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平成 18 年 8 月 7 日
第 3 回 日本・インドネシア国際協働授業研究会
計画書
第 3 回日本・インドネシア国際協働授業研究会を平成 18 年度科学研究費基盤研究(A)(研究代表者:中田
英雄)の一環として実施いたします。今回の研究会に先立ち、平成 16 年にバンドンのチパガンティ知的障害
養護学校とチチェンド聾学校、平成 17 年にスラバヤのグダンガン知的障害養護学校で研究会を実施してきま
した。このたびインドネシア教育省特殊教育局との連携による正式な国際協働授業研究会の実施となりまし
た。今回の研究会の目的は、協働授業研究及び研修の効果をインドネシアで検証するとともにインドネシア
の障害児教育協力を推進することです。なお本研究会は、平成 18 年度文部科学省拠点システム構築事業「国
際教育協力イニシアティブ」(課題実施者名:中田英雄)と連携して実施します。
期
間:平成 18 年 8 月 5 日(土)~平成 18 年 8 月 14 日(月)(9 泊 10 日)
場
所:インドネシア共和国パダン国立大学、国立パダン第2知的障害養護学校
共
催:筑波大学 CRICED、インドネシア教育省特殊教育局、パダン国立大学
協力大学:インドネシア教育大学、マナド国立大学、ジョグジャカルタ国立大学、ジャカルタ国立大学、
スラバヤ国立大学、3 月 11 日国立大学、マカサル国立大学、パダン国立大学
組
織:パダン実行委員会
アドバイザー インドネシア教育省特殊教育局長
西スマトラ州教育局長
パダン国立大学学長
インドネシア教育大学学長
スラバヤ国立大学学長
Pengarah
Dr.Jasrial, M.Pd.(西スマトラ州教育局)
(指導者)
Prof.Dr.Phil.Yanuar Kiram(パダン国立大学)
Dra.Dahliarti(パダン国立大学)
Dra.Irdamurni, M.Pd. (パダン国立大学)
実行委員長
Prof. Dr.Sufyarma(パダン国立大学教育学部長)
副委員長
Drs.H.Dian Wijaya(西スマトラ州教育局)
事務局長
Drs. Asep A. Sopandi(パダン国立大学講師)
Irman, S.Pd(パダン第 2 知的障害養護学校長)
スタッフ
Dra.Hj.Mindawati, M.Pd.(パダン国立大学)
Hj.Desriyeni, S.Pd.(西スマトラ州教育局)
Drs.Yunelfis, M.Pd.(西スマトラ州教育局)
Drs.Faisal
(西スマトラ州教育局)
Drs.Tarmansyah, S.Pd.(パダン国立大学)
Drs.Ganda Sumekar(パダン国立大学)
Martias Z, M.Pd.(パダン国立大学)
Etis Marya, S.Pd.(西スマトラ州教育局)
Hasmi Roza, M.Pd.(西スマトラ州教育局)
1.協力者
1)日本研究チーム(9 名)
松崎保弘(沖縄県立西崎養護学校・教頭)
梅原俊子(横浜市立本郷養護学校・教諭)
平良みどり(糸満市立糸満小学校・教諭)
竹内康二(慶應義塾大学・研究員)
関根敏男(筑波大学学術情報メディアセンター・技術専門職員)
江守亜由美(筑波大学大学院 修士課程 教育研究科 障害児教育専攻 1 年)
-1-
福嶋利浩(筑波大学教育開発国際協力研究センター・研究員)
○久保木 勇(筑波大学教育開発国際協力研究センター・研究員)
◎中田英雄(筑波大学教育開発国際協力研究センター・教授):責任者
2)インドネシア研究チーム(15 名)(8 月 5 日(土)~11 日(金):パダン滞在)
Khairil(マナド国立大学・講師)
Suparno(ジョグジャカルタ国立大学・講師)
Juang Sunanto(インドネシア教育大学・講師)
Zaenal Alimin(インドネシア教育大学・講師)
Juhanaini (インドネシア教育大学・講師)
Lalan Erlani(ジャカルタ国立大学・講師)
Nuraeni(ジャカルタ国立大学・講師)
Budiyanto(スラバヤ国立大学・講師)
Gunarhadi(3 月 11 日国立大学・講師)
Munawir Yusuf(3 月 11 日国立大学・講師)
Agus Marsidi(マカサル国立大学・講師)
Eka Whardani (ジョグジャカルタ国立大学・学生、元筑波大学留学生)
Asep A. Sopandi(パダン国立大学・講師)
○Sujarwanto(スラバヤ国立大学・講師)
◎Djadja Rahardja(インドネシア教育大学・講師)
:責任者
2.参加者
インドネシア教育省特殊教育局、西スマトラ州教育局、パダン国立大学教員と学生、国立パダン第二養護
学校校長と教員、保護者、行政関係者および社会福祉関係者など約 200 名(パダン市内 100 名、全国 100 名)
3.実施方法(授業研究、協働授業研究、研究協議会、研修会)
1)授業研究(小学 5 年生、軽度知的障害児、体育 10 名、算数 10 名)
日本の教師が指導案を作成し、体育及び算数の授業を行う。
インドネシアの教師が指導案を作成し、体育及び算数の授業を行う。
2)協働授業研究(小学 5 年生、軽度知的障害児、体育 10 名、算数 10 名)
日本とインドネシアの教師が協働で指導案を作成し、体育及び算数の協働授業を行う。
3)研究協議会
授業研究及び協働授業研究終了直後に研究協議会を開く。参加者を大学教員、学校教員、行政、社会福
祉関係者、保護者、学生のグループに分け、各グループに責任者を 1 名置く。責任者は、グループの意見
をまとめて発表する。
4)研修会
日本の障害児教育経験について講演する。
4.担当者および役割
1)授業研究・協働授業研究
梅原俊子(横浜市立本郷養護学校教諭)、通訳・翻訳:久保木 勇、
