全体報告書 - おかやま地域子育て支援拠点ネットワーク

セミナープログラム・
セミナープログラム・目次
11月23日(土)
時間
12:15~
プログラム
会場
ページ
V館1F
受付
ラウンジ
<開会挨拶>
開会挨拶>
岡山県
伊原木隆太 知事
岡山市
大森 雅夫 市長
13:00
第 12 回全国子育てひろば実践交流セミナーin おかやま実行委員会
~13:10
赤迫 康代委員長
13:10
~13:40
「地域子育て
地域子育て支援拠点事業
支援拠点事業の
点事業の概要と
概要と展望」
展望」
厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 総務課 少子化対策企画室
竹林 悟史 室長
3
「子育て
子育て支援コーディネーター
支援コーディネーターの
コーディネーターの役割と
役割と期待される
期待される力量
される力量」
力量」
13:40
関西学院大学
准教授
橋本 真紀さん
真紀さん
~14:10
14:10~14:20 休憩
<基調講演>
基調講演>
「子どものためって何
どものためって何ですか?
ですか?
14:20
~
見
つめてみよう、
、
育
ちの根
つめてみよう
ちの根っこ~」
っこ~」
~16:05
神戸大学 名誉教授
「今、私たちにできること ~分科会に
分科会に向けて~」
けて~」
・コーディネーター
岡山県立大学保健福祉学部 准教授
・コメンテーター
牛窓ルンビニ子育て支援センター
16:05
おかやま子育て支援拠点ネットワーク 代表
~16:25
NPO法人きよね夢てらす 子育て応援こっこ 代表
公益財団法人 岡山市ふれあい公社
岡山ふれあいセンター チーフ児童厚生員
就実大学教育学部 准教授
16:30
4
R館
601
広木 克行さん
克行さん
講義室
5~
中野菜穂子さん
中野菜穂子さん
北條 慶子さん
慶子さん
福光 節子さん
節子さん
8~
野上 邦子さん
邦子さん
村田 恵子さん
恵子さん
終了
V館地下
17:15~19:00 交流会
学生
会館
※開催期間中、V館1Fラウンジにて、岡山県内の活動紹介パネルを展示。
11月24日(日)
時間
9:00~
プログラム
会場
受付
※初日に受付をされた方は、直接分科会会場へ。
ページ
V館
1F
ラウンジ
【第1分科会】
分科会】 子育て
子育て支援拠点の
支援拠点の基本ってな
基本ってな~
ってな~に?
・講師
日本福祉大学 教授
・コーディネーター
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
【第2分科会】
分科会】 支え合い育ち合うコミュニティづくり
コミュニティづくり
・講師
武蔵大学 教授
・コーディネーター
新見公立短期大学 助教
・事例発表者
にいみ子育てカレッジ交流ひろば“にこたん”臨時保育士
地域交流サロン ばあちゃんち 山東子育て応援団 代表
E館
渡辺顕一郎さん
渡辺顕一郎さん
201
奥山千鶴子さん
奥山千鶴子さん
武田 信子さん
信子さん
三好 年江さん
年江さん
真壁 朋子さん
朋子さん
村上 千幸さん
千幸さん
【第3分科会】
分科会】 拠点で
拠点で発見!
発見!子どもの“
どもの“あそび”
あそび”、子どもの“
どもの“育ち”
・講師
9:30
九州大谷短期大学 教授
原 陽一郎さん
陽一郎さん
~12:00 ・事例発表者
NPO法人せたがや子育てネット 代表
松田 妙子さん
妙子さん
NPO法人子ども達の環境を考えるひこうせん 代表理事 赤迫 康代さん
康代さん
【第4分科会】
分科会】 飛び出すひろば ~世代を
世代を超えたつながりをつくる~
えたつながりをつくる~
・コーディネーター
NPO法人わははネット 理事長
中橋恵美子さん
中橋恵美子さん
・事例発表者
NPO法人マミーズ・ネット 理事長
中條美奈子さん
中條美奈子さん
氷見市地域子育てセンター 主査
濵下 峰子さん
峰子さん
【第5分科会】
分科会】 「虐待予防」
虐待予防」拠点がやること
拠点がやること、
がやること、できること
・講師
関西大学 教授
山縣 文治
文治さん
さん
・事例発表者
NPO法人ふらっとスペース金剛 代表理事
岡本 聡子さん
聡子さん
NPO法人子育て談話室 理事長
柴田 恒美さん
恒美さん
10~
講義室
R館
204
12~
講義室
R館
203
14~
講義室
D館
201
16~
演習室
E館
301
講義室
18~
11月24日(日)
時間
プログラム
【第6分科会】
分科会】 新しい拠点
しい拠点の
拠点の枠組みの
枠組みの中
みの中で ~利用者支援のあり
利用者支援のあり方
のあり方~
・コーディネーター
関西学院大学 准教授
橋本 真紀さん
真紀さん
・事例発表者
NPO法人やまがた育児サークルランド 代表
野口比呂美さん
野口比呂美さん
高松市健康福祉局 こども未来部 子育て支援課 課長補佐
黒田 秀幸さん
秀幸さん
小ざくら地域子育て支援センター 所長
岡本 初江さん
初江さん
【第7分科会】
分科会】 多様な
多様な利用者を
利用者を孤立させない
孤立させない拠点
させない拠点のあり
拠点のあり方
のあり方
・講師
種智院大学 専任講師
近棟 健二さん
健二さん
・コーディネーター
9:30
NPO法人新座子育てネットワーク 代表理事
坂本 純子さん
純子さん
~12:00 ・グループファシリテーター
NPO法人子育てネットひまわり 代表理事
有澤 陽子さん
陽子さん
社会福祉法人雲柱社 施設長
新澤 拓治さん
拓治さん
NPO法人子育て支援ネットワークとくしま 理事長
松崎美穂子さん
松崎美穂子さん
NPO法人くすくす 理事長
安田 典子さん
典子さん
NPO法人子育て応援かざぐるま 代表理事
山田 智子さん
智子さん
・事例発表者
備前ちちとコくらぶ
日野 和利さん
和利さん
ツインズマザークラブ 役員
光本 康恵さん
康恵さん
岡山県ひとり親家庭支援センター 支援員
國富 熙子さん
熙子さん
総社市多文化共生推進員
譚
俊偉さん
俊偉さん
認定NPO法人子ども劇場笠岡センター 理事長
宇野 圴惠さん
圴惠さん
CAPおかやま 代表
山下 明美さん
明美さん
会場
ページ
E館
402
20~
講義室
D館
101
22~
学生
ホール
12:00~13:00 昼休憩
【全体会】
全体会】
鼎談「
鼎談「今こそ見
こそ見つめよう子
つめよう子どもの育
どもの育ち ~大きく拡
きく拡がるひろばの可能性
がるひろばの可能性~」
可能性~」
NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
奥山千鶴子さん
奥山千鶴子さん
13:00
NPO法人子ども達の環境を考えるひこうせん 代表理事 赤迫 康代さん
~4:30
康代さん
就実大学 准教授
村田 恵子さん
恵子さん
参加者集計
実行委員会より
終わりに
P29
P30
R館
601
講義室
25~
「地域子育て支援拠点事業の概要と展望」
●会 場: R館 601 講義室(全体会場)
●概 要: 地域子育て支援拠点事業の概要と、子ども・子育て支援新制度と
拠点事業との関わりの2点について、主に制度の側面からお話し
いただきました。
●登壇者: 厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課
少子化対策企画室長
竹林 悟史さん
1 拠点事業の
拠点事業の概要
近年、子育ての大変さ、不安感、孤立感が、若
い夫婦にのしかかってきている状況がございま
す。子どもの数も減り、ふれあいの機会が少ない
中で、地域子育て支援拠点事業は、親子が気軽に
集い、交流したり、悩みや不安を相談できる場所
として発展してきました。
拠点への国の支援制度としては、保育所、つど
いの広場、あるいは児童館と、その由来に応じた
3類型を設けてまいりましたが、今回この流れを
「一般型」に統合したうえで、職員配置、開所時
間や活動内容に応じて評価する仕組みとしまし
た。
また、事業の紹介などの利用者支援、地域の社
会資源と積極的に関わっていく地域支援の活動
を行う拠点について、「地域機能強化型」を創設
する改革を行いました。
2 新制度
新制度の
の概要と
概要と拠点事業の
拠点事業の関わり
例えば結婚して子どもを持ちたいという希望
が通りにくい状況や、子育ての不安感・孤立感が
高まっている状況に対応するため、消費税の負担
を子育ての分野に回して充実させ、制度も省庁ご
との縦割りから子どもを中心とした包括的なも
のに再編する枠組みとし、次の3本柱で新制度が
スタートします。
①子育て支援を市町村中心の「施設型給付」とい
う共通フレームで展開、待機児童対策と人口減
少地域の保育サービスの維持に対応
②認定こども園への指導監督、財政支援の一元化
③在宅での子育て家庭への子育て支援の充実
今後、それぞれの地域の事情を自治体が調査・
把握した上で、新制度で用意した事業や施設をど
う組み合わせて最適な子育て支援をするのか、現
場に精通した方が集まって計画をつくります。そ
れにより地域にふさわしい施設や事業を計画的
に整備し、その後の評価・チェックも行います。
一番当事者に近いところでお仕事をされている
拠点の方が、計画づくりにもしっかりと関わって
いただきたいと思っております。
また、その計画に基づいて様々な給付・事業が
導入されたときに、個々の利用者が自分の家庭に
とってどのようなサービスを利用するのが一番
いいのかを考えることは、結構大変なことなんで
す。拠点の方が話をお聞きして、最適なサービス
を紹介する利用支援の仕組みというものが同時
に備わって初めて、マクロベースで自治体が作っ
た計画と、実際の利用者が結びつくと考えていま
す。
拠点はこの新しい制度の有力な分野の一つで
あり、全国で中学校並みの数(約1万箇所)に増
やすことを、是非実現したいと考えています。
毎年のように仕組みや制度が変わって、戸惑い
もあるかと思いますが、一方でこの転換期は、制
度や予算を充実させるチャンスでもあります。現
場や市町村のみなさんの工夫ができるような仕
掛けとなっているので、是非積極的にトライして
いただければと思います。
消費税率の引上げで本当に国民の生活が良く
なったと言えるかどうかは、子育て支援の分野が
充実するかどうかにかかっています。税負担をお
願いしている重みを感じつつ、引き続き新しい制
度のもとでもお力を発揮していただきたいと思
っております。
「子育て支援コーディネーターの役割と期待される力量」
●会
●概
場:
要:
R館 601 講義室(全体会場)
子育て支援コーディネーターや利用者支援を、どのように展開
ていけばよいのかの調査研究についてお話しいただきました。
●登壇者: 関西学院大学 准教授
橋本真紀さん
昨年、子育てひろば全国連絡協議会と数名の研
究者で調査研究した結果に基づいてお話ししま
す。
昨年制定された子ども・子育て支援法には「利
用者支援事業」が盛り込まれ、関連して「子育て
支援コーディネーター」が配置されることが示さ
れました。そこでは拠点事業が培ってきた様々な
実践・ノウハウを活かしてコーディネート、利用
者支援事業を展開したいと考え、研究を始めたわ
けです。
かつて 2003 年に実施された「子育て支援総合
コーディネート事業」は実施市町村が非常に少な
く、その多くは情報提供にとどまるというもので
した。このことを踏まえ、コーディネートの役割
を正確に理解して実践者、行政、地域の様々な専
門職と共有し、個別支援・地域支援の双方を担う
ことと、それを支えられる力量を磨くことが必要
と考えました。
コーディネーターの役割に関して先駆的な市
町村や他領域を調査した結果からは、地域の中で
様々な資源、人々とつながって子育て家庭や子ど
もをネットワークに巻き込み、何か問題が生じる
前に支援、援助して、家庭や子どもの育ちを支え
ることと考えています。
対象ですが、要保護家庭への様々な既存の支援
とは棲み分け、ちょっと心配な家庭(要支援家庭)
あたりから、自分でサービスを活用できる力のあ
る家庭までで展開します。
拠点に配置されたコーディネーターの役割を、
ガイドラインによる拠点事業の支援者の役割を
一部補足して言えば、「身近な相談相手となる」
→「利用者同士をつなぐ」→「利用者と地域をつ
なぐ」→「支援者が積極的に地域に出向く」→「支
援者が積極的に地域の支え合いを促進する」とい
う役割を中心的に担っていく方なのではないか
と考えています。
ここに具体的な役割を8つ掲げています。
①
人の関係性には広がりがあり、相互に影響を
与えあっている。子育て以外にもその家庭が抱
えている様々な課題を把握し、他のサービス、
専門職と連携しながら包括的に支えること。
② 家庭の自己認識と、客観的に捉えられた状況
のずれを認識し、それらの重なりを手がかりと
しながら家族と資源をつなぐこと。
③ 次の時期の支援にうまくつながっていける
ように、子どもの育ちを見通し、将来抱えそう
な課題を予測しながら予防的な視点でコーデ
ィネートしていくこと。
④ 自らの機関や法人の利益追求の姿勢ではな
く、地域の他機関に入ってくる事例も対象とし
て、地域全体の子どもを視野に支援すること。
⑤ 子どもの育ちを縦断的に見通すことと、それ
ぞれの家庭に応じたオーダーメードの支援を
横断的に展開していくことの双方を担ってゆ
くこと。
⑥ 身近な場所で家族に接している支援者だか
らこそ見えてくるニーズを様々な機関、行政に
伝えてゆくとともに、それらとともに新しい資
源を開発したり、既存の資源をより機能的に使
