『実用塗装・塗料用語辞典』 ハ行

日本塗装技術協会
ノンリーフィング形アルミニウム粉
パールエッセンス
→ 真珠光沢顔料
→ アルミニウム粉
パールグレー
ハ
pearl grey
慣用色名。2.5 Y 6.5/0.5。
バーガンディー
Burgandy
慣用色名。8.5RP2.0/2.5. Burgandy はフランス南東部ブルゴ
パール仕上げ
pearl finishing
ーニュ地方産のぶどう酒のことも意味する。
塗面に真珠のような美しい輝きを得る塗りで,輝きを出す材料
リン
には魚鱗箔と塩基性炭酸鉛による合成箔とがある。
パークロルエチレン
タ チ ウ オ
魚鱗箔には太刀魚のウロコが用いられたが,最近のものは主
→ 四塩化エチレン
として合成箔が用いられている。可塑材で練り合せたペースト状
Hagen-Poiseuille の法則
のものと,液状のものとがあり,パール液を各種クリヤーに混ぜ
て用いる。
Hagen-Poiseuille's law
毛細管の中を液体が流れるとき
塗装法は,下塗り塗膜をできるだけていねいにといでから,上
4
Q=
𝜋𝑅 ∆𝑃
塗色を用いて中塗りし,乾燥後パール塗料を塗布し各種クリヤー
8lη
を上塗りして仕上げとする。
ここに Q:体積流量,R:毛細管の半径,ΔP:毛細管の入ロと出
口との間の圧力差,l :毛細管の長さ,η:液の粘度である。
パール重合
この関係は 1839 年,G.Hagen,1840 年 J.Poiseuille がそれ
→ 懸濁重合
ぞれ独立に発見した。
バーントアンバー色
慣用色名。5.0 YR 3.5/4.5。
パーマネントレッド 4R
permanent red 4R
トルイジンレッド,レーキレッド4Rともいう。モノアゾ系有機顔
料。JIS K 5209-1971(パーマネントレッド 4R)では「3-ニトロ-4-ア
バーントシエンナ色
慣用色名。10.0R 4.5/7.5。
ミノトルオール→β ナフト-ルを主成分とする赤色顔料」と定義し
ている。さえた黄味の赤で,耐光性,耐熱性,耐薬品性も比較的
配位結合
coordinate bond
よく安価なので油性塗料,自然乾燥型フタル酸樹脂塗料,ラッカ
共有結合の一種で,一方の原子の孤立電子対が相対の原子
ー水性塗料などに使用されるが,耐溶剤性が劣りプリード *する
ので,上塗りに白色または淡色塗料を塗るような場合には適しな
い。また,黄鉛など鉛系顔料と併用して高温焼付けすると黒変す
る,焼付塗料に用いるとブルーミング*することがあるなどの欠点
がある。
と共有されることによって結合ができると解釈されるもの。1個の
電子が相手に与えられているからふつうの共有結合をした形式
をとって,そこにイオン結合の性格を帯びるので,半極性二重結
合(または半極性結合),供与結合とも呼ばれる。たとえば,次亜
塩素酸 HCIO の電子配置は,CI 原子の価電子を×で示すと図1
のようになり,CI 原子 O と原子との間の結合にあずかる2個の価
電子は全部 CI 原子から供与される。このような配位結合は図2
のよりに表わされる。
バーミリオンレッド
クロムバーミリオンのこと。
→ クロムバーミリオン
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配位結合は錯塩やそのほか多数の無機化合物,有機化合物
に認められる。
いられ,ハイソリッド化に寄与している。ハイソリッドラッカーはニ
トロセルロ-ス-アルキド樹脂系に対し,ブチル化メラミン樹脂が
併用される。このような組成の塗膜はかたさ,光沢および耐侯性
排除体積効果
などがすぐれ,また普通のラッカーに比して高固型分の溶液を塗
excluded volume effect
装できるため,塗装回数をへらすことができる。自然乾燥用とし
鎖状高分子の理論としてもっとも単純なものは各要素の排除
ての自動車塗装そのほか金属仕上げ用として使用されている。
体積を無視するのに対し,これらを考慮したために生ずる効果を
いう。排除体積は分子などの物質構成要素が他の構成要素の侵
π 電子
入を許さない部分の体積のことで,変形しにくい球形分子の場合
π electron
には,1対の分子について分子実体積の 8 倍,分子 1 個あたりで
エチレン,ベンゼンなどの平面分子において,分子面に対して
対称な軌道に属する電子を σ 電子とよび,反対称な軌道に属す
は 4 倍である。
溶液中における鎖状高分子の広がりは溶媒の影響をうける。
ある溶媒中では各要素間に働く引力と排除体積効果がちょうど
るものを π 電子という。共役系の π 電子は自由電子性が大きい
ので,可動電子ともよばれる。
打ち消す場合があり,そのときの温度を θ 温度という。排除体積
芳香族炭化水素をはじめとして,π 電子を含む系の物理的,化
効果は高分子溶液の粘度,浸透圧などと密接な関係をもってい
学的諸性質をその電子的構造にもとづいて説明する理論が展開
る。
されており,また,π 電子化合物は発色性,磁気異方性,置換反
応の配向性,分子結晶における半導体性をはじめとして種々の
排水処理装置
興味ある性質を示し,物理化学の分野で注目すべき研究対象と
前処理における薬液の排出と,塗装における水洗ブースや電
なっている。
着塗装の廃液などの排水処理方法として,物理的な処理方法,
ハイドロブラスト法
化学的処理方法,生物化学的処理方法がある。
ブラストクリーニング法*の一種で高圧の水に少量の砂粒を混
物理的処理としては大容量の溜池を作り,隔壁により上・下の
層流で自然または凝集剤を投下して固形物を沈殿させる沈殿法,
合し,ノズルで噴射して,屋外にある鉄鋼構造物などの除錆をす
浮遊物をフィルターで捕集するろ過法,廃水を加熟し,水を蒸発
るブラスト法をいう。湿式なので,さびや粉じんが飛散しない利点
させ汚濁物を濃縮して回収し,再生もしくは焼却する熱処理法が
がある。
ある。
化学的処理方法としては pH 調整法,酸化還元法,凝集法,吸
ハイビルド型塗料
着法,イオン交換法などがある。
high build coating
生物化学的処理方法としては好気性菌や,微生物の働きによ
1 回の塗装で膜厚が多くつき,厚い塗膜をうる塗料である。こ
る好気性処理や,嫌気性菌による嫌気性処理,処理水を浅い池
のためには高不揮発分で塗装できるように改良しなければなら
に何日か貯留し,生物学的に処理するラグーン処理などがある。
ない。塗料組成あるいは使用されている樹脂の改良,または塗
これらの各方式は単独で装置されることは比較的少なく,廃液
装法の改良によって高不揮発分の塗料を塗装でき,厚膜をうる。
の性質,処理水量,処理後の水質基準によって数種の組み合わ
たとえばビニルペイントは塗装時の固型分が低く,膜厚がつかな
せにより装置化している。
いのでハイビルド化が検討され,開発されている。
ハイソリッドラッカー
バインダー
→ ビヒクル
high solid lacquer
ラッカーに用いられているニトロセルロースは溶液にすると流
動状態をうるためには約 20%くらいの低固型分となり,塗装組成
破壊エネルギー
中にニトロセルロ一ス分が多いと低固型分塗料となる。高性能の
breaking energy
合皮樹脂,すなわちアルキドやメラミン樹脂を用いることによっ
図 に 示 す ような 応 力 -ひ ず み 曲 線 の 囲 む 面 積 は ,材 料
て,組成中のニトロセルロ-スの量をへらし高固型分化が可能に
を 破 壊 す るに 必 要 な エ ネ ルギ ー , す な わ ち破 壊 の エ ネ ル
なった。またニトロセルロースも 1/4,1/6 秒の低粘度のものが用
ギーを示 し,材 料 の粘 り強 さを示 す基 準 となる。単 位 は
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kg・cm/cm3 で表わされる。
爆発限界
explosion limit
爆発範囲,燃焼限界,燃焼範囲などとも呼ばれる。可燃性の
気体や粉じんが空気と混合したとき,点火によって燃焼または爆
発をおこす。この場合,空気と可燃物の割合にある容量比があり,
その比率より大きくても小さくても燃焼や爆発が起こらない。その
範囲を燃焼範囲(flammable range)または爆発範囲(explosion
range)と呼び,その限界を爆発範囲の下限および上限と呼ぶ。
はがれ
(容量%)
→ peeling
たとえば
下限
上限
アセトン
2.5
13.0
トルエン
1.2
7.0
やショットの研掃材を圧縮空気で噴射させ,披研掃材に当てて除
メチルエチルケトン
1.8
11.5
錆するとき,はね返ってくる研掃材や粉じんをバキュームポンプ
酢酸ブチル
1.2
7.6
バキュームブラスト
ブラストクリーニング法の一種で,真空式ともよばれ,グリット
で吸上げる方法である。噴射室は小形の密閉式しょうごになって
なお,実際の事故は起こってはいないが,粉体塗料においても
いて,じょうごの周囲から自動的に集じんし,サイクロンで分離し
粉じん爆発の起こる可能性があり,その対策の確立が急務となっ
てから研掃材をタンクに入れ,循環して利用する。
ている。
鉄鋼材のスケールやさび落しに使用するが,構造上研掃能力
が低くなるので,溶接部や鋲頭部の処理などと使用範囲が限ら
爆発範囲
れる。
→ 爆発限界
ただ,バキュームにより研掃材が循環されるので,砂じんによ
薄明視
る害が全くなく,線材の処理には最適といわれる。
mesopic vision
白亜
視細胞には 2 種あって,スイ状体は明るい所で働き,色をよく
区別できる。カン状体は感度がよく暗い所でも働くが色は区別で
→ ホワイチング
きない。スイ状体は感度の良くないカラーフィルム,カン状体は
白鉛
感度の高い白黒フィルムにたとえられる。明るいときにはスイ状
体が,暗い時にはカン状体が働いているのであるが,その中間
→ 鉛白
でカン状体とスイ状体がともに働いている状態を薄明視という。
白色点
はく離
white point
色度を主波長と純度とで表示する場合,基準となる白色刺激
被塗面から塗膜がはがれて脱離すること
→ peeling
を表わす色度図上の点を白色点という。
白色度
はく離工具
→ 塗膜はく離工具
whiteness
白さを表わす度数。
はく離剤
白土
remover
古塗膜のはく離に使用するもので,アルカリ形の無機はく離剤
→ 酸性白土
→ カオリン
と溶剤形の有機はく離剤とがある。
1)無 機 は く離 剤 は ,一 般 に塗 膜 が耐 ア ルカリ性 が小 さい
白灯油
→ 灯油
こ とを利 用 したもので ,カセイソーダを主 体 と して炭 酸 ソ
ーダや3りん酸 ソーダお よび界 面 活 性 剤 を入 れて加
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熱液に 浸漬す る 。 素地が ア ルミ 材の 場合は メ タけ い 酸ソ
はけ目
― ダ , オ ルト け い 酸ソ ーダ を 主体と し て 使用す る 。
brush mark
処理後の水洗を 十分に しない とさびやふくれが 生じ ,
塗膜に認められるはけの跡目をいう。
塗膜欠陥の 原因とな る。ま た,作業時に 処理液が 皮ふに
触れると危険なので十分に注意する。
橋かけ高分子
2)有機はく離剤は,溶剤が塗膜を軟化,膨潤させるこ
crosslinked polymer
と を 利 用し た も の で , 可燃 性 の も の と 不 燃性 の も の と が
線状ポ リマ ー の分子相互間を 化学的に 結合さ せ て ,三
あ る 。 こ れ ら の 溶剤は 蒸 発し や す い の で , 蒸発抑 制剤と
次元 的な 網 状構 造を つ く る ポ リ マ ー を い う 。 熟 硬化 性塗
し て パ ラ フ ィ ン な ど を 入れ た り , 促進 剤や 腐食 抑 制剤な
料,加硫ゴム ,放射線照射により三次元化し た ポリマ
ど も 入れ て 使用す る 。 ま た , 処 理後の 水 洗の と き に こ れ
ー , プ レ ポ リ マ ー を 共 反 応 物お よ び 触 媒と 混 合 し , 反 応
ら の も の が 素地に 残 る と , 塗 装 不良 の 原 因と な る の で ,
乳化剤なども入れる。
このはく 離剤に は 石炭酸などを 含んだ ものがあ るの で
さ せ て 得ら れ るポ リ マ ー な ど が あ る 。 橋か け 構造が 形成
さ れ る と , 溶 剤に 不溶 化し , ガ ラ ス 転移 後に ゴ ム 状弾 性
プ ラト ー を 示す け れ ど も 流動しな い と い う特徴が あ る 。
指先に 触 れ る と 爪部 を 侵す こ と が あ る 。 い ず れ も 取り 扱
い に は 十分に 注 意す る 必 要が あ る 。
はしかけ密度
crosslinking index
は け
brush
塗料を塗り つけ る工具で, 漆は けの昔から現在まで木
工塗装,建築塗装で広く使用されている。
馬や 豚, やぎ など の 動物の毛か ナ イ ロ ン など の合成せ
んい を ,桜樹皮で 巻き 付け て ,木製の 柄に 軟鋼の針金で
枝分れを 生ず る よ うな 高分子の 反応で , 綱目構造を 与
え る 結合反応は は しか け 反応で あ り , n ケ の ポ リ マ ー の
任意の 単位が 橋か け す る 確率を い う 。 たと え ば , 分子量
が 均一 な 高分 子が は し か け す る 場合 , 図 の 1 ケ の 1 次く
さりAに2つのはしかけ単位があり,B 2 は生長せず B 1 が
また 2 つのはしかけをもち,以下これが成長する条件は
とり付けて作る。
そ の形状に より 寸胴はけ * ,筋違い はけ * ,平はけ * ,
文は け ,揚子は け な ど の 種類が あ り ,ま た 使わ れ る 塗料
に よ っ て 種 類が 分 れ 漆 は け , ペ イ ン ト は け , ワ ニ ス は け
水性は け な ど と よ ば れ る 。 わ が 国で は 馬毛が も っ と も 多
く , ア メ リ カ や 中 国で は 豚 毛が 多 く 使わ れ て い る 。
はけさばき
brushability
塗料を はけで 塗ると き の はけ の 運行の 難易をい う 。は
線状高分子の橋かけ
1 次く さ り の 重 合度を x と す る と A → B 1 に お い て , B 1
の残り の( X- 1 ) ケ の 単位の う ちさ らに はしか け さ れ る
期待値εは,はしかけ密度をγとすると
γ=
け さ ばき は 塗料の 稠度が 高過ぎるとき ,蒸発の 早い 低沸
ε
である
x−1
点の 溶剤を 多量に 含む と き な ど に 困難に な る 。 ま た , 被
塗面の粗滑の状態,はけの毛の 剛軟の状態によっても影
はじき
響される。
cissing,crawling,fisheyes
塗料が 被塗面に 均一に 付着し な い で反発さ れ, 塗膜の
はけ塗り
blushing
ところど ころに 大き な穴ま たは へこみ 模様が 生じ る現
象。
はけ塗りはもっと も古くから用いられている塗料の塗
り 方で , は け は す べ て の 塗装用具や 機械の 中で も も っと
パターン
も簡便で合理的なもののひとつである。
→ スプレパターン
ス プ レ ー 塗装の よ り に 塗料の ロス は な い し , 広い 場所
や 設備を 必要と す ること も な く ,身体さ え 入れ ば どこ で
膚 色
でも簡単に作業ができ るきわめ て便利な 塗装方法で ,遠
慣用色名。5.0YR8.0/5.0。
く 原始の 昔か らい ま も っ て 行な わ れ て い る 塗料の 塗り 方
である。
白 化
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→ blushing,blooming
は乾燥してい て白化がな く , 見本品の 場合に 比べ てし
ま , む ら の 程度が大き くな く , つや が 少な く ないと き は
発火点
“ 白化防止性が じ ゅ うぶ ん” であ ると す る 。
fire point
溶剤な ど 石油製品の 引火点を測定後, さ らに 加熱を 読
け , あ る 湿度に 達す る と そ の 燃焼が 継続す る よ う に な
発光顔料
る。
luminescent pigment
このと き の 温度が 発火点であ る 。 J I S K 22 7 4 - 1 96 2
昼光や 人工 照 明な ど か ら 受け た エ ネ ル ギ ー や 添 加さ れ
「 石油製品引火点お よび 燃焼点試験方法 (ク リー ブラン
た活性体に よって刺激を受け ,可視光線またそれに 近い
ド開放式)」 で は ,発火点を 燃焼点と 呼び ,試料が少な
波長の赤外線,紫外線などの光を放出する顔料。
くと も 5 秒間燃焼を 続け たとき の最初の 温度を 指してい
発光顔料は主と して有機系顔料であ る (昼光)けい 光
る。
顔料* と , 無機顔料が 主体の 蓄光顔料 * と に 大別さ れ る 。
トリエチレングリコールは引火点 166C,発火点 174C
発光顔料を用いた塗料の規格に JIS K 5671-1971「発
(開放式)
光塗料」がある。
白化防止性
発光塗料
anti-blushing(property)
luminescent finish
リターダー*に要求さける性能で,ラッカーやハイソ
短波長可視光 線, 紫 外線以下の 波長の 短い 幅射線お よ
リッドラッカ ーを塗装する時に ,塗膜の 白化(ブラ ッシ
び 電子線,α 線な ど の 粒子線の 制限を 受け るこ と に よっ
ング)を防ぐ性能。
て ,そ の エ ネ ルギ ー を 可視光線に 変化さ せ る性質を もっ
JIS K 5539-196 1「リターダ一」 4.6「白化防止性」
たけ い 光体を 顔料と した塗料で あ る。発光塗料は 夜光塗
では試滴方法をつぎのように規定している。
料と け い 光塗料の 2 つに 大別さ れ , 夜光塗料は 蓄光性と
試料と 見本品と を 1 0 g ず つそ れ ぞ れ 別の セン の あ るフ
自発光性の2つがあ る。この 種の 塗料は 最近工業的に大
ラスコ 250cc にとり,おのおのにクリヤーラッカー(表
い に 利用さ れており ,需要が のび てい る。顔料部と ビヒ
1 )を 3 0g と ラッ カ ーシ ンナ ー ( 表 2 ) 20 g と を 加えて
ク ル 部と が 別々 に セ ッ ト さ れ て い て 使用時に 混合す る も
じゅうぶんに振りまぜ,温度 23~30C,温度 87~93%の
の と , あ ら か じ め 両 者が 調 合さ れ て い る も の が あ る 。
室内に 1 時間以上置い た の ち ,こ れ ら を 別々 の ガ ラ ス 板
( 1 6 0 × 1 2 0 m m ) の 片面に 注ぎ , た だ ち に ガ ラ ス 板の 短
辺を 水平に , 長辺を ほ ぼ 鉛直に 保つ よ う に 立て か け る 。
立てかけたときから1時間ののち塗膜を調べ る。塗膜
発色団
chromophore
有機化合物が 色を 有す る ため に 必要な 特定の 不飽和原
子団で,お もな発色団と しては- N= N一(ア ゾ基),
表1
形成
配合割合(重量)
工業用ニトロセルロース
14
エステルガム
10
酢酸エチル
15
酢酸正ブチル
5
エチルアルコール
6
正ブチルアルコール
3
トルエン
47
>C=O(カルボニル基),一N02(ニトロ基),-NO
(ニ ト ロ ソ基),>C =C <,な どが あ る。これらの発色
団がなるべ く数多く ,ま た密に 配列する ほど 濃色にな
る。
染料の場合,その原子団(発色団)によってアゾ染料
ニ トロ染料,ニ トロソ 染料などと 分類され る 。顔料の 場
合もアゾ基を含む顔料をアゾ顔料*と呼ぶ。
→ 助色団
発 錆
rusting
表2
→ 赤さび,黒皮
形成
配合割合(重量)
酢酸エチル
15
酢酸正ブチル
10
建梁染料の 鮮明な 色調と 堅牢性を 利用し た 有機顔料
正ブチルアルコール
5
で,建梁染料系顔料,スレン系顔料とも呼ばれる。
トルエン
70
置換基の 位置, 量, 誘導体な どに よ っ て 耐候性, 耐溶
バット系顔料
vat pigment
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剤性が 左右さ れ る が , 濃色 , 淡 色と も に す ぐ れ て い る の
がある。
が 特徴であ る。ただ し,ア ゾ 糸瓜料*に 比べ彩度の劣る
ものが多く,分散性もやや悪い。
パテかい
バット系顔料はアンスラキノン系*(アントラキノン
建築用語のひと つで,一般では パテづけ,拾いパテな
系),チオインジゴ系* ,ペイレン・ペリイン* 系の三つ
どといわれている。
の グ ル ー プ に 大別 さ れ る 。
樹脂分や節の多い松や杉,桧などではセラッ クワ ニ ス
や ウ ッ ド シ ー ラ ー な ど で ヤ ニ 止 め を 行な っ て か ら , 木の
発泡型塗料
わ れ や 節穴 , 虫 穴, 釘穴 , 傷, 継手 , は ぎ 目な ど の 凹部
foaming type coating
に ,コン ク リート では巣穴や欠損部分,ひ び われ箇所,
発泡型防火塗料と は 別に , 床, 防音, 緩衝剤などの 健
鉄骨で は 熔 接や ス ポ ッ ト 跡な ど の 凹部に , ウ ッ ド パ テ や
材用と し て , 発泡性ウ レ タ ン 樹脂を 利用し , 塗装剤と し
オイ ルパ テ ,合成樹脂系のパ テ など を用いて 充て んす る
て開発した ものが あ る 。ウ レタ ン はヒ ド ロ キ シル 末端を
ことをいう。
持つ 高 分子体と 多 官能イ ソ シ ア ネ ー ト が 反応す る が , イ
ソシア ネ ート 過剰で 水を 加え ると 架橋網状化反応を 行な
ハトバ色
い,分子が巨大化するとともにこの時生成する CO 2 ガス
慣用色名。2.0P4. 0/3.5. ハト バは鳩の羽の意味。
に よっ て 膨脹し,球形ま たは 多角形の 細胞状発泡体と な
り 硬化す る。発泡反応はイ ソ シ ア ネ ート と 水と の反応に
花咲き現象
より C O2 ガス の発生に よる も のであ るが ,ほか に ニ ト
blooming
ロアルカン,ニトロ尿素,活性メチ レン化合物などのよ
塗膜に 配合さ れ た 顔料, 可塑剤な ど が 内部か ら 拡散し
うな 有機系発泡剤あ るい は 固体炭酸, ホウ 酸, 水酸化ア
て表面に析出し,塗膜の表面をおおう現象のこと。
ルミニウムなどの無機系発泡剤なども使用される。
羽布仕上げ
発泡型防火塗料
バフと よばれる布製の研摩輪を回転させて,その円周
intumescent paint
で 研摩す る 方法で , 仕上げ の工程に よ って エ メ リ ー バ
塗装さ れた 防火塗料が高温に さらされ ると ,発泡して
フ ,と ぢバ フ ,ば ら バフ な どを 使用す る 。 また , 油性研
厚膜の 多泡層を 形成し , 断熱効果を あ ら わ し 木部の よ う
摩剤と してト リポリ(けい砂),グロス(酸化鉄),白棒
な可燃物の発火を防止す るものであ る。ビヒ クルと して
( ア ル ミ ナ ) , 突 棒 ( 酸 化 ク ロ ム ) な ど を バ フ に つ け て 研磨
は 水溶性ま た は ア ル コ ール 可溶性尿素樹脂,メ ラ ミ ン 樹
仕上げを す る。こ の 油性研摩剤は 簡単な 脱脂で は と り 切
脂,塩化ビニル,塩化ビニリデン共重合体エマルショ
れ な い の で ,塗膜は が れ な ど の 欠陥の 原因と な るこ と が
ン,塩化バラフィン ,ポ リアク リ ル酸エス テルな どが使
ある。
用 さ れ , ホ ウ 酸 化 合 物 , リ ン 酸化 合 物 , ア ン モ ニ ウ ム 塩
な ど の 防火剤も配合さ れ る 。 こ れ らの 防火剤は い ず れ も
バ フ
高温に より 分解し,消火性のガスを発生す る。また,塗
buff
眼中に残存して発泡を生じ断熱層を形成する。
慣用色名。8.5 YR 6.5/5.0。
buff は淡黄色のもみ皮の意味がある。
パ テ
putty
被塗面の 孔,きれつ ,すき間,ゆがみなどに塗布して
バライト粉
baryte ; barium sulfate BaSO4
面の 平滑性を 調製す る も の と , 建具な ど の ガ ラ スの 取り
天然産の 重晶石を 粉砕して 製造した 硫酸バ リウ ム を主
付け に 使用さ れ る もの と が あ る 。 塗装用は 前者の も の で
成分と す る 体 質原 料。 不 純物と し て ケ イ 酸 , 酸 化鉄 を 少
あ っ て 顔 料と ビ ヒ ク ル を 十 分に 練り 合 わ せ て ペ ー ス ト 状
量含んでいる。比重 3.9~4.5,屈折率 1.64,沈降性硫酸
にしたものである。油性,合成樹脂,ラッカー,エマル
バリウム*とほぼ同じ用途に用いられる。
ション塗料な どには,それぞれ 同系のパテがある。ま
J I S K 5 11 5 - 1 9 6 5 ( 沈 降性硫 酸バ リ ウ ム お よ び バ ラ イ
た , 特に 厚塗り 用と し て 不飽和 ポ リ エ ス テ ル 樹脂パ テ が
ト 粉)では,フルイ残分(% )0. 5 以下,水分(% )0. 5 以
あ る 。 通 常パ テ は へ ら づ け さ れ る 。 バ テ の 使 用に 際し て
下,塩酸不溶分(%)95 以上などと規定している。
は 被塗物の 孔あ るい は き れ つの 大き さ ,被塗物の 材質,
中塗り , 上塗り 塗料の 種類に よっ て 種類を 選択す る必要
