株式会社アールテック・ウエノ 個人投資家向け会社説明会 (2013 年 3 月

株式会社アールテック・ウエノ 個人投資家向け会社説明会 (2013 年 3 月 16 日開催)
株式会社アールテック・ウエノ 個人投資家向け会社説明会 書き起こし
2013 年 3 月 16 日
表紙
皆様、本日はご多用のところ、ご参加をいただきまして
ありがとうございます。アールテック・ウエノ代表取締
役の眞島でございます。本日は、短いお時間ではありま
すが、当社の概要、そして今後の中長期的な成長戦略に
ついてお話したいと思います。
P2:株式会社アールテック・ウエノ (0 分 28 秒)
まず、アールテック・ウエノという社名の由来について
お話いたします。
アールはリサーチ(Research)のアール(R)。そこに
テクノロジー(Technology)のテック(tech)を付けて、
アールテック。つまりリサーチアンドテクノロジーとい
う意味です。ウエノは、当社を作った上野博士の名前をとって「アールテック・ウエノ」で
す。
本社は東京で、帝国ホテル横にあるビルの 10 階に事務所を構えております。研究所は神戸
に、工場は兵庫県の三田市にあり、事業の拠点は全部で三箇所あります。
P3:代表取締役社長眞島行彦 (1 分 29 秒)
こちらのスライドでは、私の経歴をご説明しています。
私はもともと眼科医で、1980 年に慶應大学を卒業しま
した。アールテック・ウエノを作った上野隆司博士は医
学部の同級生です。
2005 年にアールテック・ウエノに入るまでは、慶應でずっと眼科の研究と臨床をやってお
りました。入社のきっかけは、上野先生に誘われたことです。世の中に困っている患者さ
んがいっぱいいるので薬を一緒に作ろうじゃないかという夢を色々語っていただきました。
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株式会社アールテック・ウエノ 個人投資家向け会社説明会 (2013 年 3 月 16 日開催)
当時、私は大学で助教授をやっていて、今後どうしようかなと考えていた時でした。大学
というのは基礎的な研究を行い、作られた薬を患者さんに提供するのですが、実際に薬を
どうやって作るのかということは、あまり良くわかっていませんでしたので、ちょうど良
い、ここで薬を作る側に行ってみようということで、2005 年にアールテック・ウエノに入
社しました。そして、その四年後の 2009 年 6 月に代表取締役になりました。
P4:経営理念 (2 分 58 秒)
アールテック・ウエノの経営理念は、
「Physician-Oriented Company」です。フィジシャン
とは医者のことを指します。
医師の視点(目線)ということは、ある程度患者さんの
目線も入っているということですが、医師の目線で医薬
品の開発・販売を行う。分野特化型については、私自身が眼科医ですので、眼科と皮膚科
に特化した医薬品を、グローバルな形で作る会社を目指す。これらを経営理念にしており
ます。
これはどういう意味かということを、もう少しわかりやすく説明したのがその下の文章に
なります。
「医薬品開発の重点は量から質へ」とある中の、量というのはいわゆる生活習慣
病――高血圧や糖尿病のような、たくさんの患者さんがおられる領域を指します。こうい
った領域ではかなり多くの薬がすでに作られており、難しい病気もほとんど治せる時代に
なってきたため、後発品がどんどん作られている状況にあります。
こうした中、世界のグローバルカンパニーを含め、今、大手製薬会社は新薬開発の領域を
「量から質」
、つまり、アンメットメディカルニーズ(未だ満足の行く治療法がない)の高
い分野へとシフトしつつあります。
アンメットメディカルニーズの高い領域は、専門医による治療が中心となっています。た
とえば、高血圧、糖尿病や高脂血症であれば一般の内科の先生でも薬を処方できますが、
癌などの特殊な疾患になると専門の先生の知識と経験が必要となります。
こうした領域では、製薬会社としても新薬を開発するためには医学会との協力ネットワー
クが必要ですし、常に患者さんや市場の動向を見ながら開発することが求められます。こ
の点、当社の場合は代表である私が医者であり、医学会との強いネットワークを持ってお
りますので、薬の開発にあたっては非常に有利となります。
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P5:アールテック・ウエノの基本経営方針 (6 分 5 秒)
ではここで、当社の基本的な経営方針についてお話いた
します。
まず、ミッション(使命)としては「生活の質を向上さ
せる医薬品の開発」を掲げております。これはどのバイ
