流通科学大学卒業論文 崔ゼミ 交通広告の中の車体広告 38010364 清原 宏行 12月18日提出 1 交通広告の中の車体広告 商学部 目次 1. はじめに 2.交通広告に関する研究 1)総論と効果 2)利用コスト 3)実例紹介(大型車車体広告除く)・まとめ 3.車体広告(バス編) 4)総論 5)車体広告に関する研究 6)実態紹介(神戸市交通局) 4. 車体広告(トラック編) 1)総論 2)掲出規制 3)実態紹介(ダイワ運輸・福栄産業・ローソン・三星・運輸) 5. まとめ 2 清原 宏行 Ⅰ.はじめに 大型車の車体広告に興味を持ったのはアートトラックに興味を持ったことから始まった。 アートトラックは趣味という観点に加え、その派手な絵柄や文字が運送会社の広告ともな っている。そこで、私はこの車体広告に興味を感じた。さらに、トラックをアートトラッ クの面だけでなく、広告の面からも研究しようと考えた。 また、大型車のもう一点の部類として、バスが存在する。バスの広告に関しては、古く から看板方式で実施されており伝統もある。一般的に、このような広告の事を交通広告と 呼ぶ。駅の看板・中吊り広告・車体広告など多種多様に及ぶ交通広告の中でもトラックや バスの車体などの有効スペースを使い消費者・交通機関の利用者に刺激的なアピールを行 うのが車体広告である。車体広告は、近年ラッピングフィルム・印刷技術の激的な技術向 上により年々、数を増やしつつある。今回は、堅実に利用されているバスの車体広告。一 方で、近年バス広告に比べ低価格でなおかつ、認知範囲が広く急激に人気を呼んでいるト ラック広告の二つの実例を用いて比較する。 Ⅱ.交通広告の効果と製作に関する研究 (1)総論 交通広告とは、移動性のある車両やその施設に付随する広告を指す。また、生活環境を とりまく様々な交通機関や交通関連施設のスペースを利用したあらゆる広告媒体の総称で ある。交通広告は日常生活において通勤・通学者(移動者)とのコミュニケーション媒体 として活躍しており、近年広告数を伸ばしている。交通広告は、公共の交通機関をメディ アとして展開する広告のことである。現在(平成 11 年)網の目のようにひろがる路線を生 かした交通広告は、ネットワーク化して利用することで、マス4媒体(新聞・雑誌・TV・ ラジオ)に匹敵する広告効果を挙げている。事実、現在ではラジオ広告の取扱を上回り、 第5のマス媒体として期待されている。以下に(図1)として平成11年度の広告費用の 割合を掲載。 (図1) (小田急エージェンシーHPより) 次に、登場の背景として街はどんどん変化し、生きているということである。その街とい う舞台を背景として、いろいろな情報が発信されている。消費者を吸引する場所では、そ 3 れだけで情報発信力があり、また受信力も高いと言える。 「街」からの広告媒体は屋外広告、 交通広告といったものが馴染みがある。一方で、最近は街・駅・行楽地全体を積極的に「メ ディア」にしようとする手法が開発されている。その中でも、車体広告は、電車・バス・ トラックの車体・車内一面を飾っている。このような手法をメディアジャックと呼ぶ。メ ディアジャックは企業が車体の広告スペースを占領して展開するといった手法がよくと られる。交通広告以外では新聞、雑誌などの広告スペースを一社で買い取って行う方法も ありインパクトの高い手法として注目されている。次に交通広告の特徴として、次の5つ を挙げる。 ① 発信した情報の受信者への到達力が非常に高いこと。 →無意識に自然に目に入る交通広告。 ② 同じ情報を同じところで年中発信することにより頻度効果が高いこと。 → 長期間の掲出で、しかも定期券利用者が半分以上。 ③ 地域、ターゲットに関して融通性がある為、自分の好きなところ、1番ポイントになる ところでの情報発信が出来ること。 →対象地域を限定できるから費用対効果が抜群です。 年齢・性別・職種など駅毎、または路線毎の特色によって選別可能。 ④ テレビ等に比べるとはるかにコストが安いこと。 ⑤ 家庭よりも消費の現場により近く、それだけ、消費誘引効果が大きいこと。 ⑥ 他種の広告媒体に比べ、1日あたりのコストパフォーマンスが抜群である。 →マスメディア媒体の隙間埋め・連動の利用や駅などにおいてキャンペーンなど短期の利 用のための媒体も多種である。 上述では、交通広告の特長について述べた。では、交通広告は消費者にどういった媒体と して世間に存在するのかを以下にまとめた。 ①<都市型広告媒体> 大都市になればなるほど、移動手段としての交通機関の重要性は高まる。都市生活者にと って生活道線上にある交通広告は有力な生活情報源である。(インフォメーション効果) ②<生活行動時訴求媒体> 人々の生活行動時点(通勤、通学、ショッピング、レジャー、コミュニティ活動)を的確 にとらえる。特に通常のマスメディアでは捉えがたいビジネスマンや OL、学生などの外出 移動者にまで訴求する。 (プロモーション効果) ③<マス広告媒体> 東京・大阪・名古屋の JR・地下鉄・私鉄の利用者は 1 日 5,200 万人に達し、首都圏だけで も 3,600 万人という膨大な数にのぼる。この数字は交通広告の対象者がマス媒体に匹敵す ることを示している。(マスコミュニケーション効果) ④<反復訴求媒体> 交通広告は掲出時間(日数)や接触時間が長い上に、安定したターゲット(定期利用者) 4 に反復訴求するため、記憶・認知を十分に高めることができる。(メモリー効果) ⑤<対費用効率媒体> 地域、路線、駅などをセグメントできるので、拠点対応に無駄のない展開が可能で、しか も利用者特性からターゲットの絞込みも可能である。(コストパフォーマンス効果) ⑥<販促誘導性媒体> マーケットに近いところに位置する広告なので POP 効果があり、消費行動に直接作用する。 (マインド効果) ⑦<クリエイティブ力発揮媒体> B3、B3 ワイドポスター、B0 ポスター、さらに大型ボード等、交通広告の表現スペース はどれも大きく、ダイナミックな表現が可能。さらに立体ポスターや特殊素材を使う等の 工夫により注目率を高めることも可能である。 (アテンション効果) 次に、これら交通広告が企画段階から実際掲載されるまでの過程について研究する。まず、 広告の原稿を制作するときには次の事柄をかならず掲載することになっている。広告原稿 のコピー内容、表示内容に関しても各媒体の掲載規定の基準に準じて制作する。その、規 定に関しては下のようになっている。 広告倫理規定(http://m2s.k-wind.ne.jp/より編集) ① 人権 ・人の、人権を尊重し差別や軽蔑を行ってはならない。また、個人のプライバシーを犯す ようなものは掲載できない。 ② 法と政治 ・法令を尊重し、その執行を妨げる言動を是認するような取り扱いはしない。 ・国の機関が審理している問題については慎重に取り扱い、係争中の問題はその審理を妨 げないように注意する。 ・広告内容に関して法的規制のある業種によっては、該当する所轄機関の同意や許可認定 を受けた団体の広告のみを受付掲載する。 ・国際親善を害するおそれのある場合は、その取り扱いに注意する。 ③ 児童および青年への配慮 ・児童向け広告は健全な社会通念に基き、児童の品性をそこなうような言葉や表現はさけ なければならない。 ・高額商品や射幸心を煽る商品広告は、其の取り扱いに注意し、過激なものや過大表現を 避ける。 ④家庭と社会 ・社会の秩序、良い風俗・習慣を乱すような言動は肯定的に取り扱わない。 ⑤教育・教養の向上 ・商品広告は、形式や表現にとらわれず、視聴者が生活の情報知識を深め、其の利便性が 日常生活を高めるためのものとする。 5 ⑥報道の責任 ・提供すべき情報については真実に基づいて制作広報し、公正でなければならない。 ・観的事実を基にした広報であっても、陰惨な場面や視聴者の不安を煽るような不穏当な 表現は避けなければならない。 ・広告表現中の誤報は、速やかに取り消しまたは訂正する。 ⑦ 宗教 ・信教の自由および各宗派の立場を尊重し、他宗・他派を中傷、誹謗する表現は取り扱わ ない。上のような規定が、その他にも数多く存在する。広告に関する規定の目的は以下の 三つが挙げられる。 ①広告は真実を伝え、視聴者に利益をもたらすものでなけれ ばならない。 ②広告は、関係法令などに反するものであってはならない。 ③広告は、健全な社会生活や良い習慣を害するものであってはならない。 ここまでに紹介した広告規定・目的を達成した上で、交通広告の製作が行われる。下に交 通広告の製作→掲出までの流れを(図2)として掲載した。以上でこの章の末尾とする。 (協立アドより) (2)交通広告のコストに関する研究 交通広告は、上でも述べたが安価なことが特徴の一つでもある。 以下に、関西の主要交通機関の車体広告に関する料金を(表1)にまとめた。 (表1) 路線名・名称 規格 料金(消費税込み) 大阪市営地下鉄(御堂筋線) 1 編成 10 両 3150 万円 大阪市営地下鉄(御堂筋線女性専用車両)1 車両 1008 万円 大阪市営バス 1 車両 157,5 万円 京阪バス 1 車両 126 万円 阪急バス 1 車両 157,5 万円 6 阪神バス 1 車両 136,5 万円 南海バス 1 車両 136,5 万円 大阪空港交通バス 1 車両 189 万円 阪堺電気鉄道 1 車両 152 万円 山陽電鉄バス 1 車両 63 万円 ボディーペイント料込み (備考)料金はすべて 1 年間の契約料金。 (表1)の批評 ・バスに比べ、地下鉄・鉄道車両の広告料は高価。 ・空港バスは、遠隔地の住民への広告が可能なため。他バス業者より高めの料金設定。 ・山陽バスは広告誘致のためか低価格。(実証不可) 上の3点の事項を踏まえた上で私は、一つの共通点を発見した。交通広告の料金は、その 土地や周囲の環境によっても変化するという事である。 (変化する例) ・広告範囲が広範囲に及ぶ場合。 ・車両更新 ・新路線の開設 ・新駅の開業 ・広告の誘致 ・消費者・利用者数 以上のような条件を踏まえ、広告会社や広告協会が料金を取り決めていくのである。 (3)実例紹介 前節においては、交通広告の特徴・効果・コストの面について研究を行ってきた。この 節においては実際にどういった実態として社会に取り入れられているのか調査・研究する。 まず、交通広告は多種多様に及ぶが、その種類と、各広告の特徴について下のように調査 した。 ①車両メディア <中づり> 車内中心部に位置し、注目されやすく、即効性もある。出版をはじめ、食品・飲料、家 電、事務・通信機器等の新製品の発売や大型キャンペーン、歳事等の広告活動に幅広く利 用されている。 7 <まど上> 掲出日数が中づりに比べ長期になるため、反復効果が期待されている。じっくり浸透さ せる広告活動に向いており、商品広告や沿線の施設、流通、学校、金融等の業種のほかに 年間レギュラー掲出も数多くみられる。 <ステッカー> 小スペースながら乗客の目の高さに位置することから、注視度が高く、販売店や駅周辺 に誘導するという POP 的役割から、購買効果が高いといわれている。このような効果から 食品、嗜好品、飲料、医薬品・化粧品等の業種の出稿が多くみられる。 <ドア横> 乗客の目の高さにあることから、精読率が高く、広告内容を充分に伝達できる媒体であ る。JR の新B額面では、同一意匠で集中感をだす手法だけでなく、異なったビジュアルで、 ストーリー性を持った展開が可能。 <ドア上> ドア上部の細長いスペースで特殊なサイズだけに、注目を集める媒体である。 <つり革> 乗客に最も身近なところに位置し、商品パッケージを立体的に訴求できる POP 的アプロー チ媒体。 <広告貸切電車> 1 編成の中づり、まど上、ステッカー等、すべての広告スペースを一広告主で独占し、乗 客の注目を一身に集めるキャンペーン電車のこと。大量のメッセージ伝達が可能なので、 市場開発、販売促進、企業 PR、催事告知等に強力に作用する。 ②駅メディア <駅ばり> 駅構内の通路やコンコースの壁面や特設掲出板を利用して掲出するポスター広告。B1 版 が基本であるが、連続貼りなどによりダイナミックな表現が可能なため、クリエイティブ 力をいかんなく発揮できる媒体といえる。 <駅でん> ホームや構内の壁面に設置された照明装置を内蔵した広告物で、明るい照明効果で注目 される度合いも高い媒体である。駅周辺の企業・百貨店や店舗・病院・会館・学校等への 誘導目的にとどまらず、反復訴求によって、企業・商品・サービスのイメージの固定化が 8 図ることが可能。 <大型セットボード> 駅広告のなかでは最大級の広告物で、駅看板類のうち統一規格で主要駅をセットとした 特設ボードを特に大型セットボードと呼ぶ。クリエイティブ力を発揮できる十分な大きさ があり、ホームの対面や駅利用者の移動方向に対面する壁面に設置されていることが多い ので、視界に広がるシーンはデモンストレーション効果が高い媒体である。 ③その他・街メディア <車体利用広告> 2000 年 10 月の条例改正により実現した媒体。ホームで電車を待つ人々への抜群の訴求力 があり、車内広告・駅広告などと連動した展開により効果を増幅させることも期待できる。 <ラッピングバス> ラッピング電車は、電車の側面を利用したダイナミックな広告で、電車を待つ人々の目 をくぎ付けにするほどの迫力があります。また、ラッピングバスは「走る広告塔」として 街を行き交う人々の注目を集める媒体。 <駅イベント> 多くの人が集散する駅でのイベントは、移動時の人々に立体的かつ強力な訴求が可能。 小型ブースを用いての展示、サンプリング等を実施することで十分なデモンストレーショ ン効果が見込まれる。 <大型ボード(ビルボード)> 最大 5.0×16mの大画面のものもあり、街の景観さえガラッと変えうるほどパワフルな媒 体。駅利用者以外に駅周辺を利用するすべての人の目に飛び込むダイナミックな広告は、 デモンストレーション効果も十分に期待できる。 <フラッグ> 駅ホームやコンコースの天井からつり下げられたポスターで、連続または集中掲出とな るので、駅利用者の視野に自然と飛び込んでくる迫力のある媒体。