バラス効果
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日本塗装技術協会
Barus effect
塩素(Cl ) 、臭素(B r) な ど を 含む 炭化水素系溶剤。四塩
メ リント ン 効果 Me r ri n g t o n eff ec t と もい う 。 粘弾
化炭素* ,ト リクロ ルエチレン * テトラ クロ ルエチレン*
性液 体を 毛 細管か ら 押 し 出す と 出口 を 出 た と こ ろ で , 管
な ど が 代 表的 な も の で あ る 。 い ず れ も 不 燃 性 ( ま た は 難
の内径よりも太くなる現象。
パラフィン
paraffin
石ろ うと もい う。白色半透明ろう状の固体。沸点が 約
300C 以上の高級パラフィン炭化水素類の混合物で,エ
ーテ ルお よび 熱ア ルコールに 溶け る。塗装に おい ては 液
燃性)が あ るが ,加熱す ると 分解して塩素ガスなど を発
生し ,そ の 毒性は 人体に 対し 強い 麻酔作用,肝臓と 腎臓
の 重い 障害と し て 現わ れ る 。 ま た , 鉄な ど の 金属を 腐食
させる。
半硬化乾燥
状・ 固形のワ ック ス剤に 一部使用さ れる 。ま た, 塗料試
塗面の 中央を指先で 静かに 軽く こすっ てみて , 塗面に
験に お け る試料の ツー ルに 用い られ る場合もあ るが ,融
す り あ と が つか な い と き は ,そ の 試料は 半硬化乾燥の 状
点 45~65C が低いので使用範囲は限られて くる 。
態になっているものとする。(JIS K 5400)。
パラフェニルフェノール樹脂
半光沢
para-phenyl phenolic resin
semigloss
パラの 位置を 炭化水素基で 置換し たフ ェノ ールと ホ ル
60 度鏡面反射率が 30~70 のとき半光沢とよぶ。
ム ア ル デ ヒ ド と の 縮合物で , 1 0 0 % フ ェ ノ ー ル 樹脂 * と も
70 以上
high gloss
いう。バラまたはオルソアルキル,またはアリルフェノ
30~70
semi gloss
― ル 類 を ホ ル ム ア ル デ ヒ ド と 反応 さ せ る と , ロ ジ ン な ど
6~30
egg shell
の 変性剤を 用い な く て も 油溶 性 の 樹脂が 得ら れ る 。 ノ ボ
2~6
egg shell or flat
ラ ッ ク 形の 樹脂は ロ ジン 変性の 樹脂に く らべ て 黄変が 少
~2
flat
なく,物理的,化学的性質が すぐれてい る。レゾ ール形
の 樹脂は 熱硬化性で あ り ,耐薬品性, 耐水性な ど す ぐれ
はんこん(斑痕)試験
た塗料の基になる樹脂である。
spot test
塗利用シン ナ ー中の不純物の 有無を 調べる 試験で ,し
バルカンワァーストレッドGF
→ ピラゾロン系顔料
み 試験と も い う 。 J I S K 5 4 0 0 - 1 9 7 0 「 塗料一般 試験方
法」 5. 5「 しみ」 では「 縁をさ さ え て水平に したろ 紙( 径約
11cm)のほぼ中央の同じ場所に試料を約 0.2ml 滴下し,
バレル仕上げ
バレル(たる)の中に品物と一緒にメディアとよばれ
る研摩石と 水な どを 入れ て 回転させ,品物相互の自己研
磨(共ずり)や 角の丸め ,バリと りなどの切削作用とコ
ン パ ウ ン ド の 併 用に よ る つ や 出し ( b u r n i s h i n g ) を 行 な
う仕上
げ法で
あ る 。
小さ い 品物を 一 時に 多量に 研磨 す る の に 都合の よ い 仕
上げで ,俗に ガ ラ み が き と もよばれ て い る 。
仕上りが均一なので精密仕上げに多く用いられてい
その部分に器物が触れないようにしてそのまま 2 時間放
置し 試料を 蒸発さ せ る 。 滴下し た 部分を 肉眼で 見て し み
が認められないとき“しみが残らない”とする」と試
験方法,判定方法が示されている。
この試験方法は JIS K 5538-1961「ラッカーシン
ナー*」 などに 取り 上げられ てい る。
ハンザエロー
hansa ye11ow
アゾ系黄色顔料。ファーストエロー (f as t yellow) とも
る。
形式に より 水平式,傾斜式,浸漬式とがあり ,メディ
ア に は ア ル ミ ナ な ど の 人造 石, 石英 , 砂 な ど の 天然 石,
亜鉛塊な ど の 金属や 皮く ず な ど が 使わ れ る。 コン パ ウ ン
ド と しては酸性,ア ルカリ 性, 石け ん形のものを 0. 5~
2%の範囲で使用する。
ハロゲン化炭化水素
halogenated hydrocarbon
- 224 -
日本塗装技術協会
BET adsorption isotherm
固体が一定温度で気体を吸着する場合の吸着量につい
て,1938 年 S.Brunauer,P.H.Emmett,E.Teller の提
出した式。吸着が固体の 自由表面で 行なわ れる場合は ,
次の式で表わされる。
𝑃
1
𝑐−1 𝑃
=
+
∙
𝑣(𝑃0 − 𝑃) 𝑣𝑚 𝐶
𝑣𝑚 𝑐 𝑃0
こ こ で ,ν は 吸着さ れ た 気体の 全体積, P は 気体の 圧
力,P 0 は測定温度 T における気体の蒸気圧,νm は全吸着
面が単分子層でおおわれたと仮定した場合の吸着気体の
呼ば れ る ように , 耐光性, 耐熱性, 耐酸性, 耐ア ル カリ
体 積 で あ る 。 ま た , c は 近 似 的 に e(E1 −EL /RT) に 等 し
性も よい が , 耐溶剤性が 劣るの が 欠点で あ り , 焼付型塗
い 。 ただ し ,E 1 は 多分子層と 考え られ る吸着層の第 1
料やラッカーに使用した場合,マイグレーション *やブ
層に お け る気体 1m ol の 吸着熱, E L は 気体の 液化熱,
リード *を 起こす 。その ため 油性塗料,長油性フタ ル 酸
樹脂塗料や水溶性塗料などに用途が限定される。
色調は 1 0G (レ モンエ ロ - ), 5 G,G (オレン ジエ ロ ー )
などがあり,上のような化学構造である。
R はガス定数である。
吸着が固体の限定された空間(毛細管)に起こる場合
には,x=P/P 0 として次の式となる。
→ ファーストエロ-
v=
𝑣𝑚 𝑐𝑥 1 − (𝑛 + 1)𝑥 𝑛 + 𝑛𝑥 𝑛+1
∙
1 − 𝑥 1 + (𝑐 − 1)𝑥 − 𝑐𝑥 𝑛+1
パンジー色
こ こ で , n は 毛細管の 壁に つ く ら れ る 多分子吸 着層の
慣月色名。1.0P2.5/10.0
層の 数で , n =∞とお けば ,上の 自由表面の 式と なり,
ま た n = 1 と お け ば 形式 上ラ ン グ ミ ュ ア の 吸着等 温式と
反射塗料
reflective coating
一致す る。この 理論は複雑な 表面構造を もった吸着媒や
ガ ラ ス 球な ど を 塗 料の 中に 混 合し , あ る い は 塗 装し て
触媒の表面積の決定に対しても応用される。
か らそ の表面に 小さ い ガラ ス球をまい て 埋め 込ん だ塗
料。暗い 所で光をあて ると入射光の方向に反射光がかえ
ピーコックグリーン
っ て く る の で 塗面が 光 っ て 見え る 。 道 路標 識な ど に 用い
peacock green
る。
慣用色名。7.7BG 4.5/9.0。孔雀の緑の色。
反応促進剤
ピーチ
→ 促進剤
peach
慣用色名。3.5 YR 8.0/3.5.
ハンマートーン塗料
hammer tone coating
ヒートリフロー型塗料
ハ ン マ - で たたい た跡の ような立体的な 美しい 模様が
heat reflowing coating
形成さ れ る よう に 作っ た 塗料であ る 。 樹脂と して は , 一
自然乾燥型の 熱可塑性の もの と,熟硬化型の 両方の 塗
般に スチ レン 化ア ルキド 樹脂, ア ルキド 樹脂,ラッカ ー
料が あ る 。 熱司塑性の も の は ア ク リ ル 樹 脂と ハ ー フ セ カ
お よ び 酢 酸ビ ニ ル エ マ ル シ ョ ン な ど が 使用 さ れ る 。 こ れ
らの樹脂にシリコーン樹脂を添加し,さらにノンリーフ
ィ ン グ ア ル ミ ニ ウ ム が 加え ら れ る 。 常温 乾燥 型と 焼 付乾
燥型が あ り , 焼付 型は メ ラ ミ ン ア ル キ ド 樹 脂塗 料が 用い
られる 。用途は機械器具・ 光学機械・ 事務器・ 鋼製家具
などである。
塗料と し て 用い ら れ て い る 。 こ の も の は 塗装 後 , 1 0 0  C
以上で 加熱す ると 塗膜が 軟化し て 再流展 (ref l o w) し ,塗
面の平滑性,光沢がよくなる。
ま た , 熱硬 化 型の も の も ア ク リ ル 樹 詣で , 同 様に 上 塗
り塗料である。塗装後 80~110C で 15 分焼付硬化し,塗り
ヒ
BET 吸着等温式
ン ド ブ チ レ ー ト の 混合系の 上塗り 塗料で , 自然乾燥型の
む ら , ゴ ミ な ど を と き 落し 補修塗り を 行な い , 1 3 0 ~ 1 5 0
C 30 分硬化する。上記と同様,軟化して平滑性,光沢が
よく なる 。 この 方法を ペー クサ ン ド ベ ーク (B . S , B ) 方式
と い って い る 。 用途は 自動車用そ の ほ か 金属用で あ る 。
- 225 -
日本塗装技術協会
ピーリング
ダイマリルジイソシアネート(DDI)。
peeling
脂環族イソシアネートは i)ジシクロヘキシルメタゾ
塗膜に起こる欠陥の一つで,皮をはいだように大きく
-4,4 ジイソシアネート(CHMDI)ii)メチルシクロヘキ
塗膜がはく離脱落する現象。
シ レ ン ジ イ ソ シア ネ ー ト ( H TD I ) i ii ) 3 - イ ソ シ ア ネ ー
トメチル 1-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシア
非黄変性ポリウレタン樹脂塗料
ネート(IPDI)。
nonyellowing polyurethane resin coating
フェ二ル基とイソシアネート基の間にアルキシレン基
ポリウレタン樹脂塗料は熱あるいは光によって黄変す
を導入したものとしては,キシリレンジイソシアネート
るもの(黄変型)と黄変しな いもの (非黄変型)があ
(XDI)がある。
り,それぞれ使いわけされている。黄変型は芳香族イ
無黄変性ジイソシアネートを原料としたポリウレタン
ソシアネートに属し耐候性が悪いが,非黄変型のものは
樹脂は,光沢保持率,耐候性テスト後の物性が黄変型に
脂肪族および脂環族イソシアネートで耐候性がすぐれて
比して非常にすぐれており,屋外美装用の塗装剤として
いる。芳香族イソシアネートには,2,4-トリレンジイソ
は最高水準の性能をそなえている。しかし,黄変型に比
シアネート,4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートな
して反応速度が低く,自然乾燥性がおそいという問題が
どがある。芳香族イソシアネート類の熟あるいは光によ
あるが,加熱硬化では 80~100C の低温硬化ができる利
る 黄変は , つ ぎ の よ う に 考え ら れ て い る 。
点がある。用途としては航空機,鉄道車輛,自動車用な
i)熱によ るときは
どで,需要は増加の方向にある。
皮革用塗料
leather coating
靴,手袋,ベルトなど天然あるいは合成皮革製品の着
色または美粧用として使用される塗料である。皮革用塗
上のようにポリウレタンは熱分解し,初期にはイソシ
料としての性能は,皮革に対して付着性がよいこと,の
アネート(Ⅰ)を生ずる。またさらにウレタン結合が脱炭
び,たわみ性の大きいこと,耐摩耗性の大きいこと,皮
酸分解によりアミン(Ⅱ)を生ずる。後期に至っては,ポ
革特有の感触を失なわないことなどである。昔はカゼイ
リカルボジイミド(Ⅳ)や(Ⅲ)のカルボジイミドとア
ン,にかわ,シェラックなどが使われていたが,現在は’
ルコールの反応生成物により着色が増加する。
ラッカー,ポリウレタン樹脂,ナイロン樹脂,アミノ酸
ii)光によるときは
樹脂が使用されている。
光硬化型不飽和ポリエステル樹脂塗料
light curing unsaturated polyester resin coating
樹脂に光をあてて重合反応,解重合反応,発色,光電
導性などの変化を起こすものを作ることができる。この
ような光の作用によって,物理的あるいは化学的な反応
(Ⅴ)が生じ,Nラジカルがベンゼン核と共鳴するよう
が起きるものを感光性樹脂という。感光性樹脂が塗料と
になる。共鳴領域がベンゼン核からカルボニル基まで拡
して利用されているのは,重合反応を行なうもので,増
大される。さらに(Ⅵ)が生じると,芳香族アミンとな
感性物質(増感剤)が必要である。まず,増感剤が光を
る。この両者は着色を増大させる。
吸収してラジカルが生成し,これによって樹脂の重合が
非黄変型としては,黄変型のものに対して紫外線吸収
行なわれる。ラジカル生成に必要なエネルギーは,紫外
剤や酸化防止剤を混入する方法があるが,黄変を完全
線の輻射エネルギーでじゅうぶんであり,光源として
に防止する方法ではない。それゆえ,黄変しない原料を
は,高圧水銀灯やキセノンランプが使用される。
用いてジイソシアネート化しなければならない。非黄変
感光性樹脂としては,ポリビニルアルコールのケイ皮
型のものはつぎのようである。
酸エステルが一般的な型のものとして利用されている。
脂肪族イソシアネートとして は i)ヘキサメチレンジ
すなわち,つぎのような反応となる。
イソシアネート(HMDI)ii)2,4,4(あるいは 2,2,4)ト
感光性樹脂のモノマーとしては,ビニル化合物あるい
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)iii)
はエチレンモノマーなどの重合反応を行なうものが用い
2,6 ジイソシアネートメチル カプロエート (LOI)iv)
られ,高分子化される。増感剤としては,ベンゾフェノ
- 226 -
日本塗装技術協会
公害対策塗料の原料として今後が期待される。
光重食塗装装置
光重合塗料は , 特定波長の光を吸収する こと に より 塗
料の硬化反応が起こることを応用したものである。
紫外線ランプは 300~400nm の波長をだす もので,紫
外線け い 光灯または 高圧水銀灯を 使用す る。また,両方
を組み合わせて使用す るものもあ る。
装置の 大き き はラ ン プ の 組み 合わせ , 配置数, 配列法
な ど に よっ て 決り ,照射時間は 塗料の 種類や 膜厚に よっ
て異な るが,一般に紫外線ランプ の場合は 2~ 3 分,高
圧水銀灯の場合は紫外線出力が大きいため,10 秒~20 秒
くらいで塗膜硬化する。
照射距離は 紫外線け い 光灯は , 5c m ~ 10c m ,高圧水
銀灯は 7cm~20cm ぐらいが一般的である。
この硬化方法は熟エ ネ ルギーを 用い ない ため ,高温加
ン,アソトラキノン,アニリンのようなもので-NO2,
熱のでき ない 木材,プ ラスチ ッ ク,繊維,紙な どに 使用
-NH2 ,-C= O 基などをもつ化合物が用いられる。ま
でき るなど多くの 長所を もっ て い るが ,反面,特定な塗
た,増感剤と と もに 還元剤が 用い られるが ,ア リルチ オ
料し か 使用 で き な い こ と , 複 雑 な 形状 を し た も の に は 適
尿素,アスコルビン酸,シスチ ン,グルタチ オン, E D-
さないなどの欠点をもっている。
TA のようなキレート化合物である。
不飽和ポリエ ステ ル樹脂は ,一般に はポリ ビニ ルアル
光増感剤
コ ー ル ( P VA ) と ケ イ 皮 酸 の エ ス テ ル が 用 い ら れ る 。 す
photosensitizer
な わ ち , ケ イ 皮 酸 ク ロ リ ド と P VA と を ビ リ ジ ン 中 で 反
光硬 化塗 料は , 塗 料中の 単量 体 自身が 光 を 吸 収し て 重
応さ せ る と 生成す る 。 ま た , ポ リ酢酸ビ ニ ルか ら もエ ス
合を 開始す る純粋光重合も考え られ るが ,一般に は塗料
テ ル交換反応に よっ て 作られ る 。 そ の ほ か に セルロ - ス
中に入っている光増感剤が 3,000~4,000A の特定波長の
・ ケイ 皮酸エ ス テ ル , 酢酸ビニ ル ・ ビニ ルア ル コ ー ル 共
光エ ネ ル ギ ー を 吸収し て 励起し , イ オ ン あ る い は 活性ラ
重合体,グ リ コ ール 類のケイ 皮酸エ ス テ ルと スチ レン ・
ジ カ ル を 発 生し , こ れ が 樹 脂お よ び 重合 性モ ノ マ ー と 反
無水マ レ イ ン 酸共重合体の 縮合樹脂,あ るい は エ チ レ ン
応し,開始反応→生長→連鎖反応→停止の諸段階
-
・ ビ ニ ル ア ル コ ー ル 共 重合体 の ケ イ 皮酸エ ス テ ル , ま た
多塩基酸と の 混合エ ステ ルな ど が あ る。こ れ らの 樹脂は
増感剤を使用しないと光に対する感度が小さいので 10%
以下の 量で 使用さ れ る 。ま た ,こ れ ら の 系は 合成が 比較
的容易で ,安定性, 膜の強度な どが よく, 一般的に 広く
用い ら れ て い る 。
光重合形感光性樹脂
感光性樹脂を用い光に よって重合硬化す るものであ
り , 種々 の 光反応機構で 反応す る種類が あ るが , 塗料と
して 実用化さ れて い るの は 不飽和ポ リエ ステ ル樹脂に光
を経て,三次元構造に橋かけして塗膜が硬化する。
塗料関係に 用い られ る光増感剤と して は di phenyl d i sulfide,dibenzyl disulfide,desyl arylsulfide などの
sulfide 系や,benzyl cyclohexanone, benzoin,benzophenone など carbonyl 系が多い。
光り塗り
別名菊花塗りと もいい ,スプ レ ーガ ンの 操作によって
菊の 花の よ う な 模様を 得る も の で , 太陽が 光っ て い る よ
うにも見えるところからこの名がある。
方法は ラ ッ カ ー シ ン ナ ー に 金属 粉を 1 0 % 程度 加え , ス
プ レ ーガ ン の ノ ズ ルを 丸吹き に して 被塗物に で き る だけ
増惑剤を 添加し た も の が 代表で あ り , 光重合に よ って 反
近づけ,(約 2~ 3mm くらい)スプレー圧をやや高い
応するためには樹脂の分子中にラジカル重合反応性の官
目に し て 瞬間 的に 吹き つ け る と , 丸く 輪状に で た 塗料は
能基をもつ必要がある。成分として樹脂,不飽和単量
塗面に 当って放射状に 四散し , 美しい 模様をつ くる 。模
体 , 増 感 剤の 組み 合わ せ で あ り , 増感 剤と し て ベ ソ ゾ フ
様づけ後はクリヤーラッカーを上塗りして仕上げとす
ェノン , ペ ンゾイ ン , 過酸化ベ ンゾイ ル などがあ る 。 対
る。
- 227 -
日本塗装技術協会
引さび地つけ
非水分散形塗料
生漆と砥の粉とを混じた漆下地をさびという。さび下
non aqueous dispersion (paint)
地 を 木 べ ら を 用 い て 素 地 に 薄 く引 き つ け る よ う に し て 塗
NAD 塗料(または単に NAD),非水ディスパージョ
り,均等にならしたものである。
ン樹脂塗料ともいう。比較的高分子量のポリマー (粒径
0.1~0.8 ミクロン)を脂肪族炭化水素を主体とする非極
引地法
性有機溶媒中に高濃度で低粘度に分散されている。現行
漆塗りにおける下地処理方法の1つで,地の粉,砥の
の溶剤形塗料に比べて低公害性,省資源化および塗装作
粉,胡粉などをにかわまたは柿渋などの水溶液にとい
業性向上などが期待される所から,欧米の自動車 メーカ
で,はけ塗りにて行なう下地の方法である。
ーで か な り 採 用 さ れ ,わ が 国 で も採 用 さ れ つつあ る 。
胡粉地引き,膠配地,渋炭地または地炭引きともい
この塗料の特徴は
い,2~3 回行なうのが普通である。
(1)
高固形分低粘度で,溶剤の排出総量の低減に効果が
ある。
非極性溶剤
nonpolar solvent
(2)脂肪族炭化水素が主体であるためルール 66 にみられ
るような光化学反応性溶剤規制に合格する。
無極性溶剤ともいう。ベンゼン核を持つ芳香族炭化水
素*(ベンゾール*,トルオール*,キシロ-ル)やメチ
(3)今後自動車塗装の主流となる 2coat 1bake 系塗装
レン基(-CH2-)を含む脂肪族炭化水素*(ミネラルス
に お け る メ タ リ ッ ク 塗 装 作 業 性 が す ぐれ て い る。
ピリット*,ナフサー*)で,極性原子団を持たず,低い
(3)
現行の溶剤型塗料の塗慨ラインがそのまま使用でき
る。
誘電率・双極子能率を示す溶剤。油溶性フェノール樹
脂,長油性アルキド樹脂などの極性の低い樹脂は溶解す
などがあげられる。
るが,ニトロセルロ-ス*のような極性化合物は溶解で
特許も含めて基本技術は ICI 社(英国)を筆頭にロー
きない。
ムアンドハース,デュポン,バディシェ,セラニーズ,
→ 極性溶剤
クックペイント,フォードモータースなど世界の大会社
が 持っており ,主に分 散ポ リマーの 安 定剤にそ れぞ れ独
ピグメントショック
自の特徴がある。
なお ,NA D 塗 料に ついて 溶剤規 制 の動向に よっては
pigm 如 t shock
ボールミルで顔料を低樹脂濃度の溶液に分散させた
案外短期間の需要に終ると見る向きもある。
後,この分散物Aに高樹脂濃度の残りの成分 B を加える
方法を採用する場合,A 液は貧溶媒,B 液は良溶媒にし
ヒステリシス
て お か な い と ,希 釈 の 際 と つぜ ん無 数 の 小 集 塊 を 生 じ ,
hysteresis
seeding になる。これをピグメントショックというが,
履歴現象ともいう。ある量 A の変化にともなってほか
ミル練摩物 A は樹脂については希薄溶液,追加分 B は濃
の量 B が変化する場合に,A を変化させる経路によって
厚溶液であるため,溶媒は A 相から B 相へ拡散し,また
同じ A に対する B の値
樹脂は B 相から A 相へ移行しようとする。この場合,溶
が異なる現象。たとえ
媒の拡散は速いが,樹脂の移行は遅いために希釈過程で
ば,応力ーひずみ曲線
は A 液が良溶媒であると,すみやかに B 液の方に吸収さ
において,図に示すよ
れ ,顔 料 練 摩 物 は 説液 さ れ て乾き , s e e d を 生 じ る結 果
うに変形過程で加えら
となる。
れるエネルギーと,回
復 過 程 で 放 出 す るエ ネ
比重
ルギーが異なる現象で,この場合,閉曲線で囲まれた輪
specjfic gravity
をヒステリシスループという。
ある温度で,ある体積を占める物質の質量と,それと
同体積の標準物質の質量との比をいう。ふつうは標準物
ビスフェノール A
質 と して , 4  C に お け る水 を 採 用 す る。同 じ 場 所 で 測 れ
bisphenol A
ば,同じ体積の両者の重さの比をとってもよいので,比
2 価のフェノールでフェノ-ルとアセトンから作られ
重という名称がつけられた。
る。エチクロルヒドリンとビスフェノール A を反応させ
るとエポキシ樹脂ができる。
- 228 -
日本塗装技術協会
融点 150~155C。
動,コロイド分散系の示す構 造粘 性,粘弾性液体の流動
なども非ニュートン流動である。
ビニル化油
ビニル系モノマーを乾性油に付加した合成乾性油,モ
ひずみ
strain
物 体 に 外 力 を 加 え たと き に 現 わ れ る 形 や 体 調 の 変 化 を
いう。歪みとも書き,変形とも呼ばれる。応力が弾性限
度内であれば弾性ひずみであって,外力をのぞけば元に
もど るが ,応 力が 弾 性限 度 を越え ると塑 性 変形 が起 こ っ
て永久ひずみが残る。
ノ マ ーの 含 有 量 に よって 油 状 か ら樹 脂 状 の も の が あ る。
ビ ニ ル化 す る前 の 油 に くらべ て 乾 燥 性 ,耐 光 性 ,耐 ア ル
カリ性 は 向 上 す るが ,耐 溶 剤 性 , 耐 摩 耗 性 ,二 回 塗 り 性
が劣る。乾性油またはその脂肪酸と重合性モノマー(ス
チレン,ビニルトルエンなど)とを有機過酸化物触媒
(過酸化ベンゾイル,第三ブチル)の存在のもとで加熱
して作る。アルキドの変性油として用い,建築用塗料,
トラフィックペイントなどの製造原 料となる。
ビチューメン
bitumen
固体,液体の炭化水素化合物で,少量のイオウ,窒素
ビニル樹脂
→ 塩化ビニル樹脂
酸素を含む黒色物質。天然アスファルト,アスファルタ
イトに分けられる。後者は黒ワニス,黒色絶縁塗料など
に用いられる。
ビニル樹脂塗料
vinyl coating
ビニル系樹脂は種々のものがあるが,ウォッシュプラ
ピックリング
pickling
→ 酸洗い
イ マ ーに 用 い ら れ て い るポ リ ビ ニ ル ブ チ ラ ー ル を の ぞ い
ては,塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体がもっとも多く
塗料化されている樹脂である。ポリ塩化ビニル単独で
は , き わ め て 硬 い 強 じ ん な 樹 脂 で あ り ,有 機 溶 剤 に は と