オベンチャー、創薬ベンチャーでも謳っていることでは
ありますが、患者さんの生活の質、クオリティを良くするために、より良い薬を開発する。
それを「医師の目線で見ながら」開発していくということになります。
そしてもうひとつの使命として、上場企業としての株主還元、配当を出すことを掲げてお
ります。バイオベンチャー企業というと赤字が多く、配当が出せない企業も多いかと思い
ますが、我々は上場したからには投資してくれる株主様にはそれなりの還元をしていかな
ければならないと考えており、必ず安定した配当を出すことを方針としております。
アールテックのバリュー(価値)は、財務基盤のしっかりした創薬ベンチャーであるとこ
ろにあると考えております。ご存知のように、医薬品の開発には多額の費用がかかります。
素晴らしい技術を持っていても、お金がなくなってしまえばそこで開発を断念せざるを得
ません。技術を大手の企業が買ってくれる場合もありますが、自分の手元から離れると結
局は自分の意志と違う方向で開発が進んでいってしまう。それが創薬ベンチャーにとって
の課題となっています。
この点、アールテック・ウエノを作った上野隆司先生はしっかりと理解しておられ、まず、
(
「レスキュラ」や「アミティーザ」で)ある程度安定的に収益を得られる体制を作った上
で、その中から新しい薬を作っていこうという基盤を整えました。
「創薬ベンチャーは赤字
が当たり前」という時代に、やはり財務的な基盤をしっかりしていくべきだと考え、それ
を実践してきたのは我々アールテックのバリューだと思っております。
基本的な戦略については、
「ミドルリスク・ハイリターン」と書いております。創薬という
のはもともと非常にハイリスク・ハイリターンなビジネスで、
(医薬品候補として開発する)
物質から薬になるのは 1 万分の 1、あるいは 2 万分の 1 などとよく言われます。ですが、一
旦製品になれば、グローバルであれば 1,000 億円、2,000 億円規模の市場を取ることもでき
ます。これがハイリスク・ハイリターンといわれる所以です。
ここで言う「ハイリターン」は、当社の規模にとってのハイリターンを指しますので、大
企業から見ればミドルリターンかも知れませんが、我々の企業規模からすればそれなりの
ハイリターンを取っていくという事を表します。リスクについては、我々のような創薬ベ
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ンチャーが「ハイリスク」をとっては、悪くすると会社が潰れてしまうことにもなりかね
ませんので、いかにミドルリスクへと抑えるかが重要になります。
これが基本的な戦略で、開発の成功の価値をなるべく高くしようということですね。以上
が、アールテックの経営の基本を支える「三本の矢」となります。
P6:最近の業績推移 (9 分 52 秒)
業績で申し上げますと、最近は年商が 50 億円に近づい
ています。そして売上の 30%程度、10 億前後を年間の
研究開発費として薬の開発に使っております。当期純利
益は 5 億から 10 億の間であり、ここから配当を出して
います。財務基盤を持っているというのはこれです。
P7:第 8 回バイオベンチャー大賞審査員特別賞の受賞
(10 分 31 秒)
今年の 2 月 27 日には、第八回目のバイオベンチャー大
賞で審査員特別賞を受賞いたしました。当社の長年の創
薬について評価を受け、バイオベンチャーとしての表彰
をいただきました。
P8:3 分野に重点を置いた事業展開 (11 分 1 秒)
具体的にアールテックがどのような事業展開をしてい
るかですが、これは三つの軸からなっております。
もちろん一番は創薬ベンチャーです。これは 2005 年、
ちょうど私がアールテックに入った年に開始した活動
です。
ではそれまで(私が入社するまで)はアールテックは何をしていたのかと申しますと、
「レ
スキュラ」という緑内障の薬――これは上野先生が作った薬ですが、2001 年からその製造
と販売を行っておりました。現在、販売は参天製薬様が手がけておられます。
そしてもうひとつの軸は、受託製造です。主に「アミティーザ」カプセル、これもアメリ
カで上野先生が開発した薬で、便秘薬です。これをアールテックが製造してアメリカの武
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田薬品様に納めており、武田薬品様が販売されています。これは 2004 年から始めました。
先ほどのグラフでお示ししましたように、この二番目と三番目の事業、つまり薬の製造・
販売で年商 40 億~50 億の財務的基盤があり、そこで得られる収益の中から薬を作っていく