養護学校小学部体育授業の指導案を作成し、授業を実施する。
インドネシアの体育教師と協働で指導案を作成し、協働授業を行う。
合計 2 回の授業を実施する。
平良みどり(糸満市立糸満小学校教諭)、通訳・翻訳:久保木 勇
養護学校小学部算数授業の指導案を作成し、授業を実施する。
インドネシアの算数教師と協働で指導案を作成し、協働授業を行う。
合計 2 回の授業を実施する。
竹内康二(慶應義塾大学研究員)、翻訳:久保木 勇
指導案を作成し、自閉症児の個別指導を 1 回行う。
-2-
2)研修会
「動きづくりと体づくり」:梅原俊子(横浜市立本郷養護学校教諭)
「障害の早期発見と早期教育-教育相談の意義-」:平良みどり(糸満市立糸満小学校教諭)
「知的障害児教育教員の職務内容」:松崎保弘(沖縄県立西崎養護学校教頭)
「自閉症の指導法と単一事例研究法」:Juang Sunanto(インドネシア教育大学講師)
竹内康二(慶応義塾大学研究員)
3)ビデオ収録・編集:関根敏男
授業研究、協働授業研究、研修会などの模様をビデオに収録し、ビデオ CD に編集する。
4)総務:久保木勇、福嶋利浩
5)会計:江守亜由美
6)アンケート調査:江守亜由美
7)通訳・翻訳:久保木勇、Eka
8)写真撮影:全員
5.タイムスケジュール
全日程
年.月.日
行事予定
2006.8.5(土) 成田出発(11:25)→
備
ジャカルタ着(16:50)
Mr.Samino 宅へ招待
考
JAL JL725 便
Hotel Nikko Jakarta 泊(ジャカルタ)
2006.8.6(日) ジャカルタ発(11:30)→
パダン着(13:00)
実行委員会開催(パダン国立大学)
2006.8.7(月) 打ち合わせ(国立パダン第2知的障害養護学校
見学、指導案および教材の下調べ)
ADAM Air
Muaro Hotel 泊(パダン)
Muaro Hotel 泊(パダン)
実行委員会うち合わせ
2006.8.8(火) 打ち合わせ(国立パダン第2知的障害養護学校
見学にて、指導案の作成および教材の準備)
Muaro Hotel 泊(パダン)
実行委員会打ち合わせ
インドネシア研究チームとの打ち合わせ
2006.8.9(水) 開会式
国立パダン第2知的障害養護学校
授業研究
Muaro Hotel 泊(パダン)
2006.8.10(木) 協働授業研究、研修会
国立パダン第2知的障害養護学校
Muaro Hotel 泊(パダン)
2006.8.11(金) 研修会、閉会式、反省会
パダン市内のホテル
Muaro Hotel 泊(パダン)
2006.8.12(土) パダン市内の学校見学(国立パダン盲学校、国
立パダン聾学校など)
パダン発(13:55)→
ジャカルタ着(15:25)
Lion Air JT355 便
Hotel Nikko Jakarta 泊(ジャカルタ)
2006.8.13(日) 資料整理、反省会、ジャカルタ発(22:35)
2006.8.14(月) 成田着(07:55)
-3-
JAL JL726 便
授業研究・協働授業研究・研修会スケジュール
2006 年 8 月 9 日(水) 場所:国立パダン第2知的障害養護学校
時間
内容
備考
08:00-08:30
受付
資料配付、名簿記帳、ネームプレ
ート、アンケート配付・回収
08:30-09:00
開会式
司会:Asep A. Sopandi
1)Sufyarma(パダン教育大学教育学部長)
通訳:Eka
2)中田英雄(筑波大学教授)
通訳:久保木
3)Rahmat Sami(西スマトラ州教育局長)
通訳:Eka
09:00-09:10
準備
09:10-09:50
体育授業(J)
(梅原俊子)
勇、Eka
進行係:Asep A. Sopandi
久保木
勇・Eka
09:50-10:00
準備
10:00-10:50
体育授業(I)
(Ms.Amperiyenti Jaya, S.Pd.)
10:50-11:05
コーヒー・ブレーク
11:05-12:30
参加型研究協議会(体育授業)
12:30-13:30
昼食
ダンス、歌、DVD 放映
13:30-14:10
算数授業(J)
(平良みどり)
進行係:Budiyanto、Eka(久保木
勇)
14:10-14:20
準備
14:20-15:00
算数授業(I)
(Mr.Mulmulyadi)
15:00-15:15
コーヒー・ブレーク
15:15-16:45
参加型研究協議会(算数授業)
進 行 係 : Suparno 、 久 保 木
(Eka)
勇
司 会 : ○ Martias 、 松 崎 保 弘 、
Djadja Rahardja
グループ:大学教員、学校教員、行政、社会福祉、
保護者、学生
進行係:Gunarhadi、Eka(久保木
勇)
司会:○Ganda、松崎保弘
グループ:大学教員、学校教員、行政、社会福祉、 通訳:Eka、
(久保木
保護者、学生
16:45-18:00
勇)
協働授業研究打ち合わせ
体育(J:梅原+I:Ms.Amperiyenti
Jaya, S.Pd.)
算数(J:平良+I:Mr.Mulmulyadi)
通訳:Eka、久保木
勇
18:00-19:30
夕食
19:30-21:00
グループ・ディスカッション(インドネシア参加者) 責任者:Martias、Ganda
-4-
2006 年 8 月 10 日(木)
場所:国立パダン第2知的障害養護学校
時間
内容
備考
08:00-08:30
受付
出欠確認
08:30-09:10
協働授業研究
進行係:Lalan、久保木
勇(Eka)
体育(J:梅原俊子+I:Ms.Juli, S.Pd.)
09:10-09:20
準備
09:20-10:00
協働授業研究
進行係:Sujarwanto、久保木
勇(Eka)
算数(J:平良みどり+I:Ms.Amperiyenti Jaya, S.Pd.)