っていけるよう働きかけていくこと。
⑦ 情報提供に終始せず、例えば別の要件で訪れ
た方が「実は…うちの子どもが憎くて…」と隠
れた事情を語るといったことも予想しながら、
しっかりと話を聞いてゆくこと。
最後に、力量についてです。利用者その人やそ
の家族が主体であるという姿勢を貫ける力と、そ
して子育て支援コーディネーターとしての思考
過程の獲得の2つがその手がかりですが、こちら
は今後明らかにしていきたいと考えています。
明日の分科会でも詳しくお話ししたいと思っ
ております。
基調講演「子どものためって何ですか~見つめてみよう、育ちの根っこ~」
●会 場:
●登壇者:
R館 601 講義室(全体会場)
神戸大学 名誉教授
広木克行さん
近年、「子どものため」という言葉が、意味を
また元のようにしっかりとした一本の糸に戻っ
変質させられ捉えにくくなっている。「子どもの
ていく姿を連想させる。子どもたちの育ちのもつ
ためとは何か?」ということを改めて見つめなお
れは、歪みや病気ではなく異常なものではないが、
し、今後の実践に立ち返ることが子育て支援事業
解くのには時間がかかる。親とともに子どもの育
の原点確認の作業となる。「子どものため」とい
ちのもつれをほどきながら、子どもの育ち直しを
う言葉は一つだが、それが「子どものニーズ」を
信じて支援していくことが求められている。それ
示した言葉なのか、「親のニーズ」を言い換えた
が現在の子育て支援の重要な視点にもなると思
だけの言葉なのか、そのことがいま厳しく問われ
っている。
ている。子どものニーズと親のニーズがぶつかり
育ちのもつれを示す子どもたちの姿は2つの
合ったとき、子どものニーズが優先的に尊重され
メッセージを我われに示している。ひとつは親に
ているか否かの吟味が不可欠となる。子どものた
愛されたいと愛を求めながら得られない SOS。も
めという言葉の持つ難しさは、まさにそこに関わ
うひとつは心の底から「遊んだ!」「遊びきっ
っている。
た!」と思える友だちとの関係を求めて得られな
い不完全燃焼から来る SOS である。
1. 育ちのもつれと SOS
子どもが求める愛をイメージするのにマザー
不登校の支援では、
テレサの言葉が参考になる。「世界で一番美しい
子どもの言動を SOS と
所は子どもの笑顔がある所」と言う M.テレサは、
見なし、その意味を深
「愛の反対は無関心」だという。無関心こそ人間
く捉えていく。子ども
を深く傷つけ、苦しめる。すなわち子どもを愛す
が本当に求めている
るということは、M.テレサに従えば「子どもに関
こと、ニーズを考える
心を持つこと」である。多くの親はわが子に関心
ことが必要だからで
を持っているが、その関心の持ち方は、一人ひと
ある。それは乳幼児期
りの子どもの特徴や個性への関心であるよりも、
の子どもを「見る」こ
他の子どもと比べた「差」
、つまり他者との比較、
とに似ていて、言葉では示さない様々なしぐさや
とりわけ優劣への関心であることが多い。それに
表情を読み取ることを意味する。
よって親の関心は子ども自身の思いからどんど
子育て支援は支援者の考えが正しければ良い
んずれていき、子どもを傷つけることになる。大
のではない。支援者には子どもの育ちと、親の願
切なのは、子ども一人ひとりへの関心であって、
いを理解する力が必要だが、それでも十分ではな
他の子どもとの比較による差への関心ではない。
い。親とともに悩み、親とともに考えながら、ど
こに親と子どものミスマッチがあるのか一緒に
2. 三種類ある
三種類ある子
ある子どもの SOS
考えていく力が必要である。子どものニーズとの
子どもが抱える SOS を整理すると、行動に表れ
ずれに気づかず親のニーズを子どもに押し付け
るシグナル、身体に表れるシグナル、症状に表れ
ると、ミスマッチによる状態は深刻になり、育ち
るシグナルとなる。
のもつれが段々と厳しさを増してくる。
「もつれ」
という言葉は、丁寧に根気よくほどいていけば、
子どもたちの行動に表れるシグナルの多くは、
暴力、暴言や多動、パニックである。『子どもの
「脳」は肌にある』という本を書いた山口氏は、
身近な子どもたちに様々な SOS が表れている今、
アメリカの心理学者プレスコットが研究する接
その意味を理解して子育て支援の質を見直すこ
触飢餓に注目して、スキンシップの不足が心の問
とが必要とされており、子どもの視点から親たち
題を引き起こす一つの要因であると述べている。
をサポートしていくことが大切である。
そこには布オムツから紙おむつへの転換が意味
する、親子関係の歴史的変化も含まれる。その変
3. 子育て
子育て支援事業の
支援事業の意味の
意味の深さを問
さを問い直す
化はスキンシップの激減であるとともに、子ども
子育てに不可欠な母性や育児というものは、決
が泣いて求めても親が自分のリズムを一旦止め
して本能ではない。それはあくまでも文化として
て子どもに関わろうとしない、応答性の喪失をも
学んで身に着けていくものである。奈良女子大学
意味する。子どもとの関係づくりの基本になる応
の浜田寿美男氏の『子ども学序説』には「子育て
答性という親子関係の喪失に気づかず、便利さ優
は共同体の中で担われ、赤ちゃんが新たに共同体
先の子育てをすると、親と子の間には大きな心の
の中で生み出されたとき、誰もがこの赤ちゃん
すれ違いが生まれてしまう。子どもにとって母親
(という自然)と出会い、つきあう。そうして育
との触れ合いは、それがたとえ1分であっても、
児の文化がどの世代にも共有されていた」とある。
心を温めて心のミスマッチを修復する強い力を
母性と考えられていたものは共同体の文化とし
与える。また「心の触れ合い」が足りないために
て前の世代から次の世代へと伝承されてきたも
落ち着かない子は、ほぼアイコンタクトが成立し
のである。今日ではその文化を継承する機会の提
ないことも分かっている。目と目を見て話そうと
供が子育て支援であり、社会の存続に欠かせぬ非
しても見つめることを避ける子は、
常に重要な課題になっている。
心の中に深く大きな空洞があり心
遊びながら、ゆっくりと大きくなっていく子ど
の触れ合いが充分にできない。肌
もたちの育ちを待てずに、教え込むことで子育て
の触れ合いと心の触れ合いが子ど
しようとする親と子どもの間にも大きなミスマ
もの育ちに非常に大切だというこ
ッチが生まれる。好奇心の塊である子どもが物に
とが、子育て支援の中では重要な
触れ、舐め、そうして学習している時に、駄目だ、
テーマになっている。
駄目だといいながら育てる、駄目出しの子育て。
2つ目は身体のシグナルだが、例えば福島の子
そういう育てられ方をした子どもたちは、常に親
どもの扁平足は東日本大震災以前の 2.5 倍に増え
の目線を気にするか、親からの指示がなければ動
ている。それは外遊びの不足から来る運動不足が
けない子どもになっている。
原因と考えられているが、その意味は深刻である。
そして同時に、子どもたちは社会的本能の持ち
扁平足や肥満は立ち続けることを困難にし、集中
主でもある。身近な他者が喜んでくれると、それ
力を奪うからである。最近の子育てにおけるベビ
が嬉しくて新たな活動の動機となる。「あなたの
ーカーの多用も、身体の成長への深刻な副作用が
おかげでお母さんとっても楽ができたわ、ありが
懸念されている。
とう」と言いながら社会的本能を育てていくと、
3つ目のシグナルは子どもたちの中に新たに
子どもの心の中に人の役に立てる自分になりた
広まっている症状で、その中心に「鬱」がある。
いという強い動機が芽生えて、動機自体が成長し
鬱の背景の一つは人間関係の挫折体験で、特に小
ていく。その機会を奪っていくと「○○してもら
さな子どもたちの受験ストレスが挙げられる。人
って当たり前」という心、つまり受け身の消費者
間関係の挫折体験から、
「自信の喪失」が生まれ、
的本能が育ちやすくなる。育児文化の継承が非常
それが孤独感、孤立感そして抑鬱症状の引き金に
に難しくなっている中で、子育て支援の課題がこ
なると考えられている。もう一つの背景には家庭
こにもある。ベテランの保育士や子育て上手の人、
の不和」。特に両親の対立による暴言と暴力があ
子育てに役立ちたい地域の人々の力を組織しな
る。だが子どもは親を嫌いになれず「よい子」を
がら、育児の文化は学んで身につけるものである
演じていく。
ことをお母さんたちに伝える。かつて共同体が担
ってきた育児の文化の継承という非常に重要な
最後に母子家庭の子育てを支援するときに欠
仕事を、これからは子育て支援の拠点が担ってい
かせないことを3つ述べておきたい。その1つは、
くのである。
子どもに関わるとき、母親はどこまでも母親のま
国連の子どもの権利委員会は、日本社会におい
までいること。母親のままとは、温かく、細やか
て家族的価値の重要性が揺るぎないものである
に、時には口うるさく、そういう当たり前の母親
ことを認識しながらも、親子関係の荒廃が子ども
でいること。2番目に大切なことは、保育園など
の情緒的及び心理的幸福度に否定的な影響を与
で出会った友だちの中で自分の心を正直に話せ
えていることに注目し、懸念を表明している。子
る、信頼できる友だちを見つけ、その友だちと家
ども及びその家庭の生活に民間企業が巨大なイ
族ぐるみの付き合いをすること。そこで男親のい
ンパクトを与えていることに着目し、子どもの幸
る家族での触れ合いを子どもに経験させること。
福及び発達に関する企業の社会的及び環境的責
3つめに大事なのは、それでもなお解決が難しい
任に対する法的規制をすべきであると、日本政府
悩みや不安を感じたときには、子育てのプロに相
に勧告している。家庭が団欒の機会を持つことが
談する勇気を持つこと、である。
非常に難しくなっているからである。
子育て支援という仕事は、子育て中の母親たち
家族の団欒によって育つものが3つある。1つ
が子育ての文化を、安心してしっかりと受け継い
は、親と子の愛着関係。団欒によって、子どもは
でいけるような仕組みをつくること。そして母親
親に甘えながら基本的信頼感を育てることがで
たちを支えながら、パートナーである父親を励ま
きる。2つめは、母親が母親として、父親が父親
し、父親が父親として育つ工夫を一緒に考えてい
として育つということ。子どもにじかに触れずに
くことである。そして同時に、母子家庭で懸命に
親として成長することはできない。そして母親の
子育てしている母親たちも安心して参加でき、自
子育てストレスを強めないためにも、父親の存在
分のことも分かってもらえるという雰囲気のあ
が大きいという視点を持つことが子育て支援に
る場所を作ることが求められている。かつて地域
は必要である。3つめは、家族の団欒を持つこと
の共同体が担っていた役割を、21 世紀の子育てを
によって、夫婦の関係が育つ。子どもの利益を守
支える社会的な仕組みとして創造することと言
るうえでこれは極めて重要である。不登校の場合
ってよい。それは未来を担う子どもが育つ社会基
も、父親が会社を休むなどして母親と一緒にカウ
盤を作る非常に重要な仕事である。その仕事をし
ンセリングに来ることで、8割が解決するという
ている皆さんに、今日ここでお話しする機会が与
経験法則がある。
えられたことを心から感謝したい。
リレートーク「今、私たちができること~分科会に向けて~」
●会 場: R館 601 講義室(全体会場)
●概 要: セミナー実行委員会のメンバーらが、リレートークのかたちで、おかやま地域子育て支
援拠点ネットワークの紹介と、セミナーテーマに込めた思いなどを語りました。壇上に
は実行委員に混じり岡山県マスコットキャラクター「ももっち」も並び、会場をなごま
せました。
●コーディネーター: 中野菜穂子さん(岡山県立大学保健福祉学部)
●登壇者:
福光 節子さん(NPO法人きよね夢てらす 子育て応援こっこ)
村田 恵子さん(就実大学教育学部)
北條 慶子さん(牛窓ルンビニ保育園子育て支援センター)
野上 邦子さん(岡山市ふれあい児童館)
ももっち
(岡山県マスコット)
<中野菜穂子>
<福光節子>
岡山の実行委員たちは平素より「おかやま地域
ひろばを始めた時は、自分た
子育て支援拠点ネットワーク」(通称:ももっこ
ちの活動で手いっぱいじゃっ
ネット)でつながり、学びと交流を重ねています。
たけど、倉敷の研修セミナーで
岡山のネットワークについてセミナー実行委員
やっと県内で活動しょうる人
と岡山県マスコットももっちが岡山弁満載でご
たちと知り合えたんよ。ネット
紹介します。
ワークで人と人とがつながることによって成長
■ももっこネット
ももっこネットのあゆみ
ネットのあゆみ
できょんじゃねぇかなぁ~(できているのではな
「第3回つどいの広場事業研
いかな)と思うんじゃ。せぇから(それから)、
修セミナー(倉敷市)」
(2005 年)
県の方が私たちの活動を見守ってくれ、一緒に関
に参加した県内のひろばスタ
わってくれることは、でぇーれぇー(とても)心
ッフ同士が出会い、つながるこ
強ぇことなんよ。
とができました。「子育て支援
従事者の力量向上のための研修プログラム開発
■ももっこネット
ももっこネットの
ネットの広がり
研究会」(2006 年~)では、大学教員とひろばス
①研究者との
研究者との連携
との連携
タッフの共同研究により研修プログラムを開発
<村田恵子>
しました。さらに岡山県独自事業「地域子育て支
ももっこネットで実施して
援拠点エンパワメント事業」(2008 年~)で、行
いる研修や企画は、拠点関係者
政と協働した研修会を企画・運営するようになり