のが当社の基本的なモデルになっています。
新薬の開発は非常に大きな投資で、当社では毎年 10 億を使っています。その 10 億円を投
資し続けるために、こういった事業(「レスキュラ」「アミティーザ」の製造販売)を展開
している。ある程度お金があるので、我々が夢を持って開発している薬を現実的に作れる
可能性が高い、それがアールテックの特長と言えます。
P9:今後の中長期の成長戦略 (12 分 57 秒)
次に、当社の中長期的な成長戦略についてお話したいと
思います。
ミドルリスク・ハイリターンの創薬事業に対し、製造・
販売事業はローリスク・ローリターンです。これは確実
にある程度収入になり、作って売っていけば収入は上が
ります。
P10:短期の成長エンジン 1(受託製造事業) (13 分 36
秒)
受託製造事業は短期の成長エンジンと位置づけていま
す。
「アミティーザ」カプセル、これを開発した上野先
生は、日本でアールテックを設立し、その後アメリカに
渡ってアメリカでスキャンポという会社を作って便秘
薬の「アミティーザ」を開発しました。
「アミティーザ」はアメリカでは 2006 年に発売され、2009 年にはスイスで、昨年 9 月に
はイギリスで製造販売承認を得ています。
日本では昨年 6 月に製造販売の許可を得まして、
11 月から販売が開始されております。これらは慢性特発性便秘症、いわゆる便秘症に関し
て世界 4 カ国で承認され順次販売が開始されています。
そして、便秘の中でも別な種類である「便秘型の過敏性腸症候群」、腸が過敏になって便秘
になってしまう病気ですが、アメリカではここに適応拡大がなされております。
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便秘になるケースは、加齢の他には、癌ですね。抗癌剤と併用する痛み止めとして麻薬を
使う場合は結構あるのですが、麻薬を使うとどうしても腸の動きが悪くなり、便秘になり
ます。この用途に対してアメリカでも治験をしまして、現在スキャンポ社が申請しており、
今年中には承認が下りると思います。このように「アミティーザ」カプセルを便秘の色々
な疾患へと少しずつ適応拡大していくことにより、処方対象の患者さんがどんどん増えて
いくという事ですね。
こういった中でアールテックは何をしているかと申しますと、アメリカとヨーロッパ、そ
して日本を含むアジア、オセアニアにおいて独占的に「アミティーザ」を作る契約をして
おりますので、世界中で「アミティーザ」が売れれば売れるほど我々はどんどん作ってい
けるということですね。
スキャンポ社は今、先ほどご紹介した国以外にもグローバルに便秘薬の展開を進めており
ます。独占的に我々は製造権を得ていますので、今後、収入が上がることが考えられます。
P11:便秘症は世界で最も一般的な消化管障害の一つで、
患者数は日本だけでも 2,000 万人 (15 分 58 秒)
ここで少し、便秘についてお話しておきたいと思います。
便秘と聞くと病気ではないようにお感じになる方もい
らっしゃるかと思いますが、潜在的には 2,000 万人近く
の患者さんがいらっしゃる疾患だと言われています。
今まで国内でどのような便秘薬があったかと申しますと、32 年前に出た「ラキソベロン」
。
これは下剤――大腸検査の前に飲むような液体の下剤です。その他には、同じく下剤のマ
グネシウム、その他には薬局で販売しているような軽い薬(OTC 薬)しかありませんでし
た。
このように、便秘薬と言いつつ下剤しかないという状況が 32 年間ずっと続いてきた中、32
年ぶりに便秘薬として開発されたのが「アミティーザ」です。これはどういう薬効がある
かと申しますと、少し専門的になりますが、クロライドイオンを動かすことによって、イ
オンと一緒に水が動く、その結果、腸の中に水がたくさん入ってくるので便秘が治るとい
う作用機序になります。
日本では昨年 11 月から売りだされ、非常に飲みやすくて効果も良いということで、売上も
順調に伸びていると聞いております。今後日本での処方が増えるのではないかと期待して
おります。
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P12:成長エンジン 1(受託事業) (17 分 36 秒)
来年度から少しずつ受託製造の部分が伸びていくと予
想しており、薬としては 6~7 年の間にピークが来ます。
(ピーク時の売上が)60 億を超える可能性は有ります
が、だいたいこんなイメージで毎年徐々に増えていくと
予想しております。
今後、スキャンポ社が「アミティーザ」のグローバル展開をどんどん進めていきますと、
我々はそれを供給していますので、その展開に応じてもう少し伸びる可能性もありますが、