ひつじ毛
毛に凹凸があって塗料の含みがよく,ワニスはけにも
っぱら用いられ,ラッカー塗りにも利用される。白毛。
けにくい。これに反してポリ酢酸ビニルは比較的やわら
かい樹脂で,各種の有機溶剤に溶解する。これらの共重
合体は塩化ビニルの強じん性,耐アルコール性,耐水
性,耐化学薬品性を保持すると同時に,酢酸ビニルの有
引張り強度
tensile strength
機溶剤可溶性,柔軟性などの性質を保有する。塩化ビニ
ルと酢酸 ビニルの重合割 合の 異な るものが 数種類あり ,
引張りの場合の極限強さのことで,抗張力ともいう。
用 途 に 応 じ て 選 んで 塗 料 化 して い る。一 般 に ,塩 化 ビ ニ
材料の機械的性質中もっとも重要なものである。
ル 85~95%に対して酢酸ビニルは 15~20%である。ビニ
ル系 樹 脂は 硬い ため ,フ タル酸ジオ クチ ルの ような 可 塑
引張り弾性率
剤が用いられる。通常,樹脂に対して 10~20%が使用す
modulus in tension
る。
ヤング率ともいう。材料の弾性限度内において,引張
塩・酢共重合樹脂は塩化ビニルが多い組成では,普通
り応力とひずみとの比をいう。
の溶剤に溶解しにくい。また,重合度を高くすると,ゴ
ム 状 弾 性 を 得 られ るこ と か ら ,可 塑 剤 中 に 分 散 さ せた も
非ニュートン流動
の ,または可塑 剤と少量の 溶剤に分散 させたものな どあ
non-Newtonian flow
り,前者をプラスチゾル,後者をオルガノゾルという。
液体の流動に際して,ニュートンの粘性法則が成立せ
これらについてはビニルゾル塗料を参照のこと。
ず,見掛けの粘度がずり応力(またはずり速度)によっ
て 変 化 す る場 合 を い う 。 ず り 応 力 が 増 大 す ると , 見 掛 け
ビニルゾル塗料
の粘度が減少する場合を塑性流動 (plastic flow),擬塑
vinyl sol coating
性流動(pseudo-plastie flow) ,逆に増加する場合をダ
分子量の高い塩化ビニル樹脂は,通常使用されている
イラント流動(dilatant flow)と いう。高分子溶液の流
溶剤には溶解しない。また,たとえ溶解したとしても粘
- 229 -
日本塗装技術協会
度が高いので実用性がない。それゆえ樹脂の微粉末を可
溶液の粘度をη、絢溶媒の粘度をη0 とするとき,
塑 剤 ま たは 可塑 剤と少 量 の溶 剤 (20%以 下 )に 懸濁 分散
(η-η0)/η0=ηr
さ せた溶 液を 塗布 し,加 熱に よって ゾ ル→ ゲ ル移行 を 行
をその溶液の比粘度という。
な わ せ , 強 じ んな 塗 膜 を 形 成 さ せ る よ うな 塗 料 を ビ ニ ル
ゾ ル塗 料 と い う。粉 末 樹脂 を 可塑 剤 に 分散 さ せたもの を
非発泡型防火塗料
nonfoaming type fire retardant paint
ブ ラ ス チ ゾ ルと い い , 可 塑 剤 と 溶 剤 に 分 散 さ せ た も の を
断熱性の発泡層を生じない防火塗料である。普通の水
オルガノゾルという。
性(カゼイン,可溶性澱粉,水溶性尿素樹脂などに防
ビニルブチラール樹脂
vinyl butyral resin
白 色 粉末 でア ルコール類 ,ケトソ類 ,芳 香 族 炭化 水 素
類,エステル類,グリコールエーテル類にとける。塗膜
は付着力がよく,可とう性もよく相容するフェノール樹
脂 な ど を 併 用 し,一 般 金 属 用 ,木 工 用 な ど の ほ か エ ッチ
ングプライマー,金属箔用塗料の原料となる。ポリ酢酸
ビニ ルを部 分的に加 水分 解し,一 部を ビニ ルア ルコール
とし,これにブチルアルデヒドを作用させてブチラール
化したもので,ビニルブチラールを主体とし,酢酸ビニ
ルおよびビニルアルコールのトリポリマーと考えられ
火剤,顔料を入れたもの),無機質(マグネシアセメン
ト,ケイ酸ソーダに防火剤,顔料を入れたもの ),溶剤
性(アルキド,メラミン,ビニル樹脂に防火剤,顔料を
入れたもの)の防火塗料がこれに属する。防火剤として
は 発 泡 型 の もの と は 異 な り ,塩 素 化 フ タ ル 酸 の よ う な ハ
ロゲン化合物,ペンタブロモフェノールなどの臭素化合
物,酸化アンチモンなどが用いられる。酸化アンチモン
は 塩素 化合物と 共用す ると加 熱に より塩素 が放出さ れ ,
液状溶融物を生じ,酸素をしゃ断して燃焼をさまたげ
る。発泡型に比して断熱性は劣る。
ひびわれ
る。
→ われ
ひびわれ塗り
rack coating
乾燥後塗面にひびわれ模様を生ずる塗り方で,塗った
ビニル船底塗料
vinyl antifouling paint
ビニル樹脂を用いて作った船底塗料である。船底塗料
塗 料 が 乾 燥 す るに 従 っ て 直 接 わ れ て く る も の と , 上 塗 り
塗料の作用によって模様を生じるものとがある。
前者にはクラッキングラッカーが,後者にはビニ-ル
は,はじめフェノールレジンワニス系あるいは油性系の
合成樹脂が用いられていたが,耐塩水性,防食性で強じ
系のクラッキングペイントがある。
そのほか,変ったものとして漆のひびわれ塗りがあ
ん な 塗 膜 を え ら れ る こ と か ら ビ ニ ル 樹 脂 が 用 い られ る よ
うになった。ビニル塗料は 1 回塗りの膜厚がうすいので
数回塗りかさねる。船底 1 号・および2号塗料がある。
比熱
る 。 漆 塗 膜 の 半 乾 き の こ ろ に 卵 の 白 味 を は け で う す く塗
ると ,これと 同様 の模様 を得 ることができ る。
微粉シリカ
→ シリカ白
specific heat
単位質量の物質の温度を,単位温度だけ上昇させるの
に要する熱量をいう。ふつうは 1g, 1Kに対する値
ひまし油脂肪酸
castol oil fatty acid
を用い,したがって単位は cal/K,g となる。一般に温
度 に よ っ て 変 化 す る 。 ま た , 温 度 を 高 め ると き に 一 定 圧
ひ ま し 油 の 脂 肪 酸 成 分 は , リシ ノ ー ル 酸 8 0 ~ 8 7 % ,
C18,の不飽和酸 10%飽和酸 2~3%である。
力 の もと で 行 な うか , ま た は 一 定 体 積 に 保 つか に よ っ て
中和価は 185~195,ヨウ素価 100 以下,ヒドロキシ
異なるから,定圧比熱 Cp と定積比熱 Co とを区別す
ル価は 90 以上である。この酸は無色ないし淡黄色の液状
る。とくに,気体では両比熱の差がいちじるしい。
で短油性アルキド樹脂の変性に用いられる。着色は少な
いが,橋かけ結合が少ないので酸化形のアルキド樹脂に
比粘度
specific viscosity
くらべて耐水性,耐薬品性が劣る。リシノール酸の水酸
基のためたわみ性にとむ特徴がある。
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100%フェノール樹脂
漂白セラック
bleached lac
100%phenolic resin
オクチルフェノール,シクロへキシルフェノール,パ
セラックをソーダまたはホウ砂の水溶液に溶解し,不
ラフェニルフェノール,バラ第三ブチルフェノールなど
溶解のセラックロウをろ別し,ろ液に新しく作った次亜
を 原 料 と し , 酸 性 の 触 媒 を 用 い て ホ ル ム ア ルデ ヒ ド と 反
塩素酸ソーダ液を加えて漂白する。
応させて得た樹脂で,油溶性のフェノール樹脂を与え
このセラックを 25%以上,アルコールに溶解した無色
る 。 構 造 的 に も 生 成 機 構 的 に もノ ボ ラ ッ ク 樹 脂 と 同 様 で
あ る。こ の樹 脂と乾性 油を 加熱すると油 の重合 を促 進す
ま た は 淡 色 の ワ ニ スを 白 ラ ッ クニ スと い い ,無 色 透 明 の
塗膜を作る。
性質の一例をあげると酸価 75~95,ケン化価 200~215,
る 。 特 に バ ラ 置 換 は ほ か より も耐 薬 品 性 ,耐 水 性 ,耐 候
性,乾燥性が大である。
ヨウ素価 8.5~9.5,融点 74~78C,なお,JIS K 5911
(白ラック)に品質規格がある。
被誘導色
induced colour
1)色対比または同化などのように,視野のある領域に
表面処理
一般には,金属材料の表面に対して,脱脂,除錆,化
成 皮膜な どの処 理をす ること をい う。
おける刺激の効果が,ほかの領域に影響をおよぼす場
→ 化成皮膜処理
合,その効果を受けるほうの刺激。
2)その領域における刺激の結果としてでなく,上述の
色対比または同化の結果として知覚される色,または
色の変化。
表面処理剤
金属の表面処理に使われる脱脂剤,除錆剤,化成 (皮
膜処理)剤な
ど を い う 。
非溶剤
→ 化成皮膜処理
→ 希釈剤
表面張力
標準光源
specified achromatic light
surface tension
液体はすべてその表面をできるだけ小さくしようとす
標準の光として,国際照明委員会 (CIE)は,1931 年,
る 傾 向 を も ち ,外 力 の 作 用 が ほ と んど 無 視 で き ると き は
ABC の 3 種を定めた。この標準の光は
ほぼ 球形をと る。こ の現象 は液体 分子間 の引力に もと づ
A:色温度 2854K に点灯したガス入タングステン電球か
き ,その 総合 作用 は液 体表 面に沿 う一種 の 張力と な る。
ら出る色。
B:標準の光 A に,規定のデビス・ギブソン・フィルタ
ーをかけて色温度を約 4870K にしたもの。
C:標準の光 A に,規定のデビス・ギブソン・フィルタ
一をかけて,色温度を約 6740K にしたもの。
普通はC光源が用いられるが,デビス・ギブソン・フ
ィ ル タ ーは 取 り 扱 い が め んど うが 多 い の で , ほ か の 光 源
の組合せで代用している場合が多い。
これを表面張力といい,液体の表面に平行に,液面上の
単 位 長 さ の 線 に 直 角 に 動 く 応 力 と して 表 わ さ れ る 。 そ の
大きさはふつうは線の方向に無 関係なので,表面張力と
いうときには大きさだけを考えることが多い。
表面張力は液体の表面を等温的に単位面積だけ増加す
る と き の 仕 事 に 等 し く ,液 体 が 数 分 子 層 の 厚 さ 以 上 な ら
ば,表面張力は液膜の厚さに無関係である。液体の表面
張カは温度上昇とともに減少し,物質の化学構造に無関
係である。表面張力の例をあげると(対空気,単位:
dyn/cm),水は, 72.75(20C),水銀は 487(15C),エ
標準比視感度
チルアルコールは 22.3(20C)である。
relative luminous efficiency
波長λの明順応における比視感度で,1924 年 CIE で
表面レオロジー
採用された値。
surface rheology
溶液では,表面は空気のような外界と接しているから
表色
表面吸着などによって溶質濃度などが,液の内部とは違
colour specification
っている場合がある。そうするとその表面のレオロジー
色の表示と同じ。色を定量的に表示すること。
的 な性 質 も内 部 のそれとは違 ってくる。典 型 的 なものと
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して は ,た んぱ く質 の 溶 液 や ,界 面 活 性 剤 溶 液 が あ げら
ヒルデブランドの式
れ る。泡 やエマ ルション の安 定性には 界面 の表面 レオ ロ
Hildebrand’s equation
ジーの効果が大きい。
吸集工ネルギー密度δ(E/V)1/2(E はモル蒸発熟,
V は分子容 )は溶 解性パラ メーターと の関係で 重要な 値
ピラゾロン系顔料
pyrasolone pjgment
で あ るが ,い ろ い ろ な 方 法 で 求 め られ る 。 液 体 で は 蒸 発
熱から求めるのが便利である。
E=⊿Hvap-RT
有機顔料でアゾ基のほかにピラゾロン基をもってい
る。黄みの赤,赤みの黄の色調が多い。比重 1.4~1.5。
耐候性は比較的よいが着色力や耐溶剤性は劣る。油性塗
ここで⊿Hv ap は TK におけるモル蒸発潜熱,R=
1 . 9 8 6c al /  C で あ るか ら , 2 5  C で は 次 の よ うに な る 。
E25=⊿Hvap25-600
料,エマルション塗料に用いられ,ラッカーや焼付塗料
にも使用できる。
代表的なものにペンジジンオレンジ*,バルカンファ
―ストレッドGFなどがある。
⊿H 2 5 は次の Hi ldebrand の 式を用いることによって
求めることができる。
⊿H25=23.7Tb+0.02Tb2-2950
こ こ で ,T b は 絶 対 温 度 で 表 わした液 体 の 沸 点 であ る。
す な わ ち ,液 体 の 沸 点 が わ か って い れ ば , Hi l d eb r an d
の式を用いることにより,計算からδを求めることが可
能 で あ る 。 しか し , こ れ は 水 素 結 合 な ど の な い 非 極 性 液
体の場合を対象としたもの で,極 性液体については補正
項を加える必要がある。
拾いパテ
下地または下塗りが終ったのちにも,なお生じた素材
の接合部やすき間,ひびわれ,傷などの凹部に部分的に金
べ らな ど を 用 い て パ テ を 充 て んして 塗 面 を 平 滑 と す るた
め行なうもので,パテにはラッカーパテ,オイルパテ,
メラミンパテ ,ポリエ ステ ルパテ など各種がある。
平はけ
毛の厚みを薄くして,はけの幅を広くしたもので,粘
度 の低い塗 料を塗 るのに適してい る。壁や 平らな面を 能
率よく塗装できる。
透明塗装仕上げの際には,これら有色のものにかわ
り,合成樹脂系のウッドパテ,サンディングシーラを凝
固させたシーラーパテなどが用いられる。
パテづけは,原則として下塗りまでに完了し,中塗り
以後は行なわないようにしなければならない。
ビリジアン
viridian
慣月色名では 8.5G4.0/6.0 の色をいう。絵具では酸化
第二クロムである。
ヒワ色
慣用色名。 1.0GY7.5/8.0。ヒワは燕雀目の鳥の一種
で,鶸,金翅雀とも書く,ただヒワと書くときはマヒワ
をさすことが多い。この鳥は,大きさは雀くらい,北方
微粒化
スプ レ ー塗 装におい て ,液 体塗料 を 霧状に 小さ な粒 子
にすることをいう。
圧縮空気の急激な速度と塗料との拡散作用によって微
粒 化 す るも の と ,塗 料 を ポ ン プ で 高 圧 に して 小 穴 か ら噴
出することにより,空気との衝突によって微粒化するも
の,ま た.高 電圧の静電気によっ て微粒化する方法があ
る。
で繁殖し,秋に日本に渡ってくる。頭頂黒色,背は暗黄
緑色で黒色縦班があり下面は黄色,翼と尾羽は黒かっ色
で黄班かある。
ビンガム降伏値
Bingham yield value
ビンガム流動の式σ-f=η p D における降伏値 f をビ
ン ガ ム 降 伏 値 と い う 。塑 性 流 動 に お い て ,ず り 応 力 σ が
f を越えるとはじめて流動が起こる。
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→ ハンザエロー
ビンガム流動
Bingham flow
E . C. B i n g h a m は ,塗 料 , 印 刷 イ ン キ, ねり 歯 み が
ファーストスカイブルー
fast sky blue
き,バター,などの塑性流動は図に示すよりにずり応力
σがあ る値 f を越え るま では 流動が 起こ らず , f を 越え
るとはじめて流動がお
き,その後はσとずり
速度 D との関係は直線
関係になり,σ一 f=
JIS K 5243-1971「ファーストスカイブルー」で
は「主として銅フタロシアニンスルフホン酸のバリウム
または カル シウ ム 塩 を 主 成 分 と す る青 色 顔 料 」 と 定 義 し
ている。
色 調 は 鮮 明 であ るが 耐光 性 ,耐 熱 性 が悪 く,塗 料 用に
はほとんど使用されていない。
ηpD で表わされること
を示した。ここでη
p
ファーネスブラック
は塑性粘度(pl astic viscosit y) である。こ のような流動
を ビ ン ガ ム流 動 ,こ れに 従 う物 質を ビ ン ガ ム流 体 (B i ng ham
fluid)という。
furnace black
ファーネス式で作ったカーボンブラック*の総称。カ
―ボンブラックの製法は,ファーネス式とチャンネル
( c h a nn el ) 式 に 大 別 さ れ る 。前 者 は 芳 香 族 油 ( また は 天
ピンク
然ガス)をレンガ炉(ファーネス)に吹き込み,空気量
pink
を 抑 え て 不 完 全 燃 焼 さ せ る 。こ れ を 集 じ ん機 や バ ッ グ フ
慣用色名。2.5 R 7.0/5.0。
ィルターで捕集する。後者は細長い鉄板が炉の天井にあ
り ,下 か ら天 然 ガ スを不 完 全燃焼 さ せな が ら鉄 板に 吹き
ピンホール
付ける。ガスバ ーナーの上を往 復する鉄板にカーボンブ
pinhole
ラ ッ クが 付 着 す る の で , こ れ を か き 取 り 捕 集 す る 。
塗膜に針でついたような小さな穴,皮革の毛穴のよう
ファーネスブラックは一般に粒径が大きく(20~70
な 穴 の で き る現 象 で ,表 面 だけ の 凹 部 で な く,素 地 面 に
mμ),したがって吸油量が小さく,着色力も劣る。pH
まで達する穴のことをいう。
も 6~9 でアルカリ性 のものが多い。原色は 灰色がかっ
た赤味の 黒で ,淡色は 青味の灰色とな る。上塗り塗料 の
着 色 用 ,ま たは 下 塗 り 塗 料 に 使 用 さ れ る 。
貧溶媒
チャンネルブラックはこれに対し,一般に粒径が小さ
poor solvent
溶質*に対する溶解力の弱い溶媒。ニトロセルロ-ス
く(10~27mμ),吸油量が大きく,着色力も大きい。
に対するトルエン,中・短油性アルキド樹脂に対するミ
pH も 3~ 5 で酸性が強い。原色は深い黒さが得られる
ネ ラ ル ス ピ リ ット な ど , 脂 肪 族 炭 化 水 素 系 溶 剤 な ど が そ
の例である。一般には真溶剤 *と混合して希釈剤として
ので自動車上塗り用塗料などに用いられるが,顔料分散
性 が フ ァ ーネ スブラ ックに 比 べ 劣る。淡 色 は 赤 味 の 灰 色
となる。
使用される。
こ の ほ か ,菜 種 油 な ど 植 物 油 を燃 焼 さ せ,素 焼 の 陶 板
フ
に あ て て 蝶 ( す す ) を 集 め る ラ ン プ ブ ラ ッ ク ( l am p b l ac k )
がわが 国にも昔か ら伝わ っているが ,こ れは塗 料用で は
なく,墨の製造に使われている。
ファーストエロー
fast yellow
ファン・デル・ワールス力
不 溶性 モノアゾ 系有機 顔料 。緑味か ら赤 味ま での 黄色
van der Waals’ force
がある。農色における耐光性は比較的良いが淡色では劣
分 手 間 力 の 引 力 部 分 を い う 。か な り 遠 い 距 離 ま で 働 く
り,また,着色力が小さく,耐溶剤性も劣る。これらの
弱い力で,遠方では分子間の距部の 7 集に逆比例する。有
欠 点を改 良す るため ,置換 基を導 入し,また分子量 を 大
極性分子の間には永久電気双極子の配向力が作用し,有
きくするなどして性能を向上させている。その一例が,
極性分子が無極性分子に誘発した誘起双極子と有極性分
H o e c h s t ( 西 独 )社 の P e rm a n e n t Ye l l o w F G L で あ
子 の 永久 双極 子と の間に 誘起 力が 作用 す る。しか しフ ァ
る。 → アゾ顔料
ン・デル・ワールスカの中核をなすのは分散力であって
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とくに無極性分子の間の引力は分散力だけである。
VMPナフサ
→ ナフサ
フィックの法則
フェニルグリシジルエーテル
Fick’s law
phenyl glycidyl ether
溶液中で溶質の拡散の起こる方向に垂直な単位面積を
エピクロルヒドリン*と同様,エボキシ樹脂製造用の
通って単位時間に拡散する溶質の量 J は,その場所での
反応性希釈剤,比重(20C)1.109,粘度(csp)7.05
濃度 C の勾配 grad C に比例し,次の式で表わされると
(20C),沸点 245C,エポキシ当量 152,構造式は次の
いう法則のことである。
とおり
J=-D grad C
ここでの比例定数 D は拡散係数と呼ばれる。
フィラー
→ 充てん剤
フェニル樹脂
phenyl resin
フーカー法
フェニル基(C6H5),すなわちベンゼン核が主役とな
Hooker method
っている樹脂の総祢であり,フェノール樹脂,100%フ
アルカリに酸化剤な どを加え て溶融 容中で除 錆する方
法 で , か せ い ソ ー ダ を 主 体 と して , 炭 酸 ソ ー ダ や 硝 酸 ソ
ーダそのほかを加える。
ェノール樹脂,カシュー糸樹脂,アニリン樹脂,キシレ
ン樹脂などである。すなわち,この系は剛直なフェニル
基を多く含んでおり,堅く強じんで,耐水,耐薬品性,
機 械 的 , 電 気 的 性 質 が す ぐれ て い る 。 ま た ,性 状 は フ ェ
ブース
ニル核の置換基による影響が大きく,キシレン (-CH3)
→ スプレーブース
アニリン(-NH2)はフェノール(OH)のような極性基
がないので,耐水性,耐アルカリ性がよい。しかし,硬
フェニルシラン樹脂(フェニルシリコン樹脂)
phenylsilane resin
化 速 度 はお そ く,硬度 は 低い 。樹脂 化 は ホルムア ルデヒ
ド を 用い て の縮 合 反応 であ る。
かたくてもろい固体。シリコン樹脂とフェノール樹脂
との熱硬化性共重合体。メチルシリコン (またはエチル
シリコン)と併用して電気絶縁塗料や耐熱塗料に用い
る。
ジメチルポリシロキサンのようなシロキサン結合を骨
格とする有機けい素化合物のメチル基 (CH3)をフェニ
フェノール樹脂
→ 石炭酸樹脂
ル(C 6 H 5 )基に置き換えたものである。
この場合 CH 3 /C 6 H 5 の比が小
フェノール樹脂塗料
さく,つまりフェニル基が多く
なると塗膜の光沢,硬度,耐酸化
性,耐熱性が良くなり,また乾燥
性が良くなる反面,塗膜の可とう
性 ( た わ み 性 ) ,撥 水 性 , 耐 溶 剤
性,付着性が劣る傾向がある。な
phenolic resin coating
フェノールとホルムアルデヒドを反応させて作った樹
脂 を 用いて 作った塗判 である。アルコール可溶 性と油 可
溶 性 フ ェ ノ ール樹 脂 塗料 に大 別さ れ る。ア ルコール可 溶
性 樹 脂 は 酸 性 溶 液 中で は ノ ボ ラック型 の プ レ ポ リマ ーを
得 ,ア ルカ リ性 で は 熱 硬 化 型 の レ ゾ ー ル型 プ レ ポ リマ ー
お,市販されている耐熱塗料用フェニルシリコン樹脂
を得る。普通,塗料にはレゾール型が用いられ,メチロ
(中間体)の一例を下表に示す。
―ル基を多く含んでいる。強く熱するか,あるいはパラ
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ト ルエン スルホン 酸 ,ベン ジルスルホン 酸 など の酸 性 触
媒 を 用 い ると ,メチ ロ- ル基 の 縮合 反 応 を促 進 して硬 化
する。木工用,絶縁塗料用として用いる。
addition polymerization
二 重 結 合 または 三 重結 合 を もつ化 合 物 で ,モノ マ ーが
連 鎖反 応機構に よって 活性 化され ると ,つぎ つぎにほ か
油 可 溶 性 樹 脂 は ,一 般 的 に はロ ジン 変 性 フ ェ ノ ール樹
のモノマーと化学的結合を起こし,モノマーがそのまま
脂,100%フェノールがある。ロジン変性樹脂はフェノ
付 加連結 されてい く重合反応 であ る。遂次反 応による重
ール,ホルマリン,ロジン,油などを反応させた後にグ
合(重縮合など)に対比される。
リセリンなどでエステル化して作る。また,100%樹脂
はフェノールのパラ,またはオルト位置にアルキル基,
付加縮合
ま たはフ ェノ ール基な どがは いった 2 置 換の フェ ノール
addition polycondensation
化 合 物 で 油 溶 性 で あ る 。 こ れ らの 置 換 フ ェ ノ ール は ま た
付加反応と縮合反応が交互に起こる高分子生成反応を
二重結合をもつ油とも反応する。また,フェノール樹脂
いう。
の メチ ロ - ル基 を ア ル コ ール で エ ー テ ル 化 した も の もあ
る。熱または触媒で硬化する。これらフェノール樹脂は
深われ
cracking
耐 酸 耐 ア ルカ リ性 に す ぐ れ て お り ,化 学 工 場 の 建 物 ,設
→ われ
備,装置などの塗料として用いられる。
フェノール変性アルキド樹脂
不乾性油
nondrying oil
phenolic modified alkyd resin
クレゾール形フェノール樹脂をグリセリンと無水フタ
ル酸を加えて共縮合を行なって作ったり,ノボラック形
フェノール樹脂を脂肪油のモノグリセリドに溶解し,無
