国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 3.1 国家経済・社会開発計画 ・ ジョスパン内閣期 (1997 年 6 月〜2002 年 5 月、3 政権を続投) 雇用の増加回復と失業の減少を背景として 1997 年、成長率は辛うじて 1%を超 え、財政赤字は 3,000 億フラン (約 460 億ユーロ)に達し、失業率は労働力人口 の 12.6%となった。しかし、1999 年以降、GDP (Grobal Domestic Product:国 民総生産)は上昇し、雇用も創出した。2001 年末には、再び概況が悪化し、形勢 の逆転をまともに被ることとなった。 表 3‑1 日 ジョンスパン内閣期の主要な法律 付 法律名 1997 年 10 月 16 日付 Relative au Développement de l’ Activité pour l’ E mploi des Jeunes (若年者雇用活動促進法) 1998 年 6 月 13 日付 d’ Orientation et d’ Incitation Relative à la Réduction du Temps de Travail (loi AubryI) (労働時 間短縮への方向付けと奨励法 (オブリ法 1)) 1998 年 7 月 29 日付 Relative à la Lutte Contre les Exclusions (疎外対策 法) 1999 年 7 月 12 日付 Sur l’ Innovation et la Recherche (イノベーション研 究法) 1999 年 7 月 27 日付 Relative à la CMU (Couverture Maladie Universelle:普遍的医療給付制度) (CMU 法) 2000 年 1 月 19 日付 Relative à la RTT (Réduction du Temps de Travail:労働時間短縮) (loi AubryII) (交渉に基づく RTT 法 (オブリ法 2)) 2001 年 11 月 16 日付 Relative à la Lutte Contre les Discriminations (差 別対策法) 2002 年 1 月 17 日付 De Modernisation Sociale (loi Guigou) (労使関係 近代化法 (ギグー法)) 1997 年の就任以来、ジョスパン内閣は、失業対策を第一の優先課題とした。3 年後、失業率は著しく減少したが (1997 年の 12.6%に対し、9.8%)、雇用の回復 は、政府の主要課題の 1 つとして残された。 (1) 政府戦略 (a) 雇用創出に不可欠な、より力強い成長の探究 (b) 成長に伴う雇用の拡大 (c) 労働市場における被疎外者の雇用へのアクセス (2) 成長の維持 目的は、雇用創出の好条件を生みだすことである。それは、供給と内需に 対する働きかけから生まれる経済の強力な成長回復を促進することによっ て可能となる。 1 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 購買力の上昇と減税が消費回復を可能にし、その結果、国の経済活動が維 持される。この観点から、国民の消費を促す措置を講じた。 (a) SMIC (Salaire Minimum Interprofessionnel de Croissance:全産業 一律スライド制最低賃金) 1997 年に 4%、1998 年に 2%引上げ (b) 社会的ミニマムと社会的給付 (特に新学年手当て)の増額と、多重債務 世帯に対する援助 (c) 税制の大幅な修正 政府は、資本と労働それぞれにかかわる税制の均衡回復を目指した。 これにより健康保険料の大部分は、資本収益を含む CSG (Cotisation Sociale Généralisée:一般社会税)に移行した。加えて、ISF (Impôt Sur la Fortune:富裕税)に、高額な資産を対象とする最上位区分が設 けられた。それに伴って課税対象の諸上位区分は、1 ポイント引下げ となった。雇用手当ては、最低所得層納税者を非課税にまでした。最 後に、間接税が引下げとなり、TVA (Taxe sur la Valeur Ajoutée:付 加価値税)は、20.6%から 19.6%に移行した。 最終的に、租税負担率は 45.7%から 44%へ、一段階引き下げられた。 同様に、企業に対する方向付け活動を開始した。 (a) 職業税の軽減と、法人税の引下げ (総売上高 5,000 万フラン未満の企 業に対する 25%に代わり、33.3%と 15%を設定) (b) PAGSI (Programme d’ Action Gouvernemental pour la Société de l’ Information:情報化社会のための政府行動計画) 政府は、企業とハイテク分野における新たな活動から波及する推進効 果を期待して、奨励/支援措置によって、その発展を容易にしようと 企図した。 