注目率が抜群で、拠点 を押さえた大型キャンペーンや地区を絞ったエリアマーケティングにも強力に作用する。 <アドピラー> 駅構内の丸柱の形状を活用した特殊ポスターによる展開で、ユニークな空間演出に行き 交う人々の誰もが目を奪われる。立体的でSP 効果を兼ねた POP 的アプローチが可能な広告 のため、等身大ポスターや缶飲料・乾電池等の実際の商品形状を模した展開など、クリエ イティブにも様々な工夫が見られる。 <フロア広告> 通常改札付近のフロア面に設置されるため、改札口利用者の注目度が非常に高い広告で ある。9 ㎡以内ならサイズ、デザインは自由に制作できるので、商品の形状をかたどった POP 広告のみならず、誘導を目的とした広告にも最適。 9 <アドステップ> 階段面利用広告で、ボードやフロア広告的利用により、商品の形状を模した POP 的広告 展開も可能。最近では遠景でみると階段全体で一つのビジュアルとなるデザインなど、ク リエイティブにも工夫がされている。 <自動改札ステッカー> 自動改札機に貼付したステッカーで、改札を通るたびに目にとまるため反復効果が高い 媒体。 <ステーション広告ジャック> 駅ばり、フラッグ、アドピラーのほかに臨時の大型シートやアドステップ等、駅のあら ゆるスペースを最大限活用したキャンペーン対応型の企画商品。乗降客のほぼ全員に到達 する強力メディアで、話題性にも優れている。 <タイアップ> シーズンや催事やイベントをタイムリーに捉えてのタイアップイベントは、駅改札周辺 での季節感溢れる試みなど、乗客サービスの一環にも寄与し、好感度が高い広告として注 目されている。 <新幹線コンポ> 新幹線の代表的媒体である車内額面と駅構内のセットボード駅ばりポスターを組み合わ せた複合メディアです。ビジネスマンをメインターゲットとする場合には格好の媒体とい える。 <バス外側広告> 地域の足として生活者に親しまれているバスの、車体外側に取り付ける広告。バスを待 つ人、街を行き交うさまざまな人に訴求可能な「動く広告メディア」である。 <ボディ描き広告> 路面電車の側面に描かれた広告で、商品そのものを表現することも可能。 「走る広告」と して行き交う人々の注目を集める。 <アートウォール> 営団地下鉄の駅空間のアメニティ向上を意図した新しい試みで、駅のホームや通路の壁 面を一つのキャンバスに見立て、明るく楽しいグラフィックで広がりとやすらぎを演出し ている媒体である。 上の例は、実際の媒体の種類である。次に採用例を 2 種類紹介していく。 ⅰ.大阪市交通局放送広告の場合。 放送開始日・・・偶数月の初日。 契約期間・・・2カ月以上。 料金・・・駅によって異なる。 (参考)一番高価な駅(1カ月)・・・梅田駅1,020,000円 一番安価な駅(1ヵ月) ・・・住之江公園駅47,000円 10 放送実施用要領・・・3秒程度・カタカナで文字数にして20文字以内 (例)宝石の○○○○○・人材派遣の○○○・○○○銀行○○支店 放送挿入例 御堂筋線・心斎橋の例 ご乗車ありがとうございます。 この列車は千里中央行きです。次は心斎橋・心斎橋。長堀鶴見緑地線は乗り換えです。 出口は右側に変わります。 The n next number Please station is Shinnsaibashi,statio M19. change here for the Nagahori Tsur umi−ryokuchilines. 以下CM 次は大丸前です。 生活素材の総合専門店、東急ハンズ、カメラのナニワ心斎橋店へお越しの方は次でお降り ください。 実施に関する規定 ・スポンサーの所在地は原則、駅出口から範囲300m以内の範囲。 ・同業種の同時放送は受付不可。 ただし、日本橋・恵比寿町・松屋町は除く。→日本橋・恵比寿町は電気屋街、松屋町はお もちゃ屋街なので同業者が多いためと思われるが、実証は不可だった。 ・1駅に2∼3社の放送となる。 ・初回制作費は無料 ・上り・下りの始発電車∼最終電車で放送されます。 ・近鉄・阪急・北大阪急行など、乗り入れ車両においても放送されます。 ・車内放送広告はすべて交通局が審査。 ⅱ.京急電鉄の駅ポスターの例 上の大阪市交通局の場合、車両放送広告と呼ばれる比較的新しい広告例について取り 扱ったが、京急電鉄の実態紹介では古くから存在する広告。駅メディアについて紹介して いく。まず、初めに参考資料として各駅の料金の違いについて図に示した。 結果としては、特急停車駅・大都市圏の駅の料金ランクは高い。一方、郊外・各駅停車 ののみ停車する駅は料金が安い。これは、エリア・マーケティングの考えを基に各駅の 利用者数・年齢層など決め細やかな広告計画を立てた一例である。鉄道はバスメディア と違い各駅の利用者層について決め細やかなマーケティングリサーチが可能である。以 上二点について、この章では紹介した。 11 (京急電鉄のHPより) (4)まとめ この章では、交通広告の全体像について研究してきた。交通広告のシェアは 2002 年 (1-12 月)の日本総広告費は 5 兆 7,032 億円、前年比 94.1%と 2 年連続の減少。日本経済 の景気後退感が広まる中、多くの 企業が広告費を抑制しています。 マスコミ 4 媒体(雑誌、新聞、ラジオ、テレビ)は 2 年連続の減少となっている。2002 年の交通広告費(電車・バスの車内広告、ラッピングバス等)は 2,348 億円と 3 年ぶりの 減少となりましたが、ラッピングバスやトレインジャック等の手法が増加、交通広告の評 価は高まっている。 また、新しい交通広告の案としてトラック広告が、今後の普及により交通広告の 5%程度 の占有率を獲得すると、およそ 100 億円の市場規模が見込まれる。このように、交通広告 の車体広告は上昇気流に乗っている。次の章より、交通広告の中でも近年、技術向上・料 金低下により市場規模を伸ばしている大型車の車体広告について研究を行う。 Ⅲ.バス車体広告に関する研究 (1)バス業界と車体広告総論 バス広告について、この章では研究する。その前に、バスが交通機関としてどのような 働きをしているか、車体広告登場の背景について述べる。バス事業は元来鉄道の補充交通 機関として登場。1970年代前後には利用者・売上ともに絶頂期を迎えていた。しかし、 年々時代の波に飲まれ高度成長期によるマイカー時代が到来。それと共に、売上・利用者 も年々減少した。 例とし交通機関が自動車・バスのみに頼り、鉄道が近年まで存在しなかった沖縄に関し て1969年には、マイカーの普及が進んでおらずバスの利用者は約一億六千万人であっ た。しかし、マイカー時代到来とバスのサービスの悪さ(不定時運行・ストなど)も影響 して、一九六九年度の県内のバス利用者数は、延べ約一億六千万人。これが二〇〇二年度 12 には三千七百万人と、ピーク時の二割の水準にまで落ち込んでいる。こういった状況が沖 縄だけでなく日本各地でも起き、民間バス会社の倒産も相次いだ。また、近年公営交通ま でも撤退が進み、2003年には札幌市交通局が北海道中央交通へ民間委託を行ったり、 我々の身近な神戸市交通局の例を挙げるとにおいても2005年度より神戸交通振興・神 姫バス・阪急バスなどへ西神・落合・須磨・松原・有野・魚崎の6営業所が委託される。 