の課題意識に沿って、内容も、
ました。研修会に参加した方々とつながりが広が
進め方も、一から一緒に作って
り、
「おかやま地域子育て支援拠点ネットワーク」
いるところに特徴があります。
が 2009 年に誕生しました。当初は拠点の実践者
大学や研究者との連携も同様で、ももっこネット
ができる範囲での交流を重ねていましたが、行政
では、一緒に、同じ方向を向いて役割分担しなが
の後押しを得て、2011 年に正式発足しました。こ
ら物事に取り組んでいく、そういう在り方が貫か
のように振り返ると、ももっこネットは、研修に
れています。そのことによって大学と現場との
よる学びが出会いやつながりの推進力になって
「つながり」イメージが、ぐんと広がり、得るも
いたなと改めて思います。
のはとても大きいものがあります。
②センター型
センター型・児童館と
児童館と手をつなぐ
所づくりのしおり」を作成して、ネットで公表し
<北條慶子>
よんじゃぁ(しています)。
このセミナーの開催で、新たなうれしい広がり
保育士のさが(性)でなぁ、
もできたなぁ。
参観日みてぇなことーしたり、
サービスやこー(サービスみた
■ももっこネット
ももっこネットの
ネットの今とこれから
いなことを)したりする人もお
<北條>
るわけじゃが。何か違うんじゃ
私らぁのネットワークの中心には「子どもの育
ねんかなぁと思うて、ひろばの
ち」があるんじゃ。けーから(これから)いろん
人らーの研修に行ってみたんよ。そしたらなぁ、
な団体とつながりを作っていきたいと思よーる
支援拠点の目指すものいうところが同じように
んよ(思っています)。そねぇな(そんな)広が
考えとる人らーがおったんじゃ。センターの職員
りの中心にもやっぱりいつも「子どもの育ち」を
も保育士の専門性をどねぇか無理ゅーせぇでも
置いてな。これからもーともーと(もっともっと)
、
(どうにか無理をしないでも)生かせるんじゃね
その輪が大きゅー広がっていけりゃあ嬉しいな
ぇかいうのを考えんにゃぁおえん(考えないとい
ぁと思うとんじゃわ。
けません)
。せーで(それから)
、やっぱり仲間が
■分科会に
分科会に向けて
おると心強いんじゃが。
<中野>
岡山の拠点の仲間たちは、学びと交流を通じ、
つながり、その輪をどんどん広げてきました。私
<野上邦子>
ひろばの人と出おうて、刺激
を与えてもらえてよかったと
たちのつながりパワーを全国からご参加の皆様
にもお届けしたいと思っています。
思うとんよ。児童館を利用する
制度改革の中だからこそ、子育て支援を担う私
年齢の幅はものすごぉ広いじ
たちは、子どもの育ちを最も大切に見つめたいと
ゃろう。乳幼児親子が来館者の
語り合い、大会テーマを「いまこそ見つめよう子
7~8割になってきょうるんよ(きているんで
どもの育ち」としました。明日の分科会では、全
す)。子育て支援施設としての勉強はしっかりせ
国の実践を交流する中で、子どもの育ちのために、
んといけん思うわ。他の拠点の人と話しおうたり
活動のヒントやパワーをたくさん得ていただき
するんは本当に参考になるんよ。こうじゃないと
たいと実行委員一同願っております。
いけんいうことはないから、ももっこネットで新
しいことを聞いて、やってみるのもええ思うわ。
③行政との
行政との連携
との連携・
連携・協働
<岡山県>
・研修の内容に全幅の信頼を置いています。
・素人である行政職員が参加しやすい環境づくり
をしていただいています。
■ももっこネット
ももっこネットの
ネットの活動
<福光>
互いの拠点を見学させてもろぉたり、交流会を
開催しよんよ(しています)。研修会の開催は県
からの受託事業じゃな。
広報・情報提供としては、「子育て親子の居場
【第1分科会】
「子育て支援拠点の基本ってな~に?」
●会 場: E館 201 講義室
参加者 64 名
●概 要: 子育ち・子育てを取り巻く社会やガイドラインから支援者の役割の基礎を確認しまし
た。さらに、グループワークやロールプレイで学びを深めました。
●講 師:
日本福祉大学 教授
渡辺顕一郎さん
●コーディネーター: NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長
奥山千鶴子さん
●グループファシリテーター : NPO法人子育てひろば全国連絡協議会
篠田 絵里さん
NPO法人子育てネットくすくす 理事長
草薙めぐみさん
第一分科会は、内容の性質上
HPでの公開をしておりません。
第一分科会は、内容の性質上
HPでの公開をしておりません。
【第2分科会】「支え合い育ち合うコミュニティづくり」
●会 場: R館 204 講義室 参加者 49 名
●概 要: 拠点は、地域コミュニティづくりの核として期待されている。地域とつながるとはど
んなことか?どんなことが起きるのか(何を起こすのか)
?事例発表や講義を通して、
今後の拠点の可能性等を考えていった。
●コーディネーター: 新見公立短期大学 助教
三好 年江さん
●講 師:
武蔵大学人文学部 教授
武田 信子さん
●事例発表:
にいみ子育てカレッジ交流ひろば「にこたん」臨時保育士 真壁 朋子さん
山東子育て応援団 代表
山東保育園 園長
村上 千幸さん
【事例発表】
事例発表】
<真壁朋子>
つながるなど、親の育ちも見えている。
大学と行政の思いが一つにな
今後は、ひろばが更に地域とのつながりを強
り平成 20 年に始まった「子育て
め、様々な地域の人や親子のコミュニティの場
カレッジ」は、大学を拠点とし
になっていくとともに、学生が楽しみながらひ
た地域ぐるみの子育て支援であ
ろばに関わる方法を探りたい。
る。事業の企画や運営等を地域
の子育て支援関係者だけでなく
【事例発表】
事例発表】
子育て中の親も巻き込んで行い、子どもだけで
平成 13 年からスタートし
なく全ての人がともに育ち、地域の子育て力の
た「山東子育て応援団」は、
向上を目指すことを目的に実施している。
最近はエコ活動も実施してい
大学の特色を生かした事業の1つに、学内の
る。何故か。
「子どもたちをよ
親子交流ひろば「にこたん」があり、今回はそ
り良く育てるためには環境を
の取組の親子と学生との関わりを中心に発表を
整えてあげれば良い」と考え
行った。にこたんでは様々な活動を通し、親子
ているから。
や学生等が気付き、学び、育ち合う姿が見られ
る。
<村上千幸>
現代は子育てだけが不安なのではない。子育
て「も」不安である。ということは、子育てに
学生は、子どもや親を学内で見かけたり関わ
特化せず、暮らしの中で解決し、自信を回復し
ったりすることで、親子を身近に感じ、机上で
ていくことが大切であり、
地域性を生かして「元
の理解だけでなく、より深い親子の関係性等を
気なところをより元気にする支援」を行う活動
理解している。また学生スタッフとして活動に
が必要である。
参加することで、協働の大切さやスタッフの細
子育ては暮らしの中にある。暮らしができな
やかな配慮等に気付き、ひろばの意義を学ぶ経
ければ子育てはできない。子育てだけを別に支
験につながっている。
援するのではなく、暮らし全体の中で支援して
子どもは、
学生と関わることで、
遊びに集中、
いくことが大切。
継続でき、興味関心が広がるなどの様子が見ら
様々な活動の中で工夫している点は、
“できる
れ、学生との遊びを通して他者との信頼関係を
ことをしてもらう”。過度な負担がなく、気軽に
築き、再会を期待するようになった。
できること。参加者が楽しいことである。活動
親は、学生とよく遊ぶわが子の姿を見て愛お
の広め方は、普段からネットワークを張って個
しさが増したり、子どもの成長を喜んだりして
人の良い所を探し、個人でつながる。個人とつ
いる。また、学生に子育ての話をするうちに子
ながらないとコミュニティはできない。組織は
育てに自信を持てるようになり、自己肯定感に
地域のつながりにはならないということを認識
しておく必要がある。活動の結果、連帯感が生
く」この“プロセス”を大切にするという考え
まれ笑顔が見られ喜びを感じ、仲間が増えて役
が必要。
立つ経験や知識も増える。安心して暮らせる地
当事者が持つ力を生かすという視点で関われ
域は自分たちでつくる、幸せは自分の中にある
ば「支援する者」
「される者」と分断されていく
ことに気付く。色々な暮らしや経験をするから
ことはない。サービスが過大になると「求めら
知恵が付くのであって知恵がつくから自信がつ
れるだけ」
になる。自分が人生の主人公であり、
く。伝承が途絶えている現代だからこそ、子育
地域のコミュニティの主人公である。
「自分にも
てにとっては文化の伝承が必要な情報であると
何かできることがある」とエンパワーできるコ
考える。文化の伝承により人々が社会参加し、
ミュニティが必要となる。一人一人が何かをし
暮らしを一緒にするなかで人のつながりが生ま
たいという気持ちがエネルギーであり、皆それ
れる。そこに人が住み、暮らしていれば必ずそ
ぞれの形で持っている。皆の声を聞き、全員が
こに育ちがある。
子育て支援をするにはどう「暮
関わるコミュニティを作ること、そして「みん
らし」を取り戻していくかを考える必要がある。
なで子どもを育てる」とか「自分たちが育つ」
「子どもの育ちを中心に」どうすれば良いのか
とはどういうことかを考えるムード、風土、雰
もう一回考えていきたい。
囲気等をつくってほしい。
問題の根底は一体何なのか?ということを考
【講演
講演】
講演】実践 コミュニティワーク
<武田信子>
えなければ、1 つの問題だけを対処してもまた
違う問題が発生する。
「子育て支援だけではもう
「まちをつくる」というの
足りない」
。私たちの社会の価値観も同時に考え
は、根本的に子どもがどう育
なければならない。何が大事かということを皆
つか、あるいはそこに住んで
で話し始めてほしい。
いる一人一人がどう幸せに暮
らせるかということを考えて
いくこと。
「コミュニティ」という言葉は、実は「地域」
【まとめ】
まとめ】
<分科会担当実行委員>
今後の「支え育ち合うコミュニティづくり」
においては、子育て支援を大きく捉え、社会と
とは違い、ある利益や関心事の同じ人たちが集
暮らしを子育て支援に取り戻す視点や、コミュ
まった共同体を指す言葉である。
「コミュニティ
ニティの一人一人が主体であるという視点が必
づくり」を考えるにあたっては、社会的な意味
要。今、子どもたちが育っている環境は、コン
において自分の人生を自分の力で決定する力や
クリートの中で植物が育たない状況であり、そ
能力の弱い人を支えるという仕事「コミュニテ
の中の鉢植え(ひろば)で植物を育てている状
ィワーカー」が必要。
況ではないだろうか。鉢植えはきっかけであっ
皆さんは、自分の地域で実施している活動の
て、これからは地域の中に植物が自然に育つ土
15 年後を想像し、どう「子」が育つ支援ができ
壌を作り出す必要がある。地域の中で子どもが
るかということを考えてほしい。そのためには、
健康的に育つ環境を、地域ぐるみで知恵を出し
地域の皆の関わりが必要であり、それを組織化
合い整えていきたい。
する必要がある。一人一人では実現できない。
組織することで一人一人が主体となっていく。
私たちは誰が主体なのか?またどう進めるべき
か?を考える役割を担っている。
「誰もが地域の
子どもたちと暮らし、お互い対立するのではな
く、皆で関わりながらコミュニティを作ってい
【第3分科会】
「拠点で発見!子どもの“あそび”
、子どもの“育ち”」
●会 場: R館 203 講義室 参加者 80 名
●概 要: 世田谷と備前の事例からは、それぞれがどのような視点を大切にして親子に関わってい
るのかを発表してもらいました。事例発表を受けて、原先生には、学問的な裏づけから
子どもの成長に必要なもの、拠点に求められるものは何なのかをお話していただきまし
た。後半は、会場と質疑を行い、子どものあそびと育ちについて学びを深めました。
●講 師:
九州大谷短期大学 教授
原 陽一郎さん
●事例発表: NPO法人せたがや子育てネット 代表
松田 妙子さん
NPO法人子ども達の環境を考えるひこうせん 代表理事
赤迫 康代さん
【事例発表】
事例発表】「子育
「子育てしながら
子育てしながら街
てしながら街に出よう!」
よう!」
<松田妙子>
当たり前のように発達のその瞬間になると不思
議に自らやり始める。だけど、それを知らなけれ
世田谷では、年間に約 7300
ば、自分の子育てとかしつけができていないこと
人の子どもが生まれます。ひと
が原因だと思って、自分の沽券に関わるみたいに
つのグループでは、間に合わな
して子どもの行動を止めてしまう。良くも悪くも、
い。それぞれに地域で活動する
大人の側が子どもの育ちのその瞬間や、何となく
人たちがつながって情報交換
知っていくプロセスを見ることができる、「これ
をしながら育ち合おうと子育
って実は大事だよね」というような話し合いがで
てネットをつくりました。今は建て替えたばかり
きるっていいなって思っています。
の団地内のひろばの運営もしています。今の親達
子どものいる暮らしのなかで、一緒に考えたり、
は「子育てを大事な仕事だと社会は認めてくれて
迷ったり、振り回されながらも、“いる”ってい
いない」と感じています。まず、話を聞いてもら
うのが大事だなって思っています。
ったり、子どもの育ちを伝えていくような関係づ
くりが本当に大事。でも、一部の所でいらっしゃ
【事例発表】
事例発表】
いって言うだけではなくて、街中がそういう雰囲
「拠点で
拠点で発見!