10:00-10:15
コーヒー・ブレーク
10:15-11:45
参加型研究協議会(協働授業)
司会:○Sujarwanto 、Lalan
グループ:大学教員、学校教員、行政、社会福祉、 通訳:Eka、久保木
保護者、学生
11:45-12:45
昼食
12:45-13:45
自閉症児の個別指導(竹内康二)
勇
進行係:Zaenal Alimin
通訳:Eka、久保木
勇
13:45-14:00
コーヒー・ブレーク
14:00-16:00
参加型全体研究協議会 「授業研究の意義」
司会:○Djadja Rahardja、Ana、
グループ:大学教員、学校教員、行政、社会福祉、
松崎保弘
保護者、学生
通訳:Eka、久保木
16:00-17:00
研修会打ち合わせ
17:00-19:30
夕食
19:30-21:00
レポート作成および提出(インドネシア参加者)
2006 年 8 月 11 日(金)
責任者:Djadja Rahardja
場所:教科別研修センター(教育の質保障機関)
時間
08:00-08:30
勇
内容
備考
受付
資料配付、出欠確認
アンケート配付:江守亜由美、
福嶋利浩
08:30-09:10
研修 1「動きづくりと体づくり」
司会:Nuraeni
講師:梅原俊子
通訳:久保木
09:10-09:25
コーヒー・ブレーク
09:25-10:05
研修 2「早期発見と早期教育-教育相談の意義-」
講師:平良みどり
勇(Eka)
司会:Munawir Yusuf
通訳:Eka(久保木
10:05-10:20
コーヒー・ブレーク
10:20-11:20
研修 3:
「知的障害児教育教員の職務内容」
講師:松崎保弘
司会:Juhanaini
通訳:久保木
-5-
勇)
勇
(Eka)
11:30-13:30
昼食
13:30-15:00
研修 4:
「自閉症の指導法と単一事例研究法」
講師:Juang Sunanto、竹内康二
司会:Asep A. Sopandi
通訳:Eka、
(久保木
勇)
15:00-15:15
コーヒー・ブレーク
15:15-16:15
グループ・ディスカッション結果発表
司会:Munawir Yusuf、Suparno
16:15-17:00
閉会式
司会:Ganda Sumekar、Eka、
・あいさつ
梅原俊子
1)Mawardi Efendi(パダン国立大学長)
2)参加者代表
3)中田英雄(筑波大学教授)
:記念品贈呈
・授業担当者への記念品贈呈
アンケート回収:江守亜由美、
・参加証授与(参加者代表)
Asep
・閉会宣言:中田英雄(筑波大学教授)
・記念撮影(参加者全員)
反省会 (研修会の反省および提言、将来の展望など) 実行委員会、日本およびインドネ
シア研究チーム
19:30-21:00
日本・インドネシア交流会
6.連絡先
Hotel Nikko Jakarta (Tel:+62-21-2301122
Muaro Hotel (Tel:+62-751-35600 or 33741
国立パダン第2知的障害養護学校
Fax:+62-21-3143631)
Fax:+62-751-7875100)
7.緊急連絡先
Djadja Rahardja (インドネシア教育大学講師)(携帯電話:+62-81842○○○○)
8.国内緊急連絡先(出発前・帰国後)
久保木 勇(携帯電話:080-6608-○○○○)
福嶋 利浩(携帯電話:080-3962-○○○○)
9.その他
・報告書の執筆
・旅費滞在費の全額支給
-6-
※日本語が通じます。
パダン第2知的障害養護学校における体育の研究授業の報告
(一斉授業)
横浜市立本郷養護学校
梅原俊子
1、はじめに
本報告書は、公立学校の一教員が日本チームの一員としてインドネシアへ渡り、インド
ネシアの知的障害養護学校において日本の一斉授業を行ったことと、現地の教員と協力し
て教材や授業を考案する協働授業を行った結果をまとめたものである。本稿は一斉授業を
まとめた。
2、目的
パダン第2知的障害養護学校の基礎3クラス 10 名を対象に、体育「ダンス」を行うこと。
この 10 名は、幼稚部から小学部6年生までの異年齢で、しかも軽度の発達障害から中等度
の自閉症、さらに左半身の運動障害を併せもつ発達障害の子どもで構成される異能力の集
団であった。予め教材準備と授業指導案の準備をしたが、出会った子どもたちにどのよう
な授業を展開するのかは、授業者に任された。限られた時間の中で個々のアセスメント(調
査)を行い、日本と同じように授業が展開できるのか、また日本の授業に対する子どもた
ちの反応はどうなのか、異年齢・異能力の集団における体育の一斉授業は可能であるのか、
炎天下や雨の日などの天候条件やそれぞれの興味や体力に応じて 40 分の授業時間を途切れ
ることなく配分できるのかを検証したい。
3、方法
(1) 教材準備(現地で準備したもの)
おおよそ日本で立案した教材をイメージしていたが、太鼓は日本のものと音色が違うた
め、現地の子どもたちの馴染みのある太鼓を準備した。木綿製の縄は、1.5cm 幅のものが入
手できず、学校にある 0.8cm 幅のものを使用した。いくつかの縄の中で、10m ほどの長さ
のものを選択した(図1)
(図2)。
-7-
図 1 太鼓の種類を検討
図 2 縄の素材を検討
布は、4 色(ピンク、緑、青、赤)の****と呼ばれるカラフルな布を購入し、70cm 四
方になるように裁断した。10 名の子どもが十分な色の中から選択できるように、4 枚×4
色=計 12 枚を用意した。布を吊るすための縄は、プラスチック製の太い(約 2cm 幅)も
ので、7m のものを購入した。足型ステップを行うために、色画用紙(ピンク)を子どもの
足型に切って、子どもが跳び易い距離にセットして透明テープで貼り付けた(図3)
(図4)
。
CD プレイヤーは校長室のものをお借りした。
図 3 足形を地面にセッティング
図 4 上から透明テープで固定
(2) 授業場所の安全確保
体育館はなく、通常屋外の芝生やコートでボールゲームやジャンプなどの体育授業を行
っているという情報を得た。炎天下の中で、70 分にも及ぶ授業を行うこともあるという。
バレーボール用のコートはコンクリートでできており、所々に穴が開いていて、子どもの
つま先がすっぽりと入ってしまう穴もあった。そこで、エリアを視覚的に認知しやすいバ
レーボールコートを使用することとし、雨の場合は教室の椅子を外に出して行う準備を行
った。授業前に散乱している石ころを掃除し、穴は新聞紙を丸めてふさいで環境設定した。
一番平らで直線距離が 16m ほど確保できる場所に、ステッピング(足形ジャンプ)用のス
タートとゴールの線をチョークで描き、足形は授業者が子どもの跳び方や歩幅を想定して
設定した。縄のダンスをするための円は、凹凸の少ない(穴のある箇所を避けて)チョー
-8-
クで描き、上から青色ガムテープを貼ってハッキリ分かるように設定した。
(3) 事前のアセスメント情報(コミュニケーション含む)
実施日は、調査を行ったのが 2006 年 8 月 7 日と 8 日、研究授業を行ったのは 9 日であっ
た。調査では、手遊び「むすんでひらいて」を行い、簡単な指の開閉と腕の挙上によるリ
ズム感覚や身体イメージ感覚の確認を行った。通訳の言葉を手がかりに動く子や、授業者
の動きを視覚的に捉えて模倣する子がいた。おおよそ歌に合わせて動く経験があるように
見られた。この時、一斉指導の可能性(手応え)を感じた。また、縄を使った運動の経験
が少ないという情報により、「汽車ポッポ」の遊びを行った。全員が一列になり、縄を汽車
に見立てて歩くというものである。呼びかけによって全員が縄の輪の中に入り、教室を出
て芝生やボールコート上を歩いた。子どもたちの表情は明るく、実際に電車に乗った経験
が無い子どもでも、友だちと一緒に 1 本の縄に入ることで「キャ、キャッ」と笑い声をあ
げて、とても嬉しそうな表情をしていた。先頭になる子どもを交代させてみた結果、交代
がスムーズで一人ひとりが全体と協調できる力をもっていることが分かった(図5)
(図6)
。
図 5 汽車の先頭はだれ?
