特集 1 アジアの生活者の負担軽減

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特集 1 アジアの生活者の負担軽減
生理用品メーカーとして「女性の不快を快に」を常に追求してきたユニ・チャーム。日本の事業で培ってきたノ
ウハウを活かし、成長著しいアジアで商品・サービスの展開を進める今、私たちはそれぞれの国や地域で暮らす
女性たちを応援しています。ユニ・チャームらしさを活かした貢献で、女性たちがますます輝き、活躍の場を広
げていく一助となることを目指します。
取り組みの背景
女性の暮らしの向上と社会参加のために
教育や就労など、アジアの女性を取り巻くさまざまな課題
中東や北アフリカ、南アジアには、文化的な背景から、男性に比べて女性の
就学・就労の機会が大きく限られている地域があります。また、一部の国や
地域では、迷信などを理由に生理期間中の女性の行動を制限する慣習も根強
く残っています。女性の暮らしを改善し、社会参加を促していくためには、
そうした課題にひとつずつ取り組んでいくことが必要です。
ユニ・チャームでは 1990 年代より、生理用品や紙おむつの生産販売をアジ
ア各国で進めてきました。その過程で本業を通じて、生理に関する正しい知
識の提供や、現地の女性を積極的に活用。さまざまな取り組みを通して、女
性の社会進出に貢献しています。
国際的な社会課題の解決の一端を担う
女性が自立し、社会で活躍していくことは、平等なジェンダーの実現はもち
ろん、貧困の解消や地域の経済発展にも欠かせません。また、女性が衛生面
への意識を高めることで生活環境が改善され、よりよい育児生活が送れるな
ど、家族の健康向上も期待されます。
初潮教育や女性の就労支援をはじめとするアジアでのユニ・チャームの取り
組みは、健康・福祉や経済・貧困、そして人間らしい仕事などの国際的な課
題の解決に貢献する活動であり、今後も推進していきます
ユニ・チャームの取り組み
インドにおける初潮教育の進展
3 年を経て各地に広がるプログラム
ユニ・チャームでは、2013 年より、インドにおいて女子生徒に生理のメ
カニズムや適切なケアを教える初潮教育「Managing Menstruation-My
Pride」を推進してきました。この取り組みは、女子生徒たちが生理期間中も
衛生的で快適に過ごし、自信を持って活動できるようになることを目指すも
ので、学校からの信頼を得て各地に広がり、2015 年にはデリー、ムンバイ
などの都市で展開しています。3 年間を通して 40,000 人を超える女子生徒
に実施しました。
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実施校における反応
実施後に学校からフィードバックを得て、改善につなげています。プログラ
ムに参加した女子生徒からは「生理がなぜ大切なのか、どうすれば衛生的に
過ごせるのか知ることができた」
「生理用ナプキンの使い方を学べてよかった」
など、
前向きな声が多く寄せられています。また、
先生たちからも
「生徒たちは、
生理についての迷信や誤解を拭い去り、正しい知識を得ることができた」
「社
会的ニーズを満たす、非常に有意義なワークショップだった」など高い評価
を受けています。
「ソフィ・パートナー」による生理への理解促進
インドでは、生理への理解を広めていくため、生理用品ブランド「ソフィ」
の名を冠した「Sofy Sahyogi Project」
(ソフィ・パートナー・プロジェクト)
を展開しています。日々の暮らしの中で地域の女性たちに対し、生理をめぐ
る知識や適切なケアの方法を伝えています。同プロジェクトは地域の女性た
ちが生理用ナプキンを必要なときに購入できる環境づくりにも貢献していま
す。
インド北部の村で始まったこのプロジェクトは、すでに多くの女性の暮らし
向上に役立っており、今後は周辺地域へも拡大していく予定です。
現地とのコラボレーションを通じた活動の深化
ユニ・チャームのインドにおける取り組みは、現地の NGO・NPO や企業か
らも高い評価を受け、メディアや CSR に関連するイベントなどで紹介され
ました。現地団体とのコラボレーションの下、活動内容を積極的に発信して
いくことで、地域への浸透とさらなる深化を目指します。
インドネシア、ミャンマーへの初潮教育の拡大
ユニ・チャームは、インドネシアでも女子生徒たちへの初潮教育に取り組ん
でいます。カリキュラムでは、
生理を正しく理解するための動画の視聴やゲー
ム、生理用ナプキンの紹介などを通して、女子生徒たちの疑問や不安を解消
しています。
初潮は思春期を迎えた女性たちにとって大事な経験であり、自分の心身に起
きる変化を示すものです。
そこで役立つさまざまな知識・情報の提供を通して、 インドネシアでの初潮教育の様子
ユニ・チャームは今後も、
大人へと成長していく世界の女性たちを応援します。
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⃝参加した女子生徒/先生の声(インドネシア)
女子生徒
生理に関するいろいろな知識を知ることができ、興味深く感じました。
やってよいこと、よくないことを判断できるようになりました。
先生
生徒たちは自身の心身の変化や性について、
十分に学ぶ必要があります。