水 フ タ ル 酸 で エ ス テ ル化 し て 作 る 。 こ の 樹 脂 は ア ル キド
樹脂の性質にフェノール樹脂の特長が加わり,かたさ,
付着性,薬品性がすぐれるが,溶膜の保色性,光沢保持
よう素価 100 以下の油で,空気中で容易に乾燥しない
油でオリーブ油,ひまし油,(カストル油),やし油*な
どがこれに属す。
よう素価が高いことは不飽和基が分子の油脂中に多い
ことであり,オリーブ油:75~90,ひまし油:82~91,
やし油:8~16 である。
→ 乾性油
性が劣る。淡色,耐候性の要求される塗料には不適であ
→ カストル油
るが,下塗り用,工業用に利用させる。
複素弾性率
フォークト模型
complex elastic modulus
voigt model
外 力 を 受 け たと き , 究 極 的 に は 弾 性 的 で あ るが , 変 形
の増大が時間的に遅れを示す粘弾性物質の挙動を説明す
るための模型。このような変形を遅れ弾性(retarded
elasticity)といい,外力を除去すれば弾性余効を示し
て ,結 局 は 元 の 状 態 に 戻 る。 こ の よ うな 緩 和 現 象 は S =
G r+ η (d r/ d t ) で 表 わ さ れ る 。こ こ で S は 応 力 , r は ひ
ずみ,t は時間,G は物体の弾性率,ηは粘性率であ
る 。 τ = η / G を 遅 延 時 間 ( r e t a rd a t i o n t i m e ) と 呼 ぶ 。
この関係は弾性率 G のばねと粘性率
ηの液体中を動くダッシュポットを
並列に結 合した図の ような模型で 表
わされ,これをフォ-クト模型と
い う。 こ の 模 型 は 無 定 形 高 分 子 な ど
粘弾性物質では塑性変形のために応力より位相の遅れ
た変形を生じ,複素数で表わされる周期的応力あるいは
周期的ひずみを与えた場合,それに応じて生ずるひずみ
あるいは応力も複素数で表わさ れる。一般に応力とひず
みとの関係はフォークト模型,マックスウェル模型のそ
れぞれの式で示されるが,応力 S およびひずみ r の関係
は S=G*r の形に書き改めることができる。G*は複素
数 で , こ れ を 複 素 弾 性 卒 と い う 。実 数 部 と 虚 数 部 に 分 け
で G*=G’±iG’’とするとき,実数部 G’を動的弾性率
と い い ,強 制 振 動 や 自由 減 衰 振動 に よって 測 定 さ れ ,も
し虚数部がなく,G’だけであれば完全弾性体の変形を
示すものとなる。虚数部 G’’は内部摩擦で弾性が失われ
る程度を示し,動的損失という。
の力学的性質,とくにクリープを表
わ す の に 都 合 が よ い 。
ふくれ
blister, blistering
付加重合
塗膜の一部に生じた浮腫状のものをいう。浮腫とは塗
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膜の一部が素地または下地から浮き上り,その内部に液
る。
体または気体を包含しているものをいう。ブリスターは
一 般 に 暴 露 に より 塗 膜 が 劣 化 す るに したが っ て 大 き くな
る。
ぶた毛
か た く ,毛 先 が 2 つに わ れ て お り , 塗 料 の 含 み が よ く
使いやすいので,欧米ではもっとも多くはけに利用され
フジ色
慣用色名。10.0 PB 6.5/6.5。
て い る。最 近で はナ イロ ン など の合 成 繊 維で 代 用さ れて
おり,油注ペイント,油性ワニスなどの塗料に用いられ
る。ぶた毛は中国の四川省産のものが有名。
フジナンド
慣用色名。9.0 PB 4.5/7.5。
ブタノール
→ ブチルアルコール
腐食
corrosion
フタル酸ジオクチル
金属 の表面が ,さ まざ まな環境の 中で化 学的に反応 し
→ ジオクチルフタレート
て化合物となり,金属自体が消耗する現象を腐食とい
う。その環境の違いによって湿食*と乾食*とに大別す
る。
フタル酸ジブチル
dibutylphthlalate
腐食ブリスター
corrosion blister
橋 り ょ うな ど の 鉄 鋼 構 造 物 ,ふ ろ 場 や 屋 外 に 置 い た 古
い洗 たく機 の下部な ど ,金属の腐食に よって 塗膜下に生
じるブリスターである。塩水噴霧試験を行なった塗膜の
融点-35C,沸点 339C での粘稠の液体で,硝酸セルロ
ース,ポ リ塩 化 ビ ニ ルの 可 塑 剤と して す ぐれ た可 塑 化効
率,耐寒性 を示すが ,揮発性が やや大きい欠点がある。
n-ブタノールと無水フタル酸とから硫酸,塩酸触媒
で合成される。
スクラッチ部分に現われるブリスターも腐食ブリスター
であ る。その 発生 機構 は電気 化学 的に説 明さ れる。ガ ラ
ス,コンクリート,木材などに発生するブリスターは腐
食ブリスターではない。
腐食防止剤
→ ジブチルフタレート
フタル酸ジメチル(DMP)
corrosion inhibitor
dimethylphthalate
J I S K 3 2 11 - 1 9 6 4 ( 界 面 活 性 剤 用 語 ) で は 「 金 属 面
に保護膜を形成し,腐食物質に侵されるのを防止する薬
剤」と定義している。防錆剤,腐食抑制剤,腐食阻止剤
とも呼ばれる。
これらは鉄,鋼ばかりでなく銅,しんちゅう,亜鉛,
ア ル ミ ,マ グ ネ シウ ム ,チ タ ン な ど 広 範 囲 の 金 属 に 使 用
され,それぞれの金属に対応して防止剤が開発されてい
る。
腐食防止剤には大別して水溶性と油溶性がある。前者
O-C6H4(CO2CH3)2
融点 5.5C,沸点 284C,比重 1.19 の液状可塑剤で,酢
酸セルロースの可塑剤として用いられる。
フタル酸を 5 部の 15%メタノール性硫酸と 30 分煮沸し
て作るか,無水フタル酸を塩酸あるいは硫酸の存在下に
メタノールと反応させて作る。
フタル酸樹脂
→ アルキド樹脂
は飲料水,工業用水,海水,冷却用水,ボイラー内の
凝縮水などに用いられるもので,陽極防止剤 (anodic
i n h i b i t o r ) と し て N a O H , N a 2 CO 3 の よ うな ア ル カ リ 性
フタル酸樹脂塗料
phthalic resin paint
物質やりん酸,けい酸,クロム酸の化合物 (塩)が使わ
れ ,ま た ,多 くの 種 類 の 界 面 活 性 剤 が あ る。油 溶 性 に は
古 くは 動植物 油が用い られて いたが,現在で はこ れに界
面 活 性 剤 の併 用 ,ま たは 界 面活性 剤 自 体が 使 われ てい
無水フタル酸とグリセリンなどの多価アルコールを反
応 さ せ,油 あ るい は 脂 肪 酸 を 用 い て 変 性 した樹 脂 を フ タ
ル酸 樹 脂 と い う。フ タル酸 樹 脂 は 油 に よる変 性 の 大 きい
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日本塗装技術協会
も の か ら長 油 性 , 中 油 性 お よび 短 油 性 と 名 付 け られ , フ
タ ル 酸 樹 脂 を 主 体 と して 作 っ た塗 料 の こ と を フ タ ル 酸 樹
脂塗料という。変性に用いる油あるいは脂肪酸は乾性あ
されてきている。
β形は緑味の青色で,結晶は安定で分散性も比較的良
い。
るいは半乾性油を用い,乾燥用の触媒として有機酸の金
フタロシアニンブルーは耐侯性,耐光性,耐熱性,耐
属塩類が共用される。触媒によって乾性油の二重結合の
薬品(酸,アルカリ)性,耐水性がすぐれ,着色力も大
重合が促進され硬化する。光沢 ,耐獣性がすぐれている
き い の で 紺 青 * や 群 青 * に 代 って 塗 料 用 ( 青 色 ) 顔 料 の 使
ため屋外用塗料として広く使用されている。
用量の大半を占めている。
規格では JIS K 5241-1971 「フタロシアニンブル
フタロシアニングリ-ン
―」がある。
phthalocyanine green
塩素化銅フタロシアニングリーンともいう。フタロシ
付着性
アニンブルー*の構造式の 4 個のベンゼン核の外側に塩
素(CI)を入れ,塩素の数が増すに従って色調が青味か
ら緑味になり,12 個以上(通常 14 個)入るとシアニング
adhesion
塗 膜 が 被 塗 面 と 接 触 す るこ と に より , 両 者 の 分 子 間 に
働 く力 に よ って 互 い に く っつき 合 う こ と を い う。
リーンとなる。諸性質はフタロシアニンブルーとほぼ同
じである。
ブチラール樹脂(ポリビニルブチラール)
また,CI の一部に臭素(Br)を導入するとさらに黄
味の強い緑色が得られる。
butyral resin
白 色 粉 末 ,軟 化 点 は 重 合 度 が 大 き い ほ ど 高 く , ブ チ ラ
規格では JIS K 5242-1971「フタロシアニングリ-
ール化度が大きいほど低くなる。ポリビニルアルコール
ン」がある。これには加熱残分 2.7%以下,強熱残分 10.0
を ブチ ルア ルデ ヒ ド で ア セ ター ル 化 す るに は ,① 溶 解 法
以下,水溶分 1.5%以下,pH4.0~8.0 と規定されて
②沈殿法③均一系法などの方法がある。この樹脂はアル
いる。
コールやケトン類によくとける。側鎖が大きいため比較
的柔軟で,低温でかたくならないし,ガラスや金属によ
フタロシアニンブルー
く付着し,また他の樹脂とよく混和する。エッチングプ
phthalocyanine blue
ライマー(ウォッシュプライマ-)として,りん酸,ク
銅フタロシアニンブルーともいう。美しい青色(紺色)
ロ ム 酸 亜 鉛 な ど を こ の 樹 脂 と 配 合 して 金 属 の 下 塗 り と し
で ,着 色力 の大 きい (群 青 の 2 0~ 3 0 倍 ,紺青 の 3 ~ 5
て 用 い る。こ の ほ か ,金 属 箔 塗 料 ,木 材 用 塗 料 ,特 殊 塗
倍 )有 機 顔 料 。比 重 1 . 6 0 ,無 水 フ タル酸 と 尿 素 と 銅塩 ,
料などに利用される。
→ ウォッシュプライマー
ブチラール樹脂塗料
polyvinyl butyral resin coating
ポリビニルアルコールをブチルアルデヒドで処理する
とポリビニルブチラール(俗にブチラール樹脂)が得ら
れる。この樹脂は溶剤にはよくとけ,とくにアルコール
可 溶であ る。無色 透明 で強じ んな 塗膜 を形 成 し,付 着性
耐候性がすぐれているので,芳香族溶剤に溶解しやすい
またはフタロジニトリルと銅塩を 170~190C に加熱して
得る。構造式 は上記のようで ,4 個のベンゼン核の外側
に塩素(CI)が数個入ったものがフタロシアニンブル
ーで,その数や位置によって色調(赤味~緑味)が異
なる。
また,結晶形にはα形(不安定形)とβ形(安定形)
がある。α形は赤味の青色で溶剤 (キシロ-ル)中で結
晶生長し,塗料化した時,貯蔵中で変色 (褪色)する傾
向があった。しかし,最近では塗料用として安定な顔料
スチ ロ - ルな ど の プ ラ スチ ック成 型 品 用 の 塗 料と して 用
いられる。また,ジンククロメート顔料とともに塗料化
し,これにりん酸溶液を併用しウォッシュプライマーと
して,金属面の前処理剤として用いられている。
ブチルアルコール
butyl alcohol, butanoI
アルコール系溶剤。ブタノールともいう。イソブチル
アルコール*,セカンダリ-ブチルアルコール*などに対
ノルマル
が開発され,また,飼料分散性や集合 (凝集)性も改良
CH3(CH2)2CH2OH
して 正 ブチルアルコール(正ブタノール)と呼ぶことも
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ある。無色透明の液体で強いアルコール臭がある。
の下でブタノール中で加熱して作られた樹脂。
アセトアルデヒドからクロトンアルデヒドをつくり,
アルキド樹脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂などと作
これに水素添加して製造する。引火点*28.9C (密閉式),
用させてそれぞれの焼き付け塗料を作る。ブチル化尿素
発 火点 * 33 4 C ,蒸発 速度 * 50 (酢 酸 ブチル = 1 00 ) ,有機
樹 脂 * に くらべ て ,低 温 の 硬 化 に 適 し ,硬 度 が 高 く ,光 沢
溶剤中毒予防規則では第 2 種有機溶剤に,また,消防
保持性,耐薬品性 などがすぐれ ている。金属 面に対す る
法では危険物第 4 類アルコール類に区分される。空気中
付着性がやや劣るのでブチル化尿素樹脂,エポキシ樹脂
の許容濃度 100ppm は,爆発限界*は下限 1.45%,上
を少量加えることで利用される傾向がある。
限 11.25%(いずれも容量)。
ラッカー(硝化綿ラッカー,アクリルラッカーなど),
ブチルカルビトール
アミノアルキド樹脂塗料,焼付型アクリル樹脂塗料,ウ
→ ジエチレングリコールモノブチルエ-テル
オッシュプライマーなどの溶剤として用いられるほかブ
チ ル化 メラ ミ ン 樹 脂 * ,ブチ ル化 尿 素 樹 脂 * な ど の ブチ ル
化用として,また,酢酸ブチル,ブチルセロソルブ,ア
ブチルセロソルブ
クリル酸ブチルなどの原料として重要である。
→ エチレングリコールモノブチルエーテル
JIS K 504-1959 「ブタノール(ノルマルブタノー
ル)」では工業品の規格で次のように定めている。
ブチルチタネ一ト樹脂
→ ブチルチタネート樹脂 → ブトオキシメチロ-ルメラミン
butyl titanate resin
四塩化チタニウムとブチルアルコール*をアンモニア
異物のない、無色透明の
外観
液体であること
の存在で反応さ せて作 る。単 量 エステルと重合エ ステル
の両方ができる。この樹脂にアルミニウム粉,亜鉛末な
どの金属粉を加えて耐熱塗料となる。
比重(20℃/20℃)
115℃未満の留出容量(cc)
0.810~0.815
0
ぶつ
塗料中に小さい塊状の異物があるとき,ぶつという。
蒸
留
試
験
115℃以上 118℃留出未満の留出容量
95.0 以上
(cc)
120℃以上の留出容量(cc)
分 散 の 十 分 で ない 顔 料 ,ゲ ル化した樹 脂 の 小 さ な 塊り ,
あるいは塗料製造中に外部から入った異物など ,原因も
0
蒸留残分(%)
0.005 以上
ガソリン混合試験
濁りが著しくないこと
遊離酸(酢酸として)%
0.01 以下
形も大きさもさまざまである。
フックの法則
ブチルオキシトール
→ エチレングリコールモノブチルエーテル
Hooke’s law
弾性体のひずみは応力に比例するという法則。
R . H o ok e に よっ て 発 見 さ れ たも の で , こ の 法 則 は 応 力
がある大きさを越えない限り,すべての固体について
成 り 立 つ 。そ の 限 界 を 比 例 限 界 ま たは 弾 性 限 界 と い う 。
ブチル化尿素樹脂
butylated urea resin
ふっ素樹脂
尿素とホルムアルデヒドをアンモニアなどで中性また
は 弱 ア ルカリ性 で メチ ロ - ル化 を 行 な い ,つぎ に 過 剰 の
ブタノールを加え,酸を触媒として加熟し,エーテル化
さ せて 作 る 。 こ の よ うに し て 出 き た 樹 脂 は 酸 性 触 媒 の 添
加により硬化反応をおこすが,得 られた樹脂化合物は非
fluoroethylene resin
耐侯性,耐摩擦性および耐熱性がすぐれた熱可塑性樹
脂であ る。この樹 脂を常温 で溶解でき る溶剤 はないの で
高 温 で 溶 解 す る 。 代 表 的 な も の に ポ リ テ ト ラ フ ル オ ルニ
常 に もろ く塗 料 に は 不 適 当 で あ る。可 焼 性 を 与 え る ため
チレン(テフロン),ポリトリフルオルクロルエチレ
にアルキド樹脂をブレンドするか,またはクッキングす
ソ(k el F ) があ る。塗料に 用いるふ っ素 樹脂 は ,ふ っ化
ることにより塗料用樹脂ができる。
ビ ニ ル 樹 脂 と ふ っ 化 ビ ニ リデ ン 樹 脂 で あ り , 価 格 が 高 い
欠 点 があ る。耐薬 品 性 ,耐 侯 性は ふ っ化 ビニ リデ ン樹 脂
ブチル化メラミン樹脂
butylated melamine resin
メラミンとホルムアルデヒトをアルカリ性において加
熱反応させて得られたメチロールメラミンを,酸性触媒
の 方 が よく,耐 溶 剤 性 は ふ っ化 ビ ニ ル樹 脂 の 方 が よい 。
塗 装 の 際 に は 素材 を 高 温 (例 2 3 0  C 以 上 )に 保 つ必 要
が あ り ,あ らゆ る 被 塗 物 に は 適 用 で き な い 。 4 ふ っ素 化
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エチレンを懸濁または乳化重合法で重合させて作る。
乾燥など,乾燥条件の選定ができる。
物体色
object colour
物 体 か ら反 射 さ れ , ま たは 物 体 を 透 過 して き た光 の 色
を物体色という。
ブトン樹脂塗料
buton resin coating
沸点
boiling point
アメリカの Esso Research&Engineering 社で開発
液体の沸とうが行なわれるときの温度をいう。すなわ
し た ブ タ ジ エ ン と スチ レ ン を 共 重 合 し て 作 っ た 合 成 樹 脂
ち,一 定 圧 力 の もと で の 飽 和 蒸 気 と ,そ の 液 相 と が 平 衡
を 用 い て 作 った塗 料 であ る。ブタジエ ン 8 0 % ,スチレ ン
に共存しうる温度であり,沸とう点ともいう。純粋な液
2 0 % を金 属ナト リウム を 触媒と して 共 重合 さ せた分 子量
体については,一定圧における沸点はその液体に固有な
8,000~10,000 の油状物質である。プタジエンは 1.4 結
温度である。外記を大きくすると,沸点は上昇する。1
合 と 1 . 2 結 合 を ふ くみ , スチ レ ン と 反 応 して つぎ の よ う
気圧のもとでの沸点をその物質の標準沸点という。
な構造のものとなる。
ブトオキシメチロールメラミン
butoxy methylol melamine
塗料用メラミン樹脂はメラミン*1 モル,ホルムアル
デ ヒド 5 ~ 6 モル,過 剰 の ブチ ルア ルコールか ら作 られ
る 。 こ の 際 の 樹 脂 化 の 中 間 に お い て 生 ず る 。 そ して こ の
メラミンのメチロ-ル基の縮合によって 1 モルの水を放
出してエーテル結合を生ずる。
こ の 樹 脂 は 無 水 マ レ イ ン 酸 で 変 性 す ると ,顔 料 湿 潤 性
と 金 属 へ の 付 着 性が 改 良 さ れ る。また,ナ フ テ ン 酸 乾 燥
剤を加えると自然乾燥する。さらに酸化するとブトキン
樹脂となり,つぎの構造のものがえられる。
ブトキシ樹脂はニトロセルロースと相容し,速乾性の
ハイソリッドラッカーがえられる。
ブトキシル
butoxyl
不燃性塗料
nonflammable coating あるいは non burning coating
C4H9O-をいう。ふつうは n-ブトキシル,CH3CH2C
H 2 CH 2 O -を 指 す 。たと え ば 塗 料用 尿 素 樹 脂 はそ の 用途
不燃性の防火塗料のことである。防火塗料は披塗物が
により縮合度やエーテル化度か異なる。平均縮合度 6~
可燃性である木部と不燃性である鉄部とでは,その効果
10(推定),平均ブトキシ含量 48%で尿素残基 0.8~1.0
が 異 な るが ,鉄 部 に 塗 装 し たと き は 不 燃 性 で あ る こ と が
個につき,ブトキシル 1 ケに相当する。
必要である。塗料系としては無機質,たとえばけい酸ソ
ーダ,石灰乳,マグネシヤセメントのような水溶性膠着
ブトン樹脂
剤をビヒクルとし,りん酸化合物,ほう酸化合物,ハロ
buton resin
ゲン化合物,臭素化合物,酸化アンチモンなどの防火剤を
米国のエッソ社で開発したブタジエンとスチレンを共
配合したもので,アルカリ固定剤で固定化したもの,あ
重合さ せて 作った樹脂で ,品種によって特徴ある利用途
るいは一般塗料用のビヒクル,たとえばアルキド樹脂,
が あ る。たと え ば ブト ン 3 0 0 はニ ト ロ セルロ ースと 混 合
尿素樹脂,メラミン樹脂または有機塩素化合物に無機顔
し速乾性のハイソリッドラッカーにしたり,メラミン樹
料あるいは防火剤を大量に配合して不燃化したものなど
脂 を 加えて 低温 (90 C ),3 0 分で 硬 化でき る。ま た高 温
がある。
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不粘着乾燥
プライマー
tack-free dry
primer
塗料の乾燥が進み,塗装を指頭のわずかな圧力で押し
さび止め用の下地塗料として金属面に直接塗装され
たとき,指紋が残らないときの状態をいう。
る。金属面に対して付着性がよいことはもちろんである
が,このプライマーの上にはサーフェサーが塗りかさね
不粘着性
られるので,これらの塗料に対する付着性もよくなけれ
塗膜の表面が温度によりやわらかくなり,粘着性を生
ばならない。性質の異なるサーフェサーを用いると,時
じるかどうか,また,乾燥塗膜に粘着性がないかどうか
に は 層 間 は く離 を 生 ず るこ とが あるか ら注 意 が 必 要 であ
の 程 度 をい う。不 粘着 試験 で は塗 膜 面に ガ ーゼ を おき ,
る。また,温 度 変 化に よる膨 脹 収縮 に 対す る順 応性 を も
その上に径 40mm,重さ 500g の底面の平らな円柱形の
おもりをのせ,所定温度 で所定時 間おいて粘着の程度と
ガーゼの布目のあととを標準品と比べ
る
。
不飽和ポリエステル樹脂
ち,サーフェサー,上塗り塗料と塗りかさねて無理のな
いバランスのとれた塗料であることが必要である。さび
止め用の顔料としては,べんがら,ジンククロメート な
どが用いられる。
プライマーサーフェサー
unsaturated polyester resin
不飽和基を含むポリエステル(無水マレイン酸やフマ
ール酸 の ような 不飽和 二塩 基酸と グ リコール類を 主体と
した縮合体)を重合性モノマー(スチレンモノマ一)に
溶解した樹脂で,重合開始剤 (触媒)たとえば過酸化ベ
ンゾイル*および活性剤(促進剤)たとえばアミン類,金
属石けん(たとえばナフテン酸コバルト)の添加によっ
primersurfacer
プライマ-とサーフェサーの性能をあわせもったもの
である。プライマー的な要素としては,さび止めの効果
があり,金属面と付着性が良好であること,また,サー
フ ェ サ ーと し て の 性 質 は 上 塗 り を か け たと き に 吸 込 み 性
が な く ,面 の 平 滑 性 が 良 好 で 層 間 は く 離 性 が な い こ と で
て 常 温で 硬化 する。木 工品 ,合板 な どの 塗料 用と して 用
ある。このためプライマーサーフェサーの上塗り塗料と
いられる。塗料は 2 液または 3 液形で使用される。すな
し て は 合 成 樹 脂 系 の 塗 料 が 多 く用 い ら れ る 。プ ラ イ マ -
わ ち,樹 脂 と 触 媒 ,促 進 剤 を 使 用 時 に 混 合 す る場 合 と ,
サ ーフェサ ーもまた,耐性の よい合成 樹脂系の ものが 多
促 進剤と混ぜ ておき ,触媒 を用い て使用す る。空 気中 で
く,塗 面 の 平 滑 性 が 容 易 に え られ るため に ,塗 面 を 研 摩
樹脂の乾燥の障害 を防 ぐ物理的 ,機械的方法と してワッ
しない,いわゆるノンサンディング型のものも使用され
クス添加,セロハン法などがある。
ている。
不飽和ポリエステル樹脂塗料
プラスチゾル
unsaturated polyester resin coating
plastisol
無水マレイン酸やフマル酸のような不飽和 2 塩基酸
塩 化 ビ ニ ル を 主 体 と す る共 重 合 樹 脂 の 徹 粉 末 を 可 塑 剤
と,グリコール類を縮合させて作った鎖状プレポリマ-
中 に 分 散 さ せたもの で あ り ,塗 布後 加 熱 して 皮 膜 が でき
を,スチレンのような重合性モノマーに溶解して作った
る。1 回の塗りで数 mm の厚い塗膜ができる。フタル酸
樹 脂 溶 液 を ビ ヒ ク ルと す る 塗 料 で あ る。 こ の 樹 脂 液 の ほ
ジイソデシル,アジピン酸ジイソデシルなどが可塑剤と
かに重合のための促進剤および触媒が用いられる。普通
して 用い られ る。この ゾ ルは塗 装に 必要 な流 動性 を 与え
触媒としてはメチルエチルケトンペルオキシドのような
るため添加可塑剤量が多くなり,生成塗膜はやや軟質に
過 酸 化 物 が用 い られ ,促 進 剤として は ナ フ テ ン 酸 コバ ル
なる。無溶剤塗料として,また新しく検討される樹詣で
トが用いられる。また,触媒として過酸化ベンゾイルが
ある。
用いられるときはジメチルアニリンが用いられる。大部
分のものは促進剤が樹脂溶液中に加えられており, 2 液
型 の 塗 料 で あ る。 1 0 0 % 型 塗 料 と い わ れ ,厚 膜 を 得 るこ
と が 可 能 で あ る。用 途 は 木 工 用 と して 家 具 な ど に 用 い ら
プラスチゾル塗料
plastisol coating
→ ビニルゾル塗料 → プラスチゾル