発見!子どもの“あそび”
あそび”子どもの育
どもの育ち」
気になっていくのが大事。ご近所で赤ちゃんの顔
<赤迫康代>
と名前がわかるようになることが私たちの願い
岡山県備前市は小さな街で、
です。ひろばに足を運んでもらうことから、少し
場所や自然はあっても、少子化
ずつ関係が広がってくる。そのためにも敷居を低
ということもあって公園に誰も
くするのは重要なのでイベントが多いですが、そ
いない。人がいる公園で遊びた
れをきっかけに、日常にしていくということを大
いと、公園に旗をあげて遊ぶ、
事にしています。例えば、ベランダにたらいをお
そんなことから始めた団体です。
いて遊ぶきっかけにし、親が全員たらいの周りを
そのうち、いつでも誰でも集える場所をというこ
囲んで一対一で見ていたりしたら、「暑いから交
とで、何度か引越しをして(最初はコンクリート
代にしたら?」「中で涼めば?」っていうかたち
的な商業施設の一角でした。)今は築 100 年の古
で声をかける。そこから親同士ちょっと見合う、
民家にたどり着き活動の拠点にしています。雰囲
預けあうが始まったりして、ずるずると庭の芝生
気があり実家に来たような日常の続きという感
でも遊べるようになったりする。親の関係性を作
じがします。室内の飾りも建物の雰囲気に合わせ
っていけたら、子どもって、もっとのびのびやれ
て自然物になるので、遊びに集中できます。裏庭
る。
には、小さな外遊びのスペースと縁側があって、
子どもは、育ちのなかで本当に大事なことを、
お母さん達は、縁側に腰掛けながら、子ども達が
遊んでいる様子を少し離れて見守ります。土と水
親の「関わりのモデル」になるでしょう。
があることが最高の遊び場で、いくらでも形を変
乳幼児期は、「ひと」や「もの」との応答(や
えて、自分たちで考えて遊びを拡げていっている
り取り)によって、愛着関係の形成や「生きてい
と思います。
る世界」を知ります。ですから、生育環境を考え
屋内のおもちゃの選び方も、子どもの遊び方に
る際には、どのようなものを選ぶかが大切になっ
影響すると思っています。おもちゃを通して子ど
てきます。今は乳児期から「応答」が不足してい
もが主役になれるような物を厳選したり、自ら積
ます。授乳中・食事中のテレビ、スマホ等の「メ
極的に選んで遊びたくなるような配置の仕方な
ディア」利用。紙オムツ使用による接触の減少。
どもあると思います。
「メディア」との長時間接触…。このように、
「ひ
ただ、子ども達の遊びは建物や物の環境があれ
と」とだけではなく「もの」との応答も削られて
ば発展するわけではなく、子ども達自身が主体的
います。一方で、「メディア」は応答性が高いの
に思いっきり遊ぶことができる自由な時間とそ
で、子どもも親もまるで中毒のように離れられな
れを見守れる「人の環境」がとても大切だと思っ
くなってしまいます。このような知識を基に生育
ています。私達の所では、お母さん方の気付きが
環境を考えましょう。
生まれる場としてサロンを開き、見守り方や子ど
そして、「ノンプログラム」は放任であっては
もの発達などの話をしています。サロンをするこ
いけません。そこには「仕掛け」として環境を設
とで、素敵な見守りをするママが増え、子ども達
定することが必要です。この時、子どもが自ら関
がのびのびしているという声もあります。そのよ
わっていく環境こそが、その子の育ちにとってち
うな取組みを継続していくなかで、新しく来られ
ょうど良いことなのです。ですから、あまり作り
た方にもその文化が少しずつ継承されて子ども
込みすぎて、固定的になってしまっては面白くあ
の育ちにつながっているのかなと。また、ここで
りません。子どもたちの様子を見ながら、何が好
できたつながりが子どもが成長しても途絶えな
きか、愉しんでいるかをしっかり見極め、それを
いように、地域の他の活動(プレーパークなど)
拡大していくようにすることが大切です。そうす
との連携も大事だなと感じています。
ると、そこで遊んでいる子どもやおとなの姿を見
て、他の子も自然と遊び始めますよ。
【講演】
講演】「子
「子どもの世界
どもの世界を
世界を考えるために…
えるために…」
<原陽一郎>
【まとめ】
まとめ】
子どもの育ちに関する拠点
<分科会担当実行委員>
の一番の役割は、「モデル」を
事例にもあったように現代社会は、子どもが本
提示することだと思います。保
能から求めている遊びを通して育つということ
護者は、育ってくる過程におい
を、お母さん達の中だけではできにくい状況にあ
て育て方の「モデル」を見てき
る。
ていないことが多いので、衣食
拠点の形態や場所によって方法は違うが、支援
住全般にわたって、生育環境「モデル」を伝える
者がその問題を意識し様々な環境(仕掛け)を設
必要があります。
定することで日々の拠点での過ごし方が変わっ
子どもにとっても「モデル」が大切です。子ど
てくる。
もは、模倣、「まね」から遊びを生み出す天才で
子どもの育ちを見つめながら、子どもが育つ環
あって、何もないところから遊びを作り出せるの
境を作っていくことが重要であると再確認した。
ではありません。つまり、「場」をつくっただけ
では、子どもは遊べないのです。また、子どもに
対して「遊びのモデル」を提示すると、その姿は
【第4分科会】「飛び出すひろば~世代を超えたつながりをつくる~」
●会 場: D館 201 講義室 参加者 42 名
●概 要: 子育て支援事業は、拠点に来る人だけを対象とするのではなく、地域をつなぐ、地域
に出て行く、地域の子育て中の人と接点をもつこと。つながるためにはどのように出
ていけば、どこを目指して出ていけば良いのか。
●コーディネーター: NPO法人わははネット 理事長
中橋恵美子さん
●事例発表:
NPO法人マミーズ・ネット 理事長
中條美奈子さん
氷見市地域子育てセンター 主査
濵下 峰子さん
【 地域のみなさんとともに
地域 のみなさんとともに~
のみなさんとともに ~ 公民協働の
公民協働 の 子育
て支援活動~】
支援活動~】
児サークルの紹介も行っているが、各サークル
にとって新規入会する人をゲットする有効な場
<濱下>氷見市地域子育て支援
にもなっている。
センターは『子育ち、親育ち、
<中橋>子育てサークルが多少減ってきている
地域育ちを支援する』を施設理
所もあるが、お二方の事例のように形は様々。
念とし、住民による子育て支援
保健師さん、地区、児童館が主催で行っている
活動である地区子育てサークル
サークルもある。
への支援を持ち味として、地域
へ出向き子育て支援を行っている。現在は 14
か所あり、年2回出前保育も行い、子どもと保
【ワーク:隣同士で自分たちの地域のサークル
の紹介をし合う】
護者、地元の方とのおしゃべり、ふれあいなど
<中橋>利用者のお母さんの「こんなことした
しながらの情報交換や地元の要望に応じて絵本
い」
「こんな所があったらいいなあ」という声を
の読み聞かせ、季節の工作指導なども行う。地
聞いて、お母さんの背中を押してサークルを作
元のサークルからは月々報告書を受けて連携し
ったというお話を聞き、まさに子育て拠点らし
ている。行政と子育てはつながっており、公民
いなと思った。
協働の子育て支援、住民ニーズに対しての手立
てを考え、リスク家庭の早期発見、児童虐待の
【企業へ
企業へ出向く
出向く】
予防発見など、何よりも地域コミュニティの場
<中條>父親は、子どもとの接
にしていきたい。
し方などを学ぶ機会を設けても
出席する人は少ない。ひろばの
【 子育て
子育 て 支援はまちづくり
支援 はまちづくり~
はまちづくり ~ 支 え 合 って子育
って 子育
パパ講座を、企業の就業時間内
てするために~】
てするために~】
に出前できるのではないかと思
<中條>子どもの幸せを願い、すべての人たち
が地域で支え合って子育てできる社会をめざし、
活動している。育児サークル支援と地域子育て
支援拠点事業に力を入れている。
いつき、子育て講座を企業で行
っている。
父親のみの受講が多いかと思われたが、全職
員受講するという企業もあり、様々な世代に今
市の委託で設けたこどもセンターにはグルー
の子育てを知ってもらうきっかけにもなる。最
プ活動室があり、登録団体に月2回まで無料で
初は開催先を探すのが難しく、企業にとっての
貸し出している。育児サークルママたちが子ど
利点を訴えないと聞いてもらえないこともあっ
もを遊ばせながら活動できるほか、子育てに関
たが、
「家庭の安定は、仕事の安定につながりま
わる活動をしている人たちに広く利用されてい
すよ」と伝え理解を得た。
る。
ワークショップ型で時間もコンパクトで参加
毎年雪が溶けて子どもを連れた人たちが活動
しやすく、
終了後、子育て相談をする人もいる。
を始める頃に『子育て情報カフェ』を開き、育
子どもへの接し方を知ることは、仕事でのコミ
ュニケーションにも通じるため、企業とつなが
てもらい検討会議と評価会議を開いている。利
ることはお互いの利益になる。
用者の視点、地域企業からの視点など様々な視
<中橋>文化の違うところに理解してもらうに
点から検証を行っている。単に情報を伝えるだ
は売込みも必要。私のひろばは、商店街の方た
けではなく、語られないニーズに気づき、必要
ちとお互いの利点を活かし企画やイベント等を
な機関につなぐようにしている。相談員、保健
行っている。NPOも自分たちのできることは
師との連携も大切。自己決定を待ち、地域資源
何かを工夫し「お互い様」の活動を行うこと、
を使いながら解決できるように不安を抱える親
相手のニーズに応えるための引き出しをたくさ
に寄り添っている。
ん用意し、何のためにするのか軸がぶれないよ
<中橋>キーワードは『利用案内だけで終わら
うに。
ない』『ちゃんと伝える』つなぐ。
<中條>相談は重いのから軽いのまである。気
【飛び出しつながる】
しつながる】
軽に聞いていたら重いケースもあり、来ている
<中條>上越教育大学と連携している。教諭、
から大丈夫ではなく何が潜んでいるか見極めが
保育士を目指す学生の中にも、赤ちゃんや幼児
必要。
にも接したことのない人が多い。学生がひろば
【ワーク:地域とつながった、つなげたという
でボランティアをすると単位に認められる仕組
ことを、隣同士で話す。明日からしてみたいと
みになっている。4月の説明会で、親子が交流
いう決意を書く】
する場でのボランティア体験は将来教員になっ
た時に保護者に対しての理解につながり自分の
【まとめ】
まとめ】
力になることを伝えて、参加者を募っている。
<中橋>地域の中でも気軽に声
来る人たちの中には保育士、幼稚園教諭を目指
をかけてくれる民生委員、行政、
す学生だけではなく、小中学校の教諭になろう
保健師とつながっていくこと。
とする人もいて、将来この人たちが良い教員に
行政だからできることもたくさ
なると信じている。
んあるが、自分だったらどんな
<濱下>氷見市では中学生は必ず1回は経験で
スタイルで出ていけるかを大切
きるように、助産師さんと共に出向き、産むと
にしながら、つながりを持ちたいと思ったらツ
ころの教育から入って赤ちゃんを抱っこする。
ールを持つことが、アウトリーチの第一歩であ
ニーズがあれば行政も動きやすいので、声を
る。情報収集を行いまず現状を知る。そして何
かけていく必要がある。移動図書館へ同行する
ができるかスタッフと相談し、地元に根付ける
と、おじいちゃんやおばあちゃんたちが近所の
ひろばになるようにし、地域貢献をしたがって
子どもたちを連れてくる。子どもが少ないから
いる企業にアプローチをする。
こそコミュニティ作りの場が必要だと、地元の
<濱下>この仕事は楽しい!できることをする
アプローチへつなげた事例もある。年寄りの世
ことの積み重ね。明日してみたいことはモチベ
話で余裕がないと民生委員さんに断られたが、
ーションをあげる。
3人しかいない地区の子どもたちの集う場を作
<中條>できるようになった事例をあげたが、
ってもらうために飛び出していったこともある。
諦めずに心の底でいつかやろうと思うといつか
外へ出ていくとニーズがあり相手がいる。持
は実現すると思う。
ち帰って情報発信していく必要性を感じアウト
<中橋>挫けないためにも必ず紙に書いたこと
リーチを行った。
(決意表明)を実現させるようアクションを興
して欲しい。仲間、組織、みんなが書いたこと
【情報発信について
情報発信について・
について・支援コーディネーター
支援コーディネーター】
コーディネーター】
を共有する。子育ての拠点ってやりがいがあり、
<中條>子育て支援コーディネーターを置いて
もっとともにやれることがある。そして喜びが
いる。その活動が地域ニーズに応じているかを
子どもたちの笑顔あふれるまちへつながる。そ
検証するために、多様な立場の人たちに集まっ
んなふうに仕事をしていってほしい。
【第5分科会】「虐待防止」~拠点がやること、できること~
●会 場: E館 301 講義室 参加者 45 名
●概 要: 子どもを、そして親を虐待から守る場所の 1 つとして、拠点に何ができるのか、様々な
取組とともに考えていきました。
●講 師:
関西大学 教授
山縣 文治さん
●事例発表: NPO法人ふらっとスペース金剛 代表理事
岡本 聡子さん
NPO法人子育て談話室 理事長
柴田 恒美さん
【事例報告】
事例報告】
<岡本聡子>
出てしまうなど、子どもにとってまずい関わりを
2003 年に民家を借りて子育て仲
している親に対して、そうならざる得ない理由を
間とともにひろばを始めた時には、
理解しながら、日々つきあっていく中で、伸びた
これが虐待予防になるとは意識せ
り縮んだりする状況の幅を見守り、明日につない
ず「親子が気軽に集まれる場所が
でいる。
要るよね」という思いで始めた。
基調講演でシングルマザーの話があったが、シ
火事が起こりそうなところに注意して、ボヤが
大火にならないように、類焼しないようにする、
ングルマザーに限らず全てに通じる支援の姿勢
そんなイメージの仕事だと思う。拠点での日常的
だと思う。①あなたのままでいいと伝える②自分
な見守り、寄り添い、親子との関わりはとても大
を正直に何でも話せる友人との家族的なつなが
切。
りをつくる③プロに相談する。私達の仕事は、こ
の中の①と②にあたる。地域とつながることで、
質問:(課題を抱える親子を)見逃さないための
質問
支援のネットワークをつくりだし何か起こる前
観察力はどう養う?
