナリストの久保川昇氏、IDC Group VP の David Reinsel 氏。当然話題は、SSD と HDD との今
後の動きに絞られた他、ネットブックとパソコンの今後と今年と来年度の HDD の見通しについて見通しをそれぞれの立場で
展望された。
TrendFOCUS の John Kim 氏は、「ノート PC は、2008 年からデスクトップ PC を割合で抜いている」「モバイル分野は、液晶
画面の大きさにより低価格の携帯電話、スマートフォン、多機能の携帯電話、UMPC、スリムノート PC とモビリティのノート
PC、標準のノート P C(店頭、ウエブ)」「急速なノート PC の変遷は、2007 年は 7 型液晶に SSD 容量 4/8GB、08 年は 8.9 型
液晶に HDD 容量 80/160GB、09 年は 10.1 型液晶に HDD 容量 60~160GB、10 年予測は 10.1 型液晶に HDD 容量 250GB」
「ノートブック市場は増加し、その中で一部ネットブックが 07 年より入ってきているが、2013 年以降ネットブックはなくなる。ま
た平均単価の低下は続く」「携帯電話対ノートブック PC では、現在では、異なった市場なので、競合はしていない。しかし、
iPhone により HTC、Samsung 電子が後押しし、携帯電話と PC ではサイズが異なっているが、2~3 年後は、オーバーラップ
する。ノキアのモバイル PC の参入により月々のサービスモードになる」「HDD 又は SSD かは、HDD は先では SSD に勝る。
SSD のベストは Commercial で低価格・低容量。SSD の問題点は価格と性能のギャップ」「HDD と SSD の価格差は 40 ㌦で、
2013 年まで続く」「SSD は、HDD 全体の僅かの部分しか寄与しない」。
インフォメーションテクノロジー総合研究所の久保川昇氏は、2008 年から 2009 年前半にかけての HDD 市場の概況と 2009
年後半の市場見通しについて報告され、昨年 9 月までは堅調に推移し、10 月以降激変。09 年 1~3 月の HDD 生産量はピ
ーク時の 6~7 割程度、部品材料ではそれをさらに大きく下回る。しかし、本年 2 月で底打ちを確認。以降急激に回復中。1
月で在庫調整は完了、2 月以降は前月比 5~10%増が継続中、6 月はピーク時の 8 割程度にまで回復した模様とのこと。
2009 年後半の市場見通しについては、世界経済は過去に類例を見ない急減速(とりあえず底打ちは確認できた、回復のス
ピードは?急回復 or 長期停滞、日・米の個人消費は比較的堅調、中国などではすでに拡大期に)、黄金時代は終焉。今後
の CE 向けビジネスは?(HDD が適応するアプリケーションは明らかに、動画アプリケーションの高画質化、フラッシュとの競
合)、まだまだ続く業界再編(競合は徐々に緩和、再編の最終形は?)と分析され、まとめとして、「2008 年の HDD 市場は 9
月まで堅調,10 月以降急減速」「2009 年 2 月には底打ち確認,回復軌道へ、ただし 2009 年のマイナス成長は不可避」
「2009 年後半には回復の兆し,本格回復は 2010 年」「中期的には HDD の市場拡大は持続」「SSD の HDD 市場浸蝕による
影響はごく軽微」「業界再編の最終形を見据えた経営戦略を」。
IDC Group の David Reinsel 氏は、世界の経済動向(GDP 成長率など)を分析し、世界の情報量は、新規・保存・コピー等
でペタバイト(10 の 15 乗)を毎年生み出していること。また階層的に考えると、階層 3 は Backup/Archive(2.5”/3.5” 5,400 /
7,200 SATA、Tape、Optical)、階層 2 は Reference/Nearline(2.5”/ 3.5” 5,400 / 7,200 SATA)、階層 1 は Production Online
(2.5” / 3.5” 15k/10k FC/SAS 2.5”/ 3.5” 7,200 SATA / SAS)、階層 0 は Ultra-High Performance(SSD, 2.5” 15k/10k
HDD)に分けられる。SSD としては、Enterpize に今年より少しずつ入り 2013 年までにその割合を増やしていく。ただし、価格
については、ある幅を持って平行に下がっていき、SSD の方が高い。ポータブル PC につては、2010 年より増え始め、2013
年にはその割合が 20%強となる。SSD は、今年は 1 千万台強、2013 年には 8 千万台超となり、その中でパソコンの占める
割合が大きい。HDD については、2009 年度は 5 億台弱、2013 年度には 7 億台強となる。