現在は保守的にこの程度を見ております。
P13:アミティーザに続く成長エンジンは何か? (18 分
26 秒)
では、
「アミティーザ」に続く成長エンジンは何か。
これはやはり創薬になります。こちらの方が我々にとっ
て大きな成長エンジンであり、現在、2 つの大きな臨床
試験が動いております。
一つは点眼薬です。これがうまくいくと 2016 年頃――3~4 年後には製品となって市場に
出ることになります。これはどういう薬かと申しますと、網膜色素変性の治療薬です。こ
れは遺伝病で、非常に難病で現在治療薬が無い疾患です。日本国内の患者さんは 3 万人し
かおられませんが、世界では 100 万人以上の患者さんがいらっしゃいます。こういう患者
さんの少ない疾患を稀少疾患、またはオーファン疾患と言うのですが、これに対する治療
薬は、今、世界に無いという状況です。大学の研究レベルでは遺伝子治療などをやってお
られますが、一般的な治療ではありません。もし、この点眼薬の開発が成功すれば、日本
発・世界初の薬ということで、様々な方面からご期待をいただいています。
この市場には我々の薬しか無いので、市場全部に我々の薬が行き渡る、つまり独占的にな
る可能性があります。薬価については、日本は薬価制度があり国が薬価を決めてしまうの
ですが、こういった疾患に対しては少し高めの薬価が付けられますので、収入も上がると
いうことが期待されます。
そして、もう一つ開発中の薬は遺伝子組換え人血清アルブミンと言います。これは、重症
のドライアイの患者さん向けの薬です。ドライアイと言うのは皆さんよく聞かれると思い
ます。患者さんは日本国内に 2,000 万人いらっしゃると言われますが、ほとんどはあまり
重症ではありません。オフィスワーカーのような、冬、乾燥したりコンピューターを長く
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見ていると目が乾いたりといったケースがほとんどなのですが、中には重症な方――失明
してしまうような重症の患者さんがいらっしゃいます。それに対しては現在、ほとんど良
い薬がありませんので、我々がこの遺伝子組換えのアルブミンを使って開発を進めており
ます。
アルブミンというのは我々が体の中に持っている血液の成分ですが、血液から抽出して目
薬にすると、未知のウイルスや感染症の危険がありますので、アールテックでは遺伝子組
換えのアルブミンで開発しております。これも、今年の春頃からアメリカで臨床試験が始
まりますので、うまく開発できると日本発・世界初の生物製剤による重症のドライアイ治
療薬となります。
日本のこれからの成長戦略の 1 つに、医療戦略があります。残念ながら日本国内で現在使
われている薬は、日本国内で開発したものは本当に少なく、海外から開発されたものが日
本に入ってくるのが大半です。このため、日本政府としても成長戦略としてやはり日本か
ら世界へ薬を出していくことを推奨しています。
そういった意味で、この 2 つは眼科領域で、日本発・世界初の薬になる可能性があり、我々
としても大きな期待を込めて開発を進めております。
P14:網膜色素変性 (21 分 56 秒)
ここで、網膜色素変性についてご説明させていただきま
す。あまり聴きなれた言葉ではないので知らない方も多
いかと思いますが、これは進行性の遺伝病です。
夜、暗いところで見えなくなり、視野が狭くなるという
病気です。最悪の場合、見えなくなって失明してしまう
という病気で、日本では、視覚障害の原因の第 3 位になっています。ただしこれは、全人
口の統計では 3 位ですが、18~60 歳の働き盛りの人の失明原因としては第 1 位に上がって
います。
ちなみに、全年代で見た場合、失明原因の第 1 位は緑内障、第 2 位は糖尿病網膜症となっ
ています。第 3 位が網膜色素変性で、第 4 位は、加齢黄斑変性です。加齢黄斑変性はアメ
リカでは視覚障害原因の第 1 位になっていますが、日本でも寿命が延びると共に加齢黄斑
変性が増えていく可能性があります。
網膜色素変性に話を戻しますと、日本の患者数は、3 万人と言われていますが、世界を見る
と 100 万人以上おられます。新薬の開発には多額の費用がかかりますので、3 万人をターゲ
ットにしていては回収ができません。やはりグローバルに展開していく必要があります。
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現存する治療法は、遺伝子治療などの特殊な治療です。遺伝子治療は 10 年、20 年前からあ
り、一時脚光を浴びたこともありましたが、最近は本当に効果があるのか疑問に持たれて