れ る。ま た厚 塗 り が で き ,速 乾 性 で あ るため に 体 質 顔 料
を 加 え て ,下 地用 と して は パ テとして も使 用 さ れ る。
不溶性アゾ系顔料
→ アゾ顔料
プラスチック用塗料
coating for plastic surface
プラスチック成型品が多く使われるようになり,この
成型品の表面が塗装されるようになった。プラスチック
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日本塗装技術協会
表面は金属,アルミ,木材などと異なり,それぞれ素材
有 機 顔 料 は 一 般 に 水 中 で 合 成さ れ ,ろ 過 ,乾 燥 ,粉 砕
の種類により付着性がことなり,ひびわれ性,ピンホー
さ れ て 製 品 と な るが ,こ の 際 ,水 中 で 合 成 さ れ た粒 子 の
ル,ブリスターの発生の難易があり,とくにプラスチッ
細かい一次粒子が乾燥の過程で顔料凝集が起こり,二次
ク 成 型 品 用 塗 料 と して 開 発 さ れ て い るの で プ ラ スチ ッ ク
粒子と なる。塗 料化の 際の練り作業 はこ の二次 粒子とな
用塗料という名でよばれるようになった。プラスチック
って凝集している顔料を一次粒子に再分散させる作業で
成型品は熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂など多くの種類
ある。
のものがある。ポリスチレン,アクリル,ポリカーボネ
これは効率 の悪い方法であるから,顔料製造時に合成
ートのような熱可塑性樹脂の成型品は,塗料中の溶剤に
された粒子がまだ水中にある時に,溶剤または溶剤を含
よって溶解するものもある。また,成型時に生ずるひず
んだ樹脂ワニ スで ,原料表 面から水と 溶剤 (お よび樹 脂 )
み部分に溶剤が浸透して,分手間力を弱めてひびわれを
で置換すれば,一次粒子の顔料の入った塗料用ビヒクル
生ずる。また,FRP,SMC,尿素,フェノール樹脂のよ
が得られる。これをフラッシュ(ド)カラーまたはフラ
うな熱硬化性樹脂の成型品は,溶剤による溶解,ひびわ
ッシュ顔料という。
れはないが,ピンホール,ブリスターの発生が多い。こ
顔料メ-カーでは普通の塗料の顔料濃度 3~6 倍く
れらの対策としてアニーリング(やきなまし)が行なわ
らい 多い 顔料 の入 ったペーストで塗 料 メーカーに供 給す
れたり,被塗物の表面の処理,あるいは特別な下地塗料
る。
などが開発されている。また,上塗り塗料もこれら成型
物の表面処理に応じて特別なものが開発されている。
塗料メーカーでは他のビヒクルをこれに加えて溶解し
て塗料化する。この方法で製造された塗料は着色力も高
く,塗膜 の光沢や映像鮮 明度が高く,貯 蔵安定性が良い
ブラストクリーニング
blast cleaning
ば か り で な く ,塗 料 メ一 カ ーに お け る塗 料 製 造 時 間 を 大
幅に短縮させる利点がある。
砂や鋼粒など任意な研掃材を圧縮空気で加速噴射し,
なお,フラッシュドカラーは水中で合成される顔料
その衝撃力や摩擦力によって金属表面の黒皮や赤さび,
(たとえば,有機顔料や無機顔料のうち黄鉛,クロムバ
油脂類などをとりのぞき,表面を清浄にすることでブラ
ーミリオン,チタン白,紺青など)に適用されるため,
スト法とよばれている。
カーボンブラックのような焼成顔料のは原則として作る
この装置は 1870 年頃に開発され,その後ブラストする
ことができない。
ことによって金属素材の表面硬化(ピーニング)作用が
認められてからは,その利用範囲が拡大され,鉄構造
ブラッシング
物,造船,造機そのほか広範囲に実施されている。
blushing
吹付粒子の種類によって,ショットブラスト(鋼粒),
低沸点溶剤を含む溶剤揮発乾燥型塗料によく見られる
グリットブラスト(鋼砕粒),サンドブラスト(海砂・
現象で,湿気の多いところや寒冷のときに塗装したとき
けい石)などの種類があり,噴射方式によって乾式,湿
などに,水分が凝集して塗面が白くなる現象をいう。ラ
式(液体ホーニング*,ハイドロブラスト*),液圧式な
ッカータイプの塗料にこの現象が起きやすい。
どに分類されている。
被加工物の形状や厚さ,さびの状態などによって,研
フラッディング
掃材の種類や粒子の大きさ,吹付圧力,吹付距離などの
→ 色わかれ
作業条件が決められる。
このブラスト処理した面は不定形な凹凸が無数にでき
フラワースポット
て,その 1 つ 1 つの凹凸が活性化しているため,きわめ
flower spot
てさびやすく,しかもさびが生じた場合はこれをとり去
花咲き現象ともいう。メタリック塗料を静電塗装した
ることが困難となる場合が多いので,ブラスト後の管哩
とき,ア ルミニウム顔料が一 つの中心か ら放射線 状に 4
には十分な注意が必要である。
~5 本の筋状に連なって直径 2mm くらいの花びら模様
に な る現 象 。上 塗 り を 多 数 回 塗 り ,多 数 回 焼 付 け し た湯
フラッシュ顔料
→ フラッシュドカラー
合に起きることが多い。
原因は静電塗装時の電流がアースに逃げるとき,塗料
の電気抵抗がアルミニウム顔料の表面のごく薄い酸化ア
フラッシュドカラー
ル ミ ニ ウ ム 被 覆 の 抵 抗 より 大 き い と き , 電 流 は こ の 被 覆
flashed colour
を絶縁破壊してアルミニウム粒子間をショ-トし,ブリ
- 241 -
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ッジをつくりながらピンホールなどを伝わって塗膜下層
規定されている。
部(中塗り,下塗りなど)へ流れる。そのピンホールな
どを中心にアルミニウム粒子が筋状に並ぶ。
ふるい残分
対策としては上塗り塗料中のシンナーにメチルイソブ
顔料のあらい粒子。 JIS K JIS 5101 (顔料試験方
チルケトンなど電気抵抗値の低いものを使用するとよ
法)では次のように試験方法を規定している。
い。
J IS Z 8801 ( 標準 ふ るい )の標準 網 ふ るい 4 4 μ (わ く
の標準寸法:ふるい面から上の内径 75mm)を 105~110
 C に 保 った乾 燥 器 中 で 加 熱 し,デ シケータ ー中 で 放 冷
フラン樹脂
して重さをはかり,これを繰り返して 15 分間の加熱によ
furan resin
フルフラルアルコール単独またはフルフラルアルコー
ルにホルマリンを加え,酸触媒の存在下で比較的低温で
加 熱 し,反 応 さ せて 得 られ る樹脂 は さ らに 高 温で 加 熱 す
るか ,ま たは 強酸 を 加え ると常 温硬 化す る。耐酸 性が 非
常にすぐれている。
る重さの変化が 1m g 以下になったときの重さを記録す
る。
あらかじめほごした規定量(下記)の試料を正しくはか
り ,ビ ー カー 10 0m l に 移 し,こ れ に 少 量 の ア ルコ ールを
加えてうるおし,ガラス棒で軽く圧してかたまりをくず
す 。つぎに水約 50m l を加 えてじ ゅうぶんにかき まぜ た
のち,液中に浮遊する部分 をビ ーカーにの せたふるい上
フラン樹脂塗料
に 傾 斜 す る 。 ふ るい 網 の 両 面 は , あ らか じ め ア ルコ ー ル
furan resin coating
で う るお して お く 。再 び 水 約 50m l を 残 り の 試 料 に 注 ぎ
フルフラル樹脂を用いて作った塗料である。フルフラ
加 えて同 様にふ るい上に 傾斜 し,こ の操 作を 数回繰り 返
ルは図のような構造を持ち,農
して顔料を全部ふるい上に移す。つぎに水を少量ずつ注
産廃物を希硫酸により加水分解
ぎ か けな が ら,ふ るい を 振 り動 かして 試 料 の 大 部 分 を 通
することによってえられる。フ
過 さ せ る 。必 要 に よ って は ガ ラ ス俸 を 用 い て 注 意 し な が
ルフラルはまた,フルフラルデ
らふるい上の試料をほごす。つぎにふるいを径約 120mm
ヒドともいわれアルカリの存在
の蒸発皿に入れ,網上 15mm になるまで水を入れ,はけ
下で単独で,あるいはアニリンと加熱することにより,
を用いて網上を掃く。掃く速さは毎秒 1 回とし,20 回ご
ま た 酸 ・ ア ル カ リ の 存 在 下 で 石 炭 酸 と 加 熱 す ると 黒 か っ
と に ふ るい を 皿 か ら引 き 上 げ ,水 を ふ るい 目 か ら 流 し出
色の縮合樹脂を得る。アセトン,アルコール,ベンゼンに
し,40 回ごとに皿の中の水をとりかえる。
可溶で,生成塗膜は耐酸・酎アルカリ性である。また,
これを緑り返して皿の中の水に顔料が認められなく
マホガニー色の木材用着色剤としても用いられる。
な って か ら,は け に 付 着 した固 形 物 を 水 を 用 い て ふ るい
網の上に洗い落とし,ふるいをアルコールでよく洗い,
ブリード
bleed
1)ニジミともいい,下塗りまたは下地の色が上塗りし
た塗料に溶けて上塗り塗膜が変色することをいう。
2)可塑剤がプラスチック製品の表面またはこれに隣接
している材料に拡散転移すること。
最後にエーテルで洗う。つぎにふるいを 105~110C に保
った乾燥器中で 30 分間熱してデシケーターに入れ,放冷
したのち重さをはかる。この操作を繰り返して重さの変
化 が 1m g 以 下 と な っ たと き の 重 さ か ら , は じ め に 記 録
し た ふ る い の 重 さ を 減 じ て 残 量 を 求 め ,次 式 に よ って 残
分(%)Ⅰを算出する。
J
I = × 100
S
フリッカー
flicker
異なった光が,比較的小さい周期で目に入る場合,定
常な刺激として感じられない現象。
顔
料
名
試料
規格値
亜
鉛
華
約 10g
0.2 以下
白
20g
1.0 以下
ン
5~10g
0.3 以下
10g
0.2 以下
鉛
→ ちらつき
リ
ト
ポ
カーボンブラ ック
ふるい(篩)
鉛
一般に真ちゅう金網で作られ,塗料のろ過に使用す
べ
る。用途によって目のあらさを使いわけ,下地塗料には
亜
80~100 メッシュ,一般の塗料のろ過には 150~200 メ
ん
が
鉛
船
約 20g
1.1 以下
ら
5~10g
0.3 以下(特号)
黄
約 5g
2.0 以下(2 号)
(ジンククロメート)
ッシュが 適 当 であ る。塗 料試 験に 用い られ る標 準ふ るい
は , 真 ち ゅ う金 網 ,真 ち ゅ う枠 の 3 2 5 メ ッ シ ュ の も の が
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日本塗装技術協会
こ こ に
J : 残 量 の 重 さ ( g )
レ - パ ー * な ど で 削 り 落 し て か ら処 理 を す る 。
S : 試 料 の 重 さ ( g )
なお,おもな顔料の試料規定量および規格値 は前ペー
簡単な方法としては,トーチランプ を用いて行なうこ
とがあり,炎焼法とか火炎清掃とよばれている。
ジの表のとおり。
この方法の利点としては,普通のさび落し よりもきれ
い な 面 が 得 られ , ま た , 鉄 面 が あ た た ま って い る ため に
ブルーイング効果
塗装したときに塗膜の乾燥が早くなる。
注 意 し な け れ ば な ら な い こ と は , ① 加 熱 に よ って 局 部
blueing effect
白 色 塗 料 に 緑 色 塗 料 (顔 料 は 群 青 ,紺 青 , シア ニ ン ブ
的にひずみが生ずるので,火炎の当て方をできるだけ少
ルーなど)をごく微量加えて,目視的にはより白く見え
たくする②部分的でなく,なるべく広く加熱する③鉛系
るようにする効果。時には紫色塗料 (顔料はミネラルバ
の 下 塗 り 古 塗 膜 の と き な ど ,有 毒 ガ スが 発 生 す る の で ,
イオレッドなど)を用いる場合もブルーイングと呼ぶ。
防毒マスクを着用して行なう④引火の危険のない場所を
選ぶ⑤鉄板は 6 ミリ以上のものがよいなどである。
プルーミング
blooming
プレコートメタル
塗膜の表面が乾燥途中または乾燥直後,霧がかかった
→ カラートタン板(コイル塗装)
ように白くなる現象をいう。その内容により次のように
分類される。
プレポリマー
1) 温気の凝縮に起因するときは blushing,chilling
prepolymer
2) 脂成分の析出に起因するときは gum blush,
resin blush
3) ニトロセルロ-スの分離に起因するときは cotton
blush
この現象は精ワニス,セルロースラッカー,ビニル樹
脂ラッカーなどの塗膜の特性である。
モ ノ マ - を あ ら か じ め あ る 程 度 まで 重 合 さ せ て 得 ら れ
る中間的な重合度のポリマ-をいう。プレポリマーにさ
らに必要なモノマー,触媒,橋かけ剤などを混合して,
適 当 な 条 件下 で 反応 を 行 ない ,最 終 製 品と す る。たとえ
ばポリウレタンの場合,ウレタンのプレポリマ一にア ミ
ンやポリオールを加えて重合反応をすすめ,最終製品と
する。
プルキンエ現象
purkinje phenomenon
フローコーター
視野輝度が低くなるにつれてスペクト ルの青 部の比視
感度が黄-赤部にくらべて上昇すること。この現象は明
所視から暗所視への移行でおこる(薄明視を参照)。
プルシャンブルー
→ 紺青
フレーキング
流 し塗 り 塗 装 法 で ,塗 装室 内 に数 多 くの 塗 料 噴 出 ノズ
ル を 設 け , コン ベア ーに よっ て 送 ら れ て き た 被 塗 物 に い
ろいろな角度からフロ-コーティ ングする。
コーティングされた被塗物は,コンベアーによってよ
ぶんな塗料をたれ落す滴下室に送られ,そこで均一な塗
膜 に 調 整 さ れ て 乾 燥 室に 送 られ る。
ノ ズ ルか ら放 出 さ れ た塗 料 は ,ろ 過 装 置 を 通 って 元 の
塗 料 タン クに 回 収 され る。
flaking
塗膜のきれつが進んではげ落ちる現象をいう。
フローコート用塗料
paint applied by flow coater
フレームクリーニング
flame cleaning
加圧された酸素,アセチレン の混合火炎を広幅の特殊
バーナーで鉄面に連続的に当てで加熟し,急激な熱膨
脹 ,収 縮 の 差に よっ て鉄 面に 固着 して い るじ んあい や 古
塗膜,さびなどをとり去る方法である。平らな面には平
孔 バ ーナ 一 を ,リベット の 頭部 周囲 に は 内孔 バ ーナ ーを
用 い る 。 腐 食 が 大 き く何 回 も 火 炎 を 当 て る 必 要 が あ ると
き に は , 1 回 ご と に 水 で 冷 や して ワ イ ヤ ー ブ ラ シ や ス ク
主 に カーテ ン フ ロ ー コー タを 用 い て 塗 装 す る塗 料 で あ
る 。 カ ー テ ン フ ロ - コ ー タ は 厚 さ が 1m m 以 下 で , 長 さ
が 30cm 以上のスリットからカーテン状の塗液の幕を形
成し,この下をコンベヤーにのって動く被塗物を塗装す
る。きれいなカーテン状の幕を形成するためには,スリ
ット の問 隙と 塗液 粘度 が微 妙な影 響 を与 え る。また塗 液
を長期にわたり循環使用するために,揮発の早い溶剤を
多量に使用することはできない。またポットライフの有
限なものも使用不可能であり,これらのことを考慮し
- 243 -
日本塗装技術協会
て,特別にフローコータ用塗料として調製されている。
ブロック共重合で得られる重合体。ブロッ ク重合は共
重合反応の 1 つで,重合度の低い 2 種の単一重合体(た
フローティング
とえば A 重合体と B 重合体)を適当に結合して高分子化
→ 色むら
する反応をいう。生成物はー(AAA)-(BBB)-(AAA)
-(BBB)-のような構造をもっている。ブロック重合で
はグラフト重合と同様に,A 重合体と B 重合体の性質を
フローポイント
加え合せたような性質を得ることができる。その方法に
flow point
*
サンドグラインダーなど顔料分散機のミルベース の
は,リビングポリマーを利用する方法,末端に活性基を
顔料/樹脂/溶剤比の最適条件と考えられる混合比を示す
もつ A 重合体をまず合成し,つぎにその末端基に B を重
*
合させる方法などがある。スチレンとブタジエンのブロ
の場合が多い)を計量し,これに上からビヒクル(樹脂
ック共 重 合 体 は 熱 可 塑 性 ゴ ム と して 実 用 化 さ れ で い る。
点。ビーカーなどに一定量の顔料 (特に二酸化チタン
+溶剤)を少しずつ一定量を漓下しながら,そ のつどガ
ラ ス棒 な ど で ま んべ んな くかき まぜ な が ら顔料 全 体に ビ
プロピオン酸ビニルエマルション
ヒクルを湿潤させる。これを何回かくり返して行くと ,
vinyl propionic acid emulsion
最 初 粉 状 で あ っ た顔 料 が 次 第に集 ま り ,最 後 に ダイ ラ タ
プ ロ ピ オ ン 酸 ビ ニ ル ( C H 2 = C HO C O C 2 H 5 ) を モ ノ マ ー
ントな一つの固い塊となる。(これをボールポイントと
としビニル系樹脂と共重合したエマルションであり,造
いう)
膜性が向上し,耐候性が良くなる。
さらにビヒクルを加えながらガラス棒を強くかきまぜ
て行くと今度は次第に塊がやわらかくなり,ビヒクルの
プロピルアルコール
propyl alcohol
量 が あ る量に 達 す ると塊 は 急 に流 動 し始 め る。こ の 点 を
CH3CH2CH2OH
フロ-ポイントという。フローポイントは樹脂固形分%
アルコール系溶剤。プロパノールともいう。無色透明
によっても異なるから,樹脂固形分を 60%,50%,40%,30
の 液体でアセト ン様の特殊 な芳香美があ る。エ チ ルア ル
% ,2 0 % と い うよ うに 変 え て ,そ れ ぞ れ の フ ロ - ポ イ ン ト
コールやイソプロピルアルコールに似た性質があり,ラ
を測定する。この結果,フローポイントに達するために
ッカー用溶剤として使用できる。
一 定 量 の 顔 料 に 対 し て 加 え た ビ ヒ ク ル量 の もっ と も少 な
市販品は比重(20°C/20°C)0.786,屈折率(n D 20 )1.377,
い樹脂固形分%が最適のミルベース配合と判断される。
なお試薬(特級および 1 級)では JISK8838-1961
たとえば,顔料 20g に対し樹脂固形分 30%のビヒクル
「n–プロピルアルコール(n–プロパノール)」がある。
を 20g 加えた時が最少のフローポイン トであるとすれ
ば,顔料/樹脂/溶剤=20/6/14 が最適のミルベース配合
プロピレングリコール (プロバンジオール 1,2)
propylene glycol
となる。
無 色 透 明 で や や 粘 稠 な 液 体 。臭い は ほ と んど な く,水
フロキュレーション
flocculation
に完溶。プロピレンと塩素からプロピレンクロルヒド
リン
プロピレンオキサイド
プロピレングリコー
コロイド状に分 散した小 粒子が液中 で小集 合体ある い
ルを製造する。比重(20°C /20°C)1.0381,沸点 187.3°C,
はくず状の凝固物をつくることをいう。たとえば ,微粒
屈折率((n D 20 )1.4326,引火点 104°C
子の顔料が表面エネルギーによって構造性の凝集体をつ
で危険物第 4 類,第 3 石油類に相当
するが常置,では蒸気圧が低く(20°C,
くることをいう。塗料または塗膜中で顔料の分散が悪
く,フロキュレーション的な凝集を起こすことがある。
0.08mmHg),引火性はない。毒性はグリセリン程 度で,
ほ と んど無 害であ り ,食 品添 加物翔 溶 剤と して 使用 が認
ブロッキング
blocking
められている。ポリエステル樹脂の中間原料であり,ま
た,可塑剤や界面活性剤にも使われている 。
プラスチックのフィルムあるいは粉 (粉体塗料も含む )
同士を重ね合わせて,長く接触させておくと,互いに 付
ブロム化フタロシアニングリーン
→ フタロシアニングリーン
着して簡単にはがれなくなる現象をいう。
ブロック共重合体
ブロンアスファルト
blown asphalt
block copolymer
- 244 -
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石油原油を 350~370°C で蒸留したときの残留物をスト
分光反射率曲線
レートアスファルト,また原油を約 250°C を空気を吹き
spectral reflection curve
各波長ごとの分光反射率を直角座標に配した曲線。図
込みながら蒸留したときの残留物がブロンアスファルト
である。軟化点がストレートアスファルトより高く,加
は代表的な顔料の分光反射率曲線を示す。
温によって軟化する程度が少なく,弾性があり,安定性
が 大 き く乾 性 油 と 融 合 し 良 い ワ ニ スが で き る。 石 油 系 溶
剤に一部不溶,耐酸塗料,防水塗料の製造に用いられ
る。
ブロンズ現象
bronzing
ある種の顔料,たとえばプルシアン ブルー,フタロシ
アニンブルー,ある種の有機赤顔 料などを用いた塗料の
表面に金属光沢がみられる現象。
0.1μ 以下の微粉顔料がある程度 多量に存在すること
が ブロン ズ現象に は関 係があるとい われて いる。顔料 に
対して湿潤しやすいビヒクルの使 用,界面活性剤 の使用
などで解消することがある。
(a)
赤色顔料の反射率曲線
ブロンズプルー
1. 鉛丹
紺 青 * の一 種で 金 属光 沢 (ブロ ンズ 光 沢 )のあ る顔 料 。
なお,赤顔料でブロンズ光沢のあるものにレーキレッド
C*がある。
5. ウオチュン・レッド
2. オレンジ・レーキ
6. レーキ・レッド C
3. カドミウム赤 10R
7. ボーン・マルーン
4. 銀朱
8. ベンガラ
ブロンズ粉
→ 銅粉
粉
化
chalking
→ チョ-キング
分
極
polarization
1) 原子または分子が電場内に 置かれたときに,原子
の構成要素である電子が電場の影響により位置が片寄っ
て,原子または分子内に電子密度の高い負極と電子密度
の低い正極を生じ,いわゆる双極子モーメン トを生じる
こと。
2 ) 電 解 の 際に ,電 極に 析出 した物 質に よっ て 極が で
(b)
き,逆起電力を生じること。
分光反射率
だいだい色および黄色顔料反射率曲線
1. クローム黄 10G
5. クローム黄 G
2. クローム黄 5G
6. カドミウム黄
spectral reflection factor
3. ジンク・クロメート
7. 黄土
単色光の反射率。
4. ハンザエロー10G
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(e) 紫色顔料の反射率曲線
(C) 緑色顔料の反射率曲線
1. エメラルド緑
4. 酸化クローム
1. コバルト紫淡口
5. ローダミン B レーキ
2. オレンジ・レーキ
5. フタロシアニン緑
2. アリザレン・レーキ
6. マンガン紫
3. ビリジアン(ギネー緑)
6. グリーン・レーキ
3. コバルト紫濃口
7. バイオレット・レーキ
4. マンガン紫
(f) 白色及び黒色顔料の反射率曲線
(d) 青色顔料の反射率曲線
1. コバルト青
4. 群青
2. 群青
5. フタロシアニン青
3. セルリアン青
6. 群青
1. 酸化チタン(アナターゼ形)
5. 亜鉛華
2. 酸化チタン(ルチール形)
6. カオリン・クレー
3. 鉛白
7. カーボン・ブラック
4. 硫酸バリウム
8. 鉄黒
9. カーボン・ブラック
分
散
分散系型電導性塗料
dispersion
conductive paint of dispersed type
1 つの相にほかの物質が微粒子状 (コロイド状)に散
電 導 性 塗 料 と して 最 初 に 出 現 した もの は こ の 形 の も の
在 し て い る状 態 を い う 。液 体 中 に 液 体 が 分 散 して い る も
で,フェノール樹脂中に電導性カーボンブラックの微粒
の を エ マ ル ショ ン , 液 体 中 に 固 体 が 分 散 し て い る も の を
子 を 分 散 さ せた もの で あ る。 現 在 で も市 販 さ れ て い る大
サスベンションという。また,塗膜中に顔料などの固体
部分の電導性塗料はこの種のもので,一般に用いられる
粒 子を均 一に散在さ せること も分散とい う。
塗料用ビヒクル中に電導性の銀,銅,ニ ッケル,アルミ
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ニ ウ ム , 鉄 あ る い は カ ーボ ソ ブラ ヅ クな ど の 微 粒 子 を 分
力で,ファン・デル・ワールスカとも呼ばれる。共鳴力
散させたものである。
は一方が状態 a,他方が状態 b にある 2 つの同種分子が
電導 性の分散粒 子は ,ビヒ クル中にただ分敗さ せただ
近 づ い たと き に 共 鳴 を 起 こ し ,エ ネ ルギ ー の 低 い 状 態 と
けではビヒクルに包まれてしまって絶縁体になってしま
高い状態とが生じるために起こる力で,これが起こるた
う。そのため電導粒子の接触を保つだけの量,通常 30~
めには少なくとも一方の分子が励起状態になければなら
50%が必要である。電導粒子を増量すると,粒子 形を小
ない。電荷移動力は電子供与性分子 D と電子受容性分子