この点で、1999 年 7 月 12 日付イノベーション研究法は、研究分野の 革新を企業分野に波及させ、リスクテイキングを促すためのベンチャ ー企業税制を適用した。加えて、本法は、行政手続きの簡素化と、社 会的初期費用/負担の軽減によって、起業を奨励している。最後に、 スタートアップの広がりは、個人所有資本が少なくとも 25%の新興企 業に限定される、創業者発行出資債券の流通を動機付けている。 (3) 解雇対策 2001 年、大企業によって繰り返された大量解雇を受けて (ダノンとマーク ス&スペンサーの争議など)、政府は、経済的事由による解雇をできる限り 予防し、その有害な影響を抑制する意向であった。そのため、保護計画内 容の充実、労働者代表機関の権限強化、法の迂回対策の重点化 (裁判官は 解雇された従業員の雇用契約継続を命令できる)、解雇された従業員に対す る補償の増強が行われた。 ・ ラファラン (UMP)内閣期 (1997 年 5 月〜現在) 2001 年第 2 四半期以降、EU (European Union:ヨーロッパ共同体)諸国の大半 と同様、経済情勢は衰退した。成長の停滞を伴う経済活動の減速が、求人の顕し い減少と、失業率の上昇を招いた (2002 年第 1 四半期の 8.9%から 2002 年 12 2 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 月の 9.3%)。こうした状況は特に、若年者と 50 歳以上の雇用を不安定にした。 これに平行して、消費者物価が上昇し (ユーロへの移行による影響など)、財政 赤字が再び深刻になった (2001 年の 1.5%に対し、2002 年の GDP3.2%)。 表 3‑2 日 ラファラン内閣期の主要な法律 付 法律名 2002 年 8 月 29 日付 Portant Création d’ un Dispositif de Soutien à l’ Emploi des Jeunes en Entreprise (企業における 若年者雇用支援体制創設法) 2002 年 12 月 19 日付 Relative à la Négociation Collective sur les Restructurations Ayant Incidence sur l’ Emploi (雇用に影響する企業再編にかかわる団体交渉法) 2003 年1月 17 日付 Relative aux Salaires, au Temps de Travail et au Développement de l’ Emploi (給与/労働時間/雇 用促進法) 2003 年 7 月 24 日付 Relative à la Réforme des Retraites (年金改革法) 2004 年 5 月 4 日付 Relatif à la Formation Professionnelle Tout au Long de la vie et au Dialogue Social (生涯職業訓 練/社会的対話法) 2004 年 6 月 30 日付 Relative à la Contribution Solidarité Autonomie (自律的連帯貢献法) (1) 政府戦略 (a) オブリ法緩和に対する取組み (b) 労使関係近代化法の諸改革の実行 (c) 直接税の引下げ (d) 社会保険体制の改革 (2) フランス近代化のための 2 カ年行動 (2002 年 5 月〜2004 年 5 月) (a) Assurer la Cohésion Sociale : France Solidaire (社会的団結の保証: 連帯したフランス) (i) 年金改革 (2003 年 7 月 24 日付法) 組合は数カ月間、この改革に反対して動員された (多くの場合、 世論に支えられてストライキが繰り返された)。2003 年 1 月、労 使代表と政府の位置決定を企てるための法案を巡る騒動と熟慮 が重ねられた。雇用/労働/社会問題相フランソワ・フィヨンは、 度重なる労使代表と懇談にもかかわらず、当初予定した大幅修正 の意向、とりわけ民間/公共部門の年金制度の調和均衡には着手 しなかった。その点に関しては、すべての賃金労働者 (加入期間 40 年が必要とされる)に対して、定年退職年齢が引上げとなった。 民間/公共部門の賃金労働者の年金制度は、均質化された。 3 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 公共部門の賃金労働者は、年金受給に必要な勤続年数が漸増する (2004〜20 年)。一方、早くから (14〜16 歳)働き始めた労働者に 対して、政府は、60 歳以前に年金生活に入ることを認めている。 低賃金生活者は、SMIC の 60%の代わりに、少なくとも 85%に 相当する年金を受給できる。 そ れ と 平 行 し て 、 今 後 国 民 は 、 特 に PERP (Plan Epargne Retraite Populaire:国民年金貯蓄計画)の創設によって、個人の 名目で、あるいは企業の枠内で年金貯蓄商品を手にすることがで きる。 (ii) 最低所得層の状況改善 (種々の SMIC の引上げと段階的調整)と 困難に喘ぐ人々の状況改善 金銭的に困窮する人々に対しては、ボルロー法が、「個人回復手 続き」によって、多重債務者の負債スパイラルからの脱却を可能 にしている。同様に政府は、人手を要する人々 (老人と障害を抱 えた人)の支援/サポート政策を確立した。この目的から、障害 を抱えた人々の生活改善措置を講じ、平等な権利と機会のために 1975 年法を見直して、就職を容易にし、行政手続きを簡素化す ることを目指した。最後に、2003 年夏の猛暑 (15,000 人が死亡) を受けて、厚生相は、警戒/予防態勢を改革し、危機管理システ ムを近代化し、治療態勢を整えることを企図した。 (iii) SMIC 2004 年 7 月 1 日、SMIC は 5.8%引き上げられ、最低時給は 7.19 ユーロから、7.61 ユーロになった。2003 年 1 月 17 日付フィヨ ン法が、35 時間制の実施から派生した SMIC のさまざまなレベ ルを調和させるために 3 段階を設定した影響である。2003 年 7 月の 5.3 の上昇に加えて、この引上げは、SMIC の最低額 (1,154 ユーロ)と最高額 (1,198 ユーロ)の格差を縮小している。来年の 最終的増額で SMIC の諸段階が統一される。 (b) Soutenir la Croissance et Pérenniser l’ Emploi : France Dynamique (成長維持と雇用の永続化:躍動的なフランス) 失業の克服が主たる目的である。この社会政策は、「職業訓練/社会 的対話法」と、「企業における若年者契約」、「TEE (Titre Emploi Entreprise:企業雇用券)」、「RMA (Revenu Minimum d’ Activité: 現役最低所得)」といった雇用支援体制に立脚している。海外県/海 外領土に対する経済計画法も、行動と責任の論理に基づいた持続的経 済発展を促進する理念と共に準備された。 2002 年、ラファラン政権最初の政治行動は、若年者雇用に優先的狙 いを定めたさまざまな雇用対策であった。これと平行して、オブリ法 (35 時間法)と労使関係近代化法 (ギグー法)のいくつかの条項が再検 討された。 続いて職業訓練法が、労使間交渉の数年にわたる停止と再開を経て、 しばらく可決した。 4 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 (c) Préparer l’ Avenir : une France Ambitieuse (未来への備え:野心的 なフランス) 地方分権と発展に対する政府の方針「隣人たちの真の共和国」を中心 に据えた改革である。 地方分権改革は、ジャン=ピエール・ラファラン率いる政権の基本原 理の 1 つである。実際、ラファランは就任後、 「国家近代化」という 巨大な作業現場に取りかかった。地方の責任に関する法案では、新し く大きな権限を、(2002 年 5 月開始のプログラムによって)地方公共団 体へ移譲することとなった。本法案は、地方公共団体の不利益を顧み ない、国からの一時的な「送電停止」に備えて、特に財政的埋め合わ せの点から、新たな防御線を敷いている。本計画は、2004 年 4 月 7 日に議会で審議されたが、法案はまだ最終的に可決していない。 現在、医療保険改革 (特に社会保険の深刻な赤字)に関する議論が起き ている。フィリップ・ドゥスト=ブラジ厚生相の改革案は、100 億ユ ーロの節約と 2007 年までに 50 億ユーロの新たな徴収を予定してい る。本案は、次の措置に拠って立つ。 (i) 1 診察あたり 1 ユーロの免除が患者負担になること (ii) 入院費用の増額 (iii) CSG の (算定基準)基盤の拡大 社会党候補者 (現在、フランスの 22 地域圏中 20 を主導)が大勝した 2004 年 5 月の地方選の翌日、ジャック・シラクは、より「社会的」 なプログラムを政府に要請した。それを受けて 6 月に、ジャン=ル イ・ボルロー新雇用/労働/社会的団結相は、3 年間で 100 億ユーロ の予算を計上した「社会的団結計画」を閣議で発表した。 他方、2005 年に予定されている 17,000 人の公務員削減は、2002 年 以来上昇を続けている財政赤字の削減を可能にする、もう 1 つの優先 課題である。 3.2 国家 HRD (人的資源開発)計画 ・ Programme NS-EJ (Nouveaux Services-Emplois Jeunes:新サービス-若年者 雇用)プログラム 1997 年 10 月、公益性の高い新たな活動を創出/発展させる目論見で開始され、 公共/民間部門によって満たされるべき、地域の顕在的/潜在的要求に応えよう とするものである。この 5 年間の枠内では、若年労働者は CDD (Contrat de Travail à Durée Déterminée:有期限雇用契約)あるいは CDI (Contrat de Travail à Durée Indéterminée:無期限雇用契約)で雇用され、資格取得に向け ての教育支援を利用できる。