いる部分も有りますので、やはり低分子で良い薬を作っていかないといけないというのが、
この領域です。
P15:開発製品(オキュセバ)の市場性・経済性 (24 分
37 秒)
これが網膜色素変性治療薬「オキュセバ」、その市場性
と経済性についてお話します。これはある程度高い薬価
が期待されるものと考えております。
日本では、ピーク時で最大で年間 20 億ぐらいは売れる
ものと考えております。患者数は、初期も入れて約 3 万人。治療の対象になる中期から末
期で 2 万 5 千人くらいいらっしゃいます。市場占拠率については、他に有効な治療薬が無
い疾患であり、学会からも患者さんの団体からも非常に高い注目をいただいていることも
あり、薬ができれば 80%の患者さんにずっと使っていただけると思っております。
日本だけではこのくらいのビジネスにしかなりませんが、世界では 100 万人の患者さんが
おられますので、単純計算で 500 億くらいの市場になる。ですから、日本で承認されたら
次は海外にと考えております。オーファン疾患(稀少疾患)は、今まではどちらかという
と製薬会社のボランティア的な、社会貢献的なニュアンスで言われてきました。ですが、1
つの国、日本だけで売るのではなく、グローバルで見て行くことで、患者さんが少ない市
場でもビジネスベースでの展開が可能になるのです。
P16:中長期の事業性 (27 分 15 秒)
これが成長戦略としてどのようになっていくか。3 年後
くらいに承認されて販売を開始し、3~5 年ぐらいで毎
年 20 億くらいの売上げが立つという見込みで開発を進
めておりますので、これが第 2 の成長エンジンとなり、
成長カーブが上向きになる形です。
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P17:第 3 相臨床試験の国からの開発支援 (28 分 1 秒)
2 月 1 日にプレスリリース致しましたように、「オキュ
セバ」については、第 3 相の開発について国からの支援
を得ることができました。文部科学技術省の所轄の科学
技術振興機構(JST)が、医薬品に限らず日本の科学技
術に色んな援助をしているのですが、その中の 1 つに、
実用化挑戦タイプがあり、ここに応募し、17 件の応募
の中で当社のみ採択されました。
7 年間で最大 20 億まで国が、無利子で資金を貸与してくれ、開発が失敗した場合でもかか
った費用の 10%だけを国に返せば良いというものになります。ですから、開発のリスクが
ここでかなり狭まったということになります。これは非常に前向きな結果です。
P18:大学との共同研究 (30 分 30 秒)
これとは別に、東北大学と共同研究を進めているものが
あります。「オキュセバ」は点眼薬で治療しますが、や
はり年を取った方や目が良く見えない方には点眼は難
しいわけです。
これは点眼ができない方向けに、目の表面に DDS とい
うデバイス(機器)を縫い付け、そこから「オキュセバ」を少しずつリリースします。1 年
か 2 年に 1 回、この機械を入れ替えれば点眼と同じ効果が出るという効果を狙っているの
ですが、今、それは点眼薬の次の薬として、東北大と一緒に研究開発をしています。
P19:アミティーザに続く成長エンジンは何か? (31 分
38 秒)
次に、アルブミンについてご説明いたします。
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P20:ドライアイ治療薬 (31 分 46 秒)
アルブミンは生物製剤です。これを使ったドライアイの
治療ということで、今臨床試験が始まっています。
ドライアイ治療薬の開発には 100 億単位の費用がかか
る可能性がありますので、当社単体では難しいです。で
すから、第 2 相後期以降は、世界のグローバルカンパニ
ー向けにライセンスアウト、つまり開発権を渡してそこで開発してもらうということにな
ると思います。
ただし、我々は製薬工場を持ち、特許もおさえておりますので、開発はグローバルカンパ
ニーにやっていただいても、最終的に製品になった時には、当社は「アミティーザ」同様
に製造の受託を受け、そこからまた収入を得るというビジネスモデルになっています。
ドライアイ市場はどの程度の規模があるのかと申しますと、これは軽いものから重症まで
含めてですが、1,500 億円くらいあると言われています。そしてこれは今、どんどん伸びて
いますね。今後も年率 10%くらいで患者さんが増えていくのではないかと言われています
ので、今後も伸びる市場と思います。我々は重症のドライアイ、中々治り難いドライアイ
をターゲットに開発を進めてまいります。
P21:何故、遺伝子組換え人血清アルブミンなのか? (33
分 43 秒)
