拡張現実を試作する - Stratasys

拡張現実を試作する
世界初、拡張現実を取り入れた
ヘッドアップディスプレイを
製品化したパイオニア
Objet Eden250 で設計プロセスを効率化
これまでにない製品を生み出そうとするときは常に原理原
則に立ち返り、設計の方向性を確認する必要があります。
3D プリンタはそのためになくてはならないツールです。
— パイオニア株式会社
カーエレクトロニクス事業統括部
カー技術部 第 1 開発部 開発 6 課
飛島 康幸 課長
拡張現実を取り入れたヘッドアップディスプレイ AR-HUD ユニット
「カロッツェリア」ブランドでカーナビ市場の人気トップを誇るパイオニア。同社は長年 DVD プレーヤーなどで
培ってきた光学技術を武器に、クルマ前方の風景に AR(拡張現実)情報を重ねて投影するヘッドアップディスプレ
イを世界で初めて製品化した。「拡張現実」を用いた次世代の車載ディスプレイで、今後の成長が見込まれる。こ
の製品開発で設計の効率化に寄与したのはストラタシスの Objet Eden250 だ。
ヘッドアップディスプレイ
国内初のダイナミックスピーカーを皮切りに、独自の発想と磨き上げた技術で、ホームエレクトロニクス、カー
エレクトロニクス分野にブランド力のある製品を送りだしてきたパイオニア。とくにカーナビ、カーオーディオのブ
ランド「カロッツェリア」は、高い人気を誇る。
いま、この「カロッツェリア」でとくに注目されているのは、拡張現実を採り入れたヘッドアップディスプレイ「AR
carrozzeria ND-HUD10
3D プリントモデル
HUD ユニット」だ。コンソールに収まった通常のカーナビは、操作時にディスプレイに目を落とさなければならな
い。しかしこの AR HUD ユニットを利用すればナビ情報を目の前の風景に重ねて見ることができる。サンバイザー
に本体を装着し、光学的にフロントガラス前方に AR 情報を投影するのだ。
この未来志向のヘッドアップディスプレイには DVD プレーヤーで培われたパイオニアの光学技術が活かされて
いるほか、サンバイザー上でユニットを安定させるための振動吸収機構など、独自のノウハウが光る。AR HUD
ユニット開発において、設計の効率化に寄与したのは Objet Eden250 だ。
ものづくり改革
パイオニアが最初に 3D プリンタを導入したのは 2006 年のこと。 おりしも国内の大手メーカーは世界との
熾烈な市場競争のなか、製品開発の効率化にしのぎを削っていた。この前年、シンガポールの子会社から戻っ
てきた飛島康幸氏は、着任早々上司から設計プロセスの改革を命じられた。「機構設計を全面的に見直すように
言われました」と氏は話す。「開発効率を向上させて開発費を削減し、且つ開発リードタイムを短縮させること
が目標でした」
。
社内の開発プロセスを精査したのち、問題として浮かび上がってきたのは試作回数だった。「メカ、エレキ、
ソフトなど設計部隊ごとにマイルストーンが微妙にずれているので、その分試作回数が多くなっていました」と
飛島氏は話す。「製品の完成度を上げるためもちろん試作は必要ですが、何度も繰り返すことでコストがかさみ、
F O R A 3 D W O R L D TM
carrozzeria ND-HUD10
実製品
リードタイムまで伸びてしまったのでは元も子もありません」
。 当時、まだ試作部品を外注していたため、そこ
にかなりの予算と時間が費やされていた。改革は必須だった。
コストを大幅に削減
そこで飛島氏が打ち出した方針は、試作レスのバーチャルエンジニアリングだ。これまでモノ主体で進めてきた
設計検証を徹底的にデータ主体に移行させる。「3 次元モデルを活用して、機構動作、応力、熱、照明などシミュ
レーションできる部分はすべてバーチャルに検証するようにしました」
。
しかし、そうは言っても、まったく試作をしないというわけにはいかない。解決策として飛島氏は 3D プリンタに
目をつけた。「押したときのボタンの感触、微妙なガタつき、表面の質感、組み立て性などはシミュレーションで
はなかなかわかりません。そこでそういうところは 3D プリンタを使って、設計者自身で検証することにしました。
気になるところだけ部分的に出力すれば、コストをかけずにすばやく確認できます」
。
パイオニアに導入された 3D プリンタは Objet Eden250。2006 年に1号機が導入され、翌年にさらに 2 台
が追加された。モデルの選択理由について飛島氏はこう話す。「積層ピッチが 16μm の Objet Eden250 は精度
パイオニア株式会社
カーエレクトロニクス事業統括部
飛島 康幸 氏
が高く、製品の細かな形状まで確認できます。また、サポート材の処理に特別な設備を必要とせず、設計者に優
しいところがいい。現場で機敏に運用することができます」
。
3D プリンタを活用しながらのバーチャルエンジニアリング推進によって、製品開発コストは大幅に削減した。「シ
ミュレーションと 3D プリンタで外注試作回数を減らすことで、大幅な削減を達成できました」と飛島氏は話す。
多様なメリット
カロッツェリア AR HUD ユニットの開発にも Objet Eden250 が活用された。「これまでにない新しいカテゴリ
の製品を開発するときは、途上での大幅な設計変更がつきものです。そんなとき原理原則に照らして方向性を確
carrozzeria ND-HUD10
実製品
かめるのに 3D プリンタは欠かせません」と飛島氏は話す。「造形したモデルを見ながら、設計の妥当性を確認で
きるので、意思決定が早まり、結果として製品開発のスピードもあがります」
。
このほかにも飛島氏は 3D プリンタのメリットとして、多品種少量生産や個別カスタマイズなどへの応用を挙げた。
「これは未来の話ですが、個人オーナーの要望にあわせてカーナビコンソールを 3D プリンタでカスタマイズする
時代が来るかもしれません」
。
また、セールス上のメリットもある。「昔は商談をする際、製品イメージを紙やパワーポイントで説明していまし
たが、最近では 3D プリントモデルを持っていきます。実際にモノを前にして話をするとずっと具体性があり、商
談が進むからです。3D プリンタなら造形も簡単なので、そのうち他部署の人間も使うようになるかもしれません」
。
パイオニアに導入された Objet Eden250 は 3 台ともすでにフル稼働だ。営業やマーケティングの人間が空き
待ちに並ぶようになれば、さらなる導入を検討する必要があるかもしれない。
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Objet Eden250 3D プリンタを活用することで、
パイオニアは社内で
すぐに機能試験を行うことができるようになった