Session 5 基調講演
基調講演「磁気記録のこれからの高密度化に思う」と題して、岩手県立大学学長で東北大学名誉教授の中村慶久氏が、
3 つの課題について提言された。「高密度化を妨げる要因」については、“磁化転移とトラック端の磁化揺らぎ”“磁性粒子の
不均一性、粒径、位置、磁気異方性”“粒間相互作用、静磁気、交換力”、「次世代高密度記録方式と課題」については、
“磁化揺らぎの強制排除(DTM、BPM)”“書き込みエネルギーの補給(TAMR、MAMR)”“二次元書き込み(アジマス記録、
SWR/TDMR,TDWR/SR)”、また次世代記録方式の課題は、“超高精度な加工技術“量産技術とコストの見直し”“実験的検
証”“物理より技術”、当年の課題としては“磁気ヘッドの書き込み能力引き出すヘッド媒体系の最適設計はないか?”を上
げられた。「高密度化のための二三の理論的提言」については、“ヘッドの励磁方法” “媒体パラメータ”について説明され
た。磁気記録に長年携われた経験から示唆に富んだ内容で、まとめとしては、「次世代記録方式にはまだ課題も多い」「現
状の垂直磁気記録にも高密度化の余地があるまだある」「垂直記磁気記録の高密度化パラメータを理論的に明らかにする
6 IDEMA Japan News Vol.92
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にはヘッドと媒体間の静磁気相互作用を正確に考慮することが不可欠である」と結ばれた。この基調講演は、無料講演にし
たため会場を一杯にするほどの大勢の聴講者が参加される中で基調講演を締めくくった。
Session 6 ヘッド&媒体 ~ヘッド・媒体の高密度化のための将来技術についての技術展望~
今回からヘッドと媒体を一つのセッションにして、行った。インフルエンザの影響で、Intermag に参加できない企業が多か
ったので、講演と Intemag 報告をヘッドでは、新潟工科大学工学部 金井靖氏に、媒体では、東北工業大学 本多直樹氏に
お願いした。熱アシスト関係では、日立製作所の日立製作所 五十嵐万壽和氏とマイクロアシストでは、九州大学大学院
能崎幸雄氏に、MgO-MR 素子の成膜では、キヤノンアネルバの恒川孝二氏にお願いした。
新潟工科大学の金井靖氏は、ヘッドの立場から Intermag での状況を報告され、特に singled-write and two-dimensional
magnetic recording のシンポジュウムで、5 件の発表(「Future options for HDD storage」「High density data-storage using
shingle-write」「Shingled magnetic recording for 2 Tbit/in2」「Two-dimensional magnetic recording」「TDMR platform
simulations and experiments」)があったことを報告。そして、次世代垂直磁気記録方式として、1Tb/in2 を超える記録密度
実現のために BPM、TAMA(HAMR)、MAMR を克服する必要があること、第 4 候補として 2 次元記録方式(TDMR)が報告さ
れた(singled-write and two-dimensional)。また、singled-write and one-dimensional 読み出しでも1Tbin2 をゆうに超える面
密度記録が可能と思われる。
それぞれを比較すると以下の通り。
記録方式
BPM
Some pros
Most challenging
記録が難しい
シンクロ記録
高 TPI が可能
(リソグラフィーは決定的ではない)
横漏れ磁界に強い
TAMR(HAMR)
高 BPI が可能
決定的な事項はないがーーー
複合ヘッド
MAMR
高 BPI が可能
高周波発生素子
高 TPI が可能
低ダンピング媒体
横漏れ磁界に強い
singled-write and
旧来の連続媒体を使用可能
信号処理に新しい方式
two-dimensional
高 TPI が可能
新フォーマット方式
横漏れ磁界に強い
(余分な DRAM;自動デフラグ)
その他、関連発表項目を紹介された。本来の発表テーマは「write head modeling for shingled recording」で、記録の原理
(VTRの重ね記録方式と同じ記録方式)とヘッドの3タイプの形状、磁界分布、記録パターンのSEM写真を示された。結論と
して、面記録密度は2~3Tb/in2の可能性があること、記録ヘッドの磁場は、1GHzの高い周波数電流で可能、しかし2 GHz
ではない?