に予防的に対応すること。
回答:支援者にとって厄介なことをする人は、
SOS
回答
日常的に、親子の間には葛藤がある。例えば拠
を出している人であることが多い。親からの SOS
点で《早く帰りたい親》と《帰りたくない子ども》
サインと呼んでいる。この頃の親は!とあきれる
の衝突場面は日常茶飯事。そんな親子をどう専門
のではなく、なぜ、そうした行動をとるのか考え
機関につなげていくかではなく、明日につなげて
ることが大切。SOS サインは支援のチャンス!
いくかという仕事を担っている領域だと思う。ス
タッフの二名配置は良いシステム。一人は子ども
【事例報告】
事例報告】
に、もう一人は親に寄り添うことができる。親と
熊本で三つの事業展開中。不登
子にはそれぞれの立場があり対決することもあ
校児の支援ボランティア活動で、
る。「子どもに寄り添えない」と自分を責めがち
思春期の子どもと付き合い、乳幼
な親にも共感しながら、子どもの気持ちもしっか
児期の大切さを感じるようになっ
り受けとめる、というふうに、両者に丁寧に付き
たことをきっかけに拠点をつくり
合うことを大切にしている。
NPO法人化した。
<柴田恒美>
例えば、子どもが病気になった時、どう対応す
拠点は、週5日6時間開所、地域機能強化型の
るか分からず不安だからすぐ救急車を呼んでし
ひろば。拠点で力を入れていることは、①温かく
まう、というエピソードをスタッフとして聞いた
迎え入れること(毎月2時間、互いに気になるこ
ときに、経験不足の親たちの不安な心境を想像し
とを出しあいロールプレイやディスカッション
たり、親子が置かれている環境や背景に共感した
をすることで、一人一人の気付きを高めている。)
りすることが大事なことだと思う。一方で、手が
②身近な相談相手になること(元利用者にスタッ
フになってもらっている。ただしオトモダチにな
【講義】
講義】
<山縣文治>
り過ぎないという点に注意している)③地域に出
昔はきょうだいで友だちの家に
向くこと(乳幼児検診の待ち時間に一人一人の話
あそびに行くことが当たり前。そ
を聞いてニーズを把握しつなげる等)④サークル
こで、赤ちゃんに出会い学ぶチャ
の立ち上げのバックアップ等である。
ンスもあった。今は、きょうだい
だけで街を歩いていると、ネグレ
拠点で出会った親子の事例を3例紹介した。
虐待予防で拠点ができることは、普段からの関
クトかと疑われる時代になってしまった。本分科
わりを大事にすること。生活の背景やどんな子育
会のテーマは虐待予防だが、第一次予防は、虐待
てをしているかを知り、寄り添いと見守りをして、
が起こらないようにすることである。二次予防は、
他の機関と連携すること。
虐待を早く発見して重大化しないようにするこ
事例としては①利用者同士をつなげること。初
と。三次予防は、再発予防。
めての子育ての親を対象に2時間4回のBPプ
国の定める通告制度についても知っておいて
ログラムを行っている。よくつながると実感。②
欲しい。一般的に通告先というと児童相談所が浮
利用者と地域をつなぐこと。子育て関係団体、当
かぶと思うが、第一義的窓口とされているのは市
事者のサークル、保育園、幼稚園、行政の連携ネ
町村だ。実際の通告数も市町村の方が多い。
ットワークがあり、互いに信頼しあって地域を支
えている。③訪問型の子育て支援(ホームスター
【ワーク】
ワーク】事例報告は、主に一次予防から二次予
ト)。傾聴と協働を中心に他の支援や人々とつな
防にちょっと入ったところの話が多かった。自分
がるきっかけづくりをしている。そして④関係機
達の拠点での取り組みなども互いに出し合い、4
関連絡会等。ひろばを取り巻く関係機関(ひろば、
つに分類し模造紙に整理しながら意見を交わす。
センター、ファミリーサポート、療育機関、行政
①一般的取り組み
担当課、保健師)が月例会で支援の役割分担と連
②来てもらうための取り組み
携を明確にして親子を見守って支援をしている。
③つながり続けるための取り組み
ひろばで気になる親子がいたら、保健師に「たま
④専門機関につなげる前の取り組み
たま来たので」と寄ってもらい、必要であれば療
活動に参加する利用者の人数に差はあって構
育機関につなげるとか。
小さな街だからできることを活かして、今後も
わない。参加する人が居る限り、その活動は必要
な活動なのだと考えるべきである。
地域の子育て家庭を支援し見守り続けたい。
【まとめ】
まとめ】
質問:虐待防止の観点から、経験不足の親を補う
質問
<岡本>拠点の仕事は、「虐待です」と名付ける
ため妊娠中の関わりは何をしているか
ことではなく、
「しんどい」
「助けて」と言える雰
回答:産んでから来る所なので成果になりにくい
回答
囲気づくりと、身近に相談できるよう親子に寄り
が、妊婦にもできることはチラシを配布。
添うこと。
質問:通報されると、
子どもの口を塞ぐ親が居る。
質問
<柴田>小さいひろばなので、顔の見える関係、
回答:通報や検診に行かず叱られると怖いと籠る
回答
信頼関係を大切にしていきたい。
人もいることを知っておくことは大切。直接言っ
<山縣>利用者は、拠点に専門性を求めて来るの
てくれればいいのにと、通報されたことを見放さ
ではなく、「あの人が居る」から来るのである。
れたと感じていた人もいる。
専門に拘り過ぎると、「あの人が居る」から「来
ない」ということも出てくるかもしれない。拠点
スタッフに求められるのは幅広く、深くなり過ぎ
ない専門性ではないかと思っている。
【第6分科会】「新しい拠点の枠組みの中で」~利用者支援のあり方~
●会 場: E館 402 講義室 参加者 101 名
●概 要: 子ども・子育て支援新制度の施行を控えた今、地域機能強化型の新設など新しい制度を
自らの関わる拠点でいかに活用するか?先進的な事例を参考に考えていきました。
●コーディネーター: 関西学院大学 准教授
橋本 真紀さん
●事例発表:
小ざくら地域子育て支援センター 所長
岡本 初江さん
NPO法人やまがた育児サークルランド 代表
野口比呂美さん
高松市健康福祉局こども未来部子育て支援課 課長補佐 黒田 秀幸さん
「さまざまな子育
さまざまな子育て
子育て支援のあり
支援のあり方
のあり方を考えて・
えて・・・」
・」
ば、一人一人親も違う、10 人の子どもがいれば、
【事例発表】
事例発表】
一人一人子どもも違う、10 人の親と 10 人の子ど
<岡本初江>
小ざくら地域子育て支援センタ
もがいれば、100 通りの支援の仕方がある。その
ーは、社会福祉法人クムレが主体
ためには地域の社会資源と顔の見える関係を構
となって、現在、地域子育て支援
築し、協力し合える体制をつくることが必要であ
拠点事業(一般型)
、一時預かり事
る。
業、ふれあい子育て支援事業を実
施。センターでは、法人内の保育
【事例発表
事例発表】
発表】
<野口比呂美>
士、社会福祉士、看護師、栄養士、臨床心理士と
山形は 3 世代同居が多い地域で
連携し、専門性のある職員が相談に対応。より専
はあるが、子育ての手助けが少な
門的な相談には、行政機関と連携。地域連携とし
い家庭が増えていることが課題。
て、倉敷市内のセンター・ひろばが合同で子育て
当団体は子育てサークル連絡
ボランティア講座を開催し、地域の子育てボラン
会として、平成 10 年に発足、
「親
ティアの育成支援も行っている。市の助産師と連
子の学び、親同士が学びあい、支
携してプレ・パパママ教室、栄養改善委員と栄養
えあう」ことを大事に、サークル支援、一時保育、
教室、愛育委員とふれあい広場などの開催や親子
人材育成、子育て支援団体の中間支援などにより、
クラブへの出前教室など、支援センターから地域
子育てしやすい地域づくりに取り組んできた。平
に出向いての子育て支援を行っている。法人内の
成 14 年から、子育て支援施設「子育てランドあ
6か所の事業所合同で、育メンひろばを開催して
~べ」の管理運営を行っている。
「あ~べ」とは、
いる。
山形弁でレッツ・ゴーという意味。現在、常勤6
個別の利用者支援についての事例:
人、パート3人、非常勤5人、アドバイザー1名、
精神疾患の母親の出産から、小学校就学までの
有償ボランティア約 15 名、無償ボランティアや
取り組み。医師、及びワーカー、保健師、相談支
学生約 10 名などで構成。ニーズに基づいた事業
援員、社会福祉協議会等の、多くの機関が連携し
を展開している。
サポートをしたケース。小学校入学に向けて次の
東日本大震災の避難家庭支援の事例。
機関につなぐときには、関わってきた関係機関で
ある日、夕方の閉館間際に避難してきたお母さ
ケア会議を開催し、就学に関わるサポート体制へ
んが「あ~べ」に来たのをきっかけに、震災や原
とつないだ。
発事故による避難親子の支援が始まった。山形県
乳幼児期・学童期・成人期と進んでいく中、ラ
がいわゆる「自主避難」に対して家賃補助をした
イフステージに応じた相談・支援へとコーディネ
ことで、23 年夏以降、サロン参加者が 100 人、200
ートしていくことは必要不可欠。10 人の親がいれ
人と急増。そのため、地域ごとに育児サークル化
し、3つのサークルを立ち上げた。さらに、いろ
地域機能強化型の4か所の拠点を核に、他の 27
いろなニーズや想いに応えるために、民家を借り
か所の拠点、関係機関をつなぐというイメージ。
て常設の子育て拠点を開所。人口 25 万人、年間
市内を4エリアに分け、社会資源と顔の見える関
出生数約 2400 人の山形市に最も多い時で約 7000
係づくりを求める。利用者支援を進めるステップ
人の避難者という状況だった。
としてスタッフの意識改革、事業計画の作成、情
避難家庭は、乳幼児などの母子避難が多く、二
報集約、他機関との協力体制の確保。国の利用者
重生活の経済的負担、孤立傾向、不安を抱えての
支援と、地域機能強化型での利用者支援の違いに
毎日。現在は、長期化、問題の個別化に対応する
ついて、明確なすみ分けを検討予定。
ため、専門機関につないだり、講座やグループワ
担当者としては、拠点の思いを理解した上で、
ークを開催したり、サークルやグループ活動の運
費用対効果を考慮しつつも、トータル的に計画を
営支援をしたりしている。25 年度には福島に帰る
たてている。拠点スタッフの皆さんには、利用者
人も多く、報道では出てこない現場の課題も明ら
が目的を達成するため、選択肢として必要なメニ
かになってきた。そこで、福島の子育て支援者と
ューを紹介できるよう、さらなる自己研鑽と、行
山形の支援者が研修、交流することで、避難した
政、他団体との、良好な関係の構築をお願いした
家庭、福島に残った家庭の両方のお母さんの状況
い。
を知る活動にも取り組んでいる。地域の中でとも
に生きるつながり作りをめざしてがんばりたい。
【まとめ】
まとめ】
<橋本真紀>
拠点で仕事をする者として、真
【事例発表】
事例発表】
<黒田秀幸>
ん中に利用者があることを忘れず、
高松市は、国の子ども・子育て
いろんなニーズを受け止めながら
ビジョンにおける地域子育て支援
家族を支援していく。つまり、今
拠点の目標値である中学校区に1
まで拠点事業で培ってきた視点で
か所はすでに達成し、平成 26 年度
ニーズを発見し、築いてきた関係
までの目標も達成。
平成 27 年度からの新制度(利用
者支援)に円滑に移行するため、地域機能強化型
として、4つの基本事業の取り組みをベースに、
性を基盤に、個別支援に取り組み、地域の中に新
たな資源をつくっていくことがコーディネータ
ーの役割になる。
市民からの信頼は大きいが縦割りと言われる
地域の利用者支援体制の基盤の構築を行うとと
行政をコーディネーターが横につないでいくこ
もに、子の育ち・親の育ちを支援する地域との協
とで解決することが可能になる課題も多いと考
力体制を強化。
えられる。自分たちの足場を確認しつつ、これか
利用者支援とは、まずは、教育・保育施設や地
域の子育て支援事業の情報集約・提供をメインに
トータル的ケアを行う。地域支援では、潜在的に
引きこもっている家庭へのアプロ-チ、訪問支援
することを課題と考える。
高松市の地域機能強化型は、拠点に4か所設置
とし、企画提案型公募で選定し、契約。審査は、
事業内容、人員体制、事業計画、他機関との連携、
スタッフの育成、広報等。専任スタッフには県の
子育て支援コーディネーター養成講座制度を活
用。
らの新しい制度の中での可能性を考えることが
できた。皆さんの今後の活躍に期待したい。
【第7分科会】「多様な利用者を孤立させない拠点のあり方」
●会 場: D館 101 学生ホール 参加者 52 名