さくしないと空間が多くなり,電導性が悪くなるので微
A との間に働く引力で,非結合構造 D……A と電荷移動
粒 子 化が必 要 であり ,0. 1 μ 以下の 粒 子 を用い るのが よ
構造 D + -A – の間の共鳴による安定化に相当する。
い。電導粒子の微粒化は金属塩の還元による方法が用い
られる。銀の場合は ,高濃度のア ンモニア性 硝酸銀溶液
分子屈折
を高温で強制かくはんしながらホルマリンで還元する。
molecular refraction
す な わ ち,銀 鏡 反 応 を用 い て微粒 化 す る。ま た,銅 の 場
ロ - レン ツーロ -レ ン スの式 で表 わ され る R 0 を 分 子
合は塩化第 2 銅を亜鉛末で還元する。カーボンブラック
屈折またはモル屈折という。光の振動電場に対する分子
は電導性カーボンブラックとして市販されている。
の分極率を α,アヴォガドロ数を N0 とおくと,分子屈
折 は ( 4 π / 3 ) N 0 α に 等 し く ,光 の 娠 励 数 が 一 定 で あ れ ば
分散効果
物質に固有な定数となる。飽和化合物の分子屈折は,一
dispersion effect
般に分子内の各原子の原子屈折の和で近似的に表わされ
非極性分子間にも量子力学的に説明される弱い力が働
る が ,不 飽 和 化 合 物 で は 原 子 屈 折 の 和 より 大 き くな る 。
いている。原子の外殻電子雲は電子の運行によりたえず
また,分子内で 2 つ以上の不飽和結合が共役していると
流動しているから,分子の双極子能率は平 均的にはゼロ
であっても,ほかの分子が近 よると電子軌道が 瞬間的に
ゆがめられて双極子をもち,分子間に引力を生じる。こ
き , 分 子 屈 折 は さ ら に 増 加 す る。 こ の よ う に 分 子 屈 折 は
結合の多重度およびその配置によって変化 するから,分
子構造の研究に利用される。
の結合力には方向性がなく,比較的弱いが極性 ,非極性
を問わずすべての分子に存在する一般的な力であって ,
分子容
分 散力 (d is p e rs i on f o re )とい う。
molecular volume
分子体積ともいう。分子的構成 を もつ化学物質 の分子
分散剤
→ 顔料分散剤
1m oI が占める体積で,その物質の比体積と分子量との
積 に 等 しい 。固 体 化 合 物 で ,単 純 な 二 元 的 組 成 を も ち,
か つ二重 結合 ,三重結 合の ような 結合 を もたない もの で
分子間力
intermolecular force
は ,その 分子体積は 加成性を もち,それを構成する原子
の原子体積の和として表わされる。
分子間に作用する力で,きわめて短距離でだけ有効な
強い斥力と,かなり遠距離まで働く引力とに大別され
分子量分布
る。前者は化合物の中で原子と原子を一定距離に保って
molecular weight distribution
い る力 と 同 種 の もの で ,電 子 の運 動 領 域 が 重 な ること を
さ ま た げる パ ウ リ の 原 理 に 由 来 す るも の で あ る 。 遠 距 離
ま で 働 く 引 力 は さ らに 静 電 力 ,誘 起 効 果 に よ る力 , 分 散
力,共鳴力,電荷移動力の 5 つに分けて考えられる。電
気 的双極 子 モーメント を もつ分子問 の力 の場合 に は ,配
向によって相当強い静電引力が作用する。また,双極 子
モーメントをもった分子が近づくと,もたない分子もそ
高 分 子 物 質 は 一 般 に 単 一 の 分 子 量 を もつ も の で は な
く,同 一 の 構造 単位 を もつ重合度 の 異 なる分 子 ,す な わ
ち分子量 の異な る分子の 集団から構成 され ている。こ れ
らの分子量の広がりを分子量分布といい,種々の方法で
測定される分子量は常に平均分子量である。分子量分布
を 求 め る に は ,通 常 の 分 別 に よる 方 法 ,濁 り 度 滴 定 法 ,
超遠心法,拡散法などがあるが,簡単に分布の程度を示
れに誘起されて分極し,引力を生じる (デバイの誘起効
果)。どちらも双極子モーメントをもたない分子間にお
―
―
すには,重量平均分子量Mw,と数平均分子量Mn の比
―
―
いても,分子内電子の運動で生じる瞬間的な双極子モー
Mw/Mn の値を用いることが多い 。最近では分子量分布
メ ン ト が 互 い に 他 を 分 極 さ せて 引 力 を 生 じ る もの が 分 散
がポリマーの物性に与える影響が重視されている。
- 247 -
日本塗装技術協会
一定容量の流体を一定の流出ロ(オリフィス)から流
出させ,流出時間(秒)で粘度を表わす。
フ
フォードカップはオリフィスの径により各種あるが,
フィルムアプリケーター
日本では No.4 が多用されている。図 に No.4,No.3
film applicator
の標準流出特性曲線を示すが,この間の動粘度は直線に
塗料塗布器具の一種。
なることから,カップの正確さが保証できる。
塗料を塗る工具には,はけ,スプレーガンなどがある
が,試験板を作成する際に用いる器具。図はその一例で
あり,JISK5400 試験板の塗り方の中で標準寸法およ
び形状などを規定している。
次 に フ ォー ド カ ッ プ N o . 4 の 規 格 寸 法 図 を 示 す 。
この粘度計は普通 25°C で用いられ,流出時間が,20
~100 秒の範囲の粘度測定がもっとも適しており,300
秒以上では不正確な粘度の表示となる。
粘度測定には,カップを水平に保持し,オリフィスを
フィルムアプリケーター
フィルムアプリケーターの標準寸法
A
a
形
100±5 mm
B
フィードカップの標準流出時間特性曲線
形
100±5 mm
b
78±3
78±3
c
30±2
30±2
d
6.5±0.5
4±1
e
―
17±2
f
30±2
30±2
g
23±1
23±1
g`
―
25±2
h
100±5μ または 75±2μ
100±3μ または 75±2μ
備考 両脚の暗(哨は,互いに等しいことが必要である。
ア プ リケーターには ,こ の ほかに B ak e r fi lm appl i –
cator,Docter film applicator がある。前者はすき間の
調節範囲が 0~10mil であり,任意に調節可能の利点が
あ る。後 者 は J I S 規 格と 同 形 であ る。
塗料用フォードカップ
指 で 閉 じ ,一 定 温 度 の 試 料 を 少 し 過 剰 に カ ップ に 満 す 。
試験板の一端にアプリケーターを置き,両端をしっか
次にガラス板をカップの頂面にあて,横にズラしてフタ
り押えた後,アプリケーターのすき間の前に塗料を流
をする。ガラス板と試料の間に泡 がないかたしかめる。
す 。ア プ リ ケ- タ ーの 両 脚 の 下 に 試 料 が 入 らぬ ように 注
指をオリフィスから手を離し,ガラス板を静かに片側へ
意しながら,均等な速さで一気に,まっすぐ手前に引
引くと同時に,オリフィス部から流下が始まる。流出
く。
時間は,試料の流出が開始してから,糸のような流れ
使 用 後 の ア プ リケ - ターの 清 掃 は 傷 を つけ ぬように 注
意して,できるだけ完全に塗料を取りのぞく。
(stream )が最初に切れたときまでの時間をストップウ
ォッチで測定し秒(sec)で表示する。
→ 粘度計
フォードカップ粘度計
→ 流出タイプ粘度計
Ford cup viscometer
広く用いられている流出タイプの粘度計の一種。
不けん化物
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日本塗装技術協会
JISK5400 塗料の成分に関する試験項目の 1 つ。
スプリングバランスによって測定し,その値を目盛り板
試料に水酸化カリウム-エチルアルコール溶液を加え,
上 に 指 針 に よ り 粘 度 と して 指 示 , 直 読 す る 装 置 で あ る 。
→ 粘度*
加熱 してけ ん化 し,けん化されずに水に不溶 のま まの 物
質 を石油エ ーテ ルで抽 出し,抽出液 をエチルア ルコール
で 洗 っ て 水 酸 化 カ リウ ム を の ぞ き , 脱 水 し たの ち 石 油 エ
フローポイント
ーテルをのぞいて,不けん化物を百分率として算出す
flow point
る。
サンドグラインダーなどの顔料分散機 で塗料を製造す
→ JISK5400
る場合,顔料とビヒクルソリッドと溶剤の比率の最適条
件を決める目安となるもの。ダニエル(ダニール)フロ
節止め
ーポイントともいう。フロ-ポイン ト測定方法の概略は
まずガラスビーカーに顔料 20g を取り,上からビュー
建築塗装工程の一つである。建築材には主として針葉
レットで一定濃度(固形分 5~40%の範囲)のビヒクル
樹 材 が 用 い ら れ , ペイ ン ト に よ る不 透 明 仕 上 げ を す る こ
を少量ずつ滴下し,その都度ガラス棒でかきまぜる。
とが多い。
(吸油量 * 測定方法に似た方法である。)最初はボロボロ
針葉樹は一般に水分,節,樹脂分が多いので,十分処
の粉体だが,一定濃度のビヒクル量が増加するにつれて
理をしなければならない。そのためペイントを塗る最初
塊は集合し始め,最後にバテ状の一つのかたまりとな
の工程で,節の部分のやに分を揮発油でふいてからセラ
る。この点をボールポイントと呼ぶ。ボールポイントに
ックニスを 2 回程度塗布してやに分を押えることを節止
なったらさらにビヒクルを 1~2 滴ずつ滴下しながら,
めという。これは節の部分にやにを多く含んでいるので
そ の 都 度 ,ガ ラ ス棒 で 十 分 かきまぜ る。最 後 に 1~ 2 滴
処理をしないで直接ペイント を塗布すると不乾燥となっ
加えかきまぜると,かたまりは急にやわ らかくなり流動
たり,節の部分が変色したり,また,塗装後にやに分が
しみ出し,はく離しやすくなったりするので,これらを
防ぐために行なう。
プラストメータ
plastometer
塑性物質の降伏値や流動性を測定する計器。
構造は粘度計とほぼ同じであるが,測定物質に与える
応力が大きく,またその大きさを変えることができるよ
うになっている。細管型と回転型とがある。回転型では
ニ 重 円 筒 , 円 板 , 円 錐 — 円 板 の 各 式 が あ るが , い ず れ も
回 転 の 角 速 度 を 変え て 測 定す る。ま た平 行 板 プ ラ スト メ
し始める。
この点がフローポイントである。フローポイント はビ
-ターは平行な 2 板の平板の同に円柱状の試料をはさみ
一定荷重によって試料を圧縮するもので,平行板間の高
さと時間との関係を測定する。
ヒ クル濃 度に よって 異な るの で 5 ~ 1 0 % 濃 度毎 にフ ロ-
ポイントを測定する。そ の結果をグラフにすると上図の
ようなフロ-ポイントカーブ(流動点曲線)ができる。
この最低点が,顔料とビヒクルソリッ ドと溶剤の比率
振子式塗膜硬度計
振子の振幅の減衰か ら塗膜かたさを測定する,かたさ
試験器の一種。
→ 振かん硬度計*
の最適条件である。上図の場合は顔料 20 に対しビヒクル
1 0 ( 固 形 分 1 5 % ) が 最 適 条 件 ( 実 際 に は ビ ヒ ク ルは こ の
値より若干多い方がよいといわれる )となる。この比率
のミルベース*でサンドグラインダー*で練り,レット
ブルックフィールド粘度計
ダウン*して塗料化する。
Brookfield viscometer
広 く粘 ちょう液の 粘度測定に 用いられ る回転 粘度計 の
フローメーター
flow meter
―種で B 型粘度計ともいう。
流体の流量を測定する計器。流量計といい,水の流量
同 期 モー タ ーで ベ リ リウ ム - 銅 ト ル ク ば ね を 経 て 回 転
する円筒状ロ-タを,試料液中で回転させ,粘性トルクを
計は水流計とも呼ばれる。
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日本塗装技術協会
管 路 の流 量測定に 用い られるしぼり 流量 計には オ リフ
ィス板をとりつけたオリフィス流量計がある。また,下
から上へしだいに内部が拡大する管内を流れる流体の流
囲であり,パターン の調整 もできる。
そのほか粉体塗装ブースおよび粉体塗料の回収装置が
必要である。
量を,管内に浮遊する浮子の位置により測定する浮 子式
面積流量計がある。そのほか,容積流量計,翼車流量計
熱線流量計,電磁流量計など用途により使い分けしてい
る。
塗料においては流動計を意味する場合があり,パテや
印 刷イ ン キの流 動度 を測 定す るの に用 い られ ,ガ ードナ
ー 流 動 計 ( G a r d n e r f l o wm e t e r ) が 良 く 知 ら れ て い る 。
ブロンズ粉
→ 銅粉
分光光度計
spectrophotometer
分光測光器といわれ,分光測光に用いられる測光器を
いう。
測光器は ,測光を行 なり測定装 置で,測色 計を含める
場合もある。
光 束 , 光 度 ,照 度 , 反 射 率 , 吸 収 係 数 , 混 濁 度 , 濃 度
粉体電着塗装(法)
な ど の 測 定 に 用 い ら れ ,測 定 対 象 に より ,光 度 計 ,測 光
electrophoretic powder coating (EPC)
器などと呼ばれる。
粉 体塗装に用い られ る粉体 を水中に分 散,帯電さ せ,
塗 料 ・ 塗 装 に 使 用 さ れ るも の は , 分 光 光 度 計 は ,製 造
これに現在の電着塗装のように直流電圧をかけて塗装す
メーカーに よりそ の 構造 は 異な るが ,試 料 光 の 分 光エネ
る方式で,粉体塗装と電着塗装の利点を兼ね備えた塗装
ルギー分布,試料の分光反射率または分光透過率を測定
方 法と して開 発さ れつつあ る。
する装置で,三刺激値および色度座標を計算し,必要に
よりほかの表色系に換算するために測定することが多
い。
粉体塗装に用いられる粉末自体は水中に分散させても
帯電荷電は低いので,カチオン性水溶性樹脂を主体とす
る帯電バインダーで粉体表面を被覆させ,粉体自体に強
い荷電をおこさせる。
分光測色方法
spectral colorimetry
JIS の測色方法。モノクロメーターなどの分光器を
用 い ,任 意 の 波 長 成分 の 単 色 光を と り 出 して ,そ の反 射
率や透過点を求め,それから色を算出する方法。分光光
度 計 に よ る測 定 は こ の 方 法 で あ る 。
粉体電着塗装法の特徴としては,1)電着塗装に比べ 1 / 3
以下(15~20 分)の時間で塗装できる。したがってコン
ベアスピードのアップ。槽容量が小さくできる。2)電
着塗装と同様,膜厚を自由にコントロールできる。3)カ
チオン性塗料水溶液であるため陰極からの金属溶出がな
く,前処理被膜の消失が少なく,したがって防食性がよ
分散質
→ 溶質
い。4)電着塗料同様,有機溶剤がほとんどゼロで公害
対策塗料である。5)粉体塗料のよりなブロッキングが
ない。6)回収が容易で再使用できる。(粉体塗料では
粉休静電塗装装置
塗装 機の構 成は ,粉体 スプレ ーガ ン,供給槽 ,高電 圧
発生機の 3 つに大別される。
粉 体 の 安 定 性 や ゴ ミ 混 入 な ど の問 題 点 か あ る )。7 )粉 体
のように吸い込むことが少なく,また,粉じん爆発の危
険性はないなどの利点がある。
操 作 電 圧は 交 流 1 0 0 V で よく,高 電 圧 発生 機 で直 流
問題点としては,1)現時点ではエポキシ樹脂系が主
7 0 k V ~ 1 4 0 k V に して 高 圧 ケーブ ルに よっ て スプ レ ーガ
体で,アクリル系,ウレタン系などが検討されているが
ンまでもってくるものと,ガン内部で高電圧にするもの
いずれにせよ用途・品種は制約される。2)粉体塗料と
がある。
同 様 ,高 温 焼 付 が 必 要 。 3 )焼 付 前 の 塗 膜 中 に 少 量 の 水
スプレーガンの粉体塗料噴出量は 50~1000g/min の範
が含まれているため急激に加熱をするとピンホー ルが起
- 250 -
日本塗装技術協会
きやすい。4)スローイングパワー(つきまわり性)が
電着塗装に比べると劣るなどかある。
粉 体 塗 料 の 中 で もっと も歴 史 が 古 く,安 価 で 広 範 囲 に
利用されている。熱可塑性で流動浸漬塗装で利用されて
なお,粉体と帯電バインダーの比は 1:0.1~0.3 くら
い るの が 大 部 分 で あ る 。粉 体 ポ リ エ チ レ ン は 耐 薬 品 性 ,
いで帯電バインダー量が多くなるとつきまわり性が良く
屈曲 性,耐寒性などが す ぐれ てい る反面 ,金属との付 着
なリ,塗膜は薄膜形となり,粉体が多いと逆の現象を生
性,表面硬度,耐侯性が劣る。線材の被 ふく,家電,自
ずる。
動車パーツの用途が主である。現在では低密度 ポリエチ
レ ン が 多 く用 い られ てお り ,粉 体化 に は 機 械 粉砕 法 の 製
紛体塗料
造方式が大部分である。
powder coating
融点が常温より高い樹脂を用いて作った粉末塗料であ
フンド・ウットフィルムゲージ
る。近代塗料は発祥の初めから塗料としての形態は溶液
Pfund wet film gage
型 で あ る。ラ ッカーあ るい は 合 成樹 限 塗 料 が 使 用 さ れ る
図に示す構造をもつ,未乾燥塗膜の厚み測定器。
に至って溶剤を多く使うようになった。しかし,溶剤の
多量の使用は大部分が大気中に放散されることで,経済
性および衛生上の問題から 100%ソリッド化の方向に指
向されていった。ナイロン,ビニルなどの固体樹脂が容
易にえられるようになってから,これらの樹脂を使用し
て 微 粉 来 状に し,こ の 粉 末 中に加 熟 した被 塗 物 を ころ が
し塗りし,付着した樹脂を溶融し,塗膜を形成させる方
法が行なわれた。1950 年ドイツの Irwin Gemmer 社が
流動浸漬法を開発 し,粉体塗料 は急速 に発展することと
なった。さらに ,1 962 年 フラン スの SAMES 社が静電
塗装法を開発し,粉体 の塗装法 が一段と進歩した。現在
の粉体塗料は 100μ 以下の粒子径,のものであり,上記の
塗 装法の ほか ,流動 静電塗 装法な ど も用い られ ている。
粒子径が大きいと塗面の平滑性が得にくいので 50μ 以
下のものが多くなっ ている。粉 体 の初期は熱可塑性樹脂
が 多 く使 用 さ れ たが ,現 在 は 熱 硬 化 樹 脂 ,たと え ば エ ポ
キシ,アクリル,ポリエステル樹脂などが用いられ,さ
らに架橋剤としてはメラミン,ウレタン樹脂,多塩基 酸
アマイドなど溶剤型に匹敵し得る種類の素材が利用さ
れ,粉体塗料が作られている。
粉体塗料用樹脂
粉体塗料は有機溶剤または水のような揮発性分散媒を
用いないで紛体の状態で塗装す る塗料であり ,これに用
い られる樹脂 は以 下の ような性質 が要求 され る。す な わ
ち,低融点 で塗膜に なっ た場合の 性能がす ぐれ ているこ
フンドウェットフィルムゲージ
と,融解樹脂が流動しやすく,耐熱性があり,付着よく
L は 凸 面 レ ン ズ で , T 1 に 固 定 さ れ て い る。 T 1 は 円 筒
短 時 間 で 硬 化 す る こ と 。ま た ,粉 末 の 粒 度 が 適 当 な こ と
などがあげられる。現在塩化ビニル樹脂,エポキシ樹
脂,ポリオレフィン系樹脂,ポリアミド樹脂,アクリル
状で,T2 の円筒に内接するようはめこまれており, T1
と T 2 は バ ネ S で 接 続 し て い る。
樹脂などが流動浸せき法,静電吹付法,静電流動浸せき
本体を,未乾燥塗液 の上におくと,荷重により T2 の
法などの方法で樹脂の溶融点以上に加熱して被塗物表面
円筒の下端が被塗物表面に達し,同時にバネ S の力によ
上 に 溶 融 さ せ ,連 続 塗 膜 を 形 成 さ せる 。
り,T1 がおしさげられて,凸レンズ面も被塗物表面に
達する。
この時凸レンズ面に塗料が円形に付着する。
粉体ポリエチレン
こ の 凸レ ンズに 付着 した塗 料の直 径か ら次 式に より 未
polyethylene powder
- 251 -
日本塗装技術協会
乾燥塗液の厚み t を算出する。
2
t = D /16R
塗料膜厚を変えるこめ,すき間を任意に変えることが
D:塗料の直径
可能である。ベーカーアプリケーターの幅は 3 インチあ
R:レンズの曲率半径
り,すき間の調節範囲は 0~10mil (1mil=1/1000
inch)で,調節機構は偏心するバーを回転させること に
へ
より可能となる。
2 つ の 脚 部 と バ ー を 一 体 と して 働 ら か せ る た め に は ,
平滑性,平坦化
目 盛 り 合 わ せに 注 意 す る必 要が あ り ,また,幅 が 長 い の
で使用時に両脚が被塗面に常に触接するよりに注意しな
levelling, leveling
がら等速度で試料を塗布するように心掛ける。
塗料を塗った直後に生じた塗膜の凹凸やハケ目が消え
て平坦になること。
ベージ
beige
平均分子量
慣用色名,1.0Y6.5/2.5
average (mean) molecular weight
一 般に ポ リマ ーは 重合 度 の異 なる,したが っ て 分子 量
漂白しない羊毛の色か らきた色名。白茶を含む灰みの
茶のうすい系統の色の総称として用いられている。
の異なる多くの分子から構成されており,それらがある
分 布 を 示 してい るこ とか 多い 。その ため に便 宜 上 個々 に
ペーストレジン
異なる分子の分子量を平均した値で表わす。一般に使用
paste resin
される平均分子量は,数平均分子量,重量平均分子量,
塩化ビニル粒子は 0.1~2μ で,乳化けん濁重合法
粘 度 平 均 分 子 量 な ど で あ り ,同 じ ポ リ マ ー で も用 い る測
で 作 る 。微 粒 子 が 適 当 な 粒 度 分 布 を も ち , ち ょ う 密 な 球
定方法によって,表示される数値は大きく達ってくる。
形で常温において粘度変化が少なく,高温時に速やかに
均一にゲル化し,可塑剤に容易に分散することが要素で
平行板プラストメーター
ある。
このペーストレジンからプラスチゾル,オルガノゾル
parallel plate plastometer
液体の流動性を測定する計器
プラスチゲル,オルガノゲルなどができる。
→ プラストメーター
pH 値
pH-value
平行ワレ
ペーハーともピー,エッチともいう。水素イオン指数
→ ワレ
のこと。つまり水素イオン濃度をあらわす数値で,pH
ベイルビー層
=log 1/[H+]として,溶液 1l 中にある水素のグラム–
イオン数の逆数の常用対数で示す。
beilby layer
機械加工して研摩された金属表面は,一見清浄に研摩
純粋の水は pH=7 で中性,これより大きい値はアル
カリ性,小さい値は酸性という。
さ れ て い るよ うで も,微 視 的 に み れ ば ベ イ ル ビ 一 層 が 形
成されている。一般に,加工された金属表面は塑性変形
をうけて,金属粒子が細かい状態になっている。そ して
そ の 表 面 は 3 0 ~ 4 0 Å の 酸 化 皮 膜 に お お われ て ,さ らに
2~3Åの気体吸着層がある。これらをベイルビー層
この水素イオン濃度の測定法には比色法と電気法とが
あり,比色法はフェノールレッドなどの色素が,異なる
p H で そ れ ぞ れ 異 な る色 を 呈 す る原 理 を 応 用 し, こ れ を
指示薬として用いるもので,リトマス試験紙は代表的な
も の で あ る 。 電 気 法 は ,水 素 電 極 法 と し て ,溶 液 の 濃 度
と よ んで い る 。塗 装 前 に は ,こ の 表 面 ベ イ ル ビ ー酸 化 膜
が 異 な ると き の 濃 淡 電 池 の 起 電 力 を 測 定 し p H 値 を 求
を除去して,できるだけ電気化学的局部電池による影響
めるもので,白金黒に水素を吸着させた水素電極と甘求
を少なくしなければならない。
電 極 を組 み合 わ せたものが 広 く用 い られ てい る。
ベーカーアプリケーター
ベービーピンク
Baker film applicator
baby pink
アプリケーター*の一種。
慣用色名,3.5R8.5/4.0 うすいピンク。
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ベービーブルー
えた理想的なメラミン誘導体といわれる。短,中,長油
baby blue
性 ア ルキド樹 脂と 相容性 があり ,良 好 な物 理的 ,化学 的
慣 用 色 名 ,1 0 . 0 B 7 . 5/ 3 . 0 ,幼 児 服 や 玩 具 にあ るよ
性質をもっている。外観はロウ状の固体であり融点 55°C,
うな空色。
比重(20°C)1.17~1.21。普通の有機溶剤に可溶,ま
た,水にも溶ける。水溶性アルキド樹脂およびアクリル
ベールゴールド
樹脂塗料にも使用される。
→ 銅粉および銅合金粉
ベーパーブラスト
微 細 な 砂粒 を 水と混 食 して泥 状に し,こ れ を高 圧空 気
で噴射する方法で,ウェットブラストともいう。
→ 液体ホーニング
ヘキサヒドロ無水フタル酸
hexahydrophthalic anhydride
シス形,トランス形の立体異性体があり,シス形は安
ヘキシルアルコール
定で吸温性のガラス状固体,融点 35~36°C,比重 1.18
n-hexyl alcohol, n-hexanol.