東北工業大学の本多直樹氏は、媒体の立場からIntermagでの状況を報告され、相対的な傾向として、「現行媒体では大
きな進展は見られず、中間層の薄膜化を中心とした発表以外は、現行媒体の最適化およびノイズと記録特性の解析が主」
「次世代材料としてのSm-CoやFePt系媒体はまだ微細化や規則化の検討段階のものが多い」「次世代媒体として注目され
ているECC型媒体は、BPMも含めその優位性が幾つかのシュミレーション検討が示された。しかし、メリットの出るHkの大き
な材料を用いた媒体の作成報告は今回なかった」「直次世代としてShingled記録の急浮上が今回のトピックス」「Shingled記
録では、面記録密度に50%以上のゲイン、2 Tb/in2以上の高記録密度の可能性(ただし、Hk~90kOeのECC媒体を仮定)、
SSDと似た記録システムの変更が必要」などであり、一部を紹介。本題の発表は「パターンド媒体の研究動向」で、ビットパ
ターン媒体でドット間静磁気相互作用が高密度化の制限要因、傾斜異方性による高密度BPM記録方式の提案を行った。
その結果のまとめとして「傾斜異方性とすることでドット間の静磁気相互作用による磁化反転分布の広がりを抑制できる」
「シールドプレーナー型ヘッドの磁界分布を用いて、面記録密度5Tb/in2までの記録シュミレーションにより検討」「4%程度
の異方性磁界分布と4度程度の配向分散を許容できるシステムの可能性」「上下方向の配分分散はオントラック記録エラー
7 IDEMA Japan News Vol.92
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に影響」「トラック幅方向の配分分散は隣接トラック誤記録に影響」「傾斜異方性磁性薄膜の作製と微細ドット加工が今後の
課題」。
日立製作所の五十嵐万壽和氏は、「光、マイクロ波等のアシスト型磁気記録の技術動向」について報告された。現在の課
題は、3つあり、Thermal stability/Recording density/Writability。これを解決するのに書き込みを容易にするエネルギーアシ
スト記録にについて、その原理と開発課題、開発状況と記録再生実験について考察された。熱アシスト記録の主な研究機
関と開発状況およびエネルギーアシスト記録の比較を以下に示す。
熱アシスト記録の主な研究機関と開発状況
会社名
光導入
Seagate
Grating antenna
日立、
LD on Slider
日立 GST
Remote LD
シャープ
LD on Slider
TDK
?Near Slider
導波路&SSC
方物面鏡
SSC
through
?
NFT
実証実験
Lollipop
200Gb/in2 FePt 媒体
Nano-beak
250Gb/in2 [Co/Pd]n 媒体
C-apeerture
Static 記録
Half tern coil
?
?Aperture
?