●概 要: 利用者が抱える多様なニーズについて、その分野の専門家を交えたテーブルで意見交換
し、利用者を孤立させない拠点のあり方をワールドカフェ方
式で探る。カフェの中で自由闊達な議論が繰り広げられ、新
たな文化が芽を出していくように参加者が複数のテーブル
を回りながら会話を通して課題について意見交換し、積み上
げ考えていく。
●講 師:
種智院大学 専任講師
近棟健二さん
●コーディネーター:NPO法人新座子育てネットワーク 代表理事 坂本純子さん
【父親】
父親】
話題提供者:日野和利さん
【多胎児】
多胎児】
(備前ちちとコくらぶ)
話題提供者:光本康恵さん
(ツインズマザークラブ
役員)
グループファシリテーター:福光節子さん
グループファシリテーター:有澤陽子さん
(NPO法人きよね夢てらす子育て応援こっこ)
(NPO法人子育てネットひまわり 代表理事)
父親たちがひろばに出て来られ
「どんな場なら地域から孤立さ
ない現状は?恥ずかしい・敷居が
せないか?」当事者だけでは活動
高い…など様々な原因が含まれて
にも限界がある。行ったひろばが
いる。イベントを実施してもその
welcomeな雰囲気だったら
場だけでの支援になり継続した活
すごく嬉しい。そんなひろばにす
動にはなかなか結びつかない。父
るためにやっていることは、生ま
親同士ではなかなかメール交換などしない。来ら
れる前からのアプローチ、乳児相談にスタッフが
れるようにするためには、入りやすい雰囲気作り、
出向く、共感する声かけをするが、その共感は難
女性の居場所と思わせないように、特別扱いをせ
しく「大変ね」「すごいね」などは個性もあり特
ず自然に接する。続けた活動になるには“キーパ
別扱いされていると感じ、逆に自分はしんどい人
ーソン”をみつける(負担にならないように気を
なのかとネガティブになる方もいる。しんどさを
つけながら)。パパ友を作りたいのかどうかは、
理解して来てよかったと思えるような言葉かけ
個々によっても違うのでタイプを見分ける目を
が必要。
持つことも重要。また会社に育休などをとりやす
来てもらうきっかけ作りとしては、ひろば自体
くなるようにアピールすることもひろばででき
が情報発信の場に、キーマン・多胎児親子の先輩
るかも…。
ママとのつながりの場、ひろばから出向く、行政
<近棟>自分も父親だがハードルが高く利用し
との連携などが重要。
「来てよかった」
「また行こ
たことがない。社会の中で父親は必ずしも少数派
う」と思えるひろばになったらいいな。
ではないにも関わらず、ひろばでは少数派になっ
<近棟>来てもらえるきっかけ作りで、生まれる
ているというギャップがある。父親だからと特別
前(母子手帳交付時)・乳児健診などで行政とつ
視するのではなく自然に接することが大切。父親
ながりアピールするのも有効ではないか。共感す
に対しての働きかけの前にお母さんに働きかけ
る難しさで、対人援助の中で個別化は大事。お父
るのが大事。
さん・多胎児のお母さんというくくりではなく、
<日野>父親も個性や性格によるので、スタッフ
AさんBさんと見ていかないとわからないこと
の見極める目も必要。
がある。個々をじっくりと観察することが大事。
<光本>サークル・ひろばがあるという情報を妊
娠中に知ってもらうだけでも、産んだ後も行く場
ての言葉の対応ができない。まず
があるという安心感をあたえてあげられる。
はやさしい日本語でわかりやすく
言葉かけをし、話してくれること
が外国人はうれしい。皆平等、気
話題提供者:國富熙子さん
負わずに話しかけてくれることが
(岡山県ひとり親家庭支援センター支援員)
ありがたい。スマホや Google の翻
【シングル】
シングル】
グループファシリテーター:新澤拓治さん
(社会福祉法人雲柱社
施設長)
訳を使うと訳が間違っていることがあり、誤解を
生じて伝わらなかった例がある。電話での医療通
訳はAMDAが対応しているし、電話通訳サービ
課題としてはパパの話題を出す
スはJICAも情報を持っているので、詳しくは
のが良いのか?悪いのか?来ない
調べてほしい。外国人にとってはひろばに行くだ
ということは来にくい要因がある
けでもすごいパワーがいることなので、それに対
のではないか。情報はどのように
して諦めず声をかけてほしい。外国人にひろばに
伝わっ てくるのか? 保健セン タ
来てもらうためには情報提供、利用案内をいろい
ー・保健所・保育所・小児科など、
ろな言葉にかえる。キーパーソンになる方を作る。
別の課題から入り込むとひろばにつながったり、
<近棟>逆の立場で考えると、かなり孤立を感じ
複数の課題があるゆえに、複数のネットワークを
るだろう。外国人の方は少数派で言葉の問題など
持っているとそういうところからつながること
もあり遠くなってしまうが、国際交流協会などの
もある。民生委員さん、ファミサポなど地域で活
ようなところとつながりそこを通してきてもら
動されている方とつながることも必要。では来て
う。お・も・て・な・しの心が重要。
もらうためにはどうしたらよいか?働いている
<譚>まず、いろいろなところからつなぐことが
人が多いので、土日開設。受け入れる態勢を整え
必要。言葉の問題はお互い様、絵のコミュニケー
る必要あり、ひろばがその人たちの居場所になる
ションやキーワードを使って簡単な言葉でもよ
か?スタッフの受け入れられる度量が必要。また
いので、諦めないで外国人と関わることでオープ
シングルマザーだけでなく、シングルファザーも
ンマインドになってくる。
いる、その中で育っている子どもの気持ちにも目
を向けたい。
<近棟>受け入れるスタッフの度量・考え方・価
【祖父母】
祖父母】
話題提供者:宇野圴惠さん
値観→専門職化が進むなかで、自分の価値観を自
(ハーモニーネット未来
覚した上で専門職・ひろばスタッフとしての価値
認定NPO法人子ども劇場笠岡センター 理事長 )
グループファシリテーター:安田典子さん
観で接することが必要。
<國富>人間は皆平等、環境は違うけど魂をもっ
(NPO法人くすくす
理事長)
た一人一人であること・まわりの人が偏見の目で
「ひろば」のなかで、祖父母が
見ないこと。
若い親たちと交流できない要因と
しては、世代間ギャップや地域差
俊 偉さん
があるのではないだろうか。その
多文化共生推進員)
対策としてそれぞれの「ひろば」
グループファシリテーター:松崎美穂子さん
でどのような工夫がされているの
【外国人】
外国人】
話題提供者:譚
(岡山県総社市
(NPO法人子育て支援ネットワークとくしま 理事長)
か、話合いをし、積み上げていった。
民生委員をきっかけとしたつながりづくり、また
外国人の方はまずはどのようなことで困って
小さくなった衣服や、おもちゃなど年に1回バザ
いるのか?スタッフが日本語のみ、他国語に対し
ーを開催し、ふれあいとともに、ほしいものが安
価で手に入ると大変喜ばれているという報告も
(保健センターなど)ひろばによっては、同じ建
あった。
物内に保健センターが入っていて保健師が常駐
「ひろば」は若い人が行くところと敬遠してい
しているところもある。夫婦喧嘩かDVかの見極
る祖父母たちもいるであろう。編み物や手芸、お
めは→NOといえるか・自分のことを選べている
ばあちゃんが料理をつくって持って来てくれた
かで判断する。ひろばの役割として利用者の話を
ことから、「おいしい、これどうやってつくる
しっかり聴く、スタッフは一人で抱え込まずスタ
の?」と、さまざまな生活の知恵を教えてもらう
ッフ間で共有し、また専門的な知識を持つことも
など自然なかたちでつながりもできている。また
必要。専門機関との連携。親子をつなぐことも大
祖父母も知りたいと思っている現代の子育て情
事だが、スタッフの迷いも相談することが必要。
報もとりいれた「孫育て講座」などで世代間ギャ
スタッフの研修・ひろば利用者と共に学習会、そ
ップを埋め、価値観を共有する場もつくっている
こで初めてDVということの認識につながる。親
という話も出ていた。若い親同様、孫をみるのも
子が安心できる居場所・安心できる人の中にいる
実はしんどい、ママたちの息抜きしたい気持ちと
ということが一番大事。
同じである。リフレッシュの場として、個々を大
<近棟>DVは専門的知識も必要。専門機関へど
事にする「ひろば」なら、祖父母たちもまた気軽
うやってつないでいくかも、他のものより強いと
に来てくれるのではないか。
思う。
<近棟>基調講演の広木先生の話にもあったよ
<山下>相談するところからスタートして、自分
うに、母性は本能ではなく、文化である。そのた
達も助けてもらうということが大事。虐待の連鎖
め、まわりから学ぶ必要がある。協同体(地域)
を止めるのとDV被害者も同じ。まず『聴く』
『信
のなかで子育ての文化を若い親が身につけてい
じてもらう』話してくれるということは信じても
くために、ひろばが子育ての大切さを伝えていく
らえている証拠。
場となっている。
<宇野>あらためて子どもたちの豊かな成長、発
達にとって、多くの人たちとのつながり、多世代
のふれあいが重要であると感じた。
【まとめ】
まとめ】
<近棟健二>
今の社会全体の中では『助けて』と言えない人
も多い。誰もが安心して子育てをし、生活のでき
る地域の入口として、
【DV】
話題提供者:山下明美さん
(CAPおかやま
代表)
①来てもらいやすい、居心地よい場となること
が第一ステップ。
グループファシリテーター:山田智子さん
②真のニーズを把握し、そのニーズにどう応え
(NPO法人子育て応援かざぐるま 代表理事)
ていくのか(行政をはじめ、さまざまな機関
と連携していくことが重要である。連携する
ひろばでのDV事例としては、
お母さんがお父さんに5~6分お
きにメールで報告。スタッフ間で
ことによりさまざまな支援が充実してくる。
③多様な利用者の現状・困っていることなどを
地域に発信していく。
もしかしたらDVでは?と気付く
個々の状況が尊重できる地域をめざし、昔に戻
ことが大切。複数でシェアするこ
るのではなく、気持ちのいい新しい地域を創って
とで他のスタッフが気付くことも
いくことも「拠点」の役割ではないだろうか。
ある。特徴としては支配・身体心理・社会的・経
今日は、6つのテーマだったが他にも『障害児』
済的・性的・子どもへの影響がある。ひろばでの
『転居したばかり』などいろいろな方がいる。そ
対応としては、まず、信頼関係をつくり継続して
のような方も同じような状況だと思うので、それ
来てもらえることが大事、振り返りを通して、ス
ぞれ拠点で話ができたら良いと思う。
タッフ間で共有、必要であれば専門機関へつなぐ
鼎談「今こそ見つめよう子どもの育ち~大きく拡がるひろばの可能性~」
●会 場:R館 601 講義室(全体会場)
●登壇者:NPO法人子育てひろば全国連絡協議会
理事長
奥山千鶴子さん
NPO法人子ども達の環境を考えるひこうせん
代表理事
赤迫 康代さん
就実大学
准教授
村田 恵子さん
【開催テーマ
開催テーマに
テーマに込めた思
めた思い】
<村田>岡山セミナーで掲げた
「今こそ見つめよう
ことを考えていた。
たまたま保健所で子育て通信をつくるボラン
子どもの育
ティア活動に携わるようになり、その活動をとお
ち」というテーマは、新潟セミナ
して、当事者である子育て家庭と行政の間にすご
ーで受け取ったメッセージを受け
い溝があるぞということに気づき、その仲立ちを
て時間をかけて話し合い決定した
する活動に加わったことが私の子育て支援の一
思い入れの深いテーマである。実行委員長の赤迫
歩だったと思う。そこで知り合ったお母さんたち
さんから、今回のテーマに込めた思いについてお
とは本音で語れるようになった。そんな感じでグ
話しいただきたい。
ループができ、6年間ボランティアをするなかで
<赤迫>昨年の新潟セミナーは、子どもの育ちを
日々の課題も見えてきて、児童館のない横浜で、
見つめていける社会を社会全体でつくっていこ
居場所がほしいという強い思いに駆られるよう
うという話で締めくくられていた。それを受け取
になった。東京都の江東区子ども家庭支援センタ
った上での今年のテーマとなっている。もし来年
ー「みずべ」や、武蔵野市の「0123吉祥寺」
岡山で開催するとしたら、「子どもの育ち」を真
を見学させていただいて、私たちもこういう支援
ん中においたテーマにしたいね、ということにな
が欲しいと、居場所(「びーのびーの」)を商店街
った。
の空き店舗で自主事業として立ち上げた。この
「おやこの広場びーのびーの」は、2年後には横
【これまでの活動経験
これまでの活動経験と
活動経験と手応え
手応え】
浜市親と子のつどいの広場事業として運営する