図 6 みんなで縄を持つ
(4) 子どもの状態に合わせた可変性(指導案内容)
大幅な変更がないように、日本での体育授業の経験を踏まえて、子どもの状態の変化に
対応できる内容と教材を考案した。それが「足型ステップ」、「縄を使った運動」、「布を使
ったダンス」であった。例えば、ステップの展開に「足型を踏みながら跳ぶ」という方法
を明記しているが、子どもの状態に合わせて、ステップの方向や一歩の幅、跳ぶタイミン
グなどを変化させることにより、運動のバリエーションを適宜変更できるものとした。し
たがって、指導案に記した内容は大まかな要点を示しただけであり、実際の授業を展開す
るときには、授業者のアドリブや運動のバリエーションの工夫が必要になると予測された。
(5) 言葉は日本語での授業(インドネシア語の通訳)
授業の打ち合わせの中で「一切、インドネシア語を使わないで授業をすること」の確認
があり、それを実行した。授業者は日本にいるときと同じ姿勢で授業に臨むことにより、
落ち着いて授業に取り組むことと、子どもたちの状態の変化を見逃さないことに集中する
ことを目的とした。授業者の横に通訳がいることを心強く思った。アセスメントの際にも、
子どもたちは通訳の久保木さんを意識していたが、それが授業の妨げになることは一度も
-9-
なく、むしろ、子どもたちを励ます存在になっていた。いわば、授業者は体(手本)で通
訳が心(言葉)を担い、2 人で一役を行っているようであった。普段の学校教育で行われる
T・T とはまた違ったチームワークで授業を進めることとなった。
4、結果
(1) 教材と指導案の適時性
インドネシアの養護学校の小学部向け「体育」学習指導要領には、それぞれの運動項目
に 12 段階の評価ができるようになっている。訪問した際に、ちょうど「ジャンプ」の課題
(単元)を行っていて、授業者の立案した指導案をほとんど変更せずに使用することがで
きた。足型を使った片足ジャンプや布や縄を使った各種ジャンプは、インドネシアの子ど
もたちに適時性のある内容で、しかも教材のシンプルさ(素朴さ)は子どもたちに受け入
れやすい素材であったといえる。CD プレイヤーが途中で止まってしまうというハプニング
もあったが、授業者が「キラキラ星」を歌い、その歌に合わせて子どもたちと歩いた。す
でに縄をもって輪になっていたため、子どもたちが散ってしまうことも無かった。このよ
うな想定外のハプニングは、日本では味わえない貴重な経験であった。
(2) 安全確保
天候に恵まれ、気温が 30 度以上の青空の下で体育の授業が行われた。この授業では靴を
履いていたが、暑さのため授業の途中で裸足になる子どもも見られた。普段、裸足で遊ぶ
経験があるにせよ、足元に石ころが無い快適さは感じてくれていた様子であった。また、
予め準備をしておいた水は、授業の 3 分の 2 を過ぎた時点(縄の課題が終了し、布を提示
する直前)で活用された。子どもたちの頬がほてり、動きが鈍くなってきたことをキャッ
チした授業者は、子どもたちに水分の補給を勧めた。最後まで全員参加と、事故(ケガ)
もなく終えることができた。
(3) 個々の動きへの配慮
実際の授業では、個々の動きに配慮をしながらも一斉授業の形態で行った。事前の調査
から得られた情報を手がかりに、授業者がそれぞれの動きを予測し、以下のようなグルー
ピングをして目標を立てた。
① のんびりグループ(イファ、リディア、ウピ、チトラ)
② にぎやかグループ(フェンディ、ベニトゥ、アンディカ)
③ さわやかグループ(ネリー、ディニー、バユー)
グループ
主な障がい
ステップジャンプ
縄を使った運動
布を使った運動
のんびり
自閉傾向
人の動きを見たり
友だちと一緒に縄
布を引っ張り獲得す
CP(左半身)
面白いと感じたり
を持つ。縄を持ち
る喜びを知る。布を
失語・寡黙など
して参加する。足
続ける。リズムに
持ったままゆっくり
形に興味をもち、
合わせて縄を揺ら
と歩く。布を握りそ
踏んでみる。
す。
の感触を楽しむ。
始めと終わりを理
積極的に布に触れて
にぎやか
多動(ADHD) 指示や合図に気が
10
高機能自閉症
さわやか
全体目標
ついて、順番を守
解して縄を操作す
思いのままに動く。
ってスタートす
る。3 拍子のリズム
MT の動きに注目し、
る。足形を正確に
に合わせて踊る。
時々模倣をしてみ
踏んで跳ぶ。
左右を意識する。
る。
軽度発達障害
呼名されたら前に
力いっぱい縄を引
好きな色を選択し布
心因性の対人
出てきて跳ぶ。始
く、上下に動かす
を引っ張る。布を上
関係困難など
めの一歩が出ない
など、体を伸ばす
下左右に振り、自由
時は MT と一緒に
体験をする。友達
に操作する。MT の
跳ぶ。
を意識して動く。
動きを模倣してみる
全てを対象
・できるところはやってみようとする態度を育てる。
・自分を主張して、思いきり動く体験をする。
・みんなで力を合わせて動く楽しさを味わう。
のんびりグループ①の配慮事項としては、
「興味をもたせるように誘導すること」と「無
理にはさせないこと」であった。にぎやかグループ②の配慮事項は、
「活動の見通しがもて