ここでは、雇用の永続化と若年者のプロ化が強力に 推進される。 かつて労働市場から疎外された若者を社会復帰させ、(大半が非営利団体と地方 自治体である非商業分野において)新たな職業の創造に専念する機会となること を目指している。教育省、警察、青少年/スポーツ省が、若年者雇用を担う主た 5 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 る部門であり、若年者に実際の職業体験機会を提供している。 ・ 生涯職業教育/社会的対話法 (2004 年 5 月 4 日付) 2003 年 9 月 20 日、全代表者組織によって署名された協定に影響されている。 主に付与するのは、20 時間/年の、DIF (Droit Individuel à la Formation:教育 訓練個人権)である。これは 6 年間の累積が可能で、被雇用者の主導権で発効し、 教育の選択に関しては雇用者の承認を伴う。教育訓練を受ける間、被雇用者は、 雇用者によって支払われる教育訓練手当てを利用することができる。その総額は、 生涯教育発展拠出に繰り入れるべきものである。雇用主が変わる場合、権利の譲 渡可能性 (いくつかの部門では、より明確な譲渡可能性)が保障される。また、 以下についても法に予定されている。 (1) 繰り返されるさまざまな教育訓練契約 (職業指導契約、雇用適応契約、資 格取得契約)の統合 (2) 無期限契約における教育訓練を通じて、資格取得を可能にする、プロ化教 育体制の設置 (3) 実習契約の魅力の強化 職業教育の新たなシステムは、社会的対話があらゆるレベルで向上するこ とをよりどころとする。 3.3 雇用政策 (雇用創出計画) ・ RTT または 35 時間法 (週の法定労働時間を 39 時間から 35 時間に移行) 立法の 2 段階を経て実現した。 ・ 労働時間短縮への方向付けと奨励法 (オブリ法 1) 各業種と企業における労使間交渉の活性化を目指している。 ・ オブリ法 2 既に締結した協約に影響を受け、労働時間短縮に向けての枠組みと、明確な規則 を制定している。特に従業員 20 人未満の企業に対しては、移行期間が認められ、 2002 年 1 月 1 日の 35 時間制実施に向けた緩和措置が利用できる。この緩衝期 限 (社会負担金の軽減)に反対する企業に対しては、主導権援助が認められ、支 援/助言/サポートの態勢が整えられた。 ・ NS-EJ 措置 ・ 労働時間の変遷 2003 年末、フルタイム労働者に対し、週の労働時間が 35.6 時間に設定された。 *出典:DARES (Direction de l’ Animation de la Recherche, des Etudes et des Statistiques:調査統計局), Ministère du Travail (雇用省), “Données Sociales 2002〜2003.” ・ 排除の予防と対策、労働市場から最も疎外された人々の雇用へのアクセス ・ 2節1条 全領土に及んで、雇用、住宅、厚生、教育訓練/文化の公平性、家族と子供の庇 護というあらゆる領域における基本権への効果的アクセスを、万人に対し保証す ることを目指す。 ・ 疎外対策法 (1998 年 7 月 29 日付) 適用領域が非常に広範な規定であり、厚生、住宅、雇用といった複数の分野に跨 6 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 がる。したがって実施は複雑であり、第 59 条には、政府は 2 年ごとに本法適用 の総合評価を国会に提出することが規定されている。 本法案可決時、全体で 514 億フランの投入が予定され、うち 384 億フランは国 家負担であった。実際には、政府は 3 年で総額 420 億フラン (65 億ユーロ)を投 入した。その内訳は、雇用に 200 億フラン、社会福祉活動/社会的ミニマムの 見直しに 80 億フラン、保健衛生に 77 億フラン、住宅に 56 億フラン、教育/娯 楽/文化に 10 億フランであった。 (1) Le programme Nouveau Départ (「再出発」プログラム) 排除問題に対して一層の責任を持ち、疎外され続けている人々を、個別化 された課程の枠内で雇用へとサポートするための雇用政策改革を目的とす る。こうした理念の下、プログラムの実施により、非常に長期の失業状態 のように最も困難な場合であっても、再就職が可能であることを示す狙い がある。以降、ANPE (Agence Nationale Pour l’ Emploi:国立職業紹介所) は、25 歳未満の若年者には失業の最初の 6 カ月、25 歳以上の成人と疎外 に脅かされている人々には初めの 12 カ月、個別のサービスを設置している。 このサービスは、それぞれの求職者が遭遇する困難に対応して提供される。 再就職を有利にするために、1998 年に創設された RMI (Revenu Minimum d’ Insertion:社会参入最低所得)のような社会的ミニマムと現役所得の両方 を併せ持つことが可能である。