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9 欧米に見るまちのかたち
(1) 歩行者専用道路(モール)と広場
1960 年代に入って,ヨーロッパでは都心部が自動車であふれ,歩行者が安心して通行でき
なくなり,買い物客が遠のき都心部の衰退が懸念されるようになりました.自動車の弊害か
ら歩行者を守り都心部の活力を取戻すため,商店街で自動車交通を排除しようとする動きが
出はじめました.
ミュンヘン,ベルギーのブリュッセル,ブルジェなどの都市は「へそ」となる広場を中心
に道路をモール化し,道路上にオープンカフェなどを置くなどして楽しい歩行空間を創出し
ています.
(2) 交通セル方式
交通セル方式は,1960 年ドイツ北西部の都市,ブレーメンの都心部で初めて採用されたト
ラフィック・ゾーン・システムです.環状道路で囲まれた中心部を,いくつかのセルに分割
し,セル間の自動車の交通を制限することにより,中心部の混雑の改善を図ろうとするもの
です.
道路としては環状線が都市の周りに配置され,歩行者用道路によってゾーンを区分する方
式です.ただし,ゾーンシステムを採り入れるためには,環状道路が整備されていなければ
実施できない問題点があります.
車の出入り
駐車場
P
車の出入り
セル
(A 街区)
環状道路
セル
(B 街区)
駐車場
モール
P
セル
(D 街区)
駐車場
P
セル
(C 街区)
モール
環状道路
P
駐車場
図 エラー! 指定したスタイルは使われていません。-1 交通セル方式の概念
(3) トランジットモール
欧米において,歩行者専用道路にバスや路面電車の乗り入れを認めたトランジットモール
が,都心部の活性化につながるとして広く受け入れられるようになっています.そのはしり
が 1961 年整備されたアメリカ・ミネアポリスのバスと歩行者が共存するニコレット・モー
ルです.
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カナダのエドモントン,カルガリー,フランスのグルノーブル,ストラスブルグで新たな
LRT(ライトレールトランジット) が実現しています.カルガリーでは 2 系統の LRT が
走っており,都心部は無料区間となっています.
また,ビルとビルが空中歩道(Walkway)で結ばれていて,冬でも屋外に出なくても移動
が出来るよう中心街が構成されています.ドイツのフライブルグは,環境都市モデル地域と
されており,都心部の車の乗り入れが禁止するなど徹底した公共交通中心のまちができてい
ます.
参考文献
中心市街地の居住環境と交通改善 ~欧米の先進国に学ぶ~ 広島大学 杉惠 頼寧
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