ではなぜアルブミンを使うかについてですが、アルブミ
ンは血液中のたんぱく質で一番多いもの、60%を占める
成分です。アルブミンは、様々なものを運んだり、一定
の浸透圧を保ったりといった働きをしている重要な蛋
白です。生体にとっては非常に大事なものと言えます。
薬の開発において非常に難しいのは、安全性の確保です。新薬が「1 万分の 1 個」しかでき
ない大きな理由は、副作用です。毒性でダメになってしまうケースが多いのです。この点、
一番安全性が高いのは生体が自身の中に持っているタンパク、これは 100%安全です。アル
ブミンもその意味で安全性は確保できていますので、あとは効くかどうかだけですね。
新薬の開発はミドルリスク・ハイリターンと申し上げましたが、アルブミンに関しては安
全性はもう確保されていますので、あとは有効性、効けば良いということになります。
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ではアルブミンがドライアイの患者さんに効いているのかということですが、これは世界
の眼科医が、アルブミンというのは人から献血で提供された献血アルブミンを使って、す
でに重症ドライアイの患者を治療しているわけです。シェーグレン症候群というのは重症
なのですが、そういった患者さんに治療すると非常に有効だという論文がいくつか出てい
ますので、重症ドライアイにも効くのではないかということですね。
献血アルブミンに関しては、怖いのは感染症です。他人からもらったものにはウイルスが
入っているかもしれないというリスクがあります。もちろん、ウイルスはチェックして除
外してからの投与とはなりますが、100%除外できたかと言えばそれは保証がない部分があ
りますので、やはり感染症の危険は残ります。
この点、我々が作るアルブミンは遺伝子組み換えです。酵母がアルブミンをつくるという
システムがありますので、これを使って治療薬にしようということですね。そうすると、
これは遺伝子組み換えですので、感染症の心配はまったくありません。
アルブミンというのは別に我々が開発したわけではなく、世界の他の会社が製造している
わけですが。我々アールテックは「医師の目線」としてアルブミンに目をつけ、アルブミ
ンを使ってドライアイの治療をするという特許を取得しました。
特許は今後 20 年使えます。
アルブミン自体も世界で 1 社が作っているだけです。ですから、提供するほうも世界に 1
社しかなく、我々も特許を持っていますので、競合はいません。後発品が出てくるのもな
かなか難しい状況だと思われますので、一度うまく製品化できれば、ある程度長い間独占
的に作れるということが期待できます。
P22:開発製品(RU-101)の市場性・経済性 (38 分 34
秒)
市場性について見てまいりましょう。グローバルで見ま
すとドライアイの市場はヨーロッパ、アメリカが中心と
なります。アメリカでは、ドライアイは炎症という考え
で、シクロスポリンの免疫抑制剤――これは炎症を抑え
る薬です――が唯一、処方箋薬として認められているド
ライアイの治療薬となっています。これはアラガン社が開発し、売上としては年間 640 億
円ぐらいと言われています。日本では承認されておりませんが、炎症を抑える薬は色々な
会社が、今、開発を進めており、来年・再来年には出てくると思われます。
もう一つ、我々がよく使っているのは、ヒアレインというヒアルロン酸ですね。これは保
湿、単なる水分補給、あるいは人工涙液の役割を果たすのみです。ですからアメリカでは
これは医薬品とは認められておらず、薬局に行って買ってくる薬になります。日本にはヒ
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アルロン酸ナトリウムとして処方薬がありますが、アメリカでは、単なる薬局で買う薬に
なっています。
3 番目がムチンなどの水分の分泌促進点眼剤です。これは世界で初めて日本から世界に発信
した薬で、参天製薬と大塚製薬が出しています。アメリカでは今、臨床開発を進めていま
すが、日本だけで承認された薬です。これは新しい次世代の薬として注目を浴びています。
こういった中でアルブミンはどういったポジションなのかと申しますと、ちょっと強力な
保湿作用、目が乾かないようにするということと、軽いですが炎症を抑えたりムチンを分
泌するという作用がありますので、総合的に働くと考えております。
重要なのは、最も世界で売られている薬と競合するのではなく、併用できるということで
すね。それから、我々は今、重症のドライアイから入っているのですが、それはなぜかと
申しますと、やはり重症の場合は患者さんが少なく、アンメットメディカルニーズ、つま