るように視覚的な教材の提示をすること」と「はじめと終わりが分かりやすい指示や合図
をすること」であった。さわやかグループ③の配慮事項は、
「自分にもできるという勇気を
もたせること」と「自己主張してくるまで待つこと」であった。
(4) 授業の評価
授業者の配慮事項を受けて、①に属するリディアが最初のステップから座り込みをして
いたのが、だんだんと表情がにこやかになり、顔が上がって友だちの様子を目で追うよう
になった。また、ピンク色の足形はじっと見つめていて、足裏の形として認知されている
様子であった。縄の運動で「お姫様」役となり、さらに笑顔が大きくなった。座り込んで
いても、授業には十分参加できていたと評価したい(図7)
。布を取りに行くことが理解で
きない様子を見て、授業者はリディアの手に布を一枚握らせた。すると、スッと立ち上が
り吊るされている布に歩み寄り、笑顔で好きな布を引っ張っていた。2 枚もつことになった
が、布をもつことでみんなから褒められ、とても嬉しそうであった。そのまま布をもち続
けてみんなと一緒に歩くことができた(図8)。
図 7 リディアを中心に場所を移動
11
図 8 布をもつリディア
アンディカは注意が散漫になりやすく、勝手に行動することが多く見られたが、授業で
はしっかりとスタートラインに立ち、合図を待ってからスタートすることができた。
(図9)
また、正確に足形を踏み切りゴールすることもできていた。
(図 10)前日の「汽車ポッポ」
の時は順番を待てなかったが、授業では友だちに順番を譲る場面も見られた。アンディカ
が布をスカートのようにして身にまとうと、他の 2 人がそれを真似して 3 人が団結してい
るようにも見えた。
図 9 整列するアンディカ:2 番目
図 10 見事なジャンプ
ネリーはいわゆる「引っ込み思案」な女の子であったが、授業者に注目して、それを忠
実に再現しようと努力していた。順番を譲っているわけでもないのに、どんどんと後ろへ
下がってしまう状況で、授業者が呼名すると恐る恐る前に出てきてスタートラインにたっ
たのであった。始めの一歩を一緒に跳ぶことで、ネリーは自ら跳び続けることができた。
(写
真 11)ゴールした後の表情は自信に満ちていた(写真 12)。縄をもって授業者が歌うと「プ
ッ」と吹き出し笑いをして見せて、嬉しそうに歩いていたのが印象的であった。音楽に合
わせてリズミカルに足踏みも披露してくれた。布を獲得するのは最後であったが、残って
いる 3 色の中から恥ずかしそうに「赤の布」に手を伸ばし、主張していた。
12
図 11 ジャンプするネリー
図 12 ゴールを賞賛
(5) 子どもたちのまとまり
全体としては、よく授業者を見て動いたり、設定された教材に興味をもって動いたりで
きた。導入で行った手遊びは、全員参加しそれぞれの気持ちを喚起することができた。授
業案通りの展開にはならなかったが、それぞれの子どもの目標は達成できたと評価したい。
座り込むリディアを置いたまま、セッティング済みの円で縄の運動をしたのなら、リディ
アは最後まで孤立してしまったかも知れない。しかし、授業者の誘導で、リディアを中心
にして子どもたちの輪をつくったことが、その後の両者(リディアと子どもたち)の動機
づけとなった。布の表現のときにも音楽が途中で止まってしまったが、授業者が継続して
動いていたら、子どもたちもそのまま布を振って移動していた。言葉ではなく、動作によ
る受け答え(ノンバーバル・コミュニケーション)を実感する場面であった。
図 13 円になって歩く子どもたち
図 14 布をかぶって歩く子どもたち
5、考察
インドネシアの子どもたちは、好奇心にあふれ、人なつっこい性格であった。その子ど
もたちを支える教師はとても熱心で、日本から来た私たちにとても関心をもっていた。日
ごろから子どもたちとのラポートがとれているからこそ、子どもたちは教師を信頼し、他
所の国から来た教師でも受け入れることができる柔軟性をもっていたのだと感じた。また、
子ども同士の関係も成立しているように見られた。授業以外の場面でも友だちを意識して、
13
それぞれの居場所を持ちながらも、友だちのことをよく知っていた。そういった関係性の
もとに授業でのまとまりや、さりげない優しさ(思いやり行動)に表現されたのではない
かと考える。どこからどこまでが障害?と思ってしまうくらい、元気で優しい気持ちをも
つ子どもたちであった。実際の授業を展開するときには、授業者のアドリブや運動のバリ
エーションの工夫が必要であったが、子どもたちの好奇心や仲間意識に支えられたことが
大きかったように思う。ひとつの授業の中に大きなドラマを見たような気持ちになった。
このことを忘れないで今後もがんばりたい。
図 15 バンザイ
図 16 一緒にかぶろう
5、謝辞
最後に授業をさせていただいたパダン第2知的障害養護学校の子どもたちと先生方に感
謝を申し上げるとともに、授業準備のために夜を徹してお手伝いをいただいた日本チーム
の先生方にお礼を申し上げます。
14
体育
ダンス
指導案
H18.8.07
授業者:梅原俊子
1、日時
2、場所
3、単元名
4、ねらい
8月 9日(水)午前9:10∼9:50
体育館?グラウンド?
みんなでおどろう!