この結果、市の交通局として残存するのは垂水・中央・石屋川の3営業所のみの厳しい体 制となる。 こういった状況にバス会社もただ固唾を飲んでいるわけではない。上で紹介した委託や 譲渡などの路線面からの改善と共に、様々な対策も講じられた。例をあげると民間バス会 社・公営交通局の赤字になり廃路線対象となった路線が存在する。これらを、地方自治体 や地元住民が出資を行い運行するコミュニティーバスの運行・近年の高齢化社会による、 高齢者の増加により平成 12 年 5 月にバリアフリー法の施工がされた。この法を、受け各 事業者もバリアフリー車両(ノンステップバス・ワンステップバス・リフトバス)やバス 停の改造など設備投資が必要となった。また、このような経営難の中新路線の開拓・車両 の更新・設備改良なども必要となり財政をさらに圧迫する状況に追い込まれた。そこで、 上述の対策の他にバス車両や付帯設備そのものを生かした対策が必要とされてきた。各事 業者は様々な、手を講じた。バス車内においての日用品などの販売事業・車体広告などが それにあたる。今回紹介するバス車体広告は、こういった背景の基登場したのである。バ スの、車体広告は印刷技術やデザイン向上により近年劇的変化を成し遂げ、シェアを基本 的には伸ばしている。バスの広告は車体のみならず、窓など様々な個所に存在するのであ る。 次に、車体広告以外の広告について写真を交え紹介する。 (http://www.kyoeiad.co.jp/osaka/bus/bus.htmlより編集) ①車内広告 ・横枠ポスタ・・・車内の上部窓上側面に並んだ広告。(次ページに写真掲載) →良い点―立席客の視線に自然と入る。悪い点―着席客から見にくい。 ・ 急停車タイアップステッカー・・・車内の急停車注意の表示とタイアップステッカー →良い点―地域(営業所)単位の掲出が可能。 →悪い点―表示サイズが小さい。 13 ・ 天井広告・・・情報を的確にストレートに広告 →良い点―立席客の視線に自然と入る。悪い点―混雑時に見にくい。 ・ 運転席後部・・・車内の運転席後部に位置。 →良い点―利用者の視点が集中。悪い点―混雑時に見にくい。 ②車体広告 車体広告には、ステッカー・看板・ラッピングフィルムが存在する。詳細に関しては車体 広告の変遷と特徴の部分で紹介する。 ③その他 放送広告・・・停留所案内放送時に、最寄の企業や施設を消費者にアピールする。 (放送例)神戸市交通局92系統放送(乗車時に調査) この車は、92系統王子動物園経由石屋川車庫前行きです。次は、六甲口です。 (一般広告)○○医院・○○モールへお越しの方は次でお降りください。 次ぎ止ります。ご乗車ありがとうございました。 (自社広告)この車は。ワンステップバスです。足元にご注意ください。神戸市では○○フェ アを行っております。是非ご利用ください。 以上 ④バス停広告 ( 写真はhttp://icchan.kamomeline.jp/10kakutei/11group/111-005.htmより掲載) バスの停留所などに設けられた標識柱に掲載されている。目的は、バスの待合時間を有効的 に用い消費者へアピールする事が目的がある。バス停広告は、バス路線に沿ったエリア広告 に優れている。しかし、デザイン性に優れてい 14 ない事・都市部ではバスの高頻度運転による待ち時間の減少・携帯電話などの普及による待 機時間の変化結果、現状効果は少なくなっている。そのため、広告主も少なく現状では空き スペースが多く厳しい媒体でもある。 以上、バスの業界について述べてきた。上述したとおりバス業界の現状は 厳しい。そんな中、新たな収入源として期待されているのが広告である。 広告には、上で紹介したものをくめ多種多様に存在する。しかし、バスそ のものの客離れが進行したり、社会環境の変化が著しくなり広告の意義が 減少している。そこで、次の節において紹介する車体広告が、近年様々な 要因により広告契約件数を増加させており、今後期待が持てるのではないか。 (2)バス車体広告詳細 ①変遷と特徴 バスの車体広告とは、言葉の通りバスの車体に掲出した広告のことである。バスの車体 広告の起源は、明治維新にさかのぼる。当時は、武士時代が終わり西洋文化が流入してきた。 当初は、バスの車体にペンキでペイントしただけのものであった。デザインに関しては商品 名や社名のみの物などシンプルな物が多く、消費者に直接広告の要素があった。登場直後は、 新たな広告媒体として人気もあり取引件数も増加にあったと考えられる。しかし、周辺の屋 外広告などの登場・発展により車体広告へ新しい風を吹き込むことが求められた。そこで、 車体広告にも様々な新しい技術が取り入れられた。ラッピング技術などもその一つだ。←種 類については後述。 また、近年コストパフォーマンスにも優れており一回、何千万のマスコミ(テレビ・ラジ オ広告) ・屋外広告などに比べ、車体広告は200万前後で施工が可能。クライアントが容易 に試行することも可能であった。このため、契約率に関しても復活しつつある。しかし、問 題点も示唆されている。コストパフォーマンスが優れているとはいえ、クライアントはコカ コーラ・ネスレなどの大企業が主流となっている。中小企業の視点から考えると年間の広告 費の大半を占めてしまい容易に手を出せないものである。また、クライアント側とバス会社 の利害調節という問題が存在する。さらに、近年の車体広告はラッピングバスを含め派手な デザインの物が多い。それゆえ、京都や奈良など歴史的景観施設が、多数存在する町では条 例により景観に配慮が必要である。もしくは、ラッピングバスに関しては承認されなかった 自治体も数多い。問題点と規制に関しては③節で紹介する。 ②車体広告の種類 ・ボデー広告―バスボデー(側面)のスペースを使い、幅広く宣伝が可能。また、遠くから 眺めた時のインパクトが強い。以前は、鉄板式の物が多かったが現在はステッカー式のもの へとシフトしつつある。尚掲載車両によって広告数はまちまち。また、広告サイズによって も料金は変化する。問題点としては、近くから見た場合見にくい。 15 ・後部―リアウインドー・後部エンジンハッチ部分にあり、後続車や歩行者のドライバーの 視線を呼び集める。コストは他の車体広告に比べリーズナブルである。問題点として は、乗客へのアピールが少ない。また、後続車へのアピールにより後続 車のドライバーの事故につながる恐れはないかという声も存在。 ・フロントシート−バスの正面部分に横断幕を掲げ、シンプルにかつ的確に情報を伝える事 が可能。 ・車体全面広告(ラッピングバス)―近年、全国のバスではラッピングバスが走っています。 ラッピングというのは、図柄を印刷したフィルムシート、まあ特殊なシールをバスに貼り付 けるものです。1996年にアメリカのアトランタオリンピックで始まった物である。昔は ペンキで色を塗ってバス広告を作っていたが、ラッピングバスはフィルムをバスに貼り付け るだけ。