テニス選手における走能力向上のための自転車トレーニング法の考察

テニス選手における走能力向上のための自転車トレーニング法の考察
寺嶋
啓 (競技スポーツ学科 トレーニング・健康コース)
指導教員 若吉 浩二
パワーマックス ゼロスタート テニス
1. 緒言
群のみ記録の向上がみられた。5 方向走におい
球技系スポーツでは、短い距離を素早く移動
ては、
A 群が 18.64 秒から 18.03 秒、
B 群は 19.12
する場面が多く、スタートからピークスピード
秒から 18.22 秒に記録が向上し、さらに両群と
までより早く到達する加速力=ゼロスタート能
もに P<0.05 の有意な差がみられ、ゼロスター
力が求められる。
ト能力が向上した。B 群より A 群が記録の向上
自転車エルゴメータのペダリング回転数と
率が高かった原因として、走力では達成するこ
走運動のピッチには関係性があると指摘され
とができない回転数のトレーニングにより、神
ているが¹⁾、自転車エルゴメータトレーニング
経系が改善されたからであると考えられる。
が、走力の向上を果たした研究成果は数少ない。
そこで本研究ではゼロスタート能力向上のた
めの自転車エルゴメータを用いたトレーニン
グ法の考案とその効果について検討すること
を目的とした。
2. 方法
被験者は本学テニス部員 14 名(男子 9 名女子
5 名)とした。Pre-Test・Post-Test ではパワー
図 1 A 群ハイパワーテストの結果
マックスを用いて体重の 5~12%の負荷、運動
時間 8 秒、休息時間 2 分のハイパワーテストと
50,30,20,10m 走、5 方向走のタイムを測定する
パフォーマンステストを行った。トレーニング
内容は Pre-Test の結果から、被験者を高回転
低トルク群(以下 A 群)、低回転高トルク群(以
下 B 群)に分類した。両群でパワーマックスを
用いたトレーニングを週 2 回、8 週間行った。
3. 結果及び考察
1)Pre-Test と Post-Test の比較
図 2 B 群ハイパワーテストの結果
4. まとめ
ハイパワーテストにおいて図 1、図 2 に示す
自転車エルゴメータを用いたトレーニング
通りトレーニング前後の各負荷で A 群が約
によって、最高回転数が増加し、ゼロスタート
10rpm、B 群が約 5rpm の最高回転数の増加がみ
能力が向上した。
られた。
参考文献
パフォーマンステストでは A 群のトレーニ
1)新田良一:走及び自転車運動における大学一
ング前後の 10m 走の記録が平均 2.20 秒から
流選手のパワー発揮能力について,日本体力医
2.12 秒、B 群が 2.07 秒から 2.14 秒となり、A
学会,p599,1987.