・仲間といっしょに身体を動かす体験をする
・音楽を聴いたり、友達と触れ合ったりして、リズムを感じる
・できるところは模倣をする
5、展開
時間
主な活動内容
9:10 1、あいさつをする
W―Up
「はじめます」の挨拶をする
2、すわっておどる
どんなことをするのか見て、模倣をする
動きを見ながら上体を動かし、手遊びを模
倣したり、身体でリズムをとったりする
3、パネルジャンプをする
足元のパネルに足を乗せて前進する。次に
太鼓の音を聴いてリズミカルに跳びなが
ら前進する
支援の手立て
・おおよそ揃ったら始める
(MT に向いて座らせるよう
にする)隊形は未定・・
・手遊びや模倣がどの程度で
きるか、様子をみる
・手本を示す人に注目させる
・反応を受け取るようにする
・地面で行う場合は、パネル
の素材を検討する・・・
9:20 4、大縄を使って動く
・面白い提示を行う
①なわをもつ
・目印(鈴など)を手がかり
②お尻で前進・後進する
に縄を持つようにする
③立つ・座るの動き
・全員で向かい合うように座
④縄を持って歩く
り、しっかりと両手で縄を持
⑤音楽を聴いて中央に向かって歩く
つように支援する
⑥外側に向かって歩く
・動きの指示を明確に行うと
⑦④∼⑥の繰り返し
ともに、同じ動きを一緒に行
9:30 5、わになっておどる
うようにする
① 円になって中央をみて立つ
・歩き始めのタイミングで MD
② 右方向(時計と反対回り)にステップ をかける(太鼓も OK)
&歩く
・それぞれの子どもの動きに
③ 中央に向かって歩く
合わせて、ステップや歩行を
④ 外側に向かって歩く
行うようにする
⑤ ①から繰り返し
・がんばったことをほめる
「ドードレブスカ・ポルカ」
(MD)
9:35 6、長縄で遊ぶ
・長縄を工夫して提示する(布
①へびを越える
②ローポジションのくぐり
③またぐ・越える
④ジャンプ(目標物の布を取る)
を準備した縄とは別物)
・④で布を準備した縄を登場
させ、一人ずつ最初の縄を飛
び越えてから布を獲得するよ
9:40 7、布を使っておどる
① 一枚、布を持つ(フリーに動く)
② MT を見て基本の動きをする
③ 色の指示で前(中央)に出ておどる
∼見せ合って踊る表現活動∼
④ 指示されていないときは揺れて待つ
9:45 ⑤ 布を敷いて、その上に座る
C−Down ⑥ リラクゼーションを行う(ストレッチ
ング含む)
「乙女の祈り」(MD)
布を○○に片付ける
(○○のケースに入れる)
うに説明をする
・持った布でそれぞれが動く
様子を観察する
・いろいろな動きに誘うよう
にする
・自由な表現を妨げないよう
に、子どもの動きをほめたり、
子ども同士が意識し合えたり
できるように配慮する
・寝転がって呼吸を整えるよ
うに支援する
9:48 6、あいさつをする
・子どもたちの表情を見て賞
(時間があれば)ダンスについて、感想を 賛し、特に目立たなかった子
話す
どものがんばりをほめる
「おわります」のあいさつをする
6、準備・・・布 10 人分プラスα、MD と音響、足形パネル(準備が難しい場合は、
床 or 地面に円を描いておく)、長縄2本(遊び用・布提示用)
、大縄1つ、私・・・
(笑)
7、評価のポイント
・気分よく参加し、動くことができたか
・友だちを意識して動いていたか(協力・協調も含む)
・片付けに参加することができたか
など・・・
Olahraga
[Tarian]
RP
2006.8.09
Guru:UMEHARA Toshiko
Tgl.9 Agustus(haeri rabu) 9:10∼9:50WIB
SLBN2 Padang,Ruang Olahraga
Menari bersama!
・Mengarami bergerak badan bersama dengan kawan
・Merasakan irama melalui dengar musik dan skinship dengan
1、Waktu
2、Tempat
3、Topik
4、Tujuan
kawan
・Meniru pergerakan
5、Jadual
Waktu
Kegiatan
Tindakan guru
9:10
・kalo banayk anak sudah
badan
duduk mulai pembelajaran
(posisi anak menhadapi ke
guru utama ) bentuknya
1、SALAM
Hangatkan sebutkan「Kita mulai pembelajaran」
2、Menari posisi duduk
Melihat dan tiru.
Mengerakan badan.
Meniru main gerakan jari tangan.
Ikut irama.
3、Lompat Panel
belum tentu…
・melihat kemampuan tiru
anak dan pergerakan jari.
・ anak memperhatikan
Memaju atas panel.
contoh.
Lompat atas panel ssambil ikut irama ・Sambut reaksi anak.
・
gendang.
9:20
9:30
4、Gerakan dengan tali panjang
①Pegang tali.
②Maju dan mundur sambil duduk.
③Gerakan berdiri dan duduk.
④berjalan sambil pegang tali.
⑤ Berjalan ke tengah-tengah sambil
dengar musik.
⑥Berjalan kembali ke posisinya.
⑦Ulang lagi④∼⑥
5、Buat lingkasan dan menari
① Berdiri bentuk lingkasan
menhadapi tengah-tengah.
②
③
④
⑤
9:35
1
supaya anak tahu dimana
harus pegang.
・bantu anak duduk dengan
pasangandan pegang tali
dengan dua tangan.
・ menjelaskan pergerakan
secara lisan dan buat
pergerakan
yang
sama
dan dengan anak.
・Putar CD(atau gendang)
Berjalan ke kanan.
Berjalan ke tengah-tengah
Berjalan kembali ke posisinya.
Ulang lagi ①∼④
「Dodorebuska Polka」(CD)
6、Main dengan tali
・Tunjuk bahan secara unik
・Buat tanda seperti lonceng
waktu mulai berjalan.
・ Memuji
anak
yang
berusaha.
・Tujuk tali secara unik
・ ④ sediakan tali yang
9:40
①Lompat ular
②Melewati tali yang posisi rendah
③Melangkahi tali
④Lompat dan ambil kain
tempel kain.
・ Memjelaskan kegiatan,
satu per satu anak
bergilir
lompat
tali
7、Menari dengan kain
kemudian ambil kain.
① Setiap anak pegang kain dan ・ Obserbasi pergerakan
begerak bebas.
anak yang bebas dengan
② Melihat guru utama dan bergerak kain.
