技術情報 スプレッドシート型 型データ解析ソフトウェア ス レ ド デ タ Morphitは多次元のデータを柔軟に扱えるように開発されたスプレッドシート型の解析ソフトウェアで す。独自のデータ構造化方式により、表計算ソフトウェアの手軽さをもちながら、データ入力や操作のミ スを極力抑えられ、効率的に解析できる環境を提供します。 今回は検量線の作成を例にとり、Morphitで実験データを管理することの優位性についてご説明しま す。 事例概要 例概要 物質の濃度や量を求める手法として検量線を使 う方法があります。ここでご紹介する例は、ある 薬物投与後の血中濃度の経時変化を調査する実験 を想定しています。まず、標準サンプルを用いて 検量線を作成します。次に、検量線を使ってサン •「測定マスター」表(図2) サンプリング間隔を規定する表です。 •「サンプルマスター」表(図2) 各測定群に属するサンプルの情報(性別や年 齢)を格納する表です。 測定マスター サンプルマスター プルの測定値から濃度を算出し、最後に濃度の経 時変化をグラフに表します。 なお、この事例ではMorphit本体以外に回帰分 析を行うためのアドインFitting4Morphitを使用し ています。 詳細 細 ◆Step1. 検量線の作成 •「検量線」表(図1) 標準サンプルを段階希釈して検量線を作成した 図 2 マスター ◆Step3. データ収集 •「測定データ」表 ものです。各プロットに対する最小二乗法により 測定間隔ごとにサンプルの測定値を入力した生 回帰直線を求めています。乖離した値や分散の大 データを格納する表です。このようなデータは機 きなプロットを削除することなく計算から除外で 器から出力されるCSVファイルから取り込むこと きるため(図1の×印)、最適な検量線を求められ もできますし、各種リレーショナルデータベース ます。 からインポートすることも可能です(図3)。 CSV 図 1 Morphit 検量線 濃度=3の乖離した値を1点外して回帰直線を 求めています。また濃度=5は分散が大きいた め除外し、濃度=4を定量限界としています。 ◆Step2. マスターデータの登録 実験ごとに定義される実験条件やサンプル情報 をマスターとして管理することで、条件の変化に 伴う表編集の省力化が図れます(Step4参照)。 100 | 菱化システム ニュースレター | 第17巻 第4号 図 3 測定データのインポート Morphitではサンプルデータが測定間隔でグループ 化されるため見やすくなります。 技術情報 スプレッドシート型デ データ解析ソフトウェア スプレ ト ェ ◆Step4. 解析 「解析」表は「測定データ」表ともリンクして •「解析」表 います(図4の右側矢印)。「濃度」列では、測定 検量線を使って測定データから濃度を算出する 間隔とサンプルIDに対応する測定値を「測定デー 表です。Morphitでは表同士をリンクさせて、他 タ」表から引用し、検量線を使って濃度を求めて の表のデータを引用することができます。測定間 います。また、「平均濃度」列では測定間隔ごと 隔およびサンプルIDはそれぞれ「測定マスター」 に濃度の平均値を求めています。 表および「サンプルマスター」表より引用(図4の 左側矢印)しています。 •「解析_性別」表(図6) 「解析」表ではすべてのサンプルを押しなべて 解析しましたが、「解析_性別」表では性別に着目 してデータを集計しています。 「測定間隔」列と「測定結果」列の間の階層に 「サンプルマスター」表から引用した「性別」列 を入れることで、各測定間隔におけるサンプル データを性別ごとに分類できます。同様にして、 測定群ごとの集計も行えます。 このように、生データを一切変更することな 図 4 表間の関係 「解析」表(図5)の行数は“測定間隔数×サン く、着眼点を変えた集計表を簡単に作成できま す。 プル数”となっています。各マスターで実験条件 を変えると、それに合わせて「解析」表のサイズ が自動的に変化するため、実験のたびに表のレイ アウトを修正する必要がありません。また、デー タを引用することで、「サンプルマスター」表で 変 更 した サ ンプ ル 名が「解 析」表に 反 映さ れま す。これらの機能が相まって、汎用的に利用でき る入力フォームを作成できるのです。 図 6 性別による解析表 •「グラフ」表(図7) 各解析表の結果をグラフに表すことで、集計結 果の理解が深まります。 図 5 解析表 右ペインは表の列構成を表しています。他の 表から引用している列は赤色で表され、その 下にリンク先が表示されます。 サンプル濃度を測定間隔の下の階層にする ことで、グループ化しています。 平均濃度は「濃度」列を指定するだけで計算 できます。計算対象となるセルをいちいち指 定する必要はありません。 図 7 グラフ 約20種のグラフ形式を利用できます。 無償トライアル 無償トライアル 30日間のトライアル版を収録したCDをご提供し ます。下記Webサイトよりお申し込みください。 https://secure.rsi.co.jp/kagaku/cs/edge/trial.html 第17巻 第4号 | 菱化システム ニュースレター | 11
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