<村田>拠点には、個別の親子により丁寧に関わ
ことになる。
ることや、親子を支えるつながりを地域に広げて
その後、「どろっぷ」という市の委託事業を受
いくこと等が期待されるようになってきたが、こ
けることになり、これが大きな転機になった。
「び
れらは既にこれまで多くの拠点で取り組まれて
ーのびーの」を立ち上げたときは、私もばりばり
いる実践がベースにあってのものだと思う。そう
の当事者だったため、親支援という視点が濃かっ
した取組の事例や手応えについて、奥山さんと赤
た。だが、「どろっぷ」を立ち上げるときには、
迫さんにうかがいたい。
新たな目標が出来た。
<奥山>私自身は、十年仕事をしてから結婚、子
「びーのびーの」のコンセプトは、「もうひと
育てとなったこともあり、三十代で3人子どもを
つの家」だったが、「どろっぷ」を立ち上げたと
産み育てている。公園に出かけて子育てしている
きには、やりたかったことが2つあった。
ときは、どんな話をするにも空気を読みながらで
1つはお父さん支援。狭いひろばでは、お父さ
苦しかった。そんな中で、本音で語りあえる友だ
んを呼び込むことは難しかったが、建物が広いと
ちってどうやったら見つかるんだろう?そんな
いうことで、土曜日もオープンすることでお父さ
んが気軽に来られる工夫をした。
もう1つは、外遊び。商店街ではなかなか土に
お母さんたちと一緒に考えるというところから
活動を始めた。
は触れられなかったが、狭いながらも自分たちの
昨日の広木先生のお話にもあったように、現在
園庭が手に入った、どろんこ遊びも十分できると
は子育てが伝授されにくく、伝授できたとしても
いうことでの2つめの目標。
昔と今ではやり方が違うから伝授したことがそ
このように、「どろっぷ」のコンセプトは「子
のまま活かせるわけではないという大変さを感
どもが真ん中、みんなで子育て」となった。それ
じている。だが、子どもたちが育っていこうとす
まで、「親たちに」という思いでやって来るなか
る力は変わらないのではないかと思っている。環
で、ひろばが子育ちに非常に重要な場であること
境は変わっても、子どもが育とうとする力は変わ
を感じるようになった。そうした経験から、「ど
らないし、子どもの発達の道筋も変わらない。そ
ろっぷ」では、子どもたちを真ん中に、親、そし
こをいつも中心軸にすることで、子どもだけでな
て地域の人たちが関わる場にしていこう、という
く広く人が育っていく環境ができていくのでは
ことになった。
ないかと考えるようになった。ひろばでは、こう
13 年間やってきたなかで痛感しているのは、利
した視点を、子どもたちの一番身近にいるお母さ
用者が「来るってことには理由がある」というこ
んやお父さんたちに伝えていける機会を色々な
と。一見楽しそうに、生き生きと子育てしている
形で工夫している。例えばいやいや期の過ごし方
ように見えるが、子どもの遊び場はいくつもある
なども、お互いの経験を言葉にしあう機会の提供
中で、あえてこの場を求めてくるのは理由がある
によって、その時期のポイントが分かるとお母さ
ということ。来られないことにも理由がある。来
ん達の関わり方がぐっと変わってくる。そのよう
られない人が地域にいるということを忘れず、来
な親子が楽になれる学びの場を作っていきたい
ることにも来ないことにも理由がある、その理由
と思っている。保育士はカリキュラムの中で学ん
を意識しながら活動していくことが大事だと思
で子どもたちと接しているが、もっと身近にいる
っている。
親(養育者)に子どもの発達や育ちについて学ぶ
また、こうした親子の抱える課題がなかなか拠
機会がないというのは理不尽だと思ってきた。親
点だけでは解決できないということも見えてき
が学びたいときにいつでも気軽に学べる環境に
た。だから、なるべく地域の人たちも関わっても
したいし、ひろばもその一つでありたいと考えて
らうことのできる仕掛けをつくってきたところ
いる。それは「立派なお母さんを育てる」という
だ。
ことではなく、子どもを理解する大人を増やすと
<赤迫>私たちのひろばの母体は、
いうイメージ。相手は、お母さんでもお父さんで
「子ども達の環境を考える」とい
も、地域の大人でもいい。子どもってこういう存
う団体である。子どもたちが育っ
在なんだと分かる人が増えていくことで、地域全
ている環境はどうなっているのだ
体に温かいまなざしが広がると思っている。
ろうか、そういう疑問がきっかけ
<村田>昨日の広木先生のお話の中で、親子の
だった。
「もつれ」というお話があったが、一見楽しそう
最初は公園遊びや公民館での交流などから始
に見えてもいろんなことを抱えて拠点に来てい
めたが、その中で、子どもが充分遊べていないと
る親子が多いこと、そういう親子をゆったりと抱
か、テレビやDVDなどの影響もあって、外に出
えることができる場所にという奥山さんのお話
てこなくても過ごせる状況があることなどがと
と重なるように感じた。
ても気になった。遊び環境やメディア環境の問題
赤迫さんの拠点の「わくわくるーむ」では、こ
は、社会的に大きい部分が動いていかないと全体
れも広木先生のお話に、「母性は、文化として学
は変わらないが、まず目の前の子どもをよく見て、
んで身につけるもの」というお話があったが、温
かい雰囲気の拠点ならではの文化の伝え方を工
地域のいろいろな方たちと連携しなければ実現
夫されている様子が伝わってきた。お二人とも、
できない。その間を取り持つのが私たちというこ
制度があったからこういう活動をしてきたので
とかなと思う。
はなくて、制度はあとからついてくるという、自
<赤迫>今まで私たちの活動は、親子が共に育っ
分たちの目の前の親子に必要なことを一つ一つ
ていく土台をつくるということに力を注いでき
つくって来られたのだと思う。
た。ちょうど十周年を迎えた去年、その土台の上
次に、これからの新しい制度の下での活動に対
する期待などについて話してほしい。
に、新たなテーマとして、「子どもにやさしいま
ちづくり」を意識し、強化していこうと、積極的
に頑張っている。例えば、拠点の目の前や隣には
【地域との
地域との関係
との関係づくり
関係づくり】
づくり】
備前焼のお店が並んでいるが、敷居が高くて一緒
<奥山>毎年全国セミナーでは、
に何かをするということは殆どなかった。そこを
最新の情報を厚生労働省の方から
一歩踏みこみ、備前焼はとても大事な文化だから、
お話しいただいているが、今回は
子どもたちに伝えていきたいという共通の目的
新しい地域機能強化型の話があっ
を持って、「備前焼探索ラリー」という、親子が
た。これまで拠点は2人配置ということもあり、
お店を回る企画を実施した。次の展開として、ひ
気になるご家庭があっても深くコミットできな
ろばのなかにギャラリーをつくり、そこに備前焼
かった。機能強化型になれば、2人ではできなか
を置いていただくという試みを重ねてきた。こん
った、いろんな可能性が見えてくるだろう。
なふうに、地域資源とのつながりを掘り起こすと
今回の制度は、これまで十年以上積み重ねてき
いうことをこれからも丁寧にやっていけたらと
たひろばやセンター、拠点の実践に基づいて、そ
思っている。こうした小さな積み重ねが、地域を
れを応援する形で登場したものだと思っている。
再構築していく、新しいつながりを再生する、と
これを活かしていくためには、対人援助の力や地
いうことにつながっていけばと思っている。
域資源に関する情報やネットワークなどの新た
<奥山>「どろっぷ」ができたときに、市は、い
なスキルも身につけていかなくてはいけない。ま
わゆる拠点の基本4事業に加えて支援者のネッ
た、自分たちの事業の成果を可視化して、利用者
トワークづくりと人材育成を、やるべき事業とし
や地域に伝えることも重要。地域に根ざす、そう
て定めていた。この拠点事業は公募で、どんな法
いう立場で責任を果たしていくことを期待され
人でも手を挙げることができたが、地域の支援者
ているのではないかと思っている。
のネットワークづくりと人材育成は地域に根ざ
<赤迫>今回の機能強化型の制度は、拠点で一人
していない法人だと難しく、横浜全 18 区の拠点
一人にあった支援ができていく可能性が広がっ
事業はほとんどその地域で長年活動してきた団
ていくことだと思う。ただ、色々な社会資源と連
体が担っている。それは非常に大事なことだと思
携していくときに、相手となる社会資源の質のば
っている。
らつきも見えてくるように思う。私たちは、親子
町内会や地域包括支援センターなど、拠点だけ
のために本当に良いものかどうか見極める目を
でなく外との連携も進めてきたことから、最近は
養っていかないといけないし、もしそれが親子の
地域の課題を拠点に持ち込んで来られることも
潜在的なニーズと違っている場合には、積極的に
あるといった状況だ。
提案したり働きかけたり、そういう姿勢も必要に
<赤迫>様々なところとの連携は、それがお互い
なるのではないかと思う。
に育ち合うことにもなる。協働してゆくプロセス
<奥山>自分たちの子どもたちの健やかに育っ
のなかで関係ができたり、次につながる可能性の
ていく地域を一緒につくっていこうと地域の人
芽みたいなものが蓄積されていくのではないか
に発信していくことは、私たちだけでは無理で、
と思う。
【拠点同士のつながりづくり
拠点同士のつながりづくり】
のつながりづくり】
【拠点活動の
拠点活動の意義について
意義について】
について】
<村田>次に拠点同士のつながりづくりの取組
<村田>最後の話題に移りたい。これからの拠点
についてはどうか。
についてお二人が見据えている方向性、多くの親
<赤迫>岡山には、昨日紹介した「ももっこネッ
子や地域の人々に、拠点の入口をくぐってもらう
ト」とは別に、
「岡山子育てネットワーク研究会」
ことが子どもたちにどのような意義があるのか、
というネットワークがある。この研究会を通じて、
子どもたちにとっての拠点活動の意義について
企業、大学、行政、支援者、一個人と、
「子ども」
伺いたい。
をキーワードに、“緩やか”なネットワークを構
<奥山>今は、家族と地域との溝が深いと思う。
築してきた。その関係をベースに、「産科発の子
拠点はその緩衝材で、家族を開いて、一緒に子ど
育て支援-ひろばが産科に乗り入れる」といった
もを育てていけると思ってもらえるきっかけと
ユニークな取組も生まれている。
なる場所。家族の初期の段階、子どもが乳幼児期
そのつながりのなかで、拠点を運営したりひろ
の段階で関われる貴重な事業だと思う。子どもた
ばを中心にやっている人たちがしっかり話せる
ちにとって拠点は、ひとつのふるさとだったり、
場をということで誕生したのが「ももっこネッ
育ちの根っこになる大事な場所であり機能であ
ト」。法律上の拠点ではなくても親子の居場所作
ると思っている。それを親とともに担える場所で
りをしている活動であるプレーパークなども含
あってほしいと願っている。
め、岡山県が認定している「ももっこステーショ
<赤迫>私は、子ども一人一人が大切にされる社
ン」の人たちともご一緒している。
会の出発点を拠点が担えたらと思っている。昨日
<奥山>資料の 130 ページに載っているチラシは、
より今日、今日より明日の育ちを、みんなで共有
先ほど紹介した地域子育て支援拠点の成果と展
して喜んでいける場所にしたい。拠点の中にいる
望を実践者の方々がまとめたもの。自分たちのネ
と、そういうムードが作れてきたという喜びもあ
ットワークで、自分たちの現場の情報をまとめて、
るが、社会全体でみると、まだまだ子どもの育ち
行政にこれだけの仕事をしていると発信したチ
にとって心配なことや課題は多い。私たちが子育
ラシになっている。こんなふうに、自分たちの成
て支援の活動にかけている時間とエネルギーが、
果を行政に伝えていくということを積極的に行
空回りせず、親子にしっかり届くように、支援内
っている。横浜には、「よこはま一万人子育てフ
容を常に精査しなければならないと思う。特に、
ォーラム」というネットワークがあった。これも
子どもの育ちそのものや、支援の基礎、原点は、
15 年くらいやっている。1万人というのは、1万
繰り返し確認していくことが大切だと感じる。支
人のお母さんお父さんの声を行政に届けたいと
援者自身もお互いに認め合いながら元気にやっ
始まったから。7千枚の葉書を集め、お母さんた
ていきたい。
ちの気持ちを整理して行政に届けた。そこからネ
ットワークが始まって、今このネットワークから、
横浜市のいろんな委員会の委員を推薦している。
今度の子ども・子育て会議にも一人入ることがで
きた。こんなふうに、自分たちのネットワークが、