り本当に困っている患者さんがおられますので承認が取りやすいということですね。承認
が取りやすいところから入っていって、それをうまくする。重症の方はちょっと濃い濃度
となり開発費もかかるのですが、中等度から軽いほうのドライアイの患者さんには、濃度
をちょっと薄めても良いですから、そうするとコストも安くなり、だんだん市場を広げる
ことができます。また、ドライアイだけではなくコンタクトレンズなどで傷を付けた場合、
その傷を治すのにも良いと言われていますので、だんだん市場が広がり、全部合わせると
1,000 億円ぐらいの市場になると考えております。
P23:中長期の事業性 (42 分 33 秒)
5 年ぐらいまで先を見ますと、「オキュセバ」の上市が目に
見えているということ、ドライアイはライセンスアウトが見
えていることがありますので、それらがうまくいけばそこか
ら先はどんどん成長していくということになります。
製薬会社、創薬ベンチャーは皆こういう話、製品化されると
すごい収入が上がりますよという話をするのですが、やはり第 3 相までいかないとなかな
かわからない。第 3 相に行っても 100%成功するわけではありませんが、成功確率は高くな
ります。
ドライアイ治療薬については、安全性はもうほとんど問題がありません。効けば薬として
どんどん開発されることになりますので、そういう目で見たらリスクは少ないと言えます。
ミドルリスク・ハイリターンの可能性がありますので、これはぜひとも、我々としては成
功させたいパイプラインの一つです。
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P24:研究開発パイプラインのポテンシャル(1) (44
分 47 秒)
全体のパイプラインについて申し上げます。
ウノプロストンは、網膜色素変性の適応では「オキュセ
バ」という名前をつけ、すでに第 3 相臨床試験を開始し
ております。アルブミンはアメリカで治験を始めます。
また、本日は説明しませんでしたが、育毛とかまつげについても第 2 相、第 1 相はそれぞ
れ終わっており、現在ライセンス先を探しているところです。
P25:研究開発パイプラインのポテンシャル(2) (45
分 56 秒)
まだ臨床試験には入っておりませんが、アトピー性皮
膚炎と糖尿病の白内障治療薬の開発も進めておりま
す。白内障に関しては、白内障の専門である岩手医科
大――実は私の慶應(大学)の後輩ですが――と共同
研究(非臨床試験)を進めております。
糖尿病にかかりますと、10 年、20 年を経て必ず白内障が出てきます。もちろん、老化でも
白内障は発症するのですが、糖尿病になるとより出やすいということですね。ですから一
度糖尿病と診断されると、20 年、30 年後には白内障が進行しやすいということで、抑える
薬があれば、非常に効果的だと思います。
白内障の治療薬としては、現在、カタリンやカリーユニが売られていますが、一般的な白
内障治療薬でだいたい年間 100 億円の売り上げと言われています。
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アールテックの強みのひとつに、豊富なパイプライ
ンがあります。元来「ハイリスク・ハイリターン」
になりがちなビジネスを、どのように「ミドルリス
ク」にするのか。その解はパイプラインの数を増や
すことにあります。次から次へとパイプラインを用
意すれば、1 個か 2 個がだめでもその次ということが
できます。対外的にはまだお示ししていませんが、当社にもいくつかまだ、開発中の新薬
があります。
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株式会社アールテック・ウエノ 個人投資家向け会社説明会 (2013 年 3 月 16 日開催)
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もう一つ、アールテックの強みとしては株主様への安定
した利益の還元があります。今年も 3 千円の配当といた
しましたが、最低でも配当性向 30%を目線にこれから
も配当を続けてまいります。来季からは成長戦略で利益
も上がっていきますので、そうなれば増配を検討しても
良いかなと思ってはおりますが、まずはいつも安定した
3 千円の配当を出すというのが株主への還元ということですね。
株主様への還元、豊富なパイプライン、そして臨床試験も第 3 相までいっている。これら
がアールテックの大きな強みです。
以上、ご静聴ありがとうございました。
(以上)
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