この措置は、困難な立場の人々が、活動の 再開によって生じる費用、すなわち交通費、子供を預ける費用、被服代な どに対処する助けとなるために、ある水準の資金を保証している。この所 得の両立は、RMI の受給に関して合計 3 カ月間が可能である。続く 9 カ月 間は、50%の両立が可能である。つまり、現役所得の半分が支給される手 当てから控除される。15 万人、すなわち受給者の 12%がその対象となった。 彼らは平均して 1,400 フラン (215 ユーロ)の所得補助を受ける。 ・ RMA (2003 年 12 月 18 日付けオルドナンス) 2003 年第 2〜4 四半期の間、RMI 受給権利開始件数の追加 13%を記録 した。この開始は、30 歳未満の青年、特に男性にかかわるものである。 2002 年 12 月から 2003 年 12 月に、50 歳以上の人口は 5.2%漸増した (パ ピーブーム効果)。2003 年 12 月 31 日には、全体で 100 万人が RMI 受 給者であった。現役所得を伴う RMI の累積数も後退した。 政府は、RMI を RMA に変更することを決定し、新たに補助した、C IRMAma (Contrat d’ Insertion Revenu Minimum d’ Activité :現 役最低所得参入契約)を創設した。政府はこうして雇用者に対し、長期 の RMI 受給者の雇用を動機付ける意向であった。この新契約は、協約 締結に先立つ 24 カ月のうち少なくとも 12 カ月間 RMI を受給していた 者に限られる。雇用者は、雇い入れに先立って、当該県と、雇用契約 期間/労働時間/RMA の総額が明記された協約を交さなければなら ない (この契約に出資するために、雇用者は、当該県から RMI の総額 に相当する毎月の補助を受ける)。 同様に、雇用者は予定どおりに負担金の支払いを済ませることを宣誓 文によって保証し、協定以前の 6 カ月に、無期限契約の従業員を解雇 7 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 していないことを証明しなければならない。 CIRMAは、最低週 20 時間のパートタイム有期雇用である。これは 6 カ月で満了し、2 回の更新が可能である。これは原則として、別の活 動と兼業することができないが、当該活動が別の労働契約の枠内であ り、ほかの雇用者の下で行われるものならば、契約から 4 カ月後に認 められる。 この社会参入の側面は、RMI 受給者の労働市場への移行を容易にし、 参入を成功させることを目指している。 ・ RMI 受給者 2004 年 1 月 1 日以降、県議会議長が RMI の全責任を負っている。労 働市場の衰退と、求職者の補償条件を厳しくした UNEDIC (全国商工 業雇用協会)の改革に影響を受けた、受給者数増加を巡る県議会議長の 動きにも政府は注目している。RMI の地方分権化と RMA の創設が記 されており、実際に、手当て支給の責任と資金調達を県に移譲した。 一 方 、 こ の 給 付 サ ー ビ ス の 原 則 は 、 CAF (Caisse d’ Allocations Familiales:家族手当金庫)によって、維持された。 *出典:d’ Après l’Article Bertrand Bissuel, du Quotidiens Le Monde du 25 juin 2004. Ordonnance du 18 décembre 2003. (2) TRACE (Programme Trajet à l’ ACcès à l’ Emploi:雇用への道のりプログ ラム) 疎外対策法によって制定された。この措置は、主に地域青年担当局によっ て運営され、継続雇用へのアクセスを可能にすることを目指して、個別化 された課程 (18 カ月まで可能)を提供することにより、16〜25 歳の若年者 が抱える困難と期待に応える使命がある。本プログラムは主として、ほと んどあるいはまったくディプロムを取得していない若年者を対象としてい る。 その目的は、職業への再動員と教育訓練の総括的活動を通じた、基本的な 知識や職業資格の獲得である。 このプログラムは、国と地方公共団体が実施する、雇用と教育訓練にかか わるさまざまな措置をよりどころとしている。例えば、職業訓練体制と支 援活動 (特に代替要員契約、若年者雇用、短期の連帯雇用契約などといっ た雇用へのアクセスを狙った国家措置)を組合わせることが可能である。 TRACE 開始から 2 年半後、若年受益者の半数近くが就職している。 (3) CES (Contrat Emploi-Solidarité:連帯雇用契約) その有効性に対する懸念から、最も弱い立場にある人々に対象を絞り込み、 また、長期失業者を主たる対象とした CEC (Contrat Emploi Consolidé: 強化雇用契約)は、別の難しい領域へと拡大された。困難な状況にある人々 は、これらの支援により受けた契約を、社会参入と雇用へ導く道具とし、 公益活動の枠内で就労することが可能となる。