で芳香族炭化水素,アルコールに可溶である。
n-ヘキサノールともいうアルコール系溶剤。比重
CH3(CH2)4CH2OH
ア ル キド 樹 脂 の 多 塩 基 酸 と し て 用 い たり ,エ ポ キ シ樹
0.8203~0.8208(20/20°C),沸点 157.1°C,引火点 59.4
脂の変性に,また硬化剤としても特長がある。テトラヒ
°C(密閉),73,9°C(開放),油類,天然樹脂の溶剤で,
ドロ無水フタル酸の高圧水素添加で製造される。
硝化綿の稀釈剤(潜在溶剤)。
なお,n-ヘキシルアルコールの異性体である 2-エチ
ル ブ チ ルア ル コー ル ( C H 3 C H ( C 2 H 5 ) C H 2 C H 2 O H) を ヘ
キ シ ル ア ル コ ー ルと 呼 ぶ こ と もあ る 。比 重 0. 8 3 2 8 ( 2 0 /
20°C),沸点 147.0°C,引火点 58°C(開放)で用途は前者
とほぼ同じである。
ヘキサメチレンジイソシアネート
へこみ
hexamethylenediisocyanate (HMDI)
crater, cratering
OCN-(-CH2)6-NCO
塗 装 面に生 じ た小さ く浅い 円錐形 また円筒 形 の くぼ み
ポ リウ レ タン 製 造 の 際 用 い る二 官 能 性 ジイ ソシア ネ ー
欠陥のこと。
トの一種。もっとも多く用いられているトリレンジイソ
シアネート*(TDI)は乾燥が早く,比較的安価である
べっ甲塗り
反 面 ,黄 変 し や す く ,ま た耐 侯 性 が 劣 る ため 下 塗 り か 上
塗り塗料の一部にしか使用できない欠点がある。
ヘキサメチレンジイソシアネートは乾燥はおそいが,
無黄変性で耐候性,作業性がすぐれているので非黄変性
べっ甲塗りは,スプレーガンを用いて行なう変わり塗
り の ひ と つで , 塗 面 に 美 しい 斑 点 状 の 模 様 が 得 ら れ る 。
大理石塗りが真綿を用いるのに対して,″フノリ″を用
いる。
ポリウレタン樹脂塗料に,また,アクリルと組み合わせ
て自動車用上塗り(補修用も含めて),アルミサッシュ
用クリヤー,スキー・テニスラケット・釣竿などのスポ
-ツ用品,楽器・テレビ・ステレオ用などの塗料に広範
囲に使用されている。
塗装方法は,まず地色に黄褐色を塗り,塗 面にフノリ
を当てがってステインラッカーの茶に黒のラッカーエナ
メルを混ぜたものをスプレーで吹きつけ,べっ甲のよう
な模様をつくる。フノリは木枠に貼り,被塗物にできる
だ け 近 づ け スプ レ ー 圧 を や や お と し て 吹 き つけ る 。模 様
づけ後はクリヤーラッカーを上塗りして仕上げとする。
ヘキサメトキシメチルメラミン
hexamethoxy methyl melamine
紅赤
アメリカンサイアナミド社の開発した Cymel(サイメ
ル ) 3 0 0 が ,こ れ に 相 当 し , 水 溶 性 , 油 溶 性 の 両 方 を 備
慣用色名,7.0 R 5.0/14.0。
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へら押え
漆工用語のひとつで,布着せ(布貼り)後木べらを用
いて右左にしごいて布をよく貼布する。その際,下付げ
に斑を生じ,あるいはへらしごきの不十分にて布がよく
付着しないとき,小刀で一方のみを残して切り開き,徐
々に布 をひきあげ,木べ らで麦漆 を入れて 布を上か ら良
Perylene 系
く押えつけておくことをいう。
この構造式でペリノンオレンジの右上の O が右下の C
に付 くと 色調 は赤に なる。またペリレ ン系 顔料 の R は ,
へら付け
下地塗料を,木べら,金べら,ゴムベらなどの ”へら”
CH 3 のときはマルーン色 (たとえ ぼ BASF 社の Pali-
を用いて平坦になるように塗布する作業をいうもので.
‥
別 名 を 下 地 づ け と もい う 。
ogen Maroon G)
ときは赤色(たとえば Ho ch-
へら作業は,凹凸を是正して平滑面をつくり,上塗り
塗 装 の 効 果 を 高め るとと もに ,下地 塗 膜 に よっ て素 地 の
s t 社 の P erm anent Red B L ),
耐久力を増すことも目的としている。
-レット色(たとえば PV Fast Red B),
は スカ
H 5 の と き は オレ ン ジ色 (たと えば B A S F 社 の P al i o-
gen Red GG)となる。
へら塗り
木 べ らを 用 い て 塗 面 に 塗 料 を 均 等 に 配 っ たり ,塗 っ た
りすることをいうもので,素地固めのやすり漆仕上など
べんがら色
慣用色名,8.5R3.5/5.5。
際の生漆の塗り込みや目止め材のすり込み,下塗りや中
顔料としてのベンガラは Fe2O3 で,弁柄・紅殻・鉄
塗りあるいは上塗りのさいの塗料のくばりなどがある。
丹代赭ともいう。ベンガラの色は黄味のさえた赤から,
暗い赤まで各種のものがあるが,べんがら色は一般色名
ヘリゲワニス比色計
Hellige colour comparator
油性ワニス,ボイル油の色の明るさを標準液 の色の明
るさと同じに作ったガラス板と比較して試料を分析する
では暗い赤である。
ベンジルアルコール
benzyl alcohol
測定器。
JISK 5400 では色数 * 測定に色ガラス板を用いたヘ
リゲワニス比色計で測定したときは,そのことを試験記
芳 香 族ア ルコール * の 一種 。比重 1. 044 ~ 1. 0 5 8 (2 5 /
25°C),沸点 205.3°C,引火点 96°C(密閉),100.5°C(開
録に付記しておくよう注意書きしてある。
放 ) ,蒸 発 速 度 2 の 高沸 点 溶 剤。
ペリレン・ペリノン系顔料
ラフィックペイント,硝化綿ラッカーなどの溶剤として
蒸発速度がおそいので,リムバー(塗料除去剤),ト
perylene perinone pigment
用いられる。
バ ット 系 顔 料 * (建 染 染 料 系 顔 料 ) の 一 種 。オ レ ン ジ 色
からマルーン色 まで幅広い色 相を 持 つ顔料で,耐熱性,
規格としては JISK8854 ベンジルアルコール(試
薬)がある。
耐候性,耐ブリード性がよく,着色力も比較的良い 。特
に 耐 熱 性 は 有 機 赤 顔 料 中 , もっ と もす ぐ れ て い ると い わ
べんがら (弁柄)
れる。焼付型自動車用塗料を対象に開発が進められた。
oxide red, red iron oxide
価 格 が商 いこ と ,分 散 性がや や劣 るの が欠 点 であ る。
‥
Hochst(西独)社が開発し,BASF(西独),Harm on
社 な どか らも市販 され てい る。
構造式は次のとおり。
鉄 丹 ,代 赭 ,酸 化 鉄 赤 と も呼 ば れ る酸 化 第 2 鉄 (α-
Fe2O3,ヘマタイト)を主成分とする無機顔料。色相は
赤みがかった黄色のものから紫色まで (それに鉄黒や
三 酸 化 鉄 と 呼 ば れ る黒 色 酸 化 鉄 も あ る ) の 範 囲 が あ る 。
製造法は工業的に産出する硫酸鉄を高温焼成して得る
乾式法と,硫酸鉄溶液または塩化鉄溶液にアルカリを加
えて中和し,酸化させてマグネタイトあるいは黄色酸化
Perinone orange
鉄 と して か ら焙 焼 す る湿 式 法 と が あ る 。前 者 は 従 来 か ら
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日本塗装技術協会
行なわれて来た製造法で鮮明度の高い商品質のべんがら
が作られる反面,製造工程中か ら発生する廃ガス,廃水
中に硫化物などの公害物質を多量に含んでいる。公害対
策 の 見 地 か ら乾 式 法 より 湿 式 法 に 製 法 転 換 の 方 向 に あ
る。また湿式法の製品は色がくすむ (にごる)といわれ
ていたが現在ではかなり鮮明度の良い製品が作られるよ
ベンジジンオレンジ
うになった。
べんがらは耐侯性(含耐光性),耐熱性,耐薬品性な
benzidine orange
どにすぐれ,また色調の種類も多く,陰ぺい力もあり比
JISK5221-1971「ベンジジンオレンジ(顔料)」で
較的分散性も良く有機顔料に比べて安価なので,サビ止
はΓ3,3’–ジクロルベンジジン → 1 フェニル–3–メ
め塗料などの下塗り塗料から自動車などの高級品の上塗
チル–5–ピラゾロンを主成分とするオレンジ色の顔料」
り塗料にまで広く用いられている。また,近年には陰ぺ
い力の低い,いわゆる透明弁柄も上市されてメタリック
塗料などに用いられるようになった。
各 種べんが らの特性 の一例を 表に示す 。
と 定 著 して い る。比 重 1. 4 ,耐 候 性 ,耐 熱 性 は 比 較 的 よ
い が耐 溶媒 性が 劣り ,塗料 用には あ まり用 い られ てい な
い。
ベンジルセルロース
benzyl cellulose
白色粉末状。低,中,高粘度の 3 種がある。
セルロ ースを 水酸 化ナト リウム 水溶 液に 作用 さ せてア
ルカリセルロ- ズと し,常 圧に , 90 ~ 9 5 ° C で ,塩化 ベン
JISK5109 べんがらでは,酸化第 2 鉄の含有量によ
ジルを反応させる。これを再度反応をくりかえすことに
より,エーテル化度は向上する。
って次の 3 種類にわけている。
物性的に耐水性,耐薬品性がすぐれ,芳香族炭化水素
特
号
1
号
2
号
98.5%以上
と ア ル コー ル の 混 合 物 に と け る 。か つて 航 空 機 の ジ ュ ラ
⸗
96%以上
ルミン用塗料として用いられた。
⸗
80%以上
酸化第 2 鉄
C6H9O4OH+CI・CH2C6H5 → C6H9O4・OCH2C6H5
+HCL
ベンジジンエロー
benzidine yellow
変色
JISK5220-1971 「ベンジジンエロー(顔料)」では
discoloration
Γ3,3’-ジクロルベンジジン → アセト酢酸アニライ
ドを主成分とする黄色顔料」と定義している。
塗膜の色が変わることをいい,その変色の状態には次
のようなものがある。
鮮 明 な 色 調 で 着 色 力 も良 く,分散 性 ,耐 溶 剤 性 もよい
① 退 色 (f a di ng ): 塗 膜 中 の 有 彩 色 顔 料 の 色 が 減 退 す
のでエマルションペイントやラッカーなどに用いられて
い る。た だし耐 候 性 は ハ ン ザ エ ロ ーに 比 較 して 劣 るの で
ることをいう。
②黄変(yellowing):白,淡色または透明塗膜が 日
屋外用には適当ではない。代表的なものにベンジジンエ
コーG および GR がある。比重 1.3~1.4
光,人工光線または熟の作用によって黄色または褐色に
変わる現象で,やけと呼ばれることもある。
③
- 255 -
色(discoloration):塗装後なんらかの原因で塗
日本塗装技術協会
④膜の色が急に変わることをいう。このような変色の原因
としての使用を禁止された。トルエン*などがその代り
は内部・外部およびこの 2 つが入り混ざって起こる場合
に 使用 さ れて い る。 (有 機溶 剤中毒 予 防 規則 で は ベン ゼ
がある。たとえば ,水性 系塗膜でかび な どが湿気 の作用
ンは第一種溶剤で恕限度(許容濃度)25ppm,トルエ
で助長されて変色することもあり,また,塗膜中の鉛系
ンは第二種溶剤で恕限度 200ppm である)。
顔料がふんい気中の硫黄化合物と反応して黒変すること
なお,JISK2430-66 では次のよりに規定している。
もある。変色は高温・多湿のときに生じやすい。
変性アルキド樹脂
modified alkyd resin
多塩基酸と多価アルコールとの縮合物を脂肪油または
脂肪酸で作った油変性アルキド以外に,塗料適度を改善
するためにさらに各種の樹脂またはビニル単量体などで
純ベンゼン
(1)
変 性 した各種 の変 性ア ルキド樹脂 がある。乾燥 性 ,か た
さ ,光 沢 が す ぐれ るが 耐 候 性 のお と るロ ジン変 性 ア ルキ
ド樹脂,付着性,かたさ,耐薬品性がすぐれるが,淡色
耐 候 性 の お と る フ ェ ノ ール 変 性 ア ルキド 樹 脂 , 連 乾 性 で
あ るが 重 ね 塗 り , 相 容 性 の お と る ス チ レ ン 化 ア ル キ ド 樹
脂 ,ま た,エ ポ キシエ ステ ル樹 脂に 比べ て耐 薬 品性 ,付
着 性 は劣 るが通 常の ア ルキド 樹脂 より もす ぐれて い るエ
ポキシ変性アルキド樹脂などがある。
変性アルコール
工業用アルコールのこと。
→ 工業用アルコール
変性乾性油
modified drying oil
天然産の油を処理したり,変性したり,改良したりす
注 1)製造技術の進歩に伴って,製品の品質が著しく高ま
る傾向にあり,高純度製品の場合には留出範囲が狭
ることにより,乾燥性を増し品質を向上させた油で ,合
く,使用する器具のわずかの器差によって 80.1°C を
成乾性油ともいう。物理的方法として精製,漂白,ドラ
はずれる可能性が生じたので,±0.1deg の許容範
イヤー添加,分別化などがある。化学的方法として,脂
囲を認めることになった
肪 酸 基 の 変 化 と して 重 合に よるスタン ド 油 ,二 重 結 合 の
移動による異性化油,元素分子の添加による吹込油,水
(2)
素添加油,硫化油,分解による脱水ひまし油,またア
ルコール成 分の 変化,と して分 子間 エステ ル化 ,グ リセリ
ンをペンタエリスリトールに変えてのエステルなどあ
比
重 (15/4°C)
分
留
る。また,油をほかの物質と縮合 または共重合すること
試
90%ベンゼン
0.850~0.890
験
(脱水試料につき)
ベンゼン
benzene,benzol
代 表 的 な 芳 香 族 炭 化 水 素 。 引 火 点 – 11 . 1 ° C ,発 火 点
538°C,爆発限界下限 1.5vol%,上限 8.0vol%,かつて
不揮発分 [mg/l]
50 以下
反
中 性
応
硫 酸 着 色 試 験
標準比色液 6 番より暗くない
(脱水試料につき)
銅腐食試験
色
はラッカーなど自然乾燥形塗料や接着剤などに広範囲に
使用されて来たが,その毒性・麻酔性が強いため塗料用
100°C までに 90%(容量)以上留出
乾点 120°C 以下
でのスチレン化油,マレイン化油,ウレタン化油などが
ある。
初留点 75°C 以上
に お い
わずかに変色する程度にとどまる
重クロム酸カリウム溶液(3mg/l)
より暗くない
異臭を残さない
(3) 60%ベンゼン
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比
重 (15/4°C)
分
留
試
験
(脱水試料につき)
0.850~0.880
pentaerythrit, pentaerythritol
初留点 75°C 以上
ペンタエリスリトール,ペンタエリットリットなどと
100°C までに 60~90%(容量)留出
もいう。白色結晶状粉末,無臭の 4 価のアルコールで比
乾点 140°C 以下
重(25/4°C)1.38,融点(工業品)180~240°C でアル
不揮発分 [mg/l]
50 以下
コールには部分溶解する。エチルアルコールの脱水素反
反
中 性
応そのほかの方法でできるアセトアルデヒドをさらにア
応
硫 酸 着 色 試 験
ルド一ル縮合し,またカニツアロ反応を用いて製造す
標準比色液 8 番より暗くない
る。本 ア ルコー ルを 用 い たア ル キド 樹 脂 は ,速 乾 性 で 光
(脱水試料につき)
銅腐食試験
色
に お い
わずかに変色する程度にとどまる
沢,耐水性,耐アルカリ性,耐候性がすぐれている。ま
重クロム酸カリウム溶液(5mg/l)
た,アリルアルコールとエ-テル化して水溶性樹脂塗
より暗くない
料,無溶剤塗料の製造に用いる。
異臭を残さない
ベンゾール
→ ベンゼン
JISK1510-1963 では次のよりに規定している。
ベンゾグアナミン樹脂塗料
1
モノペンタエリスリトール (%)
benzoguanamine resin coating
ベンゾグアナミン樹脂と,主にアルキド樹脂を混合し
水
て作った塗料である。ベンゾグアナミンは左のような構
酸
基
号
87 以上
2
号
82 以上
(%)
47 以上
45 以上
融点 (とけ始め) (°C)
180 以上
170 以上
造 の化合物で ,メラミン
に以ているが,NH2 3
ペンタクロロフェノール
個のうちの 1 個が芳香族
pentachlorophenol
環におきかえられてい
白色粉末または結晶,融点 190°C,水に不溶,石油系
る。したがって 2 個の
溶剤にわずかに溶け る。
NH2 を持ちこれらがホ
フェノールの直接塩素化法,ヘキサクロルフェノール
ルムアルデヒドと反応し
の還元,ヘキサ クロルベンゼン の加水分解法などによっ
てメチロ-ル化され,4
て作る。防腐,防カビ剤,殺虫剤として用いられる。
官 能 の メチロ - ル化物 を 生 ず る。こ の メチ ロ - ル化 物 は
加熱するか,あるいは酸類を添加することにより縮合
し,メチレン結合(–CH2–)を生じて高分子化す
る。塗料用としては,このプレポリマー状態のものに残
っ たメチロ - ル化部 分 をア ルコール類 で エ- テ ル化 した
ものが用いられる。一般に,アルコールとしてはブタノ
ール類が用いられる。このようにして得られたものは,
炭化水素系溶剤に可溶性になり,多くの塗料用合成樹脂
ベントナイト
と相容する。特に,アルキド樹脂との相容性がよく,通
bentonite
常 ベン ゾ グ ア ナ ミ ン -ア ルキド 樹 脂 の 熱 硬 化 型 樹 脂 塗 料
モンモリロナイト*系粘土で,水を吸収すると 4~8
として用いられる。
倍に膨潤するので膨潤土ともいい,主成分はけい酸アル
ベンゾグアナミン樹脂は,メラミン樹脂に比べると,
ミニウム*(AI2O3・5SiO2・2H2O)である。クレー(カ
–NH2 基 1 個がフェニル基で置換されているので,有
オリン)に似た組成で,さらに粒子が細かく,コロイ
機 溶 剤 や ほ か の 樹 脂 と の 相 溶 性 が よく,光 沢 が 出 る 。し
ド状クレーともいう。比重 2.41。塗料用としては顔料
かし,メラミンの 6 官能に比して 4 官能であるため,架
練合時に添加し,水系塗料の増粘剤 * ,だれ防止剤 * とし
橋 密 度 が 小 さ く,耐 溶 剤 性が 劣る。硬 化 に 要 す る条 件 も
て使用する。
→ 有機べントナイト
メラミンよりは過度にする必要がある。
ペンタエリスリット
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る 。 防 音 塗 料 で あ って も 防 振 性 ,防 食 性 , 耐 水 性 ,耐 油
ホ
性 , 耐 衝 撃 性 , 耐 摩 耗 性 な ど も要 求 さ れ る 。 モ ル タ ル ガ
ンや高圧スプレーガンによって約 3mm ぐらいの厚膜ま
で塗装される。
ボイル油
防火塗料
boiled oil
乾性油(あまに油,しなきり油など)または半乾性油
(大豆油,サフラワ油など)に空気を吹きこんで 100°C
難燃性防火塗料,発泡形防火塗料,非発泡形防火塗料,
不 燃 性防 火 塗料 の 総称 であ る。こ れ らを 参 照の こと 。
前後で加熱して作った重合油に乾燥剤(マンガン,コバ
ルト,鉛などの金属石けん)を添加したもの。スタンド
防かび剤
油よりも乾燥が遠く,粘度が低い。堅練ペイント,調合
→ かび止め剤
ペイント,油性さび止めペイントなど油(性)ペイント
のビヒクルや,うすめ液として使用する。
防かび塗料
antimildew paint,antifargus paint
かびの発生を防ぐための塗料である。かびは湿度が高
防汚剤
→ 有機系毒物
く(60~95%),温度が 15°C 以上になると建物の壁や天井
などに発生する。また,建物ばかりではなく,光学機械そ
の ほ か の 機 械 類 に も発 生 し,種 々 の 害 を もたらす 。一 般
防汚塗料
antifouling paint
に使用される塗料はかびの発生は防止できず,むしろ塗
船底塗料 2 号,2 号塗料,A/F ともいう。船体外板
膜 面 に も生 ず るこ と が あ る。こ の ため 防 か び 剤 を 塗 料 中
没水部に海中生物が付着するのを防止するための塗料。
に 添 加 して 防 か び 塗 料 を 作 る。 防 か び 剤 と して は 水 銀 ,
船底にふじつぼ,セルプラ,ヒドロイデス,かき,白ぼ
銅,亜鉛などの金属塩と有機系の防かび剤はペンタクロ
や な ど の 動 物 類 や ,あ お さ ,あ お の り な ど の 植 物 が 付 着
ロフェノール(PCP),サルチールアニリドトリクロロ
す ると 船 の 航 行 速 度 が 低 下 し ,ま た 燃 費 が 多 くか か る 。
フ ェ ノ ールまたは 有 機 の す ず 化 合 物 な ど が 使 用 さ れ る。
木船の場合はさらに木材の内部に食い入って船の寿命が
短 くなるなど の損 害を与 えるので,鋼 船の 場合には 船底
芳香族アルコール
塗 料 1 号 * (さ び 止 め 用 )の 上 に,木 船 の 場 合 は 直 接 船
aromatic alcohol
底に塗装する。
メチルアルコール * ,エチルア ルコール * などの脂肪族
ビヒクル*には油ワニス*,フェノール樹脂,アルキド
アルコールに対して,シクロヘキサノール * やペベンジル
樹脂,ビニル樹脂*などが用いられ,防汚のため,従来
ア ル コー ル * の よう な 環 状 ア ル コー ル を 芳 香 族 ア ル コ ー
は亜酸化銅や酸化水銀などの無機系毒物が使用されてき
ルと呼ぶ。
たが,公害対策,塗装作業者の衛生対策などの観点から
現在では有機系毒物*が使用されるようになった。
芳香族炭化水素系溶剤
aromatic hydrocarbon
なお,防汚塗料関連の JIS として次のものがある。
・JISK 5630
鋼船船底塗料防汚性浸海試験方法
・JISK 5631
鋼船外板用油性塗料
・JISK 5632
木船船底油性塗料
・JISK 5634
鋼船外板用塩化ビニル樹脂塗料
・JISK 5635
木船船底ビニル樹脂塗料
・JISK 5638
鋼船外板用塩化ゴム系塗料
→ 木船船底塗料
ベンゼン*,トルエン*(トルオール),キシレン*(キ
シロ-ル),ソルベント・ナフタ*など,ベンゼン核を持
つ炭化水素系溶剤 *の総称。
現在は石油からの分留・分解によって製造されるが,以
前 は コールタールの蒸 留生成 物と して生 産され たの で タ
ール系溶剤とも呼ばれ た。代表 的な塗料用溶剤である。
放射線硬化
radiation curing
防音塗料
音 響 を しゃ断 す るか吸 音性 のある塗 料で ある。ア ルキ
ド樹脂,酢ビーアクリル共重合エマルション ,アスフア
放 射 線 を 用い て 樹脂 または 塗 料の 硬 化 を 行 な う こと 。
工業的には放射線源としては電子線と紫外線が使用され
それぞれ電子線硬化,紫外線硬化と呼ばれる。
ルトなどにアスベスト粉や体質顔料を多量に加えて作
- 258 -
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放射線防御塗料
料の基になる。
放 射 線 を 取り 扱 う建物 ,部 屋 など に 使 用さ れ る塗料 で
放射性能が付着しても汚染されず,容易に水または薬品に
ボールポイント
→ フローポイント
よっ て 洗 い 流 す こ と が で き る塗 料 で あ る。一 般 に 光 沢 の
あ るビ ニ ル 系 塗 料 な ど が 用 い られ る 。 ま た ,汚 染 が ひ ど
いときは,容易にはく離できることも必要である。
ボールミル
ball mill
円 筒 型 の タン ク の 中 に 鉄 ,鋼 ,石 , 陶 器 な ど の 球 を 入
膨潤土
→ ベントナイト
れ,この円筒タンクを横にして回転させる機構による顔
料 の ねり 分 散 機 械 であ る。顔 料 と 展 色 剤 を タン ク中 に入
防食顔料
→ さび止め顔料
れ,中にはいっている球の衝撃により顔料が展 色剤中に