行政にも頼りにされるような関係ができるとい
いと思いながら活動している。
-ここで一旦分科会の報告(略)-
<参加者集計>
都 道
北
青
宮
山
府
海
森
城
形
県 別
道
県
県
県
人 数
3 人
1 人
3 人
2 人
茨 城 県
埼 玉 県
千 葉 県
東 京 都
神 奈 川 県
新 潟 県
富 山 県
石 川 県
福 井 県
山 梨 県
長 野 県
岐 阜 県
静 岡 県
愛 知 県
1
18
11
17
6
3
1
7
5
5
3
4
2
5
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
三 重 県
滋 賀 県
京 都 府
大 阪 府
兵 庫 県
和 歌 山 県
鳥 取 県
島 根 県
岡 山 県
広 島 県
山 口 県
徳 島 県
香 川 県
高 知 県
福 岡 県
佐 賀 県
長 崎 県
熊 本 県
宮 崎 県
鹿 児 島 県
沖 縄 県
5
2
3
47
6
4
2
3
295
32
5
1
66
3
11
2
6
4
3
2
1
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
計
600 人
属 性 別
一
般
登 壇 者
実 行 委 員
ボランティア
合 計
23日
24日
第
第
第
第
第
第
第
日 程 別
参 加 者
参 加 者
1分 科 会
2分 科 会
3分 科 会
4分 科 会
5分 科 会
6分 科 会
7分 科 会
その他
2日 間 のべ人 数
交 流 会 参 加 者 数
受 付
交 流 会
504
33
13
50
人
人
人
人
600
人
541
475
64
49
80
42
45
101
52
42
人
人
人
人
人
人
人
人
人
人
1016
人
189
人
<実行委員会より>
こてこての岡山弁リレートーク、
他県の皆さ
岡山での全国セミナーの開催!!とても感
んには理解できない部分もあったとも思いま
すが、温かく見守ってくださり、ありごとうご
慨深いものがありました。
数年前より岡山で全
国セミナーができたらいいな…と思っており、
ざいました。
交流会では、岡山の味を堪能しながらゆっく
りと交流して頂けるだけの時間確保ができず、
駆け足での司会進行になってしまいましたが、
それが実現できたこと、
皆さんに心より感謝し
ています。
セミナーを通して今まで考えていなかった
こと・見えていなかったこともじっくりと考え
皆様からいろいろな好評を頂き恐縮です。
る事ができました。新しいつながりもでき、県
岡山で、
様々な方面から子育てに関わってお
内でのつながりも一層強くなったような気が
られる皆さんと出会い、
共に学び合えたことに
感謝しています。それぞれの立場で「自分なり
します。今後とも、このネットワークを大切に
しながら私たちができることを地道に取り組
に」今できること、見つめ直すべきこと、これ
んでいきたいと思います。
からやっていけそうなことを改めて考えられ
皆さん、岡山はどうじゃったかな~?また会
いて~な~(#^.^#)
る機会にして頂ければ嬉しいです。
これからも「子どもの育ち」に負けないよう
に、育ち続ける大人でありたいですね。
牛窓ルンビニ保育園
主任
北條 慶子
拠点に関わって5年、
まだまだ経験不足の私
NPO法人
きよね夢てらす子育て応援こっこ
代表
福光 節子
「私が実行委員?児童館職員だけどいいの?」
が、全国セミナー実行委員をさせていただけた
のは、岡山でがんばってきた先輩(年齢ではな
畏れ多いと思いましたが、
おかやま地域子育て
支援拠点ネットワークのメンバーが実行委員
く)たちのおかげです。
おかげでとても楽しい充実した1年が過ご
を務める、ということでお受けしました。
なんとか二日間乗り切れたのは、関わってい
せました。みんなで知恵を出し合うことの意
味、協力することで可能になることの多さ、す
ただいた皆様のアドバイスや強力な推進力あ
ってのこと。感謝の一言です。
べてが私にとっては素晴らしい学びとなりま
した.「子どもの育ち」をテーマに考え続けた
ひろばのみなさん、たくさんの「刺激」をあ
りがとうございました。
(キーワードはもちろ
ことで、私の中でぼんやりしていたものが少し
ん「刺激」です。)
児童館も今変革の時。学童より乳幼児の居場
ずつ見えてきた気がします。ここで得たものを
形にするために、歩を進めていきたいと思いま
す。全国の皆さんとつながった喜びととも
に・・・
NPO法人
子育て応援ナビぽっかぽか
理事長
田口 陽子
所としてのニーズが年々高まっています。それ
ぞれ立場は違っても、目的は同じ!二日間刺激
を受けあい、現場での活動につなげていく糧と
なったことと思います。感謝のうちに・・・。
(公財)岡山市ふれあい公社
岡山ふれあいセンター
チーフ児童厚生員
野上邦子
「今こそ見つめよう子どもの育ち」
をテーマ
私はNPO法人子育てひろば全国連絡協議
に開催された今回のセミナーの実行委員のひ
会の理事として実行委員会に参画させていた
だきましたが、まず実行委員の皆様の顔ぶれ
とりとして関わらせていただき、感謝の気持ち
でいっぱいです。
おかやま地域子育て支援拠点ネットワーク
のすてきな実行委員さんたちとの出会いはも
ちろん、登壇者の先生方、全国からの参加者の
が、NPO、保育所、児童館、大学、行政…と
多様で、しかも形骸化した会議進行ではなく、
皆様から多くの学びがありました。
りのようで、居心地のいい実行委員会でした。
実に本音で熱く意見が交わされ、しかし温かな
地域の子育て家庭を軸に考えた「同志」の集ま
おかやまプレーパークをはじめ子どもの育
制度が新しく変わる大きな節目ですが、
制度
ちを支援する様々な活動をしているNPO法
人として、子どもの育ちを見つめながら、今後
の動きも見つつ、一方で変わってはいけない子
どもの育ち、子どもの幸福を中心に据えて、今
も様々なネットワークを作り、
学びの輪を拡げ
ていこうと思っています。
私たちが、
地域で何ができるのか?を本気で考
え企画を組み立てていく実行委員会のメンバ
NPO法人岡山市子どもセンター
代表理事
美咲 美佐子
ーの皆さんからは岡山の子どもたちを愛する
熱いハートが伝わりました。
NPO法人わははネット
代表理事
中橋
恵美子
推薦入試の時期と重なったため、初日しか参
上越のセミナーからの一年、
あっという間の
加できず、
大した仕事もしていない名ばかりの
実行委員でしたが、皆様のお力添えを得て、無
ような、長かったような・・・。
お互いの持ち味を活かして力を合わせると
はどういうことなのか、
この実行委員会で学ば
せていただきました。今回の経験を大切に、次
事に終えることができました。
大会テーマでは「子どもの育ち」にこだわり
ました。思い起こせば、拠点スタッフの養成研
修プログラムを開発するにあたり行った調査
では、岡山県下の子育て支援機関利用者には、
子どもの育ちへのニーズが高いが支援従事者
にはその認識が充分でない傾向があることが
読み取れました。そこで、子どもの育ちにも配
につなげていけたらと思っています。ありがと
うございました!
就実大学
准教授
村田
恵子
慮した研修プログラムを開発・実施していま
す。こうしたことが、テーマを決める際の論議
の背景にあるのかも?・・って、そりゃぁ、思
いこみじゃが!
岡山県立大学
准教授
中野
菜穂子
受付ボランティアの皆さん
セミナーが終わった直後に「もう一回やりた
「晴れの国おかやま」へ全国各地から多くの
い」と言ってしまった自分がいました。一番の
理由は反省点が多かったということですが、今
方々にお越しいただき、
誠にありがとうござい
ました。
改めて思うと、セミナーが私にとって“始まり”
を意味するものだったからかも。
実行委員でしたがわからないことが多く、と
にかく勉強させていただく気持ちでやってき
セミナーでは、登壇者の方々をはじめ、各地
の子育て支援者、研究者、行政関係者など様々
な皆様に多大なご支援ご協力をいただきまし
た。
ました。実行委員の皆さんとの出会い、一緒に
また、地元のボランティアをはじめ、スタッ
セミナーについて考えてきた時間はとても貴
フの皆様にも献身的に支えていただきました。
重なものとなりました。また、親子の歩みに寄
り添い丁寧に実践を積み上げてこられた全国
不行き届きも多々あったかと思いますが、
手
作り感のある、
岡山らしいセミナーになったの
の皆さんの重みのある言葉に沢山の感動をい
ただきました。そして、“学びたい”が大きく
ではないかと感じており、
携わっていただいた
すべての皆様に感謝しています。
参加された皆様には、
このセミナーで得たも
動き始めました!ありがとうございました。
のを、
今後の活動に活かしていただければ幸い
新見公立短期大学
助教
三好 年江
です。
岡山県保健福祉部子ども未来課
総括参事
若林 稔
今回のセミナーには、無償ボランティアとし
て縁の下で関わった職員もおりました。
地域子
育て支援に関わることを職員冥利と感じる者
が、まま現れ出る理由を、僭越ですが支援者と
の関係で考えてみました。<(_ _)>
●わかりやすいこと…親子に喜ばれ、必要とさ
れている様子がよく分かる。
●真剣であること…袈裟の下から鎧が…?
●適度にユルいこと…でも本当に袈裟なのか
も…。
「知らぬ間の協働」といいますか、お釈迦様
の掌の上で踊っていたような気もします。
ありがとうございました。
岡山県保健福祉部子ども未来課
(県担当者)
守屋
秀一
「岡山県が子育て支援に屋外での活動も取
り入れている!」そんな情報と人の縁から、8
年勤めた世田谷区“のざわテットーひろば”を
離れ、
家族と共に思い切るように移住して来た
のが4月。
そんな自分にこんな素晴らしい仕事
と機会を与えてくださりとにかく感謝の限り
です。
報告書の為にテープ起こしやまとめをして
いると、至るところに深い学びが見受けられ、
登壇された方々と、
企画された実行委員の皆さ
んの素晴らしさをひしひしと感じております。
すこしでも、
参加された方々に学びと気付き
があり、全国の子育ち環境がより良くなってい
く事につながって行ければ幸いです。
セミナー事務局
野下 健
おわりに
第 12 回全国子育てひろば実践交流セミナーin おかやま
実行委員会
委員長
赤迫
康代
日本全国で親子の幸せを願うみなさま約 600 名(2日間のべ人数 1016 人)が、岡山にお集まり頂い
た2日間はたいへん熱気にあふれる時間となりました。参加者のみなさま、ご登壇頂いたみなさま、企
画に携わった実行委員、行政の方々など全ての方の力が結集して実りあるセミナーとなりましたことに
感謝の気持ちでいっぱいです。
私自身、地域子育て支援拠点で親子と過ごす毎日の中で、親と子どもがともに育っていく喜びを感じ
つつ、一方では、支援の広がりが、必ずしも一人一人の子どもの力を最大限に引き出し、いきいきとは
ぐくむことにつながっていないのではないか、ということが気にかかっていました。
そんな時、この度の全国セミナーの実行委員長という大きなお役目をいただくことになりました。そ
れは、「子どもの育ち」にとって大切なことを拠点がどのように応援できるのか、全国のみなさまと一
緒に見つめなおすチャンスを頂いたようにも感じられ、「晴れの国おかやま」ならではの、明るくすが
すがしい、未来に向けて希望が湧いてくるようなセミナーとなるよう精一杯がんばってみたいと思いま
した。
基調講演の広木克行先生からのメッセージ「子どものためって何ですか?」という言葉は、私たちに
大切なことを問いかけるものでした。今、私たちは子どもと親の思いの「もつれ」がどの親子にも生じ
得るような社会に生きているということ。親子とともに、そのもつれをほぐし、子どもの育ちなおしを
実現していくことが、私たち支援に携わる者の大きな役割であるというご提案もありました。子どもの
育ちを大切に考えることは、その親をも同時に大きく包み込むような温かさと愛情あふれる社会をつく
っていくことにつながらなければならないということがはっきりと見えたように思います。全国の拠点
は、そんな歴史的大事業に取り組んでいるのですね。拠点スタッフには、そのために必要な力量を、自
ら向上させていく姿勢が求められていると言えます。
セミナーでの2日間の学びを、丁寧に読み解き、深め、日々の活動に生かしていくことが大切だと思
っています。今回のセミナーが、全国各地でつながりを深め、交流をすすめる活動を前進させるきっか
けとなりますことを心より願っております。岡山でも、がんばっていきます!本当にありがとうござい
ました。そして、これからもどうぞよろしくお願いいたします。