・ Mengundang anak ikut
berdasarkan pergerakan guru.
9:45
C−Down
③ Anak yang pegang kain yang
ditunjuk
warna,
menari
di
tengah-tengah.
∼ Kegiatan unkapan yang menari
saring tunjuk caranya∼
pergerakan yang berbagai
variasi.
・ Guru puji anak supaya
anak semanagt dan berani
tujuk pergerakan sendiri,
④ Anak tunggu sambil goyang selama dan koodinasi intaraksi
tidak ada perintah.
anak-anak.
・ Berbaring dan stabilkan
⑤ Duduk di atas kain.
⑥ Relaxation(Streching) 「La prière bernafas.
d'une vierge 」
(Putar CD)
Simpan kain di tempatnya
9:48
・ melihat waja anak dan
6、SALAM
(Kalo ada waktu)kesan dan saran memujikan
mereka,
tarian hari ini.
terutama anak yang tidak
Sebutkan「Kita selesai pembelajaran」 aktif.
6、Persiapan:kain(70 x 70 cm) x Jemulah anak dan guru, CD dan CD player,
Panel (kalo susah melukis tanda kaki di lantai), Tali panjang x 2 ( untuk lompat
x1, untuk tempel kain x1), Tali besar,
dan GURU
7、Inti penilaian
・Anak bisa ikut serta dan bergerak dengan perasaan yang enak.
・Anak bisa bergerak dengan menyedarkan pergerakan kawan atau tidak(kerja
sama,gerak bersama)
・ Anak bisa ikut simpan bahan atau tidak.
・ dll
2
パダン第2知的障害養護学校における体育の研究授業の報告
(協働授業)
横浜市立本郷養護学校
梅原俊子
1、はじめに
本報告書は、公立学校の一教員が日本チームの一員としてインドネシアへ渡り、インド
ネシアの養護学校において日本の一斉授業を行ったことと、現地の教員と協力して教材や
授業を考案する協働授業を行った結果をまとめたものである。本稿は協働授業をまとめた。
2、目的
パダン第 2 知的障害養護学校の基礎 3 クラス 10 名を対象に、体育「ジャンプ」を行うこ
と。この 10 名は、幼稚部から小学部 6 年生までの異年齢で、しかも軽度の発達障害から中
等度の自閉症、さらに左半身の運動障害を併せもつ発達障害の子どもで構成される異能力
の集団であった。教材準備や授業指導案のデザインは、授業者 MT であるイブ・イエンと
共に作成した。限られた時間の中でお互いの授業を評価し、子どもたちの評価をすること
ができるのか、またお互いの授業を踏まえてどんな授業の展開が可能か、異年齢・異能力
の集団におけるインドネシアと日本の教師による協働授業は可能であるのか、T・T(Team
Teaching)についての意見や考え方を話し合い、授業に反映できるのかを検証したい。
3、方法
(1) お互いの(前日)授業の評価から
お互いの授業を見て感想を話し合った。イブ・イエンの授業は、炎天下の状況でも子ど
もによく指示が通っていて、言葉のやりとりも慣れている様子が見られ、ジャンプの課題
に元気に取り組んでいた。しかし、子どもたちに疲れが見られたために時間を短縮し、水
分補給を普段より多く行う結果となった。これは、日本の授業の後に行った(同じメンバ
ーで連続した授業)ためと考えられた。それにもかかわらず、最後に行った旗を使った歌
とダンスは、イエン先生のオリジナルの振り付けで馴染みがあり、子どもたちも嬉しそう
に行っていた。子どもたちとイエン先生が一体となり踊る姿に、
「まとまり」や「関係性」
の良さを感じることができた。
日本側の授業で行った「足形パネル」は好評だったらしく、
「ジャンプ」の課題に適合し
ているため、協働授業でもぜひ形を変えて行ってみたいという提案が出された。また、縄
を輪にして使う発想はとても新鮮だったということで、パダン式に輪ゴムを使った「縄」
をアレンジして使用することで様々なジャンプの指導が可能になるのではないかという提
案もあった。さらに、子どもの動きに合わせて音を出した「太鼓」もぜひ取り入れたいと
の要望もあった。
- 19 -
授業の始まる直前まで話し合い(図 1)
、いっしょに子どもたちの前に立って(図 2)授
業をするという貴重な経験を紹介する。
図 1 事前の打ち合わせ
図 2 はじまりの挨拶
(2) 教材準備(協働で準備したもの)
輪ゴムを編みこんだ縄状のもの(1 本が 6~7m)を 4 本用意した。そのゴム縄の中央部
分で縛り、広げると放射状になる教材を作った。
(図 4)足形パネルは、カラーを増やして
青・ピンク・黒の 3 色にした。また、それぞれ 3 色の色紙は丸く(教室に置いてあった缶
の底で直径約 12cm)切り、丸形パネルを作った。
(図 3)ST 用の太鼓ひとつ。最後のダン
スで使うインドネシア国旗(手持ちの旗)を人数分。
図 3 丸形パネルのセッティング
図 4 輪ゴムを編み込んだロープ
(3) T・T の方法
日本の授業で「片足ジャンプ」を行い、イエン先生の授業で「両足ジャンプ」に発展さ
せたので、その流れを変えないで協働授業をすることで同意した。また、イエン先生に MT
を、梅原が ST を行うことになった。ST の配置については話し合う時間がもてなかったが、
ST が導入部分でパネルジャンプの復習を行い、展開で MT を中心に両足ジャンプの課題を
行っていくことに決まった。また、ゴム縄でジャンプをするときのモデルは ST が行うこと
や、MT や子どもたちが跳ぶときには ST による音の誘導(太鼓)を行うことで授業を展開
- 20 -
させていく方向でまとまった。
(4) 協働授業の展開(指導案)
まず、それぞれの体育授業の流れを踏まえて、授業の課題を 3 つ立てた。
1)両足で前にジャンプができること
2)両足で左にジャンプができること
3)両足で右にジャンプができること