広告契約期間が終わっても、ペンキを塗り直しすることなく、ただフィルムをはが せばいいと言うので低価格である。パソコンで編集してラッピングを作るわけですが、ペン キの色数を気にすることもなく、グラデーションの表現も容易。きれいなデザインのものが できるラッピングは非常に便利である。全国のバス業者もこれに目を付け普及を始めている。 製作の手順は次の通りである。 16 (相模鉄道HPより) ラッピングバス (http://www.01.246.ne.jp/ reki127/index.cmwrapping.htmlより掲載) ③車体広告の問題と規制 車体広告は、上でも述べた通りデザインの奇抜性が存在する。消費者にとってはすばらし いプロモーション媒体である。しかし、その反面そのデザインのため歴史的景観が存在する 都市においては反対の声も少なくない。そこで、京都市の反対の事例を紹介する。京都市交 通局で企画、試験運行されている車体を全面広告とした市バスを調べました。交通機関とい えども都市景観を大きく乱し、破壊につながる恐れが大きく、京都の街に調和しないと考え、 企画の中止を強く提言します。 京都市には他都市に比べて厳しい屋外広告物に対する規制があり、全国への範たるものと して誇りにしてきた。にもかかわらず、自らが公共交通機関である市バス車体を全面にわた り広告媒体にすることは、市が京都の景観を守るために定めた広告規制を自ら破る矛盾を犯 すことになりえる。日本を、そして世界を代表する美しい歴史文化都市・京都を謳うのであ れば、屋外広告物規制から見ても問題のあるこのような企画を自粛することが知性ある選 17 択と考える。 見たくないテレビの広告ならチャンネルを換えれば済む。しかし、車体全面に広告をまと った市バスは市内のあらゆる所へ、景観規制の厳しい美観地区をはじめ風致地区にいたるま でこれ見よがしに動き回る。その有様は多くの市民や京都を訪ねる内外の観光客にとって、 全く迷惑な押しつけ行為と映るのではか。 京都の特色を充分考えることなく、単にわずかな収入を得るために自ら商業広告を募り、 市バス事業の広告料収入の増収を図ることのみを目的に、バス車体を広告媒体に利用するこ とにそれほど価値があるのか。その結果、市民の足としての市バス本来の公共性がおろそか になり、京都の景観をさらに損なうことになればどうなるでしょうか。それは、文化・歴史 都市として京都の担う責任に対する自覚を欠く恥ずべき自傷であると考える。 さらに、広告のデザインや色彩を含めた許可判断を、バス事業広告収入の増収という視点 のみで交通局の独断専決に任せて試行実施していることも、それで良いのかと問わざるを得 ず、看過・黙認するわけにはいかない。現状の市バス広告に対しても、せめて観光案内に小 さくスポンサーの名前が入る程度とすることが京都によりふさわしいと考える。 美しい京都を守り、伝え、発展させるため市はさらに不断の努力を重ね、自らを律し、こ れに反することがらには断固として適切な行政を行うよう要望する。 (http://www.kyoto-art.ac.jp/~nara/machiiro/rap/00text.shtmlより編集) このような、声を聞き市がわとしても対応して以下のような対策に乗り出した。 許可基準には以下のとおり,面積のほか位置,形態及び意匠に関する基準があります。 京都市バス広告基準 ・面積に関する基準 広告1個当たりの面積が15㎡以下であり、且つ広告面積の総量が15㎡以下であること ・位置及び形態に関する基準 都市景観に悪影響を及ぼさないこと。 窓(ガラス面)に表示しないこと。 バスなどの公共交通機関については車体の前面に表示しないこと。 車体各側面の広告数が2以下であること。 1車体全体の広告数が5以下であること。 照明付きのものでないこと。 ・意匠に関する基準 けばけばしい色彩又は過度の装飾でないこと。 可変表示式(LED等)でないこと。 蛍光,反射材等を使用しないこと。 バスなど公共交通機関については,事業者固有の車体色及びデザインと不調和な意匠でな いこと。 ・車体広告の特例許可について 18 車体全面のラッピング広告等,許可の基準面積を超える大面積の広告については,原則と して許可ができませんが,このような広告であっても,一定の条件を満たせば,特例的に 許可することが可能。 広告の意匠が特に優れており,京都の落ち着いた歴史的景観を害さないものであることを 要します。これは,具体的には,別に定める「京都市屋外広告物等に関する条例に 基づく 車体広告の特例許可に関するガイドライン」に準拠した意匠であるということが必要条件 となります。 特例許可が可能な意匠であるかどうかの判断は,有識者で構成される「京都市美観風致 審議会」に諮問を行い、その結果を基に京都市において行います。特例許可を受けた車両 (経過措置により許可不要扱いで現に表示されている車両を含む。)の総数が当該事業者の 保有車両の10%程度までであることを要します。 ・条例施行前から表示している車体広告の取扱い。 平成 15 年7月1日の条例施行日以前から既に表示されている車体広告については,施行日 から2年9箇月までの間(平成 18 年3月末日まで)は,許可不要です。 参考―京都市屋外広告物等に関する条例に 基づく車体広告の特例許可に関するガイドラ イン 路線バスについては,会社識別性の確保の観点から,以下の事項に留意する。 車体左側面の前部扉部分に広告を表示しない。 車体左側面の乗車口付近及び後面の視認されやすい位置に会社名を明示する。 このように、車体広告には様々な規制が存在する。広告の目的は消費者に企業や商品のア ピールをしイメージアップを図る事である。それゆえ消費者からの意見を無視できない。し かし、バス会社の目的として広告契約による契約料を収入源としている。一方、クライアン トは派手な広告を掲出しイメージアップが目的である。そこで、もう一点の課題クライアン トとバス会社の利害調整を行う必要がある。例をあげると、クライアント側は車体広告をイ メージ広告として企業イメージをあげようと考えている。つまり、その当該企業広告のイン パクトが重要である。一方、ラッピングバスに対する消費者の見解は、何度も繰り返し見る ことによりようやく広告の商品・企業についてイメージとして持ち、その上で購買行動など につながるのだ。実際に消費者のラッピングバスへのイメージを下に記載している。 ([www.kotsu.city.nagoya.jpより掲載]) 19 数値を見ると、認知率に関しては「確かに見た」が半数以上を占めている。接触率は、 「時々 見る」または「目に付くので見る」というように消費者からの積極的なアクションはない。 では、クライアント側はどういった対策に出ればよいのか。認知度・接触率を上げるために はクライアント1社あたりの広告バスの導入台数を増やす。つまり、占有率をあげるのだ。 1路線に何台もの広告バスを導入することにより、絞ったエリアに広く、インパクトを与え られる。しかし、そこで問題が発生する。それは、車の配車やコストの問題である。そのた めに、エリアを絞るクライアント(不動産業など)や中小企業との契約数が減少している。 