今回生理に関する正しい知識を得たことで、今後は生理期間中も安心し
て過ごすことができるでしょう。女性にとって大変役立つ学びでした。
初潮教育のテキスト
2015 年 7 月、独立行政法人国際協力機構(JICA)や公益財団法人ジョイセフ(JOICFP)の協力の下、ミャンマー
でも初潮教育を展開するための取り組みを始めました。ミャンマー保健省との協働で初潮教育の教材開発や、指
導者を対象とした教材活用研修などの準備を進め、2016 年にミャンマーの女子生徒たちへの教育を行う計画です。
現地政府や NGO などのステークホルダーとの協働で、女性が輝ける社会の実現に向けた取り組みを推進します。
教材開発ワークショップ
開発した教材
インドでの紙おむつ使用啓発の取り組み
赤ちゃんに欠かせない十分な睡眠のために
赤ちゃんのすこやかな成長に十分な睡眠は不可欠です。ユニ・チャームでは、紙おむつの普及が進んでいないイ
ンドにおいて、夜間の紙おむつの使用を啓発するイベント「Namaste Poko Chan Event」を始めました。イベン
トでは、赤ちゃんが夜ぐっすり眠れる環境づくりや衛生的な育児の重要性を分かりやすく説明し、紙おむつの使
い方を紹介し、小さな赤ちゃんを育てる家庭の育児生活向上に貢献していきます。
イベント参加者からは、
「今まで紙おむつを使うのは旅行のときぐらいでしたが、これからはもっと使うようにし
たいと思います。
」との声が聞かれました。
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サウジアラビアの女性専用工場による就業支援
文化的な背景から、サウジアラビアでは女性と家族以外の男性と同じ部屋で
過ごすことや話をすることが禁じられています。女性の就業は禁じられてい
ませんが、男性と一切接することなく働けるような職場は非常に限られてい
ます。ユニ・チャームでは 2012 年に女性専用工場をつくり男性とまったく
接することなく働くことのできるオペレーションを実現し、女性に働く機会
を提供してきました。
工場スタートから 3 年目となる 2015 年、生産現場にはさまざまな進展が見
られました。社員数が増えて生産ラインを拡大した他、女性のリーダーによ
る的確な現場マネジメントが行われ、作業の効率化が進んだ結果、一人あた
りの生産性も大きく改善しました。
さらに、
新人教育として「安全」
「品質」
「生産性」に関する 2 週間の研修を行い、
サウジアラビアの新しい女性社員を育成しています。
⃝女性専用工場で働く社員の家族の声
Shaha Al-Shammari の家族
母がユニ・チャームの女性専用工場で働いて僕たち兄弟の暮らしを支
えてくれたので、僕たちは学業に専念することができました。ユニ・
チャームに感謝するとともに、今度は僕たちが頑張って早く母の支え
になりたいと考えています。
Nora Al-Enazi の家族
娘はユニ・チャームで職を得たことにより、私たち夫婦を経済的に支
えてくれています。工場では娘の安全に気を配ってくれるので安心で
すし、おかげで私たち家族は不安なく暮らすことができています。
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低出生体重児にやさしく寄り添う
小さな赤ちゃんを守るのは、ユニ ・ チャームの使命
近年、低出生体重児(2,500g 以下)の出生率が増加傾向にあります。ユニ・チャームは、医療現場の「低出生体
重児の成長・発達を促すためには、ストレスを最小限に抑えるようケアすることが大切」という考えに合わせて、
赤ちゃんの姿勢を変えることなくおむつ交換ができる新技術を開発し、
2014 年 11 月に低出生体重児専用の「ムー
ニーエアフィット ®」を日本の病産院向けに発売しました。発売 1 年が経過し、
「ポジショニング姿勢(胎内環境
、
屈曲姿勢のままでもおむつ交換を可能にする「ミ
に近い屈曲姿勢)を維持したままおむつ交換ができる」
(87%※)
シン目がある」
(93%※)など、医療現場の実態を考慮した独自の製品設計に好評をいただいています。現在、各
種学会への出展や学会内セミナーへの共催を実施し医療業界における情報提供活動を広げています。
ポジショニング姿勢に合わせて、
おむつが立体的にフィット
ポジショニング姿勢のままおむつ交換ができ
るミシン目を搭載
学会などへの出展の様子
台湾で発売した Mamy Poko 低出生体重児用
低出生体重児専用紙おむつは各国でも展開を開始しています。台湾では、最も少ない出生体重で生まれた超未熟
児の男の子をやさしく支えました。妊娠 24 週目にわずか 339g の体重で生まれた男の子は、最新の医療技術と強
い生命力で 6 カ月の集中治療を経て 2,200g まで健やかに育ち、無事退院することができました。病院長は「低
出生体重児専用の紙おむつは小さな赤ちゃんを守った上に、看護もしやすい。とても感動しました。ママの愛の
分身ですね」とコメントされました。今後も世界において小さく生まれる赤ちゃんの健やかな成長をサポートし
ていきます。
※ 2015 年 10 月 第 60 回日本新生児成育医学会・学術集会 ムーニーエアフィット ® をご使用されている助産師の方へのアンケートより
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