エネルギーアシスト記録の比較 (◎実験により問題なしを確認 ○計算により問題なしを確認 △課題あり)
TAR(TAMR)
MAMR
原理
NFT→媒体昇温→Hc 低下→磁化反転
◎
マイクロ波+磁気共鳴→共鳴→磁化反転
◎
記録密度の決定サイズ
ナノビーク(NFT)先端径→三日月磁区
△
HF 磁界源(FGL)幅→矩形磁区
○
アシストエネルギー源
LD 発光
◎
スピントルクオシレータ
◎
ヘッド集約化課題
熱変換効率向上
◎
FGL 短磁区化
○
磁界と熱の重畳
◎
磁場中発振動作
○
記録媒体
Tc 制御
◎
α制御
○
ルブ・保護膜
耐高温・温度勾配
△
従来トレンドと同じ
○
九州大学大学院の能崎幸雄氏は、マイクロアシスト記録の「コプレーナ線路のマイクロ波磁界を用いた垂直媒体のマイ
クロ波アシスト記録実験」について報告。MAMR(Microwave-Assisted Magnetization Reversal)の原理と NiFe 薄膜パターン
によるテストと垂直磁気異方性を有する Co/Pd 多層膜のテストを行い、かつ強磁性薄膜パターンに対する最近の MAMR
実験をまとめた。
強磁性薄膜パターンに対する最近のMAMR実験
Materials
Lateral size
fFMR at zero-field
Coercive field
NiFe 2nm
0.7X1.4μm2
1 GHz
10 Oe
1.5X3.0
0.55 GHz
5 Oe
Ref.
G.Woltersdorf and C.H.Back
PRL 99, 227207(2007)
Hexagon
NiFe 20nm
50x70
1.57 GHz
~8 Oe
Rectangle
T.Moriyama et al.
APL 90, 152503(2007)
JAP 103, 07A906)2007)
NiFe 10nm
160X80
~0.6 GHz
~3 Oe
Ellipoid
P.M.Pimentel et al.
APL 90, 062503(2007)
JAP 102, 063913(2007)
NiFe 35nm
0.3XL
~6 GHz
160~300 Oe
Y.Nozaki et al.
L=1.3~500
APL 91, 082510(2007)
Rectangle
APL 91, 122505(2007)
APEX 2, 033002(2009)
[Co/Pd]20
20nm
100X10
Rectangle
~30 GHz
1.2kOe(⊥film)
Y.Nozaki et al.
Intermag '09
8 IDEMA Japan News Vol.92
DISKCON JAPAN2009 国際ディスクフォーラム 概要報告
まとめとしては、
(1) 保磁力 200 Oe, 残留磁化状態での FMR 周波数 6.3 GHz の NiFe 薄膜パターンについ て、マイクロ波アシスト磁化
反転の確率的振舞いを調べた。
(2) マイクロ波磁界印加後の FMR 周波数を測定することにより、NiFe 薄膜パターンの磁化反転を検出することに成功し
た。
(3) マイクロ波磁界の周波数が 6 GHz の場合、マイクロ波アシスト磁化反転特有の微細構造が臨界スイッチング曲線に
現れる。このとき、最大のスイッチング磁界低減効果が得られた。
(4) NiFe 薄膜パターンの磁化反転は、逆磁区の核発生がマイクロ波磁界により誘引されることによって生じる。
(5) 垂直磁気異方性を持つ Co/Pd 多層膜についてマイクロ波アシスト磁化反転実験を行い、部分的な磁化反転を示唆
する FMR スペクトルの変化を観察した。
なお、この研究は、NEDO(New Energy and Industrial Technology Development Organization)、Ministry of Education,
Culture, Sports, Science and Technology、SRC(Storage Research Consortium)からの研究資金を基に研究されました。
キヤノンアネルバの恒川幸二氏は「MgO-TMR 素子の成膜技術の進展」について設備の立場から報告。TMR デバイスと
しては、センサーとメモリがあり、磁気抵抗値(RA)と MR 比の相関を示し、そのセンサーである TMR の作製方法を示し、
MgO の絶縁膜を用いてさらに Mg や Ta により MR 比を向上させる方法を示した。そのまとめとして、
(1) We successfully fabricated crystalline MgO-TMR device by sputtering using solid phase epitaxy technique.
(2) The Mg insertion and the Ta getter techniques improved the MR ratio at low RA region.
(3) In-situ annealing of the MgO layer is a promising technique for the next generation HDD read-head.
(4) Novel Mg post-oxidation process shows promising results.
(5) In-situ analysis chamber is a powerful tool for analyses of ultra thin films.
(以上)
9 IDEMA Japan News Vol.92