その問題をクリアするための対策としては、広告代理店の仲裁やコストの削減が存在する。 しかし、完全に問題が解決されたわけではない。この、問題の具体例に関しては次の節で紹 介する。 (3)実例紹介 ①神戸市バス車体広告 2000年9月12日から車体全面広告に一般企業が参加。ネッスルズ・フリスキーズ の2社が契約。石屋川(4台)・松原(5台)・中央営業所(4台)の各車両に貼り付けら れた。その後、年を重ねるごとに台数を増加させ現在は全車両の10%程度となっている。 神戸市交通局に関しても様々な実施要領が存在する。 デザイン広告バスの実施要領 ・掲出場所―バスボディーの左右両側面・後面及び天井部分(ただし、窓ガラス・ウイン カーなど走行装置部分は除く) ・車両数―全車両の10%程度(60両)また、現在ツーステップバスからワンステップ バスに切り替えているため新規契約に関してはワンステップバスのみが原則。 ・公示料金―魚崎・石屋川・中央・松原・須磨・落合・垂水・西神の掲出料は150万円。 制作費は80万円から100万円となっている。 ・広告料の納入―デザイン広告バスの料金は契約時に全納、払い戻しは不可。また、交通 局の事情で掲載期間が遅滞した場合、期間の延長によって調整。 ・広告期間―2年以上5年以内を原則とする。ただし、廃車または車体更新までに1ヶ月 以上在籍期間が存在する場合、残存期間内に限り延長可。 ・クライアントの条件―広告できる業者は、神戸市交通局掲出審査基準に適合する業種で、 ナショナルスポンサーまたは地元の企業。 ・広告の承認―上の基準に適合すると共に、次の基準を満たすもの。 ア.公共交通機関として品位を持ったもの。また、市バスとして、市民に違和感なく受け 入れられるデザイン イ.字の部分は写真・イラストの部分に溶け込ませる表現が必要。字の部分のみの分割は 認めない。 ウ.公序良俗・美観を守り不快な念を消費者に与えないもの。 ・デザイン広告バスの施工及び現状復旧―施工は営業所内の関係者の指示に従い、業務に 20 支障をきたしてはならない。車両の運行に支障の内容施工。契約期間終了後直ちに広告物 を撤去。また、車両に損害が生じた場合現状復旧をしなければならない。 ・掲出期間中の管理―広告の維持管理は広告主が費用を負担。 上の実施要綱で完成した車が、以下のようなものである。 (http://kobe-10.kamomeline.jp/より掲載) ②三井不動産販売 京都市交通局―九条営業所にて活躍中。主に、京都の幹線道路(四条通り)などを通る2 03系・205系統などで掲出。目的は地域をしぼれる。渋滞などによりバスが停滞し広告 を大勢に見せることができる。また、企業のイメージ(三井のリハウス)の企業イメージ(コ ーポレートアイデンテティー)向上である。コストは、200万程度で1年間の総広告費の 2%程度一店舗あたりでも10%程度である。と担当者より伺った。製作に関しては、問題が 多数浮上した。イメージ広告であり1路線の占有率を確保する予定であったが、コスト・配 車の関係で試験運行の1台のみに止まってしまい効果があまりなかった。そのため、来年に は廃止予定である。また、製作に関しても歴史的景観保護のため赤色主体は許可が降りなか った。「三井の利ハウス」は赤を主体としたコーポレートイメージであったために困惑した。 結果、白を主体としたものを新たに考案し許可を得た。完成されたバスは以下のようなもの であった。上の神戸市交通局と比較すると落ち着いたデザインとなっている。 (http://traffica.web.infoseek.co.jp/kyoto/top.htmより掲載) 21 奈良交通―近鉄学園前駅前から登美が丘などに向かう住宅幹線を走行するバス約60台中の 12台の後部に看板を掲載。ラッピングバスに比べ、コストパフォーマンスに優れている。 しかし、広告を見る対象が後続車のドライバーのみに限られてしまうため効果が少ない。三 井不動産販売としてはこちらの広告も来年で取りやめる予定。 ③まとめ 研究を行った結果、バス車体広告はクライアント側はイメージ広告へ認識している。一方、 バス事業者は新たな収入源確保のため開始した。この、両再度の要求を満たしたものの一つ が車体広告である。しかし、コストパフォーマンスに関しては個人事業者の立場から考える と多くの課題が残されている。また、イメージ広告のキーポイントである占有率の獲得に関 してはバス事業者の配車などの関係によって調整が厳しいのが現状である。契約件数に関し ては、上り調子で来た。しかし、近年は成熟期に入り減少している年度もある。再び盛り上 げて行くには現状の課題の解決が必要であると推測される。 Ⅳ.トラック広告車体広告に関する研究 (1)総論 ①トラック業界 トラック輸送は、我が国物流の基幹的輸送モードとして国内貨物輸送の大宗を占めており、 多様化・高度化する顧客ニーズに的確に対応し、産業経済の発展と国民生活の向上に貢献し ている。 最近の輸送実績を見ると、4、5年度と営業用トラックの輸送量が減少するという厳しい状 況下にあったが、6年度には2年ぶりに若干の増加に転じた。7年度においても輸送量は増 加し、回復の兆しをみせているものの、いわゆる産業の空洞化や価格破壊の影響などトラッ ク輸送を巡る環境は、依然として厳しい状況にある。 一方、近年の経済のソフト化、産業構造の変化に伴い、利用者の輸送サービスに対するニ ーズは高度化、多様化する傾向にある。これに対応してトラック事業者においても小口多頻 度輸送や冷凍・冷蔵輸送など高度な輸送業務を展開するとともに、納品代行、梱包、保管、 流通加工等各種付帯サービスに積極的に取り組むなど、トラック輸送にとどまらず総合的な 物流サービスの提供を目指した取り組みが行われている。 22 以上のように、回復が遅れる需要、経済のソフト化等トラック輸送を取り巻く環境は依然と して厳しいが、加えて、労働力の高齢化や労働時間の短縮への取り組み、高速道路料金や軽 油価格の値上げ等の高コスト要因、騒音問題、交通渋滞、NOx規制等の環境規制の強化、 CO2排出抑制等の地球温暖化対策などの課題が山積している。 ②トラック広告登場の背景 トラック広告は、バス広告同様事業者の新たな収入源の確保が大きな目的である。運送 業界は近年不況のあおりを受け、運賃の値下げを余儀なくされている。その一方で、設備 投資など必要コストの増加が見られる。中でも、平成17年度の排出ガス規制により多く の運送会社が車両の取替えを余儀なくされた。運送会社は様々な対策を打ち出した。中に は、高速道路料金の節約や車庫飛ばしなど悪質な対応も見られた。 しかし、こういった例は犯罪であり企業イメージの低下につながることが必至である。そ こで、早急に対策案が求められた。その一つが、今までは自社の広告スペースもしくは利 用されていなかった荷台スペースへの広告掲載である。バス業界ではすでに行われている ものだが、バスよりも広範囲・またきめ細かいエリアに発信が可能である。 ③トラック広告の優位性 トラック広告の優位性は、バスに比べルート設計度が高いことだ。 (注)ルート設計度―運行ルートの設計度の自由度を指す。 また、前節において紹介したコストパフォーマンスに優れていることだ。トラック広告 に関しては業界の特徴から、バスに比べ民間の企業が多くまた、中小企業も数多い。そ こで、広告など付帯事業の収益に頼る割合が大きい。他の、交通広告に比べ低価格でア るトラック広告はクライアントも気軽に利用が可能である。結果、広告契約数が増えそ の利潤で設備投資・新たな挑戦を可能とし経営の安定化が図れるのではないか。それだ けでなく、広告という新たな事業を対応策とすれば、前節で示した不正な対応策も減少 し業界の健全化も不可能ではない。ルート設計度とコストに関 する図を下に紹介する。 (http://www.e-ml.co.jp/sitemap.htmより) (トラック広告のポディション) 23 (ルートの優位性) (コスト優位性) コストは、2トン車(小型トラック)で70万円∼80万円である。一方で、バスは 150万円程度とおよそ倍の差がある。 ⑤トラック広告のデメリット トラック広告は、運送会社にとってメリットは多い。しかし、登場して間もないと いうことで課題も多く残されている。トラック広告は、認知度が低いのだ。一般企業には 現状あまり普及しておらず利用者が少ない。原因としては、運送会社は硬派な業界であり 伝統を脱した新しい制度の飲み込みに時間がかかってしまう。結果、運送会社自ら他社広 告の呼び込みを行わない。そこへ、トラック広告を取り扱う代理店が普及していないのが 現状だ。この問題に関しては、序序に改善には向かっていると推測される。次に、トラッ ク保有台数10台以下の企業が日本では20%前後存在している。このような会社にとっ て交通広告を施工することはいまだ会社にとって大きな改革であり着手することが困難で ある。中小企業にも浸透させるためにはトラック広告の更なる普及とコスト削減が必要で ある。しかし、現状では解決が困難であると推測する。 ⑥トラック車体広告の種類 トラック車体広告は、その目的により多くの種類に分類される。大きく分類すると自社名 24 アピール・自社のサービスアピール・他社のアピール・趣味性を帯びた車体広告の3種に 分類できる。自社のアピール広告とは、トラック業界において古くから存在するものであ る。近年までは、荷台側面に簡単に社名を入れたシンプルなものであった。しかし、近年 はトラックの性能をアピールしたステッカーや写真を入れたものも年々増加してきている。 効果は性能に関して掲載することにより荷主への信頼を得、新たな顧客獲得がねらいであ る。また、写真などを掲載することにより運送業界のイメージ改革に貢献している。また、 最近は荷台部分にギガ・スーパーグレートというような車名を掲載することによりディー ラーより購入の際、優遇措置がとられるのではないかという広告も存在する。他社広告に 関しては、クライアントと契約することで新たな収入源としている。近年、印刷技術の発 展により可能となった新しい媒体である。詳しくは実例紹介にて。最後に、趣味性を帯び た車体広告。これは、一言でいうとアートトラックである。アートトラックは、エアブラ シや独特の自体を用い消費者だけでなく愛好者へのアピールを行っている。各広告につい て実際に写真を用い紹介する。 ・自社広告 (http://www.kazari.co.jp/corp/photo4.htmlより掲載) (http://www.daiwa-exp.co.jp/より掲載) (http://www.isuzu.co.jp/より掲載) ・他社広告 (http://www.toppan.co.jp/aboutus/release/article0079.htmlより掲載) 25 ・自己アピールの車体広告 (http://homepage2.nifty.com/sus-himuka/starthp/subpage07 より掲載) (2)トラック広告にかかわる掲出規制 トラック広告は、近年規制緩和が進み2003年度現在、全国37都道府県においては トラック広告の掲出が認められている。しかし、首都圏(東京都)を中心としてトラック 広告が禁止されている地域もある。その要因は様々あるが、主にはマイカーやトラック等 は車両の台数も多く、路線性がないため、広告規制のあり方が景観に与える影響は大きい。 また、特に高速道路上の交通事故を未然に防止する必要があるため、第三者広告の表示は 認めるべきではないということだ。また、禁止措置を行ってない地域に関しても様々な規 制が存在する。規制の内容に関しては、前章で紹介したラッピングバスの物と似ているた め、この節では紹介はしない。やはり、景観への配慮・交通事故への懸念が主な目的とさ れている。以前は、規制が現在よりも厳しくトラック広告が認可されていない地域も多く 存在した。そのため、トラック車体広告の普及はほとんど0に近い状態であった。しかし 近年、屋外広告規制に関する条例が多くの都市で変わり始めた。それに伴って、トラック 広告の数も年々増加している。 (3)実例紹介 ①ローソン配送トラックへの施工例 三菱商事,三菱商事パッケージング株式会社(本社:東京都中央区社長:篠原英生)と、 凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区,代表取締役社長:足立直樹)は,業務用物 流車両の荷台側面を利用したラッピング広告(物流車両ラッピング広告)の共同ビジネ ス「トラックアド」の掲載エリアを,2004 年 1 月より全国 37 道府県に大幅に拡大し、本 格的な事業展開を開始した。「トラックアド」は,三菱商事と凸版印刷が共同開発した新 しい屋外広告メディア、業務用の物流トラックの荷台側面部分(左右両面)を、広告ス ペースとして活用する事業である。 三菱商事と三菱商事パッケージング,凸版印刷は、最初の広告媒体提供会社として株式 26 会社ローソン(東京本社:東京都港区代表取締役社長:新浪剛史)とローソン店舗向け の配送用冷蔵車のトラックを広告媒体として利用する契約を締結し,昨年 6 月より大阪 市、神戸市を中心としたローソンの 56 配送地域を走行するトラックでの広告掲載を実際 に運用してきた。コンビニエンスストアの配送用車両を使う広告は国内初である。2004 年 1 月よりローソンの対象配送地域を全国 3 都道府県の 471 配送地域に大幅に拡大し 本格的な事業展開を開始した。 トラックアドは、さまざまな場所を移動する注目度の高い広告であること、配送エリア が細かく設定されているため広告の内容や訴求対象に合わせて市街地やオフィス街など最 適なエリアを選択できること、物流車両の荷台側面を利用するため大きな広告面(3トン 車 (最大積載量3トン以下車)で最大5.3m×2.2m×2面=約20m2)が確保でき ること、など物流車両の特長を活かした広告効果を得ることができる。また、掲載費用も 他の屋外メディアと比較して低価格での掲載が可能となる。トラック広告が条例(屋外広 告物条例)の規制されている東京都および首都圏地域などでは、広告掲載に制限があるの が現状だが、今後の動向を見きわめながら事業を推進していく計画。