分 散 さ せられ る 。ロ ー ルミ ルな ど の 顔 料 の ねり 分 散 機 械
に比較すると,時間がかかる。しかし,タンクは密閉型
防食作用
な の で 溶 剤 の 揮 発 が な く,操 作中 は 機 械 に よるタン クの
anti–corrosion effect
回転が主で人手がかからない。人手を要するのは,原料
材料が空気,水,薬品などの外部作用によって侵され
の仕込みと,取り出しだけである。また,顔料 –展色剤
るのを保護する効果のこと。
系は比較的粘度の低い流動状態で取り扱えるので,連続
生産化も可能であるので広く使用されている。
防せい顔料
→ さび止め顔料
ボーンプラック
bone black,animal black,drop black
動 物 の骨か ら脂肪 を 抽出 した後,粗 砕 し空気 を断 って
防錆剤 (防食剤)
→ 腐食防止剤
焼いた後,粉砕して作る。比重 2.2~2.6,灰分 88~85%
炭素 12~23%で大部分はりん酸カルシウムである。吸油
防せい塗料
量 が 少さ く (1 5 ~ 22gal / 100 1b ),着 色 力 も小 さい 。
水性塗料用黒顔料として使用する。色わかれが少ない
→ さび止め塗料,さび止め顔料,さぴ止め。
の が 特 徴 。 象 牙 を 粉 砕 し て 作 った も の は ア イ ボ リ - ブ ラ
防虫剤
ック(ivory black)と呼ぶ。
規 格 に は A S T M D 21 0 – 4 7 が あ り ,灰 分 ( 10 5 ° C 焼
→ 木材防虫剤
付 ) 8 8 % 以 下 ,酸 に 不 溶 の 灰 分 3 . 0 % 以 下 ,ア セト ン 抽
防腐剤
→ かび止め剤
出分 2.0%以下,No.325 フルイ残分 2.0%以下と規定さ
れている。
→ 木材防腐剤
補修塗り
touch up
飽和脂肪酸
研摩そのほかによって生じた塗装の不備を補うもの
saturated fatty acid
油脂およびワックス中に含まれるアルキルカルボン酸
で,別名をタッチアップともいう。
モの 他 ,運 搬 そ の 他 に よって 生 じ た傷 な ど を 補 修 す る
であり,低級脂肪酸は液状であり刺激臭がある。カブリ
ル酸などの中級酸は油状で,カブリル酸(C8H16O2)以
ことをいう場合もある。
上のものは常温で固体である。飽和脂肪酸の一般式は
CnH2n+1–COOH に相当し,化学的性質はカルボキシル
補 色
complementary color
基[COOH]の性質とアルキル基の性質との現われで,
余色ともいう。青と黄,赤と青緑のように色度を異に
ぎ酸,酢酸などのほか,プロピオン酸,酪酸などがあ
る。動植物油にグリセリンのエステルとして在るパルミ
チン酸 C15H31COOH またステアリン酸 C17H35COOH な
する 2 色を,適当な割合で混合することによって無彩色
となる場合,この 2 色を互いに補色であるという。
どがある。前者は塗料用の油として利用されるヤシ油な
どに含まれる。後者は金属粉,金属石けんとして塗料原
ホスチーム法
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りん酸塩処理剤を蒸気とともにノズルから噴射させ,
ボ ー ルミ ルと 同 じ 顔 料 を 分 散 さ せ る 機 械 で , 機 構 も 同
これを被処理物に吹きつけてりん酸塩 皮膜化成を行なう
じである。しかし,ポットミルは外面上の形態から規定
方法で,Steam phosphating 法ともよばれる。
されたもので,陶器製の円筒の壹の中に陶器製の球を入
1960 年頃アメリカで発展し,被処理物の形状が大きく
れ,円筒の壹が回転しうるようになっている装置であ
て 浸 漬な どが でき ないと きや ,処理 場 の面 積が 狭いと き
る。顔料と展色剤を球のはいった壹の中に入れ回転する
などに適する。この方法 では,金 属面の油脂や汚れを洗
と,中の球の衝撃によって展色 剤中に顔料が分散させら
浄し,同時に皮膜化成を行なうので処理工程が 2 工程で
れる。
す む 。ま た,は け 塗 り な ど の 前 処 理 に 比 べ て 化 成 さ れ た
り ん酸 鉄 皮 膜 は よい が ,スケールや さ び は 除 去 でき ず ,
ポットライフ
汚れのひどい場合は予備洗浄が必要になる。
pot–life
可 使 時 間 と もい う 。 不 飽 和 ポ リ エ ス テ ル , 二 液 型 塗 料
ぼたん色
peony purple
慣用色名,3.0RP5. 0/14.5 さえた赤紫色。
牡丹塗り
漆 工 用 語 で しぼ 漆 を 用 い て 行 な う変 わ り 塗 り の ひ と つ
などにおいて,液状樹脂に触媒,硬化剤またはそ のほか
の添加剤を混合してから,使用しうる状態を維持できる
最 大 時 間 を い う。多 くの 場 合 ,触 媒 添 加 か らゲ ル化 開 始
までの時間と考えてもよい。
ボディワニス
である。布タンボにしぼ漆をつけ,中塗りとぎを施した
body varnish
塗 面 に 右 廻 しま たは 左 廻 しい ず れ で も よい が ,ま わ しな
がらねじるようにしてひねりあげて牡丹の花のような模
様をつけて乾かし,炭粉でつやを消し(炭粉をぬれた布
につけてこする)てから摺漆をして金箔を押す。乾燥後
梨 子 地 漆 を 塗 っ て 乾 か し て か ら 研 ぎ だす と ,美 しい 牡 丹
の花のような模様を現出する。
金箔を用いたものを金牡丹 ,銀 箔を用いたものを銀牡
丹 , ほ か に 色 漆 を 用 い た もの もあ る 。
油 を 主 体 に したワ ニ スの 一 種であ る。こ の 名 前 の 説 に
は 2 つあって,1 つは馬車のボデーに塗ったからだとい
うことと,もう 1 つは肉持ちのよい,すなわちボデーに
富むということからきたのだということである。このワ
ニスは天然樹脂のコーパルと乾性油の亜麻仁油から作ら
れていたが,最近ではエ ステ ルガム,石炭酸樹脂な どい
ろ い ろ の 合 成 樹 脂 が 使 用 さ れ ,ま た 油 も エ ノ 油 ,桐 油 な
ど が 混 合 使 用 さ れ る よ う に な った 。 建 築 物 , 車 輛 な ど の
ホットスプレー
hot spray
1 9 3 9 年 ごろ ア メリカ (Ch a rl es B o g i n )で 開発 され た
上塗り用として用いられており,耐侯性,耐水性に富ん
でいる。日本工業規格 JISK5443 ボディワニスがあ
り,乾燥性,たわみ性,耐水性などが規定されている。
塗装方法で,塗料を温めて粘度を下げ,肉持ちの向上を
は か るの が 目 的 で あ る。
ポバール
→ ポリビニルアルコール
しかし実際には,シンナーの節約はごくわずかで,逆
に高沸点溶剤を使用するため,塗謨の完全乾燥がおくれ
またノズルから出た塗料は被塗物に達するまでに温度が
ホモポリマー
下 り ,粘 度 を 増 して ユ ズ 肌 や 細 か い ピ ン ホールを 生 じ や
homopolymer
すい。また,吹きはじめと流れだしてからの温度差にバ
ポリマーを構成しているモノマーを M とし,また製造
ラツキが生じやすいなどの点で,現在ではあまり用いら
法によって末端に A とか B など異なった種類の基が入っ
れていない。
ている場合に,以下の構造をしているものをホモポリマ
ーと呼んでおり,このほかにコポリマー,ブロックポリ
ボットルグリーン
マー,グラフトポリマーがありこれらと区別している。
bottle green
a)
M—M—M—M—……—M—M—M
慣月色名,5.0G2.5/3.0。
b)
A—M—M—M—……—M—M—M—B
参考に
ポットミル
……—M—N—M—M—M—N—M—M……
pot mill
(コポリマー copolymer)
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(グラフトポリマー graft pol ym er)
ポリアミド樹脂塗料
polyamide resin coating
ポ リア ミド 樹 脂に は 2 つの 作 り方 があ る。 1 つは ジカ
ルボン酸とジアミンの縮合によるもので,アジピン 酸と
ヘ キ サ メチ レ ン ジア ミ ン の 反 応 の も の で あ る 。も う 1 つ
nHOOC(CH 2 ) 4 COOH+nH 2 N(CH) 6 NH 2
→ [ – O C( CH 2 ) 4 CO NH ( C H 2 ) 6 N H– ] n + n H 2 O
であるから,乾燥剤として金属塩 (たとえばナフテン酸
コバルトなど)を用いると,自然乾燥型のアルキド樹脂
と同じように 自然乾燥する。
2 の 湿 気 硬 化 型 は ,つぎ の よ うに 末 端 イ ソ シア ネ ート
は 一 分 子 内に カルボ キシル基 とア ミノ 基 を 有す るもの の
分 子 間 の 縮 合 に よる も の で , ε – カ プ ロ ラ クト ン 酸 の 分 子
基をもつプレポリマーをまず作る。
(n+1)OCN–R–NCO+nHO–R’–OH
mNH 2 (CH 2 ) 5 COOH→H[HN(CH 2 ) 5 CONH
(ε–カプロラクトン酸)(CH2)5CO]m/2OH+m H2O
間 の 縮合反 応に よるもの であ る。前 者 はナイロ ン型 で 6
ナイロンと呼ばれ,後者はアミラン 型で 66 ナイロンとい
わ れ て い る 。両 者 と も合 成 繊 維 の 材 料 で ,後 者 の ア ミ ラ
ン型が一般的である。この種の高分子は溶剤に対する溶
この生成プレポリマーに湿気を与えると,水と反応して
つ ぎ の よ うな 反 応 が 開 始 さ れ ,硬 化 塗 膜 が 形 成 さ れ る。
解 性が悪 いが ,ジカルボ ン酸とジアミン の縮 合で 分子 量
が 9000 以下のものは,やわらかい粘稠液体から固体のも
の で .こ の 間 の 粘 稠 体 の もの は 金 属 箔 や セロ フ ァン な ど
の 耐 湿 性 ,耐 グ リ - ス性 の 塗 装 に 用 い ら れ る 。 ま た , ポ
リアミド樹脂はエポキシ樹脂と反応し,付着性,硬度,
–R–NCO はトリレンジイソシアネート(TDI),ヘ
じ ん 性 , 耐 薬 品 性 に す ぐれ て い る の で , 特 に 塗 料 用 と し
キサメチレンジイソシアネート(HMDI)などである。
て,この分野のものが使用されている。
3 のブロック型は
NCO 部分があらかじめ活性水素
基 1 つをもつもので封鎖されており,非反応型になって
ポリウレタン樹脂
いるが約 150°C の加温によって封鎖部分がはずれてイ
polyurethane resin
ソ シ ア ネ ート が 生 成 し反 応 を 開 始 す る 。 す な わ ち つぎ の
→ ウレタン樹脂
ようになる。
ポリウレタン樹脂塗料
polyurethane resin coating
ポリウレタン樹脂塗料は,主としてイソシアネートと
活性水素化合物との反応によってポ リマーを形成する塗
料 で あ る。 1 液 型 と 2 液 型と があ り ,表 の ように 分 類 さ
ArOH は封鎖(ブロック体)物質である。封鎖物質
がはずれてイソシアネートが生ずると,水酸基をもつポ
リオールとつぎのように反応する。
れている。
ASTM の分類 1 の油変性型はつぎのような反応形態
をとる。ここでは 2 重結合を多く持った乾性油脂肪酸 基
- 261 -
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そして硬化塗膜を形成する。
不飽和ポリエステルは触媒として過酸化物 (たとえばメ
4 の触媒硬化型は
チルケトンベルオキシド )と促進剤とよんでいる金属塩
(たとえばナフテン酸コバルト )の存在下で反応させる
と 架 橋 して 硬 化 が 起 こ る。触 媒 と 促 進 剤 は 不 飽 和 ポ リエ
の反応を行ない塗膜を形成する。
5 のポリオール硬化型は
ステルに対して 1~2%の添加で急速に硬化が進むの
で ,入 れ す ぎ な い こ と が 必 要 であ る。最 近 は 入 れ す ぎ な
い ように ,種 々 の 工 夫 が 触 媒 に加 え られ て い る。揮 発 性
の溶媒が使用されていないので 100%硬化型で,無溶剤
でイソシアネートと水酸基の反応である。そしてこの型
型塗料の中に入れられている。
のものは 2 液型であり,脂肪族あるいは芳香族イソシア
ネートを多価アルコールに付加させるか,あるいはイソ
ポリエステルパテ
シアネートを 2 量体または 3 量体化したプレポリマーが
po!yester putty
用いられる。
ポ リエ ステ ルは 不 飽 和 ポ リエ ス テ ル樹 脂 と 反 応 性 モノ
イソシアネートは芳香族,脂肪族,脂環族などがあり
マ ーす な わ ちスチ レ ン モ ノ マ ーに よって 成 り 立 つ樹 脂 溶
芳香族のトリレンジイソシアネートは耐侯性はあまりよ
液であり,これを用いて作ったパテのことである。この
くない。しかし脂肪族,脂環族のイソシアネートは耐 侯
系 は 不飽 和ポ リエ ステ ルと 溶剤の 役 目 もあ るスチ レン モ
性にすぐれている。
ノマ-とが,重合促進剤あるいは触媒を加えることによ
イソシアネートの反応は多岐にわたり,多くの有機化
って 化 学 反 応 を起 こ して 硬 化するもの で ,ほ と んど 1 0 0
合 物が 使用 でき るので ,ポ リウレタン 樹 脂塗 料は 今後 ま
% が 塗 膜 に な る 。 こ の ポ リエ ス テ ル に 顔 料 を 加 え て 練 り
だ 発 展 す る塗 料 で あ る 。
こ ん だも の で ,速 乾 性 で 比 較 的 厚 塗 り で き る 特 徴 が あ り
広く使用されている。
ポリエステル
polyester
ポリエチレングリコール
主鎖中にエステル結合–CO–O–をもつ高分子物質
polyethylene glycol
の 総称で ,多価ア ルコールと多塩 基酸との ポ リ縮合 体で
HO–(CH 2 ・CH 2 O) n –H
ある。
エチレンオキシドの重合体で.その両末端が水酸基で
不 飽 和 ポ リエ ス テ ル樹 脂 を さ す こ と が 多 い 。 す な わ ち
ありかつ分子量 190 以上 2 万以下のものをいう。
不 飽 和 基 を 含 む ポ リ エ ス テ ル (無 水 マ レ イ ン 酸 や フ マ ー
たとえば沸点は n=4 の場合 250°C,n=5 の場合
ル酸 の よ うな 不 飽 和 二 塩 基 際 と グ リコー ル類 を 主 体 と し
2 8 1 ° C で 融 点 は 分 子 量 の増 加に つれ 高 くな る。液 状 物
た縮合体)を重合性モノマー(スチレンモノマーなど)
(分子量 190~630)は水や多くの有機溶剤とまざる。固
に溶解した樹脂で,重合開始剤(触媒)および活性剤
状物(分子量 950 以上)は冷水にはよく溶けるが有機溶
(促進剤)の添加によって常温で硬化する,塗膜は硬
剤には常温では溶けにくい。可塑剤,アルキド樹脂の
く,耐溶剤性がすぐれているが,たわみ性が乏しい。木
原 料 で あ る 。 ア ル カ リ 触 媒 で エ チ レ ン オ キシ ド の 水 へ の
工製品,合板などを主要な被塗物として 2 液または 3 液
開環重付加によって作られる。
形 で 使 用 さ れ る。
ポリ酢酸ビニル
ポリエステル樹脂塗料
→ 酢酸ビニル樹脂
polyester resin coating
樹脂の主鎖が多数のエステル結合でできたものをポリ
ポリ結合反応
エ ステ ル樹 脂とい い ,飽和 の 塩基 酸 と多 価ア ルコールと
polycondensation reaction (重縮合)
脂肪酸から作った樹脂はラッカー,アミノアルキド樹脂
塗料などの成分の一部として広く使用されている。通
縮合反応のくりかえしによって ,分子間に新しい共有
結合を作り高分子化合物を生成していく反応。
常,ポリエステル樹脂塗料というのは,不飽和結合をも
つ 2 塩基酸と多価アルコ-ルにより作 られた樹脂を,ス
チレンモノマーのような重合反応性モノマ -に溶解した
も の で 作 っ た 不 飽 和 ポ リエ ス テ ル 樹 脂 塗 料 で あ る 。こ の
たとえば,1 分子中に 2 個のカルボキシル基(–COO
H)と 2 個のアルコールの水酸基(–OH)をもつ化合物
を 反 応 さ せ生 成 す る水 をと り除 くと 線 状の 高 分子 化 合物
となる。
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日本塗装技術協会
ホルマリン
formalin
ホルムアルデヒド(HCHO)の 37%水溶液。比重 1.14
(18°C/4°C)商品名だが現在では一般名化している。
メラミン樹脂,尿素樹脂などのアミノ系樹脂,それにフ
ェ ノ ー ル樹 脂 , キシレ ン 樹 脂 な ど の 製 造 時 に メチ ロ 一 ル
化剤として使用される。
防徽(ばい)剤
JISK1502–1958 では,ホルムアルデヒド分 (重量
→ かび止め剤
%)37.0±0.5,遊離酸(ギ酸として)(g/100cc)0.08
以下,などと規定されている。なお,ホルムアルデヒド
ポリビニルアルコール
水 溶 液 の 水 の 代 り に メ チ ル ア ルコ ー ル * , ブ チ ル ア ル コ
polyvinyl alcohol
ポバール(poval)とも呼ばれモノマーをもたない,
唯一の水溶性重合物で,比重 1.21~1.31 の白色ないし帯
ール*などを用いたホルマリンアルコール溶液も市販さ
れている。
また,ホルムアルデヒドは労働省の定めた特定化学物
黄色の粉末。低分子のものほど水に可溶性があり有機溶
剤 に 対 す る 抵 抗 性 は け ん化 度 が 増 す と と もに 強 くな る 。
塗 膜 の 抗 張 力 ,強 度 ,仲 張 度 は 高 分 子 化 す れ ば 上 昇 す
る 。 ポ リ 酢 酸 ビ ニ ル を 原 料 と し ,溶 液 状 態 で 脱 酢 酸 す る
ことにより得られる。ビニロンの原料で塗料としては乳
化剤として利用される。構造としては
で
質等障害予防規則 * の特定化学物質に指定されており,
また毒物および劇物取締法 * による劇物に該当するので,
その取り扱いには注意が必要である。
ホワイチング
whiting,natural calcium–carbonate
表わされる。
白 亜 ,寒 水 クレ ー,重 質炭 酸 カルシウ ム ,炭 酸 石灰 粉
などともいう。炭酸カルシウム(CaCO3)が主成分の体
ポリッシングコンパウンド
質顔料*。
沈降製炭酸カルシウム*(軽質炭酸カルシウム )が合
polishing compound
上塗り後の塗膜の仕上みがきに用いるもので,#300~
成に よっ て人工 的に作 られ るのに対 し,天然 の石灰 石 を
#600 の耐水ペーパーで水研ぎした後に使用する。微細な
機械的に粉砕し,適度な粒度に分級して製品とする。
砥の粉や硅砂粉などを入れてあら目,中目,細目の種類
比 重 2 . 7 ~ 2. 9 , 粒 径 1 . 5 ~ 1 2 μ , p H 8 . 6 , 水 可 溶 分
が あ る 。 漆 に 使 用 す る油 砥 の 粉 と 同 じ 役 目 を も ち ,み が
0.15~0.23,屈折率 1.48~1.68,吸油量 6~15(16/
いた塗膜はワックスでつや出しをする。
1001b),主成分の CaCO 3 のほかに 20%以上の MgCO 3
を含む。
プ ライ マ一 や サ ーフ ェ サ ーの 体質 顔 料 ,つや 消 し上塗
ボルドー10B
bordeaux 10B
り塗料用顔料として用いる。
JISK5215–1971「ボルド–10B(顔料)」ではΓト
な お , A S T M D 1 9 9 – 6 9 で は Ty p e P C と し て 沈 降
β オキシナフトエ酸のカルシウム,バリウ
性 炭 酸 カ ル シウ ム を , Ty p e G C と し て 重 質 炭 酸 カ ル シ
ム,マグネシウム塩などを主成分とする紫 みの赤色顔
ウム(ground mineral product)を分類し,また,粒
料」と定義している。モノアゾ系有機顔料。比重 1.69,
径によって,4 種類(Ⅰ; Fine Paint Grade,Ⅱ; Coarse
原 色・ 濃色 におけ る耐候 性 は比較 的 良 く,安 価 なの で 油
Paint Grade,Ⅲ; Filler Grade,Ⅳ; Putty Powder
ビアス酸
Grade)にわけている。
ホワイトカーボン
→ シリカ白
ボンマルーン
性 塗 料 ,長 油 性 ア ルキド 樹 脂 塗料 ,ラ ッカーな ど の 上 塗
BON–maroon
り用顔料として使用されている。
JISK5223–1971「ボンマルーン M(顔料)」では「ト
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日本塗装技術協会
ビアス酸 → β–オキシナフトエ酸(マンガン塩)を主成
塗装をする前に物理的または化学的に脱脂,除錆など
分 と す るマ ル ー ン 色 の 顔 料 」 と 定 義 して い る 。 β – オ キ シ
の 処理を して ,塗 料の付 着性や防食 性を高 めることを 前
ナフトエ酸の略(B.0.N.)からボンマルーンという。色
処理という。金属塗装では,化成皮膜処理 *やサンドブ
調によって赤味の強い茶色(栗色)のボンマールライト
ラスト*があり,木材塗装などでは,素地調整,素地こ
( B o n – m a r o o n L )か ら ,青 紫 味 の 強 い ボ ン マ ル ーン ダ
しらえ と よば れ て い る。
ーク(Bon–maroon D)まである。ボソマルーンメディ
アム(Bon–maroon M)はその中間の色調である。い
膜厚測定器
film thickness gauge
ず れ も顔 粉 分 散 性が 劣 り ,色 調もや や 濁 っ て い るが ,安
塗膜の厚みを測る測定器の総称。
価 な割 合に濃 色 (原色 )の耐 候性お よび 耐熱 性が比 較的
塗膜は被塗物面に付着した状態にあるため,その状態
よいので,油性塗料,長油性アルキド樹脂塗料,ラ ッカ
ー(含アクリルラッカー),や焼付型アミノアルキド樹
脂塗料などに広く用いられている。比重 1.6~1.7
のまま測定できる場合と,遊離塗膜(はく離した塗膜)
の場合と,塗膜を破壊(傷をつけたり,けずりとった
り)して測る場合などがある。
次に各試験機とその特徴を示す。
各
種
膜
厚
計
マ
マイカ
→ 雲母(うんも)
マイクロカプセル
microcapsule
ポリマーや製膜性の物質を壁膜とする顕微鏡的大きさ
の容器,パッケージ,コンテナーであり物質の微粒子を
内 蔵 保 護 す る こ と が で き るも の で ,通 常 シーム レ スで 硬
い薄膜からできている。塗料の例として,ビヒクル中に
ク ロ ム 酸 亜 鉛 を 分 散 した もの を ゼ ラ チ ン な ど で カプ セ ル
化し,その壁側に硬化剤をまぶした数百ミクロンのカプ
セ ル な ど が あ る 。 こ れ は 航 空 機 製 造 の 際 の 自 動 リベ ッ ト
打ちの可能な防錆剤であ る。お 互いに反応しやすいもの
を隔離し,長期間にわたって保存ができる効果は 2 液型
の反応性塗料など,また粉体塗料などに応用すると良い
と思う。
マクスウェル模型
Maxwell model
外力を受けたとき,短かい時間では弾性的に変形する
マイクロメリテックス
micromeritics
粉粒体に関する工学のことである。
が,長い時間の後には流動を起こすような粘弾性物質の
挙動を表わすのに,J.C.Maxwell は次の式を提案し
た。ds/dt=G(dγ/dt)–S/τ)ここで,S は応力,γ はひ
前処理
pretreatment
ず み ,t は 時 間 , G は 物 体 の 弾 性 率 , τ = γ / G は 緩 和 時
間(η は粘性率)である。速い変形に対しては,S=Gγ
で 弾 性 に 対 す るフ ック の 法 則 が成 立 し,遅 い 変 形 に 対 し
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