これらの課題は、
「パネルジャンプ」と「ゴム縄を使ったジャンプ」で行う計画を立てた。
また、ゴム縄を使ったジャンプのバリエーションについてアイデアを求められたために、
実際にゴム縄をセッティングして一緒に何度も跳ぶことで、跳ぶリズムやアクセント、太
鼓の音の利用方法について意見を出し合った。そして、いくつかのジャンプバリエーショ
ンを完成させ、それを復習してから指導案の作業になった。インドネシアの先生からの提
案で、授業のまとめで「ハティ・ク・スナム」を歌い、ダンスをしたいという希望がださ
れ、それを行うことになった。MT のアドリブや子どもの状態の変化により、実際の授業が
どのように展開されるのか、また打ち合わせだけでは予測困難な課題を残したまま、協働
授業を迎えることとなった。
4、結果
(1) 協働の教材と学習結果
インドネシアの先生が主導で、子どもたちの好みや運動能力に合わせた教材を準備する
ことができた。そのため、授業の中で子どもたちが嬉しそうに取り組み、教材にも親しん
で活動する様子が見られた。現場ではよく、新しい教材を提示してそれが子どもたちに受
け入れられたときに、「くいつきがよい」などという表現をするが、まさにその表現があて
はまるくらいに、子どもたちの動きが高められる結果となった。MT の色別の指示に対して、
子どもたちは喜んで跳び始めた。(図 5)丸形パネルを意図的にランダムに置いたことが、
運動の可動域を広げる結果となった。また、ゴム縄という柔らかい素材は、子どもたちに
安心感を与え、思いきりジャンプを促す結果となった。
(図 6)さらに、ST がたたく太鼓の
強弱にあわせて、ジャンプの強弱を表現する様子も見られた。
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図 5 丸形パネルをとぶ様子
図 6 跳躍力が高められたバユウ
さらに、学習の効果としては、丸形パネルによる運動で片足ジャンプが容易になり、自閉
傾向の子どもでも視覚的なアプローチに誘導されて片足ジャンプをすることができた。ゴ
ム縄によるジャンプで両足ジャンプの学習が高められ、片足でまたぐようにジャンプをし
ていた小柄な子どもでも両足をくっつけてゴム縄を踏む場面が見られた。まさに両足ジャ
ンプの前段階がゴム縄で遊ぶ間隔で習得されていたのであった。
(2) T・T について
子どもの状態に合わせて、ジャンプの方向や一歩の幅、跳ぶタイミングなどを配慮する
ことから、ST は子どもの動きに合わせるだけでなく、MT とは対角の位置に配置すること
により、常に全体を把握できるようにした。
(図 8)また、できるだけ MT の指示を子ども
と一緒に聞くことにより、子どもの動きを太鼓の音でフォローするように動いた。(図 7)
つまり、授業の流れを止めずに、子どもと一緒に楽しむように授業を運んだのであった。
結果として MT は子どもたちに十分なモデリングを示すことができ、授業の課題を子ども
たちに取り組ませることができた。両者の動きが止まることなくスムーズな流れを展開で
きたことは、一つの成果と捉えたい。
(写真7)ST が MT を代行する場面
(写真8)ST は MT と対角に位置
(3) 協働授業の評価
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子どもたちの表情が協働授業の評価であった。子どもたちは、外国の先生が一緒に授業
をしているという意識はあったと思われるが、存在は授業の中に一体化されていて違和感
は無かった様子であった。ST と MT の両者は様々な不安を抱えたまま授業に臨んだにも関
わらず、大人の不安を他所に子どもたちはいつも通りの笑顔で授業を受けようと意欲的で、
しかも興味深々の期待感をもっているのが伝わってきた。つまり、子どもたちに助けられ
たところもたくさんあった授業ともいえるのである。両者は言葉こそ通じないが、子ども
たちを見る観点は同じであった。
「あれ?こんなはずではなかったのに!」という状況でも、
とっさのアイコンタクトで MT がアドリブで打ち合わせには無かったジャンプを提示した
り、ST が太鼓でアクセントを変えたりして、両者のオリジナルな授業を展開することがで
きた。
(写真9)リズム変化によるジャンプ
(写真 10)旗を使ったダンス
(4) 言葉はインドネシア語での授業
子どもたちから見ると、MT がいつもの先生で混乱がなかった。また、MT はいつも通り
のペースで授業を展開していくことが可能であった。ST は日本人のため通訳についていた
だいた。授業中常に通訳が横にいることは必要で、MT が子どもたちに何を指示しているの
かを即座に日本語に訳していただけるだけでなく、そのまま ST の動きに反映できたことが
授業の流れをスムーズにした。
(写真 11)また、子どもたちへのとっさの言葉がけをすぐに
通訳していただいたことにより、子どもたちは安心してジャンプを展開することができた。
(写真 12)同時に ST としてはもう一人 ST がいるような錯覚をするほど通訳は心強い存在
であった。授業全体をインドネシア語でおこなったことにより、子どもたちにもインドネ
シアの先生の偉大さと、母国を重んじる(信頼する)気持ちが伝わっていた。
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図 11 Ind→Jap へ通訳
図 12 Jap→Ind へ通訳
5、考察
協働授業の準備では、面白いことに両者の子ども観が共通していることに気がついた。
両者は指導要領に沿った畏まった内容を指導しようとしていたのではなく、日頃の子ども
たちを見て思い浮かんだ運動を話し合ったり、子どもの乗りでジャンプのリズムを工夫し
たりすることができたからである。子どもの状態の変化に対応できる内容と教材を考案す
ることは、協働では難しいと予想していたが、むしろ両者に様々なアイデアが浮かび楽し
い作業となった。それは、両者の資質(キャラクター)にあまり差がなかったためとも考
えられる。また、協働授業が成功したのは、両者の“教師経験”と“子ども観”が相乗し
たことと、いい子どもたちに出会えたことが、大きな要因であったと考える。
6、謝辞
インドネシアの先生方の子どもに対する熱意に触れて、とても刺激を受けました。また、
言葉や文化が違っても、同じ気持ちで子どもの教育に取り組んでいる教師がいることを肌
で感じることができました。T・T をするために、もっと長く滞在していたい気持ちになり
ましたが、短時間でもとても貴重な体験をさせていただくことができました。子どもたち
と歌い、踊ったことで心が通い合いました。ずっと忘れません。ありがとうございました。
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