本広告事業について は広告代理店への販売を中心に、三菱商事、三菱商事パッケージング、凸版印刷の既存の 顧客企業にも広告出稿等について営業活動をおこなう。三菱商事は本事業の全体統括を担 当し、三菱商事パッケージングは販売を担当し、凸版印刷では媒体制作、運用管理を担当 する。売上目標は2004年度4億円(3社合計)(車両一台あたり 作費 年間広告料+媒体制 約100∼150万円)となっている。 <施工例> (http://www.toppan.co.jp/aboutus/release/article0079.htmlより掲載) ②自社広告のケース 近年、運送会社では、輸送費品質の向上を目的としエアーサスペンション車の導入を 積極的に進めている。エアーサスペンション車は、従来のリーフサスペンション車に比 べ振動が少なく道路・積荷に与える負担が減少する。また、近年はメルセデスベンツ ボルボなど海外のトラックも増加している、外車は日本車に比べ低速域でのトルクに優 れているためリードタイムの向上に役立っている。こういった、運搬器具そのものの広 告を荷台側面に掲載し新規荷主の開拓に一役買っている。 27 <施工例>(http://www.mitsuboshi-trans.co.jp/・http://www.daiwa-exp.co.jp/より) 写真では見ることができないが荷台側面 矢印部分にボルボと書かれている車がある。 ・車体全面に、エアサスの広告が施されている例 最後に紹介するのは、上のローソンのように他社の広告の掲載募集をしている会社です。 <福栄産業>(http://www.fukuei-sangyou.jp/より掲載) 全国あらゆる場所を運行するトラック。新型トラック(14tウィング車)に広告を載せま す。大きさ、色に関係なく、ご要望にお答えします。広告効果は、不特定多数のさまざま な年代層の人の目に入ること間違いなし!!また、倉敷の水島を一望できる場所に、巨大 広告を載せることも可能です。お気軽に、お問い合わせください。 28 Ⅴ.まとめ 本研究では、交通広告の一種である大型車の車体広告について研究を行ってきた。その 結果、車体広告に大型車同士であっても異なることが判明した。第一にエリアの違いであ る。バスは、貸切バスを除く路線バスは、特定の地域の特定のエリアを走行する。そのた め、路線に沿った消費者に限って言えば非常に効果的である。一方、トラックはバスと違 い路線が存在しない。長距離トラックであれば、全国津々浦々な地域で宣伝が可能である。 地域配送のトラックは、路線バス以上に地域へ乗り入れていくためエリアの特定が行いや すい。第二に広告のコストの違いである。バスは、看板方式の広告は比較的低価格である が、ラッピングバスになると高価になる。一方、トラックに関して言えば、現段階ではバ スにくらべ非常に低価格である。第三にクライアントの違いである。バスは、消費者に直 接的に関わる企業のクライアントが多い。一方で、トラック広告に関しても近年、直接ア ピールするものが徐々に現れているが、主には自社の宣伝が大半を占めている。このよう に、トラックとバス広告は車の使用目的や利用者など周りに影響を受けて広告の種類が大 きく違っている。 しかし、共通点がないかというとそうではない。第一に両者はイメージ広告である。一 度限りの宣伝では効果が薄い。何度も・長期間消費者に訴え続けることで効果を発揮する のだ。車体広告は今後、どういった方向性を持つのか。車体広告にはデメリットも存在す る。歴史的景観という視点から考えると、長距離トラックには向いていない。なぜなら荷 主によって行き先が変わるからである。行き先によっては歴史的景観施設が、数多く残さ れている地域も存在し、そんな中を派手な広告トラックが走り回ることは、消費者特に観 光客の立場から考えると迷惑であり、当該地域のイメージ低下にも繋がる。また、バスに 関しても地域が特定される点抑制は可能であるが、広告のアピール力には欠けてしまう。 トラックとバスの車体広告。この二つの車体広告は研究の結果、バスは登場より年月が過 ぎ成熟している部分がある。一方、トラックはこれからといった感が強く軌道に乗るまで は時間を要することが判明。課題に関して言えばクライアント側・掲載業者・住民の三者 での更なる利害調整が必要となるであろう。この研究において、車体広告について調査・ 論文の執筆を行ってきたが、これをきっかけとし皆様に車体広告の認知度を向上させてい ただくと幸いである。 29 Ⅵ.参考文献 ・北都交通http://www.hokto.co.jp/buskoukoku.htm ・京急アドエンタープライズ ・バス広告の本州堂 http://naninunet.co.jp/hsd ・株式会社キンコーhttp://www.kinko-ad.co.jp/ ・http://www.kyoeiad.co.jp/osaka/bus/bus.html ・(社)東京屋外広告協会 http://www.toaa.or.jp/shatai/bus_1.html ・点と線への雑記 http://icchan.kamomeline.jp/ ・神戸市交通局 http://www.city.kobe.jp/cityoffice/54/ ・神戸市交通局ギャラリーhttp://kobe-10.kamomeline.jp/ ・ダイワ運輸 http://www.daiwa-exp.co.jp/ ・トラック広告社 http://www.e-ml.co.jp/sitemap.htm ・福栄産業 http://www.fukuei-sangyou.jp/koukoku.htm ・三菱商事・ローソン・凸版印刷 http://www.mitsubishicorp.com/jp/pdf/pr/mcpr040119.pdf ・物流ウィークリーhttp://weekly-net.co.jp/topics257.html ・三星・運送 http://www.mitsuboshi-trans.co.jp/aisatsu.html ・大広メディアックス http://srd.yahoo.co.jp/PAGE=S/LOC=S/R=41/*-http://www.d-mediax.com/ ・名古屋交通開発機構 http://srd.yahoo.co.jp/PAGE=S/LOC=S/R=74/*-http://www.do758.co.jp/ ・動く標的 移動者マーケティング 交通広告編 ジェイアール東日本企画移動者マーケテ ィング研究会/編著 ・最新交通広告戦略 その企画から活用まで 宣伝会議 ・交通広告の活用アイデア 交通広告の効果的な使い方が分かる ・西鉄バス最強経営の秘密 ・屋外広告の知識 中央書院 屋外広告行政研究会/編集 ・売れる広告効くメッセージ CM 総合研究所/監訳 30 宣伝会議 ケネス・ローマン/著 ジェーン・マース/著 八巻俊雄/監訳
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