この措置によって、最も困 難な立場の人々は、より安定した環境でキャリアプランを組むことが可能 となる。 8 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 (4) CJE (Contrat Jeune en Entreprise:企業における若年者契約) 2002 年 8 月 29 日付の企業における若年者雇用支援体制創設法により制定 された。本措置は、ほとんどあるいは全く資格を持たない、16〜22 歳の 25 万人の若年者が、私企業に CDI の職を得ることを目指している。私企 業は、その見返りとして、社会保険の事業主負担分が 2 年間全額免除され、 3 年目には 50%が免除される。 ・ TEE 雇用者の申告業務を簡素化し、雇用を有利に取り計らうことを狙ったものである。 常勤の従業員数 10 人未満、もしくは 1 年当たりの労働日数が 100 日以下 (臨時 雇用)の従業員を雇っている企業は、2004 年 1 月 1 日以降、いくつかの業種で雇 用にかかわるすべての手続きを 1 度に済ませ、会社の届け出を完遂することが できるようになった。従業員 3 人以下の当該企業は、Website を利用するか、 TEE を活用することができる。同様の観点から、雇用者団体は、雇用団体小切 手を用いて雇用手続き、従業員給与の支払い、負担金の拠出ができる。 参考 Net Entreprises, Des Declarations Sociales Website, http://www.net‑entreprise.fr/ しかし、この活動支援分野で最初に辿るべき過程、すなわち労使関係近代化法の 緩和は、社会問題/労働/連帯相には非常に荷が重く、実施は困難に思われる。 解雇権の見直しと共に、労使代表は、18 カ月間の配置交渉 (と意見交換)を行っ た。しかし、再編にかかわるあらゆる告知に先立って企業運営委員会へ通知する 義務は、一時的に削除された。すべての雇用調整計画以前に 35 時間制を議論す る義務もまた、取り下げられた (2002 年 12 月 19 日付法)。 ・ 35 時間制の再検討 新政権発足以来、指導的立場にある右派のもう 1 つの優先課題であった。 2003 年 1 月のフィヨン改革以降も、法定労働時間は 35 時間のままであった が、この上限は、さまざまな修正によって、簡単に乗り越えられる。 (1) 超過勤務時間の割当ては、その法定枠を超える場合、企業が労働監督官 に許可を申請する義務があるが、今後、その割当ては、業種の取決めに より設定可能である。取決めがない場合は、デクレにより、130 時間の 代わりに 180 時間の割当てが設定される。 (2) 時間外手当ての増額も、業種の取決めによって設定できるが、それでも 追加幅は 10%を下回ってはならない。取決めがない場合、従業員 20 人 以上の企業に対しては、時間外手当ては 25%増額となる (オブリ法で予 定されたとおり)。 【参考文献】 1. 2. 3. Archives Premiers Ministres Website, http://www.archives.premier-ministre.gouv.fr/ D’ Après l’ Article Bertrand Bissuel, du Quotidiens Le Monde du 25 Juin 2004. DARES (Direction de l’ Animation de la Recherche, des Etudes et des Statistiques: 調査統計局), Ministère du Travail (雇用省), “Données Sociales 2002〜2003.” 9 国名:フランス (調査項目 3:国家開発計画) 作成年月日:2004 年 8 月 26 日 4. 5. 6. 7. 8. E. Berger, M. Defosseux, J.P. De Palmas, K. Even, S. Mas, R. Sanchez, and P. Zamora, “Les Bénéficiaires des Politiques de l’ Emploi:des Parcours Sensibles aux Mouvements Conjoncturels de l’ économie,” Premières Synthèses, DARES, December 2002. Le Parti Socialiste Website, http://www.parti-socialiste.fr/ Net Entreprises, Des Déclarations Sociales Website, http://www.net-entreprise.fr/ Ordonnance du 18 Décembre 2003. http://www.legifrance.fr/(法令総覧) 10
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